(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1配線構造に占める前記第1配線層及び前記ビア配線の体積割合は、前記第2配線構造に占める、前記第2配線構造内の全ての配線層の体積割合以上の値に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
前記補強材は、前記第1配線層の下面から前記第2配線構造の最上層の絶縁層の上面までの厚さにおける厚さ方向の中心に位置するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配線基板。
前記第1配線層は、配線パターンと、前記配線パターンの形成されていない領域に形成されたダミーパターンとを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の配線基板。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。
【0011】
図1(a)に示すように、半導体装置10は、配線基板20と、配線基板20に実装された1つ又は複数(ここでは、2つ)の半導体チップ60と、半導体チップ60の一部を被覆する封止樹脂70とを有している。
【0012】
配線基板20は、配線構造21と、配線構造21の下側に積層されたソルダーレジスト層22と、配線構造21の上側に積層された配線構造23とを有している。
まず、配線構造21の構造について説明する。
【0013】
配線構造21は、配線構造23よりも配線密度の低い配線層が形成された低密度配線層である。この配線構造21は、1層の絶縁層30と、配線層31と、絶縁層30を厚さ方向に貫通するビア配線32とを有している。
【0014】
ここで、絶縁層30の材料としては、例えば、熱硬化性樹脂に対し、補強材を入れた絶縁性樹脂を用いることができる。例えば、絶縁層30の材料としては、補強材であるガラスクロス(ガラス織布)にエポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂を含浸させ硬化させた、いわゆるガラスエポキシ樹脂を用いることができる。熱硬化性の絶縁性樹脂としてはエポキシ樹脂に限らず、例えば、ポリイミド樹脂やシアネート樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層30は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有していてもよい。
【0015】
図1(b)に示すように、絶縁層30は、所要数(ここでは、1個)のガラスクロス30Gと、そのガラスクロス30Gの上面を被覆する樹脂層34と、ガラスクロス30Gの下面を被覆する樹脂層35とを有している。本例のガラスクロス30Gは、その表面全面が樹脂層34,35によって被覆されている。すなわち、本例のガラスクロス30Gは、絶縁層30の上面30Aに露出されていない。
【0016】
ガラスクロス30Gは、例えば、X方向に並設されたガラス繊維束G1と、Y方向に並設されたガラス繊維束G2とが格子状に平織りされた形態を有している。ガラス繊維束G1,G2は、1本当たりのガラス繊維径が例えば1〜2μm程度のガラス繊維を複数本束ねたものである。これらガラス繊維束G1,G2の厚さは、例えば、15〜20μm程度とすることができる。また、複数本のガラス繊維からなるガラス繊維束G1,G2の全体的な断面形状は特に限定されず、例えば、楕円形状であってもよいし、円形状であってもよい。
【0017】
なお、ガラス繊維束G1,G2を用いたガラスクロス30G以外に、炭素繊維束、ポリエステル繊維束、ナイロン繊維束、アラミド繊維束、液晶ポリマ繊維束等を用いた織布や不織布を補強材として用いてもよい。また、繊維束の織り方は平織りに限定されず、朱子織り、綾織り等であってもよい。
【0018】
ガラスクロス30Gは、絶縁層30内において、絶縁層30の厚さ方向の中心C1よりも配線構造23側(上側)に偏在している。具体的には、ガラスクロス30Gの厚さ方向の中心C2は、絶縁層30の厚さ方向の中心C1よりも配線構造23側に片寄った位置に配置されている。詳述すると、絶縁層30では、樹脂層34の厚さT1(具体的には、絶縁層30の上面30Aから中心C2までの厚さ)が、樹脂層35の厚さT2(具体的には、中心C2から絶縁層30の下面30Bまでの厚さ)よりも薄く設定されている。このように、剛性の高いガラスクロス30Gを、中心C1よりも配線構造23側に片寄らせて設けることにより、そのガラスクロス30Gの位置を配線基板20の厚さ方向の中心に近づけることができる。これにより、配線基板20を上下方向(厚さ方向)に見たときに、ガラスクロス30Gを中心として上下対称の構造に近づけることができる。この結果、配線基板20を反りに強い構造とすることができる。
【0019】
さらに、本例のガラスクロス30Gは、配線基板20全体の厚さ方向の中心付近に配設されている。具体的には、
図1(a)に示すように、ガラスクロス30Gは、配線層31の下面から配線構造23の最上層の絶縁層44の上面44Aまでの厚さT3における厚さ方向の中心に位置するように設けられている。例えば、配線基板20では、厚さT3における厚さ方向の中心付近にガラスクロス30Gが配設されるように、
図1(b)に示した樹脂層34の厚さT1と樹脂層35の厚さT2とが設定されている。例えば、樹脂層34の厚さT1は、樹脂層35の厚さの1/2〜1/3倍程度の厚さに設定することができる。樹脂層34の厚さT1は例えば10〜15μm程度とすることができ、樹脂層35の厚さT2は例えば20〜25μm程度とすることができる。なお、絶縁層30の上面30Aから下面30Bまでの厚さは、例えば、30〜40μm程度とすることができる。
【0020】
絶縁層30の下面30Bには、所要の箇所に、当該絶縁層30の上面30A側に凹む複数の凹部30Xが形成されている。各凹部30Xは、絶縁層30の下面30Bから絶縁層30の厚さ方向の中途位置まで形成されている。すなわち、各凹部30Xは、その底面が絶縁層30の厚さ方向の中途に位置するように形成されている。なお、凹部30Xの深さは、例えば、12〜20μm程度とすることができる。
【0021】
各凹部30X内には、配線層31が形成されている。配線層31は、上面31Tと、下面31Lと、それら上面31Tと下面31Lとの間に形成された側面31Sとを有している。この配線層31は、その一部が絶縁層30内に埋め込まれるように形成されている。具体的には、配線層31の上面31Tは、凹部30Xの底面に形成されている。また、配線層31の上部、つまり配線層31の上面31T及び配線層31の上方側の側面31Sは、絶縁層30によって被覆されている。この配線層31の上部は、凹部30Xに充填されている。そして、配線層31の下部、つまり配線層31の下面31L及び配線層31の下方側の側面31Sは、絶縁層30から露出されている。すなわち、配線層31の下部は、絶縁層30の下面30Bよりも下方に突出するように形成されている。換言すると、絶縁層30は、配線層31の上面31T全面及び配線層31の上部の側面31Sに接し、それら配線層31の上面31T全面及び配線層31の上部の側面31Sを被覆するように形成されている。また、絶縁層30は、配線層31の下面31L全面及び配線層31の下部の側面31Sを露出するように形成されている。
【0022】
