(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の樹脂組成物は、ウレタン樹脂(A)、特定のアクリル樹脂(B)、及び、水(C)を含有するものである。
【0011】
前記ウレタン樹脂(A)は、水(C)に分散し得るものであり、例えば、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基等の親水性基を有するウレタン樹脂;乳化剤で強制的に水(C)中に分散したウレタン樹脂などを用いることができる。これらのウレタン樹脂(A)は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0012】
前記アニオン性基を有するウレタン樹脂を得る方法としては、例えば、カルボキシル基を有する化合物及びスルホニル基を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上の化合物を原料として用いる方法が挙げられる。
【0013】
前記カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−吉草酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0014】
前記スルホニル基を有する化合物としては、例えば、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、2,6−ジアミノベンゼンスルホン酸、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチルスルホン酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0015】
前記カルボキシル基及びスルホニル基は、樹脂組成物中で、一部又は全部が塩基性化合物に中和されていてもよい。前記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミン;モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等のアルカノールアミン;ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム等を含む金属塩基化合物などを用いることができる。
【0016】
前記カチオン性基を有するウレタン樹脂を得る方法としては、例えば、アミノ基を有する化合物の1種又は2種以上を原料として用いる方法が挙げられる。
【0017】
前記アミノ基を有する化合物としては、例えば、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン等の1級及び2級アミノ基を有する化合物;N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン、N−メチルジアミノエチルアミン、N−エチルジアミノエチルアミン等のN−アルキルジアミノアルキルアミンなどの3級アミノ基を有する化合物などを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記ノニオン性基を有するウレタン樹脂を得る方法としては、例えば、オキシエチレン構造を有する化合物の1種又は2種以上を原料として用いる方法が挙げられる。
【0019】
前記オキシエチレン構造を有する化合物としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレングリコール等のオキシエチレン構造を有するポリエーテルポリオールを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0020】
前記強制的に水(C)中に分散するウレタン樹脂を得る際に用いることができる乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等のノニオン性乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルカンスルフォネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン性乳化剤;アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等のカチオン性乳化剤などを用いることができる。これらの乳化剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記ウレタン樹脂(A)としては、具体的には、例えば、前記した親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料、ポリイソシアネート(a1)、ポリオール(a2)、及び必要に応じて鎖伸長剤(a3)の反応物を用いることができる。これらの反応は公知のウレタン化反応を用いることができる。
【0022】
