(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
<フタロシアニン顔料>
本発明に用いるフタロシアニン系顔料としては、公知のフタロシアニン顔料をいずれも使用することができる。ここでいうフタロシアニン顔料とは、中心金属を有するものも、有さないものも含まれる。中心金属を有する場合、主に銅、亜鉛、アルミニウムなどが挙げられる。例えば、C.I.ピグメントグリーン7、同36、同58、同59、同62、同63のような緑色顔料を用いることができる。また、例えばC.I.ピグメントブルー15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、アルミニウムフタロシアニン誘導体のような青色又は緑色顔料を用いることができる。
ここで、上記のアルミニウムフタロシアニン誘導体とは、無置換フタロシアニンアルミニウム(C.I.ピグメントブルー79)、塩素化フタロシアニンアルミニウム、臭素化フタロシアニンアルミニウムがあり、例えば、下記一般式(3−1)で表される化合物等が挙げられる。
【0013】
(式(3−1)中、Rはハロゲン原子、ヒドロキシ基、又は下記一般式(3−2)で表される基である。また、式(3−1)におけるXはハロゲン原子を表し、mは0〜16の整数を表す。)
【0015】
(式(3−2)中、Xは直接結合又は酸素原子である。Arはフェニル基又はナフチル基である。式中、アスタリスクは結合部位を示す。)
【0016】
上記した式(3−1)中のRにおける前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。中でも、Rにおける前記ハロゲン原子としては、塩素原子、又は臭素原子であることが好ましい。
【0017】
式(3−1)中、Rは、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、又は上記一般式(3−2)で表される基であることが好ましい。
【0018】
式(3−2)中、Xは酸素原子であることが好ましい。
【0019】
式(3−1)の中でも好ましいものとしては、例えば、ヒドロキシアルミニウムフタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニン(C.I.ピグメントブルー79)、ブロモアルミニウムフタロシアニン、下記式(3−1−1)で表される化合物、下記式(3−1−2)で表される化合物、下記式(3−1−3)で表される化合物、下記式(3−1−4)で表される化合物などが挙げられる。
【0020】
【化3】
(nは1〜16の整数を表す。)
【0021】
これらフタロシアニン系顔料は、1種単独で用いても良いし、2種以上を適宜選択して用いることもできる。
また、本発明に用いるフタロシアニン系顔料は、顔料誘導体および/もしくはポリマーによって被覆されていない粒子からなってもよいが、後記するカラーフィルタ用ペーストのような顔料分散液や、レジストのような光硬化性組成物へのより優れた親和性を確保するためには、顔料誘導体および/もしくはポリマーに被覆されていることが好ましい。
【0022】
ポリマーについては、質量換算で、有機顔料100部に対して、ポリマー不揮発分は、0.5〜10部とすることが好ましい。この際のポリマーとしては、公知慣用のものをいずれも用いることが出来るが、フタロシアニン系顔料に対する相互作用が強く、顔料表面に吸着する単量体Aを有するアクリル系共重合体が好ましく、単量体Aとしては(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸1−ナフチル、(メタ)アクリル酸2−ナフチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の炭化水素系環状化合物を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましい。また、単量体Aに加えて、顔料表面に吸着後、分散安定化効果を発揮する単量体Bも有するアクリル系共重合体が更に好ましく、単量体Bとしては(メタ)アクリル酸単量体や、グリシジル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましい。また、アクリル系共重合体は、異なる複数の単量体Aを有していてもよいし、さらには異なる複数の単量体Aに単独または複数の単量体Bを共重合したアクリル系共重合体であっても良い。
さらに、単量体A、単量体Bに加え、それに共重合可能なその他の単量体を併用した重合体であっても良い。
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいい「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方又は両方をいう。
(メタ)アクリル酸エステルとは、(メタ)アクリル酸とその他の各種アルコールとから形成されるようなエステル結合を含有する化合物であり、上記アルコールに由来する、エステル結合COOの末端に炭素原子鎖を含有するものを言う。典型的には、前記炭素鎖がアルキル基であるものが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと称されている。(メタ)アクリル酸アルキルエステルで言えば、側鎖はアルキル基を意味する。当業界では、(メタ)アクリル酸アルキルエステルばかりでなく、上記炭素鎖がアルキル基以外の化合物もよく知られていることから、本発明においては(メタ)アクリル酸アルキルエステルだけでなく、炭素鎖が、アルキル基以外の化合物を含めて、(メタ)アクリル酸エステルと称するものとする。
このような(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルである、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャルブチル(メタ)アクレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート〔ラウリル(メタ)アクリレート〕、オクタデシル(メタ)アクリレート〔ステアリル(メタ)アクリレート〕等のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環基を含有する(メタ)アクリル酸エステル;メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のエーテル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル;ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステル;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基を含有する(メタ)アクリル酸エステル;アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート、及びアシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコールメタクリレートフォスフェート、プロピレングリコールメタクリレートフォスフェート、エチレングリコールアクリレートフォスフェート、プロピレングリコールアクリレートフォスフェート、また、市販品として、ホスマーM、ホスマーCL、ホスマーPE、ホスマーMH(以上、ユニケミカル社製)、ライトエステルP−1M(以上、共栄社化学社製)、JAMP−514(以上、城北化学工業社製)、KAYAMER PM−2、KAYAMER PM−21(以上、日本化薬社製)等のリン酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
