(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板保持器は、前記第1及び第2の搬送方向に対して直交する方向に複数の成膜対象基板を並べて保持するように構成されている請求項1乃至4のいずれか1項記載の真空処理装置。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の被処理基板をトレイ等の基板保持器に載置して通過しながら成膜等の処理を行う真空処理装置が知られており、近年では、環状の搬送経路を有する真空処理装置も提案されている。
【0003】
図22は、従来技術に係る真空処理装置の全体を示す概略構成図である。
図22に示すように、この真空処理装置101は、真空排気装置101aに接続された単一の真空雰囲気が形成される真空槽102を有している。
【0004】
真空槽102の内部には、基板(図示せず)を保持する基板保持器111を搬送経路に沿って複数連続して搬送する基板保持器搬送機構103が設けられている。
【0005】
ここで、基板保持器搬送機構103は、回転軸線を平行にした状態で所定距離をおいて配置された一対の駆動輪131、132に一連の搬送駆動部材133が架け渡された構造体が所定の距離をおいて平行に配置され、これにより鉛直面に対して一連の環状となる搬送経路が形成されている。
【0006】
基板保持器搬送機構103には、基板保持器111を導入する基板保持器導入部130Aと、基板保持器111を折り返して搬送する搬送折り返し部130Bと、基板保持器111を排出する基板保持器排出部130Cが設けられている。
【0007】
真空槽102内には、基板保持器搬送機構103の上部に第1の処理領域104が設けられるとともに基板保持器搬送機構103の下部に第2の処理領域105が設けられ、搬送駆動部材133の上側の往路側搬送部133aが、第1の処理領域104を直線的に第1の搬送方向P1に沿って通過するように構成され、下側の復路側搬送部133cが、第2の処理領域105を直線的に第2の搬送方向P2に沿って通過するように構成されている。
【0008】
そして、基板保持器搬送機構103の搬送折り返し部130Bの近傍には、基板保持器111を上下関係を維持した状態で第1の搬送方向P1から第2の搬送方向P2へ方向転換する方向転換機構140が設けられている。
【0009】
一方、真空槽102内の基板保持器搬送機構103の駆動輪131に隣接する位置には、基板搬入搬出機構106が設けられている。
【0010】
この基板搬入搬出機構106は、昇降機構160によって鉛直上下方向に駆動される駆動ロッド161の先(上)端部に設けられた支持部162を有し、この支持部162上に設けられた搬送ロボット164上に上述した基板保持器111を支持して基板保持器111を鉛直上下方向に移動させるようになっている。
【0011】
そして、この搬送ロボット164を用い、基板搬入搬出機構106から基板保持器搬送機構103の基板保持器導入部130Aに対して基板保持器111を受け渡し、かつ、基板保持器搬送機構103の基板保持器排出部130Cから排出される基板保持器111を基板搬入搬出機構106で受け取るように構成されている。
【0012】
図23は、従来の基板保持器搬送機構を示す概略構成図である。
図23に示すように、基板保持器搬送機構103の一対の搬送駆動部材133には、それぞれ所定の間隔をおいて複数の第1の駆動部136が環状の搬送駆動部材133の搬送方向に対して外方側(以下、「搬送方向外方側」という。)に突出するように設けられている。
【0013】
第1の駆動部136は、例えばJフック形状(搬送方向上流側の突部136bの高さが搬送方向下流側の突部136aの高さより高くなるような溝部が形成された形状)に形成され、基板保持器支持機構118によって支持された基板保持器111の第1の被駆動部112と接触して当該基板保持器111を第1又は第2の搬送方向P1、P2に駆動するように構成されている。
【0014】
この搬送駆動部材133の復路側搬送部133cの下方には、復路側搬送部133cの垂れを防止し且つガイドするための直線状のガイド部117が設けられ、第1の駆動部136の搬送方向上流側の突部136bの先端部(下端部)がガイド部117と接触しながら移動することによって復路側搬送部133cの垂れを防止するように構成されている。
【0015】
しかし、従来技術では、第1の駆動部136の搬送方向上流側の突部136bの先端部がガイド部117と接触することによってダストが発生し、真空処理に影響を及ぼすという問題があった。
【0016】
また、基板保持器搬送機構103の基板保持器排出部130Cから排出される基板保持器111を基板搬入搬出機構106に受け渡す時間を短縮したいという要望もあった。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る真空処理装置の実施の形態の全体を示す概略構成図である。
【0027】
また、
図2(a)(b)は、本実施の形態における基板保持器搬送機構及び方向転換機構の基本構成を示すもので、
図2(a)は平面図、
図2(b)は正面図である。
【0028】
さらに、
図3(a)(b)は、本実施の形態に用いる基板保持器の構成を示すもので、
図3(a)は平面図、
図3(b)は正面図である。
【0029】
さらに、
図4は、本実施の形態における方向転換機構の構成を示す正面図である。
【0030】
図1に示すように、本実施の形態の真空処理装置1は、真空排気装置1aに接続された単一の真空雰囲気が形成される真空槽2を有している。
【0031】
真空槽2の内部には、後述する基板保持器11を搬送経路に沿って搬送する基板保持器搬送機構3が設けられている。
【0032】
この基板保持器搬送機構3は、基板10を保持する複数の基板保持器11を連続して搬送するように構成されている。
【0033】
