(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6653694
(24)【登録日】2020年1月30日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】イソソルビドモノオレアートを含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20200217BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20200217BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20200217BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20200217BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20200217BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/60
A61K8/44
A61K8/365
A61Q19/10
A61Q5/02
【請求項の数】41
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-501286(P2017-501286)
(86)(22)【出願日】2015年7月1日
(65)【公表番号】特表2017-520595(P2017-520595A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】EP2015064944
(87)【国際公開番号】WO2016005239
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2018年6月29日
(31)【優先権主張番号】14176684.0
(32)【優先日】2014年7月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(74)【代理人】
【識別番号】100201950
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】ストアー,クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】ニーンディック,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイセネガー,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】プリンツ,ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンツェク,ミレラ
(72)【発明者】
【氏名】ショース,イェニファー
(72)【発明者】
【氏名】ディアカー,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ボイクセン,ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】グリースバッハ,ウーテ
(72)【発明者】
【氏名】ザイペル,ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】マウアー,ヴェルナー
【審査官】
池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/041388(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/017263(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/017255(WO,A1)
【文献】
特表2012−523465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00− 47/69
C09K 3/00− 3/32
C07D 493/00−497/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
15〜35重量%のイソソルビドモノオレアート、
10〜30重量%の、アルキル鎖の重量平均炭素原子数が11個超であるアルキルグリコシド、ココアミドプロピルベタイン、及びそれらの混合物からなる群から選択される第1の界面活性剤、
10〜30重量%の、アルキル鎖の重量平均炭素原子数が11個未満であるアルキルグリコシドである第2の界面活性剤、
0〜5重量%の、さらなる化粧品に許容可能な成分、並びに
100重量%までの水
を含み、
イソソルビドモノオレアートが、65〜95重量%の量の純粋なイソソルビドモノオレアートを含む混合物である
組成物。
【請求項2】
組成物のpH値が3〜7であるような量の酸を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第2の界面活性剤が、アルキル鎖の重量平均炭素原子数が10個未満であるアルキルグリコシドである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
20〜30重量%のイソソルビドモノオレアートを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
23〜28重量%のイソソルビドモノオレアートを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
イソソルビドモノオレアートが、65〜85重量%の量の純粋なイソソルビドモノオレアートを含む混合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
イソソルビドモノオレアートが、65〜75重量%の量の純粋なイソソルビドモノオレアートを含む混合物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
15〜25重量%の第1の界面活性剤を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
