(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(a)および(b)、または成分(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)、(a6)および(b)に加えて、更なる添加剤(c)、更なる感光性酸供与体化合物(b1)、その他の光開始剤(d)ならびに/または増感剤(e)を含む、請求項3から7までのいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
カルボキシル基もしくはフェノール性ヒドロキシル基と反応することによって共有結合を形成することが可能な官能基は、エポキシ基およびオキセタニル基から選択される少なくとも1つである、請求項13に記載の感光性樹脂組成物。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のヘテロアリール発色団を有する新規のオキシム誘導体、前記化合物を含む化学増幅型フォトレジスト組成物ならびに前記化合物の、アルカリ可溶性樹脂組成物中、特にディスプレイ用途、例えば絶縁層、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)のためのフォトレジスト配合物中での潜在酸としての使用に関する。
【0002】
LCDデバイス、OLEDデバイス等は、パターン形成された層間絶縁膜を備えている。この層間絶縁膜の形成において、感光性樹脂組成物が広く使用されている。それというのも、パターン形状を得るために必要なステップ数が少なく、さらに十分な平坦度が得られるからである。ディスプレイデバイスにおける層間絶縁膜には、優れた絶縁性、耐溶剤性、耐熱性、硬度および酸化インジウムスズ(ITO)スパッタリング適性のような硬化膜の物理特性に加えて高い透明性を有することが望まれる。
【0003】
LCDおよびOLED用のバックプレーンにおいて層間絶縁特性を保つために使用される絶縁層は、アルカリ可溶性フォトレジスト、潜在酸を生成する化学増幅型触媒および溶剤を含むポジ型またはネガ型のフォトレジストを使用することによるフォトリソグラフィーによって製造される。不動態化層中のコンタクトホールは、パターン形成されたマスクを通じた露光によってパターン形成され、そして例えば約230℃でベークされる。絶縁層には、透明性、熱安定性、接着性、残留膜率および貯蔵安定性が必要とされる。
【0004】
LCDおよびOLEDのための平坦化層は、カラーフィルター(CF)または電極上に平坦な表面を形成するために使用される。平坦化層のための基礎材料として、アクリル樹脂および/またはエポキシ樹脂が通常使用される。通常、平坦化層は、例えば約230℃で加熱することによって、またはポストベーク過程の前にフォトリソグラフィーと組み合わせて製造される。平坦化層には、透明性および特定の絶縁特性が必要とされる。
【0005】
LCDおよびOLED用の保護層は、発色層を保護し、かつ発色層のステップの平坦面を形成するために使用される。保護層のための基礎材料として、アクリル樹脂、メラミン樹脂およびポリイミド樹脂が通常使用される。保護層は、通常は、例えば約200℃で1時間にわたって加熱することによって製造される。保護層には、透明性、表面平坦度、接着性および耐熱性が必要とされる。
【0006】
LCD用のオーバーコート層を用いて、カラーフィルターの表面が平坦化され、液晶の配向が高められ、そしてカラーフィルター(CF)から液晶へのイオン溶出が防がれる。該オーバーコートは、カラーフィルター上でアクリレート樹脂および/またはエポキシ樹脂を基礎とする熱硬化性樹脂を使用して、例えば220℃で30分間にわたる加熱によって、またはポストベーク過程前にフォトリソグラフィーと組み合わせて製造される。該オーバーコート層のためには、熱的安定性、耐光性、接着性、硬度および透明性が必要とされる。
【0007】
オニウム塩またはオキシムスルホネートのクラスに属する、フォトレジストへの露光によって潜在酸を生成する多数の有機物質は、該用途については光酸発生剤として知られている。しかしながら、それらを含む組成物には、感光性に関してしばしば難点がある。
【0008】
例えば、米国特許第6017675号明細書(US6017675)は、広い範囲のオキシムスルホン化された化合物、とりわけクマリニル発色団を有するアリールスルホニルオキシムエステル化合物を開示している。
【0009】
米国特許第6512020号明細書(US6512020)および米国特許第6261738号明細書(US6261738)においては、単量体および二量体のオキシム誘導体が、深紫外領域での用途に特に適したポジ型およびネガ型のフォトレジストにおける潜在酸供与体として記載されている。
【0010】
米国特許出願公開第20120045616号明細書(US20120045616A)においては、感光性樹脂組成物中の酸発生化合物として、含窒素複素環式発色団を有するスルホニルオキシムエステル化合物が開示されている。
【0011】
米国特許出願公開第20130171415号明細書(US20130171415A)によれば、環の炭素原子に直接的に結合されたオキシム基を有する感光性化合物が、感光性組成物中の酸発生成分として使用される。
【0012】
電子ディスプレイデバイスの形成において、特に絶縁層、カラーフィルターおよびマイクロレンズの形成において、絶縁層等を形成するために使用される放射感受性樹脂組成物は、高い感度および高い透過特性を有することが必要とされる。この関連において、前記放射感受性樹脂組成物の一部である相応の酸発生化合物についての課題は、相応の特性を、すなわち感光性および特に透過率に関する特性を提供することでもある。
【0013】
驚くべきことに、感光性および透明性は、オキシム部に結合された、強力な電子吸引性基、例えばペルフルオロアルキル基またはペルフルオロアリール基を有するクマリニル発色団を導入することによって大幅に高められることが判明した。
【0014】
したがって、本発明の主題は、式(I)
【化1】
[式中、
Xは、−O(CO)−であり、
R
1は、C
1〜C
12−ハロアルキルまたはC
6〜C
10−ハロアリールであり、
R
2は、クマリニル環の7位に位置しており、かつOR
8であり、
R
2a、R
2bおよびR
2cは、互いに独立して、水素であり、
R
3は、C
1〜C
8−ハロアルキルまたはC
1〜C
8−アルキルであり、
R
4は、水素であり、かつ
R
8は、C
1〜C
6−アルキルである]の化合物である。
【0015】
C
1〜C
6−アルキルは、直鎖状または分枝鎖状であり、例えばC
1〜C
4−アルキルである。例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチルまたはヘキシルである。
【0016】
C
1〜C
12−ハロアルキルは、例えばハロゲンによって一置換または多置換されたC
1〜C
8−アルキル、C
1〜C
6−アルキルまたはC
1〜C
4−アルキルであり、ここで、C
1〜C
8−アルキル、C
1〜C
6−アルキルまたはC
1〜C
4−アルキルは、例えば前記定義の通りである。該アルキル基は、例えば一ハロゲン化または全てのH原子がハロゲンによって置き換えられるまで多ハロゲン化されている。例は、フルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチルまたは2−フルオロプロピル、特にトリフルオロメチルまたはトリクロロメチルである。
【0017】
C
1〜C
12−ハロアルキルは、例えばCF
3、C
mHF
2m、C
nF
2n+1であり、式中、nは、2〜8、例えば2〜6、2〜4、2または3の整数であり、かつmは、1〜8、例えば1〜6、1〜4、1〜3、1または2の整数である。
【0018】
C
6〜C
10−ハロアリールは、例えば1つ以上のハロゲン原子によって置換された芳香族基である。例は、1つ以上のハロゲンによって置換されたフェニルまたはナフチルである。フェニルは、例えば、ハロゲンによって1回〜5回、例えば1回、2回または3回、特に1回または2回置換されている。ナフチルは、例えば、ハロゲンによって1回〜7回、例えば1回、2回または3回、特に1回または2回置換されている。
【0019】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素、特にフッ素、塩素および臭素、好ましくはフッ素および塩素、特にフッ素である。
【0020】
クマリニル環の7位は、式:
【化2】
に示されている。
【0021】
本願の文脈における用語「および/または」または「または/および」は、定義された選択肢(置換基)の1つだけが存在しうるのみならず、定義された選択肢(置換基)の幾つかも一緒に、つまり種々の選択肢(置換基)の混合物も存在しうることを意味する。
【0022】
用語「少なくとも」は、1もしくは1より多く、例えば1もしくは2もしくは3、好ましくは1もしくは2を定義することを意味する。
【0023】
用語「場合により置換された」は、それが示している基が非置換もしくは置換されていることを意味する。
【0024】
用語「場合により中断された」は、中断されていない、または中断されていることを意味する。
【0025】
本願明細書および以下の特許請求の範囲にわたり、文脈から他のことが要求されない限りは、用語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」という別形は、示される整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を含むことを意味するが、任意の他の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を除外することを意味しないと理解されるものである。
【0026】
本願の範囲内での用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレートならびに相応のメタクリレートを指すものと意図される。
【0027】
本発明の内容において本発明による化合物について上述の好ましいことは、化合物、組成物、使用、方法等の請求項である特許請求の範囲の全てのカテゴリーを指すことが意図される。
【0028】
本発明は、本願に開示される化合物、構成、プロセスステップ、基材および材料は幾らか変動してよいので、そのような化合物、構成、プロセスステップ、基材および材料に制限されないと理解されるべきである。また、本願で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけに使用されると理解されるべきであり、本発明の範囲は付属の特許請求の範囲およびその等価物によってのみ制限されるので制限することを意図するものではない。
【0029】
本願明細書および付属の特許請求の範囲で使用される場合に、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明示的に示さない限り複数の指示対象を含むことに留意せねばならない。
【0030】
何ら定義されていない場合に、本願で使用される任意の用語および科学用語は、本発明の属する技術分野における当業者によって通常の理解がなされる意味を有するものと意図される。
【0031】
明細書および特許請求の範囲を通じて数値に関して使用される用語「約」は、当業者に良く知られ、許容できる精度の幅を示す。前記幅は、±10%である。
【0032】
式(I)、(IIa)または(IIb)
【化3】
[式中、
Xは、−O(CO)−、−NR
7(CO)−、NR
7、OまたはSであり、Yは、NR
7、OまたはSであり、R
1は、C
1〜C
12−ハロアルキルまたはC
6〜C
10−ハロアリールであり、R
2、R
2a、R
2bおよびR
2cは、互いに独立して、水素、C
1〜C
12−アルキル、OR
8、SR
9、NR
10R
11、O(CO)R
8であるか、またはR
2、R
2a、R
2bおよびR
2cは、互いに独立して、フェニル、1つ以上のC
1〜C
8−アルキル、C
1〜C
8−ハロアルキル、C
2〜C
8−アルケニル、ハロゲン、OR
8、SR
9、NR
10R
11によって置換されたフェニルまたは1つ以上の連続していないO、S、(CO)OもしくはO(CO)によって中断されたC
2〜C
8−アルキルによって置換されたフェニルであるか、またはR
2は、基−CR
12=CR
13−CR
14=CR
15−を示し、該基は、R
2が結合されるフェニル環の1つの炭素原子に結合されており、R
3は、C
1〜C
8−アルキル、C
1〜C
8−ハロアルキル、C
2〜C
8−アルケニルまたは1つ以上の連続していないO、S、(CO)OもしくはO(CO)によって中断されたC
2〜C
8−アルキルであり、R
4、R
5およびR
6は、互いに独立して、水素、C
1〜C
20−アルキル、C
1〜C
8−ハロアルキル、フェニル−C
1〜C
4−アルキル、非置換のフェニルまたは1つ以上のC
1〜C
8−アルキル、C
1〜C
8−ハロアルキル、C
2〜C
8−アルケニル、ハロゲン、OR
8、SR
9、NR
10R
11によって置換されたフェニルまたは1つ以上の連続していないO、S、(CO)OもしくはO(CO)によって中断されたC
2〜C
8−アルキルによって置換されたフェニルであり、R
7は、C
1〜C
12−アルキル、フェニル−C
1〜C
4−アルキル、フェニル、1つ以上のC
1〜C
8−アルキル、C
1〜C
8−ハロアルキル、ハロゲン、C
2〜C
8−アルケニル、OR
8、SR
9、NR
10R
11によって置換されたフェニルまたは1つ以上の連続していないO、S、(CO)OもしくはO(CO)によって中断されたC
2〜C
8−アルキルによって置換されたフェニルであり、R
8は、C
1〜C
12−アルキルまたは1つ以上の連続していないO、S、(CO)O、O(CO)によって中断されたC
2〜C
12−アルキルであるか、またはR
8は、C
3〜C
12−シクロアルキル、1つ以上のOによって中断されたC
3〜C
12−シクロアルキル、C
3〜C
12−シクロアルキル−C
1〜C
12−アルキル、1つ以上のOによって中断されたC
3〜C
12−シクロアルキル−C
1〜C
12−アルキルであり、その際、中断するO原子は、シクロアルキルと該基のアルキル部の両方を中断してよいか、またはR
8は、フェニル、1つ以上のC
1〜C
8−アルキル、C
1〜C
8−ハロアルキル、C
2〜C
8−アルケニル、ハロゲン、SR
9、NR
10R
11、C
1〜C
12−アルコキシ、フェノキシによって置換されたフェニルもしくは1つ以上の連続していないO、S、(CO)OもしくはO(CO)によって中断されたC
2〜C
8−アルキルによって置換されたフェニルであり、R
9は、C
1〜C
12−アルキルまたは1つ以上の連続していないO、S、COO、OCOによって中断されたC
2〜C
12−アルキルであるか、またはR
9は、C
3〜C
12−シクロアルキル、1つ以上のOによって中断されたC
3〜C
12−シクロアルキル、C
3〜C
12−シクロアルキル−C
1〜C
12−アルキル、1つ以上のOによって中断されたC
3〜C
12−シクロアルキル−C
1〜C
12−アルキルであり、その際、中断するO原子は、シクロアルキルと該基のアルキル部の両方を中断してよいか、またはR
9は、フェニル、1つ以上のC
1〜C
8−アルキル、C
1〜C
8−ハロアルキル、C
2〜C
8−アルケニル、ハロゲン、OR
8、C
1〜C