ここで、基板保持器搬送機構3は、例えばスプロケット等からなり駆動機構(図示せず)から回転駆動力が伝達されて動作する同一径の円形の第1及び第2の駆動輪31、32を有し、これら第1及び第2の駆動輪31、32が、それぞれの回転軸線を平行にした状態で所定距離をおいて配置されている。
【0034】
そして、第1及び第2の駆動輪31、32には例えばコンベヤチェーン等からなる一連の搬送駆動部材33が架け渡されている。
【0035】
さらに、これら第1及び第2の駆動輪31、32に搬送駆動部材33が架け渡された構造体が所定の距離をおいて平行に配置され(
図2(a)参照)、これら一対の搬送駆動部材33により鉛直面に対して一連の環状となる搬送経路が形成されている。
【0036】
本実施の形態では、搬送経路を構成する搬送駆動部材33のうち上側の部分に、第1の駆動輪31から第2の駆動輪32に向って移動して基板保持器11を第1の搬送方向P1に搬送する往路側搬送部(第1の搬送部)33aが形成されるとともに、第2の駆動輪32の周囲の部分の搬送駆動部材33によって基板保持器11の搬送方向を折り返して反対方向に転換する折り返し部33bが形成され、さらに、搬送駆動部材33のうち下側の部分に、第2の駆動輪32から第1の駆動輪31に向って移動して基板保持器11を第2の搬送方向P2に搬送する復路側搬送部(第2の搬送部)33cが形成されている。
【0037】
本実施の形態の基板保持器搬送機構3は、各搬送駆動部材33の上側に位置する往路側搬送部33aと、各搬送駆動部材33の下側に位置する復路側搬送部33cとがそれぞれ対向し、鉛直方向に関して重なるように構成されている。
【0038】
また、基板保持器搬送機構3には、基板保持器11を導入する基板保持器導入部30Aと、基板保持器11を折り返して搬送する搬送折り返し部30Bと、基板保持器11を排出する基板保持器排出部30Cが設けられている。
【0039】
ここで、搬送折り返し部30Bの近傍には、後述する方向転換機構40が設けられている。
【0040】
真空槽2内には、第1及び第2の処理領域4、5が設けられている。
【0041】
本実施の形態では、真空槽2内において、基板保持器搬送機構3の上部に、例えばスパッタ源4Tを有する第1の処理領域4が設けられ、基板保持器搬送機構3の下部に、例えばスパッタ源5Tを有する第2の処理領域5が設けられている。
【0042】
本実施の形態では、上述した搬送駆動部材33の往路側搬送部33aが、上記第1の処理領域4を直線的に水平方向に通過するように構成され、復路側搬送部33cが、上記第2の処理領域5を直線的に水平方向に通過するように構成されている。
【0043】
そして、搬送経路を構成するこれら搬送駆動部材33の往路側搬送部33a及び復路側搬送部33cを基板保持器11が通過する場合に、基板保持器11に保持された複数の基板10(
図2(a)参照)が水平状態で搬送されるようになっている。
【0044】
真空槽2内の基板保持器搬送機構3の近傍の位置、例えば第1の駆動輪31に隣接する位置には、基板保持器搬送機構3との間で基板保持器11を受け渡し且つ受け取るための基板搬入搬出機構6が設けられている。
【0045】
本実施の形態の基板搬入搬出機構6は、昇降機構60によって例えば鉛直上下方向に駆動される駆動ロッド61の先(上)端部に設けられた支持部62を有している。
【0046】
本実施の形態では、基板搬入搬出機構6の支持部62上に搬送ロボット64が設けられ、この搬送ロボット64上に上述した基板保持器11を支持して基板保持器11を鉛直上下方向に移動させ、かつ、搬送ロボット64によって基板保持器搬送機構3との間で基板保持器11の受け渡しを行うように構成されている。
【0047】
この場合、後述するように、基板搬入搬出機構6から基板保持器搬送機構3の往路側搬送部33aの基板保持器導入部30Aに基板保持器11を受け渡し(この位置を「基板保持器受け渡し位置」という。)、かつ、基板保持器搬送機構3の復路側搬送部33cの基板保持器排出部30Cから基板保持器11を取り出す(この位置を「基板保持器取り出し位置」という。)ように構成されている。
【0048】
真空槽2の例えば上部には、真空槽2内に基板10を搬入し且つ真空槽2から基板10を搬出するための基板搬入搬出室2Aが設けられている。
【0049】
この基板搬入搬出室2Aは、例えば上述した基板搬入搬出機構6の支持部62の上方の位置に連通口2Bを介して設けられており、例えば基板搬入搬出室2Aの上部には、開閉可能な蓋部2aが設けられている。
【0050】
そして、後述するように、基板搬入搬出室2A内に搬入された処理前の基板10aを基板搬入搬出機構6の支持部62の搬送ロボット64上の基板保持器11に受け渡して保持させ、かつ、処理済の基板10bを基板搬入搬出機構6の支持部62の搬送ロボット64上の基板保持器11から例えば真空槽2の外部の大気中に搬出するように構成されている。
【0051】
なお、本実施の形態の場合、基板搬入搬出機構6の支持部62の上部の縁部に、基板10を搬入及び搬出する際に基板搬入搬出室2Aと真空槽2内の雰囲気を隔離するための例えばOリング等のシール部材63が設けられている。
【0052】
この場合、基板搬入搬出機構6の支持部62を基板搬入搬出室2A側に向って上昇させ、支持部62上のシール部材63を真空槽2の内壁に密着させて連通口2Bを塞ぐことにより、真空槽2内の雰囲気に対して基板搬入搬出室2A内の雰囲気を隔離するように構成されている。
【0053】
図2(a)(b)に示すように、本実施の形態の基板保持器搬送機構3の一対の搬送駆動部材33には、それぞれ所定の間隔をおいて後述する垂れ防止部材35が搬送駆動部材33の搬送方向外方側に突出するように複数設けられている。
【0054】
垂れ防止部材35は、それぞれ後述する走行部材50と第1の駆動部36とを有し、第1の駆動部36が、以下に説明する基板保持器支持機構18によって支持された基板保持器11の後述する第1の被駆動部12と接触して当該基板保持器11を第1又は第2の搬送方向P1、P2に駆動するように構成されている。
