(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6654880
(24)【登録日】2020年2月4日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】導電フィラー用粉末
(51)【国際特許分類】
C22C 9/00 20060101AFI20200217BHJP
C22C 9/02 20060101ALI20200217BHJP
H01B 1/22 20060101ALI20200217BHJP
B22F 1/00 20060101ALI20200217BHJP
B22F 9/08 20060101ALN20200217BHJP
【FI】
C22C9/00
C22C9/02
H01B1/22 A
B22F1/00 L
!B22F9/08 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-238157(P2015-238157)
(22)【出願日】2015年12月7日
(65)【公開番号】特開2017-106047(P2017-106047A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000180070
【氏名又は名称】山陽特殊製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107940
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 憲吾
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎
(74)【代理人】
【識別番号】100122806
【弁理士】
【氏名又は名称】室橋 克義
(74)【代理人】
【識別番号】100168192
【弁理士】
【氏名又は名称】笠川 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100174311
【弁理士】
【氏名又は名称】染矢 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100182523
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 由賀里
(74)【代理人】
【識別番号】100195590
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 博臣
(72)【発明者】
【氏名】前澤 文宏
【審査官】
守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−196105(JP,A)
【文献】
特開2010−037653(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/007064(WO,A1)
【文献】
特開2011−071057(JP,A)
【文献】
特開2002−245849(JP,A)
【文献】
特開2013−258128(JP,A)
【文献】
特開2015−071819(JP,A)
【文献】
特開平10−152630(JP,A)
【文献】
特開2003−257245(JP,A)
【文献】
特開2005−200734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 9/00−9/10
B22F 1/00
B22F 9/08
H01B 1/00
H01B 1/22
H01B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1質量%以上8.5質量%以下の元素X1を含み、かつ残部がCu及び不可避的不純物であって、上記元素X1が、Bi、Sn、In及びGaからなる群より選択された1種又は2種以上である合金からなる粒子の集合体であり、
上記粒子が、扁平状であり、
上記粒子の長径方向における平均粒子径D50が、3μm以上であり、
個々の粒子のアスペクト比の平均である、粉末のアスペクト比が、1.5以上である導電フィラー用粉末。
【請求項2】
上記合金における元素X1の含有率が0.2質量%以上8.5質量%以下である請求項1に記載の粉末。
【請求項3】
上記元素X1がBiを含んでおり、この合金におけるBiの含有率が0.1質量%以上8.5質量%以下である請求項1に記載の粉末。
【請求項4】
上記合金が酸素を含んでおり、この合金における酸素の含有率が0.5質量%以下である請求項1から3のいずれかに記載の粉末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性樹脂、導電性接着剤、導電ペースト、電子機器、電子部品等に用いられる導電フィラーに適した粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性物質に含有されるフィラーとして、銅を主成分とする合金粉末が知られている。銅の電気抵抗は小さいので、銅を含むフィラーは導電性に優れる。銅粒子の凝集により粒子同士の大きな接触面積が得られるので、この観点からも銅はフィラーの導電性に寄与する。さらに銅は、熱伝導性にも優れる。
【0003】
銅は、酸化しやすい。換言すれば、銅は大気中の酸素と反応しやすい。この反応により酸化被膜が生じる。この酸化被膜は、導電性を阻害する。銅を主成分とする合金からなるフィラーでは、酸化防止処理、酸化被膜除去処理等の表面処理が必要である。
