【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、総務省、「次世代衛星放送システムのための周波数有効利用促進技術の研究開発」に係わる委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般的に、衛星放送受信システムは、
図7に示すように、主に、衛星放送受信装置1、衛星放送用受信アンテナ装置2、接続ケーブル3、及び受信機4により構成される。衛星放送用受信アンテナ装置2は、衛星放送波を受信しその放送用周波数の信号を衛星放送信号として出力する装置であり、例えばパラボラアンテナ等が知られている。衛星放送用受信アンテナ装置2には、通常、プローブ信号線2aが衛星放送波を受信し給電する給電部と一体的に設けられ、このプローブ信号線2aを介して衛星放送波の放送用周波数に対応する衛星放送信号が、衛星放送用受信アンテナ装置2から衛星放送受信装置1に出力される。
【0003】
衛星放送受信装置1は、入力される衛星放送信号の放送用周波数を中間周波数(IF)に変換し、その変換した信号(IF信号)を、同軸ケーブル等で構成される接続ケーブル3を介して、宅内配置されるテレビジョン受信機等の受信機4に出力する。そして、受信機4により、当該衛星放送が視聴可能となる。
【0004】
ところで、現行の衛星放送は12GHz帯の電波を用いており、その12GHz帯の衛星放送信号をそのまま接続ケーブル3を介して受信機4に伝送すると、接続ケーブル3における減衰が大きい。そこで、衛星放送受信装置1は、衛星放送信号の放送用周波数を中間周波数(IF)に変換し、接続ケーブル3を用いて受信機4まで伝送している。このため、このような衛星放送受信装置1は、コンバータとも称される。
【0005】
また、現行の衛星放送では円偏波が用いられ、現状、東経110度方向のBSデジタル放送(以下、「BS」と略す)、同じく同方向の広帯域CSデジタル放送(以下、「CS」と略す)などがあり、いずれも右旋円偏波を用いている。
【0006】
尚、右旋円偏波と左旋円偏波は共用できるため、左旋円偏波を用いれば右旋円偏波と同一周波数でも別チャンネルの衛星放送波を伝送することができ、周波数の有効利用が可能となる。例えば、衛星放送受信装置1は、同時受信した右旋及び左旋の円偏波の衛星放送波をそれぞれのIF信号に変換し、各IF信号を混合して同軸ケーブルで構成した接続ケーブル3を経て出力することが可能である(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
そこで、BS・CSの左旋用IFの周波数がARIB標準規格STD−B63で新たに規定されている(例えば、非特許文献1参照)。尚、ARIB標準規格STD−B63では、接続ケーブル3として、1軸同軸配信方式の同軸ケーブル、或いはシングルモード光ファイバよりなる光配信方式の光ケーブルのいずれかであることが望ましいとされている。
【0008】
ARIB標準規格STD−B63によれば、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)の右旋帯域は、放送用周波数として11.71023GHz〜12.74825GHzを使用し、BS・CS右旋用IFの周波数として1032.23MHz〜2070.25MHzを使用する。この右旋用IFに周波数変換するための局部発振周波数は、10.678GHzを規定値としている。
【0009】
一方、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)の左旋帯域は、放送用周波数として11.72941GHz〜12.72825GHzを使用し、BS・CS左旋用IFの周波数として2224.41MHz〜3223.25MHzを使用する。この左旋用IFに周波数変換するための局部発振周波数は、9.505GHzを規定値としている。
【0010】
また、地上デジタルテレビ放送(地上TV)も、衛星放送用と同一の接続ケーブル3により宅内伝送することが一般的である。地上TVの周波数は470MHz〜710MHzである。更に、ケーブルテレビの信号と衛星放送のIF信号を混合し、同一の接続ケーブル3で伝送する視聴形態もある。ケーブルテレビの周波数は10MHz〜770MHzである。地上TV、ケーブルテレビ、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)の右旋IF、及びその左旋IFの周波数関係を
図8に示している。
【0011】
従って、従来技法に基づく衛星放送受信システムでは、例えば
図9に示すように衛星放送用受信アンテナ装置2及び衛星放送受信装置1を構成することができる。衛星放送用受信アンテナ装置2は、周波数抽出部21により12GHz帯の衛星放送(BS・CS)の衛星放送波を受信して右旋円偏波及び左旋円偏波の放送用周波数を抽出するとともに、偏波分離部22により右旋円偏波及び左旋円偏波の放送用周波数をそれぞれ分離した衛星放送信号を衛星放送受信装置1に出力する。
【0012】
図9に示す衛星放送受信装置1は、第1周波数変換部11、第2周波数変換部12、第1局部発振器13、第2局部発振器14、合波器15、及び混合器16を備える。
【0013】
第1周波数変換部11は、第1局部発振器13からの局部発振周波数10.678GHzを用いて右旋円偏波の衛星放送信号を12GHz帯の衛星放送(BS・CS)の右旋IF信号に変換して合波器15に出力する。
【0014】