12−アルキルチオ、フェニルチオ、NR
10R
11によって置換されたフェニルもしくは1つ以上の連続していないO、S、(CO)OもしくはO(CO)によって中断されたC
2〜C
8−アルキルによって置換されたフェニルであり、R
10およびR
11は、互いに独立して、水素、フェニル−C
1〜C
4−アルキル、C
1〜C
12−アルキル、1つ以上の連続していないO、S、(CO)OもしくはO(CO)によって中断されたC
2〜C
12−アルキルであり、R
12、R
13、R
14およびR
15は、互いに独立して、水素、C
1〜C
8−アルキル、ハロゲン、OR
8、SR
9またはNR
10R
11である]の化合物の説明が適切なことがある。
【0033】
式I[および以下に示される式(IA)]のオキシムスルホネートは、文献に記載の方法によって、例えば相応のオキシムと、スルホニルハロゲン化物、特に塩化物または無水物とを、不活性溶剤、例えばt−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン、ジメチルアセトアミド(DMA)またはジメチルホルムアミド中で塩基または塩基の混合物、例えばトリメチルアミン、ピリジンもしくは2,6−ルチジンの混合物の存在下で、または塩基性溶剤、例えばピリジン中で反応させることによって製造される。以下に例として、式(I)の化合物の製造を記載する。
【0034】
【化4】
【0035】
R
1、R
2、R
2a、R
2b、R
3、R
4およびXは、上述の意味を有する。Halは、ハロゲン原子、特にClを意味する。
【0036】
R
3は、n−プロピルまたはトリフルオロメチルである。
【0037】
そのような反応は、当業者に良く知られており、一般的に、−15℃〜+50℃、好ましくは0℃〜25℃の温度で行われる。
【0038】
どのオキシムスルホネート基も、2つの配置(Z)または(E)で存在してよい。それらの異性体は、慣用の方法によって分割することが可能であるが、該異性体混合物は、例えば光酸発生種として使用することも可能である。したがってまた、本発明は、式(I)の化合物の配置異性体の混合物、または式(IIa)の化合物の配置異性体の混合物、または式(IIb)の化合物の配置異性体の混合物に関する。
【0039】
出発材料として必要とされるオキシムは、標準的な教科書(例えばJ.March,Advanced Organic Chemistry,第4版,Wiley Interscience,1992)に、または特定の論文、例えばS.R.Sandler&W.Karo,Organic functional group preparations,第3巻,Academic Pressに記載される様々な方法によって得ることができる。
【0040】
最も慣用の方法の一つは、例えばアルデヒドまたはケトンと、ヒドロキシルアミンもしくはその塩とを、極性溶剤、例えばDMA、水性DMA、エタノールまたは水性エタノール等の極性溶剤中で反応させることである。その場合に、酢酸ナトリウムまたはピリジンのような塩基は、反応混合物のpHを制御するために添加することができる。反応速度がpH依存性であり、かつ該塩基を最初にまたは反応の間に連続的に添加することができることは良く知られている。ピリジンのような塩基性溶剤は、塩基および/または溶剤もしくは助溶剤として使用することもできる。反応温度は、一般的に室温から該混合物の還流温度まで、通常は約20℃〜120℃である。
【0041】
クマリン基を有する相応のケトン中間体は、例えばDyes and Pigments 91(2011)309−316に記載される方法によって製造される。そのような反応は、当業者には良く知られている。
【0042】
本発明の化合物のクマリニル体は、例えばフェノール性アルデヒドおよび相応のジケトンの反応
【化5】
に引き続き、オキシムの形成および該オキシムのエステル化
【化6】
によって製造される。
【0043】
Xは、−O(CO)−であり、かつR
2は、オキシム基に対してパラ位に位置している。したがって、式(I)の化合物は、以下の構造(IA)
【化7】
[式中、R
1、R
2およびR
3は、先に列挙された定義を有する]を有する。
【0044】
したがってまた、本発明の主題は、式(I)の化合物であって、それが式(IA)
【化8】
[式中、
R
1、R
2およびR
3は、先に列挙された定義を有し、
R
1は、C
1〜C
12−ハロアルキルまたはC
6〜C
10−ハロアリール、特に前記定義のC
1〜C
12−ハロアルキルであり、
R
2は、OR
8、特にOC
1〜C
4−アルキル、好ましくはメトキシであり、
R
8は、例えばC
1〜C
4−アルキル、特にメチルである]である化合物である。
【0045】
前記定義の式(IA)
[式中、
R
1は、C
1〜C
4−ハロアルキル、特にCF
3であり、
R
2は、OR
8であり、
R
3は、C
1〜C
4−ハロアルキルまたはC
1〜C
4−アルキル、特にCH
3またはCF
3であり、かつ
R
8は、C
1〜C
4−アルキル、特にメチルである]の化合物が好ましい。
【0046】
特に関心が持たれるのは、式(IA)の化合物である。
【0047】
式(IA)の化合物であって、
【化9】
である化合物が好ましい。
【0048】
式(I)および(IA)の化合物は、感光性酸供与体として使用することができる。
【0049】
したがって、関心が持たれるのは、(a)酸の作用時に硬化するか、または酸の作用時にその可溶性が高まる化合物と、(b)前記の式(I)および(IA)の少なくとも1種の化合物とを含む組成物である。
【0050】
式(I)および(IA)の化合物は、感光性樹脂組成物中で感光性酸供与体として使用することができる。それらの化合物は、場合により、酸、つまり先に定義された成分(a)の部分としての酸の作用時にその可溶性が高まる化合物としても機能する。感光性樹脂組成物系は、式(I)または(IA)の化合物を含む系の画像状の照射と、それに引き続く現像ステップとによって製造することができる。
【0051】
したがって、本発明は、化学増幅型感光性樹脂組成物であって、
(a)酸の作用時に硬化するか、または酸の作用時にその可溶性が高まる化合物と、
(b)感光性酸供与体としての、先に定義された式(I)または(IA)の少なくとも1種の化合物と、
を含む組成物に関する。
【0052】
化学増幅型感光性樹脂組成物は、放射感受性成分が、触媒量の酸をもたらし、該酸が引き続き、感光性樹脂組成物の少なくとも1種の酸感受性成分の化学反応を触媒する感光性樹脂組成物であると理解される。感光性樹脂組成物の照射された領域と照射されていない領域との間の可溶性差の誘発がもたらされる。この方法の触媒的性質のため、1つの酸分子が多くの場所での反応を惹起することができる。それというのも、該酸分子は、何らかの二次反応によって捕捉または破壊されない限り、ある反応場所から次の反応場所へと、反応性ポリマーマトリックス中に拡散するからである。したがって、露光された領域と露光されていない領域との間の可溶性における大きな差を誘導するために低い酸濃度で十分である。こうして、低い濃度の潜在酸化合物しか必要とされない。結果として、光イメージングにおける高いコントラストおよび露光波長での高い透過性を有する感光性樹脂組成物を調合することができ、それはまた、高い感光性で急峻で垂直なイメージプロフィールを生成する。しかしながら、この触媒的過程の結果として、貯蔵または加工の間に酸を生成しないようにするために、潜在酸触媒は、化学的かつ熱的に非常に安定(照射されない限り)である必要があり、それは殆どの場合において、可溶性差をもたらす触媒反応を開始または完了させるために露光後ベークステップを必要とする。また、マイクロエレクトロニクス製造法における感光性樹脂組成物の適用を妨げることとなる一切の粒子生成を避けるために、潜在触媒は、液体配合物および固形膜中に良好な可溶性を有する必要がある。
【0053】
それに対して、化学増幅メカニズムを基礎としないポジ型感光性樹脂組成物、すなわちフォトレジストは、高濃度の潜在酸を含有せねばならない。それというのも、その酸濃度は、露光された領域のアルカリ性現像剤中での可溶性増大に寄与する露光下に潜在酸から生成されるに過ぎないからである。低い酸濃度が、そのようなフォトレジストの溶解速度の変化に僅かな効果しか及ぼさず、かつ該反応が、一般的にここでは露光後ベークなく進行するため、潜在酸の化学的安定性および熱的安定性に関する要求は、化学増幅型ポジ型感光性樹脂組成物の場合よりも厳しくない。また、これらのフォトレジストは、露光領域におけるアルカリ性現像剤中での十分な可溶性を達成するのに十分な酸を生成するために非常に高い露光線量を必要とし、そしてまた比較的低い光学的透明性に見舞われ(高濃度の潜在酸が必要とされるため)、こうしてまたより低い解像度および傾斜した像に悩まされる。非化学増幅型技術をベースとするレジスト組成物は、したがって、化学増幅型感光性樹脂組成物と比較して、感光性、解像度および像質において劣っている。
【0054】
以上のことから、潜在触媒の化学的安定性および熱安定性が、化学増幅型感光性樹脂組成物に不可欠であること、ならびに非化学増幅型感光性樹脂組成物中で作用することができる潜在酸が、異なる酸拡散要求、酸強度要求および熱安定性と化学的安定性の要求のため化学増幅型感光性樹脂組成物に必ずしも適用できるわけではないことが明らかである。
【0055】
感光性樹脂組成物の酸触媒による反応の結果として照射の間または照射の後に生ずる照射区間および非照射区間の間の感光性樹脂組成物の可溶性の差は、感光性樹脂組成物中に存在する更なる成分に応じて2つのタイプがあり得る。本発明による組成物が、照射後に組成物の現像剤中での可溶性を高める成分を含む場合に、感光性樹脂組成物はポジ型である。したがって、本発明は、ポジ型の化学増幅型感光性樹脂組成物に関する。その一方で、該配合物の成分が照射後に組成物の可溶性を低下させる場合に、感光性樹脂組成物はネガ型である。したがってまた、本発明は、ネガ型の化学増幅型感光性樹脂組成物に関する。
【0056】
未露光領域において、配合物中の追加的に存在するアルカリ可溶性バインダー樹脂の溶解速度を減少させるモノマーまたはポリマーの化合物であって、未露光領域において本質的にアルカリ不溶性であるため、アルカリ溶液中での現像後に未露光領域中に被膜が残存するが、酸の存在下に開裂されるか、またはその反応生成物がアルカリ現像剤中で可溶となるように再構成が可能である化合物は、以下で、溶解抑制剤と呼ばれる。
【0057】
本発明には、特定の一実施形態として、
(a1)酸の存在下で分解し、かつ塗膜のアルカリ現像液水溶液中での可溶性を露光された領域において高める酸不安定性基を有する少なくとも1種のポリマー、および
(b)式(I)または(IA)の少なくとも1種の化合物
を含む化学増幅型ポジ型アルカリ現像性感光性樹脂組成物が含まれる。
【0058】
本発明の更なる一実施形態は、
(a2)酸の存在下で分解し、かつアルカリ現像液水溶液中での可溶性を高める少なくとも1つの酸不安定性基を有する少なくとも1種のモノマーまたはオリゴマーの溶解抑制剤ならびに少なくとも1種のアルカリ可溶性ポリマー、および
(b)式(I)または(IA)の少なくとも1種の化合物
を含む化学増幅型ポジ型アルカリ現像性感光性樹脂組成物である。
【0059】
本発明のもう一つの特定の実施形態は、
(a1)酸の存在下で分解し、かつアルカリ性現像剤中での可溶性を露光された領域において高める酸不安定性基を有する少なくとも1種のポリマー、
(a2)酸の存在下で分解し、かつアルカリ可溶性を露光された領域において高める少なくとも1つの酸不安定性基を有するモノマーまたはオリゴマーの溶解抑制剤、
(a3)塗膜を露光された領域においてアルカリ現像剤中でなおも本質的に不溶性に保つ濃度でのアルカリ可溶性のモノマー、オリゴマーまたはポリマーの化合物、および
(b)式(I)または(IA)の少なくとも1種の化合物
を含む化学増幅型ポジ型アルカリ現像性感光性樹脂組成物である。
【0060】
したがって、本発明は、
(a1)酸の存在下で分解してアルカリ性現像剤水溶液中での可溶性を高める酸不安定性基を有する少なくとも1種のポリマー、および/または
(a2)酸の存在下で分解してアルカリ性現像剤水溶液中での可溶性を高める酸不安定性基を有する少なくとも1種のモノマーまたはオリゴマーの溶解抑制剤、および/または
(a3)少なくとも1種のアルカリ可溶性のモノマー、オリゴマーまたはポリマーの化合物、および
(b)感光性酸供与体としての、式(I)または(IA)の少なくとも1種の化合物、
を含む、ポジ型の化学増幅型感光性樹脂組成物に関する。
【0061】
該組成物は、成分(b)に加えて、その他の感光性の酸供与体および/または(c)その他の添加剤を含んでよい。
【0062】
そのような化学増幅型ポジ型感光性樹脂組成物、すなわちフォトレジスト系は、例えばE.Reichmanis,F.M.Houlihan,O.Nalamasu,T.X.Neenan,Chem.Mater.1991,3,394またはC.G.Willson,「Introduction to Microlithography」,第2版;L.S.Thompson,C.G.Willson,M.J.Bowden,Eds.,Amer.Chem.Soc.,Washington DC,1994,第139頁に記載されている。
【0063】
酸の存在下で分解して芳香族ヒドロキシ基、カルボン酸基、ケト基およびアルデヒド基を生成し、かつアルカリ性現像剤水溶液中での可溶性を高める酸不安定性基の適切な例は、例えばアルコキシアルキルエーテル基、テトラヒドロフラニルエーテル基、テトラヒドロピラニルエーテル基、t−アルキルエステル基、トリチルエーテル基、シリルエーテル基、アルキルカーボネート基、例えばt−ブチルオキシカルボニルオキシ基、トリチルエステル基、シリルエステル基、アルコキシメチルエステル基、クミルエステル基、アセタール基、ケタール基、テトラヒドロピラニルエステル基、テトラフラニルエステル基、第三級アルキルエーテル基、第三級アルキルエステル基等である。そのような基の例には、アルキルエステル、例えばメチルエステルおよびt−ブチルエステル、アセタール型エステル、例えばメトキシメチルエステル、エトキシメチルエステル、1−エトキシエチルエステル、1−イソブトキシエチルエステル、1−イソプロポキシエチルエステル、1−エトキシプロピルエステル、1−(2−メトキシエトキシ)エチルエステル、1−(2−アセトキシエトキシ)エチルエステル、1−[2−(1−アダマンチルオキシ)エトキシ]エチルエステル、1−[2−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)エトキシ]エチルエステル、テトラヒドロ−2−フリルエステルおよびテトラヒドロ−2−ピラニルエステルならびに脂環式エステル、例えばイソボルニルエステルが含まれる。
【0064】
酸の作用によって分解可能な官能基を有するポリマーであって、このポリマーを含む塗膜のアルカリ性現像液中での可溶性を高める官能基を有し、本発明によるポジ型感光性樹脂組成物中に導入することができるポリマーは、主鎖および/またはその側鎖において、好ましくはその側鎖において酸不安定性基を有してよい。
【0065】
