【文献】
超臨界流体の話 [online],日本,オーエムラボテック株式会社,2004年12月16日,[令和元年5月7日検索],インターネット,,URL,http://www.omlabo.com/tips/tip02.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱可塑性エラストマー粒子が、ポリエーテルポリアミド、ポリエーテルエステル、ポリエステルエステル若しくは熱可塑性ポリウレタン、又はそれらの混合物を含む請求項1に記載の方法。
前記含浸工程a)及び前記熱可塑性エラストマー粒子を部分的に発泡する前記発泡工程b)が第1装置で行われ、前記部分的発泡の熱可塑性エラストマー粒子を完全に発泡する前記発泡工程b2)が第2装置で行われる請求項7に記載の方法。
前記含浸工程a)及び前記熱可塑性エラストマー粒子を部分的に発泡する前記発泡工程b)が前記第1装置で行われ、前記部分的発泡の熱可塑性エラストマー粒子を完全に発泡する前記発泡工程b2)及び前記融合工程c)が前記第2装置で行われる請求項7又は8に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性エラストマーの発泡性粒子、特に熱可塑性ポリウレタン(TPU)は、弾性及びトライボロジー特性を有するので、非常に広い範囲の様々な用途に使用されている。発泡性ペレットとして知られる発泡性粒子の使用の例は、ボディプロテクター、例えばヘルメットの外殻(helmet shells)、膝及び肘のプロテクター、サウンド及び振動の吸収体若しくはパッケージング、並びに、体操用マット、靴底、ミッドソール、中敷、又は、自動車の内装において、ハンドル(steering wheel)、ドアトリム(door trim)及びフットスペース部品の製造を含む。特に好ましくは、発泡熱可塑性エラストマー粒子は、スポーツシューズの靴底、ミッドソール及び中敷に使用される。これら全ての分野にとって決定的な重要性は、発泡性粒子部品の高弾性及び良好な均一性である。
【0003】
発泡材料又はフォームとして知られる発泡性ポリマー、及び、特に粒子フォームとも称される発泡性ポリマー粒子は、公知であり、文献、例えばUllmannの“Enzyklopadie der technischen Chemie”,第4版,第20巻,416 ff頁に大幅に記載された。
【0004】
WO 2007/082838は、発泡剤を含む発泡熱可塑性ポリウレタンの製造方法を開示する。該方法の第1工程は、熱可塑性ポリウレタンをペレットの形で押し出す工程を含む。該ペレットは、第2工程で、圧力下で、水性懸濁液の発泡剤に含浸され、第3工程で発泡される。該方法の他の実施態様において、熱可塑性ポリウレタンは押出機中で発泡剤と共に融解され、融液は、発泡を防止するための装置を使用しないで、ペレット化される。押し出しによるこの製造において、揮発性有機化合物は発泡剤として使用される。
【0005】
EP A 0 664 197は、有機発泡剤を避けることに努力しようとして、水を発泡剤として使用して発泡熱可塑性エラストマーを製造する方法を開示する。二酸化炭素及び窒素を発泡剤として使用することにより熱可塑性エラストマーからフォームを製造する別の方法は公知であり、例えばWO 2004/018551からの製造方法である。また、WO 2004/018551に記載のフォーム製造方法を活用する他の発泡熱可塑性エラストマーの製造方法は、WO 2007/044123に記載される。
【0006】
JP 11080408は、熱可塑性樹脂を原料とするフォームの製造方法を開示し、その中で、高温及び高圧下で材料が発泡剤に含浸される。まず、成形され及び寸法に合わせて作られた部品は含浸され、その後に発泡される。同様に、JP 2003 261707は、樹脂フォームの製造方法を開示する。ペレット材料は、含浸され、融解され、成形され、発泡される。押出機は成形機として用いられる。
【0007】
WO 2005/105907は、独立気泡(closed-cell)のフッ素重合体フォームの製造方法を開示し、その中で、樹脂が、高温及び高圧下で不活性ガスに曝され、その後に圧力の低減により発泡される。発泡の前に、樹脂は架橋される。
【0008】
US 4,331,619は、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、発泡剤及び核形成剤を含むフォーム組成物を開示する。それは、ポリマーがその融点を超える温度まで加熱することにより含浸される方法をさらに開示し、押出機は発泡に用いられる。
【0009】
WO 00/43193は、非晶質、半結晶性又は結晶性のポリマーから微孔質ポリマーフォームを製造する方法を開示する。それは、高温で、成形された本体に不活性ガスを染み込ませる工程を含む。US 4,473,665は、発泡又は射出成形技術の使用により微孔質フォームを製造する方法を開示する。
【0010】
WO 02/12379は、独立気泡の架橋されたポリマーフォームの製造方法を開示し、その中で、発泡剤及び架橋メディエーターを有する混合組成物を含む成形部品が1つの工程で発泡され、架橋される。
【0011】
EP 2217644は、フッ素重合体フォームの製造方法を開示し、その中で、ポリマー材料が、発泡剤及び添加剤と混合さえ、成形され、発泡される。また、成形は、鋳型中に発泡することにより実現される。第1工程は、フッ素重合体樹脂と発泡剤との混合物を製造することであり、その中で、発泡剤が、非気体状態、又はガスを発泡剤から遊離させない状態である。
【0012】
EP 1853655は、ポリアミドフォーム及びそれらの製造方法を開示する。含浸及び発泡は、融解温度を明らかに超える温度で行われる。成形部品は、発泡材料を原料として成形され、又は、鋳型中の発泡により直接に形成される。
【0013】
US 2009/0048356には、ポリマー(好ましくは顆粒形態で)は、該ポリマーに染み込むガスに曝される。これは、前記ポリマーが結晶性又は半結晶性である場合、ガラス転移温度と該ポリマーの融解温度との間である温度で、又は、前記ポリマーが非晶質ポリマーである場合、ガラス転移温度より低い温度で行われる。その後、発泡品物を製造するために、前記ポリマーは融解される。一実施態様において、均質の融液を生成するために、前記ポリマーは完全に融解される。
【0014】
しかしながら、先行技術から知られる文献は、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性コポリアミド、熱可塑性ポリウレタン及びスチレンブロックポリマーなどの熱可塑性エラストマーが、粒子として、気体媒質が該粒子を取り囲むと同時に、含浸工程だけでなく、発泡工程中にも存在する方法を開示していない。
