(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記出力放射が前記公称波長周辺の少なくとも0.5nmのスペクトル幅を有するように、前記レーザのパラメータを変調するように構成された制御システムを更に備える、請求項1に記載の測定装置。
前記出力放射の前記スペクトル幅を低減及び/又は制御するために、前記光ファイバの前記出力部又は前記出力部のダウンストリームに帯域通過フィルタを更に備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の測定装置。
前記出力放射が前記公称波長周辺の少なくとも0.5nmのスペクトル幅を有するように、前記レーザのパラメータを変調するように構成された制御システムを更に備える、請求項9に記載のアライメントセンサ。
前記出力放射の前記スペクトル幅を低減及び/又は制御するために、前記光ファイバの前記出力部又は前記出力部のダウンストリームに帯域通過フィルタを更に備える、請求項9から14のいずれか一項に記載のアライメントセンサ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0020] 実施形態を詳細に説明する前に、実施形態を実施することができる例示的環境を提示することが有用である。
【0015】
[0021]
図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。この装置は:
[0022] −放射ビームB(例えばDUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
[0023] −パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
[0024] −基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板Wを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、
[0025] −パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
【0016】
[0026] 照明システムは、放射を誘導し、整形し、又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光学コンポーネント、或いはそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0017】
[0027] パターニングデバイス支持体は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。このパターニングデバイス支持体は、パターニングデバイスを保持するために、機械的、真空、静電気等のクランプ技術を使用することができる。パターニングデバイス支持体は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。パターニングデバイス支持体は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義とみなすことができる。
【0018】
[0028] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに付与されるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに付与されるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
【0019】
[0029] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、更には様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小型ミラーのマトリクス配列を使用し、ミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
【0020】
[0030] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム及び静電気光学システム、又はその任意の組み合わせを含む任意のタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これは更に一般的な「投影システム」という用語と同義とみなすことができる。
【0021】
[0031] 本明細書で示すように、本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。或いは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する、又は反射マスクを使用する)。
【0022】
[0032] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上のテーブル(例えば、2つ以上の基板テーブル、2つ以上のパターニングデバイス支持構造、又は基板テーブル及びメトロロジーテーブル)を有するタイプであってもよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。
【0023】
[0033] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を水などの比較的高い屈折率を有する液体で覆えるタイプでもよい。液浸液は、例えばマスクと投影システムの間など、リソグラフィ装置の他の空間に適用することもできる。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。本明細書で使用する「液浸」という用語は、基板などの構造を液体に沈めなければならないという意味ではなく、露光中に投影システムと基板の間に液体が存在するというほどの意味である。
【0024】
[0034]
図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成するとみなされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0025】
[0035] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように設定されたアジャスタADを備えていてもよい。通常、イルミネータILの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ−outer及びσ−innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータILを用いて放射ビームを調節し、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
