特許第6661605号(P6661605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許66616056,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4(5H)−オン化合物およびMGLUR2受容体の負のアロステリック調節因子としてのそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6661605
(24)【登録日】2020年2月14日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4(5H)−オン化合物およびMGLUR2受容体の負のアロステリック調節因子としてのそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20200227BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20200227BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20200227BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20200227BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20200227BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20200227BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20200227BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20200227BHJP
【FI】
   C07D487/04 141
   C07D487/04CSP
   A61P25/00
   A61P25/28
   A61P25/18
   A61P25/20
   A61P25/24
   A61K45/00
   A61K31/4985
【請求項の数】18
【全頁数】51
(21)【出願番号】特願2017-505491(P2017-505491)
(86)(22)【出願日】2015年7月30日
(65)【公表番号】特表2017-523202(P2017-523202A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】EP2015067538
(87)【国際公開番号】WO2016016383
(87)【国際公開日】20160204
【審査請求日】2018年7月30日
(31)【優先権主張番号】14179602.9
(32)【優先日】2014年8月1日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100181168
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 智裕
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】コンデ−セイデ,スサーナ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ゴール,ミシェル,ルク,マリア
(72)【発明者】
【氏名】マルティン−マルティン,マリア ルス
【審査官】 石井 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2017−528515(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/050803(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/192350(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/192347(WO,A1)
【文献】 特表2015−520239(JP,A)
【文献】 特表2013−545822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

の化合物、またはその立体異性体形(式中、
は、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−OH、−CN、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、C3〜7シクロアルキル、−O−C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキルオキシ、ポリハロ−C1〜4アルキルオキシ、SF、C1〜4アルキルチオ、モノハロ−C1〜4アルキルチオ、ポリハロ−C1〜4アルキルチオからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ以上の置換基でそれぞれ任意選択的に置換されるフェニルもしくは2−ピリジニルであり;
は、水素、C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−OH、C3〜7シクロアルキル、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、NR5a5b、アリールおよびHetからなる群から選択され;ここで
アリールは、ハロ、C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−OH、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−CN、−O−C1〜4アルキル、−OH、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、−NR6a6b、−NHC(O)C1〜4アルキル、−C(O)NR6a6b、−C(O)NH[C(O)C1〜4アルキル]、−S(O)NR6a6b、−S(O)NH[C(O)C1〜4アルキルおよび−SO−C1〜4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されるフェニルであり;
Hetは、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−OH、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−CN、−O−C1〜4アルキル、−OH、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、−NR6a6b、−NHC(O)C1〜4アルキル、−C(O)NR6a6b、−C(O)NH[C(O)C1〜4アルキル]、−S(O)NR6a6b、−S(O)NH[C(O)C1〜4アルキルおよび−SO−C1〜4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されるピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルからなる群から選択され;
5a、R5b、R6aおよびR6bは、それぞれ独立して水素またはC1〜4アルキルであり;
は、水素またはC1〜4アルキルであり、
は、水素、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキル−OHからなる群から選択される)
またはそのN−オキシドもしくは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物、またはその立体異性体形(式中、
は、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキルおよびポリハロ−C1〜4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つまたは3つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルもしくは2−ピリジニルであり;
は、C1〜4アルキル、アリールおよびHetからなる群から選択され;ここで
アリールは、フェニルであり;
Hetは、それぞれがハロ、C1〜4アルキルおよび−NR6a6bからなる群からそれぞれ独立して選択される1つの置換基で任意選択的に置換されるピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルからなる群から選択され;
6aおよびR6bは、それぞれ水素であり;
は、水素であり;
は、C1〜4アルキルである)
またはそのN−オキシドもしくは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物、またはその立体異性体形(式中、
は、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキルおよびポリハロ−C1〜4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つまたは2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルであり;
は、C1〜4アルキル、アリールおよびHetからなる群から選択され;ここで
アリールは、フェニルであり;
Hetは、それぞれがハロ、C1〜4アルキルおよび−NR6a6bからなる群からそれぞれ独立して選択される1つの置換基で任意選択的に置換されるピリジニルおよびピラジニルからなる群から選択され;
6aおよびR6bは、それぞれ水素であり;
は、水素であり;
は、C1〜4アルキルである)
またはそのN−オキシドもしくは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の化合物、またはその立体異性体形(式中、
は、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキルおよびポリハロ−C1〜4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つまたは2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルであり;
は、アリールもしくはHetであり;ここで
アリールは、フェニルであり;
Hetは、それぞれがハロ、C1〜4アルキルおよび−NR6a6bからなる群からそれぞれ独立して選択される1つの置換基で任意選択的に置換されるピリジニルおよびピラジニルからなる群から選択され;
6aおよびR6bは、それぞれ水素であり;
は、水素であり;
は、C1〜4アルキルである)
またはそのN−オキシドもしくは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項5】
は水素であり、Rは式(I’)
【化2】

(式中、6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4(5H)−オンコア、RおよびRはこの図の平面内にあり、Rはこの図面の平面の上方に突出しており、RおよびRは請求項1または2に定義されたとおりである)に記載した配置を有する水素とは異なる1つの置換基である、請求項1または2に記載の化合物またはそのN−オキシドもしくは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項6】
化合物が、
【化3】

またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項7】
化合物が、
【化4】

またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項8】
治療的有効量の請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物と薬学的に許容される担体もしくは賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項9】
医薬品として使用するための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
気分障害;せん妄、認知症、健忘症および他の認知障害;精神遅滞、学習障害、運動能力障害、コミュニケーション障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)および自閉性障害から選択される障害;物質関連障害;統合失調症および他の精神病性障害;身体表現性障害;ならびに過眠性睡眠障害の群から選択される中枢神経系状態または疾患の治療または予防に使用するための請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
うつ病性障害;神経認知障害;神経発達障害;物質関連障害および嗜癖障害;統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害;ならびに過眠障害から選択される中枢神経系状態または疾患の治療または予防に使用するための請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
前記中枢神経系状態または疾患は、認知症、または神経認知障害、大うつ病性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病、注意欠陥多動性障害および統合失調症から選択される、請求項10に記載の用途の化合物。
【請求項13】
薬学的に許容される担体または賦形剤が治療有効量の請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物と均質混合されることを特徴とする、請求項8に定義される医薬組成物の調製方法。
【請求項14】
治療有効量の請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物を含む、気分障害;せん妄、認知症、健忘症および他の認知障害;精神遅滞、学習障害、運動能力障害、コミュニケーション障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)および自閉性障害から選択される障害;物質関連障害;統合失調症および他の精神病性障害;身体表現性障害;ならびに過眠性睡眠障害から選択される中枢神経系障害または状態を治療または予防するための医薬組成物。
【請求項15】
治療有効量の請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物を含む、うつ病性障害;神経認知障害;神経発達障害;物質関連障害および嗜癖障害;統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害;ならびに過眠障害から選択される中枢神経系障害または状態を治療または予防するための医薬組成物。
【請求項16】
前記中枢神経系状態または疾患は、認知症、神経認知障害、大うつ病性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病、注意欠陥多動性障害および統合失調症から選択される、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
うつ病性障害;神経認知障害;神経発達障害;物質関連障害および嗜癖障害;統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害;ならびに過眠障害から選択される中枢神経系状態または疾患の治療または予防に同時に、別々に、または順次使用される併用製剤として、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物と追加の薬剤とを含む製品。
【請求項18】
大うつ病性障害、うつ病または治療抵抗性うつ病の治療又は予防に使用するための、請求項6または7に記載の化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代謝調節型グルタミン酸受容体サブタイプ2(「mGluR2」)の負のアロステリック調節因子(NAM)としての新規な6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4(5H)−オン誘導体に関する。本発明はさらに、そのような化合物を含む医薬組成物、そのような化合物および組成物を調製するための方法ならびに代謝調節型受容体のmGluR2サブタイプが関与する障害を予防または治療するためのそのような化合物および組成物の使用を対象とする。
【背景技術】
【0002】
CNS中のグルタミン酸作動系は、幾つかの脳機能において重要な役割を果たす神経伝達物質系の1つである。代謝調節型グルタミン酸受容体(mGluR)は、Gタンパク質共役ファミリーに属しており、様々な脳領域に分布している8つの異なるサブタイプがこれまでに同定されている(Ferraguti & Shigemoto,Cell & Tissue Research,326:483−504,2006)。mGluRは、グルタミン酸の結合によってCNS中でのシナプス伝達および神経興奮性の調節に関与する。これにより受容体が活性化して細胞内シグナル伝達相手に係合し、細胞事象を引き起こす(Niswender & Conn,Annual Review of Pharmacology & Toxicology 50:295−322,2010)。
【0003】
mGluRは、それらの薬理学的特性および構造特性に基づいて3つのサブグループであるI群(mGluR1およびmGluR5)、II群(mGluR2およびmGluR3)ならびにIII群(mGluR4、mGluR6、mGluR7およびmGluR8)に細分される。オルトステリック調節およびアロステリック調節の両方を行うII群リガンドは、精神病、気分障害、アルツハイマー病および認知障害または記憶障害を含む、様々な神経障害の治療に有用な可能性があると考えられる。これは、皮質、海馬および線条体などの脳領域中でのそれらの主要な局在分布(primary localisation)と一致する(Ferraguti & Shigemoto,Cell & Tissue Research 326:483−504,2006)。特に、アンタゴニストおよび負のアロステリック調節因子は、気分障害および認知機能障害または記憶機能障害を治療する可能性を有すると報告されている。これは、これらの臨床症候群に関連すると思われる様々な実験条件下での実験動物で試験したII群受容体アンタゴニストおよび負のアロステリック調節因子に関する知見に基づく(Goeldner et al,Neuropharmacology 64:337−346,2013)。例えば、mGluR2/3アンタゴニストであるdecoglurantのRO4995819(F.Hoffmann−La Roche Ltd.)を用いた臨床試験が、現行の抗うつ剤治療に十分応答しない大うつ病性障害患者の補助療法において進行中である(ClinicalTrials.gov Identifier NCT01457677,retrieved 19 February 2014)。
【0004】
国際公開第2013066736号パンフレット(Merck Sharp & Dohme Corp.)は、mGluR2 NAMとしてのキノリンカルボキサミド化合物およびキノリンカルボニトリル化合物について記載している。国際公開第2013174822号パンフレット(Domain Therapeutics)は、4H−ピラゾロ[1,5−a]キナゾリン−5−オンおよび4H−ピロロ−[1,2−a]キナゾリン−5−オンならびにそれらのin vitro mGluR2 NAM活性について記載している。国際公開第2014064028号パンフレット(F.Hoffman−La Roche AG)は、mGlu2/3の負のアロステリック調節因子の選択および自閉症スペクトラム障害(ASD)の治療におけるそれらの使用可能性を開示している。
【0005】
II群受容体は主として、それらがシナプス内へのグルタミン酸の放出に負のフィードバックループをかけるシナプス前神経終末上に位置する(Kelmendi et al,Primary Psychiatry 13:80−86,2006)。このため、アンタゴニストまたは負のアロステリック調節因子でこれらの受容体の機能を阻害すると、グルタミン酸放出に対するブレーキが外れ、グルタミン酸作動性シグナル伝達が増強される。この作用は、II群受容体の阻害剤を有する前臨床種(preclinical species)おいて観察される、抗うつ剤様作用および認知促進(procognitive)作用の基礎をなすと考えられる。さらに、II群のオルトステリックアンタゴニストを用いたマウスの治療は、脳由来神経栄養因子(BDNF)などの成長因子によるシグナル伝達を増強させることが証明されている(Koike et al,Behavioural Brain Research 238:48−52,2013)。BDNFおよび他の成長因子は、シナプス可塑性の媒介に決定的な関与をすることが照明されているため、この機構はこれらの化合物の抗うつ性および認知促進性の両方に寄与する可能性が高い。このため、II群受容体ファミリーのmGluRの阻害は、うつおよび認知機能障害または記憶機能障害を含む神経障害の潜在的治療機構となり得ると考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式(I)の6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4(5H)−オン誘導体
【化1】

