(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、締付け固定部の変形に伴って端部が変形することを抑制し、止水性を向上するグロメットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、被覆電線を囲繞する蛇腹状の外装部材を、後端から内部に嵌合する略筒状で弾性を有するグロメットであって、前記後端から離間するとともに、内部に嵌合した前記外装部材と重合する部分を、帯状の締付け部材により締付けて固定する締付け固定部と、前記外装部材と凹凸嵌合するように、内周面から突出して周方向に延設するとともに、軸方向に沿って複数配置された突出部とが備えられ、該突出部は、前記後端付近に配置した端部側突出部と、前記締付け固定部の前記内周面において所定の間隔を隔てて配置した複数の固定側突出部とで構成され、前記端部側突出部と前記固定側突出部との間に、前記突出部を配置しない非配置部が設けら
れ、前記固定側突出部に、周方向に分断する周方向分断部が設けられたことを特徴とする。
【0011】
上記蛇腹状の外装部材は、縦断面形状が凹凸状に連続する外形及び内形を有するコルゲートチューブ、或いは、縦断面形状が凹凸状に連続する外形と、平滑な内形とを有する外装部材などを含む概念であり、略矩形状の凸部と凹部とが連続する縦断面形状や、略円弧状の凸部と凹部とが連続する波形の縦断面形状であってもよい。
上記帯状の締付け部材とは、締付け固定部に締付けて外装部材をグロメットの内部に固定する合成樹脂製や金属製の結束バンドなどを含む概念である。
【0012】
上述の締付け固定部とは、グロメットの外周面を径内側方向に窪ませた凹状の締付け固定部、締付け部材の軸方向の両側におけるグロメットの外周面を径外側方向に突出させた凸状の締付け固定部、或いは、平滑な締付け固定部などを含む概念である。
【0013】
上記非配置部は、例えば、突出部を備えていない部分の板厚と同程度の板厚に形成した非配置部、突出部を備えていない部分の板厚よりも薄肉に形成した非配置部、或いは、突出部を備えた部分の板厚よりも薄肉、且つ突出部を備えていない部分の板厚よりも厚肉に形成した非配置部などを含む概念である。
なお、前記突出部を配置しない非配置部が間に設けられた前記端部側突出部と前記固定側突出部とは、外装部材の蛇腹状におけるピッチに対して2ピッチ以上に間隔を隔てて配置されていることをいう。
【0014】
前記周方向分断部は、固定側突出部を周方向に分断するスリットや切込み、溝、あるいは凹部などで構成することができる。さらに、周方向分断部は、固定側突出部を突出量に対応する深さの分断部、あるいは突出量の半分程度の深さの分断部など適宜の深さの分断部とすることができる。
【0015】
また、周方向分断部は、固定側突出部における周方向の1箇所、あるいは2箇所乃至4箇所などの複数箇所に設けてもよく、複数箇所設ける場合は、周方向に均等配置してもよく、周方向の所定範囲に複数設けてもよい。また、複数の固定側突出部のうちいずれかに周方向分断部を設けてもよいし、全てに設けてもよい。
【0016】
この発明により、締付け固定部の締付けによる変形(以下において締付け変形という)に伴って端部が変形することを抑制し、グロメットの止水性を向上することができる。
詳述すると、端部側突出部と固定側突出部との間に、前記突出部を配置しない非配置部を設けることで、締付け状態における締付け固定部の締付け変形の影響を、前記突出部が配置された箇所に比べて変形吸収性の高い非配置部が吸収するため、締付け固定部の締付け変形に伴って端部が変形することを抑制できる。これにより、締付け部材によって締付け固定部を締付けたグロメットの端部側突出部は、外装部材の外周面と密着した状態で凹凸嵌合することができる。なお、変形吸収性とは、締め付け変形の影響を吸収することで端部の変形を抑制する変形抑制性能をいう。
【0017】
また、突出部を配置しないという、つまり、前記端部側突出部と前記固定側突出部とを、外装部材の蛇腹状におけるピッチに対して2ピッチ以上に間隔を隔てて配置するという簡素な構成で、端部側突出部と固定側突出部との間の変形吸収性を向上させることができるため、締付け固定部の締付け変形に伴って端部が変形することを抑制し、グロメットの止水性を向上することができる。
【0018】
また、固定側突出部を1つ備えた場合におけるグロメットは、固定側突出部と外装部材の外周面との安定した嵌合状態を得ることができないおそれがあるが、締付け固定部の内周面において所定の間隔を隔てて複数の固定側突出部を配置したことで、締付け部材の締付けによって生じる締付け荷重が複数の固定側突出部に作用して、外装部材の外周面と固定側突出部との安定した凹凸嵌合状態を実現することができる。
【0019】
従って、グロメットは、端部側突出部よりも内部に水分が浸入することを抑制できるとともに、固定側突出部よりも内部に水分が浸入することを確実に防止できるため、グロメットの止水性を向上することができる。
【0020】
さらに、外装部材を嵌合する際に拡径治具を用いてグロメットの端部側を拡径する場合があるが、端部側突出部と固定側突出部との間に非配置部を設けることで、グロメットの端部側を容易に拡径して、外装部材を嵌合することができる。
【0021】
また、固定側突出部の変形吸収性が向上することにより、締付け固定部の締付け変形の影響を低減することができる。したがって、締付け固定部の締付け変形に伴う端部の変形による止水性低下を抑制することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記締付け部材は、帯部と、該帯部をロックするロック部とで構成され、前記周方向分断部を、前記固定側突出部における周方向の前記ロック部に対応する箇所、及び/または対向する箇所に設けることができる。
上述の対応する箇所は、径方向外側から見て前記ロック部と少なくとも一部が重なる箇所をいい、上述の対向する箇所は、対応する箇所に対して周方向において相対する箇所という。
【0023】
この発明により、締付け固定部の締付けによる固定側突出部の変形吸収性をより向上することができる。
詳述すると、帯部と、該帯部をロックするロック部とで構成された締付け部材を締付けると、ロック部と、ロック部に対向する部分とが長軸方向となる略楕円状に締付けられるため、前記固定側突出部における周方向の前記ロック部に対応する箇所、及び/または対向する箇所に前記周方向分断部を設けることで固定側突出部の変形吸収性をより向上することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記周方向分断部を、前記複数の前記固定側突出部のうち端部側の前記固定側突出部に設けることができる。
この発明により、複数の固定側突出部のうち端部側と反対側の固定側突出部に周方向分断部を設ける場合に比べ、端部側の固定側突出部の変形吸収性を向上することにより、締付け固定部の締付け変形に伴う端部の変形による止水性低下を抑制することができる。
【0025】
また、この発明は、被覆電線を囲繞する蛇腹状の外装部材を、後端から内部に嵌合する略筒状で弾性を有するグロメットであって、前記後端から離間するとともに、内部に嵌合した前記外装部材と重合する部分を、帯状の締付け部材により締付けて固定する締付け固定部と、前記外装部材と凹凸嵌合するように、内周面から突出して周方向に延設するとともに、軸方向に沿って複数配置された突出部とが備えられ、該突出部は、前記後端付近に配置した端部側突出部と、前記締付け固定部の前記内周面において所定の間隔を隔てて配置した複数の固定側突出部とで構成され、前記端部側突出部と前記固定側突出部との間に、前記突出部を配置しない非配置部が設けられ、前記締付け固定部より後端側の外周面に、凹状の変形凹部が設けられた
ことを特徴とする。
【0026】
上述の前記締付け固定部より端部側は、前記締付け固定部を含めた端部側を意味している。
