(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水溶性エチレン性不飽和単量体を重合反応させて、該水溶性エチレン性不飽和単量体の重合体である吸水性樹脂を含む吸水性樹脂組成物を得る、樹脂組成物流出開口部が設けられた重合反応器であって、前記吸水性樹脂組成物が、前記樹脂組成物流出開口部から前記重合反応器外に流出される重合反応器と、
一端部が前記樹脂組成物流出開口部に接続され、該樹脂組成物流出開口部から流出された前記吸水性樹脂組成物が流過する流路となる樹脂組成物流路部材と、
前記吸水性樹脂組成物を乾燥させて吸水性樹脂の粉体を得る乾燥機であって、
前記樹脂組成物流路部材の他端部に接続された樹脂組成物流入開口部と、粉体流出開口部とが設けられ、
前記樹脂組成物流路部材内を流過した前記吸水性樹脂組成物が、前記樹脂組成物流入開口部から前記乾燥機内に流入され、
前記乾燥機内における前記吸水性樹脂組成物の乾燥により得られた前記吸水性樹脂の粉体が、前記粉体流出開口部から該乾燥機外に流出される乾燥機と、
一端部が前記粉体流出開口部に接続され、該粉体流出開口部から流出された前記吸水性樹脂の粉体が流過する流路となる粉体流路部材と、
前記粉体流路部材内に設けられ、該粉体流路部材内を流過する前記吸水性樹脂の粉体の、予め定める大きさよりも大きな粉体塊状物を捕集する捕集体と、
前記粉体流路部材の他端部に接続される粉体流量調整排出部材であって、前記捕集体を通過した前記吸水性樹脂の粉体の、前記粉体流量調整排出部材から排出される流量が予め定める流量となるように、流量を調整しながら前記吸水性樹脂の粉体を排出する粉体流量調整排出部材と、
前記粉体流量調整排出部材に接続され、該粉体流量調整排出部材から排出された前記吸水性樹脂の粉体を分級する分級器と、を含むことを特徴とする吸水性樹脂製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参考にして、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂製造装置1の構成を示す概略図である。
図2は、吸水性樹脂製造装置1における、乾燥機3の粉体流出開口部3cの近傍を拡大して示す概略図である。吸水性樹脂は、水溶性エチレン性不飽和単量体を重合反応させて製造することができる。水溶性エチレン性不飽和単量体の重合方法は特に限定されず、代表的な重合方法である水溶液重合法、乳化重合法、逆相懸濁重合法などが用いられる。
【0024】
水溶液重合法では、たとえば、水溶性エチレン性不飽和単量体の水溶液、内部架橋剤および水溶性ラジカル重合開始剤を、必要に応じて撹拌しながら、加熱することにより重合が行われる。この水溶液重合法では、水が液媒体として扱われ、水溶性エチレン性不飽和単量体を水溶液状態にして重合反応が行われる。
【0025】
また、逆相懸濁重合法では、たとえば、水溶性エチレン性不飽和単量体の水溶液、界面活性剤、疎水性高分子系分散剤、水溶性ラジカル重合開始剤および内部架橋剤を石油系炭化水素分散媒中、撹拌下で加熱することにより重合が行われる。この逆相懸濁重合法では、水と石油系炭化水素分散媒とが液媒体として扱われ、水溶性エチレン性不飽和単量体の水溶液が、石油系炭化水素分散媒中に添加された懸濁状態において重合反応が行われる。
【0026】
本実施形態においては、精密な重合反応制御と広範な粒子径の制御が可能な観点から、逆相懸濁重合法が好ましい。以下では、本発明の実施形態の一例として、逆相懸濁重合法によって吸水性樹脂を製造する吸水性樹脂製造装置1について説明する。
【0027】
吸水性樹脂製造装置1は、たとえば、重合反応器2と、乾燥機3と、粉体流量調整排出部材4と、分級器6とを含んで構成される。
【0028】
重合反応器2は、水溶性エチレン性不飽和単量体を液媒体中で重合反応させて、該水溶性エチレン性不飽和単量体の重合体である吸水性樹脂の含水ゲル状重合体R2と液媒体とを含む吸水性樹脂組成物R1(含水ゲル状重合体R2の懸濁液)を得る反応器である。重合反応器2は、水溶性エチレン性不飽和単量体の重合反応が行われる反応器本体2aを備え、この反応器本体2aには樹脂組成物流出開口部2bが設けられている。重合反応器2では、該反応器本体2a内における重合反応により得られた吸水性樹脂組成物R1が、樹脂組成物流出開口部2bから反応器本体2a外に流出される。
【0029】
重合反応器2を構成する材料としては、銅、チタン合金、およびSUS304、SUS316、SUS316Lなどのステンレス鋼などを挙げることができるが、生成される吸水性樹脂の付着が抑制されるという観点から、内壁面にフッ素樹脂加工などの表面加工が施されていることが好ましい。
【0030】
吸水性樹脂の原料に用いられる水溶性エチレン性不飽和単量体としては、たとえば、(メタ)アクリル酸〔「(メタ)アクリル」とは「アクリル」および「メタクリル」を意味する。以下同じ〕、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、マレイン酸などの酸基を有する単量体およびそれらの塩;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のノニオン性不飽和単量体;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有不飽和単量体およびそれらの四級化物などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0031】
なお、酸基を有する単量体を中和して塩とする場合に用いられるアルカリ性化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウムなどの化合物が挙げられる。より詳しくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0032】
水溶性エチレン性不飽和単量体の中で、好ましいものとしては工業的に入手が容易である観点から、(メタ)アクリル酸およびその塩が挙げられる。
【0033】
なお、酸基を有する単量体を中和する場合、その中和度は、水溶性エチレン性不飽和単量体の酸基の30〜90モル%であることが好ましい。中和度が30モル%より低い場合、酸基がイオン化されにくく、吸水能が低くなる可能性があるため好ましくない。中和度が90モル%を超えると、衛生材料として使用される場合、安全性などに問題が生じる可能性があるため好ましくない。
【0034】
本実施形態において、水溶性エチレン性不飽和単量体は、水溶液として使用される。水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液の単量体濃度は、20質量%〜飽和濃度であることが好ましい。
【0035】
水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液には、必要に応じて、連鎖移動剤、増粘剤などが含まれていてもよい。連鎖移動剤としては、たとえば、チオール類、チオール酸類、第2級アルコール類、次亜リン酸、亜リン酸などの化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸中和物、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。
【0036】
