特許第6650090号(P6650090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6650090
(24)【登録日】2020年1月22日
(45)【発行日】2020年2月19日
(54)【発明の名称】電気信号取得装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0408 20060101AFI20200210BHJP
   A61B 5/0478 20060101ALI20200210BHJP
   A61B 5/0428 20060101ALI20200210BHJP
【FI】
   A61B5/04 300M
   A61B5/04 310B
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-46274(P2016-46274)
(22)【出願日】2016年2月22日
(65)【公開番号】特開2017-148461(P2017-148461A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2019年2月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391052208
【氏名又は名称】ジャトー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088867
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 卓嗣
(72)【発明者】
【氏名】小西 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】武内 良典
(72)【発明者】
【氏名】ユ ジェフン
(72)【発明者】
【氏名】今井 正治
【審査官】 清水 裕勝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−128187(JP,A)
【文献】 特開2011−015817(JP,A)
【文献】 特表2010−524620(JP,A)
【文献】 特開2011−098214(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0262026(US,A1)
【文献】 武内 良典 YOSHINORI TAKEUCHI,就寝時心電取得のための無意識生体電位計測システムの提案 Proposal of an Unconscious Bioelectric Potential Measurement System for Bedtime ECG Acquisition,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.114 No.507 IEICE Technical Report,日本,一般社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2015年 2月27日,第114巻,1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/04−5/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号を取得する電気信号取得計につながる複数の外部電極と、
被検者の体表から前記電気信号を取得する複数の着衣側電極を一部に備え、前記複数の着衣側電極相互間は電気的に絶縁されており、前記着衣側電極の裏面が前記体表と接触可能で、前記着衣側電極の表面が前記外部電極と接触可能な可撓性導電部を備えた電気信号取得用着衣とからなり、前記着衣側電極の個数が前記外部電極の個数より多く、前記着衣側電極の最大径は、隣り合う前記外部電極間の非導電部分の最小距離より小さく、隣り合う前記着衣側電極間の非導電部分の距離は、前記外部電極の最小辺幅若しくは最小径より小さいことを特徴とする電気信号取得装置。
【請求項2】
前記可撓性導電部は、導電性繊維から構成された織布、編布、縫布、不織布又は導電性を有するフィルム又は導電性インクによるプリント、吹きつけであることを特徴とする請求項1に記載の電気信号取得装置。
【請求項3】
前記着衣側電極の表面は円形或いは多角形であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気信号取得装置。
【請求項4】
前記着衣側電極は、非導電性着衣に設けられた穴の周囲で固定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気信号取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の医療用電気信号を取得するための電気信号取得用着衣を含む電気信号取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
社会の高齢化に伴い、高齢者の人口が増加し、介護が必要となる高齢者も増加している。循環器系の疾患である脳血管疾患、心疾患の原因の1つに心房細動などの不整脈が挙げられる。不整脈の発生は規則性が無く、発見は難しい。
【0003】
発見できれば、脳血管疾患の早期発見につながり、重篤な症状になる前に発見することにより、寝たきり等による介護負担の軽減ができ、個人的にも社会的にも医療費の負担の軽減に寄与できる。その為、就寝中に無意識状態時で心電等の医療用電気信号を連続して取得できる電気信号取得用着衣が求められている。
【0004】
例えば、特許文献1には、被検者の着衣の一部又は全部が表裏両面にわたって導電性を有する布体で構成されている電気信号取得用着衣が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−128187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の電気信号取得用着衣においては、肩付近の広範囲に1つの電極を構成しているのみで、ノイズを抑えて微弱な信号を取得するには、例えば心臓を挟む位置に電極を設ける方法が知られているが、この様な近接する位置に複数の電極を設けた電気信号取得用着衣については、全く開示も示唆もされていない。
【0007】