【0004】
特開2015−74806公報には、Cuと1−30質量%のAgとを含む合金からなる導電フィラーが開示されている。このフィラーでは、粒子の表層にAgCu相が存在している。AgCu相におけるAgの濃度は、高い。
【0005】
特開平5−114305号公報には、Ag−Cu系合金からなる粉末が開示されている。この粉末は、Bi、Zn又はPbを含有する。Bi、Zn及びPbの融点は、低い。
【0006】
特開2013−163185公報には、Cu−Bi系合金からなるフィラーが開示されている。このフィラーは、50−99質量%のCuと、1−50質量%のBiとを含有する。
【0007】
特開2014−28380公報には、Cu−Bi系合金からなるフィラーが開示されている。このフィラーは、Cuと、1−50質量%のBiとを含有する。
【0008】
特許第5598739号公報には、扁平な粒子を含む粉末が開示されている。この粉末の材質は、銅を主成分とする合金である。この粉末では、粒子同士が広い面積で接触する。従って、この粉末の電気抵抗は小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2015−74806公報
【特許文献2】特開平5−114305号公報
【特許文献3】特開2013−163185公報
【特許文献4】特開2014−28380公報
【特許文献5】特許第5598739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一般的なCu系粉末では、Cuの表面に、有機溶剤による表面処理が施されている。この表面処理には、手間がかかる。この粉末の製造コストは、高い。導電性と低コストとの両立は、容易ではない。
【0011】
本発明の目的は、導電性に優れ、かつ低コストで得られうる導電フィラー用粉末の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る導電フィラー用粉末は、複数の粒子からなる。それぞれの粒子の材質は、0.1質量%以上8.5質量%以下の元素X1を含み、かつ残部がCu及び不可避的不純物である合金である。この元素X1は、Bi、Sn、In及びGaからなる群より選択された1種又は2種以上である。粒子は、扁平状である。この粒子の長径方向における平均粒子径D50は、3μm以上である。この粉末のアスペクト比は、1.5以上である。
【0013】
好ましくは、合金における元素X1の含有率は、0.2質量%以上8.5質量%以下である。
【0014】
好ましくは、合金は、Biを含む。好ましくは、この合金におけるBiの含有率は、0.1質量%以上8.5質量%以下である。
【0015】
合金が、酸素を含んでもよい。好ましくは、この合金における酸素の含有率は、0.5質量%以下である。
【0016】
本発明に係る導電性フィラー用粉末は、
原料粉末が得られる第一工程
及び
この原料粉末に扁平加工が施される第二工程
を含む方法によって製造されうる。第一工程で得られた原料粉末の酸素の含有率は、0.05質量%以下である。好ましくは、第一工程は、アトマイズである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る導電フィラー用粉末は、Cuを含有する。Cuの電位伝導度は、高い。この粉末は扁平状粒子を含むので、粒子同士が広い面積で接触しうる。この粉末では、元素X1が粒子同士の接触性を高める。さらに元素X1は、Cuの酸化を抑制する。この粉末の製造には、コーティング等の表面処理は不要である。従って、この粉末の製造には、手間がかからない。この粉末は、導電性に優れ、しかも低コストで得られうる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0019】
本発明に係る導電フィラー用粉末は、多数の粒子の集合である。この粒子の材質は、合金である。この合金はCu及び元素X1を含んでいる。元素X1は、Bi、Sn、In及びGaからなる群より選択された1種又は2種以上である。元素X1は、低融点元素である。
【0020】
好ましくは、この合金は、
(1)Cu
(2)元素X1
及び
(3)不可避的不純物
のみを含む。この合金の主成分は、Cuである。従ってこの合金では、イオンマイグレーションが生じにくい。
【0021】
この合金は、Cu相と、低融点元素相とを有している。
【0022】
Cu相の主成分は、Cuである。Cu相が、Cuのみを含んでもよい。Cu相が、Cuと共に、少量の他の元素を含んでもよい。Cu相におけるCuの比率は、90質量%以上である。Cuは、導電性である。Cuは、粉末の導電性に寄与する。
【0023】
低融点元素相の主成分は、元素X1である。低融点元素相が、元素X1のみを含んでもよい。低融点元素相が、元素X1と共に、少量の他の元素(Cu等)を含んでもよい。低融点元素相における元素X1の比率は、90質量%以上である。元素X1の導電性は、低い。しかし元素X1は、後述されるように、粒子同士の接触性を高める。従って低融点元素相は、粉末の導電性に寄与しうる。
【0024】
Bi、Sn、In及びGaの融点は、低い。従って、低融点元素相は、低温度域(25−400℃)で軟化又は溶融しうる。粒子の表面に位置する低融点元素相が軟化又は溶融すると、この低融点元素相が粒子同士の接触性を高める。この低融点元素相により、粒子間の優れた電気伝導度が得られる。
【0025】
