特許第6649893号(P6649893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

特許6649893速乾性で、硬弾性で、耐引掻性で、かつ安定なコーティング材料
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6649893
(24)【登録日】2020年1月21日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】速乾性で、硬弾性で、耐引掻性で、かつ安定なコーティング材料
(51)【国際特許分類】
   C09D 175/06 20060101AFI20200210BHJP
【FI】
   C09D175/06
【請求項の数】30
【全頁数】71
(21)【出願番号】特願2016-556942(P2016-556942)
(86)(22)【出願日】2015年3月2日
(65)【公表番号】特表2017-512243(P2017-512243A)
(43)【公表日】2017年5月18日
(86)【国際出願番号】EP2015054255
(87)【国際公開番号】WO2015135779
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2018年3月2日
(31)【優先権主張番号】14159039.8
(32)【優先日】2014年3月12日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】14180379.1
(32)【優先日】2014年8月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】ダーフィト テュアプ
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー ノイ
(72)【発明者】
【氏名】ライナー エアハート
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル フロジャール
(72)【発明者】
【氏名】トアステン パウエン
(72)【発明者】
【氏名】アンゲリカ マリア シュタインブレヒャー
(72)【発明者】
【氏名】モニカ ハーベレヒト
【審査官】 上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−512295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−10/00
C09D 101/00−201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成成分として、
(A)少なくとも1種のモノマーのイソシアネートの反応によって得られる少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(B)少なくとも1種のヒドロキシ基含有のポリ(メタ)アクリレートポリオールと、
(C)以下の
− ヘキサヒドロフタル酸無水物、
− トリメチロールプロパン、
− 任意に、少なくとも1種の他の二酸もしくは三酸またはそれらの誘導体、および
− 任意に、少なくとも1種の他のジオールまたはトリオール
の重縮合によって得られる少なくとも1種の分岐型ポリエステルポリオールと、
(D)少なくとも1種の有機溶剤と、
を含有する、溶剤型の二成分形ポリウレタンコーティング材料であって、
− 前記ポリエステルポリオールの酸価が、固体に対して30mg KOH/gより大きいことと、
− 前記ポリエステルポリオールの酸基およびヒドロキシル基が、1:1から1:1.95までのモル混合比で使用されることと、
− 前記ポリエステルポリオールにおいて、ヘキサヒドロフタル酸無水物に対する化学量論量で、20%未満の遊離の二酸および/または遊離の三酸が使用されることと、
− 前記ポリエステルポリオールにおいて、ヘキサヒドロフタル酸無水物に対する化学量論量で、20%未満のテトラアルコールが使用されること、
を特徴とする、前記二成分形ポリウレタンコーティング材料。
【請求項2】
− 前記ポリエステルポリオールの酸基およびヒドロキシル基が、1:1.1から1:1.8までのモル混合比で使用されることと、
− 前記ポリエステルポリオールにおいて、ヘキサヒドロフタル酸無水物に対する化学量論量で、10%未満の遊離の二酸および/または遊離の三酸が使用されることと、
− 前記ポリエステルポリオールにおいて、ヘキサヒドロフタル酸無水物に対する化学量論量で、10%未満のテトラアルコールが使用されること、を特徴とする、請求項1に記載の前記二成分形ポリウレタンコーティング材料。
【請求項3】
− 前記ポリエステルポリオールにおいて、ヘキサヒドロフタル酸無水物に対する化学量論量で、前記テトラアルコールが使用されないこと、
を特徴とする、請求項1または2に記載の前記二成分形ポリウレタンコーティング材料。
【請求項4】
前記ポリイソシアネート(A)は、イソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオン、ビウレット、ウレトジオン、ウレタンおよびアロファネートからなる群から選択される、請求項1から3までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項5】
前記モノマーのイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネートおよび4,4’−もしくは2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンからなる群から選択される、請求項1から4までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項6】
前記モノマーのイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートからなる群から選択される、請求項1から5までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項7】
前記ポリ(メタ)アクリレートポリオール(B)は、500から50000ダルトンまでの分子量Mn(数平均)を有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項8】
前記ポリ(メタ)アクリレートポリオール(B)は、500から5000ダルトンまでの分子量Mn(数平均)を有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項9】
前記ポリ(メタ)アクリレートポリオール(B)は、800から2000ダルトンまでの分子量Mn(数平均)を有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項10】
前記ポリ(メタ)アクリレートポリオールおよび前記分岐型ポリエステルポリオールは、固体に対して1.5:1から99:1までの質量比で使用される、請求項1から9までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項11】
前記ポリ(メタ)アクリレートポリオールおよび前記分岐型ポリエステルポリオールは、固体に対して2.3:1から20:1までの質量比で使用される、請求項1から10までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項12】
前記ポリ(メタ)アクリレートポリオール(B)は、30mg KOH/g未満の酸価を有する、請求項1から11までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項13】
前記ポリ(メタ)アクリレートポリオール(B)は、20mg KOH/g未満の酸価を有する、請求項1から12までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項14】
前記ポリエステルポリオール(C)は、600mg KOH/gまでのDIN 53240第2部による酸価とOH価の合計を有する、請求項1から13までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項15】
前記ポリエステルポリオール(C)は、250mg KOH/gから400mg KOH/gまでの、DIN 53240第2部による酸価とOH価の合計を有する、請求項1から14までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項16】
前記ポリエステルポリオール(C)は、ヘキサヒドロフタル酸無水物およびトリメチロールプロパンから、酸基のヒドロキシル基に対する1.1から1.6までのモル混合比において製造される、請求項1から15までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項17】
前記ポリエステルポリオール(C)は、ヘキサヒドロフタル酸無水物、トリメチロールプロパンおよびネオペンチルグリコールから、酸基のヒドロキシ基に対する1:1.1から1:1.6までのモル混合比と、トリメチロールプロパンのヒドロキシ基の、ネオペンチルグリコールのヒドロキシ基に対する1超:1のモル混合比と、において製造されるか、または
前記ポリエステルポリオール(C)は、ヘキサヒドロフタル酸無水物、トリメチロールプロパン、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールおよび任意にアジピン酸ジメチルエステルから、酸基のヒドロキシ基に対する1:1から1:1.4までのモル混合比と、ヘキサヒドロフタル酸無水物の酸基の、トリメチロールプロパンのヒドロキシル基に対する1:0.9から1:1.4までのモル混合比と、トリメチロールプロパンのヒドロキシル基の、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールのヒドロキシル基に対する3超:1のモル混合比と、ヘキサヒドロフタル酸無水物に対する化学量論量で0.2部未満のアジピン酸ジメチルエステルと、において製造される、請求項1から16までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項18】
前記ポリエステルポリオール(C)は、ヘキサヒドロフタル酸無水物、トリメチロールプロパンおよびネオペンチルグリコールから、酸基のヒドロキシ基に対する1:1.1から1:1.6までのモル混合比と、トリメチロールプロパンのヒドロキシ基の、ネオペンチルグリコールのヒドロキシ基に対する1.7:1から1.3:1までのモル混合比と、において製造される、
請求項1から17までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項19】
前記ポリエステルポリオール(C)は、ヘキサヒドロフタル酸無水物以外に、他の二酸またはその誘導体を使用せずに製造されている、請求項1から18までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項20】
前記ポリエステルポリオール(C)は、スズ不含である、請求項1から19までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項21】
前記ポリエステルポリオール(C)は、固体に対して130mg KOH/gから280mg KOH/gまでのヒドロキシル価を有する、請求項1から20までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項22】
前記ポリエステルポリオール(C)は、固体に対して110mg KOH/gまでの酸価を有する、請求項1から21までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項23】
前記ポリエステルポリオール(C)は、固体に対して70mg KOH/gから100mg KOH/gまでの酸価を有する、請求項1から22までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項24】
前記ポリエステルポリオール(C)は、500g/モルから4000g/モルまでの数平均分子量Mnおよび/または5以下の多分散性を有することを特徴とする、請求項1から23までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項25】
前記ポリエステルポリオール(C)は、700g/モルから2000g/モルまでの数平均分子量Mnおよび/または3.5未満の多分散性を有することを特徴とする、請求項1から24までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項26】
前記ポリエステルポリオール(C)は、−20℃から50℃までのガラス転移温度を有する、請求項1から25までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項27】
前記ポリエステルポリオール(C)は、−15℃から50℃までのガラス転移温度を有する、請求項1から26までのいずれか1項に記載のコーティング材料。
【請求項28】
基材の被覆方法であって、請求項1から27までのいずれか1項で定義されているポリイソシアネート組成物(A)と結合剤(B)および(C)とを、(A)中のイソシアネート基の、(B)および(C)中のイソシアネートに対して反応性の基に対する1:1.3から1.3:1までのモル比において互いに混合し、ここで、任意に更なる他の塗料に典型的な成分を混合してよく、そして引き続きこの混合物を前記基材上に塗布する、前記被覆方法。
【請求項29】
請求項1から27までのいずれか1項に記載のコーティング材料の、建築物部材の被覆のための、(大型)車両および航空機ならびに工業的な用途への被覆のための、いわゆるACE(農業機器、建築機器および土木機器)としての農業分野および建築分野における商用車、風力エネルギープラント、化粧塗装、橋梁、建築物、送電塔、タンク、コンテナ、パイプライン、発電所、化学プラント、船舶、クレーン、支柱、矢板壁、計器類、パイプ、装備品、フランジ、連結部、ホール、屋根および構造用鋼、家具、窓、ドア、寄せ木張りの床の被覆のための、缶塗装、コイルコーティング、床仕上げ材用の被覆、パーキングデッキの被覆のための、OEMおよび補修用途としての自動車塗装のための使用。
【請求項30】
請求項1から27までのいずれか1項に記載のコーティング材料の、それぞれ任意に予備被覆または前処理されていてよい木材、木材単板、紙、厚紙、ボール紙、織物、シート、皮革、不織布、プラスチック表面、ガラス、セラミック、鉱物性建材、例えばセメント成形ブロックおよび繊維セメント板、プラスチックもしくは金属の被覆のための、またはクリヤーコート、ベースコート、トップコート、プライマーもしくはサーフェイサーで使用するための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、速乾性で、硬弾性で、耐引掻性で、かつ安定な二成分形(二液型)ポリウレタンコーティング材料、該コーティング材料の使用および被覆方法に関する。前記コーティング材料は、構成成分として、ポリイソシアネートと、ヒドロキシル基含有のポリ(メタ)アクリレートポリオールと、ヘキサヒドロフタル酸無水物、トリメチロールプロパンおよび任意の他の成分の重縮合によって得られる特定の分岐型ポリエステルポリオールとを含有する。
【0002】
二成分形ポリウレタンコーティング材料は、広く普及しており、例えば、自動車産業における塗装のために用いられる。そのような塗装には、とりわけ、耐引掻性、可撓性、安定性および硬度に関する高い要求が課せられる。塗装に際しての処理には、迅速な乾燥が不可欠である。それというのも、この乾燥は、塗装された基材の再加工の促進を可能にするからである。
【0003】
結合剤としてポリアクリレートオールと超分岐型ポリエステルとからの組み合わせを含む二成分形ポリウレタンコーティング材料は、WO2005/118677、WO03/70843、WO06/52982、WO07/125029およびWO07/125041から知られている。それらの文献は、超分岐型ポリエステルが存在することで乾燥が速められることを示唆する内容を含んでいない。WO06/76715は、超分岐型ポリエステルとポリアクリレートオールとからの結合剤混合物を開示している。架橋剤としては、酢酸酪酸セルロースが使用される。WO04/94515は、塗料用のポリイソシアネート/ポリアクリレートオール/ポリエステルからの二成分形ポリウレタンコーティング材料を記載している。しかしながら、超分岐型ポリエステルまたは酸基と水酸基との選択された比率が果たす利点を示唆する内容は示されていない。WO2010/76114は、ポリアクリレートオールと超分岐型ポリエステルとからの組み合わせを含む速乾性の二成分形ポリウレタンコーティング材料を記載している。それらの公知のコーティング材料は、まだあらゆる望まれる特性において最善というわけではない。望まれる全ての特性(例えば乾燥特性、硬度発生および弾性が失われない最終硬度、コーティングの耐引掻性および安定性)の最適化は、複雑な多元的問題である。ある特性が改善されるとき、しばしば別の1つ以上の特性が低下する。従って、その全体、すなわち全ての利点の総和ができるだけ大きいコーティング材料を提供するという課題が存在していた。EP0705858では、ポリエステルポリオールおよび該ポリエステルポリオールの、二成分形ポリウレタン塗料におけるポリオール成分としての使用が記載されている。該ポリエステルポリオールは、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパンおよびヘキサヒドロフタル酸無水物から構成されており、5から30までの比較的低い酸価を有している。
【0004】
本発明の課題は、特に、二成分形(二液型)ポリウレタンコーティング材料であって、他の二成分形(二液型)コーティング材料に対して、できる限り改善された乾燥特性、できる限り良好な硬度発生および最終硬度を有し、できる限り弾性が損なわれず、そしてできる限り高い耐引掻性および安定性を有するコーティング材料を提供することであった。
【0005】
前記課題は、構成成分として、
(A)少なくとも1種のモノマーのイソシアネートの反応によって得られる少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(B)少なくとも1種のヒドロキシ基含有のポリ(メタ)アクリレートポリオールと、
(C)以下の
− ヘキサヒドロフタル酸無水物、
− トリメチロールプロパン、
− 任意に、少なくとも1種の他の二酸もしくは三酸またはそれらの誘導体、および
− 任意に、少なくとも1種の他のジオールまたはトリオール
の重縮合によって得られる少なくとも1種の分岐型ポリエステルポリオールと、
(D)少なくとも1種の有機溶剤と、
を含有する、溶剤型の(溶剤ベース系のための)二成分形(二液型)ポリウレタンコーティング材料であって、
− 前記ポリエステルポリオールの酸価が、固体に対して30mg KOH/gより大きいことと、
− 前記ポリエステルポリオールの酸基およびヒドロキシル基が、1:1〜1:1.95(原料に対して)の、有利には1:1.1から1:1.8までの、または1:1.2から1:1.6までのモル混合比で使用されることと、
− 前記ポリエステルポリオールにおいて、ヘキサヒドロフタル酸無水物に対する化学量論量で、20%未満の、有利には10%未満の遊離の二酸および/または遊離の三酸が使用されることと、
− 前記ポリエステルオールにおいて、ヘキサヒドロフタル酸無水物に対する化学量論量で、20%未満の、好ましくは10%未満のテトラアルコールが使用されること、特に好ましくは前記テトラアルコールが使用されないことと、
を特徴とする、前記二成分形ポリウレタンコーティング材料によって解決された。
【0006】
本発明によるコーティング材料は、同等の二成分形ポリウレタンコーティング材料に対して、望まれる特性の総和において、特に乾燥特性、硬度発生、最終硬度、弾性、耐引掻性および安定性を考慮に入れて最善の特性プロフィールを示す。
