(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6647198
(24)【登録日】2020年1月16日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】チャックアセンブリを有する極端紫外線リソグラフィーシステム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20200203BHJP
G03F 1/24 20120101ALI20200203BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
G03F1/24
H01L21/68 R
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-524513(P2016-524513)
(86)(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公表番号】特表2017-502321(P2017-502321A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】US2014071698
(87)【国際公開番号】WO2015095808
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年11月13日
(31)【優先権主張番号】61/919,781
(32)【優先日】2013年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】フォアド マジード エー
【審査官】
山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−064391(JP,A)
【文献】
特開2010−122304(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/062104(WO,A1)
【文献】
特開2011−228744(JP,A)
【文献】
特表2016−522568(JP,A)
【文献】
特開2012−043992(JP,A)
【文献】
特開2009−194204(JP,A)
【文献】
特開2004−031954(JP,A)
【文献】
特開2004−259778(JP,A)
【文献】
特開2005−150527(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0176121(US,A1)
【文献】
特開2011−146703(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0092013(US,A1)
【文献】
米国特許第08399159(US,B2)
【文献】
国際公開第2010/061828(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0029866(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
G03F 1/24
H01L 21/683
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスの製造方法であって、
反射レンズ系を介してEUV光源からの極端紫外線(EUV)光を向ける工程と、
反射レンズ系内にEUVマスクを間置する工程であって、EUVマスクは、基板と、ブラッグ反射器を形成する多層スタックとを有し、多層スタック及び基板は、所定のチャック平坦度を有する熱伝導性のある平滑なチャックの表面上に保持された0.5ナノメートル(nm)RMS(二乗平均平方根)以下の所定の基板平坦度を有する熱伝導性のある平滑な基板を含み、EUVパワーからの基板の熱は、
基板が、シリコンウェハ又は50W・m−1・K−1以上の熱伝導率を有する金属基板であることと、
チャックとEUVマスクの合計厚さが1mm以下であることの効果によって放散されている工程と、
半導体デバイスを形成するために半導体基板上にEUVマスクのパターンを反射させる工程を含む方法。
【請求項2】
チャックの表面上に保持されたEUVマスクを間置する工程は、テクスチャ取付面を有するチャックの表面上に保持されたEUVマスクを間置する工程を含み、テクスチャ取付面は、メサ、溝、穴、又はそれらの組み合わせを有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