本発明において使用するために適した酸不安定性基を有するポリマーは、アルカリ可溶性基が、部分的にまたは完全にそれぞれの酸不安定性基に変換されるポリマー類似反応によるか、または直接的に酸不安定性基を既に結合した状態で有するモノマーの(共)重合によって得ることができ、それは、例えば欧州特許第254853号明細書(EP254853)、欧州特許第878738号明細書(EP878738)、欧州特許第877293号明細書(EP877293)、特開平02−025850号公報(JP02−025850A)、特開平03−223860号公報(JP03−223860A)および特開平04251259号公報(JP04251259A)に開示されている。
【0066】
ポリマー主鎖に対する酸不安定性のペンダント基を有する本発明におけるポリマーは、好ましくは、比較的低い露光後ベーク温度(一般的に室温から110℃の間の温度)で完全に開裂する、例えばシリルエーテル、アセタール、ケタールおよびアルコキシアルキルエステル基(いわゆる、「低活性化エネルギーブロッキング基」)を有するポリマーならびに、例えばより高いベーク温度(一般的に>110℃)を必要とする、t−ブチルエステル基もしくはt−ブチルオキシカルボニル(TBOC)基またはエステル結合の酸素原子に隣接した第二級もしくは第三級の炭素原子を含むその他のエステル基を有するポリマー、または酸の存在下で脱ブロッキング化反応を完了するために、特に、絶縁層、層間誘電膜、不動態化層、平坦化層、保護層、オーバーコート層、電子発光ディスプレイおよび液晶ディスプレイ(LCD)のようなディスプレイデバイス用のバンクで利用する場合において一切の露光後過程を伴わないポリマーである。また、高活性化エネルギーブロッキング基と低活性化エネルギーブロッキング基の両方が1つのポリマー内に存在するハイブリッド系を適用することもできる。あるいは、それぞれ異なるブロッキング基化学を利用する複数のポリマーのポリマーブレンドを、本発明による感光性ポジ型組成物中で使用することができる。
【0067】
酸不安定性基を有する好ましいポリマーは、以下の異なるモノマー型:
1)酸の存在下で分解してアルカリ性現像剤水溶液中での可溶性を高める酸不安定性基を有するモノマー、および
2)酸不安定性基を含まず、かつアルカリ可溶性に寄与する基を含まないモノマー、および/または
3)ポリマーの水性アルカリ可溶性に寄与するモノマー、
を含むポリマーおよびコポリマーである。
【0068】
モノマーは、以下では、アルカリ可溶性基が、部分的にまたは完全にそれぞれの酸不安定性基に変換されるポリマー類似反応で得られたポリマーの場合には繰り返し成分を意味すると留意される。
【0069】
モノマー型1)の例は、非環式または環式の第二級および第三級アルキル(メタ)アクリレート、例えばブチルアクリレート、例えばt−ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、例えばt−ブチルメタクリレート、3−オキソシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、2−メチル−アダマンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、(2−テトラヒドロピラニル)オキソノルボルニルアルコールアクリレート、(2−テトラヒドロピラニル)オキシメチルトリシクロドデカンメタノールメタクリレート、トリメチルシリルメチル(メタ)アクリレート、(2−テトラヒドロピラニル)オキシノルボルニルアルコールアクリレート、(2−テトラヒドロピラニル)オキシメチルトリシクロドデカンメタノールメタクリレート、トリメチルシリルメチル(メタ)アクリレート、o−/m−/p−(3−オキソシクロヘキシルオキシ)スチレン、o−/m−/p−(1−メチル−1−フェニルエトキシ)スチレン、o−/m−/p−テトラヒドロピラニルオキシスチレン、o−/m−/p−アダマンチルオキシスチレン、o−/m−/p−シクロヘキシルオキシスチレン、o−/m−/p−ノルボルニルオキシスチレン、非環式もしくは環式のアルコキシカルボニルスチレン、例えばo−/m−/p−ブトキシカルボニルスチレン、例えばp−t−ブトキシカルボニルスチレン、o−/m−/p−(3−オキソシクロヘキシルオキシカルボニル)スチレン、o−/m−/p−(1−メチル−1−フェニルエトキシカルボニル)スチレン、o−/m−/p−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルスチレン、o−/m−/p−アダマンチルオキシカルボニルスチレン、o−/m−/p−シクロヘキシルオキシカルボニルスチレン、o−/m−/p−ノルボルニルオキシカルボニルスチレン、非環式もしくは環式のアルコキシカルボニルオキシスチレン、例えばo−/m−/p−ブトキシカルボニルオキシスチレン、例えばp−t−ブトキシカルボニルオキシスチレン、o−/m−/p−(3−オキソシクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)スチレン、o−/m−/p−(1−メチル−1−フェニルエトキシカルボニルオキシ)スチレン、o−/m−/p−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルオキシスチレン、o−/m−/p−アダマンチルオキシカルボニルオキシスチレン、o−/m−/p−シクロヘキシルオキシカルボニルオキシスチレン、o−/m−/p−ノルボルニルオキシカルボニルオキシスチレン、非環式もしくは環式のアルコキシカルボニルアルコキシスチレン、例えばo−/m−/p−ブトキシカルボニルメトキシスチレン、p−t−ブトキシカルボニルメトキシスチレン、o−/m−/p−(3−オキソシクロヘキシルオキシカルボニルメトキシ)スチレン、o−/m−/p−(1−メチル−1−フェニルエトキシカルボニルメトキシ)スチレン、o−/m−/p−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメトキシスチレン、o−/m−/p−アダマンチルオキシカルボニルメトキシスチレン、o−/m−/p−シクロヘキシルオキシカルボニルメトキシスチレン、o−/m−/p−ノルボルニルオキシカルボニルメトキシスチレン、トリメチルシロキシスチレン、ジメチル(ブチル)シロキシスチレン、不飽和アルキルアセテート、例えばイソプロペニルアセテートおよびそれらの誘導体である。
【0070】
低活性化エネルギー酸不安定性基を有するモノマー型1)には、例えばp−もしくはm−(1−メトキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−メトキシ−1−メチルエトキシ)メチルスチレン、p−もしくはm−(1−メトキシ−1−メチルプロポキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−メトキシ−1−メチルプロポキシ)メチルスチレン、p−もしくはm−(1−メトキシエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−メトキシエトキシ)メチルスチレン、p−もしくはm−(1−エトキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−エトキシ−1−メチルエトキシ)メチルスチレン、p−もしくはm−(1−エトキシ−1−メチルプロポキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−エトキシ−1−メチルプロポキシ)メチルスチレン、p−もしくはm−(1−エトキシエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−エトキシエトキシ)メチルスチレン、p−(1−エトキシフェニルエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−n−プロポキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−n−プロポキシ−1−メチルエトキシ)メチルスチレン、p−もしくはm−(1−n−プロポキシエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−n−プロポキシエトキシ)メチルスチレン、p−もしくはm−(1−イソプロポキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−イソプロポキシ−1−メチルエトキシ)メチルスチレン、p−もしくはm−(1−イソプロポキシエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−イソプロポキシエトキシ)メチルスチレン、p−もしくはm−(1−イソプロポキシ−1−メチルプロポキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−イソプロポキシ−1−メチルプロポキシ)メチルスチレン、p−もしくはm−(1−イソプロポキシプロポキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−イソプロポキシプロポキシ)メチルスチレン、p−もしくはm−(1−n−ブトキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−n−ブトキシエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−イソブトキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−t−ブトキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−n−ペントキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−イソアミルオキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−n−ヘキシルオキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−シクロヘキシルオキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−トリメチルシリルオキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−トリメチルシリルオキシ−1−メチルエトキシ)メチルスチレン、p−もしくはm−(1−ベンジルオキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−ベンジルオキシ−1−メチルエトキシ)メチルスチレン、p−もしくはm−(1−メトキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−メトキシ−1−メチルエトキシ)メチルスチレン、p−もしくはm−(1−トリメチルシリルオキシ−1−メチルエトキシ)スチレン、p−もしくはm−(1−トリメチルシリルオキシ−1−メチルエトキシ)メチルスチレンおよび(メタ)アクリレート、例えば1−エトキシエチルメタクリレート、1−エトキシエチルアクリレート、1−メトキシエチルメタクリレート、1−メトキシエチルアクリレート、1−n−ブトキシエチルメタクリレート、1−n−ブトキシエチルアクリレート、1−イソブトキシエチルメタクリレート、1−イソブトキシエチルアクリレート、1−(2−クロロヘキシルエトキシ)エチルメタクリレート、1−(2−クロロヘキシルエトキシ)エチルアクリレート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)エチルメタクリレート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)エチルアクリレート、1−n−プロポキシエチルメタクリレート、1−n−プロポキシエチルアクリレート、1−シクロヘキシルオキシエチルメタクリレート、1−シクロヘキシルオキシエチルアクリレート、1−(2−シクロヘキシルエトキシ)エチルメタクリレート、1−(2−シクロヘキシルエトキシ)エチルアクリレート、1−ベンジルオキシエチルメタクリレートおよび1−ベンジルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルアクリレート、テトラヒドロフラン−2−イルメタクリレートならびにテトラヒドロフラン−2−イルアクリレートが含まれる。
【0071】
アルコキシアルキルエステル酸不安定性基を有するポリマーのその他の例は、米国特許第5225316号明細書(US5225316)および欧州特許第829766号明細書(EP829766)に示されている。アセタールブロッキング基を有するポリマーの例は、米国特許第5670299号明細書(US5670299)、欧州特許第780732号明細書(EP780732)、米国特許第5627006号明細書(US5627006)、米国特許第5558976号明細書(US5558976)、米国特許第5558971号明細書(US5558971)、米国特許第5468589号明細書(US5468589)、欧州特許第704762号明細書(EP704762)、欧州特許第762206号明細書(EP762206)、欧州特許第342498号明細書(EP342498)、欧州特許第553737号明細書(EP553737)に示され、かつACS Symp.Ser.614,Microelectronics Technology,第35頁〜55頁(1995)およびJ.Photopolymer Sci.Technol.Vol.10,No.4(1997),第571頁〜第578頁に記載されている。本発明で使用されるポリマーは、それらに制限されない。
【0072】
酸不安定性基としてアセタール基を有するポリマーに関しては、例えばH.−T.Schacht,P.Falcigno,N.Muenzel,R.Schulz、およびA.Medina,ACS Symp.Ser.706 (Micro− and Nanopatterning Polymers),第78頁〜第94頁,1997;H.−T.Schacht,N. Muenzel,P.Falcigno,H.Holzwarth、およびJ.Schneider,J.Photopolymer Science and Technology,Vol.9,(1996),573−586に記載される酸不安定性架橋を導入することが可能である。この架橋された系は、生成されたパターンの耐熱性の観点から好ましい。
【0073】
高活性化エネルギー酸不安定性基を有するモノマーは、例えばp−t−ブトキシカルボニルオキシスチレン、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートである。
【0074】
