(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金属板の上面側に、第1の開口以外の領域を覆う第1のマスク部分と、前記第1の開口内の一部の領域を覆い、前記第1のマスク部分との間に溝を形成可能な間隔を有して配置された第2のマスク部分とを有する上面側マスクを形成する上面側マスク形成工程と、
前記金属板の下面側に、前記上面側の前記第1の開口を包含する第2の開口以外の領域を覆う第3のマスク部分と、前記第2の開口内に、前記上面側の前記溝を形成可能な領域を包含するようにエッチング速度を制限するための間欠的なパターンを有する第4のマスク部分とを有する下面側マスクを形成する下面側マスク形成工程と、
前記上面側マスク及び前記下面側マスクで覆われた前記金属板を前記上面側及び前記下面側の両面側からエッチングし、前記第1の開口と前記第2の開口とが重なるとともに、前記第1乃至第4のマスク部分が形成されていない領域に貫通穴、前記第2の開口と前記第1のマスク部分が重なる領域の前記下面側に薄肉凹部、前記第4のマスク部分で覆われた領域の前記下面側に前記薄肉凹部よりも肉厚の厚い薄肉凸部、前記第1のマスク部分と前記第2のマスク部分との間の前記上面側の領域に前記溝を形成するエッチング工程と、
前記上面側マスク及び前記下面側マスクを除去するマスク除去工程と、を有する光半導体素子搭載用のリードフレームの製造方法。
前記第4のマスク部分の前記間欠的なパターンは、ダイパッド部及びリード部の少なくとも一方の対向面側の外周に沿って配置された1箇所の外周マスク部分と、該外周マスク部分よりも外側に配置された少なくとも1箇所のマスク部分を含む請求項8に記載のリードフレームの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る光半導体素子搭載用のリードフレームの一例の構成を示した断面図である。
図1(a)は薄肉凸部が平坦面を有する形状の一例、
図1(b)は薄肉凸部が平坦面を有しない形状の一例である。
図2は、本発明の実施形態に係る光半導体装置の一例の構成を示した断面図である。
【0016】
図1(a)に示すように、本発明の光半導体素子搭載用のリードフレーム50は、金属板10をエッチング加工して、ダイパッド部20とリード部30を形成することにより構成される。金属板10の材質としては、一般的に銅系合金が用いられる。金属板10の板厚は、0.1mm〜0.3mmのものが用いられることが多い。リード部30は、ダイパッド部20に対向して配置される。
【0017】
ダイパッド部20は、LED素子等の光半導体素子110(
図2参照)を搭載するための領域を含む部材である。リード部30は、ダイパッド部20に搭載された光半導体素子110の電極111を電気的に接続するための内部端子を構成する領域を含む部材であり、よって、ダイパッド部20の近隣に対向して配置される。ただし、光半導体素子110がリードフレーム50にフェイスダウン実装される場合は、光半導体素子110がダイパッド部20及びリード部30に跨って実装されていてもよく、すなわち、リード部30に光半導体素子110が載置されていてもよい。
【0018】
ダイパッド部20及びリード部30の周縁の一部或いは全周には、LED素子搭載面(
図1における上面)の反対側の面(
図1における下面)よりエッチング加工されて、ダイパッド部20及びリード部30の縁より内側へ向けて板厚よりも厚みの薄い薄肉部40が形成されている。また、リードフレーム50の上面には、ダイパッド部20及び/又はリード部30に透光性樹脂部130(
図2)の輪郭(外周)または外部樹脂部61(
図2参照)の輪郭(外周)が沿うように溝45が加工形成される。
図1及び
図2においては、リード部30とダイパッド部20の対向面側のダイパッド部20の縁部に形成した一例を示している。
【0019】
