(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の半導体製造装置にそれぞれ設置され、前記半導体製造装置を冷却する冷却媒体が流れる複数の冷却媒体路が接続された発電部に、前記複数の半導体製造装置を冷却した後の冷却媒体を流入して発電を行う発電システムであって、
前記複数の冷却媒体路が一本に合流されるよりも上流側において、前記複数の冷却媒体路の各々に設けられる第1制御バルブと、
前記第1制御バルブよりも上流側において、前記複数の冷却媒体路の各々に設けられ、前記半導体製造装置を冷却した後の前記冷却媒体の温度を検出する温度センサと、
発電に用いられない冷却媒体及び前記発電部において発電に用いられた後の冷却媒体を排出する流路であるバイパスラインと、
前記温度センサよりも上流側において、前記複数の冷却媒体路のそれぞれから分岐し、冷却媒体をバイパスラインへ流す分岐路と、
前記分岐路と前記バイパスラインとの間に設けられる遮断バルブと、
前記第1制御バルブの出力からの冷却媒体路と第2制御バルブを介して接続され、前記発電部に流入されない前記冷却媒体を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留された冷却媒体を、発電部に供給する第3制御バルブと、を備え、
前記第1制御バルブは、前記発電部に流入する前記冷却媒体の温度が所定の温度以上となるように、前記複数の熱源を冷却した後のそれぞれの冷却媒体の温度に基づいて、前記複数の冷却媒体路から前記発電部への前記冷却媒体の流入を制御する発電システム。
前記複数の半導体製造装置および発電部とデータ交換可能なように構成され、発電の制御および監視を行うように構成された管理装置を、更に備えた請求項1に記載の発電システム。
前記発電部に流入する前記冷却媒体の温度が所定の温度以上となるように、前記半導体製造装置を冷却した後のそれぞれの前記冷却媒体の温度に基づいて前記複数の冷却媒体路の各々から前記発電部へ流入させる前記冷却媒体の流入量を算出し、前記流入量に応じて前記複数の冷却媒体路の各々に設置された第1制御バルブを制御する請求項3に記載の発電システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
(発電システムの構成)
本実施形態にかかる発電システム90は、熱源を備える装置と設備とを結びつけるものであり、1つの家屋に全システムが設置される場合や、当該設備全体と連携を取る工場単位での利用が可能である。特に熱源を備える装置として熱処理装置である半導体製造装置等を用いる場合は、装置毎の稼働状況管理が確実に行われているため、本システムを用いることで、高効率での排熱利用が可能となる。以下、熱源を備える装置として熱処理装置を用いる例について説明する。
【0011】
図1に示すように、複数の熱処理装置1a
1〜1a
nに対して、それぞれの熱源を冷却する冷却媒体が流れる冷却媒体路2a
1〜2a
nがそれぞれに設置されている。冷却媒体は、冷却媒体路2a
1〜2a
n内を通過する際に、熱処理装置1a
1〜1a
nの各熱源からの排熱を回収することで加熱される。ここでは、冷却媒体として冷却水を用いる。冷却媒体を排熱と称しても良い。各冷却媒体路2a
1〜2a
nは下流側にて一本に合流され、発電部3へ接続される。発電部3では、熱処理装置1a
1〜1a
nの各熱源を冷却した後の冷却媒体の熱を利用して発電が行われる。発電部3の詳細については後述する。また、発電部3に蓄電池を接続し、発電部3にて発電した電力を蓄電するように構成されても良い。
【0012】
各冷却媒体路2a
1〜2a
nは、熱処理装置外において、上流側(熱処理装置側)から順に、温度検出部としての温度センサ6a
1〜6a
nと、流量検出部としての流量センサ5a
1〜5a
nと、開閉部としての制御バルブ4a
1〜4a
nとをそれぞれ備える。また、温度センサ6a
1〜6a
nの上流側にてバイパスライン7へと通じる分岐路8a
1〜8a
nがそれぞれの冷却媒体路2a
1〜2a
nに形成されている。分岐路8a
1〜8a
