(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の電力アセンブリが、第1の電源、第1の高電圧発生器、及び第1のコントローラのうちの少なくとも1つを含み、前記第2の電力アセンブリが、第2の電源、第2の高電圧発生器、及び第2のコントローラのうちの少なくとも1つを含み、前記第2の電源、前記第2の高電圧発生器、及び前記第2のコントローラのうちの前記少なくとも1つが、前記第1の電源、前記第1の高電圧発生器、及び前記第1のコントローラのうちの不良品の代わりになるように構成されている、請求項1に記載の装置。
前記第2の電力アセンブリに接続可能な1つ又は複数の第4の電極をさらに含み、前記1つ又は複数の第2の電極が、前記1つ又は複数の第3の電極と前記1つ又は複数の第4の電極との間に配置されている、請求項3に記載の装置。
接地と、前記1つ又は複数の第1の電極及び前記1つ又は複数の第2の電極のうちの少なくとも1つとに接続された少なくとも1つのスイッチをさらに備えている、請求項1又は3に記載の装置。
接地と、前記1つ又は複数の第1の電極、前記1つ又は複数の第2の電極、及び前記1つ又は複数の第3の電極のうちの少なくとも1つとに接続された少なくとも1つのスイッチをさらに備えている、請求項3又は4に記載の装置。
前記第1の電力アセンブリ及び前記第2の電力アセンブリが、電源、高電圧発生器、及びコントローラからなる群から選択された1つ又は複数の部品を共有し、前記1つ又は複数の冗長な部品が、非共有部品である、請求項1又は5に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の様々な実施形態について、これより詳細に参照する。これらの実施形態の1つ又は複数の実施例は、図面で示されている。図面に関する以下の説明の中で、同一の参照番号は、同一の構成要素を指す。概して、個々の実施形態に関する相違点のみが説明される。各実施例は、本開示の説明のために提供されているが、本開示を限定することは意図していない。さらに、1つの実施形態の一部として図示且つ説明されている特徴は、さらに別の実施形態をもたらすために、他の実施形態において用いてもよく、又は、他の実施形態と共に用いてもよい。本記載がこのような修正例及び変形例を含むことが意図されている。
【0017】
OLEDコーティングシステムでは、単極又は双極静電チャック(E‐チャック)を使用して、搬送及び堆積中に基板を保持することができる。静電チャックは、処理環境を通して、ガラス、ウエハ、プラスチック等の平坦な基板材料を搬送することができる。基板は、チャッキング電圧及び静電チャック内部の電極の設計構造を用いて支持され得る。E‐チャックが使用される環境には、暖かい/冷たい温度、雰囲気/超過圧力/真空、乾燥/湿潤状態等が含まれ得る。電極を用いて、高電圧によって静電界を生成することができる。例えば、短絡などのエラーにより漏洩電流が発生した場合、静電界は崩壊することがある。この場合、基板が静電チャックから外れて落ちてしまう。
【0018】
本開示は、フェールセーフな基板支持体を有する静電チャックなどの装置を提供する。静電界に問題が生じても、基板は基板支持体において支持され得る。特に、本開示は、冗長性(redundancy)を有する装置を提供する。電源、高電圧(HV)発生器、及び/又はコントローラなどの1つ又は複数の冗長な部品が提供される。当該装置は、1つ又は複数の冗長な電極対(クラスタ)などの1つ又は複数の冗長な電極をさらに有し得る。各電極対は、固有の電力アセンブリを有し得る。電力アセンブリは、電源、HV発生器、及びコントローラのうちの少なくとも1つを含み得る。したがって、1つの電極対又は電極対の作動に使用される部品に問題が生じた場合、基板が装置から落ちないように、他のものが基板を継続的に支持する。このようなシステムは、より大きな処理上の安全をもたらす。真空下にあり得る、製造ツール内部の破損した基板に起因して過剰に洗浄することを回避することができる。本開示の実施形態は、基板が実質的に垂直な配向にある用途において特に有益である。
【0019】
図1は、本明細書に記載された実施形態に係る、真空堆積処理において基板10を保持するための装置100の概略図を示す。装置100は、キャリアのような基板支持体であり得る。具体的には、本開示に係る装置100は、静電力を供給する静電チャック(E‐チャック)であり得る。
【0020】
装置100は、支持面112、支持面112で基板10及びマスク20のうちの少なくとも1つを保持するための引力を与えるように構成された複数の電極を有する電極アレンジメント120、並びにコントローラ130を含む。コントローラ130は、1つ又は複数の電圧を電極アレンジメント120に選択的に印加するように構成され得る。電極アレンジメント120は、少なくとも、1つ又は複数の第1の電極及び1つ又は複数の第2の電極を有する第1の電極アレンジメントを含み得る。
【0021】
幾つかの実施形態によれば、第1の電力アセンブリは、1つ又は複数の第1の電極に接続され、第2の電力アセンブリは、1つ又は複数の第2の電極に接続される。第2の電力アセンブリは、例えば、第1の電力アセンブリのために1つ又は複数の冗長な部品を提供することができ、又は逆も可能である。1つ又は複数の冗長な部品は、電源(例えば、バッテリ)、高電圧(HV)発生器、及びコントローラ(例えば、コントローラ130)を含む群から選択され得る。例えば、第1の電力アセンブリは、第1の電源、第1の高電圧発生器、及び第1のコントローラのうちの少なくとも1つを含む。第2の電力アセンブリは、第2の電源、第2の高電圧発生器、及び第2のコントローラのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0022】
