特許第6659332号(P6659332)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6659332基板処理装置、基板処理装置の真空吸着テーブルから基板を脱着する方法、及び、基板処理装置の真空吸着テーブルに基板を載置する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6659332
(24)【登録日】2020年2月10日
(45)【発行日】2020年3月4日
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理装置の真空吸着テーブルから基板を脱着する方法、及び、基板処理装置の真空吸着テーブルに基板を載置する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20200220BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20200220BHJP
   B24B 29/00 20060101ALI20200220BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20200220BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   H01L21/304 622L
   B24B29/00 N
   B24B41/06 A
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-238395(P2015-238395)
(22)【出願日】2015年12月7日
(65)【公開番号】特開2017-107900(P2017-107900A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】豊村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 充
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓也
【審査官】 井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−024837(JP,A)
【文献】 特開2005−129837(JP,A)
【文献】 特開平10−102259(JP,A)
【文献】 特開2007−142267(JP,A)
【文献】 特開2001−148415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
B24B 29/00
B24B 41/06
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を載置可能な真空吸着テーブルと、前記真空吸着テーブルの外周に沿って配置される複数のリフトピンと、を備える基板処理装置であって、
前記複数のリフトピンの各々は、基板の外周端面を案内可能な基板案内面を含む先端部と、前記基板案内面から前記リフトピンの径方向外側に延びる基板保持面を含む基端部と、を備えており、
前記複数のリフトピンは、前記複数のリフトピンの基板案内面が真空吸着テーブルの吸着面より下方に配置される下端位置、前記複数のリフトピンの基板保持面が前記真空吸着テーブルの吸着面より上方に配置される上端位置、及び、前記下端位置と前記上端位置との間の中間位置で、停止可能であり、
前記中間位置において、前記複数のリフトピンの基板案内面は、前記真空吸着テーブルの吸着面より上方に配置されており、前記複数のリフトピンの基板保持面は、前記真空吸着テーブルの吸着面より下方に配置されており、
前記真空吸着テーブルは、前記真空吸着テーブルの吸着面に負圧を導入するための真空通路を備えており、
前記複数のリフトピンは、前記真空吸着テーブルの吸着面への負圧の導入が停止された後、前記真空通路内圧力が所定の圧力以上になるまでの間、前記中間位置に保持され、
前記中間位置において、前記基板案内面は、前記真空吸着テーブルに載置された基板の外周を囲む、基板処理装置。
【請求項2】
前記複数のリフトピンは、前記真空吸着テーブルの吸着面への負圧の導入が開始された後、前記真空通路内圧力が所定の圧力以下になるまでの間、前記中間位置に保持される、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記複数のリフトピンを前記下端位置から前記中間位置まで上昇させるための第1のピストンシリンダー装置と、前記複数のリフトピンを前記中間位置から前記上端位置まで上昇させるための第2のピストンシリンダー装置と、を備える、請求項1〜のいずれか一
項に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板処理装置は、前記複数のリフトピンを前記真空吸着テーブルに対して上昇または下降させるリフトピン駆動装置を備えており、
前記リフトピン駆動装置は、前記真空吸着テーブルの外周に沿って配置され且つ前記複数のリフトピンが取り付けられるリフトピン保持部材と、前記リフトピン保持部材を前記真空吸着テーブルに対して上昇または下降させるリフトピン保持部材駆動装置と、を備えており、
前記リフトピン保持部材駆動装置は、第1のピストンシリンダー装置及び第2のピストンシリンダー装置を備えており、
前記複数のリフトピンは、前記第1のピストンシリンダー装置及び前記第2のピストンシリンダー装置のいずれか一方の作動により前記中間位置に移動される、請求項1〜のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1のピストンシリンダー装置は、前記真空吸着テーブルに対して位置固定された第1のシリンダー部と、前記第1のシリンダー部に配置され且つ前記真空吸着テーブルに対して接近または離間する方向に摺動可能な第1のピストン部と、を備えており、
前記第2のピストンシリンダー装置は、前記第1のピストン部に対して位置固定された第2のシリンダー部と、前記第2のシリンダー部に配置され且つ前記真空吸着テーブルに対して接近または離間する方向に摺動可能な第2のピストン部と、を備えており、
