特許第6656242号(P6656242)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6656242ゼオライト材料の固体熱合成方法及びそれから得られるゼオライト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656242
(24)【登録日】2020年2月6日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】ゼオライト材料の固体熱合成方法及びそれから得られるゼオライト
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/04 20060101AFI20200220BHJP
   C01B 37/02 20060101ALI20200220BHJP
   C01B 39/48 20060101ALI20200220BHJP
   C01B 39/40 20060101ALI20200220BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20200220BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20200220BHJP
【FI】
   C01B39/04
   C01B37/02
   C01B39/48
   C01B39/40
   B01J20/18 A
   B01J20/30
【請求項の数】13
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2017-520902(P2017-520902)
(86)(22)【出願日】2015年10月15日
(65)【公表番号】特表2017-532282(P2017-532282A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(86)【国際出願番号】CN2015091979
(87)【国際公開番号】WO2016058541
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2018年10月12日
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2014/088647
(32)【優先日】2014年10月15日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】マウレル,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,フォン−ショウ
(72)【発明者】
【氏名】モン,シヤンチュー
(72)【発明者】
【氏名】ウー,チンミン
【審査官】 村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−137856(JP,A)
【文献】 DEFORTH, U. et al.,Dry synthesis of B-MFI, MTN- and MTW-type materials,MICROPOROUS MATERIALS,1997年,Vol. 9,P.287-290
【文献】 ALTHOFF, R. et al.,The Synthesis of Zeolites from Dry Powders Via a Gas Phase Transport Mechanism,Preprints-American Chemical Society. Division of Petroleum Chemistry,1995年,Vol.40, No.2,P.240-242
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20−39/54
B01J 20/18
B01J 20/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨格構造中にYOを含むゼオライト材料の製造方法であって、Yが4価元素を表し、以下の工程、
(1)1種以上のYO源、1種以上のフッ化物含有の化合物及び1種以上の構造指向剤を含む混合物を用意する工程と、
(2)骨格構造中にYOを含むゼオライト材料を得るために、工程(1)で得た混合物を結晶化させる工程と
を含み、
工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化された混合物が、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化された混合物中に含まれるYOの100質量%に対して、35質量%以下のHOを含み、
前記工程(1)で用意されて前記工程(2)で結晶化される混合物中の1種以上の構造指向剤:YOのモル比は、0.1〜0.25の範囲にあり、
前記工程(2)で結晶化されたゼオライト材料は、BEA、BEC、CHA、EUO、FAU、FER、HEU、ITH、ITW、LEV、MEL、MOR、MWW及びTONからなる群から選択さる骨格構造を有する、
前記製造方法。
【請求項2】
Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1種以上のフッ化物含有の化合物が、1種以上のフッ化物塩及び/又はフッ化水素を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(1)で用意される前記1種以上の構造指向剤が、1種以上の有機化合物を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化された混合物において、前記1種以上の構造指向剤:YOのモル比が、0.15〜0.2の範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化された混合物において、フッ化物:YOのモル比が、0.01〜5の範囲である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(1)において、種結晶がさらに用意される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(1)において、1種以上のX源がさらに用意され、Xが3価元素を表す、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(2)において、結晶化が混合物を加熱することを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(2)において、前記混合物が自生圧力下で結晶化される、請求項9に記載の方法
【請求項11】
骨格構造中にYOを含むゼオライト材料であって、
この合成したままのゼオライト材料の29Si MAS NMRスペクトルにおいて、Q3信号に関連するピークの総積分値と、Q4信号に関連するピークの総積分値との比が、0:100〜20:80の範囲であり、
前記ゼオライト材料は、BEA、BEC、CHA、EUO、FAU、FER、HEU、ITH、ITW、LEV、MEL、MOR、MWW及びTONからなる群から選択される骨格構造を有する
ことを特徴とするゼオライト材料。
【請求項12】
前記Q3信号に関連するピークが、29Si MAS NMRスペクトルにおいて、−95〜108.75ppmの範囲にあるピークを指し、前記Q4信号に関連するピークが、29Si MAS NMRスペクトルにおいて、−108.76〜−125ppmの範囲にあるピークを指す、請求項11に記載のゼオライト材料。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のゼオライト材料を、分子ふるいとして、吸着剤として、イオン交換のために、触媒として及び/又は触媒担体として使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料の製造方法に関し、Yが4価元素を表し、前記方法は、その中に含まれるYOの100質量%に対して、35質量%以下のHOを含む混合物の固体熱結晶化(solidothermal crystallization)を含み、また、前記の方法により得られる及び/又は得られうるゼオライト材料にも関する。さらに、本発明は、例えば上述した本発明の固体熱合成(solidothermal synthesis)により達成されるように、その29Si MAS NMRスペクトルに含まれる信号Q3およびQ4の特定の相対強度により特徴付けられ、その骨格構造中にSiOを含む、この合成したままのゼオライト材料に関する。最後に、本発明は、特定の用途に本発明の材料を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライト、すなわち、結晶性アルミノケイ酸塩類は、それらの高い表面積、大きな細孔容積、均一な微孔質流路、優れた熱および水熱安定性によって、石油精製及び精密化学品の製造の工業プロセスにおいて触媒として広く使用されている。当初は、ゼオライト、例えばLTA、FAU、BEA及びMFI骨格構造を有するものは、アルカリ性媒体で合成されていた。その後、フッ化物を使用することで、種々のタイプのゼオライト、特にシリカに富んだゼオライト及び全シリカゼオライト、例えばMFI、FER、BEA、LTA、TON及びEUO骨格構造を有するものを合成できることが見出された。これらの合成は、水、アルコール及び/又はイオン性液体などの溶媒の存在を必要とし、したがって、熱水、ソルボサーマル(solvothermal)又はイオンサーマル(ionothermal)条件下で行われる。最近、RenらがJ.Am.Chem.Soc.2012,134,15173〜15176頁で、JinらがAngew.Chern.Int.Ed.2013,52,9172〜9175頁で、アルミノケイ酸塩及びアルミノリン酸塩系のゼオライトの無溶媒合成(solvent-free synthesis)を報道し、ゼオライト収率の増加、水質汚染の低減、及び従来の合成方法論で出会った高圧条件の除去などのそれに関連する利点を強調した。また、MorrisらがAngew. Chem.Int.Ed.2013,52,2163〜2165頁で、無溶媒合成の方法論の重要性も強調した。
【0003】
WuらがJ.Am.Chem.Soc.2014,136,4019〜4025頁で、有機テンプレート、特にZSM−5及びベータゼオライトがない場合のゼオライトの無溶媒合成を報道した。
【0004】
従来の合成と比較して、固体熱合成は、無溶媒合成に関連する全ての利点を有するだけでなく、最小限の有機テンプレートの使用で足りる。これらの全ての利点を考慮して、固体熱合成の方法論は、ゼオライト合成の新たな扉を開き、近い将来に工業生産において非常に重要であると信じられている。
【0005】
溶媒、特に水がない場合のゼオライトの合成方法に関する開発が進んでいるにもかかわらず、その方法は、反応混合物中に存在する固体物質の量に基づいて、相当量の、出発物質中に含まれる溶媒、特に結晶化水の形態の水を依然として使用する。したがって、より少ない量の溶媒、特に水で(それらがわずかな量で存在する場合にも)行うことができるゼオライト材料の製造のための合成手順を開発する必要が依然として残っている。さらに、このようなゼオライト材料に基づく新しい触媒及び/又は触媒担体の持続的な必要性は言うまでもなく、前例のない物理的及び化学的特性を示し、分子ふるいとして、吸着剤としての使用のための、及びイオン交換のための、新規なゼオライト材料を提供する必要が残っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Ren et al.,J.Am.Chem.Soc.2012,134,15173〜15176頁
【非特許文献2】Jinet al.,Angew.Chern.Int.Ed.2013,52,9172〜9175頁
【非特許文献3】Morriset al.,Angew. Chem.Int.Ed.2013,52,2163〜2165頁
【非特許文献4】Wuet al.,J.Am.Chem.Soc.2014,136,4019〜4025頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、ごく僅かな量の水の存在下で、さらに任意の溶媒が存在しない場合にさえも行われるゼオライト材料の製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、溶媒、特に水がない場合に行われるそれらの製造のための新規な合成手順を考慮して、優れた物理的及び化学的特性を示す新規なゼオライト材料を提供することを目的とする。したがって、驚くべきことに、1種以上のフッ化物含有の化合物及び1種以上の構造指向剤の存在下でゼオライト材料の合成を行うことにより、反応混合物中に極めて少量の水の存在下で、水又は任意の他の溶媒がない場合にさえも、固体熱合成によりゼオライト材料を結晶化することが可能であることが見出された。さらに、特にそれらの骨格構造中の特に少量の構造上の欠陥及び/又は異常が原因で、前例のない物理的及び化学的特性を示すゼオライト材料が上述した固体熱合成により得られることが、非常に予想外に見出された。より具体的には、相当に驚くべきことに、水が存在しない状況でゼオライト材料を製造することにより、ゼオライト材料の基本骨格構造を形成するYO−4面体は、4面体の全ての角が、結晶構造の欠陥が最小限になるように、実質的に別の4面体と結合することによって、互いに結合することが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、格構造中にYOを含むゼオライト材料の製造方法に関し、Yが4価元素を表し、前記方法が、以下の工程、
(1)1種以上のYO源、1種以上のフッ化物含有の化合物及び1種以上の構造指向剤を含む混合物を用意する工程と、
(2)格構造中にYOを含むゼオライト材料を得るために、工程(1)で得た混合物を結晶化させる工程と
を含み、
工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化された混合物が、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化された混合物中に含まれるYOの100質量%に対して、35質量%以下のHOを含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明によれば、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化された混合物は、Yの100質量%に対して、35質量%以下のHOを含む。したがって、YOの100質量%に対して35質量%以下のHOの量を超えないという条件で、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化された混合物に含まれるHOの量に対して、特に制限が適用されない。したがって、例えば、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化された混合物は、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化された混合物に含まれるYOの100質量%に対して、30質量%以下のHOを含んでもよく、ここでは、該混合物が、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、より好ましくは25質量%以下、より好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下のHOを含む。しかしながら、本発明の方法によれば、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化された混合物は、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化された混合物に含まれるYOの100質量%に対して、0.01質量%以下のHOを含むことが特に好ましい。