17〜22重量%の第1の界面活性剤を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
第1の界面活性剤が、アルキル鎖の重量平均炭素原子数が12個超であるアルキルグリコシド、ココアミドプロピルベタイン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
15〜25重量%の第2の界面活性剤を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
17〜22重量%の第2の界面活性剤を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
第1の界面活性剤が、重量平均炭素原子数が11個超であるアルキルグリコシドである、請求項1〜9、11及び12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
第1の界面活性剤が、重量平均炭素原子数が12個超であるアルキルグリコシドである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
第1の界面活性剤が、ココアミドプロピルベタインである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
組成物のpH値が3〜7であるような量の有機酸を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
有機酸が、クエン酸、乳酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
23〜28重量%のイソソルビドモノオレアート、
17〜22重量%の、アルキル鎖の重量平均炭素原子数が11個超であるアルキルグリコシド、
17〜22重量%の、アルキル鎖の重量平均炭素原子数が11個未満であるアルキルグリコシド、
組成物のpH値が3〜7であるような量の有機酸、並びに
100重量%までの水
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
23〜28重量%のイソソルビドモノオレアート、
17〜22重量%の、アルキル鎖の重量平均炭素原子数が11個超であるアルキルグリコシド、
17〜22重量%の、アルキル鎖の重量平均炭素原子数が10個未満であるアルキルグリコシド、
組成物のpH値が3〜7であるような量の有機酸、並びに
100重量%までの水
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
23〜28重量%のイソソルビドモノオレアート、
17〜22重量%の、アルキル鎖の重量平均炭素原子数が12個超であるアルキルグリコシド、
17〜22重量%の、アルキル鎖の重量平均炭素原子数が11個未満であるアルキルグリコシド、
組成物のpH値が3〜7であるような量の有機酸、並びに
100重量%までの水
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
23〜28重量%のイソソルビドモノオレアート、
17〜22重量%の、アルキル鎖の重量平均炭素原子数が12個超であるアルキルグリコシド、
17〜22重量%の、アルキル鎖の重量平均炭素原子数が10個未満であるアルキルグリコシド、
組成物のpH値が3〜7であるような量の有機酸、並びに
100重量%までの水
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
有機酸が、クエン酸、乳酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項18〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
本組成物が、マイクロエマルションではない、請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
本組成物が、5重量%未満のオイルを含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
本組成物が、2重量%未満のオイルを含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
本組成物が、0重量%のオイルを含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
存在するアルキルグリコシドが、アルキルグルコシドである、請求項1〜26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
グルコース部分のオリゴマー化度(数平均)が、1〜2である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
組成物が、1000〜10000 mPasの粘度(20℃で、Brookfield RVT粘度計、スピンドル 5、20 rpmを使用して測定)を有する、請求項1〜28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
組成物が、1500〜8000 mPasの粘度(20℃で、Brookfield RVT粘度計、スピンドル 5、20 rpmを使用して測定)を有する、請求項1〜29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
組成物が、2,000〜6,000 mPasの粘度(20℃で、Brookfield RVT粘度計、スピンドル 5、20 rpmを使用して測定)を有する、請求項1〜30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法であって、
イソソルビドモノオレアート、第1の界面活性剤、第2の界面活性剤、及び水を混合させるステップを含む、前記方法。
【請求項33】
酸をさらに混合させる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
さらなる化粧品に許容可能な成分をさらに混合させる、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
混合を20℃超の温度で実施する、請求項32〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