nとバイパスライン7との間には遮断バルブ18a
1〜18a
nが設けられている。遮断バルブ18a
1〜18a
nを適宜開閉することにより、冷却媒体を発電部3に流したり、バイパスライン7に流したり、状況に応じて冷却媒体の流路を変更することができる。バイパスライン7は、発電に用いられない(発電部3に流入されない)冷却媒体や、発電部3において発電に用いられた後の冷却媒体を排出する流路である。制御バルブ4a
1〜4a
n、遮断バルブ18a
1〜18a
nおよび発電部3は後述するモニタサーバ9により制御される。
【0013】
発電システム90は、冷却媒体を蓄えるために冷却媒体を一時的に貯留する貯留部としてのタンク10を備えるように構成しても良い。このような構成により、熱処理装置1a
1〜1a
nから発電部3に流入する冷却媒体の温度低下や流量不足が生じた場合に、タンク10から冷却媒体を補充することができる。タンク10内の冷却媒体の温度は温度センサ12により検出される。また、タンク10の上流側は制御バルブ4a
1〜4a
nの出力からの冷却媒体路が接続され、制御バルブ11が設置されている。必要に応じて、制御バルブ11を開とする事で、冷却媒体が制御バルブ11を介してタンク10に供給される。冷却媒体のタンク10への供給が余剰な場合、制御バルブ11を閉とする事も出来る。タンク10には、タンク10より排出された冷却媒体が再びタンク10へ流入する循環路14が接続されている。循環路14の途中には制御バルブ17と、循環部としてのポンプ15が設置されている。ポンプ15が停止した場合、制御バルブ17を閉じることにより、冷却媒体の逆流を防止することができる。このような構成により、タンク10内に貯留された冷却媒体を循環可能にしている。タンク10内の冷却媒体がタンク10の容量を超えない様に、制御バルブ13を開いて発電部3に冷却媒体を供給しても良い。また、タンク10から発電部3への供給が過剰となる場合は、制御バルブ11、13を閉とし、制御バルブ17および排出バルブ19を開とすることで、冷却媒体をバイパスライン7に逃がしても良い。また、タンク10に加熱部としてのヒータ16を設置することにより、タンク10内の冷却媒体を所定の温度に維持するように構成されても良い。
【0014】
(モニタサーバの構成)
続いて、上述の熱処理装置1a
1〜1a
nおよび発電部3とデータ交換可能なように構成され、発電の制御および監視を行うように構成された本実施形態に係る発電システム管理装置、すなわち上位管理装置としてのモニタサーバ9の構成について、
図2を参照しながら説明する。
【0015】
モニタサーバ9は、中央処理装置(CPU)として構成された制御部20と、内部に共有メモリ領域21を有するメモリ(図示は省略)と、HDDなどの記憶装置として構成された格納手段としてのデータ保持部(格納部)22と、ディスプレイ装置などの表示手段として構成されるデータ表示部23と、キーボード等の入力手段24と、通信手段としての通信制御部(通信部)25と、を有するコンピュータとして構成されている。上述のメモリ、データ保持部22、データ表示部23、入力手段24、通信制御部25は、内部バス等を介して制御部20とデータ交換可能なように構成されている。また、制御部20は、図示しない時計機能を有している。
【0016】
データ保持部(格納部)22には、発電制御プログラム等のモニタサーバ9内で実行されるプログラムが記憶されている。そして、発電制御プログラムがデータ保持部22から読み出され、制御部20で実行されることにより後述する設定手段26、判定手段27、実行手段28等の各種機能が実現される。
【0017】
通信手段としての通信制御部25は、熱処理装置用コントローラ(制御部280)、制御バルブ4a
1〜4a
n、流量センサ5a
1〜5a
n、温度センサ6a
1〜6a
nおよび発電部3の制御部29に接続されている。通信制御部25は、熱処理装置1a
1〜1a
n、流量センサ5a
1〜5a
n、温度センサ6a
1〜6a
nおよび発電部3からモニタデータを受信し、共有メモリ21に渡すように構成されている。
【0018】
