特許第6646510号(P6646510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6646510スピンエッチング方法及び半導体ウェーハの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646510
(24)【登録日】2020年1月15日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】スピンエッチング方法及び半導体ウェーハの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20200203BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20200203BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   H01L21/306 R
   H01L21/304 631
   H01L21/306 B
   B24B7/04 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-75806(P2016-75806)
(22)【出願日】2016年4月5日
(65)【公開番号】特開2017-188549(P2017-188549A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2018年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390004581
【氏名又は名称】三益半導体工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】根津 勝美
(72)【発明者】
【氏名】吉田 修
(72)【発明者】
【氏名】日下部 恭一
【審査官】 鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−259941(JP,A)
【文献】 特開2011−134797(JP,A)
【文献】 特開2004−335923(JP,A)
【文献】 特開2010−199336(JP,A)
【文献】 特開2005−014119(JP,A)
【文献】 特開2014−127618(JP,A)
【文献】 特開2015−223636(JP,A)
【文献】 特開2007−059949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 5/00−7/30
H01L 21/304−21/3063
H01L 21/308
H01L 21/463−21/467
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェーハを回転させ、前記半導体ウェーハの裏面に対して、エッチング液供給ノズルからエッチング液を滴下してなるスピンエッチング方法であり、
デバイス領域と前記デバイス領域を囲繞する外周囲繞領域とが表面に形成された半導体ウェーハの前記デバイス領域に対応する裏面を研削して前記外周囲繞領域に対応する裏面にリング状の補強部を形成するとともに前記デバイス領域に対応した裏面の領域に裏面凹部を形成するようにした裏面研削を行い、前記裏面研削後の裏面凹部内の断面表面形状分布がカモメ形状である、裏面研削後カモメ形状ウェーハを準備する工程と、
前記エッチング液供給ノズルを前記裏面の直径方向に所定の揺動幅で揺動させながらスピンエッチングを行うスピンエッチング工程と、を含み、
前記エッチング液供給ノズルが前記カモメ形状の肉厚盛上り部で折り返すように、前記裏面研削後カモメ形状ウェーハの裏面中心と前記カモメ形状の肉厚盛上り部との間で前記エッチング液供給ノズルを揺動せしめてなる、スピンエッチング方法。
【請求項2】
前記エッチング液供給ノズルが前記カモメ形状の肉厚盛上り部の頂点で折り返すように、前記裏面研削後カモメ形状ウェーハの裏面中心と前記カモメ形状の肉厚盛上り部との間で前記エッチング液供給ノズルを揺動せしめてなる、請求項1記載のスピンエッチング方法。
【請求項3】
前記半導体ウェーハが8インチウェーハの場合、所定の揺動幅が、前記半導体ウェーハの直径の中心を基点として±40〜±60mmである、請求項1又は2記載のスピンエッチング方法。
【請求項4】
