(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発熱体と熱的に接続される受熱プレートと、該受熱プレートと熱的に接続された、管体から形成されたヒートパイプと、該受熱プレートと熱的に接続された放熱フィンと、を有するヒートシンクであって、
前記ヒートパイプの周囲に、熱伝導体が設けられ、前記ヒートパイプが、前記受熱プレート表面に対して鉛直方向に複数層設けられ、前記複数層のうち少なくとも2つの層において、前記受熱プレート表面上における前記ヒートパイプの位置が、相互に、同一ではなく、
前記ヒートパイプが、第1のヒートパイプと該第1のヒートパイプの周囲に設けられた第1の熱伝導体とが熱的に接続された第1ヒートパイプ層と、前記受熱プレート表面に対して鉛直方向に前記第1ヒートパイプ層上に積層され、且つ第2のヒートパイプと該第2のヒートパイプの周囲に設けられた第2の熱伝導体とが熱的に接続された第2ヒートパイプ層とを有することで、複数層設けられているヒートシンク。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の第1実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。
図1に示すように、第1実施形態例に係るヒートシンク1は、受熱側の面で発熱体(図示せず)と熱的に接続される平板状の受熱プレート10と、受熱プレート10の受熱側とは反対側の面にて受熱プレート10と接した状態で受熱プレート10と熱的に接続された第1のヒートパイプ11と、受熱プレート10の受熱側とは反対側の面にて第1のヒートパイプ11と接した状態で第1のヒートパイプ11と熱的に接続された第2のヒートパイプ12と、受熱プレート10の受熱側とは反対側の面にて第2のヒートパイプ12と接した状態で第2のヒートパイプ12と熱的に接続された放熱フィン13と、を備えている。
【0019】
ヒートシンク1では、平板状の受熱プレート10が発熱体(図示せず)と熱的に接続されることで、ヒートシンク1の受熱部として作用する。
【0020】
第1のヒートパイプ11は、管体からなるコンテナ14を有し、コンテナ14内部に作動流体が封入されている。第1のヒートパイプ11の平面視の形状、すなわち、受熱プレート10表面に対して平行方向における形状は、U字状となっている。従って、第1のヒートパイプ11は、相互に対向する2つの直線部と該2つの直線部との間に湾曲部を有している。また、第1のヒートパイプ11は、コンテナ14が扁平形状に加工されている。
【0021】
第1のヒートパイプ11は、U字状の部位が受熱プレート10の受熱側とは反対側の面、すなわち、放熱フィン13側の面上に載置、取り付けられることで、受熱プレート10と熱的に接続されている。従って、第1のヒートパイプ11は、U字状の部位が受熱プレート10表面と接している。
【0022】
発熱体から受熱した受熱プレート10は、受熱プレート10と熱的に接続された第1のヒートパイプ11へ熱を伝達し、受熱プレート10から熱が伝達された第1のヒートパイプ11は、U字状の部位のうち、熱を受けた部位が吸熱部として作用し、熱を受けていない部位が放熱部として作用する。第1のヒートパイプ11は、吸熱部から放熱部へ、第1のヒートパイプ11の平面視の形状に沿って熱輸送することで、ヒートシンク1の、受熱プレート10平面方向へ、熱を輸送し、結果、第1のヒートパイプ11の平面視の形状に沿って、ヒートシンク1の、受熱プレート10平面方向へ、熱を拡散させる。
【0023】
第1のヒートパイプ11の設置数は特に限定されないが、ヒートシンク1では、複数(
図1では、2つ)設けられている。また、複数の第1のヒートパイプ11の配置関係は特に限定されないが、
図1では、一方の第1のヒートパイプ11の一方の直線部の先端が、他方の第1のヒートパイプ11の湾曲部と、U字状の内側領域において対向するように配置されている。また、第1のヒートパイプ11の受熱プレート10表面上における位置は特に限定されないが、放熱効率の点から、第1のヒートパイプ11の少なくとも一部の部位が、図示しない発熱体と平面視において同じ位置に配置されることが好ましい。
