特許第6646978号(P6646978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6646978高アスペクト比構造におけるコンタクト洗浄
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646978
(24)【登録日】2020年1月16日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】高アスペクト比構造におけるコンタクト洗浄
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20200203BHJP
   H01L 27/11556 20170101ALI20200203BHJP
   H01L 27/11582 20170101ALI20200203BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20200203BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20200203BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20200203BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20200203BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20200203BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   H01L21/302 102
   H01L27/11556
   H01L27/11582
   H01L29/78 371
   H01L21/90 D
   H01L21/304 645C
【請求項の数】26
【外国語出願】
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2015-167336(P2015-167336)
(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公開番号】特開2016-51900(P2016-51900A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2018年8月24日
(31)【優先権主張番号】62/044,117
(32)【優先日】2014年8月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/577,977
(32)【優先日】2014年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バユ・テドジョイスワード
(72)【発明者】
【氏名】ヘレン・ジュウ
(72)【発明者】
【氏名】リンダ・マルケス
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・パク
【審査官】 鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−144028(JP,A)
【文献】 特開2000−236021(JP,A)
【文献】 特開平11−260913(JP,A)
【文献】 特表2005−530345(JP,A)
【文献】 特開2014−017406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01L 21/304
H01L 21/3065
H01L 21/3205−21/3213
H01L 21/336
H01L 21/461
H01L 21/768
H01L 21/8229
H01L 21/8239−21/8246
H01L 23/522
H01L 23/532
H01L 27/10−27/11597
H01L 29/788−29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の高アスペクト比開口を有する基板を洗浄する方法であって、
複数の高アスペクト比開口を有する基板をプラズマ処理チャンバ内に提供することであって、前記各開口は、約10:1を超える高さ対横寸法アスペクト比を有する、ことと、
フッ素をベースにした種を含む第1のエッチャントを前記基板に向けて流すことと、
前記フッ素をベースにした種のプラズマを発生させて前記高アスペクト比開口内のシリコン酸化物を除去するために、前記プラズマ処理チャンバに第1のバイアス電力を印加することと、
水素をベースにした種を含む第2のエッチャントを前記基板に向けて流すことと、
前記水素をベースにした種のプラズマを発生させて前記高アスペクト比開口内のシリコンを除去するために、前記プラズマ処理チャンバにソース電力および第2のバイアス電力を印加することと、
を備え
前記第2のエッチャントは、水素と三フッ化窒素とを含み、前記水素の濃度は、前記三フッ化窒素の濃度よりも大きい、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1のエッチャントは、三フッ化窒素のみで構成される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記シリコン酸化物の除去は、前記プラズマ処理チャンバにソース電力が印加されることなく生じる、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記基板は、前記各高アスペクト比開口を定めている複数の垂直構造を含み、前記各垂直構造は、酸化物層と窒化物層とを交互に含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記交互する酸化物層および窒化物層は、交互するシリコン酸化物層およびシリコン窒化物層を含む、方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、
前記高アスペクト比開口内の前記シリコンの除去は、前記交互する酸化物層および窒化物層のそれぞれに対して約500:1を超える選択性で生じる、方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記プラズマ処理チャンバ内の圧力は、前記第1のエッチャントを前記基板に向けて流しており、第1のバイアス電力を印加している間は、約10mTorr未満である、方法。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記シリコンを除去するための前記ソース電力と前記第2のバイアス電力との比は、2:1におおよそ等しいまたは約2:1以上である、方法。
【請求項9】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記シリコンは、非晶質シリコンまたは損傷シリコンを含む、方法。
【請求項10】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記ソース電力は、前記プラズマ処理チャンバ内の遠隔プラズマソースに印加され、前記ソース電力の印加は、前記水素をベースにした種のラジカルを発生させるために、前記水素をベースにした種を前記遠隔プラズマソースに暴露することを含む、方法。
【請求項11】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1のバイアス電力の印加は、前記フッ素をベースにした種のイオンを発生させるために、前記フッ素をベースにした種に前記第1のバイアス電力をかけることを含み、
前記フッ素をベースにした種のイオンは、指向性のエッチングプロファイルにおいて前記シリコン酸化物を除去する、方法。
【請求項12】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法であって、
前記複数の高アスペクト比開口は、垂直NAND構造の一部である、方法。
【請求項13】
複数の高アスペクト比開口を有する基板を洗浄するための装置であって、
プラズマ処理チャンバであって、
遠隔プラズマソースと、
複数の高アスペクト比開口を有する基板を支えるための基板サポートであって、前記各開口は、約10:1を超える高さ対横寸法アスペクト比を有し、前記基板は、前記高アスペクト比開口内にシリコン層とその上のシリコン酸化物層とを有する、基板サポートと、
を含むプラズマ処理チャンバと、
コントローラであって、
(a)フッ素をベースにした種を含む第1のエッチャントを前記基板に向けて流す操作と、
(b)前記フッ素をベースにした種のプラズマを発生させて前記シリコン酸化物層を除去するために、前記プラズマ処理チャンバ内の前記基板サポートに第1のバイアス電力を印加する操作と、
(c)水素をベースにした種を含む第2のエッチャントを前記基板に向けて流すこと
であって、前記第2のエッチャントは、水素と三フッ化窒素とを含み、前記水素の濃度は、前記三フッ化窒素の濃度よりも大きい、前記第2のエッチャントを前記基板に向けて流すことと、
(d)前記水素をベースにした種のプラズマを発生させて前記シリコン層を除去するために、前記遠隔プラズマソースにソース電力を印加し、前記プラズマ処理チャンバ内の前記基板サポートに第2のバイアス電力を印加する操作と、
を実施するための命令を提供するように構成されたコントローラと、
を備える装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置であって、
前記第1のエッチャントは、三フッ化窒素のみで構成される、装置。
【請求項15】
請求項13に記載の装置であって、
前記基板は、前記各高アスペクト比開口を定めている複数の垂直構造を含み、前記各垂直構造は、酸化物層と窒化物層とを交互に含む、装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、
前記シリコン層の除去は、前記交互する酸化物層および窒化物層のそれぞれに対して約500:1を超える選択性で生じる、装置。
【請求項17】
請求項13ないし16のいずれか一項に記載の装置であって、
前記プラズマ処理チャンバ内の圧力は、前記第1のエッチャントを前記基板に向けて流しており、前記第1のバイアス電力を印加している間は約10mTorr未満である、装置。
【請求項18】
請求項13ないし16のいずれか一項に記載の装置であって、
前記シリコン層を除去するための前記ソース電力と前記第2のバイアス電力との比は、2:1におおよそ等しいまたは約2:1以上である、装置。
【請求項19】
複数の高アスペクト比開口を有する基板を洗浄する方法であって、
複数の高アスペクト比開口を有する基板をプラズマ処理チャンバ内に提供することであって、前記各開口は、約10:1を超える高さ対横寸法アスペクト比を有する、ことと、
フッ素をベースにした種または水素をベースにした種を含む第1のエッチャントを前記基板に向けて流すことと、
前記第1のエッチャントのプラズマを発生させて前記高アスペクト比開口内のシリコン酸化物を除去するために、前記プラズマ処理チャンバに第1のバイアス電力を印加することであって、前記シリコン酸化物の除去は、前記プラズマ処理チャンバにソース電力が印加されることなく生じる、前記プラズマ処理チャンバに前記第1のバイアス電力を印加することと、
水素をベースにした種を含む第2のエッチャントを前記基板に向けて流すことと、
前記第2のエッチャントのプラズマを発生させて前記高アスペクト比開口内のシリコンを除去するために、前記プラズマ処理チャンバにソース電力および第2のバイアス電力を印加することと、
を備える方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記第1のエッチャントは、三フッ化窒素のみで構成される、方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、
前記第2のエッチャントは、
水素のみで構成される、または、
水素と三フッ化窒素とを含み、前記水素の濃度は、前記三フッ化窒素の濃度よりも大きい、方法。
【請求項22】
請求項19に記載の方法であって、
前記基板は、前記各高アスペクト比開口を定めている複数の垂直構造を含み、前記各垂直構造は、酸化物層と窒化物層とを交互に含む、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、
前記交互する酸化物層および窒化物層は、交互するシリコン酸化物層およびシリコン窒化物層を含む、方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法であって、
前記高アスペクト比開口内の前記シリコンの除去は、前記交互する酸化物層および窒化物層のそれぞれに対して約500:1を超える選択性で生じる、方法。
【請求項25】
請求項19に記載の方法であって、
前記シリコンを除去するための前記ソース電力と前記第2のバイアス電力との比は、2:1におおよそ等しいまたは約2:1以上である、方法。
【請求項26】
請求項19に記載の方法であって、
