(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、任意の視点から立体像を視認することが可能な立体像表示方式の一つとして、インテグラルフォトグラフィ(Integral Photography)と呼ばれる立体写真技術の原理に基づいた方式(インテグラル立体方式)が知られている(特許文献1等参照)。このインテグラル立体方式は、例えば、ディスプレイの観察者側にレンズアレイまたはピンホールアレイを配置し、ディスプレイ面に視点位置の異なる複数の要素画像を表示することで立体像を表示する。
しかし、特許文献1に記載の手法のように、ディスプレイの観察者側にレンズアレイを配置する構成では、レンズアレイの表面形状、反射特性等の影響を受けやすく、立体像の画質が低下してしまう。
【0003】
一方、インテグラル立体方式の他の手法として、レンズアレイを介さずに、ディスプレイを直接観察者に視認させる手法が存在する(非特許文献1参照)。
図12に示すように、非特許文献1に記載の立体像表示装置100は、透過型のディスプレイ(液晶パネル)101の背面にピンホールアレイ102と、その背面にさらに、バックライトユニット103を備える構成としている。
そして、立体像表示装置100は、ディスプレイ101に複数の要素画像を表示し、バックライトユニット103から照射される光を、ピンホールアレイ102を介して点光源の光として、ディスプレイ101の背面から照射することで観察者Mに立体像Tを視認させる。
しかし、特許文献1、非特許文献1に記載の手法のように、ピンホールアレイを用いる手法は、利用できる光量が少なくなるため、表示される立体像が暗くなってしまう。
【0004】
これに対し、ピンホールアレイを用いずに、点光源をバックライトとして使用する手法が存在する(非特許文献2参照)。
図13に示すように、非特許文献2に記載の立体像表示装置200は、透過型のディスプレイ(液晶パネル)201の背面にレンズアレイ202と、その背面にさらに、LEDアレイ203を備える構成としている。
そして、立体像表示装置200は、ディスプレイ201に複数の要素画像を表示し、LEDアレイ203から照射される光を、レンズアレイ202によって集光して点光源(点光源アレイ)とし、ディスプレイ201の背面から照射することで観察者Mに立体像Tを視認させる。
これによって、非特許文献2に記載の手法は、ピンホールアレイを用いず、かつ、レンズアレイよりも前面にディスプレイを配置することで、利用できる光量の低下を抑えるとともに、表示する立体像の画質低下を抑えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記した非特許文献2に記載の手法は、点光源からの光が拡散し、ディスプレイ(液晶パネル)への照射領域が円形の領域となる。この照射領域に形状を合わせるために、従来の要素画像は、円形、あるいは、その円形内の正方形の形状となっている。
すなわち、従来の点光源アレイを使用して立体像を表示する手法は、縦横の大きさが等しい円形または正方形の要素画像を用いるものであった。すなわち、従来の手法は、垂直方向にも水平方向にも等しい視域を有した立体表示を行っている。
【0008】
しかし、立体表示の場合は、水平方向の視域を広くし、垂直方向の視域を狭くする代わりに、解像度特性の向上に性能を振り分けることが望ましい。ところが、このような水平方向または垂直方向の画素数が多い要素画像を使用しようとすると、従来の手法では、点光源による円形の照射領域の制限から、水平方向と垂直方向に同等の視域が割り振られてしまい、解像度を高くすることはできない。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、点光源アレイを使用したインテグラル立体方式において、特定の方向に長い要素画像を用いて、例えば、水平方向の視域が広く、垂直方向の視域を狭くすることで、点光源の数、すなわち、立体像の解像度を高くすることが可能な立体像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係る立体像表示装置は、透過型の空間光変調器で構成された表示手段と、表示手段
に表示されるインテグラル立体方式の要素画像群を構成する要素画像ごとに当該要素画像を
個々に背面から照射する複数の点光源で構成された照明手段と、照明手段と表示手段との間に配置され、点光源からの光を水平方向または垂直方向に拡散する照射形状変更手段と、要素画像出力手段と、点光源点灯手段と、を備える構成とした。