前記変形凹部は、軸方向及び周方向の少なくとも一方に所定の長さを有する、溝状あるいは凹状の非貫通の凹部を意味している。
【0027】
この発明により、前記締付け固定部より端部側の変形吸収性を向上することができ、締付け固定部の締付け変形に伴う端部の変形による止水性低下を抑制することができる。
また、端部には、内部への水分の浸入を抑制するための端部側突出部を端部に備えたことによって端部の形状保持性が増大し、締付け固定部の締付け変形に伴う端部の変形による止水性が低下するおそれがあるが、変形凹部を設けたことにより、端部側突出部による内部への水分の浸入を抑制しながら、締付け固定部の締付け変形に伴う端部の変形による止水性低下を抑制することができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記変形凹部を、前記端部に向かって溝幅が徐々に狭くなる先細り形状で形成することができる。
上述の前記端部に向かって溝幅が徐々に狭くなる先細り形状は、端部側に凸な台形状、三角形状、あるいはドロップ形状などを含むものとする。
【0029】
この発明により、締付け固定部の締付け変形による影響は、締付け固定部から端部側に向かって徐々に軽減するため、前記変形凹部を、前記端部に向かって溝幅が徐々に狭くなる先細り形状で形成することによって、局所的に変形を吸収することがなく、締付け固定部より端部側の全体で吸収するため、局所的な負荷が生じることがない。
【0030】
またこの発明の態様として、前記変形凹部は、前記軸方向に溝深さが変化し、溝最深部を、前記
外装部材の凸部に対応する位置に形成することができる。
上述の前記軸方向に溝深さが変化する変形凹部は、変形凹部における軸方向の中央付近に溝最深部があり、変形凹部の反端部側及び端部側の両側から滑らかな傾斜で溝最深部まで深くなる変形凹部、変形凹部における軸方向の中央よりすこし反端部側に溝最深部があり、変形凹部の端部から滑らかな傾斜で溝最深部まで深くなるとともに、変形凹部の反端部から急な傾斜で溝最深部まで深くなる変形凹部、あるいは、変形凹部における軸方向の中央よりすこし端部側に溝最深部があり、変形凹部の反端部から滑らかな傾斜で溝最深部まで深くなるとともに、変形凹部の端部から急な傾斜で溝最深部まで深くなる変形凹部とすることができる。
【0031】
この発明により、変形凹部による締付け固定部より端部側の変形吸収性を制御し、所望の変形を実現することができる。
詳しくは、前記軸方向に溝深さを変化させて、溝最深部の軸方向における位置を調整することで変形凹部による締付け固定部より端部側の変形吸収性を制御することができる。また、溝最深部を、前記
外装部材の凸部に対応する位置に形成することで、変形凹部を設けたことによって締付け固定部より端部側がめくれるなどの意図しない変形となることを防止することができる。
【0032】
また、この発明の態様として、前記複数の固定側突出部を、2つの前記固定側突出部で構成することができる。
この発明により、グロメットの止水性を、より確実に向上することができる。
【0033】
詳述すると、3つ以上の固定側突出部を備えた場合、締付け部材の締付けによって生じる締付け荷重は、3つ以上の固定側突出部に分散されるため、1つの固定側突出部に作用する締付け荷重は低下するが、2つの固定側突出部を備えたことで、1つの固定側突出部に対して作用する締付け荷重が低下することを防止して、固定側突出部に所望の締付け荷重を作用させることができる。
【0034】
これにより、2つの固定側突出部は、所望の締付け荷重によって外装部材の外周面との安定した凹凸嵌合状態を得ることができるため、グロメットの止水性をより確実に向上することができる。
【0035】
また、この発明の態様として、前記端部側突出部を、前記端部に沿って配置することができる。
この発明により、グロメット周辺を高圧洗浄する場合であっても、グロメットの端部から内部に水分が浸入することを防止できる。
【0036】
詳述すると、例えば、高圧力で噴射した水分によってグロメット周辺を洗浄する高圧洗浄を行う場合、グロメットの端部よりも内部に端部側突出部を配置すると、高圧力で噴射した水分が外装部材とグロメットとの間を容易に通過して端部側突出部まで到達し、内部側に作用する水圧によってグロメットの端部側がめくり上がるおそれがあるが、端部側突出部をグロメットの端部に沿って配置したことで、水分がグロメットの内部に侵入して端部側をめくり上げること阻止できるため、グロメットの止水性を向上することができる。
【0037】
また、この発明の態様として、前記端部付近の前記外周面に、前記端部に向けて徐々に薄肉化する端部薄肉部を備えることができる。
この発明により、グロメットの端部の変形吸収性をより向上させることができるため、グロメットの端部と非配置部とが協働して、グロメットの端部が締付け固定部の変形に伴って変形することを抑制し、外装部材の外周面と端部側突出部とを確実に凹凸嵌合させることができる。
【0038】
さらに、グロメット周辺を高圧洗浄する場合であっても、薄肉端部を備えたことで、グロメットの端部の面積が低下し、噴射する水分によって端面が受ける水圧を低減することができるとともに、グロメットの端部に噴射された水分が、薄肉端部の外周面に沿って流れるため、グロメットの端部側がめくり上がることを、より確実に防止することができる。
【0039】
また、この発明の態様として、前記非配置部の前記軸方向の長さを、前記外装部材における蛇腹状を構成する複数の凸部のうち前記軸方向に隣接する2つの前記凸部の外側寸法以上、且つ3つの前記凸部の外側寸法以下に対応する長さに設定することができる。
【0040】
上記外側寸法は、軸方向における最外部に配置した凸部の外側の面において、互いに対応する箇所同士の寸法であって、例えば、凸部の外側先端部分同士の寸法などを含む概念である。
この発明により、グロメットの止水性をより向上することができる。
【0041】
詳述すると、非配置部の軸方向の長さを、外装部材の隣接する2つの凸部の外側寸法以上に対応する長さに設定したことで、非配置部よりも形状保持性が高い端部側突出部と固定側突出部との間隔が広くなるため、端部側突出部と固定側突出部との間の非配置部の変形吸収性が確実に向上し、端部側突出部と外装部材の凸部とを確実に凹凸嵌合させることができる。
【0042】
一方、非配置部の軸方向の長さを、外装部材の隣接する3つの凸部の外側寸法以下に対応する長さに設定したことで、端部側突出部と固定側突出部との間の非配置部の変形吸収性が過剰に向上することを抑制し、つまり形状保持性を一定レベルに保ち、外装部材の外周面と端部側突出部及び固定側突出部とを精度よく凹凸嵌合させことができる。
これにより、グロメットの止水性をより向上することができる。
【0043】
また、この発明は、上述のグロメットと、該グロメットの内部に挿通する前記被覆電線と、該被覆電線を囲繞して保護するとともに、前記グロメットの前記端部から前記内部に嵌合する前記外装部材と、前記グロメットに設けた前記締付け固定部を締付ける前記締付け部材とで構成したグロメット付ワイヤーハーネスであることを特徴とする。
この発明により、グロメットを嵌合した部分における止水性を向上して、被覆電線の導通性が低下することを防止できる。
【0044】
また、この発明の態様として、前記締付け固定部を、外周面を窪ませた溝状の締付け溝部で構成してもよく、この発明により、締付け部材を締付け溝部に嵌めるように配置して固定側突出部に対応させることができるため、締付け部材の締付けによって生じる締付け荷重を確実に固定側突出部に作用させることができる。
これにより、外装部材の外周面と固定側突出部との凹凸嵌合状態を確実に保持できるため、グロメットの止水性を確保することができる。
【0045】
また、この発明の態様として、前記締付け溝部における前記軸方向の長さを凹状溝幅とし、前記締付け部材における前記軸方向の長さを締付け幅とし、前記凹状溝幅から前記締付け幅を減算した長さを隙間長さとして、前記締付け溝部を、前記凹状溝幅が前記締付け幅の2倍未満となるように構成し、前記固定側突出部を、前記締付け溝部における一方の壁部及び他方の壁部から、前記軸方向にそれぞれ前記隙間長さだけ離間した範囲に対応する前記内周面に形成することができる。
