(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動源と前記回転体との間の少なくとも一部に、該駆動源から該回転体への熱伝導を緩衝する熱緩衝構造が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のプローブヘッド回転機構。
前記熱緩衝構造は、更に、前記駆動源のケーシングと前記本体フレームとの間に配置され、該駆動源のケーシングを支持する断熱部材を備えることを特徴とする請求項4または5に記載のプローブヘッド回転機構。
前記熱緩衝構造は、更に、前記駆動源の駆動軸と前記回転体の回転軸とを連結する軸継手を備えることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載のプローブヘッド回転機構。
前記エアシリンダ機構は、前記スピンドルの軸心上の反プローブ側であって、前記回転体に対峙して配置されていることを特徴とする請求項8に記載のプローブヘッド回転機構。
前記エアシリンダ機構は、前記本体フレームに固定されるシリンダ部材と、該シリンダ部材に嵌入し該シリンダ部材に導入される圧縮空気で前記スピンドルの軸方向に移動可能なピストン部材と、を備え、
該ピストン部材に、該ピストン部材に連動し該スピンドルの軸方向に移動可能な位置決めピンが設けられ、該位置決めピンの先端部に球が設けられ、
且つ前記回転体に、該回転体の所定の傾斜角度に対応して該球に接触可能な一対の円柱部材を備える位置決めブロックが設けられ、該円柱部材の軸方向が該回転体の回転軸の軸方向と同一とされていることを特徴とする請求項9に記載のプローブヘッド回転機構。
前記位置決めピンは、前記ピストン部材に設けられ、ボールスプライン軸受を介して前記本体フレームに支持されていることを特徴とする請求項10に記載のプローブヘッド回転機構。
前記回転体の回転軸は、該回転体に設けられた貫通孔に嵌入され、該貫通孔の一方の孔端部に対応して設けられた大径部と、該貫通孔のもう一方の孔端部に対応して配置されるシムとで、該回転軸の軸方向に対する前記回転体の移動を規制し、且つ、
該大径部及び該シムの外側にそれぞれ配置される一対の軸受を互いに向い合う方向で与圧をかけて前記本体フレームに固定し、該一対の軸受を介して前記回転軸を該本体フレームで支持することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のプローブヘッド回転機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で示すプローブヘッド回転機構は、プローブの姿勢変更のためのモータ(駆動源)のモータ本体(駆動源の本体)が、スピンドルの軸心上に配置されている。このため、モータを駆動した際に発生する熱によるモータの熱膨張が直接的にプローブの設定位置の誤差となるおそれがあった。
【0005】
本発明は、前記の問題点を解決するべくなされたもので、プローブの姿勢変更のための駆動源で発生する熱のプローブに対する影響を低減することで、プローブの設定位置の誤差を低減可能とするプローブヘッド回転機構を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1に係る発明は、3次元測定機におけるスピンドルとプローブとの間に配置されるプローブヘッド回転機構であって、前記スピンドルに支持される本体フレームと、該本体フレームにより前記スピンドルの軸心に対して傾斜可能に支持される回転体と、該本体フレームに支持され該回転体を駆動させる駆動源と、を備え、更に、前記回転体の位置決めにエアシリンダ機構を備え
、前記駆動源の本体を前記スピンドルの軸心上から外れて配置し、且つ該駆動源の軸心を該スピンドルの径方向外側に向けた
ことにより、前記課題を解決したものである。
【0007】
本願の請求項
2に係る発明は、前記駆動源のケーシングを、前記スピンドルよりも径方向外側に突出させるようにしたものである。
本願の請求項3に係る発明は、3次元測定機におけるスピンドルとプローブとの間に配置されるプローブヘッド回転機構であって、前記スピンドルに支持される本体フレームと、該本体フレームにより前記スピンドルの軸心に対して傾斜可能に支持される回転体と、該本体フレームに支持され該回転体を駆動させる駆動源と、を備え、更に、前記回転体の位置決めにエアシリンダ機構を備え、前記駆動源のケーシングを、前記スピンドルよりも径方向外側に突出させるようにしたものである。