その他の共単量体としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、第3級カルボン酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルピロリドン等の複素環式ビニル化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有単量体;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチルビニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;ブタジエン、イソプレン等のジエン類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、ターシャルブチルスチレン等のスチレン系単量体が挙げられる。
また、共重合可能な不飽和カルボン酸としては、例えば、クロトン酸、イソクロトン酸、2−(メタ)アクロイルオキシエチルサクシニック酸、2−(メタ)アクロイルオキシヘキサハイドロフタル酸、2−(メタ)アクロイルオキシエチルグルタレート;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸及びその無水物;モノメチルマレイン酸、モノエチルマレイン酸、モノブチルマレイン酸、モノオクチルマレイン酸、モノメチルフマル酸、モノエチルフマル酸、モノブチルフマル酸、モノオクチルフマル酸、モノメチルイタコン酸、モノエチルイタコン酸、モノブチルイタコン酸、モノオクチルイタコン酸等のジカルボン酸のモノアルキルエステルなどが挙げられる。
【0023】
本発明の顔料組成物を構成するフタロシアニン系顔料と、アゾメチン銅錯体系顔料は、一次粒子でも、二次凝集体でも良いが、カラーフィルタ画素部の調製に用いるので、一次粒子径は汎用用途より微細であることが好ましい。このような観点から本発明のフタロシアニン系顔料と、アゾメチン銅錯体系顔料は、一次粒子の平均粒子径が10nm〜80nmであることが好ましく、10nm〜40nmがより好ましい。一次粒子の平均粒子径が100nm以上であると、画素部の輝度が低くなるので好ましくない。一次粒子の平均粒子は、次のように測定される。まず透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡で視野内の粒子を撮影する。そして、二次元画像上の凝集体を構成する一次粒子の50個につき、個々の粒子の内径の最長の長さ(最大長)と最短となる長さ(最小長)を求める。個々の粒子の最大長と最小長の和の1/2の平均値を一次粒子の平均粒子径とする。
【0024】
<アゾメチン銅錯体系顔料>
本発明に用いるアゾメチン銅錯体系顔料としては、公知のアゾメチン銅錯体顔料をいずれも使用することができるが、
例えば、C.I.ピグメント イエロー117、C.I.ピグメント イエロー129などが挙げられる。
【0025】
<フタロシアニン系顔料と、アゾメチン銅錯体系顔料との質量比>
本発明のカラーフィルタ用組成物は、フタロシアニン系顔料と、アゾメチン銅錯体系顔料との質量比が、99.9/0.1〜96.5/3.5である場合に、より好ましくは99.7/0.3〜97.0/3.0である場合に、耐熱性に優れ、かつ、カラーフィルタ作製に用いたときに高コントラストとなり、信頼性の高いカラーフィルタを得ることができる。
【0026】
一般にカラーフィルタの緑色画素部の緑色顔料との調色目的で配合する場合や、前述の特許文献1のような手法では、アゾメチン銅錯体系顔料の使用量は、フタロシアニン系顔料と、アゾメチン銅錯体系顔料との質量比で少なくとも96.3/3.7〜60/40程度であり、本発明の構成は意外にも、調色という観点からも、カラーフィルタ特性向上のためにアゾメチン銅錯体系顔料を一定量以上含有させる必要があることが示唆されている特許文献1、2とは相反する視点から検討されたものである。
上述したように、カラーフィルタに用いられる有機顔料は、一次粒子の平均粒子径が10nm〜80nmと微細であり、230℃以上の高温の焼成処理で結晶成長し易い。本発明の顔料組成物は、フタロシアニン系顔料と、アゾメチン銅錯体系顔料との質量比が、99.7/0.3〜96.5/3.5とすることにより、230℃以上の高温で焼成処理におけるフタロシアニン系顔料の結晶成長抑制を少量のアゾメチン銅錯体系顔料が行うことで、コントラスト低下を抑え、色度xの変化が小さくなり調色を行い易くなると共に、誘電正接(tanδ)が小さくなり、液晶配向不良、スイッチングの閾値ずれがないというカラーフィルタの信頼性を高めることができる。更に、特開2017-97181号公報に記載の、イミド構造を含んだ透明樹脂が、光照射により発生したフタロシアニンラジカルを基底状態のフタロシアニンへと失活させ、色変化を抑える現象が、アゾメチン銅錯体系顔料でも起こり、光照射による色変化も抑えることができる。
【0027】
<金属錯体>
本発明のカラーフィルタ用顔料組成物は、金属錯体を添加することもできる。金属錯体としては、以下の金属錯体(錯体B1〜B6)を使用することができ、あるいは、それらの水和物を使用することもできる。
【0028】
錯体B1としては、下記式(4−1):
【0030】
(式(4−1)中のnは、1、2、3又は4の整数を示し、Mは、
n=1の場合、Li(I)、Na(I)、K(I)のいずれかを示し、
n=2の場合、Be(II)、Mg(II)、Ca(II)、Ti(IV)=O、V(IV)=O、Mn(II)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Cu(II)、Zn(II)、Pd(II)、Mo(VI)O
2、Sn(II)、Sn(IV)Cl
2、Pt(II)のいずれかを示し、
n=3の場合、Al(III)、Sc(III)、V(III)、Cr(III)、Mn(III)、Fe(III)、Co(III)、Ga(III)、Ru(III)、In(III)、La(III)、Pr(III)のいずれかを示し、
n=4の場合、Ti(IV)、Zr(IV)のいずれかを示し、
R
1及びR
2は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のフッ化アルキル基を示す)で表される金属錯体が挙げられ、
なかでも、Be(II)、Mg(II)、Ca(II)、Ti(IV)=O、V(IV)=O、Mn(II)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Cu(II)、Zn(II)、Pd(II)、Mo(VI)O2、Sn(II)、Sn(IV)Cl2、Pt(II)、Al(III)、Sc(III)、V(III)、Cr(III)、Mn(III)、Fe(III)、Co(III)、Ga(III)、Ru(III)、In(III)、La(III)、Pr(III)が好ましく、Be(II)、Mg(II)、Ca(II)、Ti(IV)=O、V(IV)=O、Mn(II)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Cu(II)、Zn(II)、Pd(II)、Mo(VI)O
2、Sn(II)、Sn(IV)Cl
2、Pt(II)、Al(III)、Fe(III)がより好ましい。
このような錯体B1は、適宜合成して用いることもできるし、日本化学産業株式会社製 ナーセム 亜鉛や、東京化成工業株式会社製 ビス(2,4−ペンタンジオナト)ベリリウム(II)のような市販品を用いることもできる。
【0031】
錯体B2としては、下記式(4−2):
【0033】
(式(4−2)中のMは、Zn(II)(以上の場合、m=2)、Al(III)、Cr(III)(以上の場合、m=1)のいずれかを示し、R
3、R
4、R
5及びR
6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はOH基を示す)で表される金属錯体が挙げられ、
なかでも、Zn(II)、Al(III)が好ましく、Zn(II)がより好ましい。
このような錯体B2は、適宜合成して用いることもできるし、和光純薬工業株式会社製 サリチル酸亜鉛三水和物、オリヱント化学工業株式会社製 BONTRON E−304のような市販品を用いることもできる。