後に詳説される通り、導電フィラー用粉末が製造されるための原料粉末は、アトマイズ法で得られうる。詳細な原理は不明であるが、アトマイズ法によって得られる原料粉末は、低融点元素が粉末表面で濃化される傾向にある。従って、この原料粉末から得られた導電フィラー用粉末では、粒子の表面に優先的に低融点元素相が存在する。この低融点元素相が軟化又は溶融することにより、この低融点元素相が粒子同士の接触性を高める。この導電フィラー用粉末では、粒子間の優れた電気伝導度が得られる。
【0026】
さらに、その表面に優先的に低融点元素相が存在する粒子では、Cu相と空気との接触が、低融点元素相によって、部分的にではあるが阻止される。従って、この低融点元素相は、Cu相の酸化を抑制する。この粉末では、Cu相の酸化による電気伝導度の低下が生じにくい。
【0027】
接触性の観点及びCu相の酸化防止の観点から、合金における元素X1の含有率は0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が特に好ましい。
【0028】
元素X1の含有率は、8.5質量%以下が好ましい。元素X1の電気伝導度はCuの電気伝導度よりも小さいので、この含有率が8.5質量%以下である導電フィラー用粉末は、導電性に優れる。この観点から、この含有率は3.0質量%以下がより好ましく、1.0%以下が特に好ましい。
【0029】
本発明において各元素の比率は、粒子断面のFE−SEM像の分析によって決定される。無作為に抽出された20点において比率が決定され、その平均が算出される。
【0030】
元素X1以外の、融点の低い元素として、Pb、Hg、Cd及びZnが例示される。Pb、Hg及びCdは毒性が高いので、取り扱いが困難である。Znはイオン化傾向が大きいためにマイグレーションを生じやすく、粒子が劣化しやすい。これに対し、Bi、Sn、In及びGaは、毒性が低い。しかもBi、Sn、In及びGaは、粒子を劣化させない。
【0031】
粒子の典型的な材質は、Cu−Bi系合金である。この合金は、所定量のBiを含み、残部はCu及び不可避的不純物である。Cu−Bi系合金が、少量のSn、In又はGaを含んでもよい。Biは、Cuに固溶しない。しかもBiは、Cuとの間で金属間化合物を形成しない。Cu−Bi系合金において、Bi相の融点は、Biの融点とほぼ同じである。Cu−Bi系合金からなる粒子では、Bi相は軟化又は溶融しやすい。この粒子を含む粉末では、Bi相が粒子同士の接触性を高め、かつCu相の酸化を抑制する。この粉末は、導電性に優れる。
【0032】
導電性の観点から、Cu−Bi系合金におけるBiの含有率は0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が特に好ましい。導電性の観点から、この含有率は8.5質量%以下が好ましく、3.0質量%以下がより好ましく、1.0%以下が特に好ましい。
【0033】
Sn、In又はGaを含む一般的な鋳造品では、Sn、In又はGaは、Cuとの間で金属間化合物を形成する。この金属間化合物の融点は、高い。後に詳説される通り、本発明に係る導電フィラー用粉末が製造されるための原料粉末は、アトマイズ法で得られうる。この導電フィラー用粉末では、低温(25−400℃)でも、Sn、In又はGaが軟化又は溶融する。その理由は詳細には不明であるが、アトマイズでの急冷によって非平衡相が形成されるためと考えられる。Sn、In又はGaの軟化又は溶融は、導電フィラー用粉末の導電性に寄与する。
【0034】
導電フィラー用粉末の合金が酸素を含む場合、この酸素によってCu相が酸化される。酸化は、粉末の導電性を阻害する。導電性の観点から、合金における酸素の含有率は0.50質量%以下が好ましく、0.40質量%以下がより好ましく、0.30質量%以下が特に好ましい。理想的には、この含有率は、ゼロである。粉末の製造容易の観点からは、この含有率は、0.03質量%以上が好ましい。
【0035】
導電フィラー用粉末が扁平状の粒子を含むことが、好ましい。扁平状の粒子同士は、広い面積で接触する。この接触により、粒子間の電気抵抗が低減される。この粉末は、導電性に優れる。
【0036】
粉末のアスペクト比は、1.5以上が好ましい。アスペクト比が1.5以上である粉末では、粒子同士が広い面積で接触する。この接触により、粒子間の電気抵抗が低減される。この粉末は、導電性に優れる。この観点から、アスペクト比は5以上がより好ましく、10以上が特に好ましい。個々の粒子のアスペクト比は、短径に対する長径の比である。この短径及び長径は、粉末が埋め込まれた樹脂組成物の断面の観察によって測定される。無作為に抽出された50個の粒子のアスペクト比の平均が、粉末のアスペクト比である。
【0037】
粒子の長径方向における平均粒子径D50は、3μm以上が好ましい。この平均粒子径D50が3μm以上である粉末では、粒子同士が広い面積で接触する。この接触により、粒子間の電気抵抗が低減される。この粉末は、導電性に優れる。この観点から、この平均粒子径D50は10μm以上がより好ましく、20μm以上が特に好ましい。この平均粒子径D50は、120μm以下が特に好ましい。
【0038】
長径方向における平均粒子径D50は、累積50体積粒子径である。この粒子径は、日機装社のレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置「マイクロトラックMT3000」により測定される。この装置のセル内に、粉末が純水と共に流し込まれ、粒子の光散乱情報に基づいて、粒子径が検出される。この装置において、粉体の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の径が、測定される。10回の測定の平均値が算出される。
