【実施例】
【0108】
以降、実施例を示しながら本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されない。
【0109】
<実施例I−1>
本発明化合物(Ir−1)の合成
【0110】
ステップ1 化合物(A)の合成
【化9】
【0111】
2−ブロモ−5−メチルピリジン50.10g、2,6−ジフルオロ−3−ピリジンボロン酸55.70g、2M炭酸カリウム水溶液725mlおよびテトラヒドロフラン610mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)28.0g、を加え、アルゴン雰囲気下、65〜75℃で24時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、有機層を回収し、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、化合物(A)を収率81%で得た。
1H−NMRのデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz/CDCl
3)δ:8.65(q,1H),8.54(s,1H),7.75(d,1H),7.60(d,1H),6.96(dd,1H),2.40(s,3H).
【0112】
ステップ2 化合物(B)の合成
【化10】
【0113】
3塩化イリジウムn水和物6.67g、化合物(A)8.66g、DMF200ml、および純水40mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、800W)を45分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。これに純水を投入後、これをろ過し、純水で洗浄した。得られた固体をジクロロメタンに溶解させ、不溶物をろ過にて除去した後、ろ液にヘキサンを加え再結晶させ、化合物(B)を収率99%で得た。
【0114】
ステップ3 (Ir−1)の合成
【化11】
【0115】
化合物(B)2.46g、化合物(A)19.53gおよびエチレングリコール240mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、800W)を1時間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、反応混合物にジクロロメタンを投入後、10%炭酸カリウム水溶液を用いて洗浄した後、有機層を回収し溶媒を減圧留去した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとヘキサン)を用いて精製し、メリジオナル体の(Ir−1)を得た。これをジクロロメタン80mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、UVランプを用いて紫外光(主波長365nm)を8時間照射したころ、メリジオナル体は消失し、フェイシャル体へ光異性化した。反応溶液を減圧濃縮し得られた固体をジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、フェイシャル体の(Ir−1)を収率19.3%で得た。
1H−NMRのデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz/CDCl
3)δ:8.24(d,3H),7.67(d,3H),7.22(s,3H),6.16(t,3H),2.22(s,9H).
【0116】
<実施例I−2>
本発明化合物(Ir−5)の合成
【0117】
ステップ1 化合物(C)の合成
【化12】
【0118】
2,5−ジブロモピリジン25.25g、2,6−ジフルオロ−3−ピリジンボロン酸16.98g、2M炭酸カリウム水溶液240mlおよびテトラヒドロフラン200mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)8.13g、を加え、アルゴン雰囲気下、55〜75℃で29時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、有機層を回収し、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエンおよび酢酸エチル)を用いて精製し、化合物(C)を収率86%で得た。
1H−NMRのデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz/CDCl
3)δ:8.77(d,1H),8.69(q,1H),7.94(dd,1H),7.79(d,1H),6.99(dd,1H).
【0119】
ステップ2 化合物(D)の合成
【化13】
【0120】
化合物(C)4.50g、1−ペンチルボロン酸3.91g、リン酸三カリウム水溶液17.6g、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2´,6´−ジメトキシビフェニル0.83gおよびトルエン100mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.47g、を加え、アルゴン雰囲気下、125℃で18時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却後に、セライトろ過を行い、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、化合物(D)を収率25%で得た。
1H−NMRのデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz/CDCl
3)δ:8.66(q,1H),8.53(d,1H),7.77(dd,1H),7.61(dd,1H),6.96(dd,1H),2.66(t,2H),1.63−1.70(m,2H),1.33−1.37(m,4H),0.91(t,3H).