【0055】
一対の搬送駆動部材33の内側には、搬送する基板保持器11を支持する一対の基板保持器支持機構18が設けられている。
【0056】
基板保持器支持機構18は、例えば複数のローラ等の回転可能な部材からなるもので、それぞれ搬送駆動部材33の近傍に設けられている。
【0057】
本実施の形態では、搬送駆動部材33の往路側搬送部33aの上方近傍に往路側基板保持器支持機構18aが設けられるとともに、搬送駆動部材33の復路側搬送部33cの下方近傍に復路側基板保持器支持機構18cが設けられ、搬送される基板保持器11の下面の両縁部を支持するように配置構成されている。
【0058】
なお、往路側基板保持器支持機構18aは、後述する方向転換機構40の第1の方向転換経路51の進入口の近傍まで設けられ、復路側基板保持器支持機構18cは、後述する方向転換機構40の第2の方向転換経路52の排出口の近傍まで設けられている。
【0059】
本実施の形態に用いる基板保持器11は、基板10の両面上に真空処理を行うためのもので、開口部を有するトレイ状のものからなる。
【0060】
図2(a)及び
図3(a)に示すように、本実施の形態の基板保持器11は、例えば長尺矩形の平板状に形成され、その長手方向即ち第1及び第2の搬送方向P1、P2に対して直交する方向(以下「搬送方向に対して直交する方向」という。)に例えば矩形状の複数の基板10を一列に並べてそれぞれ保持する複数の保持部14が設けられている。
【0061】
ここで、各保持部14には、各基板10と同等の大きさ及び形状で各基板10の両面が全面的に露出する例えば矩形状の開口部が設けられ、図示しない保持部材によって各基板10を保持するように構成されている。
【0062】
本発明では、特に限定されることはないが、設置面積を小さくし且つ処理能力を向上させる観点からは、基板保持器11について、本実施の形態のように、搬送方向に対して直交する方向に複数の基板10を一列に並べてそれぞれ保持するように構成することが好ましい。
【0063】
ただし、処理効率を向上させる観点からは、搬送方向に対して直交する方向に複数の基板10を複数列に並べることも可能である。
【0064】
一方、基板保持器11の長手方向の両端部で第2の搬送方向P2側の端部に第1の被駆動部12がそれぞれ設けられ、また、第1の搬送方向P1側の端部に第2の被駆動部13がそれぞれ設けられている。
【0065】
これら第1及び第2の被駆動部12、13は、それぞれ基板保持器11の長手方向即ち第1及び第2の搬送方向P1、P2に対して直交する方向に延びる回転軸線を中心として断面円形状に形成されている軸部材からなる(
図3(a)(b)参照)。
【0066】
本実施の形態では、第2の被駆動部13の長さが第1の被駆動部12の長さより長くなるようにその寸法が定められている。
【0067】
具体的には、
図2(a)に示すように、基板保持器11を基板保持器搬送機構3に配置した場合に基板保持器11の両側部の第1の被駆動部12が基板保持器搬送機構3の第1の駆動部36と接触し、かつ、基板保持器11を後述する方向転換機構40に配置した場合に第2の被駆動部13が後述する第2の駆動部46と接触するように第1及び第2の被駆動部12、13の寸法が定められている。
【0068】
一対の搬送駆動部材33の第1の搬送方向P1側には、同一構成の一対の方向転換機構40が設けられている。
【0069】
本実施の形態の場合、一対の方向転換機構40は、それぞれ第1及び第2の搬送方向P1、P2に関して一対の搬送駆動部材33の外側の位置に配置されている。
【0070】
また、これら一対の方向転換機構40は、それぞれ第2の搬送方向P2側の部分が各搬送駆動部材33の第1の搬送方向P1側の部分と若干重なるように設けられている。
【0071】
図4に示すように、本実施の形態の方向転換機構40は、第1のガイド部材41、第2のガイド部材42、第3のガイド部材43を有し、これら第1〜第3のガイド部材41〜43は、第1の搬送方向P1の上流側からこの順で配置されている。
【0072】
本実施の形態では、第1〜第3のガイド部材41〜43は、一対の搬送駆動部材33の外側近傍の位置にそれぞれ配置され、さらに、第1〜第3のガイド部材41〜43の外側近傍の位置に、後述する搬送駆動部材45がそれぞれ配置されている。
【0073】
なお、
図2(b)では、方向転換機構40の一部を省略するとともに、部材の重なり関係を無視して搬送方向についての部材間の位置関係が明確になるように示されている。
【0074】
図2(a)及び
図4に示すように、第1〜第3のガイド部材41〜43は、例えば板状の部材からなり、それぞれ鉛直方向に向けて設けられている。
【0075】
ここで、第1のガイド部材41の第1の搬送方向P1側の部分は、第1の搬送方向P1側に向って凸となる曲面形状に形成され、また、第2のガイド部材42の第2の搬送方向P2側の部分は、第1の搬送方向P1側に向って凹となる曲面形状に形成されている。
【0076】
第1及び第2のガイド部材41、42は、第1のガイド部材41の第1の搬送方向P1側の部分と第2のガイド部材42の第2の搬送方向P2側の部分は同等の曲面形状に形成され、これらの部分が基板保持器11の第1の被駆動部12の直径より若干大きな隙間を設けて対向するように近接配置されている。そして、この隙間によって基板保持器11の第1の被駆動部12を案内する第1の方向転換経路51が設けられている。
【0077】
また、第2のガイド部材42の第1の搬送方向P1側の部分は、第1の搬送方向P1側に向って凸となる曲面形状に形成され、また、第3のガイド部材43の第2の搬送方向P2側の部分は、第1の搬送方向P1側に向って凹となる曲面形状に形成されている。
【0078】
第2及び第3のガイド部材42、43は、第2のガイド部材42の第1の搬送方向P1側の部分と第3のガイド部材43の第2の搬送方向P2側の部分が同等の曲面形状に形成され、これらの部分が基板保持器11の第2の被駆動部13の直径より若干大きな隙間を設けて対向するように近接配置されている。そして、この隙間によって基板保持器11の第2の被駆動部13を案内する第2の方向転換経路52が設けられている。