前記第1のシリンダー部の内径は、前記第2のシリンダー部の内径よりも大きく、
前記複数のリフトピンは、前記第1のピストンシリンダー装置の作動により前記中間位置に移動される、
請求項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記基板処理装置はバフ処理装置であり、前記真空吸着テーブルはバフテーブルである、請求項1〜のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置の真空吸着テーブルから基板を脱着する方法であって、
前記真空吸着テーブルの外周に沿って配置される前記複数のリフトピンを、前記複数のリフトピンが前記真空吸着テーブルの回転を妨げない前記下端位置、前記複数のリフトピンが前記真空吸着テーブルの吸着面より上方で基板を保持する前記上端位置、及び、前記下端位置と前記上端位置との間の前記中間位置で、停止させることを含み、
前記方法は、
前記複数のリフトピンを、前記下端位置から前記中間位置へ上昇させる工程と、
前記真空吸着テーブルの吸着面への負圧導入を停止する工程と、
前記真空吸着テーブルの吸着面に流体を供給する工程と、
前記真空吸着テーブルの吸着面の圧力が所定の圧力以上になったとき、前記複数のリフトピンを前記中間位置から前記上端位置へ上昇させる工程と、を含む、基板処理装置の真空吸着テーブルから基板を脱着する方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置の真空吸着テーブルに基板を載置する方法であって、
前記真空吸着テーブルの外周に沿って配置される前記複数のリフトピンを、前記複数のリフトピンが前記真空吸着テーブルの回転を妨げない前記下端位置、前記複数のリフトピンが前記真空吸着テーブルの吸着面より上方で基板を保持する前記上端位置、及び、前記下端位置と前記上端位置との間の前記中間位置で、停止させることを含み、
前記方法は、
前記複数のリフトピンを、前記上端位置から前記中間位置へ下降させる工程と、
前記真空吸着テーブルの吸着面に負圧を導入する工程と、
前記真空吸着テーブルの吸着面の圧力が所定の圧力以下になったとき、前記複数のリフトピンを前記中間位置から前記下端位置へ下降させる工程と、
を含む、基板を真空吸着テーブルに載置する方法。
【請求項9】
前記基板処理装置はバフ処理装置であり、前記真空吸着テーブルはバフテーブルである、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記基板処理装置はバフ処理装置であり、前記真空吸着テーブルはバフテーブルである、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハなどの基板の処理装置、基板処理装置の真空吸着テーブルから基板を脱着する方法、及び、基板処理装置の真空吸着テーブルに基板を載置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造において、ウェハWF等の基板の表面を研磨する化学機械研磨(CMP,Chemical Mechanical Polishing)装置が知られている。CMP装置では、研磨テーブルの上面に研磨パッドが貼り付けられて、研磨面が形成される。このCMP装置は、トップリングによって保持される基板の被研磨面を研磨面に押しつけ、研磨面に研磨液としてのスラリーを供給しながら、研磨テーブルとトップリングとを回転させる。これによって、研磨面と被研磨面とが摺動的に相対移動され、被研磨面が研磨される。
【0003】
代表的なCMP装置は、研磨テーブルあるいは研磨パッドは研磨される基板よりも大きく、基板はトップリングによって被研磨面を下向きに保持されて研磨されるものである。研磨後の基板は、ポリビニルアルコール(PVA)などのスポンジ材を回転させながら基板に接触させることにより洗浄され、さらに乾燥される。
【0004】
本願の出願人は、基板の研磨後に、基板よりも小径の接触部材を研磨後の基板に圧しつけて相対運動させる仕上げ処理ユニットを、メインの研磨部とは別にCMP装置内に設けて、基板をわずかに追加研磨したり、洗浄したりする技術について出願している(特許文献2)。
【0005】
仕上げ処理ユニットにおいて、接触部材を高い圧力で接触させて洗浄効果を高めたり研磨速度を高めたりするには、基板の裏面全体に接触するテーブルで基板を保持する必要がある。
【0006】
具体的には、テーブルの支持面に、真空源に接続された流体通路に連通する複数の開口部が形成されており、基板は、これら開口部を通してテーブルに真空吸着される。また、基板は、例えば弾性を有する発泡ポリウレタンから形成される、バッキング材を介してテーブルに吸着されてもよい。この場合、バッキング材における、テーブルの開口部に対応する位置に貫通孔が設けられる。
【0007】
ところで、基板をテーブルに載置する際または基板をテーブルから取り除く際に、テーブルの外周に沿って配置される複数の伸縮可能なリフトピンを使用することができる。具体的には、リフトピンが、テーブルの支持面より上方の位置、すなわち、上端位置で、搬送ロボットにより搬送される基板の下面を支持して受け取る。その後、リフトピンはテーブルの支持面より下方の位置であって基板洗浄または研磨中のテーブルの回転を妨げない位置、すなわち、下端位置まで下降する。リフトピンの下降中、リフトピンがテーブルを通過する際に、基板がテーブルの支持面に載置される。テーブル上での処理が終わった後、リフトピンは、下端位置から上端位置へと上昇される。リフトピンの上昇中、リフトピンがテーブルを通過する際に、リフトピンが基板の下面に当接し、下面を支持して持ち上げる。リフトピンが上端位置に達すると、搬送ロボットが基板を下から掬い上げるようにして持ち上げることにより、リフトピンから搬送ロボットに基板が受け渡される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−92633号公報