前記ポリイソシアネート(a1)としては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記ポリオール(a2)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記ポリオール(a2)の数平均分子量としては、得られる皮膜の機械的強度の点から、500〜100,000の範囲であることが好ましく、800〜50,000の範囲であることがより好ましい。なお、前記ポリオール(a2)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・カラムクロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0025】
前記鎖伸長剤(a3)としては、例えば、数平均分子量が50〜450の範囲のものであり、具体的には、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、ヒドラジン等のアミノ基を有する鎖伸長剤;エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、トリメチロールプロパン等の水酸基を有する鎖伸長剤などを用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記鎖伸長剤(a3)を用いる場合の使用量としては、皮膜の機械的強度をより一層向上できる点から、前記ポリイソシアネート(a1)、前記ポリオール(a2)及び前記鎖伸長剤(a3)の合計質量中0.5〜30質量%の範囲であることが好ましい。
【0027】
前記ウレタン樹脂(A)の製造方法としては、例えば、前記ポリイソシアネート(a1)と前記ポリオール(a2)と前記親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料を反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを製造し、次いで、必要に応じて前記ウレタンプレポリマーと、前記鎖伸長剤(a3)とを反応させることによって製造する方法;前記ポリイソシアネート(a1)、前記ポリオール(a2)、親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料、及び、必要に応じて前記鎖伸長剤(a3)を一括に仕込み反応させる方法等が挙げられる。これらの反応は、例えば50〜100℃で3〜10時間行うことが挙げられる。
【0028】
前記親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料が有する水酸基、前記ポリオール(a2)が有する水酸基、及び、前記鎖伸長剤(a3)が有する水酸基及びアミノ基の合計と、前記ポリイソシアネート(a1)が有するイソシアネート基とのモル比[(イソシアネート基)/(水酸基及びアミノ基)]としては、0.8〜1.2の範囲であることが好ましく、0.9〜1.1の範囲であることがより好ましい。
【0029】
前記ウレタン樹脂(A)を製造する際には、前記ウレタン樹脂(A)に残存するイソシアネート基を失活させることが好ましい。前記イソシアネート基を失活させる場合には、メタノール等の水酸基を1個有するアルコールを用いることが好ましい。前記アルコールの使用量としては、ウレタン樹脂(A)100質量部に対し、0.001〜10質量部の範囲であることが好ましい。
【0030】
また、前記ウレタン樹脂(A)を製造する際には、有機溶剤を用いてもよい。前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物などを用いることができる。これらの有機溶媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、前記有機溶剤は、蒸留法等によって最終的には除去されることが好ましい。
【0031】
前記ウレタン樹脂(A)のウレタン結合の含有量としては、後述するアクリル樹脂(B)が有する水酸基との水素結合の形成により、ウレタン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)との相溶性が向上し、より一層優れた透明性、風合い、及び屈曲性が得られる点から、0.4〜9mol/kgの範囲が好ましく、0.6〜7mol/kgの範囲がより好ましく、0.8〜5mol/kgの範囲が更に好ましい。なお、前記ウレタン樹脂(A)のウレタン結合の含有量は、前記ポリイソシアネート(a1)、ポリオール(a2)、親水性基を有するウレタン樹脂を製造するために用いる原料、および、鎖伸長剤(a3)の仕込み量から算出される値を示す。
【0032】
前記アクリル樹脂(B)は、水(C)に分散等し得るものである。前記アクリル樹脂(B)の水中での分散形態は特に限定はなく、例えば乳化剤で強制乳化されたエマルジョンや、樹脂中にノニオン性基及び/又は中和されたイオン性基を有したディスパージョン等が挙げられる。前記乳化剤及び中和に用いる中和剤は、前記ウレタン樹脂(A)において用いることができるものと同様のものを用いることができる。
【0033】
前記アクリル樹脂(B)は、ガラス転移温度が40℃以上であることが必須である。前記アクリル樹脂(B)のガラス転移温度が係る範囲であることにより、得られる皮膜が適度な硬さを有し、良好な風合い(触感)を得ることができる。またウレタン樹脂(A)と併用することにより、適度な硬さと伸縮性とを両立できるため、優れた屈曲性が得られる。前記アクリル樹脂(B)のガラス転移温度としては、より一層優れた風合いおよび屈曲性が得られる点から、40〜110℃の範囲であることが好ましく、50〜100℃の範囲がより好ましい。なお、前記アクリル樹脂(B)のガラス転移温度は、JISK7121−1987に準拠し、DSCにより測定した値を示し、具体的には、示差走査型熱量計装置内に前記重合体(A)を入れ、(Tmg+50℃)まで昇温速度10℃/分で昇温した後、3分間保持し、その後急冷し、得られた示差熱曲線から読み取った中間点ガラス転移温度(Tmg)を示す。
