特許第6646953号(P6646953)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6646953半導体基板処理装置での調整可能な対流−拡散ガス流のための中央ガスインジェクタを含むセラミックシャワーヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646953
(24)【登録日】2020年1月16日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】半導体基板処理装置での調整可能な対流−拡散ガス流のための中央ガスインジェクタを含むセラミックシャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20200203BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20200203BHJP
   C23C 16/507 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   H01L21/302 101C
   C23C16/455
   C23C16/507
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-123367(P2015-123367)
(22)【出願日】2015年6月19日
(65)【公開番号】特開2016-21564(P2016-21564A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2018年6月13日
(31)【優先権主張番号】14/317,084
(32)【優先日】2014年6月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サラバナプリヤン・スリラマン
(72)【発明者】
【氏名】アレックサンダー・パターソン
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−056914(JP,A)
【文献】 特開2011−029645(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0138444(KR,A)
【文献】 特開2013−021050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
C23C 16/455
C23C 16/507
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバと、
前記真空チャンバからプラズマ処理のプロセスガスおよび副生成物を排気するように適合された真空源と、
前記真空チャンバの内部で半導体基板が上に支持される基板支持体と、
前記真空チャンバの上壁を形成するセラミックシャワーヘッドであって、プロセスガスを前記真空チャンバの内部に供給するための前記セラミックシャワーヘッドのプラズマ露出面にある複数のシャワーヘッドガス出口に流体連絡するガスプレナムと、中央開口と、を含むセラミックシャワーヘッドと、
前記セラミックシャワーヘッドの前記中央開口内に配設された中央ガスインジェクタであって、プロセスガスを前記真空チャンバの内部に供給するための前記中央ガスインジェクタの露出面にある複数のガスインジェクタ出口を含み、前記複数のガスインジェクタ出口は、(i)複数の中央ガス出口と、(ii)前記複数の中央ガス出口の径方向外側に配置される複数の径方向ガス出口とを含み、前記複数の径方向ガス出口は、前記プロセスガスを、前記中央ガスインジェクタから前記セラミックシャワーヘッドの前記ガスプレナムに径方向外向きに供給し、前記複数のシャワーヘッドガス出口を通るように配置される、中央ガスインジェクタと、
前記セラミックシャワーヘッドを通して前記真空チャンバ内にRFエネルギーを誘導結合して、前記プロセスガスをプラズマ状態に励起し、前記半導体基板を処理する、RFエネルギー源と、
を備え、
前記中央ガスインジェクタによって供給される前記プロセスガスの流量と、前記セラミックシャワーヘッドによって供給される前記プロセスガスの流量とを独立に制御することができ、
制御システムであって、(i)第1の流量で第1のガスラインによる前記中央ガス出口を通る対流ガス流としての前記プロセスガスの供給を制御し、(ii)前記対流ガス流とは独立に、第2の流量で第2のガスラインによる前記シャワーヘッドガス出口を通る拡散ガス流としての前記プロセスガスの供給を制御するように構成され、前記対流ガス流および前記拡散ガス流は、同時に供給され、前記制御システムは、さらに、前記対流ガス流および前記拡散ガス流の前記供給を制御するために、前記半導体基板の上方での所望の渦流に基づいて、前記真空チャンバ内の圧力、前記第1の流量、および前記第2の流量を選択し制御するように構成され、前記制御システムは、前記所望の渦流を実現するために、前記第1の流量および前記第2の流量を独立に制御するように構成される、制御システムを備える、
誘導結合型プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記複数のガスインジェクタ出口が、
前記中央ガスインジェクタの前記複数のガスインジェクタ出口内部でのプラズマ点火を最小限にする導電性シールドを前記ガスインジェクタ出口の表面上に含む
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記中央ガスインジェクタが、
前記中央ガスインジェクタの外部に真空封止面を含み、前記真空封止面が、前記セラミックシャワーヘッドの中央真空封止面と真空シールを形成するように構成される、
前記中央ガスインジェクタと前記セラミックシャワーヘッドとの間でOリングによって、前記セラミックシャワーヘッドの前記中央開口内に摺動可能に嵌められるように適合される、
ツイストアンドロック構成で前記セラミックシャワーヘッドの前記中央開口内に嵌まるように適合される、
前記プロセスガスを亜音速、音速、超音速、またはそれらの組合せで注入する、
誘電体材料から形成される、および、
前記中央ガスインジェクタの遠位端が前記セラミックシャワーヘッドの前記プラズマ露出面の下方に配設されるように配置される
うちの少なくとも1つである、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記セラミックシャワーヘッドが、
前記中央開口を取り囲む中央真空封止面であって、前記中央ガスインジェクタの真空封止面と真空シールを形成するように構成された中央真空封止面、および、
前記プラズマ露出面を取り囲む下側真空封止面であって、前記真空チャンバの真空封止面と真空シールを形成するように構成された下側真空封止面、
