(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、画像測定装置を用いてワークの寸法測定や形状測定を行う場合、測定者は、測定結果を取得するまでに、数多くの手順を必要とする事があった。例えば、測定者は、ディスプレイ上からワークの画像を視認して測定対象の形状を判断し、この形状に応じてエッジ検出用のツールを選択し、選択したツールを画像上の適切な位置に設定(位置合わせ)し、別途操作を行うことによりエッジ検出を行って、この測定対象の輪郭線上に位置する複数のエッジ点(エッジ点群)を取得することがあった。また、測定者は、別途操作を行うことによって所望の測定対象に対応するエッジ点群及び目的とする測定値の種類(例えば、測定対象の中心位置や、形状、輪郭線、幅等)を選択して、所望の測定対象についての測定結果を算出させることがあった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ワークを測定するまでの手順が少なく、容易に測定を行うことが可能な画像測定装置、その制御プログラム及び測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決すべく、本発明の一の実施の形態に係る画像測定装置は、ワークを撮像して、このワークの画像を取得する撮像装置と、この画像に基づいてワークの寸法測定や形状測定等を行い、この測定結果を出力する演算装置とを備える。また、この演算装置は、この画像に対してエッジ検出処理を行ってエッジ点群を取得し、このエッジ点群に対して、複数の形状要素を順次あてはめて、あてはめ誤差の一番小さな形状要素を選択する。また、この演算装置は、この選択された形状要素に基づいて、測定対象の中心位置や、形状、輪郭線、幅等の測定結果を算出する。
【0008】
このような画像測定装置は、取得した画像に対してエッジ検出処理を行うことにより、測定対象の輪郭線上に位置するエッジ点群を取得している。また、このエッジ点群に複数の形状要素をあてはめて、あてはめ誤差の一番小さな形状要素を選択することにより、エッジ点群に最も好適にフィットする形状要素を判定している。これにより、測定対象の形状を判定する事が可能である。また、エッジ点群に形状要素をあてはめる際に、形状要素がエッジ点群に最も好適にフィットする様な形状要素の位置や大きさ等を算出し、測定対象の中心位置や輪郭線、幅等を算出する事も可能である。従って、測定者は、別途操作を行うことなくエッジ点群から所望の測定値を取得する事が可能となり、容易に寸法測定や形状測定を行うことが可能となる。
【0009】
また、上記演算装置は、エッジ検出処理に際して、画像中の一点を指定し、画像中に、この指定された一点を通る線分を配置し、この線分に沿って、画像に含まれる輪郭線上に位置する第1のエッジ点を取得し、この第1のエッジ点から上記輪郭線に沿って順次エッジ点の検出を行って、上記エッジ点群を取得する事が出来る。
【0010】
このような態様においては、画像中の一点を指定することによって上記エッジ点群を取得する事が出来る。従って、このエッジ点群に対して形状要素をあてはめ、あてはめ誤差の一番小さな形状要素を選択し、測定結果を算出する事により、測定者は、画像中の一点を指定することによって測定結果を取得する事が可能となる。従って、測定者は、例えば、ディスプレイ上からワークの画像を視認して測定対象の形状を判断したり、この形状に応じてエッジ検出用のツールを選択したり、選択したツールを画像上の適切な位置に設定(位置合わせ)したりすることなく測定結果を取得する事が可能となり、容易に寸法測定や形状測定を行うことが可能となる。
【0011】
また、上記演算装置には、測定結果を格納する測定結果格納部を設ける事が出来る。また、演算装置は、測定結果が算出された後、測定結果格納部に測定結果が格納されているか否かを判定し、測定結果格納部に測定結果が格納されていた場合には、測定結果格納部に格納されていた測定結果と、新たに取得した測定結果との間で、組合せ計算を行う事が出来る。
【0012】
このような態様においては、測定者は、複数の測定対象について順次寸法測定や形状測定を行うことによって組合せ計算の結果を取得する事が出来る。
【0013】
