(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6656836
(24)【登録日】2020年2月7日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】実装構造体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20200220BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20200220BHJP
B23K 28/02 20140101ALI20200220BHJP
B23K 20/00 20060101ALI20200220BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20200220BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20200220BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20200220BHJP
B23K 101/40 20060101ALN20200220BHJP
【FI】
H01L21/60 311Q
H05K1/14 A
B23K28/02
B23K20/00 310H
B23K20/00 310L
B23K1/00 310B
B23K1/00 330E
H05K3/36 A
H05K3/34 501E
B23K101:40
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-146892(P2015-146892)
(22)【出願日】2015年7月24日
(65)【公開番号】特開2017-28156(P2017-28156A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】市川 純廣
【審査官】
安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−243901(JP,A)
【文献】
特開昭61−097932(JP,A)
【文献】
特開2004−253598(JP,A)
【文献】
特開2004−260157(JP,A)
【文献】
特開2015−226046(JP,A)
【文献】
特開2012−256810(JP,A)
【文献】
特開平09−181124(JP,A)
【文献】
特開2015−119077(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/161891(WO,A1)
【文献】
特開2012−204523(JP,A)
【文献】
特開2008−084951(JP,A)
【文献】
特開2006−080100(JP,A)
【文献】
特開2007−266555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60−607
H01L 23/12−15
H01L 25/00−18
H05K 1/14
H05K 1/18
H05K 3/32−36
B23K 1/00
B23K 20/00−26
B23K 28/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属端子、及び前記第1の金属端子よりも高さが低い第2の金属端子、が第1面に形成された第1の基板と、
第3の金属端子、及び前記第3の金属端子よりも高さが低い第4の金属端子、が第2面に形成された第2の基板と、を有し、
前記第2の基板の前記第2面と前記第1の基板の前記第1面とが対向するように、前記第1の基板上に前記第2の基板を備え、
前記第1の金属端子、前記第2の金属端子、前記第3の金属端子、及び前記第4の金属端子は、何れも銅からなり、
前記第1の金属端子と前記第3の金属端子とは直接接合されており、
前記第2の金属端子と前記第4の金属端子とは、接合部を介して接合されている実装構造体。
【請求項2】
前記第2の金属端子及び前記第4の金属端子は、前記第1の金属端子及び前記第3の金属端子が配置される領域よりも外周側の領域に夫々複数個配置されている請求項1に記載の実装構造体。
【請求項3】
前記第1の基板及び前記第2の基板は、夫々矩形であり、
前記第2の金属端子及び前記第4の金属端子の全部又は一部は、前記矩形の対角線上に配置されている請求項2に記載の実装構造体。
【請求項4】
前記接合部は、融点が200℃以下のはんだである請求項1乃至3の何れか一項に記載の実装構造体。
【請求項5】
第1の金属端子、及び前記第1の金属端子よりも高さが低い第2の金属端子、が第1面に形成された第1の基板を作製する工程と、
前記第1の金属端子と同種の金属からなる第3の金属端子、及び前記第3の金属端子よりも高さが低い第4の金属端子、が第2面に形成された第2の基板を作製する工程と、
前記第2の金属端子上に第1の接合部を形成し、第4の金属端子上に第2の接合部を形成する工程と、
前記第1の金属端子の端面と前記第3の金属端子の端面とが対向し、前記第1の接合部の端面と前記第2の接合部の端面とが対向するように、前記第1の基板上に前記第2の基板を積層する工程と、
前記第1の接合部の端面と前記第2の接合部の端面とを仮固定する工程と、