およびその立体異性体形(式中、
は、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−OH、−CN、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、C3〜7シクロアルキル、−O−C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキルオキシ、ポリハロ−C1〜4アルキルオキシ、SF、C1〜4アルキルチオ、モノハロ−C1〜4アルキルチオおよびポリハロ−C1〜4アルキルチオからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ以上の置換基でそれぞれ任意選択的に置換されるフェニルもしくは2−ピリジニルであり;
は、水素、C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−OH、C3〜7シクロアルキル、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、NR5a5b、アリールおよびHetからなる群から選択され;
ここで、
アリールは、ハロ、C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−OH、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−CN、−O−C1〜4アルキル、−OH、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、−NR6a6b、−NHC(O)C1〜4アルキル、−C(O)NR6a6b、−C(O)NH[C(O)C1〜4アルキル]、−S(O)NR6a6b、−S(O)NH[C(O)C1〜4アルキルおよび−SO−C1〜4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されるフェニルであり;
Hetは、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−OH、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−CN、−O−C1〜4アルキル、−OH、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、−NR6a6b、−NHC(O)C1〜4アルキル、−C(O)NR6a6b、−C(O)NH[C(O)C1〜4アルキル]、−S(O)NR6a6b、−S(O)NH[C(O)C1〜4アルキルおよび−SO−C1〜4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されてよいピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルからなる群から選択され;
5a、R5b、R6aおよびR6bは、それぞれ独立して水素およびC1〜4アルキルから選択され;
は、水素およびC1〜4アルキルから選択され;
は、水素、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキル−OHからなる群から選択される)
ならびにそれらのN−オキシド、および薬学的に許容される塩および溶媒和物を対象とする。
【0007】
本発明はさらに、治療有効量の式(I)の化合物と薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0008】
さらに、本発明は、医薬品として使用するための式(I)の化合物ならびに気分障害;せん妄、認知症、健忘症および他の認知障害;通常は幼児期、小児期または青年期に最初に診断される障害;物質関連障害;統合失調症および他の精神病性障害;身体表現性障害;ならびに過眠性睡眠障害から選択される中枢神経系状態または疾患の治療または予防に使用するための式(I)の化合物に関する。
【0009】
本発明はさらに、気分障害;せん妄、認知症、健忘症および他の認知障害;通常は幼児期、小児期または青年期に最初に診断される障害;物質関連障害;統合失調症および他の精神病性障害;身体表現性障害;ならびに過眠性睡眠障害から選択される中枢神経系状態または疾患の治療または予防に使用するための追加の医薬品と併用した式(I)の化合物の使用に関する。
【0010】
さらに、本発明は、薬学的に許容される担体が治療有効量の式(I)の化合物と均質混合されることを特徴とする、本発明による医薬組成物を調製するための方法に関する。
【0011】
本発明はさらに、気分障害;せん妄、認知症、健忘症および他の認知障害;通常は幼児期、小児期または青年期に最初に診断される障害;物質関連障害;統合失調症および他の精神病性障害;身体表現性障害;ならびに過眠性睡眠障害から選択される中枢神経系障害を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に治療有効量の式(I)の化合物または治療有効量の本発明による医薬組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0012】
本発明はさらに、気分障害;せん妄、認知症、健忘症および他の認知障害;通常は幼児期、小児期または青年期に最初に診断される障害;物質関連障害;統合失調症および他の精神病性障害;身体表現性障害;ならびに過眠性睡眠障害から選択される中枢神経系状態または疾患の治療または予防において、式(I)の化合物と、同時に、別々にまたは順次に使用される併用製剤としての追加の医薬品とを含む製品に関する。
【0013】
本発明は、mGluR2受容体に非可逆的に結合するように設計された6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4(5H)−オン誘導体にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、詳細には、上記で定義した式(I)の化合物およびその立体異性体形(式中、
は、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−OH、−CN、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、C3〜7シクロアルキル、−O−C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキルオキシ、ポリハロ−C1〜4アルキルオキシ、SF、C1〜4アルキルチオ、モノハロ−C1〜4アルキルチオおよびポリハロ−C1〜4アルキルチオからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ以上の置換基でそれぞれ任意選択的に置換されるフェニルもしくは2−ピリジニルであり;
は、水素、C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−OH、C3〜7シクロアルキル、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、NR5a5b、アリールおよびHetからなる群から選択され;ここで
アリールは、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、−O−C1〜4アルキルおよびNR6a6bからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されるフェニルであり;
Hetは、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、−O−C1〜4アルキルおよび−NR6a6bからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されるピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルからなる群から選択され;
5a、R5b、R6aおよびR6bは、それぞれ独立して水素およびC1〜4アルキルから選択され;
は、水素およびC1〜4アルキルから選択され;
は、水素、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキル−OHからなる群から選択される)
ならびにそれらのN−オキシド、および薬学的に許容される塩および溶媒和物に関する。
【0015】
追加の実施形態において、本発明は、本明細書の上記で定義した式(I)の化合物およびその立体異性体形(式中、
は、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキルおよびポリハロ−C1〜4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1、2または3つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルもしくは2−ピリジニルであり;
は、C1〜4アルキル、アリールおよびHetからなる群から選択され;ここで
アリールは、フェニルであり;
Hetは、それぞれがハロ、C1〜4アルキルおよび−NR6a6bからなる群からそれぞれ独立して選択される1つの置換基で任意選択的に置換されるピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルからなる群から選択され;
6aおよびR6bは、それぞれ水素であり;
は、水素であり;
は、C1〜4アルキルである)
ならびにそれらのN−オキシド、および薬学的に許容される塩および溶媒和物に関する。
【0016】
追加の実施形態において、本発明は、本明細書の上記で定義した式(I)の化合物およびその立体異性体形(式中、
は、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキルおよびポリハロ−C1〜4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つまたは2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルであり;
は、C1〜4アルキル、アリールおよびHetからなる群から選択され;ここで
アリールは、フェニルであり;
Hetは、それぞれがハロ、C1〜4アルキルおよび−NR6a6bからなる群からそれぞれ独立して選択される1つの置換基で任意選択的に置換されるピリジニルおよびピラジニルからなる群から選択され;
6aおよびR6bは、それぞれ水素であり;
は、水素であり;
は、C1〜4アルキルである)
ならびにそれらのN−オキシド、および薬学的に許容される塩および溶媒和物に関する。
【0017】
追加の実施形態において、本発明は、本明細書の上記で定義した式(I)の化合物およびその立体異性体形(式中、
は、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキルおよびポリハロ−C1〜4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つまたは2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルであり;
は、アリールおよびHetからなる群から選択され;ここで
アリールは、フェニルであり;
Hetは、それぞれがハロ、C1〜4アルキルおよび−NR6a6bからなる群からそれぞれ独立して選択される1つの置換基で任意選択的に置換されるピリジニルおよびピラジニルからなる群から選択され;
6aおよびR6bは、それぞれ水素であり;
は、水素であり;
は、C1〜4アルキルである)
ならびにそれらのN−オキシド、および薬学的に許容される塩および溶媒和物に関する。
【0018】
追加の実施形態において、本発明は、本明細書の上記で定義した式(I)の化合物およびその立体異性体形(式中、
は、それぞれがハロおよびポリハロ−C1〜4アルキルからなる群から独立して選択される1つまたは2つの置換基で選択されるフェニルであり;
は、NHで任意選択的に置換されるピリジニルまたはピラジニルであり;
および>CRは、>CH(CH)である)
ならびにそれらのN−オキシド、および薬学的に許容される塩および溶媒和物に関する。
【0019】
また別の実施形態において、本発明は、本明細書で定義した式(I)(式中、Rは水素であり、およびRは下記の式(I’)(式中、6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4(5H)−オンコア、RおよびRはこの図の平面内にあり、Rはこの図面の平面の上方に突出しており(太い楔形で示された結合)、残りの変量は本明細書で式(I)で定義されたとおりである)に記載した配置を有する水素とは異なる1つの置換基である)の化合物に関する。
【化2】
【0020】
さらにまた別の実施形態において、本発明は、本明細書で定義した式(I)(式中、Rは水素であり、およびRは下記の式(I’’)(式中、6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4(5H)−オンコア、RおよびRはこの図の平面内にあり、Rはこの図面の平面の上方に突出しており(太い楔形で示された結合)、残りの変量は本明細書で式(I)で定義されたとおりである)に記載した配置を有する水素とは異なる1つの置換基、例えばC1〜4アルキル置換基である)の化合物に関する。
【化3】
【0021】
本発明による特定の化合物には:
(7S)−3−[2−(6−アミノ−3−ピリジル)エチニル]−7−メチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン;
(7S)−3−[2−(6−アミノ−3−ピリジル)エチニル]−5−(3−クロロ−4−メトキシ−フェニル)−7−メチル−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン;
(7S)−3−[2−(6−アミノ−3−ピリジル)エチニル]−5−(3,4−ジクロロフェニル)−7−メチル−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン;
(7S)−3−[2−(6−アミノ−3−ピリジル)エチニル]−7−メチル−5−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン;
(7S)−7−メチル−3−(2−フェニルエチニル)−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン;
(7S)−7−メチル−3−[2−(2−メチル−4−ピリジル)エチニル]−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン;
(7S)−7−メチル−3−[2−(6−メチル−3−ピリジル)エチニル]−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン;
(7S)−3−[2−(2−アミノ−4−ピリジル)エチニル]−7−メチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン;
(7S)−5−(3,4−ジクロロフェニル)−3−[2−(6−メトキシ−3−ピリジル)エチニル]−7−メチル−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン;
(7S)−5−(3,4−ジクロロフェニル)−7−メチル−3−[2−[6−(メチルアミノ)−3−ピリジル]エチニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン;
(7S)−5−(3,4−ジクロロフェニル)−3−[2−(6−フルオロ−3−ピリジル)エチニル]−7−メチル−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン;
(7S)−5−(3,4−ジクロロフェニル)−3−[2−[6−(ジメチルアミノ)−3−ピリジル]エチニル]−7−メチル−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン;
(7S)−3−[2−(6−アミノ−3−ピリジル)エチニル]−5−[3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−7−メチル−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン;
(7S)−3−[2−(6−アミノ−3−ピリジル)エチニル]−5−[3−(ヒドロキシメチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−7−メチル−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン;
(7S)−3−[2−(6−アミノ−3−ピリジル)エチニル]−5−[3−(フルオロメチル)−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−7−メチル−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン;
(7S)−3−[2−(6−アミノ−3−ピリジル)エチニル]−5−[6−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]−7−メチル−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
(7S)−5−[6−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]−7−メチル−3−[2−[6−(メチルアミノ)−3−ピリジル]エチニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
(7S)−5−[6−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]−7−メチル−3−[2−[6−(メチルアミノ)−3−ピリジル]エチニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
(7S)−3−[2−[6−アミノ−5−(ヒドロキシメチル)−3−ピリジル]エチニル]−7−メチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
(7S)−3−[2−[6−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−3−ピリジル]エチニル]−7−メチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
(7S)−3−[2−[5−(ヒドロキシメチル)−3−ピリジル]エチニル]−7−メチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
(7S)−3−[2−[5−(メトキシメチル)−3−ピリジル]エチニル]−7−メチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
(7S)−3−[2−[5−(フルオロメチル)−3−ピリジル]エチニル]−7−メチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
(7S)−3−[2−[6−アミノ−5−(フルオロメチル)−3−ピリジル]エチニル]−7−メチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
(7S)−3−[2−[6−アミノ−5−(メトキシメチル)−3−ピリジル]エチニル]−7−メチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
(7S)−3−[2−(6−アミノ−3−ピリジル)エチニル]−5−[6−フルオロメチル)−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]−7−メチル−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
(7S)−3−[2−(6−アミノ−3−ピリジル)エチニル]−5−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−7−メチル−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
(7S)−3−[2−(2−アミノ−3−ピリジル)エチニル]−7−メチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
(7S)−3−[2−(6−アミノ−3−ピリジル)エチニル]−7−メチル−5−[4−(1,2,2,2−テトラフルオロエチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
(7S)−3−[2−[6−アミノ−4−(メトキシメチル)−3−ピリジル]エチニル]−7−メチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
(7S)−7−メチル−3−[2−[2−(メチルアミノ)−3−ピリジル]エチニル]−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
(7S)−3−[2−[6−アミノ−4−(フルオロメチル)−3−ピリジル]エチニル]−7−メチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
(7S)−3−[2−[6−アミノ−4−(ヒドロキシメチル)−3−ピリジル]エチニル]−5−[3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−7−メチル−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン
ならびにそのような化合物の薬学的に許容される塩および溶媒和物が挙げられる。
【0022】
本発明はさらに、mGluR2受容体、特にそのアロステリックポケットに非可逆的に結合するように設計された誘導体に関する。
【0023】
1つの実施形態において、これらの化合物は、式(I−a)
【化4】

