(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ニッケル系酸化物は、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、またはこれらの組み合わせを含む、請求項5に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
リチウム含有化合物、4価元素含有化合物、2価元素含有化合物、チタン含有化合物、リン酸塩、および溶媒を混合して、下記化学式1で表されるリチウム金属リン酸化物を含有する溶液を製造する段階と、
前記リチウム金属リン酸化物を含有する溶液にリチウムの挿入および脱離が可能な化合物を添加して混合物を得る段階と、
前記混合物を乾燥および焼結する段階とを含む、リチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
[化学式1]
Li1+(x+y)AxByTi2−(x+y)(PO4)3
(前記化学式1において、Aは4価元素であって、Zr、Nb、Mo、Ce、Cr、Ge、Ru、Se、Sn、Ta、Tb、V、W、またはこれらの組み合わせであり、Bは2価元素であって、Mg、Zn、Cu、Ca、Sr、Ba、Cd、Fe、Mn、Nd、Yb、またはこれらの組み合わせであり、0<x<1、0<y<1である。)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例として提示されるもので、これによって本発明が制限されず、本発明は添付の特許請求範囲の範疇によってのみ定義される。
【0012】
以下、一実施形態に係るリチウム二次電池用正極活物質について説明する。
本実施形態に係る正極活物質は、リチウムの挿入および脱離が可能な化合物を含むコアと、コアの表面に位置するリチウム金属リン酸化物とを含むことができる。
【0013】
上記リチウム金属リン酸化物は、リチウムの挿入および脱離が可能な化合物とは相異なるもので、具体的には、下記化学式1で表される。
[化学式1]
Li
1+(x+y)A
xB
yTi
2−(x+y)(PO
4)
3
(化学式1において、Aは4価元素であり、Bは2価元素であり、0<x≦1、0<y≦1である。)
【0014】
上記化学式1で表されるリチウム金属リン酸化物は、ナシコン(NASICON)構造を有する化合物であって、高いイオン伝導度を有する。このようなリチウム金属リン酸化物がコアの表面に位置する正極活物質をリチウム二次電池に適用する場合、電気化学反応時、正極の界面での抵抗を最少化するだけでなく、電解液と正極活物質との間の副反応を抑制して寿命特性および効率特性のような電池性能を向上させることができ、熱に対する電池安定性も確保することができる。
【0015】
具体的には、上記リチウム金属リン酸化物は、4価元素と2価元素を含むことにより、つまり、電荷量の異なる2以上の金属元素を含むことにより、イオン伝導度をより高めることができる。言い換えれば、電荷量の異なる2つの金属元素は、陽イオン置換をなして空孔を形成し、これはイオン伝導度を向上させる駆動力となる。これによって正極の界面での抵抗低減の効果をもたらすことができ、したがって、電気化学的性能を向上させると同時に、電池の安定性を改善することができる。
【0016】
具体的には、上記4価元素は、Zr、Nb、Mo、Ce、Cr、Ge、Ru、Se、Sn、Ta、Tb、V、W、またはこれらの組み合わせであってよい。上記2価元素は、Mg、Zn、Cu、Ca、Sr、Ba、Cd、Fe、Mn、Nd、Yb、またはこれらの組み合わせであってよい。
【0017】
上記化学式1において、xの範囲は、具体的には0<x<1であってよい。また、yの範囲は、具体的には0<y<1であってよい。
【0018】
上記コアの表面に位置するリチウム金属リン酸化物は、具体的には、上記コアの表面に島状に付着していてもよい。
【0019】
上記リチウム金属リン酸化物は、上記リチウムの挿入および脱離が可能な化合物100重量部に対して、0.01重量部〜20重量部で含まれ、例えば、0.01重量部〜10重量部、0.1重量部〜2重量部で含まれてもよい。上記リチウム金属リン酸化物が上記含有量範囲内にコアの表面に付着する場合、寿命特性、効率特性および低温特性と安定性に優れたリチウム二次電池を実現することができる。
【0020】
上記コア物質に相当する上記リチウムの挿入および脱離が可能な化合物は、コバルト、マンガン、ニッケル、またはこれらの組み合わせの金属とリチウムとの複合酸化物のうちの1種以上のものを使用することができる。これらのうち、具体的にはニッケル系酸化物が使用できる。上記ニッケル系酸化物は、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0021】
