(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記所定の点を基準として、前記基体上に、前記半導体レーザ素子からの光を波長変換する波長変換部材を位置決めして実装する請求項1又は2に記載の発光装置の製造方法。
平面視において、前記所定の点を基準として、前記基体上に、前記半導体レーザ素子の光を反射する反射部材を位置決めして実装する請求項1から3のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
前記半導体レーザ素子を実装した後、前記半導体レーザ素子を発振させ、前記半導体レーザ素子が出射するレーザ光の光路上に、光学部材を配置し、前記レーザ光が該光学部材を透過して所定の位置に到達するように、前記光学部材を位置決めして実装する請求項1から4のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
前記第1凹部及び第2凹部の中心又は重心をそれぞれ特定し、前記第1凹部の中心又は重心と前記第2凹部の中心又は重心とを結ぶ線を用いて前記所定の点を決定する請求項1から6のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明を以下に限定するものではない。また、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。さらに、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、重複した説明は適宜省略する。
【0009】
実施の形態1:発光装置の製造方法
この実施形態の発光装置の製造方法は、
半導体レーザ素子と、
図1に示すように、上方に開口した第1凹部11及び第2凹部12を有する基体16とを準備し、
平面視において、第1凹部11及び第2凹部12を結ぶ線(
図1中、x−x’で表される一点鎖線)上の所定の点を基準として、基体16上に、半導体レーザ素子を位置決めして、実装することを含む。
【0010】
(半導体レーザ素子の準備)
半導体レーザ素子としては、例えば、窒化物半導体(主として一般式In
xAl
yGa
1-x-yN、0≦x、0≦y、x+y≦1)で表される)、InAlGaAs系半導体、InAlGaP系半導体などの半導体層を備える素子が挙げられる。これらの材料及びその組成等を調整することにより、半導体レーザ素子の発振波長を調整することができる。例えば、400〜530nmの範囲に発振波長を有する半導体レーザ素子を用いることができる。YAG系蛍光体と組み合わせる場合は、発振波長が420〜490nmの範囲にある半導体レーザ素子が好ましい。
【0011】
(基体16の準備)
基体16は、半導体レーザ素子を実装することができるものである。例えば、基体16は、金属、樹脂、ガラス、セラミックによって形成することができる。窒化物半導体層を備える半導体レーザ素子を用いる場合は、樹脂を用いると集塵しやすいため、樹脂以外の材料で基体16を形成することが好ましい。特に、基体16の耐食性及び放熱性等を考慮して、セラミックを含んで形成されていることが好ましく、セラミックによって形成された部位を主に有していることがより好ましい。セラミックとしては、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムが挙げられ、なかでも、放熱性と耐食性に優れているため、窒化アルミニウムが好ましい。基体16の平面形状は、略円形、略楕円形、略多角形等の種々の形状が挙げられる。例えば、基体16の平面形状は略矩形状である。なお、平面視とは、上面16aを上側とし、上面16aと反対側にある底面を下側としたときに、上方から、すなわち上面16aに対して略垂直な方向から観察することを指す。また、平面形状とは、平面視における外縁形状を指す。
【0012】
基体16は、上方に開口した第1凹部11及び第2凹部12を有している。第1凹部11及び第2凹部12は、例えば、基体16の上面16aと連続している。ここで、基体16の上面16aとは、基体16が有する複数の面のなかで最も上方に位置する面を指す。第1凹部11及び第2凹部12は、発光装置の組み立ての際に、基体16に半導体レーザ素子を搭載するための位置合わせのマークとして用いられ、また、発光装置をレーザモジュールとして組み立てる場合に、発光装置以外の部材との位置合わせに利用することができる。
【0013】
この第1凹部11及び第2凹部12は、平面視において基体16の対向する2つの辺に、それぞれ近接して設けられていることが好ましい。また、基体16がセラミックによって形成されたセラミック部を有している場合は、第1凹部11及び第2凹部12はセラミック部に配置される。後述するように、基体16を貫通していない第1凹部11及び第2凹部12を設けることで、複数のセラミック層を積層することによる孔のずれを小さくすることができる。
【0014】
第1凹部11及び第2凹部12は、平面形状が、例えば、略円形、略楕円形、略多角形等の種々の形状であってよい。第1凹部11及び第2凹部12は、後述する位置合わせ用の穴として用いる場合には、その平面形状が略円形又は略長円形の形状であることが好ましい。これにより、位置合わせ用の部材の回転ズレが生じても第1凹部11及び第2凹部12に挿入することができる。第1凹部11と第2凹部12とは、同じ平面形状を有していてもよいが、異なる平面形状であることが好ましい。例えば、平面視において、第1凹部11は、第2凹部12よりも長い形状、特に、第1凹部11と第2凹部12とを結ぶ線(x−x’線)に沿う方向において、第2凹部12よりも長い形状であることが好ましい。具体的には、第2凹部12が略円形の平面形状を有し、第1凹部11が略楕円形又は略長円形の平面形状を有していることが好ましい。このようにすれば、後述する位置決め部材の先端を半球状の曲面形状とすることで、位置決め部材と第1凹部11及び第2凹部12との当接を安定して行うことができる。さらに、第1凹部11の平面形状を略楕円形又は略長円形とすることで、寸法公差に起因する寸法ばらつきにより第1凹部11と第2凹部12との間の距離が変わった場合でも、各凹部に位置決め部材をより確実に挿入することができる。
【0015】
