(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記支持部は、上記表面部の上面視における形状が、上記基板を保持したときの当該基板の重心点を中心とした、円状又は円弧状である複数の凸部からなることを特徴とする請求項2に記載の基板ケース。
上記係止凸部は、複数の凸部からなり、各凸部における上記基板の端部を係止する面は、上記基板を保持したときの当該基板の端部における面取り部位に接触するように、傾斜を有していることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の基板ケース。
上記裏面部は、上記係止凸部に隣接し、かつ、上記収納部を水平に配置したときに、上記裏面部における最も低い面よりも高く、上記裏面部の最も高い面よりも低い位置において、上記別の収納部の表面部における最も高い面の一部に当接することができる第二当接部を備えており、
上記第二当接部と、上記別の収納部の表面部の一部とは、1つの収納部と別の収納部とを上記特定の配置とは別の配置において重ねたときに、互いに当接するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の基板ケース。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第一の実施形態に係る基板ケース>
以下に、一実施形態(第一の実施形態)に係る基板ケース30についてより、詳細に説明する。
【0017】
本実施形態に係る基板ケース30は、
図1に示す、基板を収納するためのトレイ(収納部)10を複数有している。
【0018】
基板ケース30は、1つのトレイ10の表面部と、別のトレイ10の裏面部との間において、基板20を保持する(
図2及び
図3)。基板ケース30は、1つのトレイ10の表面部において、基板20の底面20cの一部を支持しつつ、基板20の端部20aを係止部11cの段差において係止する(
図2の(c))。また、
図2の(c)に示すように基板20を支持した状態において、
図3の(c)に示すように、上記1つのトレイ10の上に位置する別のトレイ10の裏面部によって基板20の端部20aを係止する。
【0019】
これにより、基板ケース30は、基板20の上面20bよりも内側に対して、基板20の上に位置するトレイ10の裏面部を接触させることなく、基板20を収納することができる(
図2の(c)及び
図3の(c))。これにより、基板20を搬送するときに基板20の上面20bにキズが付くことを防止することができる。
【0020】
また、基板ケース30は、トレイ10と基板20とを交互に積み重ね、これにより、各トレイ10の間において、1枚ずつ基板20を収納する。このため、基板ケース30は、個別の基板ケースに設けられた内部の空間に1枚ずつ基板を収納し、当該基板ケースを積み重ねて搬送する形態よりも、ケース自体が嵩高くなることを防止することができる。従って、基板ケース30は、基板20を収納するスペースを大幅に削減することができ、基板20を搬送するための形態を小さくすることができる(
図2の(b)及び
図3の(b))。
【0021】
なお、基板ケース30は、1つのトレイ10の上に別のトレイ10積み重ねるとき、下に位置するトレイ10に対して、平行に180°ずつ向きを変えて、上に位置するトレイ10を積み重ねる。トレイ10の上面視おける外周部の形状は略正方形であるため、外周部の形状に合わせて各トレイ10を平行に180°ずつ向きを変えて積み重ねていくことは容易である。なお、トレイ10には、特定の向きを示す表示(不図示)が付されていてもよい。
【0022】
〔基板〕
基板20は、上面視における形状が円形である例えばガラス基板である。また、基板20は、面取りされている。より具体的には、
図2の(d)に示すように、基板20は、端部20aの全周における上面20b側から及び底面20c側からの両方において、c面取りされている。これにより、基板20における端部20aには、面取り部位a1と面取り部位a2とが設けられている。
【0023】
なお、基板ケースに収納される基板において、c面取りされた取り部位の傾斜の角度は、
図2の(d)に示すような角度に限定されない。また、基板ケース30に収納される基板20にはc面取りされた基板を使用しているが、本発明の一実施形態に係る基板ケースに収納される基板はc面取りされた基板に限定されない。基板ケースには、例えば、端部がr面取りされている基板を収納することもできる。
【0024】
基板ケース30に収納され、搬送された基板20は、その後、基板ケース30から取り出され、上面20bに回路が形成され得る。また、本実施形態に係る基板ケース30では収納する基板20はガラス基板であるが、基板はガラス基板に限定されない。基板ケースに収納する基板の材質は限定されず、ガラス基板以外に、シリコン基板、セラミック基板、及び樹脂基板等を収納することができる。
【0025】
〔トレイ〕
図1は、本実施形態に係る基板ケース30を構成するトレイ10の概略を説明する図である。
図1の(a)は、トレイ10の上面図及び三方向における側面図からなる4面図であり、
図1の(b)は、トレイ10のA−A’線矢視断面図であり、
図1の(c)は、トレイ10のB−B’線矢視断面図である。
【0026】
図1の(a)に示すように、トレイ10は上面視における形状が略正方形である。なお、本明細書においてトレイ(収納部)における表面部とは、係止部、支持部、及び係止凹部が設けられている側の面であり、収納部における裏面部とは係止凸部が設けられている側の面のことを意味する。
【0027】
図1の(a)に示すように、トレイ10は、その表面部に係止部11a〜11d、支持部12a〜12e、係止凹部13a、13c、13e及び13g、及び、第一当接部17a、17c、17e及び17gが形成されている。
【0028】
図1の(b)に示すように、支持部12a〜12eは、トレイ10の表面部に形成された係止部11a及び係止部11cの段差の内側に形成されている。支持部12a〜12eは、同様に、係止部11b及び11dの段差の内側に位置する。トレイ10は、その表面部において、基板20の端部20aを係止し、基板20の底面20cの一部を支持する。
【0029】