【0024】
さらに、ヒートシンク1では、それぞれの第1のヒートパイプ11の周囲に、第1の熱伝導体16が設けられることで、第1ヒートパイプ層21が形成されている。第1の熱伝導体16は板状体であり、その表面が受熱プレート10表面に対して平行方向に配置されている。また、第1ヒートパイプ層21の第1のヒートパイプ11と第1の熱伝導体16は、熱的に接続されている。従って、受熱プレート10から熱伝達された第1のヒートパイプ11の熱輸送の動作と第1の熱伝導体16の熱伝達作用によって、第1の熱伝導体16をその平面方向へ(すなわち、ヒートシンク1の、受熱プレート10平面方向へ)熱がより円滑に拡散される。さらに、第1の熱伝導体16平面方向へ拡散した熱は、第1ヒートパイプ層21の主に第1の熱伝導体16から第2のヒートパイプ12へ熱伝達される。
【0025】
ヒートシンク1では、第1の熱伝導体16に、第1のヒートパイプ11の平面視の形状、寸法に対応した形状、寸法を有する孔部17が、第1のヒートパイプ11の設置数設けられている。従って、第1のヒートパイプ11を第1の熱伝導体16の孔部17に嵌合させることにより、それぞれの第1のヒートパイプ11に第1の熱伝導体16が周設された態様となっている。従って、ヒートシンク1では、第1のヒートパイプ11に第1の熱伝導体16が周設された態様で、第1のヒートパイプ11と第1の熱伝導体16が熱的に接続された第1ヒートパイプ層21が形成されている。
【0026】
図1に示すように、ヒートシンク1では、さらに、受熱プレート10の放熱フィン13側の面に、第1の熱伝導体16と接した状態で第1の熱伝導体16と熱的に接続された第2のヒートパイプ12が設けられている。従って、第2のヒートパイプ12は、第1ヒートパイプ層21の主に第1の熱伝導体16を介して受熱プレート10と熱的に接続されている。
【0027】
また、ヒートシンク1では、第2のヒートパイプ12は、第2ヒートパイプ層22を構成している。第2ヒートパイプ層22が、受熱プレート10表面に対して鉛直方向に第1ヒートパイプ層21上に積層されることで、ヒートパイプが複数層(
図1では2層)設けられている。
【0028】
第2のヒートパイプ12は、第1のヒートパイプ11と同じく、管体からなるコンテナ15を有し、コンテナ15内部に作動流体が封入されている。第2のヒートパイプ12の平面視の形状、すなわち、受熱プレート10表面に対して平行方向における形状は、第1のヒートパイプ11と同じく、U字状となっている。従って、第2のヒートパイプ12も、相互に対向する2つの直線部と該2つの直線部との間に湾曲部を有している。また、第2のヒートパイプ12も、コンテナ15が扁平形状に加工されている。つまり、ヒートシンク1では、部品点数の低減の点から、第2のヒートパイプ12は、第1のヒートパイプ11と同じものを使用している。
【0029】
第2のヒートパイプ12は、U字状の部位が第1ヒートパイプ層21上に載置、取り付けられることで、第1ヒートパイプ層21の主に第1の熱伝導体16と熱的に接続され、ひいては、第1ヒートパイプ層21を介して受熱プレート10と熱的に接続されている。従って、第2のヒートパイプ12は、U字状の部位が第1ヒートパイプ層21と接している。
【0030】
また、受熱プレート10表面上における、すなわち、平面視における第2のヒートパイプ12の位置は、第1のヒートパイプ11の位置と同一ではないように配置されている。つまり、第2のヒートパイプ12のU字状の部位は、第1のヒートパイプ11のU字状の部位と平面視において一致しないよう配置されている。従って、第2のヒートパイプ12のU字状の部位には、平面視において第1のヒートパイプ11のU字状の部位と重複する部分と、第1の熱伝導体16と重複する部分(すなわち、第1のヒートパイプ11のU字状の部位と重複しない部分)とがある。
【0031】