チャックの表面上に保持されたEUVマスクを間置する工程は、EUVパワーから吸収された熱を放散するために、100℃以下の動作温度範囲で、気体又は液体のクーラントを用いた冷却システムをEUVマスクの近くに有するチャックの表面上に保持されたEUVマスクを間置する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
EUV光源と、
3nmRMS以下の所定のチャック平坦度を有する表面を有する熱伝導性のある平滑なチャックと、
EUVマスクを備える反射レンズ系であって、
EUVマスクは、基板と、ブラッグ反射器を形成する多層スタックとを有し、
多層スタック及び基板は、シリコンウェハ又は金属基板からなる熱伝導性のある平滑な基板を含み、
基板は、
EUVパワーから吸収された熱を放散するために50W・m−1・K−1以上の熱伝導率を有し、
EUV光源からのEUV光をチャックの表面に向けるためにチャックの表面上に保持された0.5ナノメートル(nm)RMS(二乗平均平方根)以下の所定の基板平坦度を有し、
EUVマスク及びチャックは、EUVパワーから吸収された熱を放散するために1mm以下の合計厚さを有している反射レンズ系とを含むEUVリソグラフィーシステム。
【請求項5】
チャックは、100℃以下の動作温度範囲にある、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
チャックは、気体又は液体のクーラントを用いた冷却システムをEUVマスクの近くに含む、請求項4記載のシステム。
【請求項7】
チャックは、テクスチャ取付面を含み、テクスチャ取付面は、メサ、溝、穴、又はそれらの組み合わせを有する、請求項4記載のシステム。
【請求項8】
チャックは静電チャックである、請求項4記載のシステム。
【請求項9】
ブラッグ反射器の形態の多層スタックと、
多層スタックの下の基板であって、多層スタック及び基板は、所定のチャック平坦度を有する熱伝導性のある平滑なチャックの表面上に保持された、熱伝導性のある平滑な表面及び0.5ナノメートル(nm)RMS(二乗平均平方根)以下の所定の基板平坦度を有する基板とを含むEUVマスクであって、
EUVパワーからの基板の熱は、
基板が、シリコンウェハ又は50W・m−1・K−1以上の熱伝導率を有する金属基板であることと、
チャックとEUVマスクの合計厚さが1mm以下であることの効果によって放散されているEUVマスク。
【請求項10】
チャックは、100℃以下の動作温度範囲で、気体又は液体のクーラントを用いた冷却システムを基板の近くに有するESCである、請求項9記載のマスク。
【請求項11】
チャックは、テクスチャ取付面を含み、テクスチャ取付面は、メサ、溝、穴、又はそれらの組み合わせを有する、請求項9記載のマスク。
【請求項12】
EUVマスクは、複数の形状及び154mm×154mm以上の寸法を有する、請求項9記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、2013年12月22日出願された米国仮特許出願第61/919,781号の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、概して、チャックアセンブリを有する極端紫外線リソグラフィーシステム及びその製造方法に関する。
【0003】
極端紫外線リソグラフィー(EUVリソグラフィー、軟X線投影リソグラフィーとしても知られている)は、0.13ミクロン及びそれよりも小さい最小フィーチャーサイズの半導体デバイスを製造するための深紫外線リソグラフィーに代わる候補である。
【0004】
しかしながら、概して5〜40ナノメートルの波長範囲内にある極端紫外光は、実質的に全ての材料に強く吸収される。そのため、極端紫外線システムは、光の透過によってではなく、反射によって動作する。一連のミラー又はレンズ素子、及び反射素子又は非反射性吸収体マスクパターンで被覆されたマスクブランクの使用を介して、パターニングされた活性光線が、レジストを被覆された半導体ウェハ上に反射される。
【0005】
極端紫外線リソグラフィーシステムのレンズ素子及びマスクブランクは、モリブデン及びシリコンなどの材料の多層反射コーティングで被覆される。レンズ素子又はマスクブランクごとに約65%の反射値が、極めて狭い紫外線帯域(例えば、13ナノメートルの紫外光に対して12〜14ナノメートルの帯域)内で実質的に単一の波長で光を強く反射する多層コーティングで被覆された基板を使用することによって得られている。
【0006】
このプロセスは、非常に低い熱膨張を有する高価なガラスを必要とし、マスクブランクは、製造するのに数ヶ月を必要とする。極端紫外線リソグラフィーのために必要なガラスは、薄く、非常に滑らかで、非常に鋭く、欠陥のないことが必要とされる。レンズ素子又はマスクへのいかなる欠陥も、最終製品に問題を発生させる可能性がある。