【0079】
そして、このような構成により、第1の方向転換経路51と第2の方向転換経路52とが同等の曲面形状に形成されている。
【0080】
さらに、本実施の形態では、第1及び第2の方向転換経路51、52の各部分の水平方向についての距離が、基板保持器11の第1及び第2の被駆動部12、13の間の距離と同等となるようにその寸法が定められている。
【0081】
また、本実施の形態では、第1の方向転換経路51の上側の口が基板保持器11の第1の被駆動部12の進入口となっており、その高さ位置が、往路側基板保持器支持機構18aに支持された基板保持器11の第2の被駆動部13の高さ位置より低い位置となるように構成されている(
図2(b)参照)。
【0082】
さらに、第1の方向転換経路51の下側の口が基板保持器11の第1の被駆動部12の排出口となっており、その高さ位置が、復路側基板保持器支持機構18cに支持された基板保持器11の第2の被駆動部13の高さ位置より高い位置となるように構成されている(
図2(b)参照)。
【0083】
また、第2の方向転換経路52については、その上側の口が基板保持器11の第2の被駆動部13の進入口となっており、その高さ位置が、往路側基板保持器支持機構18aに支持された基板保持器11の第2の被駆動部13の高さ位置と同等の位置となるように構成されている(
図2(b)参照)。
【0084】
一方、第2の方向転換経路52の下側の口が基板保持器11の第2の被駆動部13の排出口となっており、その高さ位置が、復路側基板保持器支持機構18cに支持された基板保持器11の第2の被駆動部13の高さ位置と同等の位置となるように構成されている(
図2(b)参照)。
【0085】
本実施の形態の方向転換機構40は、例えば一対のスプロケットと、これら一対のスプロケットに架け渡されたコンベヤチェーンからなる搬送駆動部材45を有し、この搬送駆動部材45は鉛直面に対して一連の環状となるように構成されている。
【0086】
この搬送駆動部材45は、その折り返し部分の曲率半径が、基板保持器搬送機構3の搬送駆動部材33の折り返し部33bの曲率半径と同等となるように構成されている。
【0087】
また、搬送駆動部材45の上側の部分が第1の搬送方向P1に移動し、下側の部分が第2の搬送方向P2に移動するように駆動されるようになっている。
【0088】
搬送駆動部材45には、所定の間隔をおいて複数の第2の駆動部46が搬送駆動部材45の外方側に突出するように設けられている。
【0089】
第2の駆動部46は、搬送駆動部材45の外方側の部分に凹部が形成され、この凹部の縁部が基板保持器11の第2の被駆動部13と接触して当該基板保持器11を第2の方向転換経路52に沿って支持駆動するように構成されている。
【0090】
また、本実施の形態の第2の駆動部46は、後述するように、第2の方向転換経路52の進入口及び排出口の位置に到達した場合にその凹部側の端部が第2の方向転換経路52から退避するように搬送駆動部材45の経路及び第2の駆動部46の寸法が設定されている(
図2(b)参照)。
【0091】
本実施の形態では、後述するように、第2の駆動部46が搬送駆動部材33に設けた垂れ防止部材35の第1の駆動部36と同期して動作するように搬送駆動部材33と方向転換機構40の搬送駆動部材45の動作を制御する。
【0092】
そして、本実施の形態では、垂れ防止部材35の第1の駆動部36によって基板保持器11を第1の搬送方向P1に駆動して第1及び第2の被駆動部12、13を第1及び第2の方向転換経路51、52内に進入させた場合に、基板保持器11が上下関係を保持しつつ第1及び第2の駆動部36、46によって第1及び第2の被駆動部12、13が支持されて移動し、円滑に第1及び第2の方向転換経路51、52から排出されるように、第1及び第2の駆動部36、46、並びに、第1及び第2の方向転換経路51、52の形状及び寸法がそれぞれ設定されている。
【0093】
一方、第1のガイド部材41と第2のガイド部材42の下方で第1の方向転換経路51の排出口の近傍には、基板保持器11を方向転換機構40から基板保持器支持機構18の復路側基板保持器支持機構18cへ円滑に受け渡すための受け渡し部材47が設けられている。
【0094】
この受け渡し部材47は、例えば水平方向に延びる細長の部材からなり、その第2の搬送方向P2側の端部で復路側基板保持器支持機構18cの下方の位置に設けられた、第1及び第2の搬送方向P1、P2に延びる回転軸48を中心として上下方向に回転移動するように構成されている。そして、受け渡し部材47は、第1の搬送方向P1側の部分が図示しない弾性部材によって上方に付勢されている。
【0095】
受け渡し部材47の上部には、第1の方向転換経路51の排出口の第2の搬送方向P2側の近傍の部分に、第1の方向転換経路51と連続し、かつ、基板保持器支持機構18の復路側基板保持器支持機構18cと連続するように曲面形状に形成された受け渡し部47aが設けられている(
図2(b)参照)。
【0096】
また、受け渡し部材47の上部には、第1の搬送方向P1側の部分に、第1の搬送方向P1に向って下側に傾斜する傾斜面47bが設けられている。この傾斜面47bは、第2の方向転換経路52の排出口と対向する高さ位置に設けられている。
【0097】
図5(a)〜(d)は、本実施の形態に用いる第1の駆動部の構成を示すもので、
図5(a)は搬送方向下流側から見た側面図、
図5(b)は正面図、
図5(c)は搬送方向上流側から見た側面図、
図5(d)は斜視図である。
【0098】
図5(a)〜(d)に示すように、本実施の形態の第1の駆動部36は、例えばJフック形状(搬送方向下流側の第1の突部36aの高さが搬送方向上流側の第2の突部36bの高さより低くなるような溝部36cが形成された形状)に形成されている。