【特許文献2】特開平8−71511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、テーブルと搬送ロボットとの間で基板の受け取り/受け渡しが行われる際、リフトピンは、通常、2つの位置、すなわち、上端位置と下端位置との間を連続的に(換言すれば、停止することなく)移動し、その移動中に基板がテーブルへ載置されまたはテーブルから取り除かれる。このとき、特に、基板をテーブルから取り除く際には、テーブルの支持面に対する真空導入を停止した後であっても、基板が支持面から剥がれにくく、リフトピンによって基板にダメージを与えるおそれがある。これは、主に、基板と支持面の間に存在する水または(バッキング材が用いられる場合は)バッキング材の影響による。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、リフトピンによって、基板にダメージを与えることなく基板をテーブルから脱着することができる基板処理装置を提供することができる。また、本発明の一実施形態によれば、リフトピンによって、基板にダメージを与えることなく基板をテーブルから脱着することができる基板の脱着方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、基板を載置可能な真空吸着テーブルと、真空吸着テーブルの外周に沿って配置される複数のリフトピンと、を備える基板処理装置であって、複数のリフトピンの各々は、基板の外周端面を案内可能な基板案内面を含む先端部と、基板案内面からリフトピンの径方向外側に延びる基板保持面を含む基端部と、を備えており、複数のリフトピンは、複数のリフトピンの基板案内面が真空吸着テーブルの吸着面より下方に配置される下端位置、複数のリフトピンの基板保持面が真空吸着テーブルの吸着面より上方に配置される上端位置、及び、下端位置と上端位置との間の中間位置で、停止可能であり、中間位置において、複数のリフトピンの基板案内面は、真空吸着テーブルの吸着面より上方に配置されており、複数のリフトピンの基板保持面は、真空吸着テーブルの吸着面より下方に配置されている、基板処理装置が提供される。この構成によれば、基板と真空吸着テーブルの吸着面との間で真空破壊が行われる間、リフトピンを、下端位置と上端位置との間の中間位置に保持することができる。中間位置では、リフトピンの基板案内面によって基板の外周を囲むことができるので、脱着した基板が吸着面から横方向にずれることがない。従って、リフトピンで基板にダメージを与えることなく基板を真空吸着テーブルから脱着することができる。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、真空吸着テーブルは、真空吸着テーブルの吸着面に負圧を導入するための真空通路を備えており、複数のリフトピンは、真空吸着テーブルの吸着面への負圧の導入が停止された後、真空通路内圧力が所定の圧力以上になるまでの間、中間位置に保持される。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、複数のリフトピンは、真空吸着テーブルの吸着面への負圧の導入が開始された後、真空通路内圧力が所定の圧力以下になるまでの間、中間位置に保持される。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、基板処理装置は、複数のリフトピンを下端位置から中間位置まで上昇させるための第1のピストンシリンダー装置と、複数のリフトピンを中間位置から上端位置まで上昇させるための第2のピストンシリンダー装置と、を備える。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、基板処理装置は、複数のリフトピンを真空吸着テーブルに対して上昇または下降させるリフトピン駆動装置を備えており、リフトピン駆動装置は、真空吸着テーブルの外周に沿って配置され且つ複数のリフトピンが取り付けられるリフトピン保持部材と、リフトピン保持部材を真空吸着テーブルに対して上昇または下降させるリフトピン保持部材駆動装置と、を備えており、リフトピン保持部材駆動装置は、第1のピストンシリンダー装置及び第2のピストンシリンダー装置を備えており、複数のリフトピンは、第1のピストンシリンダー装置及び第2のピストンシリンダー装置のいずれか一方の作動により中間位置に移動される。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、第1のピストンシリンダー装置は、真空吸着テーブルに対して位置固定された第1のシリンダー部と、第1のシリンダー部に配置され且つ真空吸着テーブルに対して接近または離間する方向に摺動可能な第1のピストン部と、を備えており、第2のピストンシリンダー装置は、第1のピストン部に対して位置固定された第2のシリンダー部と、第2のシリンダー部に配置され且つ真空吸着テーブルに対して接近または離間する方向に摺動可能な第2のピストン部と、を備えており、第1のシリンダー部の内径は、第2のシリンダー部の内径よりも大きく、複数のリフトピンは、第1のピストンシリンダー装置の作動により中間位置に移動される。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、基板処理装置の真空吸着テーブルから基板を脱着する方法であって、真空吸着テーブルの外周に沿って配置される複数のリフトピンを、複数のリフトピンが真空吸着テーブルの回転を妨げない下端位置、複数のリフトピンが真空吸着テーブルの吸着面より上方で基板を保持する上端位置、及び、下端位置と上端位置との間の中間位置で、停止させることを含み、方法は、複数のリフトピンを、下端位置から中間位置へ上昇させる工程と、真空吸着テーブルの吸着面への負圧導入を停止する工程と、真空吸着テーブルの吸着面に流体を供給する工程と、真空吸着テーブルの吸着面の圧力が所定の圧力以上になったとき、複数のリフトピンを中間位置から上端位置へ上昇させる工程と、を含む、基板処理装置の真空吸着テーブルから基板を脱着する方法が提供される。この構成によれば、基板と真空吸着テーブルの吸着面との間で真空破壊が行われる間、リフトピンを、下端位置と上端位置との間の中間位置に保持することができる。従って、例えば、リフトピンの基板案内面によって基板の外周を囲むことにより、脱着した基板が吸着面から横方向にずれることを抑制することができる。従って、リフトピンで基板にダメージを与えることなく基板を真空吸着テーブルから脱着することができる。