図1の(c)に示すように、トレイ10は、その裏面部に係止凸部13b及び13fが形成されている。係止凸部13b及び13fと同様に、トレイ10の裏面部には、
図1の(a)に示す、係止凸部13d及び13hが形成されている。トレイ10は、その裏面部に形成された係止凸部により、基板20の端部20aを係止する。
【0030】
また、トレイ10の裏面部には、当該トレイ10の表面部における第一当接部17a、17c、17e及び17gの裏側に、第二当接部17b、17d、17f及び17hが形成されている(
図1の(a))。
【0031】
また、トレイ10は、その側面部に、複数のトレイ10を同じ向きに揃えたときにのみ嵌合する嵌合部14a〜14nを備えている(
図1、5及び6)。
【0032】
トレイ10は、例えば、真空成形やプレス成形等により、平板を成形することで製造できる。収納部を成形するための平板は限定されるものではないが、樹脂製の平板であることが好ましく、例えば、発泡ポリスチレン等を挙げることができる。また、収納部は、コーティング層によって保護されていてもよい。
【0033】
〔係止部〕
図1及び
図2を用いて本実施形態に係るトレイ10に設けられている係止部11a〜11dについてより詳細に説明する。
図2の(a)〜(c)は、
図1の(a)におけるA−A’線矢視断面に基づき、複数のトレイ10により、基板20を収納する状態を説明する図である。
【0034】
図2の(a)に示すように、係止部11a及び11cの段差は、支持部12eから離れるほど広がるように傾斜している。係止部11a及び11cと同様に、係止部11b及び11dも、支持部12eから離れるほど広がるように傾斜している。また、係止部11a〜11dは、係止部11a〜11dの内側に係止される基板20の外周部の形状に沿って湾曲している(
図1の(a))。つまり、トレイ10の係止部11a〜11dは、同じ形状をした段差を有しており、当該段差の内側に形成された領域において基板20を収納する。
【0035】
また、別の観点から、係止部11a〜11dは、係止凹部13a、13c、13e及び13g、並びに、第一当接部17a、17c、17e及び17gを形成することで、トレイ10の表面部において支持される基板20を囲うように形成された段差を、当該基板20の外周部が配置される位置よりも外側に向かって切欠くことにより形成されている。トレイ10の表面部において、係止部11a〜11dを形成する計4か所の切欠きは、互いに対向する切欠き同士が、トレイ10の表面部において基板20を支持する領域を挟んで対称的な形状をしている。
【0036】
以上のように形成される係止部11a〜11dの段差は、基板20を保持したときの当該基板20の重心点から等間隔に離れた位置であり、基板20の端部20aが係止される位置に設けられている。また、互いに隣接する1つの係止部と別の係止部との間の距離は等しい(
図1の(a))。このため、
図2の(a)に示すように、複数のトレイ10を積み重ねるときにおいて、各トレイ10を平行に180°ずつ向きを変えて積み重ねると、同じ形状をした係止部11aと係止部11cとの配置が入れ替わり、同じ形状をした係止部11bと係止部11dとの配置が入れ替わるのみで、係止部11a〜11dにより、基板20の端部20aを係止することに変化はない。従って、
図2の(b)に示すように、複数のトレイ10からなる基板ケース30は、各トレイ10の表面部において、同じ状態で1枚ずつ基板20を係止することができる。
【0037】
〔支持部〕
本実係形態に係るトレイ10において、支持部12は、トレイ10の上面視における形状が、基板20を保持したときの基板20の重心点を中心とした、円状の複数の凸部である支持部12a〜12eからなる(
図1の(a)及び(b))。これにより、支持部12a〜12eは、トレイ10の表面部に形成されており、基板20における底面20cの一部を支持する(
図2及び
図3)。従って、トレイ10の表面部において、基板20の底面20cを支持する面積を小さくすることができ、基板20の底面20cにキズが付き難くすることができる。また、支持部12a〜12eは、基板20の重心点を中心とした、円状の複数の凸部である円状の凸部により構成されているため、基板20をその底面20cから均等に支持することができる。
【0038】
〔係止凹部〕
図1及び
図3を用いて、本実施形態に係るトレイ10に設けられている係止凹部13a、13c、13e及び13g、並びに、第一当接部17a、17c、17e及び17gについてより詳細に説明する。
【0039】
図3の(a)は、
図1の(a)におけるB−B’線矢視断面に基づき、複数のトレイ10により、基板20を収納する状態を説明する図である。
【0040】
図3の(a)に示すように、互いに対向する係止凹部13a及び13eは、係止部11a〜11dを形成する計4か所の切欠きの内側において、トレイ10の表面部における基板20を支持する領域を挟んで対称的に配置されている(
図1の(a)及び(c))。また、係止凹部13a及び13eの夫々は、略正方形であるトレイ10において、係止凹部13a及び係止凹部13eの上を通過する対角線(つまり、
図1の(a)に示すB−B’線)を挟んで非対称な形状をしている。
【0041】
また、
図3の(a)に示すように、互いに対向する係止凹部13a及び13eは、係止部11a〜11dが有している段差の分、保持する基板20に対してより遠い側に位置する段差よりも、当該基板20により近い側に位置する段差が低くなるように、その凹部が形成されている。ここで、係止凹部13a及び13eの凹部は、トレイ10を水平に配置したときにおいて、支持部12a〜12eよりも低い位置に形成されている。このため、基板20の端部20aを把持して、係止凹部13a及び13eのいずれかに手を入れることにより、係止部11a〜11dの内側の支持部12a〜12eの上に、基板20を首尾よく配置することができる。また、係止凹部13a及び13eのいずれかに手を入れて当該基板20の端部20aを把持すれば、係止部11a〜11dによって囲まれた基板20を首尾よく取り出すことができる。
【0042】
なお、係止凹部13c及び13gは、係止凹部13a及び13eと同様に、互いに対向するように設けられており、トレイ10の表面部における基板20を支持する領域を挟んで対称的に配置されている(