ArFレジスト技術に適したモノマー型1)には、特に例えば2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート、2−n−ブチル−2−アダマンチルアクリレート、2−n−ブチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−(1−アダマンチル)イソプロピルメタクリレート、2−(1−アダマンチル)イソプロピルアクリレート、2−(1−アダマンチル)イソブチルメタクリレート、2−(1−アダマンチル)イソブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、1−メチルシクロヘキシルメタクリレート、1−メチルシクロヘキシルアクリレート、1−エチルシクロヘキシルメタクリレート、1−エチルシクロヘキシルアクリレート、1−(n−プロピル)シクロヘキシルメタクリレート、1−(n−プロピル)シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロ−2−メタクリロイルオキシ−2H−ピランおよびテトラヒドロ−2−アクリロイルオキシ−2H−ピランが含まれる。酸不安定性アダマンチル部分を含むその他のモノマーは、特開2002−265530号公報(JP2002−265530A)、特開2002−338627号公報(JP2002−338627A)、特開2002−169290号公報(JP2002−169290A)、特開2002−241442号公報(JP2002−241442A)、特開2002−145954号公報(JP2002−145954A)、特開2002−275215号公報(JP2002−275215A)、特開2002−156750号公報(JP2002−156750A)、特開2002−268222号公報(JP2002−268222A)、特開2002−169292号公報(JP2002−169292A)、特開2002−162745号公報(JP2002−162745A)、特開2002−301161号公報(JP2002−301161A)、国際公開第02/06901号パンフレット(WO02/06901A2)、特開2002−311590号公報(JP2002−311590A)、特開2002−182393号公報(JP2002−182393A)、特開2002−371114号公報(JP2002−371114A)、特開2002−162745号公報(JP2002−162745A)に開示されている。
【0075】
また酸不安定性基を有する特定のオレフィンは、例えば特開2002−308938号公報(JP2002−308938a)、特開2002−308869号公報(JP2002−308869A)、特開2002−206009号公報(JP2002−206009A)、特開2002−179624号公報(JP2002−179624A)、特開2002−161116号公報(JP2002−161116A)に示されるArFレジスト技術にも適している。
【0076】
型2)によるコモノマーの例は、芳香族ビニルモノマー、例えばスチレン、α−メチルスチレン、アセトキシスチレン、α−メチルナフチレン、アセナフチレン、ビニル脂環式化合物、例えばビニルノルボルナン、ビニルアダマンタン、ビニルシクロヘキサン、アルキル(メタ)アクリレート、例えばメチルメタクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサノール、イタコン酸無水物ならびにマレイン酸無水物である。官能性部分、例えばグリシジル、オキセタン等を含むラジカル重合可能なモノマーは、型2)のコモノマーとしても好ましい。(メタ)アクリレート、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジル α−エチルアクリレート、グリシジル α−n−プロピルアクリレート、グリシジル α−n−ブチルアクリレート、3,4−エポキシブチルアクリレート、3,4−エポキシブチルメタクリレート、4,5−エポキシペンチルアクリレート、4,5−エポキシペンチルメタクリレート、6,7−エポキシヘプチルアクリレート、6,7−エポキシヘプチル α−エチルアクリレートおよび6,7−エポキシヘプチルメタクリレート、ビニルベンジルグリシジルエーテル、例えばo−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテルおよびα−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルフェニルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレートならびに3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート。これらのなかでも、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、p−ビニルフェニルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレートおよび3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートが好ましく、グリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートがより好ましい。また、オキセタン含有(メタ)アクリレート、例えば(3−フェニル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−フェニル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートが好ましい。さらに、官能基としてオキセタン基を有する構成単位は、官能基としてエポキシ基を有する化合物のこれらの具体的な例におけるエポキシ基がオキセタン基によって置き換えられた化合物を使用して形成することができる。ArFレジスト技術に適した型2)によるコモノマーには、特に例えば、α−アクリロイルオキシ−γ−ブチロールアセトン、α−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイルオキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイルオキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイルオキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイルオキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−アクリロイルオキシ−γ,β−メタクリロイルオキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、5−アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン、5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン、2−ノルボルネン、メチル 5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、t−ブチル 5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチル 5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、1−(4−メチルシクロヘキシル)−1−メチルエチル 5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、1−メチル−1−(4−オキソシクロヘキシル)エチル 5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル 5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、1−メチルシクロヘキシル 5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、2−メチル−2−アダマンチル 5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、2−エチル−2−アダマンチル 5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、2(5H)−フラノン、3−ビニル−γ−ブチロラクトン、3−メタクリロイルオキシビシクロ[4,3,0]ノナン、3−アクリロイルオキシビシクロ[4,3,0]ノナン、1−アダマンチルメタクリレート、1−アダマンチルアクリレート、3−メタクリロイルオキシメチルテトラシクロ[4,4,0,1
2,5,1
7,10]ドデカン、3−アクリロイルオキシメチルテトラシクロ[4,4,0,1
2,5,1
7,10]ドデカン、2−メタクリロイルオキシノルボルナン、2−アクリロイルオキシノルボルナン、2−メタクリロイルオキシイソボルナン、2−アクリロイルオキシイソボルナン、2−メタクリロイルオキシメチルノルボルナン、2−アクリロイルオキシメチルノルボルナンが含まれる。
【0077】
型3)によるコモノマーの例は、ビニル芳香族化合物、例えばヒドロキシスチレン、アクリル酸化合物、例えばメタクリル酸、エチルカルボニルオキシスチレンおよびそれらの誘導体である。これらのポリマーは、例えば米国特許第5827634号明細書(US5827634)、米国特許第5625020号明細書(US5625020)、米国特許第5492793号明細書(US5492793)、米国特許第5372912号明細書(US5372912)、欧州特許第660187号明細書(EP660187)、米国特許第5679495号明細書(US5679495)、欧州特許第813113号明細書(EP813113)および欧州特許第831369号明細書(EP831369)に記載されている。更なる例は、クロトン酸、イソクロトン酸、3−ブテン酸、アクリル酸、4−ペンテン酸、プロピオル酸、2−ブチン酸、マレイン酸、フマル酸およびアセチレンカルボン酸である。本発明で使用されるポリマーは、それらに制限されない。ArFレジスト技術に適した型3)によるコモノマーには、特に例えば、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート、3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチルアクリレート、3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−5−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−メチルエチル 5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−1−エチル 5−ノルボルネン−2−カルボキシレート、5−ノルボルネン−2−メタノール、8−ヒドロキシメチル−4−メタクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0
2.6]デカン、8−ヒドロキシメチル−4−アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0
2.6]デカン、4−ヒドロキシメチル−8−メタクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0
2.6]デカン、4−ヒドロキシメチル−8−アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0
2.6]デカンが含まれる。
【0078】
ArF技術に適したラクトン部分を含むその他のモノマーは、例えば特開2002−006502号公報(JP2002−006502A)、特開2002−145955号公報(JP2002−145955A)、欧州特許出願公開第1127870号明細書(EP1127870A1)、特開2002−357905号公報(JP2002−357905A)、特開2002−296783号公報(JP2002−296783A)に開示されている。ArF技術に適したその他のオレフィンは、例えば特開2002−351078号公報(JP2002−351078A)、特開2002−234918号公報(JP2002−234918A)、特開2002−251009号公報(JP2002−251009A)、欧州特許出願公開第1127870号明細書(EP1127870A)、特開2002−328475号公報(JP2002−328475A)、特開2002−278069号公報(JP2002−278069A)、特開2003−43689号公報(JP2003−43689A)、特開2002−202604号公報(JP2002−202604A)、国際公開第01/86353号パンフレット(WO01/86353)、特開2002−023371号公報(JP2002−023371A)、特開2002−072484号公報(JP2002−072484A)、特開2002−202604号公報(JP2002−202604A)、特開2001−330959号公報(JP2001−330959A)、特開2002−003537号公報(JP2002−003537A)、特開2002−030114号公報(JP2002−030114A)、特開2002−278071号公報(JP2002−278071A)、特開2002−251011号公報(JP2002−251011A)、特開2003−122010号公報(JP2003−122010A)、特開2002−139837号公報(JP2002−139837A)、特開2003−195504号公報(JP2003−195504A)、特開2001−264984号公報(JP2001−264984A)、特開2002−278069号公報(JP2002−278069A)、特開2002−328475号公報(JP2002−328475A)、米国特許第6379861号明細書(US6379861)、米国特許第6599677号明細書(US6599677)、米国特許出願公開第2002/119391号明細書(US2002/119391)、米国特許第6277538号明細書(US6277538)、米国特許出願公開第2003/78354号明細書(US2003/78354)で公開されている。
【0079】
該ポリマー中の酸不安定性モノマーの含量は広い範囲に及んでよく、その他のコモノマーの量および脱保護されたポリマーのアルカリ可溶性に依存する。一般的に、該ポリマー中の酸不安定性基を有するモノマーの含量は、5モル%から60モル%の間である。その含量が低すぎると、現像速度が低くなりすぎ、そして露光された領域における感光性樹脂組成物の残留が生ずる。酸不安定性モノマーの含量が高すぎると、生成されるパターンは現像後に画定が不十分(腐食)であり、細い特徴はもはや解像できず、かつ/またはそのパターンは、現像の間のその基材への付着を緩める。
【0080】
好ましくは、酸不安定性基を有するコポリマーは、約3000から約200000までの、より好ましくは約5000から約50000までのM
wを有し、約3以下の分子量分布、より好ましくは約2以下の分子量分布を有する。非フェノール性ポリマー、例えばアルキルアクリレート、例えばt−ブチルアクリレートまたはt−ブチルメタクリレートおよびビニル脂環式化合物、例えばビニルノルボルナニル(norbonanyl)またはビニルシクロヘキサノール化合物のコポリマーは、そのようなフリーラジカル重合またはその他の公知の手法によって製造することもでき、約8000から約50000までのM
wおよび約3以下の分子量分布を有することとなる。その他のコモノマーは、適宜、該ポリマーのガラス転移点の制御等の目的のために適切な量で添加することができる。
【0081】
