特許第6656164号(P6656164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656164
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】液体分析計、液体分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/26 20060101AFI20200220BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20200220BHJP
   G01N 27/333 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   G01N27/26 391Z
   G01N27/416 351A
   G01N27/416 351B
   G01N27/333 331Z
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-561941(P2016-561941)
(86)(22)【出願日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】JP2015083225
(87)【国際公開番号】WO2016084894
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2018年10月1日
(31)【優先権主張番号】特願2014-238341(P2014-238341)
(32)【優先日】2014年11月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591043581
【氏名又は名称】東京都
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】592187534
【氏名又は名称】株式会社 堀場アドバンスドテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】中山 明夫
(72)【発明者】
【氏名】降矢 るみ子
(72)【発明者】
【氏名】石井 章夫
(72)【発明者】
【氏名】蒲 靖人
(72)【発明者】
【氏名】伊東 裕一
(72)【発明者】
【氏名】山内 進
(72)【発明者】
【氏名】村上 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】千田 敦
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−207481(JP,A)
【文献】 特開昭52−012893(JP,A)
【文献】 特開昭53−147594(JP,A)
【文献】 特開2001−235443(JP,A)
【文献】 特開2014−219246(JP,A)
【文献】 特開2009−092414(JP,A)
【文献】 特開2010−060377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26−27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動する分析対象液の分析を行う液体分析計であって、
流動する分析対象液に可塑剤を含んだ樹脂製の応答膜を浸した状態で、前記分析対象液に含まれる所定成分を検知するセンサと、
基準電位を測定する基準センサと、
前記センサと前記基準センサが接続される電位差計を具備し、前記センサと前記基準センサとの間に生じる電位差を用いて、前記分析対象液の分析を行う分析機構と、
前記電位差計とは独立して設けられた電極と、
前記センサと前記電極が接続され、流動する分析対象液に前記センサの前記応答膜、及び、前記電極を浸した状態で、前記応答膜と前記電極間に直流電圧を印加し、前記電極をアースとして前記応答膜の抵抗を測定する抵抗測定機構と、を具備し、
前記抵抗測定機構で測定される前記応答膜の抵抗に基づいて、当該応答膜の可塑剤量の減少に起因する前記応答膜の劣化を判定するように構成されたことを特徴とする液体分析計。
【請求項2】
前記抵抗測定機構が前記応答膜の抵抗を測定した後に、前記応答膜にかけた直流電圧によって供給された電荷を放電する放電期間が設けられたことを特徴とする請求項1記載の液体分析計。
【請求項3】
前記分析機構及び前記抵抗測定機構を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部が、前記分析機構を停止又は前記分析機構が分析した分析結果を示す分析結果データを保留にした状態で前記抵抗測定機構を作動させるとともに、前記抵抗測定機構を停止させた後、前記放電期間を経てから前記分析機構の停止又は前記保留状態を解除することを特徴とする請求項2記載の液体分析計。
【請求項4】
前記抵抗測定機構が、前記応答膜の抵抗を1日に複数回測定することを特徴とする請求項1、2又は3記載の液体分析計。