を含む請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記セラミックシャワーヘッドが、約0.4インチの厚さを有し、
前記セラミックシャワーヘッドが、少なくとも約20インチの直径を有し、
前記セラミックシャワーヘッドの前記中央開口が、約1〜1.5インチの直径を有し、
前記シャワーヘッドガス出口が、約0.04インチの直径を有し、
前記セラミックシャワーヘッドが、温度プローブを受け取るように構成された少なくとも1つの盲穴を含み、
前記セラミックシャワーヘッドの前記中央開口を画定する壁が、内部に設けられた円周溝を含み、前記溝が、約0.15インチの高さと、約0.15インチの深さとを有し、
前記ガスプレナムが、少なくとも約10インチの直径と、約0.06インチの高さとを有し、および/または
前記セラミックシャワーヘッドが、アルミナ、窒化ケイ素、酸化ケイ素、単結晶シリコン、水晶、または炭化ケイ素の1つまたは複数の部片から形成される
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記セラミックシャワーヘッドが、プロセスガスを供給するための2つ以上の区域を有するマルチゾーンセラミックシャワーヘッドであり、前記セラミックシャワーヘッドの各区域によって供給される前記プロセスガスの流量を独立に制御することができ、前記区域が、環状区域または放射状区域である請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記中央ガスインジェクタが、プロセスガスを供給するための2つ以上の区域を有するマルチゾーン中央ガスインジェクタである請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
さらに、
前記プラズマ処理装置の制御のためのプログラム命令を含む非一時的なコンピュータ機械可読媒体を備える請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の誘導結合型プラズマ処理装置内で半導体基板をプラズマ処理する方法であって、
前記真空チャンバ内で前記基板支持体上に半導体基板を配置するステップであって、前記真空チャンバの壁を形成する前記セラミックシャワーヘッドの前記プラズマ露出面が、前記基板支持体に面するステップと、
前記中央ガスインジェクタのガスインジェクタ出口および/または前記セラミックシャワーヘッドの前記シャワーヘッドガス出口から前記真空チャンバ内にプロセスガスを供給するステップと、
前記セラミックシャワーヘッドと前記中央ガスインジェクタとによって供給される前記プロセスガスの前記流量をそれぞれ独立に制御するステップであって、(i)前記中央ガスインジェクタの前記中央ガス出口を通る前記対流ガス流としての前記プロセスガスの前記供給を制御するステップと、(ii)前記対流ガス流とは独立に、前記シャワーヘッドガス出口を通る前記拡散ガス流としての前記プロセスガスの前記供給を制御するステップとを含むステップと、
前記RFエネルギー源によって生成されたRFエネルギーを、前記セラミックシャワーヘッドを通して前記真空チャンバ内に誘導結合することによって、前記プロセスガスをプラズマ状態に励起するステップであって、前記プロセスガスが、前記半導体基板の露出面とプラズマ相反応を生じ、それにより前記半導体基板を処理するステップと
を含む方法。
【請求項10】
前記セラミックシャワーヘッドが、2つ以上の区域を含むマルチゾーンセラミックシャワーヘッドである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記中央ガスインジェクタが、2つ以上の区域を含むマルチゾーン中央ガスインジェクタである請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記中央ガスインジェクタを含む前記セラミックシャワーヘッドによって前記真空チャンバの内部に供給されるプロセスガスの前記流れが、拡散ガス流と対流ガス流の間で切り替えられ、または対流ガス流と拡散ガス流が前記真空チャンバの内部に供給され、その一方で、処理中の前記真空チャンバ内の圧力が可変制御されて、それにより前記半導体基板のエッチング中に半導体基板エッチング副生成物の堆積を制御する請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ガスインジェクタが、誘電体窓の内面の下方に延び、前記ガス出口が複数の方向で前記プロセスガスを注入し、および/または、前記中央ガスインジェクタおよび/または前記セラミックシャワーヘッドが前記プロセスガスを亜音速、音速、または超音速で注入する請求項9に記載の方法。
【請求項14】
ガスインジェクタ出口およびシャワーヘッドガス出口の少なくとも幾つかを通るガス流の比率が前記半導体基板上の層をエッチングする間に独立に変えられ、それにより層の中央から縁部へのエッチングの均一性を実現するように請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記ガスインジェクタ出口および前記シャワーヘッドガス出口の少なくとも幾つかを通るガス流の比率が、前記半導体基板の上面の上方でのガス種の滞留時間が短縮されるように独立に変えられる請求項9に記載の方法。
【請求項16】
さらに、前記半導体基板の上面の上方でのガス流の再循環を制御し、それにより前記半導体基板の前記上面でのエッチング副生成物の再堆積を制御するステップを含む請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板処理装置に関し、より詳細には、調整可能なプロセスガスを半導体基板処理装置の真空チャンバに送給するための中央ガスインジェクタを含むセラミックシャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
限定はしないが、プラズマエッチング、物理気相成長(PVD)、化学気相成長(CVD)、プラズマ化学気相成長(PECVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ原子層堆積(PEALD)、原子層エッチング(ALE)、プラズマ原子層エッチング(PE−ALE)、イオン注入、またはレジスト除去を含む技法によって、半導体基板処理装置内で半導体基板に半導体構造が形成される。半導体構造は、プラズマ処理チャンバ(すなわち真空チャンバ)と、プロセスガスをチャンバに供給するガス源と、プロセスガスからプラズマを生成するエネルギー源とを含むプラズマ処理装置内で処理することができる。これらの処理技法、および半導体構造の様々な材料の処理に、様々なプロセスガスが使用される。
【発明の概要】
【0003】