【0034】
錯体B3としては、下記式(4−3):
【0036】
で表される金属錯体が挙げられ、
このような錯体B3は、適宜合成して用いることもできるし、東京化成工業株式会社製 (トルエン−3,4−ジチオラト)亜鉛(II)のような市販品を用いることもできる。
【0037】
錯体B4としては、下記式(4−4):
【0039】
で表される金属錯体が挙げられ、
このような錯体B4は、適宜合成して用いることもできるし、東京化成工業株式会社製 ジクロロ(1,10−フェナントロリン)銅(II)のような市販品を用いることもできる。
【0040】
錯体B5としては、下記式(4−5):
【0042】
(式(4−5)中のMは、Zn(II)、Fe(II)、Cu(II)のいずれかを示し、Rは、エチレン基、プロピレン基、o−フェニレン基のいずれかを示し、nは、1又は2の整数を示し、Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、OH基又はμ−O基を示す)で表される金属錯体が挙げられ、
なかでも、Rとしてはエチレン基、プロピレン基が好ましく、プロピレン基がより好ましい。また、Mとしては、Zn(II)、Cu(II)が好ましく、Cu(II)がより好ましい。
このような錯体B5は、適宜合成して用いることもできるし、東京化成工業株式会社製 ビス(1,3−プロパンジアミン)銅(II)ジクロリドのような市販品を用いることもできる。
【0043】
錯体B6としては、下記式(4−6):
【0045】
(式(4−6)中のRはCH
3基又はCHO基を示し、
A
1、A
2及びA
3は各々独立にH、Na又はKを示し、
Mは、Mg(II)、Fe(II)、Cu(II)、Zn(II)を示す)で表される金属錯体が挙げられ、
なかでも、Mは、Fe(II)、Cu(II)、Zn(II)が好ましく、Fe(II)、Cu(II)がより好ましい。
またA
1〜A
3は、H、Naが好ましい。
このような錯体B6は、適宜合成して用いることもできるし、和光純薬工業株式会社製 鉄クロロフィリンナトリウムのような市販品を用いることができる。
【0046】
これら金属錯体は、いずれか一つの金属錯体を選択して単独で、フタロシアニン系顔料に対して用いても良いし、複数併用して用いても良い。
例えば、錯体B1の群の中から1又は2以上選択して用いることもできるし、錯体B2の群の中から1又は2以上選択して用いることもできるし、錯体B5の群の中から1又は2以上選択して用いることもできるし、錯体B6の群の中から1又は2以上選択して用いることもできる。
また、各錯体群を超えて併用することもできる。例えば、錯体B1の群の中から1又は2以上選択して、さらに錯体B3と併用して用いることもできるし、錯体B1の群の中から1又は2以上選択して、錯体B2の群の中から1又は2以上選択して、これらを併用して用いても構わない。
【0047】
<フタロシアニン系顔料と、金属錯体との質量比>
本発明のカラーフィルタ用顔料組成物において、フタロシアニン系顔料と、金属錯体との質量比が、99.999/0.001〜60/40である場合に、より好ましくは99.995/0.005〜75/25である場合に、さらに好ましくは99.99/0.01〜85/15である場合に、カラーフィルタ作製に用いたときに高コントラスト及び高耐光性を発現し、より優れたカラーフィルタを得ることができる。
【0048】
ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム(III)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)チタン(IV)オキシド、トリス(2,4−ペンタンジオナト)バナジウム(III)、サリチル酸亜鉛(II)三水和物、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸亜鉛(II)、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム(III)に関しては、上記の質量比が、99.9/0.1〜60/40である場合に、より好ましくは99.5/0.5〜75/25である場合に、さらに好ましくは99/1〜85/15である場合に、より優れたカラーフィルタを得ることができる。
【0049】
トリス(2,4−ペンタンジオナト)鉄(III)、ビス(2,4−ペンタンジオナト)ニッケル(II)、(トルエン−3,4−ジチオラト)亜鉛(II)、ジクロロ(1,10−フェナントロリン)銅(II)、銅(II)クロロフィリンナトリウムに関しては、上記の質量比が、99.995/0.005〜75/25である場合に、より好ましくは99.99/0.01〜80/20である場合に、さらに好ましくは99.95/0.05〜90/10である場合に、より優れたカラーフィルタを得ることができる。
【0050】
ビス(2,4−ペンタンジオナト)銅(II)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)バナジウム(IV)オキシドに関しては、上記の質量比が、99.999/0.001〜85/15である場合に、より好ましくは99.99/0.01〜90/10である場合に、さらに好ましくは99.95/0.05〜95/5である場合に、より優れたカラーフィルタを得ることができる。
【0051】
なお、フタロシアニン系顔料と金属錯体との混合については、予め、顔料に混合しても良いし、分散時、あるいは、光硬化性組成物の調製時に混合しても良い。金属錯体を複数用いる場合は、それらの金属錯体を予め混合しても良いし、顔料への混合時、分散時、あるいは、光硬化性組成物の調製時に順次混合しても良い。
【0052】
<顔料分散樹脂>
本発明のカラーフィルタ用顔料組成物は、顔料分散樹脂を添加することもできる。顔料分散樹脂としては、以下の樹脂C1〜C2からなる群から選ばれる少なくとも一種であって、顔料分散樹脂全体としての塩基性官能基価と酸性官能基価の差(即ち、塩基価−酸価の値)が−45.8〜90.8mgKOH/gである樹脂あるいは樹脂組成物を使用することができる。
【0053】
樹脂C1の一方としては、塩基性官能基を有する樹脂(C1−1)が挙げられる。塩基性官能基としては、アミノ基、イミノ基、ピリジル基、キノリン基が挙げられ、アミノ基がより好ましい。樹脂骨格としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、窒素原子を含むグラフト樹脂が挙げられ、アクリル樹脂、窒素原子を含むグラフト樹脂がより好ましい。アクリル樹脂の場合、ブロック共重合体でもランダム共重合体でもよく、ブロック共重合体がより好ましい。
【0054】
樹脂C1のもう一方としては、酸性官能基を有する樹脂(C1−2)が挙げられる。酸性官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、リン酸基が挙げられ、カルボキシル基、スルホン酸基がより好ましく、カルボン酸基がさらに好ましい。樹脂骨格としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、グラフト樹脂が挙げられ、アクリル樹脂がより好ましい。アクリル樹脂の場合、ブロック共重合体でもランダム共重合体でもよい。
【0055】
樹脂C2としては、塩基性官能基と酸性官能基の双方を有する樹脂が挙げられる。塩基性官能基および酸性官能基としては、上記に挙げた各種官能基が挙げられ、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基がより好ましい。樹脂骨格としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、グラフト樹脂が挙げられ、アクリル樹脂、グラフト樹脂がより好ましい。アクリル樹脂の場合、ブロック共重合体でもランダム共重合体でもよい。
【0056】
