(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、全体を通して、各図における同一の機能を有する各構成部分については原則として同一の符号を付すようにし、説明を省略することがある。
【0018】
〈装置の全体構成〉
図1に、本実施の形態に係る自動分析装置の基本構成を示す。ここでは、自動分析装置の一態様として血液凝固分析を行う装置の例について説明する。本図に示すように、自動分析装置100は、主として、サンプルディスク102、試薬ディスク104、サンプル分注機構106、試薬分注機構107、サンプル分注ポート108、分析ポート109、反応容器供給部110、第1の遮光機構117、第2の遮光機構118、反応容器移載機構113、および制御部114等から構成される。
【0019】
サンプルディスク102は、時計回り、反時計回りに回転自在なディスク状のユニットであって、標準サンプルや被検サンプル等のサンプルを収容するサンプル容器(試料容器)101をその円周上に複数個配置することができる。
【0020】
試薬ディスク104は、サンプルディスク102と同様に、時計回り、反時計回りに回転自在なディスク状のユニットであって、サンプルに含まれる各検査項目の成分と反応する成分を含有する試薬を収容する試薬容器103をその円周上に複数個配置できる。また、本図には示していないが、試薬ディスク104では、保冷機構等を備えることにより、配置された試薬容器103内の試薬を保冷可能に構成することもできる。
【0021】
反応容器移載機構113は、分析に使用する反応容器105を反応容器供給部110からサンプル分注ポート108に移送し、搬入する。また、サンプルが分注された後の反応容器105を、サンプル分注ポート108から搬出し、分析ポート109に移送、搬入する。分析終了後は、分析ポート109内の反応容器105を搬出し、反応容器廃棄部112へ移送する。
【0022】
サンプル分注機構106は、サンプルディスク102に保持されたサンプル容器101内のサンプルを吸引して、サンプル分注ポート108に設置された反応容器105内へのサンプルの分注を行う。ここで、サンプル分注機構106の動作は、図示しないサンプル用シリンジポンプの動作に伴って、制御部114の指示に基づいて制御される。
【0023】
試薬分注機構107は、試薬ディスク104に保持された試薬容器103内の試薬を吸引して、分析ポート109に設置された、サンプルが分注された反応容器105内に分注を行う。ここで、試薬分注機構107の動作は、図示しない試薬用シリンジポンプの動作に伴って、制御部114の指示に基づいて制御される。
【0024】
洗浄機構111では、サンプル分注機構106、試薬分注機構107の洗浄を行う。
【0025】
また、全体を通して、制御部114は、サンプルディスク102、試薬ディスク104、第1の遮光機構117および第2の遮光機構118の開閉動作、サンプル分注機構106、試薬分注機構107の上下および水平動作や、図示しないサンプル用シリンジポンプ、試薬用シリンジポンプの動作、洗浄機構111における図示しない洗浄水の供給動作、分析ポート109aの光源115および受光部116の動作、検出結果に基づく血液凝固時間や目的成分の濃度の演算などのデータ処理動作等、自動分析装置100を構成する種々の構成の動作や条件設定等の制御を実施する。なお、本図において制御部114は各々の構成部に接続され、自動分析装置の全体を制御するものとしたが、構成部ごとに各々独立した制御部を備えるように構成することもできる。
【0026】
〈分析ポートの構成〉
図2は、本実施の形態に係る自動分析装置における分析ユニットの各分析ポートの基本構成を示す断面図である。分析ポート109には反応容器105を設置するための溝が設けられている。
図1に示したように、本実施の形態に係る自動分析装置の分析ユニット109では、分析ポート109aが複数設けられている。
【0027】
よって、反応容器105をそれぞれの分析ポート109aに設置することができ、複数のサンプルの分析を同時に行うことができる。なお、
図1では、分析ユニット109において複数の分析ポート109aが一列に配置された構成について説明したが、これに限られるものではなく、例えば、試薬分注機構107や反応容器移載機構113が、上述のような水平移動ではなく、回転移動する構成の場合は、円形のディスク状の分析ユニット109の円周に沿って複数の分析ポート109aを備えるなど、他の機構の構成や動作に合わせて種々の分析ユニット109の構成に適用することができる。
【0028】
分析ポート109aは、収容される1つの反応容器105に対して、光源115と、受光部(検出器)116とをそれぞれ備えている。なお、