前記プラズマ処理チャンバ内の圧力は、前記第1のエッチャントを前記基板に向けて流しており、第1のバイアス電力を印加している間は、約10mTorr未満である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2014年8月29日に出願され発明の名称を「CONTACT CLEAN IN HIGH ASPECT RATIO STRUCTURES(高アスペクト比構造におけるコンタクト洗浄)」とする米国仮特許出願第62/044,117号の優先権を主張する2014年12月19日に出願され発明の名称を「CONTACT CLEAN IN HIGH ASPECT RATIO STRUCTURES(高アスペクト比構造におけるコンタクト洗浄)」とする米国特許出願第14/577,977号の優先権を主張する。これらの各出願は、あらゆる目的のために、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、総じて、基板の高アスペクト比開口内のコンタクトおよびスリットの洗浄に関し、なかでも特に、酸化物層と窒化物層または酸化物層とポリシリコン層とを交互に有する構造によって定められた高アスペクト比開口内の酸化層、シリコン酸化物、損傷シリコン、およびその他の汚染物質のドライエッチングに関する。
【背景技術】
【0003】
プラズマをベースにしたエッチングは、半導体デバイスおよび集積回路の製造において重要な処理工程になりえる。しかしながら、プラズマをベースにしたエッチングは、酸化物や損傷シリコンまたは非晶質シリコンなどの汚染物質を生じることがある。シリコンおよび金属を含有する半導体基板などの材料表面上における酸化物および損傷シリコンの存在は、その後に続く製造プロセスに悪影響を及ぼし、それによって半導体デバイスの性能にも影響を及ぼすだろう。具体的に言うと、シリコン上に酸化物およびその他の汚染物質が形成されるとき、それらの酸化物またはその他の汚染物質は、電気的に絶縁性であるかもしれず、半導体デバイスまたは集積回路におけるコンタクトの電気経路に害をなす恐れがある。
【0004】
3次元垂直NAND(V−NAND)メモリデバイスなどのメモリデバイスは、酸化物層と窒化物層とを交互に有する垂直構造(ONON)をシリコン基板上に含むことができる。一部の実装形態では、デバイスは、酸化物層とポリシリコン層とを交互に有していてもよい(OPOP)。各垂直構造間には、高アスペクト比開口を形成することができる。高アスペクト比開口は、その後、メモリデバイスにおける電気コンタクトとして機能することができる。本明細書で言う高アスペクト比開口は、高アスペクト比コンタクトと呼ぶこともできる。一部の実装形態では、高アスペクト比開口は、穴、スリット、または溝の形状をとることができる。高アスペクト比開口は、プラズマをベースにしたエッチングによって形成することができる。プラズマをベースにしたエッチングは、かなりの濃度の酸素と高い電離エネルギとを使用し、これは、結果として、高アスペクト比開口の底に酸化物(例えばシリコン酸化物)、損傷シリコン、およびその他の汚染物質(例えば炭素)を形成することがある。開口は、メモリデバイスにおける電気コンタクトを作成するために、金属で満たすまたは実質的に満たすことができる。しかしながら、高アスペクト比開口内に電気コンタクトを形成するにあたっては、望ましくない酸化物、損傷シリコン、およびその他の汚染物質の存在が、メモリデバイスの性能に害をなす恐れがある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、複数の高アスペクト比開口を有する基板を洗浄する方法に関する。方法は、複数の高アスペクト比開口を有する基板をプラズマ処理チャンバ内に提供することを含み、各開口は、約10:1を超える高さ対横寸法アスペクト比を有する。方法は、さらに、フッ素をベースにした種を含む第1のエッチャントを基板に向けて流すことと、フッ素をベースにした種のプラズマを発生させて高アスペクト比開口内のシリコン酸化物を除去するために、プラズマ処理チャンバに第1のバイアス電力を印加することと、を含む。方法は、さらに、水素をベースにした種を含む第2のエッチャントを基板に向けて流すことと、水素をベースにした種のプラズマを発生させて高アスペクト比開口内のシリコンを除去するために、プラズマ処理チャンバにソース電力および第2のバイアス電力を印加することと、を含む。
【0006】
一部の実装形態では、第2のエッチャントは、水素のみを含む。一部の実装形態では、第2のエッチャントは、水素と三フッ化窒素とを含み、水素の濃度は、三フッ化窒素の濃度よりも大きい。一部の実装形態では、第1のエッチャントは、三フッ化窒素のみを含む。一部の実装形態では、基板は、各高アスペクト比開口を定めている複数の垂直構造を含み、各垂直構造は、酸化物層と窒化物層とを交互に含む。一部の実装形態では、シリコンを除去するためのソース電力と第2のバイアス電力との比は、2:1におおよそ等しいまたは約2:1以上である。
【0007】
本開示は、複数の高アスペクト比開口を有する基板を洗浄するための装置にも関する。装置は、遠隔プラズマソースと、複数の高アスペクト比開口を有する基板を支えるための基板サポートと、を含むプラズマ処理チャンバを含み、各開口は、約10:1を超える高さ対横寸法アスペクト比を有し、基板は、高アスペクト比開口内にシリコン層とその上のシリコン酸化物層とを有する。装置は、さらに、(a)フッ素をベースにした種を含む第1のエッチャントを基板に向けて流す操作と、(b)フッ素をベースにした種のプラズマを発生させてシリコン酸化物層を除去するために、プラズマ処理チャンバ内の基板サポートに第1のバイアス電力を印加する操作と、(c)水素をベースにした種を含む第2のエッチャントを基板に向けて流すことと、(d)水素をベースにした種のプラズマを発生させてシリコン層を除去するために、遠隔プラズマソースにソース電力をおよび基板処理チャンバ内の基板サポートに第2のバイアス電力を印加する操作と、を実施するための命令を提供するように構成されたコントローラを含む。
【0008】
一部の実装形態では、第2のエッチャントは、水素のみを含む。一部の実装形態では、第2のエッチャントは、水素と三フッ化窒素とを含み、水素の濃度は、三フッ化窒素の濃度よりも大きい。一部の実装形態では、第1のエッチャントは、三フッ化窒素のみを含む。一部の実装形態では、基板は、各高アスペクト比開口を定めている複数の垂直構造を含み、各垂直構造は、酸化物層と窒化物層とを交互に含む。一部の実装形態では、シリコン層を除去するためのソース電力と第2のバイアス電力との比は、2:1におおよそ等しいまたは約2:1以上である。
【0009】
本開示は、複数の高アスペクト比開口を有する基板を洗浄する方法にも関する。方法は、複数の高アスペクト比開口を有する基板をプラズマ処理チャンバ内に提供することを含み、ここで、各開口は、約10:1を超える高さ対横寸法アスペクト比を有する。方法は、さらに、フッ素をベースにした種または水素をベースにした種を含む第1のエッチャントを基板に向けて流すことと、第1のエッチャントのプラズマを発生させて高アスペクト比開口内のシリコン酸化物を除去するために、プラズマ処理チャンバに第1のバイアス電力を印加することと、を含む。方法は、さらに、水素をベースにした種を含む第2のエッチャントを基板に向けて流すことと、第2のエッチャントのプラズマを発生させて高アスペクト比開口内のシリコンを除去するために、プラズマ処理チャンバにソース電力および第2のバイアス電力を印加することと、を含む。一部の実装形態では、第1のエッチャントは、水素をベースにした種を含み、除去されるシリコン酸化物は、除去される自然シリコン酸化物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一部の実装形態にしたがった、ソース電力およびバイアス電力を提供する装備を備えたプラズマ処理チャンバを含む装置の一例を示した図である。
【0011】
図2】一部の実装形態にしたがった下流プラズマ装置の一例を示した図である。
【0012】
図3】一部の実装形態にしたがったマルチステーション処理ツールの一例を示した図である。
【0013】
図4A】複数の垂直構造によって定められた複数の高アスペクト比開口を有するデバイス構造の一例を示した断面図である。
【0014】
図4B図4Aの断面図を拡大した図であり、高アスペクト比開の1つのなかでシリコン層の上に酸化物層が重なった様子を示している。
【0015】
図5】複数の高アスペクト比開口を有する基板を洗浄する方法を示した代表的なフローチャートである。
【0016】
図6A】純粋なH2プラズマによるポリシリコンエッチング速度を温度の関数として示したグラフである。
図6B】純粋なH2プラズマによるポリシリコンエッチング速度を圧力の関数として示したグラフである。
図6C】純粋なH2プラズマによるポリシリコンエッチング速度をソース電力の関数として示したグラフである。
【0017】
図7A】純粋なH2/NF3プラズマによるポリシリコンエッチング速度を温度の関数として示したグラフである。
図7B】純粋なH2/NF3プラズマによるポリシリコンエッチング速度を圧力の関数として示したグラフである。
【0018】
図8】シリコン酸化物層とシリコン窒化物層とを交互に有する垂直構造のTEM画像である。
【0019】
図9A】シリコン層の上に酸化物層がある高アスペクト比開口のTEM画像である。
【0020】
図9B】酸化物層およびシリコン層を除去された高アスペクト比開口のTEM画像である。
【0021】
図10A】シリコン層を除去する際のソース電力対バイアス電力の比を変えて得られる様々なエッチングプロファイルを伴う高アスペクト比開口のTEM画像である。
図10B】シリコン層を除去する際のソース電力対バイアス電力の比を変えて得られる様々なエッチングプロファイルを伴う高アスペクト比開口のTEM画像である。
図10C】シリコン層を除去する際のソース電力対バイアス電力の比を変えて得られる様々なエッチングプロファイルを伴う高アスペクト比開口のTEM画像である。
【0022】
図11】ソース電力およびバイアス電力の両方が使用される場合のポリシリコンエッチング速度を温度の関数として示したグラフである。
【0023】
図12A】シリコン層を除去する際の温度を変えて得られる様々なエッチングプロファイルを伴う高アスペクト比開口のTEM画像である。
図12B】シリコン層を除去する際の温度を変えて得られる様々なエッチングプロファイルを伴う高アスペクト比開口のTEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の説明では、例示された概念の完全な理解を与えるために、数々の具体的詳細が明記されている。提示された概念は、これらの詳細の一部または全部を伴わなくても実施可能である。また、説明された概念を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス工程の詳細な説明は省略されている。一部の概念は、具体的な詳細な実施形態に照らして説明されているが、これらの実施形態は、制限的であることを意図していないことが理解される。
【0025】
高アスペクト比コンタクトを洗浄する従来の方法は、非常に複雑で且つ費用がかかる恐れがある。このような従来の方法の1つは、ウェットエッチング・プロセスを伴うことができる。しかしながら、コンタクトの底の酸化物を除去するためにウェットエッチャントを使用すると、高価である、深刻な安全上の懸念をもたらす、その他の材料に対して高い選択性を実現しえない、周囲条件へのさらなる暴露を引き起こして自然酸化物を再成長可能にする、高アスペクト比特徴を伴うデバイスにとって問題になるなどの恐れがある。
【0026】
例えば、高アスペクト比特徴を伴うデバイスのためのウェット方式のアプローチは、一連のウェットエッチング・プロセスを伴うことができる。高アスペクト比特徴は、ONONスタックの垂直構造間に、酸化物および損傷シリコンを底に形成された高アスペクト比コンタクトを含むことができる。コンタクトの底の酸化物は、先ず、希釈HF溶液を使用して除去され、その後、損傷シリコンを除去する別のウェットエッチング工程が続く。しかしながら、ウェットエッチング・プロセスの指向性の欠如ゆえに、希釈HFへの暴露は、ONONスタックの酸化物側壁を、その酸化物層に横方向にへこませることによって自然に損傷させる。この工程は、ONONスタックの側壁に沿って「うねり」を形成するゆえに、問題である。このうねりゆえに、基板は、ONON側壁を真っ直ぐにしようとしてONONスタックの窒化物層に横方向にへこませる別のウェットエッチング工程を施されるだろう。これらの酸化物トリミング工程および窒化物トリミング工程は、ONON側壁を完全に真っ直ぐにするために複数回にわたって繰り返される必要があるだろう。したがって、一連のウェットエッチング工程は、複雑で、時間がかかり、且つ費用がかかる恐れがある。
【0027】
ドライエッチングプロセスが、ウェットエッチング・プロセスに代わることができる。ドライエッチングプロセスは、コンタクトの底の酸化物をおよび損傷/非晶質シリコンを除去するためのプラズマベースのアプローチを含むことができる。このプラズマベースのアプローチは、三フッ化窒素(NF3)、アンモニアと三フッ化窒素との混合(NH3/NF3)、または水素と三フッ化窒素との混合(H2/NF3)などの、フッ素をベースにしたエッチャントを使用することができる。しかしながら、ドライエッチングプロセスは、様々な課題に直面する恐れがあり、そのうちのいくつかが、以下で説明される。
【0028】
コンタクトの高アスペクト比特性は、プラズマ内に生成された活性種がコンタクトの底に到達するための輸送抵抗の問題を引き起こす恐れがある。活性種のサイズ次第では、コンタクトの底に近づくにつれて活性種の濃度が激減するだろう。その結果、コンタクトの底の酸化物、損傷/非晶質シリコン、およびその他の汚染物質の除去効率が弱まり、それらをコンタクトの底から完全に除去することが非常に困難になる恐れがある。
【0029】