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、基板処理装置の真空吸着テーブルに基板を載置する方法であって、真空吸着テーブルの外周に沿って配置される複数のリフトピンを、複数のリフトピンが真空吸着テーブルの回転を妨げない下端位置、複数のリフトピンが真空吸着テーブルの吸着面より上方で基板を保持する上端位置、及び、下端位置と上端位置との間の中間位置で、停止させることを含み、方法は、複数のリフトピンを、上端位置から中間位置へ下降させる工程と、真空吸着テーブルの吸着面に負圧を導入する工程と、真空吸着テーブルの吸着面の圧力が所定の圧力以下になったとき、複数のリフトピンを中間位置から下端位置へ下降させる工程と、を含む、基板を真空吸着テーブルに載置する方法が提供される。この構成によれば、特に真空吸着テーブルの吸着面上に水が存在する場合等に、吸着面への負圧導入時の基板の横方向のずれを抑制することができる。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、基板処理装置はバフ処理装置であり、真空吸着テーブルはバフテーブルである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の例を示す概略断面図であり、基板が載置された真空吸着テーブル及びその周辺部を示す図である。
図2】基板に対するリフトピンの配置を示す上面図である。
図3】真空吸着テーブルの吸着面を示す図である。
図4A図2のB−B線に沿った概略断面図であり、リフトピンの下端位置を示す図である。
図4B図2のB−B線に沿った概略断面図であり、リフトピンの中間位置を示す図である。
図4C図2のB−B線に沿った概略断面図であり、リフトピンの上端位置を示す図である。
図5A】リフトピン駆動装置の側面図であり、リフトピンが下端位置にあるときの図である。
図5B】リフトピン駆動装置の正面図であり、リフトピンが下端位置にあるときの図である。
図6A】リフトピン駆動装置の側面図であり、リフトピンが中間位置にあるときの図である。
図6B】リフトピン駆動装置の正面図であり、リフトピンが中間位置にあるときの図である。
図7A】リフトピン駆動装置の側面図であり、リフトピンが上端位置にあるときの図である。
図7B】リフトピン駆動装置の正面図であり、リフトピンが上端位置にあるときの図である。
図8】リフトピン駆動装置を構成するピストンシリンダー装置の作動原理を示す概略図である。
図9】本発明の一実施形態による、基板を真空吸着テーブルから脱着するための工程図である。
図10】本発明の一実施形態による、基板を真空吸着テーブルに載置するための工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る基板処理装置の一実施形態を説明する。本実施形態では、基板処理装置の例として、バフ処理装置300Aが記載される。しかし、本発明に係る基板処理装置は、基板を載置可能な真空吸着テーブルと、真空吸着テーブルの外周に沿って配置される複数のリフトピンと、を備えるものであればよく、バフ処理装置には限られない。
【0022】
図1は、バフ処理装置300Aにおける、ウェハ(換言すれば、基板)WFが載置されたバフテーブル(換言すれば、真空吸着テーブル)400及びその周辺部を示す概略図である。図1に示すバフ処理装置300Aは、半導体ウェハなどの基板の研磨処理を行うCMP装置の一部またはCMP装置内の1ユニットとして構成することができる。一例として、バフ処理装置300Aは、研磨ユニット、洗浄ユニット、基板の搬送機構、を有するCMP装置に組み込むことができ、バフ処理装置300Aは、CMP装置内でのメイン研磨の後に仕上げ処理に用いることができる。
【0023】
本明細書において、バフ処理とは、バフ研磨処理とバフ洗浄処理の少なくとも一方を含むものである。
【0024】
バフ研磨処理とは、基板に対してバフパッドを接触させながら、基板とバフパッドを相対運動させ、基板とバフパッドとの間にスラリーを介在させることにより基板の処理面を研磨除去する処理である。バフ研磨処理は、スポンジ材(たとえばPVAスポンジ材)などを用いて基板を物理的作用により洗浄する場合に基板に加えられる物理的作用力よりも強い物理的作用力を基板に対して加えることができる処理である。そのため、バフパッド
としては、たとえば発泡ポリウレタンと不織布を積層したパッド、具体的には市場で入手できるIC1000(商標)/SUBA(登録商標)系や、スウェード状の多孔性ポリウレタン非繊維質パッド、具体的には、市場で入手できるPOLITEX(登録商標)などを用いることができる。バフ研磨処理によって、スクラッチ等のダメージ又は汚染物が付着した表層部の除去、メイン研磨ユニットにおける主研磨で除去できなかった箇所の追加除去、又はメイン研磨後の、微小領域の凹凸や基板全体に渡る膜厚分布といったモフォロジーの改善、を実現することができる。
【0025】
バフ洗浄処理とは、基板に対してバフパッドを接触させながら、基板とバフパッドを相対運動させ、基板とバフパッドとの間に洗浄処理液(薬液、又は、薬液と純水)を介在させることにより基板表面の汚染物を除去したり、処理面を改質したりする処理である。バフ洗浄処理は、スポンジ材などを用いて基板を物理的作用により洗浄する場合に基板に加えられる物理的作用力よりも強い物理的作用力を基板に対して加えることができる処理である。そのため、バフパッドとしては、上述のIC1000(商標)/SUBA(登録商標)系やPOLITEX(登録商標)などが用いられる。さらに、本発明におけるバフ処理装置300Aにおいて、バフパッドとしてPVAスポンジを用いることも可能である。
【0026】
バフテーブル400は、ウェハWFを支持するための支持面(換言すれば、吸着面)402を有する。支持面402は、ウェハWFを吸着するのに使用することのできる真空通路410の開口部404を有する。真空通路410は、真空源716に接続され、ウェハWFを支持面402に真空吸着させることができる。ウェハWFは、バッキング材450を介してバフテーブル400に吸着させるようにしてもよい。バッキング材450は、たとえば弾性を有する発泡ポリウレタンから形成することができる。あるいは、バッキング材450はシリコンゴムであっても良い。バッキング材450は、バフテーブル400とウェハWFとの間の緩衝材として、ウェハWFに傷がつくことを防いだり、バフテーブル400の表面の凹凸のバフ処理への影響を緩和したりすることができる。バッキング材450は、粘着テープによりバフテーブル400の表面に取り付けることができる。バッキング材450は公知のものを利用することができ、バフテーブル400の開口部404に対応する位置に貫通孔452が設けられているものを使用することができる。