上記のアミノ基は、部分的にあるいは完全に4級アンモニウム化されていても良い。これら樹脂は、C1又はC2のいずれかの樹脂を選択して、フタロシアニン系顔料に対して用いた場合も十分に本発明の効果を奏することができるし、もちろんC1及びC2の両方の樹脂を複数併用して用いても良い。また、樹脂C1−1の群の中から1又は2以上選択して用いることもできるし、樹脂C1−2の群の中から1又は2以上選択して用いることもできるし、樹脂C2の群の中から1又は2以上選択して用いることもできる。
そして、各樹脂群を超えて複数併用することもできる。例えば、樹脂C1−1の群の中から1又は2以上選択し、樹脂C1−2の群の中から1又は2以上選択し、樹脂C−2の群の中から1又は2以上選択して、併用して用いても構わない。
【0057】
上記の樹脂を選択する際、塩基価および酸価のバランスが重要となる。具体的には、樹脂全体に対する塩基価と酸価の差、即ち、塩基価−酸価の値が、−45.8〜90.8mgKOH/gとなる樹脂あるいは樹脂組成物が好ましく、−26.3〜90.8mgKOH/gがさらに好ましく、−11.0〜56.0mgKOH/gが最も好ましい。
【0058】
塩基価と酸価の値は、以下のような測定から求めることができ、それらの値を用いて、塩基価−酸価の値を計算できる。
複数の顔料分散樹脂が混合している場合の、顔料分散樹脂全体としての塩基価−酸価の値は、個別の樹脂の値を混合した重量比で重み付けして算出することもできるし、あるいは、混合した状態の樹脂について測定することでも算出することができる。
【0059】
以下に示す方法は、試料中の塩基価・酸価を測定する方法の一例であり、その他の公知の手法によっても測定ができる。用いるサンプルの量、溶媒の種類・量、滴定試薬の種類・濃度、指示薬の種類等は適宜変えることができる。測定対象の顔料分散樹脂は、有効成分100%のものを用いても良いし、溶液として溶解したものでも良い。また、終点判断は、呈色にて判断しても良いし、電位差滴定を用いても良い。
【0060】
[塩基価の測定方法]
顔料分散樹脂の塩基価は、試料1gを中和するのに要する酸と当量の水酸化カリウムのmg数で表される値であり、以下のような方法で測定することができる。
顔料分散樹脂約5gを精秤し、指示薬であるブロモフェノールブルー試液1mLとともにエタノール100mLに溶解させ、0.5mol/L塩酸で滴定を行い、溶液の色が緑色を呈する点を終点とする。また、同様の操作でブランク試験を実施し、滴定量の補正を行う。次式にて塩基価を計算する。
【0061】
塩基価=28.055×(0.5mol/L塩酸の消費量/mL)/(顔料分散樹脂固形分量/g) (単位:mgKOH/g)
【0062】
[酸価の測定方法]
顔料分散樹脂の酸価は、試料1gを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表される値であり、以下のような方法で測定することができる。
顔料分散樹脂約10gを精秤し、指示薬であるフェノールフタレイン溶液数滴とともにエタノール100mLに溶解させ、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で滴定を行い、溶液の色が淡紅色を呈する点を終点とする。また、同様の操作でブランク試験を実施し、滴定量の補正を行う。次式にて酸価を計算する。
【0063】
酸価=5.611×(0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の消費量/mL)/(顔料分散樹脂固形分量/g) (単位:mgKOH/g)
【0064】
また、顔料分散樹脂の塩基価および酸価は、以下のような方法でも測定することができる。顔料分散体自体を上記方法のような方法によって滴定を行い、溶媒を揮発させた残分の重量や、遠心分離を行った後に回収される顔料の重量から求められる、分散体の溶媒および顔料の重量割合と組み合わせることで、顔料分散樹脂等の塩基価および酸価を測定することもできる。
【0065】
<フタロシアニン系顔料と、顔料分散樹脂との質量比>
本発明のカラーフィルタ用顔料組成物は、フタロシアニン系顔料と、顔料分散樹脂との質量比(顔料/樹脂)が、1/0.1〜1/1である場合に、より好ましくは1/0.2〜1/0.9である場合に、さらに好ましくは1/0.3〜1/0.8である場合に、カラーフィルタ作製に用いたときに高コントラスト及び高耐光性を発現し、より優れたカラーフィルタを得ることができる。
【0066】
本発明の顔料組成物は、例えば、有機顔料と、必要に応じて、その他の顔料誘導体やポリマーを、前記した質量割合となる様に、任意の順序で混合すれば製造することが出来る。本発明の顔料組成物は、予め有機顔料と誘導体とを充分に混合し、そこにその他の顔料誘導体やポリマーを加えても良い。必要であれば、有機顔料およびその他の顔料誘導体やポリマーを予め混合前に、混合しながら、或いは、混合後に、ボールミリングやアトライター等の公知慣用の手段により摩砕して、前記した好適な粒子径比率となる様にすることもできる。
【0067】
しかしながら、より高い改良効果を発現させる顔料組成物を簡便に製造する方法がある。それは、有機顔料をソルベントソルトミリング処理する方法である。
【0068】
本発明においてソルベントソルトミリング処理とは、有機顔料と、無機塩と、有機溶剤とを混練摩砕することを意味する。この処理を行う場合には、有機顔料として粗顔料を用いることもできる。
【0069】
このソルベントソルトミリング処理により、有機顔料の微細化および分散が行われる。この処理により得られた顔料組成物は、カラーフィルタに含有されることにより、高い輝度を発現する。
【0070】
前記した顔料誘導体やポリマーは、前記した様に本発明の顔料組成物を製造する任意の段階において、系内に含ませることが出来るが、各成分を均一に分散させる観点から、それは、予め有機顔料に含有させてから、ソルベントソルトミリング処理されることが好ましい。
【0071】
そのため、ソルベントソルトミリング処理は、顔料誘導体及び/又はポリマーを含有した、有機顔料と、無機塩と、それを溶解しない有機溶剤とを混練摩砕することが好ましい。
【0072】
ポリマーで有機顔料を被覆する代表的な方法としては、例えば、顔料組成物の製造前、製造中、製造後に、それを含ませる方法がある。具体的には、例えば、予め得たポリマーで被覆されていない本発明の顔料組成物に対して、ポリマーを加えて析出させる方法、ポリマーのエマルジョンを加える方法、ポリマーと共に混練摩砕する方法等がある。ソルベントソルトミリング処理において、有機顔料の結晶制御を充分に行うためには、顔料誘導体の優れた結晶成長抑制作用を利用することが好ましく、ポリマーが、有機顔料に誘導体が吸着することを阻害しない様にすることが好ましい。結晶制御が終了した後には、これら顔料や顔料誘導体等はポリマーで被覆されても良い。
【0073】
ソルベントソルトミリング処理は、前記した各原料を混練機に仕込み、その中で混練摩砕することで行うことが出来る。この際の混練手段としては、例えば、ニーダーやミックスマーラー等の混練機が挙げられる。
【0074】
前記摩砕用無機塩としては、水溶性無機塩が好適に使用出来、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を使用することが好ましい。また、平均粒子径が0.3〜70μmの無機塩を使用することがより好ましい。この様な無機塩としては、通常の摩砕用無機塩を微粉砕することにより容易に得ることが出来る。
【0075】
本発明の好適な顔料組成物を得るに当たっては、無機塩の使用量を、質量換算で、有機顔料の合計1部当たり3〜30部、なかでも7〜30部、特に15〜30部とするのが好ましい。
【0076】
有機溶剤としては、例えば、ジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2ー(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等を使用することが出来る。
【0077】
有機溶剤の使用量は、特に限定されるものではないが、質量換算で、有機顔料の合計1部当たり0.01〜5部が好ましい。
【0078】