プラズマベースのアプローチは、高アスペクト比開口の底の酸化物および損傷/非晶質シリコンを除去するために、フッ素をベースにしたエッチャントを使用することができる。通常、フッ素をベースにしたエッチャントは、シリコン酸化物を除去するのに効果的である。しかしながら、フッ素をベースにしたエッチャントは、その選択性の欠如ゆえに、ONONスタック内のシリコン酸化物層およびシリコン窒化物層と容易に反応するだろう。これは、フッ素をベースにしたエッチャントが、コンタクトの底でシリコン酸化物が除去されている間にONON側壁を損傷させるリスクが高いことを意味する。フッ素をベースにしたエッチャントは、ONONスタック内のシリコン酸化物層およびシリコン窒化物層を様々なエッチング速度で攻撃し、結果として、ONON側壁に沿ってうねりを生じさせる恐れがある。また、フッ素をベースにしたエッチャントの濃度は、高アスペクト比開口内を下方へ進むにつれて減少するだろう。これは、フッ素をベースにしたエッチャントが、開口の頂近くでのほうが開口の底でよりも速く激減することを意味し、これは、酸化物層および窒化物層への横方向へこみ量が、高アスペクト比開口内における深さの関数として減少するだろうことを意味する。この現象は、ONON側壁内に、望ましくない現象である先細りを生じさせる。さらに、フッ素をベースにしたエッチャントが開口の底で低濃度であることは、コンタクトの底を洗浄するためには比較的長期間にわたってプロセスが実行されなければならないことを意味する。期間が長くなると、ONON側壁が損傷される可能性がさらに高まる恐れがある。現在入手可能なドライエッチャントは、コンタクトの底の酸化物除去するために、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム(NH42SiF6の塩副生成物を生成する特定の化学剤(NH3/NF3およびH2/NF3)と、それに関連した条件とに依存することができる。しかしながら、もし、副生成物が完全に除去されないと、高アスペクト比コンタクトの内部および周囲に残された残留物がデバイス性能を損なう恐れがある。
【0030】
溶液
本開示は、高アスペクト比コンタクトを洗浄する方法を説明している。方法は、酸化物除去(breakthrough)工程と、損傷/非晶質シリコン除去工程とを含む。酸化物除去工程は、NH3プラズマなどの、フッ素をベースにした種のプラズマを使用してよく、この場合、プラズマは、バイアス電力のみを使用して生成される。酸化物除去工程が自然シリコン酸化物の除去を含む一部の実装形態では、プラズマは、純粋なH2プラズマを含んでいてよい。一部の実装形態では、プラズマは、低圧条件下にある。バイアス電力および低圧は、プラズマに指向性を与えるので、高アスペクト比コンタクトの側壁は損傷されない。損傷/非晶質シリコン除去工程は、H2プラズマまたはH2/NF3プラズマなどの、水素をベースにした種のプラズマを使用し、この場合、プラズマは、ソース電力およびバイアス電力の両方を使用して生成される。純粋なH2プラズマまたはH2/NF3プラズマは、露出した窒化物材料および酸化物材料に対して高度に選択性であり、したがって、窒化物および酸化物を露出させた側壁への損傷は、無視できる。一部の実装形態では、プラズマは、露出した酸化物材料およびポリシリコン材料に対して選択性であってよい。NF3を使用した高度に指向性の酸化物除去工程およびH2またはH2/NF3を使用した高度に選択性のシリコン除去工程のいずれも、望ましくない塩副生成物を生じさせない。
【0031】
装置
上記のコンタクト洗浄を実施するための装置は、プラズマ処理チャンバを含むことができる。プラズマ処理チャンバ内の台座の上に、半導体基板などの基板を位置決めすることができる。台座は、一部の実装形態では静電チャック(ESC)であってよい。台座またはESCの上方には、プラズマ処理チャンバ内へガスを供給するためのシャワーヘッドが位置決めされ、この場合のガスは、基板を処理するために使用することができる。ガスは、基板を処理するためのプラズマを発生させるために、1つ以上のプラズマソースに暴露させることができる。プラズマ処理チャンバは、基板へ供給されるプラズマを発生させるためのソース電力およびバイアス電力に接続することができる。
【0032】
図1は、一部の実装形態にしたがった、ソース電力およびバイアス電力に接続されたプラズマ処理チャンバを含む装置の一例を示した図である。装置100は、処理チャンバ118と、システムコントローラ122と、遠隔プラズマソース106とを含む。処理チャンバ118は、基板124を支えるための台座120と、シャワーヘッド114と、後述されるその他のコンポーネントとを含む。図1に示された例では、装置は、RF電力供給部116をさらに含む。
【0033】
遠隔プラズマソース106には、水素(H2/)および三フッ化窒素(NF3)などの処理ガスを供給することができる。その他のガスの非限定的な例として、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、四フッ化炭素(CF4)、およびアンモニア(NH3)が挙げられる。処理ガス102は、試薬の混合を1種以上収容する貯蔵タンクから供給することができる。処理ガス102は、接続線108を通って処理チャンバ118内へ流し込まれてよく、そこで、台座120上の基板124を処理するためにシャワーヘッド114を通じて分配される。処理ガス102は、処理ガス102のラジカル、イオン、およびその他の活性種を含むプラズマを発生させるために、遠隔プラズマソース106に暴露することができる。処理ガス102のラジカル、イオン、およびその他の活性種は、台座120上の基板124を処理するために、シャワーヘッド114を通じて分配することができる。
【0034】
その他のプロセスガスまたはキャリアガス112を、混合容器110に供給することもできる。混合容器110は、シャワーヘッド114への供給のために、プロセスガスまたはキャリアガス112の混合および調整を行うことができる。1つ以上の弁によって、混合容器110へのプロセスガスまたはキャリアガス112の導入を制御することができる。シャワーヘッド114は、プロセスガスまたはキャリアガス112を基板124に向けて分配する。シャワーヘッド114は、任意の形状を有してよいこと、およびプロセスガスまたはキャリアガス112を基板124に分配するために任意の適切な数および配置の口を有してよいことがわかる。特定の実施形態では、シャワーヘッド114は、2種以上のガスを異なる温度で供給するように構成される。このようなシャワーヘッドの例が、2013年7月3日に出願され発明の名称を「MULTI−PLENUM,DUAL−TEMPERATURE SHOWERHEAD(マルチプレナム式二重温度シャワーヘッド)」とする米国特許出願第13/934,597号でさらに論じられており、該出願は、参照によってその全体を本明細書に組み込まれる。
【0035】
処理チャンバ118は、様々な材料と、それらを表す濃度、圧力、温度、およびその他のプロセスパラメータとを感知するための、ならびにプロセス中における条件に関する情報をシステムコントローラ122に提供するための、センサ128に接続するまたはセンサ128を含むことができる。プロセス中に監視されえるチャンバセンサの例として、質量流量コントローラ、圧力計などの圧力センサ、および台座120内に位置付けられた熱電対が挙げられる。センサ128は、処理チャンバ118内におけるガスの存在を監視するために、赤外線検出器または光検出器も含むことができる。揮発性副生成物およびその他の余分なガスが、出口126を通じて処理チャンバ118から除去されてよく、この出口126は、真空ポンプまたは弁を含んでいてよい。
【0036】
一部の実装形態では、基板124をシャワーヘッド114のさらに遠くにまたはさらに近くに位置決めするために、台座120を上昇または下降させることができる。台座120は、シャワーヘッド114に対する回転および/または高さ調整を提供するために、回転ユニットおよび/または昇降ユニットに機械式にまたは流体式に結合することができる。一部の実装形態では、台座120は、基板124の温度を制御するために、能動的に冷却するまたは能動的に加熱することができる。一例では、台座120の温度は、ヒータによって制御することができる。別の一例では、台座120は、台座120内の流路を循環する伝熱流体によって制御することができる。
【0037】
2枚の容量結合板を使用してガスまたは混合ガスにRF電界を印加することによって、プラズマを発生させることができる。一部の実装形態では、台座120は、電極の1つとして機能することができる。ガスは、シャワーヘッド114を通じて供給されるプロセスガス112であってよい。板間におけるRF電界によるガスの電離は、プラズマを点火し、2枚の容量結合板間におけるプラズマ放電領域内に自由電子を発生させる。これらの電子は、RF電界によって加速されて、気相反応物分子と衝突するだろう。これらの電子と反応物分子との衝突は、基板処理に関与する活性種を形成するだろう。一部の実装形態では、プラズマ放電領域は、基板124の表面の真上に形成されるだろう。シャワーヘッド114は、プラズマ放電領域を形成するために、RF電力供給部116と電気的に通信して台座120に結合することができる。
【0038】
図1の例に示されるように、シャワーヘッド114および台座120は、プラズマに電力供給するために、RF電力供給部116および整合回路網と電気的に通信する。プラズマは、シャワーヘッド114と台座120との間におけるin−situプラズマであってよい。一部の実装形態では、プラズマエネルギは、チャンバ圧力、ガス濃度、RFバイアス電力、RFバイアス周波数、およびプラズマ電力パルスタイミングのうちの1つ以上を制御することによって制御することができる。例えば、RF電力供給部116および整合回路網は、活性種を所望の組成で有するプラズマを発生させるのに適した任意の電力で動作させることができる。RF電力供給部116は、任意の適切な周波数のRF電力を提供することができる。一部の実施形態では、RF電力供給部116は、高周波数RF電源および低周波数RF電源を互いに独立に制御するように構成することができる。低周波数RF周波数の被限定的な例として、50kHzから500kHzの間の周波数が挙げられる。高周波数RF周波数の被限定的な例として、1.8MHzから2.45GHzの間の周波数が挙げられる。基板124の表面における反応のためのプラズマエネルギを提供するには、任意の適切なパラメータが離散的にまたは連続的に調節されてよいことがわかる。プラズマ電力は、基板124の表面に対するイオン衝撃を増減させるように制御することができる。
【0039】
一部の実施形態では、1つ以上のプラズマモニタによって、プラズマをin−situで監視することができる。或る状況では、1つ以上の電圧・電流センサ(例えばVIプローブ)によって、プラズマ電力を監視することができる。別の状況では、1つ以上の発光分析センサ(OES)によって、プラズマ密度および/または処理ガス濃度を測定することができる。一部の実施形態では、このようなin−situプラズマモニタからの測定結果に基づいて、1つ以上のプラズマパラメータをプログラムで調整することができる。例えば、プラズマ電力のプログラム制御を提供するためのフィードバックループにおいて、OESセンサを使用することができる。なお、一部の実施形態では、プラズマおよびその他のプロセス特性を監視するために、その他のモニタが使用されてよいことがわかる。このようなモニタの非限定的な例として、赤外線(IR)モニタ、音響モニタ、および圧力変換器が挙げられる。
【0040】
一部の実施形態では、プラズマは、入出力制御(IOC)シークエンシング命令を通じて制御することができる。一例では、プラズマ活性化段階のためのプラズマ条件を設定するための命令が、プロセスレシピにおける対応するプラズマ活性化レシピ段階に含められてよい。場合によっては、プロセスレシピ段階は、或るプロセス段階のための全ての命令がそのプロセス段階と同時に実行されるように、順番に並べることができる。一部の実施形態では、1つ以上のプラズマパラメータを設定するための命令を、プラズマプロセス段階の前に来るレシピ段階に含めることができる。例えば、第1のレシピ段階は、不活性および/または反応物ガスの流量を設定するための命令と、プラズマ発生器を電力設定値に設定するための命令と、第1のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでいてよい。続く第2のレシピ段階は、プラズマ発生器を有効にするための命令と、第2のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでいてよい。第3のレシピ段階は、プラズマ発生器を無効にするための命令と、第3のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでいてよい。なお、これらのレシピ段階は、本開示の範囲内で任意の適切なやり方でさらに細分および/または反復されてよいことがわかる。
【0041】
装置100は、様々なプロセス条件を制御するためのシステムコントローラ、すなわちコントローラ122を含むことができる。コントローラ122は、通常は、1つ以上のメモリデバイスと、1つ以上のプロセッサとを含む。プロセッサとしては、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入力/出力接続、ステッピングモータ制御盤などが挙げられる。通常は、コントローラ122に、ユーザインターフェースが関係付けられている。ユーザインターフェースとしては、ディスプレイ画面、装置および/またはプロセス条件のグラフィックソフトウェア表示、ならびに位置指示装置、キーボード、タッチ画面、マイクなどのユーザ入力装置が挙げられる。
