【実施例】
【0038】
本発明のシリコーン系感圧接着剤および積層体を実施例、比較例により詳細に説明する。なお、実施例中の粘度および可塑度は25℃において測定した値である。また、粘着力および感圧接着層の移行を次のようにして測定した。
【0039】
[粘度]
粘度(mPa・s)は、JIS K7117−1に準拠した回転粘度計を使用して測定した値であり、動粘度(mm
2/s)は、JIS Z8803に準拠したウベローデ型粘度計によって測定した値である。
【0040】
[可塑度]
可塑度は、JIS K 6249に規定される方法に準じて測定された値(25℃、4.2gの球状試料に1kgfの荷重を3分間かけたときの値)で示した。
【0041】
[粘着力]
感圧接着フィルムを25mm幅に切断して感圧接着テープを作成し、ガラスの被着体に2kgfのゴムローラを用いて圧着させた。その後、室温下、24時間静置した。これを低速(300mm/分)の引張試験機を用いて、180°引き剥がし法により粘着力(gf/25mm)を測定した。
【0042】
[感圧接着層の移行]
感圧接着層を有する保護フィルムを3cm×4cmの大きさで2枚切り取り、厚さ1mmのガラス板の両面に2kgfのゴムローラを用いて圧着させた。これを70℃、相対湿度95%のオーブンに24時間保管した後、オーブンから取り出し、室温で冷却した。その後、両面の保護フィルムをはがし、LEDランプを備えた懐中電灯をガラス板の裏側から、斜め45度に光が当たるように照らし、目視にて感圧接着層の移行を観察する。さらに、卓上蛍光灯にて、ガラス板の裏側から、斜め45度に光が当たるように照らし、目視にて感圧接着層の移行を観察する。その評価は次のとおりである。
◎:懐中電灯および卓上蛍光灯で、いずれも曇りや異物がなく、感圧接着層の移行は認められない。
○:懐中電灯では、わずかに曇りがあるが、卓上蛍光灯では曇りや異物がなく、感圧接着層の移行は認められない。
×:懐中電灯および卓上蛍光灯で、いずれも曇りがあり、感圧接着層の移行が認められる。
【0043】
[プライマー処理ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの調製]
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム{東レ株式会社製のルミラー(登録商標)}(以下、PETフィルム)にダウコーニング社製のDOW CORNING
(R) 7499 PSA PRIMER(固形分22.6質量%) 100質量部、ダウコーニング社製のDOW CORNING
(R) 7387 CROSSLINKER 1.4質量部、トルエン 500質量部、および白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(この錯体中の白金金属が上記の7499の固形分に対して質量単位で100ppmとなる量)を添加、攪拌した後、マイヤバー(No.3)で塗工し、120℃のオーブンにて30秒で硬化させた。
【0044】
[実施例1]
粘度が385mPa・sであり、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.44質量%) 100質量部、粘度が10,000mPa・sを超え、分子鎖両末端がジメチルヒドロキシシロキシ基で封鎖され、側鎖の一部にビニル基を有するジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴム(可塑度=160、ビニル基の含有量=0.08質量%)の30質量%トルエン溶液 17.6質量部(生ゴムとして5.3質量部)、動粘度が33mm
2/sであり、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.08質量%) 4.4質量部(上記ジメチルポリシロキサンと上記ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴム中のビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が3.0モルとなる量)、2−メチル−3−ブチン−2−オール 1.1質量部を加えて混合し、さらに、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(この錯体中の白金金属が上記ジメチルポリシロキサンと上記ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴムとの合計に対して質量単位で50ppmとなる量)を混合して、シリコーン系感圧接着剤のトルエン溶液を調製した。
【0045】
次に、この溶液をアプリケーターによりプライマー処理PETフィルム上に塗工し、140℃、2分で硬化させ、厚さ30μmの感圧接着層を有する粘着フィルムを作製した。この粘着フィルムの粘着力および移行試験の結果を表1に示した。
【0046】
[実施例2]
粘度が385mPa・sであり、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.44質量%) 100質量部、粘度が10,000mPa・sを超え、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖され、側鎖の一部にビニル基を有するジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴム(可塑度=160、ビニル基の含有量=0.22質量%)の30質量%トルエン溶液 17.6質量部(生ゴムとして5.3質量部)、動粘度が33mm
2/sであり、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.08質量%) 3.8質量部(上記ジメチルポリシロキサンと上記ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴム中のビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が2.5モルとなる量)、2−メチル−3−ブチン−2−オール 1.2質量部を加えて混合し、さらに、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(この錯体中の白金金属が上記ジメチルポリシロキサンと上記ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴムとの合計に対して質量単位で50ppmとなる量)を混合して、シリコーン系感圧接着剤のトルエン溶液を調製した。
【0047】
次に、この溶液をアプリケーターによりプライマー処理PETフィルム上に塗工し、140℃、2分で硬化させ、厚さ30μmの感圧接着層を有する粘着フィルムを作製した。この粘着フィルムの粘着力および移行試験の結果を表1に示した。
【0048】
[実施例3]
粘度が2,054mPa・sであり、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.22質量%) 100質量部、粘度が10,000mPa・sを超え、分子鎖両末端がジメチルヒドロキシシロキシ基で封鎖され、側鎖の一部にビニル基を有するジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴム(可塑度=160、ビニル基の含有量=0.08質量%)の30質量%トルエン溶液 75質量部(生ゴムとして22.5質量部)、動粘度が12.5mm
2/sであり、分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.43質量%) 8.4質量部(上記ジメチルポリシロキサンと上記ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴム中のビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が4.0モルとなる量)、2−メチル−3−ブチン−2−オール 1.3質量部を加えて混合し、さらに、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(この錯体中の白金金属が上記ジメチルポリシロキサンと上記ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴムとの合計に対して質量単位で50ppmとなる量)を混合して、シリコーン系感圧接着剤のトルエン溶液を調製した。