液媒体としての石油系炭化水素分散媒としては、たとえば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、n−オクタンなどの炭素数6〜8の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、trans−1,2−ジメチルシクロペンタン、cis−1,3−ジメチルシクロペンタン、trans−1,3−ジメチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、工業的に入手が容易であることと、安全性の観点から、n−ヘキサン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、n−オクタンなどの炭素数6〜8の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、およびメチルシクロヘキサンなどの炭素数6〜8の脂環族炭化水素がより好適に用いられる。これらの石油系炭化水素分散媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
さらに、これらの石油系炭化水素分散媒の中でも、逆相懸濁の状態が良好で、好適な粒子径が得られやすく、工業的に入手が容易かつ品質が安定している観点から、n−ヘプタン、シクロヘキサンが好適に用いられる。また、上記炭化水素の混合物の例として、市販されているエクソールヘプタン(エクソンモービル社製:n−ヘプタンおよび異性体の炭化水素75〜85%含有)などを用いても好適な結果が得られる。
【0038】
石油系炭化水素分散媒の使用量は、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を均一に分散し、重合温度の制御を容易にする観点から、通常、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液100質量部に対して、50〜600質量部が好ましく、50〜400質量部がより好ましく、50〜200質量部がさらに好ましい。
【0039】
逆相懸濁重合においては、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を石油系炭化水素分散媒に分散させて、より安定した重合粒子を得るために、界面活性剤や要すれば疎水性高分子系分散剤を用いる。重合を安定的に完了させるという観点から、界面活性剤や疎水性高分子系分散剤は、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を重合させる前に存在させて、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を石油系炭化水素分散媒中に充分に分散させ、その液滴を安定化させた後に重合を行うことができれば、それぞれ添加する時期は特に限定はされない。なお、界面活性剤や疎水性高分子系分散剤は、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加する前に、予め石油系炭化水素分散媒に溶解または分散させておくことが一般的である。
【0040】
重合時の分散安定性を保つために用いる界面活性剤としては、たとえば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、N−アルキルグルコンアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、およびポリオキシエチレンアルキルアミンなどのノニオン系界面活性剤、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルメチルタウリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸およびその塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸およびその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸およびその塩などのアニオン系界面活性剤が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
これらの界面活性剤の中でも、単量体水溶液の分散安定性の観点から、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0042】
使用される界面活性剤の添加量は、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましく、0.05〜3質量部がより好ましい。界面活性剤の添加量が0.01質量部よりも少ない場合、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液の分散安定性が低くなるため好ましくなく、5質量部よりも多い場合、経済的でないので好ましくない。
【0043】
重合時の分散安定性をより高めるために、疎水性高分子系分散剤を界面活性剤と併用してもよい。疎水性高分子系分散剤は、使用する石油系炭化水素分散媒に対し、溶解または分散するものを、選択して使用することが好ましく、たとえば、粘度平均分子量として20000以下、好ましくは10000以下、さらに好ましくは5000以下のものが挙げられる。具体的には、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、酸化型エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチルセルロース、無水マレイン化ポリブタジエン、無水マレイン化EPDM(エチレン/プロピレン/ジエン三元共重合体)などが挙げられる。
【0044】
これらの中では無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン共重合体、無水マレイン酸・プロピレン共重合体、無水マレイン酸・エチレン・プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレンおよび酸化型エチレン・プロピレン共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0045】
疎水性高分子系分散剤の添加量は、水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液100質量部に対して0〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましく、0.05〜2質量部がさらに好ましい。疎水性高分子系分散剤の添加量が5質量部よりも多い場合、経済的でないので好ましくない。
【0046】
水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を、重合反応器2内に予め充填された石油系炭化水素分散媒に添加して分散させる際、撹拌手段2cによって分散させるが、この撹拌手段2cによる撹拌条件については、所望の分散液滴径により異なるので、一概に決定することはできない。分散液滴径は、撹拌手段2cの撹拌翼の種類、翼径、回転数などにより調節することができる。撹拌翼としては、たとえば、プロペラ翼、パドル翼、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、リボン翼、フルゾーン翼(神鋼パンテック株式会社製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業株式会社製)、スーパーミックス(サタケ化学機械工業株式会社製)などを使用することが可能である。
