(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
[実施例1]
図1は、実施例1に係るダイオード駆動システム200の構成の概要を示す。本例のダイオード駆動システム200は、ダイオード駆動回路100およびダイオード50を備える。ダイオード駆動回路100は、カレントミラー回路10、電圧設定部20および電流設定部40を備える。電圧設定部20は、トランジスタ部25および制御回路30を備える。
【0010】
カレントミラー回路10は、入力電流Iinをミラーした出力電流Ioutを生成する。一例において、カレントミラー回路10は、ミラー元のトランジスタTR1と、ミラー先のトランジスタTR2の2つのトランジスタを有する。カレントミラー回路10は、電流設定部40およびダイオード50に接続される。カレントミラー回路10は、電流設定部40が設定した入力電流Iinに対応する出力電流Ioutをダイオード50に出力する。
【0011】
電圧設定部20は、カレントミラー回路10のミラー元のトランジスタTR1のドレイン電圧を予め定められた電圧に設定する。本明細書において、ドレイン電圧とは、トランジスタのドレイン端子の電圧を指す。本例の電圧設定部20が設定するドレイン電圧をV
D_TR1とする。ドレイン電圧V
D_TR1は、トランジスタTR1,TR2のサイズ等に応じて決定されてよい。一例において、トランジスタ部25は、トランジスタTR3を有する。
【0012】
制御回路30は、トランジスタTR3のゲート電圧を制御する。本例の制御回路30は、トランジスタTR3のゲート電圧を制御電圧V
ctrlに設定する。制御電圧V
ctrlは、設定すべきトランジスタTR1のドレイン電圧V
D_TR1の大きさに応じて決定されてよい。これにより、電圧設定部20は、制御回路30が出力する制御電圧V
ctrlに応じて、トランジスタTR1のドレイン電圧V
D_TR1を制御する。制御回路30は、電圧設定部20が有する制御部の一例である。なお、本明細書において、ゲート電圧とは、トランジスタのゲート端子の電圧を指す。
【0013】
電流設定部40は、予め定められた入力電流Iinを生成する。電流設定部40は、カレントミラー回路10と電気的に接続される。電流設定部40は、カレントミラー回路10のミラー元のトランジスタTR1のドレイン電流を入力電流Iinに設定する。入力電流Iinの大きさは、ダイオード50の駆動電流に応じて適宜変更されてよい。
【0014】
ダイオード50は、カレントミラー回路10と電気的に接続されている。ダイオード50は、カレントミラー回路10が出力する出力電流Ioutにより駆動する。
【0015】
図2は、実施例1に係るダイオード駆動システム200のより具体的な回路構成を示す。
【0016】
カレントミラー回路10は、PMOS型のトランジスタTR1およびトランジスタTR2を備える。但し、カレントミラー回路10は、NMOS型で構成されてもよい。トランジスタTR1およびトランジスタTR2は、互いのゲート端子が接続され、カレントミラー回路を構成する。
【0017】
トランジスタTR1は、カレントミラー回路のミラー元のトランジスタである。トランジスタTR1のソース端子は、電源電圧VDDに設定された電源端子に接続されている。また、トランジスタTR1のドレイン端子は、電圧設定部20に接続されている。
【0018】
トランジスタTR2は、カレントミラー回路のミラー先のトランジスタである。トランジスタTR2のソース端子は、電源電圧VDDに設定された電源端子に接続されている。また、トランジスタTR2のドレイン端子は、ダイオード50に接続されている。
【0019】
電圧設定部20は、トランジスタTR1のドレイン端子の電圧を予め定められた電圧に設定する。電圧設定部20が有するトランジスタ部25は、トランジスタTR3を備える。本例のトランジスタTR3は、PMOS型のトランジスタである。トランジスタTR3のソース端子は、トランジスタTR1のドレイン端子に接続されている。トランジスタTR3のドレイン端子は、電流設定部40に接続されている。
【0020】
制御回路30は、トランジスタTR1のドレイン電圧V
D_TR1が予め定められた電圧値となるように、制御電圧V
ctrlを設定する。一例において、制御回路30は、トランジスタTR3のソース電圧、すなわちトランジスタTR1のドレイン電圧V
D_TR1が、トランジスタTR2のドレイン電圧V
D_TR2と同じ電位となるように、トランジスタTR3のゲート電圧を制御する。なお、本明細書において、ソース電圧とは、トランジスタのソース端子の電圧を指す。