【0027】
なお、本明細書において、ウェハWFがバッキング材450を介してバフテーブル400に取り付けられる場合は、バッキング材450が取り付けられた状態におけるバッキング材450の表面がウェハWFを支持する「支持面」となり、バッキング材450を介さずにバフテーブル400に直接的にウェハWFが吸着される場合、バフテーブルの表面がウェハWFを支持する「支持面」となる。以下、単に「支持面」または「バフテーブルの支持面」という場合、この両者の場合を含むものとする。
【0028】
さらに、バフテーブル400は、バフテーブル400上の搬送機構として、図示しない搬送ロボットにより搬送されるウェハWFを受け取り、バフテーブル400にウェハWFを載置するためのリフトピン48を有する。リフトピン48は、バフテーブル400の外周に沿って複数配置されている。リフトピン48は伸縮可能である。リフトピン48は、リフトピン48が突出した状態でウェハWFの外周部を支持して受け取り、その後、リフトピン48が後退してウェハWFをバフテーブル400の支持面402に載置する。バフ処理が終わった後、リフトピン48が突出してウェハWFの外周部を支持して持ち上げ、搬送ロボットがウェハWFを下から掬い上げるようになっている。本実施形態では、リフトピン48の伸縮時、リフトピン48は、後述する上端位置、中間位置、及び下端位置の間で段階的に移動可能である。
【0029】
また、バフテーブル400は、図示していない駆動機構によって回転軸4Aの周りに回転できるようになっている。
【0030】
上記したように、バフテーブル400は、ウェハWFを支持面402に真空吸着させるための負圧が導入される真空通路410を備えている。この真空通路410は、さらに、ウェハWFを脱着させるために使用する窒素源744、バフテーブル400の支持面402を洗浄するときに任意選択で利用することができる純水供給源714および薬液供給源724−2に接続することができる。ウェハWFをバフテーブル400から脱着させる際にも、純水供給源714から純水を供給することができ、純水と窒素の混合物を供給してもよい。バフテーブル400の真空通路410に負圧、純水、薬液、および窒素ガスを供給する配管にはそれぞれ開閉弁756、750、752、754が設けられる。図示しない制御装置を用いて開閉弁756、750、752、754の開閉を制御することにより、任意のタイミングでバフテーブル400の真空通路410を通じて支持面402に負圧、純水、薬液、および窒素ガスを供給することができる。真空通路410内の圧力を測定するための圧力センサ412を、図1に示すように配管に設けることができる。
【0031】
図2は、図1に示される複数のリフトピン48のウェハWFに対する配置を示す上面図である。図2に示されるように、本実施形態では複数(図示の例では4つ)のリフトピン48が、ウェハWFの外周に沿って等間隔に配置されている。リフトピン48は、ウェハWFの外周端面を案内可能な基板案内面48−1を含む先端部と、基板案内面48−1からリフトピン48の径方向外側に延びてウェハWFの下面に当接可能な基板保持面48−2を含む基端部と、を備えている。基板案内面48−1は、テーパ部48−1a(図4A等参照)を含む、実質的に円筒状の外周面である。リフトピン48は、ウェハWFの帯電を防止するように、例えば、炭素繊維強化PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂で形成することができる。
【0032】
ウェハWFは、バフテーブル400の支持面402に載置されている。図3は、バフテーブル400の支持面402を示す図である。図3に示されるように、支持面402には、複数の開口部404(バッキング材450が使用されている場合には、開口部404に連通する貫通孔452)が形成されている。これら複数の開口部は、図1に示される真空通路410に連通しており、ウェハWFのバフ処理中は、真空通路410を介してウェハWFと支持面402との間に負圧が導入されるように構成されている。
【0033】
また、バフテーブル400の外周部には、リフトピン48に対応する位置に複数の円弧状の切欠き部454が形成されている。バッキング材450が使用される場合には、バッキング材450における、バフテーブル400の切欠き部454に対応する位置に同様の切欠き部が形成される。各切欠き部454は、少なくとも、リフトピン48の基板保持面48−2の一部を受け入れることができ、これにより、リフトピン48がバフテーブル400に対して昇降することが許容される。尚、切欠き部454の形状は特に限られず、任意の形状とすることができる。
【0034】
尚、本実施形態では、ウェハWFの半径とバフテーブル400の半径とは実質的に等しく設定されている。従って、切欠き部454には、基板保持面48−2のみが受け入れられる。しかし、ウェハWFの半径及び切欠き部454とリフトピン48の寸法によっては、切欠き部454は、リフトピン48の基板保持面48−2だけでなく、基板案内面48−1も受け入れることができる。
【0035】
本実施形態では、複数のリフトピン48は、バフ処理中のバフテーブル400の回転を妨げないように各リフトピン48が全体にバフテーブル400の切欠き部454の外側に配置される下端位置と、複数のリフトピン48がバフテーブル400の支持面402より上方でウェハWFを保持する上端位置と、下端位置と上端位置との間の中間位置と、の間で段階的に移動可能である(すなわち、下端位置、上端位置、及び、中間位置で停止可能
である)。
【0036】
