特許第6663298号(P6663298)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6663298
(24)【登録日】2020年2月18日
(45)【発行日】2020年3月11日
(54)【発明の名称】二方向狭指向性マイクロホン
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/34 20060101AFI20200227BHJP
【FI】
   H04R1/34 320
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-102006(P2016-102006)
(22)【出願日】2016年5月20日
(65)【公開番号】特開2017-208787(P2017-208787A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年4月1日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】小野 一穂
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 陽
【審査官】 柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−034095(JP,A)
【文献】 特開2006−229731(JP,A)
【文献】 特開昭62−118697(JP,A)
【文献】 特開平08−019087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響管の長手方向の直線二方向に対し分離した狭指向性を有する二方向狭指向性マイクロホンであって、
1本の音響管と、
前記音響管の両端側にそれぞれ設けられる2つの受音素子と、
前記音響管の中心軸を通る平面で前記音響管の内部を2つの空間部に分離する遮音板とを備え、
前記2つの空間部のうち第1の空間部に面する前記音響管の長手方向の側壁に複数のスリットからなる第1のスリット列が設けられ、
前記2つの空間部のうち第2の空間部に面する前記音響管の長手方向の側壁に複数のスリットからなる第2のスリット列が設けられ、
前記2つの受音素子のうち第1の受音素子は、前記第1のスリット列を経て前記第1の空間部を進行する第1の音波方向からの音波を収音し、
前記2つの受音素子のうち第2の受音素子は、前記第2のスリット列を経て前記第2の空間部を進行する第2の音波方向からの音波を収音するよう構成されていることを特徴とする二方向狭指向性マイクロホン。
【請求項2】
前記音響管及び前記受音素子は、それぞれ略同一断面の円柱状又は四角柱状で構成されて取着されていることを特徴とする、請求項1に記載の二方向狭指向性マイクロホン。
【請求項3】
前記遮音板は、前記第1の空間部及び前記第2の空間部の各音波進行方向で対応する位置関係の断面積が略同一となるよう前記音響管の内部を2つの空間部に分離していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の二方向狭指向性マイクロホン。
【請求項4】
前記遮音板は、前記第2の受音素子への音波の進行を遮音する第1の遮音壁と、前記第1の受音素子への音波の進行を遮音する第2の遮音壁とを有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の二方向狭指向性マイクロホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響管を使用する狭指向性マイクロホンの技術に関し、特に、直線二方向に狭指向性で分離収音可能とする二方向狭指向性マイクロホンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スピーカを3次元的に配置するマルチチャンネル音響システムが開発されている。このマルチチャンネル音響システムでは、スピーカの方向に応じた音を収録する必要がある。このため、通常、再生するスピーカに対応したマイクロホンを、収音する音場の空間内に設置する技法がとられる。このとき、各スピーカから再生する音に対し相互の分離を確保するため、その音場の空間内で互いに十分な距離を離して多数のマイクロホンを設置する必要がある。この場合、マイクロホンが空間内の広い範囲に分布し、機動性に問題が多いうえ、マイクロホンの設置位置に制約の多い番組中継で用いることは極めて困難である。
【0003】
そこで、再生するスピーカの方向に指向性を向けた複数の狭指向性マイクロホン(ショットガンマイクロホン)よりなるマイクロホンアレイを構成し、このマイクロホンアレイを収音する音場の空間内の1点に配置することで、設置位置の制約を緩和し設置効率を改善する技法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
尚、通常の狭指向性マイクロホンは、音響管とマイクロホンカプセル(受音素子)を組み合わせにより狭指向性を示すマイクロホンとして構成され、例えば音響管の長さ等を工夫して背面感度を抑圧するよう構成した狭指向性マイクロホンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5268713号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】佐々木,西口,小野、“音場の逆フィルタ処理に基づくマルチチャンネルワンポイントマイクロホンについて〜指向性マイクロホン素子による検討〜”,日本音響学会講演論文集、3-6-8、2015年9月、PP.577-578