制御部20は、共有メモリ21から読み出したモニタデータを、モニタデータの発生源である熱処理装置1a
1〜1a
nおよびその下流の冷却媒体路2a
1〜2a
nを特定するID、モニタデータ生成時刻、経過時間等と関連付けてデータベース化し、読み出し可能にデータ保持部22に渡し、記憶させるように構成されている。また、制御部20は、データ保持部22に記憶させるモニタデータをID、及び経過時間等と併せてデータ表示部23に渡し、データ表示部23に表示させるように構成されている。
【0019】
また、本実施の形態においては、制御部20は、入力手段24から入力されるID、モニタデータ生成時刻、経過時間等の検索条件に基づいてデータ保持部22を検索し、検索条件に該当するモニタデータをデータ保持部22から読み出して、データ表示部23に表示させるように構成されている。
【0020】
(設定手段)
また、制御部20が備える設定手段26は、発電状態の判定対象となるデータ種別、データ種別に対応しモニタデータから指定されるデータ値が発電状態の判定に係る判定条件、判定条件を満たすか否かの条件値、及び判定結果に応じて行う所定の動作(バルブ制御、異常警報)の設定の入力を受け付けるように構成されている。本実施の形態においては、設定手段26に入力されたデータは、データ表示部23に表示されるよう構成されている。設定手段26は、それぞれの条件を識別する「ID」、条件の名称を表示する「条件名」、「データ種別」、「判定条件」、「条件値」、「所定の動作」の各項目の設定情報が、入力手段24を用いて入力される。入力された条件の各項目は、条件毎に互いに関連付けられてデータ保持部22に記憶される。
【0021】
(判定手段)
制御部20が備える判定手段27は、データ保持部22に記憶されたモニタデータのうち、条件毎のデータ種別に対応したデータ値を指定するように構成されている。そして、判定手段27は、指定したデータ値と条件値とを比較し、データ値が判定条件を満たすか否かの判定を行うように構成されている。
【0022】
(実行手段)
実行手段28は、データ値を所定の判定条件に基づいて判定した判定結果に応じて、上述の所定の動作を実行するように構成されている。
【0023】
(表示手段)
表示手段としてのデータ表示部23は、データ値が判定条件を満たすか否かの判定結果等を示すアイコンを表示するように構成されている。
【0024】
(発電システムの動作)
次に、本実施形態にかかる発電システム90の動作について説明する。
【0025】
モニタサーバ9は、データ値として、各熱処理装置1a
1〜1a
nの処理温度データ、各冷却媒体路2a
1〜2a
nの流量センサ5a
1〜5a
nの冷却媒体の流量データ、温度センサ6a
1〜6a
nの冷却媒体の温度データ等を取得する。判定手段27にて取得した各データ値を条件値(基準値)と比較し、データ値が基準値より低いと判断した場合、実行手段28にて、発電部3への冷却媒体の供給停止(バルブ閉)するように、当該データ値を検知した冷却媒体路2a
1〜2a
nの制御バルブ4a
1〜4a
nを制御する。具体的には、発電部3へ供給(入力)する冷却媒体の温度が所定の温度以上となるように、言い換えれば、発電部3の温度センサ49(70)の温度が所定の温度を下回らないように、基準値を設定する。発電部3として、例えば、後述するバイナリ発電を用いる場合、発電部へ供給(入力)する冷却媒体の温度は、例えば90℃以上とするのが好ましい。また例えば、後述するペルチェ発電を用いる場合、発電部へ供給(入力)する冷却媒体の温度は、例えば130℃以下とするのが好ましい。
【0026】
発電部3の温度センサ49(70)の温度が所定の温度を下回らず、かつ、発電部3の流量センサ48(69)の流量が基準値以上になるように、冷却媒体路2a
1〜2a
nの制御バルブ4a
1〜4a
nを制御するよう構成されても良い。例えば、熱処理装置1a
1〜1a
nの内の一台が運転停止した場合や稼働状況が変化した場合(冷却媒体の温度が低下した場合)、他の稼働中の高温の熱源を備える熱処理装置からの冷却媒体の流量を増やして発電部3に供給するように構成されても良い。
【0027】