【0047】
重合反応器2の反応器本体2a内では、石油系炭化水素分散媒に所定の添加速度で添加された水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を、界面活性剤存在下、石油系炭化水素分散媒中で、撹拌手段2cにより充分撹拌して分散させ、液滴を安定化させる。そして、重合反応器2の反応器本体2a内を充分に窒素置換した後、必要により内部架橋剤の存在下にて、水溶性ラジカル重合開始剤により逆相懸濁重合を行い、含水ゲル状重合体R2の懸濁液である吸水性樹脂組成物R1を得る。
【0048】
本実施形態で使用される水溶性ラジカル重合開始剤としては、たとえば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素などの過酸化物;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンジアミン]四水塩、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]などのアゾ化合物などが挙げられる。
【0049】
これらの中では、入手が容易で取り扱いやすいという観点から、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムおよび2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩が好ましい。
【0050】
なお、水溶性ラジカル重合開始剤は、亜硫酸塩、アスコルビン酸などの還元剤と併用してレドックス重合開始剤として用いてもよい。
【0051】
水溶性ラジカル重合開始剤の使用量は、通常、水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部あたり、0.01〜1質量部である。0.01質量部より少ない場合、重合率が低くなり、1質量部より多い場合、急激な重合反応が起こるため好ましくない。
【0052】
水溶性ラジカル重合開始剤の添加時期は特に制限されないが、予め水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液に添加しておくことが好ましい。
【0053】
必要に応じて使用される内部架橋剤としては、たとえば、(ポリ)エチレングリコール〔「(ポリ)」とは「ポリ」の接頭語がある場合とない場合を意味する。以下同じ〕、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどのポリオール類、ポリオール類とアクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸とを反応させて得られる二個以上のビニル基を有するポリ不飽和エステル類、N,N’−メチレンビスアクリルアミドなどのビスアクリルアミド類、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールトリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテルなどの二個以上のグリシジル基を含有するポリグリシジル化合物などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0054】
内部架橋剤の添加量は、水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、0〜3質量部が好ましく、0〜1質量部がより好ましく、0.001〜0.1質量部がさらに好ましい。添加量が3質量部を超えると、架橋が過度になり、吸水性能が低くなりすぎるため好ましくない。内部架橋剤は、予め水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液に添加しておくのが好ましい。
【0055】
重合反応器2における逆相懸濁重合の際の反応温度は、使用する重合開始剤の種類や量によって異なるので一概には決定することができないが、好ましくは30〜120℃、より好ましくは40〜100℃である。反応温度が30℃より低い場合、重合率が低くなる可能性があり、また、反応温度が120℃より高い場合は急激な重合反応が起こるため好ましくない。
【0056】
このようにして得られた、含水ゲル状重合体R2を含有する吸水性樹脂組成物R1(含水ゲル状重合体R2の懸濁液)を1段目の重合とし、以降、幾度か水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加して重合を繰り返す「多段重合」を行ってもよい。特に衛生材用途での使用においては、得られる吸水性樹脂粒子の大きさと生産効率の観点から、2段重合を行うことが好ましい。以下、2段重合を例示として、多段重合について詳述する。
【0057】
1段目の水溶性エチレン性不飽和単量体の重合で得られる粒子の大きさは、多段重合において、適度な凝集粒径を得る観点から、中位粒子径20〜200μmが好ましく、30〜150μmがより好ましく、40〜120μmがさらに好ましい。
【0058】
なお、1段目の重合粒子の中位粒子径は、前記1段目の重合が終了した後、脱水、乾燥することで得られた粒子について、以下の方法で測定することができる。すなわち、JIS標準篩を上から、目開き425μmの篩、目開き250μmの篩、目開き180μmの篩、目開き150μmの篩、目開き106μmの篩、目開き75μmの篩、目開き45μmの篩および受け皿の順に組み合わせ、組み合わせた最上の篩に、乾燥後の重合粒子を50g入れ、ロータップ式振とう器を用いて20分間振とうさせて分級する。分級後、各篩上に残った重合粒子の質量を全量に対する質量百分率として計算し、粒子径の大きい方から順に積算することにより、篩の目開きと篩上に残った重合粒子の質量百分率の積算値との関係を対数確率紙にプロットする。確率紙上のプロットを直線で結ぶことにより、積算質量百分率50質量%に相当する粒子径を、重合粒子の中位粒子径とする。
【0059】
2段重合を行う場合、後述の方法に従うことで、1段目の重合にて得られた粒子を凝集し、衛生材料用途に適した比較的平均粒径の大きな吸水性樹脂を得ることができる。
【0060】
このとき、2段目重合に用いられる水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液が、独立した液滴を形成しないよう界面活性剤の作用を低下させる必要がある。たとえば、1段目の重合後に冷却し、界面活性剤が少なくとも一部析出する温度で2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液を添加することにより、前記凝集した粒子を得ることができる。
【0061】
なお、2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液の添加により、凝集粒子が得られる方法であれば、前記方法に限定されるものでない。
【0062】
また、上記のように界面活性剤の界面活性作用を低下させた上で、2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液の添加を行うことにより、吸水性樹脂への石油系炭化水素分散媒の残存量は更に低減することができる。
【0063】