図2では、1つの反応容器105に1つの光源115と2つの受光部116を備えた構成について示しているが、これに限られるものではない。例えば、分析条件等に応じて、1つの反応容器105に対して受光部116の数を1つにすることもできるし、あるいは3つ以上にすることもできる。同様に、光源115の数を2つ以上にすることもできるし、あるいは複数の反応容器105に対して、光源115を1つにするなど、必要に応じて種々の構成に適用することができる。
【0029】
本図に示すように、光源115は分析ポート109aに保持される反応容器105の下方に設置され、受光部116は、分析ポート109aに保持される反応容器105の側面側に、反応液704(サンプルと試薬との混合液をいう。)が全量収容された状態の液面の高さよりも下方の高さとなるように設置されている。分析ポート109aに設置された反応容器105中の反応液704には光源115からの光が下方から照射され、反応液中で生じた反応によって産生された析出物により、散乱される。析出物が増加するとこのように散乱される光も増加するため、この散乱光を受光部(検出器)116で検出することによって析出物の量を求めることができる。
【0030】
例えば血液凝固検査項目では、サンプルと試薬とが反応すると、時間の経過とともにフィブリンが析出する。そして、このフィブリンの析出に伴って散乱される光量も増加する。この光量を検出することで、サンプル中のフィブリノーゲン量(Fbg)を求めることができる。また、各々の検査項目に対応する試薬を用いて同様に光量を監視することで、プロトロンビン時間(PT)や活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)等の他の血液凝固検査項目を分析することもできる。例えば、本図に示すように、光源115を分析ポート109aに設置された反応容器105の下部に配置し、受光部(検出器)116は光源115の光軸に対して90°になるよう対面に2つ配置した場合、収容された反応容器
105の下部の光源115から照射された光は、反応液中のフィブリンの析出によって散乱され、この散乱光量はフィブリンの析出が増加するに伴って増加し、受光部(検出器)116に検出される。
【0031】
<分析ユニット>
図3は、本実施の形態に係る遮光機構を備えた分析ユニットの基本構成を示す斜視図である。上述の通り、本実施の形態に係る分析ユニット109は、複数の分析ポート109aから構成される。ここで、分析ユニット109は、収容された反応容器105の上方に第1の遮光機構117と第2の遮光機構118とを有する。
【0032】
第1の遮光機構117は、開閉を行うための駆動部(本図には示していない)を備えており、
図1に示した制御部114の指示に基づいて、図中117a、117bの方向に移動することによって開閉動作を行う。すなわち、第1の遮光機構117が紙面の奥側の方向117aへ移動することによって分析ユニット109における各分析ポート109aを開口する。また、第1の遮光機構
117が紙面の手前側の方向117bへ移動することによって分析ユニット109における各分析ポート109aを遮光する。
【0033】
第2の遮光機構118は、第1の遮光機構117と分析ユニット109との間に設置されている。第2の遮光機構118には、任意の位置の分析ポート109aに対して分注機構等の機構がアクセスできるように開口部1181が設けられている。ここで、開口部1181の大きさは、サンプル分注機構106や、試薬分注機構107、反応容器移載機構113等の機構がアクセスする際に干渉が無く、隣接する位置の分析ポート109aに収容される反応容器105が上方から見て隠れるサイズに設定されている。例えば、一例として、反応容器の直径が約7mm、各分析ポート109aの間隔が約18mmであるとき、開口部1181の直径は7mm以上29mm以下であれば良い。ただし、開口部の直径は小さければ小さいほど外乱光の影響を小さくすることができるため、機構が分析ポート109aにアクセスする際に必要な最小限の直径とすることが望ましい。
【0034】
第2の遮光機構118は開口部の位置を移動するための駆動部(本図には示していない)を備えており、制御部114の指示に基づいて複数の分析ポート109aの反応容器105が配列されている方向に沿った方向、すなわち図中118a、118bの方向に動作する。すなわち、本図に示した構成の例では、第2の遮光機構118が図中右方向118aへ移動すると、開口部1181は分析ポート109aのNo.2の位置からNo.1の位置へ移動する。また、第2の遮光機構118が図中左方向118bへ移動すると、開口部1181は分析ポート109aのNo.2の位置から、No.3あるいはNo.4の位置へ移動する。なお、本図においては第2の遮光機構118の開口部1181が1箇所設けられている構成について示したが、これに限られるものではなく、分析条件に応じて2箇所とするなど、種々の構成に適用することができる。