【0008】
本願の請求項
4に係る発明は、前記駆動源と前記回転体との間の少なくとも一部に、該駆動源から該回転体への熱伝導を緩衝する熱緩衝構造を設けるようにしたものである。
【0009】
本願の請求項
5に係る発明は、前記熱緩衝構造が、空気層を備えるようにしたものである。
【0010】
本願の請求項
6に係る発明は、前記熱緩衝構造が、更に、前記駆動源のケーシングと前記本体フレームとの間に配置され、該駆動源のケーシングを支持する断熱部材を備えるよ
うにしたものである。
【0011】
本願の請求項
7に係る発明は、前記熱緩衝構造が、更に、前記駆動源の駆動軸と前記回転体の回転軸とを連結する軸継手を備えるようにしたものである。
【0012】
本願の請求項
8に係る発明は、更に、前記回転体の回転軸と前記スピンドルの軸心とが直交する配置となるようにしたものである。
【0014】
本願の請求項
9に係る発明は、前記エアシリンダ機構を、前記スピンドルの軸心上の反プローブ側であって、前記回転体に対峙させて配置したものである。
【0015】
本願の請求項
10に係る発明は、前記エアシリンダ機構が、前記本体フレームに固定されるシリンダ部材と、該シリンダ部材に嵌入し該シリンダ部材に導入される圧縮空気で前記スピンドルの軸方向に移動可能なピストン部材と、を備え、該ピストン部材に、該ピストン部材に連動し該スピンドルの軸方向に移動可能な位置決めピンが設けられ、該位置決めピンの先端部に球が設けられ、且つ前記回転体に、該回転体の所定の傾斜角度に対応して該球に接触可能な一対の円柱部材を備える位置決めブロックが設けられ、該円柱部材の軸方向を該回転体の回転軸の軸方向と同一としたものである。
【0016】
本願の請求項
11に係る発明は、前記位置決めピンを、前記ピストン部材に設
け、ボールスプライン軸受を介して前記本体フレームで支持したものである。
【0017】
本願の請求項
12に係る発明は、前記回転体の回転軸が、該回転体に設けられた貫通孔に嵌入され、該貫通孔の一方の孔端部に対応して設けられた大径部と、該貫通孔のもう一方の孔端部に対応して配置されるシムとで、該回転軸の軸方向に対する前記回転体の移動を規制し、且つ、該大径部及び該シムの外側にそれぞれ配置される一対の軸受を互いに向い合う方向で与圧をかけて前記本体フレームに固定し、該一対の軸受を介して前記回転軸を該本体フレームで支持するようにしたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、プローブの姿勢変更のための駆動源で発生する熱のプローブに対する影響を低減することで、プローブの設定位置の誤差が低減可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1〜
図4を参照して、本発明の第1実施形態の一例を詳細に説明する。
【0021】
最初に、3次元測定機の概略について説明する。
【0022】
3次元測定機は、例えば、ベース上に載せられた被測定物の3次元形状を、ベース上でXYZ方向へ移動可能なスピンドルSPにプローブヘッド回転機構100を介して支持されたプローブPBで計測することが可能とされている(即ち、プローブヘッド回転機構100は、3次元測定機におけるスピンドルSPとプローブPBとの間に配置されている)。
図1では、プローブPBに、被測定物に接触して形状を検出するスタイラスSTが設けられている(
図1では、スピンドルSP、プローブPB、スタイラスSTはそれぞれ、破線で概略形状を示している)。本実施形態では、スピンドルSPの軸方向Oが、鉛直方向(Z方向)の向きで下向きとされているが、水平方向の向きとされていてもよいし、鉛直方向(Z方向)の向きで上向きとされていてもよい。
【0023】
次に、プローブヘッド回転機構について、
図1〜
図4(A)、(B)を用いて以下に説明する。
【0024】
プローブヘッド回転機構100は、
図1に示す如く、本体フレーム101と、回転体110と、モータ(駆動源)122と、エアシリンダ機構142と、を備える。
【0025】
本体フレーム101は、
図1に示す如く、スピンドルSPに支持されている。本体フレーム101は、