【0034】
前記アクリル樹脂(B)は、優れた透明性を得る上で、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル化合物(b−1)を原料とすることが必須である。前記(b−1)を原料とすることにより、更なる効果として、例えば、本願発明の樹脂組成物が、合成皮革の表皮層として使用される際には、表皮層のうえに表面処理層を用いることなく、意匠性の良好な合成皮革を得ることができるため、合成皮革の製造工程の短縮化を実現することができる。
【0035】
前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル化合物(b−1)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレートなどを用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0036】
前記(b−1)の使用量としては、より一層優れた透明性、風合い、及び屈曲性が得られる点から、前記重合性化合物の全量中4〜27質量%の範囲であることが好ましく、6〜25質量%の範囲がより好ましく、8〜24質量%の範囲が更に好ましい。
【0037】
前記重合性化合物としては、前記(b−1)以外の重合性化合物を含有しても良い。
【0038】
前記(b−1)以外の重合性化合物としては、ハンセン溶解度パラメータにおける水素結合項(δH)が2.2MPa
0.5以上である重合性化合物(b−2)を用いることが、ウレタン樹脂(A)との相溶性が向上し、より一層優れた透明性が得られる点から好ましい。前記重合性化合物(b−2)のハンセン溶解度パラメータにおける水素結合項(δH)としては、より一層優れた透明性が得られる点から、2.2〜35MPa
0.5の範囲であることがより好ましく、2.5〜25MPa
0.5の範囲が更に好ましい。
【0039】
なお、前記ハンセン溶解度パラメータとは、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメータを、分散項(δD)、分極項(δP)、水素結合項(δH)の3成分に分割し、3次元空間に表したものである。分散項(δD)は分散力による効果、分極項(δP)は双極子間力による効果、水素結合項(δH)は水素結合力による効果を示す。
【0040】
前記重合性化合物(b−2)のハンセン溶解度パラメータにおける分散項(δD)としては、15.5〜21.5Pa
0.5の範囲であることが好ましく、16〜21.0Pa
0.5の範囲がより好ましい。また、ハンセン溶解度パラメータにおける分極項(δP)としては、0.5〜22Pa
0.5の範囲であることが好ましく、0.9〜20Pa
0.5の範囲がより好ましい。
【0041】
なお、ハンセン溶解度パラメータの定義と計算は、Charles M.Hansen著「Hansen Solubility Parameters;A Users Handbook(CRC Press,2007)」に記載されている。また、コンピュータソフトウェア「Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP)」を用いることにより、文献にパラメータ値の記載がない重合性化合物に関しても、その化学構造からハンセン溶解度パラメータを推算することができる。本発明では、文献にパラメータ値の記載がある重合性化合物については、その値を用い、文献にパラメータ値の記載がない重合性化合物に関しては、HSPiPバージョン4.1.06を用いて推算したパラメータ値を用いる。
【0042】
前記重合性化合物は、1種の化合物を用いることも2種以上の化合物を併用してもよい。2種以上併用する場合は、それぞれの重合性化合物のハンセン溶解度パラメータの3つのパラメータを加重平均した値を用いることができる。
【0043】
前記重合性化合物(b−2)の具体例としては、アクリロニトリル(δD=19.2MPa
0.5、δP=18.5MPa
0.5、δH=5.8MPa
0.5)、ジメタクリル酸エチレングリコール(δD=17.2MPa
0.5、δP=1.3MPa
0.5、δH=3.5MPa
0.5)、フェニルメタクリレート(δD=18.4MPa
0.5、δP=1.7MPa
0.5、δH=3.6MPa
0.5)、メチルメタクリレート(δD=16.6MPa
0.5、δP=1.8MPa
0.5、δH=4MPa
0.5)、イソプロピルメタクリレート(δD=16MPa
0.5、δP=1.3MPa
0.5、δH=2.4MPa
0.5)、シクロヘキシルメタクリレート(δD=17.2MPa
0.5、δP=1MPa
0.5、δH=2.6MPa
0.5)、エチルメタクリレート(δD=16.3MPa
0.5、δP=1.8MPa
0.5、δH=3.4MPa
0.5)、sec−ブチルメタクリレート(δD=16MPa
0.5、δP=0.9MPa
0.5、δH=2.1MPa
0.5)、ベンジルメタクリレート(δD=18.2MPa
0.5、δP=1.7MPa