第2の電源、第2の高電圧発生器、及び第2のコントローラのうちの少なくとも1つは、第1の電源、第1の高電圧発生器、及び第1のコントローラのうちの不良品の代わりになるように構成され得る。例えば、第2の電力アセンブリは、第1の電力アセンブリの部品に故障が生じた場合、第1の電力アセンブリの部品と交換されるように適合された1つ又は複数の部品を提供する。しかしながら、本開示は、不良部品の代用に限定されず、第1の電力アセンブリ及び第2の電力アセンブリは、互いから独立し得る。
【0023】
幾つかの実装形態では、第1の電力アセンブリ及び第2の電力アセンブリは、同じ部品を含む。具体的には、第1の電力アセンブリは、第1の電源、第1の高電圧発生器、及び第1のコントローラを含み得る。第2の電力アセンブリは、第2の電源、第2の高電圧発生器、及び第2のコントローラを含み得る。言い換えると、第1の電力アセンブリ及び第2の電力アセンブリは、実質的に同一に構成されてもよい。幾つかの実施形態では、電力アセンブリの1つの部品が故障した場合、他方の電力アセンブリの対応する部品が引き継ぐことができる。完全な冗長性がもたらされ得る。他の実施形態では、第1の電源及び第2の電源は、互いから独立しており、互いに取って代わることはできない。
【0024】
さらなる実装形態では、第1の電力アセンブリ及び第2の電力アセンブリは、電源、高電圧発生器、及びコントローラからなる群から選択された1つ又は複数の部品を共有することができる。1つ又は複数の冗長な部品は、非共有部品であり得る。例えば、第1の電力アセンブリ及び第2の電力アセンブリは、電源を共有し得る。言い換えると、第1の電力アセンブリ及び第2の電力アセンブリは、同じ電源を含み得る(使用し得る)。第1の電力アセンブリ及び第2の電力アセンブリは、それぞれのHV発生器及びコントローラを含み得る。片方の電力アセンブリのHV発生器及び/又はコントローラが故障した場合、他方の電力アセンブリの他方のHV発生器及び/又はコントローラが、不良部品の機能を引き継ぐことができる。部分的な冗長性がもたらされ得る。他の実施形態では、第1の電源及び第2の電源は、互いから独立しており、互いに取って代わることはできない。
【0025】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、第1の電力アセンブリ及び第2の電力アセンブリは、コントローラ(共通コントローラ)を共有し得る。言い換えると、コントローラは、一度、すなわち、非冗長に提供される。第1の電力アセンブリは、第1の電源及び/又は第1のHV発生器を含み得、第2の電力アセンブリは、第2の電源及び/又は第2のHV発生器を含み得る。言い換えると、電源及び/又はHV発生器は、2度、すなわち、冗長に提供される。
【0026】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、第1の電力アセンブリ及び第2の電力アセンブリは、電源(共通電源)を共有する。言い換えると、電源は、一度、すなわち、非冗長に提供される。第1の電力アセンブリは、第1のコントローラ及び/又は第1のHV発生器を含み得、第2の電力アセンブリは、第2のコントローラ及び/又は第2のHV発生器を含み得る。言い換えると、コントローラ及び/又はHV発生器は、2度、すなわち、冗長に提供される。
【0027】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、第1の電力アセンブリ及び第2の電力アセンブリは、HV発生器(共通HV発生器)を共有する。言い換えると、HV発生器は、一度、すなわち、非冗長に提供される。第1の電力アセンブリは、第1のコントローラ及び/又は第1の電源を含み得、第2の電力アセンブリは、第2のコントローラ及び/又は第2の電源を含み得る。言い換えると、コントローラ及び/又は電源は、2度、すなわち、冗長に提供される。
【0028】
以上の観点から、少なくとも1つの共通部品が提供され得る。共通部品は、第1の電力アセンブリ及び第2の電力アセンブリ、並びに任意選択的に1つ又は複数のさらなる電力アセンブリによって共有される。少なくとも1つの共通部品は、コントローラ、電源、及びHV発生器からなる群から選択され得る。他の部品のうちの少なくとも1つは、冗長に、すなわち、少なくとも2度提供され得る。
【0029】
さらなる実施形態によれば、
図2A及び
図2Bで示されるように、電極アレンジメント120は、少なくとも、1つ又は複数の第1の電極及び1つ又は複数の第2の電極を有する第1の電極アレンジメント、並びに少なくとも1つ又は複数の第3の電極を有する第2の電極アレンジメントを含み得る。幾つかの実施形態によれば、1つ又は複数の第1の電極及び1つ又は複数の第2の電極は、第1の電力アセンブリに接続可能(又は接続済)である。1つ又は複数の第3の電極は、1つ又は複数の第1の電極と1つ又は複数の第2の電極と間に配置され、第2の電力アセンブリに接続可能(又は接続済)である。第1の電力アセンブリ及び第2の電力アセンブリは、それぞれ、電源(例えば、バッテリ)、HF発生器、及びコントローラのうちの少なくとも1つを含み得る。幾つかの実装形態では、第1の電力アセンブリ及び第2の電力アセンブリは、それぞれ、装置100内に組み込まれた対応するバッテリを含み得、バッテリは、外部電源を用いて充電可能であり得る。第2の電力アセンブリは、第1の電力アセンブリのための1つ又は複数の冗長な部品を提供することができ、且つ/又は、第1の電力アセンブリは、第2の電力アセンブリのための1つ又は複数の冗長な部品を提供することができる。第1の電力アセンブリ及び第2の電力アセンブリは、上述のように構成されてもよく、特に完全な又は部分的な冗長性をもたらすことができる。
