(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位相差検出部は、前記第1変調信号および前記第2変調信号の組と、前記第1フィードバック信号および前記第2フィードバック信号の組との外積を演算して前記位相差信号を出力する
請求項6から9のいずれか一項に記載の角度検出装置。
前記位相差検出部は、前記第1変調信号のオフセットを調整するための第1オフセット調整値を前記第1フィードバック信号に乗じて前記位相差に対して加算または減算するオフセット調整部を更に備える請求項6から10のいずれか一項に記載の角度検出装置。
前記オフセット調整部は、前記第1オフセット調整値として各ビットが同一の重みを有するビットストリームをビット毎に前記第1フィードバック信号と乗算して、前記位相差に加算または減算していく請求項11に記載の角度検出装置。
前記オフセット調整部は、前記第2変調信号のオフセットを調整するための第2オフセット調整値を前記第2フィードバック信号に乗じて前記位相差に対して加算または減算する請求項11または12に記載の角度検出装置。
前記位相差検出部は、前記第1変調信号のビットストリームおよび前記第2変調信号のビットストリームをビット毎に順次入力し、前記第1フィードバック信号および前記第2フィードバック信号の組との間でビット毎に外積を演算する外積演算部を含む請求項6から13のいずれか一項に記載の角度検出装置。
【0005】
(項目1)
角度検出装置は、磁場の角度を検出してよい。
角度検出装置は、磁場の第1方向成分に応じた第1磁場検出信号をデルタシグマ変調して第1変調信号を出力する第1デルタシグマ変調部を備えてよい。
角度検出装置は、磁場の第2方向成分に応じた第2磁場検出信号をデルタシグマ変調して第2変調信号を出力する第2デルタシグマ変調部を備えてよい。
角度検出装置は、検出角度をループ制御により第1変調信号および第2変調信号に対して追従させるループ制御部を備えてよい。
ループ制御部は、第1変調信号および第2変調信号が示す角度に対する検出角度の位相差を検出する位相差検出部を有してよい。
位相差検出部は、磁場の角度に対する検出角度の誤差を調整してよい。
(項目2)
位相差検出部は、第1変調信号および第2変調信号と、検出角度に応じた第1フィードバック信号および第2フィードバック信号とに基づいて、位相差を示す位相差信号を出力してよい。
位相差検出部は、第1フィードバック信号、第2フィードバック信号、および位相差信号の少なくとも1つを、誤差が小さくなるように調整してよい。
(項目3)
位相差検出部は、第1変調信号および第2変調信号の組と、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号の組との外積を演算して位相差信号を出力してよい。
(項目4)
位相差検出部は、検出角度に第1調整角度を加算する第1角度加算部を含んでよい。
位相差検出部は、第1角度加算部が出力する角度を用いて、第1変調信号および第2変調信号の振幅誤差を調整するための第1フィードバック信号を生成する第1振幅調整部を含んでよい。
(項目5)
位相差検出部は、検出角度から第1調整角度を減算する第1角度減算部を含んでよい。
第1振幅調整部は、第1角度加算部が出力する角度に応じたsin値および第1角度減算部が出力する角度に応じたsin値を用いて、第1変調信号および第2変調信号の振幅誤差を調整するための第1フィードバック信号を生成してよい。
(項目6)
角度検出装置は、角度に基づくアドレスとして入力し、各角度に対応するデータとして当該角度に対応するsin値およびcos値を出力可能な記憶部を備えてよい。
第1角度加算部および第1角度減算部は、検出角度に第1調整角度を加算した角度に基づくアドレスおよび検出角度に第1調整角度を減算した角度に基づくアドレスを異なるサイクルで記憶部に入力してよい。
第1振幅調整部は、第1角度加算部が出力する角度に応じたsin値および第1角度減算部が出力する角度に応じたsin値を異なるサイクルで記憶部から受け取ってよい。
第1振幅調整部は、第1変調信号および第2変調信号の振幅誤差を調整するための第1フィードバック信号を生成してよい。
(項目7)
位相差検出部は、検出角度に第2調整角度を加算する第2角度加算部を含んでよい。
位相差検出部は、第2角度加算部が出力する角度を用いて、第1変調信号および第2変調信号の振幅誤差を調整するための第2フィードバック信号を生成する第2振幅調整部を含んでよい。
(項目8)
位相差検出部は、検出角度から第2調整角度を減算する第2角度減算部を含んでよい。
第2振幅調整部は、第2角度加算部が出力する角度に応じたcos値および第2角度減算部が出力する角度に応じたcos値を用いて、第1変調信号および第2変調信号の振幅誤差を調整するための第2フィードバック信号を生成してよい。
(項目9)
位相差検出部は、第1変調信号のオフセットを調整するための第1オフセット調整値を第1フィードバック信号に乗じて位相差に対して加算または減算するオフセット調整部を備えてよい。
(項目10)
オフセット調整部は、第1オフセット調整値として各ビットが同一の重みを有するビットストリームをビット毎に第1フィードバック信号と乗算して、位相差に加算または減算していってよい。
(項目11)
オフセット調整部は、第2変調信号のオフセットを調整するための第2オフセット調整値を第2フィードバック信号に乗じて位相差に対して加算または減算してよい。
(項目12)
位相差検出部は、検出角度に第3調整角度を加算する第3角度加算部を含んでよい。
位相差検出部は、検出角度から第3調整角度を減算する第3角度減算部を含んでよい。
位相差検出部は、第1変調信号および第2変調信号間の他軸感度を調整するべく、第3調整角度が加算された検出角度を用いて第1フィードバック信号を生成し、第3調整角度が減算された検出角度を用いて第2フィードバック信号を生成する他軸感度調整部を含んでよい。
(項目13)
他軸感度調整部は、第3調整角度が加算された検出角度に応じたsin値に基づく第1フィードバック信号を生成してよい。
他軸感度調整部は、第3調整角度が減算された検出角度に応じたcos値に基づく第2フィードバック信号を生成してよい。
(項目14)
位相差検出部は、第1変調信号のビットストリームおよび第2変調信号のビットストリームをビット毎に順次入力し、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号の組との間でビット毎に外積を演算する外積演算部を含んでよい。
(項目15)
ループ制御部は、位相差における予め定められた周波数以下の周波数成分を通過させるループフィルタを有してよい。
ループ制御部は、ループフィルタを通過した位相差に応じて検出角度を増減する角度更新部を有してよい。
(項目16)
角度検出装置は、磁場の第1方向成分に応じた第1磁場検出信号を出力する第1磁気センス部を備えてよい。
角度検出装置は、磁場の第2方向成分に応じた第2磁場検出信号を出力する第2磁気センス部を備えてよい。
(項目17)
方法は、磁場の角度を検出する角度検出装置の検出角度の誤差を調整してよい。
方法は、磁場の第1方向成分に応じた第1磁場検出信号をデルタシグマ変調して第1変調信号を出力する段階を備えてよい。
方法は、磁場の第2方向成分に応じた第2磁場検出信号をデルタシグマ変調して第2変調信号を出力する段階を備えてよい。
方法は、検出角度をループ制御により第1変調信号および第2変調信号に対して追従させる段階を備えてよい。
追従させる段階は、第1変調信号および第2変調信号が示す角度に対する検出角度の位相差を検出する段階を有してよい。
位相差を検出する段階は、磁場の角度に対する検出角度の誤差を調整してよい。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本実施形態に係る回転角センサ1000の構成例を示す。回転角センサ1000は、回転軸を中心に回転する磁場の回転角を非接触で検出する。