また、上記画像測定装置には、上記演算装置に接続された表示装置及びマウスやキーボード等、測定者の操作を入力する操作入力装置を更に設ける事が出来る。また、演算装置は、撮像装置によって取得された画像に操作入力装置によって操作されるポインタが重畳された映像を表示装置によって表示する事が出来る。また、演算装置は、画像中の、ポインタによって指定された部分に対して上記エッジ検出処理を行う事が出来る。
【0014】
このような態様においては、測定者は、ほぼ視点を移動させることなく順次複数の測定箇所を指定し、これら測定箇所についての測定結果や、組合せ計算の結果等を取得する事が可能である。従って、例えばワークが複雑なパターンを有している場合等においても、測定者は、適切な測定対象を容易に選択する事が可能であり、作業性を向上させることが可能である。
【0015】
また、上記演算装置は、撮像装置によって取得された画像上に測定結果を重畳して表示する事が出来る。
【0016】
このような態様においては、例えばワークが複雑なパターンを有している場合においても、測定者は、既に寸法測定や形状測定が行われたパターンを容易に判別する事が出来る。また、測定者は、例えば適切なパターンに隣接する間違ったパターンに対して寸法測定や形状測定を行ってしまった場合や、円形状を有するパターンが楕円形状であると判定された場合等に、この様な間違いを直感的に判別する事が可能である。
【0017】
本発明の一の実施の形態に係る画像測定装置の制御プログラムは、ワークを撮像して、ワークの画像を取得する撮像装置と、この画像に基づいてワークの寸法測定を行い、測定結果を算出する演算装置とを制御して、測定結果の算出を行う。即ち、このプログラムは、この演算装置に、上記画像に対してエッジ検出処理を行わせてエッジ点群を取得させ、このエッジ点群に対して、複数の形状要素を順次あてはめさせて、あてはめ誤差の一番小さな形状要素を選択させ、選択された形状要素に基づいて、測定対象の中心位置や、形状、輪郭線、幅等の測定結果を算出させる。
【0018】
本発明の一の実施の形態に係る測定装置は、ワークを測定して、ワークの位置や形状を示す測定点群を取得する測定部と、この測定点群に基づいてワークの寸法測定を行い、この測定結果を算出する演算装置とを備える。また、この演算装置は、上記測定点群に対して、複数の形状要素を順次あてはめて、あてはめ誤差の一番小さな形状要素を選択する。また、この演算装置は、この選択された形状要素に基づいて、測定対象の中心位置や、形状、輪郭線、幅等の測定結果を算出する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、容易に測定を行うことが可能な画像測定装置、その制御プログラム及び測定装置を提供する事が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施の形態]
次に、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
まず、
図1を参照して、本実施の形態に係る画像測定装置の概略的な構成について説明する。
【0023】
図1に示す通り、本実施の形態に係る画像測定装置は、互いに直交するX,Y,Z軸を備えると共に、このZ軸の先端にワーク3を撮像する撮像装置としてカメラ141が搭載された画像測定機1と、この画像測定機1と接続されたコンピュータ(以下、「PC」と呼ぶ。)2と、を備えている。
【0024】
画像測定機1は、次のように構成されている。即ち、試料移動手段11の上には、試料台12がその上面をベース面として水平面と一致するように載置され、試料移動手段11の両側端から立設されたアーム支持体13a,13bの上端でX軸ガイド13cを支持している。試料台12は、試料移動手段11によってY軸方向に駆動される。X軸ガイド13cには、撮像ユニット14がX軸方向に駆動可能に支持されている。撮像ユニット14の下端には、カメラ141がZ軸方向に駆動可能に装着されている。
【0025】
尚、本実施の形態においては試料台12上に配置されたワーク3を撮像する形式をとっているが、当然他の形式でも良く、例えば床に設置されたワークを横方向から撮像する様な形式でも良い。又、カメラ141としてはCCD、CMOS等種々のカメラを使用可能である。また、カメラ141としては、画像測定機1に着脱可能な画像プローブを採用する事も出来る。