第2周波数変換部12は、第2局部発振器14からの局部発振周波数9.505GHzを用いて右旋円偏波の衛星放送信号を12GHz帯の衛星放送(BS・CS)の左旋IF信号に変換して合波器15に出力する。
【0015】
合波器15は、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)における右旋IF信号と左旋IF信号とを合波した信号を混合器16に出力する。
【0016】
混合器16は、専用に設けられた入力端子から入力される地上TV、又はケーブルテレビの信号と、当該12GHz帯の衛星放送(BS・CS)における右旋IF信号及び左旋IF信号を合波した信号とを混合し、単一の接続ケーブル3で受信機4に向けて伝送する。尚、第1及び第2周波数変換部11,12にはフィルタや増幅器が実装されるのが一般的であるが、その図示を省略している。
【0017】
このように、
図9に示す衛星放送受信装置1では、同軸ケーブル等の単一の接続ケーブル3を用いて地上TV、ケーブルテレビ、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)の右旋IF、及びその左旋IFの各信号を受信機4に向けて伝送することができる。
【0018】
ところで、現在、衛星放送用として21GHz帯(21.4GHz〜22.0GHz)の放送用周波数の帯域が割り当てられている。この21GHz帯の衛星放送波を用いれば、所謂8Kスーパーハイビジョンや立体テレビなどの新たな放送が可能である。そして、21GHz帯の衛星放送波も、右旋円偏波と左旋円偏波の共用による周波数の有効利用が想定される。
【0019】
このため、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)と、21GHz帯の衛星放送とを同時受信可能とする衛星放送用受信アンテナ装置も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0020】
尚、同軸ケーブルで接続ケーブル3を構成すると、そのケーブル長が長くなることによる損失が無視できない場合に、光ファイバで構成した接続ケーブル3とし、衛星放送の衛星放送信号を電気・光変換器により光信号に変換し、光ファイバで構成した接続ケーブル3を経て屋内の受信機4に向けて伝送し、受信機4を配置する屋内側でIF信号に変換する技法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
前述したように、現在、衛星放送用として21GHz帯(21.4GHz〜22.0GHz)の放送用周波数の帯域が割り当てられている。この21GHz帯の衛星放送波を用いれば、所謂8Kスーパーハイビジョンや立体テレビなどの新たな放送が可能である。そして、21GHz帯の衛星放送波も、右旋円偏波と左旋円偏波の共用による周波数の有効利用が想定される。
【0024】
ところが、
図9に示すような従来技法に基づく例と同様な着想で、21GHz帯の衛星放送波を受信可能とする衛星放送受信装置1を構成しようとすると、衛星放送受信装置1内に、21GHz帯の衛星放送用として新たな局部発振周波数を発生する局部発振器を別途設けることになる。このため、衛星放送受信装置1の製造コストの増大やその品質管理の負担増大を招くという問題がある。特に、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)と、21GHz帯の衛星放送とを同時受信可能とするよう構成しようとすると、衛星放送受信装置1内に、12GHz帯の右旋用・左旋用の局部発振器に加え、21GHz帯の右旋用・左旋用の局部発振器が必要となる。その結果、衛星放送受信装置1の大型化、回路規模の増大に伴う製造コストの増大、及びその品質管理の負担増大を招くという問題が生じる。
【0025】
また、21GHz帯のIFで必要な周波数帯域幅は、右旋円偏波で約600MHz、左旋円偏波で約600MHzとなるので、合計で約1200MHzである。
【0026】
現在、3223.25MHzまでは、12GHz帯の衛星放送用IFの周波数として規定されていることから、仮に、21GHz帯の衛星放送用IF信号を3224MHzよりも高い周波数に配置するとした場合、そのIF信号の周波数の上限を4500MHz程度まで拡張する必要性が生じることになる。
【0027】
例えば、地上TV、ケーブルテレビ、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)の右旋IF、及びその左旋IFの各信号の他、21GHz帯の衛星放送の右旋IF、或いは左旋IFの信号も衛星放送受信装置1から受信機4へ伝送可能に構成しようとすると、広帯域の接続ケーブル3を新たに用意する必要が生じる。
【0028】
しかしながら、一般的な受信機の入力部は、インピーダンス75オームのF型同軸コネクタであり、これにインピーダンスマッチングする接続ケーブルを同軸ケーブルにより構成しようとすると、同軸ケーブルの損失は周波数が高くなるほど大きくなるため、接続ケーブルの入力周波数を10MHz〜4500MHzまで対応させることは難しい。このため、接続ケーブルとして、光ファイバよりなる光ケーブルを用いることが想定される。しかしながら、既存の設備に設けられている同軸ケーブルよりなる接続ケーブルを利用できなくなるという問題がある。
【0029】