【0007】
例えば、多層スタックと小さなフィーチャーサイズの性質のため、層内の任意の欠陥は、最終製品内で拡大されるであろう。数ナノメートルのスケールの欠陥は、完成したマスク上の印刷可能な欠陥として現れる可能性があり、多層スタックの堆積前にマスクブランクの表面から除去する必要がある。したがって、極端紫外線リソグラフィーに必要とされる精度及び品質を依然として維持しながら、コスト及び時間を節約する解決策が、見出される必要がある。
【0008】
電子部品のますます小さいフィーチャーサイズの必要性を考慮すると、これらの問題に対する答えが見出されることがますます重要である。消費者の期待を成長させるとともに、増え続ける商業競争圧力を考慮すると、これらの問題のための答えが発見されることが重要である。また、コストの削減、効率性とパフォーマンスの向上、及び競争圧力を満たすための必要性は、これらの問題に対する答えを見つけるための重要な必要性により一層の大きな緊急性を追加する。
【0009】
これらの問題に対する解決策は、長い間求められてきたが、従来の開発は、いかなる解決策をも教示又は示唆しておらず、したがって、これらの問題に対する解決策は長い間、当業者を避けてきた。
【0010】
本発明の実施形態は、反射レンズ系を介してEUV光源からの極端紫外線(EUV)光を向ける工程と、反射レンズ系内にEUVマスクを間置する工程であって、EUVマスクは、基板と、ブラッグ反射器を形成する多層スタックとを有し、多層スタック及び基板は、所定のチャック平坦度を有する熱伝導性のある平滑なチャックの表面上に保持された所定の基板平坦度を有する熱伝導性のある平滑な基板を有する工程と、半導体デバイスを形成するために半導体基板上にEUVマスクのパターンを反射させる工程を含む半導体デバイスの製造方法を提供する。
【0011】
本発明の実施形態は、EUV光源と、所定のチャック平坦度を有する表面を有する熱伝導性のある平滑なチャックと、EUV光源からのEUV光をチャックの表面上に向けるための反射レンズ系とを含むEUVリソグラフィーシステムを提供する。
【0012】
本発明の実施形態は、ブラッグ反射器の形態の多層スタックと、多層スタックの下の基板であって、多層スタック及び基板は、所定のチャック平坦度を有する熱伝導性のある平滑なチャックの表面上に保持された、熱伝導性のある平滑な表面及び所定の基板平坦度を有する基板とを含むEUVマスクを提供する。
【0013】
本発明の特定の実施形態は、上記のものに加えて、又は上記のものの代わりに、他の工程又は要素を有する。これらの工程又は要素は、添付図面を参照して考慮された場合、以下の詳細な説明を読むことから当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態におけるチャックアセンブリを有する例示的なEUVリソグラフィーシステムである。
【
図2】本発明の一実施形態に係る
図1のリソグラフィーシステムの例示的なESCの断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る例示的なテクスチャを有する例示的なESCの上面図である。
【
図4】マスクを適所に有する例示的なESCの上面図である。
【
図5】本発明の更なる一実施形態の半導体デバイスの製造方法のフローチャートである。
【0015】
以下の実施形態は、本発明を行い、使用することを当業者に可能にするために十分に詳細に記載されている。他の実施形態は、本開示に基づいて明らかであり、システム、プロセス、又は機械的な変更は、本発明の実施形態の範囲から逸脱することなく行うことができることが理解されるべきである。
【0016】
以下の説明において、多数の特定の詳細が本発明の完全な理解を提供するために与えられる。しかしながら、本発明がこれらの特定な詳細なしに実施できることは明らかであろう。本発明の実施形態を不明瞭にするのを避けるために、いくつかの周知の回路、システム構成、及びプロセスステップは詳細には開示されていない。
【0017】
本システムの実施形態を示す図面は、半概略図であり、縮尺通りではなく、特に、寸法の一部は、提示を明確にするためのものであり、描画図内で誇張して示されている。同様に、説明を容易にするため、図面内のビューは、概して同様の方向を示しているが、図中のこの描写は、ほとんどの部分に対して任意である。一般的に、本発明は、任意の向きで動作させることができる。
【0018】