【0026】
PC2は、演算装置22と、この演算装置22に接続された表示装置21及び入力装置23を備えている。演算装置22は、内部にCPUやハードディスク等の記憶装置を備えている。表示装置21は、例えば、ディスプレイやプロジェクタ等である。入力装置23は、測定者の操作を入力する操作入力装置であり、例えばマウスやキーボード、タッチパネル等である。
【0027】
次に、
図2を参照して、表示装置21の画面上に表示される映像について説明する。
【0028】
図2に示す通り、表示装置21の画面上には、カメラ141によって取得されたワーク3の画像が表示されている。
図2に示す例において、ワーク3は、円状の貫通孔31及び32、楕円状の貫通孔33、並びに、輪郭線34を含んでいる。また、表示装置21の画面上には、入力装置(マウス等)23によって操作されるポインタが表示されている。
【0029】
例えば、
図2に示す通り、ポインタをワーク3の貫通孔31の輪郭線の近傍に設定し、クリックやドラッグ等の操作が行われた場合、演算装置22は、この貫通孔31について、寸法測定を行う。即ち、演算装置22は、貫通孔31の輪郭線に沿って、この輪郭線上に位置する複数のエッジ点(エッジ点群)を検出し、このエッジ点群に基づいてこの貫通孔31が円形であることを判定し、この貫通孔31の中心位置や直径等を算出する。
【0030】
次に、
図3を参照して、本施の形態に係る演算装置22の構成について、更に詳しく説明する。
【0031】
図3に示す通り、本実施の形態に係る画像測定装置においては、カメラ141がワーク3を撮像し、ワーク3の画像を取得する。また、この画像は、演算装置22を介して、表示装置21に転送される。また、演算装置22は、入力装置23を介して測定者の操作を受け付け、これに応じてワーク3の寸法測定を行う。例えば、画像中から測定対象となる部分(例えば、貫通孔31と32、貫通孔33と輪郭線34等)を抽出し、この測定対象について、中心位置等の位置に関する値や、形状、輪郭線、幅等の形状に関する値を算出する。
【0032】
図3に示す通り、演算装置22は、CPU、メモリ及びハードディスク(記憶装置24)等に格納されたプログラムによって、下記の機能を実現する。即ち、ポインタ処理部221は、入力装置23を介して測定者の操作を受け付け、これに応じて、表示装置21に表示されるポインタ(
図2参照)の位置の算出等を行う。エッジ検出部222は、カメラ141によって取得された画像中、ポインタの位置等に応じて指定された部分に対してエッジ検出処理を行い、エッジ点群を算出する。要素選択部223は、算出されたエッジ点群に対して、円要素や直線要素等の複数の形状要素を順次あてはめて、あてはめ誤差の一番小さな形状要素を選択する。あてはめには、例えば、最小二乗法が用いられる。この場合のあてはめ誤差とは、例えば、エッジ点と形状要素との距離の二乗を全てのエッジ点について算出し、算出された値を合計した値である。尚、形状要素は、要素テーブル224に格納されている。また、要素選択部223は、選択された形状要素(形状要素)及びそのパラメータを、測定結果として表示装置21に表示させる。また、これら選択された形状要素及びそのパラメータは、測定結果テーブル(測定結果格納部)226に格納される。組合せ計算部225は、要素選択部223から出力された測定結果と、測定結果テーブル226に格納された測定結果との間で組合せ計算を行い、その計算結果を表示装置21に表示させる。また、組合せ計算部225は、組合せ計算の計算結果と、測定テーブル226に格納された測定結果との間で更に組合せ計算を行い、その計算結果を表示装置21に表示させる。尚、このような組合せ計算の計算結果は測定結果として測定結果テーブル226に格納される。
【0033】
尚、形状要素とは、形状を表す要素であり、例えば、円形状を有する円要素、楕円形状を有する楕円要素、正方形状を有する正方形要素、長方形状を有する長方形要素、三角形その他の多角形状を有する多角形要素、直線形状を有する直線要素又は曲線形状を有する曲線要素等を含むものである。また、これら形状要素の大きさ、位置、形状等は、パラメータによって規定される。例えば、円要素は、中点の位置座標(X,Y)及び直径(D)によって規定される。また、例えば楕円要素は、中点の位置座標(X,Y)、長径(Major Axis)、短径(Minor Axis)及び角度等によって規定される。また、例えば正方形要素は、中点の位置座標、一片の長さ及び角度等によって規定される。また、例えば長方形要素は、中点の位置座標、長手方向における長さ、短手方向における長さ及び角度等によって規定される。また、例えば直線要素は、傾き及び切片の位置によって規定される。また、例えば曲線要素は、種々の方法によって規定される。