【0035】
第2の遮光機構118が開口部1181を2箇所備える構成については、第2の実施の形態にて後述する。
【0036】
<遮光機構の動作>
図4は、本実施の形態に係る分析ユニットにおける試薬分注時の遮光機構の構成を説明する断面図である。本図において、分析ポート109aのNo.2の位置に配置された反応容器105に対し、試薬分注機構107が試薬の吐出動作を開始しようとしている。本図に示すように、分析ポート109aのNo.2の位置に配置された反応容器105に対して、試薬分注機構107が試薬を吐出する際には、第1の遮光機構は分析ユニット109に対して紙面奥側の方向に移動し、分析ユニット109の各分析ポート109aが開口した状態にする必要がある。
【0037】
ここで、
図8は、分析ポートを複数備えた従来の分析ユニットの構成を示す断面図である。すなわち、本実施の形態に係る第1の遮光機構117、第2の遮光機構118を備えておらず、分析ユニット109における全ての分析ポート109aが開口している様子を示す。
【0038】
サンプルと試薬との混合液に濁度がある場合、外乱光が分析中の分析ポート109aに入射すると、入射した光は散乱され、受光部(検出器)116に入光し、測光データを乱す原因となる。例えば、外乱光のひとつとして、分析ポート109aの光源115からの光を用いて説明する。本図に示すように、分析ポート109aの光源115から、反応液704が収容された反応容器105に対して入射された光401は、反応容器105の上方に位置する試薬分注動作中の試薬分注機構107にぶつかって反射する。その結果、生じた反射光402は、隣接する、測光動作中の分析ポート109aのNo.3の方向へ入射し、この位置の
分析ポート109aにおける図示しない受光部(検出器)116に検出され、ノイズとなる。またここで、分析ユニット109における全ての分析ポート109aの遮光または開口を担う遮光機構(本実施の形態の第1の遮光機構に相当)を備えたとしても、この構成においては、いずれかの分析ポート109aに対して試薬分注機構107がアクセスする際には、全ての分析ポート
109aを開口しなければならないこととなるため、やはり、試薬分注機構107にぶつかって生じた反射光402が、測光動作中の分析ポート109aの位置の方向へ進入し、ノイズの原因となる。さらに、このとき、ノイズの影響を抑えるために、機構がアクセスする対象となる分析ポート109aの光源をOFFにするということも考えられる。しかしながら、熱や電流の変動等によって、光源をONにした直後の光量の変動が大きくなるため、特に血液凝固分析装置のように、サンプルへの試薬の吐出直後から測定を開始する分析条件の場合には適さない。
【0039】
ここで
図4に戻り、上述した従来の構成に対して、本実施の形態に係る遮光機構を備えた分析ユニット109においては、試薬分注機構107にぶつかることで生じた反射光402に対して、第2の遮光機構118がブロックする役割を担うため、隣接する分析ポート109aのNo.3の測光動作に影響することがない。また、反射光402の進行方向が本図に示した方向と異なっていたとしても、分析ポート109aのNo.2以外の任意の位置に対する反射光の進入を防ぐことができる。
【0040】
そして、分析ポート109aのNo.2の位置においては、試薬分注機構107は第2の遮光機構118の開口部1181を通して反応容器105にアクセスし、試薬を吐出することができる。
【0041】
なお、上述の構成では、一例として試薬分注機構107が反応容器105にアクセスしている場合について説明したが、これに代えて、サンプル分注機構106や反応容器移載機構113がアクセスする態様においても同様の効果を得ることができる。また、上述した例では第1の遮光機構117の下方に開口部を備えた第2の遮光機構118が配置された構成について説明しているが、第2の遮光機構118の下方に第1の遮光機構117を設けることも可能である。この場合にも、同様の効果を得ることができるが、後述するように遮光できる範囲は小さくなる。
【0042】
ここで、
図13を用いて第1、第2の遮光機構の配置と遮光範囲との関係について説明する。
図13(a)は第1の遮光機構117の下方に開口部を備えた第2の遮光機構118が配置された構成であって、
図2に示した構成と同様の配置である。