【0015】
先行技術文献に記載される成形部品に直接に含浸させることにより発泡成形品を製造する方法は、不正確な成形、及び、成形部品の複雑性を制限する全体発泡成形部品の不均一発泡の欠点を有する。そしてまたは、成形部品は、発泡の期間中に所望の形とならない。
【0016】
押し出しによる発泡性粒子の直接的製造には問題があり、この方法で、粒子は連続的な表面(skin)を形成しないで発泡し、発泡された粒子は崩れるので、低いかさ密度の粒子の製造はできなくなる。さらに、一般的に、成形部品の発泡、又は表面積と容積との比が小さいポリマー部分の発泡は、成形部品中に不均一な温度分布又は発泡剤の濃度の不均一な分布の原因で、不均一なセルサイズをもたらす。粒子は分離及び乾燥されなければならないので、液体媒質で粒子を発泡するのは不便である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の方法により得られる発泡熱可塑性エラストマー粒子が直接に成形部品に融合されるために、含浸工程a)の前に又は発泡工程b)の前に該熱可塑性エラストマー粒子が圧力容器中の好適な鋳型に入れられる好ましい実施態様を有する。
【0022】
1つの好ましい実施態様において、発泡工程b)の熱可塑性エラストマー粒子の発泡は部分的だけであり、それは、第1発泡温度T
bの圧力が環境気圧より高い圧力より低いこと、及び部分的発泡熱可塑性粒子が環境気圧までの減圧により得られる最小密度より大きい密度を有することを意味する。好ましくは、その後、さらなる発泡工程b2)において、部分的に発泡された熱可塑性エラストマー粒子は第2発泡温度T
b2で完全に発泡され、第2発泡温度T
b2での圧力は発泡熱可塑性エラストマー粒子の所望の密度を達成するまで低減される。より好ましくは、第2発泡温度T
b2での圧力が環境気圧まで低減されたと同時に、所望の密度は達成される。発泡工程b2)は、発泡工程b)と同一又は別の装置で行うことができる。
【0023】
本発明の方法は、低密度、独立気泡及び特に均一なセル分布を有する発泡熱可塑性エラストマー粒子を容易に製造する方法を提供する。さらに、本発明の方法の好ましい実施態様は、ただ1つの装置で少なくとも1つの製造される成形部品を形成するための含浸、発泡及び任意の融合の方法を提供する。本発明の方法の他の利点は、有機発泡剤の使用が避けられることである。
【0024】
好ましくは、熱可塑性エラストマー粒子は、圧力容器、例えばオートクレーブ反応器で、高温及び高圧下で、発泡剤に曝されるので、該熱可塑性エラストマー粒子は発泡剤を吸収する。好ましくは、発泡工程b)は不活性雰囲気中で行われる。
【0025】
得られた発泡熱可塑性エラストマー粒子は、DIN EN ISO 527−2:2012−06により測定された150%を超える高い破断伸び率、並びに、均一なセル分布、独立気泡及び連続の外層で注目される。発泡熱可塑性エラストマー粒子は、1mg〜40mg、好ましくは2mg〜35mg、より好ましくは10mg〜35mgの粒子質量を有する。本発明により製造される発泡熱可塑性エラストマー粒子のセルサイズは、350μm未満、好ましくは100μm未満である。好ましくは、個々の発泡熱可塑性エラストマー粒子の最大寸法は、2mm〜15mmの範囲、特に5mm〜12mmの範囲である。
【0026】
含浸工程a)と発泡工程b)と任意の融合工程c)に所要の圧力及び必須の温度は、使用された熱可塑性エラストマー、使用された補助材料、使用された発泡剤及び部品の間の混合比に依存する。
【0027】
含浸工程a)の気体媒質の圧力は、圧力の低下の所望速度に依存し、1バール〜1000バールの間、好ましくは50バール〜700バールの間、より好ましくは200バール〜600バールの間である。発泡工程b)及び/又は発泡工程b2)は第2装置で行われ、該第2装置の開始圧力は、1バール〜200バールの間、好ましくは5バール〜35バールの間、より好ましくは5バール〜25バールの間である。
【0028】
含浸工程a)の持続時間は、1つ以上の要因、特に粒子の材料及びサイズ、圧力容器中の温度及び圧力に依存する。好ましくは、含浸工程a)の期間で、発泡剤で熱可塑性エラストマー粒子を十分に浸す。熱可塑性エラストマー粒子の飽和は、例えば磁気浮遊天秤(magnetic floating balance)によって、反復計量法(iterative weighing operation)により測定される。
【0029】
当業者に公知の任意の発泡剤は含浸に使用される。好ましくは、物理的発泡剤、例えば、アルカン、例えばブタン、ペンタン、シクロペンタン若しくはオクタン、カルボニル化合物、例えばアセトン、アルコール、例えばエタノール、フッ素化炭化水素、又は、不活性ガス、例えばアルゴン、窒素若しくは二酸化炭素である。物理的発泡剤という用語は、発泡プロセスの過程中で化学構造が変わらず、発泡プロセスの過程中で凝集状態が変化でき、且つ、発泡プロセス用の気体である発泡剤を表す。特に好ましい発泡剤は、例えば、Richard Gendron編,CRC出版,2005,熱可塑性フォームの加工原理及び開発に記載される。特に好ましくは、CO
2、N
2又はそれらの混合物である。さらに、上述した可燃性発泡剤との発泡剤混合物も使用される。
【0030】
特に好ましくは、発泡剤として用いられるCO
2は、N
2と混合の形態で用いられる。原則的には、任意の所望のCO
2とN
2との混合比は可能である。しかしながら、好ましくは、50質量%〜100質量%の二酸化炭素及び0質量%〜50質量%の窒素を含む二酸化炭素と窒素との発泡剤混合物を用いることである。特に好ましい発泡剤は、他の発泡剤を含まず、CO
2のみ、N
2のみ、又はこの2種の気体の混合物を含む。
【0031】
好ましくは、物理的発泡剤は発泡剤として用いられる。発泡剤として単なるCO
2及び/又はN
2、及びそれらの混合物の使用は特に有利である。それらは、不燃性の不活性ガスであるので、製造中に潜在的爆発性雰囲気は起こらない。これによって、コストのかかる安全対策が不要になり、製造中の潜在なリスクを大幅に減らす。同様に、製品が出荷される前に、可燃性の揮発性物質の排出を許すように貯蔵される必要がないことは有利である。
【0032】