【0121】
ステップ3 (Ir−5)の合成
【化14】
【0122】
酢酸イリジウム0.53g、化合物(D)1.1gおよびジグリム50mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、150℃で24時間、さらに180℃にて24時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後、反応混合物にジクロロメタンを投入後、10%炭酸カリウム水溶液を用いて洗浄した後、有機層を回収し溶媒を減圧留去した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとメタノール)を用いて精製し、メリジオナル体の(Ir−5)を得た。これをジクロロメタン50mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、UVランプを用いて紫外光(主波長365nm)を8時間照射したころ、メリジオナル体は消失し、フェイシャル体へ光異性化した。反応溶液を減圧濃縮し得られた固体をジクロロメタンとメタノールと純水を用いて再結晶させ、フェイシャル体の(Ir−5)を収率9%で得た。
1H−NMRのデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz/CDCl
3)δ:8.26(d,3H),7.68(d,3H),7.17(s,3H),6.22(t,3H),2.43(s,6H),1.44(t,6H),1.21−1.25(m,12H),0.83(t,9H).
【0123】
<実施例I−3>
本発明化合物(Ir−7)の合成
【0124】
ステップ1 化合物(E)の合成
【化15】
【0125】
化合物(C)4.52g、イソブチルボロン酸3.44g、リン酸三カリウム水溶液18.0g、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2´,6´−ジメトキシビフェニル0.83gおよびトルエン100mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.48g、を加え、アルゴン雰囲気下、125℃で18時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却後に、セライトろ過を行い、溶媒を減圧留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、化合物(E)を収率 34%で得た。
1H−NMRのデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz/CDCl
3)δ:8.67(q,1H),8.50(d,1H),7.78(dd,1H),7.58(dd,1H),6.97(dd,1H),2.54(d,2H),1.87−1.97(m,1H),0.95(d,6H).
【0126】
ステップ2 化合物(F)の合成
【化16】
【0127】
3塩化イリジウムn水和物0.10g、化合物(E)0.14g、DMF10ml、および純水2mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、300W)を20分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、ジクロロメタンを投入後、10%炭酸カリウム水溶液を用いて洗浄した後、有機層を回収し溶媒を減圧留去し、化合物(F)を収率100%で得た。
【0128】
ステップ3 (Ir−7)の合成
【化17】
【0129】
化合物(F)0.19g、化合物(E)1.1gおよびジグリム16mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、180℃にて18時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却後に、セライトろ過を行い、溶媒を減圧留去し、メリジオナル体の(Ir−7)を得た。これをジクロロメタン50mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、UVランプを用いて紫外光(主波長365nm)を6時間照射したころ、メリジオナル体は消失し、フェイシャル体へ光異性化した。反応溶液を減圧濃縮し得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとメタノール)を用いて精製した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、フェイシャル体の(Ir−7)を収率53%で得た。
1H−NMRのデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz/CDCl
3)δ:8.26(d,3H),7.64(dd,3H),7.17(d,3H),6.22(t,3H),2.35(dd,3H),2.21(dd,3H),1.64−1.74(m,3H),0.78(t,18H).
【0130】
<実施例I−4>
本発明化合物(Ir−13)の合成
【化18】
【0131】
化合物(B)1.00g、2,4−ペンタンジオナトナトリウム0.23gおよび2−エトキシエタノール100mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、400W)を10分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、溶媒を減圧留去した。これにメタノール10ml,純水10mlを投入し懸濁させ、ろ過にて固体を回収した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、(Ir−13)を収率14%で得た。
1H−NMRのデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz/CDCl
3)δ:8.22(s,2H),8.16(d,2H),7.73(d,2H),5.61(s,2H),5.31(s,1H),2.46(s,6H),1.85(s,6H).
【0132】
<実施例I−5>
本発明化合物(Ir−19)の合成
【化19】
【0133】
化合物(F)0.297g、2,4−ペンタンジオナトナトリウム0.076gおよび2−エトキシエタノール20mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(300W)を10分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させた後、純水20mlを投入し懸濁させ、ろ過にて固体を回収した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させた。さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、(Ir−19)を収率38%で得た。
1H−NMRのデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz/(CD
3)
2SO)δ:8.17(s,2H),8.16(d,2H),8.00(d,2H),5.65(s,2H),5.33(s,1H),2.58−2.68(m,4H),1.84−1.91(m,2H),1.76(s,6H),0.88(d,6H),0.86(d,6H).