上記コアの表面に位置するリチウム金属リン酸化物は、上記化学式1のように、4価元素および2価元素を含んでいる。4価元素と2価元素はいずれも、高いイオン伝導度と大きいイオン半径を有することにより、リチウム金属リン酸化物の格子パラメータのうちc軸の値が増加するが、これによってc軸の長さが相対的に大きいニッケル(Ni)を含む活物質との適用が有利であり得る。言い換えれば、このような高いイオン伝導度と大きいイオン半径を有する4価元素と2価元素を含むリチウム金属リン酸化物は、ニッケル(Ni)を含む上記コア物質の酸素層と1:1でマッチングされながら、抵抗低減の効果を極大化するだけでなく、電解液との副反応の低減によって、ニッケル系酸化物の優れた電気化学的性能と安定性を確保することができる。したがって、上記リチウム金属リン酸化物は、上記コア物質としてニッケル系酸化物と共に有用に使用できる。
【0022】
以下、他の実施形態に係るリチウム二次電池用正極活物質の製造方法について説明する。
【0023】
本実施形態の正極活物質の製造方法は、リチウム含有化合物、4価元素含有化合物、2価元素含有化合物、チタン含有化合物、リン酸塩、および溶媒を混合して、下記化学式1で表されるリチウム金属リン酸化物を含有する溶液を製造する段階と、上記リチウム金属リン酸化物を含有する溶液にリチウムの挿入および脱離が可能な化合物を添加して混合物を得る段階と、上記混合物を乾燥および焼結する段階とを含むことができる。
【0024】
上記リチウム含有化合物は、酢酸リチウム水和物、硝酸リチウム水和物などが挙げられる。上記4価元素含有化合物は、上記各4価元素のアセテート、ナイトレート、およびアセチルアセトネートなどが挙げられる。上記2価元素含有化合物は、上記各2価元素のアセテート、ナイトレート、およびアセチルアセトネートなどが挙げられる。また、上記チタン含有化合物は、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシド、チタンアセチルアセトネートなどが挙げられる。上記リン酸塩は、NH
4H
2PO
4、(NH
4)
2HPO
4、Li
3PO
4などが挙げられる。上記溶媒は、水、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセチルアセトネート、エチレングリコール、ブタノールなどを使用することができる。
【0025】
上記各原料は、上記化学式1で表されるリチウム金属リン酸化物の量論比となるように適切なモル比で混合することができる。
【0026】
上記混合物の乾燥は、100℃〜150℃で行われてもよい。
【0027】
上記混合物の焼結は、600℃〜1100℃の温度で、例えば、650℃〜950℃の温度で行われてもよい。また、上記焼結は、空気、N
2などの不活性ガス雰囲気下、1時間〜12時間行われてもよい。上記温度範囲内で焼結される場合、安定したナシコン構造を有する化合物を形成することができる。
【0028】
以下、上述した正極活物質を含む、さらに他の実施形態に係るリチウム二次電池について、
図1を参照して説明する。
【0029】
図1は、一実施形態に係るリチウム二次電池を示す概略図である。
【0030】
図1を参照すれば、一実施形態に係るリチウム二次電池100は、正極114、正極114に対向する負極112、正極114と負極112との間に配置されているセパレータ113、そして、正極114、負極112、およびセパレータ113を含浸する電解液(図示せず)を含む電極アセンブリと、上記電極アセンブリを収めている電池容器120と、上記電池容器120を密封する密封部材140とを含む。
【0031】
上記正極114は、集電体と、上記集電体に形成される正極活物質層とを含む。上記正極活物質層は、正極活物質、バインダー、および選択的に導電剤を含む。
【0032】
上記集電体としては、Alを使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0033】
上記正極活物質は上述した通りである。上記正極活物質を用いる場合、寿命特性および効率特性のような電気化学的性能に優れ、熱に対する安定性に優れたリチウム二次電池を実現することができる。
【0034】
上記バインダーは、正極活物質粒子を互いによく付着させ、また、正極活物質を集電体によく付着させる役割を果たし、具体例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロライド、カルボキシル化されたポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリレーテッドスチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
上記導電剤は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を起こさずに電子伝導性材料であればいずれでも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末、金属繊維などを使用することができ、また、ポリフェニレン誘導体などの導電性材料を1種または1種以上混合して使用することができる。
【0036】
上記負極112は、集電体と、上記集電体上に形成されている負極活物質層とを含む。
【0037】
