【実施例】
【0036】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
<試験例1>
[比較対照としてのバター含有調味液の試作]
下記表1の配合にて、水、レモン濃縮果汁、食塩、キサンタンガム、バターを原料として、バターの配合量を変えたバター風味調味液を試作した。
【0038】
まず、食塩及びキサンタンガムをビーカーに量り取り、水を加えてから85℃に加温、攪拌して溶解した。ついで、レモン濃縮果汁を用いてpH3.0に調整した後、バターを添加し、80℃で加温、5分間攪拌することで、バターの配合量が異なる各試料を製造した。
【0039】
これらのバター風味調味液について、10名のパネラーにより、調味液をスプーン小に数滴とって、口に含み、バターの香りの好ましさ、調味液で感じるバター様のコクの強さ、調味液で感じるバター様のミルク感の強さ、バター風味の味のバランス(塩味、酸味及びバター香料の香りの強さによる味や香りのまとまり)について評価した。
【0040】
評価は、×…悪い、△…やや悪い、○…良い、◎…非常によい、の基準で行い、全パネラーの平均で表示した。また、それらの結果をまとめて、総合評価を行った。総合評価は、1つでも×がある場合は×、×はないが1つでも△がある場合は△、×も△もないが1つでも○がある場合は○、全部が◎の場合は◎とし、△以上を実用上の許容可能な合格ラインとした。この結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1に示されるように、試料5のバターの含有量が49.8%のとき、香り、コク、ミルク感、味のバランス、総合評価が最も高くなった。よって、試料5を風味が非常によいという評価の基準として、以下の試験を行った。なお、試料5は、風味は良好であったが、製品としては、バターの油脂分が分離し、製品としての安定性が悪いという難点があった。
【0043】
<試験例2>
[バター風味調味液におけるバター風味に対するホエイ蛋白質の影響]
下記表2の配合にて、水、レモン濃縮果汁、食塩、キサンタンガム、バター香料、乳糖、ホエイ蛋白質を原料として、ホエイ蛋白質の配合量を変えたバター風味調味液を試作した。表中のホエイ蛋白質含有量は、調味液全体に対する含有量(質量%)である。
【0044】
まず、食塩、キサンタンガム及び乳糖をビーカーに量り取り、水を加えてから85℃に加熱、攪拌して溶解した。ついで、レモン濃縮果汁を用いてpH3.0に調整後、バター香料を添加し、さらに、ホエイ蛋白質の配合量を変えて添加し、85℃で5分間攪拌することでバター風味調味液を試作した。なお、バター香料としては、ローストバターフレーバー S−08955(曽田香料社製)を用いた。これらのバター風味調味液について、試験例1と同様にして、バターの香りの好ましさ、調味液で感じるバター様のコクの強さ、調味液で感じるバター様のミルク感の強さ、バター風味の味のバランス(塩味、酸味及びバター香料の香りの強さによる味や香りのまとまり)について評価し、それらの結果をまとめて、総合評価を行った。この結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
表2に示されるように、ホエイ蛋白質含有量が3.51〜0.33の実施例1〜5は、ホエイ蛋白質を含有しない比較例1に比べて、バターの香り、コク、ミルク感、味のバランス及び総合評価が高かった。特に、ホエイ蛋白質含有量が2.43〜0.65の実施例2〜4は、バターの香り、コク、ミルク感、味のバランス及び総合評価が良好であった。なお、ホエイ蛋白質含有量が3.51の実施例1は、ミルク感が強い傾向があり、ホエイ蛋白質含有量が0.33の実施例5は、バター様のコクやミルク感が弱い傾向があった。
【0047】
<試験例3>
[バター風味調味液におけるバター風味に対するバター香料の影響]
下記表3の配合にて、水、レモン濃縮果汁、食塩、キサンタンガム、バター香料、乳糖、ホエイ蛋白質を原料として、バター香料の配合量を変えたバター風味調味液を試作した。表中のバター香料含有量は、調味液全体に対する含有量(質量%)である。
【0048】