例えば、冷却媒体路2a
1、・・・、2a
nから発電部3へ流入する冷却媒体の流量をM
1、・・・、M
nとすると、発電部3へ流入する冷却媒体の総流量M
allは下記数式1のようになる。
【数1】
このとき、M
allが基準値M
p以上(M
all≧M
p)であれば良い。また、冷却媒体路2a
1、・・・、2a
nを流れる冷却媒体の温度をT
1、・・・、T
nとすると、発電部3へ流入する冷却媒体の温度T
allは下記数式2のようになる。
【数2】
このとき、T
allが所定の温度T
p以上(T
all≧T
p)であれば良い。
モニタサーバ9は上記条件を満たすような冷却媒体の流量を算出し、バルブ4a
1〜4a
nを制御する。
【0028】
さらに、各熱処理装置3の処理温度データを取得し、余剰稼働している熱処理装置1a
1〜1a
nがある場合は、余剰稼働している熱処理装置1a
1〜1a
nからの冷却媒体をタンク10に貯留し、ポンプ15を稼働させて循環貯蔵しても良い。タンク10に設置されている温度センサ12によりタンク10内の冷却媒体の温度を検出し、一定温度および一定量の冷却媒体の貯蔵量を確保する様に、モニタサーバ9は制御バルブ13を制御する。ここで、余剰稼働とは、発電部3へ冷却媒体を供給していなかったり、バイパスラインへ流す冷却媒体の流量が他の熱処理装置に比べて多かったりする状態のことを意味する。
【0029】
モニタサーバ9は、余剰稼働している熱処理装置1a
1〜1a
nがなく、かつ、タンク10に十分な冷却媒体が確保出来ていないと判定した場合は、発電部3の制御部29と交信を行い、発電出力の変化を確認し、出力低下警報を発報するなどの異常警報動作を行う。異常警報動作としては、例えば、発電効率低下の警告がデータ表示部23に表示されたり、メールサーバ30を介して発電システム90の管理者PC31にメールが送信されたりする動作が実行される。
【0030】
(発電部)
次に、本実施形態にかかる発電部3について説明する。
図3に示すように、発電部3の第1実施形態である、バイナリ発電部3aは、冷却媒体を流入する流入路40と、冷却媒体を排出する排出路41と、第1熱交換器42と、第2熱交換器43と、タービン44と、作動媒体を冷却する作動媒体冷却水を第2熱交換器43に流入する冷却水流入路45と、第2熱交換器43から冷却水を排出する冷却水排出路46と、流入路40に設置された温度センサ47と、排出路41に設置された流量センサ48と、冷却水流入路45に設置された温度センサ49と、冷却水排出路46に設置された流量センサ50と、作動媒体が流れる作動媒体路51と、コンディショナ54と、制御部53とを備える。第1熱交換器42は、流入路40から冷却媒体が流入(入力)され、冷却媒体によって作動媒体路51内の作動媒体が加熱される。第1熱交換器42を通して熱エネルギーを作動媒体に受け渡した冷却媒体は、排出路41を介して発電部(バイナリ発電部3a)外部に排出される。
【0031】
第1熱交換器42で加熱されて高温、高圧ガスとなった作動媒体は、作動媒体路51に
設置された発電駆動部としてのタービン44を駆動(回転)させることにより発電する。タービン44を駆動させた作動媒体は第2熱交換器43に流入する。第2熱交換器43に流入された作動媒体は、冷却水流入路45から流入される作動媒体冷却水によって冷却され、低温の液体に液化される。作動媒体を冷却した作動媒体冷却水は、冷却水排出路46から排出される。液化された作動媒体は圧縮器としてのコンプレッサ52によって圧縮された後、第1熱交換器42へ送出され、作動媒体路51内で循環される。この循環サイクルを熱サイクルと言う。タービン44で発電された電気は、整流部としてのコンディショナ54を通して発電出力(交流電力)として出力される。
【0032】
温度センサ47,49、流量センサ48,50、タービン44、コンプレッサ52およびコンディショナ54は制御部29に電気的に接続され、発電効率が安定されるように制御部29によって監視される。制御部29は、発電状態を制御するために、コンプレッサ52とタービン44とを制御して、コンディショナ54の発電出力を安定化させるように構成される。