2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体としては、1段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体として例示したものと同様なものが使用できるが、単量体の種類、中和度、中和塩および単量体水溶液濃度は、1段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体と同じであっても異なっていてもよい。
【0064】
2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液に添加される重合開始剤についても、1段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液に添加されるものとして例示したものから選択して使用することができる。
【0065】
また、2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液にも、必要に応じて、内部架橋剤、連鎖移動剤などを添加してもよく、1段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液に添加されるものとして例示したものから選択して使用することができる。
【0066】
1段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対する2段目重合の水溶性エチレン性不飽和単量体の添加量は、適度な凝集粒子を得る観点から、50〜300質量部が好ましく、100〜200質量部がより好ましく、120〜160質量部がよりさらに好ましい。
【0067】
2段目の逆相懸濁重合における、撹拌手段2cによる撹拌は、全体が均一に混合されていればよい。凝集粒子径は、界面活性剤の析出状態などによって、変更できる。なお、衛生材料用途に好適な吸水性樹脂の凝集粒子径としては、200〜600μmが好ましく、250〜500μmがさらに好ましく、300〜450μmがよりさらに好ましい。
【0068】
なお、前記凝集粒子径は、吸水性樹脂の粉体R3の中位粒子径に相当するものであり、2段目の重合が終了した後、脱水、乾燥することで得られた凝集粒子について、以下の方法で測定することができる。すなわち、JIS標準篩を上から、目開き850μmの篩、目開き600μmの篩、目開き500μmの篩、目開き425μmの篩、目開き300μmの篩、目開き250μmの篩、目開き150μmの篩および受け皿の順に組み合わせ、組み合わせた最上の篩に、乾燥後の凝集粒子を50g入れ、ロータップ式振とう器を用いて20分間振とうさせて分級する。分級後、各篩上に残った凝集粒子の質量を全量に対する質量百分率として計算し、粒子径の大きい方から順に積算することにより、篩の目開きと篩上に残った凝集粒子の質量百分率の積算値との関係を対数確率紙にプロットする。確率紙上のプロットを直線で結ぶことにより、積算質量百分率50質量%に相当する粒子径を、凝集粒子の中位粒子径(吸水性樹脂の粉体R3の中位粒子径)とする。
【0069】
2段目の逆相懸濁重合における反応温度についても、重合開始剤の種類や量によって異なるので一概には決定することができないが、好ましくは30〜120℃、より好ましくは40〜100℃である。2段以上の多段重合を行う場合、以後2段目重合を3段目、4段目と読み換えて実行することができる。
【0070】
重合反応器2の反応器本体2aの底部には、重合反応後の反応器本体2aから、含水ゲル状重合体R2を含有する吸水性樹脂組成物R1を流出させるための樹脂組成物流出開口部2bが設けられている。樹脂組成物流出開口部2bを介して反応器本体2aから流出された吸水性樹脂組成物R1は、乾燥機3に流入する。
【0071】
なお、吸水性樹脂製造装置1において、重合反応器2と乾燥機3との間に濃縮器(不図示)が設けられていてもよい。濃縮器が設けられている場合には、重合反応器2の反応器本体2aから流出された吸水性樹脂組成物R1は、濃縮器を介して乾燥機3に流入することになる。
【0072】
濃縮器は、吸水性樹脂組成物R1から液体成分を留去するものである。濃縮器を構成する材料としては、銅、チタン合金、およびSUS304、SUS316、SUS316Lなどのステンレス鋼などを挙げることができるが、含水ゲル状重合体R2の付着が抑制されるという観点から、内壁面にフッ素樹脂加工などの表面加工が施されていることが好ましい。
【0073】
濃縮器における吸水性樹脂組成物R1からの液体成分の留去処理は、常圧下でも減圧下でもよく、液体成分の留去効率を高めるために、窒素などの気流下で行ってもよい。また、濃縮器には撹拌手段が配置されており、この撹拌手段によって吸水性樹脂組成物R1を撹拌しながら液体成分の留去処理が行われる。
【0074】
濃縮器における留去処理を常圧下で行う場合、濃縮器の設定温度は70〜250℃が好ましく、80〜180℃がより好ましく、80〜140℃がさらに好ましく、90〜130℃がよりさらに好ましい。また、濃縮器における留去処理を減圧下で行う場合、濃縮器の設定温度は60〜100℃が好ましく、70〜90℃がより好ましい。
【0075】
また、たとえば濃縮器における吸水性樹脂組成物R1からの液体成分の留去処理中に、水溶性エチレン性不飽和単量体由来の官能基と反応性を有する官能基を2個以上含有する後架橋剤(表面架橋剤)を添加することが好ましい。重合後に架橋剤を添加し反応させることにより、吸水性樹脂粒子の表面層の架橋密度が高まり、加圧下吸水能、吸水能(吸水速度)、ゲル強度などの諸性能を高めることができ、衛生材料用途として好適な性能が付与される。
【0076】
前記架橋反応に用いられる後架橋剤としては、重合に用いた水溶性エチレン性不飽和単量体由来の官能基と反応しうるものであれば特に限定されない。
【0077】
使用される後架橋剤としては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリンなどのポリオール類;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールトリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテルなどのポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロルヒドリンなどのハロエポキシ化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物などの反応性官能基を2個以上有する化合物;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノールなどのオキセタン化合物、1,2−エチレンビスオキサゾリンなどのオキサゾリン化合物、エチレンカーボネートなどのカーボネート化合物などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0078】
これらの中でも、反応性に優れている観点から(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールトリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテルなどのポリグリシジル化合物が好ましい。
【0079】
