特許第6652652号(P6652652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6652652半導体装置の製造方法および基板処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6652652
(24)【登録日】2020年1月27日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/285 20060101AFI20200217BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20200217BHJP
   C23C 16/34 20060101ALI20200217BHJP
   C23C 16/02 20060101ALI20200217BHJP
   C23C 16/08 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   H01L21/285 C
   H01L21/28 A
   H01L21/28 301R
   C23C16/34
   C23C16/02
   C23C16/08
【請求項の数】18
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-541806(P2018-541806)
(86)(22)【出願日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】JP2016078819
(87)【国際公開番号】WO2018061144
(87)【国際公開日】20180405
【審査請求日】2018年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(72)【発明者】
【氏名】小川 有人
(72)【発明者】
【氏名】清野 篤郎
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−223441(JP,A)
【文献】 特開2001−319930(JP,A)
【文献】 特開平05−129231(JP,A)
【文献】 特開平10−189492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/285
C23C 16/02
C23C 16/08
C23C 16/34
H01L 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)絶縁膜が表面に形成された基板に対して、ボラン系ガスもしくはシラン系ガスからなる第1の還元ガスを供給して、前記絶縁膜を還元する工程と、
(B)前記還元された絶縁膜上に、直接、金属元素を含む金属窒化膜を形成する工程であって、前記基板に対して、前記第1の還元ガスを供給し排気する工程と、前記基板に対して、前記金属元素を含む金属含有ガスを供給し排気する工程と、前記基板に対して、窒化ガスを供給し排気する工程と、を順に1回以上行う工程と、
(C)前記金属窒化膜上に、直接、第1の金属層を形成する工程であって、前記基板に対して、前記第1の還元ガスを供給し排気する工程と、前記基板に対して、前記金属含有ガスを供給し排気する工程と、を順に1回以上行う工程と、
(D)前記第1の金属層上に、直接、第2の金属層を形成する工程であって、前記基板に対して、前記第1の還元ガスとは異なる第2の還元ガスと前記金属含有ガスを同時に供給する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記金属窒化膜はバリアメタル膜であって、チタン窒化膜およびタンタル窒化膜以外の金属窒化膜であり、前記チタン窒化膜の抵抗率および前記タンタル窒化膜の抵抗率より低い抵抗率を有する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記金属元素は、タングステン、コバルト、ニッケル、モリブデン、アルミニウム、銅、亜鉛、ルテニウムから選択される請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ボラン系ガスもしくはシラン系ガスは、モノボラン、ジボラン、トリエチルボラン、モノシラン、ジシラン、トリシランから選択される請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2の還元ガスは水素である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記(A)工程では、前記基板に対して前記第1の還元ガスをノンプラズマで供給する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記絶縁膜は、前記金属窒化膜に対してチタン窒化膜やタンタル窒化膜より低い密着性を有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記絶縁膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、ポリシリコン膜から選択される請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1の金属層と前記第2の金属層は、同じ組成を有し、前記第1の金属層と前記第2の金属層により金属膜が形成される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
絶縁膜が形成された基板を処理する処理室と、
前記処理室にボラン系ガスもしくはシラン系ガスを含む第1の還元ガスを供給する第1の還元ガス供給系と、
前記処理室内に、前記第1の還元ガスとは異なる第2の還元ガスとを供給する第2の還元ガス供給系と、
前記処理室内に窒化ガスを供給する窒化ガス供給系と、
前記処理室内に金属含有ガスを供給する原料ガス供給系と、
前記処理室内の雰囲気を排気する排気系と、
(A)前記基板に対して、前記第1の還元ガスを供給して、前記絶縁膜を還元する処理と、
(B)前記還元された絶縁膜上に、直接、金属元素を含む金属窒化膜を形成する処理であって、前記基板に対して、前記第1の還元ガスを供給し排気する処理と、前記基板に対して、前記金属含有ガスを供給し排気する処理と、前記基板に対して、前記窒化ガスを供給し排気する工程と、を順に1回以上行う処理と、
(C)前記金属窒化膜上に、直接、第1の金属層を形成する処理であって、前記基板に対して、前記第1の還元ガスを供給し排気する処理と、前記基板に対して、前記金属含有ガスを供給し排気する処理と、を順に1回以上行う処理と、
(D)前記第1の金属層上に、直接、第2の金属層を形成する処理であって、前記基板に対して、前記第2の還元ガスと前記金属含有ガスを同時に供給する処理と、を実行させるように前記第1の還元ガス供給系と前記第2の還元ガス供給系と前記窒化ガス供給系と前記原料ガス供給系と前記排気系とを制御可能に構成された制御部と、
を有る基板処理装置。
【請求項11】