本発明においては、酸不安定性基を有する2種以上のポリマーの混合物を使用することができる。例えば、非常に開裂しやすい酸不安定性基、例えばアセタール基またはテトラヒドロピラニルオキシ基を有するポリマーおよびあまり容易には開裂しない酸開裂可能な基、例えば第三級アルキルエステル基を有するポリマーの混合物を使用することができる。また、異なる酸開裂可能な基、例えばt−ブチルエステル基および2−メチルアダマンチル基または1−エトキシエトキシ基およびテトラヒドロピラニルオキシ基を有する2種以上のポリマーを配合することによって異なる大きさの酸開裂可能な基を組み合わせることもできる。非架橋樹脂および架橋樹脂の混合物を使用してもよい。本発明におけるこれらのポリマーの量は、全ての固体成分の全量に対して、好ましくは30質量%から99質量%まで、より好ましくは50質量%から98質量%までである。アルカリ可溶性樹脂または酸不安定性基を有さないモノマーもしくはオリゴマーの化合物を、アルカリ可溶性を制御するために該組成物中にさらに導入してよい。異なる酸不安定性基を有する複数のポリマーを有するポリマーブレンドの例は、欧州特許第780732号明細書(EP780732)、欧州特許第679951号明細書(EP679951)および米国特許第5817444号明細書(US5817444)に示されている。
【0082】
酸不安定性部分としてアセタール基を含むコポリマーの特に適切な例は、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/グリシジルメタクリレートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/グリシジルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート/グリシジルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)−4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロ(cyc-10)ヘキシルメチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)−4−ヒドロキシベンゾエート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)−4−ヒドロキシベンゾエート/メチルメタクリレートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)−4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)−4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エトキシオキセタン−3−イル)メチルメタクリレートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)−4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)−4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/1−メチル−1−シクロヘキシルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(2−メタクリロイルオキシエチル)4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(6−メタクリロイルオキシヘキシル)−4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)−4−ヒドロキシベンゾエート/メチルメタクリレートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)−4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)−4−ヒドロキシベンゾエート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルアクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)−4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルアクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)−4−ヒドロキシベンゾエート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー、1−(シクロヘキシルオキシ)エチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートコポリマー、1−(シクロヘキシルオキシ)エチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)−4−ヒドロキシベンゾエート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー、1−(シクロヘキシルオキシ)エチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレートコポリマー、1−(シクロヘキシルオキシ)エチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)−4−ヒドロキシベンゾエート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー、1−(シクロヘキシルオキシ)エチルメタクリレート/テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)−4−ヒドロキシベンゾエート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー、1−(シクロヘキシルオキシ)エチルメタクリレート/テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー、(3−メタクリロイルオキシプロピル)−4−ヒドロキシベンゾエートの1−エトキシエチルエーテル/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエートの1−エトキシエチルエーテル/t−ブトキシカルボニル基保護されたα−メチル−パラ−ヒドロキシスチレン/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、(2−メタクリロイルオキシエチル)−4−ヒドロキシベンゾエートの1−エトキシエチルエーテル/t−ブチル基保護された4−ヒドロキシフェニルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/スチレン/グリシジルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、1−エトキシエチルメタクリレート/N−シクロヘキシルマレイミド/グリシジルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、テトラヒドロフラン−2−イルメタクリレート/(トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル)メタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、およびテトラヒドロフラン−2−イルメタクリレート/(トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル)メタクリレート/グリシジルメタクリレート/メタクリル酸コポリマーである。
【0083】
さらに、酸により分解されることで、カルボキシル基を形成する酸不安定性基を有する構成単位は、保護されるべきであるカルボキシル基を含むモノマーをカルボン酸モノマーまたはその前駆体と重合させ、次いで該カルボキシル基をビニルエーテル化合物と反応させることによって形成することができる。前記のように形成されたモノマー単位の具体的な好ましい例には、ラジカル重合可能なモノマーの具体的な好ましい例から誘導されるモノマー単位が含まれる。
【0084】
好ましくは、本発明においては、モノマーおよびオリゴマーの溶解抑制剤(a2)が使用される。本発明において使用するための酸不安定性基を有するモノマーまたはオリゴマーの溶解抑制剤は、分子構造中に少なくとも1つの酸不安定性基を有し、該酸不安定性基は、酸の存在下に分解してアルカリ性現像剤水溶液中での可溶性を高める化合物である。それらの例は、アルコキシメチルエーテル基、テトラヒドロフラニルエーテル基、テトラヒドロピラニルエーテル基、アルコキシエチルエーテル基、トリチルエーテル基、シリルエーテル基、アルキルカーボネート基、トリチルエステル基、シリルエステル基、アルコキシメチルエステル基、ビニルカルバメート基、第三級アルキルカルバメート基、トリチルアミノ基、クミルエステル基、アセタール基、ケタール基、テトラヒドロピラニルエステル基、テトラフラニルエステル基、第三級アルキルエーテル基、第三級アルキルエステル基等である。本発明で使用するための酸分解可能な溶解抑制性化合物の分子量は、3000以下、好ましくは100から3000まで、より好ましくは200から2500までである。
【0085】
酸不安定性基を有するモノマーおよびオリゴマーの溶解抑制剤の例は、式(I)〜(XVI)として欧州特許第0831369号明細書(EP0831369)に記載されている。酸不安定性基を有するその他の適切な溶解抑制剤は、米国特許第5356752号明細書(US5356752)、米国特許第5037721号明細書(US5037721)、米国特許第5015554号明細書(US5015554)、特開平01−289946号明細書(JP01−289946A)、特開平01−289947号明細書(JP01−289947A)、特開平02−002560号明細書(JP02−002560A)、特開平03−128959号明細書(JP03−128959A)、特開平03−158855号明細書(JP03−158855A)、特開平03−179353号明細書(JP03−179353A)、特開平03−191351号明細書(JP03−191351A)、特開平03−200251号明細書(JP03−200251A)、特開平03−200252号明細書(JP03−200252A)、特開平03−200253号明細書(JP03−200253A)、特開平03−200254号明細書(JP03−200254A)、特開平03−200255号明細書(JP03−200255A)、特開平03−259149号明細書(JP03−259149A)、特開平03−279958号明細書(JP03−279958A)、特開平03−279959号明細書(JP03−279959A)、特開平04−001650号明細書(JP04−001650A)、特開平04−001651号明細書(JP04−001651A)、特開平04−011260号明細書(JP04−011260A)、特開平04−012356号明細書(JP04−012356A)、特開平04−123567号明細書(JP04−123567A)、特開平04−271349号明細書(JP04−271349A)および特開平05−45869号明細書(JP05−45869A)、特開平05−158233号明細書(JP05−158233A)、特開平05−257275号明細書(JP05−257275A)、特開平05−297581号明細書(JP05−297581A)、特開平05−297583号明細書(JP05−297583A)、特開平05−303197号明細書(JP05−303197A)、特開平05−303200号明細書(JP05−303200A)ならびに特開平05−341510号明細書(JP05−341510A)に示されている。
【0086】
また該組成物は、ポリマーの溶解抑制剤、例えば、米国特許第5354643号明細書(US5354643)に記載されるポリアセタール、または例えば、米国特許第5498506号明細書(US5498506)に記載されるポリ−N,O−アセタールと、アルカリ可溶性ポリマーとの組み合わせ、もしくは露光後に現像剤における塗膜の可溶性を高める酸不安定性基を有するポリマーとの組み合わせのいずれか、または両方の種類のポリマーとの組み合わせを含有してもよい。
【0087】
酸不安定性基を有する溶解抑制剤が、本発明において、式Iの化合物、アルカリ可溶性ポリマーおよび/または酸不安定性基を有するポリマーと組み合わせて使用される場合に、溶解抑制剤の量は、感光性組成物の全固体成分の全量に対して、3質量%から55質量%まで、好ましくは5質量%から45質量%まで、最も好ましくは、10質量%から35質量%まである。
【0088】
アルカリ水溶液中に可溶なポリマー(a3)は、好ましくは本発明で使用される。これらのポリマーの例には、ノボラック樹脂、水素化ノボラック樹脂、アセトン−ピロガロール樹脂、ポリ(o−ヒドロキシスチレン)、ポリ(m−ヒドロキシスチレン)、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、水素化ポリ(ヒドロキシスチレン)、ハロゲン置換もしくはアルキル置換ポリ(ヒドロキシスチレン)、ヒドロキシスチレン/N−置換マレイミドコポリマー、o/p−およびm/p−ヒドロキシスチレンコポリマー、部分的o−アルキル化ポリ(ヒドロキシスチレン)[例えば、o−メチル化、o−(1−メトキシ)エチル化、o−(1−エトキシ)エチル化、o−2−テトラヒドロピラニル化およびo−(t−ブトキシカルボニル)メチル化された、5モル%から30モル%までのヒドロキシル基の置換度を有するポリ(ヒドロキシスチレン)]、o−アシル化ポリ(ヒドロキシスチレン)[例えば、o−アセチル化およびo−(t−ブトキシ)カルボニル化された、5モル%から30モル%までのヒドロキシル基の置換度を有するポリ(ヒドロキシスチレン)]、スチレン/マレイン酸無水物コポリマー、スチレン/ヒドロキシスチレンコポリマー、α−メチルスチレン/ヒドロキシスチレンコポリマー、カルボキシル化メタクリル樹脂およびそれらの誘導体が含まれる。さらに適切なのは、ポリ(メタ)アクリル酸[例えば、ポリ(アクリル酸)]、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリレートコポリマー[例えば、アクリル酸/メチルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸/メチルメタクリレートコポリマーまたはメタクリル酸/メチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレートコポリマー]、(メタ)アクリル酸/アルケンコポリマー[例えば、アクリル酸/エチレンコポリマー]、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリルアミドコポリマー[例えば、アクリル酸/アクリルアミドコポリマー]、(メタ)アクリル酸/塩化ビニルコポリマー[例えば、アクリル酸/塩化ビニルコポリマー]、(メタ)アクリル酸/酢酸ビニルコポリマー[例えば、アクリル酸/酢酸ビニルコポリマー]、マレイン酸/ビニルエーテルコポリマー[例えば、マレイン酸/メチルビニルエーテルコポリマー]、マレイン酸モノエステル/メチルビニルエステルコポリマー[例えば、マレイン酸モノメチルエステル/メチルビニルエーテルコポリマー]、マレイン酸/(メタ)アクリル酸コポリマー[例えば、マレイン酸/アクリル酸コポリマーまたはマレイン酸/メタクリル酸コポリマー]、マレイン酸/(メタ)アクリレートコポリマー[例えば、マレイン酸/メチルアクリレートコポリマー]、マレイン酸/塩化ビニルコポリマー、マレイン酸/酢酸ビニルコポリマーおよびマレイン酸/アルケンコポリマー[例えば、マレイン酸/エチレンコポリマーおよびマレイン酸/1−クロロプロペンコポリマー]である。しかしながら、本発明で使用するためのアルカリ可溶性ポリマーは、これらの例に制限されると解釈されるべきではない。