図1は、XY平面と平行な面において回転する磁場の回転角を検出する例を示す。回転角センサ1000は、角度検出装置10と、回転磁石20とを備える。
【0011】
角度検出装置10は、回転磁石20が発生する回転磁場の回転角を検出する。角度検出装置10は、一例として、集積回路等を有する半導体チップ等である。この場合、角度検出装置10は、シリコン等の半導体によって形成され、半導体回路および半導体素子等を含む。角度検出装置10は、複数の端子を備え、外部の基板、回路、および配線等と電気的に接続される。角度検出装置10のより具体的な構成については、後述する。
【0012】
回転磁石20は、回転磁場を発生させる。回転磁石20は、磁石22と、回転軸24と、モーター26とを有する。磁石22は、回転軸24回りに回転する。
図1は、磁石22が角度検出装置10のZ軸上方に設けられる例を示す。磁石22は、一例として、円盤状の形状を有し、XY平面と略平行な面で回転する。磁石22は、XY平面と略平行な断面がそれぞれ半円形状となる2つの領域に分割されてよく、一方の領域がS極であり、他方の領域がN極である磁石を形成する。
【0013】
磁石22は、XY平面と略平行な面で回転することにより、例えば、角度検出装置10において、(数1)式で示される回転磁場を発生させる。ここで、Bは、角度検出装置10に置いて検出される磁場の絶対値を示す。本実施形態において、Bは、略一定とし、定数として取り扱うこととする。また、θは、磁場が回転する面における予め定められた方向または基準の方向に対する、回転磁場の磁場方向の角度を示す。
(数1)
Bx(θ)=B・cosθ
By(θ)=B・sinθ
【0014】
回転軸24は、XY平面と略垂直な方向に設けられる。回転軸24は、一端が磁石22に接続され、他端がモーター26に接続される。モーター26は、回転軸24および当該回転軸24に接続された磁石22を回転させる。このように、回転角センサ1000は、XY平面と平行な磁場を検出する角度検出装置10と、Z軸回りに磁石を回転させる回転磁石20と、を組み立てて形成される。
【0015】
角度検出装置10は、例えば、回転磁石20が発生させる回転磁場のXY平面における第1方向成分および第2方向成分をそれぞれ検出し、検出タイミングにおける回転磁石20の回転角θを、第1方向成分および第2方向成分に基づいて算出して出力する。ここで、第1方向および第2方向は、互いに異なる方向であればよい。なお、第1方向および第2方向は、XY平面において直交する2つの方向であることが望ましい。本実施形態において、第1方向はX軸方向、第2方向はY軸方向として説明する。
【0016】
図2は、本実施形態に係る角度検出装置10の第1構成例を示す。角度検出装置10は、入力する磁場の角度を検出する。第1構成例の角度検出装置10は、第1磁気センス部30と、第2磁気センス部32と、第1増幅部40と、第2増幅部42と、第1デルタシグマ変調部50と、第2デルタシグマ変調部52と、ループ制御部100と、を備える。
【0017】
第1磁気センス部30は、入力する磁場の第1方向成分に応じた第1磁場検出信号Vxを出力する。第2磁気センス部32は、入力する磁場の第2方向成分に応じた第2磁場検出信号Vyを出力する。第1磁気センス部30および第2磁気センス部32は、それぞれ、一方向の磁場を検出する磁気センサを有する。例えば、第1磁気センス部30は、(数1)式で示される磁場Bx(θ)に応じた第1磁場検出信号Vxを出力し、第2磁気センス部32は、(数1)式で示される磁場By(θ)に応じた第2磁場検出信号Vyを出力する。第1磁気センス部30および第2磁気センス部32は、それぞれ、入力する磁場に比例した検出信号を出力することが好ましい。
【0018】
第1磁気センス部30および第2磁気センス部32は、ホール素子、磁気抵抗素子(MR)、巨大磁気抵抗素子(GMR)、トンネル効果磁気抵抗素子(TMR)、マグネトインピーダンス素子(MI素子)、および/またはインダクタンスセンサ等をそれぞれ有してよい。また、第1磁気センス部30および第2磁気センス部32は、入力する磁場を収束させる磁気収束板を更に有してもよい。
【0019】
第1増幅部40は、第1磁気センス部30が出力する第1磁場検出信号Vxを増幅する。第1増幅部40は、増幅した信号を第1デルタシグマ変調部50に供給する。なお、磁場の回転角を検出する場合、入力する磁場の振幅値は規格化されてよく、ここで、第1増幅部40が増幅した信号は、磁場Bx(θ)と略等しく、第2増幅部42が増幅した信号は、磁場By(θ)と略等しいとする。即ち、回転磁場の角度θは、第1磁場検出信号Vxおよび第2磁場検出信号Vyを用いて示されることとする。
【0020】
第1デルタシグマ変調部50は、入力磁場の第1方向成分に応じた第1磁場検出信号Vxをデルタシグマ変調して第1変調信号を出力する。第2デルタシグマ変調部52は、入力磁場の第2方向成分に応じた第2磁場検出信号Vyをデルタシグマ変調して第2変調信号を出力する。第1デルタシグマ変調部50および第2デルタシグマ変調部52は、一例として、予め定められた数の1ビットデータを有するビットストリームを、変調信号としてそれぞれ出力する。
【0021】
なお、ビットストリームは、予め定められた数の1ビットデータを含み、当該1ビットデータを積算した値が入力信号の振幅値に比例または略一致する信号である。即ち、第1デルタシグマ変調部50は、磁場Bx(θ)に応じたビットストリームを第1変調信号として出力し、第2デルタシグマ変調部52は、磁場By(θ)に応じたビットストリームを第2変調信号として出力する。
【0022】
ループ制御部100は、第1デルタシグマ変調部50および第2デルタシグマ変調部52が出力する第1変調信号および第2変調信号をそれぞれ受け取り、受け取った第1変調信号および第2変調信号に対応する角度情報を検出角度φとして出力する。ループ制御部100は、クロック信号等に応じて、順次、検出角度φを更新して出力してよい。ループ制御部100は、検出角度をループ制御により第1変調信号および第2変調信号に対して追従させて、検出角度φを更新して出力してよい。ループ制御部100は、位相差検出部110と、ループフィルタ140と、角度更新部150と、を有する。
【0023】
位相差検出部110は、第1変調信号および第2変調信号が示す角度θに対する検出角度φの位相差を検出する。位相差検出部110は、ループ制御部100が出力した検出角度φと、第1変調信号および第2変調信号に対応する角度情報θとの位相差を検出し、次にループ制御部100が検出角度を更新すべく、当該位相差を出力する。位相差検出部110は、記憶部120と、外積演算部130と、を含む。
【0024】
記憶部120は、角度に基づくアドレスとして入力し、各角度に対応するデータとして当該角度に対応するsin値およびcos値を出力可能である。記憶部120は、複数の角度にそれぞれ対応するsin値およびcos値を記憶する。記憶部120は、複数の角度に対応するアドレス毎に、sin値およびcos値を記憶してよい。記憶部120は、例えば、ループ制御部100が出力する検出角度が入力され、当該検出角度に対応するアドレスに変換する変換部を含む。即ち、記憶部120は、検出角度φの入力に対して、sinφおよびcosφを出力する。
【0025】
記憶部120は、入力する検出角度φに対応するsinφの値を第1フィードバック信号とし、対応するcosφを第2フィードバック信号として、外積演算部130に供給する。記憶部120は、一例として、π/2ラジアン(またはπ/2ラジアンに対応するアドレス値)の入力に対して、1を第1フィードバック信号とし、0を第2フィードバック信号として、供給する。記憶部120は、予め定められたビット数のデジタル値で、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号を出力してよい。