図1の(a)及び(c))。また、係止凹部13a及び13eの夫々は、係止凹部13a、係止凹部13e、トレイ10の表面部に支持される基板20の重心点を通る対角線(不図示)を挟んで、非対称な形状をしている。また、係止凹部13c及び13gは、係止部11a〜11dが有している段差の分、保持する基板20に対してより遠い側に位置する段差よりも、当該基板20により近い側に位置する段差が低くなるように、その凹部が形成されている。従って、係止凹部13c及び13gにおいても、係止凹部13a及び13eと同様に、トレイ10の表面部への基板20の配置、又は取り出しに用いることができることは言うまでもない。
【0043】
〔第一当接部〕
第一当接部17a、17c、17e及び17gは、トレイ10の上面視において、保持される基板20の外周部の形状に沿って、係止凹部13a、13c、13e及び13gに対して個別に隣接するように形成されている。
【0044】
係止部11a〜11dを形成する計4か所の切欠きの内側において、互いに対向する第一当接部17a及び17eは、トレイ10の表面部における基板20を支持する領域を挟んで対称的に配置されている(
図1の(a))。
【0045】
また、
図3の(a)に示すように、B−B’線矢視断面において、互いに対向する第一当接部17a及び17eは、係止凹部13a及び13eよりも紙面に向かって奥側に設けられており、トレイ10を水平に配置したときにおいて、係止凹部13a及び13eの凹部よりも高く、支持部12a〜12eよりも低い位置に設けられている。
【0046】
なお、互いに対向する第一当接部17c及び17gは、第一当接部17a及び17eと同様に、トレイ10の表面部における基板20を支持する領域を挟んで対称的に配置されており、トレイ10を水平に配置したときにおいて、係止凹部13c及び13gの凹部よりも高く、支持部12a〜12eよりも低い位置に設けられている。
【0047】
〔係止凸部〕
図3の(a)に示すように、係止凸部13b及び13fは、係止凹部13a及び13eに嵌合する凸部として、係止凹部13a及び13eの裏面を突出させることにより形成されている凸部である。
【0048】
また、係止凸部13b及び係止凸部13fの夫々は、略正方形であるトレイ10において、係止凸部13b及び係止凸部13fの上を通過する対角線(つまり、
図1の(a)に示すB−B’線)を挟んで、非対称な形状をしている。
【0049】
また、係止凸部13b及び13fにおける互いに対向する二面は、トレイ10の表面部に配置される基板20の外周部の形状に沿って湾曲しており、トレイ10の裏面部から離れるほどに広がる傾斜を有している(
図1の(c))。ここで、基板ケース30に基板20を保持したときに、
図2の(d)に示す基板20における端部20aの面取り部位a1に接触するように、係止凸部13b及び13fにおける互いに対向する二面の夫々には、傾斜が設けられている。
【0050】
また、係止凸部13b及び13fにおける互いに対向する二面は、トレイ10の表面部に配置される基板20の重心点から等間隔に離れている。このため、各トレイ10を平行に180°ずつ向きを変えて積み重ねても、係止凸部13b及び13fにおける互いに対向する二面は配置が入れ替わるのみで、基板20の端部20aの面取り部位a1を係止することができる(
図3)。
【0051】
なお、
図1の(a)に示す、係止凸部13d及び13hは、係止凹部13c及び13gに嵌合する凸部として、係止凹部13c及び13gの裏面を突出させることにより形成されている。また、係止凸部13d及び13hにおける互いに対向する二面は、トレイ10の表面部に配置される基板20の外周部の形状に沿って湾曲しており、トレイ10の裏面部から離れるほどに広がる傾斜を有している。ここで、基板ケース30に基板20を収納したときに、当該基板20における端部20aの面取り部位a1に接触するように、係止凸部13d及び13hにおける互いに対向する二面の夫々には、傾斜が設けられている。また、係止凸部13b及び13fと同様に、係止凸部13d及び13hは、係止凸部13d及び13hの上を通過する対角線(不図示)を挟んで非対称な形状をしている。また、係止凸部13d及び13hにおける互いに対向する二面は、トレイ10の表面部に配置される基板20の重心点から等間隔に離れている。
【0052】
(係止凹部、係止凸部及び第一当接部の配置)
図3及び
図4を用いて、複数のトレイ10を積み重ねたときにおける、係止凹部、係止凸部及び第一当接部の配置について説明する。
図4の(a)〜(d)は、
図1の(a)に示す、C−C’線矢視断面に基づいて、複数のトレイ10を積み重ねた状態を説明する図である。なお、
図4において、トレイ10は平行に180°ずつ向きを変えて積み重ねている。このため、
図4の(a)及び(b)に示す、3つのトレイ10のうち、真ん中に位置しているトレイ10は、D−D’矢視断面に基づく断面が配置されている。
【0053】
係止凸部13b及び13fは、略正方形であるトレイ10において係止凸部13b及び13fの上を通過する対角線(つまり、
図1の(a)に示すB−B’線)を挟んで非対称な形状をしている。このため、
図4の(a)に示すように、各トレイ10を平行に180°ずつ向きを変えて積み重ねると、一番上に位置するトレイ10における係止凸部13bの下には、真ん中に位置するトレイ10における第一当接部17eが配置される。また、真ん中に位置するトレイ10における係止凸部13fの下には、その下に位置するトレイ10における第一当接部17aが配置される。このため、各トレイ10を積み重ねると、
図4の(b)に示すように、一番上に位置するトレイ10の係止凸部13bの一部が、真ん中に位置するトレイ10における第一当接部17eに当接し、係止凸部13bと係止凹部13aとは嵌合しない。同様に、真ん中に位置するトレイ10における、係止凸部13fは、その下に位置するトレイ10における第一当接部17aに当接し、係止凸部13fと係止凹部13eとは嵌合しない。
【0054】
同様に、
図4の(c)に示すように、各トレイ10を平行に180°ずつ向きを変えて積み重ねると、一番上に位置するトレイ10における係止凸部13hの下には、真ん中に位置するトレイ10における第一当接部17cが配置される。また、真ん中に位置するトレイ10における係止凸部13dの下には、その下に位置するトレイ10における第一当接部17gが配置される。このため、各トレイ10を積み重ねると、