【0007】
二成分形ポリウレタンコーティング材料は、2種の成分からなり、そのうちの一方は少なくとも1種のポリイソシアネートを含み、もう一方は少なくとも1種のヒドロキシ基含有のポリマーを含む。本発明によれば、前記コーティング材料は、少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレートポリオールおよび少なくとも1種の分岐型ポリエステルポリオールの混合物である。その場合に、ポリイソシアネートには、オリゴイソシアネートおよびポリイソシアネートが含まれる。
【0008】
溶剤型(溶剤ベース系)とは、本明細書では、前記2種の成分の混合物中に有機溶剤を含有する系、つまり成分100%の系ではなく、かつ粉末塗料(室温で固体の系)ではなく、水性型(水ベース系)でもない系を表す。水性型(水ベース系)は、関連の溶媒として意図的に水が使用された系である。溶剤型(溶剤ベース系)は、工程に応じて、例えばポリエステルを介して少量の水を含有してよい。これらの量は、供給形でのポリエステルに対して、好ましくは2質量%未満、特に好ましくは1.0質量%未満であり、該ポリエステルおよびその製造に応じて、特に0.5質量%未満である。
【0009】
前記分岐型ポリエステルのヒドロキシル価の測定は、DIN 53240−2:2007−11を基礎とするものである。その計算に際して酸価が考慮される。前記分岐型ポリエステルの酸価の測定は、DIN EN ISO 2114:2000,A法に準じて行われる。
【0010】
多分散性ならびに数平均分子量Mnおよび質量平均分子量Mwについてのデータは、本明細書においては、特に記載がない限り、ゲル浸透クロマトグラフィー測定に関係するものであり、その際、実施例で挙げられるパラメータとともに、基準としてポリメチルメタクリレートを使用し、溶出剤としてテトラヒドロフランを使用した。
【0011】
ガラス転移温度Tgは、本書においては、特に記載がない限り、ASTM規格D3418−03に準じて示差走査熱量測定(DSC)によって10℃/分の昇温速度で測定される。
【0012】
粘度は、本書においては、特に記載がない限り、23℃で、1000s-1の速度勾配によるコーン−プレート型システムにおいてDIN EN ISO 3219/A.3に準じて示される。
【0013】
「(メタ)アクリル」という呼称および類似した呼称は、「アクリルまたはメタクリル」についての略称を表す。
【0014】
成分(A)としては、少なくとも1つのモノマーのイソシアネートの反応によって得られる、少なくとも1つの、例えば1〜3つの、好ましくは1〜2つの、特に好ましくはちょうど1つのポリイソシアネートが使用される。使用されるモノマーのイソシアネートは、芳香族、脂肪族または環式脂肪族であってよく、好ましくは脂肪族または環式脂肪族であってよく、これは、本書においては、短縮して(環式)脂肪族と示され、脂肪族イソシアネートが特に好ましい。芳香族イソシアネートは、少なくとも1つの芳香族環系を含むイソシアネートであり、つまり、純粋に芳香族的な化合物でもあり芳香脂肪族的な化合物でもある。環式脂肪族イソシアネートは、少なくとも1つの環式脂肪族環系を含むイソシアネートである。脂肪族イソシアネートは、直鎖または分枝鎖のみを含むイソシアネートであり、従って非環式化合物である。
【0015】
モノマーのイソシアネートとは、好ましくは、ちょうど2つのイソシアネート基を有するジイソシアネートである。
【0016】
しかし、原則的には、1つのイソシアネート基を有するモノイソシアネートであってもよい。
【0017】
また、原則的には、平均して2つより多くのイソシアネート基を有する高級イソシアネートも考慮される。そのためには、例えばトリイソシアネート、例えばトリイソシアナトノナン、2’−イソシアナトエチル−(2,6−ジイソシアナトヘキサノエート)、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、トリフェニルメタントリイソシアネートもしくは2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルエーテルまたは、例えば相応のアニリン/ホルムアルデヒド縮合物のホスゲン化によって得られる、メチレン架橋を有するポリフェニルポリイソシアネートを表すジイソシアネート、トリイソシアネートおよびより高級のポリイソシアネートからなる混合物が適している。これらのモノマーのイソシアネートは、イソシアネート基とそれ自身との本質的な反応生成物を示さない。
【0018】
前記モノマーのイソシアネートは、好ましくは、4〜20個の炭素原子を有するイソシアネートである。通常のジイソシアネートの例は、脂肪族ジイソシアネート、例えばテトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの誘導体(例えばメチル−もしくはエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート)、トリメチルヘキサンジイソシアネートもしくはテトラメチルヘキサンジイソシアネート、環式脂肪族ジイソシアネート、例えば1,4−、1,3−もしくは1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’−もしくは2,4’−ジ(ジイソシアナトシクロヘキシル)メタン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3−もしくは1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンまたは2,4−もしくは2,6−ジイソシアナト−1−メチルシクロヘキサンならびに3(もしくは4),8(もしくは9)−ビス(イソシアナトメチル)−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン異性体混合物、ならびに芳香族ジイソシアネート、例えば2,4−もしくは2,6−トルイレンジイソシアネートおよびその異性体混合物、m−もしくはp−キシリレンジイソシアネート、2,4’−もしくは4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンおよびその異性体混合物、1,3−もしくは1,4−フェニレンジイソシアネート、1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトベンゼンまたはジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネートである。特に好ましくは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネートおよび4,4’−または2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンであり、殊に好ましくは、イソホロンジイソシアネートおよび1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートであり、特に好ましくは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートである。上述のイソシアネートの混合物も存在してよい。
【0019】
イソホロンジイソシアネートは、大抵は混合物として、特にシス異性体とトランス異性体の、一般的には約60:40から80:20(質量/質量)までの比の、好ましくは約70:30から75:25までの比の、特に好ましくは約75:25の比の混合物として存在する。ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートは、同様に種々のシス異性体とトランス異性体の混合物として存在してよい。
【0020】
本発明に関しては、相応のアミンのホスゲン化によって得られるジイソシアネートを使用することもでき、ホスゲンを使用せずに、すなわちホスゲン不含の方法により製造されるジイソシアネートを使用することもできる。EP−A−0126299(US4596678)、EP−A−126300(US4596679)およびEP−A−355443(US5087739)の記載によれば、例えば(環式)脂肪族ジイソシアネート、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、アルキレン基中に6個の炭素原子を有する異性体脂肪族ジイソシアネート、4,4’−もしくは2,4’−ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび1−イソシアナト−3−イソシアナト−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートもしくはIPDI)は、(環式)脂肪族ジアミンと、例えば尿素およびアルコールとの反応によって(環式)脂肪族ビスカルバミン酸エステルを得て、かつ該エステルを相応するジイソシアネートおよびアルコールに熱的分解することによって製造することができる。その合成は、大抵は連続的に循環法において、かつ場合によりN置換されていないカルバミン酸エステル、ジアルキルカーボネートおよび反応プロセスから返送された他の副生成物の存在下で行われる。こうして得られたジイソシアネートは、一般的に、塩素化された化合物を、非常に低い割合で、またはそれどころか測定できない割合で有し、これは、例えばエレクトロニクス産業での使用において好ましい。
【0021】
本発明による一実施形態においては、使用されるイソシアネートは、80ppm未満の、好ましくは30ppm未満の、特に25ppm未満の全含量の加水分解可能な塩素を有する。それは、例えばASTM規格D4663−98によって測定することができる。
【0022】
当然のことながら、(環式)脂肪族ジアミンと、例えば尿素およびアルコールとを反応させ、そして得られた(環式)脂肪族ビスカルバミン酸エステルを分解することによって得られるモノマーのイソシアネートと、相応のアミンのホスゲン化によって得られたジイソシアネートとからなる混合物を使用することもできる。
【0023】
モノマーのイソシアネートをオリゴマー化して得ることができるポリイソシアネート(A)は、一般的に、以下のように特徴付けられている。そのような化合物の平均NCO官能価は、一般的に、少なくとも1.8であり、かつ8までであってよく、好ましくは2〜5であってよく、特に好ましくは2.4〜4であってよい。該オリゴマー化の後のイソシアネート基の含有率は、NCO=42g/モルとして計算して、特に記載がない限り、一般的に、5質量%から25質量%までである。好ましくは、該ポリイソシアネート(A)は以下の化合物である。
【0024】
1)芳香族、脂肪族および/または環式脂肪族のジイソシアネートの、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート。この場合、相応の脂肪族および/または環式脂肪族のイソシアナトイソシアヌレートが特に好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートを基礎とするイソシアナトイソシアヌレートが殊に好ましい。この場合に存在するイソシアヌレートは、特に、ジイソシアネートの環式三量体であるトリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレートもしくはトリス−イソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート、または1つより多いイソシアヌレート環を有するそれらのより高級な同族体との混合物である。該イソシアナトイソシアヌレートは、一般的に、10質量%から30質量%までの、特に15質量%から25質量%までのNCO含有率および2.6から8までの平均NCO官能価を有する。
【0025】
2)芳香族的に、脂肪族的に、および/または環式脂肪族的に結合したイソシアネート基、好ましくは脂肪族的に、および/または環式脂肪族的に結合したイソシアネート基を有するウレトジオン基を有するポリイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネートもしくはイソホロンジイソシアネートから誘導された前記ポリイソシアネート。ウレトジオンジイソシアネートは、ジイソシアネートの環式二量体化生成物である。ウレトジオン基を有するポリイソシアネートは、本発明の範囲では、他のポリイソシアネート、特に1)で挙げたポリイソシアネートとの混合物で得られる。このために、ジイソシアネートを、ウレトジオン基と同様に別のポリイソシアネートも形成される条件下で、もしくはまずウレトジオン基が形成され、該基が引き続き反応して別のポリイソシアネート基となる条件下で反応させることができ、またはジイソシアネートを反応させて、別のポリイソシアネートとし、該ポリイソシアネートを引き続き反応させてウレトジオン基含有生成物とすることができる。
【0026】
3)芳香族的に、環式脂肪族的に、もしくは脂肪族的に結合された、好ましくは環式脂肪族的に、もしくは脂肪族的に結合されたイソシアネート基を有する、ビウレット基を有するポリイソシアネート、特にトリス−(6−イソシアナトヘキシル)−ビウレット、または該ビウレットのそのより高級の同族体との混合物。これらのビウレット基を有するポリイソシアネートは、好ましくは(特にHDIの場合には)18質量%から23.5質量%までのNCO含量と、2.8から6までの平均NCO官能価とを有する。
【0027】
4)芳香族的に、脂肪族的に、もしくは環式脂肪族的に結合された、好ましくは脂肪族的にもしくは環式脂肪族的に結合されたイソシアネート基を有する、ウレタン基および/またはアロファネート基を有するポリイソシアネート、例えば過剰量のジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネートもしくはイソホロンジイソシアネートと一価以上のアルコール(A)との反応によって得ることができる前記ポリイソシアネート。これらのウレタン基および/またはアロファネート基を有するポリイソシアネートは、一般的に、12質量%から24質量%までのNCO含量と、2.3から4.5までの平均NCO官能価とを有する。そのようなウレタン基および/またはアロファネート基を有するポリイソシアネートは、触媒を用いずに、または好ましくは触媒の存在下で、例えばカルボン酸アンモニウムもしくは水酸化アンモニウム、またはアロファネート化触媒の存在下で、例えばZn(II)化合物の存在下で、それぞれ一価、二価もしくは多価のアルコール、好ましくは一価のアルコールの存在下で製造することができる。
【0028】
5)オキサジアジントリオン基を有するポリイソシアネート、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートから誘導された前記ポリイソシアネート。そのようなオキサジアジントリオン基を有するポリイソシアネートは、ジイソシアネートおよび二酸化炭素から得られる。
【0029】
6)イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネート、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートから誘導される前記ポリイソシアネート。そのようなイミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネートは、ジイソシアネートから特殊な触媒を用いて製造することができる。前記ポリイソシアネートは、通常は、ポリイソシアネート1)、場合により更に2)および/または4)との混合物で存在する。
【0030】
7)ウレトンイミン変性ポリイソシアネート。
【0031】
8)カルボジイミド変性ポリイソシアネート。
【0032】
9)超分岐型ポリイソシアネート、例えばDE−A1 10013186またはDE−A1 10013187から公知の超分岐型ポリイソシアネート。
【0033】
10)ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートとアルコールとからの、ポリウレタン−ポリイソシアネート−プレポリマー。
【0034】
11)ポリ尿素−ポリイソシアネート−プレポリマー。
【0035】
12)前記ポリイソシアネート1)〜11)、好ましくは1)、3)、4)および6)は、それらの製造後に、芳香族的に、環式脂肪族的に、もしくは脂肪族的に結合された、好ましくは(環式)脂肪族的に結合されたイソシアネート基を有する、ビウレット基またはウレタン/アロファネート基を有するポリイソシアネートへと変換することができる。ビウレット基の形成は、例えば、水の添加またはアミンとの反応によって行われる。ウレタン基および/またはアロファネート基の形成は、一価、二価または多価の、有利には一価のアルコールとの反応によって、場合により適切な触媒の存在下で行われる。ビウレット基またはウレタン基/アロファネート基を有するこれらのポリイソシアネートは、一般的に、18質量%から22質量%までのNCO含有率および2.8から6までの平均NCO官能価を有する。
【0036】
13)親水性に変性されたポリイソシアネート、すなわち1〜12で記載された基に加えて、形式的に、NCO反応性基および親水化基を有する分子を上記分子のイソシアネート基へと付加することによって生ずる基を含むポリイソシアネート。後者の基は、非イオン性基、例えばアルキルポリエチレンオキシドおよび/またはリン酸、ホスホン酸、硫酸もしくはスルホン酸、またはそれらの塩から有機変性的に誘導されているイオン性基である。しかしながらここで、前記基は、典型的でないが本発明によれば溶剤型(溶剤ベース系)において、特にイソシアネート成分の部分成分として使用することができる。
【0037】
14)デュアルキュア用途のための変性されたポリイソシアネート、すなわち1〜13で記載される基に加えて、形式的に、NCO反応性基および紫外線または化学線によって架橋可能な基を有する分子を上記分子のイソシアネート基へと付加することによって生ずる基を含むポリイソシアネート。これらの分子は、例えばヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよび他のヒドロキシビニル化合物である。
【0038】
上述のジイソシアネートまたはポリイソシアネートは、少なくとも部分的にブロック化された形で存在していてもよい。ブロック化に使用される化合物クラスは、D.A.Wicks,Z.W.Wicks著、有機コーティングにおける進歩(Progress in Organic Coatings),36,148−172(1999),41,1−83(2001)および43,131−140(2001)に記載されている。ブロック化のために使用される化合物クラスの例は、フェノール類、イミダゾール類、トリアゾール類、ピラゾール類、オキシム類、N−ヒドロキシイミド類、ヒドロキシ安息香酸エステル、第二級アミン類、ラクタム類、CH酸性環状ケトン類、マロン酸エステルまたはアルキルアセトアセテートである。
【0039】
本発明の有利な一実施形態においては、前記ポリイソシアネート(A)は、イソシアヌレート、イミノオキサジアジンジオン、ビウレット、ウレトジオン、ウレタンおよびアロファネートからなる群から、有利には、イソシアヌレート、ウレタンおよびアロファネートからなる群から、特に有利には、イソシアヌレートおよびアロファネートからなる群から選択されており、特に、前記ポリイソシアネート(A)は、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネートである。特に有利な一実施形態においては、ポリイソシアネート(A)は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート由来のイソシアヌレート基を有するポリイソシアネートである。更なる特に有利な一実施形態においては、ポリイソシアネート(A)は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート由来およびイソホロンジイソシアネート由来のイソシアヌレート基を有するポリイソシアネートの混合物である。