【0030】
例えば、1つ又は複数の第3の電極及び/又は第2の電力アセンブリの部品が故障しても、基板10を支持面112で確実に保持することができる。例えば、第1の電極アレンジメント及び第2の電極アレンジメントの両方が、基板10及び/又はマスク20を支持面112で保持するのに十分な引力を与えるように構成されている。1つ又は複数の第1の電極と1つ又は複数の第2の電極との間に1つ又は複数の第3の電極を配置し、それに個々の電力アセンブリへのそれぞれの接続を組み合わせることにより、支持面112にわたる引力の分散に改善をもたらすことができる。具体的には、故障が生じた場合に、大きな領域で引力がないという事態を避けることができる。
【0031】
電極アレンジメント120は、チャック力などの引力を与えるように構成され得る。引力は、電極アレンジメント120(又は支持面112)と基板10及び/又はマスク20との間の特定の相対的距離で基板10及び/又はマスク20に作用する力であり得る。引力は、電極アレンジメント120の電極に印加された電圧によってもたらされる静電力であり得る。引力の大きさは、電圧極性設定及び電圧レベルによって決定され得る。引力は、電圧極性設定を変更し、且つ/又は電圧レベルを変更することによって変えることができる。
【0032】
引力は、引力が作用する存在物に関連して定義することができる。一例として、基板10に作用する引力は、「基板引力140」と呼んでもよい。同様に、マスク20に作用する引力は、「マスク引力142」と呼んでもよい。ただし、「引力」という用語は、基板引力とマスク引力との両方を包含するであろう。
【0033】
基板10は、E‐チャックであり得る装置100によって与えられた引力によって、支持面112に向かって(例えば、垂直方向1に対して直角をなす水平方向であり得る方向2に)誘引される。引力は、例えば、摩擦力を用いて垂直位置で基板10を保持するのに十分な強度であり得る。具体的には、基板引力140などの引力は、基板10を支持面112に実質的に不動に固定するよう構成され得る。例えば、摩擦力を用いて0.5mmガラス基板を垂直位置に保持するには、摩擦係数に応じて、約50〜100N/m
2(Pa)の誘引圧力(attracting pressure)を使用することができる。
【0034】
装置100は、支持面112が設けてある本体110を含み得る。この支持面112は、例えば、基板10の背面に接触するように構成された実質的に平坦な表面であり得る。具体的には、基板10は、背面の反対側にあり且つ真空堆積処理の間に層が堆積される前面(「処理面」とも呼ばれる)を有し得る。
【0035】
電極アレンジメント120は、本体110に埋め込まれてもよく、又は、本体110上に設置(例えば、配置)されてもよい。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、本体110は、誘電体板などの誘電体である。誘電体は、誘電材料、好ましくは、熱分解窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、アルミナ、又はその等価材料などの高熱伝導性誘電材料から製造され得るが、ポリイミドのような材料から製作されてもよい。幾つかの実施形態では、微細金属片のグリッドのような電極が、誘電体板上に置かれ、薄い誘電体層で覆われ得る。
【0036】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、装置100は、2つ以上の電圧源を含む。この電圧源は、例えば、1つ又は複数の電圧を電極アレンジメント120に印加するように構成された、第1の電力アセンブリの第1の電源及び/又は第1のHV発生器、並びに第2の電力アセンブリの第2の電源及び/又は第2のHV発生器である。幾つかの実装形態では、2つ以上の電圧源は、電極アレンジメント120の少なくとも1つの電極を接地するように構成されている。一例として、2つ以上の電圧源は、第1の極性を有する第1の電圧、第2の極性を有する第2の電圧、及び/又は電極アレンジメント120への接地を印加/適用するように構成され得る。
図1の斜め線が入った四角は、例えば、第1の極性を有する電極を示し、空の四角は、例えば、第2の極性を有する電極を示す。本開示を通して使用されている用語「極性」は、電気的極性、すなわち、負極(−)及び正極(+)のことを指す。一例として、第1の極性は負極であり得、第2の極性は正極であり得、又は、第1の極性は正極であり得、第2の極性は負極であり得る。
【0037】
コントローラ130は、1つ又は複数の電圧及び/又は接地を電極アレンジメント120に印加/適用するための2つ以上の電圧源を制御するように構成され得る。幾つかの実装形態では、コントローラ130は、1つ又は複数の電圧源に組み込まれてもよく、又はその逆も可能である。さらなる実装形態では、コントローラ130は、例えば、ケーブル接続及び/又は無線接続を介して、1つ又は複数の電圧源に接続された別個の存在物として設けられてもよい。
【0038】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、装置100は、単極E‐チャックのような単極装置、双極E‐チャックのような双極装置、又は単極構成と双極構成との間で切り替え可能な組み合わされたE‐チャックであり得る。具体的には、単極構成は、一種類のみの極性、すなわち、第1の極性又は第2の極性のいずれかを含み、任意選択的に1つ又は複数の接地された電極を含む。双極構成は、両種類の極性、すなわち、第1の極性及び第2の極性を含み、任意選択的に1つ又は複数の接地された電極を含む。
