(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1又は2に記載の位置測定装置において、前記基準測定センサ(14)は、前記位置信号(P)を算出するために、前記位置測定センサ(7)の各々に割り当てられる位置測定装置。
請求項1又は2に記載の位置測定装置において、それぞれの前記位置信号(P)を算出するために、共通の前記基準測定センサ(14)が複数の前記位置測定センサ(7)に割り当てられる位置測定装置。
請求項1〜4の何れか一項に記載の位置測定装置において、前記少なくとも1つの基準測定センサ(14)は、関連する前記少なくとも1つの位置測定センサ(7)から、最大で10mm、特に最大で8mm、及び特に最大で6mmの距離(d)をおいて配置される位置測定装置。
請求項6〜8の何れか一項に記載の位置測定装置において、前記支持体(21)は中空の断面として構成され、前記基準電極(16,17)は前記支持体(21)の対向する内面(22,23)に配置される位置測定装置。
請求項1〜12の何れか一項に記載の位置測定装置において、前記静電容量測定センサ(7,14)のうちの少なくとも1つは、測定センサ筐体(9,15)に組み込まれた、信号増幅のためのトランジスタ(28)を備える位置測定装置。
請求項1〜13の何れか一項に記載の位置測定装置において、前記少なくとも1つの位置測定センサ(7)及び前記少なくとも1つの基準測定センサ(14)は同じ構造である位置測定装置。
請求項15に記載の位置決め装置において、前記演算部(8)は、前記アクチュエータ(4)が前記算出された位置信号(P)に基づいて駆動されるように構成され、前記アクチュエータ(4)の位置決め精度は少なくとも1.0nm、特に少なくとも0.5nm、及び特に少なくとも0.1nmである位置決め装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、位置検出を高精度で容易に行うことのできる、測定対象物の位置を検出する位置測定装置を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は請求項1の特徴を有する位置測定装置によって達成される。本発明によれば、静電容量測定センサの小型化、すなわちサイズの縮小は、その静電容量の減少をももたらし、その結果、位置測定信号に含まれる干渉の影響がより強くなることがわかった。位置測定装置が少なくとも1つの静電容量位置測定センサに加えて少なくとも1つの静電容量基準測定センサを備えることにより、演算部によって位置測定信号及び基準測定信号を評価することにより、干渉の影響を検出して取り除くことができる。よって、演算部は位置測定信号及び関連する基準測定信号から干渉の影響を大幅に取り除いた位置信号を算出し、この位置信号は干渉の影響を受けた位置測定信号よりも著しく高い精度を有する。具体的には、位置測定信号は算出される位置信号及び干渉信号によって構成されるのに対し、基準測定信号は所定の基準信号及び干渉信号で構成される。例えば、干渉信号は基準測定信号から基準信号を減算することによって求めることができ、位置測定信号からこの干渉信号を減算することによって位置信号を求めることができる。この算出により、位置測定信号は干渉信号を取り除かれ、このため、測定対象物の位置を位置信号から極めて正確に検出することができる。
【0006】
支持体は熱膨張率の極めて低い材料から構成されているため、基準距離及び基準信号は温度変化によってほとんど変化しない。このため、基準測定センサは高いドリフト安定性を有し、非常に一定した基準信号が生成可能である。具体的には、この材料はガラスセラミック材料である。例えば、熱膨張率の低いガラスセラミック材料は、登録商標ZERODUR又はULEで知られている。このため、位置測定装置は位置検出時の高精度を保証する。
【0007】
請求項2に記載の位置測定装置は位置検出時の高精度を保証する。信号線がそのほぼ全長に亘って信号ケーブルを形成することにより、一方では信号線を干渉の影響に対してまとめてシールドすることが可能であり、他方では干渉の影響から生じる干渉信号が位置測定信号から大幅に取り除かれるように、干渉信号を位置測定信号と基準測定信号とに同等に含めることができる。この結果、例えば、よじれによって生じる信号ケーブルの静電容量の変化をなくすことが可能となる。
【0008】