図13(b)は開口部を備えた第2の遮光機構118の下方に第1の遮光機構117が配置された構成である。このとき、第1の遮光機構117は、開放された状態であるものとする。ここで、開口部の半径をr、受光位置から下側シャッターまでの距離をh、下側シャッターから上側シャッターまでの距離をΔhとする。迷光の原因となる迷光源が受光位置からHの距離にあるとした場合、
図13(a)では迷光源による照射範囲R
aは(H×r)/(H−h)となる。
図13(b)では迷光源による照射範囲R
bは(H×r)/(H−(h+Δh))となる。これによりR
a<R
bとなる。すなわち、(a)の構成の方が遮光できる範囲が広くなる。
【0043】
なお、ポート間の距離がRよりも大きければ迷光源による光の進入を防ぐことができる。
【0044】
〈遮光機構の動作〉
続いて、本実施の形態に係る自動分析装置の各機構、特に遮光機構の動作の例についてより詳細に説明する。
【0045】
まず、
図1を用いて、サンプル分注動作について説明する。反応容器105に対するサンプル分注の動作の際には、自動分析装置100における反応容器移載機構113が、反応容器供給部110に配置された反応容器105を把持し、サンプル分注ポート108へ搬送し設置する。サンプル分注機構106がサンプルディスク102に設置されたサンプル容器101上に移動し、サンプル容器101内に収容されたサンプルを吸引する。サンプルの吸引後、サンプル分注機構106はサンプル分注ポート108に設置された反応容器105上に移動し、サンプルを吐出することによって分注を行う。次に、反応容器移載機構113がサンプル分注後の反応容器105を把持し、分析ユニット109に設置する。
【0046】
次に、
図5A、
図5Bを用いて分析ユニット109における試薬分注時の第1の遮光機構117と第2の遮光機構118の動作について説明する。
図5Aは、本実施の形態に係る分析ユニットにおける試薬分注時の遮光機構の動作を説明する上面図である。また、
図5Bは、本実施の形態に係る分析ユニットにおける試薬分注時の遮光機構の動作を説明するフローチャートである。ここで、本形態では試薬分注時について説明するが、分析ポート109aへの反応容器105の設置時や、廃棄のための回収時等、その他の機構がアクセスする場合にも同様に適用することができる。サンプル分注、試薬分注時に本実施の形態に係る遮光機構を用いた場合には、上述した外部からの光を遮光することに加えて、分注による飛び散りに起因する測定結果への影響も低減することができる。なお、上述の通り、第1、第2の遮光機構117、118、試薬分注機構107等の動作は、制御部114により制御される。
【0047】
図5(a)は第1の遮光機構117が閉じた状態であり、第2の遮光機構118の開口部1181は分析ポート109aのNo.1に位置するように、第2の遮光機構118を移動した後の様子である。ここで、動作としてはまず、第1の遮光機構117を、全ての分析ポートを閉じた状態とするように移動し(ステップ501)、試薬分注機構107等の他の機構がアクセスする対象である所定の分析ポート109aの位置であるNo.1に、開口部1181が位置するように第2の遮光機構118を移動する(ステップ502)。
【0048】
次に、第1の遮光機構117が図中117aの方向へ移動すると(ステップ503)、
図5(b)のように、第2の遮光機構118のみが分析ユニット109上に位置した状態となる。ここで、
図5(b)の状態では分析ポート109aのNo.1のみが開口部1181を介して露出しており、他は全て遮光されている状態となる。よって、分析ポート109aのNo.1以外の分析ポート109aが分析のために測光中であっても、分析ポート109aのNo.1の光源115からの光が試薬分注機構107等の他の機構にぶつかって反射した光等の外乱光を受光部(検出器)116に入射させることなくアクセスし、開口部1181から反応容器105に対して試薬の吐出動作等を実行することなどができる。
【0049】
分析ポート109aのNo.1へのアクセス、及び試薬分注等の各種の動作(ステップ504)が終了した後、第1の遮光機構117は分析ユニット109の全ての分析ポート109aを遮光するように図中117bの方向へ移動し(ステップ505)、
図5(c)の状態となる。
【0050】
続いて、次に機構がアクセスする対象となる分析ポート109aがあるかどうかを判断し(ステップ506)、ここで例えば分析ポート109aのNo.2の位置における反応容器105に試薬を分注する場合には、
図5(c)の状態から、第2の遮光機構118が図中118bの方向に移動し、