まず、食塩、キサンタンガム及び乳糖をビーカーに量り取り、水を加えてから85℃に加熱、攪拌して溶解した。ついで、レモン濃縮果汁を用いてpH3.0に調整後、バター香料の配合量を変えて添加し、さらに、ホエイ蛋白質を添加した後、85℃で5分間攪拌してバター風味調味液を試作した。なお、バター香料としては、ローストバターフレーバー S−08955(曽田香料社製)を用いた。これらのバター風味調味液について、試験例1と同様にして、バターの香りの好ましさ、調味液で感じるバター様のコクの強さ、調味液で感じるバター様のミルク感の強さ、バター風味の味のバランス(塩味、酸味及びバター香料の香りの強さによる味や香りのまとまり)について評価し、それらの結果をまとめて、総合評価を行った。この結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
表3に示されるように、バター香料含有量が0.05〜0.43の実施例6〜10は、バター香料を含有しない比較例2に比べて、バターの香り、コク、ミルク感、味のバランス及び総合評価が高かった。特に、バター香料含有量が0.11〜0.21の実施例7〜9は、バターの香り、コク、ミルク感、味のバランス及び総合評価が良好であった。なお、バター香料含有量が0.43の実施例10は、バターの香がやや過剰な傾向があった。
【0051】
<試験例4>
[バター風味調味液におけるバター風味に対するレモン濃縮果汁でpHを変えた場合の影響]
下記表4の配合にて、水、レモン濃縮果汁、食塩、キサンタンガム、バター香料、乳糖、ホエイ蛋白質を原料として、レモン濃縮果汁でpHを変えたバター風味調味液を試作した。
【0052】
まず、ビーカーに1Lの水を量り取り、レモン濃縮果汁を加えることで、実施例に示すpHの水を製造した。ついで、pHを調整した水に、食塩、キサンタンガム及び乳糖をビーカーに量り取り、水を加えてから85℃に加熱、攪拌して溶解した。さらに、ホエイ蛋白質とバター香料を順に添加した後、85℃で5分間攪拌してpHが異なるバター風味調味液を試作した。なお、バター香料としては、ローストバターフレーバー S−08955(曽田香料社製)を用いた。これらのバター風味調味液について、試験例1と同様にして、バターの香りの好ましさ、調味液で感じるバター様のコクの強さ、調味液で感じるバター様のミルク感の強さ、バター風味の味のバランス(塩味、酸味及びバター香料の香りの強さによる味や香りのまとまり)について評価し、それらの結果をまとめて、総合評価を行った。この結果を表4に示す。
【0053】
【表4】
【0054】
表4に示されるように、pH3.0〜7.0である実施例11〜15は、いずれも、バターの香り、コク、ミルク感、味のバランス及び総合評価が高かった。特に、pH3.0〜5.0である実施例11〜13は、バターの香り、コク、ミルク感、味のバランス及び総合評価が良好であった。
【0055】
<試験例5>
[バター風味調味液におけるバター風味に対する酢酸でpHを変えた場合の影響]
下記表5の配合にて、水、酢酸、食塩、キサンタンガム、バター香料、乳糖、ホエイ蛋白質を原料として、酢酸でpHを変えたバター風味調味液を試作した。
【0056】
まず、ビーカーに1Lの水を量り取り、レモン濃縮果汁に変えて酢酸を加えることで、実施例に示すpHの水を製造した以外は、実施例4と同じ操作を行い実施例に示すバター風味調味液を試作した。なお、バター香料としては、ローストバターフレーバー S−08955(曽田香料社製)を用いた。これらのバター風味調味液について、試験例1と同様にして、バターの香りの好ましさ、調味液で感じるバター様のコクの強さ、調味液で感じるバター様のミルク感の強さ、バター風味の味のバランス(塩味、酸味及びバター香料の香りの強さによる味や香りのまとまり)について評価し、それらの結果をまとめて、総合評価を行った。この結果を表5に示す。
【0057】
【表5】
【0058】
表5に示されるように、pH3.0〜7.0である実施例16〜20は、いずれも、バターの香り、コク、ミルク感、味のバランス及び総合評価が高かった。特に、pH3.0〜5.0である実施例16〜18は、バターの香り、コク、ミルク感、味のバランス及び総合評価が良好であった。
【0059】
<試験例6>
[バター風味調味液におけるバター風味に対するホエイ蛋白質に含まれる乳糖の影響]
下記表6の配合にて、水、レモン濃縮果汁、食塩、キサンタンガム、バター香料、乳糖を原料として、乳糖の含有量を変えたバター風味調味液を試作した。
【0060】