ここで、薄肉部40と溝45と外部樹脂部61との関係を説明するため、本発明の実施形態に係るリードフレーム50を用いた光半導体装置150の一例の構成について説明する。
【0020】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る光半導体装置150の一例の構成を示した断面図である。
図2で用いられているリードフレーム50は、
図1で説明したように、光半導体素子110を搭載するダイパッド部20と、ダイパッド部20に対向して空間を隔てて配置されたリード部30とで構成される。ダイパッド部20の上面には光半導体素子110が搭載され、光半導体素子110の電極111とリード部30とはボンディングワイヤー120等により電気的に接続されている。この光半導体素子110が搭載されたLED搭載箇所とこれに電気的に接続されたリード部30の接続部とを取り囲む形で、ダイパッド部20とリード部30からなるリードフレーム50の表面上に外部樹脂部61が形成されている。また、ダイパッド部20とリード部30が対向する空間部分及びダイパッド部20やリード部30の縁より内側へ向けて形成された板厚よりも厚みの薄い薄肉部40のそれぞれの下にも、同時に外部樹脂部60が設けられる。外部樹脂部60、61が取り囲んだ光半導体素子110と電気的接続部(端子部)の上方には、透光性樹脂部130が設けられる。なお、ダイパッド部20の上面の外側及びリード部30の上面の外側に各々外部樹脂部61が設けられる。なお、外部樹脂部60、61は、個別に区別する場合には、下面側樹脂60、上面側樹脂61と呼んでもよいこととする。
【0021】
薄肉部40は、成型工程で、下面側樹脂60が薄肉部40の下側から回り込むことにより、リードフレーム50を下側から包み込み、リードフレーム50と下面側樹脂60との密着性を向上させる。また、リフロー時の半田フラックスの侵入を抑制する効果が得られるので、薄肉部40を形成することは重要である。
【0022】
また、薄肉部40の上面側には、溝45が形成される。この溝45は、ダイパッド部20又はリード部30の上面に配置され、外部樹脂部61や透光性樹脂部130との密着性を向上させ、ダイボンディング用ペーストの濡れ広がりを抑制することができる。
【0023】
近年の光半導体装置150の小型化等で外部樹脂部60、61等の領域が小さくなり、これに伴い溝45を形成する位置もダイパッド部20やリード部30の縁部近傍に配置しなければならなくなってきた。一般に、エッチング加工で薄肉部40を形成する場合、上面側をレジストで覆い、下面側の薄肉部を形成する領域にレジストの開口部を配置する。
【0024】
図3は、従来から使用されている一般的なリードフレームの形状の一例を示した図である。
図3に示すように、薄肉部240の外端部46側の厚みは薄く、薄肉部240の内端部47側はR形状になり、外端部46側に向けて緩やかな曲線状になる。薄肉部240の外端部46とは、ダイパッド部20及びリード部30が対向する側の端部のことを指し、薄肉部240の内端部47とは、薄肉部240のうち外端部46と反対側の端部のことを指す。薄肉部240の外端部46の近傍の厚みの薄い領域に溝を形成すると、上面からのエッチングと下面からのエッチングが重なってより薄肉になる。そのため、このような薄肉部240の外端部46に溝245を配置させることは難しい。
【0025】
図1(a)、(b)に示される通り、本発明の実施形態に係るリードフレーム50は、この薄肉部40内に薄肉凸部42を、薄肉凹部41より外端部側46に設けることで、溝45を薄肉部40の外端部46付近にも配置できるようにしている。
【0026】
薄肉部40は、薄肉凸部42と薄肉凹部41とを有する。薄肉凹部41は、上述のように、成型工程で、下面側樹脂60が薄肉部40の下側に回り込むことにより、リードフレーム50を包み込む。これにより、下面側樹脂60との密着性を向上させ、リフロー時の半田フラックスの侵入を抑制することができる。