配線層31の厚さは、例えば、15〜22μm程度とすることができる。絶縁層30の下面30Bからの配線層31の突出量(つまり、絶縁層30の下面30Bから配線層31の下面31Lまでの厚さ)は、例えば、2〜3μm程度とすることができる。配線層31のラインアンドスペース(L/S)は、例えば、20μm/20μm程度とすることができる。ここで、ラインアンドスペース(L/S)は、配線の幅と、隣り合う配線同士の間隔とを示す。なお、配線層31の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。
【0023】
配線層31は、例えば、ビア配線32と接続された複数の配線パターン31Aと、配線パターン31Aの形成(配置)されていない領域に形成された複数の導体パターン31Bとを有している。配線パターン31Aは、例えば、当該半導体装置10をマザーボード等の実装基板に実装する際に使用される外部接続端子が接続される外部接続用パッドP1として機能する。導体パターン31Bは、例えば、ダミーパターンとしてベタ状に形成されていてもよい。また、導体パターン31Bがダミーパターンの場合には、例えば、導体パターン31Bは、直上のビア配線32と電気的に接続されず、電気的に孤立(フローティング)している。また、導体パターン31Bは、例えば、配線を引き回す配線パターンであってもよい。導体パターン31Bが配線パターンの場合には、例えば、導体パターン31Bは、外部接続用パッドP1と電気的に接続されている。
【0024】
図2は、導体パターン31Bがダミーパターンである場合の平面図を示している。
図2に示すように、配線パターン31Aは、例えば、平面視でマトリクス状に配置されている。導体パターン31Bは、例えば、隣接する配線パターン31A間に形成されている。配線パターン31A及び導体パターン31Bの平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。例えば、配線パターン31Aの平面形状は、直径が200〜400μm程度の円形状とすることができる。また、導体パターン31Bの平面形状は、例えば、菱形形状とすることができる。なお、
図2は、
図1(a)に示した配線基板20を下方から視た平面図であり、ソルダーレジスト層22が透視的に描かれている。
【0025】
図1(b)に示すように、絶縁層30には、上面30Aの所要の箇所に開口し、当該絶縁層30を厚さ方向に貫通して配線層31の上面31Tの一部を露出する貫通孔30Yが形成されている。貫通孔30Yは、
図1(b)において上側(配線構造23側)から下側(配線層31側)に向かうに連れて径が小さくなるテーパ状に形成されている。例えば、貫通孔30Yは、下側の開口端の開口径が上側の開口端の開口径よりも小さくなる略逆円錐台形状に形成されている。例えば、貫通孔30Yの上側の開口端の開口径は50〜100μm程度とすることができる。
【0026】
絶縁層30の上面30Aは、凹凸が少ない平滑面(低粗度面)である。例えば、絶縁層30の上面30Aは研磨面である。絶縁層30の上面30Aは、例えば、貫通孔30Yの内側面よりも表面粗度が小さくなっている。絶縁層30の上面30Aの粗度は、表面粗さRa値で例えば15〜40nm程度となるように設定されている。また、貫通孔30Yの内側面の粗度は、表面粗さRa値で例えば300〜400nm程度となるように設定されている。ここで、表面粗さRa値とは、表面粗さを表わす数値の一種であり、算術平均粗さと呼ばれるものであって、具体的には測定領域内で変化する高さの絶対値を平均ラインである表面から測定して算術平均したものである。
【0027】
貫通孔30Y内には、配線層31と接続されたビア配線32が形成されている。このビア配線32は、絶縁層30を厚さ方向に貫通するように形成されている。本例のビア配線32は、貫通孔30Y内に充填されている。このため、ビア配線32は、貫通孔30Yと同様に、上端面32Aが下端面よりも大きくなる略逆円錐台形状に形成されている。
【0028】
ビア配線32の上端面32Aは、絶縁層30の上面30Aから露出されている。例えば、ビア配線32の上端面32Aは、絶縁層30の上面30Aと略面一に形成されている。ビア配線32の上端面32Aは、絶縁層30の上面30Aと同様に、凹凸が少ない平滑面(低粗度面)である。例えば、ビア配線32の上端面32Aは研磨面である。ビア配線32の上端面32Aの粗度は、表面粗さRa値で例えば15〜40nm程度となるように設定されている。
【0029】
ビア配線32の下端面は、配線層31の上面31Tの一部に直接接続されている。すなわち、配線層31の上面31Tの一部とビア配線32の下端面とが接しており、配線層31とビア配線32とが電気的に接続されている。換言すると、配線層31とビア配線32とは電気的に接続されているが、一体的ではなく、別体に形成されている。なお、ビア配線32の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。
【0030】
ソルダーレジスト層22は、絶縁層30の下面30Bに、配線層31を被覆するように積層されている。このソルダーレジスト層22は、配線基板20における最外層(ここでは、最下層)に形成された保護絶縁層である。
【0031】
ソルダーレジスト層22は、絶縁層30から露出された配線層31の下部の側面31S全面を被覆するように形成されている。換言すると、配線層31の上部の側面31Sが絶縁層30によって被覆され、配線層31の下部の側面31Sがソルダーレジスト層22によって被覆されている。すなわち、配線層31の側面31Sの一部が形成された平面上(XY平面上)に、絶縁層30とソルダーレジスト層22との界面が形成されている。
【0032】
また、ソルダーレジスト層22は、例えば、配線パターン31Aの下面31Lの一部を被覆するように形成されている。ソルダーレジスト層22は、例えば、導体パターン31Bの下面31L全面を被覆するように形成されている。
【0033】
ソルダーレジスト層22には、最下層の配線層31(具体的には、配線パターン31A)の一部を外部接続用パッドP1として露出させるための開口部22Xが形成されている。
【0034】
開口部22Xから露出する配線パターン31A上(つまり、外部接続用パッドP1上)には、必要に応じて、表面処理層25が形成されている。表面処理層25の例としては、外部接続用パッドP1の表面に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理などの酸化防止処理を施して形成されるOSP膜を用いることができる。OSP膜としては、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機被膜を用いることができる。また、表面処理層25の他の例としては、金(Au)層、ニッケル(Ni)層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。ここで、Au層はAu又はAu合金からなる金属層、Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、Pd層はPd又はPd合金からなる金属層である。これらNi層、Au層、Pd層としては、例えば、無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)を用いることができる。なお、開口部22Xから露出する配線パターン31A(あるいは、配線パターン31A上に表面処理層25が形成されている場合には、その表面処理層25)自体を、外部接続端子としてもよい。
【0035】