【請求項5】
前記センサが複数設けられており、そのうちの少なくとも1つが流動する分析対象液に前記応答膜を浸されていない状態であって、
前記抵抗測定機構により測定された前記応答膜の抵抗が予め定められた閾値以上となったどうかを判定する判定部と、
前記判定部が前記応答膜の抵抗が閾値以上であると判定した場合に分析対象液に前記応答膜を浸されていない状態の前記センサを浸した状態に変更するセンサ交換機構をさらに備えた請求項1、2、3又は4記載の液体分析計。
【請求項6】
前記応答膜が二重膜構造を有し、外側の膜が剥離可能に構成されている請求項1、2、3、4又は5記載の液体分析計。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6記載の液体分析計と、
前記分析対象液内に前記液体分析計の先端部が浸るように前記液体分析計を支持する液体分析計支持部と、
前記センサの前記分析対象液に浸されている部分に付着した汚れを落とす洗浄機構と、
前記液体分析計から出力される測定値を表示する表示部と、を備えた液体分析装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5又は6記載の液体分析計を具備し、分析対象液が流動する第1分析場所において、前記応答膜を前記分析対象液に浸した状態で当該分析対象液の分析を行う液体分析装置と、
前記第1分析場所とは異なる第2分析場所において、前記分析対象液が補助分析された結果を示す補助分析結果データを取得するデータ取得部を具備する外部装置と、
前記液体分析装置及び前記外部装置がネットワークを介して接続されて、前記補助分析結果データが、前記液体分析装置に送信されるように構成されていることを特徴とする液体分析システム。
【請求項9】
流動する分析対象液の分析を行う液体分析計であって、
流動する分析対象液に可塑剤を含んだ樹脂製の応答膜を浸した状態で、前記分析対象液に含まれる所定成分を検知するセンサと、
前記センサに生じる電圧を用いて、前記分析対象液の分析を行う分析機構と、
流動する分析対象液に前記応答膜を浸した状態で、前記応答膜に直流電圧を印加して前記応答膜の抵抗を測定する抵抗測定機構と、を具備し、
前記抵抗測定機構が前記応答膜の抵抗を測定した後に、前記応答膜にかけた直流電圧によって供給された電荷を放電する放電期間が設けられ、
前記抵抗測定機構で測定される前記応答膜の抵抗に基づいて、当該応答膜の可塑剤量の減少に起因する前記応答膜の劣化を判定するように構成されたことを特徴とする液体分析計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動する分析対象液に浸した状態で、当該分析対象液の分析を行う液体分析計及び液体分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下水の水質検査においては分析対象液である排水中に含まれるアンモニウムイオンの量を測定する液体分析計がある。この液体分析計では、排水中に浸した状態で、センサに生じる電圧を測定することによって、アンモニウム濃度を分析する。
【0003】
ところで、上述の液体分析計は経年劣化が生じるので、長時間使用するにつれて、正確な測定を行うことができず、信頼性が低下する。
【0004】
そこで、信頼性を向上するものとして、例えば特許文献1記載の液体分析計がある。この液体分析計は、サンプリングされた分析対象液の代わりに電解質液をサンプル管に入れて、例えばセンサに設けられた応答膜の抵抗を測定し、この抵抗からセンサ及び液体分析計としての良否を判定する。ここで、分析対象液の代わりに電解質液を用いる理由としては、分析対象液自体の抵抗が、応答膜の抵抗に加算されてしまい、応答膜の抵抗を正確に測定できなくなること防ぐためと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−207481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の応答膜の抵抗を測定するために電解質液を用いる構成を、流動する分析対象液の中に液体分析計を浸して分析を行うものに適用すると、応答膜の抵抗を測定するために、わざわざセンサを分析対象液から引き上げて、電解質液に浸漬させてセンサの良否を判定し、さらに分析対象液に戻すという非常に手間がかかるものとなる。
【0007】