【0027】
薄肉凹部41は、薄肉部40のうち下面側からの窪みが最も深い領域を含む。薄肉凹部41の厚さは、例えば、金属板10の板厚(未加工部分)の1/4〜3/4程度である。薄肉凹部41の厚さが金属板10の板厚の1/4未満の場合、ダイパッド部20の強度が弱くなり、変形等を起こす可能性がある。一方、薄肉凹部41の厚さが金属板10の板厚の3/4を超えると、薄肉部40の下に充填された下面側樹脂60の厚さが薄くなり、下面側樹脂60の強度が弱くなってしまい、下面側樹脂60自体が剥離する可能性が大きくなる。金属板10の板厚は0.2mm前後であり、薄肉部凹部41の厚さは、0.05mm以上0.15mm以下が好ましい。薄肉部40の厚さは、例えば、金属板10の板厚の1/2前後の厚さが好ましい。
【0028】
薄肉凸部42の上面側には、溝45が形成される。この溝45は、ダイパッド部20又はリード部30の上面に配置され、透光性樹脂部130との密着性を向上させ、ダイボンディング用ペーストの濡れ広がりを抑制することができる。溝45の幅は、金属板10の板厚の1/4から1/2程度で、溝45の深さは、例えば、溝幅の1/2である。溝45の形状は、例えば、断面形状がC字型であることが好ましい。溝45の断面形状がC字型であることで、溝45が形成されたダイパッド部20等と透光性樹脂部130との密着面積が増え、ダイパッド部20等と透光性樹脂部130との密着性が良好になる。
【0029】
薄肉凸部42は、薄肉凹部41より薄肉部の外端部46側に配置され、下面側が凸形状となるように形成される。薄肉凸部42の下面は、曲面的な表面を有する薄肉凹部41よりも平坦に形成され、下面側の表面が平坦面となるので、薄肉平坦部42と呼んでもよい。薄肉凸部42は、薄肉凹部41の最薄部よりも厚みが厚い部分を有し、好ましくは、薄肉凸部42の全ての部分で薄肉凹部41の最薄部よりも厚い。薄肉凸部42が薄肉凹部41の最薄部よりも厚みが厚い部分を有するとは、具体的には、リードフレーム50の上面に対して垂直な方向におけるリードフレーム50の上面と薄肉凸部42の下面との間の幅Pが、薄肉凹部41の最薄部の厚みQよりも厚いことを指す。換言すると、高さ方向に対して、薄肉凸部42の下面の表面の少なくとも一部が、薄肉凹部41の最薄部の下面よりも下に位置する。薄肉凸部42は、溝45が形成可能で、かつ、薄肉部40が変形しにくい厚さがあれば良い。薄肉凸部42の下面と、薄肉部40の上面の溝45の下面との間の厚さは、少なくとも、0.03mm以上の厚さが必要である。厚さが0.03mm未満の場合、厚さが薄すぎ、外端部46側が折れ、切断等不具合が発生するおそれがある。溝45の下面と薄肉凸部42の下面との間の厚さは、好ましくは、0.05mm〜0.07mmである。このため、薄肉部40の上面と薄肉凸部42の下面との間の厚さは、薄肉部40の上面の溝45の溝深さに、0.03mm〜0.07mmを加えた程度となる。また、薄肉凸部42の下面は、平坦でなくても良い。上記説明のように、薄肉凸部42は、その上面に溝45を配置するために形成するものであり、溝45を加工しても十分な強度を維持できればよく、薄肉凸部42の下面は、溝加工に支障がない程度であれば、凹凸があってもよい。薄肉凸部42の形状は、
図1(a)で示すように下面側が平坦面となる形状に限られず、例えば、
図1(b)で示すような平坦面を有しない形状であってもよい。
図1(b)で示す薄肉凸部42は、下面側の表面が下向きの山型形状で下面側はR形状となる。換言すると、薄肉凸部42は、下面側の一部に曲率が変化する部分凸部を備え、部分凸部が形成された領域が薄肉凸部42の中で最も下側に位置する。部分凸部は溝部45の直下に形成され、好ましくは溝部45の深さが最も深い点の直下に部分凸部が形成される。薄肉凸部42の下面に平坦面を持たないため、薄肉部40の長さ(薄肉部40の外端部46から内端部47への長さ)が短くても容易に薄肉凸部42を形成できる。小型の半導体装置には有効である。