【0011】
かかる構成において、立体像表示装置は、点光源点灯手段によって、照明手段の複数の点光源を点灯することで、その照明光を照射形状変更手段に照射する。
そして、立体像表示装置は、照射形状変更手段によって、照射された光を水平方向または垂直方向に拡散させることで、照射光の量を保持して、表示手段に対して水平方向または垂直方向に広がった領域を照射する。この照射形状変更手段には、例えば、異方性拡散フィルム、ホログラフィックフィルム等の拡散板を用いることができる。
【0012】
そして、立体像表示装置は、要素画像出力手段によって、表示手段のそれぞれの照射領域に対応する予め定めた位置に表示する複数の要素画像で構成された要素画像群を表示手段に出力することで、インテグラル立体方式により、観察者に立体像を視認させることができる。
このとき、表示手段に照射される照射領域は、水平方向または垂直方向に広がった領域である。そのため、立体像表示装置は、水平方向または垂直方向に長い要素画像を表示する場合に、特定方向の視域を広くしても、別の方向の視域を狭くする代わりに、解像度を向上した立体像を表示することができる。
【0013】
なお、本発明に係る立体像表示装置は、表示手段を反射型の空間光変調器とし、照射形状変更手段と表示手段との間に、照明手段の点光源からの光を表示手段に反射し、表示手段の空間光変調器からの反射光を透過する偏光ビームスプリッタを備える構成としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
本発明によれば、表示手段に照射する点光源の照射領域を特定の方向に変形することで、特定の方向に長い要素画像の表示領域を照射することができる。
これによって、本発明は、点光源アレイを使用したインテグラル立体方式において、特定の方向に長い要素画像、例えば、水平方向に長い要素画像を用いることで、水平方向の視域を広くするとともに、垂直視差を狭く抑えることで、立体像の解像度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
〔立体像表示装置の構成〕
まず、
図1,
図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る立体像表示装置1の構成について説明する。なお、
図2は、
図1の部分Aの内部を拡大した図である。
【0017】
立体像表示装置1は、インテグラル立体方式により、観察者Mに立体像Tを視認させるものである。この立体像表示装置1は、表示パネル2と、点光源パネル3と、拡散板4と、表示制御手段5と、を備える。
【0018】
表示パネル(表示手段)2は、インテグラル立体方式における複数の要素画像e(要素画像群)を表示するものである。この表示パネル2は、背面透過型ディスプレイであって、透過型の空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)で構成することができる。
この表示パネル2には、表示制御手段5によって、複数の要素画像eからなる要素画像群が表示される。ここでは、要素画像eは、単色画像、例えば、白黒画像とする。
【0019】
なお、要素画像eの配列は、ここでは、正方配列の例で説明するが、任意の配列(例えば、俵積み配列等)であればよい。また、要素画像eの形状は、特定の方向に長い画像であって、ここでは、水平方向に長い矩形とするが、水平方向に長い楕円であっても構わない。
【0020】
点光源パネル(照明手段)3は、表示パネル2の背面に配置され、表示パネル2を照射するもの(バックライト)である。この点光源パネル3は、複数の点光源L(点光源群)で構成される。個々の点光源Lは、高輝度で微細な光源であって、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)、エレクトロルミネセンス(EL:Electro Luminescence)光源等である。ここでは、点光源Lは、単色光を発光する光源、例えば、白色光を発光する白色点光源とする。なお、点光源Lの光は表示パネル2のSLMで変調されるため、点光源Lは、例えば、偏光フィルム等によって、SLMに対応して偏光方向が揃えられた光(例えば、S偏光)を発光するものとする。
【0021】
この点光源パネル3の個々の点光源Lは、表示パネル2に表示されるインテグラル立体方式における要素画像eの表示位置を照射する位置に配置されている。
また、個々の点光源Lは、共通の電源ライン(不図示)に接続され、表示制御手段5によって一度にON/OFFが制御される。