仮に、上述した問題を回避しようとして、特許文献3の技法を応用して衛星放送受信システムを構成しようとしても、衛星放送受信装置1内で12GHz帯や21GHz帯といった高い周波数の衛星放送信号を光信号に変換しなければならず高価なレーザーが必要になることや、非特許文献2にも示されるように数GHzまでしか伝送できない光ファイバに対応するべく変調器等を新設する必要が生じ、更には、複数種の信号を衛星放送受信装置1から受信機4へ伝送可能となるよう構成しようとすると、その分配数と同数の周波数変換部が必要となり、高コストになる。
【0030】
従って、衛星放送受信装置1の製造コストの低減やその品質管理の負担を軽減させ、既存の設備の接続ケーブル(同軸ケーブルや光ケーブル)と同一仕様のものを使用可能とし、好適には、既存の設備に設けられている接続ケーブルを利用可能とする実用性の高い装置構成が望まれる。
【0031】
本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、実用性の高い態様で、所定の受信アンテナ装置を介して得られる衛星放送信号に対し周波数変換を施して受信機に伝送する衛星放送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明による
一態様の衛星放送受信装置は、所定の受信アンテナ装置を介して得られる衛星放送信号に対し周波数変換を施して出力する衛星放送受信装置であって、第1の局部発振周波数の信号を出力する第1の局部発信器と、第2の局部発振周波数の信号を出力する第2の局部発信器と、所定の受信アンテナ装置を介して得られる所定帯域内の第1偏波の衛星放送信号に対し前記第1の局部発振周波数の信号と前記第2の局部発振周波数の信号のうち一方の信号を用いて周波数変換を施す第1の前段周波数変換手段と、前記第1の前段周波数変換手段から得られる周波数変換後の信号に対し前記第1の局部発振周波数の信号と前記第2の局部発振周波数の信号のうち他方の信号を用いて周波数変換を施し、第1の中間周波数信号を生成する
第1の後段周波数変換手段と、前記所定帯域内の第2偏波の衛星放送信号に対し前記第2の局部発振周波数の信号を用いて周波数変換を施す第2の前段周波数変換手段と、前記第2の前段周波数変換手段から得られる周波数変換後の信号に対し前記第2の局部発振周波数の信号を用いて周波数変換を施し、第2の中間周波数信号を生成する
第2の後段周波数変換手段と、前記第1の中間周波数信号と前記第2の中間周波数信号とを合波して、出力用の中間周波数信号を生成する合波器と、を備え
、前記所定帯域は、12GHz帯の放送用周波数帯域よりも高い予め定められた21GHz帯の放送用周波数帯域であり、前記12GHz帯の放送用周波数帯域の出力用の中間周波数信号の帯域が偏波毎に標準化された規定値を有し、前記第1の局部発振周波数は10.678GHzを規定値とし、前記第2の局部発振周波数は9.505GHzを規定値として、前記第1の局部発振周波数を前記第2の局部発振周波数より1.173GHz分高くすることにより、偏波毎に、前記所定帯域の前記出力用の中間周波数信号の帯域が、前記12GHz帯の放送用周波数帯域の出力用の中間周波数信号の帯域内に位置するようにしたことを特徴とする。
【0038】
更に、本発明による
別態様の衛星放送受信装置は、所定の受信アンテナ装置を介して得られる衛星放送信号に対し周波数変換を施して出力する衛星放送受信装置であって、第1の局部発振周波数の信号を出力する第1の局部発信器と、第2の局部発振周波数の信号を出力する第2の局部発信器と、所定の受信アンテナ装置を介して得られる第1帯域内の第1偏波の衛星放送信号に対し前記第1の局部発振周波数の信号を用いて周波数変換を施し、前記第1偏波の中間周波数信号を生成する第1の周波数変換手段と、前記第1帯域内の第2偏波の衛星放送信号に対し前記第2の局部発振周波数の信号を用いて周波数変換を施し、前記第2偏波の中間周波数信号を生成する第2の周波数変換手段と、前記第1偏波の中間周波数信号と前記第2偏波の中間周波数信号とを合波して、第1出力用の中間周波数信号を生成する第1の合波器と、前記所定の受信アンテナ装置を介して得られる第2帯域内の第3偏波の衛星放送信号に対し前記第1の局部発振周波数の信号と前記第2の局部発振周波数の信号のうち一方の信号を用いて周波数変換を施す第1の前段周波数変換手段と、前記第1の前段周波数変換手段から得られる周波数変換後の信号に対し前記第1の局部発振周波数の信号と前記第2の局部発振周波数の信号のうち他方の信号を用いて周波数変換を施し、前記第3偏波の中間周波数信号を生成する
第1の後段周波数変換手段と、前記第2帯域内の第4偏波の衛星放送信号に対し前記第2の局部発振周波数の信号を用いて周波数変換を施す第2の前段周波数変換手段と、前記第2の前段周波数変換手段から得られる周波数変換後の信号に対し前記第2の局部発振周波数の信号を用いて周波数変換を施し、前記第4偏波の中間周波数信号を生成する
第2の後段周波数変換手段と、前記第3偏波の中間周波数信号と前記第4偏波の中間周波数信号とを合波して、第2出力用の中間周波数信号を生成する第2の合波器と、を備え