発泡剤の含有量は、0.1質量%〜20質量%の間、好ましくは0.5質量%〜15質量%の間、より好ましくは2質量%〜10質量%の間である。これは、適切なプロセス制御と併用され、25g/l〜450g/lの間、好ましくは40g/l〜200g/l、特に70g/l〜185g/lの間のかさ密度を有する発泡粒子を提供し、又は、少なくとも1つの鋳型中にこれらの発泡粒子を融合することからの、30g/l〜500g/lの間、好ましくは50g/l〜250g/l、特に75g/l〜210g/lの間の密度を有する成形部品を直接に提供する。
【0033】
発泡熱可塑性エラストマー粒子が発泡される圧力及び温度は、選択可能なプロセスパラメーターである。より低い減圧速度又は減圧後のより高い残りの圧力レベルは、発泡剤の発泡効果を弱め、熱可塑性エラストマー粒子の発泡を減速する。プロセスにおいてより低い温度が選択されるほど、発泡に対する耐性を与える粒子上の外層がより厚くなる。使用された発泡剤に対して、圧力が高過ぎ又は温度が低過ぎる場合、熱可塑性エラストマー粒子の発泡は、妨害され又はさらに完全に防がれ、これは過高のかさ密度の発泡熱可塑性エラストマー粒子を製造する。この場合、発泡工程b)の圧力及び/又は温度は上昇されなくてはならない。
【0034】
発泡工程b)及び任意の発泡工程b2)において、好ましくは、温度は、所望の発泡が達成されるまで、第1発泡温度T
b、又はそれぞれに第2発泡温度T
b2に維持される。発泡の進展は、50バール/s〜5000バール/sの間、好ましくは100バール/s〜1000バール/sの間の圧力低減/低下速度により制御される。ここで、圧力低下速度で、上記の範囲から圧力の低減は、突然の圧力降下とも称される。
【0035】
圧力容器中の滞留時間、換言すれば、含浸工程a)と発泡工程b)と任意の発泡工程b2)と融合工程c)との持続時間は、0.25時間〜12時間の間、好ましくは1時間〜6時間の間である。
【0036】
熱可塑性エラストマー粒子は、非晶質の熱可塑性エラストマー、部分的結晶性の熱可塑性エラストマー又はそれらの混合物からなる。含浸工程a)(含浸温度T
a)と発泡工程b)(第1発泡温度T
b)と任意の発泡工程b2)(第2発泡温度T
b2)との過程中で気体媒質の温度選択の好ましい範囲は、非含浸の熱可塑性エラストマー粒子のガラス転移温度T
Gでの非晶質の熱可塑性エラストマー、及び非含浸の熱可塑性エラストマー粒子の融解温度T
Sでの部分的結晶性の熱可塑性エラストマーに依存する。この明細書において、ガラス転移温度T
GはDIN EN ISO 11357−2:2013−09により定義された温度である。この明細書において、部分的結晶性の熱可塑性エラストマーの融解温度はDIN EN ISO 11357−2:2013−04により定義された温度である。熱可塑性エラストマーが非晶質の熱可塑性エラストマーからなる場合、好ましくは、含浸温度T
a、第1発泡温度T
b、第2発泡温度T
b2及び融合温度T
cは、非含浸の熱可塑性エラストマー粒子のガラス転移温度T
Gより40℃低い第1限定温度T
G−40より高い。熱可塑性エラストマーが部分的結晶性の熱可塑性エラストマーからなる場合、好ましくは、含浸温度T
a、第1発泡温度T
b、第2発泡温度T
b2及び融合温度T
cは、非含浸の熱可塑性エラストマー粒子のガラス転移温度T
Gより高く、非含浸の熱可塑性エラストマー粒子の融解温度T
Sより5℃低い第2限定温度T
S−5より低い。熱可塑性エラストマーが非晶質と部分的結晶性の熱可塑性エラストマーとの混合物からなり、且つ、混合された熱可塑性エラストマーが互いに均一的に混合される場合、含浸温度T
a、第1発泡温度T
b、第2発泡温度T
b2及び融合温度T
cは、好ましくは、第1限定温度T
G−40より高く、より好ましくは、非含浸の熱可塑性エラストマー粒子のガラス転移温度T
Gより高く、第2限定温度T
S−5より低い。熱可塑性エラストマーが非晶質と部分的結晶性の熱可塑性エラストマーとの混合物からなり、且つ、混合された熱可塑性エラストマーが互いに均一的に混合されていない場合、混合物の好ましい温度は、不均一の混合物のマトリックス相の好ましい温度に対応する。マトリックス相は、非晶質又は部分的結晶性であり得る。
【0037】
含浸温度T
a、第1発泡温度T
b、任意の第2発泡温度T
b2及び融合温度T
cは、同一であってもよく、又は互いに異なってもよい。融合工程c)は、発泡工程b)又は任意の第2発泡工程b2)と同時に行われることが可能である。この場合、第1発泡温度T
bと融合温度T
cと、又は任意の第2発泡温度T
b2と融合温度T
cとは同一である。
【0038】
他の好ましい実施態様において、熱可塑性エラストマー粒子の温度は、含浸工程a)と発泡工程b)との間、及び任意に発泡工程b)と第2発泡工程b2)との間に、温度T
pまで低減され、部分的発泡の状態で貯蔵又は使用される部分的発泡熱可塑性エラストマー粒子を生成する。
【0039】
他の好ましい実施態様において、含浸工程a)及び発泡工程b)は、第1発泡温度T
bで第1装置中で行い、次の第2発泡工程b2)は、第2発泡温度T
b2で第2装置中で行う。この実施態様において、含浸工程a)の後に、第1発泡工程の圧力は、環境気圧より高く含浸工程a)に用いられた圧力より低い圧力より低い。これは、熱可塑性エラストマー粒子の部分的発泡をもたらす。その後、部分的に発泡された熱可塑性エラストマー粒子は、第1発泡温度T
bより低く第2発泡温度T
b2より低く第1限定温度T
G−40未満である温度T
pまで冷却される。その後、部分的に発泡された熱可塑性エラストマー粒子は、第2装置中、環境気圧より高い再び上昇した圧力下で、第2発泡温度T
b2まで加熱され、圧力の新たな低減により所望の密度まで発泡される。所望の密度が得られる時、発泡の「完成」と称される。これは、例えば、温度T
b又は第2発泡温度T
b2で圧力が、環境気圧まで低減される場合である。好ましくは、第2装置中の発泡工程b2)も、不活性雰囲気中で行われる。本発明のための環境気圧は、0.9〜1.09バールの範囲、特に1.013バールに等しい圧力である。
【0040】
他の好ましい実施態様において、熱可塑性エラストマー粒子が第1、第2又は他の装置で少なくとも1つの製造できる(ready-produced)成形部品にするように加工されるために、含浸工程a)の前に又は発泡工程b)の前に、熱可塑性エラストマー粒子は、少なくとも1つの所望の成形部品と共形(conformal)の有孔鋳型に入れられる。好ましくは、少なくとも1つの鋳型中の熱可塑性エラストマー粒子の量は、発泡の後に発泡熱可塑性エラストマー粒子が該少なくとも1つの鋳型を完全に満たすように決定される。使用される熱可塑性エラストマー粒子の量は、少なくとも1つの成形部品の密度に影響を与えることに使用される。鋳型中に大量の熱可塑性エラストマー粒子は、製造される成形部品の一部により高い密度をもたらす。
