(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の液晶表示素子について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、液晶表示素子の一実施形態に模式的に示す分解斜視図、
図2は、
図1中のII線で囲まれた領域の一例を拡大して示す平面図、
図3は、
図2中のIII−III線断面図、
図4は、配向膜により誘起された液晶分子の配向方向を模式的に示す図である。
【0024】
なお、
図1〜
図4(後述する
図5および
図6においても同様)では、便宜上、各部の寸法およびそれらの比率を誇張して示し、実際とは異なる場合がある。また、以下に示す材料、寸法等は一例であって、本発明は、それらに限定されず、その要旨を変更しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0025】
また、説明の都合上、
図1中の右側を「上側」と、左側を「下側」と言い、
図2、
図4および
図5中の紙面手前側を「上側」と、左側を「下側」と言い、
図3および
図6中の上側を「上側」と、下側を「下側」と言う。
【0026】
図1に示す液晶表示素子10は、FFSモードの液晶表示素子である。この液晶表示素子10は、アクティブマトリックス基板AMと、アクティブマトリックス基板AMに対して対向配置されたカラーフィルタ基板CFと、これらの基板AM、CF同士の間に挟持され、液晶組成物で構成された液晶層5とを有している。
【0027】
アクティブマトリックス基板AMは、下側基板2と、下側基板2の上面(液晶層5側の面)に形成された電極層3とを備えている。一方、カラーフィルタ基板CFは、上側基板7と、上側基板7の下面(液晶層5側の面)に形成されたカラーフィルタ6とを備えている。
【0028】
また、液晶層5と電極層3およびカラーフィルタ6との間には、それぞれ配向膜4が設けられている。各配向膜4は、液晶層5を構成する液晶組成物と直接接触して、液晶組成物中の液晶分子のホモジニアス配向を誘起する。なお、液晶分子は、電圧無印加時に下側基板2および上側基板7に対してほぼ平行になるように配向されている。
【0029】
図1および
図3に示すように、下側基板2の下面および上側基板7の上面には、それぞれ偏光板1、8が設けられている。
【0030】
このように、本実施形態の液晶表示素子10は、下側偏光板1と、下側基板2と、薄膜トランジスタを含む電極層3と、配向膜4と、液晶組成物で構成された液晶層5と、配向膜4と、カラーフィルタ6と、上側基板7と、上側偏光板8とが順次積層された構成を有している。
【0031】
下側基板2および上側基板7は.それぞれガラスまたはプラスチックのような柔軟性を有する透明な材料で構成することができる。なお、下側基板2および上側基板7の一方を、シリコン等の不透明な材料で構成するようにしてもよい。
【0032】
アクティブマトリックス基板AMおよびカラーフィルタ基板CFの周辺領域には、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール材が配置され、このシール材によってアクティブマトリックス基板AMとカラーフィルタ基板CFとが貼り合わされている。
【0033】
なお、アクティブマトリックス基板AMとカラーフィルタ基板CFとの間には、これらの離間距離を保持(規定)するために、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子等の粒状スペーサーまたはフォトリソグラフィー法により形成された樹脂からなるスペーサー柱が配置されていてもよい。
【0034】
図2に示すように、下側基板2の上面に形成され、薄膜トランジスタを含む電極層3は、走査信号を供給するための複数のゲートバスライン26と表示信号を供給するための複数のデータバスライン25とが、互いに交差してマトリックス状に配置されている。なお、
図2には、一対のゲートバスライン26および一対のデータバスライン25のみが示されている。
【0035】
2つのゲートバスライン26と2つのデータバスライン25とにより囲まれた領域により、液晶表示素子10の単位画素領域が形成され、この単位画素領域内には、共通電極21および画素電極22が形成されている。
【0036】
ゲートバスライン26とデータバスライン25とが互いに交差している交差部近傍には、ソース電極27、ドレイン電極24およびゲート電極28を含む薄膜トランジスタが設けられている。この薄膜トランジスタのドレイン電極24は、画素電極22に接続されており、画素電極22に表示信号を供給するスイッチ素子として機能する。
【0037】
また、ゲートバスライン26と並行して、共通ライン29が設けられている。この共通ライン29は、共通電極21に接続されており、共通電極21に共通信号を供給するように機能する。
【0038】
図3に示すように、薄膜トランジスタは、下側基板2の上面に形成されたゲート電極11(28)と、ゲート電極11を覆うように下側基板2のほぼ全面に形成されたゲート絶縁層12とを備えている。ゲート絶縁層12の上面には、ゲート電極11と対向するよう半導体層13が形成されている。また、保護膜14が、半導体層13の上面の一部を覆うように形成されている。
【0039】
この保護層14および半導体層13の一方の側端部を覆うように、オーミック接触層15を介してドレイン電極16(24)が設けられ、保護膜14および半導体層13の他方の側端部を覆うように、オーミック接触層15を介してソース電極17(27)が設けられている。さらに、ドレイン電極16およびソース電極17を覆うように、絶縁保護層18が形成されている。
【0040】
なお、ゲート電極11の上面には、ゲートバスライン26との段差を低減すること等を目的として、陽極酸化被膜(図示せず)を形成してもよい。
【0041】
半導体層13は、例えば、アモルファスシリコン、多結晶ポリシリコン等で構成することができる。その他、半導体層13に、ZnO、IGZO(In−Ga−Zn−O)、ITO等の透明半導体膜を用いると、光吸収に起因する光キャリアの弊害を抑制でき、液晶表示素子10の開口率を増大する観点からも好ましい。
【0042】
オーミック接触層15は、半導体層13とドレイン電極16およびソース電極17との間におけるショットキー障壁の幅や高さを低減する目的で設けられる。このオーミック接触層15は、n型アモルファスシリコンやn型多結晶ポリシリコン等に、リン等の不純物を高濃度に添加した材料で構成することができる。
【0043】
ゲートバスライン26、データバスライン25および共通ライン29は、それぞれ金属材料で構成することが好ましい。かかる金属材料としては、例えば、Al、Cu、Au、Ag、Cr、Ta、Ti、Mo、W、Niまたはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金が挙げられ、AlまたはAlを含む合金が好ましい。
【0044】
また、絶縁保護層18は、絶縁性を有する層であり、例えば、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素等で構成することができる。
【0045】
図2および
図3に示すように、画素電極22は、ゲート絶縁層12の上面に、各単位画素領域内のほぼ全面に形成された平板状の電極(ベタ電極)である。一方、共通電極21は、画素電極22を覆う絶縁保護層18の上面に形成された櫛歯形状をなす電極(一端で開放する複数のスリットを備える電極)である。
【0046】
本発明では、液晶表示素子10は、共通電極21が画素電極22より液晶層5側に絶縁保護層18を介して互いに重なりあって配置された液晶表示素子、いわゆるVOT(Vcommon on Top)タイプの液晶表示素子である。
【0047】
共通電極21および画素電極22は、それぞれ、例えばITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IZTO(Indium Zinc Tin Oxide)のような透明導電性材料で構成することができる。このように、共通電極21および画素電極22を透明導電性材料で構成することにより、液晶表示素子10の各単位画素領域における開口面積が大きくなり、開口率および透過率を増大させることができる。
【0048】
共通電極21と画素電極22とは、これらの間にフリンジ電界Eを形成するために、共通電極21と画素電極22との電極間距離(離間距離)Rが、アクティブマトリックス基板AMとカラーフィルタ基板CFとの基板間距離(離間距離)Gより小さくなるように配置されている。ここで、電極間距離Rは、共通電極21と画素電極22とが面方向において離間する距離を表す。
【0049】
図3には、平板状の画素電極22と櫛歯形状をなす共通電極21とが重なり合っており、電極間距離Rが0(ゼロ)となる例が示されている。電極間距離Rが基板間距離(すなわち、セルギャップ)Gよりも小さくなるため、フリンジ電界Eが形成される。
【0050】
したがって、このような液晶表示素子10は、共通電極21の櫛歯形状(櫛形)を形成するライン(分枝部分)に対して垂直な方向に形成される水平方向の電界と放物線状の電界とを利用することができる。
【0051】
この場合、共通電極21のラインの幅lおよび共通電極21のライン同士の間隙(スリット)の幅mは、発生する電界により液晶層5内の液晶分子30が全て駆動され得る程度に適宜調整することが好ましい。
【0052】
また、カラーフィルタ6には、光の漏れを防止する観点で、薄膜トランジスタおよびストレイジキャパシタ23に対応する部分に、ブラックマトリックス(図示せず)を形成することが好ましい。
【0053】
電極層3の上面およびカラーフィルタ6の下面にそれぞれ設けられた配向膜4は、例えば、ラビング処理が施されたポリイミド膜で構成することができ、2つの配向膜4の配向方向は平行である。
【0054】
ここで、
図4を用いて、配向膜4のラビング方向(液晶分子の配向方向)について説明する。液晶組成物が負の誘電率異方性を有する液晶分子30を含有する場合、共通電極21の櫛歯形状を形成するラインに対して垂直な方向(水平電界が形成される方向)をx軸としたとき、このx軸と液晶分子30の長軸方向とのなす角θが約0〜45°となるように、液晶分子30を配向させることが好ましい。なお、
図3には、x軸と液晶分子30の長軸方向とのなす角θが約0°の例が示されている。
【0055】
このように、液晶分子30の配向方向を誘起させることにより、液晶表示素子10の最大透過率を高めることができる。
【0056】
また、下側偏光板1および上側偏光板8は、それらの透過軸の関係を適宜設定することにより、液晶表示素子10に表示される画像の視野角やコントラストが良好になるように調整することができる。下側偏光板1および上側偏光板8は、それらの透過軸がノーマリブラックモードで作動するように、互いに直交するように配置することが好ましい。特に、上側偏光板1および下側偏光板8のうちの一方は、その透過軸が液晶分子30の配向方向と平行となるように配置することが好ましい。
【0057】
また、液晶表示素子10に表示される画像のコントラストが最大になるように、液晶分子(液晶組成物)の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。さらに、液晶表示素子10に表示される画像の視野角を広げるために、位相差フィルムを使用することもできる。
【0058】
このような構成の液晶表示素子10は、薄膜トランジスタを介して画素電極22に画像信号(電圧)を供給(印加)することで、共通電極21と画素電極22との間にフリンジ電界Eを生じさせ、この電界Eによって液晶分子30を駆動する。
【0059】
すなわち、電圧を印加しない状態では、液晶分子30は、その長軸方向が、配向膜4の配向方向と平行になるように配置している。電圧を印加すると、共通電極21と画素電極22との間に、放物線状の電界の等電位線が共通電極21および画素電極22の上部にまで形成され、液晶分子30は、形成された電界Eに沿って液晶層5内で回転する。
【0060】
本発明では、好ましくは負の誘電率異方性を有する液晶分子30を用いるため、液晶分子30の長軸方向が、発生した電界方向に直交するように回転する。共通電極21の近くに位置する液晶分子30は、フリンジ電界Eの影響を受け易い。
【0061】
しかしながら、負の誘電率異方性を有する液晶分子30は、その分極方向が短軸方向であることから、長軸方向が配向膜4の面方向に対して直交する方向(液晶層5の厚さ方向)に回転することはない。そのため、液晶層5内の全ての液晶分子30は、その長軸方向が配向膜4の面方向に対して平行な状態を維持することができる。
【0062】
したがって、負の誘電率異方性を有する液晶分子30を用いれば、より優れた透過率特性を有する液晶表示素子10を得ることができる。
【0063】
図1〜
図4を用いて説明した液晶表示素子10は一例であって、本発明の技術的思想から逸脱しない限りにおいて、他の様々な形態で実施することが可能である。例えば、液晶表示素子10は、
図5に示す構成とすることができる。
図5は、
図1中のII線で囲まれた領域の他の例を拡大して示す平面図である。
【0064】
図5に示す共通電極21は、両端が閉じた複数のスリット(平面視において長方形状をなす開口)を有し、連子状をなしている。なお、
図5に示す構成では、スリットのパターンが、ゲートバスライン26またはデータバスライン25に対して所定の角度で傾斜するように形成されているが、傾斜することなく形成されてもよい。
【0065】
また、
図6は、液晶表示素子の他の構成例を示す断面図(
図3に対応)である。
【0066】
図6に示す液晶表示素子10は、櫛歯形状または連子形状をなす画素電極22を有し、共通電極21と画素電極22との電極間距離(離間距離)Rがαとなっている。
【0067】
この場合、共通電極21のラインの幅l、画素電極22のラインの幅nおよび電極間距離Rは、発生する電界により液晶層5内の液晶分子30が全て駆動され得る程度に適宜調整することが好ましい。
【0068】
以上説明したような液晶表示素子10、すなわちVOTタイプの液晶表示素子10は、開口率が大きく、よって高い透過率を有し、高解像度の表示も可能となる。
【0069】
特に、本発明では、負の誘電率異方性を有し、25℃における誘電率異方性の絶対値が3以上である第1の液晶分子と、25℃における誘電率異方性の絶対値が2以下である第2の液晶分子とを含有する液晶組成物を用いる。第2の液晶分子は、誘電率異方性が小さいか、誘電率異方性を有さないため、液晶組成物の粘度(η)を低減することができる。このため、液晶層5(液晶表示素子10)の低電圧駆動が可能となる。
【0070】
第1の液晶分子と第2の液晶分子との量的な関係は、第1の液晶分子と第2の液晶分子との合計量に対する第2の液晶分子の量の比率で規定することができる。比率の好ましい下限値は、20%、23%、25%、28%、30%、33%、35%、38%、40%、43%、45%、48%、50%、53%、55%、58%である。一方、比率の好ましい上限値は、70%、68%、65%、63%、60%、58%、55%、53%、50%、48%、45%、43%、40%である。このように、比較的多い量で第2の液晶分子を含む液晶組成物を用いることにより、前記効果をより向上させることができる。
【0071】
液晶層5(液晶表示素子10)の応答速度の改善を重視する場合には、第2の液晶分子の比率を大きく設定することが好ましく、液晶組成物の誘電率異方性の改善を重視する場合には、第2の液晶分子の比率を小さく設定することが好ましい。
【0072】
液晶組成物中に含まれる第2の液晶分子の具体的な量は、10〜60質量%程度であることが好ましく、20〜50質量%程度であることがより好ましい。
【0073】
なお、本明細書中において、液晶組成物中に含まれる「化合物X」の量とは、液晶組成物の総質量に対する「化合物X」の質量の割合(百分率)を意味する。
【0074】
第1の液晶分子の誘電率異方性の絶対値は、3以上であればよいが、3.5〜5程度であることが好ましく、4〜5程度であることがより好ましい。かかる絶対値の誘電率異方性を有する第1の液晶分子であれば、フリンジ電界Eの作用により確実に駆動することができる。