前記後架橋剤の添加量は、重合に付された水溶性エチレン性不飽和単量体の総量100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.02〜3質量部である。後架橋剤の添加量が0.01質量部未満の場合、得られる吸水性樹脂の加圧下吸水能、吸水能、吸水速度、ゲル強度などの諸性能を高めることができず、5質量部を超える場合、吸水能が低くなりすぎるため好ましくない。
【0080】
さらに、後架橋剤の添加方法は、後架橋剤をそのまま添加しても水溶液として添加してもよいが、必要に応じて、溶媒として親水性有機溶媒を用いた溶液として添加してもよい。この親水性有機溶媒としては、たとえば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールおよびプロピレングリコールなどの低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジオキサン、およびテトラヒドロフランなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ならびに、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などが挙げられる。これら親水性有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0081】
前記後架橋剤の添加時期は、重合後であればよく、特に限定されない。後架橋反応は、濃縮器における吸水性樹脂組成物R1からの液体成分の留去処理中において、吸水性樹脂100質量部に対して、1〜200質量部の範囲の水分存在下に実施されるのが好ましく、5〜100質量部の範囲の水分存在下に実施されるのがさらに好ましく、10〜50質量部の水分存在下に実施されるのがよりさらに好ましい。このように、後架橋剤添加時の水分量を調整することによって、より好適に吸水性樹脂の粒子表面層における後架橋を施すことができ、優れた吸水性能を発現することができる。
【0082】
後架橋反応における温度は、50〜250℃が好ましく、60〜180℃がより好ましく、60〜140℃がさらに好ましく、70〜120℃がよりさらに好ましい。
【0083】
また、濃縮器における留去処理を常圧下で行う場合、共沸により系外に留出した液体成分のうち、石油系炭化水素分散媒だけを還流させることにより、脱水を進めることができる。
【0084】
以下では、吸水性樹脂製造装置1が前述の濃縮器を備えていない構成について説明する。
【0085】
重合反応器2の樹脂組成物流出開口部2bと乾燥機3との間には、樹脂組成物流路部材である樹脂組成物流路配管11が接続されている。樹脂組成物流路配管11は、たとえば筒状であり、一端部が樹脂組成物流出開口部2bに接続され、他端部が乾燥機3に接続されて、樹脂組成物流出開口部2bから流出された吸水性樹脂組成物R1が流過する流路となる。
【0086】
樹脂組成物流路配管11には、配管内の流路を開閉する樹脂組成物流路開閉バルブ11aが設けられている。樹脂組成物流路開閉バルブ11aが開放された状態となると、反応器本体2aから樹脂組成物流出開口部2bを介して流出された、含水ゲル状重合体R2を含有する吸水性樹脂組成物R1が、樹脂組成物流路配管11内を流過して、乾燥機3内に流入する。
【0087】
乾燥機3は、吸水性樹脂組成物R1を乾燥させて、粒子状の吸水性樹脂の粉体R3を得る装置であり、吸水性樹脂組成物R1の乾燥が行われる乾燥機本体3aを備え、この乾燥機本体3aには、樹脂組成物流路配管11の他端部に接続された樹脂組成物流入開口部3bと、粉体流出開口部3cとが設けられている。乾燥機3では、樹脂組成物流路配管11内を流過した吸水性樹脂組成物R1が、樹脂組成物流入開口部3bから乾燥機本体3aに流入され、乾燥機本体3a内における吸水性樹脂組成物R1の乾燥により得られた吸水性樹脂の粉体R3が、粉体流出開口部3cから乾燥機本体3a外に流出される。
【0088】
乾燥機3は、乾燥機本体3a内において、水分率が好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下となるように吸水性樹脂組成物R1を加熱し、乾燥された吸水性樹脂の粉体R3を得る。乾燥機3により得られた吸水性樹脂の粉体R3は、その流動性などの種々の特性を向上させるために、非晶質シリカ粉末などの種々の添加物が添加されてもよい。
【0089】
また、乾燥機3の乾燥機本体3a内における、吸水性樹脂組成物R1の乾燥処理中に、前述した、水溶性エチレン性不飽和単量体由来の官能基と反応性を有する官能基を2個以上含有する後架橋剤(表面架橋剤)を添加するようにしてもよい。重合後に架橋剤を添加し反応させることにより、吸水性樹脂の粉体R3である吸水性樹脂粒子の表面層の架橋密度が高まり、加圧下吸水能、吸水能、吸水速度、ゲル強度などの諸性能を高めることができ、衛生材料用途として好適な性能が付与される。
【0090】
乾燥機3の粉体流出開口部3cを介して乾燥機本体3aから流出された吸水性樹脂の粉体R3は、粉体流量調整排出部材4に流入する。
【0091】
乾燥機3の粉体流出開口部3cと粉体流量調整排出部材4との間には、たとえば筒状の粉体流路部材である第1粉体流路配管12が接続されている。第1粉体流路配管12は、一端部が粉体流出開口部3cに接続され、他端部が粉体流量調整排出部材4に接続されて、粉体流出開口部3cから流出された、吸水性樹脂の粉体R3が流過する流路となる。
【0092】
本実施形態では、第1粉体流路配管12は、乾燥機3の粉体流出開口部3cが矩形状に形成されていることに対応して、粉体流出開口部3cに接続される一端部から他端部に向かって鉛直方向に延びる、矩形筒状に形成されている。また、第1粉体流路配管12には、粉体流出開口部3cに接続された壁部に対向した壁部の、粉体流出開口部3cよりも吸水性樹脂の粉体R3の流過方向下流側に、後述の捕集体5により捕集された粉体塊状物R4を第1粉体流路配管12外に取出すための粉体塊状物取出し開口部12aが設けられている。さらにまた、第1粉体流路配管12には、粉体塊状物取出し開口部12aを開閉するための蓋体12bが設けられている。
【0093】
図2に示すように、第1粉体流路配管12内には、捕集体5が、その外周縁端が第1粉体流路配管12の内面に接触するように設けられている。捕集体5は、第1粉体流路配管12内を流過する吸水性樹脂の粉体R3のうち、吸水性樹脂の粉体R3が凝集した塊状の、予め定める大きさよりも大きな粉体塊状物R4を捕集し、該粉体塊状物R4以外の吸水性樹脂の粉体R3を通過させる。
【0094】
ここで、捕集体5が捕集する粉体塊状物R4は、水溶性エチレン性不飽和単量体の重合体である吸水性樹脂が、たとえば重合反応器2の反応器本体2a、および乾燥機3の乾燥機本体3aの内壁面に付着し、その付着物が核となって塊状に成長した塊状物、吸水性樹脂の粉体R3が凝集して塊状となった塊状物であり、吸水性樹脂としての特性(加圧下吸水能、吸水能など)が劣化したものである場合が多い。
【0095】
吸水性樹脂としての特性である加圧下吸水能は、
図6に概略を示した測定装置100を用いて測定することができる。