混合をイソソルビドモノオレアートが液体である温度で実施する、請求項32〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物、及びさらなる化粧品に許容可能な成分を含む化粧品製剤。
【請求項38】
0.5〜10重量%の量の請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物を含む、請求項37に記載の化粧品製剤。
【請求項39】
1〜8重量%の量の請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物を含む、請求項37又は38に記載の化粧品製剤。
【請求項40】
1〜6重量%の量の請求項1〜31のいずれか一項に記載の組成物を含む、請求項37〜39のいずれか一項に記載の化粧品製剤。
【請求項41】
シャンプー又はボディーウオッシュの製剤である、請求項37〜40のいずれか一項に記載の化粧品製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソソルビドモノオレアート、アルキル鎖の炭素原子数が11個超である重量平均(weight average)を有するアルキルグリコシド、ココアミドプロピルベタイン、及びそれらの混合物からなる群から選択される第1の界面活性剤、アルキル鎖の炭素原子数が11個未満である重量平均を有するアルキルグリコシドである第2の界面活性剤、並びに水を含む組成物に関する。さらに、本発明は、本組成物を製造する方法、及び本組成物を含む化粧品製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
イソソルビドモノオレアート、すなわちイソソルビドとオレイン酸のモノエステルを含む、化粧品製剤、洗剤、及びクレンザーが知られている。イソソルビドモノオレアートが化粧品製剤、洗剤、及びクレンザーに使用される理由は、イソソルビドモノオレアートには、多くの有利な特性があるからである。
【0003】
WO 2010/115565 (EP 2 239 315)には、イソソルビドモノエステルを含む洗剤及びクレンザーについて記載されている。実施例の項目では、1重量%のイソソルビドモノエステル及び3重量%のココグルコシドを含む製剤について記載されている。
【0004】
WO 2013/041388には、イソソルビドモノオレアートを含む化粧品製剤について記載されており、具体的には、1重量%のイソソルビドモノオレアート及び1.5重量%のココグルコシドを含む製剤について記載されている(
図4)。この製剤は、良好な泡立ち性能を有する。
【0005】
2014年2月13日に出願された欧州特許出願14154978号(BASF庁内整理番号PF 75368)には、イソソルビドモノオレアート及びカプリリル/カプリルグルコシド及びラウリルグルコシドを含むマイクロエマルションについて記載されている。商業的に使用されるイソソルビドモノオレアートは、通常、モノエステル、ジエステル、イソソルビド、及び脂肪酸、主にオレイン酸の混合物であると記載されている。
【0006】
DE 1 9543 633 A1には、アルキルグリコシドとグリセロールと脂肪酸の部分エステルを含む化粧品製剤について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO 2010/115565
【特許文献2】WO 2013/041388
【特許文献3】欧州特許出願14154978号
【特許文献4】DE 1 9543 633 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
イソソルビドモノオレアートの不利益としては、イソソルビドモノオレアートが約33℃の融点を有するワックスであること、したがって、イソソルビドモノオレアートを製剤中に組み込むことが困難であることが挙げられる。周囲温度(20℃)では、固体のイソソルビドモノオレアートを溶解するには、長い時間がかかる。その代わりに、イソソルビドモノオレアートを含有する製剤は、イソソルビドモノオレアートを液体として添加することができるように、高温で製造することができる。
【0009】
したがって、本発明の根底をなす課題は、簡単な方法で、30℃以下の温度、好ましくは周囲温度で、イソソルビドモノオレアートを製剤中に組み込むことを可能にする形態のイソソルビドモノオレアートを提供することであり、さらに、30℃以下の温度、好ましくは周囲温度で、イソソルビドモノオレアートを含む化粧品製剤を簡単に製造することを可能にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本課題は、本発明による組成物により解決される。本発明による組成物は、本発明の第1の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による組成物は、
15〜35重量%、好ましくは20〜30重量%、より好ましくは23〜28重量%のイソソルビドモノオレアート、10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%、より好ましくは17〜22重量%の、アルキル鎖の炭素原子数が11個超、好ましくは12個超である重量平均を有するアルキルグリコシド、ココアミドプロピルベタイン、及びそれらの混合物からなる群から選択される第1の界面活性剤、10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%、より好ましくは17〜22重量%の、アルキル鎖の炭素原子数が11個未満、好ましくは10個未満である重量平均を有するアルキルグリコシドである第2の界面活性剤、場合により、組成物のpH値が3〜7であるような量の酸(酸は、好ましくは有機酸であり、より好ましくはクエン酸、乳酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される酸である)、0〜5重量%、好ましくは0〜2重量%、より好ましくは0〜1重量%、より好ましくは0重量%の、さらなる化粧品に許容可能な成分、
100重量%までの水
を含む。
【0012】
3〜7のpH値が有利なのは、イソソルビドモノオレアートが、これらの条件下では、関連量で加水分解されないためである。
【0013】