【0030】
ダイパッド部20及びリード部30の薄肉部40の長さ(薄肉部40の外端部46から内端部47への長さ)は、板厚以上である。樹脂密着性の効果は、内端部47への長さが0.1mm以上あれば発揮されるが、上述のように、薄肉凸部42の上面に溝45を配置し、かつ、薄肉凹部41を形成するには、ダイパッド部20及びリード部30の薄肉部40の長さは、少なくとも板厚以上の距離であることが好ましい。リードフレーム50の板厚未満の距離の場合、薄肉部40は本来の目的である樹脂密着性の向上の効果を発揮することが難しくなる。また、薄肉部40の長さは、ダイボンディングやワイヤーボンディングに不具合が発生せず、かつ、外部接続用のエリアを確保できれば、自由に設定できる。なお、薄肉凹部41が確実に形成されれば、薄肉凸部42及び薄肉部40の上側の溝45は、薄肉部40の外端部46以外に配置してもよい。例えば、溝45は薄肉部40の外端部46と内端部47の間に形成されてもよい。
【0031】
薄肉凹部41及び薄肉凸部42を含む薄肉部40は、ダイパッド部20とリード部30との対向面側、即ち、リードフレーム50の内側の、ダイパッド部20側に形成することが好ましい。ダイパッド部20及びリード部30の下面の露出面(平坦面)は、光半導体装置として完成した際には外部機器が接続可能な外部端子部となり、外部端子部と外部機器との接続は半田ボール等の接合部材を用いて行われる。一方、ダイパッド部20の上面には光半導体素子110が搭載されるので、ダイパッド部20とリード部30の平面積は大きく異なり、例えば、ダイパッド部20の平面積とリード部30の平面積の比は2:1程度となる。そうすると、ダイパッド部20とリード部30との対向面側の薄肉部40は、ダイパッド部20の方がリード部30よりも大幅に長い形状にすることが可能となる。また、溝45は、透光性樹脂部130の密着性向上と同時に、ダイボンディング用ペーストの濡れ広がりの抑制を目的に形成する場合がある。この場合は、溝45はLED素子を取り囲むようにダイパッド部20周縁部に形成する必要がある。よって、薄肉凸部42及び溝45は、ダイパッド部20に形成されることが、スペースのロスも少ないという観点から好ましい。
【0032】
但し、薄肉凸部42及び溝45の形成場所は、ダイパッド部20の内側に限定される訳ではなく、必要に応じて、リード部30に更に形成してもよいし、ダイパッド部20とリード部30の対向面と反対側の外側の上面に形成するようにしてもよい。また、
図1、2の実施形態においては、薄肉部40がダイパッド部20及びリード部30の外側には形成されていないが、更にダイパッド部20及びリード部30の外側に薄肉部40を設けてもよい。
【0033】
このように、ダイパッド部20のリード部30との対向面側に薄肉凹部41、薄肉凸部42及び溝45を少なくとも1つずつ形成し、他の箇所に薄肉凹部41のみの一般的な薄肉部40を形成する構成としてもよい。
【0034】
次に、本発明の実施形態に係るリードフレーム50、樹脂付きリードフレーム100及び光半導体装置150の製造方法について説明する。
【0035】
図4は、本発明の実施形態に係るリードフレームの製造方法の一連の工程を説明するための図である。
【0036】
図4(a)は、本発明の実施形態に係るリードフレームの製造方法の金属板準備工程の一例を示した図である。
図4(a)に示すように、先ず、平板状の金属板10を準備する。金属板10の材質は、銅合金を用いることができる。準備したこの金属板10を脱脂洗浄し、不要なごみや有機物を取り除く。
【0037】
図4(b)は、本発明の実施形態に係るリードフレームの製造方法のレジストパターン形成工程の一例を示した図である。