【0089】
特に好ましいアルカリ可溶性ポリマー(a3)は、ノボラック樹脂、ポリ(o−ヒドロキシスチレン)、ポリ(m−ヒドロキシスチレン)、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、それぞれのヒドロキシスチレンモノマーと、例えばp−ビニルシクロヘキサノールとのコポリマー、アルキル置換ポリ(ヒドロキシスチレン)、部分的o−もしくはm−アルキル化された、およびo−もしくはm−アシル化されたポリ(ヒドロキシスチレン)、スチレン/ヒドロキシスチレンコポリマーならびにα−メチルスチレン/ヒドロキシスチレンコポリマーである。ノボラック樹脂は、主成分としての1種以上の示されたモノマーと1種以上のアルデヒドとの酸触媒の存在下での付加縮合によって得られる。
【0090】
アルカリ可溶性樹脂の製造に有用なモノマーの例には、ヒドロキシル化芳香族化合物、例えばフェノール、クレゾール、すなわちm−クレゾール、p−クレゾールおよびo−クレゾール、キシレノール、例えば2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、3,4−キシレノールおよび2,3−キシレノール、アルコキシフェノール、例えばp−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、3,5−ジメトキシフェノール、2−メトキシ−4−メチルフェノール、m−エトキシフェノール、p−エトキシフェノール、m−プロポキシフェノール、p−プロポキシフェノール、m−ブトキシフェノールおよびp−ブトキシフェノール、ジアルキルフェノール、例えば2−メチル−4−イソプロピルフェノールならびにその他のヒドロキシル化芳香族化合物、例えばm−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、フェニルフェノール、レゾルシノールおよびナフトールが含まれる。これらの化合物は、単独で、またはそれらの2種以上の混合物として使用することができる。ノボラック樹脂のための主モノマーは、前記例に制限されると解釈されるべきではない。
【0091】
フェノール性化合物と重縮合させてノボラックを得るためのアルデヒドの例には、ホルムアルデヒド、p−ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンゾアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピオンアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド、o−ヒドロキシベンゾアルデヒド、m−ヒドロキシベンゾアルデヒド、p−ヒドロキシベンゾアルデヒド、o−クロロベンゾアルデヒド、m−クロロベンゾアルデヒド、p−クロロベンゾアルデヒド、o−ニトロベンゾアルデヒド、m−ニトロベンゾアルデヒド、o−メチルベンゾアルデヒド、m−メチルベンゾアルデヒド、p−メチルベンゾアルデヒド、p−エチルベンゾアルデヒド、p−n−ブチルベンゾアルデヒド、フルフラール、クロロアセトアルデヒドおよびこれらから誘導されるアセタール、例えばクロロアセトアルデヒドジエチルアセタールが含まれる。これらのうち、ホルムアルデヒドが好ましい。これらのアルデヒドは、単独で、またはそれらの2種以上の組み合わせで使用することができる。酸触媒の例には、塩化水素酸、硫酸、ギ酸、酢酸およびシュウ酸が含まれる。
【0092】
こうして得られるノボラック樹脂の質量平均分子量は、適切には、1000から30000までである。その質量平均分子量が1000より低い場合に、現像の間の未露光部分での膜減りは、大きくなりやすい。その質量平均分子量が50000を超過する場合に、現像速度が低すぎることがある。ノボラック樹脂の分子量の特に好ましい範囲は、2000から20000までである。ノボラック樹脂以外にアルカリ可溶性ポリマーとして先に示されるポリ(ヒドロキシスチレン)およびその誘導体およびコポリマーは、それぞれ、2000以上の、好ましくは4000から200000までの、より好ましくは5000から50000までの質量平均分子量を有する。改善された耐熱性を有するポリマー膜を得るという観点から、その質量平均分子量は、望ましくは少なくとも5000以上である。本発明の文脈における質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定され、ポリスチレン標準で校正された分子量であることが意図される。
【0093】
本発明においては、アルカリ可溶性ポリマーは、それらの2種以上の混合物として使用することができる。アルカリ可溶性ポリマーおよび酸の作用によって分解してアルカリ性現像液中での可溶性を高める基を有するポリマーの混合物が使用される場合には、アルカリ可溶性ポリマーの添加量は、感光性組成物の全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、最も好ましくは40質量%以下である。80質量%を超過する量は、生成されたパターンが、かなりの厚さの減少を受け、粗悪な像および低い解像がもたらされるため、望ましくない。
【0094】
アルカリ可溶性ポリマーが溶解抑制剤と一緒に使用され、酸の作用により分解してアルカリ性現像液中での可溶性を高める基を有するポリマーが使用されない場合に、アルカリ可溶性ポリマーの量は、好ましくは40質量%から90質量%まで、より好ましくは50質量%から85質量%まで、最も好ましくは60質量%から80質量%までである。その量が40質量%より低い場合に、感度の低下のような不所望な結果が生ずる。その一方で、その量が90質量%を超過する場合に、パターンは、かなりの膜厚の低下を受け、不十分な解像および像の再現性がもたらされる。
【0095】
ポリマーからの保護基の除去に基づき作用する化学増幅型の系における本発明によるオキシムスルホネート誘導体の使用は、一般的に、ポジ型の感光性樹脂組成物を生成する。ポジ型の組成物は、多くの用途において、特にそれらのより高い解像度のためネガ型組成物に対して好ましい。しかしながら、ポジ型の高い解像度の利点とネガ型の特性を組み合わせるために、ポジ型機構を使用してネガ画像を生成することに関心が持たれている。このことは、例えば欧州特許第361906号明細書(EP361906)に記載される、いわゆるイメージリバーサルステップを導入することによって達成することができる。この目的のために、画像状に照射された感光性樹脂組成物材料は、現像ステップの前に、例えばガス状塩基で処理され、それにより、生成された酸を画像状に中和する。次いで、全領域への第二の照射および熱的後処理を実施し、ネガ画像が次いで慣用のように現像される。
【0096】
本発明による式Iの化合物は、特に、ArFレジスト技術、すなわちイメージングステップのためにArFエキシマレーザー(193nm)を使用する技術における光潜在酸として特に適している。この技術は、特定のポリマー/コポリマーの使用を要求する。適切なポリマー/コポリマーの適切な配合および製造は、例えば、Proceeding of SPIE 2438,474(1995);Proceeding of SPIE 3049,44(1997);Proceeding of SPIE 3333,144(1998);J.Photopolym.Sci.Technol.14,631(2001);Proceeding of SPIE 3333,546(1998);J.Photopolym.Sci.Technol.13,601(2000);特開2001−242627号公報(JP2001−242627A);特開2001−290274号公報(JP2001−290274A);特開2001−235863号公報(JP2001−235863A);特開2001−228612号公報(JP2001−228612A);Proceeding of SPIE 3333,144(1998);特開2001−5184号公報(JP2001−5184A),commercially available as Lithomax alpha−7K from Mitsubishi Rayon;特開2001−272783号公報(JP2001−272783A);米国特許出願公開第09/413763号明細書(出願日1999.10.7);欧州特許第1091249号明細書(EP1091249);特開2000−292917号公報(JP2000−292917A);特開2003−241385号公報(JP2003−241385A);J.Photopolym.Sci.Technol.14,631(2001);Proceeding of SPIE 3333,11(1998);ACS1998(University of Texas);特開2001−290274号公報(JP2001−290274A);特開2001−235863号公報(JP2001−235863A);特開2001−228612号公報(JP2001−228612A);Proceeding of SPIE 3999,13(2000);特開2001−296663号公報(JP2001−296663A);米国特許出願公開第09/567814号明細書(出願日2000.5.9);欧州特許第1128213号明細書(EP1128213);Proceeding of SPIE 3049,104(1997);J.Photopolym.Sci.Technol.10,521(1997);特開2001−290274号公報(JP2001−290274A);特開2001−235863号公報(JP2001−235863A);特開2001−228612号公報(JP2001−228612A);Proceeding of SPIE 4345,680(2001);J.Vac.Sci.Technol.B 16(6),p.3716,1998;Proceeding of SPIE 2724,356(1996);Proceeding of SPIE 4345,67(2001);Proceeding of SPIE 3333,546(1998);Proceeding of SPIE 4345,87(2001);Proceeding of SPIE 4345,159(2001);Proceeding of SPIE 3049,92(1997);Proceeding of SPIE 3049,92(1997);Proceeding of SPIE 3049,92(1997);Proceeding of SPIE 3999,2(2000);Proceeding of SPIE 3999,23(2000);Proceeding of SPIE 3999,54(2000);Proceeding of SPIE 4345,119(2001)に公開されている。上述の刊行物に開示される配合は、参照により本明細書で援用される。本発明の化合物は、これらの引用された刊行物中に記載される全てのポリマー/コポリマーおよび組成物中で光潜在酸として使用するために特に適している。
【0097】
本発明による式(I)または(IA)の化合物は、バイレイヤーレジストにおける光潜在酸として適している。この技術は、特定のポリマー/コポリマーの使用を要求する。適切なポリマー/コポリマーの適切な配合および製造は、例えば、Proc.SPIE 4345,361−370(2001),Proc.SPIE 4345,406−416(2001)、特開2002−278073号公報(JP2002−278073A)、特開2002−30116号公報(JP2002−30116A)、特開2002−030118号公報(JP2002−030118A)、特開2002−072477号公報(JP2002−072477A)、特開2002−348332号公報(JP2002−348332A)、特開2003−207896号公報(JP2003−207896A)、特開2002−082437号公報(JP2002−082437A)、米国特許出願公開第2003/65101号明細書(US2003/65101)、米国特許出願公開第2003/64321号明細書(US2003/64321)に公開されている。
【0098】
本発明による式(I)または(IA)の化合物は、マルチレイヤーレジストにおける光潜在酸として適している。この技術は、特定のポリマー/コポリマーの使用を要求する。適切なポリマー/コポリマーの適切な配合および製造は、例えば、特開2003−177540号公報(JP2003−177540A)、特開2003−280207号公報(JP2003−280207A)、特開2003−149822号公報(JP2003−149822A)、特開2003−177544号公報(JP2003−177544A)に公開されている。
【0099】
微細ホールパターンの作製のために、サーマルフロー法またはケミカルシュリンク技術、いわゆるRELACS(ケミカルシュリンクにより支援される解像度向上リソグラフィー)法が、化学増幅型感光性樹脂組成物に適用される。本発明による式Iの化合物は、サーマルフロー法またはRELACS法のための組成物中で光潜在酸として適している。これらの技術は、特定のポリマー/コポリマーの使用を要求する。適切なポリマー/コポリマーの適切な配合および製造は、例えば、特開2003−167357号公報(JP2003−167357A)、特開2001−337457号公報(JP2001−337457A)、特開2003−066626号公報(JP2003−066626A)、米国特許出願公開第2001/53496号明細書(US2001/53496)、Proceeding of SPIE 5039,789(2003)、IEDM98,Dig.,333(1998)、Proceeding Silicon Technology 11,12(1999)に公開されている。
【0100】
本発明による式(I)および(IA)の化合物は、液浸リソグラフィー用の化学増幅型レジストにおける光潜在酸として適している。この技術は、Proceeding of SPIE 5040,667(2003)、Proceeding of SPIE 5040,679(2003)、Proceeding of SPIE 5040,690(2003)、Proceeding of SPIE 5040,724(2003)に記載されるように、光源とレジストとの間に液体媒体を使用してレジストパターンの最小フィーチャサイズを減少させる。
【0101】