開口部22X及び外部接続用パッドP1の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。例えば、開口部22X及び外部接続用パッドP1の平面形状は、直径が100〜150μm程度の円形状とすることができる。また、外部接続用パッドP1のピッチは、例えば、200〜300μm程度とすることができる。
【0036】
次に、配線構造23の構造について説明する。
図1(a)に示すように、配線構造23は、絶縁層30の上面30Aに積層された配線構造である。配線構造23は、配線構造21よりも配線密度の高い配線層が形成された高密度配線層である。
【0037】
配線構造23は、絶縁層30の上面30Aに積層された絶縁層40と、配線層41と、絶縁層42と、配線層43と、絶縁層44と、配線層45とが順に積層された構造を有している。
【0038】
ここで、絶縁層40,42,44の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等の感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂を用いることができる。これら絶縁層40,42,44は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有していてもよい。また、配線層41,43,45の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。
【0039】
絶縁層40,42,44は、配線構造21内の絶縁層30よりも薄い絶縁層である。絶縁層40,42,44の厚さは、例えば、3〜10μm程度とすることができる。配線層41,43,45は、配線構造21の配線層31よりも薄い配線層である。絶縁層40,42上に形成された配線層41,43の厚さは、例えば、1〜5μm程度とすることができる。絶縁層44上に形成された配線層45の厚さは、例えば、5〜10μm程度とすることができる。配線層41,43,45の配線幅及び配線間隔は、配線構造21内の配線層31の配線幅及び配線間隔よりも小さい。配線層41,43,45のラインアンドスペース(L/S)は、例えば、2μm/2μm〜3μm/3μm程度とすることができる。
【0040】
絶縁層40は、絶縁層30の上面30Aに、ビア配線32の上端面32Aを被覆するように形成されている。絶縁層40には、所要の箇所に、当該絶縁層40を厚さ方向に貫通してビア配線32の上端面32Aの一部を露出する貫通孔40Xが形成されている。
【0041】
図1(b)に示すように、配線層41は、絶縁層40の上面に形成されている。配線層41は、ビア配線32と電気的に接続されている。配線層41は、貫通孔40X内に充填されたビア配線46と、絶縁層40の上面に形成された配線パターン47とを有している。ビア配線46の下端面は、ビア配線32の上端面32Aの一部に直接接続されている。すなわち、ビア配線32の上端面32Aの一部とビア配線46の下端面とが接しており、ビア配線32とビア配線46とが電気的に接続されている。換言すると、ビア配線32とビア配線46とは電気的に接続されているが、一体的ではなく、別体に形成されている。
【0042】
ビア配線46は、例えば、貫通孔40Xの内面を被覆するシード層50と、そのシード層50よりも内側の貫通孔40Xに形成された金属層51とを有している。また、配線パターン47は、例えば、絶縁層40の上面に形成されたシード層50と、そのシード層50上及び金属層51上に形成された金属層52とを有している。すなわち、金属層51,52は、シード層50を介してビア配線32に接続されている。
【0043】
シード層50は、貫通孔40Xの内面(つまり、貫通孔40Xの内側面、及び貫通孔40Xの底部に露出するビア配線32の上端面32A)と絶縁層40の上面とを連続的に被覆するように形成されている。シード層50としては、スパッタ法により形成された金属膜(スパッタ膜)を用いることができる。スパッタ法により形成されたシード層50としては、例えば、貫通孔40Xの内面及び絶縁層40の上面に、チタン(Ti)からなるTi層と、銅(Cu)からなるCu層とが順に積層された2層構造の金属膜を用いることができる。この場合、Ti層の厚さは例えば10〜50nm程度とすることができ、Cu層の厚さは例えば100〜500nm程度とすることができる。なお、Ti層は、Cu層や金属層51,52(例えば、Cu層)から絶縁層40等に銅が拡散することを抑制する金属バリア層として機能する。また、Ti層は、絶縁層40とシード層50との密着性を向上させる密着層として機能する。このような金属バリア層及び密着層として機能する金属膜の材料としては、Tiの他に、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)等を用いることができる。
【0044】
金属層51は、シード層50よりも内側の貫通孔40Xを充填するように形成されている。金属層52は、絶縁層40上に形成されたシード層50の上面及び金属層51の上面を被覆するように形成されている。金属層51,52としては、例えば、電解めっき法により形成された金属層(電解めっき金属層)を用いることができる。なお、金属層51,52の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。金属層52の厚さは、例えば、1〜4μm程度とすることができる。
【0045】
図1(a)に示すように、絶縁層42は、絶縁層40の上面に、配線層41を被覆するように形成されている。絶縁層42には、所要の箇所に、当該絶縁層42を厚さ方向に貫通して配線層41の上面の一部を露出する貫通孔42Xが形成されている。
【0046】
配線層43は、絶縁層42の上面に形成されている。配線層43は、配線層41と電気的に接続されている。この配線層43は、貫通孔42X内に充填されたビア配線と、絶縁層42の上面に形成された配線パターンとを有している。
【0047】
絶縁層44は、絶縁層42の上面に、配線層43を被覆するように形成されている。絶縁層44には、所要の箇所に、当該絶縁層44を厚さ方向に貫通して配線層43の上面の一部を露出する貫通孔44Xが形成されている。
【0048】
ここで、貫通孔40X,42X,44Xは、
図1(a)において上側(配線層45側)から下側(配線構造21側)に向かうに連れて径が小さくなるテーパ状に形成されている。例えば、貫通孔40X,42X,44Xは、上側の開口端の開口径が下側の開口端の開口径よりも大径となる略逆円錐台形状に形成されている。貫通孔40X,42X,44Xの上側の開口端の開口径は、例えば、5〜10μm程度とすることができる。
【0049】
配線層45は、絶縁層44の上面44Aに形成されている。配線層45は、配線層43と電気的に接続されている。この配線層45は、貫通孔44X内に充填されたビア配線と、絶縁層44の上面44Aから上方に突出する接続端子P2とを有している。接続端子P2は、例えば、絶縁層44の上面44Aから上方に延びるように形成された柱状の接続端子(金属ポスト)である。接続端子P2の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。例えば、接続端子P2の平面形状は、直径が20〜25μm程度の円形状とすることができる。接続端子P2のピッチは、例えば、40〜50μm程度とすることができる。この接続端子P2は、半導体チップ等の電子部品と電気的に接続するための電子部品搭載用のパッドとして機能する。
【0050】