図4(b)に示されるように、レジストパターン形成工程では、エッチング用レジストを用いて、ダイパッド部20及びリード部30の所定のパターンが形成されるようにレジストマスク70、75を作製する。より詳細には、金属板10の上面及び下面に感光性レジストを塗布する。その後、所定のパターンを、フォトマスクを介して露光する。その後、現像してレジストマスク70、75を作製する。
【0038】
レジストマスク70、75は、エッチング工程により、ダイパッド部20及びリード部30の形成に加えて、光半導体素子110の搭載面(上面)の反対側の面(
図2における下面)に薄肉部40が形成されるようなマスクパターンで形成する。この薄肉部40には、薄肉凸部42と薄肉凹部41が形成される。薄肉凹部41を形成する領域11には、上面はレジストマスク70を形成し、下面は開口部76にする。薄肉凸部42を形成する領域12には、上面は、溝45を除き、レジストマスク70を形成する。下面は、エッチング速度制御用レジスト77を形成する。この、エッチング速度制御用レジスト77は、ダイパッド部20及びリード部30の輪郭(外周)形状に沿い、ライン状に配置する。また、その内側にも少なくとも1本ライン状に配置する。また、薄肉凸部42の上面には、溝45が形成されるので、溝45が形成される領域の上面側は、開口部71にする。
【0039】
図4(c)は、本発明の実施形態に係るリードフレームの製造方法のエッチング工程の一例を示した図である。
図4(c)に示されるように、エッチング工程では、レジストマスク70、75で覆われていない開口部71、76をエッチング液でエッチングする。これにより、ダイパッド部20及びリード部30が形成される。
【0040】
薄肉凹部41が形成される領域12は、上面はレジストマスク70で覆われているため上面はエッチング加工されず、下面は開口部76になるため、エッチング加工され薄肉凹部41が形成される。
【0041】
薄肉凸部42は、上面は、溝45を除きレジストマスク70で覆われているため、上面はエッチング加工されず、下面には、エッチング速度制御用レジスト77が形成されている。そのため、エッチング加工時、エッチング液はライン状のレジスト77の隙間よりエッチング加工が行われ、レジストマスク75がない開口部76に比べエッチング速度が遅くなり、エッチングする深さが浅くなる。エッチング速度制御用レジスト77の位置や大きさ、ラインの本数等を調整することにより所望の位置、幅、深さ等の薄肉凸部42が形成される。なお、エッチング速度制御用レジスト77は、ライン状に1本配置してもよい。この場合、ライン状に断面が下向きの山型形状で下面側はR形状となる。この山型形状のR形状部の上面側に溝45を形成させるため、溝45の位置が限定され、かつ、大きさや深さも限定される。よって、エッチング速度制御用レジスト77は、ダイパッド部20及びリード部30の輪郭形状に沿ってライン状に配置し、その内側にも少なくとも1本ライン状に配置することが好ましい。これにより、薄肉凹部41より厚みが厚い、薄肉凸部42を形成することが出来る。なお、薄肉凸部42の下面は、エッチング速度制御用レジスト77を配置した位置で下側に凸形状となりやすい。
【0042】
薄肉部40の上側の溝45の加工に影響が無い程度に、エッチング速度制御用レジスト77の位置や大きさ、ラインの本数等を調整する。また、エッチング液、エッチングのノズルの方向等エッチング条件等にも影響を受けるので、これらも必要に応じて適宜調整する。
【0043】
薄肉凸部42の上側は、上側が開口部となっているため、エッチング加工されて溝45が形成される。
【0044】
図4(d)は、本発明のリードフレームの製造方法のレジスト剥離工程の一例を示した図である。
図4(d)に示されるように、レジスト剥離工程では、レジストマスク70、75及びエッチング速度制御用レジスト77を、剥離剤を用いて剥離する。これにより、本発明の光半導体装置用リードフレームが完成する。
【0045】