【0026】
外積演算部130は、記憶部120が出力する第1フィードバック信号および第2フィードバック信号と、第1変調信号および第2変調信号とを用いて、次式に示す外積Pを演算する。なお、第1変調信号をB・cosθ、第2変調信号をB・sinθとした。
(数2)
P=−B・cosθ・sinφ+B・sinθ・cosφ
=B・sin(θ−φ)
≒B・(θ−φ)
【0027】
外積演算部130は、例えば、第1乗算部132と、第2乗算部134と、減算部136を含む。第1乗算部132は、第1変調信号および第1フィードバック信号を乗じて、B・cosθ・sinφを算出する。第2乗算部134は、第2変調信号および第2フィードバック信号を乗じて、B・sinθ・cosφを算出する。減算部136は、第2乗算部134が算出した積から、第1乗算部132が算出した積を減算して、(数2)式で示す外積Pを演算する。このように、位相差検出部110は、第1変調信号および第2変調信号の組と、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号の組との外積を演算し、位相差信号として出力する。
【0028】
ここで、ループ制御部100は、第1変調信号および第2変調信号が示す角度θに追随するように検出角度φを出力するので、θ−φの値は、sin(θ−φ)≒(θ−φ)と近似できる程度に小さい値となる。したがって、外積演算部130が演算する外積Pは、(数2)式で示すように、角度θに対する検出角度φの位相差に比例する値B・(θ−φ)に近似できる。Bの値は定数なので、位相差検出部110は、角度θおよび検出角度φの位相差(θ−φ)を検出することになる。位相差検出部110は、検出した位相差をループフィルタ140に供給する。
【0029】
ループフィルタ140は、位相差検出部110から受け取った位相差における予め定められた周波数以下の周波数成分を通過させる。ループフィルタ140は、ローパスフィルタでよい。ループフィルタ140は、第1デルタシグマ変調部50および第2デルタシグマ変調部52が発生させる量子化ノイズを低減させてよい。また、第1磁気センス部30および第2磁気センス部32が出力する第1磁場検出信号Vxおよび第2磁場検出信号Vyを変調して、第1磁場検出信号Vxおよび第2磁場検出信号Vyに含まれるDCオフセット信号を高調波成分に変換した場合、ループフィルタ140は、当該高調波成分も低減させてよい。
【0030】
角度更新部150は、ループフィルタを通過した位相差(θ−φ)に応じて検出角度φを増減する。角度更新部150は、位相差(θ−φ)を0に近づけるように、検出角度φを更新する。角度更新部150は、例えば、2つの積算部を含んでよく、この場合、ループ制御部100は、閉ループ回路のなかに2つの積算部を備える2型サーボ回路となる。角度更新部150は、一例として、2つの積算部とDCO(Digitally Controlled Oscillator)回路を含む。
【0031】
角度更新部150に入力する位相差(θ−φ)の信号が、一例として、ビットストリームの第1変調信号および第2変調信号を用いて演算された信号の場合、角度更新部150は、当該位相差信号を第1の積算部が積算してクロック毎の位相差信号にしてよい。また、クロック毎(即ち、単位時間毎)の位相差は、角度の時間微分である角速度ω(rad/s)のディメンジョンを有する。この場合、角度更新部150は、当該角速度ωの信号をDCO回路に供給して、当該角速度ωに対応する周波数信号を出力させ、当該周波数信号を第2の積算部が積算して検出角度φを生成する。
【0032】
なお、第2の積算部は、アップカウントおよびダウンカウント動作を行うアップダウンカウンターを含んでよく、前回までの周波数信号のカウント値に今回のカウント値が積算されて、検出角度φが生成される。即ち、角度更新部150は、前回の検出角度φに、今回の位相差(θ−φ)が積算して、今回の磁場の回転角θにより近い検出角度φを算出する。
【0033】
以上のように、本実施形態に係る角度検出装置10は、ループ制御部100によるフィードバックループにより、角度θに追従させたより正確な検出角度φを出力することができる。ループ制御部100は、フィードバックループにおいて、検出角度φに対応する正弦波信号sin(φ)および余弦波信号cos(φ)を外積演算部130にフィードバックし、第1変調信号および第2変調信号と乗算する。
【0034】
ここで、第1変調信号および第2変調信号が+1および−1のいずれかの値が時間的に並ぶ符号付きビットストリームの場合、(数2)式に示した外積Pは、第1変調信号および第2変調信号のビット値に応じて、次式で示されるP1からP4のいずれかの値となる。なお、第1変調信号のビット値をS1、第2変調信号のビット値をS2とする。
(数3)
P1=−B・sinφ+B・cosφ S1=+1、S2=+1
P2= B・sinφ+B・cosφ S1=−1、S2=+1
P3=−B・sinφ−B・cosφ S1=+1、S2=−1
P4= B・sinφ−B・cosφ S1=−1、S2=−1
【0035】
即ち、角度検出装置10は、第1変調信号および第2変調信号をビットストリームで外積演算部130に供給することにより、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号の加減算によって外積Pを算出することができる。即ち、外積演算部130は、第1変調信号のビットストリームおよび第2変調信号のビットストリームをビット毎に順次入力し、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号の組との間でビット毎に加減算を実行して、外積を演算する。これにより、外積演算部130は、第1乗算部132および第2乗算部134に代えて、加算器および減算器を用いることができ、実装面積を低減させることができる。
【0036】
このような角度検出装置10は、検出角度φに感度ミスマッチ、オフセット誤差、および他軸感度等の誤差が含まれる場合がある。この場合、角度検出装置10は、製造段階および/または検出動作をしていない状態において、これらの誤差を測定し、測定結果に応じて検出角度φの誤差を調整していた。しかしながら、このような角度非線形性誤差の調整をアナログ回路、例えばデルタシグマ変調部等に施すと、オーバーサンプリングの効果が低下し、ノイズの折り返しが発生してしまうため、低ノイズ化には不向きであった。
【0037】
そこで、本実施形態に係るループ制御部200は、当該角度非線形性誤差を調整して、アナログ信号による調整では実現できない程度の低ノイズ化を実現し、高分解能化を可能にする。また、乗算器を用いずに当該角度非線形性誤差を調整して、高分解能化に伴って回路規模が増大することを防止する。即ち、ループ制御部200は、磁場の角度θに対する検出角度φの誤差を、予め設定された調整値を用いて加算および減算により調整する。このようなループ制御部200を備える角度検出装置10について、次に説明する。
【0038】
図3は、本実施形態に係る第1磁気センス部30および第2磁気センス部32が出力する第1磁場検出信号Vxおよび第2磁場検出信号Vyの第1例を示す。
図3は、横軸が第1方向(X軸方向)を検出する第1磁気センス部30の第1磁場検出信号Vxを示し、縦軸が第2方向(Y軸方向)を検出する第2磁気センス部32の第2磁場検出信号Vyを示す。点線で示す信号は、理想的な磁場検出信号であり、XY平面において略円形の形状を有する信号となる。即ち、
図3は、理想的な第1磁場検出信号VxをB・cosθとし、理想的な第2磁場検出信号VyをB・sinθとした例を示す。
【0039】
実線で示す信号は、第1磁気センス部30および第2磁気センス部32に磁気感度のミスマッチが生じた場合の磁場検出信号を示す。