なお、必要に応じて、接続端子P2の表面(上面及び側面、又は上面のみ)に表面処理層を形成するようにしてもよい。この表面処理層としては、例えば、外部接続用パッドP1上に形成される表面処理層25と同様のものを用いることができる。
【0051】
ここで、配線構造21に占める配線層31及びビア配線32の体積割合V1は、配線構造23に占める配線層41,43,45の体積割合V2以上の値に設定されている。具体的には、体積割合V2に対する体積割合V1の比V1/V2は、1.0〜1.4の範囲であることが好ましく、1.0〜1.14の範囲であることがより好ましい。このような値に比V1/V2を設定することにより、配線基板20及び半導体装置10の反りを好適に低減することができる。詳しくは、反りのシミュレーションの項で説明する。
【0052】
なお、体積割合V1は、配線構造21全体の体積に対する、配線構造21に含まれる全ての金属層(つまり、配線層31及びビア配線32)の体積の割合である。また、体積割合V2は、配線構造23全体の体積に対する、配線構造23に含まれる全ての金属層(つまり、配線層41,43,45)の体積の割合である。これら体積割合V1,V2の比V1/V2は、例えば、導体パターン31Bの形成領域や、配線層31及び配線層41,43,45の厚さを適宜調整することにより、所定値に設定することができる。
【0053】
以上説明した配線基板20に半導体チップ60がフリップチップ実装されている。すなわち、半導体チップ60の回路形成面(ここでは、下面)に配設された接続端子61を、接合部材62を介して配線基板20の接続端子P2に接合することにより、半導体チップ60は、接続端子61及び接合部材62を介して配線層45と電気的に接続されている。
【0054】
半導体チップ60としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップを用いることができる。また、半導体チップ60としては、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ、SRAM(Static Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップを用いることもできる。なお、配線基板20に複数の半導体チップ60を搭載する場合には、ロジックチップとメモリチップとを組み合わせて配線基板20に搭載するようにしてもよい。なお、半導体チップ60の厚さは、例えば、200〜300μm程度とすることができる。
【0055】
接続端子61としては、例えば、金属ポストを用いることができる。この接続端子61は、半導体チップ60の回路形成面から下方に延びる柱状の接続端子である。本例の接続端子61は、例えば、円柱状に形成されている。接続端子61の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。なお、接続端子61としては、金属ポストの他に、例えば金バンプを用いることもできる。
【0056】
接合部材62は、接続端子61に接合されるとともに、配線層45に接合されている。接合部材62としては、例えば、錫(Sn)層や鉛(Pb)フリーはんだのはんだめっきを用いることができる。はんだめっきの材料としては、例えば、Sn−銀(Ag)系、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu系の鉛フリーはんだを用いることができる。
【0057】
封止樹脂70は、半導体チップ60を封止するように配線基板20の最上層の絶縁層44の上面44Aに積層されている。封止樹脂70は、半導体チップ60の回路形成面(ここでは、下面)及び側面を被覆するとともに、絶縁層44の上面44A、配線層45、接続端子61及び接合部材62を被覆するように形成されている。本例の封止樹脂70は、半導体チップ60の回路形成面とは反対側の裏面(ここでは、上面)を露出するように形成されている。封止樹脂70の上面は、例えば、半導体チップ60の裏面と略面一になるように形成されている。
【0058】
封止樹脂70の材料としては、例えば、感光性樹脂よりも機械的強度(剛性や硬度等)の高い絶縁性樹脂を用いることができる。封止樹脂70の材料としては、例えば、熱硬化性樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂を用いることができる。封止樹脂70の材料としては、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。封止樹脂70としては、例えば、モールド樹脂を用いることができる。また、封止樹脂70の厚さは、例えば、300〜400μm程度とすることができる。
【0059】
次に、
図1(b)に従って、配線基板20及び半導体装置10の作用について説明する。
配線層31の一部を絶縁層30に埋め込むように、絶縁層30の凹部30X内に形成した。この配線層31の上部の側面31Sを絶縁層30により被覆し、配線層31の下部の側面31Sをソルダーレジスト層22により被覆した。このため、配線基板20では、加熱処理等によって熱応力が発生した場合にその熱応力が集中しやすい配線層31の角部A1に、絶縁層30とソルダーレジスト層22との界面が形成されていない。これにより、熱応力が発生した場合に、絶縁層30とソルダーレジスト層22との界面にクラック等が生じることを好適に抑制できる。
【0060】
さらに、配線層31の上部の側面31Sを、配線層31の上面31Tを被覆する絶縁層30により被覆したため、絶縁層30の下面30Bに配線層31を形成する場合に比べて、配線層31と絶縁層30との界面を増加させることができる。これにより、配線層31と絶縁層30との熱膨張係数の相違に起因する熱応力を分散させることができ、1箇所(例えば、配線層31の角部A1)に集中する応力を減少させることができる。この結果、配線層31と絶縁層30との界面にクラックが発生することを好適に抑制できる。
【0061】
次に、半導体装置10の製造方法について説明する。以下の説明では、1つの半導体装置10を拡大して説明するが、実際には1つの基板上に複数の半導体装置10となる部材を一括して作製した後、個々の半導体装置10に個片化される。
【0062】
図3(a)に示すように、支持基板100を準備する。支持基板100としては、例えば、金属板や金属箔を用いることができる。本例の支持基板100としては、35〜70μm程度の支持体銅箔に剥離層を介して2〜5μm程度の極薄銅箔が貼り合わされた銅箔を用いる。
【0063】
次に、支持基板100の上面に、その支持基板100の上面全面を被覆する金属膜101を形成する。例えば、支持基板100の極薄銅箔の上面に金属膜101を形成する。金属膜101は、例えば、スパッタ法、電解めっき法や蒸着法を用いて形成することができる。金属膜101の材料としては、支持基板100をエッチング除去する際にストッパ層となる導電材料を用いることができる。また、金属膜101の材料としては、後工程で形成される配線層31に対して選択的にエッチング除去することのできる導電材料を用いることができる。このような金属膜101の材料としては、例えば、チタン(Ti)、Ni、クロム(Cr)、Snなどの金属、又はこれら金属から選択される少なくとも一種の金属を含む合金を用いることができる。本例の金属膜101の材料としてはNiを用いる。金属膜101の厚さは、例えば、10〜50nm程度とすることができる。
【0064】