前記金属窒化膜はバリアメタル膜であって、チタン窒化膜およびタンタル窒化膜以外の金属窒化膜であり、前記チタン窒化膜の抵抗率および前記タンタル窒化膜の抵抗率より低い抵抗率を有する請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記金属元素は、タングステン、コバルト、ニッケル、モリブデン、アルミニウム、銅、亜鉛、ルテニウムから選択される請求項10又は11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記ボラン系ガスもしくはシラン系ガスは、モノボラン、ジボラン、トリエチルボラン、モノシラン、ジシラン、トリシランから選択される請求項10乃至12のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記第2の還元ガスは水素である請求項10乃至13のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記(A)処理では、前記基板に対して前記第1の還元ガスをノンプラズマで供給する様に前記1の還元ガス供給系が構成される請求項10乃至14のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記絶縁膜は、前記金属窒化膜に対してチタン窒化膜やタンタル窒化膜より低い密着性を有する請求項10乃至15のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記絶縁膜は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、シリコン酸炭窒化膜、ポリシリコン膜から選択される請求項10乃至16のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記第1の金属層と前記第2の金属層は、同じ組成を有し、前記第1の金属層と前記第2の金属層により金属膜が形成される請求項10乃至17のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、処理室内の基板に対して処理ガスを供給することで行われる基板処理、例えば成膜処理が行われることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−187104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LSI(Large−Scale Integration)ロジックやメモリの高集積化および高性能化に伴い、バックエンドプロセスにおける配線工程では従来よりも開口部が狭い部分への金属膜の成膜が必要となっている。また、配線工程では低い抵抗率が求められているため、同金属膜にはタングステン(W)含有膜が用いられることが多いが、Si系絶縁膜とW含有膜との密着性は低いため、タンタル窒化膜(TaN膜)やチタン窒化膜(TiN膜)等のバリアメタルがSi系絶縁膜とW含有膜との界面に挿入されることが多い。しかし、TaN膜やTiN膜は抵抗率が高く、かつ、容易に酸化されやすい等の課題がある。
【0005】
本発明の目的は、配線工程において絶縁膜上に金属膜を形成する際、絶縁膜と金属膜であるW含有膜との密着性を向上させるとともに、低い配線抵抗を維持することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、(A)絶縁膜が表面に形成された基板に対して、ボラン系ガスもしくはシラン系ガスからなる第1の還元ガスを供給して、前記絶縁膜を還元する工程と、(B)前記還元された絶縁膜上に、直接、金属元素を含む金属窒化膜を形成する工程であって、 前記基板に対して、前記第1の還元ガスを供給し排気する工程と、 前記基板に対して、前記金属元素を含む金属含有ガスを供給し排気する工程と、 前記基板に対して、窒化ガスを供給し排気する工程と、 を順に1回以上行う工程と、(C)前記金属窒化膜上に、直接、第1の金属層を形成する工程であって、 前記基板に対して、前記第1の還元ガスを供給し排気する工程と、 前記基板に対して、前記金属含有ガスを供給し排気する工程と、 を順に1回以上行う工程と、(D)前記第1の金属層上に、直接、第2の金属層を形成する工程であって、 前記基板に対して、前記第1の還元ガスとは異なる第2の還元ガスと前記金属含有ガスを同時に供給する工程と、を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
W含有膜を形成する前に、絶縁膜が形成された基板に対して還元ガスを照射して絶縁膜を還元することにより、絶縁膜とW含有膜との密着性を向上させることが可能となる。さらに、抵抗率が高いTaN膜やTiN膜等のバリアメタル膜を用いずに金属膜であるW含有膜を形成するため低い配線抵抗を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、サンプルを作成する好適なフローの例を示す図である。
図2図2は、図1のフローで作成したサンプルの概略断面図であって、(a)はSiO膜上へのホトレジスト(PR)の塗布、(b)露光・現像、(c)Wを埋め込む領域以外をレジストにてマスクし、エッチングによりW埋め込み部を開口、(d)レジスト除去・洗浄、(e)SiO膜を還元してバリアメタル/配線膜の成膜、(f)CMPによるWの除去を順に行った各プロセスにおける概略断面図である。
図3図3は、本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
図4図4は、図3のA−A線に沿った概略的な横断面図である。
図5図5は、図3に示す基板処理装置が有するコントローラの構成を示すブロック図である。
図6図6は、本発明の実施形態の成膜処理における好適なガス供給のタイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
半導体装置の一工程として、ロジックやメモリのバックエンドプロセスにおけるコンタクトプラグ向けW膜を形成する際には、次のようなプロセスが考えられる。まず基板上に層間絶縁膜として、例えばSiO膜が形成され、このSiO膜の中に配線としてW膜を形成するために、SiO膜上に、ホトレジスト(PR)を塗布し、露光・現像を行い、Wを埋め込む領域以外をレジストにてマスクし、エッチングによりW埋め込み部を開口する。その後、レジスト除去・洗浄を経てバリアメタル/配線膜の成膜工程が行われる。バリアメタルとしてはタングステン窒化膜(WN膜)を形成し、配線膜としてW膜を形成することが考えられる。しかし、Si系絶縁膜とW含有膜との密着性は低いため、従来は、タンタル窒化膜(TaN膜)やチタン窒化膜(TiN膜)等のバリアメタルがSi系絶縁膜とW含有膜との界面に挿入される場合があった。
【0010】
発明者らは鋭意研究を行い、Si系絶縁膜とW含有膜との密着性が低い原因として、層間絶縁膜であるSi系絶縁膜上には有機物等が付着しており、その上にW含有膜を形成するため膜の密着性が低くなることを見出した。そこで、図1および図2に示すように、上述のSiO膜の中に配線としてW膜を形成する一連のプロセスにおいて、W含有膜を形成する前に、Si系絶縁膜が形成された基板に対して、ボラン系ガスもしくはシラン系ガス等の還元ガスを照射するようにした。すなわち、SiO膜上に、ホトレジスト(PR)を塗布し(図2(a))、露光・現像を行い(図2(b))、Wを埋め込む領域以外をレジストにてマスクし、エッチングによりW埋め込み部を開口する(図2(c))。その後、レジスト除去・洗浄を経て(図2(d))、SiO膜を還元してバリアメタル/配線膜の成膜工程を行い(図2(e))、CMPによりWを除去して(図2(f))、サンプルを作製した。図2(e)が作製したサンプルの断面を示す図である。このようにW含有膜を形成する前に、Si系絶縁膜が形成された基板に対して、ボラン系ガスもしくはシラン系ガス等の還元ガスを照射することにより、Si系絶縁膜の表面に付着した有機物等を除去し、かつ、ホウ素(B)もしくはシリコン(Si)等を付着させることでSi系絶縁膜とW含有膜との密着性を向上させることを考案した。以下に、詳細を説明する。
【0011】
<本発明の一実施形態> 以下、本発明の一実施形態について、図3〜6を参照しながら説明する。基板処理装置10は半導体装置の製造工程において使用される装置の一例として構成されている。
【0012】