【0041】
粒子が第1又は第2装置で直接的に融合されない場合、その後に、本発明によって得られる発泡性粒子は、当業者に公知の方法により成形部品に融合又は若しくは接着され、
又は当業者に公知の他の方法に使用される。
【0042】
他の実施態様において、熱可塑性エラストマー粒子は、含浸工程a)の前に、文献中で公知の方法により部分的に架橋され、架橋とは長鎖分岐を指し、該架橋は、熱可塑性の特性が得られるような程度まで行われる。これは、特に、ただ部分的結晶性の熱可塑性エラストマーを含む発泡熱可塑性エラストマー粒子の製造に対して、有利である。架橋は、例えば、架橋試薬、例えばトリアリルシアヌレート若しくはO−O−不安定化合物、又はガンマ線若しくはエレクトロンの使用により達成される。ガンマ線が使用される場合、架橋用の放射線の典型的な量は、5kGy〜200kGy、好ましくは25kGy〜100kGyの範囲である。好ましくは、架橋は、架橋試薬を使用しないで、達成される。
【0043】
本発明の方法は、発泡熱可塑性エラストマー粒子及び発泡熱可塑性エラストマー粒子から形成される成形部品の製造に使用される。好ましくは、熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリエステルエラストマー、例えばポリエーテルエステル及びポリエステルエステル、熱可塑性コポリアミド、例えばポリエーテルコポリアミド、スチレンブロックコポリマー、例えばスチレンブタジエンブロックコポリマー若しくは熱可塑性ポリウレタン、又はこれらの混合物を含む。最も好ましくは、熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリエステルエラストマー、例えばポリエーテルエステル及びポリエステルエステル、熱可塑性コポリアミド、例えばポリエーテルコポリアミド、スチレンブロックコポリマー、例えばスチレンブタジエンブロックコポリマー若しくは熱可塑性ポリウレタン、又はこれらの混合物である。さらに、ここに記載の系の混合物も使用される。
【0044】
好ましくは、使用される熱可塑性エラストマー粒子は、押出により形成される。
【0045】
好ましく使用される熱可塑性エラストマーの融点は、好ましくは300℃未満、より好ましくは250℃以下、特に220℃以下である。好ましく使用される熱可塑性エラストマーの破断点伸びは、DIN EN ISO 527−2:2012−06により測定される値の100%より大きく、好ましくは150%より大きく、より好ましくは200%より大きい。
【0046】
好ましくは、使用される熱可塑性エラストマーは非晶質又は部分的結晶性であってもよい。
【0047】
さらに、本発明の方法を使用して得られる発泡性粒子は、有効量の添加物材料(added-substance materials)、例えば染料、顔料、充填剤、難燃剤、難燃剤用の共力剤、静電気防止剤、安定剤、界面活性物質、可塑剤及びIR乳白剤を含む。好ましくは、添加物材料が熱可塑性粒子の質量の合計を占める割合は、0質量%〜80質量%の範囲である。
【0048】
熱伝導性に寄与する放射を低減するための好適なIR乳白剤は、例えば、金属酸化物、非金属酸化物、金属粉末、例えばアルミニウム粉末、炭素、例えばカーボンブラック、グラファイト若しくはダイヤモンド、又は有機染料及び顔料染料を含む。IR乳白剤の使用は、特に高温で有利である。IR乳白剤として特に好ましくは、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化鉄又は二酸化ジルコニウムである。前述した材料は、それぞれ単独だけでなく、組み合わせで、換言すれば、2種以上の材料の混合物の形態でも使用される。任意の充填剤は、有機物及び/又は無機物であってもよい。
【0049】
他の添加物材料及び補助材料は、例えば、上記のGerhard W.Becker及びDietrich Braun,Kunststoffhandbuch,第7巻,ポリウレタン,Carl Hanser Verlag,Munich,Vienna,1993などの標準的な参考文献に見出される。
【0050】
好適な難燃剤は、例えば、リン酸トリクレジル、トリス(2−クロロエチル)リン酸、トリス(2−クロロプロピル)リン酸、トリス(1,3−ジクロロプロピル)リン酸、トリス(2,3−ジブロモプロピル)リン酸、及びテトラキス(2−クロロエチル)エチレン二リン酸を含む。また、既に記載されたハロゲン置換リン酸に加えて、赤リン、酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、三酸化ヒ素、ポリリン酸アンモニウム及び硫酸カルシウム、又はシアヌル酸誘導体、例えばメラミン、又は少なくとも2種の難燃剤の混合物、例えばリン酸アンモニウムとメラミンとの混合物、並びに、任意に澱粉及び/又は膨張性黒鉛を含む無機難燃剤は、製造される発泡熱可塑性エラストマーに難燃性を与えることに使用される。一般的に、それは、発泡剤を含む熱可塑性粒子の質量の合計に基づいて、0質量%〜50質量%、好ましくは5質量%〜25質量%の難燃剤又は難燃剤混合物の使用が有利であることを証明する。
【0051】
均一な発泡粒子を製造するセルに影響を与えるために、核形成剤が発泡するので、核形成剤は使用される。より特に、核形成剤の使用は均一なセル構造を作り出す。好ましくは、使用された核形成剤は、0.01μm〜100μmの範囲の平均粒子サイズを有する粉末である。
【0052】
有用な核形成剤は、特に、それぞれ個別のタルク、カーボンブラック、グラファイト及び顔料、又は任意のそれらの混合物を含む。特に好ましくは、タルクは核形成剤として使用することである。熱可塑性粒子又は核形成剤に起因するポリマー融液の質量の合計の割合は、好ましくは0質量%〜4質量%の範囲、特に0.1質量%〜2質量%の範囲である。
【0053】
熱可塑性ポリウレタンが使用される場合、該熱可塑性ポリウレタンは当業者に公知である任意の所望の熱可塑性ポリウレタンであってもよい。熱可塑性ポリウレタン及びそれらの製造方法は、例えば、Gerhard W.Becker及びDietrich Braun,Kunststoffhandbuch,第7巻,ポリウレタン,Carl Hanser Verlag,Munich,Vienna,1993に既に詳しく開示された。
【0054】
