【実施例】
【0031】
本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
【0032】
〔実施例1〕
α化されていない市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「特ナンバーワン」)100質量部に対し、水1000質量部を加えて撹拌して中間生地を得、該中間生地を、品温90℃の状態が30分間維持されるように加熱攪拌機を用いて加熱して、ペースト状のα化加工生地を得た(α化工程)。
次いで、得られたα化加工生地を庫内温度4℃に設定された冷蔵庫内に10時間放置することによって冷蔵処理し、該生地に含まれるα化澱粉の老化処理を行ってペースト状の老化処理済み生地を得た(老化工程)。
次いで、α化されていない市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「特ナンバーワン」)100質量部に対し、老化処理済み生地110質量部(老化処理された澱粉を含む固形分としては10質量部)、食塩1質量部、水10質量部を加えて混捏して流動状生地を得た。そして、得られた流動状生地を、ドラム型焼成機を用いてそのドラム面上で焼成し、厚さ0.5〜0.55mmの春巻皮を製造した(麺皮化工程)。
【0033】
〔実施例2〕
実施例1においてα化工程における加水量及び麺皮化工程における老化処理済み生地の使用量等をそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして春巻皮を製造した。具体的な製造手順は以下の通り。
α化されていない市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「特ナンバーワン」)100質量部に対し、水500質量部を加えて撹拌して中間生地を得、該中間生地を、品温90℃の状態が30分間維持されるように加熱攪拌機を用いて加熱して、ペースト状のα化加工生地を得た(α化工程)。
次いで、得られたα化加工生地を庫内温度4℃に設定された冷蔵庫内に10時間放置することによって冷蔵処理し、該生地に含まれるα化澱粉の老化処理を行ってペースト状の老化処理済み生地を得た(老化工程)。
次いで、α化されていない市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「特ナンバーワン」)100質量部に対し、老化処理済み生地30質量部(老化処理された澱粉を含む固形分としては5質量部)、食塩1質量部、水85質量部を加えて混捏して流動状生地を得た。そして、得られた流動状生地を、ドラム型焼成機を用いてそのドラム面上で焼成し、厚さ0.5〜0.55mmの春巻皮を製造した(麺皮化工程)。
【0034】
〔実施例3〕
実施例1において前記老化処理を冷蔵処理から冷凍処理に変更した以外は、実施例1と同様にして春巻皮を製造した。即ち実施例3では、α化加工生地を庫内温度−20℃に設定された冷凍庫内に10時間放置することによって緩慢冷凍処理し、該生地に含まれるα化澱粉の老化処理を行った。斯かる冷凍処理後、その冷凍物を雰囲気温度20℃の環境下に2時間放置することによって冷蔵解凍し、次工程に供した。
【0035】
〔実施例4〕
実施例1において老化処理を複数回行った以外は、実施例1と同様にして春巻皮を製造した。即ち実施例4では、α化加工生地を庫内温度4℃に設定された冷蔵庫内に10時間放置することによって冷蔵処理した後(1回目の老化処理)、その冷蔵処理された生地を庫内温度−20℃に設定された冷凍庫内に10時間放置することによって緩慢冷凍処理し(2回目の老化処理)、その後、その冷凍物を雰囲気温度4℃の環境下に6時間放置することによって冷蔵解凍した。
【0036】
〔比較例1〕
α化されていない市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「特ナンバーワン」)100質量部に対し、水120質量部、食塩1質量部を加えて混捏して流動状生地を得、該流動状生地を、ドラム型焼成機を用いてそのドラム面上で焼成し、厚さ0.5〜0.55mmの春巻皮を製造した。
【0037】