【0046】
この発明により、締付け部材の配置位置が締付け溝部内で偏った場合であっても、締付け部材の締付けによって生じる締付け荷重を、複数の固定側突出部に対して確実に作用させることができる。
【0047】
詳述すると、締付け溝部における一方の壁部に締付け部材が当接した状態、他方の壁部に締付け部材が当接した状態、或いは、締付け部材が締付け溝部の幅方向に対して斜めに傾いた状態などの、軸方向に偏った状態の締付け部材に対応する範囲に固定側突出部を位置することができる。
これにより、締付け溝部内において締付け部材が軸方向に偏った場合であっても、確実に複数の固定側突出部に締付け荷重を作用させて、グロメットの止水性を向上することができる。
【0048】
また、この発明の態様として、内径を、前記外装部材の外径よりも小さく形成することができる。
この発明により、外装部材がグロメットを押し広げる態様、或いは、グロメットが外装部材を押し狭める態様、つまり、グロメットの内周面と外装部材の外周面とは、径内外方向に互いに押し合う態様で密着するため、グロメットの密閉性を向上して、グロメットの止水性をさらに向上することができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明は、締付け固定部の変形に伴って端部が変形することを抑制し、止水性を向上するグロメットを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0051】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
なお、
図1はグロメット付取付部材3における上方正面視の外観斜視図を示し、
図2はグロメット付取付部材3、及びインバーター側コネクタ21における下方背面視の外観斜視図を示し、
図3はグロメット付取付部材3における前後方向Xに沿った縦断面図を示し、
図4はグロメット付取付部材3における上方正面視の分解斜視図を示している。
【0052】
さらに、
図5は
図3中におけるA部の要部拡大図を示し、
図6は電線囲繞部41の拡大平面図を示し、
図7がコルゲートチューブ5との接続部分における説明図を示している。詳しくは、
図7(a)はコルゲートチューブ5との接続部分における分解状態の背面視の分解斜視図を示し、
図7(b)は
図3中のa−a矢視断面図を示し、
図7(c)は
図3中のb−b矢視断面図を示している。
【0053】
また、
図8はグロメット付取付部材3における前後方向Xに沿った横断面図を示し、
図9は
図8中のc−c矢視断面図を示し、
図10は
図3中におけるB部の要部拡大図を示し、
図11は側面視における切欠き部444の要部拡大図を示し、
図12は変形凹部46の説明図を示している。
【0054】
なお、図示を明確にするため、
図1乃至
図4、
図7及び
図8においてコルゲートチューブ5やグロメット40より被覆電線12,13を長く図示するとともに、
図7において被覆電線12,13を破線で図示している。また、
図4中においてハーネス側コネクタ11を二点鎖線で示し、
図9中においてワイヤーハーネス1の図示を省略し、
図11において結束バンド6を二点鎖線で示している。
【0055】
また、
図1中において、矢印Xは前後方向を示し(以下「前後方向X」とする)、矢印Yは幅方向を示し(以下、「幅方向Y」とする)、矢印Zは上下方向を示している(以下、「上下方向Z」とする)。さらに、前後方向Xにおいて、後述するコネクタシェル30側(
図1中の左側)を前方とし、後述するワイヤーハーネス1側(
図1中の右側)を後方とする。加えて、
図1中の上側を上方とし、
図1中の下側を下方とする。
【0056】
本実施形態は、詳細な図示を省略するが、例えば、ハイブリッド自動車において、電気モーターに一端が接続されたワイヤーハーネス1と、インバーター2との接続箇所を覆うグロメット付取付部材3について、
図1から
図11を用いて説明する。
【0057】
まず、本実施例におけるワイヤーハーネス1は、
図1から
図3に示すように、グロメット付取付部材3に挿通した状態で、インバーター2に設けたインバーター側コネクタ21に接続される。
ここで、ワイヤーハーネス1、及びインバーター側コネクタ21について説明する。
【0058】
ワイヤーハーネス1は、
図1から
図3に示すように、幅方向Yに並置した2つの接続端子(図示省略)を内部に収容したハーネス側コネクタ11と、ハーネス側コネクタ11の接続端子に接続した2本の被覆電線12とで構成している。
【0059】
ハーネス側コネクタ11は、インバーター側コネクタ21の内部に嵌合する前側部分11aと、グロメット付取付部材3(後述するグロメット付取付部材3のコネクタシェル30)の内部に嵌合する後側部分11bとを、前方からのこの順番で一体形成している。
【0060】
ハーネス側コネクタ11の前側部分11aは、幅方向Yに長い正面視略長楕円形状であって、その先端近傍の外周に沿って凹設した凹溝に、インバーター側コネクタ21の内部と当接するシールリング11cを装着している。
ハーネス側コネクタ11の後側部分11bは、前側部分11aよりも大きい略相似形の正面視略長楕円形状に形成している。
【0061】
上述した構成のワイヤーハーネス1における被覆電線12は、金属線を略筒状に編み込んだ編組線4で、その外周面が覆われている。
さらに、2本の被覆電線12及び編組線4は、後述するグロメット40の分岐部42に挿通する被覆電線13とともに、合成樹脂製の略筒状体であるコルゲートチューブ5に一体的に挿通している。
【0062】
このコルゲートチューブ5における前後方向Xに沿った断面形状は、
図2及び
図3に示すように、断面略台形状の凸部分5aと凹部分5bとが、前後方向Xに沿って連続する断面凹凸形状の蛇腹状に形成している。
【0063】
そして、ワイヤーハーネス1、編組線4、被覆電線13、及びコルゲートチューブ5の前端を、後述するグロメット40の内部に収容して、グロメット付ワイヤーハーネス100を構成している(
図4参照)。
【0064】
一方、インバーター側コネクタ21は、
図2及び
図3に示すように、インバーター2の取付け面2aに所定の大きさで開口形成した開口孔(図示省略)に挿通固定されるコネクタハウジング22と、コネクタハウジング22の内部に配置された2つの接続端子23などで構成している。
【0065】
コネクタハウジング22は、取付け面2aよりも後方へ突出する本体部分(図示省略)と、取付け面2aの開口孔に挿通するとともに、インバーター2の内部に突出する挿通部分(図示省略)とで一体形成している。
【0066】
なお、コネクタハウジング22の本体部分は、幅方向Yに長い背面視略長楕円状の閉断面形状を前後方向Xに延設するとともに、ハーネス側コネクタ11の前側部分11aが嵌合可能な大きさの内面形状を有する略筒状体に形成している。
【0067】
2つの接続端子23は、コネクタハウジング22における本体部分の内部において、幅方向Yに所定間隔を隔てて固定している。この接続端子23は、コネクタハウジング22の挿通部分において、図示を省略した被覆電線に接続している。
【0068】
このインバーター側コネクタ21が装着された取付け面2aには、
図2及び
図3に示すように、インバーター側コネクタ21の上方において、グロメット付取付部材3(後述するグロメット付取付部材3のコネクタシェル30)を固定する固定ボルト24が螺合するネジ孔2bを形成している。
【0069】
上述した構成のワイヤーハーネス1と、インバーター側コネクタ21との接続箇所を一体的に覆うグロメット付取付部材3は、
図1から
図4に示すように、インバーター側コネクタ21に対して嵌合装着されるアルミ合金製のコネクタシェル30と、コネクタシェル30の後部に対して装着される弾性を有する合成樹脂製のグロメット40と、コネクタシェル30にグロメット40を固定する合成樹脂製の結束バンド6とで構成している。