図5(d)に示すように第2の遮光機構118の開口部1181が分析ポート109aのNo.2の位置となる。ここで、本形態では、先に分析ポート109aのNo.1の位置に機構がアクセスしたのちに、次の機構がアクセスする対象となる分析ポート109aのNo.2の位置へ移動する場合、すなわち第2の遮光機構118が図中118bの方向に移動する場合について説明しているが、先に機構がアクセスした分析ポート109aの位置と、次にアクセスする対象となる分析ポート109aの位置との位置関係によっては、図中118aの方向に第2の遮光機構118が移動することがある。
【0051】
その後、第1の遮光機構117が図中117aの方向に移動することで、
図5(e)の状態となる。
図5(e)の状態において、第2の遮光機構118の開口部1181を介して、分析ポート109aのNo.2の位置に設置された反応容器105にアクセスし、試薬分注等の動作を実行することができる。この際、第2の遮光機構118によって、分析ポート109aのNo.2の位置以外の分析ポート109aには、試薬分注機構107等の機構に反射した光などの外乱光が進入できない。そのため、測光中の分析ポート109aの受光部116への光の入射を防ぐことができる。
【0052】
一方、
図5(c)の後、次に機構がアクセスする対象となる分析ポート109aが無い場合には、ここで本動作を終了する。
【0053】
なお、上述した例では、分析ポート109aのNo.1の位置からから順にアクセスする場合について説明しているが、これに限られるものではない。すなわち、上述の手順に従って、第2の遮光機構118の開口部1181が、各種機構がアクセスする対象である分析ポート109aの位置にくるように制御することにより、使用する分析ポート
109aの順番に依ることなく種々の態様に適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0054】
ここで、本実施の形態に係る分析ユニットにおける分析動作時の動作を説明するタイムチャートを
図14に示す。
【0055】
以上より、複数の分析ポート109aを備えている分析ユニット109において、全ての分析ポート109aを遮光可能な第1の遮光機構117と、開口部を有し、複数の分析ポート109aのうちの一部の分析ポート109aを遮光する第2の遮光機構118を有する構成において、第1の遮光機構117によって全ての分析ポート109aを遮光している状態で、アクセス対象である所定の分析ポート109aの位置に開口部1181を位置づけるように第2の遮光機構118を移動し、第2の遮光機構118の移動後、第1の遮光機構117による遮光を外すように、第1の遮光機構を移動することにより、分析中の分析ポート109aへの外乱光の入射を抑制し、かつ、任意の分析ポート109aに各種機構がアクセスすることを可能とする。
【0056】
第1の実施の形態では、第2の遮光機構118が、開口部1181を1つ備えた構成について説明した。ここで、本実施の形態では、第2の遮光機構118が開口部1181を2箇所備える構成について、
図12を用いて説明する。
【0057】
図12は、本実施の形態に係る分析ユニットにおける試薬分注時の遮光機構の動作を説明する上面図である。ここで、第2の遮光機構118は、間隔をあけた2つの開口部1181、1182を備えている。
【0058】
図12(a)は第1の遮光機構117が閉じた状態であり、第2の遮光機構118の開口部1181は、分析ポート109aのNo.1に位置するように、第2の遮光機構118を移動した後の様子である。ここで、第2の遮光機構のもう一方の開口部1182の下方には、いずれの分析ポート109aも位置していない。
【0059】
次に、第1の遮光機構が図中117aの方向へ移動すると、
図12(b)のように、第2の遮光機構118のみが分析ユニット109上に位置した状態となる。ここで、分析ポート109aのNo.1のみが開口部1181を介して露出しており、他は全て遮光されている状態となる。よって、分析ポート109aのNo.1以外の分析ポート109aが分析のために測光中であっても、分析ポート109aのNo.1の光源115からの光が試薬分注機構107等の他の機構にぶつかって反射した光等の外乱光を受光部(検出器)116に入射させることなくアクセスし、開口部1181から反応容器105に対して試薬の吐出動作等を実行することなどができる。
【0060】
次に、第1の遮光機構117が分析ユニット109の全ての分析ポート109aを遮光するように図中117bの方向へ移動すると、
図12(c)の状態となる。
【0061】
続いて、次に機構がアクセスする対象となる分析ポート109aがあり、例えば分析ポート109aのNo.4の位置における反応容器に試薬を分注する場合には、
図12(c)の状態から、第2の遮光機構118が図中118aの方向に移動し、