【0042】
一部の実装形態では、コントローラ122は、システムの一部であり、該システムは、上述された例の一部であってよい。このようなシステムは、処理のための、1つもしくは複数の処理ツール、1つもしくは複数のチャンバ、1つもしくは複数のプラットフォーム、および/または特定の処理コンポーネント(ウエハ台座やガスフローシステムなど)などの、半導体処理機器を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理の前、最中、および後におけるそれらの操作を制御するための電子機器と一体化させることができる。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれてよく、該コントローラは、1つまたは複数のシステムの様々なコンポーネントまたは副部品を制御することができる。コントローラ122は、処理要件および/またはシステムのタイプに応じ、ガスの供給、温度の設定(加熱および/もしくは冷却)、圧力の設定、真空の設定、電力の設定、RF発生器の設定、RF整合回路の設定、周波数の設定、流量の設定、流体供給の設定、位置および操作の設定、特定のシステムにつながれたもしくはインターフェース接続されたツールおよびその他の移送ツールおよび/もしくはロードロックにウエハを出入りさせる移送などの、本明細書で開示される任意のプロセスを制御するようにプログラムすることができる。
【0043】
概して、コントローラは、命令を受信する、命令を発行する、操作を制御する、洗浄操作を可能にする、終点測定を可能にするなどの、様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義することができる。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェア、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特殊用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、および/またはプログラム命令(例えばソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを含むことができる。プログラム命令は、様々な個別設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラ122に伝達されて、半導体ウエハに対してまたはシステムのために特定のプロセスを実行に移すための操作パラメータを定義する、命令であってよい。操作パラメータは、一部の実施形態では、1枚以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/またはウエハのダイの製造における1つ以上の処理工程を実現するためにプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0044】
コントローラ122は、一部の実装形態では、システムと一体化された、システムに結合された、それ以外の形でシステムにネットワーク接続された、またはそれらを組み合わせた、コンピュータの一部であってよい、またはそのようなコンピュータに結合されてよい。例えば、コントローラ122は、ウエハ処理の遠隔アクセスを可能にすることができる、「クラウド」、すなわちファブホストコンピュータシステムの全部または一部の中にあってよい。コンピュータは、システムへの遠隔アクセスを可能にすることによって、製造操作の現進行状況を監視する、過去の製造操作の履歴を調査する、複数の製造操作から傾向もしくは性能の基準を調査する、現処理のパラメータを変更する、現処理を追跡するための処理工程を設定する、または新しいプロセスを開始させることができる。一部の例では、遠隔コンピュータ(例えばサーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットなどのネットワークを通じてシステムにプロセスレシピを提供することができる。遠隔コンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでいてよく、これらのパラメータおよび/または設定は、次いで、遠隔コンピュータからシステムに伝達される。一部の例では、コントローラ122は、1つ以上の操作中に実施される各処理工程のためのパラメータを指定するデータの形式で命令を受信する。なお、パラメータは、実施されるプロセスのタイプに、およびコントローラ122がインターフェース接続されるようにまたは制御するように構成されたツールのタイプに特有であってよいことが理解されるべきである。したがって、上述のように、コントローラ122は、ネットワークによって結ばれて本明細書で説明されるプロセスおよび制御などの共通の目的に向かって作業する1つ以上の個別のコントローラを含むなどによって、分散させることができる。このような目的のための分散コントローラの一例として、(プラットフォームレベルにまたは遠隔コンピュータの一部として)遠隔設置されてチャンバにおけるプロセスを制御するために組み合わさる1つ以上の集積回路と通信するチャンバ上の1つ以上の集積回路が考えられる。
【0045】
代表的なシステムとしては、制限なく、プラズマエッチングチャンバもしくはプラズマエッチングモジュール、堆積チャンバもしくは堆積モジュール、スピン・リンスチャンバもしくはスピン・リンスモジュール、金属めっきチャンバもしくは金属めっきモジュール、洗浄チャンバもしくは洗浄モジュール、ベベルエッジエッチングチャンバもしくはベベルエッジエッチングモジュール、物理気相蒸着(PVD)チャンバもしくはPVDモジュール、化学気相成長(CVD)チャンバもしくはCVDモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバもしくはALDモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバもしくはALEモジュール、イオン注入チャンバもしくはイオン注入モジュール、追跡チャンバもしくは追跡モジュール、または半導体ウエハの製造および/もしくは生産に関係付けられるもしくは使用されるその他の任意の半導体処理システムが挙げられる。
【0046】
上記のように、ツールによって実施される1つまたは複数の処理工程に応じ、コントローラ122は、その他のツール回路もしくはツールモジュール、その他のツールコンポーネント、クラスタツール、その他のツールインターフェース、隣接するツール、近隣のツール、工場の随所にあるツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体生産工場におけるツールの場所および/もしくは装填ポートにウエハ入りの容器を出し入れする材料輸送に使用されるツールのうちの、1つ以上と通信することができるだろう。
【0047】
コントローラ122は、プラズマ処理チャンバ118内にプラズマを発生させるためにバイアス電力およびソース電力を制御するように構成することができる。装置100は、RF電力供給部116および整合回路網を使用してバイアス電力を印加することによって、プラズマ処理チャンバ118に活性種を提供し、基板124の表面の上にin−situプラズマを発生させることができる。装置は、また、遠隔プラズマソース106を使用して少なくともソース電力を印加することによって、プラズマ処理チャンバ118に活性種を提供し、遠隔プラズマを発生させることもできる。一部の実装形態では、コンタクト洗浄に使用されるプラズマを発生させるために、バイアス電力と併せてソース電力を印加することができる。処理ガス102は、処理ガス102のラジカルを生成するために、遠隔プラズマソース106に暴露することができる。プラズマは、さらに、イオンおよびその他の活性種を含んでいてよい。ラジカル、イオン、およびその他の活性種は、気相の形でシャワーヘッド114を通じて基板124に向けて運ばれてよい。コイル(不図示)が、遠隔プラズマソース105の壁を取り囲み、遠隔プラズマソース106内に遠隔プラズマを発生させることができる。一部の実装形態では、コイルは、RF電源またはマイクロ波電源と電気的に通信していてよい。遠隔プラズマソース106の例として、カリフォルニア州フリーモントのLam Research Corporationによって提供されるGamma(登録商標)2100、2130 I2CP(インターレース誘導結合プラズマ)、G400、GxT、およびSIERRAが挙げられる。別の例は、マサチューセッツ州ウィルミントンのMKS Instrumentsによって生産されているAstron(登録商標)に見出すことができる。
【0048】
一部の実装形態では、図1における遠隔プラズマソース106は、下流プラズマ装置の一部であってよい。図2は、一部の実装形態にしたがった下流プラズマ装置の一例を示した図である。下流プラズマ装置200は、シャワーヘッドアセンブリ206によって分けられたプラズマソース・チャンバ202と暴露チャンバ204とを有する。シャワーヘッドアセンブリ206は、シャワーヘッド208を含む。暴露チャンバ204の内部では、基板212が、プラテン、台座、台、ESC、または基板サポート214の上に載っている。一部の実装形態では、基板サポート214に面しているシャワーヘッド208の表面は、基板サポート214上の基板212の表面から約0.1〜2.0インチ(おおよそ0.254〜5.08cm)である。基板212の厚さは、通常は約1mm未満であるので、シャワーヘッド208の表面と基板212の表面との間の距離は、基板212が基板サポート214上に直接載っているときは、シャワーヘッド208の表面と基板サポート214との間の距離であると概ね見なすことができる。基板212が基板サポート214上のサポート構造(例えばリフトピンまたはガスフローブランケット)上に載っている場合は、シャワーヘッド208の表面と基板212の表面との間の距離は、シャワーヘッド208の表面とサポート構造との間の距離であると概ね見なすことができる。
【0049】
一部の実装形態では、バイアスソースを提供するために基板サポート214にRF電力を印加するように、RF電力供給部を構成することができる。RF電力供給部は、実装形態によっては低周波数電源であってよく、実装形態によっては高周波数電源であってよい。さらなる実装形態では、RF電力供給部は、低周波数電源および高周波数電源の両方を含む。
【0050】
一部の実装形態では、管218を介して真空ポンプ(不図示)を通じて暴露チャンバ204内に低圧を実現することができる。暴露チャンバ204内の圧力は、一部の実装形態では、約200ミリトール(mTorr)から約3500mTorrの圧力であってよく、さらなる実装形態では、約5mTorrから200mTorrを超える圧力であってよい。
【0051】
ガスソースは、入口220を通じて下流プラズマ装置200のプラズマソース・チャンバ202内へガスフローを提供する。プラズマソース・チャンバ202は、誘導コイル222によって一部を取り囲まれ、誘導コイル222は、電源224に接続されている。プラズマソース・チャンバ202および誘導コイル222には、様々な構成および幾何学的形状が使用されてよい。例えば、誘導コイル222は、交差パターン(interlaced pattern)でプラズマソース・チャンバ202に巻き付くことができる。別の例では、プラズマソース・チャンバ202は、円筒状の代わりにドーム状であってよい。電源224には、本明細書で前述されたシステムコントローラなどのコントローラ226を接続することができる。コントローラ226は、例えばガス組成、圧力、および基板サポート214の温度などを制御するために、下流プラズマ装置200のその他のコンポーネントに接続することもできる。コントローラ226には、機械読み取り可能な媒体が結合されてよく、該媒体は、下流プラズマ装置200における操作のためのプロセス条件を制御するための命令を含んでいてよい。
【0052】
本開示にしたがって、RFプラズマソース、DCプラズマソース、およびマイクロ波をベースにしたプラズマソースなどの、様々なタイプのプラズマソースが使用されてよい。一部の実装形態では、下流RFプラズマソースが使用される。通常、300mm基板のためのRFプラズマ電力は、約300Wから約10kWの範囲に及ぶことができる。一部の実装形態では、RFプラズマ電力は、約3500Wのように、約2000Wから約5000Wの間である。
【0053】
一部の実装形態では、プラズマソース・チャンバ202は、石英、セラミック、または窒化アルミニウム(AlN)材料などの様々な材料で作成されたドームであってよい。石英製のドーム内でポリシリコンなどの材料をエッチングすると、シリコン酸化物が形成される恐れがある。しかしながら、セラミック製のドーム内でポリシリコンをエッチングすれば、シリコン酸化物の形成を最小限に抑えることができる。ドーム表面は、ドーム材料の劣化を抑制するまたはそうでなければ阻止するために、酸化イットリウムまたはフッ化イットリウムなどの膜でコーティングすることもできる。
【0054】
