特許第6670189号(P6670189)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6670189ベースプレート構造体及びその製造方法、基板固定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670189
(24)【登録日】2020年3月3日
(45)【発行日】2020年3月18日
(54)【発明の名称】ベースプレート構造体及びその製造方法、基板固定装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20200309BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20200309BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   H01L21/302 101G
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-126895(P2016-126895)
(22)【出願日】2016年6月27日
(65)【公開番号】特開2018-6381(P2018-6381A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2018年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】506345993
【氏名又は名称】東北精密株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】白岩 則雄
(72)【発明者】
【氏名】安藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】高塚 健治
(72)【発明者】
【氏名】小菅 一弘
【審査官】 杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−052015(JP,A)
【文献】 特開2000−311932(JP,A)
【文献】 特開2007−227789(JP,A)
【文献】 特開平09−059770(JP,A)
【文献】 特開2000−143361(JP,A)
【文献】 特開2008−205415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着対象物を吸着保持する静電チャックと、前記静電チャックを搭載するベースプレートと、を備えた基板固定装置であって、
アルミニウム製のベースプレートと、
前記ベースプレートの前記静電チャックを搭載する側とは反対側に開口する開口部内に設けられた、アルミニウムよりも耐食性の高い金属製の水路形成部と、
前記水路形成部に設けられた、前記水路形成部が壁面を構成する水路と、を有し、
前記水路は、互いに対向する領域を備えるように蛇行して形成され、前記互いに対向する領域の間は前記アルミニウムよりも耐食性の高い金属で満たされており、
前記ベースプレートと前記水路形成部とが直接接合されていることを特徴とする基板固定装置。
【請求項2】
前記ベースプレートと前記水路形成部との接合部において、前記ベースプレートを構成するアルミニウムと前記水路形成部を構成する金属とが相互に拡散していることを特徴とする請求項1に記載の基板固定装置。
【請求項3】
前記水路形成部を構成する金属は、ステンレス(SUS316L)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板固定装置。
【請求項4】
吸着対象物を吸着保持する静電チャックと、前記静電チャックを搭載するベースプレートと、を備えた基板固定装置に用いるベースプレート構造体であって、
アルミニウム製のベースプレートと、
前記ベースプレートの前記静電チャックを搭載する側とは反対側に開口する開口部内に設けられた、アルミニウムよりも耐食性の高い金属製の水路形成部と、
前記水路形成部に設けられた、前記水路形成部が壁面を構成する水路と、を有し、
前記水路は、互いに対向する領域を備えるように蛇行して形成され、前記互いに対向する領域の間は前記アルミニウムよりも耐食性の高い金属で満たされており、
前記ベースプレートと前記水路形成部とが直接接合されていることを特徴とするベースプレート構造体。
【請求項5】
前記ベースプレートと前記水路形成部との接合部において、前記ベースプレートを構成するアルミニウムと前記水路形成部を構成する金属とが相互に拡散していることを特徴とする請求項に記載のベースプレート構造体。
【請求項6】
前記水路形成部を構成する金属は、ステンレス(SUS316L)であることを特徴とする請求項4又は5に記載のベースプレート構造体。
【請求項7】
吸着対象物を吸着保持する静電チャックと、前記静電チャックを搭載するベースプレートと、を備えた基板固定装置に用いるベースプレート構造体の製造方法であって、
アルミニウムよりも耐食性の高い金属製の水路形成部に、前記水路形成部が壁面を構成する水路を形成する工程と、
アルミニウム製のベースプレートの前記静電チャックを搭載する側とは反対側に開口する開口部内に、前記水路形成部を拡散接合により直接接合する工程と、を有し、
前記水路は、互いに対向する領域を備えるように蛇行して形成され、前記互いに対向する領域の間は前記アルミニウムよりも耐食性の高い金属で満たされることを特徴とするベースプレート構造体の製造方法。
【請求項8】