【0075】
このような第1の液晶分子は、下記一般式(N−1)、(N−2)および(N−3)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。かかる第1の液晶分子は、誘電率異方性の絶対値が大きいことから好ましい。
【0077】
式中、R
N11、R
N12、R
N21、R
N22、R
N31およびR
N32は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基を表すが、該アルキル基中に存在する任意の1個または隣接しない2個以上の−CH
2−は、それぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−または−OCO−で置換されてもよい。
【0078】
A
N11、A
N12、A
N21、A
N22、A
N31およびA
N32は、それぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(該基中に存在する任意の1個または隣接しない2個以上の−CH
2−は、−O−で置換されてもよい。)、
(b) 1,4−フェニレン基(該基中に存在する任意の1個または隣接しない2個以上の−CH=は、−N=で置換されてもよい。)、
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基またはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(該基中に存在する任意の1個または隣接しない2個以上の−CH=は、−N=で置換されてもよい。)、および
(d) 1,4−シクロヘキセニレン基
からなる群より選ばれる基を表すが、上記の基(a)、基(b)、基(c)および基(d)は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子または塩素原子で置換されてもよい。
【0079】
Z
N11、Z
N12、Z
N21、Z
N22、Z
N31およびZ
N32は、それぞれ独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−を表す。
【0080】
X
N21は、水素原子またはフッ素原子を表す。
【0081】
T
N31は、−CH
2−または酸素原子を表す。
【0082】
n
N11、n
N12、n
N21、n
N22、n
N31およびn
N32は、それぞれ独立して、0〜3の整数を表すが、n
N11+n
N12、n
N21+n
N22およびn
N31+n
N32は、それぞれ独立して、1、2または3であり、A
N11〜A
N32、Z
N11〜Z
N32が複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0083】
R
N11、R
N12、R
N21、R
N22、R
N31およびR
N32は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基または炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基であることが好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基または炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基であることがより好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることがさらに好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基または炭素原子数2〜3のアルケニル基であることが特に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)であることが最も好ましい。
【0084】
また、それらは、ベンゼン環(芳香族環)である環構造に結合する場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基または炭素原子数4〜5のアルケニル基であることが好ましく、シクロヘキサン環、ピラン環、ジオキサン環のような飽和した環構造に結合する場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基または直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましい。なお、ネマチック相を安定化させるためには、それらの炭素原子の数(酸素原子を含む場合には、炭素原子の数と酸素原子の数との合計)が5以下であることが好ましく、直鎖状であることも好ましい。
【0085】
アルケニル基は、下記式(R1)〜(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。
【0087】
各式中の黒点は、環構造中の炭素原子を表す。
【0088】
A
N11、A
N12、A
N21、A
N22、A
N31およびA
N32は、それぞれ独立して、Δnを大きくすることが求められる場合には、芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましい。
【0089】
具体的には、A
N11、A
N12、A
N21、A
N22、A
N31およびA
N32は、それぞれ独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基または1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基であることが好ましく、下記化5の基のうちのいずれかであることがより好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基または1,4−フェニレン基であることがさらに好ましい。
【0091】
Z
N11、Z
N12、Z
N21、Z
N22、Z
N31およびZ
N32は、それぞれ独立して、−CH
2O−、−CF
2O−、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−または単結合であることが好ましく、−CH
2O−、−CH
2CH
2−または単結合であることがより好ましく、−CH
2O−または単結合がさらに好ましい。
【0092】
X
N21は、フッ素原子であることが好ましい。
【0093】
T
N31は、酸素原子であることが好ましい。
【0094】
n
N11+n
N12、n
N21+n
N22およびn
N31+n
N32は、1または2であることが好ましい。具体的には、n
N11が1でありn
N12が0である組み合わせ、n
N11が2でありn
N12が0である組み合わせ、n
N11が1でありn
N12が1である組み合わせ、n
N21が1でありn
N22が0である組み合わせ、n
N21が2でありn
N22が0である組み合わせ、n
N31が1でありn
N32が0である組み合わせ、n
N31が2でありn
N32が0である組み合わせが好ましい。
【0095】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、75質量%、80質量%である。一方、その好ましい上限値は、95質量%、85質量%、75質量%、65質量%、55質量%、45質量%、35質量%、25質量%、20質量%である。
【0096】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−2)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、75質量%、80質量%である。一方、その好ましい上限値は、95質量%、85質量%、75質量%、65質量%、55質量%、45質量%、35質量%、25質量%、20質量%である。
【0097】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−3)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、75質量%、80質量%である。一方、その好ましい上限値は、95質量%、85質量%、75質量%、65質量%、55質量%、45質量%、35質量%、25質量%、20質量%である。
【0098】
液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度を高める必要がある場合には、上記の下限値が低く、かつ上限値も低いことが好ましい。さらに、液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性を高める必要がある場合には、上記の下限値が低く、かつ上限値も低いことが好ましい。また、液晶組成物の駆動電圧を低く保つべく、その誘電率異方性を大きくしたい場合には、上記の下限値が高く、かつ上限値も高いことが好ましい。
【0099】
一般式(N−1)で表される化合物としては、下記一般式(N−1a)〜(N−1g)で表される化合物を挙げることができる。
【0101】
式中、R
N11およびR
N12は、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0109】
A
Ne11は、トランス−1,4−シクロへキシレン基または1,4−フェニレン基を表す。
【0110】
A
Ng11は、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基または1,4−フェニレン基を表すが、少なくとも1つは、1,4−シクロヘキセニレン基を表す。
【0111】
Z
Ne11は、単結合またはエチレン基を表すが、少なくとも1つは、エチレン基を表す。
【0112】
ただし、A
Ne11、Z
Ne11および/またはA
Ng11が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0113】
より具体的には、一般式(N−1)で表される化合物は、下記一般式(N−1−1)〜(N−1−21)で表される化合物から選ばれることが好ましい。
【0114】
一般式(N−1−1)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0116】
式中、R
N111およびR
N112は、それぞれ独立して、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0117】
R
N111は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましく、プロピル基、ペンチル基またはビニル基であることがより好ましい。
【0118】
R
N112は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、エトキシ基またはブトキシ基であることがより好ましい。
【0119】
一般式(N−1−1)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0120】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0121】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0122】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1−1)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には高めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0123】
その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%、23質量%、25質量%、27質量%、30質量%、33質量%、35質量%である。一方、その好ましい上限値は、50質量%、40質量%、38質量%、35質量%、33質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%、10質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、3質量%である。
【0124】
さらに、一般式(N−1−1)で表される化合物は、下記式(N−1−1.1)〜(N−1−1.25)で表される化合物から選ばれることが好ましく、下記式(N−1−1.1)〜(N−1−1.4)で表される化合物から選ばれることがより好ましく、下記式(N−1−1.1)および(N−1−1.3)で表される化合物から選ばれることがさらに好ましい。
【0126】
式(N−1−1.1)〜(N−1−1.25)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0127】
液晶組成物中に含まれる式(N−1−1.1)〜(N−1−1.25)で表される化合物の単独または併用での量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%、23質量%、25質量%、27質量%、30質量%、33質量%、35質量%である。一方、その好ましい上限値は、50質量%、40質量%、38質量%、35質量%、33質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%、10質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、3質量%である。
【0128】
一般式(N−1−2)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0130】
式中、R
N121およびR
N122は、それぞれ独立して、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0131】
R
N121は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基またはペンチル基であることがより好ましい。
【0132】
R
N122は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、メチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基であることがより好ましい。
【0133】
一般式(N−1−2)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0134】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0135】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0136】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1−2)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には低めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0137】
その好ましい下限値は、5質量%、7質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%、23質量%、25質量%、27質量%、30質量%、33質量%、35質量%、37質量%、40質量%、42質量%である。一方、その好ましい上限値は、50質量%、48質量%、45質量%、43質量%、40質量%、38質量%、35質量%、33質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%、10質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%である。
【0138】