誘導結合型プラズマ処理装置を本明細書で開示する。この装置は、真空チャンバと、プラズマ処理のプロセスガスおよび副生成物を真空チャンバから排気するように適合された真空源と、真空チャンバの内部で半導体基板がその上に支持される基板支持体とを備える。セラミックシャワーヘッドが真空チャンバの上壁を形成し、セラミックシャワーヘッドは、プロセスガスを真空チャンバの内部に供給するためのセラミックシャワーヘッドのプラズマ露出面にある複数のシャワーヘッドガス出口に流体連絡するガスプレナムと、中央ガスインジェクタを受け取るように構成された中央開口とを含む。中央ガスインジェクタが、セラミックシャワーヘッドの中央開口内に配設され、中央ガスインジェクタは、プロセスガスを真空チャンバの内部に供給するための複数のガスインジェクタ出口を含む。セラミックシャワーヘッドを通して真空チャンバ内にRFエネルギーを誘導結合するRFエネルギー源が、プロセスガスを励起してプラズマ状態にし、半導体基板を処理する。中央ガスインジェクタによって供給されるプロセスガスの流量と、セラミックシャワーヘッドによって供給されるプロセスガスの流量とは、独立に制御することができる。
【0004】
さらに、誘導結合型プラズマ処理装置のセラミックシャワーヘッドを本明細書で開示する。このセラミックシャワーヘッドは、プラズマ処理装置の真空チャンバの上壁を形成する。このセラミックシャワーヘッドは、プロセスガスを真空チャンバの内部に供給するためのセラミックシャワーヘッドのプラズマ露出面にある複数のシャワーヘッドガス出口に流体連絡するガスプレナムと、中央ガスインジェクタを受け取るように構成された中央開口とを備える。セラミックシャワーヘッドは、セラミックシャワーヘッドを通して供給されるプロセスガスの流量を、中央ガスインジェクタを通して供給されるように構成されたプロセスガスの流量とは独立に制御するように動作可能である。
【0005】
また、誘導結合型プラズマ処理装置内で半導体基板をプラズマ処理する方法を本明細書で開示する。この方法は、真空チャンバ内で半導体基板を基板支持体上に配置するステップを含み、ここで、中央ガスインジェクタを含むセラミックシャワーヘッドのプラズマ露出面が、基板支持体に面する真空チャンバの壁を形成する。プロセスガスは、中央ガスインジェクタのガスインジェクタ出口および/またはセラミックシャワーヘッドのシャワーヘッドガス出口から真空チャンバ内に供給される。セラミックシャワーヘッドと中央ガスインジェクタとによって供給されるプロセスガスの流量は、互いに独立に制御される。RFエネルギー源によって生成されたRFエネルギーを、セラミックシャワーヘッドを通して真空チャンバ内に誘導結合することによって、プロセスガスがプラズマ状態に励起され、プロセスガスは、半導体基板の露出面とプラズマ相反応を生じ、それにより前記半導体基板を処理する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本明細書で開示する実施形態による半導体基板プラズマ処理装置の一実施形態を示す図である。
【0007】
図2】本明細書で開示する実施形態による半導体基板プラズマ処理装置の一実施形態を示す図である。
【0008】
図3A】本明細書で開示する実施形態による中央ガスインジェクタを含むことができるセラミックシャワーヘッドの一実施形態を示す図である。
図3B】本明細書で開示する実施形態によるセラミックシャワーヘッドの中央部分の断面を示す図である。
【0009】
図4】本明細書で開示する実施形態によるセラミックシャワーヘッド内に配設することができる中央ガスインジェクタの一実施形態を示す図である。
【0010】
図5】本明細書で開示する実施形態による半導体基板プラズマ処理装置によって実施することができるガス流パターンの一例を示す図である。
【0011】
図6】本明細書で開示する実施形態による半導体基板プラズマ処理装置によって実施することができるガス流パターンの一例を示す図である。
【0012】
図7】本明細書で開示する実施形態による半導体基板プラズマ処理装置によって実施することができるガス流パターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
半導体基板処理装置の中央ガスインジェクタを含むセラミックシャワーヘッドを本明細書で開示する。この中央ガスインジェクタを含むセラミックシャワーヘッドは、調整可能な対流−拡散プロセスガス流を半導体基板処理装置の真空チャンバ内に提供するように動作可能である。半導体基板処理装置は、限定はしないが、プラズマエッチング、物理気相成長(PVD)、化学気相成長(CVD)、プラズマ化学気相成長(PECVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ原子層堆積(PEALD)、原子層エッチング(ALE)、プラズマ原子層エッチング(PE−ALE)、イオン注入、またはレジスト除去を含む技法によって半導体基板を処理するために使用することができる。好ましくは、半導体基板処理装置は、誘導結合型プラズマ処理装置である。以下の説明では、本発明の実施形態を完全に理解できるように、幾つかの具体的な詳細を記載する。しかし、これらの具体的な詳細の幾つかまたは全てがなくても、本発明の実施形態を実施することもできることが当業者には明らかであろう。なお、本明細書に開示される本発明の実施形態を不要に曖昧にしないように、周知のプロセス操作は詳細には述べていない。
【0014】
本明細書で使用する際、「調整可能な対流−拡散プロセスガス流」とは、中央ガスインジェクタを含むセラミックシャワーヘッドが、真空チャンバの基板支持体上に支持された半導体基板の上面に対流ガス流、拡散ガス流、または同時に対流ガス流と拡散ガス流を提供することができることを表す。一実施形態では、セラミックシャワーヘッドは、マルチゾーンシャワーヘッドでよく、シャワーヘッドの各区域それぞれを通して送給されるプロセスガスの流量を制御することができる。一実施形態では、中央ガスインジェクタは、マルチゾーンガスインジェクタでよく、ガスインジェクタの各区域それぞれを通して送給されるプロセスガスの流量を制御することができる。さらに、本明細書で使用する際、数値に関して使用されるときの用語「約」は、±10%を表す。
【0015】
マルチゾーンシャワーヘッドの例示的実施形態は、本願と同じ譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2013/0126486号で見ることができ、この特許文献の全体を参照により本明細書に組み込む。マルチゾーンガスインジェクタの例示的実施形態は、本願と同じ譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2010/0041238号で見ることができ、この特許文献の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0016】