続いて、金属膜101の上面に、その金属膜101の上面全面を被覆するシード層102を形成する。シード層102は、例えば、スパッタ法、電解めっき法や無電解めっき法を用いて形成することができる。シード層102の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。シード層102の厚さは、例えば、100〜500nm程度とすることができる。
【0065】
次いで、
図3(b)に示す工程では、シード層102の上面に、開口パターン103Xを有するレジスト層103を形成する。開口パターン103Xは、配線層31(
図1(a)参照)の形成領域に対応する部分のシード層102の上面を露出するように形成される。レジスト層103の材料としては、例えば、次工程のめっき処理に対して耐めっき性がある材料を用いることができる。例えば、レジスト層103の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えば、ノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば、感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、シード層102の上面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムをフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口パターン103Xを有するレジスト層103を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層103を形成することができる。
【0066】
続いて、レジスト層103をめっきマスクとして、シード層102をめっき給電層に利用する電解めっき法(ここでは、電解銅めっき法)を施すことにより、レジスト層103の開口パターン103Xから露出されたシード層102の上面に金属層104を形成する。
【0067】
次いで、
図3(c)に示す工程では、
図3(b)に示したレジスト層103を剥離液(例えば、有機アミン系剥離液、苛性ソーダ、アセトンやエタノールなど)により除去する。
【0068】
続いて、
図3(d)に示す工程では、金属層104をエッチングマスクとして、不要なシード層102をエッチング(例えば、ウェットエッチング)により除去する。ウェットエッチングのエッチング液としては、例えば、硫酸過水液(硫酸と過酸化水素水の混合水溶液)などの酸性水溶液を用いることができる。本工程により、金属膜101の上面に、シード層102と金属層104とによって構成される配線層31が形成される。このとき、金属膜101の上面には、配線パターン31Aと、その配線パターン31Aの配置されていない領域に配置された導体パターン31Bとが形成される。
【0069】
次いで、配線層31をエッチングマスクとして、金属膜101をエッチングにより除去する。例えば、金属膜101の材料としてTiを用いる場合には、四フッ化炭素(CF
4)等のエッチングガスを用いたドライエッチングや、水酸化カリウム(KOH)系のエッチング液を用いたウェットエッチングにより、配線層31及び支持基板100(Cu層)に対して選択的に金属膜101をエッチング除去する。このとき、支持基板100が、金属膜101をエッチングする際のストッパ層として機能する。
【0070】
なお、これ以降の
図4〜
図9では、シード層102と金属層104の図示を省略し、配線層31として図示する。
次に、
図4(a)に示す工程では、支持基板100の上面に、配線層31の上面31T全面及び側面31S全面と金属膜101の側面全面とを被覆する絶縁層30を形成する。この絶縁層30は、例えば、金属膜101に樹脂フィルムをラミネートした後に、樹脂フィルムを押圧しながら130〜200℃程度の温度で熱処理して硬化させることにより形成することができる。ここで、樹脂フィルムとしては、補強材であるガラスクロス30Gにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂フィルムを用いることができる。
図4(a)に示すように、本工程により形成された絶縁層30では、ガラスクロス30Gの上面が樹脂層34によって被覆され、ガラスクロス30Gの下面が樹脂層34と同じ厚さの樹脂層35によって被覆されている。このため、この場合の絶縁層30では、ガラスクロス30Gが絶縁層30の厚さ方向の中心付近に配設されている。なお、本工程では、ガラスクロス30Gの中心から樹脂層34の上面までの厚さを例えば20〜25μm程度とすることができ、ガラスクロス30Gの中心から樹脂層35の下面までの厚さを例えば20〜25μm程度とすることができる。
【0071】
また、本工程により、絶縁層30に配線層31及び金属膜101を収容する凹部30Xが形成され、その凹部30Xの底面に配線層31及び金属膜101が形成される。
続いて、
図4(b)に示す工程では、配線層31の上面31Tの一部が露出されるように絶縁層30の所定箇所に貫通孔30Yを形成する。この貫通孔30Yは、例えば、CO
2レーザやUV−YAGレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。
【0072】
次いで、貫通孔30Yをレーザ加工法によって形成した場合には、デスミア処理を行って、貫通孔30Yの底部に露出する配線層31の露出面に付着した樹脂スミアを除去する。なお、このデスミア処理により、貫通孔30Yの内側面及び絶縁層30の上面30Aが粗化される。
【0073】
次に、
図4(c)に示す工程では、貫通孔30Yの内側面を含む絶縁層30の表面全面と貫通孔30Yに露出する配線層31の上面31T全面とを被覆するシード層(図示略)を形成し、そのシード層を給電層とする電解めっきを施す。例えば、シード層を無電解銅めっき法により形成し、そのシード層を給電層とする電解銅めっき法を施す。これにより、貫通孔30Yを充填するとともに、絶縁層30の上面30A全面を被覆する導電層105が形成される。
【0074】
続いて、例えばCMP法(Chemical Mechanical Polishing)等により、絶縁層30の上面30Aから突出する導電層105を研磨するとともに、粗化面である絶縁層30の上面30Aの一部を研磨する。これにより、
図5(a)に示すように、貫通孔30Y内に充填されたビア配線32が形成され、そのビア配線32の上端面32Aと絶縁層30の上面30Aとが略面一になるように形成される。また、絶縁層30の上面30Aの一部を研磨することにより、絶縁層30の上面30Aが平滑化される。例えば、研磨前における絶縁層30の上面30Aの粗度が表面粗さRa値で300〜400nm程度であるのに対し、研磨により絶縁層30の上面30Aの粗度を表面粗さRa値で15〜40nm程度とすることができる。換言すると、本工程では、絶縁層30の上面30Aが平滑化される(例えば、表面粗さRa値で15〜40nm程度となる)ように、絶縁層30の上面30Aが研磨される。なお、貫通孔30Yの内側面は粗面化された状態のままであるため、絶縁層30の上面30Aは貫通孔30Yの内側面よりも表面粗度が小さくなる。本工程の研磨により、絶縁層30の上面30Aとビア配線32の上端面32Aとが研磨面となる。
【0075】