受熱プレート10から受熱した第1のヒートパイプ11は、主に、第1のヒートパイプ11に周設されて熱的に接続された第1の熱伝導体16を介して、第2のヒートパイプ12へ熱を伝達し、第1のヒートパイプ11から第1の熱伝導体16を介して熱が伝達された第2のヒートパイプ12は、U字状の部位のうち、熱を受けた部位が吸熱部として作用し、熱を受けていない部位が放熱部として作用する。第2のヒートパイプ12は、吸熱部から放熱部へ、第1のヒートパイプ11の平面視の配置とは異なる第2のヒートパイプ12の平面視の配置に沿って、熱輸送することで、ヒートシンク1の、受熱プレート10平面方向へ熱を輸送し、結果、第1のヒートパイプ11の平面視の配置とは異なる第2のヒートパイプ12の平面視の配置に沿って、ヒートシンク1の、受熱プレート10平面方向へ熱を拡散させる。
【0032】
上記の通り、ヒートシンク1では、第1のヒートパイプ11と第2のヒートパイプ12とは、平面視において異なる方向へ熱輸送をするので、ヒートシンク1の、受熱プレート10平面方向全体が均熱化される。
【0033】
第2のヒートパイプ12の設置数は特に限定されないが、ヒートシンク1では、複数(
図1では、2つ)設けられている。また、複数の第2のヒートパイプ12の配置関係は特に限定されないが、
図1では、一方の第2のヒートパイプ12の一方の直線部の先端が、他方の第2のヒートパイプ12の湾曲部と、U字状の内側領域において対向するように配置されている。また、上記の通り、第2のヒートパイプ12のU字状の部位が、第1のヒートパイプ11のU字状の部位と平面視において一致しないよう配置されていれば、第2のヒートパイプ12の位置は特に限定されないが、
図1では、第2ヒートパイプ層22の第2のヒートパイプ12の配置は、第1ヒートパイプ層21の第1のヒートパイプ11の配置を、裏返した態様となっている。
【0034】
また、第2のヒートパイプ12の受熱プレート10表面上における位置は特に限定されないが、放熱効率の点から、第2のヒートパイプ12の少なくとも一部の部位が、図示しない発熱体と平面視において同じ位置に配置されることが好ましい。
【0035】
さらに、ヒートシンク1の第2ヒートパイプ層22は、それぞれの第2のヒートパイプ12の周囲に、第2の熱伝導体18を備えている。第2の熱伝導体18は板状体であり、その表面が受熱プレート10表面に対して平行方向に配置されている。また、第2のヒートパイプ12と第2の熱伝導体18は、熱的に接続されている。従って、第2のヒートパイプ12の熱輸送の動作と第2の熱伝導体18の熱伝達作用によって、第2の熱伝導体18をその平面方向へ(すなわち、ヒートシンク1の、受熱プレート10平面方向へ)熱がより円滑に拡散される。さらに、第2の熱伝導体18平面方向へ拡散した熱は、第2ヒートパイプ層22の主に第2の熱伝導体18から放熱フィン13へ熱伝達される。
【0036】
ヒートシンク1では、第2の熱伝導体18に、第2のヒートパイプ12の平面視の形状、寸法に対応した形状、寸法を有する孔部19が、第2のヒートパイプ12の設置数設けられている。従って、第2のヒートパイプ12を第2の熱伝導体18の孔部19に嵌合させることにより、それぞれの第2のヒートパイプ12に第2の熱伝導体18が周設された態様となっている。従って、ヒートシンク1では、第2のヒートパイプ12に第2の熱伝導体18が周設された態様で、第2のヒートパイプ12と第2の熱伝導体18が熱的に接続された第2ヒートパイプ層22が形成されている。
【0037】
第1ヒートパイプ層21と第2ヒートパイプ層22の取り付け方法は、特に限定されず、例えば、受熱プレート10表面に第1ヒートパイプ層21と第2ヒートパイプ層22を積み重ね、受熱プレート10に第1の熱伝導体16と第2の熱伝導体18をはんだ付けする方法等が挙げられる。
【0038】
図1に示すように、ヒートシンク1では、複数の平板状の放熱フィン13が、第2ヒートパイプ層22の第2のヒートパイプ12及び第2の熱伝導体18と直接または間接的に接した状態(