請求項3に記載の位置測定装置は、位置測定装置が複数の位置測定センサを備える場合に、位置検出時の高精度を保証する。各位置測定センサに専用の基準測定センサが割り当てられているため、基準測定センサは位置測定センサに対して、位置測定センサと基準測定センサとで同程度の干渉の影響が検出されるように、最適に配置することができる。位置測定センサ及び関連する基準測定センサはそれぞれ、共通の測定センサ筐体、又は2つの別個の測定センサ筐体を有することができる。
【0009】
請求項4に記載の位置測定装置は、比較的少ない構築費用と共に、高精度の位置検出を保証することができる。1台の基準測定センサに複数の位置測定センサが割り当てられるため、関連する基準測定センサを用いて全ての位置測定信号を補正することができる。従って、基準測定センサに割り当てられる全ての位置測定センサの位置信号は、位置測定信号及び基準測定信号から算出される。このため、基準測定センサの数は最適化される。
【0010】
請求項5に記載の位置測定装置は、位置検出時の高精度を保証する。少なくとも1つの基準測定センサは、関連する少なくとも1つの位置測定センサから短い距離をおいて配置されているので、同程度の干渉の影響が少なくとも1つの基準測定センサ及び関連する少なくとも1つの位置測定センサによって検出され、干渉の影響によって生じる干渉信号は、続いて行われる関連する位置信号の算出中に大幅に削減することができる。
【0011】
請求項6に記載の位置測定装置は、基準測定信号が簡単な方法で確実に提供されるようにする。少なくとも1つの基準測定センサは第1基準電極及び関連する第2基準電極を備え、第2基準電極は基準測定面として構成することができる。基準電極は相互に所定の基準距離をおいて支持体上に配置される。基準距離はほぼ変更不可能である。ここで「ほぼ」とは、基準距離の変化が干渉又は環境の影響、例えば周囲条件が変化した結果としてのみ発生することを意味する。従って、基準距離はほぼ一定した基準信号を定める。例えば、基準測定面は支持体の金属被覆として構成される。例えば、基準測定面はクロム層である。
【0012】
請求項7に記載の位置測定装置は位置検出時の高精度を保証する。測定対象物の平均位置D
Mの基準距離D
Rに対する比率は、基準距離D
Rが測定対象物の平均位置D
Mにほぼ相当することを保証する。この結果、干渉の影響は位置測定信号及び関連する基準測定信号にほぼ同等に含まれ、よって干渉の影響によって生じる干渉信号を大幅に取り除くことができる。
【0013】
請求項8に記載の位置測定装置は、位置検出時の高精度を保証する。
【0014】
請求項9に記載の位置測定装置は、位置検出時の高精度を保証する。支持体の対向する内面に配置される基準電極により、空気等の周囲媒質は位置測定センサに応じて絶縁体として作用する。このため、干渉の影響を、例えば、湿度、空気圧又は温度などの周囲条件の結果として基準測定信号中に検出し、続いて位置測定信号から取り除くことが可能である。
【0015】
請求項10に記載の位置測定装置は、位置検出時の高精度を保証する。支持体は、基準電極の間に配置されることにより、絶縁体を形成する。ここで、支持体は、例えばガラスセラミック材料などの、熱膨張率の低い材料で形成される。支持体は絶縁体を形成するため、周囲条件はほとんど基準測定信号中に含まれず、そのため一定の基準信号が供給される。この結果、具体的には、信号ケーブル及び/又は測定電子機器による干渉の影響を補償することができる。
【0016】
請求項11に記載の位置測定装置は、シンプルで場所をとらない構造を保証する。
【0017】
請求項12に記載の位置測定装置は、位置検出時の高精度を保証する。基準測定センサは第2位置測定センサとして機能するように配置される。ここで、基準測定センサは、具体的に、位置測定センサの反対側に配置され、よって、位置測定信号及び基準測定信号は、理想的に、すなわち干渉の影響を受けることなく、加算時に一定した測定信号となる。例えば、位置測定センサ及び基準測定センサが測定対象物の中心位置から等しい距離に配置されると、干渉の影響がなければ、位置測定信号に加算されれた基準測定信号の平均をとることによって関連する位置信号を得ることができる。これに基づき、干渉の影響の結果としての干渉信号を、位置測定信号中及び基準測定信号中、あるいはこれらの合計中に識別して取り除くことができる。
【0018】