【0022】
拡散板(照射形状変更手段)4は、表示パネル2と点光源パネル3との間に配置され、点光源パネル3の各点光源から表示パネル2に照射する照射領域の形状を変更するものである。ここでは、拡散板4として、異方性拡散フィルムを用いる。また、ここでは、照射する要素画像の形状を水平方向に長い矩形(または楕円)とするため、拡散板4は、水平方向に光を広げる(拡散する)異方性拡散フィルムとする。
この拡散板4は、点光源パネル3から背面照射された光を水平方向に拡散することで、表示パネル2に対して水平方向に長い楕円形状の領域(照射領域Ar)を照射することができる。
【0023】
表示制御手段5は、要素画像の表示パネル2への表示と点光源パネル3における点光源の点灯を行うものである。
ここで、
図3を参照(適宜
図1参照)して、表示制御手段5の詳細な構成について説明する。
図3に示すように、表示制御手段5は、要素画像出力手段50、点光源点灯手段51と、を備える。
【0024】
要素画像出力手段50は、異なる視点位置の複数の要素画像で構成された要素画像群を表示パネル2に出力するものである。
この要素画像出力手段50は、図示を省略した記録媒体、伝送経路等から要素画像群を入力する。もちろん、表示制御手段5にハードディスク等の記憶装置を備え、予めその記憶装置に記憶されている要素画像群を読み出すこととしてもよい。
【0025】
なお、要素画像出力手段50が出力する要素画像群は、一般的なインテグラル立体方式の撮像装置(立体像撮像装置)で撮像されたたものを用いることができる。例えば、矩形の要素レンズ群を用いた立体像撮像装置で撮像することで、横長の要素画像群を取得することができる。
あるいは、ここで使用する要素画像群は、CGによって、仮想的な多視点画像から、横長の画像を生成したものであってもよい。
また、要素画像eの配列は、点光源Lの配列と同じであって、点光源Lの配列が正方配列であれば要素画像eの配列も正方配列とし、点光源Lの配列が俵積み配列であれば要素画像eの配列も俵積み配列とする。
【0026】
点光源点灯手段51は、点光源パネル3の点光源Lを点灯するものである。
この点光源点灯手段51は、立体像表示装置1の図示を省略した電源スイッチのON/OFFによって、点光源Lの点灯を制御する。すなわち、点光源点灯手段51は、電源スイッチのONにより、外部電源(不図示)から入力される電流を点光源群の電源ラインに供給し、電源スイッチのOFFにより、電流の電源ラインへの供給を停止することで、点光源Lの点灯と消灯とを行う。
【0027】
以上説明したように立体像表示装置1(
図1)を構成することで、横長の要素画像を用いて立体像を表示する場合に、表示パネル2に表示するそれぞれの要素画像に対して、横長の照射領域で光を照射することができる。また、このように、照射領域を横長とすることで、点光源Lを横方向より縦方向に密に配置することができるため、点光源Lの総数が増加し、点光源数は立体を構成する画素数に等しいことから、結果的に立体像の解像度を向上させることができる。
なお、ここでは、横長の要素画像を用いる場合について説明したが、縦長の要素画像を用いる場合であれば、拡散板4として、垂直方向に光を拡散する異方性拡散フィルムを用いればよい。
【0028】
〔立体像表示装置の動作〕
次に、
図2を参照(適宜
図1,
図3参照)して、本発明の第1実施形態に係る立体像表示装置1の動作について説明する。
【0029】
立体像表示装置1は、表示制御手段5の要素画像出力手段50によって、表示パネル2に要素画像群を出力するとともに、点光源点灯手段51によって、点光源パネル3の点光源Lを点灯する。
このとき、
図2に示すように、立体像表示装置1の点光源パネル3のそれぞれの点光源Lは、その前面に配置されている拡散板4に対して、点光源Lが有する固有の配光特性に対応した領域(円形領域Ac)を照射する。
そして、立体像表示装置1は、拡散板4によって、水平方向に拡散板4が有する固有の拡散率で光を拡散し、円形領域Acに照射された光を、表示パネル2において、拡散率に応じた水平方向に長い楕円形状の領域(照射領域Ar)に照射する。
そして、立体像表示装置1は、表示パネル2の照射領域Ar内に表示されている複数の要素画像e(要素画像群)によって、立体像T(
図1)を、観察者Mに視認させることができる。
【0030】
なお、ここでは、立体像表示装置1は、表示パネル2に表示する要素画像eを単色画像(白黒画像)、点光源パネル3の点光源Lを単色光(白色光)光源とし、単色の立体像を表示する構成であった。