【0099】
この溝部36cは、搬送方向に対して直交する方向(幅方向)に延びるように形成されている。そして、この溝部36cの搬送方向に対して内方側には、搬送方向に対して直交する方向に延びて第1の駆動部36を貫通するねじ孔36fが設けられている。
【0100】
一方、本実施の形態では、第1の突部36aの上部にストッパ部36dが設けられている。
【0101】
このストッパ部36dは、第1及び第2の突部36a、36bに対して直交する方向に延びるように形成され、その搬送方向外方側の部分が平面状に形成されている。
【0102】
本実施の形態では、第1の駆動部36の第2の突部36bの搬送方向外方側の端部がストッパ部36dの搬送方向外方側の端部(表面)より搬送方向外方側に位置するように、第1の駆動部36の各部分の形状及び寸法が設定されている。
【0103】
また、第1の駆動部36の第2の突部36bの第1の突部36a側には、基板保持器11の第1の被駆動部12と接触してこれを駆動する駆動面36eが設けられている。
【0104】
この駆動面36eは、搬送方向に対して直交する方向に延びるように平面状に形成されている。
【0105】
図6(a)〜(d)は、本実施の形態に用いる走行部材を示すもので、
図6(a)は搬送方向下流側から見た側面図、
図6(b)は正面図、
図6(c)は搬送方向上流側から見た側面図、
図6(d)は斜視図である。
【0106】
本実施の形態の走行部材50は、例えばステンレス等の金属からなるもので、上述した第1の駆動部36の幅より幅広に形成された本体フレーム50aを有している。
【0107】
この本体フレーム50aは、その搬送方向下流側の部分に、第1の駆動部36を保持する保持フレーム部50bが設けられている。
【0108】
保持フレーム部50bは、それぞれ搬送方向に延びる一対の板状の部分を有し、これら一対の板状の部分は、第1の駆動部36の幅と同等の間隔をおいて設けられている。
【0109】
本体フレーム50aの保持フレーム部50bには、第1の駆動部36を固定するためのボルトからなる固定ねじ53が、搬送方向に対して直交する方向に向けて保持フレーム部50bのねじ孔52aを貫通して取り付けられるようになっている。
【0110】
一方、本体フレーム50aの搬送方向上流側には、以下に説明する走行ローラ54を保持するためのローラ保持フレーム部55が設けられている。
【0111】
このローラ保持フレーム部55は、それぞれ搬送方向に延び且つ搬送方向外方側に突出するように形成された一対の板状のフレームを有し、これらローラ保持フレーム部55の一対のフレームは、第1の駆動部36の幅と同等の間隔をおいて設けられている。
【0112】
本体フレーム50aのローラ保持フレーム部55には、ボルトからなる固定ねじ56が搬送方向に対して直交する方向に向けてローラ保持フレーム部55を貫通して取り付けられ、この固定ねじ56に、円柱状の走行ローラ54が搬送方向に対して直交する方向に延びる回転軸線Oを中心として回転するように構成されている(
図6(a)(b)参照)。
【0113】
この走行ローラ54としては、例えばローラベアリング等を用いることができる。
【0114】
図7(a)〜(c)は、本実施の形態に用いる垂れ防止部材の構成を示すもので、
図7(a)は搬送方向下流側から見た側面図、
図7(b)は正面図、
図7(c)は斜視図である。
【0115】
図7(a)〜(c)に示すように、本実施の形態の垂れ防止部材35は、
図5(a)〜(d)に示す第1の駆動部36と、
図6(a)〜(d)に示す走行部材50を組み付けたものである。
【0116】
この場合、走行部材50の本体フレーム50aの一対の保持フレーム部50bの間に第1の駆動部36を第1の突部36aを搬送方向下流側に向けて配置し、固定ねじ53を走行部材50のねじ孔52a及び第1の駆動部36のねじ孔36f(
図5(a)(c)参照)を貫通させ、この固定ねじ53とナット57によって第1の駆動部36を本体フレーム50aの保持フレーム部50bに固定する。
【0117】
本実施の形態では、走行部材50の走行ローラ54の搬送方向外方側の端部が第1の駆動部36の第2の突部36bの搬送方向外方側の端部より搬送方向外方側に位置するように、走行部材50並びに第1の駆動部36の各部分の形状及び寸法が設定されている。
【0118】
なお、後述するように、走行部材50の保持フレーム部50bと第1の駆動部36の両側面との間には、垂れ防止部材35を搬送駆動部材33に取り付けるための例えば板状の取付部材58が挿入固定されるように構成されている。
【0119】
図8(a)(b)は、搬送駆動部材に取り付けられた垂れ防止部材を示すもので、
図8(a)は正面図、
図8(b)は
図8(a)のA−A線断面図である。
【0120】
図9は、本実施の形態におけるガイド部の取付構造を示す部分断面図である。
【0121】
図10は、本実施の形態における基板保持器搬送機構の概略構成図である。
【0122】
図8(a)(b)に示すように、本実施の形態に用いる搬送駆動部材33は、一般的なコンベヤチェーンからなるもので、外側リンク部33dと、内側リンク部33eと、図示しないピン及びブシュによって外側リンク部33dと内側リンク部33eの連結部分に回転可能に装着されたローラ33fとを有している。
【0123】
そして、上述した垂れ防止部材35の一対の取付部材58の搬送方向に対して内方側の部分に例えば搬送方向外方側に延びる板状の連結部材59がそれぞれ固定されるとともに、これら一対の連結部材59の搬送方向に対して内方側の部分が、搬送駆動部材33の外側リンク部33dの一対のプレートの搬送方向外方側の部分にそれぞれ固定され、これにより垂れ防止部材35が走行ローラ54が搬送方向外方側に配置された状態で搬送駆動部材33に取り付けられている。
【0124】
図8(a)(b)に示すように、本実施の形態では、垂れ防止部材35は、搬送駆動部材33の下部即ち復路側搬送部33cに位置しているときは、走行ローラ54は復路側搬送部33cに対して下方に位置し、走行ローラ54の下端部が垂れ防止部材35の最も低い位置に配置される。