前記スピンエッチング工程が、予めエッチング前の前記裏面研削後カモメ形状ウェーハの裏面の表面形状分布を測定しておき、前記表面形状分布に応じて、少なくとも前記揺動幅を制御するようにした、請求項1〜3いずれか1項記載のスピンエッチング方法。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項記載のスピンエッチング方法によるエッチング工程を含む半導体ウェーハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピンエッチング方法及び装置並びに半導体ウェーハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、市場における半導体ウェーハ(以下、単に「ウェーハ」ともいう)の薄さ要求としては、200μm程度であったが、近年では、市場におけるウェーハの薄さ要求は50μm程度までになってきている。
【0003】
ウェーハを薄化するにあたっては、ウェーハを裏面研削(バックグラインド)して、ウェーハを薄化することが行われる。しかしながら、例えば直径8インチのウェーハ(以下、「8インチウェーハ」という。)を裏面研削して薄化していくと、ウェーハの反りの問題やウェーハ強度の問題が発生する。
【0004】
そこで、ウェーハの反りの問題やウェーハ強度の問題を解決するため、TAIKO研削やTAIKOプロセスと呼ばれる方法が知られている(例えば、下記特許文献1及び特許文献2参照)。TAIKO研削では、図5に示されるように、ウェーハWの外周端部100を数mm程度残してウェーハの中央部のみを機械研削して薄化することにより、裏面凹部102が形成されたウェーハWとなる。TAIKO研削では、ウェーハの外周端部は研削されずに残るため、機械的強度が保たれ、ウェーハの割れや反りといった問題が低減される。即ち、TAIKO研削では、デバイス領域と前記デバイス領域を囲繞する外周囲繞領域とが表面に形成された半導体ウェーハの前記デバイス領域に対応する裏面を研削して前記外周囲繞領域に対応する裏面にリング状の補強部を形成するとともに前記デバイス領域に対応した裏面の領域に裏面凹部を形成するようにした裏面研削を行うことで、図5に示されるように裏面凹部102が形成されたウェーハWとなる。
【0005】
上述したようなTAIKO研削を適用したウェーハでは裏面凹部102の厚みを、例えば100μm以下とすることができる。しかしながら、100μm以下に薄化したウェーハの研削面の表面形状を分析すると、図6に示すように、ウェーハの中心よりも外周にいくに従って表面形状が一旦盛り上がった後(肉厚盛上り部104)、平坦になっていくという、断面がカモメが羽根を伸ばした状態に似た形状(所謂カモメ形状)となっていることがわかった。このように、カモメ形状のウェーハとは、ウェーハ中心の周囲の一部領域に同心円状に肉厚な盛上り部を有するウェーハを意味する。カモメ形状のウェーハを模式的に示した図を図7に示す。
【0006】
ウェーハの薄化は近年益々進んでおり、薄化したウェーハの面内均一性を更に良くしたいという市場の要求は増加する一方である。特に、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)の製造においては、ウェーハの厚さ方向に電流を流すこととなるため、ウェーハの面内均一性がIGBTの特性に影響を及ぼすこととなるため、ウェーハの面内の厚さを均一にする必要がある。
【0007】
また、将来的にもTSV(through-silicon via)に対応させるためには、面内均一性の向上が不可欠である。
【0008】
一方、ウェーハを裏面研削した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)を用いて平坦化させることも行われている。
【0009】
しかしながら、パワーデバイス系の場合には、ダメージ層を除去するため、例えば15μmの取り代が必要となるため、CMPは適用できない。
【0010】
また、特許文献3では、ウェーハ研削時に生ずる不具合として、特許文献3の図8−2に示すようにウェーハ面内厚みにばらつきが生じてしまう問題(所謂カモメ形状の発生の問題)を指摘しており、そのような問題を解消したウェーハ加工方法を提案している。しかしながら、特許文献3は、カモメ形状のウェーハに対してエッチングを行うことによって面内均一性の向上を図るものではない。
【0011】