図6に示した測定装置100は、ビュレット部131と導管132、測定台133、測定台133上に設置された測定部134からなっている。ビュレット部131は、ビュレット131aの上部にゴム栓、下部に空気導入管131bとコック131cが連結されており、さらに、空気導入管131bは先端にコック131dを有している。ビュレット部131と測定台133の間には、導管132が取り付けられており、導管132の内径は6mmである。測定台133の中央部には、直径2mmの穴があいており、導管132が連結されている。測定部134は、円筒部134a(プレキシグラス製)と、この円筒部134aの底部に接着されたナイロンメッシュ134bと、重り134cとを有している。円筒部134aの内径は、20mmである。ナイロンメッシュ134bの目開きは、75μm(200メッシュ)である。そして、測定時にはナイロンメッシュ134b上に吸水性樹脂135を均一に撒布させた。重り134cは、直径19mm、質量119.6gである。この重り134cは、吸水性樹脂135上に置かれ、吸水性樹脂135に対して4.14kPaの荷重を加えることができるようになっている。
【0096】
次に測定手順を説明する。測定は25℃の室内にて行なった。まずビュレット部131のコック131cとコック131dを閉め、25℃に調節された0.9質量%食塩水をビュレット131a上部から入れ、ゴム栓でビュレット131a上部の栓をした後、ビュレット部131のコック131c、コック131dを開けた。次に、測定台133中心部の導管口から出てくる0.9質量%食塩水の水面と、測定台133の上面とが同じ高さになるように測定台133の高さの調整を行った。
【0097】
別途、円筒部134aのナイロンメッシュ134b上に0.10gの吸水性樹脂135を均一に撒布して、この吸水性樹脂135上に重り134cを置いて、測定部134を準備した。次いで、測定部134を、その中心部が測定台133中心部の導管口に一致するようにして置いた。
【0098】
吸水性樹脂135が吸水し始めた時点から、ビュレット131a内の0.9質量%食塩水の減少量(すなわち、吸水性樹脂135が吸水した0.9質量%食塩水量)Wc(ml)を読み取る。吸水開始から60分間経過後における吸水性樹脂135の加圧下吸水能は、下記式(1)により求めることができる。
加圧下吸水能(ml/g)=Wc/0.10 …(1)
【0099】
上記のようにして測定される加圧吸水能について、吸水性樹脂の粉体R3を用いて吸水性樹脂135とした場合には、加圧下吸水能が12〜30ml/gであることに対し、粉体塊状物R4を用いて吸水性樹脂135とした場合には、加圧下吸水能が10ml/g以下である。
【0100】
また、吸水性樹脂としての特性である吸水能は、以下のようにして測定することができる。すなわち、500mLビーカーに0.9質量%食塩水500gを入れ、これに吸水性樹脂2.0gを添加して60分間撹拌した。目開き75μmのJIS標準篩いの質量Wa(g)をあらかじめ測定しておき、これを用いて、前記ビーカーの内容物を濾過し、篩いを水平に対して約30度の傾斜角となるように傾けた状態で、30分間放置することにより余剰の水分を濾別した。そして、吸水ゲルの入った篩いの質量Wb(g)を測定し、下記式(2)により、吸水能を求めることができる。
吸水能(g/g)=(Wb−Wa)/2.0 …(2)
【0101】
上記のようにして測定される吸水能について、吸水性樹脂の粉体R3を用いて吸水性樹脂とした場合には、吸水能が50〜65g/gであることに対し、粉体塊状物R4を用いて吸水性樹脂とした場合には、吸水能が30〜48g/gである。
【0102】
また、粉体塊状物R4は、その大きさの観点では、吸水性樹脂の粉体R3が凝集した塊状の、予め定める大きさよりも大きな塊状物であると定義する。粉体塊状物R4の大きさの指標となる前記予め定める大きさ(以下、「粉体塊状物指標サイズ」という)は、吸水性樹脂の粉体R3の中位粒子径の上限値D1(μm)を基準として、下記式(3)により求められる、該中位粒子径の上限値D1(μm)に15を乗算した値であると定義する。
粉体塊状物指標サイズ(μm)=D1×15 …(3)
【0103】
本実施形態では、吸水性樹脂の粉体R3の中位粒子径の上限値D1(μm)は、前述したように、「600」μmであるので、上記式(3)に従って粉体塊状物指標サイズが9000μmとなる。すなわち、本実施形態では、粉体塊状物指標サイズである9000μmよりも大きな塊状物を、粉体塊状物R4として取り扱う。
【0104】
第1粉体流路配管12内において粉体塊状物R4を捕集する捕集体5の構成について、
図3を用いて詳細に説明する。
図3は、捕集体の一例である捕集体5を示す概略図である。本実施形態において捕集体5は、第1粉体流路配管12内を流過する吸水性樹脂の粉体R3の大きさよりも大きく、かつ粉体塊状物R4の前記粉体塊状物指標サイズ以下の間隔をあけて、互いに平行に配設される複数の棒状部材5aと、複数の棒状部材5aの各一端部同士を連結する棒状の第1連結部材5bと、複数の棒状部材5aの各他端部同士を連結する棒状の第2連結部材5cと、を有する。なお、複数の棒状部材5aの間隔は等間隔であり、その間隔の下限値を規定するための前記「吸水性樹脂の粉体R3の大きさ」は、吸水性樹脂の粉体R3の中位粒子径の上限値である。
【0105】
複数の棒状部材5aと、第1連結部材5bと、第2連結部材5cとによって構成される捕集体5は、第1粉体流路配管12が矩形筒状に形成されていることに対応して、全体として外形状が矩形である。
【0106】
本実施形態の吸水性樹脂製造装置1は、粉体塊状物R4を捕集する捕集体5が、吸水性樹脂の粉体R3が流過する第1粉体流路配管12内に設けられているので、該第1粉体流路配管12の分級器側他端部に接続される後述の粉体流量調整排出部材4に、粉体塊状物R4が流入することを防止することができる。これによって、粉体塊状物R4の、粉体流量調整排出部材4の駆動部への噛み込み等を防止して駆動負荷が増大することを抑制し、粉体流量調整排出部材4の駆動が不安定になったり停止されることを防止することができるので、吸水性樹脂の生産効率の低下を抑制することができる。したがって、吸水性樹脂製造装置1は、粒子状の粉体としての吸水性樹脂を、粉体塊状物R4が除去された状態で、高い生産効率で製造することができる。また、粉体塊状物R4の吸水性樹脂としての特性が劣る場合、この粉体塊状物R4を捕集体5によって除去することができるので、品質の優れた吸水性樹脂を製造することができる。
【0107】
また、捕集体5を構成する複数の棒状部材5aは、第1粉体流路配管12内において、水平に対して傾斜していることが好ましい。具体的には、捕集体5を構成する複数の棒状部材5aは、第1粉体流路配管12内において、粉体流出開口部3cに接続された壁部から、該壁部に対向した壁部に向かうに連れて鉛直下方となるように、直線状に延び、粉体塊状物取出し開口部12aの鉛直下端部に接続されている。
【0108】
このように、捕集体5を構成する複数の棒状部材5aが水平に対して傾斜していることによって、捕集体5によって捕集された粉体塊状物R4を、傾斜方向下流側に集めることができるので、第1粉体流路配管12内において捕集体5の全てが粉体塊状物R4によって閉塞されることを抑制することができ、その結果、第1粉体流路配管12内における、吸水性樹脂の粉体R3が流過する流路を確保することができる。
【0109】
また、捕集体5を構成する複数の棒状部材5aは、円柱状または円筒状の部材であることが好ましい。これによって、棒状部材5aがたとえば角部を有する部材によって構成されている場合に比べて、粉体塊状物R4が棒状部材5aに衝突したときに破砕されることを抑制することができる。その結果、吸水性樹脂としての特性が劣化したものである場合が多い、破砕した粉体塊状物R4が、捕集体5を通過することを抑制することができる。
【0110】