また、第1凹部11及び第2凹部12は、基体16を貫通していないものが好ましい。上述したように、基体が主としてセラミックを含んで形成される場合、セラミック層のグリーンシートを複数積層し、焼成して製造される。よって、そのグリーンシートの積層構造の表面層側の一部の層(例えば、1層又は2層)にのみ孔を開けて積層構造とすれば、複数層による孔のずれを小さくすることができる。その結果、第1凹部11及び第2凹部12を精度良く形成することができ、第1凹部11及び第2凹部12の画像認識が容易かつ高精度にできるため、発光装置における発光点の位置決め等を精度良く行うことができる。さらに、第1凹部11及び第2凹部12を、貫通孔でなく、凹部とすることにより、基体16の底面積の減少を回避することができる。基体16の底面を放熱体に接続することで、半導体レーザ素子等の熱を放熱させることができる。したがって、基体16の底面の面積の減少を回避することにより、放熱に寄与する面積をより大きく確保することができ、その結果、放熱性の向上を図ることができる。第1凹部11及び第2凹部12の深さは、例えば、0.2mm以上とすることができる。また、第1凹部11及び第2凹部12の深さは、少なくとも貫通孔とならない程度であり、例えば第2凹部12の最大幅以下とすることができ、当該最大幅の半分以下としてもよい。
【0016】
第1凹部11及び第2凹部12は、平面視におけるそれぞれの周囲に、それぞれ第1金属層21及び第2金属層22を有することが好ましい。第1金属層21は第1凹部11に隣接し、第2金属層22は第2凹部12に隣接する。これらの金属層によって、発光装置の製造工程における第1凹部11及び第2凹部12の画像認識が容易となる。これは、基体16のセラミック部等と異なる色味を有する第1金属層21及び第2金属層22を設けることで、コントラストが大きくなるためである。第1凹部11及び第2凹部12にそれぞれ隣接する第1金属層21及び第2金属層22を設けることで、第1凹部11及び第2凹部12のそれぞれの外縁と略等しい位置に第1金属層21及び第2金属層22のそれぞれの内縁が位置することになる。これにより、第1凹部11及び第2凹部12の内外でコントラストが大きくなるため、画像認識が容易となる。したがって、この場合は、まず画像認識により第1金属層21の内縁及び第2金属層22の内縁を特定し、特定した第1金属層21の内縁及び第2金属層22の内縁を用いて第1凹部11及び第2凹部12を結ぶ線を決定することができる。第1金属層21及び第2金属層22は、例えば、銅、金、銀、アルミニウム、チタン、白金、ニッケル、パラジウム、タングステン、モリブデン又はその合金の1以上を用いることによって形成することができる。第1金属層21及び第2金属層22の最上層には例えば主として金を用いる。これにより、基体16のセラミック部とのコントラストを大きくすることができる。基体16では、第1金属層21及び第2金属層22は、基体16の上面16aに形成されている。
【0017】
基体16は、さらに、第1凹部11及び第2凹部12の間に上方に開口した第3凹部13を有することができる。第3凹部13は、例えば、底面13a、接続面13b、部材載置面13c、突出部13d及び側面13eを有する。第3凹部13には半導体レーザ素子等を載置するため、第3凹部13の開口は、通常、第1凹部11及び第2凹部12よりも大きい。
【0018】
底面13aは、半導体レーザ素子等を載置するための面であり、第3凹部13の最も深い位置にある。底面13aは、基体16の上面16aと平行であることが好ましい。
接続面13bは、底面13aよりも上方であって、その上面に配線層23が配置され、半導体レーザ素子と電気的な接続を採るために利用される面である。接続面13bは、平面視において、底面13aの両側に位置していることが好ましい。これにより、アノード側の配線層23とカソード側の配線層23をそれぞれ半導体レーザ素子に近接した位置に配置することができるため、半導体レーザ素子と配線層23をワイヤで容易に接続することができる。また、接続面13bは後述する部材載置面13cよりも下方に位置させることができる。これにより、平面視において部材載置面13cに配置される部材と重複する位置にワイヤを配置しても、ワイヤが当該部材に接触する可能性を低減することができる。接続面13bは、底面13aとほぼ平行な面であることが好ましい。配線層23は、例えば、銅、金、銀、アルミニウム、チタン、白金、ニッケル、パラジウム、タングステン、モリブデン又はその合金の1以上を用いることによって形成することができる。配線層23は、上述した第1金属層21及び第2金属層22と同じ材料で形成することができる。これにより、配線層23を第1金属層21及び第2金属層22と同様の工程で形成することができる。
接続面13bは、底面13aに半導体レーザ素子を載置した際に、半導体レーザ素子の上面の高さと同程度の高さとすることが好ましい。これにより、ワイヤ長さを短くすることができるので、ワイヤの電気抵抗を小さくすることができる。また、ワイヤによる半導体レーザ素子との接続が容易になる。
【0019】
部材載置面13cは、接続面13bよりも上方であって、後述するような半導体レーザ素子からの光を反射、波長変換及び/又は拡散等させるための部材を設ける場合に、その部材を載置するために利用される面である。部材載置面13cは、底面13aと平行であることが好ましい。
【0020】
突出部13dは、任意に配置され、接続面13b及び部材載置面13cよりも上方であって、部材載置面13cに隣接して、第3凹部13の内側に突出する部位である。突出部13dは、レーザ光の反射、波長変換及び/又は拡散等させる部材を設ける場合に、その部材が部材載置面13cから剥離したとしても位置ズレをある程度で止めるためのストッパーとして利用することができる。突出部13dは、当該部材の位置合わせ又は固定のために利用してもよい。
底面13a、接続面13b、部材載置面13c及び突出部13dは、平面視において、それぞれ異なる領域に配置されることが好ましい。
【0021】
側面13eは、底面13a、接続面13b及び突出部13dから、基体16の上面16aに繋がる面である。第3凹部13の外周における基体16の上面16aの一部は、後述する蓋体17を支持し、半導体レーザ素子を封止するために利用される。