図3は、第1磁気センス部30が第2磁気センス部32と比較して磁気感度が大きい場合の磁場検出信号を示す。この場合、第1磁場検出信号Vxは、B・A・cosθとし、A>1と示すことができる。このように、第1磁気センス部30および第2磁気センス部32に磁気感度のミスマッチが生じると、角度検出装置10は、正確な検出角度φを出力することができなくなる。
【0040】
例えば、回転磁場の角度θが、0<θ<π/2(およびπ<θ<3π/2)の範囲の場合、第1磁場検出信号Vxが第2磁場検出信号Vyよりも大きくなるので、角度検出装置10は、θよりも小さい検出角度φを出力する。同様に、回転磁場の角度θが、π/2<θ<π(および3π/2<θ<2π)の範囲の場合、第1磁場検出信号Vxが第2磁場検出信号Vyよりも小さくなるので、角度検出装置10は、θよりも大きい検出角度φを出力する。
【0041】
より具体的には、(数2)式で示す外積Pが、次式のようになってしまう。ここで、θ≒φであることから、sin(θ−φ)=0および2・cosφ・sinθ=sin2θとした。
(数4)
P=−B・A・cosθ・sinφ+B・sinθ・cosφ
=B・{−A・cosθ・sinφ+sinθ・cosφ}
=B・{A・sin(θ−φ)+(1−A)・sinθ・cosφ}
≒−0.5・B・(−1+A)・sin2θ
【0042】
以上のように、外積Pは、位相差(θ−φ)を0にしても値を有する場合が生じるので、検出角度φは、磁気感度のミスマッチに応じた誤差が含まれてしまうことになる。このような角度誤差を調整すべく、第1磁場検出信号Vxに補正値1/Aを乗じれば、第1磁場検出信号Vxは、B・cosθとなるので、(数2)式の外積Pを算出することができる。即ち、角度誤差の調整は、第1磁場検出信号Vxに補正値1/Aを乗じる乗算回路を追加することで実現することができる。しかしながら、乗算回路は、実装面積が大きいので、回路規模が増大してしまうことがあった。
【0043】
そこで、乗算回路を用いないで角度誤差を調整すべく、まずは、第1フィードバック信号に補正値cosβを乗じて外積Pを算出する。
(数5)
P=−B・A・cosθ・sinφ・cosβ+B・sinθ・cosφ
【0044】
ここで、A=1/cosαとする。なお、Aおよびcosβは、ともに1に近い値なので、α≒β、即ち、cosβ/cosα≒1と近似することができる。これにより、(数5)式は次式のように表される。
(数6)
P=−B・cosθ・sinφ・cosβ/cosα+B・sinθ・cosφ
≒−B・cosθ・sinφ+B・sinθ・cosφ
=B・sin(θ−φ)
≒B・(θ−φ)
【0045】
以上のように、補正値cosβを用いることにより、(数2)式と同様に、位相差(θ−φ)を0にすると、外積Pを0にすることができる。したがって、角度検出装置10は、検出角度φをθに追従させることで、磁気感度のミスマッチに応じた角度誤差を低減させることができる。
【0046】
次に、(数5)式の乗算を次のように変形する。
(数7)
P=−B・A・cosθ・sinφ・cosβ+B・sinθ・cosφ
=−B・A・cosθ・{sin(φ+β)+sin(φ−β)}/2
+B・sinθ・cosφ
【0047】
(数7)式は、sinφ・cosβといった乗算を、sin(φ+β)+sin(φ−β)といった加算から演算できることを示す。本実施形態に係るループ制御部200は、(数7)式の演算を実行する回路を用いることで、乗算回路を用いずに誤差を調整する。
【0048】
図4は、本実施形態に係る角度検出装置10の第2構成例を示す。第2構成例の角度検出装置10において、
図2に示された第1構成例の角度検出装置10の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第2構成例の角度検出装置10は、ループ制御部200を備える。ループ制御部200は、位相差検出部210と、ループフィルタ140と、角度更新部150と、を有する。ループフィルタ140および角度更新部150は、
図2で説明したので、ここでは説明を省略する。
【0049】
位相差検出部210は、磁場の角度θに対する検出角度φの誤差を調整する。位相差検出部210は、検出角度φの誤差が小さくなるように調整してよい。
図4は、第1磁気センス部30が第2磁気センス部32と比較して磁気感度が大きい場合の角度誤差を、位相差検出部210が調整する例を示す。即ち、位相差検出部210は、第1変調信号および第2変調信号と、検出角度φに応じた第1フィードバック信号および第2フィードバック信号とに基づいて、位相差を示す位相差信号を出力し、第1フィードバック信号を調整する。位相差検出部210は、記憶部120と、外積演算部130と、補正値記憶部220と、第1加減算部230と、第1振幅調整部240と、を含む。
【0050】
補正値記憶部220は、検出角度φの誤差を調整する補正値βを記憶する。補正値記憶部220は、+βおよび−βを記憶してもよい。なお、本実施形態において、補正値βを第1調整角度とする。
【0051】
第1加減算部230は、補正値記憶部220の第1調整角度βに基づき、検出角度φを加算および減算する。第1加減算部230は、第1角度加算部232および第1角度減算部234を含む。第1角度加算部232は、検出角度φに第1調整角度βを加算する。第1角度加算部232は、加算結果(φ+β)を、記憶部120に供給する。第1角度減算部234は、検出角度φから第1調整角度βを減算する。第1角度減算部234は、減算結果(φ−β)を、記憶部120に供給する。
【0052】
第1角度加算部232および第1角度減算部234は、角度に基づくアドレスを記憶部120に供給してもよい。また、第1角度加算部232および第1角度減算部234は、検出角度φに第1調整角度βを加算した角度に基づくアドレスおよび検出角度φに第1調整角度βを減算した角度に基づくアドレスを、異なるサイクルで記憶部120に入力してよい。即ち、第1加減算部230は、クロック信号等に応じて、角度に基づくアドレス値を、順次、記憶部120に供給してよい。
【0053】
記憶部120は、
図2で説明した動作に加え、検出角度φおよび第1調整角度βによって定まる角度に対応する正弦波信号を出力する。即ち、記憶部120は、第1角度加算部232の加算結果(φ+β)に対応する正弦波信号sin(φ+β)の値、第1角度減算部234の減算結果(φ−β)に対応する正弦波信号sin(φ−β)の値、および検出角度φに対応する余弦波信号cosφの値を、それぞれ出力する。なお、余弦波信号cosφの値は、
図2で説明したように、第2フィードバック信号となる。
【0054】
第1振幅調整部240は、第1角度加算部232および第1角度減算部234が出力する角度を用いて、第1変調信号および第2変調信号の振幅誤差を調整するための第1フィードバック信号を生成する。第1振幅調整部240は、第1角度加算部232が出力する角度に応じたsin値および第1角度減算部234が出力する角度に応じたsin値を用いて、第1変調信号および第2変調信号の振幅誤差を調整するための第1フィードバック信号を生成する。
【0055】
また、第1振幅調整部240は、第1角度加算部232が出力する角度に応じたsin値および第1角度減算部234が出力する角度に応じたsin値を、異なるサイクルで記憶部120から受け取って、第1変調信号および第2変調信号の振幅誤差を調整するための第1フィードバック信号を生成してよい。第1振幅調整部240は、加算部242および増幅部244を含む。
【0056】