請求項13に記載の位置測定装置は信号対雑音比を向上させ、その結果、位置検出時の高精度を保証する。元の測定信号は、トランジスタが測定センサ筐体に組み込まれていることにより、演算部又は測定電子機器に送信される前にすでに増幅されている。干渉の影響による干渉入力又は干渉信号が変化しない場合に、増幅された測定信号が演算部又は測定電子機器に送信されると、信号対雑音比が増加し、その結果、位置検出時に高精度が得られる。例えば、少なくとも1つの静電容量位置測定センサ及び/又は少なくとも1つの静電容量基準測定センサは、集積トランジスタで構成される。具体的には、集積トランジスタは電界効果トランジスタとして構成される。
【0019】
請求項14に記載の位置測定装置は、簡単な方法での位置信号の算出を保証する。少なくとも1つの位置測定センサ及びそのそれぞれに関連する基準測定センサが同じ構造を有することにより、測定センサは原則として対応する測定特性を有し、このため、測定センサの構造が異なる場合であっても不正確な測定は発生しない。この結果、異なる測定特性を補償する複雑な追加手段を必要とせず、位置検出時の高精度が保証される。
【0020】
本発明は更に、測定対象物を位置決めする際の高精度を助長する位置決め装置を開発する目的に基づく。具体的には、位置決め精度の範囲はナノメートル又はサブナノメートルである。
【0021】
この目的は請求項15の特徴を有する位置決め装置によって達成される。本発明による位置測定装置は、測定対象物が所望の精度で位置決め可能なように、測定対象物の位置の正確な検出を容易にする。このため、具体的には、位置決め装置は位置決め制御ループを形成して、測定対象物の所望の意図する位置が算出された位置信号に基づいて正確に調整できるようにする。位置決め装置の更なる利点はすでに記載した位置測定装置の利点に相当する。
【0022】
請求項16に記載の位置決め装置は、測定対象物の位置決め時の高精度を保証する。
【0023】
請求項17に記載の投影露光装置は、本発明による位置決め装置及び本発明による位置測定装置の有利な用途を構成する。
【0024】
本発明はまた、簡単な方法で位置を検出する際の高精度を助長する、測定対象物の位置検出を行う方法を開発する目的に更に基づくものである。
【0025】
この目的は請求項18の特徴を持つ方法によって達成される。本発明による方法の利点は、すでに記載した本発明による位置測定装置及び位置決め装置の利点に相当する。本発明による方法は、具体的には、請求項1〜17の特徴を使用して開発することもできる。
【0026】
本発明の更なる特徴、利点及び詳細は、以下の複数の例示的実施形態から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
投影露光装置1(詳細は図示せず)は位置決め装置2を備え、これは、位置決めされる測定対象物3、少なくとも1つのアクチュエータ4及び少なくとも1つの位置測定装置5を有する。
図1には2つのアクチュエータ4が例示的な方法で示されている。アクチュエータ4は基板6上に配置され、測定対象物3を基板6に対して変位させる。例えば
図1に示される様に、測定対象物3は、直線変位及び/又は傾斜及び/又は変形によって、投影露光装置の動作のために、ナノメートル範囲、具体的にはサブナノメートル範囲で正確に位置決めされる必要のあるプレートである。
【0029】
測定対象物3の位置xを検出するために、位置測定装置5は少なくとも1つの静電容量位置測定センサ7を備え、これは測定対象物3に関する位置測定信号P
Mを演算部8aに供給する。
図1に示す位置決め装置2では、測定対象物3のそれぞれの位置xを検出する静電容量位置測定センサ7は各アクチュエータ4に割り当てられる。演算部8は以下に詳述する測定電子機器8a及び信号処理部8bを備える。
【0030】
静電容量位置測定センサ7はどちらも同じ構成であるため、片方のみについて以下に説明する。位置測定センサ7は測定センサ筐体9を備え、その中の少なくとも一部に第1電極10が配置されている。第1電極10は信号線11によって演算部8に接続される。位置測定センサ7に属する第2電極12は測定対象物3の測定面として構成される。このため、測定対象物3には、第2電極12又は測定面として作用する、第1電極10に対向する被覆が設けられる。第2電極12は信号線13によって演算部8に接続される。
【0031】
静電容量位置測定センサ7の測定原理は一般的に知られている。静電容量位置測定センサ7はおおよそ平板コンデンサのように作用し、その静電容量Cは電極10,12の距離又は位置xに依存する。従って、静電容量位置測定センサ7は演算部8に、測定対象物3の位置xを特徴付ける位置測定信号P