【0021】
電流設定部40は、定電流源CG1を備える。本例の定電流源CG1は、一端がトランジスタTR3のドレイン端子に接続され、他端がグラウンド等の基準端子に接続される。定電流源CG1は、予め定められた定電流を生成し、トランジスタTR1のドレイン電流に設定する。一例において、定電流源CG1は、入力電流Iinをダイオード50の駆動電流に設定する。また、トランジスタTR3と定電流源CG1との間には、接続を切り替えるためのスイッチSWが設けられてよい。
【0022】
ダイオード50は、トランジスタTR2のドレイン端子に接続されている。ダイオード50は、カレントミラー回路10が出力した出力電流Ioutにより駆動される。例えば、ダイオード50は、レーザーダイオード(LD:LASER DIODE)である。
【0023】
以上の通り、本例のダイオード駆動回路100は、トランジスタTR1のドレイン電圧V
D_TR1が予め定められた電圧値となるように制御する。トランジスタTR1のドレイン電圧V
D_TR1をトランジスタTR2のドレイン電圧V
D_TR2と同じ値となるよう設定することにより、ダイオード駆動回路100は、出力電流Ioutの入力電流Iinに対するリニアリティを向上できる。
【0024】
[比較例1]
図3は、比較例1に係るダイオード駆動回路500の構成の一例を示す。ダイオード駆動回路500は、カレントミラー回路510、電流設定部540およびダイオード550を備える。
【0025】
カレントミラー回路510は、トランジスタP1およびトランジスタP2を有する。トランジスタP1およびトランジスタP2は、それぞれPMOS型のトランジスタである。トランジスタP1は、ダイオード接続されている。カレントミラー回路510は、ミラー元のトランジスタP1に流れる入力電流Iinを、ミラー先のトランジスタP2に出力電流Ioutとして流す。V
DS_P1は、トランジスタP1のドレイン・ソース間電圧を示す。V
DS_P2は、トランジスタP2のドレイン・ソース間電圧を示す。
【0026】
電流設定部540は、定電流源を有する。定電流源は、入力電流IinをトランジスタP1のドレイン電流に設定する。定電流源は、トランジスタP1のドレイン端子に接続される。
【0027】
ダイオード550は、カレントミラー回路510が出力した出力電流Ioutにより駆動する。本例のダイオード550は、レーザーダイオードである。
【0028】
図4は、比較例1に係るダイオード駆動回路500の入出力特性の一例を示す。縦軸は出力電流Ioutを示し、横軸は入力電流Iinを示す。実線は、ダイオード駆動回路500において、リニアリティが悪化した実特性を示す。破線は、リニアリティが悪化していない理想的な特性を示す。
【0029】
本明細書において、ダイオード駆動回路が有するカレントミラー回路は、説明を簡潔にするため、ミラー元とミラー先のトランジスタに流れるドレイン電流の電流比が1:1であることを前提とする。例えば、本例の計算において、ミラー元のトランジスタとミラー先のトランジスタの電流比が1:1であり、Iout=Iin=Idであることを前提とする。Idは、ミラー元およびミラー先のトランジスタのドレイン電流である。
【0030】
比較例1に係るダイオード駆動回路500では、トランジスタP2のドレイン・ソース間電圧V
DS_P2は、駆動回路の出力電流Ioutと駆動負荷であるダイオード550のインピーダンスにより決まる。トランジスタP2のドレイン・ソース間電圧V
DS_P2は、次式で示される。
【数1】
ここで、R
loadは、ダイオード550の駆動時のインピーダンスを示す。(数1)式より、ドレイン電流が大きいほどトランジスタP2のドレイン・ソース間電圧V
DS_P2は低くなる。
【0031】
一方、トランジスタP1のドレイン・ソース間電圧V
DS_P1は、入力電流Iinと、トランジスタP1の特性で決まる。一般的なPMOSトランジスタのドレイン電流Idは、飽和領域において、次式で示される。
【数2】
【0032】
(数2)式において、係数Kpは、Kp=μp・Cox・W/Lで示される。μpはチャネルキャリアの表面移動度を、CoxはPMOSトランジスタのゲート酸化膜容量を、WはPMOSトランジスタのチャネル幅を、LはPMOSトランジスタのチャネル長を、VgsはPMOSトランジスタのソース・ゲート間電圧の絶対値を、VthはPMOSトランジスタのしきい値電圧の絶対値をそれぞれ示している。
【0033】
この場合、トランジスタP1のドレイン・ソース間電圧は、次式で示される。
【数3】
【0034】