、前記第2帯域は、12GHz帯の放送用周波数帯域とする前記第1帯域よりも高い予め定められた21GHz帯の放送用周波数帯域であり、前記第1帯域の放送用周波数帯域の出力用の中間周波数信号の帯域が偏波毎に標準化された規定値を有し、前記第1の局部発振周波数は10.678GHzを規定値とし、前記第2の局部発振周波数は9.505GHzを規定値として、前記第1の局部発振周波数を前記第2の局部発振周波数より1.173GHz分高くすることにより、偏波毎に、前記第2帯域の前記第2出力用の中間周波数信号の帯域が、前記第1帯域の前記第1出力用の中間周波数信号の帯域内に位置するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、衛星放送受信装置の製造コストの低減やその品質管理の負担を軽減させることができ、更には既存の設備の接続ケーブル(同軸ケーブルや光ケーブル)と同一仕様のものが使用可能となり、この点からもシステムコストを低減させ、その品質管理の負担を軽減させることができる。また、好適には、既存の設備に設けられている接続ケーブルを利用可能となるため、実用性の高い装置構成の衛星放送受信装置とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照して、本発明による各実施形態の衛星放送受信装置1について説明する。尚、本発明による各実施形態の衛星放送受信装置1を備える衛星放送受信システムは、
図7に示す衛星放送受信システムとほぼ同様に構成することができ、同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0044】
即ち、本発明に係る衛星放送受信システムにおいても、
図7を参照して説明するに、主に、本発明に係る衛星放送受信装置1、衛星放送用受信アンテナ装置2、接続ケーブル3、及び受信機4により構成される。衛星放送用受信アンテナ装置2は、21GHz帯を含む衛星放送波を受信しその放送用周波数の信号を衛星放送信号として出力する装置であればよく、例えば、特許文献2に開示される、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)と、21GHz帯の衛星放送とを同時受信可能とする衛星放送用受信アンテナ装置を利用することもできる。衛星放送用受信アンテナ装置2には、通常、プローブ信号線2aが衛星放送波を受信し給電する給電部と一体的に設けられ、このプローブ信号線2aを介して衛星放送波の放送用周波数に対応する衛星放送信号が、衛星放送用受信アンテナ装置2から衛星放送受信装置1に出力される。
【0045】
そして、本発明による各実施形態の衛星放送受信装置1は、入力される衛星放送信号の放送用周波数を中間周波数(IF)に変換し、その変換した信号(IF信号)を、同軸ケーブル等で構成される12GHz帯の衛星放送用と同仕様の接続ケーブル3を介して、宅内配置されるテレビジョン受信機等の受信機4に出力する。そして、受信機4により、当該衛星放送を視聴可能とする。以下、各実施形態の衛星放送受信装置1について、詳細に説明する。
【0046】
尚、現時点では、衛星放送用として21GHz帯(21.4GHz〜22.0GHz)の放送用周波数の帯域が割り当てられているものの、右旋円偏波のみとするか、左旋円偏波のみとするか、或いは右旋及び左旋円偏波の共用とするかは定められておらず、更にはこれら右旋及び左旋円偏波の中間周波数や局部発振周波数の割り当てについても定められていない。このため、本発明による各実施形態の衛星放送受信装置1では、それぞれの偏波利用態様における中間周波数と、局部発振周波数の割り当てに関する好適例が提示される。
【0047】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明による第1実施形態の衛星放送受信装置1、及びこれに係る衛星放送用受信アンテナ装置2の概略構成を示すブロック図である。衛星放送用受信アンテナ装置2は、周波数抽出部21により21GHz帯の衛星放送波を受信して右旋又は左旋円偏波のいずれか一方の放送用周波数21.4〜22.0GHzを抽出するとともに、偏波分離部22により当該抽出した放送用周波数の偏波(右旋又は左旋円偏波のいずれか一方の偏波)を分離した衛星放送信号を衛星放送受信装置1に出力する。
【0048】
本実施形態の衛星放送受信装置1は、右旋又は左旋円偏波のいずれか一方の偏波から得られる21GHz帯の衛星放送信号の放送用周波数(21.4GHz〜22.0GHz)に対し1217〜1817MHzの中間周波数まで2段階の周波数変換を施して出力するコンバータとして機能する装置であり、第1局部発振器13、第2局部発振器14、第1前段周波数変換部17a、第1後段周波数変換部17b、及び混合器16を備える。
【0049】
第1前段周波数変換部17aは、第2局部発振器14からの局部発振周波数9.505GHzを用いて右旋又は左旋円偏波のいずれか一方の衛星放送信号(21.4GHz〜22.0GHz)を前段IF信号(11.895GHz〜12.495GHz)に変換して第1後段周波数変換部17bに出力する。
【0050】
第1後段周波数変換部17bは、第1局部発振器13からの局部発振周波数10.678GHzを用いて前段IF信号(11.895GHz〜12.495GHz)を後段IF信号(1217〜1817MHz)に変換して混合器16に出力する。
【0051】
混合器16は、専用に設けられた入力端子から入力される地上TV、又はケーブルテレビの信号と、当該21GHz帯の衛星放送における後段IF信号とを混合し、単一の接続ケーブル3で受信機4に向けて伝送する。尚、第1前段周波数変換部17a及び第1後段周波数変換部17bにはフィルタや増幅器が実装されるのが一般的であるが、その図示を省略している。
【0052】
ここで、混合器16は、必ずしも設ける必要はなく、第1後段周波数変換部17bから出力される後段IF信号(1217〜1817MHz)を単一の接続ケーブル3で受信機4に向けて伝送する構成としてもよい。
【0053】
また、第1前段周波数変換部17a及び第1後段周波数変換部17bでそれぞれ用いる第1及び第2局部発振器13,14からの局部発振周波数を入れ替えて構成してもよく、この場合でも後段IF信号(1217〜1817MHz)を得ることができる。