図1では、板状体を介して間接的に接した状態)で第2ヒートパイプ層22表面に立設されている。従って、放熱フィン13は、主に第2の熱伝導体18と熱的に接続されており、第2ヒートパイプ層22の主に第2の熱伝導体18と第1ヒートパイプ層21の主に第1の熱伝導体16を介して、受熱プレート10と熱的に接続されている。なお、放熱フィン13のフィンピッチは、特に限定されず、等間隔でもよく、等間隔ではなくてもよいが、ヒートシンク1では、放熱フィン13が、それぞれ受熱プレート10表面に対して平行方向、すなわち、第2ヒートパイプ層22表面に対して平行方向に等間隔に並べられている。さらに、ヒートシンク1では、いずれの放熱フィン13も、その表面が、受熱プレート10表面に対して鉛直、すなわち、第2ヒートパイプ層22表面に対して鉛直となるよう立設されている。
【0039】
放熱フィン13の第2ヒートパイプ層22表面への取り付け方法は、特に限定されず、例えば、放熱フィン13の端部を第2ヒートパイプ層22の表面にはんだ付け等で接合する方法、第2の熱伝導体18の表面に形成された凹溝に嵌合する方法等が挙げられる。
【0040】
受熱プレート10、第1の熱伝導体16、第2の熱伝導体18及び放熱フィン13の材料は、いずれも熱伝導性のよい金属であり、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などで製造されている。また、第1のヒートパイプ11のコンテナ14及び第2のヒートパイプ12のコンテナ15の材料も、受熱プレート10、第1の熱伝導体16、第2の熱伝導体18及び放熱フィン13と同様の金属材料で製造されている。
【0041】
第1のヒートパイプ11及び第2のヒートパイプ12の作動流体としては、コンテナ材料への適合性を有する作動流体が減圧状態で封入される。作動流体としては、例えば、水、代替フロン、パーフルオロカーボン、シクロペンタン等を挙げることができる。
【0042】
上記の通り、ヒートシンク1では、受熱プレート10平面方向、すなわち、受熱プレート10、第1の熱伝導体16及び第2の熱伝導体18の表面全体が均熱化されるので、放熱フィン13の受熱プレート10側の端部が、全体として均熱化され、結果として、放熱フィン13の放熱効率が向上し、それに応じて、ヒートシンク1の冷却能が向上する。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。なお、第1実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0044】
図2に示すように、第2実施形態例に係るヒートシンク2では、第1実施形態例に係るヒートシンクの第1の熱伝導体と第2の熱伝導体が、一体化された複合型熱伝導体26となっている。複合型熱伝導体26の形状は、平板状である。複合型熱伝導体26の受熱プレート10側の面には、第1のヒートパイプ11の平面視の形状、寸法に対応した形状、寸法を有する第1の溝部27が、第1のヒートパイプ11の設置数設けられている。また、複合型熱伝導体26の放熱フィン13側(すなわち、受熱プレート10側とは反対側)の面には、第2のヒートパイプ12の平面視の形状、寸法に対応した形状、寸法を有する第2の溝部29が、第2のヒートパイプ12の設置数設けられている。また、第1の溝部27と第2の溝部29は、平面視において一致しないよう配置されている。
【0045】
従って、ヒートシンク2では、複合型熱伝導体26の第1の溝部27に第1のヒートパイプ11を嵌合し、複合型熱伝導体26の第2の溝部29に第2のヒートパイプ12を嵌合することにより、第1のヒートパイプ11上に第2のヒートパイプ12が積層され、結果、ヒートパイプが複数層(
図2では2層)設けられることとなる。また、複合型熱伝導体26の第1の溝部27に第1のヒートパイプ11を嵌合し、複合型熱伝導体26の第2の溝部29に第2のヒートパイプ12を嵌合することにより、複合型熱伝導体26を介して第1のヒートパイプ11と第2のヒートパイプ12が熱的に接続される。