しかし、立体像表示装置1は、カラーの立体像を表示することも可能である。以下、立体像表示装置1のカラー化について説明する。
【0031】
〔立体像表示装置のカラー化(その1)〕
まず、
図4を参照(適宜
図1,
図3参照)して、立体像をカラー表示する本発明の第2実施形態である立体像表示装置1Bについて説明する。
【0032】
図4に示した立体像表示装置1Bは、立体像表示装置1の表示パネル2を、表示パネル2Bに替えて構成している。すなわち、立体像表示装置1Bは、表示パネル2Bと、点光源パネル3と、拡散板4と、表示制御手段5と、を備える。なお、
図4では、表示制御手段5の記載を省略し、
図2に比べ、要素画像eを拡大して表している。
【0033】
表示パネル(表示手段)2Bは、表示パネル2と同様、背面透過型ディスプレイである。この表示パネル2Bは、赤色(R),緑色(G),青色(B)のカラーフィルタを備えた3つのサブピクセルspを1つの画素gとして構成された空間光変調器(SLM)である。
この表示パネル2Bには、表示パネル2と同様、表示制御手段5(
図3)によって、複数の要素画像eからなる要素画像群が表示される。このとき、表示パネル2Bに表示される要素画像群は、それぞれ画素ごとにR,G,Bの各階調を有するカラーの要素画像eで構成された画像群である。
なお、点光源パネル3、拡散板4および表示制御手段5は、
図1および
図3で説明した立体像表示装置1と同じものであるため、説明を省略する。
これによって、立体像表示装置1Bは、立体像表示装置1と同様の効果を奏するとともに、立体像をカラーで表示することができる。
【0034】
なお、
図4では、R,G,Bのサブピクセルを1画素とする画素構造を有した表示パネル2Bを用いたが、
図5に示すように、Gを斜め方向のG1(第1緑色)、G2(第2緑色)としたR,G1,G2,Bのサブピクセルを1画素とする画素構造を有した表示パネル2Cを用いた立体像表示装置1C(本発明の第3実施形態)として構成してもよい。
このとき、要素画像群は、表示パネル2Cに対応したR,G1,G2,Bのカラーの要素画像eとすればよい。
【0035】
このR,G1,G2,Bの各色で画素を構成する手法は、一般的にデュアルグリーン方式と呼ばれている。このデュアルグリーン方式は、光の3原色の中で視覚の解像度に最も寄与している緑色を、RおよびBに対して斜め方向に半画素ずらして配置することで、視覚的に解像度を高める方式である。
これによって、立体像表示装置1Cは、立体像表示装置1Bと同様の効果を奏するとともに、視覚的に解像度を向上させた立体像を表示することができるため、立体像の奥行き再現性をさらに高めることができる。
【0036】
〔立体像表示装置のカラー化(その2)〕
次に、
図6を参照(適宜
図1参照)して、立体像をカラー表示する本発明の第4実施形態である立体像表示装置1Dについて説明する。
【0037】
図6に示した立体像表示装置1Dは、立体像表示装置1の点光源パネル3を、点光源パネル3Bに替えて構成している。すなわち、立体像表示装置1Dは、表示パネル2と、点光源パネル3Bと、拡散板4と、表示制御手段5B(
図8参照)と、を備える。なお、
図6では、表示制御手段5Bの記載を省略している。
表示パネル2および拡散板4は、
図1で説明した立体像表示装置1と同じものであるため、説明を省略する。すなわち、この実施形態では、表示パネル2の空間光変調器(SLM)には、カラーフィルタを備える必要はない。
【0038】
点光源パネル(照明手段)3Bは、点光源パネル3と同様、表示パネル2の背面に配置され、拡散板4を介して、表示パネル2を照射するバックライトである。この点光源パネル3Bは、複数の点光源L(点光源群)で構成される。個々の点光源Lは、高輝度で微細な光源であって、例えば、発光ダイオード、エレクトロルミネセンス光源等である。ここでは、点光源Lは、R(赤色),G(緑色),B(青色)の各色を発光する点光源の組で構成されたカラー点光源Lcである。
個々のカラー点光源Lcは、表示制御手段5Bの制御によって点灯される。なお、カラー点光源群Lc,Lc,…は、色(R,G,B)ごとに共通の電源ライン(不図示)に接続され、表示制御手段5Bの制御によって、色ごとにON/OFFが制御される。
【0039】
表示制御手段5Bは、要素画像の表示パネル2への表示と点光源パネル3Bにおける点光源の点灯とを色ごとに同期して行うものである。
ここで、
図8を参照(適宜
図6参照)して、表示制御手段5Bの構成について説明する。