【0134】
<実施例I−6>
本発明化合物(Ir−25)の合成
【化20】
【0135】
化合物(B)2.42g、ピコリン酸ナトリウム0.83gおよび2−エトキシエタノール150mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、700W)を12分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させ、溶媒を減圧留去した。これに純水100mlを投入し懸濁させた後、ろ過にて固体を回収した。これをジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶させた。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとアセトン)を用いて精製し、(Ir−25)を収率59%で得た。
1H−NMRのデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz/CDCl
3)δ:8.56(s,1H),8.39(d,1H),8.21(d,1H),8.16(d,1H),8.02−8.06(m,1H),7.77(d,1H),7.70−7.73(m,2H),7.49−7.53(m,1H),7.14(s,1H),5.80(t,1H),5.52(t,1H),2.41(s,3H),2.20(s,3H).
【0136】
<実施例I−7>
本発明化合物(Ir−31)の合成
【化21】
【0137】
化合物(F)0.314g、ピコリン酸ナトリウム0.086gおよび2−エトキシエタノール26mlを三口フラスコに入れ、ジムロート冷却器を取り付け、アルゴンガスを通気しながら、マイクロ波(2450MHz、300W)を10分間照射した。反応溶液を室温まで冷却させ、溶媒を減圧留去した。これをジクロロメタンに溶解し、食塩水で洗浄した後、有機層を回収し減圧留去した。さらに、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタンとメタノール)を用いて精製した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、析出物を除去した後、ろ液の溶媒を減圧留去した。さらにこれをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、(Ir−31)を収率0.6%で得た。
1H−NMRのデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz/CDCl
3)δ:8.53(s,1H),8.36(d,1H),8.23(d,1H),8.18(d,1H),8.03(t,1H),7.78(d,1H),7.68(d,2H),7.49−7.53(m,1H),7.14(s,1H),5.79(s,1H),5.54(s,1H),2.54(t,1H),2.29−2.37(m,3H),1.82−1.89(m,1H),1.66−1.72(m,1H),0.77−0.88(m,12H).
【0138】
<実施例I−8>
本発明化合物(Ir−37)の合成
【0139】
ステップ1 化合物(G)の合成
【化22】
【0140】
化合物(B)5.00g、トリフルオロメタンスルホン酸銀2.11g、メタノール125mlおよびジクロロメタン375mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガス雰囲気下、室温で18時間反応させた。反応溶液をセライトろ過し、溶媒を減圧留去して、化合物(G)を収率100%で得た。
【0141】
ステップ2 (Ir−37)の合成
【化23】
【0142】
化合物(G)1.00g、2−フェニルピリジン0.56g、エタノール75mlを加え、アルゴン雰囲気下、85℃〜90℃で16時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後に、溶媒を減圧留去した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、メリジオナル体の(Ir−37)を得た。これをジクロロメタン50mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、UVランプを用いて紫外光(主波長365nm)を3時間照射したころ、メリジオナル体は消失し、フェイシャル体へ光異性化した。反応溶液を減圧濃縮し得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、フェイシャル体の(Ir−37)を収率16%で得た。
1H−NMRのデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz/(CD
3)
2SO)δ:8.24(d,1H),8.15(t,2H),7.93(t,1H),7.83−7.88(m,3H),7.44−7.48(m,2H),7.35(s,1H),7.24(t,1H),6.93(t,1H),6.84(t,1H),6.48(d,1H),6.02(d,2H),2.17(s,3H),2.14(s,3H).
【0143】
<実施例I−9>
本発明化合物(Ir−42)の合成
【化24】
【0144】
化合物(G)1.00g、2,4−ジフルオロフェニルピリジン0.62g、メタノール15mlおよびエタノール35mlを加え、アルゴン雰囲気下、85℃〜95℃で23時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後に、溶媒を減圧留去した。これをジクロロメタンとヘキサンを用いて再結晶させた。さらにこれをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、メリジオナル体の(Ir−42)を得た。これをジクロロメタン50mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、UVランプを用いて紫外光(主波長365nm)を7時間照射したころ、メリジオナル体は消失し、フェイシャル体へ光異性化した。反応溶液を減圧濃縮し得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、フェイシャル体の(Ir−42)を収率23%で得た。
1H−NMRのデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz/(CD
3)
2SO)δ:8.28(d,1H),8.17(dd,2H),8.00(t,1H),7.89(d,2H),7.55(d,1H),7.38(s,1H),7.33(s,1H),7.30(t,1H),6.78(t,1H),5.99−6.03(m,3H),2.17(s,3H),2.16(s,3H).