【0010】
工程(2)で結晶化されたゼオライト材料に関して、ゼオライト材料がその骨格構造中にYOを含むという条件で、それが示すことが可能である骨格構造に対して、特に制限が適用されない。したがって、例えば、工程(2)で結晶化されたゼオライト材料の骨格構造は、BEA、BEC、CHA、EUO、FAU、FER、HEU、ITH、ITW、LEV、MEL、MFI、MOR、MTN、MWW及びTON(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から選択されてもよい。しかしながら、本発明の方法によれば、工程(2)で結晶化されたゼオライト材料が、BEA、BEC、CHA、EUO、FAU、FER、ITH、ITW、LEV、MFI、MOR、MTN、MWW及びTON(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から、より好ましくはBEA、BEC、EUO、ITH、ITW、MFI、MTN及びTON(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から選択される骨格構造を有することが好ましい。しかしながら、本発明の方法によれば、工程(2)で結晶化されたゼオライト材料が、BEA、EUO、MFI、MTN及びTON(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から選択される骨格構造を有することが特に好ましい。しかしながら、本発明の方法によれば、あるいは、工程(2)で結晶化されたゼオライト材料が、BEC、ITH及びITW(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から選択される骨格構造を有することが特に好ましい。
【0011】
本発明の方法により製造されるゼオライト材料の骨格構造中に含まれる4価元素Yに関して、YOとしての前記4価元素Yを含むゼオライト材料がその骨格構造中に含まれるという条件で、原則として、任意の好適な4価元素Yが本発明の方法に使用されてもよいように、制限が特に適用されない。しかしながら、本発明の方法によれば、Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくはYがSiを含む。しかしながら、本発明の方法によれば、その骨格構造中にSiOを含むゼオライト材料が本発明の方法により製造されるように、4価元素YがSiであることが特に好ましい。
【0012】
本発明の工程(1)で用意されるYOの1種以上の源に関して、任意の好適な源又は源の混合物が使用されてもよいように、特に制限が適用されない。本発明の方法の好ましい実施態様、特に4価元素YがSiを含む本発明の実施態様によれば、特に4価元素YがSiである特に好ましい実施態様によれば、したがって、工程(1)において1種以上のSiO源が用意される。前記好ましい実施態様による工程(1)で用意され得る1種以上のSiO源に関して、その骨格構造中にSiOを含むゼオライト材料が得られることが可能であるという条件で、原則として、任意の好適な1種以上のSiO源がそこで用意されてもよいように、特に制限が適用されない。したがって、例えば、1種以上のYO源、特に本発明の方法の工程(1)で用意される1種以上のSiO源は、シリカ(silicas)、ケイ酸塩、ケイ酸及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される。しかしながら、本発明の方法によれば、好ましくは1種以上のYO源、特に工程(1)で用意される1種以上のSiO源は、シリカ、アルカリ金属ケイ酸塩、ケイ酸及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、1種以上のYO源、特に1種以上のSiO源は、ヒュームドシリカ、コロイドシリカ、反応性無定形固体シリカ、シリカゲル、発熱性シリカ(pyrogenic silica)、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくはヒュームドシリカ、シリカゲル、発熱性シリカ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、1種以上のYO源、特に1種以上のSiO源は、ヒュームドシリカ、シリカゲル、発熱性シリカ及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される。本発明の方法によれば、1種以上のYO源、特に工程(1)で用意される1種以上のSiO源は、ヒュームドシリカ及び/又は発熱性シリカ、好ましくはヒュームドシリカを含むことが特に好ましく、1種以上のYO源は、ヒュームドシリカ及び/又は発熱性シリカ、好ましくはヒュームドシリカであることが特に好ましい。
【0013】
本発明の方法の工程(1)で用意される1種以上のフッ化物含有の化合物に関して、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料が本発明の方法の工程(2)で結晶化されてもよいという条件で、使用されてもよい1種以上のフッ化物含有の化合物のタイプにも、使用されてもよい異なるフッ化物含有の化合物の数にも関わらず、特に制限が適用されない。したがって、例えば、1種以上のフッ化物含有の化合物は、1種以上のフッ化物塩及び/又はフッ化水素を含み、好ましくは、1種以上のフッ化物含有の化合物は、フッ化水素及び/又は1種以上のフッ化物塩を含む。前記1種以上のフッ化物塩は、フッ化アンモニウム、金属フッ化物、有機フッ化物塩及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはフッ化アンモニウム、金属フッ化物、有機フッ化物塩及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはフッ化アンモニウム、アルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物、アルキルフッ化アンモニウム及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはフッ化アンモニウム、アルカリ金属フッ化物、モノ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、ジ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、トリ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、テトラ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはフッ化アンモニウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、モノ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、ジ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、トリ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、テトラ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはフッ化アンモニウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、ジ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、トリ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、テトラ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。さらに、本発明の方法によれば、好ましくは1種以上のフッ化物含有の化合物は、フッ化アンモニウム、フッ化水素、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のものを含み、より好ましくは、1種以上のフッ化物含有の化合物は、フッ化アンモニウム及び/又はフッ化水素を含み、好ましくはフッ化アンモニウムを含む。しかしながら、本発明によれば、フッ化アンモニウムは、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物において、1種以上のフッ化物含有の化合物として使用されることが特に好ましい。しかしながら、本発明の方法によれば、1種以上のフッ化物含有の化合物は二フッ化水素アンモニウム(ammonium hydrogen difluoride)を含むことが代わりに好ましく、ここで、より好ましくは、二フッ化水素アンモニウムが、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物において、1種以上のフッ化物含有の化合物として使用される。
【0014】
本発明の方法の工程(1)で用意される1種以上の構造指向剤に関して、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料が工程(2)で結晶化されてもよいという条件で、特に制限が適用されない。しかしながら、本発明によれば、工程(1)で用意される1種以上の構造指向剤は、1種以上の有機化合物、好ましくはアルカン及びその誘導体、アミン、アンモニウム塩、イミダゾリニウム塩、並びにそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の有機化合物を含むことが好ましい。したがって、原則として、構造指向剤、特に当該技術分野でゼオライト材料の製造に使用される有機化合物の中の任意の好適な1種以上の構造指向剤を、本発明におけるこれらの使用がその骨格構造中にYOを含むゼオライト材料の製造を可能にさせるという条件で、使用してもよいように、1種以上の構造指向剤に特に制限が適用されない。したがって、例えば、1種以上の有機化合物、特にアルカン及びその誘導体、アミン、アンモニウム塩、並びにそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の有機化合物は、前述した化合物及びそれらの混合物に使用されてもよい1種以上の構造指向剤に制限しなくて、本発明の方法に使用される1種以上の構造指向剤の中に含まれてもよい。したがって、さらなる例として、工程(1)において用意される1種以上の構造指向剤の中に好ましくは含まれる1種以上の有機化合物は、さらに、テトラアルキルアンモニウム塩、アルケニルトリアルキルアンモニウム塩、アリールトリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルジアリールアンモニウム塩、複素環アミン、複素環アンモニウム塩、アダマンチルアンモニウム塩、アルキレンジアンモニウム塩、N−アルキル−トリアルキレンアンモニウム塩、N,N’−ジアリール−トリアルキレンアンモニウム塩、アルキルアミン、シクロアルキルアンモニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、キヌクリジン及びその誘導体、キヌクリジニウム塩、ノルボルナン及びその誘導体、トリアルキレンジアミン、トリアルキルイミダゾリニウム塩、並びにそれらの2種以上の混合物からなる群から、
より好ましくはテトラメチルアンモニウム塩、トリメチルエチルアンモニウム塩、ジメチルジエチルアンモニウム塩、メチルトリエチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルプロピルアンモニウム塩、ジエチルジプロピルアンモニウム塩、エチルトリプロピルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、トリメチルプロピルアンモニウム塩、ジメチルジプロピルアンモニウム塩、メチルトリプロピルアンモニウム塩、N−(2−プロペン−1−イル)トリ−n−プロピルアンモニウム塩、N−(1−プロペン−1−イル)トリ−n−プロピルアンモニウム塩、N−(1−プロペン−2−イル)トリ−n−プロピルアンモニウム塩、N,N,N−トリ(C〜C)アルキルベンジルアンモニウム塩、N,N,N−ジ(C〜C)アルキルジベンジルアンモニウム塩、(C〜C)複素環アミン、(C〜C)複素環アンモニウム塩、N,N,N−(C〜C)トリアルキル−アダマンチルアンモニウム塩、N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサ(C〜C)アルキル−(C〜C)アルキレンジアンモニウム塩、N,N’−ジ(C〜C)アルキル−トリ(C〜C)アルキレンジアンモニウム塩、N,N’−ジアリール−トリ(C〜C)アルキレンジアンモニウム塩、トリ(C〜C)アルキルアミン、ジ(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキルアミン、(C〜C)アルキル(C〜C)ジシクロアルキルアミン、(C〜C)アルキレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(C〜C)アルキル(C〜C)アルキレンジアミン、N,N,N−トリ(C〜C)アルキル(C〜C)シルロアルキルアンモニウム塩、アゾニオ−ビシクロ(C〜C10)アルカン、キヌクリジノール及びその誘導体、N−(C〜C)アルキルキヌクリジニウム塩、アミノノルボルナン及びその誘導体、トリ(C〜C)アルキレンジアミン、トリ(C〜C)アルキルイミダゾリニウム塩、並びにそれらの2種以上の混合物からなる群から、