半導体基板処理では、プロセスガスを真空チャンバに注入する方法と、真空チャンバの圧力とが、半導体基板の表面の上方での化学反応種の分散に影響を及ぼし、したがって、半導体基板の上面の領域上での半導体基板エッチング副生成物の再堆積により、半導体基板の全体の処理の均一性に影響を及ぼすことがある。基板副生成物の再堆積を制御するために、中央ガスインジェクタを含むセラミックシャワーヘッドによって真空チャンバの内部に供給されるプロセスガスの流れは、好ましくは、拡散ガス流、対流ガス流、または対流ガス流と拡散ガス流に切り替えることができ、その一方で、処理中の真空チャンバ内の圧力は可変制御される。プロセスガスの流量および/または真空チャンバ内部の圧力の変化は、上面での副生成物の再堆積に影響を及ぼすことがある。例えば、ガスインジェクタが約10mTでの対流ガス流を供給するとき、副生成物再堆積プロファイルは比較的均一であり、半導体基板の中央から縁部に向かって傾き、一方、約100mTの圧力での同じ流れに関しては、副生成物再堆積の径方向不均一性が増加される。副生成物の再堆積を減少させるために、好ましくは、処理される半導体基板の上面の上方で渦流が生成されないように、装置によって供給されるプロセスガスの圧力および流量が制御(すなわち調整)される。このようにすると、真空チャンバ内の副生成物の滞留時間が短縮される。
【0017】
一実施形態では、デュアルモードセラミックシャワーヘッドが、プロセスガスを半導体基板処理装置に注入するための中央ガスインジェクタを含み、デュアルモードセラミックシャワーヘッドは、調整可能な対流−拡散プロセスガス流を半導体基板処理装置の真空チャンバ内に提供するように動作可能であり、それにより、エッチングされた材料の径方向での副生成物再堆積を、真空チャンバ内の圧力を変えることによって、および真空チャンバの内部に供給されるガス流を変えることによって制御することができる。好ましくは、半導体基板処理装置は、誘導結合型プラズマ処理装置である。誘導結合型プラズマ処理装置は、真空チャンバと、基板支持体とを含み、半導体基板を基板支持体上で支持して真空チャンバ内部でプラズマ処理することができる。セラミックシャワーヘッドは、真空チャンバの上壁を形成し、セラミックシャワーヘッドは、そのプラズマ露出面にある複数のシャワーヘッドガス出口に流体連絡するガスプレナムを含み、それにより、プロセスガスを真空チャンバの内部に供給することができる。好ましくは、複数のシャワーヘッドガス出口は、拡散プロセスガス流を真空チャンバの内部に供給するように構成される。
【0018】
セラミックシャワーヘッドは、好ましくは中央開口を含み、中央開口は、中央ガスインジェクタを受け取るように構成される。中央ガスインジェクタは、セラミックシャワーヘッドの中央開口内に真空封止することができる。中央ガスインジェクタは、プロセスガスを真空チャンバの内部に供給するための複数のガスインジェクタ出口を含む。複数のガスインジェクタ出口は、半導体基板処理中に、拡散プロセスガス流、対流プロセスガス流、または拡散プロセスガス流と対流プロセスガス流を真空チャンバの内部に供給するように構成される。誘導結合型プラズマ処理装置はRFエネルギー源を含み、RFエネルギー源は、セラミックシャワーヘッドを通して真空チャンバ内にRFエネルギーを誘導結合して、プロセスガスを励起してプラズマ状態にし、半導体基板を処理する。中央ガスインジェクタによって供給されるプロセスガスの流量と、セラミックシャワーヘッドによって供給されるプロセスガスの流量とは、好ましくは独立に制御することができる。
【0019】
図1および図2は、本明細書で開示する中央ガスインジェクタ20を含むセラミックシャワーヘッド30を含むことができる半導体基板処理装置の実施形態を示す。図1および図2に示されるように、誘導結合型プラズマ処理装置10は、真空チャンバ40(すなわちプラズマエッチングチャンバ)を含むことができる。真空チャンバ40は、半導体基板5を真空チャンバ40の内部に支持するための基板支持体(下側電極アセンブリ)15を含む。中央ガスインジェクタ20を含むセラミックシャワーヘッド30は、真空チャンバ40の上壁を形成する。好ましくは、セラミックシャワーヘッド30は、下側真空封止面27を含み、下側真空封止面27は、セラミックシャワーヘッド30のプラズマ露出面37を取り囲み、真空チャンバ40の真空封止面41と真空シールを形成する。
【0020】
プロセスガスは、ガスインジェクタ20のみを通して、セラミックシャワーヘッド30のみを通して、またはガスインジェクタ20とセラミックシャワーヘッド30の両方を通して真空チャンバ40の内部に注入することができる。中央ガスインジェクタ20によって真空チャンバ40の内部に供給されるプロセスガスの流量と、セラミックシャワーヘッド30によって真空チャンバ40の内部に供給されるプロセスガスの流量とは、好ましくは独立に制御される。さらに、中央ガスインジェクタ20を含むセラミックシャワーヘッド30によって真空チャンバの内部に供給されるプロセスガスの流れは、好ましくは、拡散ガス流と対流ガス流を交番して供給することができ、または対流ガス流と拡散ガス流を同時に供給することができる。ガス送給システム234は、好ましくは、ガスインジェクタ20および/またはセラミックシャワーヘッド30を通して真空チャンバ40の内部に供給されるプロセスガスのパラメータを制御するように構成される。ガス送給システム234によって真空チャンバの内部に供給されるプロセスガスのパラメータ(例えば、温度、流量、および化学組成)は、好ましくは制御システム385によって制御される。高速ガス切替え機能を有するガス送給システムの例示的実施形態は、本願と同じ譲受人に譲渡された米国特許第8,673,785号で見ることができ、この特許文献の全体を参照により本明細書に組み込む。好ましくは、処理中の真空チャンバ40内の圧力は、真空源90によって可変制御することができ、制御システム385は、好ましくは真空源90を制御する。
【0021】
ひとたびプロセスガスが真空チャンバ40の内部に導入されると、プロセスガスは、エネルギーを真空チャンバ40の内部に供給するアンテナ18などのRF源によってプラズマ状態に励起される。好ましくは、アンテナ18は、RFエネルギーを真空チャンバ40内に誘導結合するためにRF電源240およびRFインピーダンス整合回路238によって電力供給される外部平面アンテナである。しかし、代替実施形態では、アンテナ18は、非平面の外部または埋込型アンテナでよい。平面アンテナへのRF出力の印加によって発生される電磁場は、真空チャンバ40の内部のプロセスガスを励起して、基板5の上方に高密度プラズマ(例えば、109〜1012イオン/cm3)を生成する。エッチングプロセス中、アンテナ18(すなわちRFコイル)は、変圧器での一次コイルの機能と同様の機能を果たし、一方、真空チャンバ40内で生成されたプラズマは、変圧器での二次コイルの機能と同様の機能を果たす。