さらに、一般式(N−1−2)で表される化合物は、下記式(N−1−2.1)〜(N−1−2.25)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(N−1−2.3)〜(N−1−2.7)、式(N−1−2.10)、式(N−1−2.11)、式(N−1−2.13)および式(N−1−2.20)で表される化合物から選ばれることがより好ましい。
【0139】
なお、一般式(N−1−2)で表される化合物は、Δεの改良を重視する場合には、式(N−1−2.3)〜(N−1−2.7)で表される化合物から選ばれることが好ましく、T
niの改良を重視する場合には、式(N−1−2.10)、式(N−1−2.11)および式(N−1−2.13)で表される化合物から選ばれることが好ましく、応答速度の改良を重視する場合には、式(N−1−2.20)で表される化合物であることが好ましい。
【0141】
式(N−1−2.1)〜(N−1−2.25)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0142】
液晶組成物中に含まれる式(N−1−2.1)〜(N−1−2.25)で表される化合物の単独または併用での量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%、23質量%、25質量%、27質量%、30質量%、33質量%、35質量%である。一方、その好ましい上限値は、50質量%、40質量%、38質量%、35質量%、33質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%、10質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、3質量%である。
【0143】
一般式(N−1−3)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0145】
式中、R
N131およびR
N132は、それぞれ独立して、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0146】
R
N131は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましく、エチル基、プロピル基またはブチル基であることがより好ましい。
【0147】
R
N132は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数3〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、1−プロペニル基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基であることがより好ましい。
【0148】
一般式(N−1−3)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0149】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0150】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0151】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1−3)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には高めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0152】
その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0153】
さらに、一般式(N−1−3)で表される化合物は、式(N−1−3.1)〜(N−1−3.21)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(N−1−3.1)〜(N−1−3.7)および式(N−1−3.21)で表される化合物から選ばれることがより好ましく、式(N−1−3.1)、式(N−1−3.2)、式(N−1−3.3)、式(N−1−3.4)および式(N−1−3.6)で表される化合物から選ばれることがさらに好ましい。
【0155】
式(N−1−3.1)〜(N−1−3.4)、式(N−1−3.6)および式(N−1−3.21)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできるが、式(N−1−3.1)で表される化合物と式(N−1−3.2)で表される化合物との併用、式(N−1−3.3)、式(N−1−3.4)および式(N−1−3.6)から選ばれる2種または3種の併用が好ましい。
【0156】
液晶組成物中に含まれる式(N−1−3.1)〜(N−1−3.4)、式(N−1−3.6)および式(N−1−3.21)で表される化合物の単独または併用での量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0157】
一般式(N−1−4)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0159】
式中、R
N141およびR
N142は、それぞれ独立して、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0160】
R
N141およびR
N142は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、メチル基、プロピル基、エトキシ基またはブトキシ基であることがより好ましい。
【0161】
一般式(N−1−4)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0162】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0163】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0164】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1−4)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には高めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0165】
その好ましい下限値は、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%、11質量%、10質量%、8質量%である。
【0166】
さらに、一般式(N−1−4)で表される化合物は、式(N−1−4.1)〜(N−1−4.24)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(N−1−4.1)〜(N−1−4.4)で表される化合物から選ばれることがより好ましく、式(N−1−4.1)、式(N−1−4.2)および式(N−1−4.4)で表される化合物から選ばれることが好ましい。
【0168】
式(N−1−4.1)〜(N−1−4.24)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0169】
液晶組成物中に含まれる式(N−1−4.1)〜(N−1−4.24)で表される化合物の単独または併用での量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%、11質量%、10質量%、8質量%である。
【0170】
一般式(N−1−5)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0172】
式中、R
N151およびR
N152は、それぞれ独立して、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0173】
R
N151およびR
N152は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、エチル基、プロピル基またはブチル基であることが好ましい。
【0174】
一般式(N−1−5)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0175】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0176】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0177】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1−5)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には低めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0178】
その好ましい下限値は、5質量%、8質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35質量%、33質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0179】
さらに、一般式(N−1−5)で表される化合物は、式(N−1−5.1)〜(N−1−5.12)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(N−1−5.1)、式(N−1−5.2)および式(N−1−5.4)で表される化合物から選ばれることがより好ましい。
【0181】
式(N−1−5.1)、式(N−1−5.2)および式(N−1−5.4)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0182】
液晶組成物中に含まれる式(N−1−5.1)、式(N−1−5.2)および式(N−1−5.4)で表される化合物の単独または併用での量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、5質量%、8質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、33質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0183】
一般式(N−1−10)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0185】
式中、R
N1101およびR
N1102は、それぞれ独立して、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0186】
R
N1101は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基または1−プロペニル基であることがより好ましい。
【0187】
R
N1102は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基であることがより好ましい。
【0188】
一般式(N−1−10)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0189】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0190】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0191】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1−10)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には高めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0192】
その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0193】
さらに、一般式(N−1−10)で表される化合物は、式(N−1−10.1)〜(N−1−10.14)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(N−1−10.1)〜(N−1−10.5)で表される化合物から選ばれることがより好ましく、式(N−1−10.1)および式(N−1−10.2)で表される化合物から選ばれることがさら好ましい。
【0195】
式(N−1−10.1)および式(N−1−10.2)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0196】
液晶組成物中に含まれる式(N−1−10.1)および式(N−1−10.2)で表される化合物の単独または併用での量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0197】
一般式(N−1−11)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0199】
式中、R
N1111およびR
N1112は、それぞれ独立して、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0200】
R
N1111は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基または1−プロペニル基であることがより好ましい。
【0201】
R
N1112は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基であることがより好ましい。
【0202】
一般式(N−1−11)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0203】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0204】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0205】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1−11)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には低めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0206】
その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0207】
さらに、一般式(N−1−11)で表される化合物は、式(N−1−11.1)〜(N−1−11.14)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(N−1−11.1)〜(N−1−11.14)で表される化合物から選ばれることがより好ましく、式(N−1−11.2および式(N−1−11.4)で表される化合物から選ばれることがさらに好ましい。
【0209】
式(N−1−11.2)および式(N−1−11.4)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0210】
液晶組成物中に含まれる式(N−1−11.2)および式(N−1−11.4)で表される化合物の単独または併用での量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0211】
一般式(N−1−12)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0213】
式中、R
N1121およびR
N1122は、それぞれ独立して、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0214】
R
N1121は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましく、エチル基、プロピル基またはブチル基であることがより好ましい。