【0034】
次に、
図4〜
図14を参照して、本実施の形態に係る画像測定装置による寸法測定の方法について説明する。以下の説明においては、ワーク3の貫通孔31、貫通孔33及び輪郭線34に対して、順次寸法測定を行う場合を例として、説明を行う。
【0035】
まず、
図4〜
図6を参照して、ステップS101について説明する。
【0036】
図4〜
図6に示す通り、ステップS101においては、ポインタの近傍において、エッジ検出処理を行う。例えば、画像中、ポインタによって画像中の一点を指定し、この一点に基づいて指定される範囲(第1の範囲R1、第1の幾何形状)において、例えば貫通孔31の輪郭線上に位置するエッジ点を検出し、これを第1のエッジ点として取得する。
【0037】
エッジ検出処理を行う範囲R1(第1の幾何形状)は、クリックによる方法やドラッグによる方法等、種々の方法で指定することが可能であるが、
図4〜
図6に示す例においては、次のように行っている。即ち、
図2に示す通り、ポインタをワーク3の貫通孔31の輪郭線の近傍に設定し、クリック等の操作が行われると、演算装置22は、
図5に示す通り、ポインタ位置等を中心として円状の第1の範囲R1を設定し、この第1の範囲R1内に、直線状のエッジ検出ツールt1〜t4を、所定の角度差を有するように複数設定し、これらエッジ検出ツールt1〜t4に沿ってエッジ点を検出する。尚、これらエッジ検出ツールt1〜t4は、例えば、ポインタ位置等を通る様に配置される。
【0038】
エッジ点は、種々の態様で検出することが可能であるが、
図4〜
図6に示す例においては、次のように行っている。即ち、
図6に示す様に、各エッジ検出ツールt1〜t4に沿って画像における濃淡レベルを抽出し、濃淡レベルの傾き(微分値)が最も大きくなる点(画素)をエッジ点と判定する。また、各エッジ検出ツールt1〜t4のうち、濃淡レベルの傾き(微分値)の最大値が最も大きかったエッジ検出ツールt2を選択し、このエッジ検出ツールt2についてのエッジ点を第1のエッジ点として取得する。
【0039】
次に、
図4、
図7及び
図8を参照して、ステップS102について説明する。
【0040】
図4、
図7及び
図8に示す通り、ステップS102においては、エッジトレースを行い、エッジ点群を取得する。例えば、ステップS101において取得された第1のエッジ点から、貫通孔31の輪郭線に沿って順次エッジ点を検出し、これら複数のエッジ点を複数の第2のエッジ点として取得する。更に、第1のエッジ点及び複数の第2のエッジ点を、エッジ点群として取得する。
【0041】
エッジトレースは、種々の態様で行うことが可能であるが、
図7及び
図8に示す例においては、次のように行っている。即ち、
図7に示す通り、ステップS101において選択されたエッジ検出ツールt2を含む第2の範囲R2を設定し、この第2の範囲R2内に、複数のエッジ検出ツールt5〜t8を設定する。次に、
図8に示す通り、これら複数のエッジ検出ツールt5〜t8において、濃度レベルが最も大きく変化する点(画素)等をエッジ点として検出し、これらを第2のエッジ点として取得する。次に、例えばこれら複数の第2のエッジ点に直線や曲線等をフィッティングし、これら直線や曲線等に沿って更に第2の範囲R2を設定し、この第2の範囲R2内に、複数のエッジ検出ツールを設定して、複数の第2のエッジ点を取得する。以下同様に、順次エッジ検出ツールを設定し、このエッジ検出ツールに沿ってエッジ検出を行うことにより、複数の第2のエッジ点を取得する。
【0042】
尚、エッジ検出ツールt5〜t8の設定は、種々の態様で行うことが可能であるが、
図7に示す例においては、エッジ検出ツールt5〜t8が、全てエッジ検出ツールt2と平行に設定されている。また、
図7に示す例においては、エッジ検出ツールt5〜t8の長さが、全て一致している。