【0125】
本実施の形態では、垂れ防止部材35の走行ローラ54を、搬送駆動部材33の復路側搬送部33cの下方に設けられたガイド部17によって案内支持するように構成されている。
【0126】
このガイド部17は、
図10に示すように、搬送方向に延びるように形成され、
図9に示すように、その両側部に鉛直方向に延びる脱落防止用のガイド壁部が設けられている。
【0127】
本実施の形態では、基板保持器支持機構18の例えばローラからなる復路側基板保持器支持機構18cを保持するための搬送方向に延びるように立設された保持部材18dに対して搬送方向に延びるように水平方向に向けて固定された板状の基台18eが設けられ、この基台18e上に、例えばL字形状の取付部材17Aが固定されるとともに、この取付部材17Aに固定された支持部材17Bの水平面上にガイド部17が固定されている。
【0128】
そして、
図9及び
図10に示すように、このガイド部17は、その支持面が基板保持器支持機構18の復路側基板保持器支持機構18cの支持部より下方に位置するように設けられている。
【0129】
一方、本実施の形態のガイド部17は、
図10に示すように、第2の搬送方向P2に向って、水平方向に延びる走行部17aと、走行部17aに連結され斜め上方に向って傾斜する上方傾斜部17bと、この上方傾斜部17bに連結され水平方向に延びる接触解除部17cとが設けられている。
【0130】
これら上方傾斜部17bと接触解除部17cについては詳細は後述するが、基板保持器11の第1の被駆動部12と、垂れ防止部材35の第1の駆動部36の接触を解除するためのものである。
【0131】
以下、本実施の形態の真空処理装置1の動作を
図11〜
図21を参照して説明する。
【0132】
本実施の形態では、まず、
図11に示すように、基板搬入搬出機構6の支持部62上のシール部材63を真空槽2の内壁に密着させて真空槽2内の雰囲気に対して基板搬入搬出室2A内の雰囲気を隔離した状態で、大気圧までベントした後、基板搬入搬出室2Aの蓋部2aを開ける。
【0133】
その後、図示しない搬送ロボットを用いて処理前の基板10aを基板搬入搬出機構6の支持部62の搬送ロボット64上の基板保持器11に装着して保持させる。
【0134】
そして、
図12に示すように、基板搬入搬出室2Aの蓋部2aを閉じて所定の圧力となるまで真空排気した後、基板搬入搬出機構6の支持部62を上述した基板保持器受け渡し位置まで下降させ、基板保持器11の高さが搬送駆動部材33の往路側搬送部33aと同等の高さ位置となるようにする。
【0135】
さらに、
図13に示すように、基板搬入搬出機構6の支持部62に設けた搬送ロボット64によって基板保持器11を基板保持器搬送機構3の基板保持器導入部30Aに配置する。
【0136】
この場合、基板保持器11の第1の被駆動部12を垂れ防止部材35の第1の駆動部36の溝部36c(
図5参照)内に配置されるように位置決めして往路側基板保持器支持機構18a上に載置するが、この動作の際、垂れ防止部材35の移動が遅れてタイミングのずれが生じ、第1の被駆動部12を第1の駆動部36の溝部36c内に配置することができない場合がある。
【0137】
しかし、本実施の形態では、上述したように垂れ防止部材35の第1の駆動部36にストッパ部36dが設けられていることから、垂れ防止部材35の移動が遅れた場合には、
図14(a)に示すように、第1の駆動部36のストッパ部36dの第1の搬送方向P1側の先端部が上方に向いてその上面の搬送方向上流側(後方側)の部分が低くなるように傾斜するため、基板保持器11の第1の被駆動部12が第1の駆動部36のストッパ部36dの上面に当接して基板保持器11はその位置で停止し、搬送駆動部材33を僅かに動作させることにより、第1の被駆動部12を第1の駆動部36の溝部36c内に円滑に配置することができる。
【0138】
その後、この状態で、
図14(b)に示すように、基板保持器搬送機構3の搬送駆動部材33の往路側搬送部33aを第1の搬送方向P1に移動させる。
【0139】
これにより、搬送駆動部材33の往路側搬送部33a上の第1の駆動部36によって基板保持器11の第1の被駆動部12が第1の搬送方向P1に駆動され、基板保持器11が搬送駆動部材33の往路側搬送部33a上を搬送折り返し部30Bに向って搬送される。
【0140】
この場合、
図11に示す第1の処理領域4の位置を通過する際に、基板保持器11に保持された処理前の基板10aの第1の処理領域4側の第一面に対して所定の真空処理(例えばスパッタリングによる成膜)を行う。
【0141】
図15(a)〜(c)並びに
図16(a)〜(c)は、本実施の形態における基板保持器搬送機構及び方向転換機構の動作を示す説明図である。
【0142】
本実施の形態では、搬送駆動部材33に取り付けられた垂れ防止部材35の第1の駆動部36を第1の搬送方向P1に移動させることにより、
図15(a)に示すように、基板保持器搬送機構3の搬送折り返し部30Bに到達した基板保持器11を更に第1の搬送方向P1に移動させ、基板保持器11の第2の被駆動部13を方向転換機構40の第2の方向転換経路52の進入口の位置に配置する。
【0143】
この場合、方向転換機構40の第2の駆動部46が基板保持器11の第2の被駆動部13の下方に位置するように搬送駆動部材45の動作を制御する。
【0144】
そして、搬送駆動部材33を駆動して垂れ防止部材35の第1の駆動部36を第1の搬送方向P1に移動させるとともに、方向転換機構40の搬送駆動部材45を駆動して第2の駆動部46を第1の搬送方向P1に移動させる。この場合、垂れ防止部材35の第1の駆動部36と第2の駆動部46の動作が同期するように制御する。
【0145】
これにより、