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1に開示されるマイクロホンアレイは、例えば図4に示すように、8チャンネル分(8個のスピーカ分)の収音を目的としており、支軸20を中心に8本の狭指向性マイクロホン(ショットガンマイクロホン)10‐1〜10‐8(個々について「狭指向性マイクロホン10」と称する)を8個のスピーカに向けて放射状に配置し、各狭指向性マイクロホン10を支持部材30で支持するよう構成される。
【0008】
即ち、非特許文献1に開示されるマイクロホンアレイでは、収音するチャンネル数分の複数のショットガンマイクロホンを使用して収音装置を構成している。
【0009】
従来技術における典型的な狭指向性マイクロホン10の構成を図5に示している。図5(a)は狭指向性マイクロホン10の概略構成を示す透視斜視図であり、図5(b)はその断面図である。
【0010】
従来技術における狭指向性マイクロホン10は、1本の音響管13の一端側にマイクロホンカプセル(受音素子)12が設けられ、当該音響管13の長手方向の両側面に、それぞれ例えば丸孔状(又は四角孔状でもよい)の複数のスリット14a,14bよりなる2列のスリット列が位相干渉用の開口として設けられる。尚、本例では、音響管13の手前側の側面にスリット14a(模式的にここでは実線の丸孔で示す)が設けられ、尚且つ、奥側の側面にもスリット14b(模式的にここでは点線の丸孔で示す)が設けられている例を示しているが、複数のスリット14a(又は14b)よりなる一列のスリット列とする形態もある。
【0011】
収音方向の音波が当該狭指向性マイクロホン10における音響管13の長手方向に沿って到来すると、この音波は当該複数のスリット14a(又は14b)から位相干渉を作用させて音響管13内へと進入し、受音素子12へと進行する。そして、受音素子12によりこの位相干渉を経て得られる音波を受波して電気信号に変換するようになっている。実際には、図示を省略しているが音響管13の周囲壁面に紙などの音響抵抗を貼ることにより、複数のスリット14a(又は14b)の作用で受音素子12により正面から到来する音波は同位相で加算、側面から到来する音波は位相差がついて互いに打ち消し合うようになり、正面方向(音波の到来方向)に強い指向性を有するものとなる。
【0012】
ところで、22.2マルチチャンネル音響をはじめとする、近年のマルチチャンネル音響システムは、8チャンネルのような以前の音響システムと比較してチャンネル数が多く、マイクロホンの数も多数必要となる。特にショットガンマイクロホンを使用する場合、1本あたりの長さも長いため、マイクロホンアレイとして規模が大きくなり、収音装置として構成されるその装置全体の機動性が損なわれる問題がある。
【0013】
そこで、マイクロホンアレイとして構成するときの装置全体を小型化するために、例えば図5において、それぞれの狭指向性マイクロホン10の断面積を細いものとすることが容易に考えられる。しかしながら、この場合、図5(a)に示すように受音素子12の断面積(又は断面積の直径d)も小さくする必要が生じ、その感度やS/N比を損なうことが問題となる。
【0014】
本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、収音性能を損なうことなくマイクロホンアレイとして構成するときの小型化を実現可能とするため、音響管を使用し直線二方向に狭指向性で分離収音可能とする二方向狭指向性マイクロホンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の二方向狭指向性マイクロホンは、音響管の長手方向の直線二方向に対し分離した狭指向性を有する二方向狭指向性マイクロホンであって、1本の音響管と、前記音響管の両端側にそれぞれ設けられる2つの受音素子と、前記音響管の中心軸を通る平面で前記音響管の内部を2つの空間部に分離する遮音板とを備え、前記2つの空間部のうち第1の空間部に面する前記音響管の長手方向の側壁に複数のスリットからなる第1のスリット列が設けられ、前記2つの空間部のうち第2の空間部に面する前記音響管の長手方向の側壁に複数のスリットからなる第2のスリット列が設けられ、前記2つの受音素子のうち第1の受音素子は、前記第1のスリット列を経て前記第1の空間部を進行する第1の音波方向からの音波を収音し、前記2つの受音素子のうち第2の受音素子は、前記第2のスリット列を経て前記第2の空間部を進行する第2の音波方向からの音波を収音するよう構成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の二方向狭指向性マイクロホンにおいて、前記音響管及び前記受音素子は、それぞれ略同一断面の円柱状又は四角柱状で構成されて取着されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の二方向狭指向性マイクロホンにおいて、前記遮音板は、前記第1の空間部及び前記第2の空間部の各音波進行方向で対応する位置関係の断面積が略同一となるよう前記音響管の内部を2つの空間部に分離していることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の二方向狭指向性マイクロホンにおいて、前記遮音板は、前記第2の受音素子への音波の進行を遮音する第1の遮音壁と、前記第1の受音素子への音波の進行を遮音する第2の遮音壁とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、直線二方向の音波を同時に収音することができる。特に、マイクロホンアレイとして構成するときに、収音性能を損なうことなく小型化を実現することができる。