解説の目的のために、本明細書内で使用される用語「水平」は、半導体ウェハの向きに関係なく、半導体ウェハの処理面の平面又は表面に平行な平面として定義される。用語「鉛直」は、まさに定義されたような水平に対して垂直な方向を指す。「上方(above)」、「下方(below)」、「底部(bottom)」、「上部(top)」、(「側壁」内のような)「側部(side)」、「より高い(higher)」、「より低い(lower)」、「より上(upper」、「上(over)」、及び「下(under)」などの用語は、図に示されるように、水平面に対して定義される。用語「上(on)」は、介在要素無しに要素間の直接的な接触があることを意味する。
【0019】
本明細書内で使用されるような用語「処理」は、材料又はフォトレジストの堆積、記載の構造を形成する際に必要とされるような材料又はフォトレジストのパターニング、露光、現像、エッチング、洗浄、及び/又は除去を含む。
【0020】
リソグラフィーシステム(例えば、極端紫外線(EUV)リソグラフィーシステム)では、EUVマスクは、EUVリソグラフィー用に使用されるパターニングされた反射マスクである。EUVマスクは、半導体製造におけるフォトマスクの製造に使用されるために、パターニングの前に複数の層で積層される。EUVマスクは、EUV光を反射する反射層と、EUV光を吸収する吸収体層が、剛性のある材料(例えば、セラミックス又はガラス)からなるブランク又は基板上に順に形成される構造を有する。
【0021】
典型的には、反射層は、層表面にEUV光が照射されたとき光反射性が改善されるように交互に積層された低屈折率層(例えば、モリブデン(Mo)層)と高屈折率層(例えば、シリコン(Si)層)を有する反射膜の多層スタックを使用する。吸収体層に対しては、EUV光に対して高い吸収係数を有する材料(例えば、主要成分としてクロム(Cr)又はタンタル(Ta)を含む材料)が用いられる。
【0022】
通常、保護層は、反射層と吸収体層との間に形成される。このような保護層は、吸収体層内にパターンを形成して実行されるエッチングプロセスによって損傷されることから反射層を保護する。
【0023】
EUV光は、EUVマスク上を均一に照らす。反射層上に投射されたEUV光は、半導体基板(例えば、チップウェハ)に反射され、一方、パターニングされた吸収体層上に投射されたEUV光は、吸収され、チップウェハに反射されない。パターニングされた吸収体層内に構成されるパターンは、チップウェハの表面層(例えば、フォトレジスト層)上に印刷される。
【0024】
EUVマスクの吸収体層に関して、表面が平滑性に劣る場合、吸収体層の表面上に形成されたパターンの端部粗さ(エッジラフネス)は、大きくなる傾向があり、これによってパターンの寸法精度は、低くなる傾向がある。端部粗さの影響は、パターンが微細になるにつれて顕著となる傾向があり、したがって、吸収体層の表面は、平坦かつ平滑であることが要求される。
【0025】
EUVマスクは、6ミリメートル(1/4インチ)の厚さの特殊な硬質材料(例えば、想定動作温度に亘ってゼロ熱膨張(ZTE)を有する低熱膨張(LTE)ガラス)のブランク又は基板上に作られている。厚いガラスは、剛性を維持し、歪みを回避するために必要とされる。しかしながら、EUVマスクは、深紫外線(DUV)マスク用の透過マスクとは異なり、70%未満の反射率を有する反射性である。EUVパワーの残りの30%は、EUVマスクによって吸収され、主に熱に変換される。EUV光源のパワーが、生産スループット要件を満たすまで上昇するのにつれて、EUVマスク内に吸収されるEUVパワーは増加し、相互拡散に起因する反射多層膜の潜在的な劣化につながる可能性がある。これは、より多く吸収し、より多く相互拡散する下り坂のスパイラルにつながる可能性がある。更に、特にガラスが厚い場合は、ガラスは熱伝導体ではない。
【0026】
本発明の実施形態は、EUVマスクを形成するために特殊硬質材料かつ金属製の原子レベルで平坦な基板を含むことができる熱伝導性基板を使用する。特殊硬質材料は、典型的なガラス基板が1/2〜1インチの厚さを有するのと比較して、6ミリメートル(mm)又は1/4インチ以下の薄さで、1.46〜1.6ワット毎メートル毎ケルビン(W・m
−1・K
−1)の範囲内の熱伝導率を有するLTEガラスとすることができることが重要である。金属製の原子レベルで平坦な基板は、シリコン(Si)ウェハ、又は50W・m
−1・K
−1以上の好適な熱伝導率を有する他の金属基板を含むことができる。シリコンウェハは、高密度プラズマ(HDP)酸化物、ホウ素ドープされたリンガラス、又はアモルファスシリコンなどの材料とすることができる。金属基板は、モリブデン、チタン、ルテニウム、及びそれらの酸化物又は合金などの金属とすることができる。基板の剛性は、指定された平面度に加工することができる静電チャック(ESC)などのチャック上にそれを装着することによって維持することができる。ESCと金属基板ベースのEUVマスクの合わせた厚さは、1mm以下と薄くすることができることが重要である。