好ましい実施態様において、熱可塑性ポリウレタンは、イソシアネート混合物を、好ましくは0.5kg/mol〜10kg/molの分子量及び任意に好ましくは0.05kg/mol〜0.5kg/molの分子量を有する鎖延長剤を有するイソシアネート反応性化合物と反応させることにより製造される。他の好ましい実施態様において、熱可塑性ポリウレタンは、前記混合物に少なくとも1種の連鎖移動剤、触媒及び任意に少なくとも1種の充填剤、補助剤及び/又は添加物材料をさらに添加することにより調製される。
【0055】
熱可塑性ポリウレタンの調製は、任意の割合のイソシアネート混合物とイソシアネート反応性化合物との混合物を必要とする。連鎖移動剤、触媒及び充填剤、補助剤及び/又は添加物材料のさらなる添加物は、任意であり、単独に又は全ての可能な変化で行い得る。
【0056】
好ましい実施態様は、脂肪族、脂環式及び/又は芳香族イソシアネートを有機イソシアネートとして用いる。特に好ましくは、芳香族、脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネートである。好ましいジイソシアネートの例は、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2−エチル−1,4−ブチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1−イソシアナート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナートメチルシクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニルジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタンジイソシアネート及びフェニレンジイソシアネートである。
【0057】
イソシアネートに加えて、熱可塑性成形組成物は、少なくとも2個のイソシアネート反応性水素を含有する基を有する化合物からなる。好ましくは、該反応性水素を含有する基はヒドロキシル基である。特に好ましくは、ポリエーテルオール、ポリエステルオール及びポリカーボネートジオールから選択される反応性水素を含有する基の少なくとも2個を有する化合物である。この明細書において、通常、ポリエーテルオール、ポリエステルオール及び/又はポリカーボネートジオールは、「ポリオール」という用語にも包含される。
【0058】
好ましくは、熱可塑性ポリウレタンは、ポリエーテルアルコールから調製される。ここで、特に好ましくは、ポリエーテルジオールの使用である。ポリテトラヒドロフランは、特に好ましいポリエーテルジオールである。好ましくは、0.6kg/mol〜2.5kg/molの間の分子量を有するポリテトラヒドロフラン及びポリエーテルアルコールの使用である。ポリエーテルアルコールは、単独に、又は様々なポリエーテルアルコールの混合物として使用される。
【0059】
別の実施態様において、ポリエーテルアルコールは、熱可塑性ポリウレタンの調製に使用される。好ましい実施態様において、ポリエーテルジオールはこれに使用される。好ましいポリエーテルジオールはアジピン酸及び1,4−ブタンジオールから調製される。ポリエーテルアルコールの好ましい実施態様は、0.6kg/mol〜2.5kg/molの間の分子量を有する。
【0060】
他の好ましい実施態様において、熱可塑性ポリウレタンの調製に使用されるポリオールは、0.5kg/mol〜8kg/mol、より好ましくは0.6kg/mol〜6kg/mol、特に0.8kg/mol〜4kg/molの分子量を有する。他の好ましい実施態様において、ポリオールは、1.8〜2.3、より好ましくは1.9〜2.2、特に2の平均官能価を有する。特に好ましい実施態様において、ポリオールは、ポリエーテルアルコールであり、好ましくは、ポリテトラヒドロフランから合成され、さらなる好ましい実施態様の0.6kg/mol〜2.5kg/molの間の分子量を有する。
【0061】
熱可塑性ポリウレタンが鎖延長剤を使用して調製される場合、好ましくは、これらは、他の好ましい実施態様において0.05kg/mol〜0.5kg/molの分子量を有する脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び/又は脂環式化合物である。例えば、鎖延長剤は、2つの官能基を有する化合物、例えば、アルキレン部分に2個〜10個の炭素原子を有するジアミン及び/又はアルカンジオール、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び/又は3個〜8個の炭素原子を有するジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−、オクタ−、ノナ−及び/又はデカアルキレングリコール及び同様のオリゴ−及び/又はポリプロピレングリコールである。熱可塑性ポリウレタンの調製のための他の実施態様は、鎖延長剤の混合物を用いる。
【0062】
連鎖移動剤が使用される場合、一般的には、これらは0.03kg/mol〜0.5kg/molの分子量を有する。連鎖移動剤は、それぞれのイソシアネートにただ1つの官能基を有する化合物である。連鎖移動剤の例としては、単官能基アルコール、単官能基アミン、好ましくはメチルアミン及び/又は単官能基ポリオールが挙げられる。特に個々成分の混合物の流動特性を制御するために、連鎖移動剤は使用される。好ましい実施態様において、連鎖移動剤は、少なくとも2個のイソシアネート反応性水素を含有する基を有する化合物の100質量部に対して、0質量部〜5質量部、より好ましくは0.1質量部〜1質量部の量で使用される。連鎖移動剤は、鎖延長剤に加えて、又は鎖延長剤の代わりに使用される。
【0063】
他の実施態様は、少なくとも1種の触媒を用いて熱可塑性ポリウレタンを調製し、特にジイソシアネートのイソシアネート基と少なくとも2個のイソシアネート反応性水素を含有する基、好ましくはヒドロキシル基を有する化合物のイソシアネート反応性化合物との間の反応、鎖延長剤及び連鎖移動剤に触媒作用を及ぼす。好ましい実施態様において、触媒は、第3級アミン、例えばトリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N,N’−ジメチル−ピペラジン、2−(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン及び類似物質の群から選択される。他の好ましい実施態様において、少なくとも1種の触媒は、有機金属化合物の群から選択され、例として挙げられたチタン酸エステル、鉄化合物、例えば鉄(III)アセチルアセトネート、錫化合物、例えば錫二酢酸、錫ジメトエート(tin dioctoate)、錫ジラウレート又は脂肪族カルボン酸の錫ジアルキル塩、例えばジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート又はその同等のものである。