一方、上述したような裏面研削後の表面が断面カモメ形状を有するウェーハの研削面をエッチングで平坦化するにあたっては、従来、面内均一性を追求するべく、エッチング量が均一となるようにエッチングを行っていた。このような均一なエッチングでは、面内の形状変化率の維持を目的としているため、エッチングの取り代を多くしても面内の形状変化率は変わらず、面内の断面カモメ形状も維持されてしまうという問題があった。
【0012】
また、例えば特許文献4には、基板の回転中心にエッチング液を供給する一方で、基板の周縁部から中央部に至る領域にスキャンアームを移動させてエッチング抑制液を揺動させて供給し、選択的にエッチングする方法も開示されている。しかしながら、このようなエッチング抑制液を用いるエッチング方法では、エッチング液がエッチング抑制液と混ざってしまうため、エッチング液を回収して再利用することができない。さらに、特許文献4はTAIKO研削によって得られたウェーハを対象とするものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2007-335659
【特許文献2】特許5613792
【特許文献3】特開2008-60470
【特許文献4】特開2003-318154
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みなされたもので、エッチング抑制液を用いることなく、裏面研削後の裏面内の断面表面形状分布がカモメ形状である半導体ウェーハの裏面の面内均一性を向上させたスピンエッチング方法及び装置並びに半導体ウェーハの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明のスピンエッチング方法は、半導体ウェーハを回転させ、前記半導体ウェーハの裏面に対して、エッチング液供給ノズルからエッチング液を滴下してなるスピンエッチング方法であり、デバイス領域と前記デバイス領域を囲繞する外周囲繞領域とが表面に形成された半導体ウェーハの前記デバイス領域に対応する裏面を研削して前記外周囲繞領域に対応する裏面にリング状の補強部を形成するとともに前記デバイス領域に対応した裏面の領域に裏面凹部を形成するようにした裏面研削を行い、前記裏面研削後の裏面凹部内の断面表面形状分布がカモメ形状である、裏面研削後カモメ形状ウェーハを準備する工程と、前記エッチング液供給ノズルを前記裏面の直径方向に所定の揺動幅で揺動させながらスピンエッチングを行うスピンエッチング工程と、を含み、前記エッチング液供給ノズルが前記カモメ形状の肉厚盛上り部で折り返すように、前記裏面研削後カモメ形状ウェーハの裏面中心と前記カモメ形状の肉厚盛上り部との間で前記エッチング液供給ノズルを揺動せしめてなる、スピンエッチング方法である。
【0016】
なお、前記スピンエッチング工程において、平坦度を表すTTVが2.0μm以下である半導体ウェーハとするのが好適である。
【0017】
前記裏面研削後カモメ形状のウェーハとは、前記裏面研削後の裏面凹部内の断面表面形状分布がカモメ形状であるウェーハであり、ウェーハ中心の周囲の一部領域に肉厚な盛上り部を有するウェーハである。即ち、図6及び図7に示すように、ウェーハの中心よりも外周にいくに従って表面形状が一旦盛り上がった後、平坦になっていくという、断面がカモメが羽根を伸ばした状態に似た形状となっているウェーハを指す。図6の図示例では、前記カモメ形状の肉厚盛上り部は、16mm〜80mmの範囲及び−16mm〜−80mmの範囲であり、肉厚盛上り部の頂点は、48mm及び−48mmの位置である。
【0018】
前記エッチング液供給ノズルが前記カモメ形状の肉厚盛上り部の頂点で折り返すように、前記裏面研削後カモメ形状ウェーハの裏面中心と前記カモメ形状の肉厚盛上り部との間で前記エッチング液供給ノズルを揺動せしめてなるのが好ましい。
【0019】
前記裏面研削後カモメ形状ウェーハは、TAIKO研削を適用したウェーハである。より詳しくは、デバイス領域と前記デバイス領域を囲繞する外周囲繞領域とが表面に形成された半導体ウェーハの前記デバイス領域に対応する裏面を研削して前記外周囲繞領域に対応する裏面にリング状の補強部を形成するとともに前記デバイス領域に対応した裏面の領域に裏面凹部を形成するようにした裏面研削を行うことにより、ウェーハの外周端部を数mm程度残してウェーハの中央部のみを機械研削して薄化して裏面凹部が形成されたウェーハである。
【0020】
前記半導体ウェーハのサイズとしては特別の限定はないが、例えば、直径6インチ、8インチ、12インチのウェーハなどに好適に適用できる。前記半導体ウェーハが8インチウェーハの場合、所定の揺動幅が、ウェーハの直径の中心を基点として±40〜±60mmである、のが好適である。なお、ノズル揺動幅の±Xmmという意味は、ウェーハ中心から直径方向に+Xmm及び−Xmm揺動するようにした、という意味である。