図8に示すように、表示制御手段5Bは、要素画像出力手段50Bと、点光源点灯手段51Bと、切り替え信号生成手段52と、を備える。
【0040】
要素画像出力手段50Bは、異なる視点位置の複数の要素画像で構成された要素画像群を表示パネル2に出力するものである。
ここでは、要素画像出力手段50Bは、要素画像群を構成するR,G,Bの各色の要素画像群(R用要素画像群、G用要素画像群、B用要素画像群)を、後記する切り替え信号生成手段52で生成される各色の要素画像群の表示を所定周期で切り替えるタイミングを示す要素画像切り替え信号に基づいて、時分割で切り替えて表示する。
これによって、表示パネル2には、各色の要素画像群(R用要素画像群、G用要素画像群、B用要素画像群)が、一定周期で順番に表示されることになる。
【0041】
点光源点灯手段51Bは、点光源パネル3の点光源Lの点灯を制御するものである。
この点光源点灯手段51Bは、表示対象の各色の要素画像群に対応する色の点光源のみを点灯するように、表示対象の色の点光源の点灯と、他の色の点光源の消灯との切り替えを行う。
【0042】
ここでは、点光源点灯手段51Bは、点光源パネル3Bにおいて、複数のカラー点光源群Lc,Lc,…の中のRの光源(赤色光源)からなる点光源群(R点光源群)と、Gの光源(緑色光源)からなる点光源群(G点光源群)と、Bの光源(青色光源)からなる点光源群(B点光源群)とを所定時間で切り替えて点灯する。このとき、点光源点灯手段51Bは、後記する切り替え信号生成手段52で生成される各色の点光源群の点灯を所定周期で切り替えるタイミングを示す点光源群切り替え信号に同期して、R点光源群の点灯および他の色の点光源群の消灯と、G点光源群の点灯および他の色の点光源群の消灯と、B点光源群の点灯および他の色の点光源群の消灯とを順次繰り返す。すなわち、点光源点灯手段51Bは、各色の要素画像群の表示時に、その要素画像群と同じ色の光源のみを点灯する。
【0043】
なお、点光源点灯手段51Bは、各色の点光線群を点灯する場合、外部電源(不図示)から入力される電流を各色に対応した点光源群ごとの電源ラインに供給し、点光線群を消灯する場合、電流の電源ラインへの供給を停止すればよい。
これによって、点光源パネル3Bでは、R点光源群の点灯と他の色の点光源群の消灯、G点光源群の点灯と他の色の点光源群の消灯、B点光源群の点灯灯と他の色の点光源群の消灯が、一定周期で切り替えられることになる。
【0044】
切り替え信号生成手段52は、所定時間を計時し、各色の要素画像群の表示切り替え、および、各色の点光源群の点光切り替えを行う切り替え信号を生成するものである。
ここでは、切り替え信号生成手段52は、要素画像切り替え信号生成手段521と、点光源切り替え信号生成手段522と、を備える。
【0045】
要素画像切り替え信号生成手段521は、R用要素画像群、G用要素画像群およびB用要素画像群の表示を所定時間で切り替えるタイミングを示す要素画像切り替え信号を生成するものである。
この要素画像切り替え信号生成手段521は、図示を省略したタイマによって所定時間を計時し、要素画像切り替え信号を生成する。
【0046】
ここでは、要素画像切り替え信号生成手段521は、
図9に示すように、予め定めたフレームFの時間内で、R用要素画像群とG用要素画像群とB用要素画像群とを切り替えて表示する要素画像切り替え信号を生成する。
この要素画像切り替え信号生成手段521は、生成した要素画像切り替え信号を要素画像出力手段50Bに出力する。
【0047】
点光源切り替え信号生成手段522は、Rの点光源(R点光源群)、Gの点光源(G点光源群)およびBの点光源(G点光源群)の点灯と消灯とを所定時間で切り替えるタイミングを示す点光源切り替え信号を生成するものである。
この点光源切り替え信号生成手段522は、図示を省略したタイマによって所定時間を計時し、点光源切り替え信号を生成する。
【0048】
ここでは、点光源切り替え信号生成手段522は、
図9に示すように、予め定めたフレームFの時間内で、R点光源群とG点光源群とB点光源群とを順番に点灯する点光源切り替え信号を生成する。
この点光源切り替え信号生成手段522は、生成した点光源切り替え信号を点光源点灯手段51Bに出力する。
【0049】
なお、点光源切り替え信号生成手段522は、要素画像切り替え信号生成手段521との間で同期をとり、R用要素画像群の表示タイミングとR点光源群の点灯タイミングとを合わせている。また、点光源切り替え信号生成手段522は、同様に、G用要素画像群の表示タイミングとG点光源群の点灯タイミングとを合わせ、B用要素画像群の表示タイミングとB点光源群の点灯タイミングとを合わせている。