【0145】
<実施例I−10>
本発明化合物(Ir−49)の合成
【化25】
【0146】
化合物(G)1.05g、1−フェニルピラゾール0.45g、メタノール15mlおよびエタノール35mlを加え、アルゴン雰囲気下、85℃〜90℃で33時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後に、ろ過にて固体を取り出した。これをジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、メリジオナル体の(Ir−49)を得た。これをジクロロメタン50mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、UVランプを用いて紫外光(主波長365nm)を2時間照射したころ、メリジオナル体は消失し、フェイシャル体へ光異性化した。反応溶液を減圧濃縮し得られた固体をジクロロメタンとメタノールを用いて再結晶させ、フェイシャル体の(Ir−49)を収率22%で得た。
1H−NMRのデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz/(CD
3)
2SO)δ:8.79(d,1H),8.13(d,2H),7.85(d,2H),7.61(d,1H),7.52(s,1H),7.38(s,1H),7.06(d,1H),6.95(t,1H),6.77(t,1H),6.66(t,1H),6.43(d,1H),6.11(s,1H),6.06(s,1H),2.19(s,3H),2.16(s,3H).
【0147】
<比較例I−1>
比較化合物(1)の合成
【0148】
ステップ1 化合物(H)の合成
【化26】
【0149】
2−ブロモ−6−メチルピリジン10.00g、2,6−ジフルオロ−3−ピリジンボロン酸10.60g、2M炭酸カリウム水溶液170mlおよびテトラヒドロフラン130mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)6.61g、を加え、アルゴン雰囲気下、65〜75℃で21時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、有機層を回収し、溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ジクロロメタン)を用いて精製し、化合物(H)を収率59%で得た。
1H−NMRのデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz/CDCl
3)δ:8.69(q,1H),7.64−7.71(m,2H),7.17(d,1H),6.97(dd,1H),2.62(s,3H).
【0150】
ステップ2 比較化合物(1)の合成
【化27】
【0151】
酢酸イリジウム0.255g、化合物(H)0.508gおよびジグリム25mlを三口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下、160℃で18時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却させた後、反応混合物にジクロロメタンを投入後、10%炭酸カリウム水溶液を用いて洗浄した後、有機層を回収し溶媒を減圧留去した。これを
1H−NMRで分析したところ、比較化合物(1)が生成されていることは確認できなかった。
【0152】
<比較例I−2>
比較化合物(2)の合成
【化28】
【0153】
ステップ1 化合物(I)の合成
【化29】
【0154】
2−クロロ−3−メチルピリジン24.9g、2,6−ジフルオロ−3−ピリジンボロン酸40.8g、2M炭酸カリウム水溶液450mlおよびテトラヒドロフラン100mlを三口フラスコに入れ、アルゴンガスを通気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)19g、を加え、アルゴン雰囲気下、70〜95℃で24時間加熱反応させた。反応溶液を室温まで冷却した後、有機層を回収し、溶媒を減圧留去した。これを
1H−NMRで分析したところ、化合物(I)が生成されていることは確認できなかった。このため、比較化合物(2)を合成することはできなかった。
【0155】
比較例I−1および2より、フッ素置換されたピリジルピリジン配位子のピリジン環の3位または6位がアルキル基で置換されていると、所望とするイリジウム錯体もしくは配位子の合成が困難になることが明らかになった。
【0156】
次に本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体の熱的安定性および昇華性を確認するため、昇華精製実験について説明する。
【0157】
<実施例II−1>
(Ir−1)の昇華精製
フェイシャル体である本発明化合物(Ir−1)104mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10
−4Pa、温度270〜295℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製による収率は99.1%であり、昇華残渣は0.9%と非常に少なかった。マテリアルバランスは100%であった。なお、昇華精製による分解は観測されなかった。
【0158】
<実施例II−2>
(Ir−5)の昇華精製
フェイシャル体である本発明化合物(Ir−5)107mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10
−4Pa、温度270〜295℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製による収率は98.4%であり、昇華残渣は0.9%と非常に少なかった。マテリアルバランスは99.3%であった。残り0.7%は残留溶媒等の低沸点成分であると推測された。なお、昇華精製による分解は観測されなかった。