【0049】
次に、この溶液をアプリケーターによりプライマー処理PETフィルム上に塗工し、140℃、2分で硬化させ、厚さ30μmの感圧接着層を有する粘着フィルムを作製した。この粘着フィルムの粘着力および移行試験の結果を表1に示した。
【0050】
[実施例4]
粘度が385mPa・sであり、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン 100質量部、粘度が10,000mPa・sを超え、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖され、側鎖の一部にビニル基を有するジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴム(可塑度=160、ビニル基の含有量=0.22質量%)の30質量%トルエン溶液 17.6質量部(生ゴムとして5.3質量部)、動粘度が12.5mm
2/sであり、分子鎖両末端がジメチルハイドロジェンシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=0.43質量%) 15.5質量部(上記ジメチルポリシロキサンと上記ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴム中のビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が4.0モルとなる量)、2−メチル−3−ブチン−2−オール 1.2質量部を加えて混合し、さらに、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(この錯体中の白金金属が上記ジメチルポリシロキサンと上記ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴムとの合計に対して質量単位で50ppmとなる量)を混合して、シリコーン系感圧接着剤のトルエン溶液を調製した。
【0051】
次に、この溶液をアプリケーターによりプライマー処理PETフィルム上に塗工し、140℃、2分で硬化させ、厚さ30μmの感圧接着層を有する粘着フィルムを作製した。この粘着フィルムの粘着力および移行試験の結果を表1に示した。
【0052】
[比較例1]
粘度が385mPa・sであり、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン 13.2質量部、粘度が10,000mPa・sを超え、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖され、側鎖の一部にビニル基を有するジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴム(可塑度=160、ビニル基の含有量=0.22質量%)の30質量%トルエン溶液 333.3質量部(生ゴムとして100質量部)、動粘度が33mm
2/sであり、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.08質量%) 3.4質量部(上記ジメチルポリシロキサンと上記ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴム中のビニル基の合計1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が3.8モルとなる量)、(CH
3)
3SiO
1/2単位とSiO
4/2単位からなり、そのモル比[(CH
3)
3SiO
1/2単位のモル数/SiO
4/2単位のモル数]が0.8であるメチルポリシロキサンレジンの74質量%キシレン溶液 39.5質量部(レジンとして29.2質量部)、2−メチル−3−ブチン−2−オール 1.6質量部を加えて混合し、さらに、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(この錯体中の白金金属が上記ジメチルポリシロキサンと上記ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴムとの合計に対して質量単位で50ppmとなる量)を混合して、シリコーン系感圧接着剤のトルエン溶液を調製した。
【0053】
次に、この溶液をアプリケーターによりプライマー処理PETフィルム上に塗工し、140℃、2分で硬化させ、厚さ30μmの感圧接着層を有する粘着フィルムを作製した。この粘着フィルムの粘着力および移行試験の結果を表1に示した。
【0054】
[比較例2]
粘度が10,000mPa・sを超え、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖され、側鎖の一部にビニル基を有するジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴム(可塑度=160、ビニル基の含有量=0.22質量%)の30質量%トルエン溶液 333.3質量部(生ゴムとして100質量部)、動粘度が33mm
2/sであり、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.08質量%) 3.0質量部(上記ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴム中のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が4.0モルとなる量)、2−メチル−3−ブチン−2−オール 1.0質量部を加えて混合し、さらに、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(この錯体中の白金金属が上記ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴムに対して質量単位で50ppmとなる量)を混合して、シリコーン系感圧接着剤のトルエン溶液を調製した。
【0055】
次に、この溶液をアプリケーターによりプライマー処理PETフィルム上に塗工し、140℃、2分で硬化させ、厚さ30μmの感圧接着層を有する粘着フィルムを作製した。この粘着フィルムの粘着力および移行試験の結果を表1に示した。
【0056】
[比較例3]
粘度が40,700mPa・sであり、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=0.09質量%) 100質量部、動粘度が58.3mm
2/sであり、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ケイ素原子結合水素原子の含有量=1.01質量%) 1.6質量部(上記ジメチルポリシロキサン中のビニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子が5.0モルとなる量)、1−エチニル−1−シクロヘキサノール 0.2質量部を加えて混合し、さらに、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(この錯体中の白金金属が上記ジメチルポリシロキサンに対して質量単位で50ppmとなる量)を混合して、シリコーン系感圧接着剤のトルエン溶液を調製した。
【0057】
次に、この溶液をアプリケーターによりプライマー処理PETフィルム上に塗工し、140℃、2分で硬化させ、厚さ30μmの感圧接着層を有する粘着フィルムを作製した。この粘着フィルムの粘着力および移行試験の結果を表1に示した。
【0058】
【表1】