【0043】
次に、
図4及び
図9〜
図11を参照して、ステップS103について説明する。
【0044】
図4及び
図9に示す通り、ステップS103においては、ステップS102において取得されたエッジ点群に対して、複数の形状要素を順次あてはめて、あてはめ誤差の一番小さな形状要素を選択要素として選択する。形状要素の選択は、種々の態様で行うことが可能であるが、
図9に示す例においては、下記ステップS201〜S204に沿って行われている。
【0045】
即ち、
図9に示す通り、ステップS201においては、複数の形状要素(例えば、円要素、楕円要素、正方形要素、長方形要素、多角形要素、直線要素、曲線要素等)の中から、一の形状要素を選択する。例えば、ステップS103の処理が開始されてから一回目にステップS201を行う場合には、円要素を選択する。例えば、二回目にステップS201を行う場合には、楕円要素を選択する。以下同様に、ステップS201においては、複数の形状要素の中から、順次一の形状要素を選択する。
【0046】
ステップS202においては、ステップS102において取得されたエッジ点群に対して、ステップS201において選択された形状要素(例えば円要素)をフィッティングする(あてはめる)。例えば、まず、円要素を規定するパラメータ(中点の位置座標X,Y及び直径D)に初期値を設定して、この円要素とエッジ点群とのフィッティング誤差(あてはめ誤差)を算出する。フィッティング誤差(あてはめ誤差)は、例えば、
図3を参照して説明した方法によって算出する。次に、
図10に示す通り、このフィッティング誤差が小さくなるように、順次パラメータを変化させつつ、フィッティング誤差を算出する。
図10に示す通り、このフィッティング誤差が最小となるパラメータが算出された場合、この時のフィッティング誤差を最小フィッティング誤差と、この時のパラメータを最適パラメータとして取得し、ステップS202の処理を終了する。
【0047】
ステップS203においては、エッジ点群に対して、全ての形状要素をフィッティングしたか否かを判定し、全ての形状要素についてフィッティングしていなかった場合には再度ステップS201を行い、していた場合にはステップS204を行う。
【0048】
ステップS204においては、各形状要素の最小フィッティング誤差を比較して、最小フィッティング誤差が最も小さかった形状要素を、選択要素として選択する。また、ステップS204においては、この選択要素に対応する形状や最適パラメータ等を、測定結果として出力する。例えば、
図11に示す例においては、選択要素e1として円要素が選択されており、この選択要素e1の画像が、ワーク3の貫通孔31の輪郭線に重畳されて表示されている。また、
図11に示す例においては、選択要素e1の近傍に、上記最適パラメータ(中点の位置座標X,Y及び直径D)が測定結果r1として表示されている。尚、選択要素e1及び測定結果r1は、演算装置22(測定結果テーブル226)に格納される。
【0049】
次に、
図4及び
図12〜
図15を参照して、ステップS104及びステップS105について説明する。
【0050】
図4に示す通り、ステップS104においては、演算装置22(測定結果テーブル226)に測定結果が格納されているか否かを判定し、測定結果が格納されていなかった場合には、寸法測定を終了する。一方、測定結果が格納されていた場合には、ステップS105を行う。
【0051】
例えば、ワーク3の貫通孔31の寸法測定が行われた時点で、演算装置22に測定結果が格納されていなかった場合、ステップS104においてその旨が判定され、貫通孔31についての寸法測定は終了となる。一方、例えば、
図12に示す通り、貫通孔31の寸法測定が終了した後で貫通孔33の寸法測定を開始すると、
図13に示す通り、貫通孔33について、上述したステップS101〜S103までの処理が行われ、その後、ステップS104において、測定結果が格納されている旨が判定される。尚、
図13に示す例においては、貫通孔33について、上述したステップS101〜S103までの処理が行われた結果、選択要素e2(楕円要素)及び測定結果r2(中点の位置座標X,Y、長径 Major Axis、短径 Minor Axis等)が取得されている。
【0052】
図4及び
図13〜