より好ましくはテトラメチルアンモニウム塩、ジメチルジエチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ジエチルジプロピルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、ジメチルジプロピルアンモニウム塩、N−(2−プロペン−1−イル)トリ−n−プロピルアンモニウム塩、N−(1−プロペン−1−イル)トリ−n−プロピルアンモニウム塩、N,N,N−トリエチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N−エチルジメチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N−ジエチルメチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N−ジエチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N−トリメチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N−ジメチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N−ジメチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N−エチルメチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N−ジエチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N−エチルプロピルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N−メチルプロピルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N−ジプロピルジベンジルアンモニウム塩、(C〜C)複素環アミン、N,N−(C〜C)ジアルキル−イミダゾリニウム塩、N,N−ジ(C〜C)アルキルピペリジニウム塩、N,N,N−(C〜C)トリアルキル−アダマンチルアンモニウム塩、N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサ(C〜C)アルキル−(C〜C)アルキレンジアンモニウム塩、N,N’−ジ(C〜C)アルキル−トリ(C〜C)アルキレンアンモニウム塩、N,N’−ジベンジル−トリ(C〜C)アルキレンジアンモニウム塩、(C〜C)シクロアルキルアミン、トリ(C〜C)アルキルアミン、ジ(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキルアミン、(C〜C)アルキル(C〜C)ジシクロアルキルアミン、(C〜C)アルキレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(C〜C)アルキル(C〜C)アルキレンジアミン、N,N,N−トリ(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキルアンモニウム塩、アゾニオ−ビシクロ(C〜C)アルカン、3−キヌクリジノール及びその誘導体、N−(C〜C)アルキルキヌクリジニウム塩、アミノノルボルナン及びその誘導体、トリ(C〜C)アルキレンジアミン、1,2,3−トリ(C〜C)アルキルイミダゾリニウム塩、並びにそれらの2種以上の混合物からなる群から、
より好ましくはテトラプロピルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、N−(2−プロペン−1−イル)トリ−n−プロピルアンモニウム塩、N,N,N−トリメチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N−ジベンジルジメチルアンモニウム塩、ヘキサメチレンイミン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、N,N−ジメチル−3,3−ジメチルピペリジニウム塩、N,N−メチルエチル−3,3−ジメチルピペリジニウム塩、N,N−ジメチル−2−メチルピペリジニウム塩、N,N,N−トリメチル−1−アダマンチルアンモニウム塩、N,N,N−トリメチル−2−アダマンチルアンモニウム塩、ヘキサメトニウム塩、1−メチル−1−アゾニア−4−アザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4−ジベンジル−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、シクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N−トリメチルシクロヘキシルアンモニウム塩、1,3,3,6,6−ペンタメチル−6−アゾニオ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、N−アルキル−3−キヌクリジノール、N−メチルキヌクリジニウム塩、N,N,N−トリアルキル−エキソアミノノルボルナン、トリエチレンジアミン及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択されてもよい。さらに、本発明の方法によれば、工程(1)で用意される1種以上の構造指向剤は、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ヘキサメトニウム塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、トリエチレンジアミン及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の有機化合物を含むことが好ましい。しかしながら、本発明の方法によれば、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ヘキサメトニウム塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、トリエチレンジアミン、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム塩及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の有機化合物は、本発明の方法の工程(1)において1種以上の構造指向剤として用意されることが特に好ましい。
【0015】
好ましくは本出願で定義される特定の及び好ましい実施態様のいずれかに記載の工程(1)で用意される1種以上の構造指向剤の中に含まれる有機塩、特にアンモニウム塩に関して、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料が、本発明の方法の工程(1)及び工程(2)で得られた混合物の結晶化で得られるという条件で、前記塩のアニオン又は複数のアニオンに対して特に制限が適用されない。したがって、例えば、本発明の方法の特定の及び好ましい実施態様のいずれかに記載の有機塩、特にアンモニウム塩のアニオンは、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、シアン化物及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。しかしながら、本発明の方法によれば、好ましくは本発明の方法の工程(1)で用意される1種以上の構造指向剤の中に含まれる有機塩、特にアンモニウム塩のアニオンは、水酸化物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、二水素硫酸塩、シアン化物及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくは水酸化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくは塩化物、臭化物、ヨウ化物及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択されることが好ましい。本発明によれば、好ましくは本出願で定義される特定の及び好ましい実施態様のいずれかに記載の工程(1)で用意される1種以上の構造指向剤の中に含まれる1種以上の有機塩、特に1種以上のアンモニウム塩のアニオンは、ヨウ化物及び/又は臭化物であり、好ましくは臭化物であることが特に好ましい。
【0016】
本発明によれば、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料が、工程(1)で得られる混合物から工程(2)で結晶化され得るという条件で、1種以上の構造指向剤が本発明の方法に使用されてもよい量に関して、特に制限が適用されない。したがって、例えば、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物において、1種以上の構造指向剤:Yのモル比は、0.01〜2の範囲であってもよく、ここで、1種以上の構造指向剤:YOのモル比は、好ましくは0.03〜1、より好ましくは0.05〜0.5、より好ましくは0.07〜0.3、より好ましくは0.1〜0.25の範囲に含まれる。本発明の方法によれば、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物において、1種以上の構造指向剤:Yのモル比は、0.15〜0.2の範囲で含まれることが特に好ましい。
【0017】
したがって、1種以上のフッ化物含有の化合物が本発明の方法に使用され得る量に関して、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料が、本発明の方法により製造されるという条件で、原則として、任意の想到できる量が使用され得るように、1種以上の構造指向剤に関しては同様に適用する。したがって、例えば、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物において、フッ化物:YOのモル比は、0.01〜5の範囲に含まれてもよく、ここで、フッ化物:YOのモル比は、好ましくは0.05〜3、より好ましくは0.1〜2、より好ましくは0.15〜1.5、より好ましくは0.25〜1.25の範囲に含まれる。本発明の方法によれば、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物において、フッ化物:YOのモル比は、0.5〜1.0の範囲に含まれる。
【0018】
本発明によれば、工程(1)において、1種以上のYO源、1種以上のフッ化物含有の化合物及び1種以上の構造指向剤に加えて、1種以上のさらなる成分が混合物に用意されてもよい。これに関し、同様にその骨格構造中にYOを含むゼオライト材料がその工程(2)で結晶化されるという条件で、工程(1)において混合物に用意されるさらなる成分のタイプ及び/又は数に関しても、それらのそれぞれの量に関しても、特に制限が適用されない。しかしながら、本発明の方法によれば、工程(1)において、種結晶がさらに用意されることが特に好ましい。種結晶が工程(1)においてさらに用意される量に関して、同様に、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料がその工程(2)で結晶化されるという条件で、特に制限が適用されない。したがって、例えば、工程(1)において、種結晶は、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物に含まれるYOの100質量%に対して0.1〜20質量%の範囲の量でさらに用意されてもよく、ここで、さらに用意されてもよい種結晶の量は、好ましくは0.3〜15質量%、より好ましくは0.5〜12質量%、より好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%の範囲に含まれる。本発明の方法によれば、工程(1)において、種結晶は、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物に含まれるYOの100質量%に対して5〜7質量%の範囲に含まれる量でさらに用意されることが特に好ましい。
【0019】
本発明の方法に使用される種結晶のタイプに関して、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料がその工程(2)で結晶化されるという条件で、任意の想到できる材料が種結晶として使用されてもよいように、特に制限が適用されない。しかしながら、本発明によれば、種結晶は、1種以上のゼオライト材料を含む、好ましくは本出願に定義されたような本発明の方法の特定の及び好ましい実施態様のいずれかにより得られるYOに含まれるゼオライト材料の骨格構造を有する1種以上のゼオライト材料を含むことが好ましい。したがって、上述したように、本発明の方法に好ましく使用される種結晶の中に含まれるゼオライト材料の骨格構造に対して制限しないように、本発明の方法により得られるゼオライト材料の骨格構造に対して制限しない。しかしながら、本発明によれば、種結晶は、BEA、CHA、EUO、FAU、FER、HEU、ITH、LEV、MEL、MFI、MOR、MTN、MWW及びTON(それらの2種以上の混合構造も含む)からなる群から選択される骨格構造を有する1種以上のゼオライト材料を含むことが好ましく、ここで、より好ましくは、種結晶は、BEA、CHA、EUO、FAU、FER、ITH、LEV、MFI、MOR、MTN、MWW及びTON(それらの2種又は3種の混合構造も含む)からなる群から、より好ましくはBEA、EUO、ITH(それらの2種以上の混合構造も含む)からなる群から選択される骨格構造を有する1種以上のゼオライト材料を含む。しかしながら、本発明の方法によれば、種結晶に含まれる1種以上のゼオライト材料は、BEA及び/又はEUO骨格構造を有し、ここで、さらにより好ましくは、BEA及び/又はEUO骨格構造を有する1種以上のゼオライト材料は、本発明の方法の工程(1)で種結晶として用意される。しかしながら、本発明の方法によれば、種結晶に含まれる1種以上のゼオライト材料は、ITH骨格構造を有することが、代わりに特に好ましく、ここで、さらにより好ましくは、ITH骨格構造を有する1種以上のゼオライト材料は、本発明の方法の工程(1)で種結晶として用意される。
【0020】
しかしながら、本発明の方法によれば、本出願に定義されるような本発明の方法の特定の及び好ましい実施態様のいずれかにより得られるゼオライト材料は、本発明の方法の工程(1)で好ましく用意される種結晶の中に含まれることが好ましく、ここで、好ましくは、本出願に定義されるような本発明の方法の特定の及び好ましい実施態様のいずれか1つにより得られ得るゼオライト材料は、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料の製造のための種結晶として、工程(1)で用意される。
【0021】