本発明の1つの実施形態では、本発明による組成物は、マイクロエマルションではない。
【0014】
マイクロエマルションは、少なくとも1種の界面活性剤、少なくとも1種のオイル(すなわち、20℃で2重量%以下の水への溶解度を有する25℃での親油性液体)、及び水を含む特別なエマルションタイプであり、(通常のエマルションに反して)熱力学的に安定であり、巨視的に均質であり、光学的に透明である。
【0015】
本発明の1つの実施形態では、本発明による組成物は、5重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは0重量%のオイルを含み、ここで、オイルは、25℃で液体であり、20℃で2重量%以下の水への溶解度を有する、親油性物質である。イソソルビドジオレアートは、本項目で定義されるオイルとして考えるべきではなく、すなわち、最も好ましい実施形態において、本発明が0重量%のオイルを含む場合でも、本発明は、イソソルビドジオレアートを含み得る。
【0016】
本発明による組成物には、多くの利点がある。それは、30℃以下の温度で、イソソルビドモノオレアートを製剤中に組み込むことを可能にする形態のイソソルビドモノオレアートを提供することである。本発明による組成物の他の成分は、多くの化粧品製剤、洗剤、又はクレンザーにおいて望まれる。したがって、これらの他の成分の存在は、不利益ではない。
【0017】
本発明による組成物は、冷却処理可能であり、扱いが容易であり、ポンプ輸送可能な混合物(blend)である。
【0018】
本発明による組成物は、好ましくは20℃超の温度で、より好ましくはイソソルビドモノオレアートが液体である温度で、イソソルビドモノオレアート、第1の界面活性剤、第2の界面活性剤、場合により酸、場合によりさらなる化粧品に許容可能な成分、及び水を混合させるステップを含む方法により製造することができる。本発明による組成物を製造する本方法は、本発明の別の主題である。
【0019】
イソソルビドモノオレアートは、WO 2010/115565に記載される通りに、又は他の公知のエステル化方法により製造することができる。
【0020】
本発明によるイソソルビドモノオレアートは、一般に、主成分としての(純粋な)イソソルビドモノオレアート、並びに付加的な、イソソルビドジオレアート、オレイン酸、及びイソソルビドを含む混合物である。本混合物では、一般に植物から得られるオレイン酸はまた、主成分としてのオレイン酸、及び少量の他の脂肪酸を含む混合物である。純粋なイソソルビドモノオレアートという用語は、イソソルビドと、主成分としてオレイン酸を含む脂肪酸混合物とのモノエステルを意味する。本明細書では、主成分は、65重量%超、好ましくは70重量%超、より好ましくは75重量%超のオレイン酸を意味する。したがって、本発明の1つの実施形態では、イソソルビドモノオレアートは、65〜95重量%、好ましくは65〜85重量%、より好ましくは65〜75重量%の量の純粋なイソソルビドモノオレアートを含む混合物である。量(重量%)は、適切な較正を用いるガスクロマトグラフィー(GC)により決定することができる。この純粋なイソソルビドモノオレアートでは、脂肪酸部分は、65重量%超、好ましくは70重量%超、より好ましくは75重量%超のオレイン酸部分を含む。量(重量%)は、適切な較正を用いるガスクロマトグラフィー(GC)により決定することができる。
【0021】
イソソルビドモノオレアートが、65〜95重量%、好ましくは65〜85重量%、より好ましくは65〜75重量%の量の純粋なイソソルビドモノオレアートを含む混合物である場合、有利になり得る。実験において、イソソルビドモノオレアートを含む本発明による組成物が、60重量%の量の純粋なイソソルビドモノオレアートを含む場合では、経時的に相分離をもたらした一方で、77重量%の純粋なイソソルビドモノオレアートの濃度では、相分離を示さない安定な組成物をもたらし、一方で、95重量%超の純粋なイソソルビドモノオレアートの濃度では、組成物のゲル状(gel-like)挙動のために、扱いが困難である組成物をもたらしたことが観測された。
【0022】
本発明の1つの実施形態では、組成物中に存在するアルキルグリコシドは、アルキルグルコシドであり、ここで、グルコース部分のオリゴマー化度(数平均)は1〜2が好ましい。
【0023】
本発明の1つの実施形態では、アルキル鎖の炭素原子数が11個超である重量平均を有するアルキルグリコシドは、ココグルコシドであり、すなわち、脂肪酸部分がココナッツオイルから得られ、そのため、ラウリル部分が主成分であり(すなわち、全ての脂肪酸部分の、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%が、ラウリル部分である)、サッカライド(糖)部分は、グルコース部分である。
【0024】
本発明の1つの実施形態では、本発明による組成物は、1000〜10000 mPas、好ましくは1500〜8000、より好ましくは2,000〜6,000 mPasの粘度(20℃で、ブルックフィールド(Brookfield)RVT粘度計、スピンドル 5、20 rpmを使用して測定)を有する。
【0025】
本発明の別の主題は、好ましくは30℃未満の温度で、本発明による組成物と、さらなる化粧品に許容可能な成分とを接触させて、化粧品製剤を得るステップを含む、化粧品製剤、例えばシャンプー又はボディーウオッシュの製剤を製造する方法である。
【0026】
本発明の1つの実施形態では、本発明による組成物は、本発明による組成物が組み込まれる化粧品製剤において、増泡効果を有する。したがって、本発明の別の主題は、化粧品製剤における増泡剤としての本発明による組成物の使用である。
【0027】
本発明による組成物は、液状のデリケート用洗剤(fine fabric detergent)におけるケア添加剤として、又は汚れ除去用に、又は織物上の染み抜き用の前処理製剤として、又はオイル回収を増強するために、又は非極性物質中の活性成分のための可溶化剤として、使用することができる製剤を製造するために使用することもできる。
【0028】
本発明の別の主題は、本発明による組成物、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜8重量%、より好ましくは1〜6重量%の量の本発明による組成物、及びさらなる化粧品に許容可能な成分を含む、化粧品製剤、例えばシャンプー又はボディーウオッシュの製剤である。