【0033】
バイナリ発電部3aは、例えば、90℃以上の冷却媒体を200L/min以上の流量で流入されることにより、最大の運転効率で発電出力を得ることができる。その際、高効率の運転効率を維持するために、例えば、作動媒体冷却水の温度は20℃以下とする必要がある。すなわち、運転時の温度差が、(冷却媒体の温度)−(作業媒体冷却水の温度)≧70℃であり、かつ、(冷却媒体の流量)≧200L/minとすることが好ましい。上述の条件を満たさない場合、発電効率に影響を及ぼし、安定した発電出力を得ることが困難となる。
【0034】
モニタサーバ9は温度センサ6a
1〜6a
nおよび流量センサ5a
1〜5a
nからのモニタデータを取得し、所定の温度T
pを、例えば90℃、基準値M
pを、例えば200L/minとして判定および冷却媒体の供給流量算出を行い、バルブ4a
1〜4a
nを制御する。所定の温度T
pおよび基準値M
pは、バイナリ発電部3aの性能に応じて、所望の発電量を達成できるように適宜設定される。
【0035】
(ペルチェ発電部)
次に、本実施形態にかかる発電部3の第2実施形態であるペルチェ発電部3bの構成について説明する。
【0036】
ここで、発電素子であるペルチェ素子74の発電概念について説明する。
図4に示すように、ペルチェ素子は、一対の金属電極80,81と、一対の金属電極の間に挟まれたP型半導体82と、N型半導体83とを備える。金属電極としては、例えば銅電極が用いられる。P型半導体82とN型半導体83とは電気的に直列接続されている。一対の金属電極80,81の上下にはセラミック基板84が接着される。上下のセラミック基板84において、吸熱と放熱とが行われることにより、上下の銅電極80,81間で温度差が生じる。
【0037】
この温度差により、ゼーベック効果と呼ばれる物理現象による熱起電力が発生する。P型半導体82とN型半導体83に接続されたそれぞれの金属電極80,81の間には、ゼーベック効果で発生した熱起電力により発生する直流電流が流れる。これがペルチェ発電の基本概念となる。第2実施形態では、この基本概念を用いて発電を行う。
【0038】
図5に示すように、ペルチェ発電部3bは、上冷板60と、下冷板61と、上冷板60に冷却媒体を供給する上板流入路62と、下冷板61に冷却媒体を供給する下板流入路63と、上冷板60から冷却媒体を排出する上板排出路64と、下冷板61から冷却媒体を排出する下板排出路65と、上板流入路62に設置された上部バルブ66と、下板流入路63に設置された下部バルブ67と、上板流入路62に設置された上部流量センサ68と、下板流入路63に設置された下部流量センサ69と、上板排出路64に設置された上部温度センサ70と、下板排出路65に設置された下部温度センサ71と、上冷板60に設置された上板温度センサ72と、下冷板61に設置された下板温度センサ73と、上冷板60と下冷板61との間には、複数のペルチェ素子74とを備える。複数のペルチェ素子74は、互いに直列または並列に接続され、上冷板60と下冷板61との間に設置されている。
【0039】
温度センサ70,71,72,73、流量センサ68,69、ペルチェ素子74は制御部29に電気的に接続され、発電効率が安定されるように制御部29によって監視される。制御部29は、発電状態を制御するために、発電出力を安定化させるように構成される。
【0040】
図5に示すように、バルブ66,67は制御部29により制御される。また、流量センサ68,69、温度センサ70,71,72,73およびペルチェ発電部3bの発電量は、制御部29により監視される。制御部29は、モニタサーバ9へ電気的に接続されている。このような構成とすることにより、安定した温度管理をすることができる。
【0041】
上板流入路62および下冷流入路63へは、冷却媒体路2a
1〜2a
nがそれぞれ接続される。下板流入路63および上板流入路62へ流入される冷却媒体の流量は、上部流量センサ68,下部流量センサ69で検出され、制御部29からモニタサーバ9へ流量データとして送信される。モニタサーバ9は、温度センサ70により得られた冷却媒体の温度を基に、例えば、上冷板60の表面温度が130℃以下となるように、バルブ4a