【0064】
いくつかの実施態様は触媒を単独に用いるが、他の実施態様は触媒の混合物を用いる。一実施態様において、使用された触媒は、少なくとも2個のイソシアネート反応性水素を含有する基有する化合物、好ましくはポリヒドロキシ化合物に基づいて、0.0001質量%〜0.1質量%の量の触媒混合物である。
【0065】
また、触媒に加えて、触媒を使用せず、加水分解制御剤、例えばポリマー及び低分子量のカルボジイミドは、イソシアネート及び少なくとも2個のイソシアネート反応性水素を含有する基有する化合物に添加され、熱可塑性ポリウレタンを調製する。
【0066】
他の実施態様において、熱可塑性ポリウレタンはリン化合物を含有してもよい。好ましい実施態様は、三価リンの有機リン化合物、例えばホスファイト(phosphites)及びホスホナイト(phosphonites)を使用する。好適なリン化合物の例は、トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスファイト、ジ(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニリレンジホスホナイト、トリイソデシルホスファイト、ジイソデシルフェニルホスファイト及びジフェニルイソデシルホスファイト又はそれらの混合物である。
【0067】
リン化合物を対応する酸に加水分解することがポリウレタン、特にポリエステルウレタンに与えられる損傷をもたらすので、特に好ましい実施態様は加水分解しにくいリン化合物を含む。従って、特に加水分解しにくいリン化合物は、特にポリエステルウレタンに好適である。加水分解しにくいリン化合物の好ましい実施態様は、ジポリプロピレングリコールフェニルホスファイト、ジイソデシルホスファイト、トリフェニルモノデシルホスファイト、トリイソノニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニリレンジホスホナイト及びジ(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、又はそれらの混合物である。
【0068】
熱可塑性ポリウレタンのショア硬度を設定するために、少なくとも2個のイソシアネート反応性の水素含有基を有する化合物及び鎖延長剤は比較的広いモル比中で変化される。好ましい実施態様において、少なくとも2個のイソシアネート反応性の水素含有基を有する化合物と使用された鎖延長剤の合計とのモル比は、10:1〜1:10の範囲、好ましくは5:1〜1:8の範囲、より好ましくは1:1〜1:4の範囲であり、熱可塑性ポリウレタンの硬度が鎖延長剤含有量の増加と共に増加する。このように、A44〜D80の範囲のショア硬度は設定される。A44〜A99、特にA44〜A96の範囲のショア硬度は特に好ましい。ショア硬度はDIN 53505:1987−06により測定される。
【0069】
他の好ましい実施態様において、熱可塑性ポリウレタンを生成する反応は、従来の指数(index)で行われる。該指数は、反応に使用される芳香族、脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネートのイソシアネート基の総数と、イソシアネート反応性基の総数、換言すれば、少なくとも2個のイソシアネート反応性水素を含有する基を有する化合物中の活性水素数との比と定義される。100の指数は、1個の活性水素原子、換言すれば、少なくとも2個のイソシアネート反応性水素を含有する基を有する化合物、及び芳香族、脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネートの1つのイソシアネート基当たりの鎖延長剤を有する化合物のイソシアネート反応性官能を有することを意味する。100を超える指数は、イソシアネート反応性基、例えばヒドロキシル基より多くのイソシアネート基を有することを意味する。
【0070】
特に好ましい実施態様において、熱可塑性ポリウレタンを生成する反応は、60〜120の間の指数、より好ましくは80〜110の間の指数で行う。
【0071】
熱可塑性ポリエーテルエステル及び/又はポリエステルエステルが使用される場合、これらは、4個〜20個の炭素原子の芳香族及び脂肪族ジカルボン酸、並びに、好適な脂肪族及び芳香族ジオール及びポリオールを有するそれらのそれぞれのエステルのエステル化又はエステル交換による任意の一般的な文献の方法(例えば、「ポリマー化学」,Interscience出版,ニューヨーク,1961,111〜127頁、Kunststoffhandbuch,第VIII巻,C.Hanser Verlag,Munich 1973及びポリマー科学雑誌,A1部分,4,1851−1859頁(1966)を参照する)により得られる。
【0072】
有用な芳香族ジカルボン酸は、例えば、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸、又はそれらのそれぞれのエステルを含む。有用な脂肪族ジカルボン酸は、例えば、飽和ジカルボン酸としての1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸及びデカンジカルボン酸、並びに、不飽和ジカルボン酸としてのマレイン酸、フマル酸、アコニット酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸及びテトラヒドロテレフタル酸を含む。
【0073】
有用なジオール成分は、例えば、
− エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール又は1,6−ヘキサンジオールなどの一般式HO−(CH
2)
n−OHのジオール、式中n=2〜20
− 一般式HO−(CH
2)
n−O−(CH
2)
m−OHのポリエーテルオール、式中、n及びmがそれぞれに2〜20であり、n及びmが同一又は異なってもよく、
− 不飽和ジオール及びポリエーテルオール、例えば1,4−ブテンジオール、
− 芳香族ユニットを含むジオール及びポリエーテルオール、並びに、
− ポリエステルオール、
を含む。
【0074】
上記のカルボン酸、それらのエステル及び上記のアルコールに加えて、これらの種類の化合物の任意の他の一般的な代表物は、好ましく使用されるポリエーテルエステル及びポリエステルエステルを提供することに使用される。