【0070】
コネクタシェル30は、
図1から
図4に示すように、前後方向Xに延びる筒状体であって、取付け面2aに当接するシェル基部31と、インバーター側コネクタ21が嵌合するインバーター側胴部32と、グロメット40に嵌合するグロメット側胴部33とを、前方からこの順番で一体形成して構成している。
【0071】
さらに、コネクタシェル30には、インバーター側胴部32とグロメット側胴部33との境界部分に第1フランジ部34を形成し、グロメット側胴部33に第2フランジ部35、及び第3フランジ部36を形成している。
【0072】
コネクタシェル30のシェル基部31は、
図3及び
図4に示すように、前後方向Xに所定の厚みを有する正面視略矩形の基部本体311と、基部本体311の上端から上方に延設した正面視略三角形の締結固定部312とで一体形成している。
【0073】
さらに、基部本体311の下端には、前方へ向けて突出するとともに、幅方向Yに延びる線状突部313を形成している。
締結固定部312には、インバーター2のネジ孔2bに螺合する固定ボルト24が挿通する貫通孔314を、前後方向Xに沿って開口形成している。
【0074】
コネクタシェル30のインバーター側胴部32は、
図3及び
図4に示すように、幅方向Yに長い背面視略長楕円形状の閉断面形状を前後方向Xに延設した略筒状体に形成している。このインバーター側胴部32の内面形状は、インバーター側コネクタ21と略相似形の正面視略長楕円形状であって、インバーター側コネクタ21が嵌合可能な大きさに形成している。
【0075】
さらに、インバーター側胴部32の下面には、
図2及び
図3に示すように、下方へ向けて立設するとともに、後方側が開口した底面視略コ字状の突起によって凹溝状に形成した先端装着部321を備えている。この先端装着部321は、コネクタシェル30にグロメット40を装着した状態において、後述するグロメット40の延設部445が装着可能に形成している。
【0076】
コネクタシェル30のグロメット側胴部33は、
図3及び
図4に示すように、インバーター側胴部32と略同等の大きさで、幅方向Yに長い正面視略長楕円状の閉断面形状を、前後方向Xに延設した筒状体に形成している。
【0077】
コネクタシェル30の第1フランジ部34は、
図3及び
図4に示すように、インバーター側胴部32とグロメット側胴部33との境界部分における外周面から外方に向けて突出した正面視略長楕円形状に形成している。なお、第1フランジ部34は、正面視略長楕円形状の直線部分における突出長さ(インバーター側胴部32の厚み方向における長さ)に対して、湾曲部分における突出長さ(インバーター側胴部32の厚み方向における長さ)が長い形状に形成している(
図9参照)。
【0078】
コネクタシェル30の第2フランジ部35は、
図3及び
図4に示すように、前後方向Xにおいて、グロメット側胴部33の略中央における外周面から外方に向けて突出した正面視略長楕円形状に形成している。
【0079】
コネクタシェル30の第3フランジ部36は、
図3及び
図4に示すように、第2フランジ部35と略同等の大きさで、グロメット側胴部33の後端から外方に向けて突出した正面視略長楕円形状に形成している。
【0080】
この第2フランジ部35と第3フランジ部36との間におけるコネクタシェル30には、
図3に示すように、外方から覆うように被された編組線4を装着固定する合成樹脂製の結束バンド7を巻着している。
【0081】
なお、結束バンド7は、コネクタシェル30の周方向に長い略帯状のバンド部7aと、バンド部7aの一端に設けるとともに、内部に挿通したバンド部7aを係止するロック部7bとで一体形成している。
この結束バンド7は、コネクタシェル30における正面視略長楕円形状の湾曲部分に、ロック部7bが位置するように巻着している(
図8参照)。
【0082】
グロメット40は、
図1から
図4に示すように、ワイヤーハーネス1が挿通する内部空間を有する略筒状体に形成している。
より詳しくは、グロメット40は、コルゲートチューブ5を介して被覆電線12,13を囲繞する電線囲繞部41と、電線囲繞部41の前端近傍から上方へ分岐するとともに、被覆電線13が挿通する分岐部42と、ハーネス側コネクタ11、及び被覆電線12の接続近傍を囲繞する蛇腹部43と、コネクタシェル30のグロメット側胴部33を介して、ハーネス側コネクタ11を囲繞するコネクタ囲繞部44とで一体形成している。
【0083】
グロメット40の電線囲繞部41は、
図2及び
図3に示すように、コルゲートチューブ5の外径よりも小径の内径を有する略円筒状に形成している。なお、電線囲繞部41の後端における外面形状は、外径を後方へ向けて徐々に縮径するように傾斜して、薄肉化した傾斜部分41aを有する形状に形成している。
【0084】
さらに、電線囲繞部41の後端近傍における内周面には、内方へ向けて突設するとともに、周方向に沿って延設した複数の環状突部410を形成している。
この環状突部410は、
図5に示すように、前後方向Xに沿った断面が断面略台形状であって、コルゲートチューブ5の凹部分5bに対して弾性変形しながら凹凸嵌合する大きさで形成している。
【0085】
また、環状突部410は、電線囲繞部41の後端開口縁に沿って形成された後端側環状突部411と、後端側環状突部411から所定間隔を隔てて前方に配置した固定側環状突部412,413とで構成し、後端から前方に向かってこの順で配置している。
【0086】
詳述すると、第1固定側環状突部412は、後端側環状突部411から前方に、コルゲートチューブ5の隣接する2つの凸部分5aの外側寸法Wに対応する長さを隔てた位置に形成している。
第2固定側環状突部413は、第1固定側環状突部412よりも前方において、第1固定側環状突部412が嵌合するコルゲートチューブ5の凹部分5bに隣接する凹部分5bに嵌合可能に形成している。
【0087】
また、前後方向Xにおいて、後述するように、後方バンド装着部415に対応する固定側環状突部412,413のうち後端側の第1固定側環状突部412には、周方向に分断するスリット412aを設けている。
【0088】
スリット412aは、第1固定側環状突部412を周方向に分断する切込みであり、
図7(b),(c)に示すように、周方向に延設された第1固定側環状突部412において、後述する結束バンド8のロック部8bが配置されるロック配置部415aに対応する箇所、つまり径方向外側から見てロック配置部415aと重なる箇所と、ロック配置部415aに対応する箇所と周方向に対向する箇所、つまり
図7において水平方向の側方の2箇所に設けている。
【0089】
上述のように、環状突部410を配置したグロメット40は、コルゲートチューブ5と嵌合した状態において、後端側環状突部411と第1固定側環状突部412との間に位置するコルゲートチューブ5の隣接する2つの凸部分5aと、電線囲繞部41とが凹凸嵌合しない範囲を設けている。
【0090】
この電線囲繞部41とコルゲートチューブ5とが凹凸嵌合しない範囲は、環状突部410のような突部を配置しておらず、環状突部410近傍における電線囲繞部41よりも変形吸収性が高い部分であって、これを高変形吸収性部分414とする。
【0091】
高変形吸収性部分414の外周面において、後述する後方バンド装着部415より後端側、つまり前後方向Xにおける第1固定側環状突部412より後端側の外周面に、高変形吸収性部分414を貫通しない変形凹部46を形成している。
変形凹部46は、前後方向Xの後端側に向かって溝幅が徐々に狭くなる先細りの平面視台形状であり、前後方向Xに溝深さが変化する凹部である。
【0092】
詳述すると、前後方向Xに溝深さが変化する凹部である変形凹部46の溝最深部46aは、複数配置された後端側環状突部411と第1固定側環状突部412との間において、嵌合するコルゲートチューブ5の凸部分5aに対応する位置、つまり径方向外側から見て凸部分5aと重なる位置に形成されている。