【0215】
R
N1122は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基であることがより好ましい。
【0216】
一般式(N−1−12)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0217】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0218】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0219】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1−12)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には高めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0220】
その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0221】
一般式(N−1−13)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0223】
式中、R
N1131およびR
N1132は、それぞれ独立して、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0224】
R
N1131は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましく、エチル基、プロピル基またはブチル基であることがより好ましい。
【0225】
R
N1132は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基であることがより好ましい。
【0226】
一般式(N−1−13)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0227】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0228】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0229】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1−13)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には高めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0230】
その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0231】
一般式(N−1−14)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0233】
式中、R
N1141およびR
N1142は、それぞれ独立して、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0234】
R
N1141は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましく、エチル基、プロピル基またはブチル基であることがより好ましい。
【0235】
R
N1142は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基であることがより好ましい。
【0236】
一般式(N−1−14)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0237】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0238】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0239】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1−14)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には高めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0240】
その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0241】
一般式(N−1−15)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0243】
式中、R
N1151およびR
N1152は、それぞれ独立して、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0244】
R
N1151は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましく、エチル基、プロピル基またはブチル基であることがより好ましい。
【0245】
R
N1152は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基であることがより好ましい。
【0246】
一般式(N−1−15)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0247】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0248】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0249】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1−15)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には高めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0250】
その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0251】
一般式(N−1−16)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0253】
式中、R
N1161およびR
N1162は、それぞれ独立して、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0254】
R
N1161は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましく、エチル基、プロピル基またはブチル基であることがより好ましい。
【0255】
R
N1162は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基であることがより好ましい。
【0256】
一般式(N−1−16)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0257】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0258】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0259】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1−16)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には高めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0260】
その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0261】
一般式(N−1−17)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0263】
式中、R
N1171およびR
N1172は、それぞれ独立して、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0264】
R
N1171は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましく、エチル基、プロピル基またはブチル基であることがより好ましい。
【0265】
R
N1172は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基であることがより好ましい。
【0266】
一般式(N−1−17)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0267】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0268】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0269】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1−17)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には高めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0270】
その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0271】
一般式(N−1−18)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0273】
式中、R
N1181およびR
N1182は、それぞれ独立して、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0274】
R
N1181は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基であることがより好ましい。
【0275】
R
N1182は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基であることがより好ましい。
【0276】
一般式(N−1−18)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0277】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択され。
【0278】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0279】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1−18)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には高めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0280】
その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0281】
さらに、一般式(N−1−18)で表される化合物は、式(N−1−18.1)〜(N−1−18.5)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(N−1−18.1)〜(N−1−11.3)で表される化合物から選ばれることがより好ましく、式(N−1−18.2および式(N−1−18.3)で表される化合物から選ばれることがさらに好ましい。
【0283】
一般式(N−1−20)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0285】
式中、R
N1201およびR
N1202はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0286】
R
N1201およびR
N1202は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましく、エチル基、プロピル基またはブチル基であることがより好ましい。
【0287】
一般式(N−1−20)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0288】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0289】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0290】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1−20)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には高めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0291】
その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0292】
一般式(N−1−21)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0294】
式中、R
N1211およびR
N1212は、それぞれ独立して、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0295】
R
N1211およびR
N1212は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましく、エチル基、プロピル基またはブチル基であることがより好ましい。
【0296】
一般式(N−1−21)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0297】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0298】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0299】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1−21)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には高めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0300】
その好ましい下限値は、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0301】
一般式(N−1−22)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0303】
式中、R
N1221およびR
N1222は、それぞれ独立して、一般式(N−1)におけるR
N11およびR
N12と同じ意味を表す。
【0304】
R
N1221およびR
N1222は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましく、エチル基、プロピル基またはブチル基であることがより好ましい。
【0305】
一般式(N−1−22)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0306】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0307】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0308】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−1−22)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には高めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0309】