図4の(d)に示すように、一番上に位置するトレイ10の係止凸部13hの一部が、真ん中に位置するトレイ10における第一当接部17cに当接し、係止凸部13hと係止凹部13cとは嵌合しない。同様に、真ん中に位置するトレイ10における、係止凸部13dは、その下に位置するトレイ10における第一当接部17gに当接し、係止凸部13dと係止凹部13gとは嵌合しない。
【0055】
このように、トレイ10の裏面部において、基板20の外周の形状に沿って形成された係止凸部13b、13d、13f及び13hを、トレイ10の表面部に第一当接部17a、17c、17e及び17gに当接させることにより、各トレイ10における表面部と裏面部との間において、基板20を保持する領域に十分な空間を得ることができる(
図3の(b))。なお、
図4の(a)〜(d)に示すように、各トレイ10における第二当接部17b、17d、17f及び17hは、これらの下に位置するトレイ10の表面部の一部に当接している。
【0056】
(基板ケース30における基板20の配置)
図4の(a)〜(d)に示すように積み重ねた各トレイ10の間において、基板20は、1つのトレイ10の表面部と、別のトレイ10の裏面部との間に、基板20を収納している(
図2の(b)及び
図3の(b))。
【0057】
この状態において、
図3の(c)に示すように、上に位置するトレイ10の裏面部に設けられている係止凸部13bは、その下に位置する別のトレイ10に設けられた支持部12eよりも低い位置において第一当接部17eに当接している。他の係止凸部についても、同様に、その下に位置する別のトレイ10に設けられた支持部12eよりも低い位置において第一当接部に当接している。このため、各トレイを積み重ねたときに、1つのトレイ10の裏面部に設けられた係止凸部13b、13d、13f及び13hの傾斜を有する面によって基板20の端部20aを上面20b側から係止した状態において、当該1つのトレイ10(又は、積み重ねられた複数のトレイ10及び複数の基板20)の荷重が加えられることを、第一当接部に係止凸部13b、13d、13f及び13hを当接することにより防止することができる。従って、基板ケース30に収納された基板20の端部20aが、破損することを防止することができる。
【0058】
また、1つのトレイ10の裏面部に形成されている係止凸部13b、13d、13f及び13hは、その下に位置する別のトレイ10の表面部において支持部12a〜12eに支持されている基板20の端部20aの面取り部位a1を係止するため、基板20における上面20bに対して、トレイ10を接触させることなく、基板20を保持することができ、基板20の上面20bにキズが付くことを防止することができる(
図3の(c))。
【0059】
〔嵌合部〕
図5及び
図6を用いて、本実施形態に係るトレイ10が有している嵌合部14a〜14nについてより詳細に説明する。
図5の(a)及び(b)は、1つのトレイ10の上に、別のトレイ10を180°向きを変えて積み重ねる状態を説明する側面図である。
図6の(a)及び(b)は、
図5の(a)及び(b)とは異なる側面から、1つのトレイ10の上に、別のトレイ10を180°向きを変えて積み重ねる状態を説明する別の側面図である。
【0060】
図5の(a)及び
図5の(a)に示す、トレイ10の側面部に設けられた嵌合部14a〜14nは、各図の紙面の手前に向かって突出する凸部と、トレイ10の裏面部において当該凸部に嵌合するように形成された凹部とにより構成される。また、嵌合部14a〜14nは、側面視において、2段の段差を少なくとも1つ有する凸形をしている。
【0061】
図5の(a)に示す側面部では、1つのトレイ10の上に位置する別のトレイ10は、180°向きを変えて配置されているため、上に位置するトレイ10の嵌合部14a〜14eと、下に位置するトレイ10の嵌合部14h、14i、14l〜14nとが同じ向きに配置される。なお、
図5の(a)に示す一側面の反対側に位置する側面部では、上に位置するトレイ10において、嵌合部14h、14i、14l〜14nが配置され、下に位置するトレイ10において嵌合部14a〜14eが配置されている。従って、
図5の(a)における紙面の手前側及び奥側に位置する側面部のいずれにおいても、嵌合部の形状が一致していない。
【0062】
このように、平行に180°向きを変えてトレイ10を配置すると、
図6の(a)に示す別の側面部では、上に位置するトレイ10の嵌合部14e〜14hと、下に位置するトレイ10の嵌合部14i〜14k及び14aとが同じ向きに配置される。なお、
図6の(a)に示す側面部の反対側に位置する側面部では、上に位置するトレイ10において、嵌合部14i〜14k及び14aが配置され、下に位置するトレイ10において嵌合部14e〜14hが配置されている。従って、
図6の(a)における紙面の手前側及び奥側に位置する側面部のいずれにおいても、嵌合部の形状が一致していない。
【0063】
つまり、トレイ10を平行に180°ずつ向きを変えて積み重ねると、外周部の形状が略正方形であるトレイ10の4側面に形成された嵌合部14a〜14nが互いに嵌合しないように配置される。
【0064】
〔第三当接部〕
図5の(a)に示す一側面では、嵌合部14a〜14e、14h、14i、14l〜14nの夫々は、2段の段差を有する凸形をしており、嵌合部14h、14i、14l〜14nにおける上から1段目の段差と2段目の段差との間には、第三当接部15b、15d、15f及び15hが設けられている。
【0065】
また、
図6の(a)に示す別の側面では、嵌合部14e〜14h、14i、14k及び14aの夫々は、2段の段差を少なくとも1つ有する凸形をしており、嵌合部14i、14k、14aにおける上から1段目の段差と2段目の段差との間には、第三当接部16b、16d及び16fが設けられている。
【0066】
図5の(a)に示すように、このように2つのトレイを平行に180°向きを変えて配置すると、上に位置するトレイ10に設けられた第三当接部15a、15c、15e及び15gと、上に位置するトレイ10の嵌合部14h、14l〜14nに設けられた第三当接部15b、15d、15f及び15hとが対になるように配置される。