本発明の顔料組成物の製造方法においては、ソルベントソルトミリング処理をする際に、意図する色相に調色する目的で、必要であれば、さらに有機顔料や顔料誘導体を含有させることができる。
【0079】
ソルベントソルトミリング処理において、前記したような無機塩や有機溶剤は、最初の仕込み段階で必要量全量を仕込んで以降そのまま、有機顔料と顔料誘導体を必須成分として含む混合物が、前記した必要な一次粒子の平均粒子径となるまで摩砕を行っても良いし、必要量の一部だけを仕込んで摩砕を開始し、途中で無機塩および/または有機溶剤の残量を、一括または分割して仕込む様にして摩砕を行うようにしても良い。
【0080】
ソルベントソルトミリング処理時の温度は、150℃以下が好ましく、なかでも60〜120℃がより好ましい。また、ソルベントソルトミリング処理の時間は、3時間から36時間が好ましく、なかでも5〜24時間がより好ましい。
【0081】
ソルベントソルトミリング中の経時サンプリングから、顔料組成物中の粒子の平均粒子径値等に基づいて、必要とする特性をもった本発明の顔料組成物を得るソルベントソルトミリングの条件を選定することが出来る。
【0082】
こうして、本発明の顔料組成物、無機塩、有機溶剤を主成分として含む混合物が得られるが、この混合物から有機溶剤と、無機塩とを除去し、固形物を洗浄、濾過、乾燥、粉砕等を行うことにより、本発明の顔料組成物の粉体を得ることが出来る。
【0083】
尚、この洗浄方法としては、水洗、湯洗のいずれをも採用することが出来る。水溶性無機塩および有機溶剤を用いた前記混合物の場合は、水洗することで容易に有機溶剤と無機塩を除去することが出来る。比電導度のもととなる物質は、極力除去されていることが好ましい。特に、カラーフィルタ画素部を調製するための本発明の顔料組成物は、比電導度50μS/cm以下、好ましくは20μS/cm以下となるまで洗浄を行うのが好ましい。
【0084】
前記した洗浄、濾過後の乾燥方法としては、例えば、乾燥機に設置した加熱源による80〜120℃の加熱等により、液媒体を含んだ本発明の顔料組成物の脱水および/または脱溶剤をする回分式あるいは連続式で乾燥する方法等が挙げられる。またその際に使用する乾燥機としては、例えば、箱型乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライヤー等が挙げられる。
【0085】
乾燥後の粉砕方法としては、顔料組成物の比表面積を大きくしたり、一次粒子の平均粒子径を小さくするための操作ではなく、箱型乾燥機やバンド乾燥機を使用して乾燥する場合に、ランプ形状等のものとなった顔料組成物を解して粉末化するために行うものであり、例えば、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等による粉砕方法が挙げられる。
【0086】
本発明の顔料組成物は、従来公知の方法でカラーフィルタ画素部に使用することが出来る。本発明の顔料組成物を使用してカラーフィルタ画素部を製造するに当たっては、顔料分散法が好適に採用出来る。
【0087】
この方法で代表的な方法は、フォトリソグラフィー法であり、これは、後記する光硬化性組成物を、カラーフィルタ用の透明基板のブラックマトリックスを設けた側の面に塗布、加熱乾燥(プリベーク)した後、フォトマスクを介して紫外線を照射することでパターン露光を行って、画素部に対応する箇所の光硬化性化合物を硬化させた後、未露光部分を現像液で現像し、非画素部を除去して画素部を透明基板に固着させる方法である。この方法では、光硬化性組成物の硬化着色皮膜からなる画素部が透明基板上に形成される。
【0088】
赤色、緑色、青色の各色ごとに、後記する光硬化性組成物を調製して、前記した操作を繰り返すことにより、所定の位置に赤色、緑色、青色の着色画素部を有するカラーフィルタを製造することが出来る。
【0089】
赤色画素部を形成するための顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 254、同177などが挙げられる。
青色画素部を形成するための顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 15:6(ε型銅フタロシアニン顔料)やC.I.Pigment Violet 23(ジオキサジンバイオレット顔料)等が挙げられる。
緑色画素部を形成するための顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、同36、同58、同59、同62、同63等の金属フタロシアニン顔料などが挙げられる。緑色画素部の形成には、C.I.Pigment Yellow 138、同139、同150等の黄色顔料を併用することもできる。その後、必要に応じて、未反応の光硬化性化合物を熱硬化させるために、カラーフィルタ全体を加熱処理(ポストベーク)することもできる。
【0090】
後記する光硬化性組成物をガラス等の透明基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、インクジェット法等が挙げられる。
【0091】
透明基板に塗布した光硬化性組成物の塗膜の乾燥条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常、50〜150℃で、1〜15分間程度である。この加熱処理を一般に「プリベーク」という。また、光硬化性組成物の光硬化に用いる光としては、200〜500nmの波長範囲の紫外線、あるいは可視光を使用するのが好ましい。この波長範囲の光を発する各種光源が使用出来る。
【0092】
現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等が挙げられる。光硬化性組成物の露光、現像の後に、必要な色の画素部が形成された透明基板は水洗いし乾燥させる。こうして得られたカラーフィルタは、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、100〜280℃で、所定時間加熱処理(ポストベーク)することによって、着色塗膜中の揮発性成分を除去すると同時に、光硬化性組成物の硬化着色皮膜中に残存する未反応の光硬化性化合物が熱硬化し、カラーフィルタが完成する。
【0093】
カラーフィルタの画素部を形成するための光硬化性組成物(顔料分散フォトレジストとも呼ばれる。)は、本発明の顔料組成物と、分散剤と、光硬化性化合物と、有機溶剤とを必須成分とし、必要に応じて熱可塑性樹脂を用いて、これらを混合することで調製することが出来る。画素部を形成する着色樹脂皮膜に、カラーフィルタの実生産で行われるベーキング等に耐え得る強靱性等が要求される場合には、前記光硬化性組成物を調製するに当たって、光硬化性化合物だけでなく、この熱可塑性樹脂を併用することが不可欠である。熱可塑性樹脂を併用する場合には、有機溶剤としては、それを溶解するものを使用するのが好ましい。
【0094】
前記光硬化性組成物の製造方法としては、本発明の顔料組成物と、有機溶剤と分散剤とを必須成分として使用し、これらを混合し均一となる様に攪拌分散を行って、まずカラーフィルタの画素部を形成するための顔料分散液(着色ペーストとも呼ばれる。)を調製してから、そこに、光硬化性化合物と、必要に応じて熱可塑性樹脂や光重合開始剤等を加えて前記光硬化性組成物とする方法が一般的である。
【0095】
ここで分散剤としては、例えば、ビックケミー社製のディスパービック130、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック170等が挙げられる。また、レベリング剤、カップリング剤、カチオン系の界面活性剤等も併せて使用可能である。
【0096】
有機溶剤としては、例えば、トルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物の様なカルバミン酸エステル等が挙げられる。有機溶剤としては、特にプロピオネート系、アルコール系、エーテル系、ケトン系、窒素化合物系、ラクトン系等の極性溶媒で水可溶のものが好ましい。水可溶の有機溶剤を使用する場合には、それに水を併用することも出来る。