【0093】
また、前後方向Xに溝深さが変化する変形凹部46の溝最深部46aは、変形凹部46における前後方向Xの中央よりすこし前方側に配置され、変形凹部46から滑らかな傾斜で溝最深部46aまで深くなるとともに、変形凹部46の後端である後方バンド装着部415の近傍から急な傾斜で溝最深部46aまで深くなる、前後方向Xに沿った断面略への字型である。
【0094】
一方、電線囲繞部41の後端近傍における外周面には、
図3及び
図4に示すように、前後方向Xにおいて、第1固定側環状突部412、及び第2固定側環状突部413と略同等の位置に周方向に沿って凹設するとともに、合成樹脂製の結束バンド8が巻着される後方バンド装着部415を形成している。
【0095】
なお、結束バンド8は、電線囲繞部41の周方向に長い略帯状のバンド部8aと、バンド部8aの一端に設けるとともに、内部に挿通したバンド部8aを係止するロック部8bとで一体形成している。
【0096】
この後方バンド装着部415は、
図5に示すように、第1固定側環状突部412に対応する位置において、後方バンド装着部415の後方壁と結束バンド8の後端とが当接し、第2固定側環状突部413に対応する位置において、後方バンド装着部415の前方壁と結束バンド8の前端とが当接する前後方向Xの長さを有する凹溝状に形成している。
【0097】
すなわち、後方バンド装着部415における前後方向Xに沿った所定範囲に、第1固定側環状突部412、及び第2固定側環状突部413が位置するように、後方バンド装着部415を形成している。
【0098】
詳述すると、後方バンド装着部415における前後方向Xの長さを装着部溝幅とし、結束バンド8のバンド部8aにおける前後方向Xの長さをバンド幅とし、装着部溝幅からバンド幅を減算した前後方向Xの長さを隙間長さと定義する。
【0099】
この際、後方バンド装着部415の装着部溝幅を、バンド幅の2倍未満として、後方バンド装着部415における前後方向Xの前端、及び後端からそれぞれ前後方向Xに隙間長さだけ離間した後方バンド装着部415の範囲を、後方バンド装着部415における前後方向Xに沿った所定範囲とする。
【0100】
そして、第1固定側環状突部412、及び第2固定側環状突部413に対して、後方バンド装着部415における前後方向Xに沿った所定範囲が対向するように、バンド幅の2倍未満の装着部溝幅を有する後方バンド装着部415を電線囲繞部41の外周面に形成している。
【0101】
換言すると、
図5及び下記「数1」に示すように、結束バンド8における前後方向Xの長さ(以下、「バンド幅W1」とする)が、第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413における前後方向Xの間隔(以下、「突部間隔W2」とする)以上となるように結束バンド8が形成されている。
【0102】
そして、下記「数2」に示すように、後方バンド装着部415における前後方向Xの長さ(以下、「装着部溝幅W3」とする)が突部間隔W2よりも長く、かつバンド幅W1に「2」を乗算した値から突部間隔W2を減算した長さよりも短くなるように、後方バンド装着部415を形成している。
【0105】
グロメット40の分岐部42は、
図3及び
図4に示すように、前方斜め上方へ向けて延設した略円筒状であって、電線囲繞部41の内部空間と連通するように形成している。なお、分岐部42の先端部は、電線囲繞部41の後端部と同様の構成のため、電線囲繞部41と同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0106】
グロメット40の蛇腹部43は、
図3及び
図4に示すように、正面視略円状の閉断面形状が、幅方向Yに長い正面視略長楕円状の閉断面形状となるように、電線囲繞部41の前端から前方へ向けて、その内外径を拡径するように延設している。
【0107】
グロメット40のコネクタ囲繞部44は、
図3及び
図4に示すように、幅方向Yに長い背面視略長楕円状の閉断面形状を前後方向Xに延設した略筒状体に形成している。より詳しくは、コネクタシェル30に装着した状態において、コネクタ囲繞部44は、コネクタシェル30の第1フランジ部34に、コネクタ囲繞部44の前端部が近接対向する前後方向Xの長さで、蛇腹部43から前方へ向けて延設している。
【0108】
このコネクタ囲繞部44の外面形状は、上下方向Zの長さが第1フランジ部34における上下方向Zの長さよりも長く、かつ幅方向Yにおける長さが第1フランジ部34における幅方向Yの長さよりも短い正面視略長楕円形状に形成している。
【0109】
一方、コネクタ囲繞部44の内面形状は、コネクタシェル30におけるグロメット側胴部33の外面形状よりも小さい略相似形の正面視略長楕円形状であって、グロメット側胴部33が嵌合可能な大きさに形成している。
さらに、コネクタ囲繞部44には、
図2に示すように、正面視略長楕円形状における一方の湾曲部分の頂部に、幅方向Yの外側へ向けて膨出した膨出部441を形成している。
【0110】
膨出部441は、
図8に示すように、コネクタシェル30が嵌合した状態において、グロメット側胴部33における第2フランジ部35と第3フランジ部36との間に対応する部分に形成している。この膨出部441は、結束バンド7のロック部7bを収容可能な内部空間を有する形状に形成している。
【0111】
加えて、コネクタ囲繞部44の前端部における外周面には、
図1及び
図3に示すように、コネクタシェル30にグロメット40を固定する結束バンド6が巻着される前方バンド装着部442を形成している。
【0112】
なお、結束バンド6は、コネクタ囲繞部44に巻着される略帯状のバンド部6aと、バンド部6aの一端に設けるとともに、内部に挿通したバンド部6aを係止するロック部6bとで一体形成している。
この結束バンド6は、後述する前方バンド装着部442の切欠き部444(
図9参照)と前後方向Xで対向する位置に、ロック部6bが位置するようにコネクタ囲繞部44に巻着されている。
【0113】
前方バンド装着部442は、
図3に示すように、コネクタシェル30が嵌合した状態において、第1フランジ部34と第2フランジ部35との間におけるグロメット側胴部33に対応する外周面に形成している。
【0114】
より詳しくは、前方バンド装着部442は、
図10に示すように、コネクタ囲繞部44の周方向に沿って凹設するとともに、結束バンド6におけるバンド部6aの肉厚よりも低い高さの前方側壁部分442a、及び後方側壁部分442bを、それぞれ前方側、及び後方側に有する凹溝状に形成している。
【0115】
この前方バンド装着部442に対応するコネクタ囲繞部44の内周面には、内方へ向けて突設するとともに、周方向に沿って延設したリップ部443を、前後方向Xに沿って並置するように2つ形成している。
【0116】
この2つのリップ部443は、前後方向Xの断面において、前方バンド装着部442の前方側壁部分442a、及び結束バンド6におけるバンド部6aの前端が当接する状態と、前方バンド装着部442の後方側壁部分442b、及び結束バンド6におけるバンド部6aの前端が当接する状態とにおいて、バンド部6aが重合する範囲に形成している。
【0117】
すなわち、前方バンド装着部442における前後方向Xに沿った所定範囲に、2つのリップ部443が位置するように、前方バンド装着部442を形成している。
詳述すると、前方バンド装着部442における前後方向Xの長さを装着部溝幅とし、結束バンド6のバンド部6aにおける前後方向Xの長さをバンド幅とし、装着部溝幅からバンド幅を減算した前後方向Xの長さを隙間長さと定義する。
【0118】
この際、前方バンド装着部442の装着部溝幅を、バンド幅の2倍未満として、前方側壁部分442a、及び後方側壁部分442bからそれぞれ隙間長さだけ前後方向Xに離間した前方バンド装着部442の範囲を、前方バンド装着部442における前後方向Xに沿った所定範囲とする。