Mを供給する。ここで位置測定信号P
Mは有効信号又は実際位置信号Pより構成され、干渉信号Sは干渉の影響によって位置信号Pに重畳される。これは
図1に例示的に示される。
【0032】
位置測定装置5は演算部8に基準測定信号R
Mを供給する少なくとも1つの静電容量基準測定センサ14を更に備える。基準測定センサ14によって演算部8に供給される基準測定信号R
Mは、有効信号又は基準信号R、及び干渉の影響によって重畳された干渉信号Sによって構成される。これは
図1に概略的に示される。
【0033】
位置決め装置2への要求事項に応じて、専用の基準測定センサ14を各位置測定センサ7に割り当ててもよいし、共通の基準測定センサ14を複数の位置測定センサ7に割り当ててもよい。演算部8は基準測定信号R
M及びそれぞれの位置測定信号P
Mから各位置測定センサ7の位置信号Pを算出するために使用される。
【0034】
複数の基準測定センサ14は同じ構造を有し、特に関連する位置測定センサ7とも同じ構造を有するので、基準測定センサ14のうちの1つのみを以下に説明する。静電容量基準測定センサ14は、少なくとも部分的に第1電極又は基準電極16が配置された測定センサ筐体15を備えている。基準測定センサ14に属する第2電極又は基準電極17は測定面又は基準測定面として構成され、第1基準電極16に対向して配置される。基準電極16及び基準測定面17の配置を以下に詳述する。第1基準電極16は信号線18によって演算部8に接続される。相応に、第2基準電極又は基準測定面17は信号線19によって演算部8に接続される。
【0035】
演算部8は、測定対象物3の位置xを検出するために、干渉信号Sが位置測定信号P
M及び関連する基準測定信号R
M並びに所定の基準信号Rから算出可能であり、これにより位置測定信号P
Mが補正されるか、あるいはそれに含まれる干渉信号Sが取り除かれるように構成される。この場合、位置測定信号P
Mの補正は、干渉信号Sが位置測定信号P
M及び関連する基準測定信号R
Mにほぼ同じ程度に含まれるという仮定に基づいて行われる。この仮定は、位置測定センサ7及び関連する基準測定センサ14の構成、取り付け条件並びに周囲条件がより密接に相互に対応するほど、より一層当てはまる。
【0036】
このため、位置測定センサ7及び関連する基準測定センサ14は、好適には、互いに最小の距離dをおいて配置され、取り付け及び/又は周囲条件が互いに大幅に一致するようにする。具体的には、距離dは最大で10mm、特に最大で8mm、特に最大で6mmである。更に、信号線11,13,18及び19の大部分は共通の信号ケーブル20を形成する。具体的には、信号線11,13,18及び19は、その全長Lの少なくとも70%以上、特に少なくとも80%以上、特に少なくとも90%以上が共通の信号ケーブル20を形成する。この概要は
図2に示される。
【0037】
基準電極16,17はその間に基準距離D
Rを定める。特に0.7≦D
M/ D
R≦1.3、特に、 0.8≦D
M / D
R≦1.3、特1.2≦D
M / D
R≦1.3及び特に0.9≦D
M / D
R≦1.1が、測定対象物3の平均位置D
Mの基準距離D
Rに対する比率に当てはまる。これによって基準電極16,17間の絶縁体の厚さが位置測定センサ7の電極10,12間の絶縁体の厚さにほぼ相当することが保証される。例えば、基準距離D
Rは固定され、すなわち、基準電極16及び17は互いに対して変位することができない。
【0038】
図3は、基準測定センサ14が支持体21上に配置された、位置測定装置5の第1の例示的実施形態を示している。例えば、支持体21は基板6上に配置される。支持体21の断面は中空状であり、周囲媒質が基準電極16,17の間に絶縁体として配置されるように、第1基準電極16及び第2基準電極17、又は基準測定面は支持体21の対向する内面22及び23に配置される。支持体21は、好適には、20℃における熱膨張率がαの材料より構成され、α≦10・10
-8 / K、特にα≦8・10
-8 / K、特にα≦6・10
-8 / Kが絶対値として当てはまる。具体的に、この材料はガラスセラミックである。例えば、このようなガラスセラミック材料はZERODUR又はULEの登録商標で知られている。
【0039】
例えば、第2電極12及び対応する第2基準電極17は、被覆によって生成される測定面として構成される。基準電極16,17は互いに対して変位可能でないため、基準距離D