図12(d)に示すように、第2の遮光機構118の開口部1182が、分析ポート109aのNo.4の位置となる。
【0062】
このように、2つの開口部1181、1182を有する第2の遮光機構118を備えた構成によれば、上述の例のように、分析ポート109aのNo.1の後に、No.4の位置にアクセスする場合には、第2の遮光機構118の移動量が少なくて済む。すなわち、第1の実施の形態に係る1つの開口部1181を有する第2の遮光機構118の場合には、分析ポート109aのNo.1の位置からNo.4の位置まで移動するためには開口部1181は図中118bの方向へ分析ポート109のNo.2,No.3,No.4の3つ分を移動することになるが、本実施の形態に係る第2の遮光機構118によれば、上述の通り図中118bの方向に1つ分移動させることで、開口部1182を分析ポート109aのNo.4の位置に位置づけることができる。
【0063】
上述の第1の実施の形態では、分析ポート109aの光源115を分析ポート109aに設置された反応容器105の下側に、受光部(検出器)116を分析ポート109aに設置された反応容器105の側面に配置した構成について説明したが、本実施の形態にでは、光源115を分析ポート109aに設置された反応容器105の側面に、受光部(検出器)116を分析ポート109aに設置された反応容器105の下側に配置した場合について説明する。
【0064】
図6は、本実施の形態に係る分析ユニットの構成を示す断面図である。本図に示すように、分析ポート109aに設置された反応容器105の側面に配置された光源115からの光を、分析ポート109aに設置された反応容器105の下側に配置される受光部(検出器)116により検出するように構成することができる。
【0065】
光源115を分析ポート109aに設置された反応容器105の側面に配置することにより、光源115からの光は反応液704に散乱された光のみが機構に反射されるため、外乱光を低減することができる。
【0066】
なお、上述した例では光源および、受光部(検出器)116の数をそれぞれ1つとして説明したが、これに限られるものではなく、例えば、1つの反応容器105に対して、受光部116の数を2つ以上にすることや、光源115の数を2つ以上にすること、あるいは複数の反応容器105に対して、光源115を1つにするなど、種々の構成に適用することができる。
【0067】
上述した第1の実施の形態では、分析ポート109aの光源115は分析ポート109aに設置された反応容器105の下側に、受光部(検出器)116は分析ポート109aに設置された反応容器105の側面に配置した構成について説明したが、光源115および受光部(検出器)116をともに分析ポート109aに設置された反応容器105の側面に配置することができる。
【0068】
光源115を分析ポート109aに設置された反応容器105の側面に配置することにより、光源115からの光は反応液704に散乱された光のみが機構に反射されるため、外乱光を低減することができる。また、受光部(検出器)116を分析ポート109aに設置された反応容器105の側面に配置することにより、外乱光は反応液704に散乱された光のみが受光部(検出器)116に入るため外乱光の影響を低減することができる。
【0069】
なお、上述した例では光源115および、受光部(検出器)116の数をそれぞれ1つとして説明したが、これに限られるものではなく、例えば、1つの反応容器105に対して、受光部(検出器)116の数を2つ以上にすることや、光源115の数を2つ以上にすること、あるいは複数の反応容器105に対して、光源115を1つにするなど、種々の構成に適用することができる。
【0070】
図7は、本実施の形態に係る分析ポートの構成を示す上面図である。本図に示すように、分析ポート109aに設置された反応容器105の側面に配置された光源115からの光を、分析ポート109aに設置された反応容器105の他の側面に配置される受光部(検出器)116により検出するように構成することができる。
【0071】
第1の実施の形態では、自動分析装置の一例である血液凝固分析を行う装置について、特に、1台で独立した装置として運用されるスタンドアローンタイプの構成を用いて説明した。
【0072】
ところで、臨床検査のための自動分析装置には、このようなスタンドアローンタイプの装置の他にも、検査室の業務効率化のために、生化学分析や免疫分析、血液凝固分析等の複数の分析分野の分析部を接続し、共通したサンプルラック搬送ラインを用いて全体として1つの装置として運用するモジュールタイプの構成がある。
【0073】
本実施の形態では、モジュールタイプの自動分析装置の一例として、2モジュールの血液凝固分析部を備えた自動分析装置への適用例について、