【0159】
<実施例II−3>
(Ir−7)の昇華精製
フェイシャル体である本発明化合物(Ir−7)133mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10
−4Pa、温度270〜295℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製による収率は95.5%であり、昇華残渣は1.3%と非常に少なかった。マテリアルバランスは96.8%であった。残り3.2%は残留溶媒等の低沸点成分であると推測された。なお、昇華精製による分解は観測されなかった。
【0160】
<比較例II−1>
比較化合物(3)の昇華精製
【化30】
【0161】
特開2005−220136号公報(特許文献1)に記載のフェイシャル体である比較化合物(3)63.7mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10
−4Pa、温度270〜295℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製による収率は73.3%であり、昇華残渣は18.7%と非常に多かった。マテリアルバランスは92.0%であった。残り8.0%は残留溶媒等の低沸点成分であると推測された。なお、昇華精製による分解は観測されなかった。
【0162】
<実施例II−4>
(Ir−25)の昇華精製
本発明化合物(Ir−25)202mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10
−4Pa、温度270〜295℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製による収率は97.1%であり、昇華残渣は0.2%と非常に少なかった。マテリアルバランスは97.3%であった。残り2.7%は残留溶媒等の低沸点成分であると推測された。なお、昇華精製による分解は観測されなかった。
【0163】
<比較例II−2>
比較化合物(4)の昇華精製
【化31】
【0164】
特開2005−220136号公報(特許文献1)に記載の比較化合物(4)200mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10
−4Pa、温度270〜295℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製による収率は0.2%であり、昇華残渣は投入量の99.4%と非常に多かった。マテリアルバランスは99.6%であった。残り0.4%は残留溶媒等の低沸点成分であると推測された。なお、昇華精製による分解は観測されなかった。
【0165】
<比較例II−3>
比較化合物(5)の昇華精製
【化32】
【0166】
特開2005−220136号公報(特許文献1)に記載の比較化合物(5)597mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10
−4Pa、温度260〜315℃の条件下で、14時間かけて昇華精製したところ、昇華精製による収率は31.0%であり、昇華残渣は64.6%と非常に多かった。マテリアルバランスは95.6%であった。残り4.4%は残留溶媒等の低沸点成分であると推測された。なお、昇華精製による分解は観測されなかった。
【0167】
<実施例II−5>
(Ir−49)の昇華精製
フェイシャル体である本発明化合物(Ir−49)139mgを昇華精製装置(P−200、エイエルエス・テクノロジー社製)に入れ、真空度1×10
−4Pa、温度270〜295℃の条件下で、9時間かけて昇華精製したところ、昇華精製による収率は99.6%であり、昇華残渣は0.4%と非常に少なかった。マテリアルバランスは100%であった。なお昇華精製による分解は観測されなかった。
【0168】
実施例IIおよび比較例IIの昇華精製の結果を比較すると、フッ素置換されたピリジルピリジンイリジウム錯体に関して、イリジウム−窒素結合を有するピリジン環の5位にアルキル基を導入することにより、昇華性が劇的に改善され、昇華残渣は大きく減少することが明らかになった。
【0169】
次に本発明に係るイリジウム錯体の溶液中の発光特性について記載する。
【0170】
<実施例III−1>
本発明化合物(Ir−1)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−1)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:442、471nm)を示した。発光量子収率は0.99であった。
【0171】
<実施例III−2>
本発明化合物(Ir−5)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−5)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:442、472nm)を示した。発光量子収率は0.99であった。発光スペクトルを
図1に示す。
【0172】
<実施例III−3>
本発明化合物(Ir−7)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−7)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:442、472nm)を示した。発光量子収率は0.93であった。
【0173】
<実施例III−4>
本発明化合物(Ir−13)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−13)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:460、484nm)を示した。発光量子収率は0.91であった。
【0174】
<実施例III−5>