【0039】
以下、本発明に係る導電フィラー用粉末の製造方法の一例が説明される。この製造方法では、まずアトマイズによって原料粉末が製作される。この原料粉末は、多数の粒子を含む。それぞれの粒子の形状は、概ね球である。この原料粉末に、扁平加工が施される。この加工により、粒子が扁平状に変形する。この製造方法では、コーティングは不要である。この粉末の製造コストは、低い。
【0040】
アトマイズとして、ガスアトマイズ法、ディスクアトマイズ法、水アトマイズ法等が採用されうる。得られる粒子における酸素濃度が低いとの観点から、ガスアトマイズ法及びディスクアトマイズ法が好ましい。
【0041】
ガスアトマイズ法では、底部に細孔を有する石英坩堝の中に、原料が投入される。この原料が、アルゴンガス雰囲気中で、高周波誘導炉によって加熱され、溶融する。アルゴンガス雰囲気において、細孔から流出する原料に、アルゴンガスが噴射される。原料は急冷されて凝固し、粉末が得られる。噴射圧の調整により、凝固速度がコントロールされうる。噴射圧が大きいほど、凝固速度は大きい。凝固速度のコントロールにより、所望の粒度分布を有する粉末が得られうる。凝固速度が速いほど、粒度分布の幅は小さい。
【0042】
ディスクアトマイズ法では、底部に細孔を有する石英坩堝の中に、原料が投入される。この原料が、アルゴンガス雰囲気中で、高周波誘導炉によって加熱され、溶融する。アルゴンガス雰囲気において、細孔から流出する原料が、高速で回転するディスクの上に落とされる。ディスクによって原料は急冷され、凝固して、粉末が得られる。この粉末にミリングが施されてもよい。
【0043】
アトマイズによって得られる原料粉末の粒子は、粗大粒であることが好ましい。粗大粒である粒子は比表面積が小さく、従って酸化しにくい。この観点から、原料粉末の粒子径D10は10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、20μm以上が特に好ましい。粒子径D10は、200μm以下が好ましい。粒子径D10は、日機装社のレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置「マイクロトラックMT3000」により測定される。この装置のセル内に、粉末が純水と共に流し込まれ、粒子の光散乱情報に基づいて、粒子径が検出される。この装置において、粉体の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが10%となる点の径が、測定される。10回の測定の平均値が算出される。
【0044】
原料粉末の酸素含有率は、0.05質量%以下が好ましい。ガスアトマイズ又はディスクアトマイズの採用により、酸素含有率が0.05質量%以下である原料粉末が製作されうる。酸素含有率が0.05質量%以下である原料粉末が準備されることにより、酸素含有率が低い導電フィラー用粉末が得られうる。原料粉末に還元処理等がなされれば、この原料粉末の酸素含有率がさらに低減されうる。しかし、還元処理等の工程の追加は、導電フィラー用粉末の製造コストを押し上げる。前述の通り、本発明に係る導電フィラー用粉末では、低融点元素相がCu相の酸化を抑制する。従って、還元処理等の工程を経ずとも、十分に導電性に優れた粉末が得られうる。原料粉末の酸素含有率は、0.04質量%以下がより好ましく、0.03質量%以下が特に好ましい。
【0045】
アトマイズで得られた原料粉末に、扁平加工が施される。扁平加工として、粉砕/扁平加工機による加工が挙げられる。粉砕/扁平加工機の具体例として、ボールミル及びアトライターが挙げられる。乾式加工が採用されてもよく、湿式加工が採用されてもよい。加工中の粒子の酸化が抑制されるとの観点から、真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気中で加工がなされることが好ましい。酸化が抑制されるとの観点から、短時間での扁平加工が好ましい。
【0046】
必要に応じ、扁平加工後の粉末に、分級処理がなされる。電気伝導度が特に重視され、かつ粒径へのこだわりがない用途では、分級処理によって得られた、長径が大きな粉末が適している。電子基板の配線には、分級処理によって得られた、長径が20μm以下である粉末が適している。
【実施例】
【0047】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0048】
表1及び2に示される実施例1−20及び比較例1−20の粉末を得た。各粉末の成分の、表に記載されていない残部は、Cu及び不可避的不純物である。
【0049】
導電フィラー用粉末と絶縁性の熱硬化性樹脂(EPOMET-F)を、混合した。これらの体積比は、1:1であった。この混合物を180℃で加圧し、直径が25mmである円柱状のサンプルを成形した。抵抗測定器(三菱化学アナリテック社製の低抵抗測定器ロレスターGX及びその測定プローブ)を用いて、このサンプルの電気抵抗を測定した。この結果が、下記の表1及び2に示されている。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
表1及び2に示される通り、各実施例の導電フィラー用粉末は、導電性に優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明かである。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る粉末は、導電性樹脂、導電性接着剤、回路用導電ペースト、電子機器等に用いられ得る。