図4A乃至図4Cは、図2のB−B線に沿った概略断面図であり、それぞれ、リフトピン48の下端位置、中間位置、上端位置を示している。図4Aに示す下端位置では、切欠き部454内にリフトピン48の部分は存在せず、従って、バフ処理中のバフテーブル400の回転が妨げられることはない。図4Bに示す中間位置では、リフトピン48の基板案内面48−1は、バフテーブル400の支持面402より上方の位置まで延びており、リフトピン48の基板保持面48−2が切欠き部454内に位置している。これにより、複数のリフトピン48の基板案内面48−1によって、バフテーブル400の支持面402に載置されたウェハWFの外周を囲むことができる(図2参照)。しかし、中間位置において、基板保持面48−2は、必ずしも切欠き部454内に位置していなくてもよい。
【0037】
リフトピン48は、ウェハWFがバフテーブル400から取り外されるとき、及び、ウェハWFがバフテーブル400に載置されるときのそれぞれにおいて、一定時間の間、図4Bに示す中間位置に保持される。具体的には、ウェハWFがバフテーブル400から取り外されるとき、リフトピン48は、図1に示す真空通路410を通してウェハWFと支持面402との間に導入される負圧が停止された後、真空通路410内の圧力(したがって支持面402における圧力)が所定の圧力以上になるまでの間、中間位置に保持される。また、ウェハWFがバフテーブル400に載置されるとき、リフトピン48は、図1に示す真空通路410を介したバフテーブル400の支持面402への負圧の導入が開始された後、真空通路410内の圧力(したがって支持面402における圧力)が所定の圧力以下になるまでの間、中間位置に保持される。
【0038】
図4Cに示す上端位置では、ウェハWFを図示しない搬送ロボットに受け渡すことができるように、ウェハWFがリフトピン48によってバフテーブル400の支持面402より上方に保持される。
【0039】
本実施形態の基板処理装置は、複数のリフトピン48をバフテーブル400に対して上昇または下降させるリフトピン駆動装置500を備えている。図5A乃至図7Bに、リフトピン駆動装置500の一例を示す。図5A図5Bは、リフトピン48が下端位置にあるときの図であり、それぞれ、リフトピン駆動装置500の側面図、正面図である。図6A図6Bは、リフトピン48が中間位置にあるときの図であり、それぞれ、リフトピン駆動装置500の側面図、正面図である。図7A図7Bは、リフトピン48が上端位置にあるときの図であり、それぞれ、リフトピン駆動装置500の側面図、正面図である。
【0040】
リフトピン駆動装置500は、バフテーブル400の外周に沿って配置され且つ複数のリフトピン48が取り付けられるリフトピン保持部材600と、リフトピン保持部材600をバフテーブル400に対して上昇または下降させるリフトピン保持部材駆動装置900(以下、保持部材駆動装置900)と、を備えている。尚、図5A乃至図7Bでは、バフテーブル400及びトッププレート800が二点鎖線で示されている。トッププレート800は、バフテーブル400が収容される空間を形成する底壁を構成する部材である。尚、図5A乃至図7Bにおいて、バフテーブル400の回転機構等は図示を省略されている。
【0041】
リフトピン保持部材600は、バフテーブル400の外周に沿ったリング状本体部601と、リング状本体部601に固定されている円筒状のリフトピン保持部602と、基部603と、を備えている。複数のリフトピン48の基端部は、それぞれ、対応するリフトピン保持部602の内側に、ねじ止め等により固定されることができる(図4A乃至図4C参照)。
【0042】
保持部材駆動装置900は、複数の(本実施形態では3つの)昇降ロッド901を備える。各昇降ロッド901は、その一端がリフトピン保持部材600の基部603に固定されており、トッププレート800に形成された開口部(図示せず)を通して下方に延びている。複数の昇降ロッド901は、トッププレート800の開口部内を摺動可能であり、バフテーブル400に対して上下方向に移動可能である。各昇降ロッド901の下端部は、基部プレート902に固定されている。従って、基部プレート902を昇降させることにより、昇降ロッド901、リフトピン保持部材600及びリフトピン48を、バフテーブル400に対して上下動させることができる。この目的のため、本実施形態の保持部材駆動装置900は、トッププレート800に取り付けられて互いに並列して配置される第1のピストンシリンダー装置903及び第2のピストンシリンダー装置904を備えている。
【0043】
第1のピストンシリンダー装置903は、トッププレート800に固定された(従ってバフテーブル400に対して位置固定された)、第1のシリンダー部903−1を備えている。また、第1のピストンシリンダー装置903は、第1のシリンダー部903−1に配置され且つバフテーブル400に対して接近または離間する方向に摺動可能な第1のピストン部903−2を備えている。
【0044】
第2のピストンシリンダー装置904は、第2のシリンダー部904−1と、第2のシリンダー部904−1に配置され且つバフテーブル400に対して接近または離間する方向に摺動可能な第2のピストン部904−2と、を備えている。尚、図5A図6A及び図7Aは、リフトピン駆動装置500を第1のピストンシリンダー装置903の側から見た図である。従って、図5A図6A及び図7Aでは、第2のピストンシリンダー装置904に関して第2のピストン部904−2のみが図示されている。
【0045】
第1のピストンシリンダー装置903の第1のピストン部903−2は、中間プレート906に固定されており、中間プレート906には、第2のピストンシリンダー装置904の第2のシリンダー部904−1の下端部が固定されている。換言すれば、第2のピストンシリンダー装置904の第2のシリンダー部904−1は、中間プレート906を介して、第1のピストンシリンダー装置903の第1のピストン部903−2に固定されている。従って、第2のシリンダー部904−1は、第1のピストン部903−2と一体に上下動することができる。第2のピストン部904−2のピストンロッド部904−2cが中間プレート906を貫通し、中間プレート906の下方にピストン本体部904−2bが配置される(図8参照)。
【0046】
第2のピストン部904−2のピストン本体部904−2bは、レバー部材(符号省略)を介して、基部プレート902に作動的に連結されている。具体的には、レバー部材は、第2のピストン部904−2側に配置される第1のレバー部分907と、基部プレート902側に配置される第2のレバー部分908と、を備えており、第1のレバー部分907と第2のレバー部分908との間に支点部909が設けられている。本実施形態では、支点部909は、トッププレート800の支柱に固定されている。