第3凹部13の平面形状は、基体16の平面形状が略四角形である場合、例えば、略四角形又はその角が丸められた形状等とする。このとき、底面13a、接続面13b及び部材載置面13cの平面視形状は、略多角形又はその角が丸められた形状とすることができる。
【0022】
基体16は、外部電極24、25を有する。外部電極24、25の一方がアノード電極であり、他方がカソード電極である。外部電極24、25はそれぞれ、近い側の配線層23と、基体16内部に設けられた内層配線を介して電気的に接続されていてよい。
基体16は、さらに、外部電極24、25を配置するための第4凹部14及び第5凹部15を有していてもよい。第4凹部14及び第5凹部15は、それぞれ第1凹部11及び第2凹部12の近傍に配置することが好ましく、それぞれ第1凹部11及び第2凹部12の両側に配置することがより好ましい。これにより、外部電極24、25と接続面13bの上面の配線層23との間の距離を短縮することができ、これらを接続する内層配線の長さを短くすることができるため、配線抵抗を低減することができる。
【0023】
第4凹部14及び第5凹部15は、第3凹部13とは独立して配置されていることが好ましい。これにより、第4凹部14及び第5凹部15と第3凹部13との間の領域に、蓋体17を接合することができるため、蓋体17の実装ずれが生じた場合でも、外部電極24、25と蓋体17とが接触しにくくなる。したがって、後述するように、蓋体17に含まれる保持部材が導電性を有する場合であっても、保持部材を介した外部電極24と外部電極25との短絡を防止することができる。
第4凹部14及び第5凹部15の底面は、基体の上面よりも低い。例えば、第4凹部14及び第5凹部15の底面は、接続面13bよりも上方に配置する。
【0024】
第4凹部14及び第5凹部15の底面には、当該底面内に収まる大きさで、外部電極24、25が形成されている。外部電極24、25は、例えば、銅、金、銀、アルミニウム、チタン、白金、ニッケル、パラジウム、タングステン、モリブデン又はその合金の1以上を用いることによって形成することができる。配線層23と異なる材料によって形成されていてもよいが、同じ材料であれば同様の工程で形成することができ、好ましい。なお、外部電極24、25は、第1凹部11及び第2凹部12の底面にそれぞれ形成することもできる。この場合は、後述する位置決め部材を、給電部材を兼ねるものとし、位置決め部材を外部電極24、25に接触させる。
【0025】
このように、基体16の上面側に外部電極24、25を配置することにより、基体16の下面に電極を設ける必要がない。そのため、基体16の下面の略全部を放熱面とすることができ、放熱性を向上させることができる。このとき、基体16の下面は、ヒートシンク等の放熱体に直接又はグリス等を介して熱的に接続させればよい。
なお、この基体16では、第3凹部13を設けるため、その厚みが厚くなりやすい。つまり、第3凹部13が形成可能な程度の基体16の厚みを確保する必要があるため、基体16の厚みは増大しやすい。例えば、基体16はセラミックのグリーンシートを5〜10枚程度重ねて形成する。このため、第1凹部11、第2凹部12を貫通孔でなく凹部とすることによる利点が大きい。凹部であれば、複数層による孔のずれを小さくすることができるためである。
【0026】
(半導体レーザ素子の実装)
半導体レーザ素子及び基体16を準備した後、
図2Dに示すように、平面視において、第1凹部11及び第2凹部12を結ぶ線(x−x’線)上の所定の点を基準として、基体16上に、半導体レーザ素子を位置決めして実装する。第1凹部11及び第2凹部12のいずれか一方のみを用いるのではなく、第1凹部11及び第2凹部12の両方を用いて、これらを結ぶ線(x−x’線)上の所定の点を基準点として、半導体レーザ素子等を配置するための位置情報(例えば、X方向及びY方向で表される平面座標)を定めることができる。
【0027】
そのために、まず、設計図等において、所定の点(基準点)と、半導体レーザ素子等の実装位置をXY座標で予め設定しておく。例えば、第1凹部11及び第2凹部12を結ぶx−x’線と垂直な方向をX方向とし、平行な方向をY方向とし、基準点と半導体レーザ素子等の実装位置とをそれぞれXY座標で設定しておく。基準点のXY座標は、例えば(0,0)とする。
次に、実際に形成した基体16において、平面視で、第1凹部11及び第2凹部12の形状を認識する。発光装置の製造工程において、通常、このような形状は、カメラで撮影した画像を、画像認識プログラム等を用いて自動的に処理することにより、特定することができる。第1凹部11及び第2凹部12の形状を画像認識によって特定した後、これらの外縁から重心(円形の場合は中心)をそれぞれ決定し、それらの重心を結ぶ線を想定する。この線を、第1凹部11及び第2凹部12を結ぶ線とすることが好ましい。これによって、より高精度で基準点を決定することができる。すなわち、第1凹部11及び第2凹部12の外縁は、設計図の形状から若干ずれた形状となる場合があり、このような場合、第1凹部11及び第2凹部12の外縁を結ぶ線では、設計図における当該線からのズレが大きくなりやすい。しかし、このような場合であっても、外縁から決定される重心は、設計図からのズレが小さくなる傾向にある。したがって、外縁から決定される重心同士を結ぶ線を用いることで、より高精度で基準点を決定することが可能である。
基準点となる所定の点は、例えば、第1凹部11及び第2凹部12を結ぶ線の中点Mとする。中点を求める計算式はダイボンディング装置等が標準で備えている場合があるため、このような装置を用いることで、新しい計算式を追加する必要なく、中点、すなわち所定の点を決定することができる。
【0028】
次いで、所定の点を基準として、予め設定したXY座標を実際の基体16に当てはめる。これにより、実際の基体16における半導体レーザ素子等の実装位置が特定される。なお、実際の基体16におけるX方向及びY方向は、例えば、第1凹部11及び第2凹部12を結ぶx−x’線と垂直な方向をX方向とし、平行な方向をY方向として特定すればよい。その後、実際の基体16に当てはめられたXY座標に従って、半導体レーザ素子等を、基体16の実装位置に配置する。
【0029】