図9を用いて説明する。
【0074】
ここで、本図には示していないが、本実施の形態に係る第1の遮光機構117、第2の遮光機構118は、
図9における分析ユニット926、927、
図10における分析ユニット1006にそれぞれ適用される。なお、遮光機構の構成は上述した実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。ただし、モジュールタイプの装置の場合では、各分析ユニットにおける分析ポートの数が、スタンドアローンタイプの装置と比較して多くなる。
【0075】
図9は、本実施の形態に係る2モジュールの血液凝固分析部を備えた自動分析装置の基本構成を示す図である。本図に示すように、モジュールタイプの自動分析装置900は、サンプルと試薬との混合液である反応液を分析する複数の分析部である、第1血液凝固分析部912、第2血液凝固分析部917を有し、各分析部にサンプルを供給するために、サンプルを収容するサンプル容器を搭載するサンプルラック901を搬送する搬送ライン904、905を備えている。
【0076】
分析の対象となる血漿等のサンプルが入ったサンプル容器を搭載したサンプルラック901を搬送する搬送系の一例として、搬送ライン904上へサンプルラック901を供給するラック供給部902、分析が終了し、搬送ライン905上を移動してきたサンプルラック901を収容するラック収納部903、サンプルラック901を各分析部に搬送する搬送ライン(送り方向)904、搬送ライン(戻り方向)905、分析待ちのサンプルラックを待機させるラック待機部906、搬送ライン904、905とラック待機部906間及びラック待機部906内でサンプルラック901を移載するラックハンドリング機構907、サンプルラック901の情報に基づいて搬送ライン905上のラックの行き先を振り分けるラック振り分け機構909、振り分けられたサンプルラック901をラック収納部903へ移動するラック戻し機構908、緊急の分析を要するサンプルラック901を投入する緊急サンプルラック投入部910、搬送ライン904上のサンプルラック901に付されたバーコード等の情報を読み取る読取部911(搬送ライン)を示す。
【0077】
搬送ライン904に沿って配置される第1血液凝固分析部912の搬送系は、搬送ライン904からサンプルラック901に収容されているサンプルに対する分析依頼情報を照合するための読取部(第1血液凝固分析部)916と、搬送ライン904からサンプルラック901を受け取る第1ラック搬入機構914と、サンプルの分注が行われるサンプリングエリアを含むとともにサンプルの分注開始までサンプルラック901を待機可能である第1分注ライン913と、サンプル分注後のサンプルラック901を搬送ライン904、905に反搬送する第1ラックハンドリング機構915を備える。
【0078】
搬送ライン904に沿って配置される第2血液凝固分析部917の搬送系も、上述した第1血液凝固分析部912の搬送系の構成と同様に、搬送ライン904からサンプルラック901に収容されているサンプルに対する分析依頼情報を照合するための読取部(第2血液凝固分析部)921と、搬送ライン904からサンプルラック901を受け取る第2ラック搬入機構919と、サンプルの分注が行われるサンプリングエリアを含むとともにサンプルの分注開始までサンプルラック901を待機可能である第2分注ライン918と、サンプル分注後のサンプルラック901を搬送ライン905に搬送する第2ラックハンドリング機構920を備える。
【0079】
また全体を通して、制御部922は、上述したサンプルラック901の搬送動作やサンプル、試薬の分注動作、読取った情報に基づくサンプル901の振り分け、搬入・搬出の動作等、検出結果に基づく血液凝固時間や目的成分の濃度の演算などのデータ処理動作等、自動分析装置900を構成する種々の構成の動作や条件設定等の制御を実施する。また、制御部922には、分析条件に関する各種データや、オペレータからの指示等が入力されるキーボード等の入力部925と、入力された情報やサンプル、試薬などから読取った情報、検出結果に関する情報等を記憶する記憶部923、検出結果、及び自動分析装置900の各種操作に係るグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)等を表示する出力部924と接続されている。なお、本図において制御部922は各々の構成部に接続され、自動分析装置の全体を制御するものとしたが、構成部ごとに各々独立した制御部を備えるように構成することもできる。
【0080】
次に、
図10を用いて上述した血液凝固分析部の構成についてより詳細に説明する。