【0039】
装置100は、例えば、真空処理システムの真空チャンバ内の、搬送方向における1つ又は複数の搬送経路に沿った非接触浮揚及び/又は非接触搬送のために構成され得る。例えば、装置100は、1つ又は複数の受動磁気要素を含み得る。例えば、1つ又は複数の受動磁気要素は、装置の一部であり得る強磁性材料のバー又はロッドであり得る。代替的に、1つ又は複数の受動磁気要素は、装置100と一体的に形成され得る。1つ又は複数の受動磁気要素は、真空チャンバ内での装置100の非接触浮揚及び/又は非接触搬送のための真空処理システムの真空チャンバ内で、磁気案内及び/又は駆動構造体などの磁気構造体と磁気的に相互作用し得る。
【0040】
装置100の非接触浮揚及び/又は搬送は、搬送中に、例えば、ガイドレールとの機械的接触による粒子の生成がないという点において有利である。非接触浮揚及び/又は非接触搬送を用いると、粒子の生成は最小限に抑えられるため、基板上に堆積された層の純度及び均一性の改善が実現可能である。
【0041】
「非接触」という用語は、例えば、基板キャリア及び/又はマスクキャリアの重量が、機械的接触又は機械的力によって保持されず、磁力によって保持されるという意味であると理解することができる。具体的には、機械的力の代わりに磁力を用いてキャリアを浮揚又は浮遊状態で保持することができる。例えば、幾つかの実装形態では、特に基板キャリア及び/又はマスクキャリアの浮揚、運動、及び位置付けの間、キャリアと搬送トラックとの間の機械的接触はあり得ない。
【0042】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、装置100は、(垂直方向1に対して)実質的に垂直な配向で、且つ特に真空堆積処理の間に、基板10及びマスク20のうちの少なくとも1つを保持するように構成されている。本開示全体で使用される「実質的に垂直」という表現は、特に基板の配向を指す場合、垂直方向又は配向から±20°以下(例えば、±10°以下)の偏差を許容することと理解される。例えば、垂直配向から幾らかの偏差を有する基板支持体がより安定した基板位置をもたらす場合があるので、このような偏差が設けることができる。さらに、基板が前方に傾いた場合、基板表面に達する粒子がより少なくなる。ただし、例えば、真空堆積処理の間の基板配向は、実質的に垂直であるとみなされ、これは、水平の基板配向とは異なるとみなされる。水平の基板配向は、水平±20°以下であるとみなされ得る。
【0043】
「垂直方向」又は「垂直配向」という表現は、「水平方向」又は「水平配向」と区別されると理解される。つまり、「垂直方向」又は「垂直配向」は、例えば、キャリア及び基板の、実質的に垂直な配向に関連するが、厳密な垂直方向又は垂直配向からの数度(例えば、最大10°、又はさらに最大15°)の偏差は、依然として「実質的に垂直な方向」又は「実質的に垂直な配向」と見なされる。垂直方向は、重力に対して実質的に平行であり得る。
【0044】
本明細書に記載された実施形態は、例えば、ディスプレイ製造用の大面積基板上での蒸発のために利用され得る。特に、本明細書に記載された実施形態に係る構造体及び方法が提供の対象である基板は、大面積基板である。例えば、大面積基板又はキャリアは、約0.67m
2の表面領域(0.73m×0.92m)に対応するGEN4.5、約1.4m
2の表面領域(1.1m×1.3m)に対応するGEN5、約4.29m
2の表面領域(1.95m×2.2m)に対応するGEN7.5、約5.7m
2の表面領域(2.2m×2.5m)に対応するGEN8.5、又はさらに約8.7m
2の表面領域(2.85m×3.05m)に対応するGEN10であり得る。GEN11及びGEN12などのさらに次の世代及びそれに相当する基板領域を同様に実装してもよい。GEN世代の半分のサイズもOLEDディスプレイ製造において提供され得る。
【0045】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、基板の厚さは、0.1から1.8mmであり得る。基板の厚さは、約0.9mm以下、例えば、0.5mmであり得る。本明細書で使用される「基板」という用語は、具体的には、例えば、ウエハ、サファイアなどの透明結晶体のスライス、又はガラス板のような実質的非フレキシブル基板を包含し得る。しかしながら、本開示はこれらに限定されず、「基板」という用語は、例えば、ウェブ又はホイル等のフレキシブル基板も包含し得る。「実質的非フレキシブル」という用語は、「フレキシブル」とは区別して理解される。具体的には、実質的非フレキシブル基板は、例えば、0.9mm以下(0.5mm以下等)の厚さを有するガラス板でも、ある程度の可撓性を有することができるが、実質的非フレキシブル基板の可撓性は、フレキシブル基板と比べて低い。
【0046】
本明細書に記載された実施形態によれば、基板は、材料を堆積させるのに適した任意の材料から作られてもよい。例えば、基板は、ガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス等)、金属、ポリマー、セラミック、複合材料、炭素繊維材料、並びに堆積処理によってコーティングできる任意の他の材料及び材料の組合せからなる群から選択された材料から作られてもよい。
【0047】