尚、前記各実施例及び比較例の何れにおいても、麺皮化工程における流動状生地の焼成時において、該生地に脆さ又はベタつきが多少はあったものの、作業性に特に問題は無かった。
【0038】
〔評価試験1〕
各実施例及び比較例で得られた春巻皮を用いて春巻きを製造した。具体的には、春巻皮を190mm×190mmにカットし、カットした春巻皮の上に予め調理しておいた具材を載せ、巻き上げて揚げ用春巻きを得、その揚げ用春巻きを−40℃で完全に冷凍した後、−20℃で14日間冷凍保存した。その後、その冷凍春巻きを170〜180℃のサラダ油で油ちょうして、油ちょう後速やかに食感官能試験に供した。食感官能試験は、10名のパネラーに、春巻きを食した際のパリパリ感及びヒキをそれぞれ下記評価基準に基づき評価してもらうことによって実施した。その評価結果(パネラー10名の平均点)を下記表1に示す。
【0039】
<パリパリ感の評価基準>
5点:油ちょう直後と同等のパリパリ感があり、非常に良好。
4点:パリパリ感がかなりあり、良好。
3点:パリパリ感が多少ある。
2点:ややパリパリ感が無く、やや不良。
1点:パリパリ感が無く、不良。
<ヒキの評価基準>
5点:油ちょう直後と同等でヒキが無く、非常に良好。
4点:ヒキが少なく、良好。
3点:ヒキが多少ある。
2点:ヒキがやや強く、やや不良。
1点:ヒキが強く、不良。
【0040】
【表1】
【0041】
〔実施例5〕
α化されていない市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「特ナンバーワン」)100質量部に対し、水350質量部を加えて撹拌して中間生地(α化未加工生地)を得、該中間生地を、品温90℃の状態が30分間維持されるように加熱攪拌機を用いて加熱して、ペースト状のα化加工生地を得た(α化工程)。
次いで、得られたα化加工生地を庫内温度4℃に設定された冷蔵庫内に10時間放置することによって冷蔵処理し、該生地に含まれるα化澱粉の老化処理を行ってペースト状の老化処理済み生地を得た(老化工程)。
次いで、α化されていない市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「特ナンバーワン」)100質量部に対し、老化処理済み生地45質量部(老化処理された澱粉を含む固形分としては10質量部)、食塩1質量部を加えて混捏して麺生地を得た。そして、得られた麺生地を常法に従って圧延し、厚さ0.8mmの餃子の皮を製造した(麺皮化工程)。
【0042】
〔実施例6〕
実施例5においてα化工程における加水量及び麺皮化工程における老化処理済み生地の使用量等をそれぞれ変更した以外は、実施例5と同様にして餃子の皮を製造した。具体的な製造手順は以下の通り。
α化されていない市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「特ナンバーワン」)100質量部に対し、水200質量部を加えて撹拌して中間生地を得、該中間生地を、品温90℃の状態が30分間維持されるように加熱攪拌機を用いて加熱して、ペースト状のα化加工生地を得た(α化工程)。
次いで、得られたα化澱粉含有生地を庫内温度4℃に設定された冷蔵庫内に10時間放置することによって冷蔵処理し、該生地に含まれるα化澱粉の老化処理を行ってペースト状の老化処理済み生地を得た(老化工程)。
次いで、α化されていない市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「特ナンバーワン」)100質量部に対し、老化処理済み生地15質量部(老化処理された澱粉を含む固形分としては5質量部)、食塩1質量部を加えて混捏して麺生地を得た。そして、得られた麺生地を常法に従って圧延し、厚さ0.8mmの餃子の皮を製造した(麺皮化工程)。
【0043】
〔実施例7〕
実施例5において前記老化処理を冷蔵処理から冷凍処理に変更した以外は、実施例5と同様にして餃子の皮を製造した。即ち実施例7では、α化加工生地を庫内温度−20℃に設定された冷凍庫内に10時間放置することによって緩慢冷凍処理し、該生地に含まれるα化澱粉の老化処理を行った。斯かる冷凍処理後、その冷凍物を雰囲気温度20℃の環境下に2時間放置することによって冷蔵解凍し、次工程に供した。
【0044】
〔実施例8〕