基準となる所定の点の位置に発光点を設定してもよいが、所定の点とは異なる位置に発光点を設定することも可能である。すなわち、所定の点から所定の距離だけ離れた位置(第2の所定の点)に発光点を設定することができる。第2の所定の点は、例えば、所定の点から第1凹部11及び第2凹部12を結ぶ線に垂直に伸びる線上に位置する点とする。このとき、所定の点が中点であれば、第2の所定の点は、第1凹部11及び第2凹部12を結ぶ線の垂直二等分線上に位置する点である。このような場合も、所定の点と発光点が一致する場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、得られたモジュールにおいて、第1凹部11及び第2凹部12を手掛かりとして第2の所定の点を特定することが可能であるため、発光装置を発光させなくても、第2の所定の点、すなわち発光点を高精度で推定することができる。ここで、光の出射点、発光点とは、光取り出し側から平面視したときに、発光装置から光が最大強度で出射される点又はその近傍の領域を意味する。
【0030】
平面視において、光の出射点から離れた位置に半導体レーザ素子を配置し、光の出射点には、半導体レーザ素子からの光を方向転換させる光出射部材を載置することができる。そして、この光出射部材に向けて、半導体レーザ素子から光を出射し、その光が光出射部材で反射されて、発光点として、光出射部材から光が出射されるように、半導体レーザ素子等を位置決め及び実装することが好ましい。このような配置によれば、上面を光取り出し面とする発光装置において、端面発光の半導体レーザ素子の主面が基体16の下面に対して略平行になるように実装することができる。これにより、半導体レーザ素子の放熱効率を向上させることができ、より大電流を流すことが可能な高出力レーザ素子とすることができる。
【0031】
このような光出射部材は、例えば、半導体レーザ素子からの光を波長変換する波長変換部材であってもよいし、半導体レーザ素子からの光を散乱させる光拡散材を含む透光性部材であってもよいし、半導体レーザ素子からの光を反射させる反射部材であってもよいし、半導体レーザ素子からの光を屈曲させる部材であってもよい。特に、光出射部材としては、波長変換部材及び/又は反射部材であることが好ましい。光出射部材として波長変換部材を用いることにより、半導体レーザ素子が出射するレーザ光とは異なる色の光を発光装置の発光とすることができる。また、光出射部材として反射部材を用いることにより、半導体レーザ素子からの光を効率的に方向転換させることができる。そして、基準となる所定の点に基づいて、基体16に対して上方に光を出射させるように、このような光出射部材を載置することが好ましい。さらには、基体16の上面16aを含む面に対して略垂直な方向に光を出射させるように、半導体レーザ素子及び光出射部材を位置決め及び実装することがより好ましい。
【0032】
半導体レーザ素子は、基体16上、特に、基体16の第3凹部13内に収まるように底面13a上に実装されることが好ましい。これにより、蓋体17を基体16に接合させて半導体レーザ素子を気密封止し易い。また、半導体レーザ素子を実装する場合、半導体レーザ素子を第3凹部13の底面13aに直接配置してもよいが、底面13aにサブマウント18を介して半導体レーザ素子を配置することが好ましい。これにより、半導体レーザ素子の光出射面を底面13aから離すことができ、半導体レーザ素子からの光が底面13aに当たるのを抑制することができる。サブマウント18としては、例えば、炭化珪素、窒化アルミニウムを用いることができる。半導体レーザ素子は、出射した光が底面13aに対して実質的に平行な方向に進行するように、つまり出射するレーザ光の光軸が底面13aに対して実質的に平行となるように、実装することが好ましい。例えば、半導体レーザ素子は、端面発光型であり、半導体レーザ素子が有する活性層の主面が底面13aに対して実質的に平行となるように実装する。
【0033】
半導体レーザ素子を基体16上、例えば、第3凹部13の底面13aに実装した後、さらに、第3凹部13の底面13aに、光学部材を位置決めして、実装することが好ましい。光学部材とは、例えば、レンズ19、プリズム等が挙げられる。
ここでのレンズ19の位置決めは、上述した所定の点を基準として行ってもよいが、実際に基体16上に実装した半導体レーザ素子を発振させて、レンズ19を位置決めして、実装することが好ましい。すなわち、実際に半導体レーザ素子から出射したレーザ光の光路上にレンズ19を仮置きし、レンズ19を通過したレーザ光の位置を確認しながらレンズ19の位置を調整し、前記レーザ光が該光学部材を透過して所定の位置に到達するように、実装位置を特定する。このような実装位置とは、例えば、レンズ19を透過した光が、光出射部材を介して、平面視において所定の点から出射するような位置である。そして、特定した実装位置にレンズ19を実装すればよい。
【0034】
このように、第1凹部11及び第2凹部12を結ぶ線上の所定の点を基準として、基体16上に半導体レーザ素子を位置決めして実装することにより、基体16等の外形による半導体レーザ素子を位置決めよりも、高精度に実装することができる。
特に、後述する、モジュールの製造工程において各部品を固定する際に、同じ第1凹部11及び第2凹部12を基準とすれば、モジュールにおける発光点を正確に特定することができ、有利である。これは、半導体レーザ素子等を実装する際の基準点の特定に用いるものと、発光装置を別部材に固定する際の位置合わせに用いるものとが、共に同じ第1凹部11及び第2凹部12であるので、位置ずれが生じ難いためである。
例えば、平面視における基体16の中央と発光点は、一致させるか又は近接させる。平面視において基体16の中央から離れた位置に発光点を配置する場合は、発光装置の発光点は、後述するレーザモジュールを製造する場合に、アタッチメントに遮られない位置に配置する。
【0035】
特に、セラミックパッケージは、配線のデザインの自由度が高く、電極を上側に配置して下面全部を放熱面とすることができるなどの、設計面における自由度が高いなどの利点がある。一方で、複数のセラミック層(グリーンシート)を積層し、さらに焼成してパッケージを製造するため、その製造の際、層間の積層ずれ、焼成でのサイズの収縮等が生じることがあり、パッケージごとに、その外形が変動するという課題もある。本実施の形態であれば、このような外形の変動にかかわらず、第1凹部11及び第2凹部12を、発光点の位置決めに利用することにより、セラミックパッケージを用いる場合においても、高精度の位置決めをすることが可能となる。