【0119】
そして、2つのリップ部443に対して前方バンド装着部442における前後方向Xに沿った所定範囲が対向するように、バンド幅の2倍未満の装着部溝幅を有する前方バンド装着部442をコネクタ囲繞部44の外周面に形成している。
【0120】
換言すると、
図10及び下記「数3」に示すように、結束バンド6における前後方向Xの長さ(以下「バンド幅W11」とする)が、2つのリップ部443における前後方向Xの間隔(以下、「リップ部間隔W12」とする)以上となるように結束バンド6が形成されている。
【0121】
そして、下記「数4」に示すように、前方バンド装着部442における前後方向Xの長さ(以下、「装着部溝幅W13」とする)がリップ部間隔W12よりも長く、かつバンド幅W11に「2」を乗算した値からリップ部間隔W12を減算した長さよりも短くなるように、前方バンド装着部442を形成している。
【0124】
この前方バンド装着部442の前方側壁部分442aには、
図4、
図8、及び
図9に示すように、正面視において、膨出部441に対して幅方向Yで対向する湾曲部分の頂部を、前後方向Xに沿って切欠いた切欠き部444を形成している。
【0125】
切欠き部444は、正面視において、結束バンド6のロック部6bと対向する範囲を、
図11に示すように、側面視において、後方側が幅広で、前方側が幅狭の側面視略台形状に切り欠いて形成している。
【0126】
より詳しくは、切欠き部444は、上下方向Zにおける前方側の切欠き長さ、及び後方側の切欠き長さが、ロック部6bにおける上下方向Zの長さよりも長い側面視略台形状に切り欠いている。
なお、切欠き部444は、コネクタシェル30にグロメット40を装着した状態において、第1フランジ部34の外周縁よりも内側の部分と対向するように形成している。
【0127】
加えて、コネクタ囲繞部44の前端下部には、
図2及び
図3に示すように、正面視略長楕円形状における直線部分から前方へ向けて延設した平面視略矩形の延設部445を備えている。この延設部445は、コネクタシェル30にグロメット40を装着した状態において、コネクタシェル30の先端装着部321に装着可能に形成している。
【0128】
引き続き、上述した構成のグロメット付取付部材3の組付け方法について簡単に説明する。まず、コネクタシェル30のグロメット側胴部33を、編組線4に挿通したのち、結束バンド7をグロメット側胴部33に巻着して、グロメット側胴部33に編組線4を組付ける。
【0129】
その後、予めグロメット40に挿通したワイヤーハーネス1をコネクタシェル30に嵌合したのち、コネクタシェル30をグロメット40に嵌合する。その後、後方バンド装着部415、及び前方バンド装着部442にそれぞれ結束バンド8、及び結束バンド6を巻着して、ワイヤーハーネス1が挿通されたグロメット付取付部材3を構成する。
【0130】
上述のように構成したグロメット40、被覆電線12,13、コルゲートチューブ5、及び結束バンド8でグロメット付ワイヤーハーネス100を構成したことで、グロメット40を装着した部分における止水性を向上して、被覆電線12,13の導通性が低下することを防止できる。
【0131】
また、グロメット付ワイヤーハーネス100を構成するグロメット40は、後端付近で内部に嵌合したコルゲートチューブ5と重合する部分の外周面に後方バンド装着部415と、後端付近に配置した後端側環状突部411と、後方バンド装着部415の範囲に対応する内周面において所定の間隔を隔てて配置した第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413とで構成し、後端側環状突部411と第1固定側環状突部412との間に、突部を配置していない非配置部として、後方バンド装着部415よりも変形吸収性が高い高変形吸収性部分414を設けることで、後方バンド装着部415の変形に伴ってグロメット40の後端が変形することを抑制し、グロメット40の止水性を向上することができる。
【0132】
詳述すると、後端側環状突部411と第1固定側環状突部412との間に、突部を備えていない非配置部として、後方バンド装着部415よりも変形吸収性が高い高変形吸収性部分414を設けることで、締付け状態における後方バンド装着部415の変形の影響を高変形吸収性部分414が吸収するため、後方バンド装着部415の変形に伴ってグロメット40の後端が変形することを抑制できる。これにより、結束バンド8によって後方バンド装着部415を締付けたグロメット40の後端開口縁に沿って配置した後端側環状突部411は、コルゲートチューブ5の凹部分5bと密着した状態で凹凸嵌合することができる。
【0133】
また、環状突部410のうちいずれか一方のみを備えた場合におけるグロメット40は、コルテートチューブ5の凹部分5bと安定した嵌合状態を得ることができないおそれがあるが、後方バンド装着部415の範囲に対応する内周面において所定の間隔を隔てて第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413を配置したことで、結束バンド8の締付けによって生じる締付け荷重が第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413に作用して、コルゲートチューブ5の凸部分5a及び凹部分5bと第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413との安定した凹凸嵌合状態を実現することができる。
【0134】
従って、グロメット40は、環状突部を配置しないという簡素な構成で、高変形吸収性部分414を構成して、後端側環状突部411よりも内部に水分が浸入することを抑制できるとともに、第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413よりも内部に水分が浸入することを確実に防止できるため、グロメット40の止水性を向上することができる。
【0135】
なお、コルゲートチューブ5を嵌合する際に拡径治具を用いてグロメット40の後端側を拡径する場合があるが、後端側環状突部411と第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413との間に、後方バンド装着部415よりも変形吸収性が高い高変形吸収性部分414を設けることで、グロメット40の後端側を容易に拡径して、コルゲートチューブ5を嵌合することができる。
【0136】
第1固定側環状突部412に、周方向に分断するスリット412aを設けているため、第1固定側環状突部412の変形吸収性が向上することにより、結束バンド8による後方バンド装着部415の締付け変形の影響を低減することができる。したがって、後方バンド装着部415の締付け変形に伴う後端部分の変形による止水性低下を抑制することができる。
【0137】
また、結束バンド8は、バンド部8aと、バンド部8aをロックするロック部8bとで構成され、スリット412aを、第1固定側環状突部412における周方向のロック部8bに対応する箇所、及び対向する箇所に設けているため、後方バンド装着部415の締付けによる第1固定側環状突部412の変形吸収性をより向上することができる。
【0138】
詳述すると、バンド部8aと、バンド部8aをロックするロック部8bとで構成された結束バンド8を締付けると、ロック部8bと、ロック部8bに対向する部分とが長軸方向となる略楕円状に締付けられるため、第1固定側環状突部412における周方向のロック部8bに対応する箇所、及び対向する箇所にスリット412aを設けることで第1固定側環状突部412の変形吸収性をより向上することができる。
【0139】
また、環状突部410のうち後端側の第1固定側環状突部412にスリット412aを設けているため、環状突部410のうち前方の第2固定側環状突部413にスリットを設けた場合に比べ、後端側の第1固定側環状突部412の変形吸収性を向上することにより、後方バンド装着部415の締付け変形に伴う後端部分の変形による止水性低下を抑制することができる。