図4(B)に示す如く、フランジ体102と、一対のフレーム体106、108と、支持部材144と、を備える。フランジ体102は、スピンドルSPの端部に固定される部材であり、中央に貫通孔102Aが設けられている。貫通孔102Aを挟むように、一対のフレーム体106、108がフランジ体102の一方の側面に固定されている。一対のフレーム体106、108には、貫通孔が設けられており、その内側に軸受(例えば、組合せアンギュラ軸受)BRがそれぞれ配置されている。そして、一対のフレーム体106、108は、軸受BRを介して回転軸118(後述)をスピンドルSPの軸方向Oと直交するように回転可能に支持している。また、フランジ体102は、
図3(A)に示す如く、もう一方の側面に筒形状の支持部材144を支持している。なお、一対のフレーム体106、108を覆うように、本体カバー104が設けられている。
【0026】
回転体110は、
図1に示す如く、本体フレーム101によりスピンドルSPの軸心Oに対して傾斜可能に支持されている。つまり、スピンドルSPの軸心Oと回転体110に支持されるプローブPBの軸心Qとは、同一方向となりうる構成である。同時に、スピンドルSPの軸心Oと、回転軸118の軸心Pとは直交する構成である。回転体110は、
図4(A)に示す如く、基部112と、ステム部114と、取付部116と、を一体的に備える。基部112には、
図4(A)、(B)に示す如く、貫通孔112Aが設けられており、その孔端部112B、112Cはその間にくる貫通孔112Aの部分に比べ、内径が大きくされている。そして、貫通孔112Aの中心軸(嵌入される回転軸118の軸心P)から等距離となるように3つの側面112D、112E、112Fが形成されている。本実施形態では、プローブPBをスピンドルSPの軸心Oに対して、90度、0度、−90度の傾斜で固定させるために、側面112Dと側面112E、側面112Eと側面112Fがそれぞれ直交する形状となっている。そして、この3つの側面112D、112E、112Fに位置決めブロック130がそれぞれ、配置されている。このように貫通孔112Aを囲む三方には、側面112D、112E、112Fが設けられるが、もう一方にはステム部114が一体的に設けられている。そして、ステム部114の先端には取付部116が一体的に設けられている。取付部116には、プローブPBが取り付けられる。
【0027】
図4(B)に示す如く、貫通孔112Aには、回転軸118が嵌入され固定される。回転軸118は、軸対称の棒状部材であり、連結部118Aと、螺合部118B、118Hと、支持部118C、118Gと、大径部118Dと、嵌入部118Eと、押圧部118Fと、を一体的に備える。
【0028】
連結部118Aは、
図4(B)に示す如く、軸継手120を介してモータ122のモータ軸(駆動軸)に連結される。螺合部118B、118Hはそれぞれ、ナットNTと螺合する部分である。支持部118C、118Gはそれぞれ、軸受BRに支持される部分である。大径部118Dは、回転体110の孔端部112Bに対応する位置に設けられており、嵌入部118Eよりも大径化されている。押圧部118Fは、孔端部112Cに対応する位置に設けられており、嵌入部118Eよりも小径化されている。
【0029】
図4(B)に示す如く、押圧部118Fには、断面が円形のシムCM1と断面が四角形のシムCM2とが配置される(つまり、シムCM1、CM2は、回転体110の孔端部112Cに対応する位置に配置されている)。このため、シムCM1、CM2に外側から力(大径部118Dに向かう力)を加えることで、回転軸118の軸方向Pに対する回転体110の移動を規制することができる。このシムCM1、CM2は、フレーム体108に配置され支持部118Gを支持する軸受BRの内輪から力を受ける構成となっている。軸受BRの内輪は、螺合部118Hに螺合するナットNTからワッシャWSを介して力を受ける構成となっている。つまり、シムCM1、CM2にかかる力は、ナットNTの螺合状態で調整することができる。
【0030】
また、
図4(B)に示す如く、支持部118Gを支持する軸受BRの外輪も、図示しないねじなどで、フレーム体108に押圧され固定されている。一方、大径部118Dの外側に配置される軸受BRの内輪も、螺合部118Bに螺合するナットNTからワッシャWSを介して力を受ける構成となっている。そして、支持部118Cを支持する軸受BRの外輪も、図示しないねじなどで、フレーム体106に押圧され固定されている。即ち、大径部118D及びシムCM1、CM2の外側にそれぞれ配置される一対の軸受BRを互いに向かう方向でナットNTにより与圧(外側からの与圧)をかけて前記本体フレーム101に固定している。そして、一対の軸受BRを介して回転軸118を本体フレーム101で支持している。