加算部242は、記憶部120から受け取ったsin(φ+β)およびsin(φ−β)の値を加算する。増幅部244は、加算部242の加算結果を予め定められた一定の倍率で増幅する。増幅部244は、一例として、加算部242の加算結果を0.5倍に増幅してよい。即ち、第1振幅調整部240は、sin(φ+β)およびsin(φ−β)の和を1/2にした信号を、第1フィードバック信号として生成する。これにより、第1フィードバック信号は、{sin(φ+β)+sin(φ−β)}/2となる。なお、デジタル演算における0.5倍はビットシフトで実現できるため、面積の増加にはならない。
【0057】
外積演算部130は、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号と、第1変調信号および第2変調信号とを用いて、外積Pを演算する。ここで、第1フィードバック信号が{sin(φ+β)+sin(φ−β)}/2となっているので、本実施形態の外積演算部130は、(数7)式に示す外積Pを演算することになる。また、(数7)式に示す外積Pは、(数6)式に示すように、位相差(θ−φ)に近似できる。したがって、外積演算部130は、外積Pの演算結果をループフィルタ140に供給することにより、ループ制御部200は、回転磁場の角度θに追従する検出角度φを出力することができる。
【0058】
なお、外積演算部130は、
図2で説明したように、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号の加減算によって外積Pを算出することができる。したがって、位相差検出部210は、検出角度φおよび第1調整角度βに基づき、加算および減算によって、外積Pを算出することができる。また、位相差検出部210は、第1フィードバック信号の生成に用いる正弦波信号sin(φ+β)および正弦波信号sin(φ−β)を、記憶部120に記憶された正弦波信号を用いることができる。即ち、位相差検出部210は、検出角度φから第1調整角度βの分だけアドレス値をずらしたデータを用いるので、記憶部120に記憶すべきデータを増加させずに、外積Pを算出することができる。
【0059】
したがって、本実施形態に係るループ制御部200は、回路規模を増加することを防止しつつ、また、取り扱うデータが増加することも防止しつつ、磁気感度のミスマッチに応じた角度誤差を調整することができる。
図4に示す角度検出装置10は、このようなループ制御部200を備えるので、回路規模の増大を防止しつつ、また、取り扱うデータの増加も防止しつつ、感度ミスマッチを低減させた非接触回転角センサを提供することができる。
【0060】
以上の本実施形態に係る角度検出装置10は、第1磁気センス部30が第2磁気センス部32と比較して磁気感度が大きい場合の磁気感度のミスマッチに対して、角度誤差を調整する例を説明した。これに代えて、角度検出装置10は、第1磁気センス部30が第2磁気センス部32と比較して磁気感度が小さい場合の磁気感度のミスマッチに対して、角度誤差を調整してもよい。この場合、(数4)式で示した外積Pは、次式のように表される。
(数8)
P=−B・cosθ・sinφ+B・A・sinθ・cosφ
=B・{A・sin(θ−φ)+(−1+A)・cosθ・sinφ}
≒0.5・B・(−1+A)・sin2θ
【0061】
この場合においても、第2フィードバック信号に補正値cosβを乗じて外積Pを算出する。このように、補正値cosβを用いることにより、(数6)式と同様に、位相差(θ−φ)を0にすると、外積Pを0にすることができる。したがって、角度検出装置10は、検出角度φをθに追従させることで、磁気感度のミスマッチに応じた角度誤差を低減させることができる。
(数9)
P=−B・cosθ・sinφ+B・A・sinθ・cosφ・cosβ
≒−B・cosθ・sinφ+B・sinθ・cosφ
=B・sin(θ−φ)
≒B・(θ−φ)
【0062】
また、(数9)式は、次のように変形することができる。
(数10)
P=−B・cosθ・sinφ+B・A・sinθ・cosφ・cosβ
=−B・cosθ・sinφ
+B・A・sinθ・{cos(φ+β)+cos(φ−β)}/2
【0063】
(数10)式は、cosφ・cosβといった乗算を、cos(φ+β)+cos(φ−β)といった加算から演算できることを示す。本実施形態に係るループ制御部200は、(数10)式の演算を実行する回路を用いることで、磁気感度のミスマッチに応じた角度誤差を低減させることもできる。このようなループ制御部200について、次に説明する。
【0064】
図5は、本実施形態に係る角度検出装置10の第3構成例を示す。第3構成例の角度検出装置10において、
図2および
図4に示された第1構成例および第2構成例の角度検出装置10の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第3構成例のループ制御部200は、位相差検出部210と、ループフィルタ140と、角度更新部150と、を有する。ループフィルタ140および角度更新部150は、
図2で説明したので、ここでは説明を省略する。
【0065】
図5は、第1磁気センス部30が第2磁気センス部32と比較して磁気感度が小さい場合の角度誤差を、位相差検出部210が調整する例を示す。即ち、位相差検出部210は、第1変調信号および第2変調信号と、検出角度φに応じた第1フィードバック信号および第2フィードバック信号とに基づいて、位相差を示す位相差信号を出力し、第2フィードバック信号を調整する。位相差検出部210は、記憶部120と、外積演算部130と、補正値記憶部220と、第2加減算部330と、第2振幅調整部340と、を含む。
【0066】
補正値記憶部220は、第2調整角度βを記憶する。第2加減算部330は、補正値記憶部220の第2調整角度βに基づき、検出角度φを加算および減算する。第2加減算部330は、第2角度加算部332および第2角度減算部334を含む。第2角度加算部332は、検出角度φに第2調整角度βを加算する。第2角度加算部332は、加算結果(φ+β)を、記憶部120に供給する。第2角度減算部334は、検出角度φから第2調整角度βを減算する。第2角度減算部334は、減算結果(φ−β)を、記憶部120に供給する。
【0067】
第2角度加算部332および第2角度減算部334は、角度に基づくアドレスを記憶部120に供給してもよい。また、第2角度加算部332および第2角度減算部334は、検出角度φに第2調整角度βを加算した角度に基づくアドレスおよび検出角度φに第2調整角度βを減算した角度に基づくアドレスを、異なるサイクルで記憶部120に入力してよい。即ち、第2加減算部330は、クロック信号等に応じて、角度に基づくアドレス値を、順次、記憶部120に供給してよい。
【0068】
記憶部120は、
図2で説明した動作に加え、検出角度φおよび第2調整角度βによって定まる角度に対応する余弦波信号を出力する。即ち、記憶部120は、第2角度加算部332の加算結果(φ+β)に対応する余弦波信号cos(φ+β)の値、第2角度減算部334の減算結果(φ−β)に対応する余弦波信号cos(φ−β)の値、および検出角度φに対応する正弦波信号sinφの値を、それぞれ出力する。なお、正弦波信号sinφは、
図2で説明したように、第1フィードバック信号となる。
【0069】
第2振幅調整部340は、第2角度加算部332および第2角度減算部334が出力する角度を用いて、第1変調信号および第2変調信号の振幅誤差を調整するための第2フィードバック信号を生成する。第2振幅調整部340は、第2角度加算部332が出力する角度に応じたcos値および第2角度減算部334が出力する角度に応じたcos値を用いて、第1変調信号および第2変調信号の振幅誤差を調整するための第2フィードバック信号を生成する。第2振幅調整部340は、加算部342および増幅部344を含む。
【0070】