【0054】
ところで、仮に、右旋又は左旋円偏波のいずれか一方の偏波から得られる21GHz帯(21.4GHz〜22.0GHz)の衛星放送の放送用周波数に対し1217〜1817MHzの中間周波数まで1段階の周波数変換を施すよう構成すると、21GHz帯の衛星放送に専用化した局部発振周波数の信号を発生する局部発振器を設けねばならず、結果として、そのように構成した衛星放送受信装置の製造コストは増大し、その品質管理の負担も増大する。
【0055】
一方、本実施形態の衛星放送受信装置1によれば、21GHz帯の衛星放送受信にあたって2段階の周波数変換を施すよう構成し、第1及び第2局部発振器13,14をいずれも
図9に示す12GHz帯の衛星放送(BS・CS)における右旋IF信号と左旋IF信号の生成のために用いるものと同一仕様のものとすることができ、その流用性の観点から衛星放送受信装置1の製造コストの低減や、その品質管理の負担を軽減させることができる。
【0056】
また、本実施形態の衛星放送受信装置1によれば、21GHz帯の衛星放送受信にあたって、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)用の既存の設備の接続ケーブル(同軸ケーブルや光ケーブル)と同一仕様のものが使用可能となり、この点からもシステムコストを低減させ、その品質管理の負担を軽減させることができる。
【0057】
また、本実施形態の衛星放送受信装置1によれば、21GHz帯の衛星放送受信にあたって、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)用に既存の設備に設けられている接続ケーブル3を利用可能となる。
【0058】
従って、本実施形態の衛星放送受信装置1によれば、実用性の高い装置構成となる。
【0059】
〔第2実施形態〕
図2は、本発明による第2実施形態の衛星放送受信装置1、及びこれに係る衛星放送用受信アンテナ装置2の概略構成を示すブロック図である。衛星放送用受信アンテナ装置2は、周波数抽出部21により21GHz帯の衛星放送波を受信して右旋又は左旋円偏波のいずれか一方の放送用周波数21.4〜22.0GHzを抽出するとともに、偏波分離部22により当該抽出した放送用周波数の偏波(右旋又は左旋円偏波のいずれか一方の偏波)を分離した衛星放送信号を衛星放送受信装置1に出力する。
【0060】
本実施形態の衛星放送受信装置1は、右旋又は左旋円偏波のいずれか一方の偏波から得られる21GHz帯の衛星放送信号の放送用周波数(21.4GHz〜22.0GHz)に対し2390〜2990MHzの中間周波数まで2段階の周波数変換を施して出力するコンバータとして機能する装置であり、第2局部発振器14、第2前段周波数変換部18a、第2後段周波数変換部18b、及び混合器16を備える。
【0061】
第2前段周波数変換部18aは、第2局部発振器14からの局部発振周波数9.505GHzを用いて右旋又は左旋円偏波のいずれか一方の衛星放送信号(21.4GHz〜22.0GHz)を前段IF信号(11.895GHz〜12.495GHz)に変換して第2後段周波数変換部18bに出力する。
【0062】
第2後段周波数変換部18bは、第2局部発振器14からの局部発振周波数9.505GHzを用いて前段IF信号(11.895GHz〜12.495GHz)を後段IF信号(2390〜2990MHz)に変換して混合器16に出力する。
【0063】
混合器16は、専用に設けられた入力端子から入力される地上TV、又はケーブルテレビの信号と、当該21GHz帯の衛星放送における後段IF信号とを混合し、単一の接続ケーブル3で受信機4に向けて伝送する。尚、第2前段周波数変換部18a及び第2後段周波数変換部18bにはフィルタや増幅器が実装されるのが一般的であるが、その図示を省略している。
【0064】
ここで、混合器16は、必ずしも設ける必要はなく、第2前段周波数変換部17bから出力される後段IF信号(2390〜2990MHz)を単一の接続ケーブル3で受信機4に向けて伝送する構成としてもよい。
【0065】
ところで、前述と同様に、仮に、右旋又は左旋円偏波のいずれか一方の偏波から得られる21GHz帯(21.4GHz〜22.0GHz)の衛星放送の放送用周波数に対し2390〜2990MHzの中間周波数まで1段階の周波数変換を施すよう構成すると、21GHz帯の衛星放送に専用化した局部発振周波数の信号を発生する局部発振器を設けねばならず、結果として、そのように構成した衛星放送受信装置の製造コストは増大し、その品質管理の負担も増大する。
【0066】
一方、本実施形態の衛星放送受信装置1によれば、21GHz帯の衛星放送受信にあたって2段階の周波数変換を施すよう構成し、第2局部発振器14を
図9に示す12GHz帯の衛星放送(BS・CS)における左旋IF信号の生成のために用いるものと同一仕様のものとすることができ、その流用性の観点から衛星放送受信装置1の製造コストの低減や、その品質管理の負担を軽減させることができる。
【0067】
また、本実施形態の衛星放送受信装置1によれば、21GHz帯の衛星放送受信にあたって、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)用の既存の設備の接続ケーブル(同軸ケーブルや光ケーブル)と同一仕様のものが使用可能となり、この点からもシステムコストを低減させ、その品質管理の負担を軽減させることができる。
【0068】