【0097】
光硬化性組成物の調製に使用する熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド酸系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等が挙げられる。
【0098】
光硬化性化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマー、トリメチルロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の比較的分子量の小さな多官能モノマー、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート等の様な比較的分子量の大きな多官能モノマーが挙げられる。
【0099】
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン−2’−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸等が挙げられる。
【0100】
前記した様な各材料を使用して、本発明の顔料組成物は、質量換算で、その100部当たり、300〜1,000部の有機溶剤と、0〜100部の分散剤とを、均一となる様に攪拌分散して前記顔料分散液を得ることが出来る。次いで該顔料分散液に、本発明の顔料組成物1部当たり、熱可塑性樹脂と光硬化性化合物の合計が3〜20部、光硬化性化合物1部当たり0.05〜3部の光重合開始剤と、必要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に攪拌分散してカラーフィルタ画素部を形成するための光硬化性組成物を得ることが出来る。この様な光硬化性組成物は、通常は、分散粒子の平均粒子径が100nm以下となる様に調製される。
【0101】
本発明の顔料組成物から調製された顔料分散液や光硬化性組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子さらに好ましくは、0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0102】
現像液としては、公知慣用の有機溶剤やアルカリ水溶液を使用することが出来る。特に前記光硬化性組成物に、熱可塑性樹脂または光硬化性化合物が含まれており、これらの少なくとも一方が酸価を有し、アルカリ可溶性を呈する場合には、アルカリ水溶液での洗浄がカラーフィルタ画素部の形成に効果的である。
【0103】
顔料分散法のうち、フォトリソグラフィー法によるカラーフィルタ画素部の製造方法について詳記したが、本発明の顔料組成物を使用して調製されたカラーフィルタ画素部は、その他の電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(Photovoltaic Electrodeposition)法等の方法で画素部を形成して、カラーフィルタを製造してもよい。
【0104】
カラーフィルタは、青色顔料組成物、緑色顔料組成物、赤色顔料組成物を使用して得た各色の光硬化性組成物を使用し、平行な一対の透明電極間に液晶材料を封入し、透明電極を不連続な微細区間に分割すると共に、この透明電極上のブラックマトリクスにより格子状に区分けされた微細区間のそれぞれに、赤(R)、緑(G)および青(B)のいずれか1色から選ばれたカラーフィルタ着色画素部を交互にパターン状に設ける方法、あるいは基板上にカラーフィルタ着色画素部を形成した後、透明電極を設ける様にすることで得ることが出来る。
【0105】
尚、本発明のカラーフィルタ用顔料組成物は、公知慣用の各種用途、例えば、塗料、プラスチック(樹脂成型品)、印刷インキ、ゴム、レザー、静電荷像現像用トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写インキ等の着色にも適用することも出来る。
【実施例】
【0106】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において特に断りがない場合は、「部」及び「%」は質量基準である。
また、後記する実施例で使用した測定方法は以下の通り。
【0107】
[輝度の評価]
得られたカラーフィルタのC光源における色度x,y及び輝度を、分光光度計U−3900(株式会社日立ハイテクサイエンス製)で測定し、所定の色度における輝度を算出した。輝度は高いほど優れる。
【0108】
[コントラストの評価]
得られたカラーフィルタの230℃焼成前後のコントラストをコントラストテスター(壺坂電気株式会社製、装置名:CT−1)を用いて測定した。この装置は2枚の偏光板の間にカラーフィルタを設置する場所があり、偏光板の一方には光源を、更にその反対側には色彩輝度計を設置しているものである。偏光軸が平行になる時と垂直になる時との輝度(透過光強度)の比よりコントラストを算出している。尚、カラーフィルタのない状態であるブランクのコントラストが、10,000となるように、あらかじめ調整してから測定した。コントラストは高いほど優れる。
【0109】
[耐熱性の評価]
SEMI D29−1101「FPDカラーフィルタの耐熱性試験方法」に準じ、スピンコートし、90℃で3分乾燥してカラーフィルタ基板を分光光度計U−3900(株式会社日立ハイテクサイエンス製)で色度を測定した後、230℃1時間焼成後のカラーフィルタ基板を分光光度計U−3900で、色度を測定した後、230℃1時間焼成前後の色度xより色差Δxを計算した。Δxが小さい程優れる。
【0110】
[誘電正接(tanδ)]
電極用に金を蒸着したガラス基板上に、230℃1時間焼成後の塗膜の膜厚が1〜2μmとなるようなCF塗膜を作成した。得られた塗膜上に、電極用のクロムを蒸着し、塗膜を金電極で挟んだコンデンサセルサンプルを作製した。得られたサンプルについて、インピーダンスアナライザ(Solartron SI1260 東陽テクニカ社製)により、1から10000Hzにおけるインピーダンスの実部と虚部を測定し、誘電正接(tanδ)を算出した。誘電正接は小さい程、カラーフィルタの信頼性が優れ、比較例1の1から10000Hzの誘電正接に対して、これより全体的に低いものを○とし、全体的に同じものを△とし、全体的に高いものを×とした。
【0111】
[耐光性の評価]
まず、得られたカラーフィルタ(230℃焼成後のもの)について、分光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、装置名:U3900)で、C光源における色度x,y及び輝度Yを測定した。この時の輝度を初期輝度Ybeforeとする。
次に、このカラーフィルタの塗膜上に2滴のヘキサデカンを載せ、何も塗布していないガラス板で挟み込んだ後、360nm以下の波長をカットする光学フィルタを装着した耐光性試験機(株式会社東洋精機製作所製、装置名:サンテスト CPS+)を用いて、キセノンランプ光を照射した(設定温度100℃、5時間照射)。照射後のカラーフィルタについて、ヘキサン洗浄によりヘキサデカンを除去し、常温で乾燥した後、再度、分光硬度計にて輝度Yを測定した。この時の輝度を照射後輝度Yafterとする。
各カラーフィルタの耐光性は、照射前後での輝度変化に着目し、以下のように数値化した。まず、各カラーフィルタについて、輝度低下幅ΔY=(Ybefore−Yafter)/Ybeforeを算出した。次に照射試験間差をなくすため、各照射実験において同時測定した標準サンプル(後記の比較例1記載のカラーフィルタ)のΔY(これをΔYstdとする)によって規格化した値である輝度低下相対幅ΔYnorm=ΔY/ΔYstd×100[%]求めた。耐光性はこのΔYnormによって評価した。ΔYnormは、小さいほど耐光性に優れる。
【0112】
総合評価は、230℃1時間焼成後のコントラストを重視し、これにΔxと誘電正接と耐光性を加味して、カラーフィルタのバランスとして優れているものを◎、良いものを○、劣るものを△、さらに劣るものを×とした。