(1)基板処理装置の構成 基板処理装置10は、加熱手段(加熱機構、加熱系)としてのヒータ207が設けられた処理炉202を備える。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0013】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応容器(処理容器)を構成するアウタチューブ203が配設されている。アウタチューブ203は、例えば石英(SiO)、炭化シリコン(SiC)などの耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。アウタチューブ203の下方には、アウタチューブ203と同心円状に、マニホールド(インレットフランジ)209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス(SUS)などの金属からなり、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部と、アウタチューブ203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベースに支持されることにより、アウタチューブ203は垂直に据え付けられた状態となる。
【0014】
アウタチューブ203の内側には、反応容器を構成するインナチューブ204が配設されている。インナチューブ204は、例えば石英(SiO)、炭化シリコン(SiC)などの耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。主に、アウタチューブ203と、インナチューブ204と、マニホールド209とにより処理容器(反応容器)が構成されている。処理容器の筒中空部(インナチューブ204の内側)には処理室201が形成されている。
【0015】
処理室201は、基板としてのウエハ200を後述するボート217によって水平姿勢で鉛直方向に多段に配列した状態で収容可能に構成されている。
【0016】
処理室201内には、ノズル410,420,430がマニホールド209の側壁及びインナチューブ204を貫通するように設けられている。ノズル410,430には、ガス供給ラインとしてのガス供給管310,330が、それぞれ接続されている。ノズル420には、ガス供給ラインとしてのガス供給管320a,320bが接続されている。このように、基板処理装置10には3本のノズル410,420,430と、4本のガス供給管310,320a,320b,330とが設けられており、処理室201内へ複数種類のガスを供給することができるように構成されている。ただし、本実施形態の処理炉202は上述の形態に限定されない。
【0017】
ガス供給管310,320a,320b,330には上流側から順に流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)312,322a,320b,332がそれぞれ設けられている。また、ガス供給管310,320,330には、開閉弁であるバルブ314,324a,320b,334がそれぞれ設けられている。ガス供給管310,320a,320b,330のバルブ314,324a,320b,334の下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管510,520,530がそれぞれ接続されている。ガス供給管510,520,530には、上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるMFC512,522,532及び開閉弁であるバルブ514,524,534がそれぞれ設けられている。
【0018】
ガス供給管310,330の先端部にはノズル410,430がそれぞれ連結接続されている。ノズル420は、ガス供給管320aとガス供給管320bとが接続された後に連結接続されている。ノズル410,420,430は、L字型のノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド209の側壁及びインナチューブ204を貫通するように設けられている。ノズル410,420,430の垂直部は、インナチューブ204の径方向外向きに突出し、かつ鉛直方向に延在するように形成されているチャンネル形状(溝形状)の予備室201aの内部に設けられており、予備室201a内にてインナチューブ204の内壁に沿って上方(ウエハ200の配列方向上方)に向かって設けられている。
【0019】
ノズル410,420,430は、処理室201の下部領域から処理室201の上部領域まで延在するように設けられており、ウエハ200と対向する位置にそれぞれ複数のガス供給孔410a,420a,430aが設けられている。これにより、ノズル410,420,430のガス供給孔410a,420a,430aからそれぞれウエハ200に処理ガスを供給する。このガス供給孔410a,420a,430aは、インナチューブ204の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれ同一の開口面積を有し、さらに同一の開口ピッチで設けられている。ただし、ガス供給孔410a,420a,430aは上述の形態に限定されない。例えば、インナチューブ204の下部から上部に向かって開口面積を徐々に大きくしてもよい。これにより、ガス供給孔410a,420a,430aから供給されるガスの流量をより均一化することが可能となる。
【0020】
ノズル410,420,430のガス供給孔410a,420a,430aは、後述するボート217の下部から上部までの高さの位置に複数設けられている。そのため、ノズル410,420,430のガス供給孔410a,420a,430aから処理室201内に供給された処理ガスは、ボート217の下部から上部までに収容されたウエハ200、すなわちボート217に収容されたウエハ200の全域に供給される。ノズル410,420,430は、処理室201の下部領域から上部領域まで延在するように設けられていればよいが、ボート217の天井付近まで延在するように設けられていることが好ましい。
【0021】
ガス供給管310からは、処理ガスとして、第1の還元ガスが、MFC312、バルブ314、ノズル410を介して処理室201内に供給される。第1の還元ガスとしては、例えば、ホウ素(B)を含むB含有ガスであるボラン系ガスや、シリコン(Si)を含むシリコン含有ガスであるシラン系ガスが用いられる。本実施形態では、ボラン系ガスとしてジボラン(B)を用いる例について説明する。
【0022】
ガス供給管320aからは、処理ガスとして、反応ガスがMFC322a、バルブ324a、ノズル420を介して処理室201内に供給される。反応ガスとしては、例えば、窒化ガスとして、窒素(N)を含むN含有ガスであるアンモニア(NH)等が用いられる。
【0023】
ガス供給管320bからは、処理ガスとして、第1の還元ガスとは異なる第2の還元ガスがMFC322b、バルブ324b、ノズル420を介して処理室201内に供給される。第2の還元ガスとしては、例えば、水素原子(H)を含むH含有ガスである水素(H)が用いられる。
【0024】
ガス供給管330からは、処理ガスとして、金属元素およびフッ素(F)を含むフッ素含有金属原料ガス(金属含有フッ化ガスとも称する)が、MFC332、バルブ334、ノズル430を介して処理室201内に供給される。原料としては、金属元素としてのタングステン(W)を含む六フッ化タングステン(WF)が用いられる。
【0025】
ガス供給管510,520,530からは、不活性ガスとして、例えば窒素(N)ガスが、それぞれMFC512,522,532、バルブ514,524,534、ノズル410,420,430を介して処理室201内に供給される。なお、以下、不活性ガスとしてNガスを用いる例について説明するが、不活性ガスとしては、Nガス以外に、例えば、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、キセノン(Xe)ガス等の希ガスを用いてもよい。
【0026】