およびその立体異性体形(式中、
は、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−OH、−CN、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、C3〜7シクロアルキル、−O−C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキルオキシ、ポリハロ−C1〜4アルキルオキシ、SF、C1〜4アルキルチオ、モノハロ−C1〜4アルキルチオおよびポリハロ−C1〜4アルキルチオからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ以上の置換基でそれぞれ任意選択的に置換されるフェニルもしくは2−ピリジニルであり;
は、−S(O)Fで置換されたフェニルであり;
は、水素およびC1〜4アルキルから選択され;
は、水素、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキル−OHからなる群から選択される)
ならびにそれらのN−オキシド、および薬学的に許容される塩および溶媒和物を有する。
【0024】
本発明の化合物の名称は、Accelrys Direct Revision 8.0 SP1(Microsoft Windows 64−bit Oracle11)(8.0.100.4)OpenEye:1.2.0.によって作成された国際純正応用化学連合(IUPAC)により合意された命名規則にしたがって作成された。互変異性体形の場合、その構造が図示された互変異性体形の名称が作成された。しかし、図示していない他の互変異性体形も本発明の範囲内に含まれることは明白なはずである。
【0025】
定義
単独または別の基の一部として本明細書で使用する表記「C1〜4アルキル」は、他に特記しない限り、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチル−プロピル、2−メチル−1−プロピルおよび1,1−ジメチルエチルなどを定義する。単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用する表記「−C1〜4アルキル−OH」は、任意の利用可能な炭素原子の位置で1個のOH基と置換された、上記で定義したC1〜4アルキルを指す。
【0026】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用する表記「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを指し、フルオロまたはクロロが好ましい。
【0027】
単独でまたは別の基の一部として本明細書で使用する表記「モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル」は、1、2、3個、または可能な場合にそれより多くの上記で定義したハロ原子で置換された、上記で定義したC1〜4アルキルを指す。
【0028】
本明細書で使用する表記「C3〜7シクロアルキル」は、3〜7個の炭素原子を有する環状飽和炭化水素基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを指す。特定のC3〜7シクロアルキル基は、シクロプロピルである。
【0029】
式(I)による化合物のN−オキシド形は、1個または数個の窒素原子がいわゆるN−オキシドに、特にピリジニル基中の窒素原子が酸化されているN−オキシドに酸化されている式(I)の化合物を含むことが意図されている。N−オキシドは、当業者に既知の手順にしたがって形成することができる。N−酸化反応は一般的に、式(I)の出発物質を適切な有機または無機過酸化物と反応させる工程により実施されてよい。適切な無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ金属過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含む。適切な有機過酸化物は、ペルオキシ酸、例えばベンゼンカルボペルオキソ酸もしくはハロ置換ベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロペルオキシ安息香酸(もしくはクロロ過安息香酸)、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばtert−ブチルヒドロペルオキシドを含むことができる。好適な溶媒は、例えば、水、低級アルカノール、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエン、ケトン、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタンおよびそのような溶媒の混合物である。
【0030】
「置換された」という用語を本発明で使用する場合は常に、特記しない限り、または文脈から明らかでない限り、「置換された」を使用する表現で示した原子または基上の1個以上の水素、好ましくは1〜3個の水素、より好ましくは1〜2個の水素、より好ましくは1個の水素が、通常の原子価を超えず、置換の結果が、化学的に安定な化合物、つまり、反応混合物から有用な程度の純度に単離する工程、および治療薬に製剤化する工程に耐えるほど十分に堅牢な化合物を生じさせることを前提に、示された群から選択されるもので置き換えられていることを示すものとする。
【0031】
本明細書で使用する用語「対象(subject)」は、治療、観察または実験の目的物(object)であり、または目的物であった動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0032】
本明細書中で使用する用語「治療有効量」は、治療されている疾患または障害の症状の軽減を含む、研究者、獣医師、医師または他の臨床医が求めている組織系、動物またはヒトにおいて生物学的または医学的反応を引き出す活性化合物または医薬品の量を意味する。
【0033】
本明細書で使用する用語「組成物」は、特定量の特定成分を含む生成物および特定量中の特定成分の組合せから直接的または間接的に生じる任意の生成物を包含するものとする。
【0034】
式(I)の化合物ならびにそれらの薬学的に許容される付加塩およびその溶媒和物の一部は、1つ以上のキラル中心を含有し、立体異性体形として存在し得ることは理解されるであろう。
【0035】
本明細書で使用する用語「本発明の化合物」は、式(I)の化合物ならびにその塩および溶媒和物を含むものとする。
【0036】
本明細書で使用するように、実線のくさび形結合または破線のくさび形結合としてではなく実線としてのみ示される結合を有する任意の化学式、またはさもなければ1つまたは複数の原子の周りに特定の配置(例えばR、S)を有するとして別の方法で示される化学式は、それぞれ可能性のある立体異性体または2つ以上の立体異性体の混合物を企図している。
【0037】
上記および下記で、用語「式(I)の化合物」は、その立体異性体形およびその互変異性体形を含むものとする。
【0038】
上記または下記の用語「立体異性体(stereoisomers)」、「立体異性体形(stereoisomeric forms)」または「立体化学的異性体形((stereochemically isomeric forms)」は、互換的に使用される。
【0039】
本発明は、純粋な立体異性体または2つ以上の立体異性体の混合物としてのいずれかで本発明の化合物の全ての立体異性体を含む。
【0040】
鏡像異性体は、重ね合わせることができない相互の鏡像である立体異性体である。1対の鏡像異性体の1:1混合物は、ラセミ体またはラセミ混合物である。
【0041】
ジアステレオマー(またはジアステレオ異性体)は、鏡像異性体ではない立体異性体であり、すなわち、鏡像の関係にない。化合物が二重結合を含有する場合、置換基はE配置またはZ配置にある場合がある。
【0042】
二価の環状(部分的)飽和基上の置換基は、シス配置またはトランス配置を有する場合がある。例えば、化合物が二置換シクロアルキル基を含有する場合、それらの置換基はシス配置またはトランス配置にある場合がある。
【0043】
このため、本発明は、化学的に可能な場合は常に、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、E異性体、Z異性体、シス異性体、トランス異性体およびそれらの混合物を含む。
【0044】
それらの全部の用語、すなわち鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体、E異性体、Z異性体、シス異性体、トランス異性体およびそれらの混合物の意味は、当業者であれば既知である。
【0045】
絶対配置は、カーン・インゴルド・プレローグ表示法にしたがって明記される。不斉原子での配置は、RまたはSのいずれかによって特定される。絶対配置が不明の分割立体異性体は、それらが平面偏光を回転させる方向に応じて(+)または(−)によって示すことができる。例えば、絶対配置が不明の分割鏡像異性体は、それらが平面偏光を回転させる方向に応じて(+)または(−)で示すことができる。
【0046】
特定の立体異性体が特定される場合、上記立体異性体は実質的に他の異性体を含まない、すなわち、50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、さらにより好ましくは5%未満、詳細には2%未満、および最も好ましくは1%未満の他の異性体と結び付いていることを意味する。そこで、式(I)の化合物が例えば(R)として特定される場合、これはこの化合物が(S)異性体を実質的に含まないことを意味し、式(I)の化合物が例えばEとして特定される場合、これは化合物がZ異性体を実質的に含まないことを意味し、式(I)の化合物が例えばシスとして特定される場合、これは化合物がトランス異性体を実質的に含まないことを意味する。
【0047】
式(I)による化合物の一部は、それらの互変異性体形で存在する場合もある。そのような形態は、上記式には明示されていなくても、それらが存在する限り、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0048】
そこで単一の化合物は、立体異性体形および互変異性体形の両方として存在する場合がある。
【0049】
治療使用のためには、式(I)の化合物の塩は、対イオンが薬学的に許容できる塩である。しかし、薬学的に許容されない酸塩および塩基塩も、例えば、薬学的に許容される化合物の調製または精製に使用される場合がある。薬学的に許容されるか否かにかかわらず、全ての塩が本発明の範囲内に含まれる。
【0050】
前述または後述の薬学的に許容される酸付加塩および塩基付加塩は、式(I)の化合物を生成することができる、治療活性を有する非毒性の酸付加塩および塩基付加塩の形態を含むものとする。薬学的に許容される酸付加塩は、塩基形をそのような適切な酸で処理することにより便宜的に得ることができる。適切な酸には、例えば、無機酸、例えば塩酸または臭化水素酸などのハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの酸;または有機酸、例えば、酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸(すなわちエタン二酸)、マロン酸、コハク酸(すなわちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモン酸などの酸が挙げられる。これとは逆に、前記塩形は、適切な塩基で処理することにより遊離塩基形に変換させることができる。
【0051】
酸性プロトンを含む式(I)の化合物は、さらに適切な有機および無機塩基を用いた処理によって、それらの非毒性金属またはアミン付加塩形に変換させることができる。適切な塩基塩形には、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩など、有機塩基との塩、例えば、第一級、第二級および第三級の脂肪族および芳香族アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4つのブチルアミン異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリンおよびイソキノリン;ベンザチン塩、N−メチル−D−グルカミン塩、ヒドラバミン塩ならびにアミノ酸、例えばアルギニン、リシンとの塩などが挙げられる。これとは逆に、塩形は、酸で処理することによって遊離酸形に変換させることができる。
【0052】
溶媒和物という用語は、式(I)の化合物が形成できる溶媒付加形およびその塩を含む。そのような溶媒付加形の例としては、例えば、水和物、アルコラートなどである。
【0053】
本願の範囲内で、元素は、詳細には式(I)の化合物に関して記載する場合、天然または合成により調製された、天然に多量に存在する、または同位体濃縮された形態にあるこの元素の全ての同位体および同位体混合物、例えばHを含む。放射標識された式(I)の化合物は、H、11C、14C、18F、122I、123I、125I、131I、75Br、76Br、77Brおよび82Brの群から選択される放射性同位体を含むことができる。好ましくは、放射性同位体は、H、11Cおよび18Fからなる群から選択される。
【0054】
調製
本発明による化合物は、一般に、それぞれが当業者には既知である一連の工程によって調製することができる。詳細には、本化合物は、以下の合成方法にしたがって調製することができる。
【0055】
式(I)の化合物は、当技術分野で既知の分割法にしたがって互いに分離することができる鏡像異性体のラセミ混合物の形態で合成することができる。式(I)のラセミ化合物は、好適なキラル酸との反応により、対応するジアステレオマー塩形に変換させることができる。前記ジアステレオマー塩形は、引き続いて、例えば、選択的または分別結晶化により分離され、それから鏡像異性体がアルカリによって遊離させられる。式(I)の化合物の鏡像異性体を分離する代替方法には、キラル固定相を使用する液体クロマトグラフィまたはキラル超臨界流体クロマトグラフィ(SFC)が挙げられる。前記純粋な立体化学的異性体形は、反応が立体特異的に発生することを前提に、適切な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体形から誘導することもできる。本明細書で報告した本発明の化合物の絶対配置は、超臨界流体クロマトグラフィ(SFC)を実施し、続いて、不斉合成によりまたは混合物のキラル分離により得られた個別の鏡像異性体のSFC比較を実施し、続いて、特定の鏡像異性体の振動円二色性(VCD)分析を実施することによる、ラセミ混合物の分析により決定された。
【0056】
A.最終化合物の調製
実験手順1
式(I)による最終化合物は、当業者に既知の反応条件にしたがって、式(II)のオキシム誘導体と式(III)のアルキンとのワンポット反応によって調製することができる。そのような反応条件には、例えば、例えばテトラヒドロフランなどの好適な不活性溶媒中の、例えば便宜的な温度、典型的には室温などの好適な反応条件下で、反応の完了を保証する時間にわたる式(II)のオキシムと例えばN−クロロスクシンイミドなどのハロゲン化試薬とのハロゲン化反応、その後に反応の完了を保証する時間にわたり例えば便宜的な温度、典型的には室温などの好適な反応条件下で、例えばトリエチルアミンなどの塩基の存在下での式(III)のアルキンを用いた処理が含まれる。式(III)の化合物は、市販で入手できる、または当該技術分野で既知の手順にしたがって製造することができる。反応スキーム1では、全変量は、式(I)に定義されたとおりである。
【化5】
【0057】
実験手順2
または、式(I)による最終化合物は、当業者に既知の反応条件にしたがって、式(II)のオキシム誘導体のハロゲン化型反応と式(IV)のトリメチルシラン誘導体脱保護反応とのワンポット併用によって調製することができる。式(I)の化合物は、反応の完了を保証する時間にわたり、例えば便宜的な温度、典型的には室温などの好適な反応条件下で例えばトリエチルアミンなどの塩基の存在下で両方の反応を結合することによって調製することができる。ハロゲン化反応は、反応の完了を保証する時間にわたり、好適な反応条件下、例えば便宜的な温度、典型的には室温で、例えばテトラヒドロフランなどの好適な不活性溶媒中で式(II)のオキシムの、例えばN−クロロスクシンイミドなどのハロゲン化試薬を用いた処理によって調製することができる。脱保護反応は、反応の完了を保証する時間にわたり、例えば炭酸カリウムなどの塩基の存在下、例えばメタノールなどの好適な不活性溶媒中および例えば便宜的な温度、典型的には室温の好適な反応条件下で、式(IV)のトリメチルシラン誘導体の処理によって調製することができる。反応スキーム2では、全変量は、式(I)に定義されたとおりである。
【化6】
【0058】
実験手順3
または、式(I−a)による最終化合物は、当業者に既知の条件にしたがって、式(II)のオキシム誘導体と2−ブロモプロペンとの反応によって調製することができる。そのような反応条件には、例えば、例えばテトラヒドロフランなどの不活性溶媒中の、例えば便宜的な温度、典型的には室温などの好適な反応条件下で、反応の完了を保証する時間にわたる式(II)のオキシムと例えばN−クロロスクシンイミドなどのハロゲン化試薬とのハロゲン化反応、その後に反応の完了を保証する時間にわたり例えば便宜的な温度、典型的には室温などの好適な反応条件下で、例えばトリエチルアミンなどの塩基の存在下での2−ブロモプロペンを用いた処理が含まれる。反応スキーム3では、全変量は、式(I)に定義されたとおりである。
【化7】
【0059】
実験手順4
または、式(I−a)による最終化合物は、当業者に既知の条件にしたがって、式(V)の化合物と2−ブロモプロペンとの反応によって調製することができる。そのような反応条件には、例えば、反応の完了を保証する時間にわたり、好適な反応条件下、例えば便宜的な温度、典型的には室温で、例えばテトラヒドロフランなどの好適な不活性溶媒中で例えばトリエチルアミンなどの塩基の使用が含まれる。反応スキーム4では、全変量は、式(I)に定義されたとおりである。
【化8】
【0060】
B.中間体化合物の調製
実験手順5
式(V)による中間体化合物は、反応の完了を保証する時間にわたり、好適な反応条件下、例えば便宜的な温度、典型的には室温で、例えばテトラヒドロフランなどの不活性溶媒中で、式(II)の中間体と例えばN−クロロスクシンイミドなどのハロゲン化試薬とのハロゲン化反応によって調製することができる。反応スキーム5では、全変量は、式(I)に定義されたとおりである。
【化9】
【0061】
実験手順6
式(II)による中間体化合物は、反応の完了を保証する時間にわたり、好適な反応条件下、例えば便宜的な温度、典型的には室温で、例えばメタノールなどの好適な不活性溶媒中で、式(VI)のアルデヒドと例えば塩酸ヒドロキシルアミンとの縮合反応によって調製することができる。
【0062】