本発明化合物(Ir−19)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−19)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:459、487nm)を示した。発光量子収率は0.89であった。
【0175】
<実施例III−6>
本発明化合物(Ir−25)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−25)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:450,478nm)を示した。発光量子収率は0.99であった。
【0176】
<実施例III−7>
本発明化合物(Ir−31)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−31)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:450,479nm)を示した。発光量子収率は0.87であった。
【0177】
<実施例III−8>
本発明化合物(Ir−37)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−37)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:472、502nm)を示した。発光量子収率は0.99であった。
【0178】
<実施例III−9>
本発明化合物(Ir−42)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−42)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:453、482nm)を示した。発光量子収率は0.82であった。
【0179】
<実施例III−10>
本発明化合物(Ir−49)のTHF中の発光特性
本発明化合物(Ir−49)をTHFに溶解させ、アルゴンガスを通気した後、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:480nm)を示した。発光量子収率は0.77であった。
【0180】
実施例III−1〜実施例III−10より、本発明のイリジウム錯体はいずれも室温下、THF中で高効率に青色発光を示すことが明らかとなった。
【0181】
次に本発明に係るイリジウム錯体の薄膜中での発光特性について記載する。
【0182】
<実施例IV−1>
本発明化合物(Ir−1)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−1)と1,3-ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(以降、mCPという)とを、真空度1×10
−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:441,473nm)を示した。発光量子収率は0.43であった。
【0183】
<実施例IV−2>
本発明化合物(Ir−1)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−1)と1,4−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン(以降、UGH−2という)とを、真空度1×10
−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:442,472nm)を示した。発光量子収率は0.69であった。
【0184】
<実施例IV−3>
本発明化合物(Ir−1)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−1)と2,7−ビス(ジフェニルホスホリル)−9−フェニル−9H−カルバゾール(以降、PPO27という)とを、真空度1×10
−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:340nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:451,481nm)を示した。発光量子収率は0.64であった。
【0185】
<実施例IV−4>
本発明化合物(Ir−5)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−5)とmCPとを、真空度1×10
−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:442,472nm)を示した。発光量子収率は0.34であった。
【0186】
<実施例IV−5>
本発明化合物(Ir−7)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−7)とmCPとを、真空度1×10
−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:442,472nm)を示した。発光量子収率は0.31であった。
【0187】
<実施例IV−6>
本発明化合物(Ir−13)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−13)とmCPとを、真空度1×10
−4Paで、石英基板上に10:90(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:459,487nm)を示した。発光量子収率は0.79であった。
【0188】
<実施例IV−7>
本発明化合物(Ir−19)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−19)とmCPとを、真空度1×10