【0031】
図4(B)に示す如く、螺合部118Hに螺合するナットNTにより、例えば非円形形状の回転板138が回転軸118に非対称に固定されている。ここで、X方向で回転板138とフレーム体108との間に近接センサ140が配置されている。このとき、例えば近接センサ140に対して回転板138が最も近接する回転軸118の回転角を、位置決めブロック130のそれぞれの位置に対応させておく。こうすることで、近接センサ140による回転板138の検出がなされ、回転体110の位置決めブロック130で位置決めすべき傾斜角度を検出することが可能となる。なお、近接センサ140は、ロータリーエンコーダを構成することで、回転体110の傾斜角度を直接的に検出してもよい。
【0032】
モータ122は、
図1に示す如く、本体フレーム101に支持され回転体110を駆動させる。モータ122は、モータケーシング(駆動源のケーシング)124と、モータ本体(駆動源の本体)125と、(図示せぬ)モータ軸と、を備える。モータケーシング124は、モータ本体125を収納しており、
図3(B)、
図4(B)に示す如く、スピンドルSPよりも径方向外側に突出している。
【0033】
また、
図4(B)に示す如く、モータケーシング124は、本体カバー104に支持された円環形状の断熱部材126と、フレーム体106上に配置された円環形状の断熱部材128と、で支持されている。即ち、モータ122と回転体110との間に、モータ122から回転体110への熱伝導を緩衝する熱緩衝構造HBが設けられている構成といえる。具体的には、熱緩衝構造HBは、モータケーシング124と本体フレーム101との間に配置され、モータケーシング124を支持する断熱部材126、128を備える構成である。断熱部材126、128としては、熱伝導率の低い金属やセラミックスや樹脂などで構成することができる。また、フレーム体106とモータケーシング124との間には、空気層ARが設けられている。空気層ARは断熱性能が樹脂などと比べても高い。即ち、熱緩衝構造HBは空気層ARを備える構成ともいえる。
【0034】
モータ本体125は、モータ122の図示せぬロータ及びステータを備えている。ロータにはモータ軸が連結されており、モータ軸は軸継手120で回転軸118に連結されている。即ち、モータ本体125は、スピンドルSPの軸心O上から外れて配置されている。そして、モータ122の軸心(回転軸118の軸心P)は、スピンドルSPの径方向外側に向けられている状態である。ここで、軸継手120は、モータ軸や回転軸118よりも径が大きく、且つ表面に複数の凹凸を有する。このため、軸継手120において、熱発散の効果を奏することが可能である(即ち、熱緩衝構造HBは、モータ122のモータ軸と回転体110の回転軸118とを接続する軸継手120を備える構成ともいえる)。
【0035】
位置決めブロック130は、
図4(A)、(B)に示す如く、基部材132と、円柱部材(軸、ころとも称される)134と、を備える。基部材132は、表面に凹部132A(
図4(A))を備え、裏面が平坦な形状とされている。この裏面が側面112D(112E、112F)と当接するように配置され、表面の凹部132Aに一対の円柱部材134が配置されている(即ち、回転体110に、回転体110の所定の傾斜角度に対応して一対の円柱部材134を備える位置決めブロック130が設けられている構成である)。そして、一対の円柱部材134の軸方向は、回転体110の回転軸118の軸方向Pと同一とされている。なお、3つの位置決めブロック130は、
図2、
図3(B)に示す如く、位置決めピン150(後述)が一対の円柱部材134に当接可能なように開口136Aを設けた1つのブロックカバー136で、外周が覆われている。このため、このブロックカバー136により、位置決めブロック130に対する防塵効果や脱落防止効果などの効果を奏することができる。
【0036】
エアシリンダ機構142は、
図1に示す如く、支持部材144に支持されている(つまり、エアシリンダ機構142は、スピンドルSPの軸心O上の反プローブ側であって、回転体110に対峙して配置されている)。エアシリンダ機構142は、シリンダ部材146と、ピストン部材148(