0.5、δH=3.4MPa
0.5)、イソブチルメタクリレート(δD=16MPa
0.5、δP=1.2MPa
0.5、δH=2.5MPa
0.5)、グリシジルメタクリレート(δD=17.4MPa
0.5、δP=4.5MPa
0.5、δH=5.1MPa
0.5)、ステアリルメタクリレート(δD=16.2MPa
0.5、δP=1.7MPa
0.5、δH=2.7Pa
0.5)、n−プロピルメタクリレート(δD=16.3MPa
0.5、δP=1.5MPa
0.5、δH=3MPa
0.5)、n−ブチルメタクリレート(δD=16.4MPa
0.5、δP=1.6MPa
0.5、δH=3MPa
0.5)、2−メトキシーエチルメタクリレート(δD=16.5MPa
0.5、δP=3MPa
0.5、δH=4.9MPa
0.5)、2−エチルヘキシルメタクリレート(δD=16.1MPa
0.5、δP=1.2MPa
0.5、δH=2.3MPa
0.5)、トリデシルメタクリレート(δD=16.2MPa
0.5、δP=1.7MPa
0.5、δH=2.8MPa
0.5)、ラウリルメタクリレート(δD=16.2MPa
0.5、δP=1.7MPa
0.5、δH=2.8MPa
0.5)、t−ブチルアクリレート(δD=15.5MPa
0.5、δP=2.3MPa
0.5、δH=3.4MPa
0.5)、ステアリルアクリレート(δD=16.2MPa
0.5、δP=2.2MPa
0.5、δH=3.2MPa
0.5)、シクロヘキシルアクリレート(δD=17.5MPa
0.5、δP=2.4MPa
0.5、δH=3.9MPa
0.5)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(δD=17.6MPa
0.5、δP=4.8MPa
0.5、δH=5.4MPa
0.5)、メチルアクリレート(δD=17MPa
0.5、δP=4.7MPa
0.5、δH=6.8MPa
0.5)、ベンジルアクリレート(δD=18.6MPa
0.5、δP=3.2MPa
0.5、δH=4.8MPa
0.5)、ラウリルアクリレート(δD=16.3MPa
0.5、δP=2.4MPa
0.5、δH=3.5MPa
0.5)、イソプロピルアクリレート(δD=16.2MPa
0.5、δP=3.1MPa
0.5、δH=4MPa
0.5)、n−ヘキシルアクリレート(δD=16.3MPa
0.5、δP=1.6MPa
0.5、δH=2.9MPa
0.5)、sec−ブチルアクリレート(δD=16.2MPa
0.5、δP=2.3MPa
0.5、δH=3.5MPa
0.5)、フェノキシエチルアクリレート(δD=18.5MPa
0.5、δP=4.7MPa
0.5、δH=5.9MPa
0.5)、エチルアクリレート(δD=16.6MPa
0.5、δP=4.1MPa
0.5、δH=5.5MPa
0.5)、メトキシ−ポリエチレンフリコールアクリレート(オキシエチレン基の付加モル数:9)(δD=16.4MPa
0.5、δP=5.5MPa
0.5、δH=7.1MPa
0.5)、2−メトキシブチルアクリレート(δD=16.4MPa
0.5、δP=4.1MPa
0.5、δH=4.9MPa
0.5)、フェノキシベンジルアクリレート(δD=19.5MPa
0.5、δP=4MPa
0.5、δH=4.7MPa
0.5)、イソブチルアクリレート(δD=16.1MPa
0.5、δP=2.8MPa
0.5、δH=3.9MPa
0.5)、3−エトキシプロピルアクリレート(δD=16.4MPa
0.5、δP=5MPa
0.5、δH=5.2MPa
0.5)、3−メトキシブチルアクリレート(δD=16.5MPa
0.5、δP=4.2MPa
0.5、δH=5.1MPa
0.5)、n−プロピルアクリレート(δD=16.5MPa
0.5、δP=3.4MPa
0.5、δH=4.7MPa
0.5)、メトキシトリエチレングリコールアクリレート(δD=16.6MPa
0.5、δP=5.3MPa
0.5、δH=7MPa
0.5)、2−エトキシエチルアクリレート(δD=16.5MPa
0.5、δP=4.6MPa
0.5、δH=6MPa
0.5)、2−エトキシブチルアクリレート(δD=16.2MPa
0.5、δP=3.9MPa
0.5、δH=4.4MPa
0.5)、トリデシルアクリレート(δD=16.3MPa
0.5、δP=2.4MPa
0.5、δH=3.4MPa
0.5)、ブチルアクリレート(δD=16.6MPa
0.5、δP=3.2MPa
0.5、δH=4.5MPa
0.5)、n−ヘキシルアクリレート(δD=16.4MPa
0.5、δP=2.9MPa
0.5、δH=4.1MPa
0.5)、2−メトキシエチルアクリレート(δD=16.7MPa
0.5、δP=5MPa
0.5、δH=6.9MPa
0.5)、ノニルアクリレート(δD=16.4MPa
0.5、δP=2.6MPa
0.5、δH=3.7MPa
0.5)、ヘプチルアクリレート(δD=16.4MPa
0.5、δP=3MPa
0.5、δH=3.8MPa
0.5)、2−エチルヘキシルアクリレート(δD=16.2MPa
0.5、δP=2.2MPa
0.5、δH=3.2MPa
0.5)、エトキシジエチレングリコールアクリレート(δD=16.4MPa
0.5、δP=4.8MPa
0.5、δH=6.3MPa
0.5)、n−オクチルアクリレート(δD=16.4MPa
0.5、δP=2.7MPa
0.5、δH=3.8MPa