さらに、1種以上のYO源、1種以上のフッ化物含有の化合物、1種以上の構造指向剤、及び任意の種結晶に加えて、本発明の方法の工程(1)で用意されてもよいさらなる成分に関して、1種以上のX源が、工程(1)でさらに用意されてもよく、ここで、Xが3価元素を表す。本発明の前記好ましい実施態様によれば、その骨格構造中にYO及びXを含むゼオライト材料は、工程(2)において、工程(1)で得られる混合物の結晶化から得られることがさらに好ましい。本発明の方法に使用される3価元素Xに関して、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料が工程(2)で結晶化から得られるという条件で、好ましくはその骨格構造中にYO及びXを含むゼオライト材料が工程(2)で結晶化から得られるという条件で、原則として、任意の好適な3価元素Xが使用されるように、特制限が適用されない。したがって、例えば、Xは、Al、B、In、Ga、Fe及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択されてもよく、ここで、好ましくは、Xは、Al、B、Fe及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される。本発明の方法によれば、Xは、Fe及び/又はBであることが特に好ましく、ここで、より好ましくはXがBである。
【0022】
さらに、工程(1)でさらに用意される1種以上のX源に加えて、又はその代わりに、1種以上のYO源、1種以上のフッ化物含有の化合物、1種以上の構造指向剤、任意の種結晶、及び任意のXに加えて、1種以上のZは工程(1)でさらに用意されてもよく、ここで、Zが5価元素を表す。Y及びXに関して、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料が本発明の方法の工程(2)で結晶化から得られるという条件で、任意の好適な5価元素Zが本発明の方法に使用されてもよく、ここで、5価元素Zが、その骨格構造中にYO及びZを含むゼオライト材料が工程(2)において、工程(1)で得られる混合物の結晶化から得られるように、選択されることが好ましい。したがって、例えば、Zは、P、As、Sb、Bi、V、Nb、Ta及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択されてもよく、ここで、好ましくは、Zは、P、As、V及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される。本発明の方法によれば、ZはP及び/又はAsであることが特に好ましく、ここで、さらに好ましくはZがPである。
【0023】
原則として、1種以上のYO源、1種以上のフッ化物含有の化合物、1種以上の構造指向剤、任意の種結晶、任意の1種以上のX源、及び任意の1種以上のZ源に加えて、工程(1)において混合物に用意されてもよい成分に対して制限しないが、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物が、一定の量を超える特定の元素を含まないことが好ましい、したがって、例えば、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物が、一定の量を超えないアルカリ金属、特にナトリウム及び/又はカリウムを含むことが好ましい。より具体的には、本発明の方法によれば、工程(1)で用意される混合物は、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物中に含まれるYOの100質量%に対して、5質量%以下のNa及び/又はK、好ましくは5質量%以下のNaを含むことが好ましく、ここで、より好ましくは、工程(1)で用意される混合物は、工程(1)で用意される混合物中に含まれるYOの100質量%に対して、3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下のNa及び/又はK、好ましくはNaを含む。しかしながら、本発明の方法によれば、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物は、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物中に含まれるYOの100質量%に対して、0.001質量%以下のNa及び/又はK、好ましくはNaを含むことが好ましい。
【0024】
またさらに、本発明によれば、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物は、特定の量を超えるアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含まないことが好ましい。特に、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物は、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物中に含まれるYOの100質量%に対して、5質量%以下のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含むことがさらに好ましく、ここで、より好ましくは、前記混合物は、3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む。本発明の方法によれば、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物は、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物中に含まれるYOの100質量%に対して、0.001質量%以下のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含むことが特に好ましい。
【0025】
工程(1)で用意される混合物において、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、特にナトリウム及び/又はカリウムの量に関する好ましい制限に加えて、又はその代わりに、前記混合物は、特定の量を超えないリン及び/又はアルミニウムを含ことが好ましい。特に、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物は、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物中に含まれるYOの100質量%に対して、5質量%以下のP及び/又はAlを含むことがさらに好ましい。また、本発明の方法によれば、工程(1)で用意される混合物は、工程(1)で用意される混合物中に含まれるYOの100質量%に対して、3質量%以下より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下のP及び/又はAlを含むことがさらに好ましい。本発明の方法によれば、工程(1)で用意される混合物は、それに含まれるYOの100質量%に対して、0.001質量%以下のP及び/又はAlを含むことが特に好ましい。
【0026】
その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料を得るための工程(2)に使用される結晶化の条件に関して、所望の製品がしたがって得られるという条件で、特に結晶化方法の温度及び圧力に対して特に制限が適用されない。しかしながら、本発明の方法によれば、の骨格構造中にYOを含むゼオライト材料を結晶化させるために、工程(2)で用意される混合物を加熱しなければならない。工程(2)において結晶化が好ましく行われる温度に関して、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料が結晶化されるという条件で、例えば、工程(2)での結晶化が、80〜220℃の範囲の温度で混合物の加熱を必要とするように、特に制限が適用されない。しかしながら、本発明の方法によれば、工程(2)での結晶化は、100〜200℃、より好ましくは110〜190℃の範囲に含まれる温度で混合物の加熱を必要とすることが好ましい。本発明によれば、工程(2)での結晶化は、120〜180℃の範囲に含まれる温度で混合物の加熱を必要とすることが特に好ましい。
【0027】
工程(2)での結晶化が行われる圧力に関して、同様に、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料が工程(2)で得られるという条件で、特に制限が適用されない。したがって、例えば、大気圧下で、例えばオープンシステムで行われてもよく、又は大気圧より高い圧力で、特に例えば工程(2)での結晶化が混合物の加熱を必要とする際、工程(2)での結晶化は行われてもよい。したがって、工程(2)での結晶化は、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料、例えばYゼオライトを得るために、オープンシステムで行われてもよく、又は圧力を人工的に高める(この圧力下で結晶化が行われる)ことにより、及び/又は工程(2)で結晶化される混合物において圧力を増大することにより、及び/又は混合物の化学反応及び/又は物理的加熱により大気圧より高い圧力で結晶化されてもよい。したがって、本発明の方法によれば、工程(2)において、混合物は自生圧力(autogenous pressure)下で結晶化されることが好ましい。この効果について、工程(2)での結晶化は、好ましくは耐圧容器内で、より好ましくはオートクレーブ中で行われる。
【0028】
本発明の方法の工程(2)での結晶化の持続時間に関して、同様に、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料が得られるという条件で、特に制限が適用されない。例えば、工程(2)での結晶化が混合物の加熱を必要とする際、前記加熱は、0.1〜50日の範囲の期間行われてもよく、ここで、好ましくは、混合物は、0.3〜30日、より好ましくは0.6〜13日、より好ましくは0.8〜10日、より好ましくは1〜7日、より好ましくは1.5〜5日、より好ましくは2〜4.5日の範囲に含まれる期間加熱される。本発明の方法によれば、工程(2)での加熱は、2.5〜3.5日の範囲に含まれる期間行われることが特に好ましい。
【0029】
工程(1)で用意される混合物が工程(2)での結晶化に用意される状態に関して、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料が得られるという条件で、任意の等級の混合が原則として、この効果に使用されてもよいように、特に制限が適用されない。しかしながら、本発明の方法によれば、1種以上のYO源と、1種以上のフッ化物含有の化合物と、1種以上の構造指向剤と、任意の種結晶と、任意の1種以上のX源と、任意のZ源との混合に加えて、工程(2)の結晶化の前に、混合物はさらに均質化される。本発明の方法によれば、前記好ましい均質化は、工程(2)の結晶化の前にさらなる混合工程により達成されてもよく、ここで、好ましくは、前記さらなる混合は、工程(1)で用意される混合物を粉砕及び/又は製粉することを含み、より好ましくは、工程(2)の結晶化の前に、工程(1)で用意される混合物は、それらの製粉することにより均質化される。
【0030】
本発明の方法の工程(1)で用意される混合物にさらに用意されてもよい成分に関して、前記方法は、工程(1)による混合物を用意する工程及び工程(2)により工程(1)で得られた混合物を結晶化する工程にさらに制限されてないが、工程(1)での混合物の用意の前に、及び/又は、工程(2)でのその結晶化の前に、工程(1)において混合物の前述した均質化を得たように、工程(1)での混合物の用意と工程(2)でのその結晶化との間に行われるさらなる工程、また、工程(2)においてその骨格構造中にYOを含むゼオライト材料の結晶化の後に1つ以上の工程をさらに含んでもよい。したがって、本発明の方法によれば、工程(2)で得られた、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料は、工程(2)で得られたYOを含むゼオライト材料を焼成する工程(3)にさらに付することが好ましい。
【0031】
したがって、本出願に定義されるような特定の及び好ましい実施態様のいずれか1つによる本発明の方法は、好ましくは、
(3)工程(2)で得られたYOを含むゼオライト材料を焼成する工程、
をさらに含む。
【0032】
好ましい焼成を行う温度に関して、焼成が、例えば300〜900℃の範囲の温度で行われるように、特に制限が適用されない。しかしながら、本発明の方法によれば、工程(3)において、工程(2)で得られたYOを含むゼオライト材料の焼成は、400〜700℃の範囲、より好ましくは450〜650℃の範囲、より好ましくは500〜600℃の範囲に含まれる温度で行われることが好ましい。
【0033】
その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料の製造方法との関連に加えて、本発明は、さらに、前記材料が本出願に記載されるような本発明の方法の特定の及び好ましい実施態様のいずれかにより得られるように、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料に関する。さらに、本発明は、また、ここで記載されるような本発明の方法の特定の及び好ましい実施態様のいずれかにより、得られる、換言すれば、得られうる、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料にも関する。特に、本発明は、それが実際に製造又は得られた方法と関係なく、本発明の方法により得られうるその骨格構造中にYOを含むゼオライト材料が、前記方法により直接に得られた材料に制限しないように、前記材料が本発明の方法により得られるように、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料に関する。
【0034】
前述したゼオライト材料に加えて、本発明は、さらに、その骨格構造中にSiOを含むゼオライト材料に関し、ここで、この合成したままのゼオライト材料の29Si MAS NMRにおいて、ピーク、好ましくは(Q3信号に関連する)デコンボリューションピーク(deconvoluted peaks)の総積分値と、ピーク、好ましくは(Q4信号に関連する)デコンボリューションピークの総積分値との比は、0:100〜20:80の範囲である。
【0035】
本発明によれば、ピーク、好ましくはこの合成したままのゼオライト材料のQ3及びQ4信号に関連するデコンボリューションピークの総積分値の比が前述での定義を満たすという条件で、29Si MAS NMRスペクトルを有するその骨格構造中にSiOを含む本発明のゼオライト材料が得られる方法に関して、特に制限が適用されない。しかしながら、本発明によれば、その骨格構造中にSiOを含むゼオライト材料は、本発明の方法の特定の及び好ましい実施態様のいずれかにより得られうる及び/又は得られることが好ましく、ここで、4価元素YがSiを含み、さらに好ましくは、4価元素がSiを表す。
【0036】