(数3)式は、ドレイン電流Idが大きいほど、トランジスタP1のドレイン・ソース間電圧V
DS_P1が高くなることを示す。ドレイン電流Idが大きくなるほどトランジスタP1およびトランジスタP2のドレイン‐ソース間電圧差が生じる。これにより、ダイオード駆動回路500では、出力電流Ioutの入力電流Iinに対するリニアリティが劣化する。
【0035】
例えば、ダイオード駆動回路500がダイオード550としてLDを駆動する場合、LD発光時のトランジスタP2のドレイン端子の電位は2V程度である。但し、ダイオード550の駆動電流が大きくなるほど、トランジスタP2のドレイン端子の電位は上昇する。一方、ダイオード550の駆動電流が大きくなるほどトランジスタP2のゲート端子の電位は低下して、トランジスタP2の動作領域が飽和領域からリニア領域に近づく。これにより、実線で示すように、入出力特性のリニアリティの劣化が大きくなる場合がある。
【0036】
図5は、実施例に係る制御回路30の具体的な回路構成の一例を示す。本例の制御回路30は、演算増幅器31、トランジスタTR8、抵抗R1、抵抗R2、定電流源CG3および定電流源CG4を備える。
【0037】
演算増幅器31は、出力端子、正側入力端子および負側入力端子を有する。演算増幅器31の出力端子は、トランジスタTR8のゲート端子に接続されている。演算増幅器31は、トランジスタTR8のゲート電圧を制御電圧V
ctrlに設定する。演算増幅器31の正側入力端子は、例えば、基準電圧V
BIASに設定される。一方、演算増幅器31の負側入力端子は、抵抗R1を介して定電流源CG3に接続される。また、演算増幅器31の負側入力端子は、抵抗R2を介して定電流源CG4に接続される。なお、演算増幅器31の出力端子は、トランジスタTR3のゲート端子にも接続されてよい。
【0038】
トランジスタTR8は、トランジスタTR3に対応した特性を有するトランジスタである。一例において、トランジスタTR8は、トランジスタTR3と同一のサイズ又は比例したサイズのPMOSトランジスタである。本例のトランジスタTR8は、トランジスタTR3と同一のサイズを有する。また、本例のトランジスタTR8は、PMOSトランジスタである。トランジスタTR8のゲート端子は、演算増幅器31の出力端子に接続されている。トランジスタTR8のソース端子は、定電流源CG3に接続されている。また、トランジスタTR8のドレイン端子は、定電流源CG4に接続されている。
【0039】
抵抗R1は、一端が定電流源CG3に接続され、他端が演算増幅器31の負側入力端子に接続される。抵抗R2は、一端が定電流源CG4に接続され、他端が演算増幅器31の負側入力端子に接続される。トランジスタTR8は、バイアス状態を挿入したトランジスタTR3と同様に設定される。なお、本明細書において、トランジスタTR3とトランジスタTR8に流れる電流が1:1であることを前提とする。
【0040】
定電流源CG3は、予め定められた電流I
A+I
Bを流す。定電流源CG4は、予め定められた電流I
Bを流す。電流I
Aは、直列に接続された抵抗R1および抵抗R2を流れる。また、電流I
Bは、トランジスタTR8を流れる。
【0041】
ここで、(R1+R2)×I
A=2V、R2×I
A=V
BIASとすれば、フィードバックループによりトランジスタTR8のソース端子は2.0Vとなる。よって、制御回路30は、制御電圧V
ctrlでトランジスタPMOS3のゲート端子を制御すれば、トランジスタTR1のドレイン・ソース間電圧V
DS_TR1を2V付近に設定できる。これにより、本例のダイオード駆動回路100は、出力電流Ioutの入力電流Iinに対するリニアリティを、比較例1に係るダイオード駆動回路500よりも改善できる。
【0042】
[実施例2]
図6は、実施例2に係るダイオード駆動システム200の構成の一例を示す。ダイオード駆動システム200は、ダイオード駆動回路100およびダイオード50を備える。本例のダイオード駆動回路100は、レプリカ部11、出力部12、電圧設定部20、第2カレントミラー回路60および電流比較部70を備える。電圧設定部20は、トランジスタ部25および制御回路30を備える。なお、レプリカ部11および出力部12は、カレントミラー回路10の一例である。また、第2カレントミラー回路60および電流比較部70は、電流設定部40の一例である。
【0043】
レプリカ部11は、トランジスタTR1を有する。出力部12は、トランジスタTR2を有する。トランジスタTR1およびトランジスタTR2は、ゲート端子が互いに接続されている。ゲート電位V