【0067】
同様に、
図6の(a)に示すように、上に位置するトレイ10に設けられた第三当接部16a、16c及び16eと、下に位置するトレイ10の嵌合部14h、14l〜14nに設けられた第三当接部16b、16d及び16fとが対になるように配置される。なお、
図5の(a)及び
図6の(a)において図示しない側面部においても、嵌合部14a〜14nに設けられた当接部が対になるように配置される。
【0068】
図5の(a)に示す状態から、上下2つのトレイ10を重ねると、
図6の(b)に示すように、第三当接部15aと15b、第三当接部15cと15d、第三当接部15eと15f、第三当接部15gと15hが対になって当接される。
【0069】
同様に、
図6の(a)に示す状態から、上下2つのトレイ10を重ねると、
図6の(b)に示すように、第三当接部16aと16b、第三当接部16cと16d、第三当接部16eと16f、が対になって当接される。また、
図5の(b)及び
図6の(b)において図示しない側面部においても、嵌合部14a〜14nに設けられた当接部と、トレイ10の側面部の底面に設けられた当接部とが当接する。このように、外周部の形状が略正方形であるトレイ10の4側面部において各第三当接部を当接させ、かつ、各嵌合部14a〜14nにおける2段の段差のうち、上側に位置する段差を、上に位置するトレイ10の嵌合部14a〜14nの内側の一部に係止することにより、上に位置するトレイ10と下に位置するトレイ10とを係合する。
【0070】
また、
図5の(b)に示すように、第三当接部15cと15dとが互いに当接している状態において、
図4の(b)に示すように、第一当接部17aに係止凸部13fが当接し、第一当接部17eに係止凸部13bが当接している。同様に、第三当接部15iと15jとが対になって当接されている。つまり、第三当接部が互いに当接している状態において、第一当接部と係止凸部とが互いに当接している。このように、本実施形態に係る基板ケース30では、第一当接部と係止凸部とを互いに当接させ、対になっている第三当接部を互いに当接させることにより、上に位置するトレイ10(又は、積み重ねられた複数のトレイ10及び複数の基板20)の重量により、下に位置するトレイ10の支持部12a〜12eに支持された基板20に対して、端部20aを介して過度に力が加えられることを防止することができる。
【0071】
(嵌合部によるトレイの嵌合)
図4の(c)に示すように、上下に配置される2つのトレイ10を同じ向きにして配置すると、トレイ10の側面部における嵌合部14a〜14e(対向する側面部では、嵌合部14h、14i、14l〜14n)の配置が一致する。このため、
図5の(d)に示すように、上下に位置する2つのトレイ10を、互いに嵌合することができる。
【0072】
同様に、
図6の(c)に示すように、上下に配置される2つのトレイ10を同じ向きにして配置すると、トレイ10の側面部における嵌合部14e〜14h(対向する側面部では、嵌合部14i〜14k及び14a)の配置が一致する。このため、
図6の(d)に示すように、上下に位置する2つのトレイ10を、互いに嵌合することができる。
【0073】
また、
図5の(c)及び
図6の(c)に示すように、複数のトレイ10を同じ向きにして積み重ねると、係止凹部13aと係止凸部13bとが嵌合する。同様に、係止凹部13cと係止凸部13d、係止凹部13eと係止凸部13f、係止凹部13gと係止凸部13hを互いに嵌合させることができる。さらに、トレイ10の表面部に形成されている係止部11a〜11dが有している段差に囲まれることにより形成される凹部も、トレイ10の裏面部において、当該段差により形成される凸部に嵌合することができる。
【0074】
従って、同じ向きにして複数のトレイ10を重ねることで嵩張らないように複数のトレイ10を収納することができる(
図5の(d)及び
図6の(d))。
【0075】
<基板搬送器>
図7を用いて、本実施形態に係る基板搬送器50について、より詳細に説明する。
図7の(a)は、本実施形態に係る基板搬送器50の上面図であり、
図7の(b)は、本実施形態に係る基板搬送器50の側面図である。
【0076】
図7の(a)及び(b)に示すように、基板搬送器50は、基板ケース30、一対のプレート(板部)40、及び結束バンド(バンド部)41を備えている。
【0077】
このように、複数のトレイ10からなる基板ケース30を、一対のプレート40により把持し、結束バンド41によって結束する。これにより、基板ケース30を崩れないようにして好適に搬送することができる。
【0078】
〔プレート〕
図7の(a)に示すように、プレート40は、上面視における形状が略正方形であり、プレート40の外周を構成する4辺の中央部分に切欠き部40aが設けられている。プレート40は、アルミニウム等の金属にて作製されている。プレート40は、基板ケース30を崩さずに搬送するとともに、搬送時等における基板ケース30の破損を防止するために、基板ケース30の上下に配される。切欠き部40aの形状は、特に限定されるものではなく、結束バンド41による結束が好適に行われる形状であればよい。
【0079】
プレート40に設けられた切欠き部40aに結束バンド41を通すことにより、プレート40により基板ケース30を上下で把持して結束するときに、結束バンド41がプレート40において位置ずれすることを防止することができる。これにより、基板搬送器50を搬送するときにおいて、基板ケース30の結束が緩むことを防止することができる。
【0080】
〔結束バンド〕
結束バンド41は、プレート40を介して基板ケース30を結束する。結束バンド41は、基板ケース30と一対のプレート40とを結束することができるものであれば限定されず、例えば、一般的な包装に用いられている、バックル式の結束バンドや、加熱することで融着するポリプロピレンバンド、ゴム等を用いることができる。
【0081】
本実施形態に係る基板搬送器50では、2本の結束バンドを用い、一対のプレート40と基板ケース30とを結束する。基板搬送器50では、基板ケース30の最上面と最下面とにプレート40を配置し、最上面のプレート40における互いに対向する切欠き部40aと、当該対向する切欠き部40aに対して、最下面のプレート40において相互に対向する切欠き部40aとに結束バントを通し、基板ケース30を結束する。