【0040】
特に有利な一実施形態においては、ポリイソシアネート(A)は、600mPa・s〜1500mPa・sの粘度、特に1200mPa・s未満の粘度を有する低粘度ポリイソシアネート、有利にはイソシアヌレート基を含有するポリイソシアネート、200mPa・s〜1600mPa・sの粘度を有する低粘度ウレタンおよび/もしくはアロファネート、ならびに/またはイミノオキサジアジンジオン基を含有するポリイソシアネートを含有する混合物である。
【0041】
ポリイソシアネートの製造方法は、WO2005/087828またはWO2008/068198に、特にその第20頁第21行目から第27頁第15行目までに記載されているように行うことができる。この内容は、参照をもって本出願の一部をなすものとする。該反応は、例えば、前記文献の第31頁第19行目から第31頁第31行目までに記載されているように中断でき、かつ後処理は、前記文献の第31頁第33行目から第32頁第40行目までに記載されているように行うことができる。これらの内容は、それぞれ参照をもって本出願の一部をなすものとする。あるいは、前記反応は、WO2005/087828の第11頁第12行目から第12頁第5行目までに記載されているように中断できる。この内容は、参照をもって本出願の一部をなすものとする。熱不安定性の触媒の場合には更に、前記反応は、該反応混合物を、少なくとも80℃より高い温度に、有利には少なくとも100℃の温度に、特に有利には少なくとも120℃の温度に加熱することによって中断することも可能である。そのためには、一般的に、未反応のイソシアネートを後処理において蒸留により分離するために必要とされるように前記反応混合物を加熱することで既に十分である。熱的に不安定ではない触媒の場合のみならず、熱的に不安定な触媒の場合も、失活剤の添加によって前記反応を比較的に低い温度で中断する方策が存在する。適切な失活剤は、例えば塩化水素、リン酸、有機ホスフェート、ジブチルホスフェートもしくはジエチルヘキシルホスフェート、カルバメート、例えばヒドロキシアルキルカルバメートまたは有機カルボン酸である。これらの化合物は、純粋にまたは希釈して、反応の中断のために必要とされる適切な濃度で添加される。ジブチルホスフェートまたはジエチルヘキシルホスフェートが有利である。
【0042】
低粘度のポリイソシアネートまたはジイソシアネートのアロファネートは、例えばWO2005/087828に相応して製造することもできる。該低粘度のポリイソシアネートの場合には、その反応は、WO2005/087828の具体的な実施例におけるより低い転化率のときに熱的にまたは化学的な失活剤によって中断されるが、その他は同様に行われる。このようにして、例えば900mPa・s〜1500mPa・sの粘度を有するヘキサメチレンジイソシアネートを基礎とする生成物を製造することができるが、より低い粘度、有利には500mPa・sまでの粘度を有する生成物を製造することもできる。同様にして、アロファネートも同じ触媒を使用することで、モノマーのヘキサメチレンジイソシアネートへと更にモノアルコールおよび/またはジアルコール、有利にはC1〜C18−モノアルコールおよび/またはC2〜C18−ジアルコールを添加することによって製造することができる。それは、有利にはブタノール、ペンタノール、2−エチルヘキサノール、1,3−ヘキサンジオールまたは3,3,5−トリメチルペンタンジオールである。モノアルコールは、有利には最終生成物に対して最大で25%までの量で添加される。ヘキサメチレンジイソシアネートおよびモノアルコールからの生成物の粘度は、有利には200mPa・s〜1500mPa・sの範囲にある。前記生成物は、ポリイソシアネート4)の通常の組成に応じて、主要量のイソシアヌレートを含有し、場合によりウレタンも含有する。同様にして、高粘度のポリイソシアネートまたはジイソシアネートのアロファネートも、例えばWO2005/087828に相応して製造することができる。該高粘度のポリイソシアネートの場合には、その反応は、WO2005/087828の具体的な実施例におけるより高い転化率のときに熱的にまたは化学的な失活剤によって中断される。有利には、ヘキサメチレンジイソシアネートを基礎とするポリイソシアネートの粘度は、30Pa・s以下である。高粘度の化合物の溶剤中での希釈は合理的である。
【0043】
成分(B)は、少なくとも1種の、例えば1〜4種の、有利には1〜3種の、特に有利には1〜2種の、更に特に有利にはちょうど1種のヒドロキシ基含有ポリ(メタ)アクリレートポリオールである。該ポリオールは、大抵は、本質的に(メタ)アクリル酸エステル、例えばC1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールもしくは1,6−ヘキサンジオールおよびスチレンのモノ(メタ)アクリル酸エステルの共重合体である。
【0044】
これらは、好ましくは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定可能な500D(ダルトン)から50000D(ダルトン)までの、特に500Dから10000Dまでの、または500Dから5000Dまでの分子量Mn(数平均)を有する。有利な一実施形態においては、それらは800D〜2000Dの分子量Mnを有する。それらは、特にポリ(メタ)アクリレートポリオール、例えば低い固体含量を有する塗料のために使用されるポリ(メタ)アクリレートポリオールである。有利な成分(B)は、DIN 53240−2:2007−11により測定された、15mg KOH/g〜250mg KOH/g(固体樹脂)の、有利には60mg KOH/g〜180mg KOH/gの、特に有利には80mg KOH/g〜160mg KOH/gのOH価を有する。更に、前記成分(B)は、BS EN ISO 3682;BS 6782−3による、100mg KOH/g未満の、有利には30mg KOH/g未満の、特に有利には20mg KOH/g未満の酸価を有してよい。
【0045】
ヒドロキシル基を有するモノマーは、共重合に際して、重合体の上述のヒドロキシル価が結果生じるような量で併用される。該ヒドロキシル価は、一般的に、0.5質量%から8質量%までの、好ましくは1質量%から5質量%までの重合体のヒドロキシル基含有率に相応する。一般的に、ヒドロキシ官能性コモノマーは、使用されるモノマーの全質量に対して、3質量%から75質量%までの、好ましくは6質量%から47質量%までの量で併用される。その他に、当然のことながら、説明した範囲内で、ヒドロキシ官能性モノマーの量は、1分子当たり統計学的平均で少なくとも2つのヒドロキシル基を有する共重合体が生ずるように選択されることに注意せねばならない。
【0046】
モノマーとして挙げるとすれば、例えばC1〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、20個までの炭素原子を有するビニル芳香族化合物、20個までの炭素原子を含むカルボン酸のビニルエステル、エチレン性不飽和ニトリル、1〜10個の炭素原子を含むアルコールのビニルエーテル、α,β−不飽和カルボン酸および該カルボン酸の無水物ならびに2〜8個の炭素原子と1または2個の二重結合を有する脂肪族炭化水素である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、C1〜C10−アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートが有利である。特に、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルの混合物も適している。1〜20個の炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステルは、例えばラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニルおよび酢酸ビニルである。α,β−不飽和カルボン酸およびそれらの無水物は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸または無水マレイン酸、有利にはアクリル酸であってよい。
【0047】
ヒドロキシ官能性モノマーとして挙げるとすれば、α,β−不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸(本明細書では短縮して「(メタ)アクリル酸」と呼称する)とジオールもしくはポリオールであって、好ましくは2〜20個の炭素原子と少なくとも2つのヒドロキシ基とを有するジオールもしくはポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,1−ジメチル−1,2−エタンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−オクタン−1,3−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−、1,2−、1,3−および1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,2−、1,3−もしくは1,4−シクロヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリトリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、イソマルト、モル質量162から4500の間の、有利には250から2000までのモル質量を有するポリ−THF、134から2000の間のモル質量を有するポリ−1,3−プロパンジオールもしくはポリプロピレングリコールまたは238から2000の間のモル質量を有するポリエチレングリコールとのモノエステルである。有利には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−もしくは3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1,4−ブタンジオールモノアクリレートまたは3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレートであり、特に有利には2−ヒドロキシエチルアクリレートおよび/または2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0048】
ビニル芳香族化合物としては、例えばビニルトルエン、α−ブチルスチレン、4−n−ブチルスチレン、4−n−デシルスチレンおよび好ましくはスチレンが考えられる。ニトリルのための例は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルである。適切なビニルエーテルは、例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルヘキシルエーテルおよびビニルオクチルエーテルである。2〜8個の炭素原子と1もしくは2個のオレフィン性二重結合を有する非芳香族炭化水素として挙げるとすれば、ブタジエン、イソプレンならびにエチレン、プロピレンおよびイソブチレンである。更に、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルカプロラクタムを使用でき、更にエチレン性不飽和酸、特にカルボン酸、酸無水物または酸アミドおよびビニルイミダゾールを使用できる。エポキシ基を有する成分も、例えばグリシジルアクリレートもしくはグリシジルメタクリレートまたはモノマー、例えばN−メトキシメチル−アクリルアミドもしくはN−メトキシメチル−メタクリルアミドは、少量で併用することもできる。
【0049】
有利には、アルコール基中に1〜18個の、好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアクリル酸またはメタクリル酸のエステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、これらのアクリレートに対応するメタクリレート、スチレン、アルキル置換されたスチレン、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、ビニルアセテートまたはビニルステアレートあるいはそれらのモノマーの任意の混合物である。
【0050】
前記のヒドロキシ基を有するモノマーは、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートの共重合へと、別の重合可能なモノマー、有利にはラジカル重合可能なモノマーとの混合物で使用され、有利には50質量%より多くが、C1〜C20−、有利にはC1〜C4−アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、20個までの炭素原子を有するビニル芳香族化合物、20個までの炭素原子を含むカルボン酸のビニルエステル、ビニルハロゲン化物、4〜8個の炭素原子と1もしくは2個の二重結合とを有する非芳香族炭化水素、不飽和ニトリルおよびそれらの混合物からなる前記混合物で使用される。特に有利には、ヒドロキシ基を有するモノマーの他に、60質量%より多くがC1〜C10−アルキル(メタ)アクリレート、スチレンおよびそれらの誘導体またはそれらの混合物からなるポリマーである。
【0051】
前記重合体の製造は、通常の方法に従う重合によって実施することができる。好ましくは、前記重合体の製造は、乳化重合において、または有機溶液中で行われる。連続的または断続的な重合法が可能である。断続的な方法のなかでも、回分式方法および供給式方法が挙げられるが、後者の方法が有利である。供給式方法の場合には、溶剤が単独でまたはモノマー混合物の一部と一緒に装入され、重合温度に加熱され、モノマーが装入された場合に重合はラジカル的に開始され、そして残りのモノマー混合物が開始剤混合物と一緒に1時間から10時間までの過程で、好ましくは3時間から6時間までの過程で計量供給される。場合により、該重合を少なくとも99%の転化率まで実施するために引き続きなおも活性化される。溶剤としては、例えば芳香族化合物、例えばソルベントナフサ、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、エステル、例えばエチルアセテート、ブチルアセテート、メチルグリコールアセテート、エチルグリコールアセテート、メトキシプロピルアセテート、エーテル、例えばブチルグリコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルグリコールエーテル、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、含ハロゲン溶剤、例えば塩化メチレンまたはトリクロロモノフルオロエタンが考えられる。
【0052】
成分(C)の分岐型ポリエステルオールは、少なくとも1種の、例えば1〜3種の、有利には1〜2種の、特に有利にはちょうど1種の高官能性の、好ましくは高分岐型もしくは超分岐型ポリエステルポリオールである。数平均分子量Mnは、好ましくは少なくとも500であり、有利には少なくとも700である。分子量Mnの上限は、有利には30000g/モル、特に有利には10000g/モル、更に特に有利には4000g/モルである。有利な一実施形態においては、前記分子量Mnは、500g/モルから4000g/モルまでであり、特に700g/モルから2000g/モルまでである。多分散性Mw/Mnは、好ましくは1.1から50までであり、特に有利には5以下であり、特に3.5未満である。
【0053】
成分(C)の分岐型ポリエステルオールは、
− ヘキサヒドロフタル酸無水物、
− トリメチロールプロパン、
− 場合により少なくとも1種の他の二酸もしくは三酸またはそれらの誘導体、および
− 場合により少なくとも1種の他のジオールまたはトリオール
の重縮合によって得られる。
【0054】
ポリエステルポリオール(C)の酸およびポリオールは、酸基およびヒドロキシル基に対して、1:1から1:1.95までの、有利には1:1.1から1:1.8までのモル混合比で使用される。一実施形態においては、前記酸およびポリオールは、有利には1:1.15〜1:1.6の、または1.2〜1.6のモル混合比で使用される。好ましくは、前記ポリエーテルポリオール(C)は、ヘキサヒドロフタル酸無水物およびトリメチロールプロパンから、酸基のヒドロキシル基に対する1.1から1.6までのモル混合比で製造される。
【0055】
前記ポリエステルポリオール(C)は、好ましくは、600mg KOH/gまでの、有利には250mg KOH/g〜400mg KOH/gの酸価とOH価との合計を有する。有利には前記水酸価は、130mg KOH/gから280mg KOH/gまでである。有利には、前記酸価は、固体に対して、110mg KOH/gまでであり、好ましくは33mg KOH/g以上であり、または40mg KOH/g以上であり、または50mg KOH/g以上であり、特に70mg KOH/gから100mg KOH/gまでである。
【0056】
前記ポリエステルポリオール(C)は、好ましくは、−60℃から100℃までの、−50℃から90℃までの、特に有利には−40℃から80℃までの、−20℃から50℃までの、または−15℃から50℃までのガラス転移温度を有する。
【0057】
超分岐型ポリエステルとは、本発明の範囲においては、ヒドロキシ基および場合によりカルボキシル基を有する架橋されていないポリエステルであって、構造的にも分子的にも一様でないポリエステルを表す。該ポリエステルオールは、有利には架橋されておらず、これは本発明の範囲においては、ポリマーの不溶性成分によって測定されて、15質量%未満、有利には10質量%未満の架橋度が存在することを意味する。ポリマーの不溶性成分は、どの溶剤中に該ポリマーがより良く可溶であるか次第で、ゲル浸透クロマトグラフィーのために使用されるのと同じ溶剤、つまりテトラヒドロフランを用いてソックスレー装置中で4時間抽出し、残留物を質量一定になるまで乾燥させた後に残っている残留物を秤量することによって測定される。
【0058】
該ポリエステルオール(C)は、通常は十分に可溶性である。すなわち、50質量%までの本発明によるポリエステルの含量、幾つかの場合には80質量%までの本発明によるポリエステルの含量でさえも、テトラヒドロフラン(THF)、エチルアセテート、n−ブチルアセテート、エタノールおよび多くの別の溶剤中の溶液は、肉眼でゲル粒子が確認されうることなく25℃で澄明でありうる。
【0059】
超分岐型ポリエステルは、一方でデンドリマーと同様に1つの中心原子から出発するが、考えられる分岐点の間の一様でない鎖長をもって構成されていてよい。該超分岐型ポリエステルは、他方では、官能性側基を伴って直鎖状に構成されていてよいが、または両極の組み合わせとして直鎖状の分子部と分岐状の分子部を有してもよい。デンドリマー型のおよび超分岐型ポリマーの定義については、P.J.Flory,J.Am.Chem.Soc.1952,74,2718およびH.Frey他,Chemistry−A European Journal,2000,6,No.14,2499も参照のこと。
【0060】
「超分岐型」とは、本発明の関連では、分岐度(Degree of Branching、DB)、つまり1分子当たりの樹枝状分岐の平均数と末端基の平均数とを足したものが、10%〜99.9%、有利には20%〜99%、特に有利には20%〜95%であることを表す。「デンドリマー型」とは、本発明の関連では、分岐度が99.9%〜100%であることを表す。「分岐度」の定義については、H.Frey他,Acta Polym.1997,48,30−35を参照されたい。
【0061】