主に、ガス供給管310,320a,320b,330、MFC312,322a,322b,332、バルブ314,324a,324b,334、ノズル410,420,430により処理ガス供給系が構成されるが、ノズル410,420,430のみを処理ガス供給系と考えてもよい。処理ガス供給系を、単に、ガス供給系と称することもできる。ガス供給管310から第1の還元ガスを流す場合、主に、ガス供給管310,MFC312、バルブ314により第1の還元ガス供給系が構成されるが、ノズル410を第1の還元ガス供給系に含めて考えてもよい。第1の還元ガスとしてボラン系ガスを用いる場合、第1の還元ガス供給系をボラン系ガスと称してもよいし、第2の還元ガスとしてシラン系ガスを用いる場合、第1の還元ガス供給系をシラン系ガス供給系と称してもよい。ガス供給管320aから反応ガスを流す場合、主に、ガス供給管320a,MFC322a、バルブ324aにより反応ガス供給系が構成されるが、ノズル320を反応ガス供給系に含めて考えてもよい。また、反応ガスとして窒化ガスを流す場合、反応ガス供給系を窒化ガス供給系と称してもよい。ガス供給管320bから第2の還元ガスを流す場合、主に、ガス供給管320b,MFC322b、バルブ324bにより第2の還元ガス供給系が構成されるが、ノズル320を第2の還元ガス供給系に含めて考えてもよい。また、第2の還元ガスとしてH含有ガスを流す場合、第2の還元ガス供給系をH含有ガス供給系と称してもよい。ガス供給管330から原料ガスを流す場合、主に、ガス供給管330,MFC332、バルブ334により原料ガス供給系が構成されるが、ノズル430を原料ガス供給系に含めて考えてもよい。原料ガスとして金属含有原料ガスを用いる場合、原料ガス供給系を金属含有原料ガス供給系と称することもできる。また、主に、ガス供給管510,520,530、MFC512,522,532、バルブ514,524,534により不活性ガス供給系が構成される。不活性ガス供給系を、パージガス供給系、希釈ガス供給系、或いは、キャリアガス供給系と称することもできる。
【0027】
本実施形態におけるガス供給の方法は、インナチューブ204の内壁と、複数枚のウエハ200の端部とで定義される円環状の縦長の空間内、すなわち、円筒状の空間内の予備室201a内に配置したノズル410,420,430を経由してガスを搬送している。そして、ノズル410,420,430のウエハと対向する位置に設けられた複数のガス供給孔410a,420a,430aからインナチューブ204内にガスを噴出させている。より詳細には、ノズル410のガス供給孔410a、ノズル420のガス供給孔420a及びノズル430のガス供給孔430aにより、ウエハ200の表面と平行方向、すなわち水平方向に向かって原料ガス等を噴出させている。
【0028】
排気孔(排気口)204aは、インナチューブ204の側壁であってノズル410,420,430に対向した位置、すなわち予備室201aとは180度反対側の位置に形成された貫通孔であり、例えば、鉛直方向に細長く開設されたスリット状の貫通孔である。そのため、ノズル410,420,430のガス供給孔410a,420a,430aから処理室201内に供給され、ウエハ200の表面上を流れたガス、すなわち、残留するガス(残ガス)は、排気孔204aを介してインナチューブ204とアウタチューブ203との間に形成された隙間からなる排気路206内に流れる。そして、排気路206内へと流れたガスは、排気管231内に流れ、処理炉202外へと排出される。
【0029】
排気孔204aは、複数のウエハ200と対向する位置(好ましくはボート217の上部から下部と対向する位置)に設けられており、ガス供給孔410a、420a、430aから処理室201内のウエハ200の近傍に供給されたガスは、水平方向、すなわちウエハ200の表面と平行方向に向かって流れた後、排気孔204aを介して排気路206内へと流れる。すなわち、処理室201に残留するガスは、排気孔204aを介してウエハ200の主面に対して平行に排気される。なお、排気孔204aはスリット状の貫通孔として構成される場合に限らず、複数個の孔により構成されていてもよい。
【0030】
マニホールド209には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、上流側から順に、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245,APC(Auto Pressure Controller)バルブ243,真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ243は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気及び真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができる。主に、排気孔204a,排気路206,排気管231,APCバルブ243及び圧力センサ245により、排気系すなわち排気ラインが構成される。なお、真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0031】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端に鉛直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。シールキャップ219における処理室201の反対側には、ウエハ200を収容するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、アウタチューブ203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって鉛直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201内外に搬入及び搬出することが可能なように構成されている。ボートエレベータ115は、ボート217及びボート217に収容されたウエハ200を、処理室201内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
【0032】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25〜200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で鉛直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる断熱板218が水平姿勢で多段(図示せず)に支持されている。この構成により、ヒータ207からの熱がシールキャップ219側に伝わりにくくなっている。ただし、本実施形態は上述の形態に限定されない。例えば、ボート217の下部に断熱板218を設けずに、石英やSiC等の耐熱性材料からなる筒状の部材として構成された断熱筒を設けてもよい。
【0033】
図2に示すように、インナチューブ204内には温度検出器としての温度センサ263が設置されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電量を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、ノズル410,420及び430と同様にL字型に構成されており、インナチューブ204の内壁に沿って設けられている。