また、捕集体5を構成する複数の棒状部材5aは、第1粉体流路配管12内において、粉体流出開口部3cに接続された壁部の壁面と平行に直線状に延び、各棒状部材5aが、粉体流出開口部3cに接続された壁部から、該壁部に対向した壁部に向かうに連れて鉛直下方となるように配置されるように構成されていてもよい。この場合には、捕集体5を構成する複数の棒状部材5aは、第1粉体流路配管12における粉体流出開口部3cに接続された壁部の壁面と平行な回転軸まわりに、回転可能であることが好ましい。これによって、捕集体5の棒状部材5aに捕集された粉体塊状物R4に、棒状部材5aによる回転力を付与することができるので、棒状部材5aの傾斜方向下流側への粉体塊状物R4の移動を補助することができる。
【0111】
図4Aおよび
図4Bは、捕集体5の変形例を示す概略図である。本実施形態の吸水性樹脂製造装置1において捕集体は、前述の捕集体5の構成に限定されるものではなく、
図4A,4Bに示す構成であってもよい。
【0112】
図4A(1)に示す捕集体5Aは、全体として串型の形状を有する。捕集体5Aは、第1粉体流路配管12内を流過する吸水性樹脂の粉体R3の大きさよりも大きく、かつ粉体塊状物R4の前記粉体塊状物指標サイズ以下の間隔をあけて、互いに平行に配設される複数の棒状部材5Aaと、複数の棒状部材5Aaの各一端部同士を連結する棒状の連結部材5Abと、を有する。なお、複数の棒状部材5Aaの間隔は等間隔であり、その間隔の下限値を規定するための前記「吸水性樹脂の粉体R3の大きさ」は、吸水性樹脂の粉体R3の中位粒子径の上限値である。また、捕集体5Aを構成する複数の棒状部材5Aaは、前述の捕集体5の棒状部材5aと同様に、第1粉体流路配管12内において水平に対して傾斜していることが好ましく、円柱状または円筒状の部材であることが好ましく、回転可能に構成されていてもよい。
【0113】
図4A(2)に示す捕集体5Bは、全体としてアンテナ型の形状を有する。捕集体5Bは、第1粉体流路配管12内を流過する吸水性樹脂の粉体R3の大きさよりも大きく、かつ粉体塊状物R4の前記粉体塊状物指標サイズ以下の間隔をあけて、互いに平行に配設される複数の棒状部材5Baと、複数の棒状部材5Baの各中央部同士を連結する棒状の連結部材5Bbと、を有する。なお、捕集体5Bにおいて、複数の棒状部材5Baは、連結部材5Bbに関して必ずしも対称形でなくてもよく、たとえば、各棒状部材5Baの中央部からいずれかの端部側にずれた部分で連結部材5Bbに連結される非対称な構成であってもよいし、複数の棒状部材5Baが、棒状部材5Baに直交する仮想一直線に対して傾斜した連結部材5Bbに連結される構成であってもよい。なお、複数の棒状部材5Baの間隔は等間隔であり、その間隔の下限値を規定するための前記「吸水性樹脂の粉体R3の大きさ」は、吸水性樹脂の粉体R3の中位粒子径の上限値である。また、捕集体5Bを構成する複数の棒状部材5Baは、前述の捕集体5の棒状部材5aと同様に、第1粉体流路配管12内において水平に対して傾斜していることが好ましく、円柱状または円筒状の部材であることが好ましく、回転可能に構成されていてもよい。
【0114】
図4B(3)に示す捕集体5Cは、全体として網型の形状を有する。捕集体5Cは、第1粉体流路配管12内を流過する吸水性樹脂の粉体R3の大きさよりも大きく、かつ粉体塊状物R4の前記粉体塊状物指標サイズ以下の間隔をあけて、互いに平行に配設される複数の第1棒状部材5Caと、複数の第1棒状部材5Caの各一端部同士を連結する棒状の第1連結部材5Cbと、複数の第1棒状部材5Caの各他端部同士を連結する棒状の第2連結部材5Ccと、互いに間隔をあけて配設され、各第1棒状部材5Caに直交する複数の第2棒状部材5Cdと、を有する。各第2棒状部材5Cdは、各第1棒状部材5Caの、吸水性樹脂の粉体R3の流過方向下流側の面に当接して設けられている。なお、複数の第1棒状部材5Caおよび複数の第2棒状部材5Cdの間隔は等間隔であり、その間隔の下限値を規定するための前記「吸水性樹脂の粉体R3の大きさ」は、吸水性樹脂の粉体R3の中位粒子径の上限値である。また、捕集体5Cを構成する複数の第1棒状部材5Caおよび複数の第2棒状部材5Cdは、前述の捕集体5の棒状部材5aと同様に、円柱状または円筒状の部材であることが好ましく、回転可能に構成されていてもよい。また、複数の第1棒状部材5Caは、前述の捕集体5の棒状部材5aと同様に、第1粉体流路配管12内において水平に対して傾斜していることが好ましい。
【0115】
図4B(4)に示す捕集体5Dは、全体として網型の形状を有する。捕集体5Dは、開口を有する枠部材5Daと、枠部材5Daの開口内に設けられる複数の第1棒状部材5Dbと、枠部材5Daの開口内に設けられる複数の第2棒状部材5Dcと、を有する。複数の第1棒状部材5Dbは、波状に湾曲しており、枠部材5Daの開口内周部に両端部が接続され、第1粉体流路配管12内を流過する吸水性樹脂の粉体R3の大きさよりも大きく、かつ粉体塊状物R4の前記粉体塊状物指標サイズ以下の間隔をあけて、互いに平行に配設される。複数の第2棒状部材5Dcは、波状に湾曲しており、枠部材5Daの開口内周部に両端部が接続され、互いに間隔をあけて配設され、吸水性樹脂の粉体R3の流過方向から見た平面視において各第1棒状部材5Dbに直交する。また、吸水性樹脂の粉体R3の流過方向上流側から下流側に捕集体5Dを見たときに、第1棒状部材5Dbと第2棒状部材5Dcとの交差部では、第1棒状部材5Dbと第2棒状部材5Dcとが交互に露出している。なお、複数の第1棒状部材5Dbおよび複数の第2棒状部材5Dcの間隔は等間隔であり、その間隔の下限値を規定するための前記「吸水性樹脂の粉体R3の大きさ」は、吸水性樹脂の粉体R3の中位粒子径の上限値である。また、捕集体5Dを構成する複数の第1棒状部材5Dbおよび複数の第2棒状部材5Dcは、前述の捕集体5の棒状部材5aと同様に、円柱状または円筒状の部材であることが好ましく、回転可能に構成されていてもよい。また、複数の第1棒状部材5Dbまたは複数の第2棒状部材5Dcのいずれかは、前述の捕集体5の棒状部材5aと同様に、第1粉体流路配管12内において水平に対して傾斜していることが好ましい。
【0116】
本実施形態の吸水性樹脂製造装置1において捕集体は、前述の捕集体5,5A,5B,5C,5Dの構成に限定されるものではなく、
図5に示す構成であってもよい。
図5は、捕集体の他の例である捕集体50を示す概略図である。
【0117】
捕集体50は、第1粉体流路配管12内において、捕集部材51と捕集部材52との、2つの捕集部材が、吸水性樹脂の粉体R3の流過方向に間隔をあけて、互いに平行に配置された2層構造を有する。
【0118】
捕集体50において、捕集部材51は、第1粉体流路配管12内を流過する吸水性樹脂の粉体R3の大きさよりも大きく、かつ粉体塊状物R4の前記粉体塊状物指標サイズ以下の間隔をあけて、互いに平行に配設される複数の棒状部材51aと、複数の棒状部材51aの各一端部同士を連結する棒状の第1連結部材51bと、複数の棒状部材51aの各他端部同士を連結する棒状の第2連結部材51cと、を有する。なお、複数の棒状部材51aの間隔は等間隔であり、その間隔の下限値を規定するための前記「吸水性樹脂の粉体R3の大きさ」は、吸水性樹脂の粉体R3の中位粒子径の上限値である。
【0119】
複数の棒状部材51aと、第1連結部材51bと、第2連結部材51cとによって構成される捕集部材51は、第1粉体流路配管12が矩形筒状に形成されていることに対応して、全体として外形状が矩形である。
【0120】