G_TR1_TR2は、トランジスタTR1およびトランジスタTR2のゲート端子の電位を指す。
【0044】
第2カレントミラー回路60は、レプリカ部11のトランジスタTR1に流れるドレイン電流Idのミラー電流を生成する。本例の第2カレントミラー回路60には、レプリカ部11からドレイン電流Idに対応する出力電流Iout'が入力される。第2カレントミラー回路60は、入力された出力電流Iout'をミラーしたミラー電流Iout'を生成する。第2カレントミラー回路60は、生成したミラー電流Iout'を電流比較部70に出力する。
【0045】
電流比較部70は、入力されたミラー電流Iout'と、生成した入力電流Iinとを比較する。電流比較部70は、ミラー電流Iout'が入力電流Iinよりも大きい場合に、ゲート電位V
G_TR1_TR2を高くする。一方、電流比較部70は、ミラー電流Iout'が入力電流Iinよりも小さい場合にゲート電位V
G_TR1_TR2を低くする。このように、電流比較部70は、ミラー電流Iout'と入力電流Iinとの電流バランスにより、出力電流Ioutと入力電流Iinとが等しくなるように、ゲート電位V
G_TR1_TR2にフィードバックを掛ける。
【0046】
図7は、実施例2に係るダイオード駆動システム200のより具体的な回路構成を示す。レプリカ部11は、トランジスタTR1を有する。出力部12は、トランジスタTR2を有する。第2カレントミラー回路60は、トランジスタTR4,TR5,TR6,TR7を有する。また、電流比較部70は、トランジスタTR7および定電流源CG2を有する。なお、制御回路30は、
図5で示した構成を有してよい。
【0047】
トランジスタTR4およびトランジスタTR5は、カレントミラー回路を構成する。当該カレントミラー回路は、トランジスタTR4に流れる電流を、トランジスタTR5にミラーする。本例のトランジスタTR4およびトランジスタTR5は、NMOS型のトランジスタである。トランジスタTR4のドレイン端子は、トランジスタTR3のドレイン端子と接続されている。トランジスタTR5のドレイン端子は、トランジスタTR6のドレイン端子と接続されている。
【0048】
トランジスタTR6およびトランジスタTR7は、カレントミラー回路を構成する。当該カレントミラー回路は、トランジスタTR6に流れる電流を、トランジスタTR7にミラーする。本例のトランジスタTR6およびトランジスタTR7は、PMOS型のトランジスタである。トランジスタTR7には、トランジスタTR1に流れるドレイン電流Iout'に対応した電流Iout'が流れる。
【0049】
電流比較部70の定電流源CG2は、入力電流Iinを生成する。電流比較部70の定電流源CG2は、トランジスタTR7のドレイン端子に接続される。トランジスタTR7と定電流源CG2との間のノードは、トランジスタTR1およびトランジスタTR2のゲート端子に接続されている。これにより、電流比較部70は、トランジスタTR7のドレイン電流Iout'が入力電流Iinに対して大きければ、ゲート電位V
G_TR1_TR2を上昇させる。一方、電流比較部70は、トランジスタTR7のドレイン電流Iout'が入力電流Iinに対して小さければ、ゲート電位V
G_TR1_TR2を下降させる。即ち、電流比較部70は、トランジスタTR1のドレイン電流に対応するトランジスタTR7のドレイン電流Iout'が入力電流Iinとなるように、ゲート電位V
G_TR1_TR2にフィードバックを掛ける。
【0050】
ここで、本例のダイオード駆動回路100は、全てのMOSトランジスタが飽和領域で動作していることを前提としている。しかし、電源電圧VDDが高い方向に変動した際に、トランジスタTR3のMOSトランジスタがリニア領域で動作する場合がある。これは、トランジスタTR3のドレイン端子の電圧が電源電圧VDDに依存することに起因している。
【0051】
トランジスタTR3のドレイン端子の電圧は次式で示される。
【数4】
(数4)式は、電源電圧VDDが高くなるとトランジスタTR3のドレイン電圧が上昇することを示す。ここで、トランジスタTR3が飽和領域で動作する為の条件は、次式で示される。
【数5】
なお、上式では、PMOSトランジスタについて計算しているので、絶対値としている。
【数6】
ここに(数4)式及び、V
S_TR3=V
D_TR1、V
GS_TR3=V
ctrl−V
D_TR1を代入し整理すると、次式が得られる。
【数7】
(数7)式の条件が満たせなくなると、トランジスタTR3は、ドレイン・ソース間電圧を確保できず、リニア領域で動作する。リニア領域で動作すると、ドレイン電圧V