R及び関連する基準信号Rは一定している。材料、及び機械的な短絡リンクとして支持体21を構成することにより、基準測定センサ14はドリフトに対して安定し、温度変化にほとんど反応しない。周囲媒質は基準測定センサ14及び位置測定センサ7において絶縁体として作用するので、湿度及び/又は気圧などの周囲条件は位置測定信号P
M及び基準測定信号R
M中に干渉信号Sとして検出することができ、次に演算部8で補償することができる。基準測定センサ14は一定した基準信号Rを生成するので、受動型センサとして作用する。
【0040】
図4は本発明による位置測定装置5の第2の例示的実施形態を示す。先述の例示的実施形態とは対照的に、支持体21はプレートとして構成され、基準電極16,17はその外面24,25に配置される。この場合、支持体21は基準測定センサ14用の絶縁体を形成する。支持体21は、先述の例示的実施形態に対応して、熱膨張率αの小さな材料から構成されることが好ましい。基準電極16,17が互いに対して変位可能でないこと、及び支持体21が絶縁体を形成することにより、周囲条件は基準測定信号R
M,に実質的に含まれず、従って具体的には、信号線11,13,18,19及び測定電子機器8aによる干渉の影響が検出されて補償される。その他の構成及び機能に関しては先述の例示的実施形態を参照されたい。
【0041】
図5は本発明による位置測定装置5の第3の例示的実施形態を示し、この形態において測定対象物3は支持体21を形成する。よって、測定対象物3は基準測定センサ14の基準電極16と17との間に配置され、これらの基準電極用の絶縁体を形成する。基準電極16,17は測定対象物3の外面24,25に配置される。具体的には、第2基準電極17は被覆によって生成された基準測定面として構成される。基準電極17又は基準測定面は同時に位置測定センサ7の第2電極12又は基準面として機能する。測定対象物3は、好適には、先述の例示的実施形態による熱膨張率αの小さな材料で構成される。位置測定装置5の構造はシンプルであり、場所をとらない。その他の構成及び機能に関しては先述の例示的実施形態を参照されたい。
【0042】
図6は本発明による位置測定装置5の第4の例示的実施形態を示す。基準測定センサ14が一定の基準距離D
Rを有する受動型センサとして作動する先述の例示的実施形態とは対照的に、基準測定センサ14は能動型センサ又は差動型センサとして作動する。よって、基準測定センサ14は、基準測定信号R
M又は基準信号Rが測定対象物3の位置xに応じて変化するように配置される。このため、基準測定センサ14は、測定対象物3の、位置測定センサ7とは反対側に配置される。第2基準電極17は測定対象物3の外面24に配置されるのに対し、第2電極12は外面25に配置される。第2電極12,17は被覆によって生成される測定面として構成される。第2電極12に対して、第1電極10は平均基準距離D
Rに相当する平均距離又は平均位置D
Mを有する。この配置により、距離D
MとD
Rの合計は一定となり、距離D
M又はD
Rのほぼ2倍に相当する。この配置のため、位置信号Pと基準信号Rの合計は一定でなくてはならないので、それから干渉信号Sを特定して取り除くことができる。これにより、具体的には、周囲条件による干渉の影響と、信号線11,13,18,19及び測定電子機器8aによる干渉の影響とを検出して補償することができる。その他の構成及び機能に関しては先述の例示的実施形態を参照されたい。
【0043】
本発明、具体的には各例示的実施形態による位置測定装置5の特徴は、少なくとも1つの基準測定センサ14によって干渉の影響を補償するために、所望通りに相互に組み合わせることができる。具体的には、本発明による位置測定装置5は、例えば、曲げ又は取り回しによる信号ケーブルの干渉の影響、例えば温度、湿度、及び/又は圧力などの周囲の影響、測定電子機器8a内のドリフト及びノイズによる干渉の影響、コモンモード干渉、位置測定センサ7の耐用年数に亘る変化によるドリフト、及び/又は測定電子機器8aの加熱による干渉の影響の補償を可能にする。この結果、本発明による位置測定装置5は干渉の影響に対してよりロバストになり、位置を検出する際の精度が高まる。具体的には、位置測定装置5は起動後すぐに使用することができる。好適には、少なくとも1つの基準測定センサ14は、構成及び取り付けについて、関連する位置測定センサ7に対応する。具体的には、測定センサ7,14の測定電子機器8a、配線、プラグ、取り付け、実装及び構成は適切に選択されるべきである。干渉の影響の補償又は位置信号Pの算出はリアルタイム又は離散時間間隔で行うことができる。