【0020】
より具体的には、本発明による二方向狭指向性マイクロホンを用いてマイクロホンアレイを構成することで、点対称の関係にある2チャンネルを1本の音響管のマイクロホンの筐体の大きさそのままに、同時に収音することが可能となる。これにより、マイクロホンアレイの全体で用いる音響管の本数を減らすことが可能となり、マイクロホンアレイの機動性を向上させることができる。
【0021】
特に、22.2マルチチャンネル音響など点対称な位置にスピーカが配置され、180度異なる方向の音を同時に収音することが要求されるマルチチャンネル音響システムにおいて、本発明による二方向狭指向性マイクロホンを用いてマイクロホンアレイを構成することで、その設置位置の制約をより緩和し、設置効率をより改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】(a),(b)は、それぞれ本発明による実施例1の二方向狭指向性マイクロホンの概略構成を示す透視斜視図及びその断面図である。
図2】本発明による実施例2の二方向狭指向性マイクロホンの概略構成を示す透視斜視図である。
図3】本発明による実施例3の二方向狭指向性マイクロホンの概略構成を示す透視斜視図である。
図4】従来技術における単一指向性を示す狭指向性マイクロホンを用いて構成したマイクロホンアレイの概略構成を示す斜視図である。
図5】(a),(b)は、それぞれ従来技術における単一指向性を示す狭指向性マイクロホンの概略構成を示す透視斜視図及びその断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明による各実施例の二方向狭指向性マイクロホン1の構成について説明する。
【0024】
(実施例1)
図1(a)は、それぞれ本発明による実施例1の二方向狭指向性マイクロホン1の概略構成を示す透視斜視図であり、図1(b)はその断面図である。実施例1の二方向狭指向性マイクロホン1は、音響管13の長手方向の直線二方向に対し、狭指向性で分離収音可能とするマイクロホンとして構成される。
【0025】
より具体的には、実施例1の二方向狭指向性マイクロホン1は、1本の音響管13の長手方向の両端側にそれぞれ同一構造のマイクロホンカプセル(受音素子)12a,12bが設けられている。そして、音響管13の中心軸を通る平面で音響管13を2つの空間部S1,S2(本例では、半円柱の2つの空間部)に分割する平板状の遮音板15が設けられている。
【0026】
また、遮音板15で区切られた音響管13の各半円柱の側面には、それぞれ例えば丸孔状(又は四角孔状でもよい)の複数のスリット14a,14bよりなる2列のスリット列が位相干渉用の開口として設けられている。図示する例では、音響管13の手前側の側面にスリット14a(模式的にここでは実線の丸孔で示す)が設けられ、尚且つ、奥側の側面にもスリット14b(模式的にここでは点線の丸孔で示す)が設けられている。複数のスリット14a,14bを通じて音響管13に入った音波は音響管13を伝わり各受音素子12a,12bに到達する。
【0027】
ただし、各受音素子12a,12bの表面近傍にて音響管13の両端部には、それぞれ遮音板15で区切られた音響管13の各半円柱内を進行する音波を遮音するために、それぞれ半円状の遮音壁15a,15bが設けられている。即ち、図示右側の受音素子12aは、スリット14aのスリット列を経て音響管13内の空間部S1に進入する音波を収音するようになっており、一方、図示左側の受音素子12bは、スリット14bのスリット列を経て音響管13内の空間部S2に進入する音波を収音するようになっている。
【0028】
そして、受音素子12aは、複数のスリット14aの位相干渉を経て空間部S1を進行する第1の音波方向の音波を収音して電気信号に変換する。また、受音素子12bは、複数のスリット14bの位相干渉を経て空間部S2を進行する第2の音波方向の音波を収音して電気信号に変換する。実際には、図示を省略しているが音響管13の周囲壁面に紙などの音響抵抗を貼ることで、複数のスリット14a(又は14b)の作用で受音素子12a(又は12b)により正面から到来する音波は同位相で加算、側面から到来する音波は位相差がついて互いに打ち消し合うようにしている。このため、実施例1の二方向狭指向性マイクロホン1は、音響管13の長手方向の直線二方向に対し、狭指向性で分離収音可能とする機能を備えた一本のマイクロホンとして構成される。
【0029】
実施例1の二方向狭指向性マイクロホン1では、音響管13が、図5に示す従来技術の狭指向性マイクロホン10と比較して到来方向の音波別には遮音板15により断面積が相対的に小さくなるが、その従来技術の音響管13及び各受音素子12a,12bについて同一形状・同一サイズのものを使用できる。
【0030】