図4(A)、(B))と、を備える。シリンダ部材146は、本体フレーム101の支持部材144に固定されている。シリンダ部材146には、ピストン部材148を移動させるための圧縮空気の導入部分であるエア継手146Aが設けられている。ピストン部材148は、シリンダ部材146に嵌入しシリンダ部材146に導入される圧縮空気でスピンドルSPの軸方向Oに移動可能とされている。ピストン部材148の後端部には、コイルばね154(
図4(A)、(B))が配置されている。このため、圧縮空気が導入された状態になると、コイルばね154が圧縮され、ピストン部材148は+Z方向に移動する。圧縮空気が導入されない状態になると、コイルばね154によりピストン部材148が−Z方向に移動する構成となっている。このコイルばね154により、被測定物の測定中の加減速で生じるモーメントでプローブPBの設定位置が変化することを防止している。また、シリンダ部材146には、スピンドルSPの軸心Oに沿って貫通孔が設けられている。その貫通孔には、ピストン部材148の前端部に設けられた位置決めピン150が配置されている。即ち、ピストン部材148に、ピストン部材148に連動しスピンドルSPの軸方向Oに移動可能な位置決めピン150が設けられている構成である。なお、位置決め機構は、位置決めブロック130と、エアシリンダ機構142と、位置決めピン150と、を備える。
【0037】
図4(A)、(B)に示す如く、位置決めピン150はロッド部150Aと、保持部150Bと、球150Cと、を備える。ロッド部150Aは、ピストン部材148に連結されており、スピンドルSPの軸方向Oで直列に並んだボールスプライン軸受BSを介して、支持部材144に支持されている(つまり、位置決めピン150は、ピストン部材148に設けられ、ボールスプライン軸受BSを介して本体フレーム101に支持されている)。保持部150Bは、ロッド部150Aの先端に設けられた部材であり、球150Cを保持固定している(つまり、位置決めピン150の先端部に球150Cが設けられている構成である)。球150Cは、ピストン部材148の移動に伴い、位置決めブロック130の一対の円柱部材134と接触と離間を行う(つまり、プローブヘッド回転機構100は、回転体110の位置決めにエアシリンダ機構142を備えている構成である)。
【0038】
また、
図4(A)、(B)に示す如く、ピストン部材148の後端部には、棒部材152が一体的に設けられている。そして、シリンダ部材146の後端面には貫通孔が設けられており、そこを棒部材152が通過する構成となっている。シリンダ部材146の両側面には、コの字形状のセンサ支持部材156の端部がそれぞれ固定されている。センサ支持部材156には、スピンドルSPの軸方向Oに移動する棒部材152の位置を検出するファイバーセンサ158、160が固定されている。ファイバーセンサ158はファイバーセンサ160よりもシリンダ部材146の後端面から離れて配置されている。例えば、ファイバーセンサ158、160で棒部材152を検出した際(具体的には、ファイバーセンサ158、160が棒部材152で遮蔽された際)には、球150Cが十分に退避した状態となる。これにより、回転体110の傾斜姿勢が変更可能な状態であることを判断できるようにしている。また、ファイバーセンサ158、160で棒部材152を検出しない際には、球150Cが十分に位置決めブロック130に押し込まれた状態となる。これにより、回転体110の傾斜姿勢が変更不可能な状態であることを判断できるようにしている。
【0039】
次に、プローブヘッド回転機構100の動作について、説明する。ここでは、位置決めピン150が十分に位置決めブロック130に押し込まれた状態と仮定し、回転体110を0度の状態から90度傾斜させることを想定する。
【0040】
まず、エア継手146Aから圧縮空気をシリンダ部材146内部に供給し、シリンダ部材146を+Z方向に移動させる。そして、棒部材152の存在を2つのファイバーセンサ158、160で検出した段階で、モータ122を駆動させる。
【0041】
モータ122の駆動により回転板138が回転し、近接センサ140が90度の傾斜角度を検知した段階で、モータ122を停止させる。
【0042】
そして、エア継手146Aへの圧縮空気の供給を停止して、圧縮空気のリークをし、シリンダ部材146内部を減圧させる。
【0043】
すると、コイルばね154の力で、シリンダ部材146が−Z方向に移動する。そして、棒部材152の存在を2つのファイバーセンサ158、160が検出しなくなった段階で、位置決めピン150による回転体110の傾斜角度設定が完了となる。