【0026】
[0036] 放射ビームBは、パターニングデバイス支持体(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPW及び位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、2Dエンコーダ又は容量センサ)の助けにより、基板テーブルWTaを、例えば様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサ(
図1には明示されていない)を用いて、マスクライブラリからの機械的な取り出し後又はスキャン中などに放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えば、マスク)MAを正確に位置決めできる。一般に、パターニングデバイス支持体(例えば、マスクテーブル)MTの移動は、第1のポジショナPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けにより実現できる。同様に、基板テーブルWTaの移動は、第2のポジショナPWの部分を形成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールを用いて実現できる。ステッパの場合(スキャナとは対照的に)、パターニングデバイス支持体(例えば、マスクテーブル)MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、又は固定してもよい。
【0027】
[0037] パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。図示のような基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分の間の空間に位置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして周知である)。同様に、パターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に複数のダイを設ける状況では、マスクアライメントマークをダイ間に配置してもよい。小さなアライメントマーカをデバイスフィーチャの中でもダイ内に含めることができ、その場合、マーカは可能な限り小さく、隣接したフィーチャと異なる結像又はプロセス条件を必要としないことが望ましい。アライメントマーカを検出するアライメントシステムは、以下で更に説明される。
【0028】
[0038] 図示のリソグラフィ装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[0039] 1.ステップモードでは、パターニングデバイス支持体(例えば、マスクテーブル)MT及び基板テーブルWTaは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTaがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光で像が形成されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
[0040] 2.スキャンモードでは、パターニングデバイス支持体(例えば、マスクテーブル)MT及び基板テーブルWTaは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。パターニングデバイス支持体(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTaの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
[0041] 3.別のモードでは、パターニングデバイス支持体(例えば、マスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTaを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTaを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0029】
[0042] 上述した使用モードの組み合わせ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0030】
[0043] リソグラフィ装置LAは、2つのテーブルWTa、WTb(例えば、2つの基板テーブル)、及び、その間でテーブルが交換可能な露光ステーションと測定ステーションとの2つのステーションを有する、いわゆるデュアルステージタイプである。例えば、1つのテーブル上の基板が露光ステーションで露光されている間、別の基板を測定ステーションの他方の基板テーブルにロードし、様々な予備工程を実施することができる。予備工程は、レベルセンサLSを使用して基板の表面制御をマッピングすること、及び、アライメントセンサASを使用して基板上のアライメントマークの位置を測定することを含むことが可能であり、両方のセンサは基準フレームRFによって支持されている。位置センサIFが、測定ステーション並びに露光ステーションにある間に、テーブルの位置を測定できない場合、両方のステーションでテーブルの位置を追跡できるようにするために、第2の位置センサを提供することができる。別の例として、1つのテーブル上の基板が露光ステーションで露光されている間、基板のない別のテーブルは、測定ステーション(任意選択で、測定アクティビティが実行可能である)で待機する。この他方のテーブルは1つ以上の測定デバイスを有し、任意選択で、他のツール(例えば、クリーニング装置)を有することができる。基板が露光を完了すると、基板のないテーブルが露光ステーションに移動して例えば測定を実行し、基板のあるテーブルは、その基板がアンロードされ別の基板がロードされるロケーション(例えば、測定ステーション)に移動する。これらのマルチテーブル配置により、装置のスループットを大幅に向上させることができる。
【0031】
[0044]
図2に示されるように、リソグラフィ装置LAは、1つ以上の露光前及び露光後のプロセスを基板上で実行するための装置も含む、時にはリソセル又はリソクラスタとも呼ばれるリソグラフィセルLCの一部を形成する。従来、これらは、レジスト層を堆積させるための1つ以上のスピンコータSC、露光されたレジストを現像するための1つ以上のデベロッパDE、1枚以上の冷却板CH、及び1枚以上の焼成板BKを含む。基板ハンドラ、又はロボットROは、入力/出力ポートI/O1、I/O2から基板をピックアップし、これを異なるプロセスデバイス間で移動させ、またこれをリソグラフィ装置のローディングベイLBに送達する。これらのデバイスは、しばしば集合的にトラックと呼ばれ、監視制御システムSCSによってそれ自体が制御されるトラック制御ユニットTCUの制御下にあり、監視制御システムSCSもリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置を制御する。したがって、スループット及び処理効率を最大にするために、異なる装置を動作させることができる。