【0050】
このように、立体像表示装置1Dは、画素をサブピクセルに区分してサブピクセルごとに異なる色のカラーフィルタを用いた立体像表示装置1Bに対して、画素全体の色を切り替えることでサブピクセルの区分がなくなり、高精細な要素画像による高精細なカラー立体像を表示することができる。
【0051】
なお、
図6では、RGBの各色を発光する点光源を組としたカラー点光源を備えた点光源パネル3Bを用いたが、
図7に示すように、さらにGの点光源を増やし、R,G1,G2,Bの各色を発光する点光源を組としたカラー点光源を備えた点光源パネル3Cを用いた立体像表示装置1E(本発明の第5実施形態)として構成してもよい。
【0052】
この場合、表示制御手段5B(
図8参照)は、
図9で示したフレームFの区間を、各色の要素画像群(R用要素画像群、G1用要素画像群、G2用要素画像群、B用要素画像群)の4つの表示区間に4等分して、要素画像群の表示を制御し、同様に、フレームFの区間を、各色の点光源群(R点光源群、G1点光源群、G2点光源群、B点光源群)の4つ点灯区間に4等分して、点光源群の点灯を制御すればよい。
これによって、立体像表示装置1Eは、立体像表示装置1Dと同様の効果を奏するとともに、視覚的に解像度を向上させたカラー立体像を表示することができるため、カラー立体像の奥行き再現性をさらに高めることができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態に係る立体像表示装置1,1B,1C,1D,1Eについて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
以下、本発明の変形例について説明する。
【0054】
〔変形例1〕
ここでは、立体像表示装置1の拡散板4として異方性拡散フィルムを用いた。しかし、この拡散板4として、ホログラフィックフィルムを用いてもよい。
図10に示した立体像表示装置1Fは、表示パネル2と、点光源パネル3と、拡散板4Bと、表示制御手段5(
図3参照)と、を備える。なお、
図10では、表示制御手段5の記載を省略している。
【0055】
拡散板(照射形状変更手段)4Bは、表示パネル2と点光源パネル3との間に配置され、点光源パネル3の各点光源から表示パネル2に照射する照射領域の形状を変更するものである。
ここで、拡散板4Bは、ガラス基板、プラスチック基板等の上にサーフェスレリーフ技術によりホログラムパターンを形成されたホログラフィックフィルムである。このホログラフィックフィルムは、ホログラムパターンのピッチ等によって、点光源Lからの照射光を、所望の拡散角度で出射させることができ、
図10に示すように、表示パネル2に対して、水平方向に長い長方形の照射領域Arで光を照射することができる。
【0056】
このように、拡散板4Bとしてホログラフィックフィルムを用いることで、立体像表示装置1Fは、要素画像eとして水平方向に長い矩形の要素画像を用いる場合、照射領域を広くすることができ、表示パネル2に照射する光を有効に活用することができる。
なお、ここでは、横長の要素画像を用いる場合について説明したが、垂直方向に長い要素画像を用いる場合であれば、拡散板4として、垂直方向に光を拡散するホログラフィックフィルムを用いればよい。
【0057】
〔変形例2〕
また、ここでは、立体像表示装置1の表示パネル2に透過型の空間光変調器で構成されたディスプレイを用いた。しかし、この表示パネル2を、反射型の空間光変調器で構成されたディスプレイとしてもよい。
【0058】
この場合、
図11に示すように、立体像表示装置1Gは、表示パネル2と拡散板4との間における点光源Lの光路上に偏光ビームスプリッタ(Polarization Beam Splitter:以下、PBS)6を備える構成とすればよい。
【0059】
PBS6は、入射光をその偏光成分に応じて分離するものである。ここでは、PBS6は、点光源Lからの光(ここでは、S偏光とする)については反射させて対向する表示パネル2の要素画像eを表示するSLM(空間光変調器:不図示)に照射する。また、PBS6は、SLMからの反射光(P偏光)については透過させて観察者M方向に出射する。
【0060】
なお、ここでは、立体像表示装置1(
図1)の表示パネル2を、反射型の空間光変調器で構成されたディスプレイとする変形例で説明したが、立体像表示装置1B(
図4),1C(
図5),1D(
図6),1E(
図7),1F(
図10)についても同様である。