【0140】
また、高変形吸収性部分414の外周面に、凹状の変形凹部46を設けているため、高変形吸収性部分414の変形吸収性を向上することができ、後方バンド装着部415の締付け変形に伴う後端部分の変形による止水性低下を抑制することができる。
【0141】
また、内部への水分の浸入を抑制するための後端側環状突部411を後端に備えたことによって後端の形状保持性が増大し、後方バンド装着部415の締付け変形に伴う端部の変形による止水性が低下するおそれがあるが、変形凹部46を設けたことにより、後端側環状突部411による内部への水分の浸入を抑制しながら、後方バンド装着部415の締付け変形に伴う後端部分の変形による止水性低下を抑制することができる。
【0142】
また、変形凹部46を、後端に向かって溝幅が徐々に狭くなる先細りの平面視台形状であるため、後方バンド装着部415の締付け変形による影響は、後方バンド装着部415から後端側に向かって徐々に軽減するため、変形凹部46を、後端に向かって溝幅が徐々に狭くなる台形状で形成することによって、局所的に変形を吸収することがなく、高変形吸収性部分414の全体で吸収するため、局所的な負荷が生じることがない。
【0143】
また、変形凹部46は、前後方向Xの中央よりすこし前方側に溝最深部46aがあり、変形凹部46の後端側から滑らかな傾斜で溝最深部46aまで深くなるとともに、変形凹部46の前方から急な傾斜で溝最深部46aまで深くなるように、前後方向Xに溝深さが変化し、溝最深部46aを、複数配置された環状突部410の間に対応する位置、より詳しくは、嵌合するコルゲートチューブ5の凸部分5aと径方向外側から見て少なくとも一部が重なる位置に形成されているため、変形凹部46による高変形吸収性部分414の変形吸収性を制御し、所望の変形を実現することができる。
【0144】
詳しくは、前後方向Xに溝深さを変化させて、溝最深部46aの前後方向Xにおける位置を調整することで変形凹部46による高変形吸収性部分414の変形吸収性を制御することができる。また、溝最深部46aを、複数配置された後端側環状突部411と第1固定側環状突部412との間において、嵌合するコルゲートチューブ5の凸部分5aに対応する位置、つまり径方向外側から見て凸部分5aと重なる位置に形成することで、変形凹部46を設けたことによって高変形吸収性部分414がめくれるなどの意図しない変形となることを防止することができる。
【0145】
また、
図7(c)に示すように、外周面に形成した変形凹部46と、第1固定側環状突部412における側方に形成したスリット412aとが、高変形吸収性部分414の断面方向において一致していないため、結束バンド8による後方バンド装着部415の締め付け変形に伴う変形の影響を断面方向に分散でき、断面方向の局所が変形することを防止することができる。
【0146】
また、グロメット40の高変形吸収性部分414の前後方向Xの長さを、コルゲートチューブ5を構成する複数の凸部分5aのうち前後方向Xに隣接する2つの凸部分5aの外側寸法Wに対応する長さに設定したことにより、グロメットの止水性をより向上することができる。
【0147】
詳述すると、高変形吸収性部分414の前後方向Xの長さを、前後方向Xに隣接する2つの凸部分5aの外側寸法Wに対応する長さに設定したことで、高変形吸収性部分414よりも形状保持性が高い後端側環状突部411と第1固定側環状突部412との間隔が広くなるため、後端側環状突部411と第1固定側環状突部412との間の高変形吸収性部分414の変形吸収性が確実に向上し、後端側環状突部411とコルゲートチューブ5の凹部分5bとを確実に凹凸嵌合させることができる。
【0148】
一方、高変形吸収性部分414の前後方向Xの長さを、前後方向Xに隣接する2つの凸部分5aの外側寸法Wに対応する長さに設定したことで、後端側環状突部411と第1固定側環状突部412との間の高変形吸収性部分414の変形吸収性が過剰に向上することを抑制し、つまり形状保持性を一定レベルに保ち、コルゲートチューブ5の凸部分5a及び凹部分5bと、後端側環状突部411及び第1固定側環状突部412とを精度よく凹凸嵌合させことができる。
これにより、グロメット40の止水性をより向上することができる。
【0149】
また、グロメット40の後方バンド装着部415を、外周面を窪ませた溝状に形成したことで、結束バンド8を後方バンド装着部415に嵌めるように配置して第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413に対応させることができるため、結束バンド8を締付けによって生じる締付け荷重を確実に第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413に作用させることができる。
【0150】
これにより、コルゲートチューブ5の凸部分5a及び凹部分5bと第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413との凹凸嵌合状態を確実に保持できるため、グロメット40の止水性を確保することができる。
【0151】
また、グロメット40の後方バンド装着部415を、装着部溝幅W3がバンド幅W1の2倍未満となるように構成するとともに、第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413を、後方バンド装着部415における一方の壁部及び他方の壁部から、前後方向Xにそれぞれ隙間長さだけ離間した範囲に対応する内周面に形成したことで、結束バンド8の配置位置が後方バンド装着部415内で偏った場合であっても、結束バンド8の締付けによって生じる締付け荷重を、複数の第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413に対して確実に作用させることができる。
【0152】
詳述すると、後方バンド装着部415における一方の壁部に結束バンド8が当接した状態、他方の壁部に結束バンド8が当接した状態、或いは、結束バンド8が後方バンド装着部415の幅方向に対して斜めに傾いた状態などの、前後方向Xに偏った状態の結束バンド8に対応する範囲に第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413を位置することができる。
【0153】
これにより、後方バンド装着部415内において結束バンド8が前後方向Xに偏った場合であっても、確実に複数の第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413に締付け荷重を作用させて、グロメット40の止水性を向上することができる。
【0154】
また、グロメット40に、第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413を備えたことで、結束バンド8の締付けによって生じる締付け荷重を、第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413への分散に留めることができるため、第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413のそれぞれに対して作用する締付け荷重が低下することを防止して、第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413に所望の締付け荷重を作用させることができる。
【0155】
詳述すると、後方バンド装着部415に対応する範囲に第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413の他に突部を配置した場合、第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413を含む複数の突部に締付け荷重が分散し、1つの突部に作用する締付け荷重は低下するが、後方バンド装着部415に対応する範囲に配置した突部を第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413のみとしたことで、1つの突部に作用する締付け荷重が低下することを防止できる。