【0032】
[0045] 前述のように、基板(及び/又は基板テーブル及び/又はパターニングデバイス)には、基板上に基準ロケーションを提供するためにアライメントマークを提供することが可能であり、リソグラフィ装置には、アライメントマークのアライメント位置を測定するためにアライメントシステムが提供される。アライメントマークのアライメント位置を測定することによって、原則として、基板上のあらゆるポイントの位置を予測することが可能であり、すなわち、以前に露光されたターゲット部分のロケーションを算出することが可能であり、リソグラフィ装置を制御して、以前に露光されたターゲット部分の上部の連続ターゲット部分を露光することができる。
【0033】
[0046] 通常、基板上のアライメントマークは、
回折格子である。そこでリソグラフィ装置のアライメントシステムは、放射を格子に向けて放出するための放射源と、反射された放射内の
回折パターンを検出するための検出器とを伴う、アライメントセンサシステムを備え、すなわち、格子の位置を決定するために、1次、3次、及び/又はより高い次数で
回折されるサブビームが使用される。
【0034】
[0047] 更に、リソグラフィ装置によって露光される基板が正しく且つ一貫して露光されるために、後続の層間のオーバーレイエラー、ライン厚み、クリティカルディメンション(CD)などの、1つ以上のプロパティを測定するために、露光された基板を検査することが望ましい。誤差が検出された場合、特に、同じバッチの別の基板が依然として露光されるのに十分早く且つ迅速に検査が実行できる場合、1つ以上の後続の基板の露光に対して調整を行うことができる。また、既に露光された基板を取り外して(収量を向上させるために)再加工するか又は廃棄することができ、それによって、不良とみなされる基板上での露光の実行が回避される。基板の一部のターゲット部分のみが不良である場合、良好なターゲット部分のみで更なる露光を実行することができる。別の可能性は、誤差を補償するために後続の処理工程の設定を適応させることであり、例えば、リソグラフィ処理工程の結果として生じる基板対基板CD変動を補償するように、トリムエッチ工程の時間を適応させることができる。
【0035】
[0048] 基板の1つ以上のプロパティ、特に、異なる基板又は同じ基板の異なる層の1つ以上のプロパティが、層によって及び/又は基板全体にわたってどのように変動するかを決定するために、検査装置が使用される。検査装置は、リソグラフィ装置LA又はリソセルLCに統合されるか、或いはスタンドアロン型デバイスとすることができる。ほとんどの高速計測を実行可能にするために、検査装置は、露光の直後に、露光されたレジスト層内の1つ以上のプロパティを測定することが望ましい。しかしながら、レジスト内の潜像はかなりの低コントラストを有し、放射に露光されていたレジストの部分とされていない部分との間の屈折率の差はほんのわずかであり、すべての検査装置が潜像の有用な測定を行うのに十分な感度を有する訳ではない。したがって、通例、露光された基板上で実施される第1の工程であり、レジストの露光された部分と露光されていない部分との間のコントラストを上昇させる、露光後焼成工程(PEB)の後に、測定を行うことができる。この段階で、レジスト内の像は半潜と呼ばれることがある。現像されたレジスト像の測定を行うことも可能であり、その時点でレジストの露光された部分又は露光されていない部分のいずれかが除去されており、或いは、エッチングなどのパターン転写工程の後で測定を行うことも可能である。後者の可能性は、不良基板の再加工の可能性を制限し、例えばプロセス制御の目的で、依然として有用な情報を提供することができる。
【0036】
[0049]
図3は、測定装置SM1の実施形態を示す。これは、基板6のターゲット(例えば、
回折格子)上に放射を投影する、放射プロジェクタ2(例えば、広帯域(白色光)放射プロジェクタ)を備える。反射された放射は検出器4(例えば、分光計検出器)に渡され、このケースでは検出器4が、鏡面反射された放射のスペクトル10(すなわち、波長の関数としての強度の測定)を測定する。このデータから、検出されるスペクトルを生じさせる構造又はプロファイルを、処理ユニットPUによって、例えば、厳密結合波解析及び非線形回帰によって、又は
図3の下部に示されるようなシミュレーションされたスペクトルのライブラリとの比較によって、再構成することができる。一般に、再構成の場合、構造の一般的な形は既知であり、構造が作られたプロセスの知識から何らかのパラメータが想定されるが、スキャトロメータデータから決定される構造のパラメータはわずかしか残されていない。こうしたスキャトロメータは、垂直入射スキャトロメータ又は斜入射スキャトロメータとして構成することができる。
【0037】
[0050] 測定装置SM2の別の実施形態が、
図4に示されている。本デバイスにおいて、放射源2によって放出される放射は、レンズシステム12を用いて干渉フィルタ13及びポラライザ17を介して合焦され、部分反射表面16によって反射され、望ましくは少なくとも0.9又は少なくとも0.95の高開口数(NA)を有する、対物レンズ15を介して基板Wのターゲット上に合焦される。液浸測定(レンズ15と基板Wとの間に液体を使用する)であっても、1より上の開口数を伴うレンズを有することができる。反射された放射は、その後、散乱放射を検出させるために、部分反射表面16を介して検出器18内へと伝送される。検出器は、レンズ15の焦点長さである背面投影瞳面11内に配置されるが、瞳面は代わりに、補助光学器(図示せず)を用いて検出器18上に再結像することができる。瞳面は、その中で放射の半径位置が入射の角度を定義し、角度位置が放射の方位角を定義する面である。検出器は、例えば2次元検出器であるため、基板ターゲットの2次元角散乱スペクトル(即ち、散乱の角度の関数としての強度の測定)を測定することができる。検出器18は、例えばCCD又はCMOSセンサのアレイであってよく、例えばフレーム当たり40ミリ秒の積分時間を有することができる。
【0038】
[0051] 例えば入射放射の強度を測定するために、基準ビームがしばしば使用される。これを実行するために、放射ビームが部分反射表面16上に入射する場合、その一部が表面を介して基準ビームとして基準ミラー14に向けて送られる。基準ビームはその後、同じ検出器18の異なる部分上に投影される。
【0039】
[0052] 例えば405〜790nm、或いはそれよりも低い200〜300nmなどの範囲内の当該波長を選択するために、1つ以上の干渉フィルタ13が使用可能である。干渉フィルタは、異なるフィルタのセットを備えるのではなく、同調可能とすることができる。1つ以上の干渉フィルタの代わりに、又はそれに加えて、格子を使用することもできる。