そして、通常、音響管13の直径は約20mm程度が標準であるが、この太さは収音には十分な太さであり、これを遮音板15により2つの空間部S1,S2へと分離してそれぞれ半分程度の断面積となるよう減らしてもその収音性能はほとんど変化しない。ただし、各空間部S1,S2における導波性能に差が生じることを抑制するため、遮音板15は、空間部S1,S2の各音波進行方向で対応する位置関係の断面積が略同一となるよう音響管13の内部を2つの空間部S1,S2に分離するのが好適である。
【0031】
一方、各受音素子12a,12bは、その断面積の減少が収音性能に直結するが、音響管13の両端部に遮音壁15a,15bが設けられていても、本実施例では、各受音素子12a,12bが持つ断面積自体を減少させるものではないため、各受音素子12a,12bが持つ断面積で定まる収音性能を維持できる。
【0032】
即ち、通常、各受音素子12a,12bの直径dも約20mm程度が標準であるが、このときの断面積で定まる収音性能を維持したまま、音響管13の断面積のみ減少させる構造であるため、図5に示す従来技術の狭指向性マイクロホン10と比較して音波ごとに比較してもマイクロホンの性能が劣化しない。
【0033】
このように、実施例1の二方向狭指向性マイクロホン1では、音響管13が遮音板15によって2つの半円柱の空間部S1,S2に分離されており、各半円柱の空間部S1,S2はそれぞれ対応する受音素子12a,12bのみと接続されている。このため、実施例1の二方向狭指向性マイクロホン1は、180度の反対方向に分離して収音可能とする主軸を持つ狭指向性マイクロホンとして構成される。
【0034】
従って、正面方向の音波と背面方向の音波を同時に直線二方向で収音する場合に、従来技術であれば図5に示す狭指向性マイクロホン10について2本分の設置容積を必要としていたところ、実施例1の二方向狭指向性マイクロホン1によれば、相対的にほぼ1本分の狭指向性マイクロホン10の設置容積とすることができ、収音性能を損なうことなくマイクロホンアレイとして構成するときの小型化が実現可能となる。
【0035】
より具体的には、本実施例の二方向狭指向性マイクロホン1を用いてマイクロホンアレイを構成することで、点対称の関係にある2チャンネルを1本の音響管13のマイクロホンの筐体の大きさそのままに、同時に収音することが可能となる。これにより、マイクロホンアレイの全体で用いる音響管13の本数を減らすことが可能となり、マイクロホンアレイの機動性を向上させることができる。
【0036】
特に、22.2マルチチャンネル音響など点対称な位置にスピーカが配置され、180度異なる方向の音を同時に収音することが要求されるマルチチャンネル音響システムにおいて、本実施例の二方向狭指向性マイクロホン1を用いてマイクロホンアレイを構成することで、その設置位置の制約をより緩和し、設置効率をより改善することができる。
【0037】
(実施例2)
図2は、本発明による実施例2の二方向狭指向性マイクロホン1の概略構成を示す透視斜視図である。尚、実施例1と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。実施例2の二方向狭指向性マイクロホン1は、図1に示す実施例1の二方向狭指向性マイクロホン1と比較して、遮音板15の形状が異なる点を除き、その他の形状・構造・大きさは同じものとすることができる。
【0038】
即ち、前述した実施例1では、図1に示すように遮音板15の形状を平板状として説明したが、実施例2では、曲板状(本例ではS字板状)に構成している。このような遮音板15の形状とした実施例2の二方向狭指向性マイクロホン1であっても、実施例1の作用・効果を全て包含させることができる。
【0039】
(実施例3)
図3は、本発明による実施例3の二方向狭指向性マイクロホン1の概略構成を示す透視斜視図である。尚、実施例1,2と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。実施例3の二方向狭指向性マイクロホン1は、図1に示す実施例1の二方向狭指向性マイクロホン1と比較して、その外形形状を円柱状とする代わりに四角柱状とした点で異なる。
【0040】
即ち、実施例3では、音響管13及び各受音素子12a,12bの形状を四角柱状とし、遮音板15を音響管13の両端の四角一辺を対角状に遮音するよう設置している。本例では、図3に示すように、音響管13の両端部に遮音壁15a,15bを設ける必要はない。このような実施例3の二方向狭指向性マイクロホン1であっても、実施例1の作用・効果を全て包含させることができる。
【0041】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、本発明に係る二方向狭指向性マイクロホン1は、マルチチャンネル音響システムにおいてマイクロホンアレイを構成することを主の目的として説明したが、単に直線二方向の収音を要する用途にも利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、正面方向の音波と背面方向の音波を同時に直線二方向で収音する収音装置の用途に有用である。
【符号の説明】
【0043】
1 二方向狭指向性マイクロホン
10,10‐1〜10‐8 単方向の狭指向性マイクロホン
12,12a,12b マイクロホンカプセル(受音素子)
13 音響管
14a,14b スリット
15 遮音板
15a,15b 遮音壁
20 支軸
30 支持部材
図1
図2
図3
図4
図5