【0113】
[実施例1]
97部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメントグリーン58と3部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメント イエロー129をドライブレンドし、緑色顔料組成物1を得た。
2.48部の緑色顔料組成物1をビックケミー社製BYK−LPN6919(有効成分60%溶液、固形分アミン価120.0mgKOH/g) 1.24部、DIC株式会社製 ユニディックZL−295(有効成分40%溶液、固形分酸価75.0mgKOH/g) 1.86部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.92部と共に0.3−0.4mmφセプルビーズ(サンゴバン株式会社製)38部を用いて、東洋精機株式会社製ペイントコンディショナーで2時間分散して、着色組成物(MG1)を得た。着色組成物(MG1)4部、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 0.98部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.22部を加えて、ペイントシェーカーで混合することでカラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG1)を得た。この評価用組成物(CG1)をソーダガラスに色度y=0.500となるように膜厚を変えてスピンコートし、90℃で3分乾燥して評価用カラーフィルタ基板を得た。この評価用ガラス基板のコントラストを測定したところ、7408であった。更に、230℃で1時間焼成を行い、焼成後のカラーフィルタを得た。焼成後のカラーフィルタ基板のコントラストは6517で、Δxは0.0050であった。
【0114】
[実施例2]
実施例1の97部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメントグリーン58を99部とし、3部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメント イエロー129を1部として、上記と同様にして緑色顔料組成物2を得た。 次に着色組成物(MG2)、カラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG2)を作成し、90℃で3分乾燥して評価用カラーフィルタ基板を得た。この評価用ガラス基板のコントラストを測定したところ、7291であった。更に、230℃で1時間焼成を行い、焼成後のカラーフィルタを得た。焼成後のカラーフィルタ基板のコントラストは6477で、Δxは0.0067であった。
【0115】
[実施例3]
実施例1の97部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメントグリーン58を99.5部とし、3部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメント イエロー129を0.5部として、上記と同様にして緑色顔料組成物3を得た。次に、色組成物(MG3)、カラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG3)を作成し、90℃で3分乾燥して評価用カラーフィルタ基板を得た。この評価用ガラス基板のコントラストを測定したところ、7129であった。更に、230℃で1時間焼成を行い、焼成後のカラーフィルタを得た。焼成後のカラーフィルタ基板のコントラストは6500で、Δxは0.0069であった。
【0116】
[実施例4]
実施例1の3部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメント イエロー129を平均一次粒子径79nmのC.I.ピグメント イエロー129として、上記と同様にして緑色顔料組成物3を得た。次に、色組成物(MG4)、カラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG4)を作成し、90℃で3分乾燥して評価用カラーフィルタ基板を得た。この評価用ガラス基板のコントラストを測定したところ、6392であった。更に、230℃で1時間焼成を行い、焼成後のカラーフィルタを得た。焼成後のカラーフィルタ基板のコントラストは6405で、Δxは0.0059であった。
【0117】
[実施例5]
実施例1の97部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメントグリーン58を99部とし、3部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメント イエロー129を、1部の平均一次粒子径79nmのC.I.ピグメント イエロー129として、上記と同様にして緑色顔料組成物2を得た。 次に着色組成物(MG5)、カラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG5)を作成し、90℃で3分乾燥して評価用カラーフィルタ基板を得た。この評価用ガラス基板のコントラストを測定したところ、6848であった。更に、230℃で1時間焼成を行い、焼成後のカラーフィルタを得た。焼成後のカラーフィルタ基板のコントラスト、6637で、Δxは0.0070であった。
【0118】
[実施例6]
実施例1のビックケミー社製BYK−LPN6919 1.24部を2.06部、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 1.86部を0.63部として、上記と同様にして緑色顔料組成物6を得た。 次に顔料組成物(MG6)、カラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG6)、を作成し、90℃で3分乾燥して評価用カラーフィルタ基板を得た。この評価用ガラス基板のコントラストを測定したところ、7397であった。更に、230℃で1時間焼成を行い、焼成後のカラーフィルタを得た。焼成後のカラーフィルタ基板のコントラスト、6544で、Δxは0.0038であった。また、耐光性試験を行ったところ、輝度低下相対幅は39%であった。
【0119】
[実施例7]
実施例1のビックケミー社製BYK−LPN6919 1.24部を1.64部、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 1.86部を1.26部として、上記と同様にして緑色顔料組成物7を得た。 次に顔料組成物(MG7)、カラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG7)、を作成し、90℃で3分乾燥して評価用カラーフィルタ基板を得た。この評価用ガラス基板のコントラストを測定したところ、7242であった。更に、230℃で1時間焼成を行い、焼成後のカラーフィルタを得た。焼成後のカラーフィルタ基板のコントラスト、6407で、Δxは0.0042であった。また、耐光性試験を行ったところ、輝度低下相対幅は18%であった。
【0120】
[実施例8]
実施例1のビックケミー社製BYK−LPN6919 1.24部を0.82部、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 1.86部を2.49部として、上記と同様にして緑色顔料組成物8を得た。 次に顔料組成物(MG8)、カラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG8)、を作成し、90℃で3分乾燥して評価用カラーフィルタ基板を得た。この評価用ガラス基板のコントラストを測定したところ、7088であった。更に、230℃で1時間焼成を行い、焼成後のカラーフィルタを得た。焼成後のカラーフィルタ基板のコントラスト、6271で、Δxは0.0038であった。また、耐光性試験を行ったところ、輝度低下相対幅は11%であった。