【0040】
[0053] 検出器18は、単一波長(又は、狭域波長領域)での散乱放射の強度、別々の複数波長での強度、又は波長領域全体にわたって積分された強度を、測定することができる。更に検出器は、横磁気(TM)及び横電気(TE)偏光放射の強度、及び/又は、横磁気と横電気との偏光放射間の位相差を、別々に測定することができる。
【0041】
[0054] 広帯域放射源2(すなわち、広域の放射周波数又は波長、したがって色を備えるもの)を使用することが可能であり、これは大きなエタンデュを与え、複数波長の混合を可能にする。広帯域内の複数の波長は、望ましくは各々がδλの帯域幅及び少なくとも2δλの間隔(すなわち、波長帯域幅の2倍)を有する。いくつかの放射「源」は、例えばファイバ束を使用して分割された拡張放射源の異なる部分とすることができる。このようにして、角度分解された散乱スペクトルを、複数の波長で並行して測定することができる。2Dスペクトルよりも多くの情報を含む、3Dスペクトル(波長及び2つの異なる角度)が測定可能である。これによってより多くの情報を測定することが可能であり、計測プロセスのロバスト性を増加させる。これは、米国特許出願第US2006−0066855号でより詳細に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる
【0042】
[0055] ビームがターゲットによってリダイレクトされる前及び後に、ビームの1つ以上のプロパティを比較することによって、基板の1つ以上のプロパティを決定することができる。これは、例えばリダイレクトビームと基板のモデルを使用して計算された理論上のリダイレクトビームとを比較すること、及び、測定されたリダイレクトビームと計算されたリダイレクトビームとの間に最良の適合を与えるモデルを検索することによって、実行可能である。典型的にはパラメータ化された汎用モデルが用いられ、モデルのパラメータ、例えばパターンの幅、高さ、及び側壁角は、最良適合が得られるまで変動する。
【0043】
[0056] 2つの主なタイプのスキャトロメータが使用される。分光スキャトロメータは、広帯域放射ビームを基板上に誘導し、特定の狭角度領域に散乱する放射のスペクトル(波長の関数としての強度)を測定する。角度分解スキャトロメータは、単色放射ビームを使用し、角度の関数として散乱放射の強度(又は、偏光解析構成の場合は、強度比及び位相差)を測定する。代替として、異なる波長の測定信号を別々に測定し、分析段階で組み合わせることができる。偏光放射を使用して、同じ基板から複数のスペクトルを生成することができる。
【0044】
[0057] 基板の1つ以上のパラメータを決定するために、典型的には、基板のモデルから生成される理論上のスペクトルと、波長(分光スキャトロメータ)又は角度(角度分解スキャトロメータ)のいずれかの関数としてリダイレクトビームによって生成される測定されたスペクトルとの間に、最良適合が見つけられる。最良適合を見つけるためには、組み合わせることが可能な様々な方法が存在する。例えば第1の方法は反復検索法であり、第1のモデルパラメータセットを使用して第1のスペクトルが計算され、測定されたスペクトルとの比較が行われる。次いで、第2のモデルパラメータセットが選択され、第2のスペクトルが計算され、第2のスペクトルと測定されたスペクトルとの比較が行われる。これらの工程は、最良の合致スペクトルを与えるパラメータのセットを見つける目的で反復される。典型的には、比較からの情報を使用して、後続のパラメータセットの選択が進行される。このプロセスは反復検索技法として既知である。最良合致を与えるパラメータのセットを備えるモデルは、測定される基板の最良の説明であるとみなされる。
【0045】
[0058] 第2の方法は、各スペクトルが特定セットのモデルパラメータに対応する、スペクトルのライブラリを作成することである。典型的には、モデルパラメータセットは、基板プロパティのすべての可能な変形のうちのすべて又はほとんどをカバーするように選択される。測定されたスペクトルはライブラリ内のスペクトルと比較される。反復検索法と同様に、最良合致を与えるスペクトルに対応するパラメータのセットを備えるモデルは、測定される基板の最良の説明であるとみなされる。このライブラリ検索技法において、パラメータの最良セットをより正確に決定するために、補間技法を使用することができる。
【0046】
[0059] いずれの方法においても、正確な合致を可能にするために、計算されたスペクトル内の十分なデータポイント(波長及び/又は角度)、典型的には各スペクトルについて80から800までの間か又はそれ以上のデータポイントが使用されるべきである。反復法を使用する場合、各パラメータ値に対する各反復は、80又はそれ以上のデータポイントでの計算を含むことになる。これに、正しいプロファイルパラメータを取得するために必要な反復数が乗じられる。したがって、多くの計算が必要になる場合がある。実際に、これは、処理の精度と速度との間の妥協につながる。ライブラリアプローチにおいて、精度とライブラリのセットアップに必要な時間との間に同様の妥協が存在する。
【0047】
[0060] 前述の測定装置のいずれにおいても、基板W上のターゲットは、現像後、バーが実レジスト線で形成されるようにプリントされる、格子とすることができる。バーは代替として基板内にエッチングすることができる。
【0048】
[0061] 実施形態において、ターゲットパターンは、リソグラフィ投影装置内の焦点、適用量、オーバーレイ、色収差などの、当該のパラメータに敏感なように選択されるため、関連パラメータにおける変動は、プリントされたターゲットにおける変動として現れることになる。例えば、ターゲットパターンは、リソグラフィ投影装置、特に投影システムPLにおける色収差に敏感であり得、照明対称性及びこうした収差の存在は、それ自体がプリントされたターゲットパターン内の変動に現れることになる。したがって、プリントされたターゲットパターンのスキャトロメータデータを使用して、ターゲットパターンを再構成することができる。線の幅及び形状などの、ターゲットパターンのパラメータは、プリント工程及び/又は他のスキャトロメータプロセスの知識から、処理ユニットPUによって実行される再構成プロセスに入力することができる。
【0049】
[0062] 本明細書では、スキャトロメータの実施形態について説明してきたが、或る実施形態において他のタイプの計測装置が使用可能である。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2013−0308142号に記載されているような、暗視野計測装置が使用可能である。更に、他のタイプの計測装置を使用して、スキャトロメータとは全く異なる技法を使用することができる。
【0050】