【0021】
前記スピンエッチング工程が、予めエッチング前の前記裏面研削後カモメ形状ウェーハの裏面の表面形状分布を測定しておき、前記表面形状分布に応じて、少なくとも前記揺動幅を制御するようにするのが好ましい。前記表面形状分布は、例えばレーザ干渉法を利用した厚み測定装置で厚み分布を測定することにより、測定することができる。
【0022】
本発明のスピンエッチング装置は、前記スピンエッチング方法に用いられるスピンエッチング装置であり、回転可能に設置されかつ上面にウェーハ保持手段を有するスピンテーブルと、前記スピンテーブルの上面にエッチング液を供給する揺動可能なエッチング液供給ノズルと、を含む、装置である。
【0023】
本発明の半導体ウェーハの製造方法は、前記スピンエッチング方法によるエッチング工程を含む半導体ウェーハの製造方法である。本発明の半導体ウェーハの製造方法により、平坦度を表すTTVが2.0μm以下である半導体ウェーハを得ることも可能である。より具体的には、TTVが2.0μm以下であり且つ0μmを超える半導体ウェーハを得ることも可能である。
【0024】
TTVは、Total Thickness Variationの略であり、ウェーハ面内を厚み方向に全面に測定した高さの最大値と最小値の差を示す値である。TTVは、例えばレーザ干渉法を利用した厚み測定装置で測定することが可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、エッチング抑制液を用いることなく、裏面研削後の裏面内の断面表面形状分布がカモメ形状である半導体ウェーハの裏面の面内均一性を向上させたスピンエッチング方法及び装置並びに半導体ウェーハの製造方法を提供することができるという著大な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明のスピンエッチング方法に用いられるスピンエッチング装置を示す斜視模式図である。
図2】裏面研削後カモメ形状ウェーハの裏面に対して、エッチング液供給ノズルからエッチング液を滴下している状態を示す側面模式図である。
図3】本発明の実施例及び比較例のTTVの測定方向を示す平面図である。
図4】本発明のスピンエッチング方法を用いて半導体ウェーハをエッチングした取代形状を示すグラフである。
図5】TAIKO研削により裏面研削を行った後の半導体ウェーハを示す模式側面図である。
図6】TAIKO研削により裏面研削を行った後の断面表面形状分布を示すグラフである。
図7】TAIKO研削により裏面研削を行った後の裏面凹部内のカモメ形状を模式的に表した模式斜視図である。
図8】本発明の実施例1の結果を示すグラフである。
図9】本発明の実施例2の結果を示すグラフである。
図10】本発明の実施例3の結果を示すグラフである。
図11】本発明の実施例4の結果を示すグラフである。
図12】本発明の実施例5の結果を示すグラフである。
図13】本発明の実施例6の結果を示すグラフである。
図14】本発明の比較例1の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
添付図面を参照して、本発明のスピンエッチング方法の一つの実施の形態を説明する。
【0028】
図1において、スピンエッチング装置10は、本発明のスピンエッチング方法に用いられるスピンエッチング装置である。スピンエッチング装置10は、回転支持体12によって回転可能に設置されかつ上面にウェーハ保持手段14を有するスピンテーブル16と、前記スピンテーブル16の上面にエッチング液Eを供給する揺動可能なエッチング液供給ノズル18と、を含む構成とされている。
【0029】
本発明のスピンエッチング方法には、スピンエッチング装置10が好適に用いられるが、裏面研削後の裏面内の断面表面形状分布がカモメ形状である、裏面研削後カモメ形状ウェーハがスピンエッチングの対象であるため、裏面研削後カモメ形状ウェーハWをまず準備する(裏面研削後カモメ形状ウェーハ準備工程)。
【0030】