【0036】
実施の形態2:発光装置
この実施の形態の発光装置30は、
図3A及び3Bに示すように、
上述した基体16と、この基体16に載置された半導体レーザ素子20と、
半導体レーザ素子20を封止するように基体16に接合され、半導体レーザ素子20からの光を上方に透過させる蓋体17とを備える。
発光装置30は、さらに、光出射部材(例えば、反射部材31、波長変換部材32)、レンズ19を備える。
【0037】
基体16は、上述したように、平面視において、その外形は略四角形であり、両端に第1凹部11及び第2凹部12を有する。そして、第1凹部11及び第2凹部12を結ぶ線(x−x’線)の所定の点、好ましくは中点Mが、発光点として構成されている。
基体16の第3凹部13の底面13aには、端面出射型の半導体レーザ素子20が、サブマウント18を介して実装されている。半導体レーザ素子20は、レーザ光の光軸がx−x’線と略垂直をなすように配置されている。また、平面視において、上述した所定の点、好ましくは中点M付近に、光出射部材として、例えば、反射部材31及び波長変換部材32が配置されている。反射部材31及び波長変換部材32は、平面視において、上述した第2の所定の点に配置してもよい。
【0038】
(反射部材31)
反射部材31は、第3凹部13の底面13a上であって、半導体レーザ素子20からの光を反射し得る位置に配置されている。反射部材31は、半導体レーザ素子20の光を上方に反射させる反射面を有する。反射部材31は、平面視において、反射面が上述した所定の点(好ましくは中点M)と重なるような位置に配置されることが好ましい。平面視において反射面がある位置を発光点があると見做すことができるため、このように配置することにより、所定の点と発光点とを実質的に一致させることができる。
反射部材31としては、例えば、三角柱、四角錐台等の形状の光学ガラスの斜面に、反射膜が設けられた部材を用いることができる。底面13aと反射部材31の斜面との角度は、例えば、30度から60度が挙げられ、約45度が好ましい。これにより、底面13aと略平行な方向に進行する半導体レーザ素子20からの光を、底面13aに対して略垂直な方向に転換させることができる。
反射部材31は、1つの発光装置に1つのみ配置されていてもよいし、複数配置されていてもよい。半導体レーザ素子20が、1つの発光装置に複数実装される場合は、複数配置されていてもよい。
【0039】
(波長変換部材32)
波長変換部材32は、半導体レーザ素子20からの光を波長変換する部材である。ここで半導体レーザ素子20からの光とは、半導体レーザ素子20を起点とする光を指し、反射部材31で反射された光も含む。波長変換部材32は、例えば、第3凹部13内の部材載置面13cに固定されている。平面視において、波長変換部材32(特に蛍光体含有部32b)がある位置に発光点があると見做すことができる。
波長変換部材32は、蛍光体含有部32bを有する。波長変換部材32は、貫通孔を備える保持部32aと、貫通孔内に配置される蛍光体含有部32bとを有することが好ましい。これにより、蛍光体含有部32bで生じる熱を、保持部32aを介して効率的に放熱することができる。
【0040】
保持部32aとしては、蛍光体含有部32bからの放熱を考慮して、熱伝導率の高い材料を用いるのが好ましい。このような材料としては、例えば、銅、銅合金、鉄もしくは鉄合金等を含む金属、又は、窒化アルミニウムもしくは酸化アルミニウム等を含むセラミックなどが挙げられる。
【0041】
保持部32aは、半導体レーザ素子20が発振するレーザ光を反射及び/又は吸収可能な部材であることが好ましい。これにより、波長変換部材32が部材載置面13cから外れて波長変換部材32の位置がずれたとしても、レーザ光を保持部32aで反射及び/又は吸収することができる。その結果、外部にレーザ光が漏れることを防止できる。
【0042】
半導体レーザ素子20がGaN系レーザ素子のような集塵を発生させるレーザ素子である場合は、蛍光体含有部32bは、無機材料からなることが好ましい。これにより集塵を抑制することができる。蛍光体含有部32bとして、例えば、蛍光体からなる焼結体又は蛍光体を含む焼結体を用いる。
蛍光体は公知の材料から選択することができるが、例えば、半導体レーザ素子20と組み合わせて白色光が得られるような材料を選択する。例えば、半導体レーザ素子20から青色光が出射される場合には、半導体レーザ素子20の出射光を励起光として黄色光を発する蛍光体を用いることができる。黄色光を発する蛍光体としては、YAG系の蛍光体が挙げられる。
【0043】
波長変換部材32は、平面視、第3凹部13の60%以上を覆う大きさとしてもよい。これにより、半導体レーザ素子20から出射されたレーザ光が波長変換部材32を介することなく発光装置1の外部へ漏れ出る可能性を低減することができる。
【0044】
(蓋体17)
蓋体17は、第3凹部13内に搭載された半導体レーザ素子20を封止するように、例えば、第3凹部13の開口を塞ぎ、基体16に接合されている。この場合、蓋体17は、平面視、第1凹部11及び第2凹部12と重ならない位置で、基体16に接合されていることが好ましい。これにより、第1凹部11及び第2凹部12を後述するモジュール化時の位置合わせに用いることが可能となる。具体的には、基体16は、平面視で蓋体17を挟む位置に、それぞれ上方に開口した第1凹部11及び第2凹部12を有することができる。蓋体17の基体16への接続は、例えば、共晶材料等を用いて行うことができる。
図3Bに示すように、基体16の上面に金属枠16bを設け、その金属枠16bに蓋体17を溶接してもよい。
【0045】
蓋体17は、半導体レーザ素子20からの光を、好ましくは上方に、透過させる透光性部材33を有している。ここで半導体レーザ素子20からの光とは、半導体レーザ素子20を起点とする光を指す。したがって、半導体レーザ素子20からの光は、半導体レーザ素子20が出射するレーザ光に限らず、波長変換部材32が発光する波長変換光も含む。透光性部材33はガラス等によって形成することができる。