1〜4a
nおよび上部バルブ66の開度を制御し、冷却媒体の流量を制御する。同様に、温度センサ71により得られた冷却媒体の温度を基に、下冷板61の表面温度が例えば室温または、常温(例えば20℃)となるように、バルブ4a
1〜4a
nおよび下部バルブ67の開度を制御し、冷却媒体の流量を制御する。
【0042】
例えば、冷却媒体路2a
1、・・・、2a
nから上冷板60へ流入する冷却媒体の流量をM
u1、・・・、M
un、冷却媒体の温度をT
1、・・・、T
nとすると、上冷板60へ流入される冷却媒体の温度T
uは、下記数式3のようになる。
【数3】
また、冷却媒体路2a
1、・・・、2a
nから下冷板61へ流入する冷却媒体の流量をM
b1、・・・、M
bn、冷却媒体の温度をT
1、・・・、T
nとすると、上冷板60へ流入される冷却媒体の温度T
bは、下記数式4のようになる。
【数4】
このとき、T
u−T
b≧70℃、かつ、T
u≦130℃を満たすように、モニタサーバ9は上冷板60および下冷板61への冷却媒体の流入流量を制御する。
【0043】
本実施形態では、ペルチェ発電部3bは1ユニットであるが、複数ユニットを並列、あるいは、直列に接続しても良い。このように構成することにより、更に大きな電力を得ることが可能である。
【0044】
(熱処理装置の構成)
次に、本実施形態に係る熱源として加熱部が用いられる熱処理装置の構成について説明する。熱処理装置としての基板処理装置1aは、半導体装置(デバイス)の製造方法における製造工程の一工程として熱処理や成膜処理等の基板処理工程を実施する。本実施形態においては、例えば、縦型基板処理装置(以下、処理装置と称する)100として構成されている。
【0045】
図6に示すように、本実施形態に係る処理装置100は、筐体111を備えている。基板としてのウエハWを複数枚収納するウエハキャリア(基板収容器)であるポッド110は、筐体111の正面壁に形成されたポッド搬入搬出口112から基板処理装置に搬入出される。
【0046】
筐体111内におけるポッド搬入搬出口112の近傍には、ポッド搬送装置118が設置され、筐体111内の前後方向の略中央部における上方には、ポッド棚105が設置されている。ポッド搬送装置118は、ポッド搬入搬出口112と、ポッド棚105と、ポッドオープナ123との間で、ポッド110を相互に搬送するように構成されている。
【0047】
筐体111内の下部には、移載室124が、筐体111内の前後方向の略中央部から後端にわたって設けられる。移載室124の正面壁119aには、ポッド110の蓋を開閉するポッドオープナ123が上下二段に設置されている。
【0048】
移載室124内にはウエハ移載機構125、ボート217およびボートエレベータ115が設置されている。ウエハ移載装置125は、ウエハWの載置部としてのツイーザ125cを備え、ウエハWをポッド110からボート(基板保持具)217に対して装填(チャージング)及び脱装(ディスチャージング)するように構成されている。
【0049】
移載室124上方には、ウエハWを処理する処理容器としての処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部は、炉口シャッタ(炉口開閉機構)147により開閉されるように構成されている。移載室124の側端部には、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエアを供給するクリーンユニットが設置されている。なお、処理炉202の構成については後述する。
【0050】
ボートエレベータ115にはアームが連結されており、アームには、炉口蓋体としてのシールキャップ128が水平に据え付けられている。シールキャップ128は、ボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。ボート217は、複数枚(例えば、25枚〜150枚程度)のウエハWを、垂直方向に整列させた状態でそれぞれ水平に保持するように構成されている。