図10において、サンプルラック上のサンプル容器内に収容されるサンプルを、測定に使用される反応容器1001に分注するサンプル分注機構1017と、このサンプル分注動作の対象となる反応容器1001を配置できるサンプル分注ポート1016と、待機状態の反応容器を収容する待機ポート1010を複数備える待機ユニット1011と、反応容器1001が複数個ストックされる反応容器マガジン1002と、反応容器1001を移送し、必要に応じて各ポジションへの搬入、搬出を行う反応容器移載機構1012と、37℃に温度調整され、血液凝固時間の測定の直前にサンプルや希釈等の処理が施された前処理サンプルを昇温するプリヒートポート1008を複数個備えたプリヒートユニット1009と、同じく37℃に温度調整され血液凝固時間を測定する分析ポート1010を複数個備えた分析ユニット1007と、試薬が封入された試薬ボトルが内蔵されている試薬カセット1003が円周状に配置され、約10℃に温度調整された試薬ディスク1004と、試薬カセット供給部1013に配置された試薬カセット1003を試薬ディスク1004に移送する試薬カセット移送機構1015と、試薬ディスク1004に移送された試薬カセット1003の測定項目や使用期限等が入力されたバーコードやRFID等の媒体から試薬情報を読み取る試薬情報読取部1005と、試薬カセット移送機構1015により試薬ディスク1004から取り出され、使用済みの試薬カセット1003を収納する試薬カセット収納部1014と、使用済みの反応容器1001を廃棄する反応容器廃棄部1023と、サンプルプローブを洗浄するサンプルプローブ洗浄槽1018と、第1試薬分注機構1019の試薬プローブを洗浄する第1試薬プローブ洗浄槽1020と、第2試薬分注機構1021の試薬プローブを洗浄する第2試薬プローブ洗浄槽1022と、を備えている。
【0081】
ここで、本図には示していないが、分析ユニット1007における分析ポート1010の各々には、上述した実施の形態と同様に、反応容器1001に収容されるサンプルと試薬との混合液である反応液に対して光を照射する光源と、光源からの光を検出する受光部(検出器)とからなる光学系を備えている。
【0082】
血液凝固時間の測定は、検出された光のデータに基づいて制御部922において演算により求められる。
【0083】
第5の実施の形態では、2モジュールの血液凝固分析部を備える自動分析装置について説明した。ここでは、分析分野の異なる複数の分析部を備えたモジュールタイプの自動分析装置への適用例について、
図11を用いて説明する。
ここで、本図には示していないが、本実施の形態に係る第1の遮光機構117、第2の遮光機構118は、
図11における分析ユニット926、927なお、遮光機構の構成は上述した実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。ただし、モジュールタイプの装置の場合では、各分析ユニットにおける分析ポートの数が、スタンドアローンタイプの装置と比較して多くなる。また分析ユニット926、927における分析ポートの各々には、上述した実施の形態と同様に、反応容器に収容されるサンプルと試薬との混合液である反応液に対して光を照射する光源と、光源からの光を検出する受光部(検出器)とからなる光学系を備えている。
【0084】
図11は、本実施の形態に係る生化学分析部と血液凝固分析部とを備えた自動分析装置の基本構成を示す図である。自動分析装置1100は、上述した第1血液凝固分析部912、第2血液凝固分析部917の他に、生化学分析部1101を備えている点で、第4の実施の形態に係る自動分析装置900と異なっている。生化学分析部1101は、本図には詳細を示さないが、主に、サンプルラック1104からサンプルを吸引し、反応容器に吐出するサンプル分注機構と、試薬を収容する試薬容器を搭載する試薬ディスク1102と、試薬容器から試薬を吸引し、反応容器に吐出する試薬分注機構と、反応液に光を照射する光源、及び光源からの光を検出する受光部(検出器)とからなる光学系を有する反応ディスク1103と、を備える。制御部922は、生化学分析部1101において検出されたデータに基づいて目的成分の濃度等を演算により求める。
【0085】
また、生化学分析部1101と、第1血液凝固分析部912、第2血液凝固分析部917の配置には特に限定はないが、サンプルラック1004の渋滞を抑制するためには、検体処理能力の高い生化学分析部1101を上流側、すなわちサンプルラックが供給される箇所に近くなるように配置することが望ましい。
【0086】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。