蓋体17は、透光性部材33を保持するために、貫通孔34aを備える保持部材34を有していることが好ましい。貫通孔34aの光入射側における開口面積は、波長変換部材32の蛍光体含有部32bの光出射側の面の面積よりも大きいことが好ましい。透光性部材33は、蓋体17の保持部材34の貫通孔34aを塞ぐように配置される。透光性部材33は、蓋体17の保持部材34の貫通孔34aの内側又は蓋体17の保持部材34の波長変換部材32側とは反対側の面に固定されることが好ましい。これにより、波長変換部材32の上面と蓋体17の下面とを近接させることができるため、波長変換部材32からの光を透光性部材33から取り出しやすくなる。保持部材34にはコバール等を含む金属などを用いることができる。
【0046】
蓋体17が透光性部材33のみからなる場合は、共晶材料により蓋体17を基体16に固定することができる。蓋体17が透光性部材33と保持部材34とを有する場合は、溶接により基体16と保持部材34とを固定することができる。溶接による場合は、透光性部材33と基体16とを確実に固定することができるため、発光装置1が振動などの衝撃を受けた場合においても蓋体17が基体16から外れ難い発光装置30とすることができる。
【0047】
このような構成の発光装置を製造する場合、半導体レーザ素子は、実施形態1と同様に位置決めを行い、実装することができる。
【0048】
このように、発光装置30では、第1凹部11及び第2凹部12、特に、これらを結ぶ線上の所定の点を基準として、基体16上に半導体レーザ素子20等が位置決めして実装されている。このため、基体16等の外形により半導体レーザ素子20等を位置決めする場合よりも、半導体レーザ素子20等が高精度に実装されている。
【0049】
実施の形態3:発光装置
この実施の形態の発光装置40は、
図4に示すように、
基体46と、基体46に載置された半導体レーザ素子20と、
半導体レーザ素子20を封止するように基体46に接合され、半導体レーザ素子20からの光を上方に透過させる蓋体17とを備える。
発光装置40は、さらに、光出射部材(例えば、波長変換部材42)、プリズム41、レンズ19、基体46の上面に設けられた金属枠46bに溶接される蓋体17を備える。
【0050】
ここで用いられる基体46は、上述した基体16において、部材載置面13c、突出部13dが配置されていない以外、実質的に同様の構成を有するものが挙げられる。
基体46の第3凹部13の底面13aには、端面出射型の半導体レーザ素子20が、サブマウント18を介して実装されている。半導体レーザ素子20の出射面は、出射するレーザ光の光軸がx−x’線に対して略垂直になる向きで配置されている。また、平面視において、上述した所定の点、好ましくは中点M付近に、光出射部材として、例えば、波長変換部材42が配置されている。波長変換部材42は、平面視において、上述した第2の所定の点に配置してもよい。半導体レーザ素子20と波長変換部材42との間には、半導体レーザ素子20から出射された光を集光又は平行光化するレンズ19、レンズ19からの光を屈折させるプリズム41が配置されている。
【0051】
(プリズム41)
プリズム41は、半導体レーザ素子20が出射するレーザ光を波長変換部材42の上面に向かう方向に屈折させる部材として用いる。プリズム41は、第3凹部13の底面13aであって、半導体レーザ素子20からの光が通過し得る位置に配置されている。プリズム41としては、例えば、三角柱、四角錐台等の形状の光学ガラスの斜面を有する部材を用いることができる。
プリズム41は、1つの発光装置に1つのみ配置されていてもよいし、複数配置されていてもよい。半導体レーザ素子20が、1つの発光装置に複数実装される場合は、複数配置されていてもよい。
【0052】
(波長変換部材42)
波長変換部材42は、プリズム41から出射した光を波長変換する部材である。プリズム41から出射した光は、波長変換部材42の上面に照射されるため、波長変換部材42の上面が波長変換部材42の主な発光面となる。波長変換部材42は、第3凹部13内の底面13aに固定されており、平面視において、発光点と重なる位置に配置されていると見做すことができる。
波長変換部材42は、板状の部材であることが好ましい。この場合、波長変換部材42は、側面のいずれよりも面積が大きい上面及び下面を有する。これにより、波長変換部材42の側面の発光よりも上面の発光を強めることができ、発光装置を高出力化することができる。また、面積大の下面を実装面とすることで、波長変換部材42の発熱を効率的に放熱することができる。半導体レーザ素子20がGaN系レーザ素子のような集塵を発生させるレーザ素子である場合は、波長変換部材42は、無機材料からなることが好ましい。これにより集塵を抑制することができる。波長変換部材42として、例えば、蛍光体からなる焼結体や、蛍光体を含む焼結体を用いる。また、底面13aに対向する部位等に、反射膜が形成されていてもよい。反射膜は、上述した反射部材31で用いることができる反射膜と同様のものを利用することができる。
【0053】
このような構成の発光装置40を製造する場合、半導体レーザ素子20は、実施形態1及び2と同様に位置決めし、実装することができる。各部材を実装する順序は、実施形態1及び2と異なっていてもよい。実装は、例えば、半導体レーザ素子20、レンズ19、プリズム41、波長変換部材42をこの順序で位置決めする。さらには、実施形態1と同様に、1以上の部材を、レーザ発振させた状態で位置決めすることが好ましい。この場合、例えば、まず半導体レーザ素子20とレンズ19と波長変換部材42とを基体46に実装し、半導体レーザ素子20と配線層23とをワイヤ81等により電気的に接続する。次に半導体レーザ素子20をレーザ発振させた状態でプリズム41の適した実装位置を特定し、プリズム41を実装する。レンズ19もレーザ発振させた状態で実装位置を特定することができるが、レンズ19はわずかな位置修正でレーザ光の方向が大きく変化する傾向にある。このため、レンズ19は半導体レーザ素子20と同様に所定の点を基準として実装し、プリズム41の実装位置のみレーザ発振させた状態で特定することがより好ましい。
【0054】
このように、発光装置40では、第1凹部11及び第2凹部12を結ぶ線上の所定の点を基準として、基体46上に半導体レーザ素子20等が位置決めされて実装されている。このため、基体46等の外形により半導体レーザ素子20等を位置決めする場合よりも、半導体レーザ素子20等が高精度に実装されている。
【0055】
実施の形態4:発光装置
この実施形態4の発光装置70は、