式(VI)の中間体化合物は、当業者に既知の条件にしたがって式(VII)の化合物の酸化的開裂によって調製することができる。そのような反応条件には、例えば、反応の完了を保証する時間にわたり、例えば便宜的な温度、典型的には0℃の好適な反応条件下で、例えばSudan IIIなどの色素の存在下、例えばアセトンと水の混合物などの好適な溶媒混合物中で式(VII)のビニル誘導体のオゾンによる処理によるオゾン分解型反応の使用が含まれる。または、式(VI)の中間体化合物は、例えば、反応の完了を保証する時間にわたり、例えば便宜的な温度、詳細には室温の好適な反応条件下で、例えば1,4−ジオキサンと水の混合物などの好適な溶媒混合物中で、オスミウムテトロキシドの存在下で式(VII)のビニル誘導体と過ヨウ素酸ナトリウムとのグリコール開裂反応によって調製することができる。反応スキーム6では、全変量は、式(I)に定義されたとおりである。
【化10】
【0063】
実験手順7
式(VII)による中間体化合物は、当業者に既知の反応条件にしたがって、式(VIII)の化合物と4,4,5,5−テトラメチル−2−ビニル−1,3,2−ジオキサボロランとの鈴木(Suzuki)型カップリング反応によって調製することができる。そのような反応条件には、例えば炭酸ナトリウムなどの塩基の存在下、例えば1,4−ジオキサンと水の混合物などの溶媒と水の混合物などの溶媒などの好適な溶媒混合物中での例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の使用が含まれる。反応の完了を保証する時間にわたり、例えば窒素などの不活性ガスを用いた反応混合物を脱気させる行程および伝統的な加熱もしくはマイクロ波照射下での特に150℃での加熱下で例えば還流温度などの高温へ反応混合物を加熱する工程は、反応転帰を強化することができる。反応スキーム7では、全変量は、式(I)に定義されたとおりである。
【化11】
【0064】
実験手順8
式(VIII)による中間体化合物は、反応の完了を保証する時間にわたり、好適な反応条件下、例えば便宜的な温度、典型的には70℃で、硝酸アンモニウムセリウム(IV)の存在下および例えばアセトニトリルなどの好適な不活性溶媒中で式(IX)の中間体とヨウ素などのハロゲン化試薬を用いたハロゲン化反応によって調製することができる。式(IX)による中間体化合物は、反応の完了を保証する時間にわたり、例えばヨウ化銅(I)などの好適な銅(I)触媒を用いて、N,N’−ジメチルエチレンジアミンなどのリガンドの存在下、炭酸ナトリウムなどの塩基の存在下、トルエンまたはトルエンおよびN,N−ジメチルホルムアミドの混合物などの好適な溶媒中、例えば典型的には100℃〜140℃の温度範囲にわたる便宜的な温度の好適な反応条件下で、式(X)の中間体化合物と式(XI)(式中、Xはハロである)の適切なハロゲン化アリール/ヘテロアリールとのGoldberg反応によって調製することができる。式(XI)の中間体化合物は、市販で入手できる、または当該技術分野で既知の手順にしたがって得ることができる。反応スキーム8では、全変量は、式(I)に定義されたとおりである。
【化12】
【0065】
実験手順9
式(X)の中間体化合物は、反応の完了を保証する時間にわたり、例えば塩酸などの酸性媒質中、例えば1,4−ジオキサンなどの不活性溶媒中、例えば典型的には80℃の便宜的な温度の好適な反応条件下で、例えば式(XII)の中間体中の例えばtert−ブトキシカルボニル基などの保護基の除去、その後に反応の完了を保証する時間にわたり、例えば典型的には0℃〜40℃の範囲内の便宜的な温度などの好適な反応条件下で、例えば炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウムなどの塩基を用いた処理によって調製することができる。
【0066】
式(XII)(式中、RはC1〜4アルキルであり、PGは保護基である)の中間体化合物は、反応の完了を保証する時間にわたり、例えばトリフェニルホスフィンなどの好適なトリアリールホスフィンまたは好適なトリアルキルホスフィンおよびジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレートなどの好適なジアルキルアゾジカルボキシレート試薬の存在下、例えばテトラヒドロフランなどの好適な不活性溶媒中、例えば典型的には室温の便宜的な温度の好適な反応条件下で、式(XIII)の化合物と式(XIV)の適切なアルコールとの光延(Mitsunobu)型反応によって調製することができる。
【0067】
式(XIII)または式(XIV)の中間体化合物は、市販で入手できる、または文献の手順にしたがって合成することができる。反応スキーム9では、RはC1〜4アルキルであり、PGは保護基であり、他の全変量は式(I)に定義されたとおりである。
【化13】
【0068】
実験手順10
式(IV)による中間体化合物は、当業者に既知の反応条件にしたがって式(XV)の化合物とトリメチルシリルアセチレンとの薗頭(Sonogashira)型カップリング反応によって調製することができる。そのような反応条件には、反応の完了を保証する時間にわたり、例えばトリエチルアミンなどの塩基の存在下、例えばN,N−ジメチルホルムアミドなどの好適な溶媒中、例えば窒素などの例えば不活性ガスを含む反応混合物を脱気させる条件などの好適な反応条件下および例えば便宜的温度、詳細には60℃の好適な反応条件下での例えばビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライドなどのパラジウム触媒および例えばヨウ化銅(I)などの銅(I)触媒の使用が挙げられる。式(XV)の中間体化合物は、市販で入手できる。反応スキーム10では、全変量は、式(I)に定義されたとおりである。
【化14】
【0069】
HCl塩形の化合物を得るためには、当業者に既知のいくつかの手順を使用することができる。典型的な手順では、例えば、遊離塩基をDIPEまたはEtO中に溶解させ、続いて2−プロパノール中の6NのHCl溶液またはEtO中の1NのHCl溶液を滴下することができる。混合物は、典型的には、10分間撹拌した後に生成物を濾別することができる。HCl塩は、通常は真空乾燥される。
【0070】
当業者であれば、上記の方法において、中間体化合物の官能基は保護基により遮断する必要があることを理解するであろう。中間体化合物の官能基を保護基で遮断した場合、それらは反応工程後に脱保護することができる。
【0071】
薬効薬理
本発明で提供する化合物は、代謝調節型グルタミン酸受容体の負のアロステリック調節因子(NAM)、詳細には、mGluR2の負のアロステリック調節因子である。本発明の化合物は、グルタミン酸認識部位、すなわち、オルトステリックリガンド部位に結合するのではなく、その代りにその受容体の7回膜貫通領域内のアロステリック部位に結合すると思われる。グルタミン酸の存在下では、本発明の化合物はmGluR2の応答を低下させる。本発明で提供する化合物は、グルタミン酸に対するそのような受容体の応答を低下させるそれらの能力によってmGluR2でそれらの作用を及ぼし、その受容体の応答を減弱させると予想されている。
【0072】
本明細書で使用する用語「治療」は、疾患の進行を遅延、中断、阻止もしくは停止または症状の軽減が生じる可能性がある全てのプロセスを指すものとするが、必ずしも全症状の完全な排除を示すものではない。
【0073】
そこで、本発明は、一般式(I)による化合物もしくはその立体異性体形またはそれらのN−オキシドならびに薬学的に許容される塩および溶媒和物、詳細には、医薬品として使用するための式(I)の化合物もしくはその立体異性体形またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物に関する。
【0074】
本発明はさらに、一般式(I)による化合物もしくはその立体異性体形またはそれらのN−オキシドならびに薬学的に許容される塩および溶媒和物の使用、詳細には、医薬品を調製するための式(I)の化合物もしくはその立体異性体形、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、または本発明による医薬組成物の使用に関する。
【0075】
本発明はさらに、一般式(I)による化合物もしくはその立体異性体形またはそれらのN−オキシドならびに薬学的に許容される塩および溶媒和物、詳細には、ヒトを含む哺乳動物における状態の治療または予防、詳細には、治療に使用するための式(I)の化合物もしくはその立体異性体形またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、または本発明による医薬組成物にも関し、その治療または予防は、mGluR2のアロステリック調節因子、詳細にはその負のアロステリック調節因子の神経調節作用により影響を受ける、または促進される。
【0076】
本発明はさらに、一般式(I)による化合物もしくはその立体異性体形またはそれらのN−オキシドならびに薬学的に許容される塩および溶媒和物、詳細には、ヒトを含む哺乳動物における状態を治療または予防する、特に、治療するための医薬を調製するための、式(I)の化合物もしくはその立体異性体形、もしくはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、または本発明による医薬組成物の使用にも関し、その治療または予防は、mGluR2のアロステリック調節因子、詳細にはその負のアロステリック調節因子の神経調節作用により影響を受ける、または促進される。
【0077】
本発明はさらに、一般式(I)による化合物もしくはその立体異性体形またはそれらのN−オキシドならびに薬学的に許容される塩および溶媒和物、詳細には、ヒトを含む哺乳動物におけるグルタミン酸機能障害に関連する様々な神経障害および精神障害の治療、予防、改善、管理もしくはその危険性の低減に使用される、式(I)の化合物もしくはその立体異性体形、もしくはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、または本発明による医薬組成物にも関し、その治療または予防はmGluR2の負のアロステリック調節因子の神経調節作用により影響を受ける、または促進される。
【0078】
さらに、本発明は、一般式(I)による化合物もしくはその立体異性体形またはそれらのN−オキシドならびに薬学的に許容される塩および溶媒和物、詳細には、ヒトを含む哺乳動物におけるグルタミン酸機能障害に関連する様々な神経障害および精神障害を治療する、予防する、改善する、管理するもしくはその危険性を低減する医薬を調製するための、式(I)の化合物もしくはその立体異性体形、もしくはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、または本発明による医薬組成物の使用にも関し、その治療または予防はmGluR2の負のアロステリック調節因子の神経調節作用により影響を受ける、または促進される。
【0079】
詳細には、グルタミン酸機能障害に関連する神経障害および精神障害には、以下の中枢神経系状態または疾患:気分障害;せん妄、認知症、健忘症および他の認知障害;通常は幼児期、小児期または青年期に最初に診断される障害;物質関連障害;統合失調症および他の精神病性障害;身体表現性障害;ならびに過眠性睡眠障害の1つ以上が挙げられる。
【0080】
詳細には、中枢神経系障害は、統合失調症(特に、抗精神病薬で安定する患者における)、統合失調症様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害および物質誘発性精神病性障害の群から選択される精神病性障害である。
【0081】
詳細には、中枢神経系障害は、アルコール依存、アルコール乱用、アンフェタミン依存、アンフェタミン乱用、カフェイン依存、カフェイン乱用、カンナビス依存、カンナビス乱用、コカイン依存、コカイン乱用、幻覚薬依存、幻覚薬乱用、ニコチン依存、ニコチン乱用、オピオイド依存、オピオイド乱用、フェンシクリジン依存およびフェンシクリジン乱用の群から選択される物質−関連障害である。
【0082】
詳細には、中枢神経系障害は、大うつ病性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病、気分変調性障害、気分循環性障害および物質誘発性気分障害の群から選択される気分障害である。
【0083】
詳細には、中枢神経系障害は、精神遅滞、学習障害、運動能力障害、コミュニケーション障害、注意欠陥および破壊的行動障害(注意欠陥多動性障害(ADHD)など)から選択される、通常は幼児期、小児期または青年期に最初に診断される障害である。通常は幼児期、小児期または青年期に最初に診断される追加の障害は、自閉性障害である。
【0084】
詳細には、中枢神経系障害は、認知症、特に、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、HIV疾患による認知症、頭部外傷による認知症、パーキンソン病による認知症、ハンチントン病による認知症、ピック病による認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病による認知症および物質誘発性の持続的認知症の群から選択される認知障害である。
【0085】
詳細には、中枢神経系障害は、物質誘発性持続的健忘障害などの健忘障害である。
【0086】
本明細書の上記で既に言及したように、「治療」という用語は、全ての症状の全体的な排除を必ずしも指さないが、上記で言及される障害のいずれかにおける症状の治療も意味する場合がある。詳細には、治療できる症状には、記憶障害、特に、認知症または大うつ病性障害における記憶障害、加齢に伴う認知機能低下、軽度認知障害およびうつ病性症状が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
上記の障害のうち、認知症、大うつ病性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病、注意欠陥多動性障害および統合失調症の治療、詳細には、抗精神病薬で安定する患者における障害の治療は特に重要である。
【0088】
American Psychiatric AssociationのDiagnostic & Statistical Manual of Mental Disordersの第4版(DSM−IV)は、本明細書に記載の障害を特定するための診断ツールを記載している。本明細書に記載の神経障害および精神障害に関する代替の命名法、疾病分類および分類体系も存在しており、当業者であればこれらが医学および科学の進歩と共に変化すること認識できるであろう。
【0089】
当業者は、本明細書に記載する疾患または病態の別の命名法、疾病分類および分類システムに精通しているであろう。例えば、「AmericanPsychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,Fifth Edition.Arlington,VA,American Psychiatric Association,2013」(DSM−5(商標))は、うつ病性障害、詳細には、大うつ病性障害、持続的うつ病性障害(気分変調症)、物質−薬剤誘発性うつ病性障害;神経認知障害(NCD)(重度および軽度の両方)、詳細には、アルツハイマー病による神経認知障害、血管性NCD(多発性梗塞と併発している血管性NCDなど)、HIV感染によるNCD、外傷性脳障害(TBI)によるNCD、パーキンソン病によるNCD、ハンチントン病によるNCD、前頭側頭型NCD、プリオン病によるNCDおよび物質/薬剤誘発性NCD;神経発達障害、特に、知的障害、特異的学習障害、神経発達運動障害、コミュニケーション障害および注意欠陥多動性障害(ADHD);物質関連障害および嗜癖障害、詳細には、アルコール使用障害、アンフェタミン使用障害、カンナビス使用障害、コカイン使用障害、他の幻覚薬の使用障害、タバコ使用障害、オピオイド使用障害およびフェンシクリジン使用障害;統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害、詳細には、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、物質/薬剤誘発性精神病性障害;身体症状障害;過眠障害ならびに気分循環性障害(DSM−5(商標)では双極性障害および関連障害分類に入る)などの用語を使用する。そのような用語は、本明細書で言及する疾患または病態の一部の代替の命名法として当業者が使用する場合がある。追加の神経発達障害としては、DSM−5(商標)によると、以前は、早期幼児自閉症、小児自閉症、カナー自閉症、高機能自閉症、非定型自閉症、他に規定されない限り広汎性発達障害、小児期崩壊性障害およびアスペルガー障害の用語で知られていた障害を包含する自閉症スペクトラム障害(ASD)が挙げられる。詳細には、障害は自閉症である。ASDに関連する指定子としては、個体がレット症候群または脆弱性X症候群などの遺伝障害を有するものが挙げられる。
【0090】
このため、本発明はさらに、一般式(I)による化合物もしくはその立体異性体形またはそれらのN−オキシドならびに薬学的に許容される塩および溶媒和物、詳細には、前述の疾患のいずれか1つの治療において使用するための式(I)の化合物もしくはその立体異性体形またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物にも関する。
【0091】
本発明はさらに、一般式(I)による化合物もしくはその立体異性体形またはそれらのN−オキシドならびに薬学的に許容される塩および溶媒和物、詳細には、前述の疾患のいずれか1つの治療において使用するための式(I)の化合物もしくはその立体異性体形またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物にも関する。
【0092】
本発明はさらに、一般式(I)による化合物もしくはその立体異性体形またはそのN−オキシドもしくはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、詳細には、前述の疾患のいずれか1つを治療または予防するための、詳細には、治療するための式(I)の化合物もしくはその立体異性体形、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物にも関する。
【0093】
本発明はさらに、一般式(I)による化合物もしくはその立体異性体形、またはそのN−オキシドまたはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用、詳細には、前述の疾患状態のいずれか1つを治療または予防する医薬を調製するための式(I)の化合物もしくはその立体異性体形、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用に関する。
【0094】
本発明の化合物は、前述の疾患のいずれか1つを治療または予防するために、哺乳動物、好ましくはヒトに投与することができる。
【0095】
式(I)の化合物の有用性を考えると、前述の疾患のいずれか1つに罹患しているヒトを含む温血動物を治療する方法およびヒトを含む温血動物における前述の疾患のいずれか1つを予防する方法が提供される。