操作時には、混合ガスが、プラズマソース・チャンバ202に導入され、誘導コイル222が、プラズマを発生させるために電源224によって付勢される。言い換えると、誘導コイル222は、プラズマソース・チャンバ202内に誘導結合プラズマを発生させる。プラズマソース・チャンバ202に導入される混合ガスは、電離およびラジカル化を経てプラズマを発生させる化学的に活性な種を含有している。シャワーヘッド208は、プラズマからのプラズマ種が通過して暴露チャンバ204に入るための複数の穴または通路を含む。シャワーヘッド208は、電圧を印加されると、一部の実施形態では、プラズマからのイオンの流れを終結させ、プラズマから暴露チャンバ204内へのラジカルおよびその他の中性種の流れを可能にする。シャワーヘッド208は、接地されてよい、またはウエハへの中性種の流れに影響を及ぼすことなく幾らかの活性種を惹き付けるために、例えば0〜1000ワットバイアスなどの電圧を印加されてよい。プラズマ内の電気的に活性な種の多くは、シャワーヘッド208において再結合する。本明細書で前述されたように、基板サポート214は、バイアスを印加されてよい。シャワーヘッド208は、プラズマと不活性ガスとの混合を暴露チャンバ204内へ方向付けるための穴を有する金属板であってよい。シャワーヘッドの穴の数および配置は、エッチング操作を最適にするように設定されてよい。暴露チャンバ204に進入するプラズマ種は、基板212から材料を除去することができる。
【0055】
遠隔プラズマソースのその他の例は、2011年12月27日に発行され発明の名称を「REMOTE PLASMA PROCESSING OF INTERFACE SURFACES(インターフェース表面の遠隔プラズマ処理)」とする米国特許第8,084,339号および2014年10月21日に発行され発明の名称を「PLASMA GENERATOR APPARATUS(プラズマ発生装置)」とする米国特許第8,864,935号で説明されている。これらは、いずれも、あらゆる目的のために、その全体を参照によって本明細書に組み込まれる。
【0056】
図1の装置100は、図2で説明されるような下流プラズマ装置200を含んでいてもまたは含んでいなくてもよい。一部の実装形態では、図1の装置100は、プラズマ処理チャンバ118を有する独立型の処理装置として描かれている。しかしながら、複マルチステーション処理ツールなどの共通の処理ツール環境内に、数の処理チャンバまたは処理テーションが含まれてよいことがわかる。さらに、一部の実装形態では、上で詳細に論じられたものを含む装置100の1つ以上のハードウェアパラメータが、1つ以上のコンピュータコントローラによってプログラムで調整されてよいことがわかる。
【0057】
図3は、一部の実装形態にしたがったマルチステーション処理ツールの一例を示した図である。マルチステーション処理ツール300は、入室ロードロック302と、退室ロードロック304とを含むことができ、これらのロードロックは、そのいずれか一方または両方が、遠隔プラズマソースを含んでいてよい。大気圧にあるロボット306は、ポッド308を通じて取り込まれたカセットから大気ポート310を通じて入室ロードロック302内へウエハを移動させるように構成される。ロボット306によって入室ロードロック302内の台座312の上にウエハが載せられると、大気ポート310は閉じられ、ロードロックはポンプ排気される。入室ロードロック302が遠隔プラズマソースを含む場合は、ウエハは、処理チャンバ314に導入される前に、ロードロック内で遠隔プラズマ処理を受けることができる。さらに、ウエハは、例えば水分および吸着ガスを除去するために、入室ロードロック302内で加熱もされてよい。次に、処理チャンバ314へのチャンバ搬送ポート316が開かれ、別のロボット(不図示)が、処理のために、リアクタ内に示された第1のステーションの台座の上にウエハを載せる。図3に描かれた実施形態は、ロードロックを含むが、実施形態によっては、ウエハがプロセスステーションに直接入れられてもよいことがわかる。
【0058】
図に示された処理チャンバ314は、図3に示された実施形態では1から4の数字を振られている4つのプロセスステーションを含む。各ステーションは、加熱された台座(ステーション1の場合は318で示されている)と、ガスライン入口とを有する。一部の実施形態では、各プロセスステーションが、異なるすなわち複数の目的を有してよいことがわかる。図に示された処理チャンバ314は、4つのステーションを含むが、本開示にしたがった処理チャンバは、任意の数のステーションを有してよいことが理解される。例えば、処理チャンバは、実施形態によっては5つ以上のステーションを有してよく、実施形態によっては3つ以下のステーションを有してよい。
【0059】
図3は、また、処理チャンバ314内でウエハを移送するためのウエハ取り扱いシステム390の一実施形態も示している。一部の実施形態では、ウエハ取り扱いシステム390は、様々なプロセスステーションの間で、および/またはプロセスステーションとロードロックとの間でウエハを移送することができる。任意の適切なウエハ取り扱いシステムが用いられてよいことがわかる。非限定的な例として、ウエハ回転棚およびウエハ取り扱いロボットが挙げられる。図3は、また、プロセスツール300のプロセス条件およびハードウェア状態を制御するために利用されるシステムコントローラ350の一実装形態も示している。システムコントローラ350は、1つ以上のメモリデバイス356と、1つ以上の大容量ストレージデバイス354と、1つ以上のプロセッサ352とを含んでいてよい。プロセッサ352は、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入力/出力接続、ステッピングモータ制御盤などを含んでいてよい。
【0060】
一部の実装形態では、システムコントローラ350は、プロセスツール300の全ての活動を制御する。システムコントローラ350は、大容量ストレージデバイス354に記憶され、メモリデバイス356に取り込まれ、プロセッサ352上で実行されるシステム制御ソフトウェア358を実行する。或いは、制御ロジックは、コントローラ250のなかにハードコード化することができる。これらの目的のためには、特殊用途向け集積回路やプログラマブルロジックデバイス(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ、すなわちFPGA)などが使用されてよい。以下の議論では、「ソフトウェア」または「コード」が使用されるところはどこも、機能的に匹敵するハードコード化されたロジックで置き換え可能である。システム制御ソフトウェア358は、プロセスツール300によって実施される特定のプロセスの、タイミング、ガスの混合、亜飽和ガスの流量、チャンバおよび/またはステーションの圧力、チャンバおよび/またはステーションの温度、ウエハの温度、目標電力レベル、RF電力レベル、基板台座、チャック、および/またはサセプタの位置、ならびにその他のパラメータを制御するための命令を含んでいてよい。システム制御ソフトウェア358は、任意の適切なやり方で構成することができる。例えば、様々なプロセスツールプロセスを実行に移すために必要とされるプロセスツールコンポーネントの動作を制御するために、様々なプロセスツールコンポーネントサブルーチンまたは制御オブジェクトを記述することができる。システム制御ソフトウェア358は、任意の適切なコンピュータ読み取り可能プログラミング言語でコード化することができる。
【0061】
一部の実装形態では、システム制御ソフトウェア358は、上述された様々なパラメータを制御するための入力/出力制御(IOC)シークエンシング命令を含んでいてよい。一部の実装形態では、システムコントローラ350に関係付けられた大容量ストレージデバイス354および/またはメモリデバイス356に格納されたその他のコンピュータソフトウェアおよび/またはコンピュータプログラムが用いられてよい。この目的のためのプログラムまたはプログラムセクションの例として、基板位置決めプログラム、プロセスガス制御プログラム、圧力制御プログラム、ヒータ制御プログラム、およびプラズマ制御プログラムが挙げられる。
【0062】
デバイス構造
図4Aは、複数の垂直構造によって定められた複数の高アスペクト比開口を有するデバイス構造の一例の断面図を示している。デバイス構造400は、シリコン基板などの基板410を含むことができる。デバイス構造400は、複数の高アスペクト比特徴を含むことができる。アスペクト比は、横寸法に対する垂直寸法として定義することができる。高アスペクト比特徴は、約10:1以上または約40:1以上の高さ対直径アスペクト比を有する特徴を含むことができる。図4Aの例に示されるように、基板410上には複数の垂直構造450を配することができる。各垂直構造450は、酸化物層430と窒化物層またはポリシリコン層440とを交互に含むことができる。したがって、複数の酸化物層430が、複数の窒化物層440の間に交互に配されてよく、酸化物層430はシリコン酸化物を、窒化物層440はシリコン窒化物を含むことができる。或いは、複数の酸化物層430が、複数のポリシリコン層440の間に交互に配されてよい。一部の実装形態では、酸化物層430および窒化物層またはポリシリコン層440の厚さは、約10nmから約100nmの間であってよい。垂直構造450は、垂直構造450間に複数の高アスペクト比開口420を定めることができ、このとき、開口420は、穴または溝(例えばスリット)の形状をとることができる。高アスペクト比開口は、デバイス構造440における電気コンタクトを提供することができる。電気コンタクトの高アスペクト比特性は、10:1にまでおよび、40:1を超えることもあり、コンタクトの底の洗浄において問題を生じる恐れがある。一部の実装形態では、デバイス構造400は、3D V−NANDメモリデバイスなどのメモリデバイスの一部であってよい。
【0063】
図4Aに示されるようなデバイス構造400は、基板410の上に酸化物層430と窒化物層またはポリシリコン層440とを交互に堆積させることによって形成することができる。交互する酸化物層430および窒化物層またはポリシリコン層440内に、エッチングによって、高アスペクト比開口420を形成することができる。エッチング工程は、高い電離エネルギと、酸素を含む化学物質とを利用したプラズマエッチングであってよい。プラズマエッチングは、基板410に到達したら終結されてよい。しかしながら、プラズマエッチングは、高アスペクト比開口420の底でシリコン基板410の表面の上にシリコン酸化物層および損傷/非晶質シリコンを生じさせる恐れがある。高アスペクト比開口420は、プラズマエッチングによって形成された時点で、酸化物層430と窒化物層またはポリシリコン層440とを交互に有する垂直構造450によってそれぞれ取り囲まれていると考えられる。一部の実装形態では、交互する酸化物層430および窒化物層またはポリシリコン層440は、3D V−NANDメモリデバイスなどのメモリデバイスのためのONONスタックまたはOPOPスタックを形成することができる。
【0064】
図4Bは、図4Aの断面図を拡大した図であり、高アスペクト比開の1つのなかで損傷/非晶質シリコン層の上に酸化物層が重なった様子を示している。垂直構造450間に高アスペクト比開口420が形成されるとき、損傷/非晶質シリコン層470の上に、酸化物層460が形成されるだろう。一部の実装形態では、酸化物層460は、シリコン酸化物を含むことができる。酸化物層460は、高アスペクト比開口の底でシリコン基板410と境界を接する損傷/非晶質シリコン層470の上に形成されるだろう。酸化物層460および損傷/非晶質シリコン層470は、除去されないと、デバイス構造400の接触抵抗を増加させる可能性があり、これは、メモリデバイスの性能に悪影響を及ぼす恐れがある。高アスペクト比開口420の底には、その他の汚染物質(不図示)も存在する恐れがある。
【0065】
酸化物および損傷/非晶質シリコンの除去
本明細書で開示されるのは、メモリデバイス、より具体的には3D V−NANDメモリデバイスに使用されるような、高アスペクト比構造に関係付けられたコンタクトを洗浄するためのプロセスである。高アスペクト比構造は、10:1以上、または40:1以上の高さ対横寸法アスペクト比を有する構造を含むことができる。メモリデバイスにおいて、穴または溝などの高アスペクト比開口は、図4Aおよび図4Bに示されるように、交互するONON(酸化物/窒化物)層または交互するOPOP(酸化物/ポリシリコン)層によって取り囲むことができる。コンタクトの底は、望ましくないシリコン酸化物、損傷/非晶質シリコン、およびその他の汚染物質(例えば炭素)の層を含むことがある。
【0066】
本開示は、周囲のONON層またはOPOP層の損傷を最小限に抑えつつ汚染物質を除去する方法を含む。このような汚染物質を洗浄する方法は、第1工程がシリコン酸化物の除去を含み、第2工程が損傷/非晶質シリコンの除去を含む、2工程のアプローチを伴うことができる。一部の実装形態では、第2工程は、さらに、基板付近における汚染物質の除去を確実にするために、基板をへこませる可能性がある。第1工程におけるシリコン酸化物の除去の場合、化学物質は、フッ素をベースにしたガスの活性種を含むことができ、操作条件は、バイアス電力の印加を含むことができる。一部の実装形態において、もし、酸化物の除去が自然シリコン酸化物の除去を含む場合は、化学物質は、水素をベースにしたガスの活性種を含むことができる。一部の実装形態では、操作条件は、約10mTorr以下のチャンバ圧力を含むことができる。一部の実装形態では、フッ素をベースにしたガスは、NF3であり、操作条件は、NF3プラズマを発生させるためにバイアス電力のみを印加することを含み、これは、ソース電力が印加されないことを意味する。したがって、第1工程は、指向性が高い酸化物除去工程であることができる。
【0067】