【0034】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a,RAM(Random Access Memory)121b,記憶装置121c,I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b,記憶装置121c,I/Oポート121dは、内部バスを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0035】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラム、後述する半導体装置の製造方法の手順や条件などが記載されたプロセスレシピなどが、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する半導体装置の製造方法における各工程(各ステップ)をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピ、制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、プロセスレシピ及び制御プログラムの組み合わせを含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0036】
I/Oポート121dは、上述のMFC312,322a,322b,332,512,522,532、バルブ314,324a,324b,334,514,524,534、圧力センサ245、APCバルブ243、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
【0037】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピ等を読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC312,322a,322b,332,512,522,532による各種ガスの流量調整動作、バルブ314,324a,324b,334,514,524,534の開閉動作、APCバルブ243の開閉動作及びAPCバルブ243による圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動及び停止、回転機構267によるボート217の回転及び回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、ボート217へのウエハ200の収容動作等を制御するように構成されている。
【0038】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0039】
(2)基板処理工程(成膜工程) 半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、本実施形態の一例について、図6を用いて説明する。後述の各工程は、上述した基板処理装置10の処理炉202を用いて実行される。以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0040】
本実施形態による基板処理工程(半導体装置の製造工程)では、(A)SiO膜が表面に形成されたウエハ200に対して、Bガスを供給して、SiO膜を還元する工程と、(B)還元されたSiO膜上に、直接、W元素を含むWN膜を形成する工程であって、 ウエハ200に対して、Bガスを供給し排気する工程と、 ウエハ200に対して、W元素を含むWFガスを供給し排気する工程と、 ウエハ200に対して、NHガスを供給し排気する工程と、 を順に1回以上行う工程と、(C)WN膜上に、直接、第1のW層を形成する工程であって、 ウエハ200に対して、Bガスを供給し排気する工程と、 ウエハ200に対して、WFガスを供給し排気する工程と、 を順に1回以上行う工程と、(D)W核層上に、直接、第2のW層を形成する工程であって、 ウエハ200に対して、HガスとWFガスを同時に供給する工程と、を行う。
【0041】
なお、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。なお、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0042】
(ウエハ搬入) 最表面に絶縁膜としてのシリコン酸化膜(SiO膜)が形成された(露出した)複数枚のウエハ200を処理室201内に搬入(ボートロード)する。具体的には、複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、図1に示されているように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入される。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介して反応管203の下端開口を閉塞した状態となる。
【0043】
(圧力調整および温度調整) 処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ243がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0044】
[Bプリフロー工程] 続いて、ウエハ200上に形成されたSiO膜を還元する工程を実行する。
【0045】
バルブ314を開き、ガス供給管310内に第1の還元ガスであるBガスを流す。Bガスは、MFC312により流量調整されノズル410のガス供給孔410aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、絶縁膜が表面に形成されたウエハ200に対してBガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ514を開き、ガス供給管510内にNガス等の不活性ガスを流す。ガス供給管510内を流れたNガスは、MFC512により流量調整され、Bガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。なお、このとき、ノズル420,430内へのB2H6ガスの侵入を防止するために、バルブ524,534を開き、ガス供給管520,530内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管320a,320b,330、ノズル420,430を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0046】
このときAPCバルブ243を調整して、処理室201内の圧力を、例えば1〜3990Paの範囲内の圧力とする。MFC312で制御するBの供給流量は、例えば0.01〜20slmの範囲内の流量とする。MFC512,522,532で制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば0.1〜30slmの範囲内の流量とする。Bガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば0.01〜60秒の範囲内の時間とする。このときヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば100〜350℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。Bガスの供給により、ウエハ200上に形成されたSiO膜が還元される。ウエハ200上に形成されたSiO膜の表面に存在する有機物を除去するとともに、Bを付着させることによりSiO膜と、次に形成するWN膜との密着性を向上させることができる。
【0047】
絶縁膜が還元された後、バルブ314を閉じ、Bガスの供給を停止する。このとき、ウエハ200ウエハ200の最表面には、還元されたSiO膜を含む膜が露出する。すなわち、ウエハ200の表面が還元される。このとき、Bガスをプラズマ励起せず、ノンプラズマで用いるとよい。ノンプラズマでプリフローを行うことにより、SiO膜に対してプラズマダメージを与えることなく、SiO膜を還元することができる。
【0048】