本発明は上記問題に鑑み、流動する分析対象液の分析を行うものであって、手間無くセンサの良否判定を行うことができ、分析結果の信頼性を高めることができる液体分析計、流体分析装置、及び、液体分析システムを提供することをその主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る液体分析計は、流動する分析対象液の分析を行う液体分析計であって、流動する分析対象液に応答膜を浸した状態で、前記分析対象液に含まれる所定成分を検知するセンサと、前記センサに生じる電圧を用いて、前記分析対象液の分析を行う分析機構と、流動する分析対象液に前記応答膜を浸した状態で、前記応答膜に直流電圧を印加して前記応答膜の抵抗を測定する抵抗測定機構と、前記分析機構及び前記抵抗測定機構を制御する制御部と、を具備することを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、抵抗測定機構が、流動する分析対象液に応答膜を浸した状態で、応答膜の抵抗を測定するよう構成されているので、センサの良否判定のためにセンサを流動する分析対象液からわざわざ引き上げて、別の電解質液に浸す必要がない。したがって、センサの良否判定にかかる手間を大幅に減らすことができる。
【0010】
また、流動する分析対象液に浸される応答膜の抵抗は、分析対象液中の気泡、振動、不純物等の外乱に耐えうる構成とすることによって、分析対象液自体の抵抗と比べて十分大きいものとなる。このように膜抵抗が高い場合、電流が流れるまでに時間がかかり、交流電圧では、電圧が切替わるまでの間に抵抗値を読み取ることが難しい。これに対し、本発明では抵抗測定機構が直流電圧を印加しているので、膜抵抗が高い場合、すなわち流動する分析対象液中に浸される応答膜の膜抵抗であっても、抵抗値を測定することが可能となる。
【0011】
本発明に係る液体分析計の具体的な一態様としては、前記制御部が、前記抵抗測定機構が前記応答膜の抵抗を測定した後に、前記応答膜にかけた直流電圧によって供給された電荷を放電する放電期間を設けたものを挙げることができる。
【0012】
上述したように、応答膜に直流電圧を印加すると、分極が発生し、分析対象液の分析時に正確な分析ができなくなるおそれがある。
しかし、本発明に係る液体分析計では、制御部が、抵抗測定機構が前記応答膜の抵抗を測定した後に、前記応答膜にかけた直流電圧によって供給された電荷を放電する放電期間を設けているので、この所定時間の間に応答膜に貯まっていた電荷を放電して分極が発生することを防ぐことができる。
【0013】
本発明に係る液体分析計の別の具体的な一態様としては、前記制御部が、前記分析機構を停止又は前記分析機構が分析した分析結果を示す分析結果データを保留にした状態で前記抵抗測定機構を作動させるとともに、前記抵抗測定機構を停止させた後、前記放電期間を経てから前記分析機構の停止又は前記保留状態を解除するものを挙げることができる。
このように構成することで、分析機構が分析を行う際に、抵抗測定機構が応答膜に印加した電圧の影響を防ぐことができ、液体分析計の分析結果に影響を与えることなく、液体分析計の良否を判断することができる。
【0014】
本発明に係る液体分析計の別の具体的な一態様としては、前記抵抗測定機構が、前記応答膜の抵抗を1日に複数回測定するものを挙げることができる。
これにより、例えば複数回測定した値を平均した値を応答膜の抵抗とすることで、測定時間帯による誤差をなくすことができ、液体分析計の劣化の判断を確実なものとすることができる。
【0015】
本発明に係る液体分析計の別の具体的な一態様としては、前記センサが複数設けられており、そのうちの少なくとも1つが流動する分析対象液に前記応答膜を浸されていない状態であって、前記抵抗測定機構により測定された前記応答膜の抵抗が予め定められた閾値以上となったどうかを判定する判定部と、前記判定部が前記応答膜の抵抗が閾値以上であると判定した場合に分析対象液に前記応答膜を浸されていない状態の前記センサを浸した状態に変更するセンサ交換機構をさらに備えたものを挙げることができる。
このようなものであれば、応答膜の抵抗が大きくなり感度が低くなったセンサを例えば自動で交換することができ、メンテナンスの手間を低減できる。
【0016】
本発明に係る液体分析計の別の具体的な一態様としては、前記応答膜が二重膜構造を有し、外側の膜が剥離可能に構成されているものが挙げられる。
このようなものであれば、外側の応答膜に劣化が生じた場合に剥してしまい劣化があまり進んでいない内側の応答膜で再び感度を回復させて分析を継続することができる。
【0017】
本発明に係る液体分析装置は、本発明に係る液体分析計と、前記分析対象液内に前記液体分析計の先端部が浸るように前記液体分析計を支持する液体分析計支持部と、前記センサの前記分析対象液に浸されている部分に付着した汚れを落とす洗浄機構と、前記液体分析計から出力される測定値を表示する表示部と、を備えたものを挙げることができる。
このようなものであれば、測定しているその場で分析対象液中に含まれる所定成分の量を監視しやすく、分析対象液が下水等の汚れ成分が多く含まれるものであっても長期間にわたってセンサの性能を正常に保ちやすい。
【0018】
また、本発明に係る液体分析システムは、本発明に係る液体分析計を具備し、分析対象液が流動する第1分析場所において、前記応答膜を前記分析対象液に浸した状態で当該分析対象液の分析を行う液体分析装置と、前記第1分析場所とは異なる第2分析場所において、前記分析対象液が補助分析された結果を示す補助分析結果データを取得するデータ取得部を具備する外部装置と、前記液体分析装置及び前記外部装置がネットワークを介して接続されて、前記補助分析結果データが、前記液体分析装置に送信されるように構成されていることを特徴とする。