任意のジカルボン酸には、例えば脂肪族ジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン−α,ω−ジカルボン酸、ドデカン−α,ω−ジカルボン酸、シス−およびトランス−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シス−およびトランス−シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シス−およびトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シス−およびトランス−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸、シス−およびトランス−シクロペンタン−1,3−ジカルボン酸が含まれる。更に、芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸を使用することもできる。不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸またはフマル酸は、あまり有利ではないものの使用可能である。
【0062】
上述のジカルボン酸は、
1〜C20−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、s−ヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、トリメチルペンチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−オクタデシルおよびn−エイコシル;
3〜C12−シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシルおよびシクロドデシル(シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが有利である);
アルキレン基、例えばメチレンもしくはエチリデン;または
6〜C14−アリール基、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリルおよび9−フェナントリル、有利にはフェニル、1−ナフチルおよび2−ナフチル、特に有利にはフェニル
から選択される1つ以上の基で置換されていてもよい。置換されたジカルボン酸のための例示される代表物として挙げるとすれば、2−メチルマロン酸、2−エチルマロン酸、2−フェニルマロン酸、2−メチルコハク酸、2−オクタデセニルコハク酸およびそれらの無水物(下記参照)、2−エチルコハク酸、2−フェニルコハク酸、イタコン酸、3,3−ジメチルグルタル酸である。更に、上述のジカルボン酸の2種以上の混合物を使用することができる。
【0063】
ジカルボン酸は、それ自体でも、または誘導体の形でも使用することができる。誘導体とは、有利には
− モノマーの形か、またはポリマーの形の関連の無水物、
− モノアルキルエステルもしくはジアルキルエステル、有利にはモノ−C1〜C4−アルキルエステルもしくはジ−C1〜C4−アルキルエステル、特に有利にはモノメチルエステルもしくはジメチルエステルまたは相応するモノエチルエステルもしくはジエチルエステル、
− 更にモノビニルエステルまたはジビニルエステル、ならびに
− 混合エステル、有利には、様々なC1〜C4−アルキル成分を有する混合エステル、特に有利には混合メチルエチルエステル
を表す。
【0064】
1〜C4−アルキルは、本明細書の範囲においては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチルおよびt−ブチル、有利にはメチル、エチルおよびn−ブチル、特に有利にはメチルおよびエチル、更に特に有利にはメチルを意味する。
【0065】
ジカルボン酸とその1種以上の誘導体とからなる混合物を使用することも可能である。同様に、本発明の範囲においては、1種以上のジカルボン酸の複数の異なる誘導体の混合物を使用することが可能である。任意のジカルボン酸は、特にマロン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、1,2−、1,3−もしくは1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(ヘキサヒドロフタル酸)、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸またはそれらのモノアルキルエステルもしくはジアルキルエステルである。
【0066】
有利な二酸誘導体は、アジピン酸ジメチルエステルである。
【0067】
一実施形態においては、前記ポリエステルポリオール(C)は、もっぱら、ヘキサヒドロフタル酸無水物、トリメチロールプロパンおよびネオペンチルグリコールから、1:1.1から1:1.6までの酸基のヒドロキシ基に対するモル混合比および1超:1の、有利な一例においては1.7:1から1.3:1までのトリメチロールプロパンのヒドロキシ基のネオペンチルグリコールのヒドロキシ基に対するモル混合比において製造され、または前記ポリエステルポリオール(C)は、もっぱら、ヘキサヒドロフタル酸無水物、トリメチロールプロパン、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールおよび任意にアジピン酸ジメチルエステルから、1:1から1:1.4までの酸基のヒドロキシ基に対するモル混合比と、ヘキサヒドロフタル酸無水物の酸基の、トリメチロールプロパンのヒドロキシル基に対する1:0.9から1:1.4までのモル混合比と、トリメチロールプロパンのヒドロキシル基の、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールのヒドロキシル基に対する3超:1のモル混合比と、ヘキサヒドロフタル酸無水物に対する化学量論量での0.2部未満のアジピン酸ジメチルエステルと、において製造される。
【0068】
本発明の一実施形態においては、前記ポリエステルポリオール(C)は、(前記ヘキサヒドロフタル酸無水物以外の)更なる二酸を使用せずに製造される。
【0069】
任意のトリカルボン酸またはポリカルボン酸(Ax)は、例えばアコニット酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリト酸)ならびにメリト酸および低分子量ポリアクリル酸である。その場合に、添数「x」は、「A」が指しているカルボキシ基の官能価を表し、ここで、x≧3であり、有利にはx=3または4であり、特に有利にはx=3である。トリカルボン酸またはポリカルボン酸(Ax)は、本発明による方法において、そのままで使用することもできるが、または誘導体の形で使用することもできる。
【0070】
誘導体とは、有利には、
− モノマーの形またはポリマーの形での関連の無水物、
− モノアルキルエステル、ジアルキルエステルもしくはトリアルキルエステル、有利にはモノ−C1〜C4−アルキルエステル、ジ−C1〜C4−アルキルエステルもしくはトリ−C1〜C4−アルキルエステル、特に有利にはモノメチルエステル、ジメチルエステルもしくはトリメチルエステルまたは相応のモノエチルエステル、ジエチルエステルもしくはトリエチルエステル、
− 更にモノビニルエステル、ジビニルエステルまたはトリビニルエステル、ならびに
− エステル混合物、有利には種々のC1〜C4−アルキル成分を有するエステル混合物、特に有利にはメチルエステル混合物
を表す。
【0071】
本発明の範囲においては、トリカルボン酸もしくはポリカルボン酸と、それらの1種以上の誘導体とからなる混合物、例えばピロメリト酸とピロメリト酸二無水物とからなる混合物を使用することも可能である。同様に、本発明の範囲においては、1種以上のトリカルボン酸もしくはポリカルボン酸の複数の種々の誘導体の混合物、例えば1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸とピロメリト酸二無水物とからなる混合物を使用することが可能である。
【0072】
本発明による任意の更なるジオール(B2)としては、例えばエチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、ペンタン−1,2−ジオール、ペンタン−1,3−ジオール、ペンタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ペンタン−2,3−ジオール、ペンタン−2,4−ジオール、ヘキサン−1,2−ジオール、ヘキサン−1,3−ジオール、ヘキサン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,5−ジオール、ヘプタン−1,2−ジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール、1,2−および1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−、1,2−、1,3−および1,4−ビス−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,1−、1,2−、1,3−および1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、ネオペンチルグリコール、(2)−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ピナコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールHO(CH2CH2O)n−HもしくはポリプロピレングリコールHO(CH[CH3]CH2O)n−H[式中、nは、整数であり、かつn≧4である]、ポリエチレン−ポリプロピレングリコール[エチレンオキシド単位もしくはプロピレンオキシド単位の配列は、ブロック状もしくはランダム状であってよい]、ポリテトラメチレングリコール、好ましくは5000g/モルまでのモル質量のポリテトラメチレングリコール、ポリ−1,3−プロパンジオール、好ましくは5000g/モルまでのモル質量を有するポリ−1,3−プロパンジオール、既に列挙した化合物の2種以上の代表物の混合物が使用される。その場合に、上述のジオール中の1つのヒドロキシル基も、または2つのヒドロキシル基も、SH基によって置換されていてよい。有利に使用されるジオールは、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−および1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンならびにジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコールである。
【0073】
更に特に有利には、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコールおよび1,6−ヘキサンジオールである。
【0074】
有利には、トリメチロールプロパンのヒドロキシ基のジオールのヒドロキシ基に対する混合比は、1:1を上回る。ネオペンチルグリコールを用いた具体的な一例においては、それは1.7:1〜1.3:1である。2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを用いた具体的な一例においては、それは10:1〜4:1である。
【0075】
任意の少なくとも三官能性のアルコール(By)は、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、1,2,4−ブタントリオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、トリス(ヒドロキシエチル)アミン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミン、ペンタエリトリトール、ジグリセリン、トリグリセリンもしくはグリセリンのより高級な縮合生成物、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(ペンタエリトリトール)、トリスヒドロキシメチルイソシアヌレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート、イノシトールもしくは糖類、例えばグルコース、フルクトースもしくはスクロース、糖アルコール類、例えばソルビトール、マンニトール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、イソマルト、三官能性以上のアルコールとエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドとを基礎とする三官能性以上のポリエーテルオールを含む。その場合に、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールエタン、ジ−トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートならびにエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドを基礎とするそれらのポリエーテルオールが特に有利である。更に特に有利には、グリセリン、ジ−トリメチロールプロパンおよびペンタエリトリトールである。その場合に、添数「y」は、「B」が指しているヒドロキシ基の官能価を表し、ここで、y≧3であり、有利にはy=3または4であり、特に有利にはy=3である。
【0076】
該ポリエステルポリオールは、ヘキサヒドロフタル酸無水物に対する化学量論量で、20%未満の、有利には10%未満の四価アルコールを含有し、特に有利には四価アルコールを含有しない。より高い割合の四価アルコールは、より低い転化率のときに既に、生じたポリエステルのゲル化をもたらす。ゲル化の危険性それ自体に加えて、より低い転化率によってそれを回避することが試みられる。そうすると、他方でより高い残留モノマー含量がもたらされる。この残留モノマー含量は望ましくなく、場合により例えば塗料中の可塑剤として悪影響を及ぼすことがある。更に、テトラアルコール、特にペンタエリトリトールは、高い極性を有する。その高い極性は、他方で、生成物とポリイソシアネートもしくはアクリレートとの不適合性を高める。
【0077】
該ポリエステルポリオール(C)は、塊状でまたは溶剤の存在下に製造することができる。有利な一実施形態においては、該反応は溶剤を用いずに実施され、引き続き該ポリエステルポリオールはブチルアセテート中に溶解される。
【0078】
該方法の実施のために、その反応の開始のために添加される添加剤として脱水剤の存在下で作業することができる。例えば、モレキュラーシーブ、殊にモレキュラーシーブ4Å、MgSO4およびNa2SO4が適している。該反応の間にまた、更なる脱水剤を添加することもでき、または脱水剤を新たな脱水剤によって置き換えることもできる。該反応の間に形成される水またはアルコールも留去することができ、例えば水分離器を使用することもできる。その際、水は共沸剤を用いることで除去される。
【0079】
更に、ストリッピングによる分離を行うことができ、例えば反応条件下で不活性のガスを該反応混合物に導通させることによって、場合により蒸留に加えて行うことができる。不活性ガスとしては、好ましくは窒素、希ガス、二酸化炭素または燃料ガスが適している。
【0080】
更に、その分離は減圧下で行うことができる。
【0081】
好ましくは、ポリエステルポリオール(C)は、触媒の不存在下に、特に有機金属触媒の不存在下に、特にスズ触媒を用いずに製造されるので、該ポリエステルポリオール(C)はスズ不含である。触媒が使用される場合には、それは好ましくは、亜鉛、チタン、ジルコニウム、ビスマス、アルミニウム、亜鉛の(有機金属)触媒またはスズを含まない別の触媒、例えば酸性無機触媒もしくは酸性有機触媒あるいはそれらの混合物、有利にはチタン含有触媒を用いて行われる。
【0082】
酸性無機触媒としては、例えば硫酸、硫酸塩および硫酸水素塩、例えば硫酸水素ナトリウム、リン酸、ホスホン酸、次亜リン酸、硫酸アルミニウム水和物、明礬、酸性シリカゲル(pH≦6、特に≦5)および酸性酸化アルミニウムを挙げることができる。更に、酸性無機触媒としては、例えば一般式Al(OR33のアルミニウム化合物および一般式Ti(OR34のチタン酸塩を使用でき、前記式中、基R3は、それぞれ同一もしくは異なってよく、かつ互いに独立して、C1〜C20−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、s−ヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−ヘキサデシルまたはn−オクタデシル;C3〜C12−シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシルおよびシクロドデシルから選択され、有利にはシクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルである。有利には、Al(OR33もしくはTi(OR34中の基R3は、それぞれ同一であり、かつn−ブチル、イソプロピルまたは2−エチルヘキシルから選択される。
【0083】
酸性有機触媒は、例えばホスフェート基、スルホン酸基、スルフェート基またはホスホン酸基を有する酸性有機化合物である。特に有利には、スルホン酸、例えばパラ−トルエンスルホン酸、特にベンゼンスルホン酸の別のアルキル誘導体、有利にはC1〜C20−アルキル基を有するアルキル誘導体であり、有利にはヘテロ置換基を有さず直鎖状である。また、酸性有機触媒としての酸性イオン交換体、例えば約2モル%のジビニルベンゼンと架橋されているスルホン酸基含有のポリスチレン樹脂を使用することもできる。また上述の触媒の2種以上の組み合わせを使用することもできる。個別の分子の形で存在するそのような有機触媒または有機金属触媒または無機触媒を、固定化された形で、例えばシリカゲルもしくはゼオライト上で固定された形で使用することも可能である。酸性無機触媒、酸性有機金属触媒または酸性有機触媒を使用することが望ましい場合に、好ましくは0.1質量%〜10質量%で、有利には0.2質量%〜2質量%の触媒が使用される。酵素または酵素の分解産物は、本発明の意図における酸性有機触媒には該当しない。同様に、本発明により反応されるジカルボン酸は、本発明の意図における酸性有機触媒には該当しない。ポリエステルポリオール(C)の製造方法の実施のためには、有利には酵素の使用は省かれる。
【0084】
ポリエステルポリオール(C)(以下、ポリエステルオールまたはポリエステルと略称される)が一段階法で製造されることが有利である。
【0085】
ポリエステルポリオール(C)の製造方法は、好ましくは不活性ガス雰囲気下で、すなわち反応条件下に不活性なガス下で、例えば二酸化炭素、燃料ガス、窒素または希ガス下で実施され、それらのなかでも、特にアルゴンを挙げることができる。該方法は、60℃から250℃の温度で実施される。好ましくは、150℃から200℃の温度で、特に有利には160℃から180℃の温度で作業される。本発明による方法の圧力条件は、一般的に重要ではない。明らかに低減された圧力下で、例えば10ミリバール〜500ミリバールで作業することができる。該方法は、500ミリバールを上回る圧力で実施することもできる。有利には、簡単であることから、該反応は大気圧で行われるが、軽く高められた圧力、例えば1200ミリバールまでの圧力で実施することも可能である。また、明らかに高められた圧力で、例えば10バールまでの圧力で作業することもできる。有利には、低減された圧力下でまたは大気圧下で反応され、特に有利には大気圧下で反応される。反応温度に昇温した後の該方法の反応時間は、原材料および所望の生成物最終データ、例えば酸価(およびヒドロキシル価)に依存している。その時間は、通常は1時間〜48時間、有利には2時間〜26時間である。アジピン酸ジメチルエステルの不存在下に、有利な一つの形態においては、2時間〜8時間に至ってよく、アジピン酸ジメチルエステルが使用される場合に、例えば16時間〜26時間に至ってよい。その一方で、反応時間は、より高い温度によって短縮することができる。
【0086】
反応が完了した後に、高官能性の高分岐型および超分岐型ポリエステルは、場合により触媒の濾別および溶剤の任意の除去によって簡単に単離することができ、その際、溶剤の除去は、通常は、減圧下で実施される。更なる非常に適した後処理法は、水の添加によるポリマーの沈殿と、それに引き続いての洗浄および乾燥である。好ましくは、ポリエステルポリオール(C)の製造方法は、触媒を用いずに、そして溶剤を用いずに行われる。