図5A及び5Bに示した基体を用いる以外、実質的には、
図4に示した発光装置40と同様の構成を有する。
基体76には、第3凹部を設けておらず、平板状としている。これにより、第3凹部を設ける場合と比べて基体76の反りを低減することができる。第3凹部を設ける場合は、第3凹部が形成可能な程度に基体の最大厚みを厚くする必要がある。このような第3凹部を有する基体を主としてセラミックを含んで形成する場合には、セラミック層の数が多くなるので、焼成でのサイズの収縮等により基体が反りやすい。第3凹部を設けない場合は、基体76に必要なセラミック層の数を少なくすることができる。これによって基体76の変形の度合いを小さくすることができ、反りを低減することができる。
基体76が平板状である場合は、半導体レーザ素子20等を配置するための空間を、基体76以外の部材、例えば、金属枠78で囲むことによって形成することができる。
金属枠78の上には、蓋体77を接合することが好ましい。蓋体77は、貫通孔74aを有する保持部材74と、その貫通孔74aを被覆する透光性部材73とを備える。
金属枠78の高さは、半導体レーザ素子20等の高さより高くする。
金属枠78の内部には、サブマウント18に載置された半導体レーザ素子20と、レンズ19と、プリズム71と、波長変換部材72とが収容されている。
【0056】
実施の形態5:レーザモジュールの製造方法
この実施形態のレーザモジュールの製造方法は、
図6A及び6Bに示したように、まず、放熱体51上に、発光装置30、40を載置する。その上に、位置決め部材52を有するアタッチメント61を配置し、上述した発光装置30、40の第1凹部11及び第2凹部12のそれぞれに、位置決め部材52を挿入して、アタッチメント61に対して発光装置30、40の位置合わせをする。そして、この位置において、発光装置30、40を放熱体51とアタッチメント61で挟持する。この実施形態のレーザモジュールの製造方法は、以上の工程を含む。なお、「発光装置30、40」とは、発光装置30と発光装置40のいずれでもよいことを示す。
【0057】
(位置決め部材の挿入)
アタッチメント61は、第1凹部11及び第2凹部12のそれぞれに挿入し得る位置決め部材52を有している。位置決め部材52は、高さ方向の一端において、第2凹部12の開口よりも大きい幅を有し、他端でそれよりも小さい幅を有する先細り形状とすることができる。
先細りする側において、位置決め部材52を第1凹部11及び第2凹部12のそれぞれに挿入することで、発光装置30、40の放熱体51への位置合わせを行うことができる。これにより、発光装置30、40の放熱体51への位置合わせの精度ずれを低減することができる。特に、上述した発光装置の製造方法において、第1凹部11及び第2凹部12に基づいて、半導体レーザ素子を実装する場合において好ましい。なぜなら、半導体レーザ素子の実装を第1凹部11及び第2凹部12を基準として行った後に、同様にこれら第1凹部11及び第2凹部12の位置を基準として発光装置30、40の放熱体51への位置合わせを行えば、発光点の位置ずれを抑制できるからである。
また、2つの位置決め部材52を支持体53に嵌合させることができ、これによって位置決め部材52の間隔が支持体53によって規定される。例えば、位置決め部材52は、支持体53に設けられた貫通孔に嵌合され、その上面が板ばねによって緩く押さえつけられており、支持体53の厚み方向で進退可能である。この場合、板ばねを磁化させて、位置決め部材52を磁力によって板ばねに付着させてもよい。このように、位置決め部材52を支持体53に対して固定せず進退可能な状態で保持させることによって、より確実に2つの位置決め部材52の両方を第1凹部11及び第2凹部12にそれぞれ接触させることができる。すなわち、2つの位置決め部材52のいずれか一方が先に第1凹部11又は第2凹部12に接触したとしても、アタッチメント61をさらに押し進めることによって、まだ接触しない他方の位置決め部材52も第1凹部11又は第2凹部12の他方に接触する状態とすることが可能である。
【0058】
第2凹部12に挿入する位置決め部材52は、第2凹部12に挿入する側の先端が、第2凹部12の開口よりも大きい幅から第2凹部12の底面に向かって細くなる先細り形状であることが好ましい。尚且つ、この位置決め部材52は、位置決め部材52を第2凹部12の上端と接するまで挿入した状態において、位置決め部材52の先端が第2凹部12の底面に達していないことが好ましい。言い換えると、その最下端から第2凹部12の上端と接する位置までの高さが、第2凹部12の底面から上端までの高さよりも小さい。これにより、位置決め部材52を第2凹部12の底面に接触させることによって位置決めを行うのではなく、第2凹部12の上端に接触させることによって位置決めを行うことができる。したがって、第2凹部12の深さ及び/又は開口の幅に設計値からのズレが生じたとしても、位置決め部材52の先端の一部を第2凹部12に挿入し、位置合わせを行うことができる。また、第2凹部の上端(開口の縁)で位置合わせを行うため、複数のグリーンシートのうち最上層のみで位置合わせを行うことができ、最上層以外の層の位置ズレに影響されることがない。
【0059】
また、第1凹部11及び第2凹部12間の距離が設計値からずれた場合は、2つの位置決め部材52のうちの一方のみが第1凹部11及び第2凹部12の一方に挿入でき、他方は挿入できないことがあり得る。
そこで、発光装置30、40では、その可能性を低減するために、第1凹部11を、第1凹部11及び第2凹部12を結ぶ線に沿う方向において、第2凹部12よりも長い形状としている。これにより、第1凹部11が、例えば、設計値よりも第2凹部12から遠くに配置されたとしても、2つの位置決め部材52をそれぞれ第1凹部11及び第2凹部12に挿入することが可能である。
【0060】
第1凹部11に挿入する位置決め部材52は、第1凹部11及び第2凹部12のそれぞれに位置決め部材52を挿入して発光装置30、40の位置合わせをした状態で、第1凹部11及び第2凹部12を結ぶ方向において第1凹部11の側壁との間に隙間が生じるように形成されていることが好ましい。これにより、第1凹部11及び第2凹部12間の距離が設計値からずれたとしても、2つの位置決め部材52をそれぞれ第1凹部11及び第2凹部12に挿入させることができ、発光装置30、40の位置合わせを行うことができる。