0.5)、メタクリル酸(δD=17MPa
0.5、δP=3.4MPa
0.5、δH=12.6MPa
0.5)、イタコン酸(δD=18.1MPa
0.5、δP=7.9MPa
0.5、δH=21.7MPa
0.5)、アクリル酸(δD=19.6MPa
0.5、δP=8.9MPa
0.5、δH=22MPa
0.5)、マレイン酸(δD=20MPa
0.5、δP=18.2MPa
0.5、δH=9.6MPa
0.5)、N−メチロールアクリルアミド(δD=20.5MPa
0.5、δP=22MPa
0.5、δH=25.2MPa
0.5)、アクリルアミド(δD=18.9MPa
0.5、δP=18.9MPa
0.5、δH=16.4MPa
0.5)、ジアセトンアクリルアミド(δD=17.6MPa
0.5、δP=10.7MPa
0.5、δH=6.3MPa
0.5)、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート(δD=21.3MPa
0.5、δP=14.4MPa
0.5、δH=30.8MPa
0.5)、酢酸ビニル(δD=17MPa
0.5、δP=4.7MPa
0.5、δH=6.8MPa
0.5)等が挙げられる。これらの重合性化合物(b−2)は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中での、より一層優れた透明性が得られる点から、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、エチルメタクリレート、及び、シクロヘキシルメタクリレートからなる群より選ばれる1種以上の化合物を用いることが好ましい。
【0044】
前記(b−1)及び(b−2)以外に用いることができるその他の重合性化合物としては、例えば、α−メチルスチレン(δD=18.2MPa
0.5、δP=0MPa
0.5、δH=0.4MPa
0.5)、t−ブチルスチレン(δD=17.2MPa
0.5、δP=0.8MPa
0.5、δH=1.1MPa
0.5)、スチレン(δD=18.8MPa
0.5、δP=0.7MPa
0.5、δH=1.8MPa
0.5)、m−メチルスチレン(δD=18.7MPa
0.5、δP=0.9MPa
0.5、δH=1.1MPa
0.5)、p−メチルスチレン(δD=18.9MPa
0.5、δP=1.6MPa
0.5、δH=2.1MPa
0.5)、メタクリロニトリル(δD=16.7MPa
0.5、δP=9.1MPa
0.5、δH=1.7MPa
0.5)、イソボルニルメタクリレート(δD=17.1MPa
0.5、δP=1.8MPa
0.5、δH=2.1MPa
0.5)、t−ブチルメタクリレート(δD=15.5MPa
0.5、δP=0.9MPa
0.5、δH=2.1MPa
0.5)、sec−ブチルメタクリレート(δD=16MPa
0.5、δP=0.9MPa
0.5、δH=2.1MPa
0.5)等が挙げられる。これらの重合性化合物(b−2)は単独で用いても2種以上を併用してもよい。前記その他の重合性化合物の使用量としては、重合性化合物中5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下がより好ましい。
【0045】
前記アクリル樹脂(B)の製造方法としては、公知のラジカル重合を用いることができ、例えば、前記重合性化合物に重合開始剤を添加し、水中で40〜90℃の範囲の温度下で1〜20時間ラジカル重合する方法が挙げられる。
【0046】
前記重合開始剤としては、例えば、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過酸化物;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス−(2−アミノジプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス−(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)2塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル吉草酸ニトリル)等のアゾ化合物などを用いることができる。これらの重合開始剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。前記重合開始剤の使用量としては、例えば、重合性化合物100質量部に対して、0.001〜5質量部の範囲が挙げられる。
【0047】
前記アクリル樹脂(B)の水酸基含有量としては、より一層優れた透明性、風合い、及び屈曲性が得られる点から、300〜2,000mmol/kgの範囲であることが好ましく、600〜1,800mmol/kgの範囲がより好ましい。
【0048】
前記アクリル樹脂(B)の芳香環の含有量としては、ウレタン樹脂(A)との相溶性が向上し、より一層優れた透明性、風合い、及び屈曲性が得られる点から、10mol/kg以下であることが好ましく、1mol/kg以下がより好ましい。
【0049】
前記アクリル樹脂(B)の酸価としては、より一層優れた風合いが得られる点から、0〜25mgKOH/gの範囲であることが好ましい。なお、前記アクリル樹脂(B)の酸価は、中和前のアクリル樹脂1g中に含有する酸基を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数を表し、JISK0070:1996に準拠して測定された値を示す。