その好ましい下限値は、1質量%、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%、10質量%、5質量%である。
【0310】
さらに、一般式(N−1−22)で表される化合物は、式(N−1−22.1)〜(N−1−22.12)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(N−1−22.1)〜(N−1−22.5)で表される化合物から選ばれることがより好ましく、式(N−1−22.1)〜(N−1−22.4)で表される化合物から選ばれることがさらに好ましい。
【0312】
一般式(N−2)で表される化合物は、一般式(N−2−1)〜(N−2−3)で表される化合物から選ばれることが好ましい。
【0314】
式中、R
N211、R
N212、R
N221、R
N222、R
N231およびR
N232は、それぞれ独立して、一般式(N−2)におけるR
N21およびR
N22と同じ意味を表す。
【0315】
R
N211、R
N221およびR
N231は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましく、プロピル基またはペンチル基であることがより好ましい。
【0316】
R
N212、R
N222およびR
N232は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数1〜5のアルコキシ基であることが好ましく、エトキシ基、プロポキシ基またはペンチルオキシ基であることがより好ましい。
【0317】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−3−2)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には高めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。γ1を重視する場合には、実質的に含有しないことが好ましい。
【0318】
その好ましい下限値は、3質量%、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%、23質量%、25%質量、27質量%、30質量%、33質量%、35質量%である。一方、その好ましい上限値は、50質量%、40質量%、38質量%、35質量%、33質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%、10質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%である。
【0319】
一般式(N−3)で表される化合物は、一般式(N−3−2)で表される化合物から選ばれることが好ましい。
【0321】
式中、R
N321およびR
N322は、それぞれ独立して、一般式(N−3)におけるR
N31およびR
N32と同じ意味を表す。
【0322】
R
N321およびR
N322は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましく、プロピル基またはペンチル基であることがより好ましい。
【0323】
一般式(N−3−2)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0324】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0325】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0326】
液晶組成物中に含まれる一般式(N−3−2)で表される化合物の量は、Δεの改善を重視する場合には高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合には高めに設定すると効果が高く、Tniを重視する場合には高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0327】
その好ましい下限値は、3質量%、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%、23質量%、25%質量、27質量%、30質量%、33質量%、35質量%である。一方、その好ましい上限値は、50質量%、40質量%、38質量%、35質量%、33質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%、10質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%である。
【0328】
さらに、一般式(N−3−2)で表される化合物は、式(N−3−2.1)〜(N−3−2.3)で表される化合から選ばれることが好ましい。
【0330】
第2の液晶分子の誘電率異方性の絶対値は、2以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1以下であることがさらに好ましい。なお、第2の液晶分子の誘電率異方性の絶対値は、0(ゼロ)であってもよい。
【0331】
このような第2の液晶分子は、下記一般式(L)で表される化合物から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。かかる第2の液晶分子は、誘電率異方性の絶対値が小さく、0(ゼロ)に近いことから好ましい。そのため、分子内に存在するハロゲン等の極性基の数は、2個以下であることが好ましく、1個以下であることがより好ましく、0個であることがさらに好ましい。
【0333】
式中、R
L1およびR
L2は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基を表すが、該アルキル基中に存在する任意の1個または隣接しない2個以上の−CH
2−は、それぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−または−OCO−で置換されてもよい。
【0334】
n
L1は、0、1、2または3を表す。
【0335】
A
L1、A
L2およびA
L3は、それぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(該基中に存在する任意の1個または隣接しない2個以上の−CH
2−は、−O−で置換されてもよい。)、
(b) 1,4−フェニレン基(該基中に存在する任意の1個または隣接しない2個以上の−CH=は、−N=で置換されてもよい。)、および
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基またはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(該基中に存在する任意の1個または隣接しない2個以上の−CH=は、−N=で置換されてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表すが、上記の基(a)、基(b)及び基(c)は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子または塩素原子で置換されてもよい。
【0336】
Z
L1およびZ
L2は、それぞれ独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−を表す。
【0337】
n
L1が2または3であってA
L2が複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0338】
n
L1が2または3であってZ
L3が複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0339】
一般式(L)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0340】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて、適宜選択される。
【0341】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類である。あるいは、使用する化合物の種類は、本発明の別の実施形態では、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類であり、8種類であり、9種類であり、10種類以上である。
【0342】
液晶組成物中に含まれる一般式(L)で表される化合物の量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて、適宜調整される。
【0343】
その好ましい下限値は、1質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、75質量%、80質量%である。一方、その好ましい上限値は、95質量%、85質量%、75質量%、65質量%、55質量%、45質量%、35質量%、25質量%である。
【0344】
液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度を高める必要がある場合には、上記の下限値が高く、かつ上限値も高いことが好ましい。さらに、液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性を高める必要がある場合には、上記の下限値が高く、かつ上限値も高いことが好ましい。また、液晶組成物の駆動電圧を低く保つべく、その誘電率異方性を大きくしたい場合には、上記の下限値が低く、かつ上限値も低いことが好ましい。
【0345】
信頼性を重視する場合には、R
L1およびR
L2の双方がアルキル基であることが好ましく、第2の液晶分子の揮発性を低減させることを重視する場合には、R
L1およびR
L2の双方がアルコキシ基であることが好ましく、液晶組成物の粘性の低下を重視する場合には、R
L1およびR
L2の少なくとも一方がアルケニル基であることが好ましい。
【0346】
分子内に存在するハロゲン原子の数は、0、1、2または3個であることが好ましく、0または1個であることがより好ましく、他の液晶分子との相溶性を重視する場合には、1個であることがさらに好ましい。
【0347】
R
L1およびR
L2は、それらがベンゼン環(芳香族環)である環構造に結合する場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基または炭素原子数4〜5のアルケニル基であることが好ましく、それらがシクロヘキサン環、ピラン環、ジオキサン環のような飽和した環構造に結合する場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基または直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましい。なお、ネマチック相を安定化させるためには、炭素原子の数(酸素原子を含む場合には、炭素原子の数と酸素原子の数との合計)が5以下であることが好ましく、直鎖状であることも好ましい。
【0348】
アルケニル基は、下記式(R1)〜(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。
【0350】
各式中の黒点は、環構造中の炭素原子を表す。
【0351】
n
L1は、応答速度を重視する場合には0であることが好ましく、ネマチック相の上限温度を改善するためには2または3であることが好ましく、これらのバランスをとるためには1であることが好ましい。また、液晶組成物として求められる特性を満たすためには、n
L1が異なる値である複数種類の一般式(L)で表される化合物を併用することが好ましい。
【0352】
A
L1、A
L2およびA
L3は、それぞれ独立して、Δnを大きくすることが求められる場合には、芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましい。
【0353】
具体的には、A
L1、A
L2およびA
L3は、それぞれ独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基または1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基であることが好ましく、下記化38の基のうちのいずれかであることがより好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基または1,4−フェニレン基であることがさらに好ましい。
【0355】
Z
L1およびZ
L2は、応答速度を重視する場合には単結合であることが好ましい。
【0356】
一般式(L)で表される化合物は、その分子内に存在するハロゲン原子の数が0または1個であることが好ましい。
【0357】
より具体的には、一般式(L)で表される化合物は、下記一般式(L−1)〜(L−7)で表される化合物から選ばれることが好ましい。
【0358】
一般式(L−1)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0360】
式中、R
L11およびR
L12は、それぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1およびR
L2と同じ意味を表す。
【0361】
R
L11およびR
L12は、それぞれ独立して、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基または直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましい。
【0362】
一般式(L−1)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0363】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0364】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0365】
液晶組成物中に含まれる一般式(L−1)で表される化合物の量は、次のように設定される。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%、55質量%である。一方、その好ましい上限値は、95質量%、90質量%、85質量%、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%である。
【0366】
液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度を高める必要がある場合には、上記の下限値が高く、かつ上限値が高いことが好ましい。さらに、液晶組成物のTniを高く保ち、温度安定性を高める必要がある場合には、上記の下限値が中庸、かつ上限値が中庸であることが好ましい。また、液晶組成物の駆動電圧を低く保つべく、その誘電率異方性を大きくしたい場合には、上記の下限値が低く、かつ上限値も低いことが好ましい。
【0367】
また、液晶組成物は、第2の液晶分子として、R
L11およびR
L12の一方がアルケニル基である一般式(L−1)で表される化合物を所定量以上で含むことが好ましい。これにより、液晶組成物の回転粘度(γ1)が低下して、その応答速度が改善する傾向を示す。
【0368】
好ましい所定量は、10質量%、13質量%、15質量%、18質量%、20質量%、23質量%、25質量%、28質量%、30質量%、32質量%、35質量%、38質量%、40質量%、42質量%、45質量%、48質量%、50質量%である。
【0369】
一般式(L−1)で表される化合物は、一般式(L−1−1)で表される化合物から選ばれることが好ましい。