[残留ガス除去工程] Bガスの供給を停止した後、排気管231のAPCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくはSiO膜の還元に寄与した後のBガスを処理室201内から排除する。このときバルブ514,524,534は開いたままとして、Nガスの処理室201内への供給を維持する。Nガスはパージガスとして作用し、処理室201内に残留する未反応もしくはSiO膜の還元に寄与した後のBガスを処理室201内から排除する効果を高めることができる。
【0049】
[タングステン窒化膜(WN膜)形成工程] 続いて、還元されたSiO膜が露出するウエハ200上に、金属窒化膜であるWN膜を形成するステップを実行する。すなわち、SiO膜上に、直接、WN膜を形成する。WN膜はバリアメタル膜として作用する。
【0050】
(Bガス供給 ステップ11) バルブ314を開き、ガス供給管310内に、第1の還元ガスとしてB含有ガスであるBガスを流す。Bガスは、MFC312により流量調整され、ノズル410のガス供給孔410aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このときウエハ200に対して、Bガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ514を開き、ガス供給管510内にNガスを流す。ガス供給管510内を流れたNガスは、MFC512により流量調整される。NガスはBガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ノズル420,430内へのBガスの侵入を防止するために、バルブ524,534を開き、ガス供給管520,530内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管320a,320b,330、ノズル420,430を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0051】
ガスを流すときは、APCバルブ243を調整して、処理室201内の圧力を、例えば10〜3990Paの範囲内の圧力とする。MFC312で制御するBガスの供給流量は、例えば0.01〜20slmの範囲内の流量とする。MFC512,522,532で制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば0.0.01〜30slmの範囲内の流量とする。Bガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば0.01〜60秒の範囲内の時間とする。このときヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば100〜350℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。処理室201内に流しているガスはBガスとNガスのみであり、Bガスの供給により、ウエハ200の最表面が還元される
【0052】
(残留ガス除去 ステップ12) Bガスの供給を所定時間供給した後、バルブ314を閉じて、Bガスの供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは還元に寄与した後のBガスを処理室201内から排除する。このときバルブ514,524,534は開いたままとして、Nガスの処理室201内への供給を維持する。Nガスはパージガスとして作用し、処理室201内に残留する未反応もしくは還元に寄与した後のBガスを処理室201内から排除する効果を高めることができる。
【0053】
(WFガス供給 ステップ13) バルブ334を開き、ガス供給管330内に原料ガスであるWFガスを流す。WFガスは、MFC332により流量調整され、ノズル430のガス供給孔430aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してWFガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ534を開き、ガス供給管530内にNガス等の不活性ガスを流す。ガス供給管530内を流れたNガスは、MFC532により流量調整され、WFガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。なお、このとき、ノズル410,420内へのWFガスの侵入を防止するために、バルブ514,524を開き、ガス供給管510,520内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管310,320a,320b、ノズル410,420を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0054】
このときAPCバルブ243を調整して、処理室201内の圧力を、例えば0.1〜6650Paの範囲内の圧力とする。MFC332で制御するWFガスの供給流量は、例えば0.01〜10slmの範囲内の流量とする。MFC512,522,532で制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば0.1〜30slmの範囲内の流量とする。WFガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば0.01〜600秒の範囲内の時間とする。このときヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えばステップ11と同様の温度となるような温度に設定する。このとき、処理室201内に流しているガスはWFガスとNガスのみである。WFガスの供給により、ウエハ200上に、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚さのW含有層が形成される。
【0055】
(残留ガス除去 ステップ14) W含有層等が形成された後、バルブ334を閉じ、WFガスの供給を停止する。そして、ステップ12と同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくはW含有層形成に寄与した後のWFガスを処理室201内から排除(除去)する。
【0056】
(NHガス供給 ステップ15) 処理室201内の残留ガスを除去した後、バルブ324aを開き、ガス供給管320a内に、反応ガスとしてN含有ガスであるNHガスを流す。NHガスは、MFC322aにより流量調整され、ノズル420のガス供給孔420aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このときウエハ200に対して、NHガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ524を開き、ガス供給管520内にNガスを流す。ガス供給管520内を流れたNガスは、MFC522により流量調整される。NガスはNHガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ノズル410,430内へのNHガスの侵入を防止するために、バルブ514,534を開き、ガス供給管510,530内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管310,330、ノズル410,430を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0057】
NHガスを流すときは、APCバルブ243を調整して、処理室201内の圧力を、例えば0.1〜6650Paの範囲内の圧力とする。MFC322aで制御するNHガスの供給流量は、例えば0.1〜20slmの範囲内の流量とする。MFC512,522,532で制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば0.1〜30slmの範囲内の流量とする。NHガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば0.01〜30秒の範囲内の時間とする。このときのヒータ207の温度は、ステップ11と同様の温度に設定する。