【0019】
流動する分析対象液の分析を行う場合、第1分析場所の気象状態等によっては分析対象液が安定しないので、正確な分析結果が得られず、分析対象液をサンプリングして別途分析を行った補助分析結果と比較する必要がある。このとき、サンプリングした分析対象液を分析する第2分析場所は、分析対象液が流動する第1分析場所とは異なるので、ユーザは第2分析場所において得られた補助分析結果を、第1分析場所に行って第1分析場所で得られた分析結果と比較する必要があり、ユーザにとって手間のかかるものとなっていた。
しかし、本発明に係る液体分析システムでは、第1分析場所の液体分析装置と第2分析場所の外部装置とがネットワークを介して接続されて、外部装置で得られた補助分析結果データが、液体分析装置に送信されるので、ユーザは第2分析場所に行かずとも分析結果データと補助分析結果データとを比較することができ、ユーザの手間を省くことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、流動する分析対象液にセンサの応答膜を浸した状態で分析を行う液体分析計において、手間無くセンサの良否判定を行い、信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態における液体分析計を示す斜視図。
図2】同実施形態における液体分析計を示す概略図。
図3】同実施形態における液体分析計の制御部を示すブロック図。
図4】同実施形態における液体分析計の制御部を示すブロック図。
図5】液体分析計の応答膜の抵抗と感度との関係を示すグラフ。
図6】本発明の別の実施形態における液体分析装置を示す概略図。
図7】本発明の別の実施形態における洗浄機構の詳細を示す概略図。
図8】本発明のさらに別の実施形態における液体分析システムの制御部を示すブロック図。
【符号の説明】
【0022】
1・・・液体分析計
2・・・アンモニアセンサ
3・・・カリウムセンサ
4・・・基準センサ
6・・・分析機構
8・・・抵抗測定機構
10・・制御部
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態について、以下図面を参照しながら説明する。
本実施形態の液体分析計1は、河川や下水等の流動する液体にセンサを浸して使用される液体分析計1であって、例えば下水処理に用いられる流入槽、放流槽、曝気槽等や浄水場の取水口等においてアンモニア濃度を測定するアンモニア計のことである。
【0024】
このアンモニア計は、図1及び図2に示すように、分析対象液に含まれるアンモニア成分を検知するアンモニアセンサ2と、アンモニアイオンに対するカリウムイオンの干渉を補正するために用いられるカリウムセンサ3と、基準電位を測定する基準センサ4と、これら3つのセンサを収容する収容体5と、これらセンサを用いて電位差を分析する分析機構6とを具備する。
【0025】
このアンモニアセンサ2及びカリウムセンサ3は、概略円筒形状のセンサボディと、センサボディの先端面に接着され、分析対象液に含まれる所定成分(アンモニアイオン又はカリウムイオン)に反応する応答膜と、応答膜の外周面を覆うように設けられる保護膜と、センサボディの内部に収容される内部液と、内部液に浸された内極とを具備する。
【0026】
アンモニアセンサ2の応答膜は、塩化ビニルからなる基体と、基体に含有されてアンモニウムイオンと選択的に反応するイオノフォアと、基体に含有されて塩化ビニルを軟質化させるための可塑剤とからなるものである。この応答膜の厚みとしては、約0.8mm程度のものを使用することができる。
【0027】
保護膜は、例えばフッ素系樹脂により形成した膜であって、分析対象液を透過させて応答膜と接触させることができる一方、分析対象液中の浮遊物や微生物は通過できないように構成してあるものである。
【0028】
基準センサ4は、概略円筒形状のセンサボディと、センサボディの先端面に設けられた液絡部と、センサボディの内部に収容される内部液と、内部液に浸された内極とを具備する。
【0029】
分析機構6は、図2に示すように、アンモニアセンサ2、カリウムセンサ3、基準センサ4で生じる電位を用いて分析対象液の分析を行うものであって、アンモニアセンサ2、カリウムセンサ3及び基準センサ4で生じた電位を用いてこれらの電位差を測定する電位差計7と、アンモニアセンサ2、カリウムセンサ3及び基準センサ4と電位差計7とをそれぞれ連結する回路7a、7b、7cとを具備する。
【0030】
しかして、アンモニアセンサ2、カリウムセンサ3の応答膜の抵抗を測定する抵抗測定機構8が設けられている。
この抵抗測定機構8は、図2に示すように、応答膜に直流電圧を印加して、応答膜の抵抗を測定するものであって、応答膜に直流電圧を印加して、応答膜の抵抗を測定する抵抗計9と、分析対象液に浸されて抵抗計9のアースとなる電極Aと、この抵抗計9とアンモニアセンサ2、カリウムセンサ3及び電極Aとをそれぞれ接続するものであって、分析機構6の回路7a、7bからそれぞれ分岐した分岐回路9a、9bと回路9cとを具備する。