【0050】
前記アクリル樹脂(B)の含有量としては、より一層優れた透明性、風合い、及び屈曲性が得られる点から、前記ウレタン樹脂(A)100質量部に対して、1〜100質量部の範囲であることが好ましく、3〜65質量部の範囲がより好ましい。
【0051】
前記水(C)としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、水道水等を用いることができる。これらの中でも、不純物の少ないイオン交換水を用いることが好ましい。
【0052】
前記水(C)の含有量としては、樹脂組成物のハンドリング性、塗工性の点から、樹脂組成物中10〜90質量%の範囲であることが好ましく、30〜80質量%の範囲がより好ましい。
【0053】
本発明の樹脂組成物は、前記ウレタン樹脂(A)、アクリル樹脂(B)、及び水(C)の他にも必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。
【0054】
前記その他の添加剤としては、例えば、増粘剤、ウレタン化触媒、充填剤、発泡剤、顔料、染料、撥油剤、中空発泡体、難燃剤、消泡剤、レベリング剤、ブロッキング防止剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0055】
次に、本発明の合成皮革について説明する。
【0056】
前記合成皮革は、少なくとも、基材(i)、接着層(ii)、及び、表皮層(iii)を有するものであり、前記表皮層(iii)が本発明の樹脂組成物により形成されたものである。
【0057】
前記基材(i)としては、例えば、プラスチック基材;不織布、織布、編み物等の繊維基材を使用することができる。これらの中でも、良好な柔軟性が得られる点から、繊維基材を用いることが好ましい。前記繊維基材を構成するものとしては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、アセテート繊維、レーヨン繊維、ポリ乳酸繊維、綿、麻、絹、羊毛、それらの混紡繊維等を使用することができる。
【0058】
前記接着剤層(ii)は公知の接着剤により形成されるものであり、その厚さとしては、例えば、5〜100μmの範囲である。
【0059】
前記公知の接着剤としては、例えば、湿気硬化型ホットメルト樹脂等の無溶剤ウレタン樹脂組成物、ウレタン樹脂が水中に分散した水系ウレタン樹脂組成物、アクリル樹脂が水中に分散した水系アクリル樹脂組成物、溶剤系ウレタン樹脂組成物、溶剤系アクリル樹脂組成物等を用いることができる。これらの接着剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0060】
前記表皮層(iii)は、本発明の樹脂組成物により形成されるものであり、その厚さとしては、例えば5〜100μmの範囲である。
【0061】
前記合成皮革の製造方法としては、例えば、離型紙上に本発明の樹脂組成物を塗布し、乾燥させて表皮層(iii)を形成した後に、この表皮層上に前記接着剤を塗布し、乾燥させて接着層(ii)を形成させ、この接着層(ii)と基材(i)とを貼り合わせる方法が挙げられる。
【0062】
本発明の樹脂組成物や前記接着剤を塗布する方法としては、例えば、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、アプリケーター等を使用する方法が挙げられる。
【0063】
前記表皮層(iii)及び前記接着層(ii)を形成する際の乾燥条件としては、例えば、40〜120℃で10分〜3日間乾燥する方法が挙げられる。
【0064】
以上、本発明の樹脂組成物は、透明性、風合い、及び屈曲性に優れる皮膜が得られるものである。よって、本発明の樹脂組成物は、合成皮革、手袋、カーテン、シーツ等を製造する材料として好適に用いることができ、特に合成皮革の表皮層の形成に好適に用いることができる。
【実施例】
【0065】
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【0066】
[合成例1]アクリル樹脂(1)の調製
メチルメタクリレート(以下「MMA」と略記する。)60質量部、n−ブチルメタクリレート(以下「BMA」と略記する。)30質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下「HEMA」と略記する。)10質量部、水200質量部、及びノニオン性乳化剤(第一工業製薬株式会社製「ノイゲンEA−207D」、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル)5質量部を混合した後、ホモジナイザー(特殊機化工業株式会社製「TKホモディスパー」)を用いて乳化して単量体乳化物を調製した。