【0082】
図7の(b)に示すように、基板搬送器50は、一対のプレート40によって、樹脂により成形されているトレイ10からなる基板ケース30を、当該基板ケース30の最上面と最下面とを介して把持する。これにより、基板ケース30を搬送するために持ち上げるときに、基板ケース30が自重により撓むことを防止することができる。このため、基板ケース30により、基板20を好適に搬送することができる。また、結束バンド41により、一対のプレート40を介して基板ケース30を結束するため、基板ケース30を結束するために結束バンド41によって加えられる力が、基板ケース30の最上面及び最下面に均等に加えられる。従って、結束バンド41によって加えられる力が、基板ケース30の一部に集中することで基板ケース30を構成するトレイ10が破損することを好適に防止することができる。
【0083】
<第二の実施形態に係る基板ケース>
本発明に係る基板ケースは、上記実施形態(第一の実施形態)に限定されない。例えば、一実施形態(第二の実施形態)に係る基板ケースでは、1つのトレイ(収納部)は、その表面部が備えている係止部の段差によって基板の端部を当該基板の底面側から支持し、当該収納部の上に位置する別の収納部の裏面部における係止凸部によって基板の端部を当該基板の上面側から係止することにより、基板を保持する。
【0084】
本実施形態に係る基板ケース30’は、1つのトレイ10’の表面部における係止部の段差の途中に基板20における端部20aを係止する点においてトレイ10と異なる(
図8の(a)及び(c))。また、トレイ10’は、1つのトレイ10’の係止部の段差の途中において係止されている基板20の端部20aを、当該基板20の上面側から係止するように、当該トレイ10’の上に位置する別のトレイ10’の裏面部に設けられた係止凸部の配置が調整されており、これに伴い、係止凸部と表裏一体で成形されている係止凹部の配置が調整されている点においてトレイ10と異なる(
図8の(b)及び(d))。これら2点以外において、トレイ10’は、第一当接部、第三当接部、及び、支持部について、
図1に示すトレイ10と同様の配置を有する。
【0085】
従って、トレイ10’は、トレイ10と同様に、平行に180°ずつ向きを変えて積み重ねることができる。なお、トレイ10と同じ機能を有するトレイ10’における嵌合部、第一当接部、第三当接部、及び、係止凹部については、その説明を省略する。
【0086】
図8の(a)に示すように、基板ケース30’におけるトレイ10’は、各トレイ10’の表面部に設けられた段差の途中において、基板20における端部を底面側から係止する。また、
図8の(a)に示す状態において、1つのトレイ10’の表面部において、基板20における端部を支持しているトレイ10の上に位置する別のトレイ10’の係止凸部により、当該基板の端部を基板20における端部を上面側から係止する(
図8の(b))。これにより、基板20は、1つのトレイ10’の表面部と、当該1つのトレイ10’の上に位置する別のトレイ10’の裏面部との間に収納される(
図8の(a)及び(b))。
【0087】
1つのトレイ10’における係止部11’cの段差は、基板20の外周部の形状に沿って湾曲しており、支持部12’eから離れるほどに広がる傾斜を有している。ここで、係止部11’cの段差は、トレイ10’の表面部に基板20が収納されたとき、
図2の(d)に示す基板20における端部20aの面取り部位a2が平行に配置されるように傾斜している。なお、他の係止部も、
図8の(c)に示す係止部11’cと同様に、基板20の外周部の形状に沿って湾曲しており、支持部12’eから離れるほどに広がる傾斜を有している。また、他の係止部の段差も、
図2の(d)に示す基板20における端部20aの面取り部位a2が平行に配置されるように傾斜している。これにより、当該トレイ10’の表面部において、基板20における端部20aを当該基板20の底面20c側から面取り部a2を介して係止する(
図8の(c))。
【0088】
また、
図8の(d)に示すように、係止凸部13’bは、第一当接部17’eに当接した状態にて、その傾斜を有する面において、基板20の端部20aの面取り部位a1を係止している。また、係止凸部13’bと同様に、他の係止凸部も、その傾斜を有する面において、基板20の端部20aの面取り部位a1を係止している。この状態において、基板ケース30’では、下に位置するトレイ10’の支持部12’d及び12’eと基板20の底面20cとの間、及び、当該基板20の上面20bと当該基板20の上に位置するトレイ10’の裏面部との間の両方において、空間が設けられている。従って、基板ケース30’では、基板20における端部20aの面取り部位a1及びa2よりも内側にトレイ10’が接触することにより、基板20の上面20b及び底面20cにキズが付くことを防止することができる。また、トレイ10’においても、第一当接部が設けられているため、基板20の端部20aにトレイ10’(又は、積み重ねられた複数のトレイ10’及び複数の基板20)の重量により、下に位置するトレイ10’の係止部の段差に係止された基板20に対して、端部20aを介して過度に力が加えられることを防止することができる。
【0089】
なお、本実施形態に係る基板ケース30’において、トレイ10’に設けられた支持部は、収納された基板20の底面20cに常に接触して支持しているものではない。支持部は、基板ケース30’を搬送するときに、衝撃によって基板20が撓んだときや、基板20が自重により撓んだとき等に、基板20を裏面から支持するために設けておくことが好ましい。
【0090】
<第三の実施形態に係る基板ケース>
本発明に係る基板ケースは、上記実施形態(第一の実施形態及び第二の実施形態)に限定されない。例えば、一実施形態(第三の実施形態)に係る基板ケースでは、裏面部は、係止凸部13”b、13”d、13”f及び13”hに隣接し、かつ、トレイ10”を水平に配置したときに、裏面部における最も低い面よりも高く、裏面部の最も高い面よりも低い位置において、別のトレイ10”の表面部における最も高い面の一部a〜hに当接することができる第二当接部18a〜18hを備えている構成である。