【0087】
本発明の一実施形態においては、本発明によるポリエステルは、該反応によって既に得られた官能基の他に、更なる官能基を有してよい。事後の官能化は、得られた高官能性の高分岐型または超分岐型ポリエステルを、1つの追加のプロセスステップにおいて、ポリエステルのOH基および/またはカルボキシル基と反応しうる適切な官能化試薬と反応させることによって得ることができる。
【0088】
ヒドロキシ基含有の本発明によるポリエステルを飽和もしくは不飽和の脂肪族の、環式脂肪族の、芳香脂肪族のまたは芳香族のモノカルボン酸による官能化は、有利にはもっぱら事後に、すなわち別々のステップにおける固有の反応の完了後に行うことができる。適切な飽和モノカルボン酸は、1〜30個の炭素原子を含んでよく、有利には2〜30個の炭素原子を含んでよく、特に有利には4〜25個の炭素原子を含んでよく、更に特に有利には6〜20個の炭素原子を含んでよく、特に8〜20個の炭素原子を含んでよい。適切な飽和モノカルボン酸のための例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ピバル酸、カプロン酸、2−エチルヘキサン酸、オクタン酸、イソノナン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、α−ナフタリン酸またはβ−ナフタリン酸である。モノカルボン酸は、ヘキサヒドロフタル酸無水物に対して20質量%までの量で、有利には最大で15質量%までの量で使用することができる。適切なα,β−不飽和モノカルボン酸は、3〜20個の炭素原子を含んでよく、有利には3〜10個の、特に有利には3〜6個の、更に特に有利には3〜5個の、特に3〜4個の炭素原子を含んでよい。適切なα,β−不飽和モノカルボン酸のための例は、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸またはグルタコン酸であり、有利にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびクロトン酸であり、特に有利にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびクロトン酸、更に特に有利にはアクリル酸およびメタクリル酸、特にアクリル酸である。飽和または不飽和のモノカルボン酸との反応は、カルボン酸を用いる代わりにその誘導体を用いて、例えばその無水物、塩化物もしくはエステルを用いて、有利にはその無水物またはエステルを用いて、特に有利にはC1〜C4−アルキルアルコールとのそのエステルを用いて、更に特に有利にはそのメチルエステルを用いて行うこともできる。
【0089】
有利には、更なる官能化は存在しない。
【0090】
本発明による二成分形ポリウレタンコーティング材料は、一般的に、(A)におけるイソシアネート基の、(B)および(C)におけるイソシアネートに対して反応性の基に対する化学量論比0.5:1から2:1まで、有利には0.7:1から1.3:1まで、特に有利には0.8:1から1.2:1まで、特に0.9:1から1.1:1までを有する。
【0091】
成分(B)のポリ(メタ)アクリレートポリオール:成分(C)の分岐型ポリエステルポリオールの質量比は、それぞれ固体に対して、1.5:1〜99:1、好ましくは2.3:1〜20:1、特に2.7:1〜20:1である。
【0092】
本発明によるコーティング材料の製造のためには、ポリイソシアネート組成物(A)と結合剤(B)および(C)は、(A)中のイソシアネート基の、(B)および(C)中のイソシアネートに対して反応性の基に対する所望のモル比で互いに混合され、その際場合によりなおも更なる塗料に典型的な成分を混加(混合)することができる。引き続き、この混合物は基材へと適用される。
【0093】
前記コーティング材料中の更なる塗料に典型的な添加剤(G)としては、例えば紫外線安定剤、例えば紫外線吸収剤および適切なラジカル捕捉剤(特にHALS化合物、ヒンダードアミン光安定剤)、触媒(賦活剤、促進剤)、乾燥剤、帯電防止剤、防炎剤、増粘剤、チキソトロープ剤、界面活性剤、粘度調節剤、可塑剤またはキレート形成剤を使用することができる。適切な紫外線吸収剤は、オキサアニリド、トリアジンおよびベンゾトリアゾール(最後のものは、例えばBASF SEのTinuvin(登録商標)の銘柄として入手できる)およびベンゾフェノン(例えばBASF SE社製のChimassorb(登録商標)81)を含む。有利には、例えば95%のベンゼンプロパン酸、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−、C7〜C9−分岐型および直鎖状のアルキルエステル;5%の1−メトキシ−2−プロピルアセテート(例えばTinuvin(登録商標)384)およびα−[3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]−1−オキソプロピル]−ω−ヒドロキシポリ(オキソ−1,2−エタンジイル)(例えばTinuvin(登録商標)1130)であり、それぞれは、例えばBASF SE社の製品である。DL−α−トコフェロール、トコフェロール、ケイ皮酸誘導体およびシアノアクリレートは、この目的のために同様に使用することができる。
【0094】
これらは、単独でまたは適切なラジカル捕捉剤、例えば立体障害アミン(しばしば、HALS化合物またはHAS化合物とも呼ばれる;ヒンダードアミン(光)安定剤)、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,6−ジ−t−ブチルピペリジンまたはその誘導体、例えばビス−(2,2,6.6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)セバシネートと一緒に使用することができる。これらは、例えばBASF SE社のTinuvin(登録商標)およびChimassorb(登録商標)の銘柄として入手できる。しかしながら、ルイス酸と一緒に使用する場合には、そのようなヒンダードアミンのN−アルキル化されたもの、例えばビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート(例えばBASF SE社製のTinuvin(登録商標)144)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートとメチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートとからなる混合物(例えばBASF SE社製のTinuvin(登録商標)292)、またはN−(O−アルキル化)されたもの、例えばデカン二酸、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドおよびオクタンとの反応生成物(例えばBASF SE社製のTinuvin(登録商標)123)が有利である。紫外線安定剤は、通常は、配合中に含まれる固体成分に対して、0.1質量%から5.0質量%までの量で、有利には2質量%〜4質量%の量で使用される。
【0095】
増粘剤としては、ラジカル(共)重合された(共)重合体の他に、通常の有機増粘剤および無機増粘剤、例えばヒドロキシメチルセルロースまたはベントナイトが考えられる。キレート形成剤としては、例えばエチレンジアミン酢酸およびその塩ならびにβジケトンを使用することができる。
【0096】
更に、なおも成分(H)として、充填剤、染料および/または顔料が含まれていてよい。本来の意味における顔料は、CD版レンプ化学事典ヴァージョン1.0(CD Roempp Chemie Lexikon−Version 1.0),シュトゥットガルト/ニューヨーク:Georg Thieme出版(1995)に従って、DIN 55943を基準として、粒状の「適用媒体中で実質的に不溶性の、無機または有機の、彩色または無彩色の着色剤」である。この場合に、実質的に不溶性であるとは、溶解度が25℃で1g/適用媒体1000gを下回っており、有利には0.5を下回っており、特に有利には0.25を下回っており、更に特に有利には0.1を下回っており、かつ特に0.05g/適用媒体1000gを下回っていることを意味する。本来の意味での顔料の例には、吸収顔料および/または効果顔料、有利には吸収顔料の任意の系が包含される。その場合に、顔料成分の数および選択に、いかなる制限も受けない。該顔料は、その都度の要求、例えばステップa)で記載されるように、例えば所望の色彩印象に任意に適合させることができる。例えば、標準化された混合塗料系の全ての顔料成分を基礎とすることができる。効果顔料とは、薄板状の構造を示し、かつ表面被覆に特別な装飾的な色彩効果を付与する全ての顔料と解される。効果顔料は、例えば、車両塗装および工業塗装において通常使用可能な全ての効果付与する顔料である。そのような効果顔料の例は、純粋な金属顔料;例えばアルミニウム顔料、鉄顔料もしくは銅顔料;干渉顔料、例えば二酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、混合酸化物被覆マイカ(例えば、二酸化チタンとFe23との混合酸化物もしくは二酸化チタンとCr23との混合酸化物)、金属酸化物被覆アルミニウム、または液晶顔料である。色付与する吸収顔料は、例えば通常の、塗料化学において使用可能な有機または無機の吸収顔料である。有機吸収顔料の例は、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料およびピロロピロール顔料である。無機吸収顔料の例は、酸化鉄顔料、二酸化チタンおよびカーボンブラックである。
【0097】
染料も、同様に着色剤であり、かつ顔料とは適用媒体中でのその溶解度の点で異なる。すなわち、25℃で1g/適用媒体1000gより高い溶解度を有する。染料の例は、アゾ染料、アジン染料、アントラキノン染料、アクリジン染料、シアニン染料、オキサジン染料、ポリメチン染料、チアジン染料、トリアリールメタン染料である。これらの染料は、塩基性もしくはカチオン性の染料、媒染染料、直接染料、分散染料、顕色染料、バット染料、金属錯体染料、反応性染料、酸性染料、硫化染料、カップリング染料または直接性染料(Substantive Farbstoffe)として使用することができる。
【0098】
彩色的に不活性の充填剤とは、一方では彩色的に効果がなく;すなわち僅かな基礎吸収しか示さず、その屈折率がコーティング媒体の屈折率と類似しており、かつ他方では表面被覆における、すなわち施与された塗膜中での効果顔料の配向(平行アライメント)、更になおも被覆またはコーティング材料の特性、例えば硬度またはレオロジーにも影響を及ぼしうる全ての物質/化合物を表すべきである。以下では、例示的に使用可能な不活性の物質/化合物が挙げられるが、しかしながら、彩色的に不活性の、トポロジーに影響を及ぼす充填剤の概念は、これらの例に制限されない。定義に応じた適した不活性の充填剤は、例えば、透明のまたは半透明の充填剤または顔料、例えばシリカゲル、沈降硫酸バリウム、ケイ藻土、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、結晶性二酸化ケイ素、非晶質シリカ、酸化アルミニウム、例えば0.1μm〜50μmのサイズを有する、例えばガラス、セラミックまたはポリマーからの微小球もしくは中空微小球であってよい。さらに、不活性の充填剤として、任意の固体の不活性の有機粒子、例えば尿素−ホルムアルデヒド縮合物、微粉化ポリオレフィンワックスおよび微粉化アミドワックスを使用することができる。不活性の充填剤は、それぞれ混合物でも使用することができる。しかしながら、有利には1種の充填剤のみが使用される。有利な充填剤には、ケイ酸塩、例えば、四塩化ケイ素の加水分解によって得られるケイ酸塩、例えばDegussa社のAerosil(登録商標)、ケイ土、タルク、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等が包含される。
【0099】
更に、コーティング材料に、イソシアネート基とイソシアネート基に対して反応性の基との反応を促進することができる少なくとも1種の触媒を混合してよい。イソシアネート基とイソシアネート基に対して反応性の基との反応を促進することができる化合物は、出発材料混合物中でのその存在によって、同一の反応条件下でその不存在での同じ出発材料混合物より高い割合のウレタン基含有反応生成物をもたらす化合物である。これらの化合物は文献公知であり、例えばG.Oertel(編集),ポリウレタン(Polyurethane),第3版 1993,Carl Hanser出版、ミュンヘン−ウィーン,第104頁〜第110頁、チャプター3.4.1.「触媒(Katalysatoren)」から公知である。有利には、有機アミン、特に第三級の脂肪族の、環式脂肪族のもしくは芳香族のアミン、ブレンステッド酸および/またはルイス酸、有機金属化合物であり、特に有利にはルイス酸性有機金属化合物である。例えば、ルイス酸性有機金属化合物は、スズ化合物、例えば有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えばスズ(II)ジアセテート、スズ(II)ジオクトエート、スズ(II)ビス(エチルヘキサノエート)およびスズ(II)ジラウレートならびに有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えばジメチルスズジアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジブチレート、ジブチルスズビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズジラウレートおよびジオクチルスズジアセテートが考えられる。更に、スズ(II)塩、例えばスズ(II)ジオクトエートを使用することができる。特に記載がない限り、カルボン酸、例えばオクトエートは、分岐異性体および/または非分岐異性体、有利には非分岐異性体であってよい。金属錯体、例えば、鉄、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、亜鉛およびコバルトのアセチルアセトネートも可能である。更なる金属触媒は、Blank他によって有機コーティングにおける進展(Progress in Organic Coatings),1999,第35巻,第19頁〜第29頁に記載される。
【0100】
スズ不含および亜鉛不含の代替物質として、なかでもジルコニウム、チタン、ビスマスおよびアルミニウム化合物が使用される。これらは、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(例えばKing Industries社のK−KAT(登録商標)4205);ジルコニウムジオネート(例えばKing Industries社のK−KAT(登録商標)XC−9213;XC−A209およびXC6212);ビスマス化合物、殊にトリカルボキシレート(例えばKing Industries社のK−KAT(登録商標)348、XC−B221;XC−C227、XC8203);アルミニウムジオネート(例えばKing Industries社のK−KAT(登録商標)5218)である。スズ不含のおよび亜鉛不含の触媒は、その他に、例えば、Borchers社の商品名Borchi(登録商標)Kat、Goldschmidt社のTKまたはShepherd社(Lausanne在)のBICAT(登録商標)としても売られている。これらの触媒は、溶剤型(溶剤ベース系)および/またはブロック化された系のために適している。モリブデン触媒、タングステン触媒およびバナジウム触媒は、特にブロック化ポリイソシアネートの反応のために、WO2004/076519およびWO2004/076520において記載される。
【0101】
セシウム塩も触媒として使用することができる。その場合に、セシウム塩としては、以下のアニオン:F-、Cl-、ClO-、ClO3-、ClO4-、Br-、I-、IO3-、CN-、OCN-、NO2-、NO3-、HCO3-、CO32-、S2-、SH-、HSO3-、SO32-、HSO4-、SO42-、S222-、S242-、S252-、S262-、S272-、S282-、H2PO2-、H2PO4-、HPO42-、PO43-、P274-、(OCn2n+1-、(Cn2n-12-、(Cn2n-32-ならびに(Cn+12n-242-[前記式中、nは1〜20の数である]が用いられる化合物が考えられる。その場合に、有利なのは、アニオンが式(Cn2n-12-ならびに(Cn+12n-242-[前記式中、nは1〜20に等しい]に従う、セシウムカルボキシレートである。特に有利なセシウム塩は、アニオンとして一般式(Cn2n-12-[式中、nは1〜20の数である]のモノカルボキシレートを有する。この場合に、特にホルミエート、アセテート、プロピオネート、ヘキサノエートおよび2−エチルヘキサノエートが挙げられるべきである。
【0102】
本発明によるコーティング材料の塗布に続き、140℃までの、有利には20℃〜80℃の、特に有利には60℃までの周囲温度で前記塗料混合物は硬化される。その硬化は、特に、高められた温度で一般的に2時間以下、特に1時間以下、例えば10分〜40分を必要とする。該硬化は、赤外線の補助によっても行うことができ、さもなくば促進することもできる。
【0103】
基材の被覆は、通常の、当業者に公知の方法により行われ、その際、少なくとも1つのコーティング材料は、被覆されるべき基材に所望の厚さで塗布され、かつコーティング材料の任意に含まれる揮発性成分は、場合により加熱下で除去される。この作業は、所望であれば1回または複数回繰り返すことができる。基材への塗布は、公知の手段で、例えば、スプレー塗り、ヘラ塗り、ナイフ塗布、ブラシ塗り、ローラ塗り、ロール塗り、キャスト塗布、ラミネート塗布、背面射出または同時押出によって実施してよい。そのような硬化されるべき層の厚さは、0.1μmから数mmまで、有利には1μmから2000μmまで、特に有利には5μmから200μmまで、更に特に有利には5μmから60μmまでであってよい(溶剤が除去された状態の塗料に対して)。
【0104】
更に、本発明による多層塗装で被覆された基材も本発明の主題である。
【0105】
特に適しているのは、特に高い適用安全性、屋外耐候性、光学的特性、耐溶剤性、耐化学薬品性および耐水性が要求される用途のためのポリウレタン塗料である。
【0106】
得られた二成分形コーティング材料および塗料配合物は、木材、木材単板、紙、厚紙、ボール紙、織物、シート、皮革、不織布、プラスチック表面、ガラス、セラミック、鉱物性建材、例えばセメント成形ブロックおよび繊維セメント板または金属のような基材であって、それぞれ任意に予備被覆または前処理されていてよい基材の被覆のために適している。有利には、任意に予備被覆または前処理されていてよい金属およびプラスチックである。
【0107】
そのようなコーティング材料は、内装被覆もしくは外装被覆、つまり建築物部材の日光に晒される用途、(大型)車両および航空機への被覆ならびに工業的な用途、鉄道、農業分野および建築分野における商用車、特にいわゆるACE(農業機器、建築機器および土木機器(agricultural,construction and earthmoving equipment))として知られているもの、風力エネルギープラント、化粧塗装、橋梁、建築物、送電塔、タンク、コンテナ、パイプライン、発電所、化学プラント、船舶、クレーン、支柱、矢板壁、計器類、パイプ、装備品、フランジ、連結部、ホール、屋根および構造用鋼、家具、窓、ドア、寄せ木張りの床、紙、ボール紙への被覆、缶塗装およびコイルコーティング、床仕上げ材用の被覆、例えばパーキングデッキでのもしくは病院内での被覆、特にOEMおよび補修用途としての自動車塗装として、またはそれらにおいて適している。有利には、自動車用途および工業用途、例えばACEである。
【0108】
特に、本発明によるコーティング材料は、クリヤーコート、ベースコート、トップコート、プライマーまたはサーフェイサーとして使用される。