この抵抗測定機構8は、分岐回路9aと回路9cを介してアンモニアセンサ2と電極Aとの間に抵抗計9から直流電圧を印加するとともに、分岐回路9bと回路9cを介してカリウムセンサ3と電極Aとの間に抵抗計9から直流電圧を印加してアンモニアセンサ2、カリウムセンサ3の内部抵抗を測定するものである。この印加される直流電圧としては、10mV〜10V、より好ましくは100mV〜5Vが挙げられる。ここで、アンモニアセンサ2の内部抵抗とはアンモニアセンサ2、抵抗計9、電極Aを含む閉回路における電気抵抗であり、アンモニアセンサ2の応答膜の抵抗とほぼ同じ値である。また、カリウムセンサ3の内部抵抗とはカリウムセンサ3、抵抗計9、電極Aを含む閉回路における電気抵抗であり、カリウムセンサ3の応答膜の抵抗とほぼ同じ値である。また、アンモニアセンサ2、カリウムセンサ3の内部抵抗の値としては、10MΩ〜10GΩを挙げることができる。
【0031】
また、分析機構6及び抵抗測定機構8を制御するとともに、分析機構6を停止させた状態で抵抗測定機構8を作動させる制御部10が設けられている。
この制御部10は、構造的には、CPU、内部メモリ、I/Oバッファ回路、ADコンバータ等を有した所謂コンピュータ回路である。そして、内部メモリの所定領域に格納した制御プログラムに従って動作することでCPU及び周辺機器が協働動作して、図3及び図4に示すように、切替部11、分析部12、判定部13、受付部14として機能を発揮するものである。ここで、図3は前記抵抗測定機構8による応答膜の抵抗の測定が行われていない状態を示している。また、図4は前記抵抗機構8による応答膜の抵抗が行われている状態を占めている。図3及び図4において点線は図示されているブロックからの出力が停止又は保留されている状態を示す。
【0032】
受付部14は、分析機構6から分析機構6が分析した結果を示す分析結果データ(本実施形態では、電位差計7が取得した電位差を示す電位差データ)を受け付けるとともに、抵抗測定機構8が測定した抵抗測定値を示す抵抗測定データ(本実施形態では、抵抗計9が取得した抵抗値を示す抵抗値データ)を受け付けるものである。そして、受け付けた分析結果データを分析部12に送信するとともに、抵抗測定データを判定部13に送信するものである。
【0033】
分析部12は、受付部14から送信された分析結果データを取得して、アンモニア濃度を算出するものである。そして、分析結果データを用いて算出したアンモニア濃度を示す濃度データをディスプレイ等の表示部や流体分析計1以外の制御部と有線又は無線のネットワークを介して接続された外部機器等へ送信するものである。
【0034】
判定部13は、受付部14から抵抗測定データを取得して、この抵抗値が予め定めた閾値よりも大きい場合には、図示しない表示部や外部機器へ注意信号を送信する。このとき、注意信号と時間データとを紐付けて表示部や外部機器へ送信してもよい。なお、判定部13は、抵抗測定データを時間データに紐付けて表示部や外部機器に送信するものであってもよい。また、本実施形態では抵抗測定機構8が測定した応答膜の抵抗値が予め定めた閾値を超えた時点で、判定部13が表示部へ注意信号を送信するように構成されている。
【0035】
この閾値は、以下のようにして定められる。
図5に示すように、応答膜の抵抗と液体分析計1の感度とは相関関係があり、応答膜の抵抗が増加すると、ある時点から液体分析計1の感度が急激に低下する。また、図5に示すように、応答膜の抵抗は応答膜の可塑剤量とは相関関係があり、可塑剤量が減少するにつれて、滑らかに減少する下向きに凸の曲線を描きながら応答膜の抵抗が減少していることが分かる。
【0036】
この原因としては、以下のことが考えられる。
センサの応答膜に使用される可塑剤は、曝気槽内に溶け出したり、曝気槽内に収容された分析対象液によって化学的・生物的に分解されたりするので、液体分析計1の使用時間に比例して、センサの可塑剤量が徐々に減っていく。このため、可塑剤が減って可塑剤中のイオノファの移動が制限されるので、応答膜の抵抗値が上がり、抵抗値が一定以上となるある時点において、液体分析計1の感度が急激に悪化すると考えられる。
【0037】
そこで、本実施形態では、ある可塑剤量の減少率における応答膜の抵抗値を閾値と定め、抵抗測定機構8が測定した応答膜の抵抗値がこの閾値を超えた時点で、判定部13が表示部へ注意信号を送信する。これにより、応答膜の抵抗と感度との関係を閾値に用いると、ある一点で感度は急激に減少するので閾値を設定することが難しかったが、応答膜の抵抗と可塑剤量との関係を閾値の設定に用いることで、可塑剤量の減少に伴って応答膜の抵抗値が滑らかに増加する関数を用いて、閾値を設定することが可能となる。
【0038】