【0121】
[実施例9]
実施例1のビックケミー社製BYK−LPN6919 1.24部を0.40部、DIC株式会社製 ユニディックZL−295 1.86部を3.12部として、上記と同様にして緑色顔料組成物9を得た。 次に顔料組成物(MG9)、カラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG9)、を作成し、90℃で3分乾燥して評価用カラーフィルタ基板を得た。この評価用ガラス基板のコントラストを測定したところ、6886であった。更に、230℃で1時間焼成を行い、焼成後のカラーフィルタを得た。焼成後のカラーフィルタ基板のコントラスト、6092で、Δxは0.0027であった。また、耐光性試験を行ったところ、輝度低下相対幅は6%であった。
【0122】
[実施例10]
実施例1の97部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメントグリーン58を94.5部をとし、3部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメント イエロー129を、0.5部の平均一次粒子径29nmのC.I.ピグメント イエロー129と、5部の3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸亜鉛(II)(オリヱント化学工業株式会社製 BONTRON E−304)として、上記と同様にして緑色顔料組成物10を得た。 次に顔料組成物(MG10)、カラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG10)、を作成し、90℃で3分乾燥して評価用カラーフィルタ基板を得た。この評価用ガラス基板のコントラストを測定したところ、6981であった。更に、230℃で1時間焼成を行い、焼成後のカラーフィルタを得た。焼成後のカラーフィルタ基板のコントラスト、6481で、Δxは0.0027であった。また、耐光性試験を行ったところ、輝度低下相対幅は34%であった。
【0123】
[実施例11]
実施例1の97部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメントグリーン58を94.5部をとし、3部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメント イエロー129を、0.5部の平均一次粒子径29nmのC.I.ピグメント イエロー129と、5部のビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛(II)として、上記と同様にして緑色顔料組成物11を得た。 次に顔料組成物(MG11)、カラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG11)、を作成し、90℃で3分乾燥して評価用カラーフィルタ基板を得た。この評価用ガラス基板のコントラストを測定したところ、6911であった。更に、230℃で1時間焼成を行い、焼成後のカラーフィルタを得た。焼成後のカラーフィルタ基板のコントラスト、6687で、Δxは0.0027であった。また、耐光性試験を行ったところ、輝度低下相対幅は37%であった。
【0124】
[比較例1]
実施例1の97部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメントグリーン58を100部とし、3部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメント イエロー129を0部として、上記と同様にして緑色顔料組成物3を得た。 次に、着色組成物(MG6)、カラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG6)、を作成し、90℃で3分乾燥して評価用カラーフィルタ基板を得た。この評価用ガラス基板のコントラストを測定したところ、7029であった。更に、230℃で1時間焼成を行い、焼成後のカラーフィルタを得た。焼成後のカラーフィルタ基板のコントラストは6229で、Δxは0.0072であった。
【0125】
[比較例2]
実施例1の97部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメントグリーン58を95.0部とし、3部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメント イエロー129を、5.0部の平均粒子径79nmのC.I.ピグメント イエロー129として、上記と同様にして緑色顔料組成物3を得た。次に、色組成物(MG8)、カラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG8)を作成し、90℃で3分乾燥して評価用カラーフィルタ基板を得た。この評価用ガラス基板のコントラストを測定したところ、6049であった。更に、230℃で1時間焼成を行い、焼成後のカラーフィルタを得た。焼成後のカラーフィルタ基板のコントラストは6164で、Δxは0.0053であった。
【0126】
[比較例3]
実施例1の97部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメントグリーン58を95.0部とし、3部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメント イエロー129を、10.0部の平均粒子径79nmのC.I.ピグメント イエロー129として、上記と同様にして緑色顔料組成物3を得た。次に、色組成物(MG9)、カラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG9)を作成し、90℃で3分乾燥して評価用カラーフィルタ基板を得た。この評価用ガラス基板のコントラストを測定したところ、5376であった。更に、230℃で1時間焼成を行い、焼成後のカラーフィルタを得た。焼成後のカラーフィルタ基板のコントラストは5596で、Δxは0.037であった。
【0127】
[比較例4]
実施例1の97部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメントグリーン58を95.0部とし、3部の平均一次粒子径23nmのC.I.ピグメント イエロー129を、30.0部の平均粒子径79nmのC.I.ピグメント イエロー129として、上記と同様にして緑色顔料組成物3を得た。次に、色組成物(MG10)、カラーフィルタ用緑色画素部を形成するための評価用組成物(CG10)を作成し、90℃で3分乾燥して評価用カラーフィルタ基板を得た。この評価用ガラス基板のコントラストを測定したところ、4058であった。更に、230℃で1時間焼成を行い、焼成後のカラーフィルタを得た。焼成後のカラーフィルタ基板の輝度、コントラストは4826で、Δxは0.007であり、Δxは低いもののコントラストが低く、総合評価は×であった。
【0128】
評価結果を表1、2、3に示す。
実施例と比較例との対比から分かる通り、本発明顔料組成物によれば、230℃、1時間焼成後のコントラストが高く、且つ色度xの変化(Δx)が少なく、耐熱性に優れ、誘電正接が低く信頼性が高いというバランスに優れたカラーフィルタを得ることができる。
【0129】
実施例1〜9は、比較例1〜4に比べて、230℃、1時間焼成後のコントラストが高く、且つ色度xの変化(Δx)が少なく(耐熱性が高く)、誘電正接が低い(電気的信頼性が高い)という、カラーフィルタに要求される各種要求特性のバランスに優れていることがわかる。さらに実施例10〜11は、特定の金属錯体を添加することによって、格段に性能が向上していることがわかる。加えて実施例6〜11は、耐光性が向上するという副次的効果も見られた。
【0130】
【表1】
【0131】
【表2】
【0132】
【表3】