【0022】
セラミックシャワーヘッド30は、そのプラズマ露出面37に、プロセスガスを真空チャンバ40の内部に供給するための複数のシャワーヘッド出口32を含む。好ましくは、中央ガスインジェクタ20は、セラミックシャワーヘッド30の中央開口35内に着脱可能に取り付けられ、中央ガスインジェクタ20の真空封止面38が、セラミックシャワーヘッド30の中央真空封止面39と真空シールを形成する。一実施形態では、中央ガスインジェクタ20はフランジを含むことができ、このフランジは、セラミックシャワーヘッド30の段差付き穴の真空シールを形成する。中央ガスインジェクタ20は、プロセスガスを真空チャンバ40の内部に供給するための1つまたは複数のガスインジェクタ出口21を含む。ガスインジェクタ20は、好ましくは、中央ガスインジェクタ20の遠位端がセラミックシャワーヘッド30のプラズマ露出面37の下方に配設されるように、セラミックシャワーヘッド30内に配置される。
【0023】
好ましくは、図1に示されるように、複数のシャワーヘッドガス出口32が、ガスプレナム31に流体連絡する。ガスプレナム31は、好ましくは、中央ガスインジェクタ20内部に配設された少なくとも1つのシャワーヘッドガス供給チャネル22によってプロセスガスを供給される。好ましい実施形態では、ガスプレナム31は、好ましくは、少なくとも約10インチの直径と、約0.06インチの高さとを有する。好ましくは、少なくとも1つのガス供給チャネル22は、ガス供給チャネル22の垂直経路から外方向に延びる1つまたは複数の径方向延在ガス経路を含み、これらの1つまたは複数の径方向延在ガス経路は、セラミックシャワーヘッド30の1つまたは複数の径方向延在ガス経路28とそれぞれ位置が合うように構成され、これらの径方向延在ガス経路28は、中央開口35を画定する壁から外方向に延び、複数のシャワーヘッドガス出口32およびガスプレナム31に流体連絡し、したがって、プロセスガスを、中央ガスインジェクタ20によってセラミックシャワーヘッド30のプレナム31に供給し、それにより真空チャンバ40の内部に送給することができる。
【0024】
代替として、図2に示されるように、セラミックシャワーヘッド30は、シャワーヘッド30の外周縁から内方向に延びる複数の径方向延在ガス経路33を含むことができ、これらの径方向延在ガス経路は、ガスプレナム31および複数のシャワーヘッドガス出口32に流体連絡する。シャワーヘッド30の外周縁から内方向に延びる径方向延在ガス経路を含むセラミックシャワーヘッドの例示的実施形態は、本願と同じ譲受人に譲渡された米国特許第8,562,785号で見ることができ、この特許文献の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0025】
図3Aは、本明細書で開示する実施形態による中央ガスインジェクタを含むことができるセラミックシャワーヘッド30の一実施形態を示す。セラミックシャワーヘッド30は、アルミナ、窒化ケイ素、酸化ケイ素、単結晶シリコン、水晶、または炭化ケイ素の1つまたは複数の部片から形成することができる。図3に示されるように、セラミックシャワーヘッドは、中央ガスインジェクタを受け取るように構成された中央開口35を含む。好ましい実施形態では、セラミックシャワーヘッド30は、約0.4インチの厚さと、少なくとも約20インチの直径とを有する。好ましい実施形態では、セラミックシャワーヘッド30は、プロセスガスを供給するための2つ以上の区域を有するマルチゾーンセラミックシャワーヘッドであり、セラミックシャワーヘッド30の各区域によって供給されるプロセスガスの流量は独立に制御することができる。例えば、第1の環状区域33は、第1の流量でプロセスガスを供給することができ、第2の環状区域34は、第2の流量でプロセスガスを供給することができる。代替実施形態では、区域は、放射状(例えば扇形)の構成で配置することができる。好ましくは、シャワーヘッドガス出口32(すなわち、第1の区域33内のシャワーヘッドガス出口32aおよび第2の区域34内のシャワーヘッドガス出口32b)は、約0.04インチの直径を有する。好ましくは、各区域は、各区域それぞれのシャワーヘッドガス出口に流体連絡するガスプレナムを含む。好ましい実施形態では、セラミックシャワーヘッド30は、温度プローブなどの測定デバイスを受け取るように構成された少なくとも1つの盲穴36を含むことができる。
【0026】
図3Bは、中央開口35を有するセラミックシャワーヘッド30の中央部分の断面を示す。好ましくは、セラミックシャワーヘッド30の中央開口35は、約1〜1.5インチの直径を有する。セラミックシャワーヘッド30の中央開口35を画定する垂直壁35aは、好ましくは、内部に設けられた円周溝48を含み、円周溝48は、約0.15インチの高さと、約0.15インチの深さとを有することができる。円周溝48は、好ましくは、開口35内に受け取られた中央ガスインジェクタのフランジと真空シールを形成するように構成することができる。例えば、円周溝48は、Oリングを受け取るように構成することができる。
【0027】
図4は、本明細書で開示する実施形態によるセラミックシャワーヘッド内に配設することができる中央ガスインジェクタ20の一実施形態を示す。中央ガスインジェクタ20は、好ましくは、水晶など誘電体材料から形成されたインジェクタ本体と、1つまたは複数のガスインジェクタ出口21とを含む。好ましくは、中央ガスインジェクタ20は、プロセスガスを供給するための2つ以上の区域を有するマルチゾーン中央ガスインジェクタであり、中央ガスインジェクタ20の各区域によって供給されるプロセスガスの流量は独立に制御することができる。例えば、区域は、プロセスガスを真空チャンバ40の内部に供給するために、好ましくは半導体基板の露出面に垂直な軸方向に延びる1つまたは複数の中央ガス出口21aと、軸方向に対して好ましくは約90°で延びる複数の径方向ガス出口21bとによって形成することができる。好ましくは、1つまたは複数の中央ガス出口21aは、第1のガスラインによって供給されるプロセスガスを受け取るように構成され、径方向ガス出口21bは、第2のガスラインからプロセスガスを受け取るように構成される。代替として、ただ1つのガスラインが、中央ガス出口21aと径方向ガス出口21bとの両方にガスを供給することができる。中央ガスインジェクタ20は、好ましくは、プロセスガスを真空チャンバ40内に亜音速、音速、および/または超音速で注入することができる。
【0028】