第2工程における損傷/非晶質シリコンの除去の場合、化学物質は、水素をベースにしたガスの活性種を含むことができ、操作条件は、バイアス電力およびソース電力の両方の印加を含むことができる。一部の実装形態では、化学物質は、H2、またはH2とNF3との混合を含む。各工程は、周囲のONON層またはOPOP層の損傷を最小限に抑えつつ汚染物質を除去するためのプラズマを発生させるために、異なる化学物質および異なる操作条件を適用する。したがって、第2工程は、周囲の酸化物層および窒化物層またはポリシリコン層に対して選択性であるシリコン除去工程であることができる。
【0068】
図5は、複数の高アスペクト比開口を有する基板を洗浄する方法の代表的なフローチャートを示している。プロセス500は、複数の高アスペクト比開口を有する基板がプラズマ処理チャンバ内に提供されるブロック505から開始することができる。例えば、図1で説明されたようなプラズマ処理チャンバ内の台座の上に、基板を提供することができる。各開口は、特定の高さすなわち深さと、特定の直径すなわち幅とを有することができる。開口は、約40:1を超えるなどの、約10:1を超える高さ対横寸法アスペクト比を有することができる。基板は、半導体ウエハ、部分的に集積された回路、プリント回路基板、またはその他の適切な被加工物のうちの任意を含むことができる。一部の実装形態では、半導体ウエハは、メモリデバイスの一部であってよい。プラズマ処理チャンバは、基板を支えるための基板サポートと、プラズマ処理チャンバ内の基板サポートの上方にガスを供給するためのシャワーヘッドとを含むことができる。プラズマ処理チャンバは、ソース電力およびバイアス電力の一方または両方を使用してプラズマを発生させる装備を有することができる。一部の実装形態では、ソース電力は、図2に示された遠隔下流プラズマ装置などの遠隔下流プラズマ装置内に、誘導結合プラズマを発生させることができる。一部の実装形態では、バイアス電力は、図1に例示することができるシャワーヘッドと台座との間に誘導結合プラズマを発生させることができる。
【0069】
基板は、複数の垂直構造を上に形成されたシリコン基板であってよく、これら複数の垂直構造は、各高アスペクト比開口を定めている。言い換えると、各開口は、垂直構造によって取り囲むことができる。各垂直構造は、酸化物層と窒化物層、または酸化物層とポリシリコン層とを交互に含むことができる。例えば、垂直構造は、シリコン酸化物層とシリコン窒化物層とを交互に含むことができる。一部の実装形態では、高アスペクト比開口の側壁は、酸化物層と窒化物層とを交互に含むことができ、高アスペクト比開口の底面は、シリコン表面の上に汚染物質の副層を含むことがある。汚染物質の副層は、シリコン酸化物および損傷/非晶質シリコンを含むだろう。
【0070】
プロセス500は、フッ素をベースにした種を含む第1のエッチャントが基板に向けて流されるブロック510に続く。一部の実装形態では、第1のエッチャントは、NF3のみで構成される。或いは、酸化物の除去が自然シリコン酸化物の除去を含む場合は、第1のエッチャントは、水素をベースにした種を含み、基板に向けて流される。このような状況では、第1のエッチャントは、H2のみで構成することができる。
【0071】
プロセスは、ブロック515に続き、該ブロックでは、フッ素をベースにした種のプラズマを発生させて高アスペクト比開口内のシリコン酸化物を除去するために、プラズマ処理チャンバに第1のバイアス電力が印加される。除去されているシリコン酸化物が自然シリコン酸化物である実装形態では、第1のバイアス電力は、水素をベースにした種のプラズマを発生させるように印加することができる。一部の実装形態では、第1のバイアス電力は、プラズマ処理チャンバ内の基板サポートに印加される。第1のバイアス電力は、シャワーヘッドを通じてフッ素をベースにした種または水素をベースにした種を気相状態でプラズマ処理チャンバに向けて流すのと同時に印加することができる。RF電力供給部および整合回路網が、プラズマ処理チャンバと電気的に通信していてよい。一部の実装形態では、RF電力供給部および整合回路網は、シャワーヘッドおよび基板サポートと電気的に通信していてよい。RF電力供給部および整合回路網は、任意の適切なRF周波数でRF電力を提供することができる。したがって、シャワーヘッドと基板サポートとの間には、フッ素をベースにした種または水素をベースにした種のin−situプラズマを発生させることができ、このとき、基板サポートは、電極として通電することができる。バイアス電力は、発生したin−situプラズマに対してイオン衝撃を増加または減少させるように制御することができる。一部の実装形態では、第1のバイアス電力は、約100Wから約2000Wの間、または約100Wから約500Wの間であってよい。
【0072】
第1のバイアス電力は、シリコン酸化物をエッチングするために、フッ素をベースにした種のイオンを生成することができる。第1のバイアス電力は、プラズマに指向性を与えるので、異方性エッチングを実現することができる。第1のバイアス電力の印加は、イオン散乱の影響を抑え、フッ素をベースにした種のイオンを高アスペクト比開口の底に向かわせる。第1のエッチャントを基板に向けて流している間は、ソース電力を伴わずに第1のバイアス電力を印加することができる。例えば、イオンの散乱を最小限に抑えるために、遠隔下流プラズマ装置にソース電力は印加されない。第1のエッチャントは、垂直構造の側壁へのへこみを回避するまたはそうでなければ最小限に抑えるために、高度に指向性のやり方で基板に向かわせることができる。
【0073】
第1のバイアス電力は、NF3の解離を引き起こしてフッ素イオンを形成するように、プラズマを発生させることができる。NF3プラズマは、比較的高いエッチング速度でシリコン酸化物をエッチングすることができる。また、NF3プラズマは、塩形成および重合化学物質を回避することができる。NF3プラズマは、第1のバイアス電力によって高度に指向性であることができるので、NF3プラズマは、酸化物を含有する垂直構造の側壁への攻撃を回避するまたはそうでなければ最小限に抑えることができる。或いは、第1のバイアス電力は、H2の解離を引き起こして水素ラジカルを形成するように、プラズマを発生させることができ、このとき、H2プラズマは、自然シリコン酸化物をエッチングすることができる。
【0074】
一部の実装形態では、プラズマ処理チャンバ内の圧力は、第1のエッチャントを基板に向けて流しているおよび第1のバイアス電力をプラズマ処理チャンバに印加している間は約10mTorr未満であってよい。一部の実装形態では、圧力は、約5mTorr未満、または約1mTorrから約5mTorrの間であってよい。シリコン酸化物除去中におけるプラズマ処理チャンバ内部の圧力を下げることによって、イオン散乱による影響を抑えるとともに、NF3プラズマの指向性を高めることができる。したがって、低圧環境と併せてプラズマ処理チャンバにバイアス電力のみを印加することによって、NF3プラズマの反応物にさらなる指向性が与えられ、垂直構造の側壁に向かう横方向の散乱を最小限に抑えた状態で高アスペクト比開口の底にNF3プラズマが到達する可能性が高まる。その結果、垂直構造の損傷を最小限に抑えた状態で高アスペクト比開口の底でシリコン酸化物を取り除くことができる。
【0075】
プロセス500は、ブロック520に続き、該ブロックでは、水素をベースにした種を含む第2のエッチャントが基板に向けて流される。一部の実装形態では、第2のエッチャントは、H2のみで構成される。その他の実装形態では、第2のエッチャントは、H2およびNF3を含む。
【0076】
プロセスは、ブロック525に続き、該ブロックでは、水素をベースにした種のプラズマを発生させて高アスペクト比開口内のシリコンを除去するために、ソース電力および第2のバイアス電力がプラズマ処理チャンバに印加される。一部の実装形態では、ソース電力は遠隔プラズマソースに、第2のバイアス電力は基板サポートに印加することができる。ソース電力および第2のバイアス電力は、シャワーヘッドを通じて水素をベースにした種を気相状態でプラズマ処理チャンバに向けて流すのと同時に印加することができる。高アスペクト比開口内のシリコン酸化物を除去するために第1のエッチャントを流した後、プラズマ処理チャンバの条件は、高アスペクト比開口内のシリコンを除去する第2工程を実施するために変更することができる。電源は、遠隔下流プラズマ装置などの遠隔プラズマソース内にプラズマを発生させるために、誘導コイルを付勢することができる。したがって、遠隔プラズマソース内に、水素をベースにした種の遠隔プラズマを発生させることができ、該遠隔プラズマは、水素をベースにした種のラジカルを含むことができる。さらに、ソース電力に追加して、第2のバイアス電力をプラズマ処理チャンバに印加することができる。第2のバイアス電力は、第1のバイアス電力と異なっていてよい。第2のバイアス電力は、水素をベースにした種の反応物に指向性を与えてイオン衝撃を増加させることができる。一部の実装形態では、ソース電力と第2のバイアス電力との比は、第2のバイアス電力からのイオン衝撃の力と、ソース電力からのラジカル化学エッチングの力とのバランスをとるように制御することができる。一部の実装形態では、ソース電力は、約100Wから約2000Wの間、または約500Wから約1500Wの間であってよく、第2のバイアス電力は、約50Wから約1000Wの間、または約200Wから約800Wの間であってよい。ソース電力と第2のバイアス電力との比について、該比は、4:1におおよそ等しいもしくは約4:1以上、2:1におおよそ等しいもしくは約2:1以上、または1:1におおよそ等しいもしくは約1:1以上であってよい。該比は、イオン衝撃と、ラジカルによって駆動されるシリコンの化学エッチングとのバランスを制御することができるゆえに、エッチングプロファイルの指向性を制御するための重要なパラメータであると考えられる。
【0077】
除去されるシリコンは、損傷/非晶質シリコンを含んでいるだろう。一部の実装形態では、シリコン基板付近における周辺汚染物質のさらに完全な除去を確実にするために、高アスペクト比開口の底から、シリコン基板からも幾らかのシリコンが除去される。第2のエッチャントの化学物質は、酸化物および窒化物/ポリシリコンに対するその選択性に基づいて、酸化物および窒化物/ポリシリコンへのへこみを回避しつつまたは最小限に抑えつつ、シリコンを除去することができる。
【0078】
ソース電力は、プラズマ処理チャンバ内の遠隔プラズマソースに印加されてよく、第2のエッチャントを流すことは、水素をベースにした種を遠隔プラズマソースに暴露して、水素をベースにした種のラジカルを生成することを含むことができる。ラジカルは、高アスペクト比開口の底のシリコンをエッチングするために使用することができる。第2のバイアス電力は、水素をベースにした種のイオンを生成して高アスペクト比開口の底のシリコンをさらにエッチングするために、プラズマ処理チャンバに印加することができる。ソース電力は、ラジカルによって駆動される、あまり指向性ではないエッチングを提供することができるので、ソース電力と併せてバイアス電力を印加することによって、高アスペクト比開口の底のシリコンを除去するときにさらに指向性のエッチングプロファイルを提供することができる。したがって、ブロック525における第2のエッチャントは、指向性のエッチングプロファイルによって基板をへこませる可能性があり、このへこみ量は、綿密な調整および制御が可能である。
【0079】
一部の実装形態では、第2のエッチャントは、H2のみで構成される。H2などの、水素をベースにした種の使用は、酸化およびその他の露出材料の損失を最小限に抑えられる還元剤として機能しつつ、シリコンを効果的にエッチングすることができる。本開示では、H2プラズマは、実質的に酸化剤(例えば酸素)フリーの環境内でシリコンと反応することができる。H2プラズマを使用してシリコンをエッチングする速度は、比較的優れており、露出した窒化物層および酸化物層に対する選択性は、極めて高くなると考えられる。例えば、バイアス電力による補助のもとでH2プラズマを使用してシリコンをエッチングする速度は、約150Å/分を超える、または約500Å/分を超えると考えられ、露出した窒化物層および/または酸化物層をエッチングする速度は、約5Å/分未満または約1Å/分未満のように、無視できる程度であろう。ソース電力を印加することによって、シリコンと反応させるための、水素ラジカルを含むリモートプラズマを発生させることができる。バイアス電力の印加は、イオンアシスト化学エッチングも提供することができ、これは、コンタクトの底におけるエッチングに指向性を持たせることができる。水素をベースにしたラジカルの存在は、何らかの異方性エッチングを生じさせるが、純粋なH2プラズマは、垂直構造内の露出した酸化物層および窒化物層に対して高度に選択性である。したがって、ONON側壁の損傷が回避される。また、塩副生成物は、均一性の問題および基板間の再現性の問題を引き起こす恐れがあるが、純粋なH2プラズマは、反応して塩副生成物を生成することはない。酸化物および/またはシリコン除去のための、これまでのプラズマベースのアプローチにおける従来の操作条件および化学物質は、デバイス性能を損なう副生成物を生じさせる傾向がある。
【0080】