【0075】
典型的には、硬質相は芳香族ジカルボン酸及び短鎖ジオールから生成され、軟質相は500g/mol〜3000g/molの間の分子量を有する形成直前(ready-formed)の芳香族の二官能性ポリエステルから生成される。
【0076】
熱可塑性ポリエーテルイミドは、アミンと、カルボン酸又はそれらのエステル又は他の誘導体との反応による任意の一般的公知の文献方法により得られる。この場合、アミン及び/又はカルボン酸は、R−O−Rタイプのエーテルユニットをさらに含み、式中、Rが脂肪族及び/又は芳香族の有機ラジカルである。一般的には、下記種類の化合物から選択されるモノマーは使用される:
− HOOC−R’−NH
2、式中、R’が、芳香族及び脂肪族であってもよく、好ましくはR−O−Rタイプのエーテルユニットを含み、その中のRが脂肪族及び/又は芳香族の有機ラジカルであり、
− 芳香族ジカルボン酸、例えば、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸、又はそれらのエステル、並びに、R−O−Rタイプのエーテルユニットを含む芳香族ジカルボン酸、式中、Rが脂肪族及び/又は芳香族の有機ラジカルであり、
− 脂肪族ジカルボン酸、例えば、飽和ジカルボン酸としての1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸及びデカンジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸としてのマレイン酸、フマル酸、アコニット酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸及びテトラヒドロテレフタル酸、並びに、R−O−Rタイプのエーテルユニットを含む脂肪族ジカルボン酸、式中、Rが脂肪族及び/又は芳香族の有機ラジカルであり、
− ラクタム、例えばε−カプロラクタム、ピロリドン又はラウロラクタム、並びに、
− アミノ酸。
【0077】
上記のカルボン酸及びそれらのエステル、並びに、上記のアミン、ラクタム及びアミノ酸に加えて、これらの種類の化合物の任意の他の一般的な代表物は、好ましく使用されるポリエーテルアミンを提供することに使用される。また、公知であるのは、ポリテトラヒドロフランとアミドシントンとの混合生成物である。
【0078】
好ましく使用されたコポリマー構造の熱可塑性エラストマーは、ビニル芳香族、ブタジエン、イソプレン、ポリオレフィン及びビニルユニット、例えばエチレン、プロピレン及び酢酸ビニルユニットを含む。好ましくは、スチレン−ブタジエンのコポリマーである。
【0079】
好ましく使用されたブロックコポリマー構造の熱可塑性エラストマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエステル&ポリエステルエステルは、A44〜D88のショア硬度が得られるように選択される。特に好ましくは、A40〜A99、特にA44〜A96のショア硬度である。ショア硬度はDIN 53505:1987−06に従って測定される。
【0080】
ポリエーテルイミドが使用される場合、好ましくは、ArkemaからのPebax(登録商標)タイプ(例えば、Pebax(登録商標)2533又はPebax(登録商標)3533)又はEvonikからのVestamid(登録商標)タイプ(例えば、Vestamid(登録商標)E40S3)の製品を使用する。ポリエステルエステルが使用される場合、好ましくは、TojoboからのPelprene(登録商標)タイプ(例えば、Pelprene(登録商標)S1001又はPelprene(登録商標)P70B)の製品を使用する。ポリエーテルエステルが使用される場合、好ましくは、BASFからのElastotec(登録商標)タイプ(例えば、Elastotec(登録商標)A 4512)、DSMからのArnitel(登録商標)タイプ(例えば、Arnitel(登録商標)PL380又はArnitel(登録商標)EB463)、DuPontからのHytrel(登録商標)タイプ(例えば、Hytrel(登録商標)3078)、TiconaからのRiteflex(登録商標)タイプ(例えば、Riteflex(登録商標)430又はRiteflex(登録商標)635)又はEastman ChemicalからのEcdel(登録商標)タイプ(例えば、Ecdel(登録商標)エラストマー9965又はEcdel(登録商標)エラストマー9965)の製品を使用する。
【実施例】
【0081】
以下、実施例を参照して本発明を説明する。
【0082】
実施例1
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリテトラヒドロフラン(Poly−THF)及び1,4−ブタンジオールをベースとし、600%を超える破断点伸び度及び80Aのショア硬度を有する熱可塑性ポリウレタンの形態で、例えばBASFポリウレタンからのElastollan(登録商標)1180A10として購入できる熱可塑性エラストマー(TPE)を使用する。
【0083】
100gの原料ペレットとしての熱可塑性エラストマー粒子に、350バールの圧力及び130℃の温度で、オートクレーブ反応器中で、N
2を3.5時間含浸させる。この次には、圧力を環境気圧まで低減し、オートクレーブ反応器を冷却する。室温(20℃)まで冷却した後、このようにして得た発泡熱可塑性エラストマー粒子は、112g/lのかさ密度を有する。
【0084】
実施例2
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリテトラヒドロフラン(Poly−THF)及び1,4−ブタンジオールをベースとし、600%を超える破断点伸び度及び80Aのショア硬度を有する熱可塑性ポリウレタンの形態で、例えばBASFポリウレタンからのElastollan(登録商標)1180A10として購入できるTPEを使用する。
【0085】
100gの原料ペレットに、350バールの圧力及び130℃の温度で、オートクレーブ反応器中で、1:1の物質量の比のN
2及びCO
2のみを含む発泡剤混合物を3.5時間含浸させる。その後、該反応器を60℃まで冷却し、該温度に至ると、圧力を環境気圧まで低減する。その後、部分的発泡の熱可塑性エラストマー粒子を、取り出し、第2反応器に移す。第2反応器中で、環境気圧までの急激な圧力低下は粒子が均一な発泡熱可塑性エラストマー粒子に発泡しないうちに、それらを、今回は20バールの圧力で、N