【0029】
化粧品に許容可能な成分は、全ての化粧品に許容可能な成分であり得る。それは、WO 2013/041388又は欧州特許出願14154978号に記載されているような化粧品に許容可能な成分であり得る。
【0030】
本発明によれば、アルキルグリコシドという用語は、モノサッカライド(単糖類)と脂肪族アルコールの反応生成物を意味する。脂肪族アルコールは、6〜22個の炭素原子を有し、場合により最大3つの二重結合を含む、直鎖状の第1級モノアルカノールである。モノサッカライドは、アルドース又はケトース、例えばグルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、タロース、グロース、アロース、アルトロース、イドース、アラビノース、キシロース、リキソース、又はリボースであり得る。アルドースは、それらの良好な反応性のために使用することが好ましい。アルドースの中では、グルコースが特に適しており、それは、工業量で容易に入手でき、利用することができるからである。グルコースにより生成したアルキルグリコシドは、アルキルグルコシドである。アルキルグリコシドは、それらの特別な製造方法に依存して、オリゴサッカライド部分を含み得る。したがって、アルキルオリゴグリコシド、アルキルポリグリコシド、アルキルオリゴサッカライド、及びアルキルポリサッカライドという用語は、アルキル基が2個以上のグリコース(glycose)残基に、すなわち、ポリ-又はオリゴサッカライド残基に結合しているアルキルグルコシドに使用される。これらの名称は、互いに同義であるとみなされる。したがって、アルキルモノグリコシドは、モノサッカライド部分を含む。混合物は、一般に、糖と脂肪族アルコールの酸触媒反応で得られるので、アルキルグリコシドという名称は、以下のアルキルモノ-グリコシドと、さらにアルキルポリ-又はオリゴ-グリコシドの両方、特にそれらの混合物に使用される。アルキルグリコシドは、式R
1-O-S
n(式中、R
1は、モノ-又はオリゴ-サッカライド部分に結合している脂肪族アルコール由来のアルキル部分である)を有する。この結合はアセタール結合であると想定され、また、それは、ヘミアセタール結合、又はエーテル結合とも考えられる。サッカライド部分のオリゴマー化度は、nにより示される。1〜5の値(平均)が一般的である。平均は、数平均である。
【0031】
ココアミドプロピルベタインは、ココナッツオイルから得られる脂肪酸と、ジメチルアミノプロピルアミン、続いて、クロロ酢酸とを反応させることにより得ることができる両性界面活性剤である。ラウラミドプロピルベタインは、コカミドプロピルベタインの主成分であり、以下の式を有する:
【0033】
本発明によれば、ココアミドプロピルベタインは、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%のラウラミドプロピルベタインを含む混合物である。残余は、他の脂肪酸アミドプロピルベタインの混合物である。
【実施例】
【0034】
%は、異なる記載のない限り、重量%を意味する。
【0035】
以下の組成物を調製し、評価した。組成物を、(組成物中に存在する場合):周囲温度(20℃)で、C
12-16アルキルグルコシド及び/又はココアミドプロピルベタイン、C
8-10アルキルグルコシド、有機酸、並びにイソソルビドモノオレアートを混合することにより調製した。有機酸を用いて、pHを3〜4.5に調節した。
【0036】
【表1】
【0037】
okは、粘度が容易な加工を可能にする範囲内であり、相分離が実験中及び貯蔵中に起こらなかったことを意味する。
【0038】
イソソルビドモノオレアートは、酸部分が75重量%超の濃度のオレイン酸部分を有する、約77重量%の濃度のモノエステルを有していた。
【0039】
結論:
【0040】
【表2】
【0041】
イソソルビドモノオレアート(65 %よりも高いモノエステル濃度)、短鎖APG(C8/10)及び長鎖APG(C12-16)並びに/又はココアミドプロピルベタインからなる組成物は、安定、且つ、扱いが容易である液体になった。
【0042】
イソソルビドモノオレアートのモノエステル濃度は、得られた組成物の安定性及び取り扱いの理由から、65重量%超(GC)であるべきである。
【0043】
モノオレアート濃度に関連する実施例
使用したイソソルビドモノオレアート(純粋なイソソルビドモノオレアート、ジオレアート、オレイン酸、及びイソソルビドを含む混合物)において、イソソルビドモノオレアート(明細書において定義された通りの「純粋なイソソルビドモノオレアート」)の濃度が異なる以下の組成物を比較した。
【0044】
【表3】
【0045】
製剤実施例
本発明による組成物を含有する、以下の化粧品製剤を調製した。
【0046】
【表4】
【0047】
pH値(23℃): 4.8
粘度(Brookfield; RVF;スピンドル 4; 20 rpm; 23℃): 5000〜7000 mPas
相Aの成分を混合する。相Bの成分を、記載した順序で、混合物が均質になるまで撹拌しながら、添加する。
pHを、クエン酸によりpH 4.8〜5.0に調節する。粘度を、塩化ナトリウムにより調節する。
【0048】
【表5】
【0049】
pH値(23℃): 4.8
粘度(Brookfield; RVF;スピンドル4; 20 rpm; 23℃): 6000〜7000 mPas
相Aの成分を混合する。相Bの成分を、記載した順序で、混合物が均質になるまで撹拌しながら、添加する。
pHを、クエン酸によりpH 4.8〜5.0に調節する。粘度を、塩化ナトリウムにより調節する。
【0050】
【表6】
【0051】
pH値(23℃): 4.8〜5
粘度(Brookfield; RVF;スピンドル4; 20 rpm; 23℃): 7000〜10000 mPas
相Aを、室温で均質になるまで混合する。相Bの成分を添加する。
pHと粘度を調査し、適宜調節する。
【0052】
【表7】
【0053】
pH値(23℃): 5
粘度(Brookfield; RVF;スピンドル4; 20 rpm; 23°C): 6000〜8000 mPas
相Aを40℃に加熱し、完全に溶解するまで混合する。相Bを提示する順序で添加し、均質になるまで混合する。pHを、クエン酸(50%)を添加して調節する。必要であれば、粘度を、塩化ナトリウムを添加して調節する。