[0063] また、検査装置の例を説明してきた(ほとんどスキャトロメータ原理で動作する)が、アライメント装置は、放射源からの放射をターゲット(例えば、アライメント格子)上に提供し、検出器を使用して
回折放射を検出し、アライメントを決定するために検出された放射を分析する、同様の原理で動作する。
【0051】
[0064]
図5は、例示のアライメントシステム100を示す概略図である。アライメントシステム100は、電磁放射106をプリズム108に提供する、レーザなどのコヒーレント照明源104を備える。電磁放射の少なくとも一部がコーティング110で反射され、アライメントマーク又はターゲット112を照らす。アライメントマーク又はターゲット112は、180度対称を有し得る。180度対称により、アライメントマーク112(「ターゲット」とも呼ばれる)がアライメントマーク112の面に対して垂直な対称軸の周りを180度回転すると、アライメントマークは回転していないアライメントマークとほぼ同一になる。これが当てはまる軸は、対称軸と呼ばれる。アライメントマーク112は、放射感受性フィルムでコーティング可能な基板又はウェーハW上に置かれる。
【0052】
[0065] 基板Wは基板テーブルWT上に置かれる。基板テーブルWTは、矢印114によって示される方向にスキャン可能である。アライメントマーク112から反射した電磁放射は、プリズム108を通過し、像回転干渉計116によって収集される。必ずしも良質な像は形成されないが、アライメントマークの特徴は解決されるはずであることを理解されたい。像回転干渉計116は、任意の適切な光学素子のセットであり得、実施形態では、アライメントマークの2つの像を形成し、像のうちの1つを他方に対して180度回転させた後、2つの像を干渉的に再度組み合わせる、プリズムの組み合わせであり、アライメントターゲット112と位置合わせされたとき、電磁放射は偏光の意味又は振幅の意味のいずれかで建設的又は破壊的に干渉することになるため、アライメントマーク112の中心を容易に検出することができる。干渉計116によって確立された回転の中心を通過する光線は、センサアライメント軸118を画定する。
【0053】
[0066] 検出器120は、像回転干渉計116からの電磁放射を受信する。次いで検出器120は、1つ以上の信号を信号分析器122に提供する。信号分析器122は、アライメントマーク112の中心が決定されたときに基板テーブルWTの位置が既知となるように、基板テーブルWT又はその位置センサIFに結合される。したがって、アライメントマーク112の位置は、基板テーブルWTに関して非常に正確に既知となる。代替としてアライメントセンサ100のロケーションは、アライメントセンサ100に関してアライメントマーク112の中心が既知となるように、既知となり得る。したがって、アライメントターゲット112の中心の確実なロケーションは、基準位置に対して既知となる。
【0054】
[0067] 実施形態において、照明源104は、4色レーザモジュールアセンブリ(LMA)及び偏光マルチプレクサ(PMUX)を備えることができる。LMAは、4つの別個のレーザを生成するように構成される。例えばLMA30は、532nm緑色波長、633nm赤色波長、780nm近赤外波長、及び850nm遠赤外波長の、放射ビームを生成することができる。偏光マルチプレクサは、LMAによって生成される4つのレーザビームを、アライメントシステム100のための照明源として働く単一の偏光ビームに多重化するように構成される。
【0055】
[0068] 例えば、パターニングデバイス及び/又は基板、スキャトロメータなどのアライメントの測定など、リソグラフィにおける様々なプロセスにとって、高輝度の放射源が望ましい。放射源にとって、公称波長周辺に広いスペクトル幅を有し、スペクトル幅は調整可能且つ安定していることも望ましい場合がある。更に、放射源にとって異なる帯域幅を有することが望ましい場合がある。更に、放射源にとって、リソグラフィプロセスで使用される、ターゲット特徴サイズ、1つ以上の薄膜化学(例えば、フォトレジスト、反射防止コーティングなど)及び光学特性、及び/又は1つ以上の薄膜スタック特性(例えば、厚み)に応じて、様々な異なる色を提供することが望ましい場合がある。加えて、放射源にとって、例えばスプリアス反射又はゴースト反射からのコヒーレント干渉効果を低減するように、短いコヒーレント長を有することが望ましい。
【0056】
[0069] 実施形態によれば、公称波長周辺に相対的に広域のスペクトル幅を伴う放射源が提供される。実施形態によれば、放射源は、電磁スペクトルの可視領域内で放射を出力する可視レーザを光ファイバの入力端に結合すること、及び、光ファイバの出力端での出力放射が、レーザからの可視出力放射の公称波長周辺に少なくとも0.5nmのスペクトル幅を有するように、光ファイバ内の放射をスペクトル的に広げることによって、提供される。公称波長周辺に少なくとも0.5nmのスペクトル幅を達成するために、レーザのパラメータ及び/又は光ファイバのパラメータを変調することができる。例えば、光ファイバの長さ及び/又はコアサイズを、出力放射のスペクトル幅を提供するように調整することができる。追加又は代替として、平均パワー、ピークパワー、パルス幅、パルス分離、パルス反復率、又はそれらから選択した任意の組み合わせなどの、レーザのパラメータを、出力放射のスペクトル幅を提供するように調整することができる。実施形態において、スペクトル幅は、公称波長周辺で少なくとも約400nmである。実施形態において、可視レーザが緑色領域内で放出する場合、スペクトル幅は、公称波長周辺で約0.5nm〜10nmの範囲から選択される。
【0057】
[0070]
図6は、可視領域内、例えば緑色領域(例えば、およそ532nm)内の入力放射を伴う、短いコヒーレンス長の、広域スペクトル幅放射システム500の実施形態を概略的に示す。システム500は、例えば、限定されないが、コリメータ、減衰器、及び/又はカップリングレンズを含む1つ以上の光学素子503を介して、光ファイバ505の入力端505aに入力放射を提供する、可視(例えば、緑色)レーザ501を含む。出力放射は、光ファイバ505の出力端505bで取得される。出力放射は、その後、例えばコリメータ、レンズ、プリズム、格子、エタロン、スペクトルフィルタ、又は他の光学素子を含み得る、出力光学器507に提供される。実施形態において、スペクトルフィルタ、エタロン、或いは、空間フィルタリングと結合されたプリズム又は格子などのスペクトル分散光学器などの、それらの通過帯域波長が出力放射のスペクトル内に配置された、波長感受性光学器は、ダウンストリームで使用するために、スペクトル的に拡大された放射の波長及びスペクトル幅を選択及び/又は制御するために、ファイバの後に置くことができる。したがって実施形態において、出力放射の波長及びスペクトル幅を低減及び/又は制御するために、光ファイバの出力又はそのダウンストリームに帯域通過フィルタが提供される。例えばスペクトル幅は所望よりも大きくてよく、帯域通過フィルタは、スペクトル幅を低減するか、又は出力スペクトル幅のうちの或るスペクトル幅を選択することができる。実施形態において、帯域通過フィルタは、異なる量のフィルタリングを異なる波長で提供するように調整可能である。調整可能フィルタの例として、各フィルタが異なる波長又はスペクトル幅の量に特有な複数のフィルタのうちの選択したフィルタを、ビーム経路に入れるための交換器が提供可能である。交換器は、異なるフィルタをビーム経路内に回転させる回転ホイールとすることができる。次いで出力光学器507からの放射は、光学測定で使用するために、例えば基板W上のターゲットに提供される。