その他の実装形態では、第2のエッチャントは、H2およびNF3を含む。H2の濃度は、NF3の濃度より大きくてよい。NF3をなどの、フッ素をベースにした種の添加は、シリコンに対するエッチング挙動を変化させることができる。NF3の添加は、シリコンをエッチングする速度を上昇させることができる。これは、処理時の効率およびスループットを向上させるのに有利であることができる。しかしながら、NF3は、露出した酸化物層および窒化物/ポリシリコン層に対してそれほど選択性ではないと考えられる。さらに、NF3の添加は、H2のみで構成されるエッチャントを使用したときほど滑らかなまたは指向性のエッチングプロファイルを提供することはできないだろう。一部の実装形態では、H2/NF3プラズマにおける、フッ素をベースにした種の濃度は、単位体積あたり約0.1%から約10%の間、または単位体積あたり約0.5%から約5%の間であってよい。これに対し、水素をベースにした種の濃度は、単位体積あたり約90%を超える、または単位体積あたり約95%を超える濃度であってよい。その他の実装形態では、遠隔プラズマが純粋なH2プラズマであるように、フッ素をベースにした種の濃度がゼロであってよい。純粋なH2プラズマの、対酸化物のシリコン選択性は、約1000:1または約10000:1を超えると考えられ、純粋なH2プラズマの、対窒化物のシリコン選択性は、約500:1または約1000:1を超えるだろう。したがって、純粋なH2プラズマは、H2/NF3プラズマよりも指向性で且つ滑らかなエッチングプロファイルを提供すると考えられる。
【0081】
プラズマ処理チャンバの条件は、基板の垂直構造内における周囲の酸化物層および窒化物層の損失を最小限に抑えつつ高アスペクト比開口の底におけるシリコンの除去を最適化するように構成することができる。一部の実装形態では、プラズマ処理チャンバ内の圧力は、約10mTorrから約3500mTorrの間、または約200mTorrから約1500mTorrの間であってよい。一部の実装形態では、基板の温度が、シリコン除去のためのエッチング速度およびエッチングプロファイルに影響を及ぼすだろう。一部の実装形態では、温度は、約5℃から約200℃の間、または約20℃から約100℃の間であってよい。
【0082】
シリコン酸化物の除去のためのおよびシリコンの除去のための操作条件の一例が、表1に示されている。シリコン酸化物の除去の場合、化学物質は、NF3プラズマを含むことができる。或いは、もし、除去が自然シリコン酸化物の除去を含む場合、化学物質は、H2プラズマを含むことができる。シリコン除去の場合、化学物質は、純粋なH2プラズマまたはH2/NF3プラズマのいずれかを含むことができる。プラズマは、シリコン酸化物を除去するおよびシリコンを除去するプロセス500が順次実施可能であるように、順次発生させることができる。NF3プラズマ工程は、高い指向性で実施することができ、H2プラズマ工程は、高い選択性で実施することができる。各プラズマ化学物質は、望ましくない塩副生成物を形成する反応を起こさない。一部の実装形態では、シリコン酸化物を除去する工程およびシリコンを除去する工程は、図1または図2に一例を示されたプラズマ処理チャンバを含む1台の独立型の処理装置内で実施することができる。一部の実装形態では、シリコン酸化物を除去する工程およびシリコンを除去する工程は、図3に一例を示されたマルチステーション処理装置内の別々のステーション内で実施することができる。
【表1】
【0083】
一部の実装形態では、シリコン酸化物除去工程およびシリコン除去工程の一方または両方と併せて不活性キャリアガスを使用することができる。不活性キャリアガスは、気相状態のラジカルの再結合の可能性を抑えられると考えられている。不活性キャリアガスの例として、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、およびアルゴン(Ar)などの希ガスが挙げられる。
【0084】
高アスペクト比コンタクトは、上述のようなプロセス500を使用して、高アスペクト比開口の底のシリコン酸化物およびシリコンをエッチングすることによって洗浄することができる。プロセス500は、一般に、コンタクト洗浄プロセスと呼ぶことができる。実際は、プロセス500は、特に高アスペクト比特徴を有するデバイスにおいて、シリコン酸化物およびシリコンを除去するための任意の洗浄プロセスに使用することができる。一部の実装形態では、複数の高アスペクト比開口は、垂直NAND構造の一部である。一部の実装形態では、高アスペクト比開口は、金属、またはその他の電気伝導性材料で満たすことができる。金属は、シリコン基板上の垂直構造間に、金属がシリコン基板に接触する電気コンタクトを形成することができる。上述のようなコンタクト洗浄プロセスの使用によって、電気コンタクトは、電気絶縁性の汚染物質を除去され、側壁への横方向のへこみを最小限に抑えられ、残留する塩副生成物の形成を最小限に抑えられ、そうして、デバイスにおける電気的性質を向上される。
【0085】
高アスペクト比開口における洗浄のためにシリコン酸化物およびシリコンを除去するプロセス500は、図1〜3を参照にして実施することができる。一部の実装形態では、図1〜3における任意のコントローラを、プロセス500における操作を実施するための命令によって構成することができる。コントローラは、プロセス500における操作を実施するための、プラズマ処理チャンバにおける操作条件のための命令を提供することができる。例えば、複数の高アスペクト比開口を有する基板を洗浄するための装置は、プラズマ処理チャンバを含むことができ、該プラズマ処理チャンバは、遠隔プラズマソースと、基板を支えるための基板サポートとを含む。基板は、複数の高アスペクト比開口を有することができ、各開口は、約10:1を超えるまたは約40:1を超える高さ対横寸法アスペクト比を有する。基板は、高アスペクト比開口の底で基板の表面の上を、シリコン層とその上のシリコン酸化物層とで汚染されていると考えられる。装置は、さらに、(a)フッ素をベースにした種を含む第1のエッチャントを基板に向けて流す操作、(b)フッ素をベースにした種のプラズマを発生させてシリコン酸化物層を除去するために、プラズマ処理チャンバ内の基板サポートに第1のバイアス電力を印加する操作、(c)水素をベースにした種を含む第2のエッチャントを基板に向けて流す操作、ならびに(d)水素をベースにした種のプラズマを発生させてシリコン層を除去するために、遠隔プラズマソースにソース電力をおよびプラズマ処理チャンバ内の基板サポートに第2のバイアス電力を印加する操作を実施するための命令を提供するように構成されたコントローラを含むことができる。一部の実装形態では、第1のエッチャントは、NF3のみを含む。或いは、シリコン酸化物の除去が自然シリコン酸化物の除去を含む場合、第1のエッチャントは、H2などの、水素をベースにした種を含むことができる。一部の実装形態では、第2のエッチャントは、H2のみを含んでいてよい。一部の実装形態では、第2のエッチャントは、H2およびNF3のみを含んでいてよく、このとき、H2の濃度は、NF3の濃度よりも大きい。一部の実装形態では、基板は、各高アスペクト比開口を定めている複数の垂直構造を含み、各垂直構造は、酸化物層と窒化物層とを交互に含む、または酸化物層とポリシリコン層とを交互に含む。
【0086】
データ
シリコンを除去するとき、シリコン除去のためのエッチング速度は、1つ以上の操作パラメータに依存するだろう。図6A〜6Cは、ソース電力のみを印加された状態で純粋なH2プラズマによってポリシリコンをエッチングする速度を、温度、圧力、およびソース電力の関数として示したグラフである。図6Aは、純粋なH2プラズマによるポリシリコンエッチング速度と温度との関係を示している。約40℃未満の温度では、ポリシリコンのエッチング速度は、温度の上昇とともに増加する。約40℃を超える温度では、ポリシリコンのエッチング速度は、温度の上昇とともに減少する。このように、ポリシリコンの最大エッチング速度は、Tmax≒40℃のような最大温度(Tmax)を示すことができる。Tmax未満では、温度の上昇は、揮発性シラン(SiH4)形成のための熱活性を増加させ、それによって、ポリシリコンエッチング速度を増加させる。Tmaxよりも上では、ポリシリコン表面上で水素原子の再結合が生じことがあり、これは、揮発性SiH4の形成に必要とされる化学吸着水素原子を消費する。
【0087】
図6Bは、純粋なH2プラズマによるポリシリコンエッチング速度を圧力の関数として示している。ポリシリコンのエッチング速度は、圧力の増加とともに着実に減少する。しかしながら、圧力が600mTorr未満に下がるときに、圧力の関数としてのエッチング速度の最大値が観測されることがありえる。約500mTorrよりも大きく約3500mTorrよりも小さい圧力では、ポリシリコンのエッチング速度は減少する。圧力が増加すると、ポリシリコン表面上における水素原子の物理吸着が増すと予測される。物理吸着水素原子および化学吸着水素原子の表面再結合速度は、上昇してH2ガスを形成し、その結果、SiHx前駆体の枯渇を招く可能性がある。また、水素原子の表面(壁)再結合および体積再結合の速度も圧力とともに上昇し、これは、ポリシリコン表面との反応に使用可能である水素ラジカルの濃度の低下を招く恐れがある。
【0088】
図6Cは、純粋なH2プラズマによるポリシリコンエッチング速度をソース電力の関数として示している。純粋なH2プラズマの場合、ポリシリコンのエッチング速度は、RF電力の増加とともに上昇する。1枚の300mmウエハに対し、ポリシリコンのエッチング速度は、特定の電力においてほぼ一定になり、これは、Lam Research CorporationのGamma GxTツールの場合は約3000Wである。この最大電力を超えると、水素原子の再結合は、実質的に十分になり、したがって、ポリシリコンのエッチング速度は、目に見える変化を示さなくなる。
【0089】
図7A〜7Bは、ソース電力のみを使用して純粋なH2/NF3プラズマによってポリシリコンをエッチングする速度を温度および圧力の関数として示したグラフである。H2とNF3との混合ガスによるプラズマの場合、ポリシリコンエッチング速度は、温度に対して強い依存性を見せる。図7Aは、ポリシリコンエッチング速度を温度の関数として示している。NF3濃度が約5%である混合ガスの場合、ポリシリコンのエッチング速度は、約60℃から約80℃の間のTmaxにおける最大値まで上昇する。温度が約Tmaxを超えると、ポリシリコンのエッチング速度は減少する。NF3濃度が約0.7%である混合ガスの場合、温度が約30℃を超えると、ポリシリコンのエッチング速度は減少する。この場合、Tmaxは、約30℃未満の温度で生じると考えられる。また、約40℃を超える温度の場合、ポリシリコンのエッチング速度は、NF3が0.7%である場合よりもNF3が5%である場合のほうが高くなる。したがって、フッ素化ガス種の濃度の増加は、ポリシリコンのエッチング速度の上昇をもたらすことができる。
【0090】
2とNF3との混合ガスによるプラズマの場合、ポリシリコンエッチング速度は、圧力に対しても強い依存性を見せる。図7Bは、ポリシリコンエッチング速度を圧力の関数として示している。NF3が約5%である混合ガスに対して温度が約100℃に固定されたとき、ポリシリコンのエッチング速度は、約0.6Torrから約1.5Torrの間の圧力では圧力とともに上昇する。しかしながら、ポリシリコンのエッチング速度は、約1.5Torrを超えた圧力では圧力とともに減少する。NF3が約5%である混合ガスに対して温度が約60℃に固定されたとき、ポリシリコンのエッチング速度は、約0.6Torrから約0.8Torrの間の圧力ではやはり圧力とともに上昇する。約2Torrの高圧では、エッチング速度は、大幅に低下することがわかる。したがって、ポリシリコンの最大エッチング速度は、60℃でも100℃でもともに、NF3が約5%である場合に約1.0Torrから約1.5Torrの間の圧力Pmaxにおいて実現することができる。
【0091】
図8は、シリコン酸化物層とシリコン窒化物層とを交互に有する垂直構造のTEM画像を示している。TEM画像は、ONONスタックの上部に相当することができる。HFウェットエッチングの使用は、ONONスタックに対してうねり構造を形成するかもしれず、従来の低指向性のプラズマエッチング(例えばNF3プラズマエッチング)の使用は、ONONスタックに対して先細構造を形成するかもしれない。しかしながら、バイアス電力のみでのNF3プラズマエッチングと、それに続く、ソース電力およびバイアス電力の両方でのH2プラズマエッチングとを伴う上述された2工程のアプローチを使用すれば、ONONスタックの損傷を最小限に抑えられるだろう。ONONスタックは、洗浄前も洗浄後も大きく影響されないままであり、側壁の損傷が最小限ですむまたは側壁の損傷が見られない。
【0092】
図8のTEM画像などのTEM画像を使用すれば、上述のようなコンタクト洗浄プロセスを使用した結果としての酸化物層および窒化物層の横方向の損失を計算することが可能である。TEM画像は、コンタクト洗浄プロセスの前およびコンタクト洗浄プロセスの後に撮ることができる。ONONスタックにおける酸化物および窒化物の横方向の損失は、ONONスタック上部の4組を使用し、それらをONONスタック底部の4組と比較することによって特性評価することができる。表2は、上部層および底部層における酸化物層の横方向の損失の特性評価を示しており、表3は、上部層および底部層における窒化物層の横方向の損失の特性評価を示している。
【表2】
【表3】
【0093】
計算された平均酸化物損失は、上部4枚の酸化物層の場合は1.9nmであるのに対し、底部4枚の酸化物層の場合は1.5nmである。高アスペクト比構造の上部層と底部層との間における酸化物損失の差0.4nmは、酸化物層の元の幅のおおよそ1%未満である。酸化物層の元の幅は、100nm程度であってよい。
【0094】
同様に、計算された平均窒化物損失は、上部4枚の窒化物層の場合は0.8nmであるのに対し、底部4枚の窒化物層の場合は2.6nmである。高アスペクト比構造の上部層と底部層との間における窒化物物損失の差1.8nmは、窒化物層の元の幅の2%未満である。窒化物層の元の幅は、100nm程度であってよい。
【0095】