図15(b)に示すように、基板保持器11の第1及び第2の被駆動部12、13が垂れ防止部材35の第1の駆動部36と第2の駆動部46によってそれぞれ支持駆動され、第1及び第2の方向転換経路51、52内を下方に向ってそれぞれ移動する。
【0146】
なお、この過程においては、基板保持器11の第1の被駆動部12は第1の方向転換経路51内において同時に接触することはないが第1のガイド部材41の縁部と第2のガイド部材42の縁部とに接触し、また第2の被駆動部13は第2の方向転換経路52内において同時に接触することはないが第2のガイド部材42の縁部と第3のガイド部材43の縁部とに接触する。この場合、基板保持器11は上下関係を維持している。
【0147】
そして、第1及び第2の被駆動部12、13が第1及び第2の方向転換経路51、52の中腹部分をそれぞれ通過した付近から、第1及び第2の被駆動部12、13の搬送方向が、基板保持器11の上下関係を維持した状態で第1の搬送方向P1と反対方向の第2の搬送方向P2にそれぞれ転換される。
【0148】
なお、この過程においては、基板保持器11の第1の被駆動部12は第1の方向転換経路51内において同時に接触することはないが第1のガイド部材41の縁部と第2のガイド部材42の縁部とに接触し、また第2の被駆動部13は第2の方向転換経路52内において同時に接触することはないが第2のガイド部材42の縁部と第3のガイド部材43の縁部とに接触する。
【0149】
さらに、基板保持器搬送機構3の搬送駆動部材33と方向転換機構40の搬送駆動部材45の駆動を継続すると、
図15(c)に示すように、基板保持器11の第1の被駆動部12が第1の方向転換経路51の排出口並びに受け渡し部材47の受け渡し部47aを経由して受け渡し部材47の上方の位置に配置されるとともに、基板保持器11の第2の被駆動部13が第2の方向転換経路52の排出口の位置に配置され、その後、
図16(a)に示すように、基板保持器11は、基板保持器支持機構18の復路側基板保持器支持機構18cに受け渡される。
【0150】
また、垂れ防止部材35は、上述したガイド部17の走行部17aに支持される。
【0151】
ここで、垂れ防止の側面から考えた場合、ガイド部17の走行部17aは搬送駆動部材33の垂れが問題となる箇所にのみ設けてもよく、その場合垂れ防止部材35は、上述した復路側基板保持器支持機構18cへの受け渡しと同時にガイド部17の走行部17aに支持されない場合も存在する。
【0152】
なお、
図15(c)に示す時点で方向転換機構40の第2の駆動部46と基板保持器11の第2の被駆動部13は接触しておらず、基板保持器11は、垂れ防止部材35の第1の駆動部36と第1の被駆動部12との接触による駆動によって第2の搬送方向P2へ移動する。
【0153】
そして、更なる基板保持器搬送機構3の搬送駆動部材33の駆動により、
図16(b)に示すように、基板保持器11の第2の被駆動部13が受け渡し部材47の傾斜面47bに接触して受け渡し部材47が下方に回転移動し、
図16(c)に示すように、基板保持器11の第2の被駆動部13が受け渡し部材47の上方を通過して基板保持器11が第2の搬送方向P2へ移動する。
【0154】
なお、受け渡し部材47は、この過程の後に図示しない弾性部材の付勢力によって元の位置に戻る。
【0155】
その後、
図17(a)に示すように、搬送駆動部材33の復路側搬送部33cを第2の搬送方向P2に移動させ、垂れ防止部材35の第1の駆動部36によって第1の被駆動部12を同方向に駆動することにより、基板保持器11を基板保持器排出部30Cに向って搬送する。
【0156】
この場合、
図11に示す第2の処理領域5の位置を通過する際に、基板保持器11に保持された処理前の基板10aの第2の処理領域5側の第二面に対して所定の真空処理(例えばスパッタリングによる成膜)を行う。
【0157】
そして、搬送駆動部材33の復路側搬送部33cを第2の搬送方向P2に移動させ、第1の駆動部36によって第1の駆動部36を同方向に駆動すると、基板保持器11が基板保持器排出部30Cに到達する直前に、
図17(b)に示すように、垂れ防止部材35の第1の駆動部36と、第1の被駆動部12との接触が外れ、これにより基板保持器11は推進力を失う。
【0158】
図18(a)〜(d)は、本実施の形態における垂れ防止部材の第1の駆動部と基板保持器の第1の被駆動部との接触を解除する動作を示す説明図である。
【0159】
搬送駆動部材33の復路側搬送部33cを第2の搬送方向P2に移動させると、
図18(a)に示すように、垂れ防止部材35の第1の駆動部36の第2の突部36bの第2の搬送方向P2側の駆動面36eが基板保持器11の第1の被駆動部12に接触した状態で基板保持器11が第2の搬送方向P2に移動する。
【0160】
図18(a)に示す位置では、垂れ防止部材35の走行ローラ54はガイド部17の走行部17aに接触し、垂れ防止部材35は走行部17aに沿って水平方向に移動する。
【0161】
この状態から搬送駆動部材33の復路側搬送部33cを第2の搬送方向P2に移動させると、基板保持器11が復路側基板保持器支持機構18c上を第2の搬送方向P2に移動する一方で、
図18(b)に示すように、垂れ防止部材35の走行ローラ54がガイド部17の上方傾斜部17bに乗り上げて第2の搬送方向P2の斜め上方へ移動することにより、垂れ防止部材35の第1の駆動部36も第2の搬送方向P2の斜め上方へ移動する。
【0162】
引き続き搬送駆動部材33の復路側搬送部33cを第2の搬送方向P2に移動させると、基板保持器11の第1の被駆動部12に対する垂れ防止部材35の第1の駆動部36の高さ位置が徐々に上方に移動し、
図18(c)に示すように、垂れ防止部材35の走行ローラ54がガイド部17の接触解除部17cに乗り上げた時点で、垂れ防止部材35の第1の駆動部36の第2の突部36bの下端部が基板保持器11の第1の被駆動部12の上部より上方に位置し、これにより第1の駆動部36の第2の突部36bの駆動面36eと基板保持器11の第1の被駆動部12との接触が完全に解除される。