【0027】
本発明の実施形態は、EUVマスクを形成するために熱伝導性のある基板を使用する。基板の(熱伝導)係数は、基板とその上に堆積された層の剥離を防止するために、その上に形成された反射層又は吸収体層と同一又は同様である。基板の同様な又は同一の係数は、異なる材料の異なる反りに起因するEUVマスクの変形を防止することもできる。理想的には、基板と多層膜の係数は、可能な限り近い。
【0028】
基板は、正方形又は円形を含む複数の形状とすることができる。円形状の場合、基板は、例えば、マスク製造用の標準的な半導体処理装置を使用可能にする直径300mmのSiウェハとすることができる。基板のより大きな寸法は、より大きなフォーマットのマスク(例えば、228mm×228mm(9”×9”)角)を使用可能にすることもできる。
【0029】
ESCは、チャック及びEUVマスクの指定された平坦度を維持するために、セラミックスを含む硬質材料で形成することができる。ESCは、EUVパワーから吸収した熱を放散するために、気体又は流体のクーラントの冷却システムを有することができる。ESCは、基板と接触する表面の粒子汚染を最小限にするために、表面テクスチャ(例えば、メサ)を有することができる。ESC表面のテクスチャは、空気の循環を改善し、冷却システムに加えて放熱を更に助長することができる。
【0030】
本発明の実施形態に開示されているリソグラフィーシステム及びその製造方法は、EUVマスクのコストを低減することができ、より大きなフォーマット(例えば、154mm×154mm(6”×6”)以上)のマスクを製造可能にすることが発見されている。熱伝導性基板及び冷却システムを有するEUVマスクは、EUVパワーに起因する熱を放散し、チップウェハ上に印刷されたパターンの高寸法精度に対して理想的な動作温度を維持することが可能である。多層膜と同様な又は同一の係数を有する基板は、EUVマスクの剥離又は変形を防止することができる。ESC表面のテクスチャは、放熱を助け、基板の粒子汚染を低減することができる。
【0031】
ここで
図1を参照すると、本発明の一実施形態内のチャックアセンブリを有する例示的なEUVリソグラフィーシステム100がその中に示されている。例示的な図は、光源(例えば、EUV光源102)、レチクルステージ104、チップウェハステージ106、及び光学トレインを含む。
【0032】
光学トレインは、EUV光源102(例えば、プラズマ源)から目標物(例えば、チップウェハステージ106)までの光を反射する反射レンズ系108である。EUV光源102は、ファセットミラー110、及びレチクルステージ104上に保持されたレチクル(例えば、EUVマスク112)にEUV光を提供する。ファセットミラー110は、EUVリソグラフィーシステム100内で照明された照明フィールド上にEUV光源102によって生成される放射の均質化を作るために使用される光学素子である。EUVマスク112は、チップウェハステージ106上に保持されたチップウェハ116上に投射光学素子114を介してEUV光を反射する。EUVマスク112は、最終露光領域の部分のみに対するデータが存在する特殊なタイプのフォトマスクである。
【0033】
EUVマスク112は、基板と、ブラッグ反射器を形成する多層スタックを有することができる。多層スタック及び基板は、1mm以下の組み合わせた厚さを有することができる。基板は、3ナノメートル(nm)RMS以下の所定のチャック平坦度又は平滑度を有する平滑とすることができるチャックの表面上に保持されたときに、0.5ナノメートル(nm)RMS(二乗平均平方根)以下の所定の基板平坦度又は平滑度を有するように平滑であることが重要である。基板(例えば、シリコン(Si)ウェハ又は金属基板)は、多層スタックでコーティングすることができる。EUVマスク112の厚さは、1mm以下とすることができるが、EUVマスク112の典型的な厚さは、約700μmとすることができる。多層スタックは、基板上に堆積された反射層及びパターニングされた吸収体層を有することができる。吸収体層のパターンは、反射レンズ系108を介してチップウェハ116上に印刷されている。保護層は、製造工程中の保護のために、反射層と吸収体層の間にコーティングすることができる。
【0034】
基板(例えば、シリコンウェハ又は金属基板)は、1mm以下の薄さであり、従来のガラス基板と比べて原子レベルで平坦とすることができる。シリコンウェハ又は金属基板は、ガラスよりも良好な熱伝導体である。シリコンウェハは、高密度プラズマ(HDP)酸化物、ホウ素ドープされたリンガラス、又はアモルファスシリコンなどの材料とすることができる。金属基板は、モリブデン、チタン、ルテニウム、及びそれらの酸化物又は合金のような金属とすることができる。低い熱膨張及び高い熱伝導性材料の他のタイプもまた、基板を形成するために利用可能である。