−4Paで、石英基板上に10:90(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:455,485nm)を示した。発光量子収率は0.85であった。
【0189】
<実施例IV−8>
本発明化合物(Ir−37)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−37)とmCPとを、真空度1×10
−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:472,503nm)を示した。発光量子収率は0.92であった。
【0190】
<実施例IV−9>
本発明化合物(Ir−42)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−42)とmCPとを、真空度1×10
−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:454,482nm)を示した。発光量子収率は0.76であった。発光スペクトルを
図2に示す。
【0191】
<実施例IV−10>
本発明化合物(Ir−49)の薄膜中の発光特性
本発明のイリジウム錯体(Ir−49)とmCPとを、真空度1×10
−4Paで、石英基板上に5:95(質量濃度比)で共蒸着(30nm)し、浜松ホトニクス株式会社製の絶対PL量子収率測定装置(C9920)を用いて、室温での発光スペクトル(励起波長:300nm)を測定したところ、青色発光(発光極大波長:478nm)を示した。発光量子収率は0.75であった。
【0192】
実施例IV−1〜実施例IV−10より、本発明のイリジウム錯体はいずれも昇華性が高く、真空蒸着による製膜が可能であることが明らかになった。また本発明のイリジウム錯体を含む有機薄膜に励起光を照射することにより、高効率に青色発光を示すことが明らかとなった。
【0193】
次に本発明に係る一般式(1)で表されるイリジウム錯体を用いて作製した有機電界発光素子の特性について記載する。
【0194】
本実施例で使用した化合物(E−1)〜(E−9)の構造式を以下に示す。
【0195】
【化33】
【0196】
<実施例V−1>
本発明化合物(Ir−1)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
陽極として、酸化錫インジウム(ITO)を100nmの膜厚で線幅2mmの櫛形にパターニングして成膜された無アルカリガラス基板(厚木ミクロ社製)を透明導電性支持基板として用いた。これを超純水、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄し、次いでIPAで煮沸洗浄後乾燥した。次いで、UV/オゾン洗浄したものを透明導電性支持基板として使用した。
【0197】
上記透明導電性支持基板上に、以下の有機層(正孔注入層、正孔輸送層、ホスト材料層、発光層、正孔阻止層および電子輸送層)を1×10
−4Paの真空チャンバー内で抵抗加熱による真空蒸着で順次製膜し、次いでマスク交換して線幅2mmの電極層(電子注入層および金属電極層)を順次製膜して、有機電界発光素子を作製した。次いで、素子が大気に曝されないよう窒素雰囲気のグローブボックス内で封止する作業を行った。厚さ3mmのガラス板の中央部に1.5mmの掘り込みを付けた封止ガラス(泉陽商事社製)の周囲にUV硬化性エポキシ樹脂デナタイトR(ナガセケミテック社製)を塗布して蒸着済素子に被せ圧着した後、素子部分をアルミニウム板で覆ってマスキングしシャッター付きUV照射装置で1分間照射後1分間遮蔽のサイクルを5回繰り返して封止した。
【0198】
第1正孔輸送層(40nm):化合物(E−1)
第2正孔輸送層(10nm):化合物(E−2)
発光層(20nm):本発明化合物(Ir−1)(質量濃度15%)と化合物(E−2)(質量濃度85%)とを共蒸着
正孔阻止層(10nm):化合物(E−3)
電子輸送層(30nm):化合物(E−4)
電子注入層(0.5nm):化合物(E−5)
金属電極層(100nm):Al
【0199】
得られた有機電界発光素子を浜松ホトニクス社製のEL外部量子収率計測用積分球ユニットA10094のサンプルホルダーにセットし、Keithley社製ソースメーター2400を用いて、直流定電圧を印加し、発光させ、その輝度、発光波長およびCIE色度座標を、浜松ホトニクス社製マルチチャンネル分光器PMA−12を用いて測定した。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.16,0.25)、発光ピーク波長が444,474nmの青色発光が得られ、最高輝度は3900cd/m
2、外部量子効率は6.0%(100cd/m
2のとき)の発光特性が得られた。
【0200】
<実施例V−2>
本発明化合物(Ir−25)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−1で用いた本発明化合物(Ir−1)の代わりに本発明化合物(Ir−25)を用いた以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.16,0.25)、発光ピーク波長が451,481nmの青色発光が得られ、最高輝度は5500cd/m
2、外部量子効率は4.8%(100cd/m
2のとき)の発光特性が得られた。
【0201】
<実施例V−3>
本発明化合物(Ir−37)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−1で用いた本発明化合物(Ir−1)の代わりに本発明化合物(Ir−37)を用いて、化合物(E−5)の膜厚を1nmに変更した以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.18,0.41)、発光ピーク波長が474,504nmの青色発光が得られ、最高輝度は8700cd/m