具体的には、図5のグラフに示すように、可塑剤量の減少率が初期値に対して約50%における応答膜の抵抗値を第1閾値、減少率が初期値に対して約35%程度における応答膜の抵抗値を第2閾値としている。なお、この閾値は本実施形態のように複数あってもよいし、1つでもよい。また、閾値となる応答膜の抵抗値も適宜変更することができる。
【0039】
なお、上述の表示部や外部機器は、分析部12から濃度データが送られてきた場合には、この濃度データをディスプレイ等に表示させるものであり、また、判定部13から抵抗データ及び時間データが送られてきた場合には、これらのデータを、縦軸に応答膜の抵抗、横軸に時間を表すグラフとして表示するものである。さらに、判定部13から注意信号が送信された場合には、ディスプレイ等に例えばセンサの交換を示唆するアイコンを表示したり、アラームを鳴らしたりしてユーザに注意を促す。
【0040】
しかして、切替部11は、抵抗測定機構8を作動させた場合に、分析機構6が分析した分析結果を示す分析結果データを保留にした状態で、抵抗測定機構8を作動させて受付部14に判定部13へ抵抗測定データを送信するようにする。また、制御部10内に設けられた図示しないクロックから時間データを取得して、抵抗測定機構8を作動させてから所定時間が経過すると、抵抗測定機構8を停止させて、所定時間経過後に前記保留状態を解除して、受付部14に分析部12へ分析結果データを送信するようにする。この抵抗測定機構8を停止させてからの所定時間とは、抵抗測定機構8が前記応答膜の抵抗を測定した後に、応答膜にかけた直流電圧を放電する放電期間のことをいう。
【0041】
また、ここでいう保留状態とは、分析機構6から受付部14に分析結果データが送信されているが、受付部14がこれを分析部12に送信しない状態、受付部14が分析部12に分析結果データを送信しているが、分析部12がこの分析結果データを用いて算出した濃度データを表示部や外部機器へ送信しない状態、又は、受付部14が分析部12に分析結果データを送信して、分析部12がこの分析結果データを用いて算出した濃度データを表示部や外部機器へ送信するが、その際に、このデータが無効であることを示す無効データを紐付けて送信する状態を指す。
【0042】
本実施形態では、例えば分析機構6を作動させてから保留状態に切り替えるまでの時間を6〜8時間としている。また、抵抗測定機構8を作動させてから停止させるまでの時間を数秒から数分としている。そして、抵抗測定機構8を停止させてから分析機構6の保留状態を解除するまでの時間である放電期間を数秒から数分としている。そのため、1日あたりに換算すると、抵抗測定機構8を3回〜4回作動させていることとなる。
上述したように構成した本実施形態の液体分析計1は、以下のような格別の効果を有する。
【0043】
つまり、流動する分析対象液に浸される応答膜は、分析対象液中の気泡、振動、不純物等の外乱に耐えうる構成とするために一般的な応答膜に比べて強化されたものが用いられているので、応答膜の抵抗は、分析対象液自体の抵抗と比べて十分大きいものとなる。しかし、本実施形態では抵抗測定機構が直流電圧を印加しているので、膜抵抗が高い場合、すなわち分析対象液中に浸される応答膜の抵抗であっても、抵抗値を測定することが可能となる。ここで、応答膜の抵抗と液体分析計1の感度には相関関係があるので、応答膜の抵抗を測定することによって、液体分析計1の良否判断を行うことができる。したがって、応答膜の抵抗を測定するだけで、簡便に液体分析計1の良否を判断することができる。
【0044】
また、上述したように、応答膜の抵抗は比較的大きいので、直流電圧を印加しないと応答膜の抵抗を測定することができないが、制御部10が、分析機構6を停止又は保留させた状態で抵抗測定機構8を作動させるとともに、抵抗測定機構8を停止させた後、所定時間が経過してから分析機構6の停止又は保留状態を解除するので、この所定時間の間に応答膜に貯まった電荷を放電して分極が発生することを防ぐことができる。そのため、液体分析計の分析に影響を与えることなく、液体分析計の良否を判断することができる。
【0045】
また、応答膜に直流電圧を印加すると、分極が発生し、分析対象液の分析時に正確な分析ができなくなるおそれがあるが、制御部10が、抵抗測定機構8が応答膜の抵抗を測定した後に、応答膜に貯まった電荷を放電する放電期間を設けているので、この所定時間の間に応答膜に印加された直流電圧を放電して分極が発生することを防ぐことができる。
【0046】
言い換えると、制御部10が、分析機構6を停止又は分析機構6が分析した分析結果を示す分析結果データを保留にした状態で抵抗測定機構8を作動させるとともに、抵抗測定機構8を停止させた後、前記放電期間を経てから分析機構6の停止又は前記保留状態を解除するので、分析機構6が分析を行う際に、抵抗測定機構8が応答膜に印加した電圧の影響を防ぐことができ、液体分析計1の分析結果に影響を与えることなく、液体分析計の良否を判断することができる。
【0047】
抵抗測定機構8が、応答膜の抵抗を1日に複数回(本実施形態では3回〜4回)測定するので、これらの値を平均したものを応答膜の抵抗とすることによって、測定時間帯による誤差をなくすことができ、液体分析計1の劣化の判断を確実なものとすることができる。