加算部342は、記憶部120から受け取ったcos(φ+β)およびcos(φ−β)の値を加算する。増幅部344は、加算部342の加算結果を予め定められた一定の倍率で増幅する。増幅部344は、一例として、加算部342の加算結果を0.5倍に増幅してよい。即ち、第2振幅調整部340は、cos(φ+β)およびcos(φ−β)の和を1/2にした信号を、第2フィードバック信号として生成する。これにより、第2フィードバック信号は、{cos(φ+β)+cos(φ−β)}/2となる。なお、デジタル演算における0.5倍はビットシフトで実現できるため、面積の増加にはならない。
【0071】
外積演算部130は、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号と、第1変調信号および第2変調信号とを用いて、外積Pを演算する。ここで、第2フィードバック信号が{cos(φ+β)+cos(φ−β)}/2となっているので、本実施形態の外積演算部130は、(数10)式に示す外積Pを演算することになる。また、(数10)式に示す外積Pは、(数9)式に示すように、位相差(θ−φ)に基づく値に近似できる。したがって、外積演算部130は、外積Pの演算結果をループフィルタ140に供給することにより、ループ制御部200は、回転磁場の角度θに追従する検出角度φを出力することができる。
【0072】
なお、外積演算部130は、
図2で説明したように、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号の加減算によって外積Pを算出することができる。また、位相差検出部210は、検出角度φから第2調整角度βの分だけアドレス値をずらしたデータを用いるので、記憶部120に記憶すべきデータを増加させずに、外積Pを算出することができる。したがって、本実施形態に係るループ制御部200は、回路規模を増加することを防止しつつ、また、取り扱うデータが増加することも防止しつつ、磁気感度のミスマッチに応じた角度誤差を調整することができる。
【0073】
以上の本実施形態に係る角度検出装置10は、磁気感度のミスマッチに対して、角度誤差を調整する例を説明した。これに代えて、角度検出装置10は、オフセット誤差に対して、角度誤差を調整してもよい。そこでまず、オフセット誤差について次に説明する。
【0074】
図6は、本実施形態に係る第1磁気センス部30および第2磁気センス部32が出力する第1磁場検出信号Vxおよび第2磁場検出信号Vyの第2例を示す。
図6は、横軸が第1方向(X軸方向)を検出する第1磁気センス部30の第1磁場検出信号Vxを示し、縦軸が第2方向(Y軸方向)を検出する第2磁気センス部32の第2磁場検出信号Vyを示す。点線で示す信号は、理想的な磁場検出信号であり、XY平面において略円形の形状を有する信号となる。即ち、
図6は、理想的な第1磁場検出信号VxをB・cosθとし、理想的な第2磁場検出信号VyをB・sinθとした例を示す。
【0075】
実線で示す信号は、第1磁気センス部30および第2磁気センス部32にオフセット誤差が生じた場合の磁場検出信号を示す。
図6は、第1磁場検出信号Vxに+Ox、第1磁場検出信号Vxに+Oyのオフセット誤差が含まれる場合の磁場検出信号を示す。このように、第1磁気センス部30および第2磁気センス部32にオフセット誤差が生じると、角度検出装置10は、正確な検出角度φを出力することができなくなる。
【0076】
より具体的には、(数2)式で示す外積Pが、次式のようになってしまう。ここで、θ≒φであることから、sin(θ−φ)=0とした。
(数11)
P=−(B・cosθ+Ox)・sinφ+(B・sinθ+Oy)・cosφ
=B・sin(θ−φ)−Ox・sinφ+Oy・cosφ
≒Oy・cosφ−Ox・sinφ
【0077】
以上のように、外積Pは、位相差(θ−φ)を0にしても値を有する場合が生じるので、検出角度φは、オフセット誤差に応じた角度誤差が含まれてしまうことになる。そこで、本実施形態に係る角度検出装置10は、オフセット誤差に起因するOy・cosφ−Ox・sinφを外積Pから差し引くことにより、角度誤差を調整する。
【0078】
図7は、本実施形態に係る角度検出装置10の第4構成例を示す。第4構成例の角度検出装置10において、
図2に示された第1構成例の角度検出装置10の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第4構成例の角度検出装置10は、ループ制御部200を備える。ループ制御部200は、位相差検出部210と、ループフィルタ140と、角度更新部150と、を有する。ループフィルタ140および角度更新部150は、
図2で説明したので、ここでは説明を省略する。
【0079】
図7は、第1磁気センス部30および第2磁気センス部32のオフセット誤差を、位相差検出部210が調整する例を示す。即ち、位相差検出部210は、第1変調信号および第2変調信号と、検出角度φに応じた第1フィードバック信号および第2フィードバック信号とに基づいて、位相差を示す位相差信号を出力し、位相差信号を調整する。位相差検出部210は、記憶部120と、外積演算部130と、補正値記憶部220と、オフセット調整部410と、を含む。
【0080】
記憶部120は、
図2で説明した動作に加え、検出角度φ対応する余弦波信号cosφの値および正弦波信号sinφの値を、オフセット調整部410に供給する。外積演算部130は、
図2で説明したように、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号と、第1変調信号および第2変調信号とを用いて、外積Pを演算する。外積演算部130は、(数11)式に示す外積Pを出力する。
【0081】
補正値記憶部220は、検出角度φの誤差を調整する補正値OxおよびOyを記憶する。なお、本実施形態において、補正値Oxを第1オフセット調整値とし、補正値Oyを第2オフセット調整値とする。
【0082】
オフセット調整部410は、第1変調信号のオフセットを調整するための第1オフセット調整値を第1フィードバック信号に乗じて、位相差に対して加算または減算してよい。ここで、位相差は、(数11)式の演算結果を示す。また、オフセット調整部410は、第2変調信号のオフセットを調整するための第2オフセット調整値を第2フィードバック信号に乗じて位相差に対して加算または減算してもよい。オフセット調整部410は、一例として、第1乗算部412、第2乗算部414、および加算部416を含む。
【0083】
第1乗算部412は、記憶部120から受け取ったsinφの値に、補正値記憶部220から受け取った第1オフセット調整値を乗じる。第2乗算部414は、記憶部120から受け取ったcosφの値に、補正値記憶部220から受け取った第2オフセット調整値を乗じる。加算部416は、外積演算部130から受け取った外積Pの演算結果に、第1乗算部412の乗算結果を加える。また、加算部416は、外積演算部130から受け取った外積Pの演算結果に、第2乗算部414の乗算結果を減じる。
【0084】
これにより、オフセット調整部410は、外積演算部130が演算した外積Pを、次式で示す調整値P'に調整する。
(数12)
P'=P+Ox・sinφ−Oy・cosφ
=Bsin(θ−φ)
≒B・(θ−φ)
【0085】
即ち、オフセット調整部410は、調整値P'を位相差(θ−φ)に基づく値に略一致するように調整することができる。したがって、位相差検出部210が調整値P'の演算結果をループフィルタ140に供給することにより、ループ制御部200は、回転磁場の角度θに追従する検出角度φを出力することができる。
【0086】
なお、オフセット調整部410は、第1乗算部412および第2乗算部414を用いて、オフセット誤差を調整することを説明した。この場合、乗算回路が2つ増加するので、角度検出装置10は、実装面積が増加してしまうことがある。そこで、補正値記憶部220は、第1オフセット調整値および第2オフセット調整値を、ビットストリームでオフセット調整部410に供給してよい。補正値記憶部220は、例えば、第1オフセット調整値として各ビットが補正値Oxに相当する同一の重みを有するビットストリームを供給する。補正値記憶部220は、同様に、第2オフセット調整値として各ビットが補正値Oyに相当する同一の重みを有するビットストリームを供給してよい。