捕集部材51を構成する複数の棒状部材51aは、第1粉体流路配管12内において、粉体流出開口部3cに接続された壁部から、該壁部に対向した壁部に向かうに連れて鉛直下方となるように、水平に対して傾斜して直線状に延びていることが好ましい。
【0121】
また、捕集部材51を構成する複数の棒状部材51aは、円柱状または円筒状の部材であることが好ましく、回転可能であることが好ましい。
【0122】
捕集体50において、捕集部材52は、捕集部材51に対して吸水性樹脂の粉体R3の流過方向下流側に間隔をあけて配置される。捕集部材52は、第1粉体流路配管12内を流過する吸水性樹脂の粉体R3の大きさよりも大きく、かつ粉体塊状物R4の前記粉体塊状物指標サイズ以下の間隔をあけて、互いに平行に配設される複数の棒状部材52aと、複数の棒状部材52aの各一端部同士を連結する棒状の第1連結部材52bと、複数の棒状部材52aの各他端部同士を連結する棒状の第2連結部材52cと、を有する。なお、複数の棒状部材52aの間隔は等間隔であり、その間隔の下限値を規定するための前記「吸水性樹脂の粉体R3の大きさ」は、吸水性樹脂の粉体R3の中位粒子径の上限値である。
【0123】
複数の棒状部材52aと、第1連結部材52bと、第2連結部材52cとによって構成される捕集部材52は、第1粉体流路配管12が矩形筒状に形成されていることに対応して、全体として外形状が矩形である。
【0124】
捕集部材52を構成する複数の棒状部材52aは、第1粉体流路配管12内において、粉体流出開口部3cに接続された壁部の壁面と平行に、直線状に延びる。すなわち、捕集部材52を構成する複数の棒状部材52aの延在方向は、捕集部材51を構成する複数の棒状部材51aの延在方向に対して垂直である。
【0125】
また、捕集部材52を構成する複数の棒状部材52aは、円柱状または円筒状の部材であることが好ましく、回転可能であることが好ましい。
【0126】
捕集体50において、捕集部材51と捕集部材52とは、外形状が矩形の角部同士が、部材間連結部材53a,53b,53c,53dによって連結されている。
【0127】
このような捕集体50が、吸水性樹脂の粉体R3が流過する第1粉体流路配管12内に設けられることによって、前述の捕集体5と同様に、第1粉体流路配管12の分級器側他端部に接続される後述の粉体流量調整排出部材4に、粉体塊状物R4が流入することを防止することができる。これによって、粉体塊状物R4の、粉体流量調整排出部材4の駆動部への噛み込み等を防止して駆動負荷が増大することを抑制し、粉体流量調整排出部材4の駆動が不安定になったり停止されることを防止することができるので、吸水性樹脂の生産効率の低下を抑制することができる。したがって、吸水性樹脂製造装置1は、粒子状の粉体としての吸水性樹脂を、粉体塊状物R4が除去された状態で、高い生産効率で製造することができる。
【0128】
図1,2に戻って、本実施形態の吸水性樹脂製造装置1において、第1粉体流路配管12の他端部には、粉体流量調整排出部材4が接続されている。粉体流量調整排出部材4は、第1粉体流路配管12内を流過し、捕集体5(または捕集体5A,5B,5C,5D,50)を通過した吸水性樹脂の粉体R3を、予め定める流量となるように調整しながら排出する。粉体流量調整排出部材4による、吸水性樹脂の粉体R3の排出流量となる前記予め定める流量の設定値は、後述の分級器6の分級効率に基づく値である。具体的には、粉体流量調整排出部材4による、吸水性樹脂の粉体R3の排出流量となる前記予め定める流量の設定値は、分級器6における処理能力に基づく値であり、たとえば、0.1〜6T/hrに設定される。
【0129】
粉体流量調整排出部材4は、たとえば、ロータリーバルブやスクリューフィーダによって実現される。本実施形態では、粉体流量調整排出部材4は、たとえば筒状の粉体流路部材である第2粉体流路配管4cと、流量調整部材であるホッパ4aおよびロータリーバルブ4bとを含んで構成される。このような構成の粉体流量調整排出部材4では、第1粉体流路配管12内を流過し、捕集体5(または捕集体5A,5B,5C,5D,50)を通過した吸水性樹脂の粉体R3は、ホッパ4aに一時的に貯留され、ロータリーバルブ4bが回転駆動されることによって、第2粉体流路配管4cから予め定める流量となるように調整されながら、排出される。
【0130】
本実施形態の吸水性樹脂製造装置1において、粉体流量調整排出部材4の第2粉体流路配管4cには、分級器6が接続されている。分級器6は、第2粉体流路配管4cから排出された吸水性樹脂の粉体R3を分級する。
【0131】
分級器6としては、特に限定されないが、たとえば振動篩(アンバランスウェイト駆動式、共振式、振動モータ式、電磁式、円型振動式など)、面内運動篩(水平運動式、水平円−直線運動式、3次元円運動式など)、可動網式篩、強制攪拌式篩、網面振動式篩、風力篩、音波篩などを挙げることができ、これらの中でも本実施形態では振動篩、面内運動篩が用いられる。
【0132】
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0133】
(実施例1)
図1および
図2に示した吸水性樹脂製造装置を用いて、吸水性樹脂を製造した。吸水性樹脂製造装置において、第1粉体流路配管内には、捕集体が設けられている。吸水性樹脂製造装置の運転を実施したところ、運転開始後92日目に粉体流量調整排出部材の駆動部が過負荷により、停止した。駆動部のメンテナンスを実施し、運転を再開したところ77日後に粉体流量調整排出部材の駆動部が過負荷により、停止した。再度、駆動部のメンテナンスを実施し、運転を再開したところ115日後に粉体流量調整排出部材の駆動部が過負荷により、停止した。
【0134】
また、実施例1において得られた吸水性樹脂の粉体を用いて吸水性樹脂とした場合には、吸水能が64g/gであり、加圧下吸水能が15ml/gであった。これに対し、捕集体に捕集された粉体塊状物を用いて吸水性樹脂とした場合には、吸水能が45g/gであり、加圧下吸水能が8ml/gであった。なお、加圧下吸水能は、
図6に示した測定装置を用いて測定された測定値に基づいて、上記式(1)により求められたものであり、吸水能は、上記式(2)により求められたものである。
【0135】
(比較例1)
第1粉体流路配管内に捕集体が設けられていないこと以外は実施例1と同様に構成される吸水性樹脂製造装置を用いて、吸水性樹脂を製造した。吸水性樹脂製造装置の運転を実施したところ、運転開始後14日目に粉体流量調整排出部材の駆動部が過負荷により、停止した。駆動部のメンテナンスを実施し、運転を再開したところ20日後に粉体流量調整排出部材の駆動部が過負荷により、停止した。再度、駆動部のメンテナンスを実施し、運転を再開したところ10日後に粉体流量調整排出部材の駆動部が過負荷により、停止した。
【0136】
実施例1および比較例1の結果から明らかなように、第1粉体流路配管内に捕集体を設けることによって、粉体塊状物を除去することができ、粒子状の粉体としての吸水性樹脂を、高い生産効率で製造することができることがわかる。また、実施例1では、吸水性樹脂としての特性が劣る粉体塊状物を、捕集体によって除去することができるので、品質の優れた吸水性樹脂を製造することができることがわかる。
【0137】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は特許請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。