図15に示す通り、ステップS105においては、演算装置22に格納された測定結果と、新たに取得した測定結果との間で、組合せ計算を行う。
【0053】
例えば、
図13に示す例においては、選択要素e1と選択要素e2との間の距離(L)を算出し、測定結果r12として出力している。尚、このようにして算出された組合せ計算の結果は、ステップS101〜S103において取得された測定結果と共に、演算装置22に格納される。
【0054】
また、例えば、
図14に示す通り、貫通孔33の寸法測定が終了した後に、ポインタをワーク3の輪郭線34の近傍に設定し、クリックやドラッグ等の操作が行われた場合、演算装置22は、輪郭線34についての寸法測定を行う。輪郭線34についての寸法測定では、上述したステップS101〜S103が行われる。
図15に示す例においては、輪郭線34についての寸法測定が行われ、これによって選択要素e3(直線要素)及び図示しない測定結果が取得される。
【0055】
ここで、輪郭線34についての寸法測定においても、ステップS104の処理が行われる時点で、演算装置22に測定結果が格納されている。従って、輪郭線34についての寸法測定においても、その旨が判定され、ステップS105が行われる。
【0056】
ここで、輪郭線34についての寸法測定においては、演算装置22に、測定結果r1、測定結果r2、及び、測定結果r12が格納されている。従って、輪郭線34についての寸法測定においては、これら複数の測定結果と、新たに取得された測定結果(選択要素e3)との間で、更に組合せ計算が行われ、測定結果r23等として出力される。
【0057】
ここで、従来の画像測定装置を用いてワークの形状や位置等を測定する場合(寸法測定を行う場合)、測定者は、測定結果を取得するまでに、数多くの手順を必要とする事があった。例えば、測定者は、ディスプレイ上からワークの画像を視認して測定対象の形状を判断し、この形状に応じてエッジ検出用のツールを選択し、選択したツールを画像上の適切な位置に設定(位置合わせ)し、別途操作を行うことによりエッジ検出を行ってエッジ点群を取得することがあった。また、測定者は、別途操作を行うことによって所望の測定対象に対応するエッジ点群及び目的とする測定値の種類(例えば、測定対象の中心位置や、形状、輪郭線、幅等)を選択して、所望の測定対象についての測定結果を算出させることがあった。更に、例えば組合せ計算等を行う場合、測定者は、別途操作を行うことにより、ディスプレイ上から組合せ計算の種類等の選択等を行う事があった。
【0058】
ここで、第1の実施の形態においては、
図4等を参照して説明した通り、ワークの画像に対してエッジ検出処理を行ってエッジ点群を取得し(ステップS101及びステップS102)、このエッジ点群に対して、複数の形状要素を順次あてはめて、あてはめ誤差の一番小さな形状要素を選択し(ステップS103)、この選択された形状要素に基づいて、測定対象の中心位置や、形状、輪郭線、幅等の測定結果を算出している(ステップS103)。
【0059】
即ち、第1の実施の形態に係る画像測定装置は、ステップS101及びステップS102において、ワークの画像に対してエッジ検出処理を行うことにより、測定対象の輪郭線上に位置するエッジ点群を取得している。また、ステップS103においてこのエッジ点群に複数の形状要素をあてはめて、あてはめ誤差の一番小さな形状要素を選択することにより、エッジ点群に最も好適にフィットする形状要素を判定している。これにより、測定対象の形状を判定する事が可能である。また、ステップS103においてエッジ点群に形状要素をあてはめる際に、形状要素がエッジ点群に最も好適にフィットする様な形状要素の位置や大きさ等を算出し、測定対象の中心位置や輪郭線、幅等を算出する事も可能である。従って、測定者は、別途操作を行うことなくエッジ点群から所望の測定値を取得する事が可能となり、容易に寸法測定を行うことが可能となる。
【0060】
また、第1の実施の形態に係る画像測定装置は、
図4等を参照して説明した通り、エッジ検出処理(ステップS101及びステップS102)に際して、画像中の一点を指定し、画像中に、この指定された一点を通るようにエッジ検出ツールt1〜t4配置し、このエッジ検出ツールt1〜t4に沿って、画像に含まれる輪郭線上に位置する第1のエッジ点を取得し(ステップS101)、この第1のエッジ点から上記輪郭線に沿って順次エッジ点の検出を行って、上記輪郭線上に位置する複数の第2のエッジ点を取得し(ステップS102)、これら第1のエッジ点及び複数の第2のエッジ点を、上記エッジ点群として取得している(ステップS102)。