【0046】
上記ヒートシンク2でも、受熱プレート10平面方向、すなわち、受熱プレート10及び複合型熱伝導体26の表面全体が均熱化されるので、放熱フィン13の受熱プレート10側の端部が、全体として均熱化されて、ヒートシンク2の冷却能が向上する。また、複合型熱伝導体26を備えるヒートシンク2では、第1のヒートパイプ11と第2のヒートパイプ12間の熱抵抗がより低減して、受熱プレート10の平面全体の均熱化がより向上する。
【0047】
次に、本発明の第3実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。なお、第1実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0048】
図3に示すように、第3実施形態例に係るヒートシンク3では、第1実施形態例に係るヒートシンクの第1の熱伝導体と受熱プレートが、一体化された複合型受熱プレート30となっている。複合型受熱プレート30の形状は、平板状である。複合型受熱プレート30の放熱フィン13側の面には、第1のヒートパイプ31の平面視の形状、寸法に対応した形状、寸法を有する第3の溝部37が、第1のヒートパイプ31の設置数設けられている。また、複合型受熱プレート30の第3の溝部37と第2の熱伝導体18の孔部19は、平面視において一致しないよう配置されている。
【0049】
従って、ヒートシンク3では、複合型受熱プレート30の第3の溝部37に第1のヒートパイプ31を嵌合し、第2の熱伝導体18の孔部19に第2のヒートパイプ32を嵌合することにより、第1のヒートパイプ31上に第2のヒートパイプ32が積層され、ヒートパイプが複数層(
図3では2層)設けられる。また、複合型受熱プレート30の第3の溝部37に第1のヒートパイプ31を嵌合することで、複合型受熱プレート30と第1のヒートパイプ31が熱的に接続される。
【0050】
なお、ヒートシンク3では、第1のヒートパイプ31及び第2のヒートパイプ32の平面視の形状は、S字状となっている。また、第1のヒートパイプ31及び第2のヒートパイプ32の設置数は、いずれも、1つとなっている。さらに、平面視における第2のヒートパイプ32の配置が、平面視における第1のヒートパイプ31の配置を、複合型受熱プレート30表面に対して直交方向の軸を回転軸として、所定角度(
図3では、90°)回転させた態様となっている。
【0051】
上記ヒートシンク3でも、複合型受熱プレート30平面方向、すなわち、複合型受熱プレート30及び第2の熱伝導体18の表面全体が均熱化されるので、放熱フィン13の複合型受熱プレート30側の端部が、全体として均熱化されて、ヒートシンク3の冷却能が向上する。
【0052】
次に、本発明の第4実施形態例に係るヒートシンクについて、図面を用いながら説明する。なお、第1実施形態例に係るヒートシンクと同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0053】
図4に示すように、第4実施形態例に係るヒートシンク4では、U字状の第2のヒートパイプに代えて、第2のヒートパイプ42の形状は直線状となっている。また、第1のヒートパイプ41の形状は、U字状であり、相互に対向する一方の直線部41aと他方の直線部41b及び一方の直線部41aと他方の直線部41bとの間の湾曲部41cを有している。第1のヒートパイプ41は、U字状の部位のうち、一方の直線部41aが受熱プレート10の放熱フィン13側の面と接している。また、第1のヒートパイプ41は、受熱プレート10表面に対して鉛直に立設されている。従って、第1のヒートパイプ41の形状は、平面視においては直線状となっている。
【0054】
さらに、第1のヒートパイプ41の一方の直線部41aの位置が、第2のヒートパイプ42の位置と平面視において一致しないよう配置されている。ヒートシンク4では、平面視においては、第1のヒートパイプ41の一方の直線部41aと直線状の第2のヒートパイプ42とが交差した態様となっている。なお、