【0371】
式中、R
L12は、一般式(L−1)におけるR
L12と同じ意味を表す。
【0372】
一般式(L−1−1)で表される化合物は、式(L−1−1.1)〜(L−1−1.3)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(L−1−1.2)および式(L−1−1.3)で表される化合物から選ばれることがより好ましく、式(L−1−1.3)で表される化合物であることがさらに好ましい。
【0374】
液晶組成物中に含まれる式(L−1−1.3)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%である。一方、その好ましい上限値は、20質量%、15質量%、13質量%、10質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、3質量%である。
【0375】
一般式(L−1)で表される化合物は、一般式(L−1−2)で表される化合物から選ばれることが好ましい。
【0377】
式中、R
L12は、一般式(L−1)におけるR
L12と同じ意味を表す。
【0378】
液晶組成物中に含まれる一般式(L−1−2)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、5質量%、10質量%、15質量%、17質量%、20質量%、23質量%、25質量%、27質量%、30質量%、35質量%である。一方、その好ましい上限値は、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、42質量%、40質量%、38質量%、35質量%、33質量%、30質量%である。
【0379】
さらに、一般式(L−1−2)で表される化合物は、式(L−1−2.1)〜(L−1−2.4)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(L−1−2.2)〜(L−1−2.4)で表される化合物から選ばれることがより好ましい。
【0380】
特に、式(L−1−2.2)で表される化合物は、液晶組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L−1−2.3)または式(L−1−2.4)で表される化合物を用いることが好ましい。なお、液晶組成物中に含まれる式(L−1−2.3)で表される化合物と式(L−1−2.4)で表される化合物との合計量は、低温での溶解度を良くするためには、30質量%以上にすることは好ましくない。
【0382】
液晶組成物中に含まれる式(L−1−2.2)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、10質量%、15質量%、18質量%、20質量%、23質量%、25質量%、27質量%、30質量%、33質量%、35質量%、38質量%、40質量%である。一方、その好ましい上限値は、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、43質量%、40質量%、38質量%、35質量%、32質量%、30質量%、27質量%、25質量%、22質量%である。
【0383】
液晶組成物中に含まれる式(L−1−1.3)で表される化合物と式(L−1−2.2)で表される化合物との合計量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、27質量%、30質量%、35質量%、40質量%である。一方、その好ましい上限値は、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、43質量%、40質量%、38質量%、35質量%、32質量%、30質量%、27質量%、25質量%、22質量%である。
【0384】
一般式(L−1)で表される化合物は、一般式(L−1−3)で表される化合物から選ばれることが好ましい。
【0386】
式中、R
L13およびR
L14は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基または炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表す。
【0387】
R
L13およびR
L14は、それぞれ独立して、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基または直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましい。
【0388】
液晶組成物中に含まれる式(L−1−3)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その下限値は、1質量%、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%、23質量%、25質量%、30質量%である。一方、その好ましい上限値は、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、37質量%、35質量%、33質量%、30質量%、27質量%、25質量%、23質量%、20質量%、17質量%、15質量%、13質量%、10質量%である。
【0389】
さらに、一般式(L−1−3)で表される化合物は、式(L−1−3.1)〜(L−1−3.13)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(L−1−3.1)、式(L−1−3.3)および式(L−1−3.4)で表される化合物から選ばれることがより好ましい。
【0390】
特に、式(L−1−3.1)で表される化合物は、液晶組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L−1−3.3)、式(L−1−3.4)、式(L−1−3.11)または式(L−1−3.12)で表される化合物を用いることが好ましい。なお、液晶組成物中に含まれる式(L−1−3.3)で表される化合物と、式(L−1−3.4)で表される化合物と、式(L−1−3.11)で表される化合物と式(L−1−3.13)で表される化合物との合計量は、低温での溶解度を良くするためには、20質量%以上にすることは好ましくない。
【0392】
液晶組成物中に含まれる式(L−1−3.1)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%、13質量%、15質量%、18質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、20質量%、17質量%、15質量%、13質量%、10質量%、8質量%、7質量%、6質量%である。
【0393】
一般式(L−1)で表される化合物は、一般式(L−1−4)および/または(L−1−5)で表される化合物から選ばれることが好ましい。
【0395】
式中、R
L15およびR
L16は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基または炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表す。
【0396】
R
L15およびR
L16は、それぞれ独立して、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基または直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましい。
【0397】
液晶組成物中に含まれる式(L−1−4)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、25質量%、23質量%、20質量%、17質量%、15質量%、13質量%、10質量%である。
【0398】
液晶組成物中に含まれる式(L−1−5)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、5質量%、10質量%、13質量%、15質量%、17質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、25質量%、23質量%、20質量%、17質量%、15質量%、13質量%、10質量%である。
【0399】
さらに、一般式(L−1−4)および(L−1−5)で表される化合物は、式(L−1−4.1)〜(L−1−5.3)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(L−1−4.2)および式(L−1−5.2)で表される化合物から選ばれることがより好ましい。
【0401】
液晶組成物中に含まれる式(L−1−4.2)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%、13質量%、15質量%、18質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、20質量%、17質量%、15質量%、13質量%、10質量%、8質量%、7質量%、6質量%である。
【0402】
式(L−1−1.3)、式(L−1−2.2)、式(L−1−3.1)、式(L−1−3.3)、式(L−1−3.4)、式(L−1−3.11)および式(L−1−3.12)で表される化合物から選ばれる2種以上を併用すること、あるいは式(L−1−1.3)、式(L−1−2.2)、式(L−1−3.1)、式(L−1−3.3)、式(L−1−3.4)および式(L−1−4.2)で表される化合物から選ばれる2種以上を併用することも好ましい。
【0403】
液晶組成物中に含まれるこれらの化合物の合計量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%、13質量%、15質量%、18質量%、20質量%、23質量%、25質量%、27質量%、30質量%、33質量%、35質量%である。一方、その好ましい上限値は、80質量%、70質量%、60質量%、50質量%、45質量%、40質量%、37質量%、35質量%、33質量%、30質量%、28質量%、25質量%、23質量%、20質量%である。
【0404】
液晶組成物の信頼性を重視する場合には、式(L−1−3.1)、式(L−1−3.3)および式(L−1−3.4)で表される化合物から選ばれる2種以上を併用することが好ましく、液晶組成物の応答速度を重視する場合には、式(L−1−1.3)および式(L−1−2.2)で表される化合物から選ばれる2種以上を併用することが好ましい。
【0405】
一般式(L−1)で表される化合物は、一般式(L−1−6)で表される化合物から選ばれることが好ましい。
【0407】
式中、R
L17およびR
L18は、それぞれ独立して、メチル基または水素原子を表す。
【0408】
液晶組成物中に含まれる式(L−1−6)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、5質量%、10質量%、15質量%、17質量%、20質量%、23質量%、25質量%、27質量%、30質量%、35質量%である。一方、その好ましい上限値は、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、42質量%、40質量%、38質量%、35質量%、33質量%、30質量%である。
【0409】
さらに、一般式(L−1−6)で表される化合物は、式(L−1−6.1)〜(L−1−6.3)で表される化合物から選ばれることが好ましい。
【0411】
一般式(L−2)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0413】
式中、R
L21およびR
L22は、それぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1およびR
L2と同じ意味を表す。
【0414】
R
L21は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましい。
【0415】
R
L22は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましい。
【0416】
一般式(L−2)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0417】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0418】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0419】
液晶組成物中に含まれる一般式(L−2)で表される化合物の量は、低温での溶解性を重視する場合には高めに設定すると効果が高く、反対に、応答速度を重視する場合には低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合には、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0420】
その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%である。一方、その好ましい上限値は、20質量%、15質量%、13質量%、10質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、3質量%である。
【0421】
さらに、一般式(L−2)で表される化合物は、式(L−2.1)〜(L−2.6)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(L−2.1)、式(L−2.3)、式(L−2.4)および式(L−2.6)で表される化合物から選ばれることがより好ましい。
【0423】
一般式(L−3)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0425】
式中、R
L31およびR
L32は、それぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1およびR
L2と同じ意味を表す。
【0426】
R
L31およびR
L32は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましい。
【0427】
一般式(L−3)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0428】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0429】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0430】
液晶組成物中に含まれる一般式(L−3)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%である。一方、その好ましい上限値は、20質量%、15質量%、13質量%、10質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、3質量%である。
【0431】
液晶組成物中に含まれる一般式(L−3)で表される化合物の量は、高い複屈折率を得る場合には高めに設定すると効果が高く、反対に、高いTniを重視する場合には低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、その量の範囲を中間に設定することが好ましい。
【0432】
さらに、一般式(L−3)で表される化合物は、式(L−3.1)〜(L−3.7)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(L−3.2)〜(L−3.5)で表される化合物から選ばれることがより好ましい。
【0434】
一般式(L−4)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0436】
式中、R
L41およびR
L42は、それぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1およびR