【0051】
(処理炉の構成)
続いて、本実施形態に係る処理炉202の構成について、説明する。
【0052】
図6および
図7に示すように、処理炉202は反応管203を備えている。反応管203の筒中空部には、ウエハWを処理する処理室204が形成されている。処理室204は、ウエハWを保持するボート217を収容可能に構成されている。
【0053】
反応管203の外側には、反応管203の側壁面を囲うように、反応管203内のウエハWを加熱する加熱部としてのヒータ207が設けられている。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベースに支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0054】
反応管203内には、温度検出器として、例えば熱電対等の温度センサ225が設置されている。ヒータ207及び温度センサ225は、コントローラ280と電気的に接続されている。コントローラ280は、温度センサ225により検出された温度データに基づいて、処理室204内の温度が所望のタイミングにて所望の温度分布となるように、ヒータ207への供給電力を調整するように構成されている。
【0055】
処理室204内への処理ガスの供給は、処理ガス供給部によって行われる。処理ガス供給部が供給する処理ガスは、成膜される膜の種類に応じて換えられる。処理ガス供給部は、ガス供給管221を備え、ガス供給管221には、上流方向から順に、マスフローコントローラ(MFC)223およびバルブ224が設けられている。ガス供給管221はノズル220に接続される。ノズル220は、反応管203内に上下方向に沿って立設し、ボート217に保持されるウエハWに向かって開口する複数の供給孔219が形成されている。ノズル220の供給孔219を通してウエハWに対して処理ガスが供給される。
【0056】
反応管203には、反応管203(処理室204)内の雰囲気を排気する排気管231が接続されている。排気管231には、上流側から順に、処理室204内の圧力を検出する圧力センサ232、APC(Auto Pressure Contoroller)バルブ233、及び真空ポンプ234が設けられている。
【0057】
ヒータ207の外周には、断熱部材208がヒータ207を覆うように配置される。断熱部材208の外周には、ヒータ207を冷却する冷却媒体が流れる冷却媒体路209(2a)が配置される。冷却媒体路209は、例えば、一本の連続したパイプ部材で形成され、渦巻き状に配置されており、冷却媒体としては、例えば冷却水が導入される。冷却媒体路209は、断熱部材208の外側の面に装着されていて、冷却媒体路209の一端側210には、流体切替装置211が接続されている。流体切替装置211から供給された冷却媒体は、一端部210を介して冷却媒体路209内へと導入され、冷却媒体路209内へと導入された冷却媒体が、冷却媒体路209の他端側212から排出される。冷却媒体路209の排出側である他端212は、発電部3まで延伸され、発電部3に接続されている。なお、冷却媒体路209は断熱部材208の内部に埋め込むように形成されても良い。
【0058】
(基板処理装置の動作)
次に、本実施形態に係る処理装置100の動作について
図6を用いて説明する。
【0059】
(ポッド搬送行程)
ポッド110がロードポート114に供給されると、ポッド搬入搬出口112から筐体111内部へ搬入されたポッド110は、ポッド搬送装置118によってポッド棚105へ搬送されて一時的に保管された後、ポッド棚105からポッドオープナ121に移載される。
【0060】
(ウエハ移載工程)
ポッドオープナ121に載置されたポッド110の蓋は、ポッドオープナ121の蓋着脱機構によって取り外される。その後、ウエハWは、ウエハ移載装置125のツイーザ125cによってポッド110内からピックアップされ、ボート217に装填される。
【0061】
(ボート搬送行程)