本発明は、この様な従来の問題点を解決するものであり、被検者を拘束せず、近接する位置に複数の電極を設け、ノイズを抑えて微弱な信号を安定して取得できる電気信号取得用着衣を含む電気信号取得装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気信号取得装置は、電気信号を取得する電気信号取得計につながる複数の外部電極と、被検者の体表から電気信号を取得する複数の着衣側電極を一部に備え、複数の着衣側電極相互間は電気的に絶縁されており、着衣側電極の裏面が体表と接触可能で、着衣側電極の表面が外部電極と接触可能な可撓性導電部を備えた電気信号取得用着衣とからなり、着衣側電極の個数が外部電極の個数より多く、着衣側電極の最大径は、隣り合う外部電極間の非導電部分の最小距離より小さく、隣り合う着衣側電極間の非導電部分の距離は、外部電極の最小辺幅若しくは最小径より小さい構成を採る。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被検者を拘束せず、ノイズを抑えて微弱な信号を安定して取得できる電気信号取得用着衣を含む電気信号取得装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る電気信号取得用着衣の構成を説明する為の概念図
図2】本発明の一実施の形態に係る電気信号取得用着衣の電極の位置関係例を示す図
図3】本発明の一実施の形態に係る電気信号取得用着衣と被検者及び外部電極との関係を示す図
図4】本発明の一実施の形態に係る電気信号取得用着衣の着衣側電極の他の構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電気信号取得用着衣の構成を説明する為の概念図である。図1aは、被検者が電気信号取得用着衣を着けて外部電極を備えた床に上向きに寝ている状態を示す図である。図1bは、電気信号取得用着衣の着衣側電極の配列を示す図である。図1cは、床側の外部電極の配列を示す図である。
【0013】
図2は、本発明の一実施の形態に係る電気信号取得用着衣の電極の位置関係例を示す図である。図3は、本発明の一実施の形態に係る電気信号取得用着衣と被検者及び外部電極との関係を示す図である。図4は、本発明の一実施の形態に係る電気信号取得用着衣の着衣側電極の他の構成を示す断面図である。
【0014】
電気信号取得用着衣10は、床60に寝た被検者20の体表22から電気信号を取得する電気信号取得計30に用いられる複数の着衣側電極12,12a〜12k,12m,12n,12p〜12vを備えている。各着衣側電極は四角形である。取得する電気信号としては、例えば、心電がある。
【0015】
複数の着衣側電極12,12a〜12k,12m,12n,12p〜12v間は電気的に絶縁されており、裏面16が被検者20の体表22と直接接触可能で、表面18が電気信号取得計30につながる複数の外部電極14,14a〜cの内の1つと直接接触可能な可撓性導電部40を備えている。
【0016】
着衣側電極12,12a〜12k,12m,12n,12p〜12vの個数は、外部電極14a〜cの個数以上である。
【0017】
着衣側電極12の最大径L1は、隣り合う外部電極14aと外部電極14bとの非導電部分の最小距離L2より小さい構成とし、外部電極間を着衣側電極により短絡されてしまうことが無い様にしている。全ての着衣側電極において同様の構成にしている。
【0018】
なお、最大径L1の最大径とは、円の場合は直径であることは言うまでもないが、四角形の場合は対角線の様に、その形状で取りうる最大となる直線寸法の事を言う。
【0019】
隣り合う着衣側電極12dと着衣側電極12eとの非導電部分の距離L3は、外部電極14cの最小辺幅L4より小さい構成とし、着衣側電極が配列されている着衣側電極配列エリア13内であれば、着衣側電極のいずれかが、必ず外部電極に接触する様にしている。全ての着衣側電極において同様の構成にしている。
【0020】
可撓性導電部40は、導電性繊維を、刺繍の様に、非導電性繊維の布で作られた着衣10の表裏を、貫通する様に縫って布を構成している。
【0021】
外部電極14aと14bとは、被検者20が床60に置いた枕26に頭を置いたときに被検者20の心臓を挟んだ左右となる位置に設け、外部電極14cは、外部電極14aから見て、被検者20の足方向に設けてある。
【0022】
外部電極14a〜cで取得した電気信号は、それぞれケーブル31〜33によって電気信号取得計30に入力される。
【0023】
外部電極14aで取得した電気信号をRA、外部電極14bで取得した電気信号をLA、外部電極14cで取得した電気信号をGとすると、(LA−G)−(LA−RA)=RA−Gを得ることでノイズを抑えた心電を取得することができる。
【0024】
図1においては、外部電極14は床60の表面から裏面に貫通する構造としており、図3においては、外部電極14は床60の上に設ける構造としている。外部電極14が着衣側電極12と直接接触でき、外部電極14と電気信号取得計30とをケーブルで結線できれば、どちらの構造であっても良い。
【0025】
以上説明した様に、本実施の形態によれば、被検者を拘束せず、ノイズを抑えて微弱な信号を安定して取得できる電気信号取得用着衣を提供できる。
【0026】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
【0027】
例えば、可撓性導電部は導電性繊維による縫布である必要は無く、導電性繊維から構成された織布や編布、不織布、また導電性を有するフィルム、或いは導電性を有するインクによるプリントや吹きつけであっても良く、それらの組み合わせでも良い。
【0028】
さらに、着衣側電極は可撓性導電部のみで構成されてなくても良く、例えば、可撓性導電部と金属部との組み合わせでも良い。さらに、着衣側電極の表面は四角形でなくても良く、他の多角形や円形や、それらの組み合わせなど、自由な形状で良い。
【0029】
また、図4で示す様に、電気信号取得用着衣10に、例えば四角い穴を開け、着衣側電極12を、周囲を縫製固定部42で固定して設けても良い。なお、開ける穴の形状は四角に限定されることは無く、多角形や円形、それらの組み合わせなど、自由な形状で良い。
【産業上の利用の可能性】
【0030】
本発明に係る電気信号取得用着衣は、被検者を拘束せず、ノイズを抑えて微弱な信号を安定して取得できる電気信号取得用着衣として好適である。
【符号の説明】
【0031】
10 電気信号取得用着衣
12,12a〜12k,12m,12n,12p〜12v 着衣側電極
13 着衣側電極配列エリア
14,14a〜c 外部電極
16 裏面
18 表面
20 被検者
22 体表
26 枕
30 電気信号取得計
31,32,33 ケーブル
40 可撓性導電部
42 縫製固定部
60 床
図1
図2
図3
図4