「マスキング」という用語は、基板10の1つ又は複数の領域の上に材料が堆積されることを低減させる且つ/又は妨げることを含み得る。マスキングは、例えば、コーティングされる領域を画定するときに有用になり得る。幾つかの用途では、基板10の一部のみがコーティングされ、コーティングされるべきでない部分はマスク20によって覆われる。
【0048】
図2Aは、本明細書に記載された実施形態に係る電極構成の概略図を示す。
【0049】
当該装置は、少なくとも、1つ又は複数の第1の電極210及び1つ又は複数の第2の電極212を有する第1の電極アレンジメント、並びに少なくとも1つ又は複数の第3の電極220を有する第2の電極アレンジメントを含む。第1の電極アレンジメント、特に1つ又は複数の第1の電極210及び1つ又は複数の第2の電極212は、第1の電力アセンブリ230に接続される。第2の電極アレンジメント、特に1つ又は複数の第3の電極220は、第2の電力アセンブリ240に接続される。第1の電力アセンブリ230は、第1の電源、第1の高電圧発生器、及び第1のコントローラのうちの少なくとも1つを含み得る。第2の電力アセンブリは、第2の電源、第2の高電圧発生器、及び第2のコントローラのうちの少なくとも1つを含み得る。上述の部品のうちの1つ又は複数は、冗長な部品として構成され得る。例えば、第2の電源、第2の高電圧発生器、及び第2のコントローラのうちの少なくとも1つは、第1の電源、第1の高電圧発生器、及び第1のコントローラのうちの不良品の代わりになるように構成され得る。同様に、第1の電源、第1の高電圧発生器、及び第1のコントローラのうちの少なくとも1つは、第2の電源、第2の高電圧発生器、及び第2のコントローラのうちの不良品の代わりになるように構成され得る。
【0050】
幾つかの実装形態では、第1の電極アレンジメントは、主要な電極アレンジメントであり得、第2の電極アレンジメントは、冗長な電極アレンジメントであり得る。第1の電極アレンジメント及び第2の電極アレンジメントは、それぞれ、基板を装置100において保持するのに十分な引力を生成することができる。例えば、主要な電極アレンジメントが故障したとしても、冗長な電極アレンジメントは、基板を装置において、特に支持面において保持することができる。
【0051】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、第1の電力アセンブリ230は、正電圧及び負電圧のうちの少なくとも1つを第1の電極アレンジメントに印加するように構成されている。同様に、第2の電源は、正電圧及び負電圧のうちの少なくとも1つを第2の電極アレンジメントに印加するように構成され得る。単極構成では、第1の電力アセンブリ230及び第2の電力アセンブリ240は、正電圧又は負電圧のいずれかを第1の電極アレンジメント及び第2の電極アレンジメントのそれぞれに印加するように構成され得る。双極構成では、第1の電力アセンブリ230及び第2の電力アセンブリ240は、正電圧又は負電圧の両方を第1の電極アレンジメント及び第2の電極アレンジメントのそれぞれの電極に印加するように構成され得る。双極の実施例が
図3に示されている。
【0052】
図2Bを参照すると、第2の電極アレンジメントは、第2の電力アセンブリ240に接続可能(又は接続済)である1つ又は複数の第4の電極222を含み得る。第1の電力アセンブリ230及び第2の電力アセンブリ240は、互いから独立し得る。したがって、片方の電力アセンブリ又はその部品が故障しても、他方の電力アセンブリが、基板を装置の支持面で継続的に保持するために、接続された電極アレンジメントに継続的に電圧を供給することができる。
【0053】
1つ又は複数の第3の電極220は、1つ又は複数の第1の電極210と1つ又は複数の第2の電極212との間に配置され得る。さらに、1つ又は複数の第2の電極212は、1つ又は複数の第3の電極220と1つ又は複数の第4の電極222との間に配置され得る。第1の電極アレンジメント及び第2の電極アレンジメントは、このようにして交互配置される。支持面にわたる引力の分散の改善を実現することができる。具体的には、故障が生じた場合に、大きな領域で引力がないという事態を避けることができる。
【0054】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、装置は、電源と電極アレンジメントとの間の接続を開閉するように構成された少なくとも1つのスイッチを含む。少なくとも1つのスイッチは、電力アセンブリと電極アレンジメント(電極アレンジメント全体等)との間の接続を開閉するように構成され得る。さらなる実装形態では、少なくとも1つのスイッチは、電力アセンブリと電極アレンジメントの1つ又は複数の電極との間の接続を選択的に開閉するように構成され得る。少なくとも1つのスイッチは、例えば、不良の電極を対応する電力アセンブリから接続解除するか、且つ/又は、不良の電力アセンブリを電極から接続解除することができる。
【0055】
一例として、装置は、第1の電力アセンブリ230と第1の電極アレンジメントとの間の接続を開閉するように構成された1つ又は複数の第1のスイッチを含む。幾つかの実装形態では、1つの第1のスイッチが、第1の電力アセンブリ230と第1の電極アレンジメント(第1の電極アレンジメント全体等)との間の接続を開閉するように設けられ得る。さらなる実装形態では、2つ以上の第1のスイッチが、第1の電力アセンブリ230と第1の電極アレンジメントの1つ又は複数の電極(1つ又は複数の第1の電極210及び1つ又は複数の第2の電極212等)との間の接続を選択的に開閉するように設けられ得る。例えば、2つ以上の第1のスイッチのうちの片方のスイッチが、第1の電力アセンブリ230と1つ又は複数の第1の電極210との間の接続を開閉するように設けられ得る。2つ以上の第1のスイッチのうちの別のスイッチが、第1の電力アセンブリ230と1つ又は複数の第2の電極212との間の接続を開閉するように設けられ得る。