前記水路形成部を構成する金属は、ステンレス(SUS316L)であることを特徴とする請求項に記載のベースプレート構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースプレート構造体及びその製造方法、基板固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICやLSI等の半導体装置を製造する際に使用される成膜装置(例えば、CVD装置やPVD装置等)やプラズマエッチング装置は、ウェハを真空の処理室内に精度良く保持するためのステージを有する。このようなステージとして、例えば、ベースプレートに搭載された静電チャックにより吸着対象物であるウェハを吸着保持する基板固定装置が提案されている。
【0003】
基板固定装置を、例えば、半導体のドライエッチングプロセスに使用する場合、ウェハはプラズマによって容易に加熱され、ウェハの温度が上昇してエッチングマスクのフォトレジストが熱損傷を受けたり、エッチング形状が悪化したりする。そのため、エッチング中はウェハを所定の温度に冷却する必要があり、例えば、ベースプレートに水路を設けて温度制御することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−156691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アルミニウム製のベースプレートを用いる場合、アルミニウムに直接水路を形成するとアルミニウムに形成した水路の壁面が水によって腐食する問題がある。この対策として、例えば、アルミニウムに形成した水路の壁面をアルマイト処理する対策も検討されているが、エッジ部でアルマイトの剥がれが生じる等、信頼性が十分ではない。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、アルミニウム製のベースプレートに信頼性の高い水路を形成した基板固定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本基板固定装置は、吸着対象物を吸着保持する静電チャックと、前記静電チャックを搭載するベースプレートと、を備えた基板固定装置であって、アルミニウム製のベースプレートと、前記ベースプレートの前記静電チャックを搭載する側とは反対側に開口する開口部内に設けられた、アルミニウムよりも耐食性の高い金属製の水路形成部と、前記水路形成部に設けられた、前記水路形成部が壁面を構成する水路と、を有し、前記水路は、互いに対向する領域を備えるように蛇行して形成され、前記互いに対向する領域の間は前記アルミニウムよりも耐食性の高い金属で満たされており、前記ベースプレートと前記水路形成部とが直接接合されていることを要件とする。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、アルミニウム製のベースプレートに信頼性の高い水路を形成した基板固定装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態に係る基板固定装置を簡略化して例示する断面図である。
図2】第1の実施の形態に係るベースプレートの組立前の斜視図である。
図3】第2の実施の形態に係る基板固定装置を簡略化して例示する断面図である。
図4】第3の実施の形態に係る基板固定装置を簡略化して例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
〈第1の実施の形態〉
図1は、第1の実施の形態に係る基板固定装置を簡略化して例示する断面図である。図1を参照するに、基板固定装置1は、主要な構成要素として、ベースプレート10と、静電チャック50とを有している。なお、図1では、基板固定装置1が、静電チャック50上に吸着対象物であるウェハ100を吸着保持している状態を示している。ウェハ100の直径は、例えば、8、12、又は18インチ程度とすることができる。
【0012】
ベースプレート10は、静電チャック50を搭載するための部材である。ベースプレート10の厚さは、例えば、20〜50mm程度とすることができる。ベースプレート10は、プラズマを制御するための電極等としても利用されるため、アルミニウムから形成されている。ベースプレート10に所定の高周波電力を給電することで、発生したプラズマ状態にあるイオン等をウェハ100に衝突させるためのエネルギーを制御し、エッチング処理を効果的に行うことができる。
【0013】
ベースプレート10の内部には水路形成部20が設けられている。又、水路形成部20には、水路形成部20が壁面を構成する水路30が設けられている。すなわち、水路30内を流れる冷却水が水路形成部20以外の部分(すなわち、アルミニウム)に触れない構造とされている。水路30は、一端に冷却水導入部30aを備え、他端に冷却水排出部30bを備えている。水路形成部20の厚さ(壁面の厚さ)は、例えば、1〜3mm程度とすることができる。水路30の幅は、例えば、5〜15mm程度とすることができる。
【0014】
水路形成部20は、アルミニウム製のベースプレート10よりも耐食性が高い金属により形成されている。水路形成部20は、例えば、ステンレス、銅、チタン等により形成することができる。なお、ベースプレート10を構成するアルミニウムと水路形成部20を構成するステンレス等の金属とは、ろう材等を介すことなく直接接合されている。
【0015】
水路30は、基板固定装置1の外部に設けられた冷却水制御装置(図示せず)に接続されている。冷却水制御装置(図示せず)は、冷却水導入部30aから水路30に冷却水を導入し、冷却水排出部30bから冷却水を排出する。水路30に冷却水を循環させベースプレート10を冷却することで、静電チャック50を介してウェハ100を冷却することができる。
【0016】
ベースプレート10には、水路30の他に、ウェハ100を冷却する不活性ガスを導入するガス路や、ウェハ100を加熱する発熱体を設けてもよく、これらを設けることで、静電チャック50を介してウェハ100の温度制御を行うことができる。