【0058】
[0071] 実施形態において、放射源501の公称波長は、光学センサに必要な波長と一致する。公称波長が、光学センサの必要な又はそれに近い公称波長を備えるレーザのスペクトル拡大は、センサのために広いスペクトル幅の放射を生成するための、より直接的、効率的、及び確実な手段を提供する。言い換えれば、センサが必要とする波長か又はそれより短い公称波長を備えるレーザのスペクトル拡大は、一般に、関連するより優性且つ効率的な非線形光学プロセスに起因して、より長い波長を備えるものよりも効率的及び安定的である。
【0059】
[0072] 本明細書で使用される「可視」又は「緑色」は、レーザによって放出される放射の波長に対応する電磁スペクトルの色又は色領域を指す。したがって緑色レーザは、約495nmから約570nmの範囲から選択される公称波長を有するレーザを指すことができる。或る実施形態では、
図6に示されるように、緑色レーザは約532nmの波長を有することができる。他の実施形態では、緑色レーザは約515nm又は約520nmの波長を有することができる。可視レーザは、約390nmから約700nmの範囲から選択された公称波長を有するレーザを指すことができる。
【0060】
[0073] レーザは、パルスレーザ又は連続波(CW)レーザとすることができる。CWレーザはその平均パワーによって特徴付けられるが、パルスレーザは典型的には、レーザによって放出される放射の単一パルスの持続時間であるそのパルス幅と、1秒当たりにレーザによって放出される総エネルギーを測定する平均パワーとによって特徴付けられる。パルスレーザを特徴付けることができる追加のパラメータは、限定されないが、ピークパルスパワー、パルス分離、又はパルス周波数を含む。様々な可視(例えば、緑色)レーザは、短ければ1ps又はそれ未満、或いは長ければ数十ナノ秒のパルス幅を有することができる。平均レーザパワーは、約1mWから約10Wまで変動可能である。加えて、様々な可視(例えば、緑色)レーザのパルス周波数は、約1kHzから100MHzを超えるまで変動可能である。実施形態において、可視(例えば、緑色)レーザは、マイクロチップレーザなどのソリッドステートレーザとすることができる。レーザからの出力放射は、非常に高輝度を提供するように合焦可能である。例えば、好適な光学器をレーザに結合することによって、最低約50MW/cm
2又は最高2GW/cm
2の強度が達成可能である。
【0061】
[0074] 実施形態において、光ファイバは、その断面にわたって変化する屈折率を有する光ファイバである。実施形態において、光ファイバは、例えば円筒形の断面を有する、標準のステップインデックス型又はグレーデッドインデックス型のファイバである。光ファイバは、単一モードファイバ、少数モードファイバ、又はマルチモードファイバとすることができる。実施形態において、光ファイバは単一モードの、シリカ系光ファイバである。実施形態において、光ファイバは放射強度に応じて変動する屈折率を有する。実施形態において、光ファイバは1つ以上の材料、例えば、ドープ又は非ドープのシリカ、フッ化ジルコニウム酸塩、フッ化アルミン酸塩、カルコゲニドガラス、プラスチック、又は、放射強度に応じて変動する屈折率を有する任意の他の材料から選択された、1つ以上の材料から作成可能である。実施形態において、光ファイバはフォトニック結晶を含む、構造化される、及び/又はバンドギャップファイバとすることができる。しかし望ましくは、実施形態において、光ファイバは主にフォトニック結晶でない。しかし望ましくは、実施形態において、光ファイバは主として構造化されない。しかし望ましくは、実施形態において、光ファイバはバンドギャップ光ファイバではない。
【0062】
[0075] 実施形態において、スペクトル拡大は結果として、公称波長に関して0.5nmよりも大きいスペクトル幅を生じさせる。実施形態において、スペクトル拡大は結果として、公称波長に関して2nmよりも大きいスペクトル幅を生じさせる。
【0063】
[0076] 緑色レーザを使用する実施形態において、スペクトル幅は相対的に圧縮されている。すなわち実施形態において、スペクトル拡大は結果として、緑色公称波長に関して約0.5nmよりも大きいか又は等しい、また約10nmよりも小さいか又は等しいスペクトル幅を生じさせる。実施形態において、スペクトル拡大は結果として、緑色公称波長に関して、約0.7nmよりも大きいか又は等しい、また約10nmよりも小さいか又は等しいスペクトル幅を生じさせる。実施形態において、スペクトル拡大は結果として、緑色公称波長に関して、約2nmよりも大きいか又は等しい、また約10nmよりも小さいか又は等しいスペクトル幅を生じさせる。
【0064】
[0077] 可視レーザを使用する実施形態において、スペクトル幅は相対的に広い。実施形態において、スペクトル拡大は結果としてスーパーコンティニュームを生じさせる。実施形態において、スーパーコンティニュームは公称波長に関して、約350nmより大きいか又は等しい、約400nmより大きいか又は等しい、約500nmより大きいか又は等しい、或いは約900nmより大きいか又は等しい、スペクトル幅を有する。実施形態において、スーパーコンティニュームは、約400nmから900nmの範囲から選択されるスペクトル幅を有する。
【0065】
[0078] 実施形態において、スペクトル幅は公称波長に関して対称である。実施形態において、スペクトル幅は公称波長に関して非対称である。スペクトル幅が非対称である実施形態において、スペクトル幅の約5%以下、約10%以下、約20%以下、約30%以下、又は約40%以下は、公称波長よりも短い。
【0066】
[0079] 強度変調を伴うパルスレーザ放射又はレーザ放射について、非線形光学プロセスは自己位相変調(SPM)であり、放射強度に応じて変動する屈折率を伴う非線形光媒体内で発生する。光ファイバのSPMは、以下の式によって数学的に記述することが可能であり、
【数1】
上式で、nは光ファイバの強度変動屈折率であり、n
0は光ファイバの公称屈折率であり、n
2は光ファイバの電気光学係数である。電気光学係数は、ファイバの材料に特有である。例えばシリカは、約3.2×10
−20m
2/Wの電気光学係数を有する。そこで、ファイバ長さL全体にわたる位相変化ΔOは、以下の通りであり、
【数2】