【0056】
同様に、装置は、第2の電力アセンブリ240と第2の電極アレンジメントとの間の接続を開閉するように構成された1つ又は複数の第2のスイッチを含み得る。幾つかの実装形態では、1つの第1のスイッチが、第2の電力アセンブリ240と第2の電極アレンジメント(第2の電極アレンジメント全体等)との間の接続を開閉するように設けられ得る。さらなる実装形態では、2つ以上の第2のスイッチが、第2の電力アセンブリ240と第2の電極アレンジメントの1つ又は複数の電極(1つ又は複数の第3の電極220及び1つ又は複数の第4の電極222等)との間の接続を選択的に開閉するように設けられ得る。例えば、2つ以上の第2のスイッチのうちの片方のスイッチが、第2の電力アセンブリ240と1つ又は複数の第3の電極220との間の接続を開閉するように設けられ得る。2つ以上の第2のスイッチのうちの別のスイッチが、第2の電力アセンブリ240と1つ又は複数の第4の電極222との間の接続を開閉するように設けられ得る。
【0057】
図3は、本明細書に記載されたさらなる実施形態に係る、真空堆積処理において基板を保持するための装置の概略図を示す。例示的な装置は、双極E‐チャックである。
【0058】
当該装置は、第1の電源に接続された第1の電極アレンジメント、及び第2の電源に接続された第2の電極アレンジメントを含む。第1の電極アレンジメントは、1つ又は複数の第1の電極310及び1つ又は複数の第2の電極320を含む。第2の電極アレンジメントは、1つ又は複数の第3の電極330及び1つ又は複数の第4の電極340を含む。第1の電極アレンジメント及び第2の電極アレンジメントは、交互配置される。
【0059】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、1つ又は複数の第1の電極310、1つ又は複数の第2の電極320、1つ又は複数の第3の電極330、及び1つ又は複数の第4の電極340のうちの少なくとも1つは、異なる極性の副電極を含み得る。異なる極性の副電極が交互配置され得る。
【0060】
例えば、1つ又は複数の第1の電極310は、第1の極性の1つ又は複数の副電極(1つ又は複数の第1の副電極312或いは第1の電極パターン)、及び第1の極性とは反対の第2の極性の1つ又は複数の副電極(1つ又は複数の第2の副電極314或いは第2の電極パターン)を含む。1つ又は複数の第2の電極320は、第1の極性の1つ又は複数の副電極(1つ又は複数の第3の副電極322或いは第3の電極パターン)、及び第2の極性の1つ又は複数の副電極(1つ又は複数の第4の副電極324或いは第4の電極パターン)を含み得る。1つ又は複数の第3の電極330は、第1の極性の1つ又は複数の副電極(1つ又は複数の第5の副電極332或いは第5の電極パターン)、及び第2の極性の1つ又は複数の副電極(1つ又は複数の第6の副電極334或いは第6の電極パターン)を含み得る。1つ又は複数の第4の電極340は、第1の極性の1つ又は複数の副電極(1つ又は複数の第7の副電極342或いは第7の電極パターン)、及び第2の極性の1つ又は複数の副電極(1つ又は複数の第8の副電極344或いは第8の電極パターン)を含み得る。
【0061】
幾つかの実装形態では、第1の極性の1つ又は複数の副電極、及び第2の極性の1つ又は複数の副電極が交互配置され得る。言い換えると、副電極を交互に配列することができる。具体的には、一方の極性の副電極を2つの隣接する他方の極性の副電極の間に設けることができる。一例として、1つ又は複数の第1の副電極312と1つ又は複数の第2の副電極314とを交互配置してもよい。同様に、1つ又は複数の第3の副電極322と1つ又は複数の第4の副電極324とを交互配置してもよく、1つ又は複数の第5の副電極332と1つ又は複数の第6の副電極334とを交互配置してもよく、1つ又は複数の第7の副電極342と1つ又は複数の第8の副電極344とを交互配置してもよい。
【0062】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、電極又は副電極は、グリッドとして配置される。一例として、電極又は副電極は、導電性材料のワイヤ、ライン、又は細片であり得る。導電性材料は、金属、銅、アルミニウム、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。電極又は副電極は、第1の方向で互いに実質的に平行に延在することができる。第1の方向は、ワイヤ、ライン、又は細片の長さの伸張に対応し得る。電極又は副電極は、第1の方向に対して直角をなす第2の方向で互いから離間され得る。第2の方向のおける隣接する電極又は副電極同士の間の距離は、0.1mmから5mmの間、具体的には、0.1mmから2mmの間、より具体的には、0.5mmから1mmの間であり得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、副電極は、第2の方向の幅を有する。一例として、この幅は、0.1mmから5mmの間、具体的には、0.1mmから2mmの間、より具体的には、0.5mmから1mmの間であり得る。