【0044】
このように、本実施形態のプローブヘッド回転機構100は、1軸(回転軸118)周りの傾斜を可能とする機構とその位置決め機構という簡素な構造であるので、背景技術に示したプローブヘッド回転機構に比べ、低コストで製造することができる。つまり、測定領域が従来よりも限定されたものであれば、背景技術に示したプローブヘッド回転機構の代替として使用でき、測定に関わる費用を従来よりも低く抑えることが可能となる。
【0045】
また、本実施形態では、モータ本体125がスピンドルSPの軸心O上から外れて配置されている。このため、モータ122の発熱によるプローブPBの軸方向Qにおける(熱膨張による)位置変動を低減することができる。そして、径方向外側にモータ122の軸心が向いていることから、モータ122の熱を径方向外側に放熱することが容易である。同時に、モータ122を交換してもプローブPBの位置を変化させないので、プローブPBの設定位置の演算も容易である。なお、これに限らず、例えば駆動源の軸心がスピンドルSPの径方向外側に向けられていなくてもよい。
【0046】
また、本実施形態では、モータケーシング124が、スピンドルSPよりも径方向外側に突出している。つまり、モータケーシング124でモータ122の熱をスピンドルSPの外部に熱を発散させることが容易であり、スピンドルSPの軸心Oに伝わる熱を更に低減することができる。即ち、熱によるプローブPBの軸方向Qにおける位置変動を更に低減することができる。なお、これに限らず、モータケーシングが、スピンドルSPよりも径方向内側に存在してもよい。
【0047】
また、本実施形態では、モータ122と回転体110との間に、モータ122から回転体110への熱伝導を緩衝する熱緩衝構造HBが設けられている。この熱緩衝構造HBとしては、例えば、空気層ARや、断熱部材126、128や、軸継手120などを備えている。このため、モータ122で生じる熱が熱緩衝構造HBで緩衝されることにより、結果的に、スピンドルSPの軸心Oに伝わる熱を一層低減することができる。即ち、熱によるプローブPBの軸方向Qにおける位置変動をより一層に低減することができる。なお、これに限らず、モータと回転体との間の少なくとも一部に、熱緩衝構造HBが設けられていてもよい。そして、熱緩衝構造HBが、必ずしも空気層ARや、断熱部材や、軸継手などを含む必要はなく、それ以外の要素を含んでもよい。あるいは、熱緩衝構造HBがなくてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、更に、回転体110の回転軸118とスピンドルSPの軸心Oとが直交する配置とされている。このため、プローブPBの軸心QとスピンドルSPの軸心Oとの一致が容易である。即ち、プローブPBを傾斜させても、プローブPBの先端位置の算出が容易である。なお、これに限らず、回転体の回転軸とスピンドルSPの軸心Oとが直交する配置でなくてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、更に、回転体110の位置決めにエアシリンダ機構142を備えている。このため、エアシリンダの動作では原理的に発熱がなく、熱による位置誤差を防止することができる。なお、圧縮空気は通常、3次元測定機周辺にも配管が供給されているので、圧縮空気の配管の引き回しや使用も容易である。なお、これに限らず、回転体の位置決めにエアシリンダ機構を備えていなくてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、エアシリンダ機構142が、スピンドルSPの軸心O上の反プローブ側であって、回転体110に対峙して配置されている。このため、位置決めピン150及びエアシリンダ機構142を備える位置決め機構の大径化及び重量の増大を防止できる。つまり、プローブヘッド回転機構100の大径化及び重量の増大を防止できることから、プローブヘッド回転機構100の計測対象となる被測定物を増大させることが可能である。そして、エアシリンダ機構142による回転体110の位置決めにかかる押圧力をスピンドルSPの軸方向Oのみに限定されるので、仮に位置決めの際にプローブPBの変位が生じてもその方向のみの補正で対応でき、高い計測精度を保つことができる。