前記第1の接合部及び前記第2の接合部を溶融させ、前記第1の金属端子と前記第3の金属端子とをセルフアライメントすると共に、前記第1の金属端子の端面と前記第3の金属端子の端面の酸化膜を除去する工程と、
前記第1の接合部及び前記第2の接合部が溶融した状態で、前記第2の基板を前記第1の基板側に押圧し、前記第1の金属端子の端面と前記第3の金属端子の端面とを直接接合する工程と、
前記第1の接合部及び前記第2の接合部を凝固し、前記第2の金属端子と前記第4の金属端子とを、凝固した接合部を介して接合する工程と、を有し、
前記第2の金属端子及び前記第4の金属端子は、前記第1の金属端子と前記第3の金属端子と同種の金属からなり、
前記セルフアライメントすると共に酸化膜を除去する工程、前記直接接合する工程、及び前記凝固した接合部を介して接合する工程は、還元雰囲気中で行われる実装構造体の製造方法。
【請求項6】
前記積層する工程よりも前に、前記第1の金属端子の端面及び前記第3の金属端子の端面を研磨又は研削して活性化する工程を有する請求項5に記載の実装構造体の製造方法。
【請求項7】
前記第1の接合部及び前記第2の接合部は、融点が200℃以下のはんだである請求項5又は6に記載の実装構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銅端子を有する第1の基板と、銅端子を有する第2の基板とを積層し、銅端子同士を直接接合(所謂Cu−Cu接合)した実装構造体が知られている。
【0003】
Cu−Cu接合を行う場合には、接合される銅端子の表面を活性化し減圧下で接合する方法(常温接合、SAB:Surface Activated Bonding)、バイト研削等で銅端子の表面を削り減圧下の還元雰囲気中で接合する方法、金属塩生成結合法等が用いられる。
【0004】
ところで、Cu−Cu接合を行う前には、接合される銅端子のアライメントが必要となる。接合前に銅端子同士をアライメントする方法としては、例えば、真空チャンバ内に配置されたアライメント機構を有する装置を用いる方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−008228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のアライメント方法では、アライメント機構を有するために装置が高価となることに加え、アライメント機構の腐食が懸念される。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、アライメント機構を有する装置を用いることなく金属端子同士を直接接合することが可能な実装構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実装構造体は、第1の金属端子、及び前記第1の金属端子よりも高さが低い第2の金属端子、が第1面に形成された第1の基板と、第3の金属端子、及び前記第3の金属端子よりも高さが低い第4の金属端子、が第2面に形成された第2の基板と、を有し、前記第2の基板の前記第2面と前記第1の基板の前記第1面とが対向するように、前記第1の基板上に前記第2の基板を備え、前記第1の金属端子
、前記第2の金属端子、前記第3の金属端子
、及び前記第4の金属端子は、何れも銅からなり、前記第1の金属端子と前記第3の金属端子とは直接接合されてお
り、前記第2の金属端子と前記第4の金属端子とは、接合部を介して接合されていることを要件とする。
【発明の効果】
【0009】
開示の技術によれば、アライメント機構を有する装置を用いることなく金属端子同士を直接接合することが可能な実装構造体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る実装構造体を例示する図である。
【
図2】本実施の形態に係る実装構造体の製造工程を例示する図(その1)である。
【
図3】本実施の形態に係る実装構造体の製造工程を例示する図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
[本実施の形態に係る実装構造体の構造]
まず、本実施の形態に係る実装構造体の構造について説明する。
図1は、本実施の形態に係る実装構造体を例示する図であり、
図1(b)は平面図、
図1(a)は
図1(b)のA−A線に沿う断面図である。
【0013】
図1を参照するに、実装構造体1は、第1の基板10と、第2の基板20と、接合部30と、封止部40とを有する。実装構造体1において、第2の基板20の他方の面20b(第2面)が第1の基板10の一方の面10a(第1面)と対向するように、第2の基板20が第1の基板10上に積層されている。
【0014】
なお、本実施の形態では、便宜上、実装構造体1の第2の基板20側を上側又は一方の側、第1の基板10側を下側又は他方の側とする。又、各部位の第2の基板20側の面を一方の面又は上面、第1の基板10側の面を他方の面又は下面とする。但し、実装構造体1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。又、平面視とは対象物を第1の基板10の一方の面10aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を第1の基板10の一方の面10aの法線方向から視た形状を指すものとする。
【0015】