【0061】
即ち、第1の実施の形態においては、画像中の一点を指定することによって上記エッジ点群を取得する事が出来る。従って、このエッジ点群に対して形状要素をあてはめ、あてはめ誤差の一番小さな形状要素を選択し、測定結果を算出する事により、測定者は、画像中の一点を指定することによって測定結果を取得する事が可能となる。従って、測定者は、例えば、ディスプレイ上からワークの画像を視認して測定対象の形状を判断したり、この形状に応じてエッジ検出用のツールを選択したり、選択したツールを画像上の適切な位置に設定(位置合わせ)したりすることなく測定結果を取得する事が可能となり、容易に寸法測定を行うことが可能となる。
【0062】
また、第1の実施の形態に係る画像測定装置においては、
図3を参照して説明した通り、演算装置22が、測定結果を格納する測定結果テーブル36を備えている。また、
図4等を参照して説明した通り、演算装置22が、測定結果が算出された後(ステップS103)、測定結果テーブル36に測定結果が格納されているか否かを判定し(ステップS104)、測定結果テーブル36に測定結果が格納されていた場合には、測定結果テーブル36に格納されていた測定結果と、新たに取得した測定結果との間で、組合せ計算を行う(ステップS105)。
【0063】
従って、測定者は、複数の測定対象(例えば、貫通孔31、貫通孔33、輪郭線34等)について順次寸法測定を行うことによって組合せ計算の結果を取得する事が出来、容易に寸法測定を行うことが可能である。
【0064】
また、第1の実施の形態に係る画像測定装置においては、撮像装置141によって取得された画像に入力装置23によって操作されるポインタが重畳された映像を表示装置21によって表示しており、上記エッジ検出処理を行う箇所を、ポインタによって指定している。
【0065】
従って、測定者は、ほぼ視点を移動させることなく順次複数の測定箇所を指定し、これら測定箇所についての測定結果や組合せ計算の結果等を取得する事が可能である。従って、例えば
図16に示す様に、ワーク3´が複雑なパターンを有している場合等においても、測定者は、適切な測定対象を容易に選択する事が可能であり、作業性を向上させることが可能である。
【0066】
また、第1の実施の形態に係る画像測定装置においては、撮像装置141によって取得された画像上測定結果を重畳して表示している。
【0067】
従って、例えばワークが複雑なパターンを有している場合においても、測定者は、既に寸法測定が行われたパターンを容易に判別する事が出来る。また、測定者は、例えば適切なパターンに隣接する間違ったパターンに対して寸法測定を行ってしまった場合や、円形状を有するパターンが楕円形状であると判定された場合等に、この様な間違いを直感的に判別する事が可能である。従って、例えば一度測定結果を取り消して再度寸法測定を行う事等も可能となる。
【0068】
また、本実施の形態においては、カメラ141によって取得した画像にポインタを重畳した映像を表示しており、このポインタをマウス等の入力装置23によって操作することにより、画像上から複数の測定対象31´〜36´を指定している。更に、これら複数の測定対象31´〜36´に対する寸法測定を行うと、これら測定対象31´〜36´に重畳されて選択要素やその最適パラメータ、組合せ計算の結果(L1〜L3,θ1,2等)等の測定結果が表示される。従って、例えば
図16に示す通り、ワーク3´が複雑なパターンを有している場合等においても、測定対象が適切に選択されていなかったことや、測定結果が適切でなかったこと等を直感的に判断する事が可能であり、容易に寸法測定を行うことが可能である。
【0069】
[第2の実施の形態]
次に、
図17を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る画像測定装置について説明する。
【0070】
本実施の形態に係る画像測定装置は、基本的には第1の実施の形態に係る画像測定装置と同様に構成されているが、本実施の形態に係る画像測定装置は、