そして、図2に示されるように、前記エッチング液供給ノズル18を前記裏面の直径方向に所定の揺動幅で揺動させながらスピンエッチングを行う。このとき、前記エッチング液供給ノズル18が前記カモメ形状の肉厚盛上り部104(図6及び図7参照)で折り返すように、前記エッチング液供給ノズル18を前記裏面の直径方向に所定の揺動幅D1でスピンエッチングを行う(スピンエッチング工程)。特に、前記エッチング液供給ノズルが前記カモメ形状の肉厚盛上り部104の頂点で折り返すように、前記エッチング液供給ノズルを揺動せしめるのが好適である。これにより、平坦度を表すTTVが向上したウェーハとなる。図2において、符号Oは、ウェーハ中心を示す。
【0031】
TTVは、ウェーハ面内を厚み方向に全面に測定した高さの最大値と最小値の差を示す値である。TTVは、図3に示すように、レーザ干渉法を利用してウェーハ面内を厚み方向に全面に測定した厚み測定装置で測定することが可能である。図3におけるウェーハWの切り欠きはノッチ20である。測定点数としては、例えばウェーハ面内を13点測定した高さの最大値と最小値の差で示すのが好適である。
【0032】
また、前記半導体ウェーハが8インチウェーハの場合、所定の揺動幅が、ウェーハの直径の中心を基点として±40〜±60mmである、のが好適である。なお、前記エッチング液供給ノズル18の揺動速度としては10〜50mm/sが好適である。
【0033】
前記スピンエッチング工程が、予めエッチング前の前記裏面研削後カモメ形状ウェーハの裏面の表面形状分布を測定しておき、前記表面形状分布に応じて、少なくとも前記揺動幅を制御するようにするのがさらに好適である。
【0034】
制御の仕方としては、例えば、揺動幅を大きくしたり、揺動速度を遅くするように調整したりすることが挙げられる。
【0035】
さらに、エッチング量が増えるとウェーハの温度が高くなるため、裏面研削後カモメ形状半導体ウェーハWの温度をウェーハ温度検知手段で温度管理し、裏面研削後カモメ形状半導体ウェーハWの温度が24℃±1℃を超えないように、裏面研削後カモメ形状半導体ウェーハWの回転速度を調整することが好ましい。ウェーハ温度検知手段としては、赤外線放射温度計が好ましい。前記回転速度の調整としては、回転を遅くすればエッチング量が増加し(温度が上がる)、回転を速くすればエッチング量が減少する(温度が下がる)ことを考慮して回転速度を調整し、温度管理をするようにすればよい。
【0036】
本発明では、従来のように、エッチング量が均一となるようにエッチングを行い、形状変化率の維持を目的とするのではなく、局所的にエッチングを行い、裏面研削後カモメ形状半導体ウェーハの面内均一性を向上させたものである。すなわち、本発明のスピンエッチング方法を用いて裏面研削後カモメ形状半導体ウェーハをエッチングをした場合のエッチングの取り代は、図4に示されるように、ウェーハ中心部分はほとんどエッチングされずに、ウェーハの中心から40mm程度離れた箇所の肉厚盛上り部からウェーハ外周に向かってエッチングの取り代がより多くなるようにされている。
【0037】
本発明の半導体ウェーハの製造方法は、前記スピンエッチング方法によるエッチング工程を含む半導体ウェーハの製造方法である。本発明の半導体ウェーハの製造方法により、平坦度を表すTTVが2.0μm以下である半導体ウェーハを得ることも可能である。
【実施例】
【0038】
以下に、本発明の実施例をあげてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想から逸脱しない限り様々の変形が可能であることは勿論である。
【0039】
(実施例1)
8インチのシリコン単結晶ウェーハをTAIKO研削によって裏面研削したウェーハを準備した。図3に示した直径方向(即ち、ノッチを下にして右から左に計測)に、前記ウェーハの裏面の面内を13点、レーザ干渉法を利用した厚み測定装置(浜松ホトニクス(株)製の厚み計、C11011-01)を用いて厚みを測定した。図1に示したスピンエッチング装置と同様の装置である三益半導体工業(株)製のMIMASU SPIN PROCESSORを用い、フッ酸及び硝酸をベースにした混酸のエッチング液を使用し、下記のエッチング条件にて、ノズルを揺動させて、前記ウェーハに対してスピンエッチングを行った。
<エッチング条件>
エッチング液温度:24℃、回転数:900rpm、エッチング液流量:3L/分、ノズル揺動幅:±50mm(肉厚盛上り部の頂点での折り返し)、ノズル揺動速度:30mm/sec
ノズル揺動幅の±50mmという意味は、ウェーハ中心から直径方向に+50mm及び−50mm揺動するようにした、という意味である。結果を表1及び図8に示す。表において、Timeはエッチング時間、Rateはエッチングレートの意味である。
【0040】
【表1】
【0041】
(実施例2)