その骨格構造中にSiOを含む、この合成したままのゼオライト材料の29Si MAS NMRに関して、Q3信号とQ4信号との総積分値の比が0:100〜20:80の範囲に含まれるという条件で、ピーク、好ましくはQ3及びQ4信号に関連するデコンボリューションピークの総積分値の比に対して、特に制限が適用されない。しかしながら、本発明によれば、Q3信号に関連するピーク、好ましくはデコンボリューションピークの総積分値と、Q4信号に関連するピーク、好ましくはデコンボリューションピークの総積分値との比は、2:98〜18:82、より好ましくは4:96〜17:83、より好ましくは6:94〜16:84、より好ましくは8:92〜15:85、より好ましくは10:90〜14:86の範囲に含まれることが好ましい。しかしながら、本発明によれば、この合成したままのゼオライト材料の29Si MAS NMRにおいて、Q3信号に関連するピーク、好ましくはデコンボリューションピークの総積分値と、Q4信号に関連するピーク、好ましくはデコンボリューションピークの総積分値との比は、11:89〜13:87の範囲であることが特に好ましい。
【0037】
本出願に使用される「この合成したままの」という用語に関して、前記用語は、出願に定義されるような特定の及び好ましい実施態様のいずれかによるゼオライト材料が、その合成の後に、任意のタイプの後処理手順に付しなかったことを指す。特に、前記用語は、その合成の直後のゼオライト材料の状態を指し、ここで、それは、例えば反応溶液からそれを分離するためにゼオライト材料を濾過することにより(その合成に実際に使用される方法、及び任意に好ましくは蒸留水で洗浄するさらなる工程に適用できる場合)、反応混合物からそれを単離する手順に最大限に付した。本発明によれば、「この合成したままの」という用語は、その合成の後にゼオライト材料が、標準室温及び大気圧(SATP)に対して高温及び高圧(換言すれば、25℃を超え、100kPaの絶対圧を超え)で処理に付されず、ゼオライト材料が、(その骨格構造の化学的及び/又は物理的変換をもたらす)1種以上の物質又は物質の混合物と接触されず、より好ましくは、その製造を完了した後に蒸留水以外の1種以上の物質と接触されなかったことを指すことが好ましい。本発明によれば、「この合成したままの」という用語は、その合成の直後のゼオライト材料を示すことが特に好ましく、ここで、それらの任意の単離及び任意の精製の後に、それは、それらの29Si MAS NMRスペクトルにおいて、特に本発明の特定の及び好ましい実施態様のいずれかより定義されたQ3及びQ4信号に関連するピークに、特にそれらのppm値及び相対強度に対して変化をもたらす処理手順に付されていない
【0038】
29Si MAS NMR及びそのスペクトルのデコンボリューション(deconvolution)の特定の測定に関して、29Si MAS NMRは、Q4信号に関連するピーク、好ましくはデコンボリューションピーク、及びQ3信号に関連する最終的なピーク、好ましくはデコンボリューションピークの検出を可能にするという条件で、特に制限が適用されない。本発明によれば、デコンボリューションはPeakFitソフトウェア(バージョン4.11,Systat Software Inc.,San Jose,CA)を用いて行われることが好ましい。しかしながら、本発明によれば、29Si MAS NMR及びそのスペクトルのデコンボリューションの測定は、本出願の実験部分に記載される手順に従って行われることが好ましい。
【0039】
29Si MAS NMRスペクトルで特定したQ4及び最終的なQ3信号からのデコンボリューションピークの強度に関して、個々のQ3及びQ4信号の総積分値を計算するデコンボリューションピークの最小強度に対して、特に制限が適用されない。しかしながら、本発明によれば、デコンボリューションの後の積分値は、少なくとも1%の相対強度を示すQ4及びQ3信号からのデコンボリューションピークの総強度に基づいて1%以上の相対強度を示すQ4及び最終的なQ3信号からのデコンボリューションピークに関することが好ましく、ここで、より好ましくは、デコンボリューションの後の積分値は、少なくとも2%の相対強度を示すQ4及びQ3信号からのデコンボリューションピークの総強度に基づいて2%以上の相対強度を示す、より好ましくは少なくとも3%の相対強度を示すQ4及びQ3信号からのデコンボリューションピークの総強度に基づいて3%以上の相対強度を示す、より好ましくは少なくとも4%の相対強度を示すQ4及びQ3信号からのデコンボリューションピークの総強度に基づいて4%以上の相対強度を示すQ4及び最終的なQ3信号からのデコンボリューションピークに関する。しかしながら、本発明によれば、デコンボリューションの後の積分値は、少なくとも5%の相対強度を示すQ4及びQ3信号からのデコンボリューションピークの総強度に基づいて5%以上の相対強度を示すQ4及び最終的なQ3信号からのデコンボリューションピークに関することが特に好ましい。
【0040】
その骨格構造中にSiOを含み、この合成したままのゼオライト材料の29Si MAS NMRにおけるQ4及び最終的なQ3信号の最大のppm値に関して、個々の信号が、Q4及び最終的なQ3信号、換言すれば、それぞれの酸素橋によりそれに直接隣接する4つのシリコン原子を有するシリコン原子(Q4シリカ種[Si(SiO)])、及びそれぞれの酸素橋によりそれに直接隣接するシリコン原子の3つのみを有するシリコン原子(Q3シリカ種[Si(SiO)(OR)]、式中、RがSiでなく、Rが好ましくはHである)からの信号に配属されるという条件で、特に制限が適用されない。
しかしながら、本発明によれば、29Si MAS NMRスペクトルでのピーク、好ましくはQ3信号に配属されるそこのデコンボリューションピークは、−95〜−108.75ppmの範囲にある29Si MAS NMRスペクトルのピークを指し、ピーク、好ましくはQ4信号に関連するデコンボリューションピークは、−108.76〜−125ppmの範囲にある29Si MAS NMRスペクトルのピークを指すことが好ましい。さらに、本発明によれば、ピーク、好ましくはQ3信号に関連するデコンボリューションピークは、−98〜−108.7ppmの範囲にある29Si MAS NMRスペクトルのピークを指し、ピーク、好ましくはQ4信号に関連するデコンボリューションピークは、−108.8〜−122ppmの範囲にあるピークを指すことが好ましく、より好ましくは、ここで、Q3信号に関連するピークは、−100〜−108.5ppmの範囲にあるピークを指し、Q4信号に関連するピークは、−109〜−120ppmの範囲にあるピークを指し、より好ましくは、それぞれ、Q3信号に関連するピークは、−101〜−108ppmの範囲にあり、Q4信号に関連するピークは、−109.5〜−119ppmの範囲にある。本発明によれば、ピーク、好ましくはQ3信号に関連するデコンボリューションピークは、−101.5〜−107.5ppmの範囲にある29Si MAS NMRスペクトルのピークを指し、ピーク、好ましくはQ4信号に関連するデコンボリューションピークは、−110〜−118ppmの範囲にある29Si MAS NMRスペクトルのピークを指すことが特に好ましい。
【0041】
本発明によれば、その骨格構造中にSiOを含み、この合成したままのゼオライト材料中に含まれてもよいさらなる成分に関して、特にその骨格構造中に含まれてもよいSi以外のさらなる成分に関して、特に制限が適用されない。したがって、本発明によれば、この合成したままのゼオライト材料の骨格構造は、X(Xは、3価元素を表す)をさらに含むことが好ましい。前記好ましい実施態様によれば、その骨格構造中にさらに含まれてもよい3価元素に対して、Siに加えて任意の好適な3価元素又は3価元素の組み合わせがそこに存在してもよいように、特に制限が適用されない。しかしながら、3価元素Xは、Al、B、In、Ga、Fe及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択されることが好ましい。本発明によれば、この合成したままのゼオライト材料の骨格構造がXをさらに含む実施態様において、XはFe及び/又はBを含み、好ましくはBを含むことが特に好ましく、ここで、より好ましくはXはFe及び/又はBであり、好ましくはBである。
【0042】
本発明によれば、SiOを含み、この合成したままのゼオライト材料がそこで有してもよい特定の骨格構造に関して、該ゼオライト材料が、原則として任意の想到できる骨格構造を有するように、特に制限が適用されない。したがって、例えば、本発明のこの合成したままのゼオライト材料は、BEA、BEC、CHA、EUO、FAU、FER、HEU、ITH、ITW、LEV、MEL、MFI、MOR、MTN、MWW及びTON(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から選択される骨格構造を有してもよく、ここで、好ましくは、ゼオライト材料は、BEA、BEC、CHA、EUO、FAU、FER、ITH、ITW、LEV、MFI、MOR、MTN、MWW及びTON(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から、より好ましくはBEA、BEC、EUO、ITH、ITW、MFI、MTN及びTON(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から選択される骨格構造を有する。本発明によれば、この合成したままのゼオライト材料は、BEA、EUO、MFI、MTN及びTON(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から選択される骨格構造を有することが特に好ましい。しかしながら、本発明によれば、この合成したままのゼオライト材料は、BEC、ITH及びITH(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から選択される骨格構造を有することが代わりに特に好ましい。
【0043】
原則的には、本発明のゼオライト材料中に含まれるさらなる成分に対して、制限が適用されないが、本明細書で定義されるような本発明の特定の及び好ましい実施態様のいずれかによれば、その骨格構造中にSiOを含むゼオライト材料は、特定の量を超える特定の元素を含まないことが好ましい。したがって、例えば、その骨格構造中にSiOを含む本発明のゼオライト材料は、特定の量を超えるアルカリ金属、特にナトリウム及び/又はカリウムを含まないことが好ましい。より具体的には、本発明によれば、その骨格構造中にSiOを含む本発明のゼオライト材料は、その骨格構造中に含まれるSiOの100質量%に対して、5質量%以下のNa及び/又はK、好ましくは5質量%以下のNaを含むことが好ましく、ここで、より好ましくは、その骨格構造中にSiOを含むゼオライト材料は、その骨格構造中に含まれるSiOの100質量%に対して、3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下のNa及び/又はK、好ましくはNaを含む。しかしながら、本発明によれば、本発明のゼオライト材料は、その骨格構造中に含まれるSiOの100質量%に対して、0.001質量%以下のNa及び/又はK、好ましくはNaを含むことが特に好ましい。
【0044】
本発明によれば、その骨格構造中にSiOを含む本発明のゼオライト材料は、特定の量を超えるアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含まないことがさらに好ましい。特に、その骨格構造中にSiOを含むゼオライト材料は、その骨格構造中に含まれるSiOの100質量%に対して、5質量%以下のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含むことがさらに好ましく、ここで、より好ましくは、前記ゼオライト材料は、3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む。本発明によれば、その骨格構造中にSiOを含む本発明のゼオライト材料は、その骨格構造中に含まれるSiOの100質量%に対して、0.001質量%以下のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含むことが特に好ましい。
【0045】
その骨格構造中にSiOを含む本発明のゼオライト材料中のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、特にナトリウム及び/又はカリウムの量に関する好ましい制限に加えて、又はその代わりに、前記ゼオライト材料は、特定の量を超えないリン及び/又はアルミニウムを含ことが好ましい。特に、その骨格構造中にSiOを含むゼオライト材料は、その骨格構造中にSiOを含む本発明のゼオライト材料中に含まれるSiOの100質量%に対して、5質量%以下のP及び/又はAlを含むことがさらに好ましい。また、本発明の方法によれば、ゼオライト材料は、その骨格構造中に含まれるSiOの100質量%に対して、3質量%以下より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下のP及び/又はAlを含むことがさらに好ましい。本発明によれば、その骨格構造中にSiOを含むゼオライト材料は、その骨格構造中に含まれるSiOの100質量%に対して、0.001質量%以下のP及び/又はAlを含むことが特に好ましい。
【0046】
本発明によれば、ゼオライト材料が示す表面積に対して、特に制限が適用されない。したがって、例えば、本発明のゼオライト材料は、150〜800m/gの範囲のBET表面積を示してもよく、ここで、好ましくは、本出願に定義されるような特定の及び好ましい実施態様のいずれかによる本発明のゼオライト材料のBET表面積は、175〜700m/g、より好ましくは200〜650m/g、より好ましくは225〜625m/g、より好ましくは250〜600m/g、より好ましくは275〜575m/gの範囲にある。しかしながら、本発明によれば、ゼオライト材料は300〜550m/gの範囲のBET表面積を示すことが特に好ましい。
【0047】
しかしながら、本発明によれば、ゼオライト材料は、150〜600m/g、好ましくは175〜500m/g、より好ましくは200〜450m/g、より好ましくは225〜425m/g、より好ましくは250〜400m/g、より好ましくは275〜375m/g、より好ましくは300〜350m/gの範囲のBET表面積を有することが代わりに好ましい。
【0048】
さらに、本発明によれば、ゼオライト材料は、300〜800m/g、好ましくは350〜750m/g、より好ましくは400〜700m/g、より好ましくは425〜650m/g、より好ましくは450〜625m/g、より好ましくは475〜600m/g、より好ましくは500〜575m/g、より好ましくは525〜550m/gの範囲のBET表面積を有することが代わりに好ましい。
【0049】
本発明によれば、本発明のゼオライト材料のBET表面積の値を決定する方法に対して、原則として任意の好適な方法がこの効果に使用されてもよいように、特に制限が適用されない。しかしながら、本発明によれば、本出願に記載のBET表面積の値は、ISO 9277:2010測定標準に従って得られることが好ましい。
【0050】