結果として得られる周波数拡張Δν(t)は、以下の通りであり、
【数3】
上式でλは入力レーザ放射の波長である。
【0067】
[0080] このようにして一般に、スペクトル拡大の量はファイバの長さLに比例し、短いパルスに対して大きく、経時的な強度変化速度はより速い。したがって、システム内で生成される異なる帯域幅及びパワーのスペクトル的に拡大された可視(例えば、緑色)放射は、レーザのパワー、レーザのパルス幅、光ファイバのコアサイズ、及び/又は光ファイバの長さを変更することによって、達成可能である。出力放射のスペクトル幅は、入力ポンプパワーを高くすること、及び/又はファイバ長を長くすることで、増加させることができる。確実にするために、上記数式における比例項はスーパーコンティニュームスペクトル拡大について保持されるはずであるが、上記数式からの実際の結果は、光学プロセスの非線形性に起因して、スーパーコンティニュームスペクトル拡大について正確な結果を生み出さない場合がある。
【0068】
[0081] 例として、50ps、10MHz、〜1W(平均パワー)532nmのレーザ出力を、長さ75m、コア直径4μmのシリカ光ファイバ内に結合することによって、シリカについて6nmを超えるスペクトル拡大が達成可能である。同様に、例えば100ps、10MHz、〜1W(平均パワー)532nmのレーザ出力を、長さ75m、コア直径4μmのシリカ光ファイバ内に結合することによって、シリカについて3nmを超えるスペクトル拡大が達成可能である。
【0069】
[0082] 十分に高い強度では、SPMの非線形効果を、相互位相変調(XPM)、変調不安定性(MI)、誘導ラマン散乱(SRS)、及び4波混合(FWM)などの他の非線形プロセスによって拡張することができる。これらのプロセスは、結果として100nmを超える更なるスペクトル拡大を生じさせ、スーパーコンティニューム放射出力を発生させる。例えば、スーパーコンティニューム拡大を発生させるために、光ファイバ長は長くなり、レーザ入力放射パワーは高くなり、及び/又はパルス長は短くなる。
【0070】
[0083] ラマン散乱において、入力レーザ周波数からダウンシフト(アップシフト)された周波数を伴うストークス(反ストークス)放射と呼ばれる放射が、レーザ放射内に生成される。媒体内のレーザ強度及び相互作用長が十分であれば、ストークス放射は成長し、SRSのケースでは入力エネルギーを激減させる。SRSプロセスのカスケードは、より低い周波数放射を生成する。強い入力とストークス放射の両方が存在する場合、SRSの周波数が入力周波数からアップシフトされる間に、反ストークス放射を生成することができる。周波数シフトは媒体の振動モードに依存する。
【0071】
[0084] ラマン散乱に加えて、すべてのエネルギーが保存され、放射フィールドの位相合致が達成される、新しい放射フィールドを作成するために、複数の放射フィールドが相互作用する4波混合(FWM)プロセスで、追加の周波数が生成可能である。更に、SPM及びXPMによる放射のスペクトル拡大により、放射のスペクトルを拡張及びマージし、スーパーコンティニュームを形成させることができる。
【0072】
[0085] ラマン利得係数g
r、コア直径d、及び減衰係数αを伴う光ファイバにおけるSRSについてのしきい値放射強度P
thは、以下のように概算され、
【数4】
上式で、
【数5】
が用いられる。
【0073】
[0086] コア直径が4μmのシリカファイバにおいて532nmでのポンプレーザの場合、g
rは〜5×10
−13m/Wであり、αは典型的には〜15dB/kmであり、P
thは〜300mのファイバ長(〜1/α)について2W未満である。ファイバの長さはポンプパワーが高くなるにつれて減少する。
【0074】
[0087] レーザ放射を光ファイバ内に結合することによって達成されるスペクトル拡大は、レーザ放射の公称波長周辺で対称でない可能性があることに留意されたい。こうしたスペクトル拡大を介して取得されるスペクトル領域は、上記の数式によって支配され得る。しかしながら対称スペクトル拡大は、いくつかの実施形態における好適なパラメータ値を使用して、又は適切なダウンストリームスペクトルフィルタリング/選択光学器によって、達成可能である。
【0075】
[0088] 様々な実施形態において、十分に高いスペクトル拡大を達成するために、非常に高強度の放射を光ファイバ内に結合しなければならない場合がある。こうした高強度は、いくつかのインスタンスにおいて、放射がファイバ内に結合されている間に、発生する熱から光ファイバの入力ファセットに損傷を生じさせる可能性がある。次にこれが、特に長寿命の適用例の場合、不確実な結合につながる可能性がある。
【0076】
[0089]
図7(A)は、光ファイバに対する光損傷を減らすように設計されたファイバ入力ファセットの実施形態を概略的に示す。
図7(A)に示されるように、ファイバ600のコア604の幅(例えば、直径)(例えば、4μm)よりも大きい(例えば、8μm)コア幅(例えば、直径)を有するテーパ型ファセット606を、光ファイバ505の入力端505aに提供することが可能であるため、より大きいレーザビームスポットをファイバに結合することが可能であり、それによって入力ファセットでの強度が低減する。テーパ型ファセット606は、例えばファイバクラッディング605を広げることによって形成可能である。強度はビームスポット幅(例えば、直径)の2乗に反比例するため、
図7(A)に示されるように入力ファセットの幅を大きくすることで、光ファイバの入力ファセットに対する光損傷を大幅に減らすことができる。
【0077】
[0090]
図7(B)は、光ファイバに対する光損傷を減らすように設計されたファイバ入力ファセットの更なる実施形態を概略的に示す。この実施形態において、光ファイバ505の入力端505aへの接合部608で、透明エンドキャップ606を取り付けるか又は融着することができる。エンドキャップ606は、ファイバ600の入力ファセット上のビームスポット幅を大きくすることができる。
図7(B)と同様に、
図7(C)は、光ファイバに対する光損傷を減らすように設計されたファイバ入力ファセットの更なる実施形態を概略的に示す。この実施形態において、光ファイバ505の入力端505aへの接合部608で、透明エンドキャップ606を取り付けるか又は融着することができる。このエンドキャップ606は、クラッディング605を有さない場合がある。
【0078】
[0091] 放射源のコヒーレンス長は、そのスペクトル幅に反比例する。したがって、レーザからの放射のスペクトル幅を拡大することによって、放射源のコヒーレンス長を短くすることができる。例えば、約750ミクロン未満のコヒーレンス長が達成可能である。例えば、約400ミクロンから約750ミクロンの範囲から選択されるコヒーレンス長が達成可能である。実施形態において、約0.5mm未満のコヒーレント長が達成可能である。短いコヒーレンス長は、例えばアライメントの間に存在する、例えばスプリアス反射又はゴースト反射の干渉効果を低減させることができるため、有利である。様々な実施形態において、本明細書で提供される放射源のコヒーレンス長は、約400μmから約750μmの範囲から選択される。明らかに、放射源の実際のコヒーレンス長は、入力放射源(例えば、緑色レーザ)の公称波長及びコヒーレンス長と、本明細書で説明するように達成されるスペクトル拡大とに依存することになる。