さらに、上述のように絶縁層30の上面30Aの一部を研磨することにより、絶縁層30のうちガラスクロス30Gの上面を被覆する樹脂層34が薄化される。このため、樹脂層34の厚さが、ガラスクロス30Gの下面を被覆する樹脂層35よりも薄くなる。これにより、研磨前には絶縁層30の厚さ方向の中心付近に設けられていたガラスクロス30Gが、絶縁層30の厚さ方向の中心よりも上側(絶縁層30の上面30A側)に片寄って設けられることになる。なお、本例では、絶縁層30のガラスクロス30Gが樹脂層34から露出されないように、絶縁層30の研磨が行われる。
【0076】
ここで、本工程における絶縁層30の削り量は、例えば、5〜10μm程度とすることができる。このため、研磨後の樹脂層34の厚さは例えば10〜15μm程度となる。
なお、本例のCMP法では、例えば、絶縁層30の上面30Aに形成された導電層105(
図4(c)参照)を研磨する際には、導電層105(金属)の研磨量が、絶縁層30(樹脂)の研磨量に比べて大きくなるようにスラリーの材質や研磨パッドの硬度等が調整されている。また、本例のCMP法では、例えば、絶縁層30の上面30Aが露出された後に、スラリーの材質や研磨パッドの硬度等が変更される。具体的には、絶縁層30の上面30Aが露出された後には、絶縁層30(樹脂)の研磨量が、導電層105(金属)の研磨量に比べて大きくなるようにスラリーの材質や研磨パッドの硬度等が調整される。
【0077】
次に、
図5(b)に示す工程では、絶縁層30の上面30A上に、ビア配線32の上端面32Aの一部を露出する貫通孔40Xを有する絶縁層40を形成する。例えば、絶縁層40として樹脂フィルムを用いる場合には、絶縁層30の上面30Aに樹脂フィルムを熱圧着によりラミネートし、その樹脂フィルムをフォトリソグラフィ法によりパターニングして絶縁層40を形成する。また、絶縁層30の上面30Aに液状又はペースト状の絶縁性樹脂をスピンコート法などにより塗布し、その絶縁性樹脂をフォトリソグラフィ法によりパターニングして絶縁層40を形成する。
【0078】
なお、このような感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂からなる絶縁層40の上面40Aの粗度は、例えば、表面粗さRa値で2〜10nm程度とすることができる。すなわち、絶縁層40の上面は、貫通孔30Yの内側面よりも表面粗度が低く、且つ絶縁層30の上面30A(研磨面)よりも表面粗度が小さい。
【0079】
次に、
図5(c)に示す工程では、貫通孔40Xの内面全面(貫通孔40Xの内側面全面及び貫通孔40Xに露出するビア配線32の上端面32A全面)と絶縁層40の上面40Aとを被覆するようにシード層50を形成する。このシード層50は、例えば、スパッタ法や無電解めっき法により形成することができる。
【0080】
例えば、スパッタ法によりシード層50を形成する場合には、まず、絶縁層40の上面40Aと貫通孔40Xの内面とを被覆するように、それら上面40A及び貫通孔40Xの内面にチタン(Ti)をスパッタリングにより堆積させてTi層を形成する。その後、Ti層上に銅をスパッタリングにより堆積させてCu層を形成する。これにより、2層構造(Ti層/Cu層)のシード層50を形成することができる。また、無電解めっき法によりシード層50を形成する場合には、例えば、無電解銅めっき法によりCu層(1層構造)からなるシード層50を形成することができる。
【0081】
次いで、
図6(a)に示す工程では、シード層50上に、所定の箇所に開口パターン106Xを有するレジスト層106を形成する。開口パターン106Xは、配線層41(
図1(a)参照)の形成領域に対応する部分のシード層50を露出するように形成される。レジスト層106の材料としては、例えば、次工程のめっき処理に対して耐めっき性がある材料を用いることができる。レジスト層106の材料としては、例えば、レジスト層103(
図3(b)参照)と同様の材料を用いることができる。また、レジスト層106は、レジスト層103と同様の方法により形成することができる。
【0082】
次に、レジスト層106をめっきマスクとして、レジスト層106の開口パターン106Xから露出されたシード層50上に、そのシード層50をめっき給電層に利用する電解めっき法(ここでは、電解銅めっき法)を施す。これにより、シード層50よりも内側の貫通孔40Xを充填する金属層51が形成され、絶縁層40の上面40A上に形成されたシード層50上に金属層52が形成される。
【0083】
続いて、レジスト層106を例えばアルカリ性の剥離液により除去する。次いで、金属層51,52をエッチングマスクとして、不要なシード層50をエッチングにより除去する。例えば、シード層50がTi層/Cu層からなる場合には、まず、硫酸過水系のエッチング液を用いたウェットエッチングによりCu層を除去する。その後、例えば、CF
4等のエッチングガスを用いたドライエッチングや、KOH系のエッチング液を用いたウェットエッチングにより、Ti層を除去する。本工程により、
図6(b)に示すように、貫通孔40X内に形成されたシード層50と金属層51とからなるビア配線46が貫通孔40X内に形成される。また、絶縁層40の上面40A上に形成されたシード層50と金属層52とからなる配線パターン47が絶縁層40の上面40Aに形成される。これにより、ビア配線46と配線パターン47とからなる配線層41が形成される。このように、配線層41は、セミアディティブ法によって形成される。なお、これ以降の
図6(c)〜
図9(b)では、シード層50と金属層51,52の図示を省略し、配線層41として図示する。
【0084】
次に、
図6(c)に示す工程では、
図5(b)に示した工程と同様に、絶縁層40上に、配線層41の上面の一部を露出する貫通孔42Xを有する絶縁層42を形成する。続いて、
図5(c)〜
図6(b)に示した工程と同様に、例えばセミアディティブ法により、貫通孔42Xに充填されたビア配線と、そのビア配線を介して配線層41と電気的に接続され、絶縁層42上に積層された配線パターンとを有する配線層43を形成する。
【0085】
次いで、
図5(b)に示した工程と同様に、絶縁層42上に、配線層43の上面の一部を露出する貫通孔44Xを有する絶縁層44を形成する。続いて、
図5(c)〜
図6(b)に示した工程と同様に、例えばセミアディティブ法により、貫通孔44Xに充填されたビア配線と、そのビア配線を介して配線層43と電気的に接続され、絶縁層44の上面44Aに積層された接続端子P2とを有する配線層45を形成する。なお、必要に応じて、接続端子P2の表面(上面及び側面、又は上面のみ)に表面処理層を形成するようにしてもよい。
【0086】
次に、
図7(a)に示す工程では、まず、回路形成面に形成された接続端子61と、その接続端子61の下面に形成された接合部材62とを有する半導体チップ60を準備する。続いて、接続端子P2上に、半導体チップ60の接続端子61をフリップチップ接合する。例えば、接合部材62がはんだ層である場合には、接続端子P2と接続端子61とを位置合わせした後に、リフロー処理を行って接合部材62(はんだ層)を溶融させ、接続端子61を接続端子P2に電気的に接続する。
【0087】
次に、
図7(b)に示す工程では、絶縁層44の上面44Aに、半導体チップ60を封止する封止樹脂70を形成する。封止樹脂70は、例えば、半導体チップ60の側面及び回路形成面を被覆し、接続端子P2,61及び接合部材62の表面を被覆するように形成される。本例では、半導体チップ60の裏面を露出するように封止樹脂70が形成される。これに限らず、半導体チップ60の裏面を被覆するように封止樹脂70を形成してもよい。
【0088】
例えば、封止樹脂70の材料として熱硬化性を有したモールド樹脂を用いる場合には、