代替実施形態では、中央ガスインジェクタは、プロセスガスを真空チャンバの内部に供給するために、半導体基板の露出面に垂直な軸方向に延びる1つまたは複数の中央ガス出口と、軸方向に対して鋭角に延びる複数の角度付きのガス出口とを含むことができる。好ましくは、1つまたは複数の中央ガス出口は、第1のガスラインによって供給されるプロセスガスを受け取るように構成され、角度付きのガス出口は、第2のガスラインからプロセスガスを受け取るように構成される。代替実施形態では、中央ガスインジェクタ20は、インジェクタ本体を含み、インジェクタ本体は、少なくとも第1および第2のガス入口と、少なくとも第1および第2のガス経路と、少なくとも第1および第2のガス出口とを含み、第1のガス経路は、第1のガス入口および第1のガス出口に流体連絡し、第2のガス経路は、第2のガス入口および第2のガス出口に流体連絡し、第1のガス経路と第2のガス経路は互いに別々であり、それにより第1の出口と第2の出口を通るガスの流量を独立に調節可能にする。1つまたは複数の中央ガス出口と、複数の角度付きガス出口とを含むガスインジェクタの例示的実施形態は、本願と同じ譲受人に譲渡された米国特許第8,025,731号で見ることができ、その特許文献の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0029】
好ましい実施形態では、中央ガスインジェクタ20のガスインジェクタ出口21は、その表面上に導電性シールドを含むことができ、導電性シールドは、中央ガスインジェクタ20の複数のガスインジェクタ出口21内部でのプラズマ点火を最小限にする。中央ガスインジェクタ20は、好ましくはフランジ23を含み、ガスインジェクタ20は、中央ガスインジェクタ20とセラミックシャワーヘッド30との間でOリングによって、セラミックシャワーヘッド30の中央開口35内に摺動可能に嵌められるように適合される。代替実施形態では、中央ガスインジェクタ20は、ツイストアンドロック構成で、セラミックシャワーヘッド30の中央開口35内に嵌まるように適合される。ツイストアンドロックガスインジェクタ取付け構成の例示的実施形態は、本願と同じ譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2013/0098554号で見ることができ、その特許文献の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0030】
好ましくは、半導体基板は、誘導結合型プラズマ処理装置10(図1および図2参照)において真空チャンバ40内で基板支持体15上に半導体基板5を配置することによって処理することができ、真空チャンバ40の壁を形成するセラミックシャワーヘッド30のプラズマ露出面37は、基板支持体15に面する。プロセスガスは、中央ガスインジェクタ20のガスインジェクタ出口21および/またはセラミックシャワーヘッド30のシャワーヘッドガス出口32から真空チャンバ40内に供給され、セラミックシャワーヘッドと中央ガスインジェクタによって供給されるプロセスガスの流量は互いに独立に制御される。RFエネルギー源18によって生成されたRFエネルギーを、セラミックシャワーヘッド30を通して真空チャンバ40内に誘導結合することによって、プロセスガスがプラズマ状態に励起され、プロセスガスは、半導体基板5の露出面とプラズマ相反応を生じ、それにより半導体基板5を処理する。好ましくは、セラミックシャワーヘッド30は、2つ以上の区域を含むマルチゾーンセラミックシャワーヘッドであり、各区域それぞれを通して供給されるプロセスガスの流量は独立に制御される。好ましくは、中央ガスインジェクタ20は、2つ以上の区域を含むマルチゾーン中央ガスインジェクタであり、各区域それぞれを通して供給されるプロセスガスの流量は独立に制御される。
【0031】
中央ガスインジェクタ20を含むセラミックシャワーヘッド30によって真空チャンバ40の内部に供給されるプロセスガスの流れは、好ましくは、拡散ガス流と対流ガス流の間で切り替えられ、または対流ガス流と拡散ガス流が真空チャンバ40の内部に供給され、その一方で、処理中の真空チャンバ40内の圧力は可変制御されて、それにより半導体基板のエッチング中に半導体基板エッチング副生成物の堆積を制御する。さらに、ガスインジェクタ出口21およびシャワーヘッドガス出口32の少なくとも幾つかを通るガス流の比率は、半導体基板5上の層をエッチングする間に独立に変えられ、それにより層の中央から縁部へのエッチングの均一性を実現する。ガスインジェクタ出口21およびシャワーヘッドガス出口32の少なくとも幾つかを通るガス流の比率は、半導体基板5の上面の上方でのガス種の滞留時間が短縮されるように独立に変えられる。
【0032】
例えば、図5図6、および図7は、本明細書で開示する実施形態による半導体基板プラズマ処理装置によって実施することができるガス流パターンの例を示す。中央ガスインジェクタ20のみの高い流れを示す図5および図6に示されるように、半導体基板の上面の上方で渦流150が生成され、基板の上面の上方でエッチング副生成物が再循環される。半導体基板の上面の上方でエッチング副生成物を再循環させることによって、半導体基板の上面でのエッチング副生成物の再堆積が増加される。しかし、図7に示されるように、ガス流が独立に制御される中央ガスインジェクタ20とセラミックシャワーヘッド30とによってプロセスガス流を供給することによって、再循環されないガス流155を生成することができ、それにより渦流を制御することができる。このようにすると、半導体基板の上面の上方でエッチング副生成物が再循環されず、それによりエッチング副生成物の再堆積が減少され、半導体基板の上面の上方でのガス種の滞留時間が短縮される。したがって、調整可能な対流−拡散ガス流を用いて半導体基板の上面の上方でのガス流の再循環を制御することによって、半導体基板の上面でのエッチング副生成物の再堆積も同様に制御することができる。
【0033】
制御システム385(図1および図2参照)などの制御システムは、好ましくは、プラズマ処理装置、ガス送給システム、および/または真空源によって行われるプロセスを制御する。非一時的なコンピュータ機械可読媒体が、プラズマ処理装置およびガス送給システムの制御のためのプログラム命令を含むことができる。処理操作を制御するためのコンピュータプログラムコードは、例えばアセンブリ言語、C、C++、Pascal、Fortranなど、任意の従来のコンピュータ可読プログラミング言語で書くことができる。コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトが、処理装置によって実行されて、プログラムで識別されるタスクを行う。
【0034】
本明細書で開示する実施形態を、本発明の具体的な実施形態を参照して詳細に述べてきたが、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を行うことができ、均等形態を採用することもできることが当業者には明らかであろう。本発明は以下の適用例としても実現できる。