【0048】
さらに、表示部がグラフ形式で連続的に応答膜の抵抗の経時的な変化を表示するので、異常の原因が応答膜の経時劣化によるものなのか、又は、例えば分析対象液に応答膜が浸かっていない等のミスによるものなのかをグラフを見て判断することができる。
【0049】
次に、本発明の別の実施形態に係る液体分析装置40について図6及び図7を参照しながら説明する。
【0050】
本実施形態の液体分析装置40は、前述した液体分析計1であるアンモニア計と、前記液体分析装置1の各センサのセンサ面に付着した汚れを落とすための洗浄機構41と、前記分析対象液内に前記液体分析計1の先端部が浸るように曝気槽の外部から前記液体分析計1を支持する液体分析計支持部STと、前記制御部10で算出された測定値を表示する表示部Mと、をさらに備えている。
【0051】
前記洗浄機構41の詳細について図7を参照しながら説明する。液体分析計1の先端部分と洗浄機構41の拡大図である図7に示すように、前記洗浄機構41は、主にアンモニウムイオンセンサ2のセンサ面とカリウムイオンセンサ3のセンサ面を洗浄する超音波洗浄機UCと、主に基準電極4のセンサ面を洗浄するエアジェット洗浄機JWとから構成してある。
【0052】
前記超音波洗浄機UCは、各センサの軸方向に対して垂直な方向に超音波振動が進行するように、分析対象液中において水平方向に進行する超音波振動を形成するものである。この超音波洗浄機UCは、分析対象液中に超音波振動を常時継続して形成することにより液体分析計1におけるバイオフィルムの生成を抑えるようにしてある。このようなものであれば、液体分析計1の軸方向に沿って超音波振動を発生させた場合と比較して、液体分析計1の軸方向に進行する粗密波の成分を無くす、又は、小さくでき、応答膜近傍で共振による大きな振動が発生するのを防ぐことができる。したがって、洗浄により応答膜の機能が損なわれにくい。
【0053】
前記エアジェット洗浄機JWは、前記液体分析計1の先端面に対して水平方向に流れる流れを分析対象液中に形成するものである。より具体的には、エアジェット洗浄機JWの射出部は、液体分析計1の外側周面から半径方向に所定距離離間させてあるとともに、前記基準センサ4のセンサ面の下側を水平方向に流れる流れを形成するように設けてある。
【0054】
このようなものであれば、分析対象液が下水等のように汚れがひどいものであっても各センサのセンサ面が汚れて応答膜において所定の応答が起きにくくなるのを防ぎ、長期間にわたって信頼のできる測定を継続する事が可能となる。
【0055】
次に、本発明のさらに別の実施形態に係る液体分析システムについて図8を参照しながら説明する。
なお、前記各実施形態の液体分析計1又は液体分析装置40において説明した事項と対応する部分には同じ符号を付し、一部説明を省略する。
【0056】
本実施形態における液体分析システム100は、分析対象液が流動する第1分析場所A1において、前記分析対象液に浸した状態で当該分析対象液の分析を行う液体分析装置40と、第1分析場所A1とは遠隔して設けられた第2分析場所A2において、サンプリングされた前記分析対象液の分析を行う補助液体分析装置30とを具備する。
【0057】
まず、補助液体分析装置30について説明する。
補助液体分析装置30は、液体分析計が配置された第1分析場所A1とは異なる場所(第2分析場所A2)に設けられ、第1分析場所A1からサンプリングされた分析対象液を分析するものであって、具体的にはクロマトグラフ等が挙げられる。
【0058】
この補助液体分析装置30は、サンプリングされた分析対象液の補助分析の結果を示す補助分析結果データ(本実施形態では、アンモニア濃度)を取得するデータ取得部31を具備する外部装置32を具備する。この外部装置32は、具体的には補助液体分析装置30に外付けされたコンピュータや補助液体分析装置30と有線又は無線のネットワークを介して接続されたタブレット端末等のことであり、ユーザが手入力することによってデータを取得してもよいし、又は補助液体分析装置30から出力される補助分析結果データを受け付けてデータを取得してもよい。
【0059】
次に、液体分析装置40について説明する。
この液体分析装置40は、前記実施形態で説明した液体分析計1とその他の構成要素からなるものである。また前記実施形態で説明した制御部10と本実施形態の制御部20についてはその構成に異なる点がある。以下では本実施形態の制御部20の詳細について説明する。
【0060】
制御部20は、図8に示すように、流動する分析対象液を分析する液体分析計1の分析誤差を修正するための機能を具備するものであって、具体的には、安定判断部21、格納部22、受信部24、校正部23を新たに具備するものである。
【0061】
安定判断部21は、切替部11からの開始信号を受けて受付部から分析機構6が分析した結果を示す分析結果データを取得する。このとき、所定時間において、複数の分析結果データの誤差が予め入力した閾値以下となったと判断すると、表示部25に校正キーを表示する。