なお、この後、必要に応じて、リードフレーム50のダイパッド部20やリード部30の少なくとも外部樹脂部60、61の開口部で上面側樹脂61で囲まれた光半導体素子110とボンディングワイヤー120等でリード部30と電気的に接続された接続部の周辺部にめっき層が形成される。めっき処理は、外部樹脂部60、61の開口部の範囲に部分めっき、または全面めっきを行ってもよい。
【0046】
外部樹脂部60、61の開口部の範囲に部分めっきを行う場合は、めっきをしない所をマスク等で機械的に覆い、部分めっきする部分にのみ開口を形成してめっきを行う方法等を用いてもよい。
【0047】
また、ダイパッド部20やリード部30が形成され、所定のめっき層(図示せず)が形成されたリードフレーム50は、必要に応じて所定の数量毎にシート状に切断する際の樹脂テープをLED搭載面の反対面に貼り付けてもよい。
【0048】
図5は、本発明の樹脂付きリードフレームの製造方法の一例について説明するための図である。
【0049】
図5は、本発明の光半導体装置の製造方法の樹脂付きリードフレーム製造工程の一例を示した図である。
図5に示されるように、樹脂付きリードフレーム製造工程では、製造したリードフレーム50をトランスファーモールドや射出成形することにより、リードフレーム50上に上面側樹脂61を形成する。上面側樹脂61としては、一般的には熱硬化性樹脂が使用される。上面側樹脂61がリードフレーム50上に形成されると共に、ダイパッド部20とリード部30が対向する空間部にも同時に下面側樹脂60が充填される。下面側樹脂60は、後述する光半導体素子110及びワイヤーボンディング等でリード部30と電気的に接続した接続部の周辺を囲うように形成される。また、外部樹脂部61の内側面は、LED素子80から発生した光が、外部樹脂部61により上方へ反射するようにテーパー形状に形成される。本工程により、樹脂付きリードフレーム100が完成する。
【0050】
図6は、樹脂付きリードフレーム100を用いて、光半導体装置150を製造する一連の工程を示した図である。
【0051】
図6(a)は、本発明の光半導体装置の製造方法の光半導体素子搭載工程の一例を示した図である。
図6(a)に示されるように、光半導体素子搭載工程では、得られた樹脂付きリードフレーム100を用いて、ダイパッド部20上に光半導体素子110を搭載する。予め、接合部材をダイパッド部20の表面に塗布し、光半導体素子110をダイパッド部20上に固定する。
【0052】
図6(b)は、本発明の光半導体装置の製造方法のワイヤーボンディング工程の一例を示した図である。
図6(b)に示されるように、ワイヤーボンディング工程では、光半導体素子110の電極111とリード部30とをボンディングワイヤー120等を用いて電気的に接続する。
【0053】
図6(c)は、本発明の光半導体装置の製造方法の封止工程の一例を示した図である。
図6(c)に示されるように、封止工程では、上面側樹脂部61で囲まれた光半導体素子110とボンディングワイヤー120等でリード部30と電気的に接続された接続部の周辺部を透光性樹脂部130でモールドする。
【0054】
図6(d)は、個片化工程の一例を示した図である。最後に、個片化工程では、所定のパッケージ寸法になるように、光半導体装置150が複数個配列されている場合は、個片化する。一括でモールドされている場合は、ソーイング等により、個別モールドされている場合は、プレス等で打ち抜き、個片化する。
【0055】
〔実施例1〕
次に、本発明のリードフレームの製造方法の実施例を説明する。なお、説明の便宜のため、上記において説明した構成要素に対応する構成要素には、同一の参照符号を付すものとする。
【0056】