【0017】
なお、ベースプレート10と、ベースプレート10に設けられた水路形成部20と、水路形成部20に設けられた水路30とを含む部分をベースプレート構造体と称する場合がある。
【0018】
静電チャック50は、ベースプレート10の上面の中央部に、熱伝導率の良いシリコーン等からなる接着層40を介して固定されている。静電チャック50は、基体51と、静電電極52とを有している。静電チャック50は、例えば、ジョンセン・ラーベック型静電チャックである。但し、静電チャック50は、クーロン力型静電チャックであってもよい。
【0019】
基体51は誘電体であり、基体51としては、例えば、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックスを用いることができる。基体51の厚さは、例えば、1〜10mm程度、基体51の比誘電率(1KHz)は、例えば、9〜10程度とすることができる。
【0020】
静電電極52は、薄膜電極であり、基体51に内蔵されている。静電電極52は、基板固定装置1の外部に設けられた直流電源200に接続され、所定の電圧が印加されると、ウェハ100との間に静電気による吸着力が発生し、静電チャック50上にウェハ100を吸着保持することができる。吸着保持力は、静電電極52に印加される電圧が高いほど強くなる。静電電極52は、単極形状でも、双極形状でも構わない。静電電極52の材料としては、例えば、タングステン、モリブデン等を用いることができる。
【0021】
フォーカスリング60は、ベースプレート10の上面の周辺部に、静電チャック50を囲むように設けられている。フォーカスリング60は、ベースプレート10の上面のアルミニウムがプラズマに曝されないように保護するものであり、例えば、ガラスやセラミックス等により形成することができる。
【0022】
図2は、第1の実施の形態に係るベースプレートの組立前の斜視図であり、ベースプレート10に水路形成部20を接合する前の状態を示している。但し、図2の各部材は、図1のベースプレート10とは上下が反転した状態で描かれている。
【0023】
ベースプレート10は、第1部材10と第2部材10とが水路形成部20を挟んで接合されたものである。
【0024】
第1部材10は円盤状の部材であり、冷却水導入部30aに対応する部分に位置する貫通孔10xと、冷却水排出部30bに対応する部分に位置する貫通孔10yとが形成されている。第1部材10は、例えば、NC加工(Numerical Control machining)により作製することができる。
【0025】
第2部材10は、第1部材10よりも板厚が厚く第1部材10と略同径の円盤状の部材であり、水路形成部20を埋め込むための蛇行する有底の溝10zが、水路形成部20の形状に合わせて設けられている。第2部材10は、例えば、NC加工により作製することができる。
【0026】
ベースプレート10は、例えば、HIP(Hot Isostatic Pressing:熱間等方圧加圧加工)法等の拡散接合により作製することができる。なお、拡散接合とは、母材を密着させ、母材の融点以下の温度条件で、塑性変形をできるだけ生じない程度に加圧して、接合面間に生じる原子の拡散を利用して接合する方法である。
【0027】
HIP法によりベースプレート10を作製するには、まず、第2部材10の溝10z内に水路形成部20を埋め込む。そして、第2部材10上に第1部材10を重ね合せ、真空中で加熱及び加圧して接合を行う。この時、圧力は上下方向のみでなく多方向から印加する必要がある(全方向からの略均等圧とする必要がある)。
【0028】
例えば、第1部材10及び第2部材10としてアルミニウム(A6061)を用い、水路形成部20としてステンレス(SUS316L)を用いる場合には、加熱温度は400〜550℃程度、圧力は0.5〜1.0t/cmとすることができる。
【0029】
HIP法により接合された第1部材10と第2部材10とは、界面のない状態で(すなわち、隙間が全くない状態で)一体化され、直接接合される。同様に、第1部材10及び第2部材10と水路形成部20とは、界面のない状態で(すなわち、隙間が全くない状態で)一体化され、ベースプレート10と水路形成部20の外壁とが直接接合される。
【0030】
ベースプレート10と水路形成部20との接合部に界面が形成されない理由は、HIP法では、ベースプレート10を構成するアルミニウムと水路形成部20を構成する金属とが両者の接合部において相互に拡散して原子レベルで接合されるためである。
【0031】
なお、水路30を備えた水路形成部20を形成するには、例えば、図2の水路形成部20を上下方向に2分する部材をNC加工等により作製し、2分した部材同士を上記と同様のHIP法により直接接合すればよい。これにより、内部に水路30を備えた界面のない水路形成部20を形成することができる。但し、水路30を備えた水路形成部20を形成する方法は、HIP法等の拡散接合には限定されない。
【0032】
このように、第1の実施の形態に係る基板固定装置1では、アルミニウム製のベースプレート10に直接水路を形成するのではなく、ベースプレート10の内部に水路形成部20を設け、水路形成部20に水路30を形成している。この際、水路形成部20の材料としてアルミニウムよりも耐食性が高い金属を選択し、ベースプレート10と水路形成部20とを拡散接合により直接接合する。
【0033】
これにより、ベースプレート10と水路30を有する水路形成部20とが界面がない状態で一体化されるため、アルミニウム製のベースプレート10に信頼性の高い水路30を形成することができる。
【0034】
又、アルミニウムよりも耐食性が高い金属からなる水路形成部20が水路30の壁面を構成するため、水路30内を流れる冷却水が水路形成部20以外の部分(すなわち、アルミニウム)に触れない構造となる。その結果、冷却水によるアルミニウムの腐食を防止することが可能となる。