上記集電体は、銅箔を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0038】
上記負極活物質層は、負極活物質、バインダー、および選択的に導電剤を含む。
【0039】
上記負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に挿入および脱離可能な物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムをドープおよび脱ドープ可能な物質、遷移金属酸化物、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0040】
上記リチウムイオンを可逆的に挿入および脱離可能な物質には炭素系物質が挙げられ、その例としては、結晶質炭素、非晶質炭素、またはこれらの組み合わせが挙げられる。上記結晶質炭素の例としては、無定形、板状、鱗片状、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛が挙げられる。上記非晶質炭素の例としては、ソフトカーボンまたはハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。上記リチウム金属の合金としては、リチウムと、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、Al、およびSnからなる群より選択される金属との合金が使用できる。上記リチウムをドープおよび脱ドープ可能な物質としては、Si、SiO
x(0<x<2)、Si−C複合体、Si−Y合金、Sn、SnO
2、Sn−C複合体、Sn−Yなどが挙げられ、また、これらのうちの少なくとも1つとSiO
2を混合して使用してもよい。上記元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせからなる群より選択できる。上記遷移金属酸化物としては、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などが挙げられる。
【0041】
上記バインダーは、負極活物質粒子を互いによく付着させ、また、負極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たし、その代表例として、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルクロライド、カルボキシル化されたポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリレーテッドスチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
上記導電剤は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を起こさずに電子伝導性材料であればいずれでも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0043】
上記負極112および上記正極114はそれぞれ、活物質、導電剤、およびバインダーを溶媒中で混合して、活物質組成物を製造し、この組成物を集電体に塗布して製造する。
【0044】
このような電極の製造方法は、当該分野で広く知られた内容であるので、本明細書で詳細な説明は省略する。上記溶媒としては、N−メチルピロリドンなどを使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0045】
上記電解液は、非水性有機溶媒とリチウム塩を含む。
【0046】
上記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動可能な媒質の役割を果たす。上記非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系および非プロトン性溶媒から選択できる。
【0047】
上記カーボネート系溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などが使用できる。
【0048】
特に、鎖状カーボネート化合物および環状カーボネート化合物を混合して使用する場合、誘電率を高めると同時に、粘性が小さい溶媒として製造できて良い。この場合、環状カーボネート化合物および鎖状カーボネート化合物は、約1:1〜1:9の体積比で混合して使用することができる。
【0049】
また、上記エステル系溶媒としては、例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、ジメチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、γ−ブチロラクトン、デカノリド、バレロラクトン、メバロノラクトン、カプロラクトンなどが使用できる。上記エーテル溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラグリム、ジグリム、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどが使用可能であり、上記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどが使用できる。さらに、上記アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどが使用できる。