本発明による式(I)または(IA)の化合物は、ポジ型およびネガ型の感光性ポリイミドにおける光潜在酸として適している。この技術は、特定のポリマー/コポリマーの使用を要求する。適切なポリマー/コポリマーの適切な配合および製造は、例えば、特開平09−127697号公報(JP09−127697A)、特開平10−307393号公報(JP10−307393A)、特開平10−228110号公報(JP10−228110A)、特開平10−186664号公報(JP10−186664A)、特開平11−338154号公報(JP11−338154A)、特開平11−315141号公報(JP11−315141A)、特開平11−202489号公報(JP11−202489A)、特開平11−153866号公報(JP11−153866A)、特開平11−084653号公報(JP11−084653A)、特開2000−241974号公報(JP2000−241974A)、特開2000−221681号公報(JP2000−221681A)、特開2000−034348号公報(JP2000−034348A)、特開2000−034347号公報(JP2000−034347A)、特開2000−034346号公報(JP2000−034346A)、特開2000−026603号公報(JP2000−026603A)、特開2001−290270号公報(JP2001−290270A)、特開2001−281440号公報(JP2001−281440A)、特開2001−264980号公報(JP2001−264980A)、特開2001−255657号公報(JP2001−255657A)、特開2001−214056号公報(JP2001−214056A)、特開2001−214055号公報(JP2001−214055A)、特開2001−166484号公報(JP2001−166484A)、特開2001−147533号公報(JP2001−147533A)、特開2001−125267号公報(JP2001−125267A)、特開2001−083704号公報(JP2001−083704A)、特開2001−066781号公報(JP2001−066781A)、特開2001−056559号公報(JP2001−056559A)、特開2001−033963号公報(JP2001−033963A)、特開2002−356555号公報(JP2002−356555A)、特開2002−356554号公報(JP2002−356554A)、特開2002−303977号公報(JP2002−303977A)、特開2002−284875号公報(JP2002−284875A)、特開2002−268221号公報(JP2002−268221A)、特開2002−162743号公報(JP2002−162743A)、特開2002−122993号公報(JP2002−122993A)、特開2002−99084号公報(JP2002−99084A)、特開2002−040658号公報(JP2002−040658A)、特開2002−037885号公報(JP2002−037885A)、特開2003−026919号公報(JP2003−026919A)に公開されている。上述の刊行物に開示される配合は、参照により本明細書で援用される。本発明の化合物は、これらの引用された刊行物中に記載される全てのポリマー/コポリマーおよび組成物中で光潜在酸として使用するために特に適している。
【0102】
材料の酸による反応の結果として照射の間または照射の後に生ずる照射区間および非照射区間の間の可溶性の差は、感光性樹脂組成物中に存在する更なる成分に応じて2つのタイプがあり得る。本発明による組成物が、照射後に組成物の現像剤中での可溶性を低下させる成分を含む場合に、感光性樹脂組成物はネガ型である。また本発明の主題は、化学増幅型ネガ型感光性樹脂組成物である。
【0103】
本発明には、特定の一実施形態として、
(a4)バインダーとしてのアルカリ可溶性樹脂、
(a5)カチオン重合可能もしくは酸触媒により重合可能な、または自身と架橋可能な、および/もしくは他の成分と架橋可能な成分と、
(b)式(I)または(IA)の少なくとも1種の化合物と、
を含む化学増幅型ネガ型アルカリ現像性感光性樹脂組成物が含まれる。
【0104】
本発明の更なる一実施形態は、
(a5)カチオン重合可能もしくは酸触媒により重合可能な、または自身と架橋可能な、および/もしくは他の成分と架橋可能な成分と、
(b)式(I)または(IA)の少なくとも1種の化合物と、
を含む化学増幅型ネガ型アルカリ現像性感光性樹脂組成物である。
【0105】
主題の組成物には、特定の一実施形態として、
(a5)カチオン重合可能もしくは酸触媒により重合可能な、または自身と架橋可能な、および/もしくは他の成分と架橋可能な成分と、
(b)式(I)または(IA)の少なくとも1種の化合物と、
を含む化学増幅型ネガ型溶剤現像性感光性樹脂組成物が含まれる。
【0106】
本発明のもう一つの特定の実施形態は、
(a5)カチオン重合可能もしくは酸触媒により重合可能な、または自身と架橋可能な、および/もしくは他の成分と架橋可能な成分、
(a6)バインダーとしての溶剤現像性樹脂と、
(b)式(I)または(IA)の少なくとも1種の化合物と、
を含む化学増幅型ネガ型溶剤現像性感光性樹脂組成物である。
【0107】
該組成物は、成分(b)に加えて、その他の感光性酸供与体(b1)、その他の光開始剤(d)、増感剤(e)および/またはその他の添加剤(c)を含んでよい。
【0108】
また、本発明は、
(a4)バインダーとしてのアルカリ可溶性樹脂、ならびに/または
(a6)バインダーとしての溶剤現像性樹脂、ならびに/または
(a5)カチオン重合可能もしくは酸触媒により重合可能な、または自身と架橋可能な、および/もしくは他の成分と架橋可能な成分と、
(b)感光性酸供与体としての、式(I)または(IA)の少なくとも1種の化合物と、
を含む、化学増幅型ネガ型感光性樹脂組成物に関する。
【0109】
該組成物は、成分(a)および(b)、または成分(a1)、(a2)、(a3)および(b)、または成分(a4)、(a5)、(a6)および(b)に加えて、更なる添加剤(c)、更なる感光性酸供与体化合物(b1)、その他の光開始剤(d)ならびに/または増感剤(e)を含んでよい。
【0110】
ネガ型の組成物を特徴的に生成する酸感受性成分(a5)は、特に、酸(例えば、式(I)または(IA)の化合物の照射によって形成される酸)によって、カチオン重合もしくは酸触媒重合を生ずることができる、または自身と架橋反応を生ずることができる、および/または組成物の1種以上のその他の成分と架橋反応を生ずることができる化合物である。それらの例には、環状エーテル、特にエポキシドおよびオキセタン、そしてまたビニルエーテルおよびヒドロキシ含有化合物が含まれる。ラクトン化合物および環状チオエーテルならびにビニルチオエーテルを使用することもできる。更なる例は、アミノプラスト樹脂またはフェノールレゾール樹脂を含む。これらは、特にメラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびアルキド樹脂またはそれらの混合物である。アミノ樹脂、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂は、非常に適切である。酸硬化性樹脂は、一般的に公知であり、例えばWagner,Sarx/Lackkunstharze(ミュンヘン,1971),第86頁〜第123頁および第229頁〜第238頁、またはUllmann/Encyclopaedie der techn.Chemie,第4版,第15巻(1978),第613頁〜第628頁、またはUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Verlag Chemie,1991,第18巻,第360頁以降,第A19巻,第371頁以降に記載されている。
【0111】
例えば、あらゆる慣用のエポキシド、例えば芳香族の、脂肪族の、または環状脂肪族のエポキシ樹脂を使用することが可能である。これらは、分子中に少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つのエポキシ基を有する化合物である。それらの例は、脂肪族もしくは環状脂肪族ジオールもしくはポリオールのグリシジルエーテルおよびβ−メチルグリシジルエーテル、例えばエチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパンもしくは1,4−ジメチロールシクロヘキサンのグリシジルエーテルおよびβ−メチルグリシジルエーテル、または2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンおよびN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリンのグリシジルエーテルおよびβ−メチルグリシジルエーテル;ジフェノールおよびポリフェノールの、例えばレゾルシノールの、4,4’−ジヒドロキシフェニル−2,2−プロパンの、ノボラックの、もしくは1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのグリシジルエーテルである。それらの例には、フェニルグリシジルエーテル、p−t−ブチルグリシジルエーテル、o−クレシルグリシジルエーテル、ポリテトラヒドロフラングリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C
12/15−アルキルグリシジルエーテルおよびシクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルが含まれる。更なる例には、N−グリシジル化合物、例えばエチレン尿素、1,3−プロピレン尿素もしくは5−ジメチルヒダントインの、または4,4’−メチレン−5,5’−テトラメチルジヒダントインのグリシジル化合物、またはトリグリシジルイソシアヌレートのような化合物が含まれる。
【0112】
本発明による配合物において使用されるグリシジルエーテル成分(a5)の更なる例は、例えば多価フェノールと過剰のクロロヒドリン、例えばエピクロロヒドリンとの反応によって得られる多価フェノールのグリシジルエーテル(例えば、2,2−ビス(2,3−エポキシプロポキシフェノール)プロパンのグリシジルエーテル)である。本発明との関連で使用することができるグリシジルエーテルエポキシドの更なる例は、例えば米国特許第3018262号明細書(US3018262)およびLeeおよびNevilleによる「Handbook of Epoxy Resins」,McGraw−Hill Book Co.,New York(1967)に記載されている。また、成分(a5)として適した多数の市販のグリシジルエーテルエポキシド、例えばグリシジルメタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、例えば商品名EPON 828、EPON 825、EPON 1004およびEPON 1010(Shell社);DER−331、DER−332およびDER−334(Dow Chemical社)として得ることができるジグリシジルエーテル、フェノールホルムアルデヒドノボラックの1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、例えばDEN−431、DEN−438 (Dow Chemical社);ならびにレゾルシノールジグリシジルエーテル;アルキルグリシジルエーテル、例えばC
8〜C
10−グリシジルエーテル、例えばHELOXY Modifier 7、C
12〜C
14−グリシジルエーテル、例えばHELOXY Modifier 8、ブチルグリシジルエーテル、例えばHELOXY Modifier 61、クレシルグリシジルエーテル、例えばHELOXY Modifier 62、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、例えばHELOXY Modifier 65、多官能性グリシジルエーテル、例えば1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、例えばHELOXY Modifier 67、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル、例えばHELOXY Modifier 68、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、例えばHELOXY Modifier 107、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、例えばHELOXY Modifier 44、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、例えばHELOXY Modifier 48、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル、例えばHELOXY Modifier 84(全てのHELOXYグリシジルエーテルは、Shell社から入手できる)が存在する。
【0113】
また、アクリル酸エステルのコポリマーを含むグリシジルエーテル、例えば、スチレン−グリシジルメタクリレートまたはメチルメタクリレート−グリシジルアクリレートも適している。それらの例には、1:1のスチレン/グリシジルメタクリレート、1:1のメチルメタクリレート/グリシジルアクリレート、62.5:24:13.5のメチルメタクリレート/エチルアクリレート/グリシジルメタクリレートが含まれる。
【0114】
グリシジルエーテル化合物のポリマーは、例えばその他の官能価を含んでもよいが、ただし、これらは、カチオン硬化を害しないものとする。
【0115】
成分(a5)として適した市販されるその他のグリシジルエーテル化合物は、多官能性の液体のおよび固体のノボラックグリシジルエーテル樹脂、例えばPY 307、EPN 1179、EPN 1180、EPN 1182およびECN 9699である。
【0116】
種々のグリシジルエーテル化合物の混合物は、成分(a5)として使用することもできると理解されるであろう。
【0117】
グリシジルエーテル(a5)は、例えば式XX
【化10】
[式中、
xは、1から6までの数であり、かつ
R
50は、一価ないし六価のアルキル基またはアリール基である]の化合物である。
【0118】
例えば、式XXで示され、その式中、
xは、1、2または3の数であり、かつ
R
50は、xが1である場合に、非置換もしくはC
1〜C
12−アルキル置換されたフェニル、ナフチル、アントラシル、ビフェニリル、C
1〜C
20−アルキルもしくは1個以上の酸素原子によって中断されたC
2〜C
20−アルキルであるか、または
R
50は、xが2である場合に、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、C
6〜C
10−シクロアルキレン、非置換もしくはハロゲン置換されたC
1〜C
40−アルキレン、1個以上の酸素原子によって中断されたC
2〜C
40−アルキレン、もしくは基
【化11】
であるか、または
R
50は、xが3である場合に、基
【化12】
であり、
zは、1から10までの数であり、かつ
R
60は、C
1〜C
20−アルキレン、酸素もしくは
【化13】
である、グリシジルエーテルが好ましい。
【0119】
グリシジルエーテル(a5)は、例えば式XXa
【化14】
[式中、
R
70は、非置換もしくはC
1〜C
12−アルキル置換されたフェニル、ナフチル、アントラシル、ビフェニリル、C
1〜C
20−アルキル、1個以上の酸素原子によって中断されたC
2〜C
20−アルキル、または式
【化15】
の基であり、
R
50は、フェニレン、C
1〜C
20−アルキレン、1個以上の酸素原子によって中断されたC
2〜C
20−アルキレン、もしくは基
【化16】
であり、かつ
R
60は、C
1〜C
20−アルキレンもしくは酸素である]の化合物である。
【0120】
式XXb
【化17】
[式中、
R
50は、フェニレン、C
1〜C
20−アルキレン、1個以上の酸素原子によって中断されたC
2〜C