【0096】
前記方法は、治療有効量の式(I)の化合物、その立体異性体形、またはそれらのN−オキシドもしくはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、詳細には、式(I)の化合物もしくはその立体異性体形またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、ヒトを含む温血動物への投与、すなわち、全身投与または局所投与、好ましくは経口投与を含む。
【0097】
このため、本発明はさらに、治療有効量の本発明による化合物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、前述の疾患のいずれか1つを予防および/または治療するための方法にも関する。
【0098】
当業者であれば、治療有効量の本発明のNAMは、mGluR2の活性を調節するのに十分な量であり、この量は、詳細には疾患の種類、治療用製剤中の化合物の濃度および患者の状態によって変動することを認識できるであろう。一般に、本明細書に記載の障害などのmGluR2の調節が有益である疾患を治療するために治療薬として投与すべきNAMの量は、症例毎に主治医が決定することになる。
【0099】
一般に、好適な用量は、治療部位におけるNAMの濃度が0.5nM〜200μM、より一般的には5nM〜50μMの範囲となる用量である。これらの治療濃度を得るために、治療を必要とする患者は、約0.01mg/kg〜約50mg/kg(体重)、好ましくは約0.01mg/kg(体重)〜約25mg/kg(体重)、より好ましくは0.01mg/kg(体重)〜約10mg/kg(体重)、より好ましくは0.01mg/kg(体重)〜約2.5mg/kg(体重)、さらにより好ましくは約0.05mg/kg(体重)〜約1mg/kg(体重)、より好ましくは約0.1〜0.5mg/kg(体重)の治療有効量の1日量が投与されることになる。治療効果を達成するのに必要とされる、本明細書で有効成分とも称する本発明による化合物の量は、当然ながら、症例毎に変動し、特定の化合物、投与経路、レシピエントの年齢および状態ならびに治療対象の特定の障害または疾患に伴って変動することになる。治療方法は、1日に1〜4回摂取する投薬計画で有効成分を投与する工程を含むことができる。これらの治療方法では、本発明による化合物は、好ましくは入院前に処方される。本明細書で下記に記載するように、好適な医薬製剤は、周知の容易に入手可能な成分を使用して、既知の手順で調製される。
【0100】
本発明の化合物は、式(I)の化合物または他の薬物が有用を有する疾患または状態の治療、予防、管理、改善またはリスクの低減において、それらの薬物を併用する方がどちらかの薬物を単独で用いる場合より安全性または有効性が高い場合には1種以上の他の薬物と併用することもできる。そのような併用の例としては、本発明の化合物と抗精神病薬、NMDA受容体アンタゴニスト(例えば、メマンチン)、NR2Bアンタゴニスト、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ドネペジル、ガランタミン、フィソスチグミンおよびリバスチグミン)および/または抗うつ剤である神経伝達物質再取り込み阻害剤との併用が挙げられる。特定の併用としては、本発明の化合物と抗精神病薬との併用、または本発明の化合物とメマンチンおよび/またはNR2Bアンタゴニストとの併用が挙げられる。
【0101】
医薬組成物
本発明はさらに、本明細書に記載の障害などのmGluR2の調節が有益である疾患を予防または治療するための組成物も提供する。有効成分を単独で投与することは可能であるが、有効成分を医薬組成物として提供することが好ましい。したがって、本発明はさらに、薬学的に許容される担体もしくは希釈剤と、有効成分としての、治療有効量の本発明による化合物、詳細には、式(I)による化合物、それらのN−オキシド、薬学的に許容される塩、その溶媒和物、またはそれらの立体異性体形、より詳細には、式(I)による化合物、それらの薬学的に許容される塩、それらの溶媒和物またはそれらの立体異性体形とを含む医薬組成物にも関する。担体もしくは希釈剤は、組成物の他の成分と適合し、それらのレシピエントにとって有害でないという意味で「許容され」なければならない。
【0102】
本発明による化合物、詳細には、式(I)による化合物、そのN−オキシド、それらの薬学的に許容される塩、溶媒和物およびそれらの立体異性体形、より詳細には、式(I)による化合物、それらの薬学的に許容される塩、溶媒和物およびそれらの立体異性体形、またはそれらのいずれかのサブグループまたは組み合わせを、投与の目的で様々な医薬形態に製剤化することができる。適切な組成物として、通常は全身性投与薬物に使用される全ての組成物を挙げることができる。
【0103】
本発明の医薬組成物は、例えばGennaro et al.Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed.,Mack Publishing Company,1990、詳細にはPart 8:Pharmaceutical preparations and their Manufactureを参照されたい)に記載されたような方法を使用して、製薬学の分野において周知の任意の方法によって調製することができる。本発明の医薬組成物を調製するために、有効成分として治療有効量の特定の化合物、任意選択的に塩の形態の化合物と薬学的に許容される担体または希釈剤とを均質混合状態に混合するが、この担体または希釈剤は投与に望ましい製剤の形態に応じて様々な形態を取ることができる。これらの医薬組成物は、好適な単位剤形、詳細には、経口投与、局所投与、直腸投与または経皮投与、非経口注射による投与または吸入による投与に好適な単位剤形であることが望ましい。例えば、経口剤形の組成物の調製において、例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および液剤などの経口液体製剤の場合には、例えば、水、グリコール、油およびアルコールなど;または、散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には、固体担体、例えば、デンプン、糖類、カオリン、希釈剤、滑沢剤、結合剤および崩壊剤などの通常の医薬媒体のいずれかを使用することができる。投与における容易さのために経口投与が好ましく、明らかに固体医薬担体が使用される錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口単位剤形を表す。非経口組成物では、担体は、通常は少なくとも大部分は滅菌水を含むことになるが、例えば、溶解性を助ける他の成分、例えば、界面活性剤が含まれてもよい。例えば、担体が生理食塩水溶液、ブドウ糖溶液または生理食塩水とブドウ糖溶液との混合物を含む注射溶液を調製することができる。注射用縣濁剤も調製することができ、その場合、適切な液体担体および懸濁化剤などを使用することができる。さらに、使用直前に液体製剤に変換することが意図される固体製剤も含まれる。経皮投与に好適な組成物において、担体は、任意の性質の好適な添加剤を低率で任意選択的に組み合わせた、浸透促進剤および/または好適な湿潤剤を任意選択的に含むが、これらの添加剤は重大な有害作用を皮膚にもたらさない。前記添加剤は、皮膚への投与を容易にする、および/または所望の組成物を調製するために有用となる可能性がある。これらの組成物は様々な方法で、例えば、経皮パッチ剤として、スポット−オン製剤として、軟膏剤として投与することができる。
【0104】
投与を容易にして用量を均一にするために、前述した医薬組成物を単位剤形に製剤化することが特に有利である。本明細書で使用する単位剤形とは、単位用量として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と共同して所望の治療効果を生じるよう計算された所定量の有効成分を含有する。そのような単位剤形の例としては、錠剤(割線入り錠剤およびコーティング錠を含む)、カプセル剤、丸剤、散剤分包(powder packets)、カシェ剤、坐剤および注射用液剤または懸濁剤など、これらの小さじ量、大さじ量およびこれらの複数分割量(segregated multiples)がある。
【0105】
本発明による化合物は経口投与可能な化合物であるため、経口投与用の補助化合物を含む医薬組成物が特に有利である。
【0106】
医薬組成物中の式(I)の化合物の溶解性および/または安定性を向上させるためには、α−、β−もしくはγ−シクロデキストリンまたはそれらの誘導体、詳細にはヒドロキシアルキル置換シクロデキストリン、例えば、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンもしくはスルホブチル−β−シクロデキストリンを使用することが有利な可能性がある。アルコールなどの補助溶媒も、医薬組成物中の本発明による化合物の溶解性および/または安定性を改善する場合がある。
【0107】
正確な用量および投与頻度は、当業者に周知であるように、使用される式(I)の特定の化合物、治療される特定の症状、治療される症状の重症度、特定の患者の年齢、体重、性別、障害の程度および全身の健康状態ならびにその個体が摂取している可能性がある他の医薬品に依存する。さらに、前記有効1日量は、治療される対象の応答に応じておよび/または本発明の化合物を処方する医師の評価に応じて、減量されても増量されてもよいことが明らかである。
【0108】
投与方法に応じて、医薬組成物は、0.05〜99重量%、好ましくは0.1〜70重量%、より好ましくは0.1〜50重量%の有効成分および1〜99.95重量%、好ましくは30〜99.9重量%、より好ましくは50〜99.9重量%の薬学的に許容される担体を含むことになるが、パーセンテージは全て組成物の全重量に基づく。
【0109】
単回剤形を生成するために担体物質と組み合わせることのできる式(I)の化合物の量は、治療される疾患、哺乳動物種および特定の投与方式に依存して変動するであろう。しかし、一般的な指針として、本発明の化合物についての適切な単位用量は、例えば、好ましくは0.1mg〜約1,000mgの活性化合物を含有することができる。好ましい単位用量は、1mg〜約500mgである。より好ましい単位用量は、1mg〜約300mgである。いっそうより好ましい単位用量は、1mg〜約100mgである。そのような単位用量は、1日2回以上、例えば、1日2、3、4、5または6回、しかし好ましくは1日当たり1または2回投与することができるので、体重70kgの成人のための総用量は、1回の投与当たり対象の体重1kg当たり0.001〜約15mgの範囲内にある。好ましい用量は、1回の投与当たり対象の体重1kg当たり0.01〜約1.5mgであり、そのような療法は数週間または数ヶ月間、場合により数年間にわたる可能性がある。しかし、当業者にはよく理解されているように、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、使用される特定の化合物の活性;治療を受ける個体の年齢、体重、全身健康状態、性別および食事;投与時間および投与経路;排泄率;以前投与された他の薬物ならびに療法を受けている特定疾患の重症度を含む様々な要因に左右されることは理解されるであろう。
【0110】
典型的な用量は、1mg〜約100mgの錠剤または1日1回もしくは1日数回摂取される1mg〜約300mgまたは1日1回摂取される、および比例して高含量の有効成分を含有する1錠の徐放性カプセルもしくは錠剤であってよい。徐放効果は、異なるpH値で溶解するカプセル材料により、浸透圧で徐々に放出するカプセルにより、または他の任意の既知の放出制御手段により得ることができる。
【0111】
当業者にとって明らかであろうように、一部の場合にはこれらの範囲外の用量を使用することが必要な場合がある。さらに、臨床医または治療医には、個々の患者の応答に関連して療法を開始する、中断する、調整する、または終了する方法および時機が既知であることに留意されたい。
【0112】
前述のように、本発明はまた医薬品と使用するため、または式(I)の化合物もしくは他の薬物が有用性を有する可能性がある疾患または状態の治療、予防、管理、改善またはリスクの低減において使用するための本発明による化合物および1種以上の他の薬物を含む医薬組成物にも関する。医薬品を製造するためのそのような組成物の使用および式(I)の化合物または他の薬物が有用性を有する可能性がある疾患または状態の治療、予防、管理、改善またはそのリスクの低減における医薬品を製造するためのそのような組成物の使用もまた企図されている。本発明はさらに、本発明による化合物と、抗精神病薬;NMDA受容体アンタゴニスト(例えば、メマンチン);NR2Bアンタゴニスト;アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ドネペジル、ガランタミン、フィソスチグミンおよびリバスチグミン)および/または抗うつ剤である神経伝達物質再取り込み阻害剤の群から選択される追加の薬物との併用にも関する。詳細には、本発明はさらに、本発明による化合物と、抗精神病薬との併用、または本発明による化合物とメマンチンおよび/またはNR2Bアンタゴニストとの併用にも関する。本発明はさらに、1つの薬剤として使用するためのそのような併用にも関する。本発明はさらに、(a)本発明による化合物、そのN−オキシド、それらの薬学的に許容される塩もしくはそれらの溶媒和物、詳細には、それらの薬学的に許容される塩もしくはそれらの溶媒和物と、(b)ヒトを含む哺乳動物における、その治療または予防がmGluR2アロステリック調節因子、特に、負のmGluR2アロステリック調節因子の神経調節作用により影響を受ける、または促進される状態の治療または予防に、同時に、別々にまたは順次使用するための併用製剤として、抗精神病薬、NMDA受容体アンタゴニスト(例えば、メマンチン)、NR2Bアンタゴニスト、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤および/または抗うつ剤である神経伝達物質再取り込み阻害剤から選択される追加の成分とを含む製品にも関する。より詳細には、追加の成分(b)は、抗精神病薬もしくはメマンチンおよび/またはNR2Bアンタゴニストから選択される。そのような併用または製品の異なる薬物は、薬学的に許容される担体もしくは希釈剤と一緒に単一製剤として組み合わせられてよい、またはそれらはそれぞれ薬学的に許容される担体もしくは希釈剤と一緒に別個の製剤中に存在してもよい。
【0113】
下記の実施例は、本発明を説明することを意図しているが、本発明の範囲を限定することは意図していない。
【0114】
化学的性質
下記の実施例では本発明の化合物を調製するためのいくつかの方法について説明する。他に特に明記しない限り、出発物質は全て、商業用供給業者から入手し、それ以上の精製を行わずに使用した。
【0115】
以下では、「CI」は、化学イオン化を意味する;「conc.」は、濃縮を意味する;「CSH」は、荷電表面ハイブリッドを意味する;「DAD」は、ダイオードアレイ検出器を意味する;「THF」は、テトラヒドロフランを意味する;「EtN」は、トリエチルアミンを意味する;「DMF」は、N,N−ジメチルホルムアミドを意味する;「EtOAc」は、酢酸エチルを意味する;「DCM」は、ジクロロメタンを意味する;「DIPE」は、ジイソプロピルエーテルを意味する;「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを意味する;「L」は、リットルを意味する;「LRMS」は、低分解能質量分析法/スペクトルを意味する;「HPLC」は、高性能液体クロマトグラフィを意味する;「HRMS」は、高分解能質量分析法/スペクトルを意味する;「mL」もしくは「ml」は、ミリリットルを意味する;「EtOH」は、エタノールを意味する;EtOはジエチルエーテルを意味する;「MeOH」は、メタノールを意味する;「ES」は、エレクトロスプレー法を意味する;「eq」は、当量を意味する;「RP」は、逆相を意味する;「rt」もしくは「RT」は、室温を意味する;「M.p.」は、融点を意味する;「min」は、分間を意味する;「MSD」は、質量選択検出器を意味する;「h」は、時間を意味する;「s」は、秒間を意味する;;「NCS」は、N−クロロスクシンイミドを意味する;「NaOAc」は、酢酸ナトリウムを意味する;「NMR」は、核磁気共鳴を意味する;「PdCl(PPh」は、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライドを意味する;「Pd(PPh」は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を意味する;「quant.」は、定量的を意味する;「QTOF」は、四重極飛行時間を意味する;「sat.」は、飽和していることを意味する;「SFC」は、超臨界液体クロマトグラフィを意味する;「sol.」は、溶液を意味する;「SQD」は、単一四重極検出器を意味する;「tert−BuOH」は、tert−ブタノールを意味する;「TLC」は、薄層クロマトグラフィを意味する;「TMS」は、テトラメチルシランを意味する;「UPLC」は、超高性能液体クロマトグラフィを意味する。
【0116】
マイクロ波補助反応は、単一モード反応器:Initiator(商標)Sixty EXPマイクロ波反応器(Biotage AB)またはマルチモード反応器:MicroSYNTH Labstation(Milestone,Inc.)で実施した。
【0117】
オゾン溶解反応は、5gのO/hまでのO/O流を供給するオゾン発生器(Ozogas)を使用して実施された。
【0118】
薄層クロマトグラフィ(TLC)は、試薬用溶媒を用いてシリカゲル60 F254プレート(Merck)上で実施した。オープンカラムクロマトグラフィは、標準技術を用いて、シリカゲル(粒径60Å、メッシュ=230〜400(Merck))上で実施した。
【0119】
自動フラッシュカラムクロマトグラフィは、様々なフラッシュシステムに関する様々な供給メーカーからの不規則なシリカゲル(順相ディスポーザブルフラッシュカラム):Armen InstrumentからのSPOTもしくはLAFLASHシステムまたはInterchimからのPuriFlash(登録商標)430evoシステムまたはBiotageからのIsolera 1SVシステム上で接続準備の整ったカートリッジを使用して実施した。
【0120】
核磁気共鳴(NMR):多数の化合物では、H NMRスペクトルは、それぞれ400MHzおよび500MHzで動作するBruker DPX−400またはBruker AV−500分光計のいずれかで標準パルス系列を用いて記録した。化学シフト(δ)は、内部標準として使用したテトラメチルシラン(TMS)より低磁場側の百万分率(ppm)で報告した。
【0121】
中間体化合物の合成
中間体1(I−1)
エチル2−[(1S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−メチル−エチル]ピラゾール−3−カルボキシレート(I−1)
【化15】

ジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート(765g、3.32mol)は、THF(4L)中のエチル1H−ピラゾール−5−カルボキシレート(310g、2.21mol)、tert−ブチルN−[(2R)−2−パイ土ロキシプロピル]−カルバメート(582g、3.32mol)およびトリフェニルホスフィン(870g、3.32mol)の撹拌溶液に窒素下で添加した。この混合物を室温で24時間攪拌した。溶媒を真空中で蒸発させると、中間体I−1(2,000g、純度30%、91%)が得られたので、これを次の工程でそれ以上精製せずに使用した。
【0122】
中間体2(I−2)
エチル2−[(1S)−2−アミノ−1−メチル−エチル]ピラゾール−3−カルボキシレートヒドロクロライド塩(I−2)
【化16】

中間体I−1(2,000g、2.02mol)は、1,4−ジオキサン(5L)中のHClの4M溶液中に溶解させた。この混合物を80℃で18時間攪拌した。溶媒を真空中で蒸発させると、中間体化合物I−2(1,500g、純度23%、87%)が得られたので、これを次の工程でそれ以上精製せずに使用した。
【0123】
中間体3(I−3)
(7S)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−5H−ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン(I−3)
【化17】

HCl塩としての中間体I−2(1,500g、1.48mmol)をNaHCOの飽和溶液(4L)中に溶解させた。この混合物を室温で24時間攪拌した。この反応混合物を濾過し、濾液をDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過して溶媒を真空下で蒸発させた。次に残渣をDCMから結晶化させると、中間体化合物I−3(92g、純度76%、96%)が得られたので、これを次の工程でそれ以上精製せずに使用した。
【0124】
中間体4(I−4)
(7S)−7−メチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン(I−4)
【化18】

トルエン(150mL)中の中間体I−3(5g、33.01mmol)、ヨウ化銅(I)(3.78g、19.85mmol)およびKCO(9.14g、66.15mmol)の混合物を数分間にわたり窒素でフラッシュした。次に、4−ブロモベンゾトリフルオライド(9.3mL、66.1mmol)およびN,N’−ジメチルエチレンジアミン(2.1mL、19.8mmol)を添加した。この混合物を窒素下の室温で10分間撹拌した後、100℃で16時間撹拌した。次に、DMF(20mL)を添加し、この混合物を100℃で8時間撹拌した。次に、水、濃アンモニア溶液およびDCMを添加した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過して溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ;EtOAc/DCM、0/100〜50/50)によって精製した。所望の画分を収集し、溶媒を真空下で蒸発させると、淡黄色固体として中間体化合物I−4(9.6g、98%)が得られた。
【0125】
中間体I−5〜I−6
以下の中間体は、中間体4について報告した方法に類似する合成手順にしたがうことにより合成した。
【0126】
【表1】
【0127】
中間体7(I−7)
(7S)−3−ヨード−7−メチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]−ピラジン−4−オン(I−7)
【化19】

ヨウ素(11.55g、45.5mmol)は、アセトニトリル(350mL)中の中間体I−4(19.2g、65.0mmol)および硝酸アンモニウムセリウム(IV)(24.95g、45.5mmol)の溶液に添加した。この混合物を70℃で1時間攪拌した。次に、この混合物をEtOAcで希釈し、Naの飽和溶液および食塩水で洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過して溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をDIPEで沈殿させた後、ショートオープンカラムクロマトグラフィ(シリカ;DCM)、次にフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ;DCM/ヘプタン、50/50〜100/0)によって精製した。所望の画分を収集し、溶媒を真空下で蒸発させると、中間体化合物I−7が固体(24.8g、90%)として得られた。
【0128】
中間体I−8〜I−9
以下の中間体は、中間体7について報告した方法に類似する合成手順にしたがうことにより合成した。
【0129】
【表2】
【0130】
中間体10(I−10)
(7S)−7−メチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−ビニル−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン(I−10)
【化20】

Pd(PPh(384mg、0.33mmol)は、脱気1,4−ジオキサン(24mL)およびNaCO(13mL)の飽和溶液中の中間体化合物I−7(2g、4.75mmol)および4,4,5,5−テトラメチル−2−ビニル−1,3,2−ジオキサボロラン(1.01mL、5.94mmol)の撹拌懸濁液に窒素雰囲気下で添加した。この混合物を150℃で20分間、マイクロ波照射下で撹拌した。次に、この混合物を水で希釈し、DCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過して溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ;EtOAc/DCM、0/100〜50/50)によって精製した。所望の画分を収集し、溶媒を真空下で蒸発させると、黄色固体として中間体化合物I−10(1.5g、98%)が得られ、放置すると固化した。
【0131】
中間体I−11〜I−12
以下の中間体は、中間体10について報告した方法に類似する合成手順にしたがうことにより合成した。
【0132】
【表3】
【0133】
中間体13(I−13)
(7S)−7−メチル−4−オキソ−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−3−カルバルデヒド(I−13)
【化21】

過ヨウ素酸ナトリウム(3g、14.01mmol)は、1,4−ジオキサン(35mL)および水(7.5mL)の混合物中の中間体化合物I−10(1.5g、4.67mmol)およびtert−BuOH(2.4mL、0.18mmol)中の四酸化オスミウムの2.5%溶液の撹拌溶液に0℃で添加した。この混合物を室温で2時間攪拌した。次に、この混合物をEtOAcで希釈し、Naの飽和溶液で洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過して溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ;EtOAc/DCM、0/100〜100/0)によって精製した。所望の画分を収集し、溶媒を真空下で蒸発させると、中間体化合物I−13が無色油状物(1.3g、86%)として得られた。
【0134】
中間体14(I−14)
(7S)−5−[3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−7−メチル−4−オキソ−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−3−カルバルデヒド(I−14)
【化22】

中間体化合物I−14は、中間体I−13について記載した類似のアプローチにしたがって合成した。中間体I−11(0.7g、1.97mmol)から出発すると、中間体化合物I−14が無色油状物(0.66g、94%)として得られた。
【0135】
中間体15(I−15)
(7S)−7−メチル−5−[3−メチル−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−オキソ−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−3−カルバルデヒド(I−15)
【化23】

微量のスダンレッドIIIをアセトン(197mL)および水(10mL)の混合物中の中間体化合物I−12(2.09g、6.22mmol)の撹拌溶液に添加した。この混合物を0℃へ冷却し、赤色が消失するまで(約20分間)O/Oの混合気を溶液中に泡化させた。この混合物を窒素で5分間パージし、次に乾燥させて(MgSO)濾過した。溶媒を真空中で蒸発させると、中間体化合物I−15が淡黄色油状物(2.2g、定量)として得られたので、これを次の工程でそれ以上精製せずに使用した。
【0136】
中間体16(I−16)
(7S)−7−メチル−4−オキソ−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−3−カルバルデヒドオキシム(I−16)
【化24】

ヒドロキシルアミンヒドロクロライド(282mg、4.05mmol)をMeOH(25mL)中の中間体化合物I−13(1.3g、4.02mmol)の撹拌溶液に添加した。この混合物を室温で16時間攪拌した。次に溶媒を真空中で蒸発させ、残渣を水で希釈し、DCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、溶媒を真空下で蒸発させると中間体化合物I−16が無色油状物(1.2g、88%)として得られたので、それをそれ以上精製することなく次の工程に使用した。
【0137】
中間体I−17〜I−18
以下の中間体は、中間体16について報告した方法に類似する合成手順にしたがうことにより合成した。
【0138】
【表4】
【0139】
中間体19(I−19)
(7S)−N−ヒドロキシ−7−メチル−4−オキソ−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−3−カルボキシミドイルクロライド(I−19)
【化25】