リードフレーム用の金属板10としては、厚さ0.2mm、幅180mmの帯状の銅材(古河電工株式会社製:EFTEC−64T)を用いた。先ず、リードフレーム用の金属板10を、脱脂、洗浄した。その後、リードフレーム50のパターンを形成するためのレジスト層を作製した。詳細には、先ず、金属板の表面に感光性レジストを厚さ0.02mm塗布した。レジストとしては、ネガ型感光性レジスト(旭化成イーマテリアルズ株式会社製)を使用した。次に、ダイパッド部20及びリード部30が所定のパターンになるようにガラスマスクを用いて、レジスト層を露光した。その後、現像してエッチング用のレジストマスクを作製した。
【0057】
また、ダイパッド部20とリード部30の周縁薄肉部40を形成した。薄肉部40の幅は0.25mmになるように設定した。また、薄肉部凹部41の厚さは、0.08mmにした。薄肉部平坦部は、ダイパッド部20とリード部30の周縁から0.13mm、薄肉部40の厚さが0.12mmとなるように設定した。薄肉部上部溝部45は、溝幅が0.05mm、深さが0.06mmになるように設定した。
【0058】
エッチング速度制御用レジストは、金属板下側のダイパッド部20とリード部30の周縁に沿ってライン状に1本、また、その内側に0.05mm離してライン状に1本、計2本のライン状にレジストを配置した。
【0059】
その後、エッチング液にてエッチングを行った。エッチング液としては、塩化第二鉄溶液を使用した。必要に応じて、エッチング液の吹き出し方向や、吹き付け圧力等を適宜調整した。
【0060】
そして、エッチングが終了した後レジストマスクを剥離し、ダイパッド部20及びリード部30、薄肉凸部42、薄肉凹部41、溝45を形成した。
【0061】
次に、貴金属めっきを行ってめっき層を形成した。貴金属めっきは、Agめっき、めっき厚さ3.0μmで行った。めっき範囲は、表裏全面に行った。
【0062】
その後、各リードフレームをシート状に切断しリードフレームを完成させた。
【0063】
また、上記リードフレーム50を使用して、外部樹脂部60、61をモールドして樹脂付きリードフレーム100を作製した。その後、樹脂付きリードフレーム100を使用して、LED素子を搭載した。ワイヤーボンディング後、透光性樹脂部130をモールドしてからソーイング加工を行い、個片化して光半導体装置150を完成させた。
【0064】
【表1】
〔実施例2〜3、比較例〕
表1に実施例2〜3、比較例の各設定を示す。なお、実施例2のエッチング速度制御用レジストは、金属板下側のダイパッド部20とリード部30の周縁に沿ってライン状に1本、また、その内側に0.05mm離してライン状に1本、計3本のライン状にレジストを配置した。ラインの幅は、適時調整した。
【0065】
実施例3は、実施例1の設定で、薄肉部平坦部の位置を外端部46から薄肉部凹部方向へ0.05mm移動した設定とした。実施例3のエッチング速度制御用レジストは、金属板下側のダイパッド部20とリード部30の周縁に沿ってライン状に1本、また、その内側に0.05mm離してライン状に2本、計3本のライン状にレジストを配置した。
薄肉部平坦部を0.05mm移動するため、周縁に沿ってライン状に1本の幅を、他の2本より小さく設定する。その他設定は、実施例1と同じ製造方法である。
【0066】
比較例は、薄肉凸部42を作製しない場合で、薄肉部下側には、エッチング速度制御用レジストを形成せず、開口部とした。その他は実施例1と同じ製造方法である。
【0067】
実施例1〜3及び比較例を、リードフレーム50の完成時点で、ダイパッド部20及びリード部30の薄肉部40を実体顕微鏡で観察した。比較例では、薄部付近より折れ発生している箇所が複数検出された。実施例1〜3においては、薄肉部平坦部上に薄肉部上側溝部45を形成することができ、また、薄肉部40に折れや変形等不具合の発生は無かった。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施形態及び実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。