D_TR1が意図した電圧で抑えられなくなる場合がある。
【0052】
しかしながら、本例のダイオード駆動回路100は、トランジスタTR3のドレイン電圧を、トランジスタTR4のゲート・ソース間電圧VGS_TR4に設定するので、電源電圧VDDの制限を受けない。そのため、本例のダイオード駆動回路100には、(数7)式のような制約がない。よって、本例のダイオード駆動回路100は、トランジスタTR3を飽和領域で動作させやすく、動作可能な電源電圧VDDの範囲が比較例に係るダイオード駆動回路500よりも広い。
【0053】
以上の通り、本例のダイオード駆動回路100は、トランジスタTR1およびトランジスタTR2のゲート電位V
G_TR1_TR2を、入力電流IinとトランジスタTR7のドレイン電流Iout'との電流バランスで調整する。これにより、本例のダイオード駆動回路100は、電源電圧VDDの広い範囲で、出力電流Ioutの入力電流Iinに対するリニアリティを向上できる。
【0054】
[実施例3]
図8は、実施例3に係るダイオード駆動システム200の構成の一例を示す。ダイオード駆動システム200は、ダイオード駆動回路100およびダイオード50を備える。本例のダイオード駆動回路100は、レプリカ部11、出力部12、電圧設定部20、第2カレントミラー回路60および電流比較部70を備える。電圧設定部20は、トランジスタ部25および制御回路30を備える。本例では、実施例2に係るダイオード駆動回路100と異なる構成について、特に説明する。
【0055】
制御回路30は、生成した制御電圧V
ctrlによりトランジスタ部25を制御する。本例の制御回路30には、出力部12が有するトランジスタTR2のドレイン電圧V
D_TR2が入力される。制御回路30は、ドレイン電圧V
D_TR2に基づいて、制御電圧V
ctrlを制御する。
【0056】
本例のダイオード駆動回路100は、トランジスタTR1のドレイン電圧V
D_TR1をトランジスタTR2のドレイン電圧V
D_TR2と等しくなるように、トランジスタTR3のゲート電位へフィードバックをかける。これにより、トランジスタTR2のドレイン電圧V
D_TR2が変動した場合であっても、トランジスタTR2のドレイン電圧V
D_TR2をトランジスタTR1のドレイン電圧V
D_TR1と同一に制御できる。
【0057】
図9は、実施例3に係るダイオード駆動回路100のより具体的な回路構成を示す。本例では、実施例2に係るダイオード駆動回路100と異なる構成について、特に説明する。
【0058】
制御回路30は、トランジスタTR2のドレイン電圧V
D_TR2に基づいて、トランジスタTR3のゲート電圧を制御する。本例の制御回路30は、演算増幅器AMPを有する。演算増幅器AMPの出力端子は、トランジスタTR3のゲート端子に接続される。演算増幅器AMPの反転入力端子は、トランジスタTR1のドレイン端子に接続される。演算増幅器AMPの正転入力端子は、トランジスタTR2のドレイン端子に接続される。
【0059】
本例のダイオード駆動回路100は、トランジスタTR1のドレイン電圧V
D_TR1をトランジスタTR2のドレイン電圧V
D_TR2と等しく(即ち、V
D_TR1=V
D_TR2)なるように制御する。これにより、ダイオード駆動回路100は、トランジスタTR1およびトランジスタTR2が飽和領域においてカレントミラー回路として正常に動作していれば、トランジスタTR1およびトランジスタTR2のドレイン電流の誤差を抑制できる。
【0060】
ここで、ダイオード駆動回路100が大電流でダイオード50を駆動させると、トランジスタTR2のドレイン電圧V
D_TR2が上昇する場合がある。トランジスタTR2のドレイン電圧V
D_TR2が上昇して、トランジスタTR1のドレイン電圧V
D_TR1よりも大きく(即ち、V
D_TR1<V
D_TR2)なった場合、出力電流IoutがトランジスタTR1のドレイン電流よりも低下する。
【0061】
一方、本例のダイオード駆動回路100は、大電流動作時においても、トランジスタTR2のドレイン電圧V
D_TR2をトランジスタTR1のドレイン電圧V
D_TR1と同一に制御する。これにより、ダイオード駆動回路100は、大電流動作時においても、出力電流Ioutの入力電流Iinに対するリニアリティを向上できる。
【0062】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0063】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。