【0063】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、当該装置は、2つ以上の接点などの2つ以上の電力端子を有する。2つ以上の電力端子は、第1の電力アセンブリと第1の電極アレンジメントとの間に接続を設け、第2の電力アセンブリと第2の電極アレンジメントとの間に接続を設け得る。幾つかの実装形態では、当該装置は、充電可能なバッテリなどの電源を含み得る。例えば、真空処理システムにおいて装置を使用している間、外部電源への接続を設けなくてもよいように、電源を装置内に組み込んでもよい。
図2A及び
図2Bに関連して説明された少なくとも1つのスイッチが、2つ以上の電力端子において設けられ得る。
【0064】
第1の電力アセンブリは、正電圧及び負電圧のうちの少なくとも1つを第1の電極アレンジメントに印加するように構成され得、第2の電力アセンブリは、正電圧及び負電圧のうちの少なくとも1つを第2の電極アレンジメントに印加するように構成され得る。
図3の実施例では、第1の電力アセンブリは、例えば、第1の電力端子350を介して、第1の極性の第1の電圧を1つ又は複数の第1の副電極312及び1つ又は複数の第3の副電極322に供給する。第1の電力アセンブリは、例えば、第2の電力端子354を介して、第1の極性とは反対の第2の極性の第2の電圧を1つ又は複数の第2の副電極314及び1つ又は複数の第4の副電極324に供給する。第2の電力アセンブリは、例えば、第3の電力端子352を介して、第1の極性の第3の電圧を1つ又は複数の第5の副電極332及び1つ又は複数の第7の副電極342に供給する。第2の電力アセンブリは、例えば、第4の電力端子356を介して、第2の極性の第4の電圧を1つ又は複数の第6の副電極334及び1つ又は複数の第8の副電極344に供給する。第1の極性は負極であり得、第2の極性は正極であり得、又は、第1の極性は正極であり得、第2の極性は負極であり得る。
【0065】
幾つかの実装形態では、1つ又は複数の第1の副電極312、1つ又は複数の第3の副電極322、1つ又は複数の第5の副電極332、及び1つ又は複数の第7の副電極342は、「第1のクラスタ電極」と呼ばれ得る。
図3の実施例では、第1のクラスタ電極は、負のクラスタ電極である。同様に、1つ又は複数の第2の副電極314、1つ又は複数の第4の副電極324、1つ又は複数の第6の副電極334、及び1つ又は複数の第8の副電極344は、「第2のクラスタ電極」と呼ばれ得る。
図3の実施例では、第2のクラスタ電極は、正のクラスタ電極である。
【0066】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、第1の電力アセンブリ及び/又は第2の電力アセンブリは、第1から第4の電圧のうちの少なくとも1つを第1の電極アレンジメント及び第2の電極アレンジメントのそれぞれに選択的且つ/又は個別的に印加するように構成されている。例えば、少なくとも1つのスイッチは、第1から第4の電圧のうちの少なくとも1つを第1の電極アレンジメント及び第2の電極アレンジメントに選択的且つ/又は個別的に印加するように使用され得る。
【0067】
幾つかの実装形態では、当該装置は、第1の電極アレンジメント及び第2の電極アレンジメントのうちの少なくとも1つの電極を接地に接続するように構成されている。例えば、基板を支持面で保持するチャック力をもたらす残りの電極の作動を妨げないように、不良の電極を接地に接続してもよい。具体的には、例えば、1つ又は複数の第1の電極及び/又は1つ又は複数の第2の電極のうちの少なくとも1つの電極に欠陥があるとき、コントローラは、その少なくとも1つの電極を接地するように構成され得る。
【0068】
幾つかの実施形態によれば、当該装置は、
図2A及び
図2Bに関連して説明されるように、少なくとも1つのスイッチを含む。少なくとも1つのスイッチは、接地、並びに1つ又は複数の第1の電極、1つ又は複数の第2の電極、1つ又は複数の第3の電極、及び1つ又は複数の第4の電極のうちの少なくとも1つに接続され得る。例えば、少なくとも1つのスイッチは、2つ以上の電力端子を接地に接続するように構成され得る。幾つかの実装形態では、各電力端子は、それぞれの電力端子を接地に接続する1つの対応するスイッチを有する。
【0069】
本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、不良の電極アレンジメント(全体)又は個々の不良の電極は、例えば、少なくとも1つのスイッチを用いて、それぞれの電力アセンブリから接続解除され得る。本開示のフェールセーフなシステムは、不良の電極又は不良の電極アレンジメントに限定されないことに注意されたい。例えば、例えば、電源及び/又はコントローラに欠陥があるときに、少なくとも1つのスイッチは、電極アレンジメントをそれぞれの電源から接続解除するように構成され得る。
【0070】
図4は、本明細書に記載された実施形態に係る、基板10上に層を堆積するためのシステム400の概略図を示す。
【0071】
システム400は、真空チャンバ402、真空チャンバ402内の1つ又は複数の堆積材料源480、及び本明細書に記載された実施形態に係る、真空堆積処理において基板10を保持するための装置100を含む。装置100は、例えば、真空堆積処理の間、基板10を保持するように構成されている。システム400は、例えば、OLEDデバイス製造用の有機材料の蒸発のために構成され得る。別の実施例では、システムは、スパッタ堆積などのCVD又はPVDのために構成され得る。
【0072】
幾つかの実装形態では、1つ又は複数の材料堆積源480は、蒸発源であり得、特に、OLEDデバイスの層を形成するために1つ又は複数の有機材料を基板上に堆積するための蒸発源であり得る。装置100は、例えば、層堆積処理の間に基板10を支持するための基板支持体又はキャリアであり得る。装置100は、線形搬送経路などの搬送経路に沿って、真空チャンバ402内に搬送され、真空チャンバ402を通過するように、特に堆積領域を通過するように搬送され得る。