図7(a)に示した構造体を金型内に収容し、その金型内に圧力(例えば、5〜10MPa)を印加し、流動化したモールド樹脂を導入する。その後、モールド樹脂を180℃程度の温度で加熱して硬化させることで、封止樹脂70を形成する。なお、モールド樹脂を充填する方法としては、例えば、トランスファーモールド法、コンプレッションモールド法やインジェクションモールド法などの方法を用いることができる。
【0089】
続いて、
図8(a)に示す工程では、半導体チップ60及び封止樹脂70を上面側から薄化する。例えば、バックグラインド等によって、封止樹脂70の上面と半導体チップ60の裏面(ここでは、上面)とを研削することにより、半導体チップ60及び封止樹脂70を薄化する。薄化前の半導体チップ60の厚さが例えば700〜1000μm程度であるのに対し、薄化により半導体チップ60の厚さを例えば200〜300μm程度とすることができる。本工程により、封止樹脂70の上面と半導体チップ60の裏面とが略面一に形成される。
【0090】
次いで、支持基板100を除去する。例えば、支持基板100の支持体銅箔を極薄銅箔から機械的に剥離する。このとき、支持体銅箔と極薄銅箔との間には剥離層が介在されており、支持体銅箔と極薄銅箔との間の接着力は弱いため、支持体銅箔を極薄銅箔から容易に剥離することができる。その後、金属膜101及び絶縁層30上に残った極薄銅箔を、例えば、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液や過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去する。このとき、金属膜101及び絶縁層30は、支持基板100の極薄銅箔をエッチングする際のストッパ層として機能する。本工程により、
図8(b)に示すように、金属膜101の下面及び絶縁層30の下面30Bが外部に露出される。
【0091】
次に、
図9(a)に示す工程では、絶縁層30を下面30B側から薄化する。例えば、CF
4等のエッチングガスを用いたドライエッチング(プラズマエッチング)により、絶縁層30を下面30B側から薄化する。具体的には、配線層31の下部の側面31S(配線層31の下方側の側面31S)が絶縁層30から露出されるように、絶縁層30を下面30B側から薄化する。また、本工程では、上述したドライエッチングにより、
図8(b)に示した金属膜101(Ti膜)もエッチング除去される。このとき、配線層31は、金属膜101をエッチングする際のストッパ層として機能する。なお、金属膜101の除去により、配線層31の下面31Lが外部に露出される。
【0092】
次に、
図9(b)に示す工程では、絶縁層30から露出された配線層31の側面31Sを被覆するとともに、配線層31の下面31Lの一部を露出させるための開口部22Xを有するソルダーレジスト層22を、絶縁層30の下面30Bに積層する。このソルダーレジスト層22は、例えば、感光性のソルダーレジストフィルムをラミネートし、又は液状のソルダーレジストを塗布し、当該レジストを所要の形状にパターニングすることにより形成することができる。これにより、ソルダーレジスト層22の開口部22Xから配線層31の下面31Lの一部が外部接続用パッドP1として露出される。その後、必要に応じて、外部接続用パッドP1上に表面処理層25(
図1(a)参照)を形成する。
【0093】
以上の製造工程により、配線構造23の下面に配線構造21を製造することができるとともに、
図1に示した半導体装置10を製造することができる。
(反りのシミュレーション)
図1(a)に示した配線基板20(実施例)と、
図13に示した従来の配線基板200とについて、反りのシミュレーションを実行した。
【0094】
(シミュレーション条件)
実施例の配線基板20では、ソルダーレジスト層22の下面から上面までの厚さを22μm、配線層31の厚さを15μm、絶縁層30の下面30Bから上面30Aまでの厚さを30μmに固定した。また、配線基板20では、絶縁層40の下面から上面までの厚さを5μm、各絶縁層42,44の下面から上面までの厚さを7μm、各配線層41,43の厚さを2μm、配線層45の厚さを10μmに固定した。すなわち、配線基板20全体の厚さ(つまり、ソルダーレジスト層22の下面から配線層45の上面までの厚さ)を81μmに設定した。また、配線構造23に占める配線層41,43,45の体積割合V2を70%に固定した。そして、このような配線基板20において、配線構造21に占める配線層31及びビア配線32の体積割合V1を、0%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%に変えた場合の反りのシミュレーションを実行した。
【0095】
一方、比較例の配線基板200では、ソルダーレジスト層202の下面から上面までの厚さを35μm、各配線層211,213,215の厚さを15μm、各絶縁層212,214,216の下面から上面までの厚さを30μmに固定した。また、配線基板200では、各配線層220,222,224の厚さを2μm、各絶縁層221,223,225の下面から上面までの厚さを7μm、配線層226の厚さを10μmに固定した。すなわち、配線基板200全体の厚さ(つまり、ソルダーレジスト層202の下面から配線層226の上面までの厚さ)を156μmに設定した。このように、比較例の配線基板200全体の厚さは、実施例の配線基板20全体の厚さよりも75μmも厚く設定されている。そして、このような配線基板200に対して、実施例の場合と同一の条件で反りのシミュレーションを実行した。
【0096】
(シミュレーション結果)
反りのシミュレーション結果を
図10に示した。
図10において、破線で示した反り量(具体的には、1.13mm)は、比較例の配線基板200における反り量である。
図10に示すように、実施例の配線基板20では、体積割合V1が高くなるに連れて反り量が低減されることが確認された。具体的には、体積割合V1を70〜100%の範囲に設定することにより、比較例よりも、配線基板20の反り量を低減できることが確認された。すなわち、体積割合V2(ここでは、70%)に対する体積割合V1の比V1/V2を1.0〜1.4程度の範囲に設定することにより、比較例よりも、配線基板20の反り量を低減できることが確認された。さらに言えば、体積割合V1,V2の比V1/V2を1.0〜1.4程度の範囲に設定することにより、配線基板20より厚く設定された比較例の配線基板200よりも、配線基板20の反り量を低減できることが確認された。
【0097】
ここで、ビア配線32及び配線層31の取り回しを考慮すると、体積割合V1を大きくするのには限界があるため、体積割合V1は、80%以下に設定することが好ましい。
以上のことから、配線基板20の反り量を効果的に抑制するためには、体積割合V2に対する体積割合V1の比V1/V2を、1.0〜1.4の範囲に設定することが好ましく、1.0〜1.14の範囲に設定することがより好ましい。
【0098】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)配線層31の一部を絶縁層30に埋め込むように、絶縁層30の凹部30X内に形成した。また、配線層31の上部の側面31Sを絶縁層30により被覆し、配線層31の下部の側面31Sをソルダーレジスト層22により被覆した。これにより、配線層31と絶縁層30とソルダーレジスト層22との熱膨張係数の相違に起因して熱応力が発生した場合に、配線層31と絶縁層30とソルダーレジスト層22との各界面にクラックが発生することを好適に抑制できる。