【0035】
例えば、シリコンウェハは、想定動作温度で8.5×10
−6・K
−1の線熱膨張係数及び1.05W・m
−1・K
−1の熱伝導率を有するガラス基板と比べて、2.56毎ミクロン毎ケルビン(10
−6・K
−1)のより低い線熱膨張係数及び149W・m
−1・K
−1の高い熱伝導率を有することができる。より低い熱膨張率を有するシリコンウェハ又は金属基板は、基板の変形を低減することができ、一方、そのより高い熱伝導率は、放熱性を向上させることができる。
【0036】
EUVマスク112は、EUVリソグラフィーシステム100及びそのチャックの設計及び要件に基づいて、正方形、円形、又は他の形状になるように構成することができる。例えば、EUVマスク112が円形である場合、それは直径300mm以上のSiウェハ、又は154mm×154mm(6”×6”)以上の正方形とすることができる。上記の寸法は、標準的な半導体処理装置をマスク製造のために使用可能にするのに重要である。EUVマスク112を形成するために使用されるシリコン及び金属材料は、EUVマスク112が、ガラス基板と比較して業界標準ではないサイズ及び形状に作られることを可能にすることが見出された。
【0037】
チャック(例えば、ESC)は、EUVリソグラフィーシステム100内において使用するためにEUVマスク112の枠組みを作る又はEUVマスク112を取り付けるために使用することができる。ESCは、1mm以下の超薄マスクのための基板の剛性を維持するために使用することができる。ESCは、EUVリソグラフィーシステム100の設計及び要件に応じて、様々な平坦度仕様に機械加工することができる。
【0038】
ESCは、EUVマスク112を保持する取付面を含むことができる。チャック面は、EUVマスク112上への接触及び粒子汚染を最小限に抑えるために様々なテクスチャ及びパターンを有することができる。例えば、取付面のテクスチャは、メサ、溝、穴、又はそれらの組み合わせを含むことができる。更に、ESCはモジュール式とすることができ、複数のシリコン及び金属ベースの基板を容易に交換することができるシステムを提供することができることが見出された。
【0039】
EUVリソグラフィーシステム100は、ESCに結合された冷却システムを含むことができる。ESCは、EUV光源102又はEUVパワーから吸収した熱を放散するために、気体又は流体のクーラントによって冷却することができる。例えば、冷却システムは、ヘリウム冷却システム又は水ベースの冷却システムを使用することができる。
【0040】
シリコン又は金属ベースのマスクは、超薄型ガラスのようにカールしないので、マスクの平坦度を維持し、そのマスクの歪みに起因する不具合を防止するために、シリコンウェハ及び金属基板の使用は、ガラス系マスクよりも薄く製造可能にできることが見出された。
【0041】
更に、EUVマスク112用のシリコンウェハ又は金属基板の使用は、より大きなフォーマットのマスクを使用可能にすることが見出された。シリコンウェハ又は金属基板は、ガラス系基板と同様の製造上の制約を受けず、より容易に、異なるフォーマット、サイズ、及び形状に形成することができる。例えば、EUVマスク112のサイズは、154mm×154mm(6”×6”)角を超える(例えば、228mm×228mm(9”×9”)角、又は更に308mm×308mm(12”×12”)角)まで増加させることができる。シリコン及び金属材料が使用されているので、大きなフォーマットのマスクが、ゼロ熱膨張ガラス系マスクと比較して低コストで製造することができる。
【0042】
更に、より大きな開口数(NA)が、より大きなマスク上でのリソグラフィープロセス中に使用できるので、投射中の歩留まりを向上できることが見出された。例えば、228mm×228mm(9”×9”)角又は更により大きな308mm×308mm(12”×12”)角が現在実行可能であり、これは歩留まりを増加させ、最終製品デバイス用のフォトレジストウェハの廃棄物を減らすことができる。
【0043】
更に、ESCは、可動部品及びプラットフォームによってセグメント化することができる。これらのセグメントは、基板の各部分が平坦な面上に載置されていることを更に保証するように持ち上げる、傾ける、及び調整することができる。セグメント化されたセクションはまた、最終製品デバイス用の異なるパターンを作成する際に複数のマスクを使用可能にする。
【0044】