実施例5において老化処理を複数回行った以外は、実施例5と同様にして餃子の皮を製造した。即ち実施例8では、α化加工生地を庫内温度4℃に設定された冷蔵庫内に10時間放置することによって冷蔵処理した後(1回目の老化処理)、その冷蔵処理された生地を庫内温度−20℃に設定された冷凍庫内に10時間放置することによって緩慢冷凍処理し(2回目の老化処理)、その後、その冷凍物を雰囲気温度4℃の環境下に6時間放置することによって冷蔵解凍した。
【0045】
〔比較例2〕
α化されていない市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「特ナンバーワン」)100質量部に対し、水35質量部、食塩1質量部を加えて混捏して麺生地を得、該麺生地を常法に従って圧延し、厚さ0.8mmの餃子の皮を製造した。
【0046】
〔評価試験2〕
各実施例及び比較例で得られた餃子の皮を用いて焼き餃子を製造した。具体的には、餃子の皮を直径90mmの平面視円形状にカットし、カットした餃子の皮の上に予め調理しておいた具材を載せ、包み上げて餃子を得、その餃子をフライパンで7分間焼き調理して、焼き調理後速やかに食感官能試験に供した。食感官能試験は、10名のパネラーに、焼き餃子を食した際のヒキを前記評価基準に基づき評価してもらうことによって実施した。その評価結果(パネラー10名の平均点)を下記表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
表1に示す通り、α化加工生地に老化処理を施した各実施例は、老化処理を施していない比較例1に比して、春巻きの食感に優れていた。この春巻きの結果は、表2に示す通り焼き餃子にも当てはまる。尚、各実施例について、調理直後の春巻き又は焼き餃子を室温下で3時間放置後に食してその食感を官能評価したところ、調理直後とほとんど変わらず良好であった。
以上のことから、麺皮類について加熱調理後の経時耐性を含めた食感の向上を図るためには、α化加工生地に老化処理を施すことが有効であることがわかる。
また、実施例において老化処理の態様の違いに着目すると、評価が高い順に、冷蔵後に冷凍(実施例4及び8)、冷凍(実施例3及び7)、冷蔵(実施例1、2、5及び6)の順となることから、老化処理として冷凍を選択すること、老化処理を複数回施すことが、麺皮類の食感向上に特に有効であることがわかる。
【0049】
〔実施例9〕
α化されていない市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「ちくご麦畑」)100質量部に対し、プロテアーゼ(天野エンザイム社製、商品名「プロテアーゼM「アマノ」SD」)0.5質量部、アミラーゼ(天野エンザイム社製、糸状菌由来、商品名「ビオザイムA」)0.5質量部、乳化剤(太陽化学社製、商品名「カゼイン サンラクトS−3」10質量部、及び水100質量部を加えて撹拌して中間生地(α化未加工生地)を得、該中間生地を、10分間静置し、更に品温90℃の状態が30分間維持されるように加熱攪拌機を用いて加熱して、ペースト状のα化加工生地を得た(α化工程)。
次いで、得られたα化加工生地を庫内温度4℃に設定された冷蔵庫内に10時間放置することによって冷蔵処理した後(1回目の老化処理)、その冷蔵処理された生地を庫内温度−20℃に設定された冷凍庫内に10時間放置することによって緩慢冷凍処理し(2回目の老化処理)、その後、その冷凍物を雰囲気温度4℃の環境下に6時間放置することによって冷蔵解凍した。
次いで、α化されていない市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「特ナンバーワン」)100質量部に対し、老化処理済み生地20質量部(老化処理された澱粉を含む固形分としては10質量部)、食塩1質量部、水110質量部を加えて混捏して流動状生地を得た。そして、得られた流動状生地を、ドラム型焼成機を用いてそのドラム面上で焼成し、厚さ0.5〜0.55mmの春巻皮を製造した(麺皮化工程)。
【0050】
〔実施例10〕