次いで、撹拌機、窒素導入管及び還流冷却器を取り付けたフラスコに、水300質量部を入れ窒素ガス雰囲気下で撹拌混合しながら50℃に昇温した後、過硫酸アンモニウム(以下、「APS」と略記する。)2質量部及びメタ重亜硫酸ナトリウム(以下、「SMS」と略記する。)2質量部をフラスコ内に添加して溶解した。その後、上記で調製した単量体乳化物、5質量%APS水溶液20質量部、及び5質量%SMS水溶液20質量部を3時間かけてフラスコ内に滴下した。なお、この滴下中のフラスコ内の温度は50〜60℃に制御した。滴下終了後、60℃でさらに1時間反応した。その後、室温まで冷却した後、25質量%アンモニア水3.5質量部を加えて中和し、樹脂分が45質量%となるように水を加えて均一に混合して、アクリル樹脂(1)の水分散体を得た。前記アクリル樹脂(1)のガラス転移温度は70℃、水酸基含有量は766mmol/kg、芳香環の含有量は0mmol/kg、酸価は0mgKOH/gであった。
【0067】
[合成例2]アクリル樹脂(2)の調製
MMAの使用量を40質量部に、BMAの使用量を50質量部に変更した以外は合成例1と同様にして、アクリル樹脂(2)の水分散体を得た。前記アクリル樹脂(2)のガラス転移温度は52℃、水酸基含有量は766mmol/kg、芳香環の含有量は0mmol/kg、酸価は0mgKOH/gであった。
【0068】
[合成例3]アクリル樹脂(3)の調製
MMA60質量部をエチルメタクリレート(以下、「EMA」と略記する。)60質量部に、BMA30質量部をシクロヘキシルメタクリレート(以下、「CHMA」と略記する。)30質量部に変更した以外は合成例1と同様にして、アクリル樹脂(3)の水分散体を得た。前記アクリル樹脂(3)のガラス転移温度は60℃、水酸基含有量は766mmol/kg、芳香環の含有量は0mmol/kg、酸価は0mgKOH/gであった。
【0069】
[合成例4]アクリル樹脂(R1)の調製
MMAの使用量を5質量部に、BMAの使用量を85質量部にした以外は合成例1と同様にして、アクリル樹脂(R1)の水分散体を得た。前記アクリル樹脂(R1)のガラス転移温度は27℃、水酸基含有量は766mmol/kg、芳香環の含有量は0mmol/kg、酸価は0mgKOH/gであった。
【0070】
[合成例5]アクリル樹脂(R2)の調製
MMAの使用量を97質量部に、BMA及びHEMAの使用量を0質量部に変更し、更にアクリル酸(以下、「AA」と略記する。)を3質量部追加した以外は合成例1と同様にして、アクリル樹脂(R2)の水分散体を得た。前記アクリル樹脂(R2)のガラス転移温度は102℃、水酸基含有量は0mmol/kg、芳香環の含有量は0mmol/kg、酸価は21mgKOH/gであった。
【0071】
[合成例6]アクリル樹脂(R3)の調製
MMAの使用量を5質量部に、BMAの使用量を5質量部、HEMAの使用量を0質量部に変更し、更にStを90質量部追加した以外は合成例1と同様にして、アクリル樹脂(R3)の水分散体を得た。前記アクリル樹脂(R3)のガラス転移温度は98℃、水酸基含有量は0mmol/kg、芳香環の含有量は8641mmol/kg、酸価は0mgKOH/gであった。
【0072】
[調製例1]接着層形成用樹脂組成物の調製
ポリエーテル系ウレタン樹脂水分散体(DIC株式会社製「ハイドランWLA−407」)100質量部、イソシアネート架橋剤(DIC株式会社製「ハイドランアシスターC5」)10質量部を入れ、メカニカルミキサーで2,000rpmにて2分間撹拌し、次いで真空脱泡器で脱泡することで接着層形成用樹脂組成物を得た。
【0073】
[合成例7]ウレタン樹脂(A−1)組成物の調製
メチルエチルケトン1,296質量部及びオクチル酸第一錫0.1質量部の存在下、ポリカーボネートジオール(宇部興産株式会社製「エタナコールUH−200」)1,000質量部と、ジメチロールプロピオン酸34質量部と、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート262質量部とを、NCO%が0.8%に達するまで70℃で反応させることによって、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A’−1)のメチルエチルケトン溶液を得た。
前記末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A’−1)のメチルエチルケトン溶液2,592質量部とトリエチルアミン28質量部とを混合した後、水2,592質量部と混合し、転相乳化することによって乳化液を得た。
得られた乳化液に、イソホロンジアミン40質量部を含む鎖伸長剤水溶液404質量部を供給し、混合することで鎖伸長反応させた。
次いで、前記反応混合物からメチルエチルケトンを留去することによって、不揮発分30質量%のウレタン樹脂(A−1)組成物を得た。なお、前記ウレタン樹脂(A−1)のウレタン結合の含有量は、1.5mol/kgであった。
【0074】
[合成例8]ウレタン樹脂(A−2)組成物の調製
メチルエチルケトン1,296質量部及びオクチル酸第一錫0.1質量部の存在下、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量;2000)1,000質量部と、ジメチロールプロピオン酸34質量部と、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート262質量部とを、NCO%が0.8%に達するまで70℃で反応させることによって、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A’−2)のメチルエチルケトン溶液を得た。