【0163】
その結果、
図18(d)に示すように、垂れ防止部材35の第1の駆動部36の第2の突部36bと基板保持器11の第2の被駆動部13とを接触させることなく、基板保持器11を復路側搬送部33cに沿って第2の搬送方向P2へ水平移動させることができるようになる。
【0164】
このような本実施の形態によれば、従来技術(例えばスプロケットによって形成される円弧状の軌跡に沿って垂れ防止部材35の第1の駆動部36が斜め上方へ移動する場合)と比べて垂れ防止部材35の第1の駆動部36と基板保持器11の第1の被駆動部12との接触を外す動作時の移動距離を短くし、また当該動作時間を短縮することができ、これにより基板保持器11を基板保持器搬送機構3から排出して基板搬入搬出機構6に受け渡すタイミングを大幅に早めることができる。また、当該排出の際に基板保持器11の第2の被駆動軸13が垂れ防止部材35の第1の駆動部36の第2の突部36b(駆動面36e)の先端部と干渉することについても同時に回避することができる。
【0165】
以上の動作を行った後、
図19に示す基板搬入搬出機構6の搬送ロボット64によって基板保持器11を第2の搬送方向P2に移動させて第1の駆動部36に対して離間させる。
【0166】
さらに、基板搬入搬出機構6の搬送ロボット64を用いて基板保持器11の取り出し動作を行い、
図19に示すように、基板保持器11を搬送ロボット64と共に支持部62上に配置する。
【0167】
その後、
図20に示すように、基板搬入搬出機構6の支持部62を上昇させ、支持部62上のシール部材63を真空槽2の内壁に密着させて真空槽2内の雰囲気に対して基板搬入搬出室2A内の雰囲気を隔離した状態で、大気圧までベントを行う。
【0168】
そして、
図21に示すように、基板搬入搬出室2Aの蓋部2aを開け、図示しない搬送ロボットを用い、処理済の基板10bを基板保持器11から大気中に取り出す。
【0169】
その後、
図11に示す状態に戻り、上述した動作を繰り返すことにより、複数の基板10に対してそれぞれ両面に上述した真空処理を行う。
【0170】
以上述べた本実施の形態にあっては、鉛直面に対する投影形状が一連の環状となるように形成された搬送経路を有し単一の真空雰囲気が形成される真空槽2内において、この搬送経路の搬送方向に対して外方側に設けられた第1の駆動部36に組み付けられた垂れ防止部材35の走行ローラ54が、基板保持器搬送機構3の下方側に位置する搬送駆動部材33の復路側搬送部33cの下方に設けられ第2の搬送方向P2に延びるガイド部17に沿って走行し、第1の駆動部36が基板保持器11の第1の被駆動部12と接触して基板保持器11を搬送経路に沿って第2の搬送方向P2へ駆動するように構成されていることから、搬送経路の第2の搬送部を構成する搬送駆動部材33の復路側搬送部33c(例えばコンベヤチェーン)の垂れを防止しつつ、従来技術に比べて基板保持器11の搬送時におけるダストの発生を抑制することができる。
また、本実施の形態においては、基板保持器11が当該搬送方向に対して直交する方向に複数の基板10を並べて保持するように構成されていることから、従来技術のような基板の搬送方向に複数の基板を並べて保持する基板保持器を搬送して処理を行う場合と比較して、基板保持器の長さ及びこれに伴う余剰スペースを削減することができるので、真空処理装置のより省スペース化を達成することができる。
【0171】
なお、本発明は上述した実施の形態に限られず、種々の変更を行うことができる。
【0172】
例えば上記実施の形態においては、基板保持器搬送機構3及び方向転換機構40について、一対のスプロケットと、これら一対のスプロケットに架け渡されたコンベヤチェーンから構成するようにしたが、例えばベルトやレールを用いた環状形状の搬送駆動機構を用いることもできる。
【0173】
さらに、基板保持器支持機構18については、ローラではなくベルトやレールを用いて構成することもできる。
【0174】
また、第1及び第2の駆動部36、46の形状については、上記実施の形態に限られず、基板保持器11の第1及び第2の被駆動部12、13と確実に接触して支持駆動することができる限り、種々の形状のものを採用することができる。
【0175】
さらに、上記実施の形態では、真空中における処理として、スパッタリングを行う装置を例にとって説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、プラズマ処理、イオン注入処理、蒸着処理、化学気相成長処理、集束イオンビーム処理、エッチング処理等の種々の処理を行う真空処理装置に適用することができる。
【0176】
この場合、第1及び第2の処理領域4、5には、異なる処理を行う処理源を設けることもできる。
【0177】
さらに、本発明は、上記実施の形態のように、処理前の基板10aを真空槽2内に搬入し、処理済の基板10bを真空槽2から搬出する場合のみならず、処理前の基板10aを基板保持器11と共に真空槽2内に搬入し、処理済の基板10bを基板保持器11と共に真空槽2から搬出する場合にも適用することができる。
本発明は、鉛直面に対する投影形状が一連の環状となるように形成された搬送経路に沿って複数の基板保持器を搬送する真空処理装置において、基板保持器の搬送時におけるダストの発生を抑制することができる技術を提供する。本発明は、鉛直面に対する投影形状が一連の環状となるように形成された搬送経路を有し単一の真空雰囲気が形成される真空槽2内において、この搬送経路の搬送方向に対して外方側に設けられた第1の駆動部36に組み付けられた垂れ防止部材35を有する。垂れ防止部材35の走行ローラ54が、基板保持器搬送機構3の下方側に位置する復路側搬送部33cの下方に設けられ第2の搬送方向P2に延びるガイド部17に案内支持されて走行し、第1の駆動部36が基板保持器11の第1の被駆動部12と接触して基板保持器11を搬送経路に沿って第2の搬送方向P2へ駆動するように構成されている。