NCS(103mg、0.77mmol)をTHF(2mL)中の中間体化合物I−16(200g、0.59mmol)の撹拌溶液に添加した。この混合物を室温で20時間攪拌した。次に、この混合物を水で希釈し、EtOで抽出した。有機層を分離し、食塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、溶媒を真空下で蒸発させると中間体化合物I−19が無色油状物(150mg、68%)として得られたので、それをそれ以上精製することなく次の工程に使用した。
【0140】
中間体20(I−20)
トリメチル−[2−(4−メチル−3−ピリジル)エチニル]シラン(I−20)
【化26】

PdCl(PPh(120mg、0.17mmol)は、脱気DMF(60mL)中の3−ブロモ−4−メチルピリジン(1g、5.81mmol)、トリメチルシリルアセチレン(1.65mL、11.63mmol)、ヨウ化銅(I)(11mg、0.06mmol)およびEtN(2.42mL、17.44mmol)の撹拌溶液に添加した。この混合物を窒素下の60℃で16時間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ;EtOAc/DCM、0/100〜30/70)によって精製した。所望の画分を収集し、溶媒を真空下で蒸発させると、中間体化合物I−20が褐色油状物(0.56g、51%)として得られた。
【0141】
中間体21(I−21)
2−(5−フルオロ−3−ピリジル)エチニル−トリメチル−シラン(I−21)
【化27】

中間体化合物I−21は、中間体I−20について記載した類似のアプローチにしたがって合成した。3−ブロモ−5−フルオロピリジン(1g、5.68mmol)から出発すると、中間体化合物I−21が黄色油状物(400mg、36%)として得られた。
【0142】
中間体22(I−22)
N−メチル−4−(2−トリメチルシリルエチニル)ピリジン−2−アミン(I−22)
【化28】

ヨウ化銅(I)(3.737mg;0.0196mmol)を室温でDMF(2.037mL)中の4−ブロモ−N−メチル−2−ピリジンアミン(0.367g;1.962mmol)、トリメチルシリルアセチレン(0.782mL;5.494mmol)、EtN(0.818mL;5.886mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(27.545mg;0.0392mmol)およびトリフェニルホスフィン(10.293mg;0.0392mmol)の撹拌および脱気混合物に添加した。この混合物を90℃で4時間撹拌した。次に、この混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過して真空下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ;AcOEt/ヘプタン、0/100〜50/50)によって精製した。所望の画分を収集して真空下で蒸発させると、中間体化合物I−22(0.36mg、90%)が淡褐色油状物として得られ、これを放置して沈殿させた。
【0143】
中間体23(I−23)
4−エチニル−N−メチル−ピリジン−2−アミン(I−23)
【化29】

CO(0.136g、0.981mmol)を室温の窒素下でMeOH(7.949mL)中の中間体I−22(0.401g、1.962mmol)の撹拌溶液に添加した。この混合物を室温で2時間撹拌した。次に溶媒を真空中で除去し、残渣を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過して真空下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ;酢酸エチル/DCM、0/100〜50/50)によって精製した。所望の画分を収集して真空下で濃縮すると、中間体化合物I−23(0.135mg、52%)が薄茶色油状物として得られた。
【実施例】
【0144】
最終化合物の合成
実施例1(E−1)
(7S)−7−メチル−3−(5−メチルイソキサゾール−3−イル)−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン(E−1、Co.No.1)
【化30】

EtN(0.11mL、0.77mmol)をTHF(2mL)中の中間体I−19(150g、0.40mmol)および2−ブロモプロペン(73mg、0.60mmol)の撹拌溶液に添加した。この混合物を室温で20時間攪拌した。この混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過して溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ;EtOAc/DCM、0/100〜30/70)によって精製した。所望の画分を収集し、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣は、RP HPLC(RP C18 XBridge(商標)30×100mm、5μm)、移動相(64%の0.1%のNHCOH/NHOH(pH9)水溶液、56%のCHCNから64%の0.1%のNHCOH/NHOH(pH9)水溶液、46%のCHCNへの勾配)によって精製すると、化合物1(76mg、50%)が得られた。H NMR(400MHz,CDCl)δ ppm 1.75(d,J=6.5Hz,3H)2.42(d,J=0.7Hz,3H)4.01(dd,J=12.7,7.2Hz,1H)4.28(dd,J=12.7,4.2Hz,1H)4.80(quind,J=6.7,4.3Hz,1H)6.87(s,1H)7.51(d,J=8.3Hz,2H)7.73(d,J=8.6Hz,2H)8.15(s,1H).
【0145】
実施例2(E−2)
(7S)−3−[5−(6−アミノ−3−ピリジル)イソキサゾール−3−イル]−7−メチル−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン(E−2、Co.No.2)
【化31】

NCS(67mg、0.50mmol)をTHF(5mL)中の中間体化合物I−16(130g、0.38mmol)の撹拌溶液に添加した。この混合物を室温で20時間攪拌した。次に、5−エチニル−ピリジン−2−アミン(68mg、0.58mmol)、その後にEtN(0.11mL、0.77mmol)を添加し、この混合物を室温でさらに20時間攪拌した。この混合物を水で希釈し、EtOで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過して溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物は、RP HPLC(RP C18 XBridge(商標)30×100mm、5μm)、移動相(67%の0.1%のNHCOH/NHOH(pH9)水溶液、33%のCHCNから50%の0.1%のNHCOH/NHOH(pH9)水溶液、50%のCHCNへの勾配)によって精製すると、化合物2(85mg、49%)が得られた。H NMR(500MHz,CDCl)δ ppm 1.76(d,J=6.6Hz,3H)4.01(dd,J=12.7,7.2Hz,1H)4.30(dd,J=12.7,4.3Hz,1H)4.71(br.s,2H)4.78−4.85(m,1H)6.53(d,J=8.7Hz,1H)7.31(s,1H)7.53(d,J=8.7Hz,2H)7.74(d,J=8.7Hz,2H)7.83(dd,J=8.5,2.5Hz,1H)8.21(s,1H)8.54(d,J=2.0Hz,1H).
【0146】
以下の最終化合物は、中間体2(E−2)について報告した方法に類似する合成手順にしたがうことにより合成した。
【0147】
【表5】
【0148】
【表6】
【0149】
【表7】
【0150】
【表8】
【0151】
実施例3(E−3)
(7S)−7−メチル−3−[5−(4−メチル−3−ピリジル)イソキサゾール−3−イル]−5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4−オン(E−3、Co.No.18)
【化32】

NCS(77mg、0.58mmol)をTHF(2mL)中の中間体I−16(150g、0.44mmol)の撹拌溶液に添加した。この混合物を室温で16時間攪拌した。同時に、KCO(10mg、0.07mmol)をMeOH(1.3mL)中の中間体I−20(128mg、0.68mmol)の撹拌溶液に添加し、室温で4時間攪拌した後、中間体I−16の以前の反応液を少しずつ添加し、その後にEtN(0.12mL、0.89mmol)を添加した。生じた反応混合物を室温でさらに16時間撹拌した。この混合物をNaCOの10%溶液で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過して溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(シリカ;EtOAc/DCM、0/100〜50/50)によって精製した。所望の画分を収集し、溶媒を真空下で蒸発させると、化合物18(105mg、52%)が得られた。H NMR(500MHz,CDCl)δ ppm 1.77(d,J=6.4Hz,3H)2.65(s,3H)4.03(dd,J=12.7,7.2Hz,1H)4.31(dd,J=12.7,4.3Hz,1H)4.83(quind,J=6.6,4.3Hz,1H)7.40(d,J=4.3Hz,1H)7.53(d,J=8.4Hz,2H)7.57(s,1H)7.74(d,J=8.4Hz,2H)8.24(s,1H)8.53(d,J=5.5Hz,1H)8.93(br.s,1H).
【0152】
以下の最終化合物は、化合物18(E−3)について報告した手順に類似する合成手順にしたがうことにより合成した。
【0153】
【表9】
【0154】
下記の表1は、式(I)の追加の化合物を列挙している。
【0155】
【表10】
【0156】
【表11】
【0157】
【表12】
【0158】
分析パート
融点
数値はピーク値であり、得られる値にはこの分析法に通常関連する実験の不確実性が付随する。
【0159】
多数の化合物について、融点(m.p.)はDSC823e(Mettler−Toledo)装置を用いて決定した。融点は10℃/分の温度勾配で測定した。最高温度は300℃であった。ピーク値を記録した。
【0160】
LCMS
一般的手順
高速液体クロマトグラフィ(HPLC)測定は、各方法に規定したLCポンプ、ダイオードアレイ(DAD)検出器またはUV検出器およびカラムを使用して実施した。必要に応じて、追加の検出器も含めた(下記の方法の表を参照)。
【0161】
カラムからの流れは、大気圧イオン源を装備した質量分析計(MS)に導入した。化合物の公称モノアイソトピック分子量(MW)および/または正確な質量モノアイソトピック分子量の特定を可能にするイオンを得るために、調整パラメータ(例えば、走査範囲、データ収集時間(dwell time)など)を設定することは当業者の知識の範囲内である。適切なソフトウェアを用いてデータ取得を行った。
【0162】
化合物は、それらの実測保持時間(R)およびイオンによって説明した。データ表に別のことが規定されていない場合、報告した分子イオンは、[M+H](プロトン化分子)に相当する。複数の同位体パターンを有する分子(Br、Clなど)については、報告値は最低同位体質量に対して得られた数値である。全ての結果には、使用した方法に一般的に結び付いている実験による不確実性が付随した。
【0163】
【表13】
【0164】
【表14】
【0165】
旋光度
旋光度は、ナトリウムランプを備えるPerkin−Elmer 341旋光計で測定し、次のように報告した:[α]o(λ、cg/100mL、溶媒、T℃)。
[α]λ=(100α)/(l×c):式中、lは経路長(単位:dm)であり、cは温度T(℃)および波長λ(単位:nm)における試料の濃度(単位:g/100mL)である。使用した光の波長が589nm(ナトリウムD線)である場合、代わりに記号Dを使用することができる。旋光度の符号(+または−)は常に記載するものとする。この式を使用する場合、回転の後に、括弧内に濃度と溶媒を常に記載する。旋光度は度を用いて報告し、濃度の単位は記載されない(g/100mLであると想定する)。
【0166】
【表15】
【0167】
NMR Co.No.9:1H NMR (400MHz,CDCl3)δ ppm 1.76(d,J=6.5Hz,3H)4.02(dd,J=12.7,7.4Hz,1H)4.29(dd,J=12.5,4.2Hz,1H)4.70(br.s,2H)4.82(quind,J=6.7,4.4Hz,1H)6.54(d,J=8.8Hz,1H)7.28(s,1H)7.43(dd,J=8.6,1.4Hz,1H)7.60(d,J=1.8Hz,1H)7.79(d,J=8.6Hz,1H)7.85(dd,J=8.8,2.3Hz,1H)8.21(s,1H)8.55(d,J=2.1Hz,1H).
【0168】
薬理学的実施例
A)In vitro薬効薬理
本発明で提供する化合物は、mGluR2の負のアロステリック調節因子である。これらの化合物は、グルタミン酸結合部位以外のアロステリック部位に結合することによってグルタミン酸応答を阻害するものと思われる。式(I)の化合物が存在する場合、グルタミン酸の濃度に対するmGluR2の応答は低下する。式(I)の化合物は、受容体の機能を低下させることができるため、実質的にmGluR2でそれらの作用を及ぼすものと予測される。下記に記載した、およびそのような化合物、より詳細には式(I)の化合物を同定するために好適な後述の[35S]GTPγS結合アッセイ法を用いて、mGluR2で試験した負のアロステリック調節因子が及ぼす作用を表5に示した。
【0169】
1)[35S]GTPγS結合アッセイ
35S]GTPγS結合アッセイは、非加水分解形のGTPである[35S]GTPγS(γ−放出35Sで標識されたグアノシン5’−三リン酸)の取り込みを測定する、G−タンパク質共役受容体(GPCR)機能を調査するために使用される機能性膜によるアッセイである。G−タンパク質αサブユニットは、グアノシン三リン酸(GTP)によるグアノシン5’−二リン酸(GDP)の交換を触媒し、アゴニストである[35S]GTPγSによりGPCRが活性化されると組み込まれるため、交換サイクルを継続するために切断することができない(Harper(1998)Current Protocols in Pharmacology 2.6.1−10,John Wiley & Sons,Inc.)。放射性[35S]GTPγS取り込みの量は、G−タンパク質の活性の直接的尺度であるので、したがってこのアンタゴニストの活性を決定することができる。mGlu2受容体は、本方法のための優先的共役であるGαi−タンパク質に優先的に共役することが証明されており、このため、mGlu2受容体は、組換え細胞系中および組織中の両方におけるmGlu2受容体の受容体活性化を試験するために広範に使用されている。本明細書で本出願者らは、ヒトmGlu2受容体を用いてトランスフェクトして本発明の化合物の負のアロステリック調節(NAM)特性の検出のためにSchaffhauser et al.(Molecular Pharmacology,2003,4:798−810)から採用した細胞由来の膜を使用する[35S]GTPγS結合アッセイの使用について記載する。
【0170】
膜の調製
CHO−細胞をプレ−コンフルエント状態まで培養し、5mMの酪酸塩を用いて24時間刺激した。次に細胞をPBS中に剥離させることにより収集し、細胞懸濁物を遠心した(4,000RPMのベンチトップ型遠心分離機内で10分間)。上清を廃棄し、Ultra Turraxホモジナイザーを用いて混合することによりペレットを50mMのTris−HCl(pH7.4)中に緩徐に再懸濁させた。この懸濁液を12,400RPM(Sorvall F14S−6x250Y)で10分間遠心分離し、上清を廃棄した。ペレットをUltra−Turraxホモジナイザーを用いて5mMのTris−HCl(pH7.4)中でホモジナイズし、再び遠心分離した(13,000RPM、20分間、4℃)。最終ペレットを50mMのTris−HCl(pH7.4)中に再懸濁させ、使用する前に−80℃で適量ずつ保存した。タンパク質濃度は、標準物質としてウシ血清アルブミンを用いて、ブラッドフォード(Bradford)法(Bio−Rad,USA)によって決定した。
【0171】
35S]GTPγS結合アッセイ
被検化合物のmGluR2の負のアロステリック調節活性の測定は次のように実施した。被検化合物およびグルタミン酸は、10mMのHEPES酸、10mMのHEPES塩(pH7.4)、100mMのNaCl、3mMのMgClおよび10μMのGDPを含有するアッセイバッファ中に希釈した。ヒトmGlu2受容体含有膜を氷上で解凍し、18μg/mLサポニンを補給したアッセイバッファ中に希釈した。膜は、化合物と30°Cで30分間、所定の(約EC80)濃度のグルタミン酸(60μM)と一緒にプレインキュベートした。[35S]GTPγS(f.c.、0.1nM)の添加後、アッセイ混合物を短時間振とうし、さらに活性化後の[35S]GTPγSの取り込みを可能にするためにさらにインキュベートした(30分間、30℃)。最終アッセイ混合物は、10mMのHEPES酸、10mMのHEPES塩(pH7.4)、100mMのNaCl、3mMのMgCl、10μMのGDPおよび10μg/mLのサポニン中に7μgの膜タンパク質を含有した。全反応体積は200μLであった。反応は、96ウェルのfiltermate汎用ハーベスタを用いてUnifilter−96 GF/Bプレート(Perkin Elmer,Massachusetts,USA)に通して急速濾過することにより終了させた。フィルタを氷冷10mMのNaHPO/10mMのNaHPO(pH7.4)で6回洗浄した。次いで、フィルタを風乾し、液体シンチレーションカクテル(Microscint−O)30μLを各ウェルに添加した。膜結合放射能は、Topcount内で計数した。
【0172】
データ解析
本発明の代表的な化合物の濃度−反応曲線は、Lexisソフトウェアインターフェース(J&Jで開発された)を用いて作成した。データは、EC80−同等濃度のグルタミン酸を添加すると発生する応答として定義される、対照のグルタミン酸応答の%として算出された。これらのパーセンテージ対被検化合物の対数濃度をプロットするシグモイド濃度反応曲線は、非線形回帰分析を用いて解析した。半数阻害(half−maximal inhibition)を生じさせる濃度を、IC50として算出した。
pIC50値は、IC50をMで表示した場合に−log IC50として算定した。Emaxは、相対最大作用(すなわち、対照グルタミン酸応答に比較した最大阻害率(%))であると規定されている。
【0173】
【表16】
【0174】
B)In vivo薬効薬理
1)スコポラミン誘導自発運動亢進のmGluR2 PAM JNJ−42153605誘導阻害の作用の逆転。
装置:
運動活性は、マイクロプロセッサによる運動活性領域(高さ39cm、直径31cmの閉鎖型の灰色のPVCシリンダ)で測定した。各領域を赤外線LED(8×8 LEDs)ライトボックス(白色PVC製の正方形の箱;40×40cm;高さ12.5cm)の上に配置した。動物を追跡するために、赤外感受性撮像管および白色光源を観察室の上方の天井に取り付けた。総移動距離(cm)は、Noldus Ethovision XT Video Tracking System(Version 7.0.418;Noldus,Wageningen,The Netherlands)を用いて記録し、分析した。活動ケージ内の光の強度(床面の高さの中心で測定)は4〜8LUXの範囲内であった。
【0175】
一般的手順
ラットは、活動記録の開始60分前に被検化合物または溶媒で前処置し、個々のケージに収容した。ラットに、活動測定の開始直前のスコポラミン(0.16mg/kg、i.v.)と併用して、活動記録開始30分前にJNJ−42153605の(3−(シクロプロピルメチル)−7−(4−フェニルピペリジン−1−イル)−8−(トリフルオロ−メチル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン;国際公開第2010/130424号パンフレット;Cid et al.,J.Med.Chem.2012,55,8770−8789)(20mg/kg、i.v.)を惹起投与した。スコポラミンの注射直後に、ラットを活動モニター内に配置し、最初の30分間の総移動距離を測定した。
【0176】
溶媒で前処置した対照ラット
溶媒で前処置した対照ラットの時系列で得られた頻度分布を図1および下記の表6に記載した。JNJ−42153605およびスコポラミンが併用投与された動物(n=433)は、ほぼ常に移動距離が1,500cm未満(<1,500cm)であった(移動距離が1,500cm超(>1,500cm)の対照ラットは2.5%しかいなかった)。他方、スコポラミン単独が惹起投与された動物(n=215)は常に、総移動距離が1,500cm超(<1,500cm)であり、ほぼ常に(ラットの95.8%で)移動距離が4,400cm超(>4,400cm)であった。何も惹起投与されなかったラットは、ほぼ常に、移動距離が1,500cm超(>1,500cm)(ラットの93.3%)、4,400cm未満(<4400cm)(ラットの98.9%)であった。JNJ−42153605がスコポラミン誘導運動亢進に及ぼす阻害作用を逆転させるために、下記の悉無律(全か無の法則)基準を採用した:(1)逆転:総移動距離>1,500cm。
【0177】
【表17】
【0178】
下記の表7は、上述した試験1)において得られたデータを提供している:
【0179】
【表18】
【0180】
仮想的な組成物実施例
これらの実施例全体を通して使用する「有効成分」は、式(I)の最終化合物、それらの薬学的に許容される塩、溶媒和物ならびにその立体異性体形および互変異性体に関する。
【0181】
本発明の製剤の処方の典型的実施例は以下のとおりである。
1.錠剤
有効成分 5〜50mg
リン酸−二カルシウム 20mg
ラクトース 30mg
タルク 10mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
馬鈴薯デンプン 200mgまで
【0182】
本実施例において、有効成分は、同量の本発明による化合物のいずれかに、詳細には同量の例示した化合物のいずれかに変更することができる。
【0183】
2.懸濁剤
経口投与用の水性懸濁剤は、各1mLが、1〜5mgの薬理活性化合物の1種、50mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム、1mgの安息香酸ナトリウム、500mgのソルビトールおよび1mLまでの水を含有するように調製される。
【0184】
3.注射剤
非経口組成物は、10体積%のプロピレングリコール水溶液中に1.5重量%の本発明の有効成分を撹拌することによって調製する。
【0185】
4.軟膏剤
有効成分 5〜1,000mg
ステアリルアルコール 3g
ラノリン 5g
白色ワセリン 15g
水 100gまで
【0186】
本実施例において、有効成分は、同量の本発明による化合物のいずれかに、詳細には同量の例示した化合物のいずれかに変更することができる。
【0187】
穏当な変動は、本発明の範囲からの逸脱と見なすべきではない。このように記載した本発明は、当業者によって多数の方法で変更されてよいことは明白であろう。