【0099】
(2)また、配線層31の一部を絶縁層30に埋め込むようにしたため、絶縁層30の下面30Bに配線層31を形成する場合に比べて、配線基板20全体及び半導体装置10全体を薄型化することができる。
【0100】
さらに、絶縁樹脂の厚さが厚く設定された絶縁層30に配線層31の一部を埋め込むようにしたため、配線層31を容易に厚く形成することができる。これにより、配線構造21における剛性を高めることができるため、配線基板20に反りが発生することを好適に抑制できる。
【0101】
(3)配線基板20は、配線構造21の一方の側にソルダーレジスト層22が形成され、他方の側に高密度配線層である配線構造23が形成された構造、つまり配線構造21を中心として上下非対称の構造を有している。但し、配線基板20では、剛性の高いガラスクロス30Gを、配線構造21内において、絶縁層30の厚さ方向の中心C1よりも配線構造23側に片寄らせて設けるようにした。これにより、剛性の高いガラスクロス30Gの位置を、配線基板20の厚さ方向の中心に近づけることができる。このため、配線基板20を上下方向(厚さ方向)に見たときに、ガラスクロス30Gを中心として上下対称の構造に近づけることができる。この結果、配線基板20を反りに強い構造とすることができるため、配線基板20に反りが発生することを好適に抑制できる。
【0102】
(4)さらに、ガラスクロス30Gを、配線層31の下面31Lから絶縁層44の上面44Aまでの厚さT3の中心に位置するように設けた。すなわち、配線基板20では、ガラスクロス30Gの下面から配線層31の下面31Lまでの厚さと、ガラスクロス30Gの上面から絶縁層44の上面44Aまでの厚さとが等しくなるように、各部材の厚さが設定されている。これにより、剛性の高いガラスクロス30Gの位置を、配線基板20の厚さ方向の中心により近づけることができる。この結果、配線基板20を反りに強い構造とすることができるため、配線基板20に反りが発生することを好適に抑制できる。
【0103】
(5)配線構造23に占める配線層41,43,45の体積割合V2に対する、配線構造21に占める配線層31及びビア配線32の体積割合V1の比V1/V2を、1.0〜1.4の範囲になるように設定した。これにより、配線基板20に反りが発生することを好適に抑制できる。
【0104】
(6)配線構造21の絶縁層を1層の絶縁層30のみで構成した。これにより、従来の配線基板200に比べて、配線基板20全体及び半導体装置10全体を薄型化することができる。
【0105】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記実施形態では、ビア配線32の上端面32Aに、ビア配線46の下端面を直接接続するようにしたが、配線構造23の構造はこれに限定されない。
【0106】
例えば
図11に示すように、絶縁層30の上面30Aに、ビア配線32の上端面32Aと接続するように配線層48を形成してもよい。すなわち、本例の配線層48は、その下面の一部がビア配線32の上端面32Aと接しており、配線層48とビア配線32とが電気的に接続されている。換言すると、配線層48とビア配線32とは電気的に接続されているが、一体的ではなく、別体に形成されている。
【0107】
配線層48は、例えば、絶縁層30の上面30A上及びビア配線32の上端面32A上に形成されたシード層53と、そのシード層53上に形成された金属層54とを有している。すなわち、金属層54は、シード層53を介してビア配線32に接続されている。シード層53の材料としては、シード層50と同様の材料を用いることができ、金属層54の材料としては、金属層51,52と同様の材料を用いることができる。なお、この場合のビア配線46は、配線層48の上面に接続される。
【0108】
・上記実施形態では、ガラスクロス30Gを、絶縁層30の上面30Aから露出されないように絶縁層30内に配設したが、これに限定されない。
例えば
図12に示すように、ガラスクロス30Gの一部を絶縁層30の上面30Aから露出させるようにしてもよい。但し、この場合には、露出されたガラスクロス30Gによって絶縁層30の上面30Aの粗度が大きくなる。このため、配線層48(
図11参照)の形成を省略し、ビア配線46の下端面をビア配線32の上端面32Aに直接接続することが好ましい。
【0109】
・上記実施形態では、ガラスクロス30Gが配線基板20の厚さT3の中心付近に配置されるように、樹脂層34,35の厚さを設定するようにしたが、これに限定されない。例えば、樹脂層34の厚さを樹脂層35よりも薄く設定するだけでもよい。このような構造であっても、上記実施形態の(1)〜(3)、(5)、(6)の効果と同様の効果を奏することができる。
【0110】
・上記実施形態では、ビア配線32の上端面32Aを絶縁層30の上面30Aと面一になるように形成した。これに限らず、例えば、ビア配線32の上端面32Aを、絶縁層30の上面30Aよりも下方に凹むように形成してもよい。また、ビア配線32の上端面32Aを、絶縁層30の上面30Aよりも上方に突出するように形成してもよい。
【0111】
・上記実施形態では、配線基板20に半導体チップ60を実装するようにした。これに限らず、例えば、半導体チップ60の代わりに、チップコンデンサ、チップ抵抗やチップインダクタ等のチップ部品や水晶振動子などの電子部品を配線基板20に実装するようにしてもよい。
【0112】
・また、半導体チップ60、チップ部品及び水晶振動子などの電子部品の実装の形態(例えば、フリップチップ実装、ワイヤボンディング実装、はんだ実装又はこれらの組み合わせ)などは様々に変形・変更することが可能である。
【0113】
・上記実施形態の配線構造21におけるビア配線32及び配線層31の取り回しなどは様々に変形・変更することが可能である。
・上記実施形態の配線構造23における配線層41,43,45及び絶縁層40,42,44の層数や配線の取り回しなどは様々に変形・変更することが可能である。
【0114】
・上記実施形態の絶縁層44の上面44Aにソルダーレジスト層を形成してもよい。
・上記実施形態の配線基板20における表面処理層25を省略してもよい。
・上記実施形態では、配線基板20の最外層となる保護絶縁層の一例としてソルダーレジスト層22を例示したが、各種の感光性を有する絶縁性樹脂から保護絶縁層を形成することができる。
【0115】
・上記各実施形態では、半導体チップ60の裏面を露出するように封止樹脂70を形成した。これに限らず、半導体チップ60の裏面を被覆するように封止樹脂70を形成してもよい。
【0116】
・上記実施形態では、多数個取りの製造方法に具体化したが、単数個取り(一個取り)の製造方法に具体化してもよい。
・上記実施形態では、配線基板20に半導体チップ60を実装し、その半導体チップ60を封止する封止樹脂70を形成した後に、支持基板100を除去したが、支持基板100を除去するタイミングはこれに限定されない。すなわち、支持基板100を除去した後の構造体のみで剛性を十分に確保することができれば、支持基板100を除去するタイミングは特に限定されない。例えば、絶縁層30の上面30Aに配線構造23を形成した直後に支持基板100を除去するようにしてもよい。
【0117】
・上記実施形態の半導体装置10の製造方法において、半導体チップ60及び封止樹脂70を上面側から薄化する工程を省略してもよい。
・上記実施形態並びに各変形例は適宜組み合わせてもよい。