【0035】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、第1の実施の形態とは構造が異なる基板固定装置の例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0036】
図3は、第2の実施の形態に係る基板固定装置を簡略化して例示する断面図である。図3を参照するに、基板固定装置2は、ベースプレート10及び水路形成部20が、ベースプレート10A及び水路形成部20Aに置換された点が基板固定装置1(図1参照)と相違する。
【0037】
基板固定装置2において、ベースプレート10Aの内部には水路形成部20Aが設けられている。より詳しくは、ベースプレート10Aは下側に開口する円筒状の開口部を備え、ベースプレート10Aの開口部内には円盤状の水路形成部20Aが埋め込まれている。又、水路形成部20Aには、水路形成部20Aが壁面を構成する水路30が設けられている。すなわち、水路30内を流れる冷却水が水路形成部20A以外の部分(すなわち、アルミニウム)に触れない構造とされている。
【0038】
水路形成部20Aは、アルミニウムからなるベースプレート10Aよりも耐食性が高い金属により形成されている。水路形成部20Aは、例えば、ステンレス、銅、チタン等により形成することができる。なお、ベースプレート10Aを構成するアルミニウムと水路形成部20Aを構成するステンレス等の金属とは、HIP法等の拡散接合により直接接合されている。
【0039】
なお、ベースプレート10と同様にベースプレート10Aにも高周波電力を給電するため、静電チャック50側にアルミニウムの領域が必要となる。従って、ベースプレート10A自体をステンレス等の金属から形成することはできない。
【0040】
このように、基板固定装置2では、基板固定装置1と同様に、ベースプレート10Aと水路30を有する水路形成部20Aとが界面がない状態で一体化されるため、アルミニウム製のベースプレート10Aに信頼性の高い水路30を形成することができる。
【0041】
又、アルミニウムよりも耐食性が高い金属からなる水路形成部20Aが水路30の壁面を構成するため、水路30内を流れる冷却水が水路形成部20A以外の部分(すなわち、アルミニウム)に触れない構造となる。その結果、冷却水によるアルミニウムの腐食を防止することが可能となる。
【0042】
なお、ベースプレート10Aと、ベースプレート10Aに設けられた水路形成部20Aと、水路形成部20Aに設けられた水路30とを含む部分をベースプレート構造体と称する場合がある。
【0043】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、第1の実施の形態とは構造が異なる基板固定装置の他の例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0044】
図4は、第3の実施の形態に係る基板固定装置を簡略化して例示する断面図である。図4を参照するに、基板固定装置3は、ベースプレート10及び水路形成部20が、ベースプレート10B及び水路形成部20Bに置換された点が基板固定装置1(図1参照)と相違する。
【0045】
基板固定装置3において、ベースプレート10Bの外部には水路形成部20Bが設けられている。より詳しくは、ベースプレート10Bは円盤状に形成され、円盤状のベースプレート10Bの下側に、ベースプレート10Bと略同径の円盤状の水路形成部20Bが設けられている。又、水路形成部20Bには、水路形成部20Bが壁面を構成する水路30が設けられている。すなわち、水路30内を流れる冷却水が水路形成部20B以外の部分(すなわち、アルミニウム)に触れない構造とされている。
【0046】
水路形成部20Bは、アルミニウムからなるベースプレート10Bよりも耐食性が高い金属により形成されている。水路形成部20Bは、例えば、ステンレス、銅、チタン等により形成することができる。なお、ベースプレート10Bを構成するアルミニウムと水路形成部20Bを構成するステンレス等の金属とは、HIP法等の拡散接合により直接接合されている。
【0047】
なお、ベースプレート10と同様にベースプレート10Bにも高周波電力を給電するため、静電チャック50側にアルミニウムの領域が必要となる。従って、ベースプレート10B自体をステンレス等の金属から形成することはできない。
【0048】
このように、基板固定装置3では、基板固定装置1と同様に、ベースプレート10Bと水路30を有する水路形成部20Bとが界面がない状態で一体化されるため、アルミニウム製のベースプレート10Bに信頼性の高い水路30を形成することができる。
【0049】
又、アルミニウムよりも耐食性が高い金属からなる水路形成部20Bが水路30の壁面を構成するため、水路30内を流れる冷却水が水路形成部20B以外の部分(すなわち、アルミニウム)に触れない構造となる。その結果、冷却水によるアルミニウムの腐食を防止することが可能となる。
【0050】
なお、ベースプレート10Bと、ベースプレート10Bに設けられた水路形成部20Bと、水路形成部20Bに設けられた水路30とを含む部分をベースプレート構造体と称する場合がある。
【0051】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0052】
1、2、3 基板固定装置
10、10A、10B ベースプレート
10 第1部材
10 第2部材
10x、10y 貫通孔
10z 溝
20、20A、20B 水路形成部
30 水路
30a 冷却水導入部
30b 冷却水排出部
40 接着層
50 静電チャック
51 基体
52 静電電極
図1
図2
図3
図4