【0047】
第1のレバー部分907は、第2のピストン部904−2のピストン本体部904−2bにヒンジ結合されている。第1のレバー部分907の端部がピストン本体部904−2bによって押し下げられることにより、レバー部材は支点部909周りに回動する。これにより、第2のレバー部分908の基部プレート902側の端部が上昇する。第2のレバー部分908の基部プレート902側の端部は、基部プレート902にヒンジ結合されている。従って、第2のレバー部分908が支点部909を支点として上向きに回動することにより、基部プレート902が押し上げられる。
【0048】
本実施形態では、第1のピストンシリンダー装置903と第2のピストンシリンダー装置904との組み合わせにより、リフトピン48を上端位置、中間位置及び下端位置の間で段階的に移動させることができる。図8は、第1及び第2のピストンシリンダー装置903、904の作動原理を示す概略図である。
【0049】
図8に示すように、第1のピストンシリンダー装置903と第2のピストンシリンダー装置904は互いに並列に配置され、第1のピストンシリンダー装置903の第1のシリンダー部903−1の上壁が、トッププレート800に固定されている。
【0050】
第1のピストンシリンダー装置903の第1のシリンダー部903−1の内部は、ピストン本体部903−2aにより上室903−1aと下室903−1bとに分割されている。上室903−1aおよび下室903−1bには、それぞれ図示しない流体供給口により作動流体(例えば、エア)が供給される。
【0051】
ピストン本体部903−2aから延びるピストンロッド部903−2cが第1のシリンダー部903−1の底壁を貫通して下方に延び、ピストンロッド部903−2cの下端部にピストン本体部903−2bが固定されている。ピストン本体部903−2bの下面に中間プレート906が一体的に固定されている。
【0052】
一方、第2のピストンシリンダー装置904の第2のシリンダー部904−1の内部は、ピストン本体部904−2aにより上室904−1aと下室904−1bとに分割されている。上室904−1aおよび下室904−1bには、それぞれ図示しない流体供給口により作動流体(例えば、エア)が供給される。
【0053】
第2のシリンダー部904−1の底壁は中間プレート906に一体的に固定されており、中間プレート906と一体に移動するように構成されている。ピストン本体部904−2aから延びるピストンロッド部904−2cが、第2のシリンダー部904−1の底壁及び中間プレート906を貫通して下方に延びている。ピストンロッド部904−2cの下端部にピストン本体部904−2bが固定されている。
【0054】
本実施形態では、第1のシリンダー部903−1の内径は、第2のシリンダー部904−1の内径よりも大きく設定されている。
【0055】
上記した第1のピストンシリンダー装置903と第2のピストンシリンダー装置904を用いて、例えば以下のような方法でリフトピン48を昇降させることができる。図5A図5Bに示すリフトピン48の下端位置では、第1のピストンシリンダー装置903及び第2のピストンシリンダー装置904は共に非作動状態にある。すなわち、第1のピストンシリンダー装置903及び第2のピストンシリンダー装置904の各々が収縮状態にあり、第1及び第2のピストン部903−2、904−2は、それぞれ上側の位置にある。
【0056】
図6A図6Bに示すリフトピン48の中間位置では、第1のピストンシリンダー装置903のみが作動状態にある。すなわち、第1のピストンシリンダー装置903のみが伸長状態にあり、第2のピストンシリンダー装置904は収縮状態にある。尚、本実施形態では、上記したように、第1のシリンダー部903−1の内径は、第2のシリンダー部904−1の内径よりも大きく設定されている。これにより、第1のシリンダー部903−1の上室903−1aに供給される作動流体と第2のシリンダー部904−1の上室904−1aに供給される作動流体の供給圧力が等しい場合でも、第2のシリンダー部904−1の上壁に作用する流体の圧力によって第1のピストンシリンダー装置903の伸長が妨げられることがない。しかし、第1のシリンダー部903−1の内径と第2のシリンダ
ー部904−1の内径とは互いに等しく設定されていてもよい。この場合、上室903−1aに供給される作動流体と上室904−1aに供給される作動流体の供給圧力との間に差を設けることによって、上記と同様の効果を得ることができる。
【0057】
ピストン本体部903−2bの下降によって、中間プレート906及び第2のシリンダー部904−1が下降し、ピストン本体部904−2bにヒンジ結合された第1のレバー部分907の端部が押し下げられる。これにより、レバー部材が支点部909周りに回動し、第2のレバー部分908の端部が基部プレート902を押し上げる。従って、昇降ロッド901及び昇降ロッド901に固定されたリフトピン保持部材600が上昇し、リフトピン48が中間位置まで持ち上げられる。
【0058】
図7A図7Bに示すリフトピン48の上端位置では、第1のピストンシリンダー装置903及び第2のピストンシリンダー装置904は共に作動状態にある。すなわち、第1のピストンシリンダー装置903及び第2のピストンシリンダー装置904の各々が伸長状態にある。これにより、第1のレバー部分907の端部が最大限に押し下げられ、第2のレバー部分908の端部が基部プレート902を最大限に押し上げる。こうして、昇降ロッド901及びリフトピン保持部材600はさらに上昇し、リフトピン48が上端位置まで持ち上げられる。
【0059】
なお、上記実施形態では、リフトピン48の下端位置と中間位置の間の上下動は第1のピストンシリンダー装置903の出力によって行い、リフトピン48の中間位置と上端位置の間の上下動は第2のピストンシリンダー装置904の出力によって行う。よって、それぞれのピストンシリンダー装置のピストンの伸縮の速度を個別に調整することで、リフトピン48の下端位置と中間位置の間の移動速度と、リフトピン48の中間位置と上端位置の間の移動速度を個別に調整でき、基板を損傷することなく素早く上下動させることができる。