【0050】
上記非水性有機溶媒は、単独または1つ以上を混合して使用することができ、1つ以上を混合して使用する場合の混合比率は、目的の電池性能に応じて適切に調整可能である。
【0051】
上記非水性電解液は、エチレンカーボネート、ピロカーボネートなどの過充電防止剤のような添加剤をさらに含んでもよい。
【0052】
上記リチウム塩は、有機溶媒に溶解して、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極との間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。
【0053】
上記リチウム塩の具体例としては、LiPF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAsF
6、LiN(SO
3C
2F
5)
2、LiC
4F
9SO
3、LiClO
4、LiAlO
2、LiAlCl
4、LiN(C
xF
2x+1SO
2)(C
yF
2y+1SO
2)(ここで、xおよびyは自然数である、例えば1−20である)、LiCl、LiI、LiB(C
2O
4)
2(リチウムビスオキサラトボレート(LiBOB)、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
上記リチウム塩の濃度は、約0.1M〜約2.0Mの範囲内で使用するのが良い。リチウム塩の濃度が上記範囲に含まれると、電解液が適切な伝導度および粘度を有するため、優れた電解液性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動できる。
【0055】
上記セパレータ113は、負極112と正極114とを分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するもので、リチウム電池で通常使用されるものであればすべて使用可能である。つまり、電解質のイオンの移動に対して低抵抗かつ電解液含湿能力に優れたものが使用できる。例えば、ガラス繊維、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またはこれらの組み合わせの中から選択されたものであって、不織布または織布形態でも構わない。例えば、リチウムイオン電池には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのようなポリオレフィン系高分子セパレータが主に使用され、耐熱性または機械的強度確保のために、セラミック成分または高分子物質の含まれているコーティングされたセパレータが使用されてもよいし、選択的に単層または多層構造で使用されてもよい。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載の実施例は本発明を具体的に例示または説明するためのものに過ぎず、これによって本発明が制限されてはならない。
また、ここに記載されていない内容は、この技術分野における熟練した者であれば十分に技術的に類推できるので、その説明を省略する。
【0057】
(リチウム金属リン酸化物の製造)
「製造例1:LZMTPの製造」
CH
3COOLi・2H
2O、Ti[OCH(CH
3)
2]
4、NH
4H
2PO
4、ジルコニウムアセチルアセトネート(C
20H
28O
8Zr)、およびMg(CH
3COO)
2・4H
2Oを最終物質のモル比どおりに混合した混合物と、水、エタノール、およびイソプロピルアルコールの混合溶媒(8:38:54の重量比)を混合して、Li
1.5Zr
0.2Mg
0.3Ti
1.5(PO
4)
3を含有する溶液を製造した。
【0058】
「比較製造例1:LATPの製造」
CH
3COOLi・2H
2O、Al(NO
3)
3・9H
2O、Ti[OCH(CH
3)
2]
4、およびNH
4H
2PO
4を最終物質のモル比どおりに混合した混合物と、水、エタノール、およびイソプロピルアルコールの混合溶媒(8:38:54の重量比)を混合して、Li
1.3Al
0.3Ti
1.7(PO
4)
3を含有する溶液を製造した。
【0059】
(正極活物質の製造)
「実施例1」
製造例1で製造されたLZMTPを含有する溶液にLiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2(NCM)を添加して撹拌した後、上記混合物を撹拌しながら120℃で乾燥した後、不活性ガス雰囲気下、750℃で120分間焼結して、LZMTPでコーティングされたNCMを製造した。この時、上記LZMTPの含有量は、上記NCM100重量部に対して、1重量部で使用された。