下記のエッチング条件とした以外は実施例1と同様にして、スピンエッチングを行った。
<エッチング条件>
エッチング液温度:24℃、回転数:900rpm、エッチング液流量:3L/分、ノズル揺動幅:±50mm(肉厚盛上り部の頂点での折り返し)、ノズル揺動速度:60mm/sec
結果を表2及び図9に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
(実施例3)
8インチのシリコン単結晶ウェーハをTAIKO研削によって裏面研削したウェーハを準備した。図3に示した直径方向(即ち、ノッチを下にして右から左に計測)に、前記ウェーハの裏面の面内を13点、レーザ干渉法を利用した厚み測定装置(浜松ホトニクス(株)製の厚み計、C11011-01)を用いて厚みを測定した。図1に示したスピンエッチング装置と同様の装置である三益半導体工業(株)製のMIMASU SPIN PROCESSORを用い、フッ酸及び硝酸をベースにした混酸のエッチング液を使用し、下記のエッチング条件にて、ノズルを揺動させて、前記ウェーハに対してスピンエッチングを行った。
<エッチング条件>
エッチング液温度:24℃、回転数:500rpm、エッチング液流量:3L/分、ノズル揺動幅:±40mm(肉厚盛上り部の範囲内での折り返し)、ノズル揺動速度:60mm/sec
結果を図10に示す。エッチング前のTTVは4.10μmであったのに対して、エッチング後のTTVは4.63μmであった。従って、TTVの差(改善量)は、−0.53μmであった。
【0044】
(実施例4)
下記のエッチング条件とした以外は実施例3と同様にして、スピンエッチングを行った。
<エッチング条件>
エッチング液温度:24℃、回転数:500rpm、エッチング液流量:3L/分、ノズル揺動幅:±58mm(肉厚盛上り部の範囲内での折り返し)、ノズル揺動速度:60mm/sec
結果を図11に示す。エッチング前のTTVは3.90μmであったのに対して、エッチング後のTTVは3.85μmであった。従って、TTVの差(改善量)は、0.05μmであった。
【0045】
(実施例5)
下記のエッチング条件とした以外は実施例3と同様にして、スピンエッチングを行った。
<エッチング条件>
エッチング液温度:24℃、回転数:500rpm、エッチング液流量:3L/分、ノズル揺動幅:±70mm(肉厚盛上り部の範囲内での折り返し)、ノズル揺動速度:60mm/sec
結果を図12に示す。エッチング前のTTVは3.56μmであったのに対して、エッチング後のTTVは4.41μmであった。従って、TTVの差(改善量)は、−0.95μmであった。
【0046】
(実施例6)
下記のエッチング条件とした以外は実施例3と同様にして、スピンエッチングを行った。
<エッチング条件>
エッチング液温度:24℃、回転数:500rpm、エッチング液流量:3L/分、ノズル揺動幅:±80mm(肉厚盛上り部の範囲内での折り返し)、ノズル揺動速度:60mm/sec
結果を図13に示す。エッチング前のTTVは3.95μmであったのに対して、エッチング後のTTVは6.2μmであった。従って、TTVの差(改善量)は、−2.25μmであった。
【0047】
(比較例1)
ノズルをウェーハの中心に固定し、揺動させることなく下記のエッチング条件でエッチングを行った以外は、実施例3と同様にして、スピンエッチングを行った。
<エッチング条件>
エッチング液温度:24℃、回転数:500rpm、エッチング液流量:3L/分、ノズル揺動幅:±0mm
結果を図14に示す。エッチング前のTTVは3.74μmであったのに対して、エッチング後のTTVは26.73μmであった。従って、TTVの差(改善量)は、−22.99μmであった。
【0048】
実施例1〜6と比較例1からわかるように、本発明によれば、TTVの値が従来の手法の比較例1に比べて大幅に改善しており、エッチング抑制液を用いることなく、裏面研削後の裏面内の断面表面形状分布がカモメ形状である半導体ウェーハの裏面の面内均一性が向上していることがわかる。
【符号の説明】
【0049】
10:スピンエッチング装置、12:回転支持体、14:ウェーハ保持手段、16:スピンテーブル、18:エッチング液供給ノズル、20:ノッチ、100:外周端部、102:裏面凹部、104:肉厚盛上り部、D1:エッチング液供給ノズルの揺動幅、E:エッチング液、O:ウェーハ中心、W:ウェーハ。
図1
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