[適用例1]
真空チャンバと、
前記真空チャンバからプラズマ処理のプロセスガスおよび副生成物を排気するように適合された真空源と、
前記真空チャンバの内部で半導体基板が上に支持される基板支持体と、
前記真空チャンバの上壁を形成するセラミックシャワーヘッドであって、プロセスガスを前記真空チャンバの内部に供給するための前記セラミックシャワーヘッドのプラズマ露出面にある複数のシャワーヘッドガス出口に流体連絡するガスプレナムと、中央ガスインジェクタを受け取るように構成された中央開口と、を含むセラミックシャワーヘッドと、
前記セラミックシャワーヘッドの前記中央開口内に配設された中央ガスインジェクタであって、プロセスガスを前記真空チャンバの内部に供給するための前記中央ガスインジェクタの露出面にある複数のガスインジェクタ出口を含む中央ガスインジェクタと、
前記セラミックシャワーヘッドを通して前記真空チャンバ内にRFエネルギーを誘導結合して、前記プロセスガスをプラズマ状態に励起し、前記半導体基板を処理する、RFエネルギー源と、
を備え、
前記中央ガスインジェクタによって供給される前記プロセスガスの流量と、前記セラミックシャワーヘッドによって供給される前記プロセスガスの流量とを独立に制御することができる
誘導結合型プラズマ処理装置。
[適用例2]
前記複数のガスインジェクタ出口が、
(a)プロセスガスを前記真空チャンバの内部に供給するために、前記半導体基板の露出面に垂直な軸方向に延びる1つまたは複数の中央ガス出口と、前記軸方向に対して鋭角に延びる複数の角度付きガス出口とを含み、前記1つまたは複数の中央ガス出口が、第1のガスラインによって供給されるプロセスガスを受け取るように構成され、前記角度付きガス出口が、第2のガスラインからプロセスガスを受け取るように構成される、
(b)プロセスガスを前記真空チャンバの内部に供給するために、前記半導体基板の露出面に垂直な軸方向に延びる1つまたは複数の中央ガス出口と、前記軸方向に対して約90°の角度で延びる複数の径方向ガス出口とを含み、前記1つまたは複数の中央ガス出口が、第1のガスラインによって供給されるプロセスガスを受け取るように構成され、前記径方向ガス出口が、第2のガスラインからプロセスガスを受け取るように構成される、または
(c)前記中央ガスインジェクタの前記複数のガスインジェクタ出口内部でのプラズマ点火を最小限にする導電性シールドを前記ガスインジェクタ出口の表面上に含む
適用例1に記載のプラズマ処理装置。
[適用例3]
前記中央ガスインジェクタが、
(a)インジェクタ本体を含み、前記インジェクタ本体が、少なくとも第1および第2のガス入口と、少なくとも第1および第2のガス経路と、少なくとも第1および第2のガス出口とを含み、前記第1のガス経路が、前記第1のガス入口および前記第1のガス出口に流体連絡し、前記第2のガス経路が、前記第2のガス入口および前記第2のガス出口に流体連絡し、前記第1のガス経路と前記第2のガス経路が互いに別々であり、それにより前記第1の出口と前記第2の出口を通るガスの流量を独立に調節可能にする、
(b)前記中央ガスインジェクタの外部に真空封止面を含み、前記真空封止面が、前記セラミックシャワーヘッドの中央真空封止面と真空シールを形成するように構成される、
(c)前記中央ガスインジェクタと前記セラミックシャワーヘッドとの間でOリングによって、前記セラミックシャワーヘッドの前記中央開口内に摺動可能に嵌められるように適合される、
(d)ツイストアンドロック構成で前記セラミックシャワーヘッドの前記中央開口内に嵌まるように適合される、
(d)前記プロセスガスを亜音速、音速、超音速、またはそれらの組合せで注入する、
(e)前記中央ガスインジェクタ内に含まれるガス経路から外方向に延びる1つまたは複数の径方向延在ガス経路を含み、前記1つまたは複数の径方向延在ガス経路が、前記セラミックシャワーヘッドの1つまたは複数の径方向延在ガス経路とそれぞれ位置が合うように構成され、したがって、プロセスガスを前記中央ガスインジェクタによって前記セラミックシャワーヘッドの前記プレナムに供給することができる、
(f)誘電体材料から形成される、または
(g)前記中央ガスインジェクタの遠位端が前記セラミックシャワーヘッドの前記プラズマ露出面の下方に配設されるように配置される
適用例1に記載のプラズマ処理装置。
[適用例4]
前記セラミックシャワーヘッドが、
(a)前記中央開口を取り囲む中央真空封止面であって、前記中央ガスインジェクタの真空封止面と真空シールを形成するように構成された中央真空封止面、
(b)前記プラズマ露出面を取り囲む下側真空封止面であって、前記真空チャンバの真空封止面と真空シールを形成するように構成された下側真空封止面、
(c)前記シャワーヘッドの外周縁から内方向に延びる複数の径方向延在ガス経路であって、前記複数のシャワーヘッドガス出口に流体連絡する複数の径方向延在ガス経路、または
(d)前記シャワーヘッドの前記中央開口から外方向に延びる1つまたは複数の径方向延在ガス経路であって、前記複数のシャワーヘッドガス出口に流体連絡し、前記中央ガスインジェクタ内に含まれるガス経路から外方向に延びる径方向延在ガス経路と位置が合うように構成された1つまたは複数の径方向延在ガス経路
を含む適用例1に記載のプラズマ処理装置。
[適用例5]
(a)前記セラミックシャワーヘッドが、約0.4インチの厚さを有し、
(b)前記セラミックシャワーヘッドが、少なくとも約20インチの直径を有し、
(c)前記セラミックシャワーヘッドの前記中央開口が、約1〜1.5インチの直径を有し、
(d)前記シャワーヘッドガス出口が、約0.04インチの直径を有し、
(e)前記セラミックシャワーヘッドが、温度プローブを受け取るように構成された少なくとも1つの盲穴を含み、
(f)前記セラミックシャワーヘッドの前記中央開口を画定する壁が、内部に設けられた円周溝を含み、前記溝が、約0.15インチの高さと、約0.15インチの深さとを有し、
(g)前記ガスプレナムが、少なくとも約10インチの直径と、約0.06インチの高さとを有し、および/または
(h)前記セラミックシャワーヘッドが、アルミナ、窒化ケイ素、酸化ケイ素、単結晶シリコン、水晶、または炭化ケイ素の1つまたは複数の部片から形成される
適用例1に記載のプラズマ処理装置。
[適用例6]
前記セラミックシャワーヘッドが、プロセスガスを供給するための2つ以上の区域を有するマルチゾーンセラミックシャワーヘッドであり、前記セラミックシャワーヘッドの各区域によって供給される前記プロセスガスの流量を独立に制御することができ、前記区域が、環状区域または放射状区域である適用例1に記載のプラズマ処理装置。
[適用例7]
前記中央ガスインジェクタが、プロセスガスを供給するための2つ以上の区域を有するマルチゾーン中央ガスインジェクタであり、前記中央ガスインジェクタの各区域によって供給される前記プロセスガスの流量を独立に制御することができる適用例1に記載のプラズマ処理装置。