【0060】
「比較例1」
LiNi
1/3Co
1/3Mn
1/3O
2(NCM)を正極活物質として使用した。
【0061】
「実施例2」
製造例1で製造されたLZMTPを含有する溶液にLiNi
87.5Co
11Al
1.5O
2(NCA)を添加して撹拌した後、この混合物を撹拌しながら120℃で乾燥した後、不活性ガス雰囲気下、750℃で120分間焼結して、LZMTPでコーティングされたNCAを製造した。この時、このLZMTPの含有量は、NCA100重量部に対して、1重量部で使用された。
【0062】
「比較例2」
LiNi
87.5Co
11Al
1.5O
2(NCA)を正極活物質として使用した。
【0063】
「比較例3」
製造例1で製造されたLZMTPの代わりに、比較製造例1で製造されたLATPを使用したことを除いては、実施例1と同様の方法によってLATPでコーティングされたNCAを製造した。
【0064】
(リチウム二次電池の作製)
上記実施例1および2と比較例1〜3でそれぞれ製造された正極活物質94重量%、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)3重量%、およびカーボンブラック3重量%を混合した後、N−メチル−2−ピロリドンに分散させて、スラリーを製造した。次に、15μmの厚さのアルミニウム箔上に上記スラリーを塗布および乾燥後、圧延して、正極を製造した。
【0065】
上記正極の対極には金属リチウムを用いて、コインタイプの半電池を作製した。この時、電解液としては、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびジエチルカーボネート(DEC)を3:6:1の体積比で混合した溶媒に、1.15MのLiPF
6を溶解して製造されたものを使用した。
【0066】
「評価1:リチウム金属リン酸化物のSEM写真」
図2Aおよび
図2Bは、製造例1によるリチウム金属リン酸化物の走査電子顕微鏡(SEM)写真であって、それぞれ10,000倍率および30,000倍率で拡大した写真である。
図2Aおよび
図2Bを参照すれば、製造例1の製造方法によれば、LZMTPのリチウム金属リン酸化物が製造されたことが分かる。
【0067】
「評価2:正極活物質のSEM写真」
図3Aおよび
図3Bは、実施例1による正極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真であって、それぞれ10,000倍率および30,000倍率で拡大した写真である。また、
図4Aおよび
図4Bは、比較例1による正極活物質の走査電子顕微鏡(SEM)写真であって、それぞれ10,000倍率および30,000倍率で拡大した写真である。
【0068】
図3A〜
図4Bを参照すれば、実施例1の正極活物質は、NCMの表面にLZMTPがコーティングされて形成されたことが分かる。
【0069】
「評価3:正極活物質のXRD分析」
図5は、実施例1による正極活物質のX線回折(XRD)分析グラフである。
図5を参照すれば、23.5°〜25.5°で現れる主ピークはLi
1.5Zr
0.2Mg
0.3Ti
1.5(PO
4)
3に関するもので、ナシコン構造であることを確認することができる。
【0070】
「評価4:正極活物質のDSC分析」
実施例2および比較例2によるコインセルを4.5Vに完全充電した状態で、セルを解体して正極極板のみを取った後、ジメチルカーボネート(DMC)に浸してリチウム塩を除去した後、乾燥させて、極板を用意した。用意された極板からアルミニウム(Al)薄膜を除いた正極のみを取って、DSC用耐圧ファンに5mgを入れた後、コインセルに使用した電解液と同一の電解液を2μl挿入してよく閉じた後、DSC測定を進行させた。その結果は
図6の通りである。
【0071】
図6は、実施例2および比較例2による正極活物質の示差走査熱量測定法(DSC)分析グラフである。
【0072】
図6を参照すれば、LZMTPでコーティングされたNCAを正極活物質として用いた実施例2の場合、NCAを正極活物質として用いた比較例2の場合と比較して、発熱量が減少したことを確認することができる。これによって、4価元素と2価元素を含むリチウム金属リン酸化物でコーティングされたコア物質を正極活物質として用いた場合、コーティングされていないコア物質対比、リチウム二次電池の熱的安全性に寄与できることが分かる。
【0073】
「評価5:リチウム二次電池のインピーダンス」
実施例2と比較例2および3による正極を3X5cmのサイズに切断し、リチウム金属を極板の前後面に分離膜を挟んで密着させてテフロン(登録商標)板で固定させた後、コインセルに使用した電解液と同一の電解液を用いてパウチ内に入れて、各面に熱を加えて密封する方法でパウチタイプの3電極セルをそれぞれ作製した。
【0074】
作製された3電極パウチセルを用いて、100KHz〜10mHz、10mVの単位でインピーダンスを測定した。その結果は
図7Aおよび
図7Bの通りである。
【0075】
図7Aおよび