本発明は次の実施態様を含む。
[1]
式(I)
【化33】

の化合物、またはその立体異性体形(式中、
は、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−OH、−CN、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、C3〜7シクロアルキル、−O−C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキルオキシ、ポリハロ−C1〜4アルキルオキシ、SF、C1〜4アルキルチオ、モノハロ−C1〜4アルキルチオ、ポリハロ−C1〜4アルキルチオからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ以上の置換基でそれぞれ任意選択的に置換されるフェニルもしくは2−ピリジニルであり;
は、水素、C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−OH、C3〜7シクロアルキル、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、NR5a5b、アリールおよびHetからなる群から選択され;ここで
アリールは、ハロ、C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−OH、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−CN、−O−C1〜4アルキル、−OH、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、−NR6a6b、−NHC(O)C1〜4アルキル、−C(O)NR6a6b、−C(O)NH[C(O)C1〜4アルキル]、−S(O)NR6a6b、−S(O)NH[C(O)C1〜4アルキルおよび−SO−C1〜4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されるフェニルであり;
Hetは、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−OH、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−CN、−O−C1〜4アルキル、−OH、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキル、−NR6a6b、−NHC(O)C1〜4アルキル、−C(O)NR6a6b、−C(O)NH[C(O)C1〜4アルキル]、−S(O)NR6a6b、−S(O)NH[C(O)C1〜4アルキルおよび−SO−C1〜4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換されるピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルからなる群から選択され;
5a、R5b、R6aおよびR6bは、それぞれ独立して水素またはC1〜4アルキルであり;
は、水素またはC1〜4アルキルであり、
は、水素、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキル、ポリハロ−C1〜4アルキル、−C1〜4アルキル−O−C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキル−OHからなる群から選択される)
またはそのN−オキシドもしくは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
[2]
上記[1]に記載の化合物、またはその立体異性体形(式中、
は、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキルおよびポリハロ−C1〜4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つ、2つまたは3つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルもしくは2−ピリジニルであり;
は、C1〜4アルキル、アリールおよびHetからなる群から選択され;ここで
アリールは、フェニルであり;
Hetは、それぞれがハロ、C1〜4アルキルおよび−NR6a6bからなる群からそれぞれ独立して選択される1つの置換基で任意選択的に置換されるピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルからなる群から選択され;
6aおよびR6bは、それぞれ水素であり;
は、水素であり;
は、C1〜4アルキルである)
またはそのN−オキシドもしくは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
[3]
上記[1]に記載の化合物、またはその立体異性体形(式中、
は、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキルおよびポリハロ−C1〜4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つまたは2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルであり;
は、C1〜4アルキル、アリールおよびHetからなる群から選択され;ここで
アリールは、フェニルであり;
Hetは、それぞれがハロ、C1〜4アルキルおよび−NR6a6bからなる群からそれぞれ独立して選択される1つの置換基で任意選択的に置換されるピリジニルおよびピラジニルからなる群から選択され;
6aおよびR6bは、それぞれ水素であり;
は、水素であり;
は、C1〜4アルキルである)
またはそのN−オキシドもしくは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
[4]
上記[1]に記載の化合物、またはその立体異性体形(式中、
は、それぞれがハロ、C1〜4アルキル、モノハロ−C1〜4アルキルおよびポリハロ−C1〜4アルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される1つまたは2つの置換基で任意選択的に置換されるフェニルであり;
は、アリールもしくはHetであり;ここで
アリールは、フェニルであり;
Hetは、それぞれがハロ、C1〜4アルキルおよび−NR6a6bからなる群からそれぞれ独立して選択される1つの置換基で任意選択的に置換されるピリジニルおよびピラジニルからなる群から選択され;
6aおよびR6bは、それぞれ水素であり;
は、水素であり;
は、C1〜4アルキルである)
またはそのN−オキシドもしくは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
[5]
は水素であり、Rは式(I’)
【化34】

(式中、6,7−ジヒドロピラゾロ[1,5−a]ピラジン−4(5H)−オンコア、RおよびRはこの図の平面内にあり、Rはこの図面の平面の上方に突出しており、残りの変量は上記[1]に定義されたとおりである)に記載した配置を有する水素とは異なる1つの置換基である、上記[1]に記載の化合物またはそのN−オキシドもしくは薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
[6]
治療的有効量の上記[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物と薬学的に許容される担体もしくは賦形剤とを含む医薬組成物。
[7]
医薬品として使用するための、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物。
[8]
気分障害;せん妄、認知症、健忘症および他の認知障害;通常は幼児期、小児期または青年期に最初に診断される障害;物質関連障害;統合失調症および他の精神病性障害;身体表現性障害;ならびに過眠性睡眠障害の群から選択される中枢神経系状態または疾患の治療または予防に使用するための上記[7]に記載の化合物。
[9]
うつ病性障害;神経認知障害;神経発達障害;物質関連障害および嗜癖障害;統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害;身体症状および関連障害;ならびに過眠障害から選択される中枢神経系状態または疾患の治療または予防に使用するための上記[7]に記載の化合物。
[10]
前記中枢神経系状態または疾患は、認知症、または神経認知障害、大うつ病性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病、注意欠陥多動性障害および統合失調症から選択される、上記[8]に記載の用途の化合物。
[11]
薬学的に許容される担体が治療有効量の上記[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物と均質混合されることを特徴とする、上記[6]に定義される医薬組成物の調製方法。
[12]
治療有効量の上記[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、気分障害;せん妄、認知症、健忘症および他の認知障害;通常は幼児期、小児期または青年期に最初に診断される障害;物質関連障害;統合失調症および他の精神病性障害;身体表現性障害;ならびに過眠性睡眠障害から選択される中枢神経系障害または状態を治療または予防する方法。
[13]
治療有効量の上記[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、うつ病性障害;神経認知障害;神経発達障害;物質関連障害および嗜癖障害;統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害;身体症状および関連障害;ならびに過眠障害から選択される中枢神経系障害または状態を治療または予防する方法。
[14]
前記中枢神経系状態または疾患は、認知症、神経認知障害、大うつ病性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病、注意欠陥多動性障害および統合失調症から選択される、上記[12]に記載の方法。
[15]
うつ病性障害;神経認知障害;神経発達障害;物質関連障害および嗜癖障害;統合失調症スペクトラムおよび他の精神病性障害;身体症状および関連障害;ならびに過眠障害から選択される中枢神経系状態または疾患の治療または予防に同時に、別々に、または順次使用される併用製剤として、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物と追加の薬剤とを含む製品。