【0156】
これにより、第1固定側環状突部412及び第2固定側環状突部413は、所望の締付け荷重によってコルゲートチューブ5の凸部分5a及び凹部分5bとの安定した凹凸嵌合状態を得ることができるため、グロメット40の止水性をより確実に向上することができる。
【0157】
また、グロメット40の内径を、コルゲートチューブ5の外径よりも小さく形成したことで、コルゲートチューブ5がグロメット40を押し広げる態様、或いは、グロメット40がコルゲートチューブ5を押し狭める態様、つまり、グロメット40の内周面とコルゲートチューブ5の外周面とは、径内外方向に互いに押し合う態様で密着するため、グロメット40の密閉性を向上して、グロメット40の止水性をさらに向上することができる。
【0158】
さらにまた、グロメット40の後端側環状突部411を、後端に沿って配置したことで、グロメット40周辺を高圧洗浄する場合であっても、グロメット40の後端から内部に水分が浸入することを防止できる。
【0159】
詳述すると、例えば、高圧力で噴射した水分によってグロメット40周辺を洗浄する高圧洗浄を行う場合、グロメット40の後端よりも内部に後端側環状突部411を配置すると、高圧力で噴射した水分がコルゲートチューブ5とグロメット40との間を容易に通過して後端側環状突部411まで到達し、内部側に作用する水圧によってグロメット40の後端側がめくり上がるおそれがあるが、後端側環状突部411をグロメット40の後端に沿って配置したことで、水分がグロメット40の内部に侵入して後端側をめくり上げることを阻止できる。
【0160】
また、グロメット40の後端付近の外周面に、後端に向けて徐々に薄肉化する傾斜部分41aを備えたことで、グロメット40の後端の変形吸収性をより向上させることができるため、グロメット40の後端と高変形吸収性部分414とが協働して、グロメット40の後端が後方バンド装着部415の変形に伴って変形することを抑制し、コルゲートチューブ5の凹部分5bと後端側環状突部411とを確実に凹凸嵌合させることができる。
【0161】
さらに、グロメット40を高圧洗浄する場合であっても、傾斜部分41aを備えたことで、グロメット40の後端の面積が低下し、噴射する水分によって後端面が受ける水圧を低減することができるとともに、グロメット40の後端に噴射された水分が、傾斜部分41aの外周面に沿って流れるため、グロメット40の後端側がめくり上がることを、より確実に防止することができる。
【0162】
なお、上述の説明によれば、結束バンド6におけるバンド部6aの肉厚よりも低い高さの前方側壁部分442a、及び後方側壁部分442bを有する前方バンド装着部442としたが、これに限定せず、結束バンド6におけるバンド部6aの肉厚よりも高い高さの前方側壁部分442a、及び後方側壁部分442bを有する前方バンド装着部442としてもよい。
【0163】
また、グロメット40にコルゲートチューブ5を嵌合した状態において、後端側環状突部411と第1固定側環状突部412との間隔を、コルゲートチューブ5の隣接する2つの凸部分5aを配置可能に構成することだけに限らず、隣接する3つの凸部分5aを配置可能に構成してもよい。
【0164】
さらに、コルゲートチューブ5を断面凹凸形状の蛇腹状に形成しているが、例えば、外形の断面形状が凹凸形状であるとともに、内形が平滑な外装部材などであってもよく、さらには、凸部分5a及び凹部分5bを、断面台形状に形成することだけに限らず、例えば、略円弧状に形成してもよい。
さらにまた、結束バンド8は、合成樹脂製のみならず、金属製であってもよい。
【0165】
加えて、後方バンド装着部415は、周方向に沿って凹設することだけに限らず、結束バンド8の前後方向Xの両側におけるグロメット40の外周面を外部側に突出させた凸状の後方バンド装着部や、平滑な後方バンド装着部であってもよい。
【0166】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の外装部材は、実施形態のコルゲートチューブ5に対応し、
以下同様に、
凸部は、凸部分5aに対応し、
締付け部材は、結束バンド8に対応し、
薄肉端部は、傾斜部分41aに対応し、
突出部及び端部側突出部は、後端側環状突部411に対応し、
突出部及び固定側突出部は、第1固定側環状突部412,413に対応し、
非配置部は、高変形吸収性部分414に対応し、
周方向分断部は、スリット412aに対応し、
締付け固定部及び締付け溝部は、後方バンド装着部415に対応し、
軸方向は、前後方向Xに対応し、
帯部は、バンド部8aに対応し、
締付け幅は、バンド幅W1に対応し、
凹状溝幅は、装着部溝幅W3に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0167】
上述の説明では、第1固定側環状突部412を周方向に分断する切込みでスリット412aを構成したが、溝、あるいは凹部などで構成してもよいし、その深さは、第1固定側環状突部412の突出量の半分程度であってもよい。
【0168】
また、スリット412aは、
図7(b)に示すように、ロック配置部415aに対応する箇所とその対向箇所の2箇所に設けたが、第1固定側環状突部412における周方向の1箇所、もしくは、4箇所ぐらいまでは設けることができる。このように、スリット412aを複数設ける場合は、第1固定側環状突部412において周方向に均等配置してもよく、周方向の所定範囲に複数設けてもよい。
【0169】
また、固定側環状突部412,413のうち第1固定側環状突部412にスリット412aを設けたが、第2固定側環状突部413にもスリットを設けてもよいし、第2固定側環状突部413のみにスリットを設けてもよい。
【0170】
変形凹部46は、
図12(a)に示すように、前後方向Xの後端側に溝幅が狭くなる平面視略台形状で形成したが、
図12(b)に示すように後端側が円弧状の平面視略ドロップ形状や、
図12(c)に示すように前後方向Xよりも周方向に長い凹部であってもよい。
【0171】
また、
図12(d)に示すように、前後方向Xに溝深さが変化する変形凹部46として、前後方向Xの中央よりすこし前方に溝最深部46aがあり、変形凹部46の後端から滑らかな傾斜で溝最深部46aまで深くなるとともに、変形凹部46の前方から急な傾斜で溝最深部46aまで深くなるように形成したが、
図12(e)に示すように、変形凹部46における前後方向Xの中央付近に溝最深部46aがあり、変形凹部46の前方側及び後端側の両側から滑らかな傾斜で溝最深部46aまで深くなるように形成してもよく、
図12(f)に示すように、変形凹部46における前後方向Xの中央よりすこし後端側に溝最深部46aがあり、変形凹部46の前方から滑らかな傾斜で溝最深部46aまで深くなるとともに、変形凹部46の後端から急な傾斜で溝最深部46aまで深くなるように形成してもよい。
【0172】
このように、前後方向Xに溝深さを変化させて、溝最深部46aの前後方向Xにおける位置を調整することで変形凹部46による高変形吸収性部分414の変形吸収性を制御することができる。また、溝最深部46aを、複数配置された突出部同士の間に対応する位置に形成することで、変形凹部46を設けたことによって高変形吸収性部分414がめくれるなどの意図しない変形となることを防止することができる。
【0173】
あた、分岐部42の外周面に変形凹部46を設けてもよく、さらには、分岐部42における第1固定側環状突部412にスリット412aを設けてもよい。これにより、電線囲繞部41の後端側に設けた高変形吸収性部分414における変形凹部46やスリット412aと同様の効果を奏することができる。