シリコンウェハ又は金属基板を用いたEUVマスク112は、ガラス系のEUVマスクに対して、信頼性の高い、汎用性のある、及び低コストの代替手段を提供することが発見された。例えば、ガラス系マスクは想定動作温度に亘ってゼロ熱膨張を有する厚さ6mmの特殊なガラス上に作られており、一方、本発明の実施形態のEUVマスク112は、同等の低熱膨張を有する厚さ1mmの熱伝導性基板上に作ることができる。
【0045】
ESCとシリコンウェハ又は金属基板を有する本発明の実施形態は、厚いガラスを1mm以下の代替基板で置き換えることができる。薄いシリコンウェハ又は金属基板を平坦なESCと組み合わせることは、ガラス系マスクシステムで使用される厚いガラスに代わる基板の剛性を提供することが見出された。
【0046】
シリコン又は金属基板を有する冷却システムは、基板からの熱を放散することによって熱膨張を防ぎ、パターン歪みを防止することが見出された。シリコン又は金属基板は、ガラス系マスクよりも安価に速く製造することができるので、冷却システムを備えたシリコンウェハ又は金属基板ベースのマスクは、ガラス系マスクに対するより低コストの代替物である。冷却システムは、理想的な動作温度(例えば、100℃以下)を維持することができ、これはEUVマスク112の劣化を防止するために重要であり、更にその欠陥を低減する。
【0047】
更に、ESCとシリコンウェハ又は金属基板の使用は、ガラス系のマスクよりも優れた熱伝導特性を有するマスクを提供することが見出された。ガラスは悪い熱伝導体であり、特殊なガラスの厚い幅要件は、悪い熱伝導特性を更に悪化させる。
【0048】
ここで
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る
図1のEUVリソグラフィーシステム100の例示的なESC200の断面が中に示されている。ESC200は、マスク(例えば、上に載置されたEUVマスク202)と共に断面図で示されている。EUVマスク202は、円形形状とすることができるが、EUVマスク202は、異なる形状及びサイズで製造可能であることが理解される。例えば、EUVマスク202は、正方形、長方形、又は多角形形状を含むことができる。
図1のレチクルステージ104は、ESC200及び上に載置されたEUVマスク202を保持する。
【0049】
ESC200は、気体又は液体の形態のクーラント204(それぞれヘリウム又は水を含むが、これらに限定されない)を有する冷却システムを更に含む。クーラント204は、EUVマスク202が上に載置されたESCの取付面206の近くのESC200の内部で循環することができる。クーラント204は、冷却システムに入り、取付面206に流れる。クーラント204は、EUVマスク202の熱を吸収することによって、EUVマスク202を冷却することができる。EUVマスクによって加熱されたクーラント204は、冷却システムから流出し、同時に、冷たいクーラント204が入る。伝導性材料で作られたEUVマスク202は、熱によって引き起こされる潜在的な劣化を防止する低い動作温度を維持することができる。
【0050】
ESCの冷却システムはまた、EUVマスク202の近くに複数のトンネルを有することができる。トンネルは、取付面206に平行とすることができ、気体又は液体の形態のクーラント204がESC200の1つの鉛直面からトンネルに入り、別の鉛直面から出ることを可能にする。ESC200のトンネルは、冷却効率を最適化するために、ESC200又はEUVマスク202の設計に応じて、様々な構成とすることができる。
【0051】
伝導体の電極208は、ESC200内に埋め込まれている。電極208は、外部電源210に接続されている。本発明の実施形態は、単極型ESCを示しているが、それが双極型ESCもまた使用可能であることが理解される。外部電源210に電源が投入されると、正と負の両方の電荷が、取付面206とEUVマスク202の裏面212に再分配される。正電荷が、取付面206の近くに再配分されると、負電荷が、裏面212に再分配される。正電荷と負電荷との間の引力は、EUVマスク202をESC200上に「引き付ける(グリップする)」ことができる。
【0052】
シリコンウェハ及び金属基板は、ガラスよりも優れた熱伝導体である。シリコンウェハ又は金属基板は、基板の放熱を改善し、更にEUVマスク202の潜在的な劣化及び粒子汚染を防ぎ、その結果、低欠陥マスク、及び
図1のチップウェハ116上に印刷された高品質の正確なパターンをもたらすことが見出された。
【0053】
ここで
図3を参照すると、本発明の一実施形態に係る例示的なテクスチャ302を有する例示的なESC300の上面図が中に示されている。テクスチャ302は、メサ、溝、穴、又はそれらの組合せを含むことができ、これによって
図2のEUVマスク202とESC300との接触を最小限に抑え、EUVマスク202の粒子汚染を低減し、放熱性を向上させる。
【0054】