【0109】
本発明によるコーティング材料は、迅速な乾燥性および振り子硬度発生、高い可撓性、高い耐引掻性、特に高いリフロー性、良好な耐化学薬品性、良好な耐候性および良好な防食特性を示す。該コーティング材料の同じ触媒反応におけるゲル化時間は、純粋なアクリレート系におけるよりも長いので、それは追加の触媒反応のための余地を可能にするとともに、より素早い硬化および乾燥特性の更なる短縮を可能にする。本発明によるコーティング材料の付着性はアクリレートしか含まない参照物に対して一般的に利点を有する。付着性および防食性は、例えばダイレクト・ツー・メタル(Direct To Metal)(DTM)用途の場合とプライマーにおいて重要な役割を担うため、そのために本発明によるコーティング材料を特に適したものとする。
【実施例】
【0110】
実施例の使用物質:
ヘキサヒドロフタル酸無水物
Aldrich社、融点33℃、使用前に炉内で溶融させる。
【0111】
シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸
Aldrich社、固体、融点164℃〜167℃。
【0112】
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール
TCI(東京化学工業)社、融点43℃、使用前に水浴中で溶融させる。
【0113】
アジピン酸ジメチルエステル
Aldrich、液状。
【0114】
セバシン酸
Merck、固体、融点131℃〜134℃。
【0115】
トリメチロールプロパン
Aldrich、白色の鱗片、融点56℃〜58℃。
【0116】
ジ−トリメチロールプロパン
Aldrich、固体、融点108℃〜111℃。
【0117】
ネオペンチルグリコール
固体、融点127℃。
【0118】
Joncryl(登録商標)507:
ポリアクリレートオール、OH価140mg KOH/g、酸価7mg KOH/g、酢酸ブチル中80%の固体含有率;BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン)。
【0119】
Joncryl(登録商標)592:
ポリアクリレートオール、OH価147mg KOH/g、酢酸ブチル中74%の固体含有率;BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン)。
【0120】
Joncryl(登録商標)922:
ポリアクリレートオール、OH価140mg KOH/g、酸価7mg KOH/g、酢酸ブチル中80%の固体含有率;BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン)。
【0121】
Joncryl(登録商標)909:
ポリアクリレートオール、OH価112mg KOH/g、酢酸ブチル中68%の固体含有率;BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン)。
【0122】
Joncryl(登録商標)910:
ポリアクリレートオール、OH価140mg KOH/g、メチルアミルケトン中71%の固体含有率;BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン)。
【0123】
Joncryl(登録商標)934:
ポリアクリレートオール、OH価70mg KOH/g、酢酸ブチル中77%の固体含有率;BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン)。
【0124】
Macrynal(登録商標)SM 510n:
ポリアクリレートオール、OH価150mg KOH/g、酸価7mg KOH/g、固体含有率60%、Allnex。
【0125】
Basonat(登録商標)HI 100:
DIN EN ISO 11909によるNCO含量21.5%〜22.5%を有するヘキサメチレンジイソシアネートを基礎とするイソシアヌレート基含有のポリイソシアネート、BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン)。
【0126】
Basonat(登録商標)HI 2000:
DIN EN ISO 11909によるNCO含量22.5%〜23.5%を有するヘキサメチレンジイソシアネートを基礎とするイソシアヌレート基含有のポリイソシアネート、BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン)。
【0127】
Basonat(登録商標)HB 175 MP/X:
DIN EN ISO 11909によるNCO含量16%〜17%を有するヘキサメチレンジイソシアネートを基礎とするビウレット基含有のポリイソシアネート、BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン)。
【0128】
TBOT:
テトラブチルオルトチタネート、Sigma Aldrich。
【0129】
DBTL
ジブチルスズジラウレート、触媒、Aldrich。
【0130】
TIB Kat(登録商標)718
ネオデカン酸ビスマスを基礎とする触媒混合物、TIB Chemicals。
【0131】
Borchi(登録商標)Kat 22
亜鉛−ビス(2−エチルヘキサノエート)、塩基性触媒、100%、OMG Borchers。
【0132】
PC/ABS
ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−共重合体 Bayblend(登録商標)T 65、Bayer MaterialScience。
【0133】
PP/EPDM:Sabic(登録商標)
pp 95619+20MBT 10000:
ポリプロピレン/エチレン−プロピレン−ジエンゴム、Sabic社(不燃性;塗料中に塩素化ポリオレフィンを含まない)。
【0134】
MSSP Yellow 1995:
60.0%のBayferrox(登録商標)Yellow 3920(Bayer Materialscience社)
23.2%のLaropal(登録商標)A81溶液、Arcosolv(登録商標)MPA(LyondellBasell)中63.5%、BASF SE
10.6%のMPA
5.9%のEFKA(登録商標)4330、BASF SE
0.3%のAerosil(登録商標)200、Evonik社
からなる顔料ペースト、
顔料濃度:60%、固体:78.8%、密度:1.82g/cm3
【0135】
MSSP White 0022:
68.0%のKronos(登録商標)2360(Kronos社)
21.3%のLaropal(登録商標)A81溶液、Arcosolv(登録商標)MPA(LyondellBasell)中63.5%、BASF SE
6.7%のMPA
3.5%のEFKA(登録商標)4330、BASF SE
0.5%のAerosil(登録商標)200、Evonik社
からなる顔料ペースト、
顔料濃度:68%、固体:82%。
【0136】
Bayferrox(登録商標)Yellow 3920
微粉化された黄色顔料(合成水酸化鉄α−FeOOH)、粉末、Lanxess社。
【0137】
Laropal(登録商標)A81:
アルデヒド樹脂、BASF SE、軟化点(DIN 53180)80℃〜95℃、ヒドロキシル価(ISO 4629)約40mg KOH/g、ガラス転移温度Tg(DSC)約57℃。
【0138】
Ti Pure(登録商標)R 960
ルチル顔料、コーティング用二酸化チタン、DuPont社。
【0139】
Kronos(登録商標)2360
ルチル顔料、TiO2含有率(DIN EN ISO 591)92.0%、CAS番号13463−67−7、Kronos社。
【0140】
EFKA(登録商標)PU 4063
湿潤剤および分散剤、変性ポリウレタンポリマー、固体45%、アミン価:10、BASF SE。
【0141】
EFKA(登録商標)SL 3288
湿潤剤、有機変性ポリシロキサン、固体100%、BASF SE。
【0142】
EFKA(登録商標)PX 4330
分散剤、アクリレートブロックコポリマー、固体70%、アミン価:28、BASF SE。
【0143】
Aerosil(登録商標)200
比表面積(BET)200m2/gを有する親水性熱分解法シリカ、平均粒度12nm、Evonik Industries社。
【0144】
酸価、ヒドロキシル価および粘度の測定は、先に記載のようにして行われる。
【0145】
モル質量および多分散性の測定は、ドイツ技術検査協会認証を受けた、PSS(Polymer Standards Service;DIN EN ISO 9001:2000、認証:0110084065)のPMMA標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィーによって行われる。これらの標準は、DIN 55672およびISO/EN 13885の要求に従って特徴付けられている。
【0146】
GPCは、以下を用いて行われる:
装置:PSS Agilent Technologies 1260 Infinity
カラム:
1×PLGel Mixed E Guard(プレカラム)、長さ5cm、直径0.75cm
1×PLGel Mixed E、長さ30cm、直径0.75cm
1×PLGel Resipore、長さ30cm、直径0.75cm
溶剤:THF
流速:1mL/分
注入容量:50μL
濃度:1g/L
温度:室温(20℃)。
【0147】
不揮発分(NfA)は、熱重力測定原理に従ってMettler Toledo社の水分計HB43−Sを用いて測定した。そのために、直径90mmを有するアルミニウム試料皿(HA−D90)において2gの試料を量り取り、重さが一定になるまで150℃に加熱した。
【0148】
合成例:
実験室試験において、トリメチロールプロパンおよびネオペンチルグリコールを反応器中で固体として装入した。ヘキサヒドロフタル酸無水物および2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを、溶融状態で添加した。
【0149】
例B1a:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン=1.0:1.0(触媒なし)
水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、トリメチロールプロパン(930.7g)およびヘキサヒドロフタル酸無水物(1069.3g)を窒素雰囲気下で室温において装入し、完全に溶融させ、そして撹拌しながら段階的に160℃〜180℃へと加熱した。約5時間の反応時間後に、80mg KOH/gの酸価(転化率80%)に達した後に120℃に冷却し、814.4gの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。
【0150】
例B1b:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン=1.0:1.0(触媒なし)
水循環装置付きの250Lの撹拌槽において、ヘキサヒドロフタル酸無水物(53.5kg、60℃で溶融させ、装填される)およびトリメチロールプロパン(46.5kg、80℃で溶融させ、装填される)を窒素雰囲気下で装入し、完全に溶融させ、そして撹拌しながら段階的に160℃〜180℃へと加熱した。約5時間の反応時間後に、85mg KOH/gの酸価(転化率79%)に達した後に100℃に冷却し、40.7kgの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。
【0151】
例B1c:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン=1.0:1.0(触媒なし)
例B1aと同様に、74mg KOH/gの酸価(転化率82%)に達した後に120℃に冷却し、813.5gの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。
【0152】
例B2aないしB2dは、本発明によるものではない。
【0153】
例B2a:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン/アジピン酸ジメチルエステル=1.0:1.5:0.5、触媒としてテトラブチルオルトチタネートを用いる
水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、トリメチロールプロパン(909.6g)、ヘキサヒドロフタル酸無水物(696.7g)を窒素雰囲気下で装入し、80℃でテトラブチルオルトチタネート(0.6g)を添加し、そして撹拌しながら160℃〜180℃へと加熱した。約12時間の反応時間後に、38mg KOH/gの酸価に達した後に、140℃でアジピン酸ジメチルエステル(393.6g)を添加した。180℃で更に9時間後に、21mg KOH/gの酸価に達した後に、120℃に冷却し、596.6gの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。
【0154】
例B2b:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン/アジピン酸ジメチルエステル=1.0:1.5:0.5、触媒としてジブチルスズジラウレートを用いる
60℃で溶融し、充填する。250Lの撹拌槽において、ヘキサヒドロフタル酸無水物(34.8kg、60℃で溶融させ、装填される)、トリメチロールプロパン(45.5kg、80℃で溶融させ、装填される)およびジブチルスズジラウレート(0.03kg)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃〜180℃へと加熱した。12時間の反応時間後に、38mg KOH/gの酸価に達した後に、120℃でアジピン酸ジメチルエステル(19.7kg)を添加した。180℃で更に10時間後に、21mg KOH/gの酸価に達した後に、100℃に冷却し、30.9kgの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。
【0155】
例B2c:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン/アジピン酸ジメチルエステル=1.0:1.5:0.5、触媒としてテトラブチルオルトチタネートを用いる
水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、トリメチロールプロパン(778.0g)、ヘキサヒドロフタル酸無水物(596.0g)およびテトラブチルオルトチタネート(0.5g)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃〜180℃へと加熱した。10時間の反応時間後に、42mg KOH/gの酸価に達した後に、140℃でアジピン酸ジメチルエステル(337.0g)を添加した。180℃で更に10時間後に、22mg KOH/gの酸価に達した後に、120℃に冷却し、511.0gの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。
【0156】
例B2d:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン/アジピン酸ジメチルエステル=1.0:1.5:0.5、触媒としてテトラブチルオルトチタネートを用いる
水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、トリメチロールプロパン(909.6g)、ヘキサヒドロフタル酸無水物(696.7g)およびテトラブチルオルトチタネート(0.6g)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃〜180℃へと加熱した。8.5時間の反応時間後に、38mg KOH/gの酸価に達した後に、140℃でアジピン酸ジメチルエステル(393.6g)を添加した。180℃で更に10時間後に、21mg KOH/gの酸価に達した後に、120℃に冷却し、596.8gの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。
【0157】
例B3a:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン=1.2:1.0(触媒なし)
還流冷却器および水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、トリメチロールプロパン(840.8g)およびヘキサヒドロフタル酸無水物(1159.2g)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃〜180℃へと加熱した。5時間の反応時間後に、89mg KOH/gの酸価(転化率80%)に達した後に120℃に冷却し、1018.2gの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。
【0158】
例B3b:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン=1.2:1.0(触媒なし)
250Lの撹拌槽において、ヘキサヒドロフタル酸無水物(58.0kg、60℃で溶融させ、装填される)およびトリメチロールプロパン(42.0kg、80℃で溶融させ、装填される)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃〜180℃へと加熱した。7時間の反応時間後に、93mg KOH/gの酸価(転化率79%)に達した後に100℃に冷却し、52.1gの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。
【0159】
例B3c:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン=1.2:1.0(触媒なし)
還流冷却器および水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、トリメチロールプロパン(840.8g)およびヘキサヒドロフタル酸無水物(1159.2g)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃〜180℃へと加熱した。5時間の反応時間後に、83mg KOH/gの酸価(転化率81%)に達した後に120℃に冷却し、1017.1gの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。
【0160】
例B4a:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン/ネオペンチルグリコール=1.0:0.5:0.5(触媒なし)
還流冷却器および水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、トリメチロールプロパン(490.9g)、ネオペンチルグリコール(381.0g)およびヘキサヒドロフタル酸無水物(1128.1g)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃〜180℃へと加熱した。5時間の反応時間後に、85mg KOH/gの酸価(転化率80%)に達した後に120℃に冷却し、631.3gの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。
【0161】
例B4b:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン/ネオペンチルグリコール=1.0:0.5:0.5(触媒なし)