【0058】
このとき処理室201内に流しているガスは、NHガスとNガスのみである。NHガスは、ステップ13でウエハ200上に形成されたW含有層の少なくとも一部と置換反応する。置換反応の際には、W含有層に含まれるWとNHガスに含まれるNとが結合して、ウエハ200上にWとNとを含むWN層が形成される。
【0059】
(残留ガス除去 ステップ16) WN層を形成した後、バルブ324aを閉じて、NHガスの供給を停止する。そして、ステップ12と同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくはWN層の形成に寄与した後のNHガスや反応副生成物を処理室201内から排除(除去)する。
【0060】
(所定回数実施) 上記したステップ11〜16を順に行うサイクルを1回以上(所定回数(n回)行うことにより、ウエハ200上に、所定の厚さ(例えば0.1〜3nm)のバリアメタル膜としての金属窒化膜であるWN膜を形成する。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。このように、WN膜を形成する場合は、BガスとWFガスを互いに混合しないよう(時分割して)交互にウエハ200に対して供給する。
【0061】
[タングステン(W)核層形成工程(NucleationW deposition)] 続いて、WN膜が形成されたウエハ200上に、金属核層であるW核層を形成するステップを実行する。すなわち、WN層の上に、直接、W核層を形成する。
【0062】
(Bガス供給 ステップ21) ステップ11と同様の処理手順および処理条件で、処理室201内にBガスを流す。処理室201内に流しているガスはBガスとNガスのみであり、Bガスの供給により、ウエハ200の最表面が還元される。
【0063】
(残留ガス除去 ステップ22) Bガスの供給を所定時間供給した後、バルブ324aを閉じて、Bガスの供給を停止する。そして、ステップ12と同様の処理手順で処理室201内に残留する未反応もしくは還元に寄与した後のBガスを処理室201内から排除(除去)する。
【0064】
(WFガス供給 ステップ23) ステップ13と同様の処理手順および処理条件で、処理室201内にWFガスを流す。このとき、処理室201内に流しているガスはWFガスとNガスのみである。WFガスの供給により、ウエハ200上に、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚さのW含有層が形成される。
【0065】
(残留ガス除去 ステップ24) W含有層等が形成された後、バルブ334を閉じ、WFガスの供給を停止する。そして、ステップ14と同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくはW含有層形成に寄与した後のWFガスを処理室201内から排除する。
【0066】
(所定回数実施) 上記したステップ21〜24を順に行うサイクルを1回以上(所定回数(n回)行うことにより、ウエハ200上に、所定の厚さ(例えば0.5〜2nm)のW核層としてのW含有層を形成する。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。このように、W核層を形成する場合は、BガスとWFガスを互いに混合しないよう(時分割して)交互にウエハ200に対して供給する。なお、W核層を第1の金属層や第1のW層と称する場合がある。
【0067】
[W層形成工程(W deposition)] 続いて、W核層を核として、金属層であるW層を形成するステップを実行する。すなわち、W核層の上に、直接、W層を形成する。
【0068】
バルブ324b、330を開き、ガス供給管320b,330内にそれぞれHガス、WFガスを流す。ガス供給管320b内を流れたHガスおよびガス供給管330内を流れたWFガスは、MFC322b,330によりそれぞれ流量調整されてノズル420,430のガス供給孔420a,430aからそれぞれ処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してHガスおよびWFガスが供給されることとなる。すなわちウエハ200の表面はHガスおよびWFガスに暴露されることとなる。このとき同時にバルブ514,524を開き、キャリアガス供給管510,520内にそれぞれNガスを流す。キャリアガス供給管510,520内を流れたNガスは、MFC512,522によりそれぞれ流量調整されてHガスもしくはWFガスと一緒にそれぞれ処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ノズル410内へのHガスおよびWFガスの侵入を防止するために、バルブ514を開き、キャリアガス供給管510内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管310,ノズル410を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0069】
このときAPCバルブ243を適正に調整して、処理室201内の圧力を、例えば10〜3990Paの範囲内の圧力とする。MFC322bで制御するHガスの供給流量は、例えば100〜20000sccmの範囲内の流量とし、MFC330で制御するWFガスの供給流量は、例えば10〜1000sccmの範囲内の流量とする。MFC512,522,532で制御するNガスの供給流量は、それぞれ例えば10〜10000sccmの範囲内の流量とする。HガスおよびWFガスをウエハ200に対して供給する時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば1〜1000秒の範囲内の時間とする。このときヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば100〜600℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。処理室201内に流しているガスはHガスおよびWFガスのみであり、WFガスの供給により、ウエハ200の上に形成されたW核層上に、例えば、10〜30nmの厚さのW層が形成される。なお、W層を第2の金属層や第2のW層と称する場合がある。W核層とW層は実質的に同じ組成を有する。
【0070】
[残留ガス除去] W層を形成した後、バルブ324b、330を閉じて、HガスおよびWFガスの供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくはW層形成に寄与した後のWFガスを処理室201内から排除する。このときバルブ514,524,534は開いたままとして、Nガスの処理室201内への供給を維持する。Nガスはパージガスとして作用し、処理室201内に残留する未反応もしくはW層形成に寄与した後のWFガスを処理室201内から排除する効果を高めることができる。
【0071】
(アフターパージおよび大気圧復帰) ガス供給管510,520,530のそれぞれからNガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するガスや副生成物が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0072】
(ウエハ搬出) その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、反応管203の下端が開口される。そして、処理済ウエハ200がボート217に支持された状態で反応管203の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済のウエハ200は、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0073】