【0044】
算出された位置信号Pは信号処理部8bによって所望の位置と比較される。信号処理部8b内に実現される位置コントローラはシステム偏差から動作信号Uを生成し、これによって関連するアクチュエータ4は駆動されて、測定対象物3の位置xを所望の位置に調整する。ナノメートル範囲又はサブナノメートル範囲において所望の位置決め精度を達成するために、アクチュエータ4はそれに見合った位置決め精度を実現させなければならない。具体的には、アクチュエータ4の位置決め精度は少なくとも1.0nm、特に少なくとも0.5nm、及び特に少なくとも0.1nmである。これは位置測定装置5の測定精度にも当てはまる。静電容量位置測定センサ7は、測定対象物3の位置を直接的に測定、又は関連するアクチュエータ4の運動中の位置を間接的に測定することができ、これらは同等に測定対象物3の位置の検出を可能にする。
【0045】
少なくとも1つの静電容量位置測定センサ7及び/又は少なくとも1つの静電容量基準測定センサ14の種々の例示的実施形態を以下に説明する。以下の説明は位置測定センサ7及び基準測定センサ14に等しく適用されるので、種々の例示的実施形態は、一般に静電容量測定センサ7,14に基づいて説明する。更に、測定信号P
M,R
Mをそれぞれ信号処理部8bに供給する測定電子機器8aは測定センサ7,14の一部と考える。
【0046】
図7は静電容量測定センサ7,14の従来の基本的な構成を示す。取り付けスペースが限られているため、そして望ましくない熱の流入を回避するために、測定電子機器8aは測定センサ筐体9、15及びそれに含まれる第1電極10,16並びに第2電極12、17から離して配置される。このため、測定電子機器8aは以下に測定ライン11,18と称する信号線によって測定電子機器8aに接続され、第2電極12は以下に供給ライン13、19と称する信号線によって測定電子機器8aに接続される。供給ライン13,19はAC電圧源26によって基準電位27に接続される。AC電圧源26は測定センサ7,14の静電容量Cに応じて測定信号を生成し、測定信号は測定ライン11,18を介して測定電子機器8aに送信される。測定信号はトランジスタ28によって前増幅され、増幅回路29によって更に増幅されて生成される。トランジスタ28の動作点はオーム抵抗器R
1,R
2によって設定される。オーム抵抗器R
3はトランジスタ28の入力側を基準電位27に接続する。増幅回路29の下流には信号測定器30及び信号評価器31が配置され、これらは例えば電極10,12又は16,17の静電容量C及び関連する位置又は距離xなどの、増幅された測定信号に関連する測定変数を検出する。検出された測定変数は信号処理部8bに供給され、この処理部はこれらの変数を例えば位置制御のために使用する。信号評価器31はAC電圧源26又は励磁信号を制御するコントローラ32と信号接続されている。測定電子機器8aは要求事項に応じてアナログ構成及び/又はデジタル構成とすることができる。従って、信号処理部8bは要求事項に応じてアナログ構成及び/又はデジタル構成とすることができる。
【0047】
図8は本発明による静電容量測定センサ7,14の第1の例示的実施形態を示す。本発明によれば、測定信号を増幅又は前増幅するトランジスタ28は測定センサ筐体9,15内の第1電極10,16の近傍に配置される。従って、トランジスタ28は測定センサ筐体9,15に組み込まれている。トランジスタ28は電界効果トランジスタとして構成され、ゲート端子33、ソース端子34、ドレイン端子35及びバルク端子36を備える。ゲート端子33は接続ライン37を介して第1電極10,16に接続される。接続ライン37は測定センサ筐体9,15内に配置され、長さは100mm未満、特に10mm未満、特に1mm未満である。ドレイン端子35は測定ライン11,18によって、測定電子機器8a及びその中に構成された増幅回路29に接続される。ソース端子34は測定センサ筐体9,15内でバルク端子36と短絡して、別の測定ライン11’,18’によって測定電子機器8aに接続される。測定電子機器8a内では、測定ライン11’,18’はオーム抵抗器R
2を介して基準電位27に接続される。先述の例示的実施形態によれば、オーム抵抗器R
1,R