250Lの撹拌槽において、ヘキサヒドロフタル酸無水物(56.4kg、60℃で溶融させ、装填される)、ネオペンチルグリコール(19.1kg)およびトリメチロールプロパン(24.5kg、80℃で溶融させ、装填される)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃〜180℃へと加熱した。約5時間の反応時間後に、91mg KOH/gの酸価(転化率79%)に達した後に100℃に冷却し、31.6kgの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。
【0162】
例B5:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン/2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール=1.2:0.8:0.2
還流冷却器および水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、トリメチロールプロパン(330.9g)、溶融された2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(98.8g)およびヘキサヒドロフタル酸無水物(570.3g)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃〜180℃へと加熱した。5時間の反応時間後に、98mg KOH/gの酸価(転化率78%)に達した後に120℃に冷却し、407.0gの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。
【0163】
例B6:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/アジピン酸/トリメチロールプロパン/2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール=1.2:0.1:0.85:0.3
還流冷却器および水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、トリメチロールプロパン(315.3g)、溶融された2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(132.9g)、アジピン酸(40.4g)およびヘキサヒドロフタル酸無水物(511.4g)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃〜180℃へと加熱した。5時間の反応時間後に、90mg KOH/gの酸価(転化率79%)に達した後に120℃に冷却し、404.7gの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。
【0164】
例B7:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン=1.1:1.0
還流冷却器および水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、トリメチロールプロパン(530.1g)およびヘキサヒドロフタル酸無水物(669.9g)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃〜180℃へと加熱した。5時間の反応時間後に、77mg KOH/gの酸価(転化率82%)に達した後に120℃に冷却し、283.3gの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。
【0165】
例B8:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン=1.0:1.0(より低い酸価を有する)
水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、トリメチロールプロパン(930.7g)およびヘキサヒドロフタル酸無水物(1069.3g)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃へと加熱した。この温度を約30分間保ち、その後に180℃に昇温させた。約10時間の反応時間後に、54mg KOH/gの酸価に達した後に120℃に冷却し、その生成物を酢酸ブチルで75%にまで希釈し、更に冷却した。
【0166】
例B9:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン=1.0:1.0(より低い酸価を有する)
水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、トリメチロールプロパン(465.3g)およびヘキサヒドロフタル酸無水物(534.7g)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃へと加熱した。この温度を約30分間保ち、その後に180℃に昇温させた。約8時間の反応時間後に、46mg KOH/gの酸価に達した後に120℃に冷却し、その生成物を288.4gの酢酸ブチルで70%にまで希釈し、更に冷却した。
【0167】
例B10:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン/2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール=1.0:0.5:0.5
水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、トリメチロールプロパン(22.6g)、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(265.90g)およびヘキサヒドロフタル酸無水物(511.5g)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃へと加熱した。この温度を約30分間保ち、その後に180℃に昇温させた。約4時間の反応時間後に、86mg KOH/gの酸価に達した後に120℃に冷却し、その生成物を229.3gの酢酸ブチルで75%にまで希釈し、更に冷却した。
【0168】
例B11:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン/ネオペンチルグリコール=2:1.67:1
水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、トリメチロールプロパン(352.0g)、ネオペンチルグリコール(163.6g)およびヘキサヒドロフタル酸無水物(484.4g)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃へと加熱した。この温度を約30分間保ち、その後に180℃に昇温させた。約9時間の反応時間後に、41mg KOH/gの酸価に達した後に160℃に冷却し、そして3時間半にわたって200ミリバールの真空にかけた。その後に、その酸価は35mg KOH/gであった。その生成物を120℃に冷却し、そして284.64gの酢酸ブチルで70%にまで希釈し、更に冷却した。
【0169】
例B12:
ヘキサヒドロフタル酸無水物/トリメチロールプロパン/ネオペンチルグリコール=2:1:1.27
水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、トリメチロールプロパン(267.6g)、ネオペンチルグリコール(219.9g)およびヘキサヒドロフタル酸無水物(512.5g)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃へと加熱した。この温度を約30分間保ち、その後に180℃に昇温させた。約2時間半の反応時間後に、62mg KOH/gの酸価に達した後に160℃に冷却し、そして1時間にわたって200ミリバールの真空にかけた。その後に、その酸価は42mg KOH/gであった。真空を取り去り、生成物を120℃に冷却し、そして285.3gの酢酸ブチルで70%にまで希釈し、更に冷却した。真空下に、幾らかの昇華物が冷却器中に形成された。
【0170】
比較例:
V1:ヘキサヒドロフタル酸無水物/セバシン酸/ジ−トリメチロールプロパン/トリメチロールプロパン=1.0:1.0:0.6:1.4、WO2010/076114の例3(使用例1)と同様に触媒としてジブチルスズジラウレートを用いる
水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、ヘキサヒドロフタル酸無水物(222.0g)、セバシン酸(291.2g)、ジ−トリメチロールプロパン(216.3g)、トリメチロールプロパン(270.5g)およびジブチルスズジラウレート(0.2g)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃〜180℃へと加熱した。約3.5時間の反応時間後に、61mg KOH/gの酸価(転化率82%)に達した後に120℃に冷却し、312.1gの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。技術的データは、同じ原料組成において、WO2010/076114の例3(使用例1)のデータとほぼ一致する。
【0171】
V2:ヘキサヒドロフタル酸無水物/シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸/トリメチロールプロパン=1.0:0.25:1.25、WO2010/076114の例7と同様に触媒としてジブチルスズジラウレートを用いる
水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、ヘキサヒドロフタル酸無水物(422.4g)、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸(118.0g)、トリメチロールプロパン(459.6g)およびジブチルスズジラウレート(0.33g)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃〜180℃へと加熱した。約8時間の反応時間後に、62mg KOH/gの酸価(転化率85%)に達した後に120℃に冷却し、312.4gの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。技術的データは、同じ原料組成において、WO2010/076114の例7のデータとほぼ一致する。
【0172】
V3:セバシン酸/ジ−トリメチロールプロパン=1.0:1.0、WO2010/076114の例6と同様に触媒としてジブチルスズジラウレートを用いる
水循環装置付きの四ツ口フラスコにおいて、セバシン酸(446.9g)、ジ−トリメチロールプロパン(553.1g)およびジブチルスズジラウレート(0.21g)を窒素雰囲気下で装入し、そして撹拌しながら160℃〜180℃へと加熱した。約1.5時間の反応時間後に、52mg KOH/gの酸価(転化率80%)に達した後に120℃に冷却し、233.5gの酢酸ブチルを添加し、更に冷却した。技術的データは、同じ原料組成において、WO2010/076114の例6のデータとほぼ一致する。
【0173】
V4:WO2010/076114の例1(使用例3)のポリエステル
ヘキサヒドロフタル酸無水物:セバシン酸:ジ−トリメチロールプロパン:トリメチロールプロパン=1:1:0.6:1.4、DBTL触媒反応。
【0174】
V5:WO2010/076114の例2(使用例2)のポリエステル
ヘキサヒドロフタル酸無水物:セバシン酸:ジ−トリメチロールプロパン:トリメチロールプロパン=1:1:1:1、DBTL触媒反応。
【0175】
V6:WO2010/076114の例6(使用例8)のポリエステル
セバシン酸:ジ−トリメチロールプロパン=1:1、DBTL触媒反応。
【0176】
V7:WO2010/076114の例7(使用例4)のポリエステル
シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸:ヘキサヒドロフタル酸無水物:トリメチロールプロパン=0.8:0.2:1.0、DBTL触媒反応。
【0177】
例Bおよび比較例Vを第1表にまとめる。その場合に、例B2aないし例B2dは、本発明によるものではない。
【0178】
第1表:ポリエステルポリオールBおよび比較例V
【表1】
【0179】
PDI:多分散性;SZ:酸価;OHZ:OH価;Visko:粘度;Kat.:触媒:NfA:不揮発分。
【0180】
コーティング材料(塗料)および応用技術的な比較試験:
本発明によるコーティング材料L、本発明によるものではないコーティング材料L’(ポリエステルポリオールB2a〜dを基礎とする)および参照コーティング材料Rを製造した。
【0181】
被覆は、アプリケーターフレームを用いて35μm〜45μmの乾燥層厚で行った。湿式層厚は、系の固体含量に応じた厚さであり、例えばJoncryl(登録商標)507およびJoncryl(登録商標)922を基礎とする系では150μmであり、Macrynal(登録商標)SM 510nを基礎とする系では180μmであった。
【0182】
塗料被膜を、振り子硬度発生の測定およびアセトン−往復摩擦試験のために23±2℃および50±10%の空気湿度でコンディショニングした。硬化は、より高い温度でも行うことができる。そのために、塗料を室温で10分〜15分にわたりフラッシュオフした。温度調節は、一般的に60℃で15時間にわたって(明示した具体的事例では60℃で30分間だけ)、80℃もしくは130℃で30分間にわたって、または140℃で20分間にわたって行われた。硬化後に、コンディショニングを、23±2℃および50±10%の空気湿度で、特に他の指定がない限りは24時間にわたり行った。耐化学薬品性の測定のために、特に他の指定がない限りは140℃での硬化後に5日間のコンディショニングをした。
【0183】
流下時間は、ISO 2431およびEN 535を基礎としてDIN 4カップを用いて測定し、室温で約20秒に調整した。
【0184】
ゲル化時間の測定のために、液状の塗料を、その調合直後に下端部に銅製ラベル(約5mm×5mm)を有する試験管(20mm×180mm)中に満たした。その場合に、該試験管は、少なくとも60%が満たされていた。該試験管をゲル化時間装置のスロットに設置した。その場合に銅製ラベルとゲル化時間装置との間の接点が接続された。曲がった先端を有する金属スポークを、22cmの長さでスポークホルダ中にはめ込んだ。次に該スポークホルダを前記装置中に取り付けた。その際、スポークは前記液状の塗料中に浸った。該試験管の開口を孔の空いた蓋によって閉じた。前記スポークを蓋にある孔に通した。装置を運転開始したときに、計数装置をスタートさせた。更に、該装置は、スポークを試料中で上下に、これが固体になるか、またはゲル化するまで動かした。それに従って試験管が引き上げられたときに、銅製ラベルの接触が失われて、装置の計数装置は自動的にストップした。その測定は、23±2℃および50±10%の空気湿度で行った。
【0185】
以下の特性を試験した:
半硬化乾燥時間:半硬化乾燥時間の測定のために、塗料を室温でガラス板上に塗り、その塗料表面に複数の時間間隔で綿球により触れた。塗料は、綿がその表面にもはや付着して留まらない時点で半硬化乾燥したものとみなされる。その測定は、周囲温度で行った。
【0186】
着砂乾燥時間(Sandtrockenzeit)および硬化乾燥時間:塗料の乾燥挙動の試験のために、約60g〜80gの砂で満たした、車輪を備えたホッパを、塗料で被覆されたばかりのガラス板上で1cm/hの一定の送り速度で牽引した。試験終了後に、該ガラス板からくっついていない砂を慎重に刷毛で除去した。着砂乾燥とは、試験開始から、砂粒が最後に永続的に付着するときまでの期間を指す。硬化乾燥は、漏斗の車輪が塗料になおも痕跡を残す時間として求められた。その乾燥は、23±2℃および50±10%の空気湿度で行われる。それらの測定は、23±2℃および50±10%の空気湿度で行った。
【0187】
振り子強度は、ケーニッヒ法に従ってガラス板上で測定された(DIN EN ISO 1522)。示されるのは、コーティングの硬化の時間および温度である。室温貯蔵の最終硬度は、本明細書に示される方法では、23±2℃および50±10%の空気湿度で7日間と、60℃で一晩(約15時間)にわたる硬化の後の振り子硬度に相当する。
【0188】
振り子硬度は、60℃で15時間にわたり硬化させ、80℃もしくは130℃で30分間とそれぞれ23±2℃および50±10%の空気湿度で1日にわたりコンディショニングした後にも測定した。更にその測定は、140℃で20分間と、23±2℃および50±10%の空気湿度での1日にわたるコンディショニング後および5日にわたるコンディショニング後に行われた。
【0189】
架橋密度構成は、アセトン−往復摩擦試験によってDIN EN 13523−11およびASTM D5402−06に基づき深絞り加工板上で測定した。この単純化された試験法は、人工指を用いずに、溶剤の拡張を行わずに実施した。
【0190】
平坦な無傷の塗料表面上で、溶剤(アセトン)中に浸し、引き続き絞った綿球で手動により軽い圧力(約1ニュートン〜2ニュートン)で10cm〜15cmの区間で往復摩擦を行った。その場合に塗料の縁部を越えて摩耗してはならない。それというのも、さもなくば溶剤が塗料の下に入り込むからである。その試験は、基材にまで損傷が確認できたときに終わりにした。その損傷までの往復摩擦の回数を控えた。100回の往復摩擦で試験を終えた。その乾燥は周囲温度で行った。
【0191】
エリクセン針入深さは、DIN EN ISO 1520に従って深絞り加工板上で調査した。
【0192】
クロスカットは、DIN EN ISO 2409に従ってリン酸塩皮膜処理板上で調査した。
【0193】
リフローによる耐引掻性の試験のために、2.5×2.5cmの大きさのスコッチブライト不織布(Scotch−brite(登録商標)、7448 S型 ウルトラファイン;3M フランス)を両面粘着テープで500gの機械工ハンマーに取り付けた。そのハンマーを柄の端部で2つのフィンガーで留め、傾きを付けずに追加の圧力をかけることなく一様な往復摩擦で、リン酸塩皮膜処理板上にある貯蔵された塗料皮膜上を一つの線上で前後に移動させた(往復摩擦)。10回の往復摩擦の後に、摩耗物を指の背で取り除き、擦った方向に対して20°および60°斜め方向での光沢を測定した。その後に更に40回の往復摩擦を行い、摩耗物を取り除き、そして前記光沢を再び計測した。従って、10回の往復摩擦と50回の往復摩擦後の光沢値が得られた。
【0194】
次いで該塗料を60℃で1時間にわたり熱処理し、23±2℃および50±10%の空気湿度で少なくとも4時間にわたりコンディショニングし、引き続き前記光沢を再び測定した(リフロー)。具体的な事例において、硬化時間は60℃で30分間だけであり、コンディショニング時間は4時間であった。塗料硬化と引掻試験との間のコンディショニング時間は、140℃の硬化の場合には1日と5日であった。試験毎に不織布は交換した。
【0195】
塗料の光沢を、Mikro TRI−Gloss測定装置によって測定した。
【0196】
耐化学薬品性の測定のために、塗装された深絞り加工板(グラジエントオーブン用パネル)を60℃で15時間にわたり、80℃もしくは130℃で30分間にわたり、または140℃で20分間にわたり熱処理した。引き続き、23±2℃および50±10%の空気湿度で1日間にわたりコンディショニングし、140℃で熱処理する場合には5日間にわたりコンディショニングした。その後に、加熱要素(30℃〜75℃)につき1つのエッペンドルフピペットを用いて、試験物質である硫酸(1%;25μl)、苛性ソーダ液(1%;25μl)、パンクレアチン(50μl)および樹脂(25μl)の滴を載せた。最後の2種類の試剤の場合には、各々の第二の加熱要素を省いた。引き続き試験パネルをグラジエントオーブン(BYK Gardner社)中に置いて、30℃〜75℃で30分間にわたり熱処理した。この過程が終わった後に、該パネルから脱塩水を用いて硫酸および苛性ソーダ液を洗浄除去した。引き続き、前記パネルから温水と柔らかい布地で付着したパンクレアチンを洗浄除去した。その後に、樹脂を柔らかい布きれとベンジンを用いて入念であるが優しく洗浄除去した。引き続き、前記パネルを冷水で入念であるが優しく洗い流し、残りの水滴を柔らかいティッシュペーパーで取り除いた。23±2℃および50±10%の空気湿度での24時間のコンディショニングの後に評価を行った。人工光のもとで該コーティングに対して最初の作用が確認できた温度を控えた。