【0073】
図4で示されているように、さらなるチャンバを真空チャンバ402の隣に設けることができる。真空チャンバ402は、バルブハウジング404及びバルブユニット406を有するバルブによって、隣接するチャンバから分離され得る。矢印で示されているように、装置100が基板10と共に真空チャンバ402の中に挿入された後、バルブユニット406を閉じることができる。真空チャンバ402内の雰囲気は、例えば、真空チャンバ402に接続された真空ポンプを用いて技術的真空(technical vacuum)を生成することにより、個別に制御することができる。
【0074】
幾つかの実施形態によると、装置100及び基板10は、堆積材料の堆積の間、静的又は動的である。本明細書に記載された幾つかの実施形態によると、例えば、OLEDデバイスの製造のために動的堆積処理を提供してもよい。
【0075】
幾つかの実装形態では、システム400は、真空チャンバ402を通って延びる1つ又は複数の搬送経路を含み得る。装置100は、1つ又は複数の搬送経路に沿って、例えば、1つ又は複数の材料堆積源480を通過する搬送のために構成される搬送アレンジメントを有し得る。
図4では、1つの搬送経路が矢印によって例示されているが、本開示はこれに限定されるものではなく、2つ以上の搬送経路を設けてもよいことを理解するべきである。一例として、それぞれのキャリアの搬送のために、少なくとも2つの搬送経路を互いに対して実質的に平行に配置することができる。1つ又は複数の材料堆積源480を2つの搬送経路の間に配置することができる。
【0076】
搬送アレンジメントは、真空チャンバ402内での、例えば、搬送方向における1つ又は複数の搬送経路に沿った、キャリアなどの装置100の非接触浮揚及び/又は非接触搬送のために構成され得る。一例として、システム400、及び特に搬送アレンジメントは、装置100の非接触浮揚のために構成されたガイド構造体を含み得る。同様に、システム400、及び特に搬送アレンジメントは、装置100の非接触搬送のために構成された駆動構造体を含み得る。
【0077】
キャリアの非接触浮揚及び/又は搬送は、搬送中に、例えば、ガイドレールとの機械的接触による粒子の生成がないという点において有利である。非接触浮揚及び/又は非接触搬送を用いると、粒子の生成は最小限に抑えられるため、基板上に堆積された層の純度及び均一性の改善が実現可能である。
【0078】
図5は、本明細書に記載された実施形態に係る、基板を保持するための方法500のフロー図を示す。方法500は、本開示に係る装置及びシステムを利用し得る。
【0079】
500は、ブロック510では、第1の電圧を1つ又は複数の第1の電極及び1つ又は複数の第2の電極に印加することと、ブロック520では、第2の電圧を1つ又は複数の第1の電極と1つ又は複数の第2の電極との間に配置された1つ又は複数の第3の電極に印加することと、ブロック530では、故障が生じたと判断されたときに、1つ又は複数の第1の電極、1つ又は複数の第2の電極、及び1つ又は複数の第3の電極のうちの少なくとも1つの電極を接地に接続することとを含む。
【0080】
故障は、少なくとも1つの電極に関連し得る。例えば、故障は、(例えば、フラッシオーバに起因する)少なくとも1つの電極における故障、少なくとも1つの電極に接続された電力アセンブリの故障(例えば、電力アセンブリ、電源(例えば、バッテリ)、及びHV発生器を制御するコントローラにおける故障)、並びに少なくとも1つの電極と電力アセンブリとの接続における故障からなる群から選択され得る。幾つかの実施形態によれば、当該方法は、基板及びマスクのうちの少なくとも1つを実質的に垂直な配向に保持することをさらに含み得る。
【0081】
本開示の別の態様によると、基板を保持するための方法は、第1の電力アセンブリを使用して1つ又は複数の第1の電極を作動させ、第2の電力アセンブリを使用して1つ又は複数の第2の電極を作動させることと、第1の電力アセンブリにおいて故障が生じたと判断されたときに、第2の電力アセンブリの電源、高電圧発生器、及びコントローラからなる群から選択された部品を使用して1つ又は複数の第1の電極を作動させることとを含む。
【0082】
本明細書に記載された実施形態によると、基板を保持するための方法は、コンピュータプログラム、ソフトウェア、コンピュータソフトウェア製品、及び相互関連コントローラを使用して実施することができる。相互関連コントローラは、装置の対応構成要素と通信可能なCPU、メモリ、ユーザインターフェース、及び入出力デバイスを有し得る。
【0083】
E‐チャックは、真空堆積システムにおいて使用され得る。フラッシュオーバなどの電圧損失は、電界の崩壊に至る場合がある。電界が十分に早く回復しないと、基板が落ちてしまう。本開示によると、例えば、(正帯電及び負帯電する)電極の2つ以上の対によって基板が支持され得るように、冗長性が提供される。それにより、静電チャックは、2つ以上の冗長な保持領域(クラスタ)を含む。例えば、電極の複数の対が1つのクラスタを構築することができる。各クラスタは、冗長なシステムを構築するための接点、HV発生器、及び電源を有し得る。フェールセーフなシステムは、1つ又は複数のクラスタの電圧損失を他のクラスタで補填することができる。当該システムは、各クラスタのチャック力が十分に強力であるように計算する。
【0084】
以上の記述は、本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。