まず、食塩、キサンタンガム及び配合量を変えて乳糖をビーカーに量り取り、水を加えてから85℃に加熱、攪拌して溶解した。ついで、レモン濃縮果汁を用いてpH3.0に調整後、バター香料を添加した後、85℃で5分間攪拌して比較例のバター風味調味液を試作した。なお、バター香料としては、ローストバターフレーバー S−08955(曽田香料社製)を用いた。
【0061】
これらのバター風味調味液について、試験例1と同様にして、バターの香りの好ましさ、調味液で感じるバター様のコクの強さ、調味液で感じるバター様のミルク感の強さ、バター風味の味のバランス(塩味、酸味及びバター香料の香りの強さによる味や香りのまとまり)について評価し、それらの結果をまとめて、総合評価を行った。この結果を表6に示す。
【0062】
【表6】
【0063】
表6に示されるように、ホエイ蛋白質を含有せず、乳糖の添加量を変えた比較例3〜6は、いずれも、バターの香り、コク、ミルク感、味のバランス及び総合評価が悪かった。このことから、特に、バターの香り、コク、ミルク感、味のバランスに対して、乳糖は効果をもたらさないことがわかる。言い換えると、試験例2〜5において、バターの香り、コク、ミルク感、味のバランスが良好になった理由は、バター香料に加えて、ホエイ蛋白質を添加したことに起因することがわかった。
【0064】
<試験例7>
[バター風味調味液におけるバター風味に対するバター香料とホエイ蛋白質を添加後の加熱温度の影響]
下記表7の配合にて、水、レモン濃縮果汁、食塩、キサンタンガム、バター香料、乳糖、ホエイ蛋白質を原料として、加熱温度を変えてバター風味調味液を試作した。
【0065】
まず、食塩、キサンタンガム及び乳糖をビーカーに量り取り水を加えて、85℃に加熱、攪拌して溶解した。ついで、レモン濃縮果汁を用いてpH3.0に調整後、バター香料、続いてホエイ蛋白質を添加し、水浴を用いて30℃まで冷却した。さらに、冷却したバター風味調味液を、表7に示す加熱温度で、5分間攪拌することでバター風味調味液を試作した。なお、バター香料としては、ローストバターフレーバー S−08955(曽田香料社製)を用いた。これらのバター風味調味液について、試験例1と同様にして、バターの香りの好ましさ、調味液で感じるバター様のコクの強さ、調味液で感じるバター様のミルク感の強さ、バター風味の味のバランス(塩味、酸味及びバター香料の香りの強さによる味や香りのまとまり)について評価し、それらの結果をまとめて、総合評価を行った。この結果を表7に示す。
【0066】
【表7】
【0067】
表7に示されるように、加熱をしない比較例7に比べて、温度55℃以上で加熱を行った実施例21〜26は、いずれも、バターの香り、コク、ミルク感、味のバランス及び総合評価が高かった。特に、温度75℃以上で加熱を行った実施例23〜26は、バターの香り、コク、ミルク感、味のバランス及び総合評価が良好であった。
【0068】
<試験例8>
[バター風味調味液におけるバター風味に対するバター香料の種類の影響]
下記表8の配合にて、水、レモン濃縮果汁、食塩、キサンタンガム、バター香料、乳糖、ホエイ蛋白質を原料として、バター香料の種類を変えてバター風味調味液を試作した。バター香料としては、実施例1〜7で用いたローストバターフレーバーS08955(曽田香料社製)に加えて、バターフレーバー KM−2008(長谷川香料社製)及びバターフレーバー FLW0268(稲畑香料社製)を用いた。
【0069】
まず、食塩、キサンタンガム及び乳糖をビーカーに量り取り水を加えて、85℃に加熱、攪拌して溶解した。ついで、レモン濃縮果汁を用いてpH3.0に調整後、各バター香料、続いてホエイ蛋白質を添加し、85℃で5分間攪拌することでバター風味調味液を試作した。これらのバター風味調味液について、試験例1と同様にして、バターの香りの好ましさ、調味液で感じるバター様のコクの強さ、調味液で感じるバター様のミルク感の強さ、バター風味の味のバランス(塩味、酸味及びバター香料の香りの強さによる味や香りのまとまり)について評価し、それらの結果をまとめて、総合評価を行った。この結果を表8に示す。
【0070】
【表8】
【0071】
表8に示されるように、バター香料を含まない比較例2に比べて、バターフレーバーKM−2008(長谷川香料社製)及びバターフレーバーFLW0268(稲畑香料社製)を用いた場合でも、実施例1〜7で用いたバター香料と同等のバターの香り、コク、ミルク感、味のバランス及び総合評価が高かった。