【0079】
[0092] 実施形態において、レーザの公称波長を拡大するために使用される本明細書で説明する可視レーザ及び光ファイバは、光学センサ、例えばアライメント検出器の光学センサなどのリソグラフィ適用例のための光学センサにおいて、コヒーレンスオフセット効果を有利に低減することができる。例えばアライメントセンサは、可視の明るい短コヒーレント長放射を必要とし得、本明細書で説明する拡大は、そうした明るい短コヒーレンス長放射によって生じるそうしたセンサ内でのコヒーレンス効果を低減することができる。コヒーレンスオフセット効果は、例えばアライメントセンサ内の光学素子間のキャビティから発生する。そうしたキャビティは大部分が修復不可能であり得るため、拡大でそれを補うことができる。説明した短コヒーレンス長及び拡大は、そうしたコヒーレンス効果から生じるアライメントオフセットのうちの15pm又はそれ以上を低減することができる。
【0080】
[0093] 本明細書で説明する放射源のスペクトル幅は、例えば、入力放射源(例えば、緑色レーザ)の1つ以上のパラメータを変調することによって、確実且つ容易に変調可能である。例えばスペクトル幅は、パルス幅を低減すること(即ち、強度の変化速度を上げること)、又は入力放射の強度を増加することによって増加可能であるか、或いは、スペクトル幅は、パルス幅を増加すること(即ち、放射強度の変化速度を下げること)、又は入力放射の強度を低減することによって低減可能である。追加又は代替として、スペクトル幅は、放射が通過する光ファイバの長さを増加すること、又は光ファイバの非線形光学係数を増加することによって、増加可能であるか、或いは、放射が通過する光ファイバの長さを低減すること、又は光ファイバの電気光学係数を低減することによって、低減可能である。
【0081】
[0094] 可視(例えば、緑色)レーザは広範囲に使用可能であり、確立された技術の一部であるため、短コヒーレンス長を提供するためにレーザを使用することで、公称可視波長周辺の広いスペクトル幅放射源は結果として、有利なことにレーザのスペクトル幅を拡大する効率的、確実、且つ調整可能な手段を提供しながら、有利なことに既存のセットアップに生じさせる混乱を最小限にすることができる。
【0082】
[0095] 本発明の実施形態は、本明細書で開示される方法を記述する機械可読命令の1つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、又は、そうしたコンピュータプログラムが内部に記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気又は光ディスク)の形を取ることができる。更に、機械可読命令は2つ以上のコンピュータプログラム内に具体化することができる。2つ以上のコンピュータプログラムは、1つ以上の異なるメモリ及び/又はデータ記憶媒体上に記憶可能である。
【0083】
[0096] 1つ以上のコンピュータプログラムがリソグラフィ装置の少なくとも1つのコンポーネント内にある1つ以上のコンピュータプロセッサによって読み出されるときに、本明細書に記載するあらゆるコントローラは各々、又は組み合わせて動作可能になる。コントローラは各々、又は組み合わせて、信号を受信、処理、送信するのに適した任意の構成を有する。1つ以上のプロセッサは、コントローラの少なくとも1つと通信するように構成されている。例えば、各コントローラは、上記方法のための機械読み取り式命令を含むコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプロセッサを含むことができる。コントローラは、そのようなコンピュータプログラムを記憶するデータ記憶媒体及び/又はそのような媒体を収容するハードウェアを含むことができる。したがって、コントローラは、1つ以上のコンピュータプログラムの機械読み取り式命令に従って動作することができる。
【0084】
[0097] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組み合わせを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0085】
[0098] 更に、本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義とみなしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0086】
[0099] 本明細書で使用される「放射」及び「ビーム」という用語は、近赤外放射(例えば、約700nmから約1400nmの範囲内の波長を有する放射)、可視放射(例えば、約390nmから700nm、例えば約633nmの範囲内、或いは、約495nmから約570nm、例えば約515nm、約520nm、又は約532nmの範囲内の波長を有する放射)、紫外(UV)放射(例えば、365、355、248、193、157、又は126nmの、或いはほぼそれらの、波長を有する)、及び、極紫外(EUV)放射(例えば、5〜20nmの範囲内の波長を有する)、並びに、イオンビーム又は電子ビームなどの粒子ビームを含む、すべてのタイプの電磁放射を包含する。
【0087】
[00100] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電気光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はその組み合わせを指すことができる。
【0088】
[00101] 上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。例えば、1つ以上の実施形態の1つ以上の態様は、適切な1つ以上の他の実施形態の1つ以上の態様と組み合わされるか、又は1つ以上の他の態様に置き換えられてもよい。したがって、このような適応及び修正は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲内に入るものとする。本明細書の言葉遣い又は用語は説明のためのもので、限定するものではなく、したがって本明細書の用語又は言葉遣いは、当業者には教示及び案内の観点から解釈されるべきことを理解されたい。本発明の幅及び範囲は、上述した例示的実施形態のいずれによっても限定されず、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ規定されるものである。