また、本実施形態の衛星放送受信装置1によれば、21GHz帯の衛星放送受信にあたって、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)用に既存の設備に設けられている接続ケーブル3を利用可能となる。
【0069】
従って、本実施形態の衛星放送受信装置1によれば、実用性の高い装置構成となる。
【0070】
〔第3実施形態〕
図3は、本発明による第3実施形態の衛星放送受信装置1、及びこれに係る衛星放送用受信アンテナ装置2の概略構成を示すブロック図である。衛星放送用受信アンテナ装置2は、周波数抽出部21により21GHz帯の衛星放送波を受信して右旋及び左旋円偏波の双方の放送用周波数21.4〜22.0GHzを抽出するとともに、偏波分離部22により当該抽出した放送用周波数の各偏波(右旋及び左旋円偏波)を分離した衛星放送信号を衛星放送受信装置1に出力する。
【0071】
本実施形態の衛星放送受信装置1は、分離した右旋及び左旋円偏波のそれぞれから得られる21GHz帯の衛星放送信号の放送用周波数(21.4GHz〜22.0GHz)に対し、右旋及び左旋円偏波のそれぞれの中間周波数として1217〜1817MHz、及び2390〜2990MHzまで2段階の周波数変換を施し、その周波数変換後の各偏波の信号を合波して出力するコンバータとして機能する装置であり、第1局部発振器13、第2局部発振器14、第1前段周波数変換部17a、第1後段周波数変換部17b、第2前段周波数変換部18a、第2後段周波数変換部18b、及び合波器19を備える。
【0072】
第1前段周波数変換部17aは、第2局部発振器14からの局部発振周波数9.505GHzを用いて右旋円偏波の衛星放送信号(21.4GHz〜22.0GHz)を前段IF信号(11.895GHz〜12.495GHz)に変換して第1後段周波数変換部17bに出力する。
【0073】
第1後段周波数変換部17bは、第1局部発振器13からの局部発振周波数10.678GHzを用いて前段IF信号(11.895GHz〜12.495GHz)を後段IF信号(1217〜1817MHz)に変換して合波器19に出力する。
【0074】
第2前段周波数変換部18aは、第2局部発振器14からの局部発振周波数9.505GHzを用いて左旋円偏波の衛星放送信号(21.4GHz〜22.0GHz)を前段IF信号(11.895GHz〜12.495GHz)に変換して第2後段周波数変換部18bに出力する。
【0075】
第2後段周波数変換部18bは、第2局部発振器14からの局部発振周波数9.505GHzを用いて前段IF信号(11.895GHz〜12.495GHz)を後段IF信号(2390〜2990MHz)に変換して合波器19に出力する。
【0076】
合波器19は、第1後段周波数変換部17bから得られる後段IF信号(即ち、21GHz帯衛星放送右旋IF信号)と、第2後段周波数変換部18bから得られる後段IF信号(即ち、21GHz帯衛星放送左旋IF信号)とを合波した信号を生成し、単一の接続ケーブル3で受信機4に向けて伝送する。
【0077】
ただし、合波器19の後段に混合器16を設けてもよい。混合器16は、図示しない専用に設けられた入力端子から入力される地上TV、又はケーブルテレビの信号と、当該21GHz帯の衛星放送における合波器19の出力信号とを混合し、単一の接続ケーブル3で受信機4に向けて伝送するよう構成することができる。
【0078】
また、右旋と左旋円偏波用にそれぞれ用いる第1及び第2局部発振器13,14からの局部発振周波数を入れ替えて構成してもよく、この場合でも合波器19は、21GHz帯衛星放送の各偏波のIF信号について上述のように合波した信号を生成することができる。
【0079】
尚、第1前段周波数変換部17a、第1後段周波数変換部17b、第2前段周波数変換部18a及び第2後段周波数変換部18bにはフィルタや増幅器が実装されるのが一般的であるが、その図示を省略している。
【0080】
ところで、前述したように、仮に、右旋及び左旋円偏波の双方からそれぞれ得られる21GHz帯の衛星放送信号の放送用周波数(21.4GHz〜22.0GHz)に対し、それぞれ1217〜1817MHz、及び2390〜2990MHzの中間周波数まで1段階の周波数変換を施すよう構成すると、21GHz帯の衛星放送に専用化した局部発振周波数の信号を発生する局部発振器を設けねばならず、結果として、そのように構成した衛星放送受信装置の製造コストは増大し、その品質管理の負担も増大する。
【0081】
一方、本実施形態の衛星放送受信装置1によれば、21GHz帯の衛星放送受信にあたって2段階の周波数変換を施すよう構成し、第1局部発振器13及び第2局部発振器14を
図9に示す12GHz帯の衛星放送(BS・CS)における右旋及び左旋IF信号の生成のために用いるものと同一仕様のものとすることができ、その流用性の観点から衛星放送受信装置1の製造コストの低減や、その品質管理の負担を軽減させることができる。
【0082】
また、本実施形態の衛星放送受信装置1によれば、21GHz帯の衛星放送受信にあたって、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)用の既存の設備の接続ケーブル(同軸ケーブルや光ケーブル)と同一仕様のものが使用可能となり、この点からもシステムコストを低減させ、その品質管理の負担を軽減させることができる。
【0083】
また、本実施形態の衛星放送受信装置1によれば、21GHz帯の衛星放送受信にあたって、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)用に既存の設備に設けられている接続ケーブル3を利用可能となる。