最後に、本発明は、本出願に記載されるような本発明の方法の特定の及び好ましい実施態様のいずれかにより得られる及び/又は得られうるゼオライト材料の使用方法にも、また、本出願に記載されるような本発明の方法の特定の及び好ましい実施態様のいずれかによりその骨格構造中にSiOを含む本発明のゼオライト材料の使用方法にも関する。これに関して、前述した本発明の材料が使用される可能な利用に対して、原則として特に制限が適用されないが、本発明は、特に、分子ふるいとしての、吸着剤としての、イオン交換のための、触媒としての及び/又は触媒担体としてのそれらの使用方法に関する。
【0051】
本発明は、以下の実施態様を含み、ここで、これらは、ここで定義されるそれぞれの相互依存性により示されるような実施態様の特定の組み合わせを含む。
【0052】
1.その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料の製造方法であって、Yが4価元素を表し、前記方法が、以下の工程、
(1)1種以上のYO源、1種以上のフッ化物含有の化合物及び1種以上の構造指向剤を含む混合物を用意する工程と、
(2)その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料を得るために、工程(1)で得た混合物を結晶化させる工程と
を含み、
工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化された混合物が、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化された混合物中に含まれるYOの100質量%に対して、35質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、より好ましくは25質量%以下、より好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくはYOの100質量%に対して0.01質量%以下のHOを含む、方法。
【0053】
2.工程(2)で結晶化された前記ゼオライト材料が、BEA、BEC、CHA、EUO、FAU、FER、HEU、ITH、ITW、LEV、MEL、MFI、MOR、MTN、MWW及びTON(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から、好ましくはBEA、BEC、CHA、EUO、FAU、FER、ITH、ITW、LEV、MFI、MOR、MTN、MWW及びTON(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から、より好ましくはBEA、BEC、EUO、ITH、ITW、MFI、MTN及びTON(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から、より好ましくはBEC、ITH及びITW(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から、又はBEA、EUO、MFI、MTN及びTON(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から選択される骨格構造を有する、実施態様1に記載の方法。
【0054】
3.Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくはYがSiである、実施態様1又は2に記載の方法。
【0055】
4.前記1種以上のYO源が、シリカ、ケイ酸塩、ケイ酸及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、好ましくはシリカ、アルカリ金属ケイ酸塩、ケイ酸及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくはヒュームドシリカ、コロイドシリカ、反応性無定形固体シリカ、シリカゲル、発熱性シリカ、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくはヒュームドシリカ、シリカゲル、発熱性シリカ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくはヒュームドシリカ、シリカゲル、発熱性シリカ及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される1種以上の化合物を含み、
より好ましくは、前記1種以上のYO源が、ヒュームドシリカ及び/又は発熱性シリカ、好ましくはヒュームドシリカである、実施態様1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0056】
5.前記1種以上のフッ化物含有の化合物が、1種以上のフッ化物塩及び/又はフッ化水素、好ましくはフッ化水素及び/又は、フッ化アンモニウム、金属フッ化物、有機フッ化物塩及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはフッ化アンモニウム、アルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物、アルキルフッ化アンモニウム及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはフッ化アンモニウム、アルカリ金属フッ化物、モノ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、ジ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、トリ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、テトラ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはフッ化アンモニウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、モノ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、ジ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、トリ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、テトラ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはフッ化アンモニウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、ジ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、トリ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム、テトラ(C〜C)アルキルフッ化アンモニウム及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のフッ化物塩を含み、
より好ましくは、前記1種以上のフッ化物含有の化合物が、フッ化アンモニウム、フッ化水素、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のものを含み、
より好ましくは、1種以上のフッ化物含有の化合物が、フッ化アンモニウム及び/又はフッ化水素、好ましくはフッ化アンモニウムを含み、
より好ましくは、フッ化アンモニウムが、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物において、1種以上のフッ化物含有の化合物として使用される、実施態様1から4のいずれか一項に記載の方法。
【0057】
6.工程(1)で用意される前記1種以上の構造指向剤が1種以上の有機化合物を含み、
該1種以上の有機化合物が、好ましくはアルカン及びその誘導体、アミン、アンモニウム塩、並びにそれらの2種以上の混合物からなる群から、
より好ましくは、テトラアルキルアンモニウム塩、アルケニルトリアルキルアンモニウム塩、アリールトリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルジアリールアンモニウム塩、複素環アミン、複素環アンモニウム塩、アダマンチルアンモニウム塩、アルキレンジアンモニウム塩、N−アルキル−トリアルキレンアンモニウム塩、N,N’−ジアリール−トリアルキレンアンモニウム塩、アルキルアミン、シクロアルキルアンモニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、キヌクリジン及びその誘導体、キヌクリジニウム塩、ノルボルナン及びその誘導体、トリアルキレンジアミン、トリアルキルイミダゾリニウム塩、並びにそれらの2種以上の混合物からなる群から、
より好ましくは、テトラメチルアンモニウム塩、トリメチルエチルアンモニウム塩、ジメチルジエチルアンモニウム塩、メチルトリエチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルプロピルアンモニウム塩、ジエチルジプロピルアンモニウム塩、エチルトリプロピルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、トリメチルプロピルアンモニウム塩、ジメチルジプロピルアンモニウム塩、メチルトリプロピルアンモニウム塩、N−(2−プロペン−1−イル)トリ−n−プロピルアンモニウム塩、N−(1−プロペン−1−イル)トリ−n−プロピルアンモニウム塩、N−(1−プロペン−2−イル)トリ−n−プロピルアンモニウム塩、N,N,N−トリ(C〜C)アルキルベンジルアンモニウム塩、N,N,N−ジ(C〜C)アルキルジベンジルアンモニウム塩、(C〜C)複素環アミン、(C〜C)複素環アンモニウム塩、N,N,N−(C〜C)トリアルキル−アダマンチルアンモニウム塩、N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサ(C〜C)アルキル−(C〜C)アルキレンジアンモニウム塩、N,N’−ジ(C〜C)アルキル−トリ(C〜C)アルキレンアンモニウム塩、N,N’−ジアリール−トリ(C〜C)アルキレンジアンモニウム塩、トリ(C〜C)アルキルアミン、ジ(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキルアミン、(C〜C)アルキル(C〜C)ジシクロアルキルアミン、(C〜C)アルキレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(C〜C)アルキル(C〜C)アルキレンジアミン、N,N,N−トリ(C〜C)アルキル(C〜C)シルロアルキルアンモニウム塩、アゾニオ−ビシクロ(C〜C10)アルカン、キヌクリジノール及びその誘導体、N−(C〜C)アルキルキヌクリジニウム塩、アミノノルボルナン及びその誘導体、トリ(C〜C)アルキレンジアミン、トリ(C〜C)アルキルイミダゾリニウム塩、並びにそれらの2種以上の混合物からなる群から、
より好ましくは、テトラメチルアンモニウム塩、ジメチルジエチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ジエチルジプロピルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、ジメチルジプロピルアンモニウム塩、N−(2−プロペン−1−イル)トリ−n−プロピルアンモニウム塩、N−(1−プロペン−1−イル)トリ−n−プロピルアンモニウム塩、N,N,N−トリエチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N−エチルジメチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N−ジエチルメチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N−ジエチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N−トリメチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N−ジメチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N−ジメチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N−エチルメチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N−ジエチルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N−エチルプロピルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N−メチルプロピルジベンジルアンモニウム塩、N,N,N−ジプロピルジベンジルアンモニウム塩、(C〜C)複素環アミン、N,N−(C〜C)ジアルキル−イミダゾリニウム塩、N,N−ジ(C〜C)アルキルピペリジニウム塩、N,N,N−(C〜C)トリアルキル−アダマンチルアンモニウム塩、N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサ(C〜C)アルキル−(C〜C)アルキレンジアンモニウム塩、N,N’−ジ(C〜C)アルキル−トリ(C〜C)アルキレンアンモニウム塩、N,N’−ジベンジル−トリ(C〜C)アルキレンジアンモニウム塩、(C〜C)シクロアルキルアミン、トリ(C〜C)アルキルアミン、ジ(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキルアミン、(C〜C)アルキル(C〜C)ジシクロアルキルアミン、(C〜C)アルキレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(C〜C)アルキル(C〜C)アルキレンジアミン、N,N,N−トリ(C〜C)アルキル(C〜C)ジシクロアルキルアンモニウム塩、アゾニオ−ビシクロ(C〜C)アルカン、3−キヌクリジノール及びその誘導体、N−(C〜C)アルキルキヌクリジニウム塩、アミノノルボルナン及びその誘導体、トリ(C〜C)アルキレンジアミン、1,2,3−トリ(C〜C)アルキルイミダゾリニウム塩、並びにそれらの2種以上の混合物からなる群から、