表2および表3で収集および計算されたデータは、窒化物および酸化物の損失が最小であることを示している。さらに、データは、高アスペクト比構造の上部と底部との間で材料損失にほとんど差が無いことも明らかにしており、これは、コンタクト洗浄プロセスの結果としてほとんどまたは全くうねりが生じなかったことを示唆している。したがって、高アスペクト比構造内のうねりを補正するための追加の処理が不要ですむだろう。
【0096】
図9Aは、非晶質シリコン層の上に酸化物層がある高アスペクト比開口のTEM画像を示している。図9Bは、酸化物層および非晶質シリコン層を除去された高アスペクト比開口のTEM画像を示している。上記のコンタクト洗浄プロセスは、シリコン基板の上の酸化物層および非晶質シリコン層を成功裏に除去することができる。酸化物層および非晶質シリコン層は、指向性のエッチングプロファイルによって除去することができる。TEM画像の分析は、コンタクトの界面が比較的清浄であることを示している。界面には、酸素およびその他の汚染物質がない。さらに、プロセス後にコンタクトと境界を接するシリコン基板は、無傷で綺麗なままの単結晶シリコンに相当する。一部の実装形態では、コンタクト洗浄プロセスは、シリコン基板付近における全ての汚染物質が完全に除去されたことを確実にするために、シリコン基板をへこませる。
【0097】
図10A〜10Cは、シリコン層を除去する際のソース電力対バイアス電力の比を変えて得られる様々なエッチングプロファイルを伴う高アスペクト比開口のTEM画像を示している。シリコン酸化物除去のための工程に続いて、H2などの水素をベースにした種のプラズマを発生させるためにソース電力およびバイアス電力を使用することができる。H2プラズマは、シリコンを除去することができる。ソース電力とバイアス電力との比は、シリコン除去のエッチングプロファイルに影響を及ぼすことができる。比は、ソース電力を固定した状態でバイアス電力を変化させることによって変えることができる。一部の実装形態では、ソース電力は、図10A〜10Cにおいて1000Wに固定されてよく、バイアス電力は、図10Aでは250W、図10Bでは500W、図10Cでは700Wであってよい。図10Aでは、ソース電力対バイアス電力の比が2:1を上回るように、低いバイアス電力を印加することができる。ソース電力は、より異方性のエッチングを起こすことができ、その結果、より指向性のエッチングプロファイルが得られる。図10Bでは、バイアス電力およびソース電力は、比が約2:1になるようにバランスをとることができる。結果として得られるエッチングプロファイルは、指向性で且つ表面粗さが制限されるように最適化することができる。図10Cでは、バイアス電力は、ソース電力とバイアス電力との比が2:1未満になるように増加させることができる。結果として得られるエッチングプロファイルは、少なくとも一部にはイオン衝撃の増加ゆえに、表面粗さの程度が増して、不規則で且つ不均等になるだろう。
【0098】
図11は、ポリシリコンエッチング速度を温度の関数として示したグラフを示している。データ点は、純粋なH2プラズマが、バイアス電力の追加によって比較的高いエッチング速度でポリシリコンをエッチングできることを示している。エッチング速度は、基板の温度に依存し、温度とともに減少する。したがって、基板サポートの温度は、シリコン除去およびへこみの量を制御するように変化させることができる。図11のグラフでは、ポリシリコンエッチングのための操作条件は、2.5slmのH2、1000Wのソース電力、500Wのバイアス電力、400mTorr、60秒の処理を含む。
【0099】
図12A〜12Bは、シリコン層を除去する際の温度を変えて得られる様々なエッチングプロファイルを伴う高アスペクト比開口のTEM画像を示している。TEM画像は、シリコン除去のためのエッチングプロファイルおよびシリコン基板へのへこみの量が、温度に依存しえることを示している。シリコン除去およびへこみの工程において基板の温度が減少するにつれて、エッチングプロファイルは滑らかになることができる。さらに、シリコン基板の垂直エッチング速度は、温度の減少とともに上昇することができる。図12Aは、高めの温度における、エッチング前面に幾らかの表面粗さを有するエッチングプロファイルを示している。図12Bは、低めの温度を使用して得られる、エッチングフロントがより滑らかで且つ垂直方向にシリコン損失が増加したエッチングプロファイルを示している。
【0100】
フォトリソグラフィ
以上で説明された装置/プロセスは、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、光起電性パネルなどの製造または生産のために、リソグラフィパターニングのツールおよび/またはプロセスと併せて使用することができる。このようなツール/プロセスは、必ずしもそうとは限らないが、通常は、共通の製造設備において併せて使用されるまたは実施される。膜のリソグラフィパターニングは、通常は、(1)スピンオンツールまたは噴き付けツールを使用して、被加工物上にフォトレジストを塗布する操作、(2)加熱板または加熱炉またはUV硬化ツールを使用して、フォトレジストを硬化させる操作、(3)ウエハステッパなどのツールによって、可視光または紫外線またはX線にフォトレジストを暴露する操作、(4)レジストを選択的に除去してパターニングするために、ウェットベンチなどのツールを使用して、レジストを現像する操作、(5)ドライ式またはプラズマ強化式のエッチングツールを使用することによって、レジストパターンをその下の膜または被加工物に転写する操作、ならびに(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジスト剥ぎ取り器などのツールを使用して、レジストを除去する操作の、幾つかまたは全部を含み、各操作は、考えられる幾つかのツールによってそれぞれ実施される。一部の実施形態では、フォトレジストを塗布する前に、アッシング可能なハードマスク層(非晶質炭素層など)および別の適切なハードマスク(反射防止層など)を堆積させることができる。
【0101】
その他の実施形態
開示された以上の技術、操作、プロセス、方法、システム、装置、ツール、膜、化学物質、および組成は、明瞭および理解を促す目的で具体的な実施形態に照らして説明されてきたが、当業者ならば、本開示の趣旨および範囲内に、以上の実施形態を実現するための多くの代わりとなるやり方があることが明らかである。したがって、本明細書で説明された実施形態は、開示された発明の概念を、限定するのではなく例示するものだと見なされ、本開示の内容を最終的に定めたものである特許請求の範囲を過度に限定する揺るがない基準として使用されるべきではない。
本発明は、たとえば、以下のような態様で実現することもできる。
適用例1:
複数の高アスペクト比開口を有する基板を洗浄する方法であって、
複数の高アスペクト比開口を有する基板をプラズマ処理チャンバ内に提供することであって、前記各開口は、約10:1を超える高さ対横寸法アスペクト比を有する、ことと、
フッ素をベースにした種を含む第1のエッチャントを前記基板に向けて流すことと、
前記フッ素をベースにした種のプラズマを発生させて前記高アスペクト比開口内のシリコン酸化物を除去するために、前記プラズマ処理チャンバに第1のバイアス電力を印加することと、
水素をベースにした種を含む第2のエッチャントを前記基板に向けて流すことと、
前記水素をベースにした種のプラズマを発生させて前記高アスペクト比開口内のシリコンを除去するために、前記プラズマ処理チャンバにソース電力および第2のバイアス電力を印加することと、
を備える方法。
適用例2:
適用例1の方法であって、
前記第2のエッチャントは、水素のみで構成される、方法。
適用例3:
適用例1の方法であって、
前記第2のエッチャントは、水素と三フッ化窒素とを含み、前記水素の濃度は、前記三フッ化窒素の濃度よりも大きい、方法。
適用例4:
適用例1の方法であって、
前記第1のエッチャントは、三フッ化窒素のみで構成される、方法。
適用例5:
適用例1の方法であって、さらに、
前記シリコン酸化物の除去は、前記プラズマ処理チャンバにソース電力が印加されることなく生じる、方法。
適用例6:
適用例1の方法であって、さらに、
前記基板は、前記各高アスペクト比開口を定めている複数の垂直構造を含み、前記各垂直構造は、酸化物層と窒化物層とを交互に含む、方法。
適用例7:
適用例6の方法であって、
前記交互する酸化物層および窒化物層は、交互するシリコン酸化物層およびシリコン窒化物層を含む、方法。
適用例8:
適用例6の方法であって、
前記高アスペクト比開口内の前記シリコンの除去は、前記交互する酸化物層および窒化物層のそれぞれに対して約500:1を超える選択性で生じる、方法。
適用例9:
適用例1ないし8のいずれか一項の方法であって、
前記プラズマ処理チャンバ内の圧力は、前記第1のエッチャントを前記基板に向けて流しており、第1のバイアス電力を印可している間は、約10mTorr未満である、方法。
適用例10:
適用例1ないし8のいずれか一項の方法であって、
前記シリコンを除去するための前記ソース電力と前記第2のバイアス電力との比は、2:1におおよそ等しいまたは約2:1以上である、方法。
適用例11:
適用例1ないし8のいずれか一項の方法であって、
前記シリコンは、非晶質シリコンまたは損傷シリコンを含む、方法。
適用例12:
適用例1ないし8のいずれか一項の方法であって、
前記ソース電力は、前記プラズマ処理チャンバ内の遠隔プラズマソースに印可され、前記ソース電力の印加は、前記水素をベースにした種のラジカルを発生させるために、前記水素をベースにした種を前記遠隔プラズマソースに暴露することを含む、方法。
適用例13:
適用例1ないし8のいずれか一項の方法であって、
前記第1のバイアス電力の印加は、前記フッ素をベースにした種のイオンを発生させるために、前記フッ素をベースにした種に前記第1のバイアス電力をかけることを含む、方法。
適用例14:
適用例1ないし8のいずれか一項の方法であって、
前記複数の高アスペクト比開口は、垂直NAND構造の一部である、方法。
適用例15:
複数の高アスペクト比開口を有する基板を洗浄するための装置であって、
プラズマ処理チャンバであって、
遠隔プラズマソースと、
複数の高アスペクト比開口を有する基板を支えるための基板サポートであって、前記各開口は、約10:1を超える高さ対横寸法アスペクト比を有し、前記基板は、前記高アスペクト比開口内にシリコン層とその上のシリコン酸化物層とを有する、基板サポートと、
を含むプラズマ処理チャンバと、
コントローラであって、
(a)フッ素をベースにした種を含む第1のエッチャントを前記基板に向けて流す操作と、
(b)前記フッ素をベースにした種のプラズマを発生させて前記シリコン酸化物層を除去するために、前記プラズマ処理チャンバ内の前記基板サポートに第1のバイアス電力を印加する操作と、
(c)水素をベースにした種を含む第2のエッチャントを前記基板に向けて流すことと、
(d)前記水素をベースにした種のプラズマを発生させて前記シリコン層を除去するために、前記遠隔プラズマソースにソース電力を印加し、前記プラズマ処理チャンバ内の前記基板サポートに第2のバイアス電力を印加する操作と、
を実施するための命令を提供するように構成されたコントローラと、
を備える装置。
適用例16:
適用例15の装置であって、
前記第2のエッチャントは、水素のみで構成される、装置。
適用例17:
適用例15の装置であって、
前記第2のエッチャントは、水素と三フッ化窒素とを含み、前記水素の濃度は、前記三フッ化窒素の濃度よりも大きい、装置。
適用例18:
適用例15の装置であって、
前記第1のエッチャントは、三フッ化窒素のみで構成される、装置。
適用例19:
適用例15の装置であって、
前記基板は、前記各高アスペクト比開口を定めている複数の垂直構造を含み、前記各垂直構造は、酸化物層と窒化物層とを交互に含む、装置。
適用例20:
適用例19の装置であって、
前記シリコン層の除去は、前記交互する酸化物層および窒化物層のそれぞれに対して約500:1を超える選択性で生じる、装置。
適用例21:
適用例15ないし20のいずれか一項の装置であって、
前記プラズマ処理チャンバ内の圧力は、前記第1のエッチャントを前記基板に向けて流しており、前記第1のバイアス電力を印可している間は約10mTorr未満である、装置。
適用例22:
適用例15ないし20のいずれか一項の装置であって、
前記シリコン層を除去するための前記ソース電力と前記第2のバイアス電力との比は、2:1におおよそ等しいまたは約2:1以上である、装置。
適用例23:
複数の高アスペクト比開口を有する基板を洗浄する方法であって、
複数の高アスペクト比開口を有する基板をプラズマ処理チャンバ内に提供することであって、前記各開口は、約10:1を超える高さ対横寸法アスペクト比を有する、ことと、
フッ素をベースにした種または水素をベースにした種を含む第1のエッチャントを前記基板に向けて流すことと、
前記第1のエッチャントのプラズマを発生させて前記高アスペクト比開口内のシリコン酸化物を除去するために、前記プラズマ処理チャンバに第1のバイアス電力を印加することと、
水素をベースにした種を含む第2のエッチャントを前記基板に向けて流すことと、
前記第2のエッチャントのプラズマを発生させて前記高アスペクト比開口内のシリコンを除去するために、前記プラズマ処理チャンバにソース電力および第2のバイアス電力を印加することと、
を備える方法。
適用例24:
適用例23の方法であって、
前記第1のエッチャントは、水素をベースにした種を含み、前記除去されるシリコン酸化物は、除去される自然シリコン酸化物を含む、方法。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B