2、外部量子効率は9.0%(100cd/m
2のとき)の発光特性が得られた。
【0202】
<実施例V−4>
本発明化合物(Ir−42)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−1で用いた本発明化合物(Ir−1)の代わりに本発明化合物(Ir−42)を用いて、本発明化合物(Ir−42)と化合物(E−2)との重量濃度をそれぞれ10%と90%に変更し、化合物(E−5)の膜厚を1nmに変更した以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.15,0.24)、発光ピーク波長が455,483nmの青色発光が得られ、最高輝度は8400cd/m
2、外部量子効率は5.4%(100cd/m
2のとき)の発光特性が得られた。
【0203】
<実施例V−5>
本発明化合物(Ir−49)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−1で用いた本発明化合物(Ir−1)の代わりに本発明化合物(Ir−49)を用いて、本発明化合物(Ir−49)と化合物(E−2)との重量濃度をそれぞれ10%と90%に変更し、化合物(E−5)の膜厚を1nmに変更した以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.16,0.28)、発光ピーク波長が480nmの青色発光が得られ、最高輝度は3400cd/m
2、外部量子効率は6.8%(100cd/m
2のとき)の発光特性が得られた。
【0204】
<実施例V−6>
本発明化合物(Ir−5)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−1の発光素子を以下のような構成に変更し、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。
【0205】
正孔注入層(10nm):化合物(E−6)
第1正孔輸送層(40nm):化合物(E−1)
第2正孔輸送層(10nm):化合物(E−2)
発光層(30nm):本発明化合物(Ir−5)(質量濃度20%)と化合物(E−2)(質量濃度80%)とを共蒸着
正孔阻止層(10nm):化合物(E−3)
電子輸送層(30nm):化合物(E−4)
電子注入層(1nm):化合物(E−5)
金属電極層(100nm):Al
【0206】
その結果、CIE色度が(x,y)=(0.18,0.28)、発光ピーク波長が444,473nmの青色発光が得られ、最高輝度は4300cd/m
2、外部量子効率は3.8%(100cd/m
2のとき)の発光特性が得られた。
【0207】
<実施例V−7>
本発明化合物(Ir−7)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−6で用いた本発明化合物(Ir−5)の代わりに本発明化合物(Ir−7)を用いた以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.18,0.31)、発光ピーク波長が444,474nmの青色発光が得られ、最高輝度は3800cd/m
2、外部量子効率は4.1%(100cd/m
2のとき)の発光特性が得られた。
【0208】
<実施例V−8>
本発明化合物(Ir−13)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−6で用いた本発明化合物(Ir−5)の代わりに本発明化合物(Ir−13)を用いた以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.16,0.30)、発光ピーク波長が459,487nmの青色発光が得られ、最高輝度は27,000cd/m
2、外部量子効率は7.9%(100cd/m
2のとき)の発光特性が得られた。
【0209】
<実施例V−9>
本発明化合物(Ir−19)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−6で用いた本発明化合物(Ir−5)の代わりに本発明化合物(Ir−19)を用いた以外は、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。その結果、CIE色度が(x,y)=(0.16,0.29)、発光ピーク波長が457,486nmの青色発光が得られ、最高輝度は17,600cd/m
2、外部量子効率は8.7%(100cd/m
2のとき)の発光特性が得られた。
【0210】
<実施例V−10>
本発明化合物(Ir−1)を用いて作製した有機電界発光素子の特性評価
実施例V−1の発光素子を以下のような構成に変更し、同様に有機電界発光素子を作製し、特性評価を行った。
【0211】
正孔注入層(10nm):化合物(E−6)
第1正孔輸送層(30nm):化合物(E−7)
第2正孔輸送層(10nm):化合物(E−2)
発光層(30nm):本発明化合物(Ir−1)(質量濃度15%)と化合物(E−8)(質量濃度85%)とを共蒸着
電子輸送層(30nm):化合物(E−9)
電子注入層(1nm):化合物(E−5)
金属電極層(100nm):Al
【0212】
その結果、CIE色度が(x,y)=(0.16,0.26)、発光ピーク波長が451,482nmの青色発光が得られ、最高輝度は5600cd/m
2、外部量子効率は17.2%(100cd/m
2のとき)の発光特性が得られた。発光スペクトルを
図3に示す。
【0213】
以上述べてきたように、本発明に係わる一般式(1)で表されるイリジウム錯体は、熱的安定性および昇華性に特に優れ、青色領域に高い発光量子収率を示す新規化合物であり、有機発光素子に用いた場合、良好な発光特性を有する有機発光素子を作ることができる。また該化合物を用いた有機発光素子は、青色領域に高輝度発光を示すことから、表示素子、ディスプレイ、バックライト、照明光源等の分野に好適である。