【0087】
この場合、オフセット調整部410は、補正値記憶部220から受け取った第1オフセット調整値のビットストリームを、ビット毎に第1フィードバック信号と乗算して、位相差に加算していく。同様に、オフセット調整部410は、補正値記憶部220から受け取った第2オフセット調整値のビットストリームを、ビット毎に第2フィードバック信号と乗算して、位相差に減算していく。
【0088】
以上のオフセット調整部410が実行するビットストリームを用いた乗算は、
図2で説明した外積演算部130の加減算によって外積Pを算出する動作と同様に、加減算処理で実行することができる。したがって、オフセット調整部410は、実装面積が増加することを防止しつつ、オフセット誤差を調整することができる。したがって、本実施形態に係るループ制御部200は、回路規模を増加することを防止しつつ、オフセット誤差に応じた検出角度の誤差を調整することができる。
【0089】
以上の本実施形態に係る角度検出装置10は、磁気感度のミスマッチおよびオフセット誤差に対応する検出角度の誤差を調整する例を説明した。これに代えて、角度検出装置10は、他軸感度に対応する検出角度の誤差を調整してもよい。そこでまず、他軸感度について次に説明する。
【0090】
図8は、本実施形態に係る第1磁気センス部30および第2磁気センス部32が出力する第1磁場検出信号Vxおよび第2磁場検出信号Vyの第3例を示す。
図8は、横軸が第1方向(X軸方向)を検出する第1磁気センス部30の第1磁場検出信号Vxを示し、縦軸が第2方向(Y軸方向)を検出する第2磁気センス部32の第2磁場検出信号Vyを示す。点線で示す信号は、理想的な磁場検出信号であり、XY平面において略円形の形状を有する信号となる。即ち、
図8は、理想的な第1磁場検出信号VxをB・cosθとし、理想的な第2磁場検出信号VyをB・sinθとした例を示す。
【0091】
実線で示す信号は、第1磁気センス部30および第2磁気センス部32に他軸感度が生じた場合の磁場検出信号を示す。
図8は、第1磁場検出信号Vxに+B・γ・sinθ、第1磁場検出信号Vxに+B・γ・cosθの他軸感度が含まれる場合の磁場検出信号を示す。このように、第1磁気センス部30および第2磁気センス部32に他軸感度が生じると、角度検出装置10は、正確な検出角度φを出力することができなくなる。
【0092】
ここで、他軸感度が含まれる場合の磁場検出信号を次式のように近似する。他軸感度による角度誤差が5度程度までであれば、このような近似の精度は高いと考えられる。
(数13)
Vx=B・(cosθ+γ・sinθ)
≒B・(cosγ・cosθ+sinγ・sinθ)
=B・cos(θ−γ)
Vy=B・(sinθ+γ・cosθ)
≒B・(cosγ・sinθ+sinγ・cosθ)
=B・sin(θ+γ)
【0093】
この場合、(数2)式で示す外積Pは、次式のように算出される。ここで、γ≒0と近似した。
(数14)
P=−B・cos(θ−γ)・sinφ+B・sin(θ+γ)・cosφ
=B・[−0.5・{sin(θ−γ+φ)−sin(θ−γ−φ)}
+0.5・{sin(θ+γ+φ)+sin(θ+γ−φ)}]
=B・[0.5・{−sin(θ+φ−γ)+sin(θ+γ+φ)}
+0.5・{sin(θ−φ−γ)+sin(θ−φ+γ)}]
=B・{cos(θ+φ)・sinγ+sin(θ−φ)・cosγ}
≒B・{cos(θ+φ)・γ+sin(θ−φ)・1}
=B・γ・cos2θ
【0094】
以上のように、外積Pは、位相差(θ−φ)を0にしても値を有する場合が生じるので、検出角度φは、他軸感度に応じた角度誤差が含まれてしまうことになる。そこで、本実施形態に係る角度検出装置10は、他軸感度に応じた角度誤差を低減させるように調整する。
【0095】
角度検出装置10は、一例として、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号の位相をδを用いて次式のように調節する。ここで、γ≒δ≒0と近似した。
(数15)
P=−B・cos(θ−γ)・sin(φ+δ)
+B・sin(θ+γ)・cos(φ−δ)
=B・[−0.5・{sin(θ−γ+φ+δ)−sin(θ−γ−φ−δ)}
+0.5・{sin(θ+γ+φ−δ)+sin(θ+γ−φ+δ)}]
=B・[0.5・{−sin(θ+φ−γ+δ)+sin(θ+γ+φ−δ)}
+0.5・{sin(θ−φ−γ−δ)+sin(θ−φ+γ+δ)}]
=B・{cos(θ+φ)・sin(γ−δ)+sin(θ−φ)・cos(γ+δ)}
≒B・{cos(θ+φ)・0+sin(θ−φ)・1}
=B・sin(θ−φ)
≒B・(θ−φ)
【0096】
以上のように、補正値δを用いることにより、(数6)式と同様に、位相差(θ−φ)を0にすると、外積Pを0にすることができる。したがって、角度検出装置10は、検出角度φをθに追従させることで、他軸感度に応じた角度誤差を低減させることができる。本実施形態に係る角度検出装置10は、(数15)式の演算を実行する回路を用いることで、他軸感度に応じた角度誤差を低減させる。このような角度検出装置10について、次に説明する。
【0097】
図9は、本実施形態に係る角度検出装置10の第5構成例を示す。第5構成例の角度検出装置10において、
図2に示された第1構成例の角度検出装置10の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第5構成例の角度検出装置10は、ループ制御部200を備える。ループ制御部200は、位相差検出部210と、ループフィルタ140と、角度更新部150と、を有する。ループフィルタ140および角度更新部150は、
図2で説明したので、ここでは説明を省略する。
【0098】
図9は、第1磁気センス部30および第2磁気センス部32の他軸感度を、位相差検出部210が調整する例を示す。即ち、位相差検出部210は、第1変調信号および第2変調信号と、検出角度φに応じた第1フィードバック信号および第2フィードバック信号とに基づいて、位相差を示す位相差信号を出力し、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号を調整する。位相差検出部210は、記憶部120と、外積演算部130と、補正値記憶部220と、他軸感度調整部510と、を含む。
【0099】
補正値記憶部220は、検出角度φの誤差を調整する補正値δを記憶する。補正値記憶部220は、+δおよび−δの値をそれぞれ記憶してもよい。なお、本実施形態において、補正値δを第3調整角度とする。
【0100】
他軸感度調整部510は、補正値記憶部220の第3調整角度δに基づき、検出角度φを加算および減算する。他軸感度調整部510は、第3角度加算部512および第3角度減算部514を含む。第3角度加算部512は、検出角度φに第3調整角度δを加算する。第3角度加算部512は、加算結果(φ+δ)を、記憶部120に供給する。第3角度減算部514は、検出角度φから第3調整角度δを減算する。第3角度減算部514は、減算結果(φ−δ)を、記憶部120に供給する。
【0101】
第3角度加算部512および第3角度減算部514は、角度に基づくアドレスを記憶部120に供給してもよい。また、第3角度加算部512および第3角度減算部514は、検出角度φに第3調整角度δを加算した角度に基づくアドレスおよび検出角度φに第3調整角度δを減算した角度に基づくアドレスを、異なるサイクルで記憶部120に入力してよい。即ち、他軸感度調整部510は、クロック信号等に応じて、角度に基づくアドレス値を、順次、記憶部120に供給してよい。