なお、これに限らず、エアシリンダ機構が、スピンドルSPの軸心O上の反プローブ側に配置されていなくてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、球150Cを先端に備える位置決めピン150と、一対の円柱部材134を備える位置決めブロック130とで、回転体110の位置決めがなされる。つまり、位置決めが位置決めブロック130の一対の円柱部材134と位置決めピン150の球150Cとの接触によりなされるので、低コストで位置決めのための機構を構成できる。このとき、円柱部材134の軸方向が回転軸118の軸方向Pと同一とされている。このため、一対の円柱部材134による球150Cの移動規制により、位置決めブロック130で設定される傾斜角度で、回転体110の高い位置決め再現性を実現することができる。なお、これに限らず、位置決めブロックに球が配置され、位置決めピンに一対の円柱部材が配置されていてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、位置決めピン150がボールスプライン軸受BSを介して本体フレーム101に支持されている。このため、位置決めピン150の移動がなされても球150Cの(スピンドルSPの)軸心O上からの位置誤差を低減できるので、位置決めピン150の移動を高い精度で実現できる。なお、ボールスプライン軸受BSに位置決めピン150が支持された際には軸周りの回転が規制されるが、位置決めブロック130と係合する部材が回転対称な形状の球150Cである。このため、位置決めピン150とボールスプライン軸受BSとの組み合わせの整合がよく、位置決めピン150の取付・調整を容易に行うことができる。なお、これに限らず、位置決めピンがボールスプライン軸受BSでない軸受を介して本体フレームに支持されていてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、回転軸118は、大径部118DとシムCM1、CM2とで、回転軸118の軸方向Pに対する回転体110の移動を規制している。同時に、一対の軸受BRを互いに向かう方向で与圧をかけて本体フレーム101に固定し、一対の軸受BRを介して回転軸118を本体フレーム101で支持している。しかも、軸受BRは、組合せアンギュラ軸受であり、両方向のアキシャル荷重とラジアル荷重を負荷することができるため、軸受BRでシムCM1、CM2を押圧してもがたを最小とすることができる。このため、回転体110の傾斜角度変化に伴う回転軸118の軸心Pに対する位置変動及び回転軸118の軸方向Pへの位置変動(ラジアル方向のがた)を極めて低減することができる。つまり、回転体110の傾斜によって生じる回転体110の位置誤差を低減することができる。このとき、位置決めピン150がボールスプライン軸受BSで支持されているので、回転体110の傾斜角度を決定した際には、回転軸118のラジアル方向及びスラスト方向のがたを排除でき、回転体110の位置誤差を低減することができる。なお、回転体110と回転軸118とが別体なので、回転軸118の形状精度をより高く保つことができ、更に、回転体110の位置誤差を低減することができる。なお、回転体と回転軸と本体フレームとの取付に必要な部材配置と構成はこれに限られない。
【0054】
即ち、本実施形態では、プローブPBの姿勢変更のためのモータ122で発生する熱のプローブPBに対する影響を低減することで、プローブPBの設定位置の誤差が低減可能である。
【0055】
本発明について第1実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでもない。
【0056】
例えば、第1実施形態では、プローブヘッド回転機構100が直接的にプローブPBを支持していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図5〜
図8に示す第2実施形態の如くであってもよい。第2実施形態では、第1実施形態とは主にプローブヘッド回転機構によるプローブの支持形態や位置決め機構などが異なるだけなので、プローブヘッド回転機構によるプローブの支持形態や位置決め機構などに係る構成以外は、基本的に符号上位1桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0057】
第2実施形態では、