より好ましくは、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ジエチルジメチルアンモニウム塩、N−(2−プロペン−1−イル)トリ−n−プロピルアンモニウム塩、N,N,N−トリメチルベンジルアンモニウム塩、N,N,N−ジベンジルジメチルアンモニウム塩、ヘキサメチレンイミン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、N,N−ジメチル−3,3−ジメチルピペリジニウム塩、N,N−メチルエチル−3,3−ジメチルピペリジニウム塩、N,N−ジメチル−2−メチルピペリジニウム塩、N,N,N−トリメチル−1−アダマンチルアンモニウム塩、N,N,N−トリメチル−2−アダマンチルアンモニウム塩、ヘキサメトニウム塩、1−メチル−1−アゾニア−4−アザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4−ジベンジル−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、シクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N−トリメチルシクロヘキシルアンモニウム塩、1,3,3,6,6−ペンタメチル−6−アゾニオ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、N−アルキル−3−キヌクリジノール、N−メチルキヌクリジニウム塩、N,N,N−トリアルキル−エキソアミノノルボルナン、トリエチレンジアミン及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、選択され、
より好ましくは、工程(1)で用意される1種以上の構造指向剤が、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ヘキサメトニウム塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、トリエチレンジアミン、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され1種以上の有機化合物を含む、実施態様1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0058】
7.互いに独立して、前記アンモニウム塩のアニオンが、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、シアン化物及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくは水酸化物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、二水素硫酸塩、シアン化物及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくは水酸化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくは塩化物、臭化物、ヨウ化物及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、記アンモニウム塩のアニオンが、ヨウ化物及び/又は臭化物であり、好ましくは臭化物である、実施態様6に記載の方法。
【0059】
8.工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される前記混合物において、前記1種以上の構造指向剤:Yのモル比は、0.01〜2、好ましくは0.03〜1、より好ましくは0.05〜0.5、より好ましくは0.07〜0.3、より好ましくは0.1〜0.25、さらにより好ましくは0.15〜0.2の範囲である、実施態様1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0060】
9.、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される混合物において、フッ化物:YOのモル比が、0.01〜5、好ましくは0.05〜3、より好ましくは0.1〜2、より好ましくは0.15〜1.5、より好ましくは0.25〜1.25、より好ましくは0.5〜1.0の範囲にある、実施態様1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0061】
10.種結晶が、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される前記混合物に含まれるYOの100質量%に対して、0.1〜20質量%、好ましくは0.3〜15質量%、より好ましくは0.5〜12質量%、より好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、さらにより好ましくはYOの100質量%に対して5〜7質量%の範囲の量で工程(1)においてさらに用意される、実施態様1から9のいずれか一項に記載の方法。
【0062】
11.前記種結晶が1種以上のゼオライト材料を含み、
前記1種以上のゼオライト材料が、好ましくはBEA、CHA、EUO、FAU、FER、HEU、ITH、LEV、MEL、MFI、MOR、MTN、MWW及びTON(それらの2種以上の混合構造も含む)からなる群から、より好ましくはBEA、CHA、EUO、FAU、FER、ITH、LEV、MFI、MOR、MTN、MWW及びTON(それらの2種以上の混合構造も含む)からなる群から、より好ましくはBEA、EUO、ITH(それらの2種又は3種の混合構造も含む)からなる群から選択される骨格構造を有し、
より好ましくは、前記種結晶中に含まれる前記1種以上のゼオライト材料が、ITH、又はBEA及び/又はEUO骨格構造を有する、実施態様10に記載の方法。
【0063】
12.前記種結晶が、実施態様1〜12及び14〜23のいずれか一項により得られる、YOを含む前記ゼオライト材料の骨格構造を有する1種以上のゼオライト材料を含み、好ましくは、前記種結晶のゼオライト材料が、好ましくは実施態様1〜12及び14〜23のいずれか一項により得られうる及び/又は得られる、実施態様10に記載の方法。
【0064】
13.1種以上のX源が工程(1)においてさらに用意され、Xが3価元素を表し、Xが、好ましくはAl、B、In、Ga、Fe及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくはAl、B、Fe及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、Xが、好ましくはFe及び/又はBであり、より好ましくはBである、実施態様1から12のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
14.1種以上のZが工程(1)においてさらに用意され、Zが5価元素を表し、Zが、好ましくはP、As、Sb、Bi、V、Nb、Ta及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくはP、As、V及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、Zが、P及び/又はAs、好ましくはPである、実施態様1から13のいずれか一項に記載の方法。
【0066】
15.工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される前記混合物が、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される前記混合物中に含まれるYOの100質量%に対して、5質量%以下のNa及び/又はK、好ましくはNa、好ましくはYOの100質量%に対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下のNa及び/又はK、好ましくはNaを含む、実施態様1から14のいずれか一項に記載の方法。
【0067】
16.工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される前記混合物が、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される前記混合物中に含まれるYOの100質量%に対して、5質量%以下のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、好ましくはYOの100質量%に対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む、実施態様15に記載の方法。
【0068】
17.工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される前記混合物が、工程(1)で用意されて工程(2)で結晶化される前記混合物中に含まれるYOの100質量%に対して、5質量%以下のP及び/又はAl、好ましくはYOの100質量%に対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下のP及び/又はAlを含む、実施態様1から16のいずれか一項に記載の方法。
【0069】
18.工程(2)での結晶化が、好ましくは80〜220℃、好ましくは100〜200℃、より好ましくは110〜190℃、さらにより好ましくは120〜180℃の範囲の温度で混合物の加熱を必要とする、実施態様1から17のいずれか一項に記載の方法。
【0070】
19.工程(2)において、前記混合物が自生圧力下で結晶化され、好ましくは、工程(2)での結晶化が耐圧容器内で、好ましくはオートクレーブ中で行われる、実施態様18に記載の方法。
【0071】
20.工程(2)での結晶化が、0.1〜50日、好ましくは0.3〜30日、より好ましくは0.6〜13日、より好ましくは0.8〜10日、より好ましくは1〜7日、より好ましくは1.5〜5日、より好ましくは2〜4.5日、さらにより好ましくは2.5〜3.5日の範囲の期間の混合物の加熱を必要とする、実施態様18又は19に記載の方法。
【0072】
21.工程(1)において前記混合物を用意した後、工程(2)において結晶化の前に、前記混合物が、好ましくは混合することにより、より好ましくは粉砕及び/又は製粉することにより、より好ましくは工程(1)で用意された前記混合物を製粉することにより、均質化される、実施態様1から20のいずれか一項に記載の方法。
【0073】
22.(3)工程(2)で得られたYOを含むゼオライト材料を焼成する工程、
を含む、実施態様1から21のいずれか一項に記載の方法。
【0074】
23.前記焼成が、300〜900℃、好ましくは400〜700℃、より好ましくは450〜650℃、より好ましくは500〜600℃の範囲の温度で行われる、実施態様22に記載の方法。
【0075】
24.実施態様1から23のいずれか一項に記載の方法により得られうる及び/又は得られる、その骨格構造中にYOを含むゼオライト材料。
【0076】
25.好ましくは、実施態様1から23のいずれか一項に記載の方法により得られうる及び/又は得られる、その骨格構造中にSiOを含むゼオライト材料であって、
この合成したままのゼオライト材料の29Si MAS NMRスペクトルにおいて、Q3信号に関連するピーク、好ましくはデコンボリューションピークの総積分値と、Q4信号に関連するピーク、好ましくはデコンボリューションピークの総積分値との比が、0:100〜20:80、好ましくは2:98〜18:82、より好ましくは4:96〜17:83、より好ましくは6:94〜16:84、より好ましくは8:92〜15:85、より好ましくは10:90〜14:86、より好ましくは11:89〜13:87の範囲である、ゼオライト材料。
【0077】
26.29Si MAS NMRスペクトルにおいて、Q3信号に関連するピーク、好ましくはデコンボリューションピークが、−95〜−108.75ppm、好ましくは−98〜−108.7ppm、より好ましくは−100〜−108.5ppm、より好ましくは−101〜−108ppm、より好ましくは−101.5〜−107.5ppmの範囲にあるピークを指し、
29Si MAS NMRスペクトルにおいて、Q4信号に関連するピーク、好ましくはデコンボリューションピークが、−108.76〜−125ppm、好ましくは−108.8〜−122ppm、より好ましくは−109〜−120ppm、より好ましくは−109.5〜−119ppm、より好ましくは−110〜−118ppmの範囲にあるピークを指す、実施態様25に記載のゼオライト材料。
【0078】
27.前記ゼオライト材料の骨格構造がXをさらに含み、Xが3価元素を表し、Xが、好ましくはAl、B、In、Ga、Fe及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、好ましくはXが、Fe及び/又はBであり、好ましくはBである、実施態様25に記載のゼオライト材料。
【0079】
28.前記ゼオライト材料が、BEA、BEC、CHA、EUO、FAU、FER、HEU、ITH、ITW、LEV、MEL、MFI、MOR、MTN、MWW及びTON(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から、好ましくはBEA、BEC、CHA、EUO、FAU、FER、ITH、ITW、LEV、MFI、MOR、MTN、MWW及びTON(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から、より好ましくはBEA、BEC、EUO、ITH、ITW、MFI、MTN及びTON(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から、より好ましくはBEC、ITH及びIT(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から、又はBEA、EUO、MFI、MTN及びTON(これらの2種以上の混合された構造も含む)からなる群から選択される骨格構造を有する、実施態様25又は26に記載のゼオライト材料。
【0080】
29.前記ゼオライト材料が、その骨格構造中に含まれるSiOの100質量%に対して、5質量%以下のNa及び/又はK、好ましくはNa、好ましくはSiOの100質量%に対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下のNa及び/又はK、好ましくはNaを含む、実施態様25から27のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【0081】
30.前記ゼオライト材料が、その骨格構造中に含まれるSiOの100質量%に対して、5質量%以下のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属、好ましくはSiOの100質量%に対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含む、実施態様28に記載のオライト材料。
【0082】
31.前記ゼオライト材料が、その骨格構造中に含まれるSiOの100質量%に対して、5質量%以下のP及び/又はAl、好ましくはSiOの100質量%に対して、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下のP及び/又はAlを含む、実施態様25から30のいずれか一項に記載のオライト材料。
【0083】
32.前記ゼオライト材料が、150〜800m/g、好ましくは175〜700m/g、より好ましくは200〜650m/g、より好ましくは225〜625m/g、より好ましくは250〜600m/g、より好ましくは275〜575m/g、より好ましくは300〜550m/gの範囲の、ISO 9277:2010に従って決定されたBET表面積を有する、実施態様25から31のいずれか一項に記載のオライト材料。