図4では、一方の直線部41aと第2のヒートパイプ42が、直交または略直交するように配置されている。
【0055】
ヒートシンク4のように、第1のヒートパイプ41及び第2のヒートパイプ42の形状が平面視直線状であっても、受熱プレート10、第1の熱伝導体16及び第2の熱伝導体18の平面全体が均熱化されて、放熱フィン13の放熱効率が向上する。
【0056】
また、ヒートシンク4では、放熱フィン13の頂部に、第1のヒートパイプ41の他方の直線部41bが熱的に接続されている。従って、放熱フィン13の、受熱プレート10側とは反対側の端部は、第1のヒートパイプ41を介して受熱プレート10と熱的に接続されている。
【0057】
ヒートシンク4では、図示しない発熱体から受熱プレート10へ伝達された熱が、受熱プレート10から第1のヒートパイプ41の一方の直線部41aへ伝達されるだけでなく、第1のヒートパイプ41によって、受熱プレート10から放熱フィン13の頂部へも輸送される点で、放熱フィン13の放熱効率がさらに向上する。
【0058】
次に、本発明のヒートシンクの使用方法例を説明する。本発明のヒートシンクの受熱プレート裏側に、鉄道車両、航空機、自動車等の移動体や電子機器に搭載された電子部品等の発熱体を熱的に接続する。なお、発熱体の被冷却効率の点から、ヒートパイプ(例えば、第1のヒートパイプ)の少なくとも一部の部位が、前記発熱体と平面視において同じ位置となるように、発熱体を配置することが好ましい。そして、ヒートシンクの放熱フィンを自然空冷または強制空冷することによって、放熱フィンから外部環境へ、発熱体由来の熱を放熱させて、上記発熱体を冷却する。
【0059】
次に、本発明のヒートシンクの他の実施形態例について説明する。上記各実施形態例では、受熱プレート表面に対して鉛直方向にヒートパイプが2層設けられていたが、ヒートパイプの積層数は、複数層であれば、2層に限定されるものではなく、3層以上でもよい。また、ヒートパイプの積層数が3層以上の場合には、受熱プレート表面上における、すなわち、平面視におけるヒートパイプの位置は、3層以上のうち、少なくとも2層が相互に、同一ではないように配置されていればよく、また、必要に応じて、各層が、いずれも、相互に、同一ではないように配置されてもよい。
【0060】
上記第1〜第2実施形態例では、第1のヒートパイプ及び第2のヒートパイプの形状、すなわち、第1のヒートパイプ及び第2のヒートパイプのコンテナの形状はU字状であったが、ヒートパイプの形状は特に限定されず、例えば、直線状、L字状またはコ字状等でもよい。また、上記第1〜第3実施形態例では、第1のヒートパイプの形状と第2のヒートパイプの形状は同じであったが、第1のヒートパイプと第2のヒートパイプを異なる形状としてもよい。さらに、上記第1、2、4実施形態例では、複数の第1のヒートパイプは、いずれも同じ形状であったが、異なる形状としてもよく、また、複数の第2のヒートパイプは、いずれも同じ形状であったが、異なる形状としてもよい。
【0061】
上記第1〜第2実施形態例では、平面視における第2ヒートパイプ層の第2のヒートパイプの配置は第1ヒートパイプ層の第1のヒートパイプの配置を裏返した態様となっていたが、第1ヒートパイプ層と第2ヒートパイプ層の平面視におけるヒートパイプの配置関係は、同一でなければよく、例えば、平面視における第2ヒートパイプ層の第2のヒートパイプの配置が、平面視における第1ヒートパイプ層の第1のヒートパイプの配置を、受熱プレート表面に対して直交方向の軸を回転軸として、所定角度(例えば、90°〜180°)回転させた態様としてもよい。また、上記第3実施形態例では、平面視における第2のヒートパイプの配置が、平面視における第1のヒートパイプの配置を、複合型受熱プレート表面に対して直交方向の軸を回転軸として90°回転させた態様であったが、上記の通り、第1ヒートパイプと第2ヒートパイプの平面視におけるヒートパイプの配置関係は、同一でなければよく、例えば、裏返した態様としてもよい。