第1の基板10は、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等である。第1の基板10として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた樹脂基板を用いてもよい。又、第1の基板10として、シリコン基板を用いてもよいし、セラミック基板を用いてもよい。又、第1の基板10がシリコン基板である場合に、内部に半導体集積回路が形成されていてもよい。第1の基板10の厚さは、例えば、数10μm〜数mm程度とすることができる。
【0016】
第2の基板20の材料や厚さは、例えば、第1の基板10と同様とすることができる。但し、第1の基板10と第2の基板20とは同種であってもよいし、異種であってもよい。例えば、第1の基板10及び第2の基板20が共に樹脂基板であってもよいし、第1の基板10が樹脂基板であって第2の基板20がシリコン基板であってもよい。
【0017】
つまり、実装構造体1は、第1の基板10及び第2の基板20の何れもが半導体集積回路を有しない配線基板同士の積層体であってもよい。又、第1の基板10及び第2の基板20の一方が半導体集積回路を有する半導体チップ又は半導体ウェハ、他方が半導体集積回路を有しない配線基板との積層体であってもよい。又、第1の基板10及び第2の基板20の何れもが半導体集積回路を有する半導体チップと半導体チップ、半導体チップと半導体ウェハ、又は半導体ウェハと半導体ウェハとの積層体であってもよい。又、第1の基板10及び第2の基板20の何れか一方が単数で、他方が複数であってもよい。
【0018】
第1の基板10の一方の面10aには、第1の金属端子11と、第1の金属端子11よりも高さが低い第2の金属端子12とが形成されている。又、第2の基板20の他方の面20bには、第3の金属端子21と、第3の金属端子21よりも高さが低い第4の金属端子22とが形成されている。
【0019】
第2の金属端子及び第4の金属端子が第1の金属端子11及び第3の金属端子21よりも高さが高い場合、第1の金属端子11と第3の金属端子の直接接合ができなくなる。一方で、第2の金属端子及び第4の金属端子と第1の金属端子11及び第3の金属端子21の高さが同じ場合、金属端子(Cu)とはんだの界面に形成される合金層により、高さが生じ、第1の金属端子11と第3の金属端子の直接接合ができなくなる。そのため、合金層により高さが生じても第1の金属端子11と第3の金属端子の直接接合ができる許容範囲にするために第2の金属端子及び第4の金属端子の高さを低くしておくことが好ましい。
【0020】
第1の金属端子11及び第3の金属端子21は、例えば、第1の基板10及び第2の基板20にエリアアレイ状(格子状)に配置され、各第1の金属端子11と各第3の金属端子21とは互いに対向している。互いに対向している第1の金属端子11と第3の金属端子21とは同種の金属からなり、直接接合されている。第1の金属端子11と第3の金属端子21の材料としては、例えば、銅(Cu)を用いることができる。この場合、第1の金属端子11と第3の金属端子21との接合は、所謂Cu−Cu接合となる。但し、第1の金属端子11と第3の金属端子21の材料は、直接接合が可能な同種の金属であれば、銅(Cu)以外であってもよい。銅(Cu)以外の材料としては、例えば、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、インジウム(In)、錫(Sn)等を挙げることができる。
【0021】
第2の金属端子12及び第4の金属端子22は、例えば、第1の金属端子11及び第3の金属端子21が配置される領域よりも外周側の領域に夫々複数個配置され、各第2の金属端子12と各第4の金属端子22とは互いに対向している。
図1では、第1の基板10及び第2の基板20が夫々矩形であり、第1の基板10及び第2の基板20の四隅に第2の金属端子12及び第4の金属端子22が配置されている。但し、第2の金属端子12及び第4の金属端子22は、最低2つずつあればよく、3つや5つ以上あってもよい。
【0022】
なお、第1の基板10及び第2の基板20が矩形である場合、第2の金属端子12及び第4の金属端子22の全部又は一部は、矩形の対角線上に配置されていることが好ましい。後述のように、第2の金属端子12及び第4の金属端子22はセルフアライメントに用いる端子であり、精度のよいセルフアライメントを実現することができる。
【0023】
第2の金属端子12と第4の金属端子22とは、接合部30を介して接合されている。接合部30としては、例えば、低温はんだを用いることができる。なお、本願において、低温はんだとは、融点が200℃以下のはんだを指すものとする。低温はんだの例としては、SnBi、SnZn、In等を挙げることができる。
【0024】
第2の金属端子12及び第4の金属端子22の材料としては、低温はんだで接合可能な任意の金属を用いることができる。但し、第2の金属端子12及び第4の金属端子22を、第1の金属端子11及び第3の金属端子21と同種の金属(例えば、Cu)とすることにより、金属端子の製造工程が簡略化できる点で好適である。
【0025】