【0197】
樹脂AおよびBの起源:
起源A:Woerwag社、樹脂溶液DBL 5416 番号701014[実施例には更なる記入なし]
起源B:松葉油(W290500−250G−K)とガムロジン(60895−250G)との1:1混合物;両者ともSigma−Aldrichで注文。
【0198】
付着性は、以下の基準に従って決定した:
K0:塗料は非常に良く付着し、掻き落とされた場所でまったく滑らかな縁部を示す。
K1:塗料は非常に良く付着するが、ぎざぎざした縁部を示す。
K2:塗料は良く付着し、ナイフの全接触面で掻き落とすことができる。滑らかな縁部。
K3:塗料は良く付着し、ナイフの全接触面で掻き落とすことができる。ぎざぎざな縁部。
K4:K3より悪い。剥げ落ち。
K5:不十分な付着。塗装の剥げ落ち。
【0199】
透明性に対する流れ落ち試験において、溶剤中のポリオール混合物または液体塗料を70°の急角度で斜めに置かれたガラス板上で7cmにわたり流れ落とし、こうして薄い皮膜が形成された。30分後に、塗工された皮膜を透明性および混濁性について試験した。評点:
T0:透明、均質
T1:軽く混濁
T2:混濁
T3:激しく混濁。
【0200】
試験列1:
本発明によるポリエステルオールB1、B3、B4と、本発明によるものではないポリエステルオールB2ならびに比較モデルとしての、ポリエステルを含まないポリアクリレート(R1)およびWO2010/076114の特にその発明の実施例による先行技術としての、ポリエステル1(R2)、ポリエステル7(R3)およびポリエステル6(R4)とを、同様のゲル化時間を有するJoncryl(登録商標)507/Basonat(登録商標)HI 2000を含む系において比較する。
【0201】
第2表:コーティング材料の組成およびそれらの応用技術的な結果。硬化は、室温でか、60℃で15時間にわたってか、または140℃で20分間にわたって行われ、引き続きそれぞれ23±2℃および50±10%の空気湿度で1日間のコンディショニングを行った。140℃での硬化の耐化学薬品性の場合には、5日間のコンディショニングを行った。
【0202】
【表2-1】
【0203】
【表2-2】
【0204】
ゲル化時間は、全ての樹脂につき、約20秒間の流下時間において約8時間である。
【0205】
特性を総合すると、本発明による塗料L1〜L3は、参照塗料よりも良い結果となる。アクリレート樹脂の唯一の架橋において、最も悪い結果が得られる。塗料L1〜L3は、塗料L’4(本発明によるものではない)よりも良い。それらの塗料の結果は、以下の簡略表において、先行技術のポリエステルを有する参照塗料と比べてまとめられている。
【0206】
第3表:1番目の試験列のまとめ:
【表3-1】
【0207】
【表3-2】
【0208】
上述のコーティング材料の組成に相応して、プラスチック上への付着性試験を実施した。その硬化は、60℃で15時間にわたり行われ、その後に23±2℃および50±10%の空気湿度で24時間にわたりコンディショニングを行った。評点は、付着性についてはK0〜K5で行われ、クロスカットについてはG0〜G5で行った。
【0209】
第4表:コーティング材料の付着性とクロスカットの評価。L=本発明による塗料。R=本発明によるものではない参照。
【0210】
【表4】
【0211】
特にポリエステルB1(L1)は、付着性の点でより良い。
【0212】
試験列2:
本発明によるポリエステルB1、B3、B4(L5〜L7)および本発明によるものではない例としてのB2(L5〜L8)と、比較モデルとしてのJoncryl(登録商標)507(R5)とを、それぞれポリオール固体に対して100ppmのDBTLでJoncryl(登録商標)507/Basonat(登録商標)HI 2000の基本系において比較する。
【0213】
第5表:コーティング材料の組成およびそれらの応用技術的な結果。その硬化は、室温でか、60℃で15時間か、または140℃で20分間で行った。
【0214】
【表5-1】
【0215】
【表5-2】
【0216】
特性を総合すると、本発明による塗料およびポリエステルオールB2を基礎とする本発明によるものではない塗料は、ほぼ全ての特性において参照塗料よりも良い結果となる。ポリエステルオールB2を基礎とする本発明によるものではない塗料L’8は、乾燥特性(半硬化乾燥、着砂乾燥、硬化乾燥)、室温で24時間以降の振り子硬度、アセトン試験および140℃での耐化学薬品性において、本発明による塗料よりも悪い。
【0217】
第6表:2番目の試験列のまとめ:
【表6】
【0218】
試験列3:
本発明によるポリエステルオールB1、B3、B4および本発明によるものではないポリエステルオールB2(塗料L9〜L’12)と、比較モデルとしてのMacrynal(登録商標)SM 510n(R6)とを、約20秒の流下時間における約8時間という同様のゲル化時間で比較する。
【0219】
第7表:コーティング材料の組成およびそれらの応用技術的な結果。その硬化は、室温と、60℃で行った。
【0220】
【表7】
【0221】
第8表:3番目の試験列のまとめ:
【表8】
【0222】
総合すると、本発明によるポリエステルの塗料は、参照よりも明らかに良い。本発明によるものではないポリエステルオールB2は、乾燥特性において本発明によるポリエステルB1、B3、B4よりも悪い。
【0223】
試験列4:
本発明によるポリエステルオールB1、B3および本発明によるものではないポリエステルオールB2(塗料L13〜L15)と、従来技術としての、本明細書においては本発明によるものではないが、WO2010/076114の発明によるものであるポリエステル例1(本明細書においては参照塗料R7における比較例V4として)、ポリエステル例2(本明細書においては参照塗料R8における比較例V5として)、ポリエステルオール6(本明細書においてはR9におけるV6)およびポリエステルオール7(本明細書においてはR10におけるV7)とを、ポリオールとしてのJoncryl(登録商標)922/Basonat(登録商標)HI 100を有する系において比較する。
【0224】
第9表:Joncryl(登録商標)922/Basonat(登録商標)HI 100を基礎とするコーティング材料の組成およびそれらの応用技術的な結果。硬化は、室温でか、60℃、80℃または130℃で30分間で行われ、それぞれ引き続き23±2℃および50±10%の空気湿度での1日間にわたるコンディショニングを行った。
【0225】
【表9-1】
【0226】
【表9-2】
【0227】
第10表:4番目の試験列のまとめ:
【表10】
【0228】
本発明による塗料は、参照よりも良い。本発明によるものではないポリエステルオールB2を基礎とする本発明によるものではない塗料L’15は、乾燥および耐酸性において、本発明によるポリエステルオールB1およびB3よりも悪い。
【0229】
試験列5:
アクリレート混合物における本発明によるポリエステルオールB1、B3、B4および本発明によるものではないポリエステルオールB2(塗料L16〜L’19)を、アクリレート単独(R11、R12)に対して、ビスマス触媒を用いてJoncryl(登録商標)507/Basonat(登録商標)HI 2000の系において同等のゲル化時間で比較する。
【0230】
第11表:Joncryl(登録商標)507/Basonat(登録商標)HI 2000を基礎とするコーティング材料の組成およびそれらの応用技術的な結果。硬化は、室温でか、60℃で15時間でか、または140℃で20分間で行われ、それに引き続き23±2℃および50±10%の空気湿度で24時間のコンディショニングを1日行い、安定性の場合には140℃の硬化の後にコンディショニングを5日間にわたり行った。
【0231】
【表11-1】
【0232】
【表11-2】
【0233】
塗料例L16〜L’19は、ほぼ全ての特性において参照よりもかなり良い。本発明によるものではないポリエステルオールB2は、特に乾燥および振り子硬度発生において室温で、本発明によるポリエステルオールB1、B3、B4よりも悪い。
【0234】
試験列6:
本発明によるポリエステルオールB1、B3、B4および本発明によるものではないポリエステルオールB2(塗料L20〜L23)を、亜鉛触媒を用いてJoncryl(登録商標)507/Basonat(登録商標)HI 2000の系において調査する。
【0235】
第12表:Joncryl(登録商標)507/Basonat(登録商標)HI 2000を基礎とするコーティング材料の組成およびそれらの応用技術的な結果。硬化は、室温でか、60℃で15時間でか、または140℃で20分間で行い、引き続き室温で24時間にわたり行った。
【0236】
【表12-1】
【0237】
【表12-2】
【0238】
100%のJoncryl(登録商標)507(60g)を有する参照塗料については、驚くべきことに、同等のゲル化時間(目標8時間)に調節するためには、明らかにより多くの触媒量を使用せねばならなかった。ポリオール固体に対して4000ppmに相当する1.92gのBorchi Kat 22(10%)を用いても、それでもやはり、9:01時間のゲル化時間しか得られなかった。
【0239】
従って、応用技術的な調査は、ポリオール固体に対して1000ppmのDBTLを有する参照塗料を用いて実施した。本発明によるポリエステルオールのNfAは、若干より少ない。本発明によるポリエステルオールを基礎とする塗料の硬化挙動、振り子硬度発生および最終硬度は、参照塗料のものより明らかに良い。5時間後の架橋密度(アセトン試験)は、本発明によるポリエステルオールではより高く、24時間後には若干より低い。本発明によるポリエステルオールの引掻強さは、参照のものよりもかなり良い。本発明によるポリエステルB1bおよびB3bによる安定性は、総合すると参照のものよりも明らかに良好であるが、ポリエステルオールB2bおよびB4bは、若干より低い。全体的に、本発明による塗料は、参照よりも明らかに良い。本発明によるものではないポリエステルオールB2は、乾燥、振り子硬度発生および最高の安定性という点で、本発明によるポリエステルオールB1、B3、B4よりも悪い。
【0240】
試験列7:
本発明によるポリエステルオールB1b(塗料L24〜L27)を、ポリオール固体に対して100ppmのDBTL触媒を用いてJoncryl(登録商標)507/Basonat(登録商標)HI 2000の系において、種々の比率のポリアクリレートオール対ポリエステルオールで調査する。
【0241】
第13表:Joncryl(登録商標)507/Basonat(登録商標)HI 2000を基礎とするコーティング材料の組成およびそれらの応用技術的な結果。硬化は、室温でか、60℃で15時間でか、または140℃で20分間で行われ、それに引き続き23±2℃および50±10%の空気湿度で24時間のコンディショニングを1日行い、安定性の場合には140℃の硬化の後にコンディショニングを5日間にわたり行った。
【0242】
【表13-1】
【0243】
【表13-2】
【0244】
ポリエステルオールB1bを有する塗料は、100%のJoncryl(登録商標)507系に対して、ほぼ全ての特性においてより良好な値を示している。ポリエステルが多くなるほど、乾燥、最終硬度、耐引掻性のリフローおよび耐化学薬品性はより良くなる。
【0245】
試験列8:
ポリアクリレートとの適合性(透明性に対する流れ落ち試験):
本発明によるポリエステルオールは、ポリアクリレート類と、例えばJoncryl(登録商標)507、Joncryl(登録商標)909、Joncryl(登録商標)910およびMacrynal(登録商標)SM 510nと大抵は良好な適合性を有する。具体的な事例においては、ポリエステルオール量が高まると、該ポリアクリレートと不適合性に至ることがある。その場合に、本発明によるものではないポリエステルオールV1〜V3およびB2は、どちらかといえば本発明によるポリエステルオールよりも不適合性を示す。重要なポリアクリレート類の場合に、3:1の混合物は1:1の混合物に対して、その適合性のゆえに有利である。
【0246】
第14表:ポリエステルオール/ポリアクリレート混合物の透明性に対する試験
【表14】
【0247】
n.b.=測定せず。T0は最高であり、T5は最低である(上述の通り)。
【0248】
試験列9:
本発明によるポリエステルオールB1b(塗料L28〜L33)を、ポリオール固体に対して100ppmのDBTL触媒を用いてJoncryl(登録商標)507/Basonat(登録商標)HI 2000の系において、化学量論量より少量のポリイソシアネートで調査する。
【0249】
一般的に、5%〜10%の化学量論的過剰量のポリイソシアネートを有する塗料の場合に、化学量論的な調合および化学量論量を下回る調合の場合よりも、特に例えば耐酸性および引掻強さにおいて、より良好な塗料特性を得ることができる。ポリイソシアネート/ポリオールの%での化学量論比を係数と呼ぶ。化学量論的な反応の場合に、この係数は100である。本発明によるポリエステルオールは、ポリアクリレートよりも高いヒドロキシル価を有するので、ポリイソシアネート対ポリオールを化学量論的に使用した場合にポリイソシアネートの絶対割合は高まる。本発明によるポリエステルオールそれ自体が好ましい効果を有することを排除するために、アクリレートを質量当量のポリエステルオール(固体に対して)と置き換えた調合を実施した。その場合にポリイソシアネート量は変わらず、前記係数は100より低くなる。塗料には典型的でない低い係数にもかかわらず、ポリイソシアネート/ポリアクリレートを基礎とする本発明によるものではない塗料に対して塗料特性の改善を見出すことができた。
【0250】
第15表:Joncryl(登録商標)507/Basonat(登録商標)HI 2000を基礎とするコーティング材料の組成およびそれらの応用技術的な結果。硬化は、室温でか、60℃で15時間でか、または140℃で20分間で行われ、それに引き続き23±2℃および50±10%の空気湿度で24時間のコンディショニングを行い、140℃の硬化の後にコンディショニングを5日間にわたり行った。
【0251】
【表15-1】
【0252】
【表15-2】
【0253】
ポリエステルオールB1bを有するモデルは、100%のJoncryl(登録商標)507系に対して、ほぼ全ての特性において、つまりゲル化時間、硬化、振り子硬度発生、最終硬度および引掻強さにおいてより良好な値を示している。耐化学薬品性において、前記モデルは、一般的により良好であるか、または多くの試験において、一部はより良いが、一部はより悪い。100のより高い係数を有するモデル(L28、L30、L32)は、一般的に、それらの特性において、より低い係数を有する対応するモデル(L29、L31、L33)よりも良い。着砂乾燥/硬化乾燥および室温での振り子硬度発生だけは、係数がより低いときに、より低くなる傾向にある。
【0254】
試験列10:
本発明によるポリエステルオールと、ポリアクリレートとしてのJoncryl(登録商標)507とを、それぞれポリオール固体に対して100ppmのDBTLでJoncryl(登録商標)507/Basonat(登録商標)HI 2000の基本系において比較する。
【0255】
第16表:コーティング材料の組成およびそれらの応用技術的な結果。L=本発明による塗料。R=本発明によるものではない参照。硬化は、室温でか、60℃で15時間でか、または140℃で20分間で行われ、それに引き続き23±2℃および50±10%の空気湿度で24時間のコンディショニングを行い、140℃の硬化の後にコンディショニングを5日間にわたり行った。
【0256】
【表16-1】
【0257】
【表16-2】
【0258】
*:樹脂起源B
本発明による塗料は、殆ど全ての塗料特性において、本発明によるものではない参照よりも良い。
【0259】
試験列11:
本発明によるポリエステルオールB1、B3、B4および本発明によるものではないポリエステルオールB2と、比較としてのJoncryl(登録商標)592とを、それぞれポリオール固体に対して100ppmのDBTLでJoncryl(登録商標)592/Basonat(登録商標)HI 2000の基本系において比較する。
【0260】
第17表:コーティング材料の組成およびそれらの応用技術的な結果。硬化は、室温でか、60℃で15時間でか、または140℃で20分間で行われ、それに引き続き23±2℃および50±10%の空気湿度で24時間のコンディショニングを行い、安定性の場合には140℃の硬化の後にコンディショニングを5日間にわたり行った。
【0261】
【表17-1】
【0262】
【表17-2】
【0263】
本発明によるポリエステルオールB1、B3、B4および本発明によるものではないポリエステルオールB2は、100%のJoncryl(登録商標)592系と比較して、乾燥(大抵はより長いゲル化時間にかかわらず)、振り子硬度発生、架橋密度発生(アセトン試験)および安定性の点で、4つの試験にわたり総合して(B2bの60℃の場合を除く)より良好な値を示している。B1は安定性の点で大差で最良であり、続いてB3から、次にB2で、次にB4である。B1、B3、B4での樹脂の値は、部分的に飛び抜けて良い。最終硬度は同等である。B4bの耐引掻性は全体として60℃での硬化の場合にはより良好であり、B1bおよびB3bの60℃での耐引掻性とB4bの140℃での耐引掻性は、参照の耐引掻性に匹敵するものの、ポリエステルオールB1〜B3の値は、引掻強さの点で参照のそれよりも悪い。本発明によるものではないポリエステルオールB2は、乾燥、室温での振り子硬度発生および傾向的には安定性の点で、本発明によるポリエステルオールB1、B3、B4よりも悪い。それらの特性を総合すると、本発明によるポリエステルオールは、参照およびB2よりも明らかに良い。
【0264】
試験列12:
本発明によるポリエステルB1、B3およびB4と、ポリアクリレートとしてのJoncryl(登録商標)507とを、それぞれポリオール固体に対して100ppmのDBTLでJoncryl(登録商標)507/Basonat(登録商標)HI 2000の基本系で、Laropal(登録商標)顔料ペーストを基礎とする黄色トップコートにおいて比較する。全固体に対しての顔料濃度は、19%〜20%である。
【0265】
第18表:コーティング材料の組成およびそれらの応用技術的な結果。硬化は、室温でか、60℃で15時間でか、または140℃で20分間で行われ、それに引き続き23±2℃および50±10%の空気湿度で24時間のコンディショニングを行い、140℃の硬化の後にコンディショニングを5日間にわたり行った。
【0266】
【表18-1】
【0267】
【表18-2】
【0268】
*:樹脂起源B
本発明による塗料は、殆ど全ての塗料特性において、本発明によるものではない参照よりも良い。
【0269】
試験列13:
本発明によるポリエステルオールB1、B3およびB4と、ポリアクリレートとしてのMacrynal(登録商標)SM 510n/60LGとを、それぞれポリオール固体に対して100ppmのDBTLでMacrynal(登録商標)SM 510n/Basonat(登録商標)HI 2000の基本系で、Laropal(登録商標)顔料ペーストを基礎とする黄色トップコートにおいて比較する。全固体に対しての顔料濃度は、23%である。
【0270】
第19表:コーティング材料の組成およびそれらの応用技術的な結果。硬化は、室温でか、60℃で15時間でか、または140℃で20分間で行われ、それに引き続き23±2℃および50±10%の空気湿度で24時間のコンディショニングを行い、140℃の硬化の後にコンディショニングを5日間にわたり行った。
【0271】
【表19-1】
【0272】
【表19-2】
【0273】
*:樹脂起源B
本発明による塗料は、その塗料特性の点で、大部分の場合に、本発明によるものではない参照よりも良い。特に苛性ソーダ液および樹脂に対する安定性は、部分的に非常に良い。