[適用例8]
さらに、
(a)前記プラズマ処理装置および/またはガス送給システムによって実施されるプロセスを制御するように構成された制御システムと、
(b)前記プラズマ処理装置の制御のためのプログラム命令を含む非一時的なコンピュータ機械可読媒体と
を備える適用例1に記載のプラズマ処理装置。
[適用例9]
誘導結合型プラズマ処理装置のセラミックシャワーヘッドであって、前記セラミックシャワーヘッドが、前記プラズマ処理装置の真空チャンバの上壁を形成し、前記セラミックシャワーヘッドが、
プロセスガスを前記真空チャンバの内部に供給するための前記セラミックシャワーヘッドのプラズマ露出面にある複数のシャワーヘッドガス出口に流体連絡するガスプレナムと、中央ガスインジェクタを受け取るように構成された中央開口とを備え、
前記セラミックシャワーヘッドが、前記中央ガスインジェクタを通して供給されるように構成されたプロセスガスの流量とは独立に、前記セラミックシャワーヘッドを通して供給される前記プロセスガスの流量を制御するように動作可能である
セラミックシャワーヘッド。
[適用例10]
前記セラミックシャワーヘッドが、
(a)前記中央開口を取り囲む中央真空封止面であって、前記セラミックシャワーヘッドによって受け取られるように構成された前記中央ガスインジェクタの真空封止面と真空シールを形成するように構成された中央真空封止面、
(b)前記セラミックシャワーヘッドの前記プラズマ露出面を取り囲む下側真空封止面であって、前記真空チャンバの真空封止面と真空シールを形成するように構成された下側真空封止面、
(c)前記シャワーヘッドの外周縁から内方向に延びる複数の径方向延在ガス経路であって、前記複数のシャワーヘッドガス出口に流体連絡する複数の径方向延在ガス経路、または
(d)前記シャワーヘッドの前記中央開口から外方向に延びる1つまたは複数の径方向延在ガス経路であって、前記複数のシャワーヘッドガス出口および前記ガスプレナムに流体連絡し、前記セラミックシャワーヘッドによって受け取られるように構成された前記中央ガスインジェクタ内に含まれるガス経路から外方向に延びる径方向延在ガス経路と位置が合うように構成された1つまたは複数の径方向延在ガス経路
を含む適用例9に記載のセラミックシャワーヘッド。
[適用例11]
(a)前記セラミックシャワーヘッドが、約0.4インチの厚さを有し、
(b)前記セラミックシャワーヘッドが、少なくとも約20インチの直径を有し、
(c)前記セラミックシャワーヘッドの前記中央開口が、約1〜1.5インチの直径を有し、
(d)前記シャワーヘッドガス出口が、約0.04インチの直径を有し、
(e)前記セラミックシャワーヘッドが、温度プローブを受け取るように構成された少なくとも1つの盲穴を含み、
(f)前記セラミックシャワーヘッドの前記中央開口を画定する壁が、内部に設けられた円周溝を含み、前記円周溝が、約0.15インチの高さと、約0.15インチの深さとを有し、
(g)前記ガスプレナムが、少なくとも約10インチの直径と、約0.06インチの高さとを有し、および/または
(h)前記セラミックシャワーヘッドが、アルミナ、窒化ケイ素、酸化ケイ素、単結晶シリコン、水晶、または炭化ケイ素の1つまたは複数の部片から形成される
適用例1に記載のプラズマ処理装置。
[適用例12]
前記セラミックシャワーヘッドが、プロセスガスを供給するための2つ以上の区域を有するマルチゾーンセラミックシャワーヘッドであり、前記セラミックシャワーヘッドの各区域によって供給される前記プロセスガスの流量を独立に制御することができ、前記区域が、環状区域または放射状区域である適用例1に記載のプラズマ処理装置。
[適用例13]
適用例1に記載の誘導結合型プラズマ処理装置内で半導体基板をプラズマ処理する方法であって、
前記真空チャンバ内で前記基板支持体上に半導体基板を配置するステップであって、前記真空チャンバの壁を形成する前記セラミックシャワーヘッドの前記プラズマ露出面が、前記基板支持体に面するステップと、
前記中央ガスインジェクタのガスインジェクタ出口および/または前記セラミックシャワーヘッドの前記シャワーヘッドガス出口から前記真空チャンバ内にプロセスガスを供給するステップと、
前記セラミックシャワーヘッドと前記中央ガスインジェクタとによって供給される前記プロセスガスの前記流量をそれぞれ独立に制御するステップと、
前記RFエネルギー源によって生成されたRFエネルギーを、前記セラミックシャワーヘッドを通して前記真空チャンバ内に誘導結合することによって、前記プロセスガスをプラズマ状態に励起するステップであって、前記プロセスガスが、前記半導体基板の露出面とプラズマ相反応を生じ、それにより前記半導体基板を処理するステップと
を含む方法。
[適用例14]
前記セラミックシャワーヘッドが、2つ以上の区域を含み、各区域それぞれを通るプロセスガスの流量を独立に制御するマルチゾーンセラミックシャワーヘッドである適用例13に記載の方法。
[適用例15]
前記中央ガスインジェクタが、2つ以上の区域を含み、各区域それぞれを通るプロセスガスの流量を独立に制御するマルチゾーン中央ガスインジェクタである適用例13に記載の方法。
[適用例16]
前記中央ガスインジェクタを含む前記セラミックシャワーヘッドによって前記真空チャンバの内部に供給されるプロセスガスの前記流れが、拡散ガス流と対流ガス流の間で切り替えられ、または対流ガス流と拡散ガス流が前記真空チャンバの内部に供給され、その一方で、処理中の前記真空チャンバ内の圧力が可変制御されて、それにより前記半導体基板のエッチング中に半導体基板エッチング副生成物の堆積を制御する適用例13に記載の方法。
[適用例17]
前記ガスインジェクタが、前記誘電体窓の内面の下方に延び、前記ガス出口が複数の方向で前記プロセスガスを注入し、および/または、前記中央ガスインジェクタおよび/または前記セラミックシャワーヘッドが前記プロセスガスを亜音速、音速、または超音速で注入する適用例13に記載の方法。
[適用例18]
ガスインジェクタ出口およびシャワーヘッドガス出口の少なくとも幾つかを通るガス流の比率が前記半導体基板上の層をエッチングする間に独立に変えられ、それにより層の中央から縁部へのエッチングの均一性を実現するように適用例13に記載の方法。
[適用例19]
前記ガスインジェクタ出口および前記シャワーヘッドガス出口の少なくとも幾つかを通るガス流の比率が、前記半導体基板の上面の上方でのガス種の滞留時間が短縮されるように独立に変えられる適用例13に記載の方法。
[適用例20]
さらに、前記半導体基板の前記上面の上方でのガス流の前記再循環を制御し、それにより前記半導体基板の前記上面でのエッチング副生成物の再堆積を制御するステップを含む適用例13に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7