この場合、第1凹部11及び第2凹部12を結ぶ線と交差する方向の断面視では、位置決め部材52は第1凹部11の上端と接触することが好ましい。具体的には、位置決め部材52の第1凹部11に挿入する側の先端は、第1凹部11及び第2凹部12を結ぶ線と交差する方向の断面視では、第1凹部11の開口よりも大きい幅から第1凹部11の底面に向かって細くなる先細り形状であることが好ましい。この位置決め部材52は、位置決め部材52を第1凹部11の上端と接するまで挿入した状態において、位置決め部材52の先端が第1凹部11の底面に達していないことが好ましい。言い換えると、その最下端から第1凹部11の上端と接する位置までの高さが、第1凹部11の底面から上端までの高さよりも小さい。これにより、第1凹部11の深さ及び/又は開口の幅に設計値からのズレが生じたとしても、位置決め部材52の先端の一部を第1凹部11に挿入し、位置決めを行うことができる。例えば、第1凹部11に挿入する位置決め部材52は、第2凹部12に挿入する位置決め部材52と実質的に同じ形状及び大きさとすることができる。これにより、いずれの位置決め部材52を第1凹部11又は第2凹部12に挿入するかを任意に選択することができる。
さらに、第1凹部11に挿入する位置決め部材52は、第1凹部11及び第2凹部12が設計値どおりに形成された場合に、平面視で、第1凹部11の中心又は重心と位置決め部材52の中心又は重心が略一致するように、配置することが好ましい。これにより、第1凹部11及び第2凹部12間の距離が設計値よりも増加しても減少しても、位置決め部材52を第1凹部11及び第2凹部12の両方に挿入することができる。
【0061】
放熱体51、支持体53、位置決め部材52等は、熱による膨張係数が小さいもの及び/又は熱伝導率が良好なものが好ましい。例えば、金属、セラミック、樹脂又はこれらの組み合わせが挙げられる。特に、放熱体51は、放熱性の良好な材料であることが好ましく、例えば、アルミニウム、銅等の金属が挙げられる。また、上述のように支持体53に接続された板ばねに磁力によって位置決め部材52を付着させる場合、板ばねは磁化可能な材料によって形成されていることが好ましく、位置決め部材52は磁力による付着が可能な金属によって形成されていることが好ましい。また、位置決め部材52は、例えば位置決めピンである。位置決め部材52の形状としては、ロッド状、弾丸状、柱状等を挙げることができる。位置決め部材52の第1凹部11及び第2凹部12に挿入され得る部分は、例えば略半球状とする。例えば、第2凹部12の外縁を略円形状とし、当該円形を2等分してその間を矩形で繋いだ略長円形状を第1凹部11の外縁とし、位置決め部材52の先端を、第2凹部12の外縁の半径よりも大きな曲率半径を有する曲面とする。
【0062】
例えば、
図7A及び7Bに示すように、放熱体51、支持体53、位置決め部材52は、レーザモジュール60を構成する一部品として設けることができる。
レーザモジュール60は、例えば、発光装置30、40の裏面を被覆する放熱体51と、発光装置30、40の上面を被覆し得るアタッチメント61とを有する。アタッチメント61は、発光装置30、40からの光を通過させ得る開口61aを備える。開口61aにはガラス等の透光性部材を配置することもできる。アタッチメント61は、発光装置30、40の外部電極24、25と電気的に接続する配線62を備え、さらに、配線62と電気的に接続された端子63を備える。端子63を外部の電源と電気的に接続することにより、発光装置30、40に通電し、発光させることができる。
アタッチメント61は、その一部に支持体53を備える。
従って、放熱体51に、発光装置30、40を載置し、第1凹部11及び第2凹部12に位置決め部材52を挿入するように、発光装置30、40の上面側からアタッチメント61を嵌め込むことができる。これにより、配線62が、それぞれ発光装置30、40の外部電極24、25と接続されるとともに、発光装置30、40の発光点が精度良く適所に配置されたレーザモジュールを組み立てることができる。
【0063】
レーザモジュール60では、放熱体51とアタッチメント61によって発光装置30、40を挟み込むことで、発光装置30、40を放熱体51及びアタッチメント61に対して固定している。例えば、発光装置30、40を位置決め部材52によりアタッチメント61に対して位置合わせした後、アタッチメント61を放熱体51に対してネジ止めする。ネジ止めの強さは、レーザモジュール60を移動等させても発光装置30、40が脱落しない程度とすればよい。これにより、接着剤を用いることなく、発光装置30、40を放熱体51及びアタッチメント61に対して固定することができる。接着剤を用いることなく発光装置30、40を固定することにより、発光装置30、40を容易に交換することが可能となる。なお、位置決め部材52によって発光装置30、40を放熱体51に押し付けることにより発光装置30、40を固定することも可能だが、位置決め部材52のサイズが小さいほど、発光装置30、40に局所的な負荷がかかりやすくなる。このため、支持体53を、比較的大きな面積で、例えば第1凹部11及び第2凹部12の底面の合計面積よりも大きな面積で発光装置30、40に接触させ、発光装置30、40の下面の略全部と接触させた放熱体51と共に挟み込むことで、発光装置30、40を固定することが好ましい。これにより、発光装置30、40に対する負荷を分散させることができる。例えば基体16の四隅に支持体53を接触させる。
また、
図6A及び
図6Bに示すように、放熱体51に凸部を設け、放熱体51の凸部を、支持体53に設けられた孔に係合させてもよい。この場合、放熱体51の凸部の長さは、位置決め部材52が第1凹部11及び第2凹部12に接触する前に、放熱体51の凸部が支持体53の孔に挿入される程度に長いことが好ましい。これにより、まず、放熱体51と支持体53との位置関係が定まり、その後、位置決め部材52を第1凹部11及び第2凹部12に挿入することで放熱体51及び支持体53と発光装置30、40との位置関係を定めることができる。
【0064】
このように、発光装置をモジュールに組み込む場合、第1凹部11及び第2凹部12を基準とすることにより、モジュールにおいて、発光点をより正確に位置合わせすることが可能である。