EUVマスク202が、ESC300上に取り付けられると、粒子汚染が、EUVマスク202とESC300との接触面で発生する可能性がある。
図1のEUV光によって引き起こされる熱は、接触面で粒子汚染を増幅する可能性がある。
図2の冷却システムは、基板の温度を低下させることができ、一方、テクスチャ302もまた、接触面上の空気の循環を改善することにより、放熱を助けることができる。テクスチャ302は、ESC300とEUVマスク202の接触面を最小化し、更に、熱によって引き起こされる粒子汚染及びマスクの歪みを低減することができる。
【0055】
テクスチャを有するESCは、粒子汚染を低減し、より良好な熱放散のための接触面での空気の循環を改善することができ、その結果、粒子汚染及びマスクの歪みの低減をもたらすことが見出された。
【0056】
ここで
図4を参照すると、マスクを適所に有する例示的なESC400の上面図が中に示されている。マスクは、基板(例えば、シリコンウェハ又は金属基板)を有するEUVマスク402とすることができる。EUVマスク402のマスク寸法404は、EUVマスク402がESC400からの十分な支持を有することを確実にするために、ESC400のチャック寸法406よりも小さい。EUVマスク402は、ESC400に静電的に取り付けることができる。EUVマスク402とESC400の接触面は、テクスチャを持たせることができる。
【0057】
シリコン又は金属材料の利用により、EUVマスク402は、より大きいサイズ(例えば、154mm×154mm(6”×6”)を超える)で製造することができ、基板は、もはや正方形に限定されるものではなく、様々な形状とすることができる。
【0058】
少し大きめのサイズのESC400は、製造プロセス中に上に載置されたEUVマスク402の剛性及び平坦度を維持できることが見出された。マージン408は、EUVマスク402をESC400上に取り付ける際のずれ又は損傷を最小限に抑えることができる。
【0059】
ここで
図5を参照すると、本発明の更なる一実施形態の半導体デバイスの製造方法500のフローチャートが中に示されている。方法500は、502のブロック内において、反射レンズ系を介してEUV光源からの極端紫外線(EUV)光を向ける工程と、504のブロック内において、反射レンズ系内にEUVマスクを間置する工程であって、EUVマスクは、基板と、ブラッグ反射器を形成する多層スタックとを有し、多層スタック及び基板は、所定のチャック平坦度を有する熱伝導性のある平滑なチャックの表面上に保持された所定の基板平坦度を有する熱伝導性のある平滑な基板を有する工程と、506のブロック内において、半導体デバイスを形成するために半導体基板上にEUVマスクのパターンを反射させる工程を含む。
【0060】
製造プロセスフローは例示的なものであり、リソグラフィーシステムの他の周知のコンポーネントは、含まれていない。リソグラフィーシステムの他の周知のコンポーネントは、説明を明確にするために省略されていることが理解される。
【0061】
シリコンウェハ又は金属基板を有するEUVマスク、又は他の低熱膨張・高熱伝導率基板は、より薄く、より大きく製造することができ、より良好な放熱性を有することができ、マスク欠陥の低減をもたらすことが見出された。EUVマスクを保持するESCのテクスチャは、基板の粒子汚染を低減することができる。EUVマスク及びチャックアセンブリを有するリソグラフィーシステムは、チップウェハ上に正確なパターン又は複数のパターンを印刷することができ、その結果、欠陥の削減、製造コストを減少、より大きなフォーマットのマスクの使用をもたらす。
【0062】
得られた方法、プロセス、装置、デバイス、製品、及び/又はシステムは、簡単で、費用対効果が高く、複雑でなく、汎用性が高く、正確で、敏感で、かつ効果的であり、準備のできた、効率的な、かつ経済的な製造、応用、及び利用に公知のコンポーネントを適合させることによって実施することができる。
【0063】
本発明の実施形態の別の重要な一態様は、コストを削減し、システムを簡素化し、パフォーマンスを向上させる歴史的傾向を有効に支持し、提供するということである。
【0064】
本発明の実施形態のこれらの及び他の有効な態様は、その結果として技術の状態を少なくとも次のレベルへと前進させる。
【0065】
本発明は、特定の最良の態様に関連して説明してきたが、多くの代替、修正、及び変形が前述の説明に照らして当業者には明らかであろうことが理解されるべきである。したがって、付属の特許請求の範囲内に入るすべての代替、修正、及び変形を包含することが意図される。本明細書に記載された又は添付の図面に図示されたこれまでのすべての事項は、例示的かつ非限定的な意味で解釈されるべきである。