L2と同じ意味を表す。
【0437】
R
L41は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましい。
【0438】
R
L42は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましい。
【0439】
一般式(L−4)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0440】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0441】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0442】
液晶組成物中に含まれる一般式(L−4)で表される化合物の量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて、適宜調整される。
【0443】
その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%、14質量%、16質量%、20質量%、23質量%、26質量%、30質量%、35質量%、40質量%である。一方、その好ましい上限値は、50質量%、40質量%、35質量%、30質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%である。
【0444】
さらに、一般式(L−4)で表される化合物は、式(L−4.1)〜(L−4.3)で表される化合物から選ばれることが好ましい。
【0446】
液晶組成物は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(L−4.1)で表される化合物を含有してもよいし、式(L−4.2)で表される化合物を含有してもよいし、式(L−4.1)で表される化合物と式(L−4.2)で表される化合物との双方を含有してもよいし、式(L−4.1)〜(L−4.3)で表される化合物の全てを含有してもよい。
【0447】
液晶組成物中に含まれる式(L−4.1)または式(L−4.2)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、3質量%、5質量%、7質量%、9質量%、11質量%、12質量%、13質量%、18質量%、21質量%である。一方、その好ましい上限値は、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%、10質量%、8質量%である。
【0448】
液晶組成物が式(L−4.1)で表される化合物と式(L−4.2)で表される化合物との双方を含有する場合には、それらの液晶組成物中に含まれる合計量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、3質量%、5質量%、8質量%10質量%、12質量%、15質量%、19質量%、24質量%、30質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0449】
また、一般式(L−4)で表される化合物は、式(L−4.4)〜(L−4.6)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(L−4.4)で表される化合物であることがより好ましい。
【0451】
液晶組成物は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(L−4.4)で表される化合物を含有してもよく、式(L−4.5)で表される化合物を含有してもよく、式(L−4.4)で表される化合物と式(L−4.5)で表される化合物との双方を含有していてもよい。
【0452】
液晶組成物中の式(L−4.4)または式(L−4.5)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%、12質量%、15質量%、18質量%、21質量%である。一方、その好ましい上限値は、30質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%、10質量%、8質量%である。
【0453】
液晶組成物が式(L−4.4)で表される化合物と式(L−4.5)で表される化合物との双方を含有する場合には、これらの液晶組成物中に含まれる合計量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、3質量%、5質量%、8質量%、10質量%、15質量%、19質量%、24質量%、30質量%である。一方、その好ましい上限値は、35質量%、30質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、13質量%である。
【0454】
また、一般式(L−4)で表される化合物は、式(L−4.7)〜(L−4.10)で表される化合物から選ばれることが好ましく、特に、式(L−4.9)で表される化合物であることが好ましい。
【0456】
一般式(L−5)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0458】
式中、R
L51およびR
L52は、それぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1およびR
L2と同じ意味を表す。
【0459】
R
L51は、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましい。
【0460】
R
L52は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましい。
【0461】
一般式(L−5)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0462】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0463】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0464】
液晶組成物中に含まれる一般式(L−5)で表される化合物の量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて、適宜調整される。
【0465】
その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%、14質量%、16質量%、20質量%、23質量%、26質量%、30質量%、35質量%、40質量%である。一方、その好ましい上限値は、50質量%、40質量%、35質量%、30質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%である
【0466】
さらに、一般式(L−5)で表される化合物は、式(L−5.1)又は式(L−5.2)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L−5.1)で表される化合物であることが好ましい。
【0467】
各化合物の液晶組成物中に含まれる量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%である。一方、その好ましい上限値は、20質量%、15質量%、13質量%、10質量%、9質量%である。
【0469】
また、一般式(L−5)で表される化合物は、式(L−5.3)または式(L−5.4)で表される化合物であることが好ましい。
【0470】
各化合物の液晶組成物中に含まれる量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%である。一方、その好ましい上限値は、20質量%、15質量%、13質量%、10質量%、9質量%である。
【0472】
また、一般式(L−5)で表される化合物は、式(L−5.5)〜(L−5.7)で表される化合物から選ばれることが好ましく、特に、式(L−5.7)で表される化合物であることが好ましい。
【0473】
各化合物の液晶組成物中に含まれる量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1%質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%である。一方、その好ましい上限値は、20質量%、15質量%、13質量%、10質量%、9質量%である。
【0475】
一般式(L−6)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0477】
式中、R
L61およびR
L62は、それぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1およびR
L2と同じ意味を表す。
【0478】
X
L61およびX
L62は、それぞれ独立して、水素原子またはフッ素原子を表す。
【0479】
R
L61およびR
L62は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数2〜5のアルケニル基であることが好ましい。
【0480】
X
L61およびX
L62のうちの一方がフッ素原子であり、他方が水素原子であることが好ましい。
【0481】
一般式(L−6)で表される化合物は、1種類を単独で使用することも、2種類以上を併用することもできる。
【0482】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0483】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0484】
液晶組成物中に含まれる一般式(L−6)で表される化合物の量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%、14質量%、16質量%、20質量%、23質量%、26質量%、30質量%、35質量%、40質量%である。一方、その好ましい上限値は、50質量%、40質量%、35質量%、30質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%である。なお、一般式(L−6)で表される化合物の量は、Δnを大きくすることに重点を置く場合には多くした方が好ましく、低温での析出に重点を置く場合には少ない方が好ましい。
【0485】
さらに、一般式(L−6)で表される化合物は、式(L−6.1)〜(L−6.9)で表される化合物から選ばれることが好ましい。
【0487】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、式(L−6.1)〜(L−6.9)で表される化合物の中から1〜3種類選択することが好ましく、1〜4種類選択することがより好ましい。
【0488】
また、併用する化合物の分子量分布が広いことも溶解性に有効であるため、例えば、式(L−6.1)および式(L−6.2)で表される化合物の中から1種類と、式(L−6.4)および式(L−6.5)で表される化合物の中から1種類と、式(L−6.6)および式(L−6.7)で表される化合物の中から1種類と、式(L−6.8)および式(L−6.9)で表される化合物の中から1種類とを選択し、これらを適宜組み合わせることが好ましい。
【0489】
中でも、式(L−6.1)、式(L−6.3)、式(L−6.4)、式(L−6.6)および式(L−6.9)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0490】
また、一般式(L−6)で表される化合物は、式(L−6.10)〜(L−6.17)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(L−6.11)で表される化合物であることがより好ましい。
【0492】
各化合物の液晶組成物中に含まれる量は、次の通りであることが好ましい。すなわち、その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%である。一方、その好ましい含有量の上限値は、20質量%、15質量%、13質量%、10質量%、9質量%である。
【0493】
一般式(L−7)で表される化合物は、下記の化合物である。
【0495】
式中、R
L71およびR
L72は、それぞれ独立して、一般式(L)におけるR
L1およびR
L2と同じ意味を表す。
【0496】
A
L71およびA
L72は、それぞれ独立して、一般式(L)におけるA
L2およびA
L3と同じ意味を表すが、A
L71およびA
L72中に存在する水素原子は、それぞれ独立して、フッ素原子で置換されもよい。
【0497】
Z
L71は、一般式(L)におけるZ
L2と同じ意味を表す。
【0498】
X
L71およびX
L72は、それぞれ独立して、フッ素原子または水素原子を表す。
【0499】
式中、R
L71およびR
L72は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基または炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることが好ましい。
【0500】
A
L71およびA
L72は、それぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン基または1,4−フェニレン基であることが好ましい。なお、A
L71およびA
L7中に存在する水素原子は、それぞれ独立して、フッ素原子で置換されてもよい。
【0501】
Z
L71は、単結合またはCOO−であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
【0502】
X
L71およびX
L72は、水素原子であることが好ましい。
【0503】
併用可能な化合物の種類は、特に制限されないが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、適宜選択される。
【0504】
使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態では、1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類である。
【0505】
液晶組成物中に含まれる一般式(L−7)で表される化合物の量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて、適宜調整される。
【0506】
その好ましい下限値は、1質量%、2質量%、3質量%、5質量%、7質量%、10質量%、14質量%、16質量%、20質量%である。一方、その好ましい上限値は、30質量%、25質量%、23質量%、20質量%、18質量%、15質量%、10質量%、5質量%である。
【0507】
なお、一般式(L−7)で表される化合物の量は、Tniの高い液晶組成物が求められる場合には多めにすることが好ましく、低粘度の液晶組成物が求められる場合には少なめにすることが好ましい。
【0508】
さらに、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.1)〜(L−7.4)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(L−7.2)で表される化合物であることがより好ましい。
【0510】
また、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.11)〜(L−7.13)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(L−7.11)で表される化合物であることが好ましい。
【0512】
また、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.21)〜(L−7.23)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(L−7.21)で表される化合物であることがより好ましい。