2は測定センサ筐体9、15内に配置されているトランジスタ28の動作点を定める。先述の例示的実施形態によれば、第2電極12,17はAC電圧源26及び基準電位27に供給ライン13,19を介して接続される。トランジスタ28は測定センサ筐体9,15内、すなわち第1電極10,16の近傍にある接続ライン37に属する測定信号を既に前増幅しており、このため、測定ライン11,18を介して送信される測定信号P
M,R
Mは、
図7による例示的実施形態と比べて数倍増幅される。具体的には、測定信号P
M,R
Mは少なくとも10倍、特に少なくとも20倍、特に少なくとも50倍増幅される。この結果、例えば測定ライン11,18によって干渉信号Sとして測定信号P
M, R
M中に結合される干渉の影響は大幅に減少する。換言すれば、上記の倍率だけ信号対雑音比が向上する。向上した信号対雑音比によって測定精度が高まり、これをより正確な位置測定若しくは位置検出のために、及び/又は、信号ケーブル20及び/又は測定電子機器8aに対する技術的要求事項の削減のために利用することができる。信号線11,11’及び13並びに18,18’及び19は、好適には、信号ケーブル20内に組み合わせられる。
【0048】
前増幅された測定信号P
M,R
Mは増幅回路29で再度増幅され、信号評価器31でAC電圧源26からの励磁信号と比較され、その結果、所望の測定変数が確立される。測定センサ7,14及び位置測定装置5の他の構成及び機能に関しては、先述の例示的実施形態を参照されたい。
【0049】
図9は本発明による静電容量測定センサ7,14の第2の例示的実施形態である。先述の例示的実施形態とは対照的に、接続ライン37はオーム抵抗器R
3を介して基準電位27に接続される。オーム抵抗器R
3は測定センサ筐体9,15内に配置される。原則的に、基準電位27は許容範囲内で任意に固定される既知の電位である。例えば、基準電位27は接地電位である。接続ライン37の電位はオーム抵抗器R
3によって定められる。このため大きな抵抗、特に少なくとも10 kW、特に少なくとも100 kW、特に少なくとも1000kWの抵抗器R
3が選択される。基準電位27は、向上した信号対雑音比を無効にする干渉が基準電位27を介して結合されないよう、測定センサ筐体9,15のすぐ近傍では十分に低い干渉を伴って利用可能である必要がある。例えば、導電性の良い金属コンポーネントにオーム抵抗器R
3を接続することにより、基準電位27として接地電位を選択することができる。測定センサ7,14及び位置測定装置5の別の構成及び別の機能に関しては、先述の例示的実施形態を参照されたい。
【0050】
図10は本発明による静電容量測定センサ7,14の第3の例示的実施形態を示す。先述の例示的実施形態とは対照的に、ソース端子34は基準電位27に接続される。このため、測定ライン11’,18’及びオーム抵抗器R
2は省いてもよい。測定センサ7,14及び位置測定装置5の別の構成及び別の機能に関しては、先述の例示的実施形態を参照されたい。
【0051】
図11は本発明による静電容量測定センサ7,14の第4の例示的実施形態を示す。先述の例示的実施形態とは対照的に、ソース端子34及びオーム抵抗器R
3は基準電位27に接続されるノードを形成する。基準電位27に接続させることによって測定ライン11’,18’及びオーム抵抗器R
2を省くことができる。更に、接続ライン37は所定の電位を有する。測定センサ7,14及び位置測定装置5の別の構成及び別の機能に関しては、先述の例示的実施形態を参照されたい。
【0052】
図12は本発明による静電容量測定センサ7,14の第5の例示的実施形態を示す。先述の例示的実施形態とは対照的に、接続ライン37は測定電子機器8aにオーム抵抗器R
3及び更に信号線11'',18”を介して接続される。測定電子機器8aにおいて、信号線11'',18”はDC電圧源38によって基準電位27に接続される。信号線11'',18”の電位はDC電圧源38によって自由に選択することができ、このため、トランジスタ28を測定に有利な動作状態に静的に保持することができる。具体的には、トランジスタ28の閾値電圧はこのように静的に克服するのが有利である。測定センサ7,14及び位置測定装置5の別の構成及び別の機能に関しては、先述の例示的実施形態を参照されたい。
【0053】
図13は本発明による静電容量測定センサ7,14の第6の例示的実施形態を示す。先述の例示的実施形態とは対照的に、ソース端子34及びオーム抵抗器R
3はノードを形成し、これは信号線11'',18”及びDC電圧源38を介して基準電位27に接続される。測定センサ7,14及び位置測定装置5の別の構成及び別の機能に関しては、先述の例示的実施形態を参照されたい。