【0102】
記憶部120は、検出角度φおよび第3調整角度δによって定まる角度に対応するsin値およびcos値を出力する。即ち、記憶部120は、第3角度加算部512の加算結果(φ+δ)に対応するsin(φ+δ)の値、および、第3角度減算部514の減算結果(φ−δ)に対応するcos(φ−δ)の値を、それぞれ出力する。
【0103】
即ち、他軸感度調整部510は、第1変調信号および第2変調信号間の他軸感度を調整するべく、第3調整角度δが加算された検出角度φ+δを用いて第1フィードバック信号を生成し、第3調整角度δが減算された検出角度φ−δを用いて第2フィードバック信号を生成する。また、他軸感度調整部510は、第3調整角度δが加算された検出角度φ+δに応じたsin値に基づく第1フィードバック信号を生成し、第3調整角度δが減算された検出角度φ−δに応じたcos値に基づく第2フィードバック信号を生成する。
図9は、他軸感度調整部510が、sin(φ+δ)を第1フィードバック信号として記憶部120から出力させ、cos(φ−δ)を第2フィードバック信号として記憶部120から出力させる例を示す。
【0104】
外積演算部130は、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号と、第1変調信号および第2変調信号とを用いて、外積Pを演算する。本実施形態の外積演算部130は、他軸感度調整部510が、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号を第3調整角度δに基づいて調整するので、外積演算部130は、(数15)式に示す外積Pを演算することになる。したがって、外積演算部130は、外積Pの演算結果をループフィルタ140に供給することにより、ループ制御部200は、回転磁場の角度θに追従する検出角度φを出力することができる。
【0105】
なお、外積演算部130は、
図2で説明したように、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号の加減算によって外積Pを算出することができる。また、他軸感度調整部510は、検出角度φから第3調整角度δの分だけアドレス値をずらしたデータを用いるので、記憶部120に記憶すべきデータを増加させずに、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号を調整することができる。したがって、本実施形態に係るループ制御部200は、回路規模を増加することを防止しつつ、また、取り扱うデータが増加することも防止しつつ、他軸感度に応じた角度誤差を調整することができる。
【0106】
以上の本実施形態に係る角度検出装置10は、磁気感度のミスマッチ、オフセット誤差、および他軸感度のいずれかに対応する検出角度の誤差を、それぞれ調整する例を説明した。これに代えて、または、これに加えて、角度検出装置10は、磁気感度のミスマッチ、オフセット誤差、および他軸感度のいずれかに対応する検出角度の誤差のうち、2以上の誤差を調整してもよい。このような角度検出装置10に設けられる位相差検出部210について、次に説明する。
【0107】
図10は、本実施形態に係る位相差検出部210の第1変形例を示す。第1変形例の位相差検出部210において、
図4、
図7、および
図9に示された位相差検出部210の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第1変形例の位相差検出部210は、記憶部120と、外積演算部130と、補正値記憶部220と、第1加減算部230と、第1振幅調整部240と、オフセット調整部410と、他軸感度調整部510を含む。
【0108】
補正値記憶部220は、第1調整角度β、第1オフセット調整値Ox、第2オフセット調整値Oy、および第3調整角度δを記憶する。補正値記憶部220は、第1調整角度βを第1加減算部230に、第1オフセット調整値Oxおよび第2オフセット調整値Oyをオフセット調整部410に、第3調整角度δを他軸感度調整部510に、それぞれ供給する。
【0109】
第1加減算部230および第1振幅調整部240は、
図4で説明したように、第1フィードバック信号を調整して、磁気感度のミスマッチに応じた角度誤差を調整できる。オフセット調整部410は、
図7で説明したように、外積演算部130が演算した外積Pを調整して、オフセット誤差に応じた角度誤差を調整できる。他軸感度調整部510は、
図9で説明したように、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号を調整して、他軸感度に応じた角度誤差を調整できる。
【0110】
したがって、本実施形態に係る位相差検出部210は、磁気感度のミスマッチ、オフセット誤差、および他軸感度に対応する検出角度の誤差を、それぞれ調整することができる。なお、
図10は、第1方向の磁気感度が第2方向と比較して大きい場合の角度誤差を、位相差検出部210が調整する例を示す。これに代えて、位相差検出部210は、第1方向の磁気感度が第2方向と比較して小さい場合の角度誤差を調整してもよい。このような位相差検出部210を次に説明する。
【0111】
図11は、本実施形態に係る位相差検出部210の第2変形例を示す。第2変形例の位相差検出部210において、
図5、
図7、および
図9に示された位相差検出部210の動作と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。第2変形例の位相差検出部210は、記憶部120と、外積演算部130と、補正値記憶部220と、第2加減算部330と、第2振幅調整部340と、オフセット調整部410と、他軸感度調整部510を含む。
【0112】
即ち、第2変形例の位相差検出部210は、
図10に示す第1変形例の位相差検出部210の第1加減算部230および第1振幅調整部240に代えて、第2加減算部330および第2振幅調整部340を備える。補正値記憶部220は、第2調整角度βを記憶し、補正値記憶部220は、第2調整角度βを第2加減算部330に供給する。第2加減算部330および第2振幅調整部340は、
図5で説明したように、第2フィードバック信号を調整して、磁気感度のミスマッチに応じた角度誤差を調整できる。第2変形例の位相差検出部210の他の動作は、
図10に示す第1変形例の位相差検出部210の動作と略同一なので、ここでは説明を省略する。
【0113】
以上により、本実施形態に係る位相差検出部210は、磁気感度のミスマッチ、オフセット誤差、および他軸感度に対応する検出角度の誤差を、それぞれ調整することができる。なお、
図10および
図11で説明した位相差検出部210は、第1フィードバック信号および第2フィードバック信号のいずれかを調整して、磁気感度のミスマッチに応じた角度誤差を調整することを説明した。これに代えて、位相差検出部210は、第1加減算部230、第1振幅調整部240、第2加減算部330、および第2振幅調整部340を含んでもよい。
【0114】
この場合、位相差検出部210は、第1方向および第2方向の磁気感度の大小に応じて、第1加減算部230および第1振幅調整部240による第1フィードバック信号の調整と、第2加減算部330および第2振幅調整部340による第2フィードバック信号の調整とを、切り換えてよい。これにより、位相差検出部210は、2種類の磁気感度のミスマッチ、オフセット誤差、および他軸感度に対応する検出角度の誤差を、それぞれ調整することができる。
【0115】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0116】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。