(3)本実施形態による効果 本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を得ることができる。(a)絶縁膜が形成された基板に対して、W含有膜としてのWN膜を形成する前に、ボラン系ガスもしくはシラン系ガス等の還元ガスを照射することにより、絶縁膜の表面を還元し、絶縁膜とWN膜との密着性を向上させることができる。(b)絶縁膜が形成された基板に対して、W含有膜としてのWN膜を形成する前に、ボラン系ガスもしくはシラン系ガス等の還元ガスを照射することにより、絶縁膜の表面に付着した有機物等を除去し、かつ、BもしくはS)等を付着させることで絶縁膜とWN膜との密着性を向上させることができる。(c)基板に形成された絶縁膜の上に、直接、WN膜をバリアメタル膜として形成することができるため、TaN膜やTiN膜をバリアメタル膜として用いる場合と比較して、低い配線抵抗を維持(達成)することができる。(d)金属配線としてのW膜を形成する際、W核層を形成した後に、W核層を核としてW層を形成させるため、膜特性の良好なW膜を形成することができる。
【0074】
上述の実施形態では、Bプリフロー工程でBガスを連続的に供給する例(すなわちBプリフローを1サイクル行う例)について説明した。本発明はこれに限らず、例えば、Bプリフロー工程とその後の残留ガス除去工程とを複数回交互に繰り返してもよい。
【0075】
また、上述の実施形態では、W層形成工程でHガスおよびWFガスを連続的に供給する例について説明した。本発明はこれに限らず、例えば、HガスおよびWFガスを供給する工程と、その後の残留ガス除去工程とを複数回交互に繰り返してもよい。すなわち、HガスおよびWFガスを互いに混合しないよう(時分割して)交互にウエハ200へ供給してもよい。
【0076】
また、上述の実施形態では、絶縁膜としてSiO膜が基板上に形成されている例について説明したが、これに限らず、例えば、シリコン窒化膜(SiN膜)、シリコン酸窒化膜(SiON膜)、シリコン酸炭窒化膜(SiOCN膜)、ポリシリコン膜(Poly−Si膜)が形成された基板にたいしても適用可能である。
【0077】
また、上述の実施形態では、絶縁膜を還元する第1の還元ガスとしてBを用いる例について説明したが、これに限らず、モノボラン(BH)、トリエチルボラン((CHCHB、TEB)等のボラン系ガスを用いてもよい。また、モノシラン(SiH)、ジシラン(Si)、トリシラン(Si)等のシラン系ガスを用いてもよい。
【0078】
また、上述の実施形態では、窒化ガスとしてNHを用いる例について説明したが、これに限らず、例えば、窒素(N)、亜酸化窒素(NO)、ジアゼン(N)ガス、ヒドラジン(N)ガス、Nガス、モノメチルヒドラジン(CH)、ジメチルヒドラジン(C)、モノメチルアミン((CH)NH)、ジメチルアミン((CHNH)、トリメチルアミン((CHN)、モノエチルアミン(CHCHNH)、ジエチルアミン((CNH)、トリエチルアミン((CN)等を用いることも可能である。
【0079】
また、上述の実施形態では、第2の還元ガスとしてH含有ガスとしてのHガスを用いる例について説明したが、Hガスの代わりに、他元素非含有のH含有ガスである重水素(D)ガス等を用いることも可能である。
【0080】
また、上述の実施形態では、金属元素として、Wを用いる例について説明したが、これに限らずチタン(Ti)、タンタル(Ta)、コバルト(Co)、イットリウム(Y)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)等を用いることも可能である。
【0081】
また、上述の実施形態では、金属膜として、WFを用いてW膜を形成する例について説明したが、これに限らず、四フッ化チタン(TiF)を用いて形成するTi膜、五フッ化タンタル(TaF)を用いて形成するTa膜、二フッ化コバルト(CoF)を用いて形成するCo膜、三フッ化イットリウム(YF)を用いて形成するY膜、三フッ化ルテニウム(RuF)を用いて形成するRu膜、三フッ化アルミニウム(AlF)を用いて形成するAl膜、五フッ化モリブデン(MoF)を用いて形成するMo膜、三フッ化ニオブ(NbF)を用いて形成するNb膜、二フッ化マンガン(MnF)を用いて形成するMn膜、二フッ化ニッケル(NiF)を用いて形成するNi膜、等を用いることも可能である。
【0082】
また、上述の実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の縦型装置である基板処理装置であって、1つの反応管内に処理ガスを供給するノズルが立設され、反応管の下部に排気口が設けられた構造を有する処理炉を用いて成膜する例について説明したが、他の構造を有する処理炉を用いて成膜する場合にも本発明を適用可能である。また、処理ガスはインナチューブ内に立設されたノズルから供給されるのではなく、インナチューブの側壁に開口するガス供給口から供給されるようにしてもよい。このとき、アウタチューブに開口する排気口は、処理室内に積層して収容された複数枚の基板が存在する高さに応じて開口していてもよい。また、排気口の形状は穴形状であってもよいし、スリット形状であってもよい。
【0083】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の実施形態と同様なシーケンス、処理条件にて成膜を行うことができる。
【0084】
これらの各種薄膜の形成に用いられるプロセスレシピ(処理手順や処理条件等が記載されたプログラム)は、基板処理の内容(形成する薄膜の膜種、組成比、膜質、膜厚、処理手順、処理条件等)に応じて、それぞれ個別に用意する(複数用意する)ことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理の内容に応じて、複数のプロセスレシピの中から、適正なプロセスレシピを適宜選択することが好ましい。具体的には、基板処理の内容に応じて個別に用意された複数のプロセスレシピを、電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体(外部記憶装置123)を介して、基板処理装置が備える記憶装置121c内に予め格納(インストール)しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理装置が備えるCPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のプロセスレシピの中から、基板処理の内容に応じて、適正なプロセスレシピを適宜選択することが好ましい。このように構成することで、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の薄膜を汎用的に、かつ、再現性よく形成できるようになる。また、オペレータの操作負担(処理手順や処理条件等の入力負担等)を低減でき、操作ミスを回避しつつ、基板処理を迅速に開始できるようになる。
【0085】
また、本発明は、例えば、既存の基板処理装置のプロセスレシピを変更することでも実現できる。プロセスレシピを変更する場合は、本発明に係るプロセスレシピを電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体を介して既存の基板処理装置にインストールしたり、また、既存の基板処理装置の入出力装置を操作し、そのプロセスレシピ自体を本発明に係るプロセスレシピに変更したりすることも可能である。
【符号の説明】
【0086】
10 基板処理装置121 コントローラ200 ウエハ(基板)201 処理室
図1
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図6