【0091】
これにより、複数のトレイ10”を平行に180°ずつ向きを変えて積み重ねたときに、各トレイ10”の表面部と裏面部との間において、基板20を保持する領域に十分な空間を得ることができる。
【0092】
図9の(a)に示すように、トレイ10”は、表面部に、段差を有する係止部11”a〜11”dと、複数の凹部rを備えた支持部12fと、係止凹部13”a、13”c、13”e及び13”hとを備えている。トレイ10”は、その裏面部に、係止凸部13”b、13”d、13”f及び13”hと、第二当接部18a〜18gを備えている。また、トレイ”10は、その側面部に、第一の実施形態にかかるトレイ10と同様に、嵌合部14a〜14nを有しており、各嵌合部は、第三当接部を備えている。
【0093】
なお、トレイ10”が備えている嵌合部及び第三当接部の形状及び機能は第一の実施形態に係るトレイ10が備えている嵌合部及び第三当接部と同じであるため、その説明を省略する。
【0094】
図9の(b)は、
図9の(a)におけるトレイ10”のE−E’矢視線断面図である。
図9の(b)に示すように、トレイ10”では、E−E’矢視線断面において、係止部11”aの段差と係止部11”cの段差とが互いに対向しており、支持部12fから離れるほどに広がる傾斜を有している。また、
図9の(a)における係止部11”bの段差と係止部11”dの段差と互いに対向している。つまり、係止部11”a〜11d”は、表面部に設けられた段差を、係止凹部13”a、13”c、13”e及び13”gによって切り欠くように形成されている以外は、トレイ10の係止部11a〜11dと同じである。
【0095】
図9の(c)は、
図9の(a)におけるF−F’矢視線断面図である。
図9の(c)に示すように、トレイ10”の表面部には、係止凹部13”a及び13”eが形成されている。また、トレイ10”の裏面部において、係止凹部13”a及び13”eの裏面を突出させるようにして係止凸部13”b及び13”fが形成れている。また、
図9の(a)に示す、トレイ10”の表面部に設けられた係止凹部13”c及び13”gを裏面部において突出させることにより、係止凸部13”d及び13”hが形成されている。
【0096】
係止凹部13”a、13”c、13”e及び13”gは、上面視における形状が略正方形であること、及び、係止凹部13”aと係止凹部13”eとがトレイ10”の中心点を挟んで対称的な形状をしており、係止凹部13”cと係止凹部13”gとがトレイ10”の中心点を挟んで対称的な形状をしていること以外は、トレイ10における係止凹部13a、13c、13e及び13gと機能を有している。
【0097】
同様に、係止凸部13”b、13”d、13”f、13”hも、略正方形であること、及び、係止凸部13”bと係止部凸部13”fとがトレイ10”の中心点を挟んで対称的な形状をしており、係止凸部13”dと係止部凸部13”hとがトレイ10”の中心点を挟んで対称的な形状をしていること以外は、トレイ10における係止凸部13b、13d、13f、13hと同じ機能を有している。
【0098】
〔支持部(第三実施形態)〕
図9の(a)〜(c)に示すように、本実施形態に係るトレイ10”では、複数の凹部rを備えた支持部12fによって、基板20の底面20cを支持する。このような構成によっても、トレイ10”の表面部において、基板20の底面20cを支持する面積を小さくすることができる。
図9の(b)及び(c)に示すように、支持部12fに設けられた凹部rは、トレイ10”の裏面部において突出する凸部を形成しているが、当該凸部は、下に位置する別のトレイ10”の表面部に収納された基板20の上面20bに接触しない。
【0099】
なお、支持部に凹部を設ける場合、凹部の大きさ及び数は、収納する基板の形状等に応じて適宜調整するとよい。
【0100】
〔第二当接部〕
図10を用いて、本実施形態に係るトレイ10”が備えている第二当接部についてより詳細に説明する。
図10の(a)に示すように、第二当接部の夫々は、上面視における略正方形である係止凹部13”a、13”c、13”e及び13”hの夫々において、互いに対向する二辺に隣接するように設けられている。つまり、第二当接部の夫々は、略正方形である係止凸部13”b、13”d、13”f及び13”gの夫々において、互いに対向する二辺に隣接するように設けられているものでもある。ここで、トレイ10”を平行に180°ずつ回転させながら積み重ねたとき、上に位置するトレイ10”における第二当接部の夫々は、下に位置する別のトレイ10”における第二当接部とは互いに重ならず、当該別のトレイ10”の表面部の一部に当接する。
【0101】
図10の(a)は、
図9の(a)におけるトレイ10”のG−G’矢視線断面図と、H−H’矢視線断面図とに基づき、複数のトレイ10”を180°ずつ平行に回転させながら積み重ねたときにおける、第二当接部とトレイ10”の表面部の一部との配置を説明するための概略図である。なお、
図10の(a)に図示されている3つトレイ10”のうち、上から1つ目及び3つ目のトレイ10”は、G−G’矢視線に基づく断面が示されており、上から2つ目のトレイ10”は、G−G’矢視線に基づく断面が示されている。
【0102】
図10の(a)に示すように、3つのトレイ10”を平行に180°ずつ回転させて配置すると、上に位置するトレイ10”の裏面に設けられた第二当接部18gが、真ん中に位置するトレイ10”の表面部の最も高い面に位置し、係止凹部13”gの開口の外周部分の一部dに当接することができるように配置される。ここで、上に位置するトレイ10”における係止凹部13”eの一辺に設けられた第二当接部18eが、真ん中に位置する別のトレイ10”の係止凹部13”aの開口の外周部分の一部hに当接することができるように配置される。また、上に位置するトレイ10”の係止凹部13”eの一辺に設けられた第二当接部18fが、真ん中に位置する別のトレイ10”の係止凹部13”aの開口の外周部分の一部gに当接することができるように配置される。
【0103】