【0054】
図14は本発明による静電容量測定センサ7,14の第7の例示的実施形態を示す。第1電極10,16及びトランジスタ28が個別のコンポーネントを形成している先述の例示的実施形態とは対照的に、第1電極10,16及び電界効果トランジスタ28は集積回路として構成される。このように、第1電極10,16及び電界効果トランジスタ28はマイクロエレクトロニクス構成の手法を使って集積回路内に実装される。集積するに当たり、電界効果トランジスタ28自体は、すなわちゲート端子33又はゲート電極とバルク端子36又はバルク電極との間にコンデンサをすでに形成しているという事実を利用する。具体的には、このコンデンサは
図14でゲート端子33の下に示されるチャネル39によって形成される。従って、本例示的実施形態において電界効果トランジスタ28を単なる純粋な信号増幅器として考えるのではなく、測定センサ7,14の一体化コンポーネントとして考えるべきである、というのも測定される電界は電界効果トランジスタ28のチャネル39に直接作用するからである。具体的に、有利には、第1電極10,16とゲート端子33との間にある、潜在的に干渉に対して敏感な接続ライン37が1μm未満という非常に短い長さを有する。従って、被測定電界は、この電界の増幅自体への影響によって測定され、このため干渉に対する感度は最小限に低減される。更に、第1電極10,16及び電界効果トランジスタ28は1つのユニットにまとめられるので、必要とされる取り付けスペースが大幅に減少される。原則として、第1電極10,16と電界効果トランジスタ28との集積は上述の各例示的実施形態に適用することができる。それによって個々の回路図は変化せず、レイアウト又は集積構造のみが個別の設計と異なる。測定センサ7,14及び位置測定装置5の別の構成及び別の機能に関しては、先述の例示的実施形態を参照されたい。
【0055】
本発明による静電容量測定センサ7,14は、取り付けスペース、熱の発生、及び達成される測定精度といった制限を加える影響変数どうしの間の比較的良好な妥協を促進する。本発明による静電容量測定センサ7,14によれば、通常使用可能なスペースが悪影響されることなく、及び/又はトランジスタ28による追加的な熱の発生が不利になることなく、測定精度を大幅に向上させることができる。得られた測定精度は、測定電子機器8a及び/又は信号ケーブル20を簡素化するために、選択的に使用することができる。トランジスタ28によって測定信号はその発生場所で増幅されるため、増幅された測定信号P
M,R
Mが距離をおいて配置された測定電子機器8aに送信される。このため、信号対雑音比は大幅に向上する。
【0056】
原則として、記載する静電容量測定センサ7,14は位置又は距離の測定に限定されず、例えば充填レベルや圧力などの機械的変数の測定にも使用することができる。
【0057】
記載する位置測定装置5又は位置決め装置2では、先ず、位置検出時の高精度が、位置測定信号P
Mから干渉の影響が取り除かれるように、基準測定センサ14を少なくとも1つの位置測定センサ7に割り当てることによって達成される。次に、位置検出時の精度の向上が、位置測定信号 P
M又は基準測定信号R
Mが測定電子機器8aに送信される前に増幅されるよう、すなわち、向上された信号対雑音比が得られるように、個々の測定センサ筐体9,15内にトランジスタ28を組み込むことによって得られる。これらの方法は別々に行ってもよいし、一緒に行ってもよい。例えば、位置測定センサ7及び関連する基準測定センサ14はそれぞれ、
図7に例示する様に、従来の構成とすることができる。この場合、精度の向上は干渉の影響を取り除くことによってのみ得られる。更に、例えばそれぞれの位置測定センサ7に基準測定センサ14を割り当てることはできないが、
図8〜
図14に例示するように、位置測定センサ7は測定センサ筐体9に組み込まれたトランジスタ28を備えることができる。この場合、精度の向上は信号対雑音比の向上によってのみ得られる。しかしながら、理想的な精度は両方の方法を組み合わせることによって得られ、すなわち、関連する基準測定センサ14をそれぞれの位置測定センサ7に割り当てて干渉の影響を除去すること、及び、それぞれの位置測定センサ7と関連する基準測定センサ14との両方をそれぞれの測定センサ筐体9、15に組み込まれたトランジスタ28と共に構成して信号対雑音比を向上させることによって得られる。