なお、本実施形態において所定時間間隔とは1分であり閾値は1mVであるが、これらの値はユーザ所望の値に変更することができる。
【0062】
そして、安定判断部21は、ユーザが表示部25に表示された校正キーを押圧すると、この押圧データを表示部25から受け付けて、このときの分析部12が算出したアンモニア濃度を示す濃度データを取得して、この濃度データを格納部22に記録する。このとき、格納部22は新しく取得された濃度データを上書き保存する。なお、上書き保存しない場合には、図示しないクロックから時間データを取得して、濃度データと時間データとを紐付けて格納部22に記録してもよい。
【0063】
受信部24は、データ取得部31と無線または有線のネットワークを介して接続されているものであって、データ取得部31から出力された補助分析結果データを受け付けて校正部23に送信する。
【0064】
校正部23は、受信部24から補助分析結果データを受け付けると、格納部22から濃度データを抽出する。なお、格納部22に濃度データが上書き保存されていない場合、分析結果データに紐付けられた分析対象液をサンプリングした日時データを参照して、格納部22から濃度データを抽出してもよい。
そして、補助液体分析装置30において分析された補助分析結果データ(濃度データ)と、格納部22から抽出した液体分析装置40において分析された濃度データとを比較して、格納部22から抽出した濃度データが、補助液体分析装置30で分析された補助分析結果データとなるように合わせ込みを行う。このとき、表示部に合わせ込みが終了したことを示す合わせ込みでデータを送信して、表示部がディスプレイ等に合わせ込みが完了した旨を表示するように構成してもよい。
【0065】
上述したように構成した本実施形態の液体分析システムは、以下のような格別の効果を有する。
【0066】
つまり、流動する分析対象液の分析を行う場合、第1分析場所A1の気象状態等によっては分析対象液が安定しないので、正確な分析結果が得られず、分析対象液を第1分析場所A1でサンプリングして別途分析を行った分析結果と比較する必要があるが、第1分析場所A1に設けられた液体分析計と第2分析場所A2に設けられた外部装置32とがネットワークを介して接続されているので、第2分析場所A2において得られた分析結果を示す分析結果データを、第1分析場所A1に設けられた液体分析装置40に送信することができ、ユーザの手間を省くことができる。
【0067】
本発明は上述した構成に限られたものではない。
【0068】
上記実施形態における切替部は、分析機構を停止状態とするものであってもよい。この停止状態とは分析機構が分析を停止している状態をいう。また、分析機構はセンサから電位差を分析するものに限られず、例えば分析対象液中の所定成分の濃度を分析するように構成してもよい。例えば前述した実施形態において制御部の構成要素であった分析部が分析機構内に含まれるように構成しても構わない。
【0069】
上記実施形態における液体分析システムにおいて、安定判断部は、電位差計から取得した複数の電位差データの誤差が予め入力した閾値以下となったと判断すると表示部に校正キーを表示するが、この閾値を数段階に分けて、電位差の誤差がどの閾値まで小さくなったかをモニタに表示して、ユーザに報知するように構成してもよい。
【0070】
上記実施形態では、液体分析計としてアンモニア計が用いられていたが、この他に液膜式のイオン電極、マグネシウム計、カルシウム計、ナトリウム計、カリウム計、硝酸計にも本実施形態の液体分析計を用いることができる。
【0071】
本発明の液体分析計は、前記センサが複数設けられており、そのうちの少なくとも1つが流動する分析対象液に前記応答膜を浸されていない状態であって、前記抵抗測定機構により測定された前記応答膜の抵抗が予め定められた閾値以上となったどうかを判定する判定部と、前記判定部が前記応答膜の抵抗が閾値以上であると判定した場合に分析対象液に前記応答膜を浸されていない状態の前記センサを浸した状態に変更するセンサ交換機構をさらに備えたものであってもよい。このようなものであれば、例えば下水処理場のように分析場所が液体分析計の一部をなすコンピュータを配置できる場所から離れている場合において、センサの感度低下を遠隔で知ることができるようになるだけでなく、さらに感度低下が生じたセンサを前記センサ交換機構により遠隔で交換できるようになる。
【0072】
また、本発明の液体分析計は、前記応答膜が二重膜構造を有し、外側の膜が剥離可能に構成されていてもよい。例えば、前記抵抗測定機構により応答膜の抵抗が高い状態になっていることが検知された場合には、外側の膜をはがし、応答膜の抵抗を低下させて寿命を延ばすことが可能となる。このため、センサの交換等の手間をさらに減らすことができる。
【0073】
本発明は、その趣旨に反しない範囲で様々な変形が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8