α化されていない市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「ちくご麦畑」)100質量部に対し、プロテアーゼ(天野エンザイム社製、商品名「プロテアーゼM「アマノ」SD」)0.5質量部及び水100質量部を加えて撹拌して中間生地(α化未加工生地)を製造した以外は、実施例9と同様にして春巻皮を製造した。
〔実施例11〕
α化されていない市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「ちくご麦畑」)100質量部に対し、アミラーゼ(天野エンザイム社製、糸状菌由来、商品名「ビオザイムA」)0.5質量部及び水100質量部を加えて撹拌して中間生地(α化未加工生地)を製造した以外は、実施例9と同様にして春巻皮を製造した。
〔実施例12〕
α化されていない市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「ちくご麦畑」)100質量部に対し、乳化剤(太陽化学社製、商品名「カゼイン サンラクトS−3」10質量部及び水100質量部を加えて撹拌して中間生地(α化未加工生地)を製造した以外は、実施例9と同様にして春巻皮を製造した。
【0051】
〔比較例3〕
α化されていない市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「ちくご麦畑」)100質量部に対し、水100質量部を加えて撹拌して中間生地(α化未加工生地)を製造したこと及び得られたα化加工生地に老化処理を施さないで用いたこと以外は、実施例9と同様にして春巻皮を製造した。
【0052】
〔参考例1(実施例)〕
α化されていない市販の小麦粉(日清製粉株式会社製、商品名「ちくご麦畑」)100質量部に対し、プロテアーゼ、アミラーゼ及び乳化剤を添加しないこと以外は、実施例9と同様にして春巻皮を製造した。
【0053】
〔評価試験3〕
実施例9〜12、比較例3及び参考例1で得られた春巻皮を用いて春巻きを製造した。具体的には、春巻皮を190mm×190mmにカットし、カットした春巻皮の上に予め調理しておいた具材を載せ、巻き上げて揚げ用春巻きを得、その揚げ用春巻きを−40℃で完全に冷凍した後、−20℃で14日間冷凍保存した。その後、その冷凍春巻きを170〜180℃のサラダ油で油ちょうして、油ちょう後速やかに食感官能試験に供した。食感官能試験は、10名のパネラーに、春巻きを食した際のパリパリ感及びヒキをそれぞれ下記評価基準に基づき評価してもらうことによって実施した。その評価結果(パネラー10名の平均点)を下記表3に示す。また、春巻皮の製造時における中間生地添加後の作業性(生地の安定性、取扱い性等)について、下記の評価基準に基づいて評価した。
【0054】
<パリパリ感の評価基準>
5点:油ちょう直後と同等のパリパリ感があり、非常に良好。
4点:パリパリ感がかなりあり、良好。
3点:パリパリ感が多少ある。
2点:ややパリパリ感が無く、やや不良。
1点:パリパリ感が無く、不良。
<ヒキの評価基準>
5点:油ちょう直後と同等でヒキが無く、非常に良好。
4点:ヒキが少なく、良好。
3点:ヒキが多少ある。
2点:ヒキがやや強く、やや不良。
1点:ヒキが強く、不良。
<作業性の評価基準>
5点:参考例1よりも作業性が良好である。
4点:参考例1よりもやや作業性が良好である。
3点:参考例1と同等の作業性である。
2点:参考例1よりもやや作業性に劣る
1点:参考例1よりも作業性に劣る。
【0055】
【表3】
【0056】
表3に示す通り、α化加工生地に老化処理を施した生地を用いた各実施例及び参考例1(実施例1)は、生地に老化処理を施していない比較例3に比して、春巻きの食感に優れていた。尚、各実施例について、調理直後の春巻き又は焼き餃子を室温下で3時間放置後に食してその食感を官能評価したところ、調理直後とほとんど変わらず良好であった。また、α化加工生地の原料に、プロテアーゼ、アミラーゼ及び乳化剤の少なくとも1つを配合することで、春巻皮の製造(麺皮化工程)時の作業性が向上した。
以上のことから、麺皮類について加熱調理後の経時耐性を含めた食感の向上を図るためには、α化加工生地に老化処理を施すことが有効であることがわかる。さらに、麺皮化工程時の作業性向上のために、α化加工生地にプロテアーゼ、アミラーゼ及び乳化剤の少なくとも1つを配合することが有効であることがわかる。