【0060】
尚、上記実施形態では、保持部材駆動装置900としてピストンシリンダー装置が使用されているが、リフトピン保持部材600は、モータによって駆動されてもよい。
【0061】
図9は、本発明の一実施形態による、バフテーブル400からウェハWFを脱着する工程の一例を示している。この例では、バフ処理終了後、図5A及び図5Bに示す下端位置でバフテーブル400の外周に沿って配置される複数のリフトピン48が、図6A及び図6Bに示す中間位置へ上昇させられる(工程100)。リフトピン48が中間位置に保持された状態で、真空通路410を通じたバフテーブル400の支持面402への負圧導入が停止される(工程101)。その後、純水が所定圧力(例えば、0.2MPa)で真空通路410を介してバフテーブル400の支持面402に供給される(工程102)。純水の供給は、適宜決められる一定時間の間(例えば3〜5秒間)行われ、この間、真空通路410内の圧力(したがって支持面402における圧力)が測定される。測定圧力が所定の圧力以上(例えば大気圧以上)になったことが確認される(工程103)と、純水の供給が停止される(工程104)。その後、窒素ガスが所定圧力(例えば0.08MPa)で真空通路410を介してバフテーブル400の支持面402に供給される(工程105)。窒素ガスの供給は、一定時間の間(例えば3〜5秒間)行われ、この間、真空通路410内の圧力(したがって支持面402における圧力)が測定される。測定圧力が所定の圧力以上(例えば大気圧以上)であることが確認される(工程106)と、リフトピン48が図7A及び図7Bに示す上端位置まで上昇させられる(工程107)。リフトピン48が上昇する間、窒素ガスはバフテーブル400の支持面402に供給され続ける。リフトピン48が上端位置に位置決めされると、窒素ガスの供給が停止される(工程108)。
【0062】
純水の供給圧力及び供給時間は上記の例に限られない。また、窒素ガスの供給圧力及び供給時間も上記の例に限られない。また、上記の例では、真空破壊のための流体として純水及び窒素ガスが使用されているが、純水及び窒素ガスのいずれか一方のみが供給されてもよい。また、窒素ガスの代わりにクリーンドライエアを用いても良い。
【0063】
純水及び/または窒素ガスをバフテーブル400の支持面402に供給することにより、バフテーブル400の支持面402とウェハWFとの間の真空状態が破壊される。このとき、支持面402から脱着されたウェハWFが、純水及び/または窒素ガスの噴出により支持面402から浮いた状態になる。本実施形態によれば、中間位置に配置されたリフトピン48の基板案内面48−1によってウェハWFの外周を囲むことができる(図2参照)ので、脱着したウェハWFが支持面402から横方向にずれることがない。このように、本発明の一実施形態によれば、ウェハWFと支持面402との間で真空破壊が行われる間、リフトピン48は、下端位置と上端位置との間の中間位置に保持される。従って、リフトピン48でウェハWFにダメージを与えるおそれなく、ウェハWFをバフテーブル400から脱着することができる。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、バフテーブル400にウェハWFを載置する工程においても、バフテーブル400の外周に沿って配置される複数のリフトピン48を、下端位置と、上端位置と、中間位置と、の間で段階的に移動させることができる。図10は、本発明の一実施形態による、バフテーブル400にウェハWFを載置する場合の工程の一例を示している。この例では、図7A及び図7Bに示す上端位置でバフテーブル400の外周に沿って配置される複数のリフトピン48が、搬送ロボットからウェハWFを受け取った後、図6A及び図6Bに示す中間位置へ下降させられる(工程200)。次に、複数のリフトピン48が中間位置に保持された状態で、真空通路410を介してバフテーブル400の支持面402に負圧が導入される(工程201)。真空通路410内の圧力(したがって支持面402における圧力)が所定の圧力以下に達したことが確認される(工程202)と、複数のリフトピン48が中間位置から図5A及び図5Bに示す下端位置へ下降させられる(工程203)。この例では、特に支持面402上に水が存在する場合等に、支持面402への負圧導入時のウェハWFの横方向のずれを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、基板を載置可能な真空吸着テーブルと、真空吸着テーブルの外周に沿って配置される複数のリフトピンと、を備える基板処理装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
4A 回転軸
WF ウェハ(基板)
48 リフトピン
48−1 基板案内面
48−1a テーパ部
48−2 基板保持面
300A バフ処理装置
400 バフテーブル(真空吸着テーブル)
402 支持面(吸着面)
404 開口部
410 真空通路
412 圧力センサ
450 バッキング材
452 貫通孔
454 切欠き部
500 リフトピン駆動装置
714 純水供給源
724−2 薬液供給源
744 窒素源
750 開閉弁
752 開閉弁
754 開閉弁
756 開閉弁
600 リフトピン保持部材
601 リング状本体部
602 リフトピン保持部
603 基部
800 トッププレート
900 リフトピン保持部材駆動装置
901 昇降ロッド
902 基部プレート
903 第1のピストンシリンダー装置
903−1 第1のシリンダー部
903−2 第1のピストン部
903−1a 上室
903−1b 下室
903−2a ピストン本体部
903−2b ピストン本体部
903−2c ピストンロッド部
904 第2のピストンシリンダー装置
904−1 第2のシリンダー部
904−2 第2のピストン部
904−1a 上室
904−1b 下室
904−2a ピストン本体部
904−2b ピストン本体部
904−2c ピストンロッド部
906 中間プレート
907 第1のレバー部分
908 第2のレバー部分
909 支点部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10