前記末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A’−2)のメチルエチルケトン溶液2,592質量部とトリエチルアミン28質量部とを混合した後、水2,592質量部と混合し、転相乳化することによって乳化液を得た。
得られた乳化液に、イソホロンジアミン40質量部を含む鎖伸長剤水溶液404質量部を供給し、混合することで鎖伸長反応させた。
次いで、前記反応混合物からメチルエチルケトンを留去することによって、不揮発分30質量%のウレタン樹脂(A−2)組成物を得た。なお、前記ウレタン樹脂(A−2)のウレタン結合の含有量は、1.5mol/kgであった。
【0075】
[実施例1]
合成例7で得られたウレタン樹脂(A−1)組成物90質量部、合成例1で得られたアクリル樹脂(1)の水分散体10質量部、増粘剤(Borchers社製「Borch Gel ALA」)2質量部、黒色顔料(DIC株式会社製「DILAC HS−9550」)5質量部を入れ、メカニカルミキサーで2,000rpmにて2分間撹拌し、次いで真空脱泡器で脱泡することで表皮層形成用樹脂組成物を得た。
【0076】
離型紙(リンテック株式会社製「EK−100D」)上に、得られた表皮層用樹脂組成物をナイフコーターにて塗布した後(塗布厚さ150μm)、熱風乾燥機を使用して70℃で2分間、次いで120℃で2分間乾燥させることにより表皮層を得た。更にこの表皮層上に調製例1で得られた接着層形成用樹脂組成物をナイフコーターを使用して塗布した後(塗布厚さ150μm)、熱風乾燥機を使用して70℃で6分間乾燥させた。最後に、不織布基材を前記乾燥物上に重ね、熱ロールプレス(ロール温度100℃、プレス線圧3MPa/m
2、送り速度1m/min)にて熱圧着させ、さらに熱風乾燥機にて70℃で2日間エージングさせることで合成皮革を得た。
【0077】
[実施例2〜6、比較例1〜3]
用いるウレタン樹脂(A)およびアクリル樹脂(B)の種類並びに使用量を表1〜2に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして合成皮革を得た。
【0078】
[数平均分子量の測定方法]
実施例および比較例で用いたポリオール等の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・カラムクロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定し得られた値を示す。
【0079】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0080】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
【0081】
[透明性の評価方法]
実施例及び比較例で得られた表皮層形成用樹脂組成物において、増粘剤と黒色顔料とを配合する前の樹脂組成物を、塗工後の厚さが150μmとなるように、透明なポリエチレンテレフタレート基材上にナイフコーターを使用して塗工し、熱風乾燥器を使用して70℃で2分間、その後120℃で2分間乾燥した。得られたフィルムを目視で観察し、以下のように評価した。
「5」:透明である。
「3」:やや濁りが確認される。
「1」:白濁している。
【0082】
[風合いの評価方法]
実施例及び比較例で得られた合成皮革の表皮層を指で触り以下のように評価した。
「5」:タック感がない。
「3」:若干のタック感がある。
「1」:タック感がある。
【0083】
[屈曲性の評価方法]
実施例及び比較例で得えられた合成皮革を、株式会社東洋精機製作所製「MIT屈曲試験機」を使用して、25℃で2万回の屈曲試験を行い、試験後の表皮層上の表面状態を目視観察し以下のように評価した。
「5」:クラックがない。
「3」:若干のクラックが確認される。
「1」:クラックが多数確認される。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
本発明の樹脂組成物は、透明性、風合い、及び屈曲性に優れる皮膜が得られることが分かった。
【0087】
一方、比較例1は、アクリル樹脂(B)の代わりに、ガラス転移温度が本発明で規定する範囲を下回るアクリル樹脂を用いた態様であるが、風合いが不良であった。
【0088】
比較例2はアクリル樹脂(B)の代わりに、水酸基を有しないアクリル樹脂を用いた態様であるが、合成皮革の表皮層がくすんだ色合いになり外観が不良であった。
【0089】
比較例3はアクリル樹脂(B)の代わりに、水酸基を有しない、さらにスチレン(δH<2.2のモノマー)を含むアクリル樹脂を用いた態様であるが、合成皮革の表皮層が白濁し外観がさらに不良であった。
本発明は、ウレタン樹脂(A)、アクリル樹脂(B)、及び、水(C)を含有する樹脂組成物であって、前記アクリル樹脂(B)が、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル化合物(b−1)を含有する重合性化合物の重合体であり、ガラス転移温度が40℃以上であることを特徴とする樹脂組成物を提供するものである。また、本発明は、少なくとも、基材(i)、接着層(ii)、及び、表皮層(iii)を有する合成皮革であって、前記表皮層(iii)が、前記樹脂組成物により形成されたものであることを特徴とする合成皮革を提供するものである。前記アクリル樹脂(B)の原料である重合性化合物は、前記(b−1)以外に、ハンセン溶解度パラメータにおける水素結合項(δH)が2.2MPa