【0514】
また、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.31)〜(L−7.34)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(L−7.31)および/または式(L−7.32)で表される化合物であることがより好ましい。
【0516】
また、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.41)〜(L−7.44)で表される化合物から選ばれることが好ましく、式(L−7.41)および/または式(L−7.42)で表される化合物であることがより好ましい。
【0518】
また、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.51)〜(L−7.53)で表される化合物から選ばれることが好ましい。
【0520】
以上のような液晶組成物は、分子内に過酸(−CO−OO−)構造等の酸素原子同士が結合した構造を有する化合物を含有しないことが好ましい。
【0521】
なお、液晶組成物の信頼性および長期安定性を重視する場合には、カルボニル基を有する化合物の液晶組成物中に含まれる量を、5質量%以下とすることが好ましく、3質量%以下とすることがより好ましく、1質量%以下とすることがさらに好ましく、実質的に0(ゼロ)質量%とすることが最も好ましい。
【0522】
UV照射による安定性を重視する場合には、塩素原子が置換している化合物の液晶組成物中の量を、15質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることがより好ましく、8質量%以下とすることがさらに好ましく、5質量%以下とすることがさらに好ましく、3質量%以下とすることが特に好ましく、実質的に0(ゼロ)質量%とすることが最も好ましい。
【0523】
また、分子内の環構造がすべて6員環である化合物の液晶組成物中に含まれる量を多くすることが好ましく、具体的には80質量%以上とすることが好ましく、90質量%以上とすることがより好ましく、95質量%以上とすることがさらに好ましく、実質的に100質量%とすることが最も好ましい。
【0524】
液晶組成物の酸化による劣化を防止または抑制するためには、環構造としてシクロヘキセン環を有する化合物の液晶組成物中に含まれる量を少なくすることが好ましく、具体的には10質量%以下とすることが好ましく、8質量%以下とすることがより好ましく、5質量%以下とすることがさらに好ましく、3質量%以下とすることが特に好ましく、実質的に0(ゼロ)質量%とすることが最も好ましい。
【0525】
さらに、液晶組成物の酸化による劣化を防止または抑制するためには、連結基として−CH=CH−を有する化合物の液晶組成物中に含まれる量を少なくすることが好ましく、具体的には10質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましく、実質的に0(ゼロ)質量%とすることがさらに好ましい。
【0526】
液晶組成物の粘度(η)を改善し、かつネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)を改善することを重視する場合には、水素原子がハロゲン原子で置換されてもよい2−メチルベンゼン−1,4−ジイル基を分子内に有する化合物の液晶組成物中に含まれる量を少なくすることが好ましく、具体的には10質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましく、実質的に0(ゼロ)質量%とすることがさらに好ましい。
【0527】
液晶組成物中に含まれる化合物(第1の液晶分子、第2の液晶分子等)が、側鎖としてアルケニル基が結合したシクロヘキシレン基を有する場合には、アルケニル基の炭素原子数は、2〜5であることが好ましい。また、液晶組成物中に含まれる化合物が、側鎖としてアルケニル基が結合したフェニレン基を有する場合には、アルケニル基の炭素原子数は、4〜5であることが好ましく、アルケニル基が有する不飽和結合とフェニレン基とは直接結合していないことが好ましい。
【0528】
また、液晶組成物の安定性を重視する場合には、側鎖としてアルケニル基を有し、かつ2,3−ジフルオロベンゼン−1,4−ジイル基を有する化合物の液晶組成物中に含まれる量を少なくすることが好ましく、具体的には10質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下とすることがより好ましく、実質的に0(ゼロ)質量%とすることがさらに好ましい。
【0529】
液晶組成物の平均弾性定数(K
AVG)は、好ましくは10〜25である。ただし、その好ましい下限値は、10、10.5、11、11.5、12、12.3、12.5、12.8、13、13.3、13.5、13.8、14、14.3、14.5、14.8、15、15.3、15.5、15.8、16、16.3、16.5、16.8、17、17.3、17.5、17.8、18である。一方、その好ましい上限値は、25、24.5、24、23.5、23、22.8、22.5、22.3、22、21.8、21.5、21.3、21、20.8、20.5、20.3、20、19.8、19.5、19.3、19、18.8、18.5、18.3、18、17.8、17.5、17.3、17である。
【0530】
消費電力削減を重視する場合には、バックライトの光量を抑えることが有効であるので、液晶表示素子10の光の透過率を向上させることが好ましい。そのため、K
AVGの値を低めに設定することが好ましい。応答速度の改善を重視する場合には、K
AVGの値を高めに設定することが好ましい。
【0531】
液晶組成物の25℃における屈折率異方性(Δn)(以下、単に「屈折率異方性」とも言う。)の値は、0.08〜0.13程度であることが好ましく、0.09〜0.12程度であることがより好ましい。更に詳述すると、基板間距離(セルギャップ)Gを小さく設定する場合には、屈折率異方性の値は、25℃において、0.10〜0.12程度であることが好ましく、基板間距離(セルギャップ)Gを大きく設定する場合には、屈折率異方性の値は、0.08〜0.10程度であることが好ましい。
【0532】
液晶組成物の25℃における回転粘度(γ1)(以下、単に「回転粘度」とも言う。)は、165mPa・s未満が好ましく、110〜145mPa・s程度がより好ましく、120〜130mPa・s程度がさらに好ましい。かかる回転粘度を有する液晶組成物を用いることにより、液晶層5(液晶表示素子10)の応答速度が低下することを防止することができる。
【0533】
また、液晶組成物では、回転粘度と屈折率異方性の値との関数であるZが特定の値を示すことが好ましい。
【0535】
式中、γ1は、回転粘度を表し、Δnは、屈折率異方性を表す。
【0536】
Zは、13,000mPa・s以下であることが好ましく、12,000mPa・s以下であることがより好ましく、11,000mPa・s以下であることがさらに好ましい。
【0537】
液晶組成物のネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)は、60℃以上であることが好ましく、75℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることがさらに好ましい。かかるTniを有する液晶組成物を用いることにより、実使用される温度範囲で安定した駆動が可能な液晶層5(液晶表示素子10)を得ることができる。
【0538】
液晶組成物の比抵抗は、10
12Ω・m以上であることが好ましく、10
13Ω・m以上であることがより好ましく、10
14Ω・m以上であることがさらに好ましい。
【0539】
液晶組成物の25℃における誘電率異方性(Δε)の絶対値は、3〜5程度であることが好ましく、3.15〜4.75程度であることがより好ましく、3.3〜4.5程度であることがさらに好ましく、3.4〜4.25程度であることがさらに好ましく、3.45〜4程度であることが特に好ましく、3.5〜3.8程度であることが最も好ましい。かかる誘電率異方性を有する液晶組成物を用いることにより、液晶層5(液晶表示素子10)をより低電圧で駆動することができるようになる。
【0540】
なお、以上説明した液晶組成物は、第1の液晶分子および第2の液晶分子以外に、用途に応じて、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、酸化防止剤、紫外線吸収剤等のような他の化合物(分子)を含有してもよい。
【0541】
ただし、液晶組成物の化学的な安定性が求められる場合には、他の化合物は、その構造中に塩素原子を有さないことが好ましい。また、液晶組成物の紫外線等の光に対する安定性が求められる場合には、他の化合物は、その構造中にナフタレン環等に代表される共役長が長く紫外領域に吸収ピークを有する縮合環等を有さないことが好ましい。
【0542】
液晶表示素子10は、アクティブマトリックス基板AMとカラーフィルタ基板CFとの間に液晶組成物を注入する際に、例えば、真空注入法または滴下注入(ODF:One Drop Fill)法等の方法が用いられる。前述したような液晶組成物を用いることにより、特にODF法において、アクティブマトリックス基板AMに滴下した際の滴下痕の発生を抑制することができる。なお、滴下痕とは、黒表示した場合に液晶組成物を滴下した痕が白く浮かび上がる現象と定義する。
【0543】
ここで、滴下痕の発生は、液晶組成物の組成や液晶表示素子10の構成に大きな影響を受ける。液晶表示素子10では、アクティブマトリックス基板AMに形成される薄膜トランジスタおよび櫛歯形状や連子形状をなす共通電極21等を液晶層5(液晶組成物)から隔離する部材として、配向膜4および/または絶縁保護層18等しか存在しない。
【0544】
しかしながら、前述したような液晶組成物によれば、イオン性物質の混入または発生が抑制される。このため、配向膜4や絶縁保護層18でイオン性物質の薄膜トランジスタや共通電極21に到達することを阻止し得るか、通過するイオン性物質の量を少なくすることができる。したがって、薄膜トランジスタや共通電極21を構成する金属材料とイオン性物質との相互作用による滴下痕の発生を防止または抑制することができる。
【0545】
また、ODF法による液晶表示素子10の製造工程においては、そのサイズに応じて最適な量の液晶組成物をアクティブマトリックス基板AMに滴下する必要がある。前述したような液晶組成物によれば、例えば、滴下時に生じる滴下装置内の急激な圧力変化や衝撃に対する影響を受け難く、長時間にわたって安定的かつ連続的に滴下することが可能である。そのため、液晶表示素子10の歩留まりを高く保持することもできる。
【0546】
特に、最近流行しているスマートフォンに多用される小型の液晶表示素子では、液晶組成物の最適量が少ないため、この最適量からのズレを一定範囲内に制御すること自体が難しい。しかしながら、前述したような液晶組成物を用いることにより、小型の液晶表示素子においても最適量の液晶組成物を安定して供給することができる。
【0547】
以上、本発明の液晶表示素子について説明したが、本発明は、前述した実施形態の構成に限定されるものではない。
【0548】
例えば、本発明の液晶表示素子は、前述した実施形態に構成において、他の任意の構成を追加して有していてもよいし、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていてよい。
【実施例】
【0549】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0550】
なお、各実施例および各参考例で用いた化合物の記載について、以下の略号を用いる。
【0551】
(側鎖)
−n −C
nH
2n+1:炭素原子数nの直鎖状アルキル基
n− C
nH
2n+1−:炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
−On −OC
nH
2n+1:炭素原子数nの直鎖状アルコキシ基
V− CH
2=CH−:ビニル基
1V− CH
3−CH=CH−:プロペニル基
2V− CH
3−CH
2−CH=CH−:ブテニル基
【0552】
(連結基)
−n− −C
nH
2n−
−nO− −C
nH
2n−O−
(環構造)
【0553】
【化72】
【0554】
(実施例1〜13、参考例1〜2)
表1および表2に示す組成を有する実施例1〜13および参考例1〜2の液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。
【0555】
なお、各実施例および各参考例で用いた第2の液晶分子の25℃における誘電率異方性は、ほぼ0(ゼロ)であった。
【0556】
また、
図1〜
図3に示す構成を有し、液晶層を形成する前の複数のVOTタイプの液晶表示素子(空セル)を作製し、それぞれの空セルに各液晶組成物を真空注入法により注入して液晶層を形成した。その後、封止剤により封口して液晶表示素子を得た。これらの液晶表示素子の駆動電圧および最大透過率の評価を行った。
【0557】
各実施例および各参考例において測定した特性は、以下の通りである。
【0558】
Tni:ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
Δn :25℃における屈折率異方性
Δε :25℃における誘電率異方性
γ1 :25℃における回転粘度(mPa・s)
【0559】
[駆動電圧評価]
各液晶表示素子の25℃における駆動電圧を電気光学測定装置(オートロニック社製、「DMS703」)により測定した。
【0560】
[最大透過率評価]
各液晶表示素子の電気光学特性を電気光学測定装置(オートロニック社製、「DMS703」)により測定して、測定された最大輝度を最大透過率とした。
【0561】
これらの評価結果を表1および表2に示す。なお、液晶分子の種類を記載したカラムの右側のカラムには、液晶分子の略号を記載した。
【0562】
各評価は、以下の評価基準に基づいて行った。
【0563】
<評価基準>
A:参考例1の結果に対して10%以上改善した。
【0564】
B:参考例1の結果に対して3%以上10%未満改善した。
【0565】
C:参考例1の結果と同等(3%未満改善または3%未満低下)した。
【0566】
D:参考例1の結果に対して3%以上低下した。
【0567】
【表1】
【0568】
【表2】
【0569】
誘電率異方性(Δε)が同等(−3.53〜−3.67)である液晶組成物を用いた実施例1〜4および実施例8〜13と参考例1との比較から、各実施例の液晶表示素子は、参考例1の液晶表示素子より低電圧での駆動が可能であり、最大透過率も大きくなることが明らかとなった。
【0570】
同様に、誘電率異方性(Δε)が同等(−4.55〜−4.68)である液晶組成物を用いた実施例5〜7と参考例2との比較から、各実施例の液晶表示素子は、参考例2の液晶表示素子より低電圧での駆動が可能であり、最大透過率も大きくなることが明らかとなった。
【0571】
また、実施例1〜4と実施例8〜13との比較から、液晶組成物の回転粘度(γ1)を低下させることにより、液晶表示素子の応答速度が改善する傾向にあった。
【0572】
さらに、実施例1〜4および実施例8〜13と実施例5〜7との比較から、液晶組成物の誘電率異方性(Δε)の絶対値を大きくすることにより、液晶表示素子をより低電圧で駆動可能であることもわかった。
液晶表示素子10は、対向配置されたアクティブマトリックス基板AMおよびカラーフィルタ基板CFと、これらの基板AM、CF同士の間に設けられ、液晶組成物で構成された液晶層5と、基板AMに設けられ、面方向における離間距離が基板AM、CF同士の離間距離より小さくなるように配置された共通電極21および画素電極22とを有する。この液晶表示素子10では、共通電極21が画素電極22より液晶層5側に配置され、共通電極21と画素電極22との間にフリンジ電界Eを形成する。液晶組成物は、負の誘電率異方性を有し、25℃における誘電率異方性の絶対値が3以上である第1の液晶分子と、25℃における誘電率異方性の絶対値が2以下である第2の液晶分子とを含有する。