図7Bは、実施例2と比較例2および3による正極活物質を用いたリチウム二次電池のインピーダンスグラフであって、それぞれ0.1Cで1番目充電と、1Cで15番目充電した場合である。
【0076】
図7Aおよび
図7Bを参照すれば、LZMTPでコーティングされたNCAを正極活物質として用いた実施例2の場合、NCAを用いた比較例2およびLATPでコーティングされたNCAを用いた比較例3の場合と比較して、界面での抵抗を含む全体抵抗が大きく低減され、寿命が進んだ後の抵抗の差はより大きく増加したことを確認することができる。
【0077】
「評価6:リチウム二次電池の効率」
実施例2および比較例2による正極活物質を用いたリチウム二次電池の効率を測定して、その結果を
図8および
図9に示した。
【0078】
図8の結果は次の条件で得られた結果である。
1.充電:0.1C、4.5V、0.05Cカットオフ/放電:0.1C、3Vカットオフ
2.充電:0.2C、4.5V、0.05Cカットオフ/放電:0.2C、3Vカットオフ
3.充電:0.5C、4.5V、0.05Cカットオフ/放電:0.5C、3Vカットオフ
4.充電:1C、4.5V、0.05Cカットオフ/放電:1C、3Vカットオフ
5.充電:2C、4.5V、0.05Cカットオフ/放電:2C、3Vカットオフ
6.充電:3C、4.5V、0.05Cカットオフ/放電:3C、3Vカットオフ
7.充電:5C、4.5V、0.05Cカットオフ/放電:5C、3Vカットオフ
8.充電:7C、4.5V、0.05Cカットオフ/放電:7C、3Vカットオフ
【0079】
また、
図9に示された結果は、CCCVモードで、1Cの電流密度で4.5V、0.05Cカットオフ充電、およびCCモードで3Vカットオフ、1Cの電流密度で放電を50サイクル進行させて得られた結果である。
【0080】
図8は、実施例2および比較例2による正極活物質を用いたリチウム二次電池のC−rateに応じた効率のグラフであり、
図9は、実施例2および比較例2による正極活物質を用いたリチウム二次電池のサイクルに応じた効率のグラフである。
【0081】
図8および
図9を参照すれば、正極活物質としてLZMTPでコーティングされたNCAを用いた実施例2の場合、NCAを用いた比較例2の場合と比較して、高率へいくほど、また、サイクルが進むほど、充放電効率特性に優れていることを確認することができる。これによって、4価元素と2価元素を含むリチウム金属リン酸化物でコーティングされたコア物質を正極活物質として用いた場合、コーティングされていないコア物質対比、リチウム二次電池の効率特性により優れていることが分かる。
【0082】
「評価7:リチウム二次電池の寿命特性」
実施例1および比較例1による正極活物質を用いたリチウム二次電池の寿命特性を測定して、その結果を
図10に示した。
【0083】
充電は、CCCVモードで3Vから4.5Vまで0.05Cでカットオフし、放電は、CCモードで4.5Vから3Vカットオフで進行させ、充電および放電C−rateは、0.1C、0.2C、0.5C、1C、2C、3C、5Cおよび7Cの順に進行させた。次に、充電は、CCCVモードで1Cの電流密度で4.5V、0.05Cカットオフし、放電は、CCモードで3Vカットオフ、1Cの電流密度で50サイクル進行させた。
【0084】
図10は、実施例1および比較例1による正極活物質を用いたリチウム二次電池のサイクル寿命特性を示すグラフである。
【0085】
図10を参照すれば、正極活物質としてLZMTPでコーティングされたNCMを用いた実施例1の場合、NCMを用いた比較例1対比、サイクル寿命特性に優れていることを確認することができる。これによって、4価元素と2価元素を含むリチウム金属リン酸化物でコーティングされたコア物質を正極活物質として用いた場合、コーティングされていないコア物質対比、リチウム二次電池の寿命特性により優れていることが分かる。
【0086】
「評価8:リチウム二次電池の効率特性」
実施例1および比較例1による正極活物質を用いたリチウム二次電池の効率特性を測定して、その結果を
図11に示した。
【0087】
上記効率特性測定のために、充電は、CCCVモードで3Vから4.5Vまで0.05Cでカットオフ(cut−off)し、放電は、CCモードで4.5Vから3Vカットオフで進行させ、充電および放電C−rateは、0.1C、0.2C、0.5C、1C、2C、3C、5Cおよび7Cの順に進行させた。
【0088】
図11は、実施例1および比較例1による正極活物質を用いたリチウム二次電池の効率特性を示すグラフである。
【0089】
図11を参照すれば、正極活物質としてLZMTPでコーティングされたNCMを用いた実施例1の場合、NCMを用いた比較例1対比して、効率特性に優れていることを確認することができる。これによって、4価元素と2価元素を含むリチウム金属リン酸化物でコーティングされたコア物質を正極活物質として用いた場合、コーティングされていないコア物質に対比して、リチウム二次電池の効率特性により優れていることが分かる。
【0090】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。