予め指定された枚数のウエハWがボート217内に装填されると、炉口シャッタ147によって閉じられていた処理炉204の下端部が開放される。続いて、シールキャップ128がボートエレベータ115によって上昇されることにより、ウエハWを保持したボート217が処理室204内へ搬入(ボートローディング)される。
【0062】
(昇温行程)
ボートローディング後は、ヒータ207により処理室204内を加熱し、第一の温度から第二の任意の温度まで昇温(ランプアップ)する。
【0063】
(基板処理工程)
その後、処理室204内にてウエハWに任意の基板処理が実施される。例えば、処理室内204内を任意の温度に維持し、ウエハWに対して処理ガス供給部より処理ガスを供給することで、ウエハW上に薄膜を形成する。冷却媒体路209に冷却媒体を流すことにより、基板処理装置外へのヒータ207の放熱を抑制しつつ、処理室204内の温度を任意の温度に加熱維持する。
【0064】
(降温行程)
基板処理後は、ヒータ207による処理室204内の加熱を停止し、第二の温度から第三の温度まで降温(ランプダウン)する。
【0065】
(ボート搬出工程)
第三の温度まで降温された後、ボート217が処理室204内より搬出される(ボートアンローディング)。
【0066】
ボート217より処理後のウエハWがポッド110に移載され、上述と逆の手順でウエハWを格納したポッド110が筐体111外へと搬出される。
【0067】
冷却水は常に冷却媒体路22を流れている。例えば、ランプアップやランプダウン時において、言い換えれば、ヒータ207の加熱状況(稼働状況)に応じて冷却媒体の温度が変動することが考えられる。モニタサーバ9は、例えば、温度センサ225からの温度データを、コントローラ280を介して取得し、処理装置1aの稼働状況を監視する。また例えば、モニタサーバ9は、処理装置1aがどの工程にあるかの情報を、コントローラ280を介して取得し、処理装置1aの稼働状況を監視する。
【0068】
<本実施形態にかかる効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
(1)複数の熱源のそれぞれの稼働状況に対応して、発電部への入力を調整することができるため、発電電力を安定して供給することができる。というのも、従来の技術では、発電に必要な複数の入力(例:冷却媒体等)等を一元化管理する発電制御を行っていないため、発電電力を安定して供給することができないことがある。これに対し、実施形態によれば、複数の入力を監視・制御することができるため、発電電力を制御することができ、安定して電力を供給することができる。
(2)複数の熱源の稼働状況を管理することにより、発電部での発電状況を予測することができる。熱源の稼働状況を管理することにより、発電部への入力の状況変化を予測することができ、発電状況を予測し管理することができる。
(3)熱源および発電部から情報を一元化して収集するモニタサーバを構築することにより、あらゆる情報変化を包括的に管理することができる。これにより、他の発電システムとも協調・併用運転が可能となる。
【0069】
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0070】
例えば、熱源としては、処理炉のヒータの他、処理炉の熱排気(高温エア等)や、処理炉に接続されている排気配管からの放熱が利用可能である。その他、排気ポンプ等がある場合は、モーターの熱やポンプ本体の圧縮部排熱など、熱を有する媒体であれば全て利用が可能である。熱処理装置であれば、例えば、反応容器の外側に設けられた加熱部(ヒータ)、加熱された反応容器、加熱された基板、反応容器ないし反応容器部材を冷却する冷媒(ガス、冷却水)などが利用可能である。
【0071】
本システムは、様々な排熱発電について当該排熱発電同様の制御を可能とするシステムであり、その応用範囲は、直接排熱発電、機械振動発電、熱音響発電等のシステムなど、広い範囲の応用が可能である。
【0072】
この出願は、2016年2月26日に出願された特願2016−035363を基礎として優先権の利益を主張するものであり、その開示の全てを引用によってここに取り込む。