又、第2の金属端子12及び第4の金属端子22を第1の金属端子11及び第3の金属端子21と異なる金属とした場合、第1の金属端子11と第3の金属端子21との接合条件に対して、第2の金属端子12及び第4の金属端子22が影響を受けてアライメント精度が低下するおそれがある。しかし、第2の金属端子12及び第4の金属端子22を第1の金属端子11及び第3の金属端子21と同種の金属とすることにより、第1の金属端子11と第3の金属端子21との接合条件に対して、第2の金属端子12及び第4の金属端子22も耐えることができるため、アライメント精度の低下を防止することができる。
【0026】
第1の金属端子11及び第3の金属端子21は、例えば円柱状であり、高さは例えば5μm〜500μm程度とすることができる。第2の金属端子12及び第4の金属端子22は、例えば円柱状であり、高さは例えば第1の金属端子11及び第3の金属端子21よりも1μm〜100μm程度低くすることができる。
【0027】
第1の金属端子11及び第3の金属端子21が円柱状である場合、円柱の端面の直径は例えば5μm〜数10μm程度とすることができる。第2の金属端子12及び第4の金属端子22が円柱状である場合、円柱の端面の直径は例えば第1の金属端子11及び第3の金属端子21の円柱の端面の直径と同程度か、或いはそれよりも大きくすることができる。第1の金属端子11及び第3の金属端子21のピッチは、例えば、20μm〜数100μm程度とすることができる。
【0028】
封止部40は、第1の基板10の一方の面10aと第2の基板20の他方の面20bとの間に、第1の金属端子11、第2の金属端子12、第3の金属端子21、第4の金属端子22、及び接合部30を被覆するように形成されている。封止部40は所謂アンダーフィル樹脂であり、例えば、熱硬化性のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂から構成することができる。封止部40は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0029】
[本実施の形態に係る実装構造体の製造方法]
次に、本実施の形態に係る実装構造体の製造方法について説明する。
図2及び
図3は、本実施の形態に係る実装構造体の製造工程を例示する図である。なお、
図2及び
図3は、
図1(a)に対応する断面を示している。
【0030】
まず、
図2(a)に示す工程では、樹脂基板やシリコン基板等の第1の基板10を準備し、第1の基板10の一方の面10aに第1の金属端子11を形成する。第1の金属端子11の材料としては、例えば、銅(Cu)を用いることができる。第1の金属端子11は、例えば、セミアディティブ法により形成することができる。なお、この工程では、第1の金属端子11の高さがばらついている場合がある。
【0031】
次に、
図2(b)に示す工程では、研磨又は研削により第1の金属端子11の先端側を削って高さを揃えると共に、第1の金属端子11の上端面を平坦化及び活性化する。研磨又は研削としては、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)やバイト研削等を挙げることができる。
【0032】
次に、
図2(c)に示す工程では、第1の基板10の一方の面10aの第1の金属端子11が配置された領域よりも外周側の領域に、複数個の第2の金属端子12を形成する。第2の金属端子12は、例えば、第1の基板10の一方の面10aの四隅や対角線上等に配置することができる。第2の金属端子12の材料としては、低温はんだで接合可能な任意の金属を用いることができるが、第1の金属端子11と同種の金属(例えば、Cu)を用いることが金属端子の製造工程を簡略化できる点で好適である。第2の金属端子12は、例えば、セミアディティブ法により形成することができる。なお、第2の金属端子12は、第1の金属端子11よりも高さが低くなるように形成する。
【0033】
次に、
図2(d)に示す工程では、第2の金属端子12の上端面に、第1の接合部30Aを形成する。第1の接合部30Aの材料としては、例えば、SnBi、SnZn、In等の低温はんだを用いることができる。第1の接合部30Aは、例えば、セミアディティブ法により形成することができる。ここで、第2の金属端子12と第1の接合部30Aとを合わせた高さが、第1の金属端子11よりも高くなるように第1の接合部30Aを形成することが好ましい。
【0034】
なお、
図2(c)と
図2(d)とは連続的な工程とすることができる。すなわち、セミアディティブ法により第2の金属端子12を形成する際には、第1の基板10の一方の面10a上に形成したシード層上に、第2の金属端子12を形成する部分が開口したレジストを設ける。この際、第2の金属端子12を形成後もレジストを除去することなく、開口内の第2の金属端子12の上端面に電解めっき法により第1の接合部30Aを形成する。その後、レジスト及びシード層の不要部分を除去する。
【0035】
但し、第1の接合部30Aは印刷法により形成してもよいし、はんだボールを搭載することで形成してもよい。この場合には、
図2(c)と
図2(d)とは別工程となる。
【0036】
次に、
図3(a)に示す工程では、
図2(a)〜
図2(c)と同様の工程により、他方の面20bに、第3の金属端子21、及び第3の金属端子21よりも高さが低い第4の金属端子22が形成された第2の基板20を作製する。そして、