この状態において、真ん中に位置するトレイ10”の裏面に設けられた第二当接部18aが、下に位置するトレイ10”の表面部の最も高い面に位置し、係止凹部13”gの開口の外周部分の一部aに当接することができるように配置される。ここで、真ん中に位置するトレイ10”における係止凹部13”cの一辺に設けられた第二当接部18cが、下に位置する別のトレイ10”の係止凹部13”gの開口の外周部分の一部eに当接することができるように配置される。また、真ん中に位置するトレイ10”の係止凹部13”cの一辺に設けられた第二当接部18dが、真ん中に位置する別のトレイ10”の係止凹部13”aの開口の外周部分の一部fに当接することができるように配置される。
【0104】
図10の(b)は、
図9の(a)におけるトレイ10”のI−I’矢視線断面図と、J−J’矢視線断面図とに基づき、複数のトレイ10”を180°ずつ平行に回転させながら積み重ねたときにおける、第二当接部とトレイ10”の表面部の一部との配置を説明するための概略図である。なお、
図10の(a)に図示されている3つトレイ10”のうち、上から1つ目及び3つ目のトレイ10”は、I−I’矢視線に基づく断面が示されており、上から2つ目のトレイ10”は、J−J’矢視線に基づく断面が示されている。すなわち、
図10の(a)に示すように、3つのトレイ10”を重ねたときにおいて、
図10の(b)に示すように、I−I’矢視線断面及びJ−J’矢視線断面に基づき、複数のトレイ10”は重ねられる。
【0105】
図10の(b)に示すように、3つのトレイ10”を平行に180°ずつ回転させて配置すると、上に位置するトレイ10”の係止凹部13”aの裏面に設けられた第二当接部18aが、真ん中に位置するトレイ10”の表面部の最も高い面に位置し、係止凹部13”eの開口の外周部分の一部aに当接することができるように配置され、第二当接部18bが表面部の一部bに当接することができるように配置される。同様に、上に位置するトレイ10”の係止凹部13”gの裏面に設けられた第二当接部18hが、真ん中に位置するトレイ10”の表面部の最も高い面に位置し、係止凹部13”gの開口の外周部分の一部cに当接することができるように配置され、第二当接部18gが表面部の一部dに当接することができるように配置される。
【0106】
この状態において、真ん中に位置するトレイ10”の係止凹部13”eの裏面に設けられた第二当接部18eが、下に位置するトレイ10”の表面部の最も高い面に位置し、係止凹部13”aの開口の外周部分の一部hに当接することができるように配置される。また、同様に、真ん中に位置するトレイ10”の係止凹部13”cの裏面に設けられた第二当接部18dが、下に位置するトレイ10”の表面部の最も高い面に位置し、係止凹部13”gの開口の外周部分の一部fに当接することができるように配置される。
【0107】
以上のように、第二当接部18a〜18hを配置することにより、トレイ10”を平行に180°ずつ回転させて重ねると、第二当接部18a〜18hを、係止凹部13”a、13”c、13”e、13”gの開口の外周部分に位置し、トレイ10”の表面部において最も高い面の一部a〜gに当接することができる。
【0108】
なお、トレイ10”においても、トレイ10及びトレイ10”の場合と同様に、係止部11”a〜11”dの配置を基板20の大きさに合わせて調整することにより、係止部11”a〜11”dに基板20の端部20aを係止することもできることは言うまでもない。
【0109】
<別の実施形態に係る基板ケース>
本発明に係る基板ケースは、上記の実施形態(第一の実施形態及び第二の実施形態)に限定されない。例えば、収納部に設けられる係止凸部は、互いに対向する二対の凸部に限定されない。
【0110】
収納部の係止凸部は、基板の外周の形状に応じて当該基板の端部を係止するように適宜設計すれば、その配置及び数は限定されない。同様に、収納部の係止部の配置及び数も限定されない。基板ケースを構成する収納部は、その表面部において基板を支持し、別の収納部の裏面部に設けられた係止凸部により基板の端部を係止することで当該基板を保持することができればよく、係止凸部及び係止部の配置及び数は限定されない。
【0111】
従って、基板ケースに収納される基板の外周部の形状も、円形に限定されず、立方体や直方体等であってもよい。収納部は、基板の形状に応じて、適宜、支持部、係止部及び係止凸部の形状及び配置を設計すればよいからである。
【0112】
また、上記実施形態と同様に、下に位置する収納部に対して、上に位置する収納部の向きを変えて積み重ねる構成にする場合、各収納部の表面部に支持された基板の重心点から等間隔に離れた位置であり、基板20の外周端部が配置される位置に係止凸部の傾斜を有する面を設ければよい。例えば、合計3か所に設けられた係止凸部によって基板を係止する構成では、これらの3か所の係止凸部における基板を係止する面は、当該基板の重心点を中心点とし、基板の外周端部が配置される円周上に、120°ごとに角度を変えて配置されていればよい。このように、各収納部を平行に向きを変えながら積み重ねる実施形態において、各係止凸部の傾斜を有する面が、保持される基板の重心点を中心点とし、等間隔に離れ、当該基板の外周の形状に沿うように形成されていれば、収納部に形成される係止凸部の数は、限定されない。
【0113】
さらに別の実施形態に係る基板ケースでは、収納部における支持部の形状は、基板20を保持したときの基板20の重心点を中心とした円状に限定されない。支持部の形状は、支持すべき基板の形状に合わせて、適宜設計すればよく、支持される基板の重心点を中心とした円弧状等に形成されていてもよい。
【0114】
また、さらに別の実施形態に係る基板ケースでは、係止凸部は、基板の上面における外周端部に線接触する傾斜を有している。当該構成によっても、基板の上面における外周端部よりも内側に対して、収納部の裏面部が接触することを防止することができる。このため、基板の上面の外周端部よりも内側にキズが付くことを防止することができる。
【0115】
また、さらに別の実施形態に係る基板ケースでは、収納部の表面部に係止凸部が形成され、収納部の裏面部に段差を有する係止部が形成されている構成であってもよい。収納部において、表面部と裏面部とは相対的な表現にすぎず、上記の構成であっても、基板の端部のみを係止することにより、基板を好適に保持することができることは明らかである。
【0116】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。