【0084】
33.実施態様24から32のいずれか一項に記載のオライト材料を、分子ふるいとして、吸着剤として、イオン交換のために、触媒として及び/又は触媒担体として使用する方法。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1図1は、実施例1により得られた結晶化材料のX線回折パターン(Cu K アルファ−1放射線を用いて測定した)を示す。この図において、「°」で表示する角度2シータを横座標に沿って示し、強度を縦座標に沿ってプロットする。
図2図2は、図の下部にスペクトル「A」として、実施例1からの試料から得られる(デコンボリューション)29Si CP−MAS NMRを示す。比較するために、結晶水の存在下でシリカライト−1の合成から得られる試料の(デコンボリューション)29Si CP−MAS NMRを、図の上部にスペクトル「B」として示す。この図において、ppmで表示する値を横座標に沿ってプロットする。
図3図3は、実施例2により得られる結晶化材料のX線回折パターン(Cu K アルファ−1放射線を用いて測定した)を示す。この図において、「°」で表示する角度2シータを横座標に沿って示し、任意の単位で表示する強度を縦座標に沿ってプロットする。
図4図4は、実施例3により得られる結晶化材料のX線回折パターン(Cu K アルファ−1放射線を用いて測定した)を示す。この図において、「°」で表示する角度2シータを横座標に沿って示し、任意の単位で表示する強度を縦座標に沿ってプロットする。
図5図5は、実施例4により得られる結晶化材料のX線回折パターン(Cu K アルファ−1放射線を用いて測定した)を示す。この図において、「°」で表示する角度2シータを横座標に沿って示し、任意の単位で表示する強度を縦座標に沿ってプロットする。
図6図6は、実施例5により得られる結晶化材料のX線回折パターン(Cu K アルファ−1放射線を用いて測定した)を示す。この図において、「°」で表示する角度2シータを横座標に沿って示し、任意の単位で表示する強度を縦座標に沿ってプロットする。
図7図7は、実施例8により得られる結晶化材料のX線回折パターン(Cu K アルファ−1放射線を用いて測定した)を示す。この図において、「°」で表示する角度2シータを横座標に沿って示し、任意の単位で表示する強度を縦座標に沿ってプロットする。
図8図8は、実施例8からの試料から得られる29Si MAS NMRを示し、ここで、ppmで表示する値を横座標に沿ってプロットする。
図9図9は、実施例8からの試料から得られる(デコンボリューション)29Si CP−MAS NMRを示し、ここで、ppmで表示する値を横座標に沿ってプロットする。
図10図10は、実施例9により得られる結晶化材料のX線回折パターン(Cu K アルファ−1放射線を用いて測定した)を示す。黒い実線で表示する回折パターンは、この合成したままの結晶材料から得られたものであったが、グレイの実線で表示する回折パターンは、焼成した生成物から得られたものであった。この図において、「°」で表示する角度2シータを横座標に沿って示し、任意の単位で表示する強度を縦座標に沿ってプロットする。
図11図11は、実施例9からの試料から得られる29Si MAS NMRを示し、ここで、ppmで表示する値を横座標に沿ってプロットする。
図12図12は、実施例10により得られる結晶化材料のX線回折パターン(Cu K アルファ−1放射線を用いて測定した)を示す。この図において、「°」で表示する角度2シータを横座標に沿って示し、任意の単位で表示する強度を縦座標に沿ってプロットする。
【実施例】
【0086】
Cu K アルファ−1放射線(λ=1.5406オングストローム)を用いるRigaku Ultimate VIのX線回折計を使用して、粉末にした材料についてX線回折実験を行った。
【0087】
500 MHz Hのラーマー周波数を有するBruker AVANCE 500の分光計を用いて、(H−29Si)交差分極を有する29Si MAS固体NMR実験を行った。試料を、4mmのZrOローター中に詰め、室温で10kHzのマジック角回転(Magic Angle Spinning)の下で測定した。4μsのパルス幅、スペクトルにおいて−95.6ppmに対応する29Si搬送周波数、10sのスキャンリサイクル遅延(scan recycle delay)を有する29Si−(π/2)パルス励起を用いて、29Siスペクトルを得た。信号を、27.78kHzの高出力プロトンデカップリングの下で10ms取得し、最大17時間まで蓄積した。30Hzの指数関数的線拡大、手動の位相調整、及び全スペクトル幅にわたって手動のベースライン補正を有するBruker Topspinを用いてスペクトルを処理した。PeakFitソフトウェア(バージョン4.11,Systat Software Inc.,San Jose,CA)を用いて、スペクトルのデコンボリューションを達成し、ここで、3.0%の許容誤差(Tol%)でベースライン設定「Linear,D2」を使用し、スムージング(Sm%)を1.00%の値に設定し、「Spectroscopy」及び「Lorentz Area」のピークタイプ設定を使用し、「Vary Widths」オプションを用いてオートスキャンを1.50%の振幅(Amp%)に設定した。シリカの共振を−91.5ppmに設定することにより、外部の二次標準としてのカオリナイトでスペクトルを対比した。
【0088】
実施例1:シリカライト−1の固体熱合成
1.6gの固体シリカゲル(Qingdao Haiyang Chemical Reagent有限会社)、0.15gのNHF(98%、Aladdin Chemistry有限会社)、及び0.25gの臭化テトラプロピルアンモニウム(98%、Aladdin Chemistry有限会社)を、1つずつモルタル中に添加し、一緒に混合した。5分間粉砕した後、粉末混合物をオートクレーブに移して密封した。180℃で15時間加熱した後、試料を完全に結晶化した。
【0089】
図1に、MFI−タイプの骨格構造を示す、実施例1で得たゼオライト生成物のXRDパターンを示す。
【0090】
さらに、結晶化生成物のデコンボリューション29Si CP−MAS NMRスペクトルを、図2のスペクトル「A」に示す。より具体的には、デコンボリューションは、−117.3ppm(16%)、−115.4ppm(19%)、−113.3ppm(20%)、−112.5ppm(10%)及び−110.4ppm(23%)でのQ4信号(ここで、個々のピークの積分値を括弧内に示す)、並びに、−107.1ppm(12%)でのQ3信号に関連するピークを示した。
【0091】
比較するために、反応混合物中に含まれる結晶水の存在下で製造したシリカライト−1から得たデコンボリューション29Si CP−MAS NMRスペクトルを、図2の比較用スペクトル「B」示し、ここで、デコンボリューションは、−116.1ppm(23%)及び−112.8ppm(56%)でのQ4信号、並びに、−106.0ppm(9%)及び−101.7ppm(12%)での2つのQ3信号に関連するピークを示した。
【0092】
したがって、図229Si NMRスペクトルの比較から得られるように、Q3信号に関連するピークの総積分値と、Q4信号に関連するピークの総積分値との比が21:79を示す比較用スペクトル「B」で、かなりより多い量のQ3信号を観察した。それと対照的に、本発明の材料の29Si NMRスペクトルは、Q3信号に関連するピークの総積分値と、Q4信号に関連するピークの総積分値との比が12:88しか示していない。したがって、反応混合物中に水がない本発明の方法により得たシリカライト−1は、したがって29Si NMRスペクトルにおいてQ3信号として検出することができる4つの隣接するSiO−四面体と結合していないSiO−四面体の割合が原因で、骨格構造において明らかに構造欠陥が少ないことを示す。
【0093】
実施例2:ゼオライトベータの固体熱合成
1.6gの固体シリカゲル(Qingdao Haiyang Chemical Reagent有限会社)、1.25gのNHF(98%、Aladdin Chemistry有限会社)、1.75gの臭化テトラエチルアンモニウム(98%、Aladdin Chemistry有限会社)及び0.16gのゼオライトベータ種(Si/Alのモル比=12.5)を、1つずつモルタル中に添加し、一緒に混合した。5分間粉砕した後、粉末混合物をオートクレーブに移して密封した。140℃で5日間加熱した後、試料を完全に結晶化した。
【0094】
図3に、BEA−タイプの骨格構造を示す、実施例2で得たゼオライト生成物のXRDパターンを示す。
【0095】
実施例3:EU−1の固体熱合成
1.6gの固体シリカゲル(Qingdao Haiyang Chemical Reagent有限会社)、1.0gのNHF(98%、Aladdin Chemistry有限会社)、1.0gの臭化ヘキサメトニウム(J&K Scientific有限会社)及び0.1gのEU−1種(Si/Alのモル比=25)を、1つずつモルタル中に添加し、一緒に混合した。5分間粉砕した後、粉末混合物をオートクレーブに移して密封した。180℃で3日間加熱した後、試料を完全に結晶化した。
【0096】
図4に、EUO−タイプの骨格構造を示す、実施例3で得たゼオライト生成物のXRDパターンを示す。
【0097】
実施例4:ZSM−22の固体熱合成
1.6gの固体シリカゲル(Qingdao Haiyang Chemical Reagent有限会社)、1.0gのNHF(98%、Aladdin Chemistry有限会社)、及び0.51gの1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(98%、Shanghai Cheng Jie Chemical有限会社)を、1つずつモルタル中に添加し、一緒に混合した。5分間粉砕した後、粉末混合物をオートクレーブに移して密封した。180℃で3日間加熱した後、試料を完全に結晶化した。
【0098】
図5に、TON−タイプの骨格構造を示す、実施例4で得たゼオライト生成物のXRDパターンを示す。
【0099】
実施例5:ZSM−39の固体熱合成
1.6gの固体シリカゲル(Qingdao Haiyang Chemical Reagent有限会社)、1.0gのNHF(98%、Aladdin Chemistry有限会社)、及び0.8gのトリエチレンジアミン(98%、Aladdin Chemistry有限会社)を、1つずつモルタル中に添加し、一緒に混合した。5分間粉砕した後、粉末混合物をオートクレーブに移して密封した。180℃で3日間加熱した後、試料を完全に結晶化した。
【0100】
図6に、MTN−タイプの骨格構造を示す、実施例5で得たゼオライト生成物のXRDパターンを示す。
【0101】
実施例6:B−ZSM−5の固体熱合成
1.6gの固体シリカゲル(Qingdao Haiyang Chemical Reagent有限会社)、0.15gのNHF(98%、Aladdin Chemistry有限会社)、0.03gのB及び0.25gの臭化テトラプロピルアンモニウム(98%、Aladdin Chemistry有限会社)を、1つずつモルタル中に添加し、一緒に混合した。5分間粉砕した後、粉末混合物をオートクレーブに移して密封した。180℃で15時間加熱した後、試料を完全に結晶化した。生成物において、誘導結合プラズマ(ICP)による試料の分析は、31のシリコンのホウ素に対するモル比を示した。
【0102】
実施例7:Fe−ZSM−5の固体熱合成
1.6gの固体シリカゲル(Qingdao Haiyang Chemical Reagent有限会社)、0.3gのNHF(98%、Aladdin Chemistry有限会社)、0.07gのFeCl及び0.3gの臭化テトラプロピルアンモニウム(98%、Aladdin Chemistry有限会社)を、1つずつモルタル中に添加し、一緒に混合した。5分間粉砕した後、粉末混合物をオートクレーブに移して密封した。180℃で15時間加熱した後、試料を完全に結晶化した。生成物において、誘導結合プラズマ(ICP)による試料の分析は、80のシリコンの鉄に対するモル比を示した。
【0103】
実施例8:ITQ−13の固体熱合成
1.6gのSiO、1.0gのNHF、0.3gの臭化ヘキサメトニウム及び0.05gのITQ−13種を、1つずつモルタル中に添加し、一緒に混合した。5分間粉砕した後、粉末混合物をオートクレーブに移して密封した。180℃で18時間加熱した後、試料を完全に結晶化した。ISO 9277:2010に従って決定された生成物のBET表面積は、325m/gの値を示し、ここで、微細孔面積のt−プロットは、319m/gの値を示し、微細孔体積のt−プロットは、0.15cm/gの値を示した。
【0104】
図7で、ITH−タイプの骨格構造を示す実施例8で得たゼオライト生成物のXRDパターンを示す。
【0105】
さらに、結晶化生成物の29Si MAS NMRスペクトル及びデコンボリューション29Si CP−MAS NMRスペクトルを、それぞれ、図8及び9に示す。図8において、29Si MAS NMRスペクトルにおけるピークを、それぞれ、−107.3、−112.5及び−116.3ppmで見出す。図9において、29Si CP−MAS NMRスペクトルのデコンボリューションは、−108.8ppm(34.6%)、−113.6ppm(58.5%)、−117.9ppm(5.7%)及び−103.5ppm(1.2%)でのピークを示し、ここで、個々のピークの積分値を括弧内に示す。
【0106】
実施例9:ITQ−17の固体熱合成
1.6gのSiO、0.5gのNHF、及び1.1gのトリエチレンジアミンを、1つずつモルタル中に添加し、一緒に混合した。5分間粉砕した後、粉末混合物をオートクレーブに移して密封した。140℃で9日間加熱した後、試料を完全に結晶化した。ISO 9277:2010に従って決定された生成物のBET表面積は、541m/gの値を示し、ここで、微細孔面積のt−プロットは、508m/gの値を示し、微細孔体積のt−プロットは、0.24cm/gの値を示した。
【0107】
図10で、BEC−タイプの骨格構造を示す実施例8で得たゼオライト生成物のXRDパターンを示し、ここで、この合成したままの生成物から得たディフラクトグラムを黒い実線で示し、焼成した生成物から得たディフラクトグラムをグレイの実線で示す。
【0108】
さらに、結晶化生成物の29Si MAS NMRスペクトルを、図11で示す。
【0109】
実施例10:ITQ−12の固体熱合成
1.6gのSiO、1.5gのNHF、及び1.5gのヨウ化1,2,3−トリメチルイミダゾリウムを、1つずつモルタル中に添加し、一緒に混合した。5分間粉砕した後、粉末混合物をオートクレーブに移して密封した。180℃で3日間加熱した後、試料を完全に結晶化した。
【0110】
図12で、ITW−タイプの骨格構造を示す実施例10で得たゼオライト生成物のXRDパターンを示す。
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