図2(d)と同様の工程により、第4の金属端子22の下端面に第2の接合部30Bを形成する。なお、第3の金属端子21の材料としては、第1の金属端子11と同種の金属を用いる。例えば、第1の金属端子11が銅(Cu)であれば、第3の金属端子21も銅(Cu)で形成する。又、第4の金属端子22の材料としては、低温はんだで接合可能な任意の金属を用いることができるが、第3の金属端子21と同種の金属(例えば、Cu)を用いることが金属端子の製造工程を簡略化できる点で好適である。又、第2の接合部30Bの材料としては、例えば、SnBi、SnZn、In等の低温はんだを用いることができる。
【0037】
そして、第1の金属端子11の上端面と第3の金属端子21の下端面とが対向し、第1の接合部30Aの上端面と第2の接合部30Bの下端面とが対向するように、第1の基板10上に第2の基板20を積層する。その後、第1の接合部30Aの上端面と第2の接合部30Bの下端面とをスクラブ(擦動・摺動)や超音波により仮固定する。この時点では、第1の金属端子11の上端面と第3の金属端子21の下端面との間には、僅かな隙間が形成されている場合がある。又、第1の金属端子11の上端面と第3の金属端子21の下端面には、酸化膜が形成されている場合がある。
【0038】
次に、
図3(b)に示す工程では、蟻酸雰囲気や水素ラジカル雰囲気等の還元雰囲気中で、第1の接合部30A及び第2の接合部30Bを、夫々を構成する低温はんだの融点以上に加熱する。これにより、第1の接合部30A及び第2の接合部30Bが溶融して一体化し接合部30となり、溶融した接合部30の表面張力により第1の金属端子11と第3の金属端子21とがセルフアライメントされる。又、蟻酸等の還元物質により、第1の金属端子11の上端面及び第3の金属端子21の下端面に形成された酸化膜が除去される。なお、蟻酸等の還元物質は、第1の金属端子11の上端面と第3の金属端子21の下端面との間に少しでも隙間があれば、そこから浸み込んで酸化膜を除去する。
【0039】
隙間がないと第1の金属端子11の上端面及び第3の金属端子21の下端面の酸化膜が完全に除去されず、
図3(c)に示す工程において第1の金属端子11の上端面及び第3の金属端子21の下端面を接合することが困難となる。又、配線の微細化に伴い、酸化膜による電気抵抗の問題がある。そのため、接合部30を介在させることで少しでも隙間を設け、酸化膜を除去し、接続信頼性を向上させる。
【0040】
なお、仮に、第1の接合部30A及び第2の接合部30Bが低温はんだでない(融点が200℃よりも高い)とすると、この工程において、200℃よりも高い温度に加熱する必要が生じる。酸化膜の他に、200℃よりも高い温度環境では、第1の金属端子11及び第3の金属端子21を構成する銅の結晶化が進み、銅同士の直接接合に必要な活性状態(微細結晶)が維持できなくなる新たな問題が生じる。
【0041】
そこで、本実施の形態では、第1の接合部30A及び第2の接合部30Bを低温はんだとし、加熱温度を200℃以下に抑え、銅同士の直接接合に必要な活性状態(微細結晶)を維持するために低い温度環境で行う。これらにより、
図3(c)に示す工程において第1の金属端子11の上端面及び第3の金属端子21の下端面を信頼性の高い状態で接合することが可能となる。
【0042】
次に、
図3(c)に示す工程では、
図3(b)に示す工程と同様の還元雰囲気中で第2の基板20を第1の基板10側に押圧し、第1の金属端子11の上端面と第3の金属端子21の下端面とを熱圧着により直接接合する。第1の金属端子11及び第3の金属端子21の材料が銅(Cu)であれば、両者は所謂Cu−Cu接合される。その後、常温に戻すことにより接合部30が凝固し、第2の金属端子12と第4の金属端子22とは、接合部30を介して接合される。
【0043】
図3(c)に示す工程の後、第1の基板10の一方の面10aと第2の基板20の他方の面20bとの間に、熱硬化性のエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を充填して硬化させ封止部40を形成することにより、
図1に示す実装構造体1が完成する。
【0044】
このように、本実施の形態では、金属端子同士を直接接合する際のアライメント方法として、低温はんだを用いたセルフアライメントの方法を採用している。これにより、アライメント機構を有する高価な装置を用いることなく、金属端子同士を精度よく位置合わせできる。なお、蟻酸雰囲気や水素ラジカル雰囲気等の還元雰囲気中で低温はんだの加熱等を行う装置は、アライメント機構を有するものではないため、安価である。
【0045】
又、本実施の形態では、金属端子同士を直接接合する工程の前に、接合部同士を仮固定する工程を有している。これにより、例えば、半導体ウェハ上に個片化された多数の半導体チップを接合する場合等でも、半導体ウェハと個片化された各半導体チップとを適切な位置で仮固定することで、両者が位置ずれすることなく接合工程に移行することが可能となる。又、実装した際の対向した端子同士の位置ずれを小さくすることで、接合面積を多く確保し、応力によるクラックや電気抵抗等を減少させることができる。
【0046】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0047】
10 第1の基板
10a 第1の基板の一方の面
11 第1の金属端子
12 第2の金属端子
20 第2の基板
20b 第2の基板の他方の面
21 第3の金属端子
22 第4の金属端子
30 接合部
30A 第1の接合部
30B 第2の接合部
40 封止部