【実施例】
【0062】
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
【0063】
第1実施形態例に係るヒートシンク1では、平面視における第2ヒートパイプ層22の第2のヒートパイプ12の配置は第1ヒートパイプ層21の第1のヒートパイプ11の配置を裏返した態様となっていたが、これに代えて、実施例1として、
図5に示すように、平面視における第2ヒートパイプ層22の第2のヒートパイプ12の配置が、平面視における第1ヒートパイプ層21の第1のヒートパイプ11の配置を、受熱プレート表面に対して直交方向の軸を回転軸として、90°回転させた態様のヒートシンク5を使用した。
【0064】
比較例1として、
図6に示すように、第1実施形態例に係るヒートシンク1のうち第2ヒートパイプ層22が設けられていないヒートシンク6、すなわち、第1ヒートパイプ層21のみが設けられたヒートシンク6を使用した。
【0065】
実施例1のヒートシンク5と比較例1のヒートシンク6の仕様は、以下の通りである。
・ヒートシンク5、6について
寸法:長さ(放熱フィン13の平面に対して平行方向の寸法)120mm×幅(放熱フィン13の配列方向の寸法)82mm×高さ(受熱プレート10の受熱側の面から放熱フィン13の頂部までの寸法)26mm。
・放熱フィン13について
放熱フィン13の寸法:厚さ0.3mm×高さ21.5mm。
フィンピッチ:1.73mm。
設置枚数:47。
材質:アルミニウム。
・受熱プレート10について
厚さ:実施例1のヒートシンク5では0.5mm。比較例1のヒートシンク6では1.5mm。
・ヒートパイプ層について
実施例1のヒートシンク5:第1のヒートパイプ11、第2のヒートパイプ12とも、それぞれ、厚さ2.0mmであり、φ6mmのコンテナを扁平加工したもの。第1の熱伝導体16、第2の熱伝導体18とも、それぞれ、厚さ2.0mm。第1の熱伝導体16、第2の熱伝導体18とも、材質はアルミニウム。
比較例1のヒートシンク6:第1のヒートパイプ11の厚さは3.0mmであり、φ6mmのコンテナを扁平加工したもの。第1の熱伝導体16の厚さは3.0mm。第1の熱伝導体16の材質はアルミニウム。
【0066】
実施例1のヒートシンク5及び比較例1のヒートシンク6の熱輸送特性の測定条件は、以下の通りである。
・空気(冷却風)風量について
5、10、13、15、18、20、25CFM。
・発熱体について
入熱量:165W。
発熱体と受熱プレート10との間に熱伝導性グリス(信越化学工業製「X−23−7783D」)を厚さ0.1mmにて施与。
・試験装置について
風洞。
【0067】
実施例1、比較例1の試験結果を下記表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
上記表1から、実施例1の熱抵抗は、比較例1の熱抵抗に対して、5CFMにて0.016deg C/W、10CFMにて0.009deg C/W、13CFMにて0.008deg C/W、15CFMにて0.006deg C/W、18CFMにて0.008deg C/W、20CFMにて0.008deg C/W、25CFMにて0.007deg C/W、それぞれ低減された。また、発熱体からの入熱量が165Wであることから、上記表1から、実施例1の熱抵抗は、比較例1の熱抵抗に対して、5CFMにて2.5deg C、10CFMにて1.4deg C、13CFMにて1.3deg C、15CFMにて1.1deg C、18CFMにて1.3deg C、20CFMにて1.3deg C、25CFMにて1.1deg C、それぞれ低減された。
【0070】
従って、第1ヒートパイプ層21と第2ヒートパイプ層22とが積層され、第1のヒートパイプ11と第2のヒートパイプ12とが平面視において一致しないよう配置されている実施例1のヒートシンク5では、第2ヒートパイプ層22が設けられていない比較例1のヒートシンク6と比較して、5〜25CFMのいずれの風量でも、熱抵抗を低減できた。