図5に示す如く、スピンドルSPは水平方向(Y方向)を向いており、スピンドルSPの軸方向OはY方向と同一とされている。プローブヘッド回転機構200は、プローブヘッド回転機構PHを介して、プローブPBを支持している。プローブPBは、非接触式のレーザプローブである(例えば、重さは500g程度)。プローブPBは、3方向から被測定物に投影するラインレーザと、そのレーザを検出する3つの撮像素子ISと、を備える。このため、このプローブPBは、1つのラインレーザと1つの撮像素子を備えるレーザプローブに比べて、プローブPBの姿勢変更数を少なくして被測定物の3次元形状を測定することができる。プローブヘッド回転機構PHは、プローブヘッド回転機構200とは異なり、2つの矢印で示すように2軸方向に回転可能となっている。ここでは、プローブヘッド回転機構PHが、2軸方向へモータ駆動される構成となっている(例えば、重さは1kg未満)が、手動で回転可能となっていてもよい。
【0058】
図7(A)、(B)、
図8(A)、(B)に示す如く、プローブヘッド回転機構200において、位置決め機構を構成する位置決めブロック230は、側面が傾斜している凹部232とされている形状である。そして、位置決めピン250は、凹部232に丁度嵌合可能な楔形状の端部250Bをロッド部250Aの先端に備えている。なお、モータ222は、フレーム体206に一体的に設けられた支持部228で、断熱部材226を介して支持されている。
【0059】
本実施形態では、
図5等に示す如く、プローブヘッド回転機構PHとは異なり、モータ本体225がスピンドルSPの軸心O上から外れて配置され、しかもモータケーシング224がスピンドルSPよりも径方向外側に突出している。このため、プローブヘッド回転機構200は、プローブヘッド回転機構PHに内蔵されるモータよりも、大型のモータ222を使用可能である。つまり、プローブヘッド回転機構PHを直列に2つ以上接続して用いることがモータのトルク上不可能な場合でも、プローブヘッド回転機構200では十分に大きなトルクを持つモータ222を用いることで後段に連結されるプローブヘッド回転機構PHやプローブPBを傾斜させることができる。具体的には、
図6(A)、(B)に示す如く、プローブヘッド回転機構200で回転体210を傾斜させることで、傾斜していない初期状態からプローブPBを180度反対側にまで傾斜させることが可能である。即ち、実使用上プローブヘッド回転機構PHとの組合せを実現でき、従来では測定が行うことができなかった領域の測定が可能となり、3次元測定機における測定の自由度を増すことができる。これにより、被測定物の測定対象領域が、かなり奥まった部分(例えば、車のボディの内側など)であっても、その部分の3次元形状を測定することが可能となる。なお、仮に、プローブヘッド回転機構200に更にプローブヘッド回転機構200を追加接続するとしても、更に大きなトルクを得るために、根元にくるプローブヘッド回転機構200のモータ222をより大きなモータ222に容易に交換して実現することができる。
【0060】
また、上記実施形態では、プローブヘッド回転機構100、200の回転体110、210は、0度、−90度、+90度の3箇所の傾斜角度でのみ位置決めされていたが、本発明はこれに限定されず、2箇所の傾斜角度でのみ、あるいは、4箇所以上の傾斜角度で位置決めされてもよい。その際には、必ずしも傾斜角度が等間隔となる必要はなく任意の傾斜角度としてよい。
【0061】
また、上記実施形態では、プローブヘッド回転機構100、200は1軸(回転軸118、218)周りで傾斜可能な構成であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明のプローブヘッド回転機構は、プローブヘッド回転機構PHのような2軸周りで傾斜可能とされた構成であってもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、駆動源がモータであったが、本発明はこれに限定されず、駆動源がエアシリンダであってもよい。本発明のプローブヘッド回転機構は、プローブヘッド回転機構PHのような2軸周りで傾斜可能とされた構成であってもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、位置決めピンの先端が球形状(楔形状)のとき、位置決めブロックが一対の円柱形状(凹部形状)を備えていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、位置決めピンの先端が球形状のとき、位置決めブロックが凹部形状や円錐形状でもよい。