【0084】
従って、本実施形態の衛星放送受信装置1によれば、実用性の高い装置構成となる。
【0085】
〔第4実施形態〕
図4は、本発明による第4実施形態の衛星放送受信装置1、及びこれに係る衛星放送用受信アンテナ装置2の概略構成を示すブロック図である。衛星放送用受信アンテナ装置2は、周波数分離部21aにより12GHz帯及び21GHz帯の衛星放送波を同時受信して帯域分離を行い、それぞれ12GHz帯及び21GHz帯の各帯域における右旋及び左旋円偏波の双方の放送用周波数を抽出するとともに、偏波分離部22,23により、12GHz帯及び21GHz帯の各帯域における当該抽出した放送用周波数の各偏波(右旋及び左旋円偏波)を分離した衛星放送信号を衛星放送受信装置1に出力する。
【0086】
このような衛星放送用受信アンテナ装置2として、例えば、特許文献2に開示される、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)と、21GHz帯の衛星放送とを同時受信可能とする衛星放送用受信アンテナ装置を利用することもできる。ただし、周波数分離の方法は特許文献2に開示されるような積層配置した構造とする以外の構成であってもよい。また、偏波分離の方法についても、ハイブリッド回路を用いたものや位相差板を用いたものなどがある。衛星放送用受信アンテナ装置2の構成は本発明の主旨とは直接的に関係するものではないことから、周波数分離と偏波分離の方法について特定の技法に限定する必要はない。
【0087】
本実施形態の衛星放送受信装置1は、
図9に示す従来技法に基づく構成と、
図3に示す第3実施形態の構成とを組み合わせ、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)と、21GHz帯の衛星放送の各帯域における各偏波(右旋及び左旋円偏波)の衛星放送信号を同時受信し、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)と、21GHz帯の衛星放送の各中間周波数に基づくIF信号に変換してそれぞれ出力するコンバータとして機能する装置であり、第1周波数変換部11、第2周波数変換部12、第1局部発振器13、第2局部発振器14、合波器15、混合器16、第1前段周波数変換部17a、第1後段周波数変換部17b、第2前段周波数変換部18a、第2後段周波数変換部18b、及び合波器19を備える。
【0088】
第1周波数変換部11、第2周波数変換部12、第1局部発振器13、第2局部発振器14、合波器15、及び混合器16は、
図9を参照して説明したように、第1局部発振器13からの局部発振周波数10.678GHzと、第2局部発振器14からの局部発振周波数9.505GHzを用いて、それぞれ12GHz帯の右旋及び左旋円偏波の衛星放送信号を右旋及び左旋円偏波のIF信号に変換しそれぞれ合波した信号を生成して、専用に設けられた入力端子から入力される地上TV、又はケーブルテレビの信号と混合し、「出力1」として受信機4に向けて伝送する。尚、混合器16は、必ずしも設ける必要はない。
【0089】
第1前段周波数変換部17a、第1後段周波数変換部17b、第2前段周波数変換部18a、第2後段周波数変換部18b、及び合波器19は、
図3を参照して説明したように、第1局部発振器13からの局部発振周波数10.678GHzと、第2局部発振器14からの局部発振周波数9.505GHzを用いて、2段階の周波数変換を経て、21GHz帯の右旋及び左旋円偏波の衛星放送信号を右旋及び左旋円偏波のIF信号に変換しそれぞれ合波した信号を生成し、「出力2」として受信機4に向けて伝送する。
【0090】
尚、各周波数変換部にはフィルタや増幅器が実装されるのが一般的であるが、その図示を省略している。
【0091】
本実施形態では、
図4に示すように、共用化して構成した単一の第1局部発振器13、及び単一の第2局部発振器14により、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)と、21GHz帯の衛星放送の各中間周波数に基づくIF信号を生成可能としている。これにより、その共用性の観点から衛星放送受信装置1の製造コストの低減や、その品質管理の負担を軽減させることができ、更には、衛星放送受信装置1の小型化、回路規模の増大の回避、これに伴う製造コストの低減、及びその品質管理の負担の軽減効果が得られる。
【0092】
ただし、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)と、21GHz帯の衛星放送の各中間周波数に基づくIF信号について、それぞれ第1局部発振器13及び第2局部発振器14を別個に設ける構成としても、第3実施形態と同様の効果が得られる。即ち、第1局部発振器13及び第2局部発振器14の流用性の観点から衛星放送受信装置1の製造コストの低減や、その品質管理の負担を軽減させることができる。
【0093】
図5(a)には、本実施形態の衛星放送受信装置1における12GHz帯衛星放送における右旋及び左旋円偏波の各放送周波数と、それぞれ右旋及び左旋円偏波からのIF信号に変換するために用いる局部発振周波数と、「出力1」として得られる各IF信号の周波数についてまとめた周波数変換の入出力関係を示している。
【0094】