図17に示す通り、カメラ141の視野範囲R3よりも大きいワーク3´について寸法測定を行う。このような寸法測定は、種々の態様において行う事が可能である。例えば、一視野毎に寸法測定を行って測定結果を算出し、順次ワーク3´における視野範囲R3の位置を移動させる事が出来る。また、測定対象を含む全ての画像を予め取得し、これら画像データを繋ぎ合せ、繋ぎ合わされた画像データに基づいて寸法測定を行う事も出来る。
【0071】
このような場合、表示装置21上に表示されるワーク3´上の位置が順次切り替わるため、測定対象を適切に選択する事が難しい場合がある。しかしながら、本実施の形態に係る画像測定装置によれば、測定箇所の指定から測定結果の取得までを、ほぼ視点を移動させることなく行う事が可能であるため、画面上で測定箇所を目で追うことが容易となり、適切な測定対象を容易に選択する事が可能となる。
【0072】
尚、例えば複数の画像及び測定結果を組合せて新たに映像を生成し、この映像を縮小して表示装置21等に表示したり、図示しないプリンタ等によって印刷することも可能である。
【0073】
また、例えば
図17に示す通り、測定対象37´に重畳して測定結果を表示し、これら測定結果を表示装置21上の画像に追従させて表示する事が出来る。これにより、表示装置21に表示された視野範囲が切り替わった場合にも寸法測定を行った個所とそれ以外の箇所を容易に判別する事が可能となり、適切な測定対象を容易に選択する事が可能となる。
【0074】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る画像測定装置について説明する。本実施の形態に係る画像測定装置は、基本的には第1の実施の形態に係る画像測定装置と同様に構成されているが、本実施の形態に係る画像測定装置は、カメラ141のオートフォーカス機能を用い、カメラ141の焦点位置をZ方向に移動させつつ、順次ワーク3を撮像して、Z方向位置の異なるワーク3の画像を複数取得する。次に、取得された複数の画像についてエッジ検出を行い、画像毎にエッジ点群を取得する。また、これらエッジ点群をワーク3表面のXY平面における位置と、これらエッジ点群に対応する焦点位置(Z方向位置)を各エッジ点群のZ方向における位置として、ワーク3の三次元形状を示す点群を取得する。更に、このような点群に対して、三次元形状を有する複数の形状要素を順次あてはめてあてはめ誤差の一番小さな形状要素を選択し、この選択された形状要素に基づいて、測定結果を算出する。
【0075】
尚、三次元形状を有する形状要素としては、例えば、球状の球要素、円柱状の円柱要素、円錐状の円錐要素、直方体形状を有する直方体要素、四角錐要素等、種々の三次元形状を有するものが挙げられる。
【0076】
[その他の実施の形態]
第1〜第3の実施の形態においては、本発明を画像測定装置について適用した例について説明した。しかしながら、本発明は、画像測定装置以外の測定装置に適用する事も可能である。このような測定装置は、例えば、ワークを測定して、このワークの位置や形状を示す測定点群を取得する測定機と、取得した測定点群に基づいてワークの寸法測定を行い、測定結果を出力する演算装置とを備えている。このような測定装置としては、例えば、レーザプローブ等を用いた非接触式の測定装置や、タッチプローブ等を用いた接触式の測定装置が挙げられる。
【0077】
例えば、このような測定装置において、演算装置は、測定点群に対して複数の形状要素を順次あてはめて、あてはめ誤差の一番小さな形状要素を選択し、この選択された形状要素に基づいて、測定結果を算出する。即ち、
図4等を参照して説明した通り、第1の実施の形態においては、エッジ点群に対して複数の形状要素を順次あてはめて、あてはめ誤差の一番小さな形状要素を選択要素として選択していた(ステップS103)。しかしながら、例えば測定機によってワーク表面の位置を示す座標データ(測定点)を複数取得した場合、この複数の測定点(測定点群)を用いて、ステップS103において行った様な処理を行うことが可能である。
【0078】
また、本発明は、カメラ141がZ軸方向に駆動可能に構成され、Z軸方向の座標を測定可能な三次元画像測定機を使用する場合の他、二次元画像測定機や、画像測定機能を有する顕微鏡を使用する場合にも適用可能である。