2の存在下で再び130℃まで加熱する。室温まで冷却した後、このように得た発泡熱可塑性エラストマー粒子は、125g/lのかさ密度を有する。
【0086】
実施例3
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリテトラヒドロフラン(Poly−THF)及び1,4−ブタンジオールをベースとし、800%を超える破断点伸び度及び70Aのショア硬度を有する熱可塑性ポリウレタンの形態で、例えばBASFポリウレタンからのElastollan(登録商標)1170A10として購入できるTPEを使用する。
【0087】
100gの原料ペレットに、300バールの圧力及び115℃の温度で、オートクレーブ反応器中で、N
2を3.5時間含浸させる。その後、該反応器を55℃まで冷却し、該温度に至ると、圧力を環境気圧まで低減する。その後、部分的発泡の熱可塑性エラストマー粒子を、取り出し、第2反応器に移す。第2反応器中で、環境気圧までの急激な圧力低下は粒子が均一な発泡熱可塑性エラストマー粒子に発泡しないうちに、それらを、今回は18バールの圧力で、N
2の存在下で再び115℃まで加熱する。室温まで冷却した後、このように得た発泡熱可塑性エラストマー粒子は、109g/lのかさ密度を有する。
【0088】
実施例4
熱可塑性エラストマー特性(S−TPE)、300%を超える破断点伸び度、84Aのショア硬度及び14cm
3/10分のメルトボリュームレイト(200℃/5kgでのMVR)を有するスチレン−ブタジエンブロックコポリマー(SBC)の形態で、例えばStyrolutionからのStyroflex(登録商標)2G66として購入できるTPEを使用する。
【0089】
100gの原料ペレットに、410バールの圧力及び70℃の温度で、オートクレーブ反応器中で、N
2を4時間含浸させる。この次には、圧力を環境気圧まで低減し、オートクレーブ反応器を冷却する。室温まで冷却した後、このように得た発泡熱可塑性エラストマー粒子は、137g/lのかさ密度を有する。
【0090】
実施例5
ポリテトラヒドロフラン(Poly−THF)及びポリブチレンテレフタレートをベースとし、500%を超える破断点伸び度及び90Aのショア硬度を有するポリエーテルエステルの形態のTPEを使用する。
【0091】
100gの原料ペレットに、380バールの圧力及び150℃の温度で、オートクレーブ反応器中で、CO
2を4時間含浸させる。この次には、圧力を環境気圧まで低減し、オートクレーブ反応器を冷却する。室温まで冷却した後、このように得た発泡熱可塑性エラストマー粒子は、182g/lのかさ密度を有する。
【0092】
実施例6
1,4−ベンズジカルボン酸、ジメチルエステル、1,4−ブタンジオール及びα−ヒドロ−ω−ヒドロキシポリ(オキシ−1,4−ブタンジイル)をベースとし、700%を超える破断点伸び度及び96Aのショア硬度を有するポリエステルエステルの形態で、例えばToyobo株式会社からのPelprene(登録商標)P−70Bとして購入できるTPEを使用する。
【0093】
100gの原料ペレットに、380バールの圧力及び140℃の温度で、オートクレーブ反応器中で、CO
2を3時間含浸させる。この次には、圧力を環境気圧まで低減し、オートクレーブ反応器を冷却する。室温まで冷却した後、このように得た発泡熱可塑性エラストマー粒子は、143g/lのかさ密度を有する。
【0094】
実施例7
可撓性のポリテトラヒドロフラン及び結晶性のポリアミドユニットをベースとし、700%を超える破断点伸び度及び77Aのショア硬度を有するポリエーテルアミドの形態で、例えばArkemaからのPebax(登録商標)2533SDとして購入できるTPEを使用する。
【0095】
100gの原料ペレットに、170バールの圧力及び135℃の温度で、オートクレーブ反応器中で、CO
2を4時間含浸させる。この次には、圧力を環境気圧まで低減し、オートクレーブ反応器を冷却する。室温まで冷却した後、このように得た発泡熱可塑性エラストマー粒子は、134g/lのかさ密度を有する。
【0096】
実施例8
450%を超える破断点伸び度、38Dのショア硬度及び28cm
3/10分のメルトボリュームレイト(190℃/2.16kg)を有するポリエーテル軟質セグメントの形態で、例えばDSMからのArnitel(登録商標)PL380として購入できるTPEを使用する。
【0097】
100gの原料ペレットに、350バールの圧力及び200℃の温度で、オートクレーブ反応器中で、CO
2を4時間含浸させる。この次には、圧力を環境気圧まで低減し、オートクレーブ反応器を冷却する。室温まで冷却した後、このように得た発泡熱可塑性エラストマー粒子は、175g/lのかさ密度を有する。
【0098】
実施例9
長鎖ポリエーテルグリコールに由来する硬質(結晶性)ポリブチレンテレフタレートセグメント及び軟質(非晶質)ユニットをベースとし、700%を超える破断点伸び度、30Dのショア硬度及び5g/10分の190℃/2.16kgでのMFR質量流量を有するポリエーテルエステルの形態で、例えばDuPontからのHytrel(登録商標)3078として購入できるTPEを使用する。
【0099】
100gの原料ペレットを、320バールの圧力及び145℃の温度で、オートクレーブ反応器中で、CO
2に4時間含浸する。この次には、圧力を環境気圧まで低減し、オートクレーブ反応器を冷却する。室温まで冷却した後、このように得た発泡熱可塑性エラストマー粒子は、149g/lのかさ密度を有する。
【0100】
実施例10
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリテトラヒドロフラン(Poly−THF)及び1,4−ブタンジオールをベースとし、600%を超える破断点伸び度及び80Aのショア硬度を有する熱可塑性ポリウレタンの形態で、例えばBASFポリウレタンからのElastollan(登録商標)1180A10として購入できるTPEを使用する。
【0101】
100gの原料ペレットに、350バールの圧力及び130℃の温度で、オートクレーブ反応器中で、1:1の物質量の比のN
2及びCO
2のみを含む発泡剤混合物を3.5時間含浸させる。その後、該反応器を60℃まで冷却し、該温度に至ると、圧力を環境気圧まで低減する。その後、部分的発泡の熱可塑性エラストマー粒子を、取り出し、有孔正方形の鋳型(500ml容量)に注入し、第2反応器に移す。今回20バールで、N
2の存在下で、第2反応器を135℃まで加熱する。環境気圧までの急激な圧力低下及び室温までの冷却の後に、最終的に、201g/lのかさ密度を有する融合成形部品を正方形の鋳型から除去し得る。