図5(b)には、本実施形態の衛星放送受信装置1における21GHz帯衛星放送における右旋及び左旋円偏波の各放送周波数と、右旋及び左旋円偏波のIF信号に変換するために用いる2段階の周波数変換における前段の局部発振周波数と、当該前段の周波数変換後の出力周波数と、2段階の周波数変換における後段の局部発振周波数と、「出力2」として得られるそれぞれのIF信号の周波数についてまとめた周波数変換の入出力関係を示している。
【0095】
また、
図6には、本実施形態の衛星放送受信装置1における出力信号の周波数関係を示している。21GHz帯衛星放送の周波数変換後の出力周波数(21GHz帯右旋用IF、21GHz帯左旋用IF)は、12GHz帯衛星放送用IFの周波数帯域に含まれることが分かる。尚、
図5(b)及び
図6に示す周波数変換の入出力関係や、出力信号の周波数関係は、上述した第1乃至第3実施形態でも同様な関係にある。
【0096】
ところで、本実施形態においても、右旋と左旋円偏波用にそれぞれ用いる第1及び第2局部発振器13,14からの局部発振周波数を入れ替えて構成してもよく、この場合でも合波器19は、21GHz帯衛星放送の各偏波のIF信号について上述のように合波した信号を生成することができる。
【0097】
そして、本実施形態の衛星放送受信装置1によれば、21GHz帯の衛星放送受信にあたって、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)用の既存の設備の接続ケーブル(同軸ケーブルや光ケーブル)と同一仕様のものが使用可能となり、この点からもシステムコストを低減させ、その品質管理の負担を軽減させることができる。
【0098】
また、本実施形態の衛星放送受信装置1によれば、21GHz帯の衛星放送受信にあたって、12GHz帯の衛星放送(BS・CS)用に既存の設備に設けられている接続ケーブル3を利用可能となる。
【0099】
従って、本実施形態の衛星放送受信装置1によれば、12GHz帯衛星放送と21GHz帯衛星放送を同時に受信できるように構成しても、既存(12GHz帯衛星放送用)局部発振器のみを用いて構成し、新たな局部発振周波数の局部発振器を増設する必要がないため、低コスト化と回路規模の低減が可能となり、更に、既存の衛星放送用IFの周波数帯域で21GHz帯衛星放送に関するIF信号を受信機4に向けて伝送することができるため、実用性の高い装置構成となる。
【0100】
ところで、本実施形態の衛星放送受信装置1において、「出力2」の21GHz帯衛星放送用IFの周波数帯域が、「出力1」の既存の12GHz帯衛星放送用IFの周波数帯域と重複するが、接続ケーブル3として、以下のいずれかの方法を用いれば、受信機4まで伝送することができる。
【0101】
(1)既存の放送(地上TVや12GHz帯衛星放送など)で用いている接続ケーブル3とは別に設ける同一仕様の接続ケーブル(同軸ケーブル又は光ケーブル)で、21GHz帯衛星放送用IF信号を伝送する。この場合、1本の接続ケーブル(同軸ケーブル又は光ケーブル)を増設することになるが、既存の接続ケーブル3も利用することができる。
(2)既存の放送(地上TVや12GHz帯衛星放送など)で用いている接続ケーブル3を用いる代わりに、多芯の光ファイバよりなる1本の光ケーブルを用いて既存の放送(地上TVや12GHz帯衛星放送など)と、21GHz帯衛星放送のIF信号を伝送する。この場合、既存の接続ケーブル3が同軸ケーブルや単芯の光ファイバよりなる光ケーブルの場合、多芯の光ファイバよりなる1本の光ケーブルに置き換えることになるが、この1本の光ケーブルで、地上TVやケーブルテレビ、12GHz帯衛星放送及び21GHz帯衛星放送のIF信号の伝送が可能となる。尚、既存の接続ケーブル3が多芯の光ファイバよりなる1本の光ケーブルで構成されているときは、その既存の接続ケーブル3を利用することができる。
(3)既存の放送(地上TVや12GHz帯衛星放送など)用には波長1550nm(ARIB STD−B63準拠)のレーザー光を用い、21GHz帯衛星放送用IF信号には1550nm以外の波長を用いることで、既存の接続ケーブル3が光ケーブルで構成されていれば増設することなく利用でき、既存の接続ケーブル3が同軸ケーブルで構成されていれば1本の光ケーブルに置き換えることになるが、この1本の光ケーブルで、単芯又は多芯の光ファイバであるか否かに関わらず、地上TVやケーブルテレビ、12GHz帯衛星放送及び21GHz帯衛星放送のIF信号の伝送が可能となる。
(4)本実施形態の衛星放送受信装置1内に、「出力1」と「出力2」を選択可能なセレクタを設け、これを既存の放送(地上TVや12GHz帯衛星放送など)で用いている接続ケーブル3(同軸ケーブル又は光ケーブル)を用いて双方向通信制御を行い、出力選択する。このようなセレクタは、例えば
図4において、混合器16及び合波器19の出力を選択可能にするよう設けるか、又は、12GHz帯衛星放送及び21GHz帯衛星放送の周波数変換ブロックや全体の機能部を選択可能にするよう設けることができる。
【0102】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述した例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した例では、衛星放送用受信アンテナ装置2と衛星放送受信装置1とを衛星放送用受信アンテナ装置のプローブ信号線2aで接続され、事実上、衛星放送用受信アンテナ装置2と衛星放送受信装置1とが一体型の形態とする例を想定して説明したが、衛星放送用受信アンテナ装置2に対し、独立した装置として衛星放送受信装置1を構成し、衛星放送用受信アンテナ装置2と衛星放送受信装置1とを専用線で接続する形態としてもよい。