20−アルキレン、もしくは基
【化18】
であり、かつ
R
60は、C
1〜C
20−アルキレンもしくは酸素である]のグリシジルエーテル化合物が好ましい。
【0121】
成分(a5)のための更なる例は、1分子当たりに少なくとも2個の遊離アルコール性および/もしくはフェノール性ヒドロキシ基を有する化合物と、適切なエピクロロヒドリンとをアルカリ性条件下で反応させるか、またはそれに代えて酸触媒の存在下で反応させて、引き続きアルカリ処理することによって得ることができるポリグリシジルエーテルおよびポリ(β−メチルグリシジル)エーテルである。種々のポリオールの混合物を使用することもできる。
【0122】
そのようなエーテルは、ポリ(エピクロロヒドリン)を用いて、非環式アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコールおよび高級ポリ(オキシエチレン)グリコール、プロパン−1,2−ジオールおよびポリ(オキシプロピレン)グリコール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,4,6−トリオール、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトールおよびソルビトールから、環状脂肪族アルコール、例えばレゾルシトール、キニトール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンおよび1,1−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ−3−エンから、および芳香核を有するアルコール、例えばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリンおよびp,p’−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)ジフェニルメタンから製造することができる。それらのエーテルは、単核フェノール、例えばレゾルシノールおよびヒドロキノンならびに多核フェノール、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)および2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンから製造することもできる。
【0123】
ポリグリシジルエーテルおよびポリ(β−メチルグリシジル)エーテルの製造のために適した更なるヒドロキシ化合物は、アルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロラールおよびフルフラールと、フェノール類、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、3,5−ジメチルフェノール、4−クロロフェノールおよび4−t−ブチルフェノールとの縮合によって得ることができるノボラックである。
【0124】
ポリ(N−グリシジル)化合物は、例えばエピクロロヒドリンと少なくとも2個のアミノ水素原子を含むアミン、例えばアニリン、n−ブチルアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ビス(4−メチルアミノフェニル)メタンおよびビス(4−アミノフェニル)エーテル、スルホンおよびスルホキシドとの反応生成物の脱塩化水素によって得ることができる。更なる適切なポリ(N−グリシジル)化合物には、トリグリシジルイソシアヌレートおよび環状アルキレン尿素、例えばエチレン尿素および1,3−プロピレン尿素、ならびにヒダントイン、例えば5,5−ジメチルヒダントインのN,N’−ジグリシジル誘導体が含まれる。ポリ(S−グリシジル)化合物も適している。その例には、ジチオール、例えばエタン−1,2−ジチオールおよびビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテルのジ−S−グリシジル誘導体が含まれる。
【0125】
成分(a5)としては、グリシジル基またはβ−メチルグリシジル基が種々のタイプのヘテロ原子に結合されているエポキシ樹脂、例えば4−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体、サリチル酸もしくはp−ヒドロキシ安息香酸のグリシジルエーテル/グリシジルエステル、N−グリシジル−N’−(2−グリシジルオキシプロピル)−5,5−ジメチルヒダントインおよび2−グリシジルオキシ−1,3−ビス(5,5−ジメチル−1−グリシジルヒダントイン−3−イル)プロパンも考慮される。
【0126】
ビスフェノールのジグリシジルエーテルが好ましい。その例には、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、例えばARALDIT GY 250、ビスフェノールFのジグリシジルエーテルおよびビスフェノールSのジグリシジルエーテルが含まれる。ビスフェノールAのジグリシジルエーテルが特に好ましい。技術的に重要な更なるグリシジル化合物は、カルボン酸、特にジカルボン酸およびポリカルボン酸のグリシジルエステルである。それらの例は、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸およびヘキサヒドロフタル酸、イソフタル酸もしくはトリメリト酸または二量体脂肪酸のグリシジルエステルである。
【0127】
グリシジル化合物ではないポリエポキシドの例は、ビニルシクロヘキサンおよびジシクロペンタジエンのエポキシド、3−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)−8,9−エポキシ−2,4−ジオキサスピロ−[5.5]ウンデカン、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸の3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチルエステル、(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ブタジエンジエポキシドまたはイソプレンジエポキシド、エポキシ化されたリノール酸誘導体またはエポキシ化されたポリブタジエンである。
【0128】
更なる適切なエポキシ化合物は、例えばリモネンモノオキシド、エポキシ化ダイズ油、ビスフェノールAおよびビスフェノールFのエポキシ樹脂、例えばAraldit GY 250(A)、ARALDIT GY 282(F)、ARALDIT GY 285(F)、ならびにエポキシ基を有する光硬化性シロキサンである。
【0129】
酸によって触媒されて、それ自身とおよび/またはその他の成分と架橋反応または重合を起こす適切な成分(a5)には、例えばエポキシ化されたビスフェノールAホルムアルデヒドノボラック樹脂およびエポキシ化されたテトラブロモビスフェノールAホルムアルデヒドノボラック樹脂が含まれる。好ましいエポキシ樹脂は、平均で8個のエポキシ基を含み、ビスフェノールAおよびホルムアルデヒドのノボラック縮合生成物のグリシジルエーテルからなり、約1400グラム/モルの平均分子量を有し、約215グラム/モルのエポキシ当量を有する。そのような樹脂は、例えばShell Chemical社から商品名EPON(登録商標)Resin SU−8として市販されている。
【0130】
更なる適切なカチオン重合可能または架橋可能な成分(a5)は、例えば米国特許第3117099号明細書(US3117099)、米国特許第4299938号明細書(US4299938)および米国特許第4339567号明細書(US4339567)にも見出すことができる。
【0131】
脂肪族エポキシドの群のうち、10個、12個、14個または16個の炭素原子からなる非分枝鎖を有する単官能性α−オレフィンエポキシドが特に適している。
【0132】
現在では多数の様々なエポキシ化合物が市販されているので、バインダーの特性は広範に及び得る。1つの考えられる別形は、例えば組成物の利用目的に応じて、種々のエポキシ化合物の混合物の使用ならびに軟化剤および反応性希釈剤の添加である。
【0133】
エポキシ樹脂は、利用を容易にするために、例えば吹き付けにより利用される場合に溶剤で希釈してよいが、エポキシ化合物は、無溶剤状態で使用することが好ましい。室温で粘性ないし固形の樹脂には熱をかけることができる。
【0134】
オキシムスルホネート誘導体は、ネガ型の系において、例えばポリ(グリシジル)メタクリレートの酸触媒による架橋のために光化学的に活性化することができる酸発生剤として使用することもできる。そのような架橋反応は、例えばChaeらによって、Pollimo 1993,17(3),292において記載される。
【0135】
ヒドロキシ含有化合物の例には、ポリエステルポリオール、例えばポリカプロラクトンまたはポリエステルアジペートポリオール、グリコールおよびポリエーテルポリオール、ヒマシ油、ヒドロキシ官能性ビニルおよびアクリル樹脂、セルロースエステル、例えばセルロースアセテートブチレートならびにフェノキシ樹脂が含まれる。更なるカチオン硬化性配合物は、例えば欧州特許第119425号明細書(EP119425)に見出すことができる。
【0136】
成分(a5)としては、環状脂肪族エポキシド、またはビスフェノールAを基礎とするエポキシドが好ましい。
【0137】
成分(a5)としては、全ての慣用のビニルエーテル、例えば芳香族、脂肪族または環状脂肪族のビニルエーテル、そしてまたケイ素含有ビニルエーテルも適している。これらは、分子中に少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つのビニルエーテル基を有する化合物である。本発明による組成物で使用するために適したビニルエーテルの例には、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、プロピレンカーボネートのプロペニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、t−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ブタンジオールモノビニルエーテル、ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、テトラエチレングリコールビニルエーテル、pluriol−E−200ジビニルエーテル、ポリテトラヒドロフランジビニルエーテル−290、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、(4−シクロヘキシルメチレンオキシエテン)グルタル酸メチルエステルおよび(4−ブトキシエテン)−イソフタル酸エステルが含まれる。
【0138】
成分(a5)の部分として使用されるビニルエーテル、アセタールおよび/またはアルコキシシラン化合物は、好ましくは、少なくとも2個のビニルエーテル基、アセタール基および/またはアルコキシシラン基を含み、かつ150以上の分子量を有する。これらのビニルエーテル、アセタールおよび/またはアルコキシシラン化合物は、例えば、ビニルエーテル、アセタールおよび/またはアルコキシシラン基と、さらに最高1個のアミノ、エポキシ、チオール、イソシアネート、アクリル酸、ヒドリドもしくはヒドロキシル基を含む市販のビニルエーテル、アセタールおよび/またはアルコキシシラン化合物と、アミノ、エポキシ、チオール、イソシアネート、アクリル酸、ヒドリドまたはヒドロキシル基と反応することが可能な少なくとも2個の基を有する化合物との反応によって得ることができる。それらの例としては、少なくとも2個のエポキシ、イソシアネート、ヒドロキシルおよび/もしくはエステル基を有する上記化合物、または少なくとも2個のエチレン性もしくはエチニレン性不飽和の基を有する化合物を挙げることができる。成分(a5)としては、ビニルエーテル、アセタールおよび/またはアルコキシシラン化合物が、アミノ、ヒドロキシル、チオール、ヒドリド、エポキシおよび/またはイソシアネート基のような反応性基を介した付加によりアルキド樹脂に共有結合された組成物が好ましい。そのためには、該化合物は、アルキド樹脂中に存在する反応性基と付加物を形成することが可能な少なくとも1個の基を有さねばならない。ビニルエーテル基をアルキド樹脂中に導入するためには、ビニルオキシアルキル化合物であって、そのアルキル基が、例えばヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基もしくはイソシアネート基のような、アルキド樹脂中に存在する反応性基の1つ以上と付加物を形成することができる反応性基によって置換されている化合物が使用される。
【0139】
式(I)および(IA)のオキシムスルホネート化合物は、例えばシロキサン基含有樹脂のための光活性化可能な硬化剤として使用することもできる。これらの樹脂は、例えば、酸触媒による加水分解によって自己縮合を起こすことができるか、または第二の樹脂成分、例えば多官能性アルコール、ヒドロキシ基含有アクリル樹脂もしくはポリエステル樹脂、部分加水分解ポリビニルアセタールまたはポリビニルアルコールと架橋することもできる。そのタイプのポリシロキサンの重縮合は、例えばJ.J.Lebrun,H.Pode,Comprehensive Polymer Science 第5巻,第593頁,Pergamon Press,Oxford,1989に記載されている。
【0140】
酸硬化性樹脂(a5)として特に好ましいのは、アミノ樹脂、例えば非エーテル化またはエーテル化されたメラミン樹脂、尿素樹脂、グアニジン樹脂またはビウレット樹脂、特にメチル化されたメラミン樹脂またはブチル化されたメラミン樹脂、相応のグリコールウリルおよびウロンである。この関連における「樹脂」とは、一般的にオリゴマーも含む慣用の工業用混合物と、純粋なおよび高純度の化合物の両方であると理解されるべきである。N−ヘキサ(メトキシメチル)メラミンおよびテトラメトキシメチルグルコリル(glucoril)およびN,N’−ジメトキシメチルウロンは、最も好ましい酸硬化性樹脂である。
【0141】
架橋剤成分は、一般的に、ネガ型組成物の全固体含量に対して、2質量%から40質量%までの、好ましくは5質量%から30質量%までの濃度で存在すべきである。
【0142】
ネガ型組成物中の式(I)および(IA)の化合物の濃度は、一般的に、該組成物の全固体含量に対して、0.1質量%から30質量%まで、好ましくは20質量%以下である。1質量%から15質量%までが特に好ましい。
【0143】
適宜、ネガ型組成物は、被膜形成性のポリマーバインダー(a4)を含んでよい。このバインダーは、好ましくはアルカリ可溶性フェノール樹脂である。この目的のために非常に適しているのは、例えば、アルデヒド、例えばアセトアルデヒドもしくはフルフラルデヒド、特にホルムアルデヒドおよびフェノール、例えば非置換のフェノール、モノクロロ置換もしくはジクロロ置換されたフェノール、例えばp−クロロフェノール、C
1〜C
9−アルキルにより一置換もしくは二置換されたフェノール、例えばo−クレゾール、m−クレゾールもしくはp−クレゾール、様々なキシレノール、p−t−ブチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−フェニルフェノール、レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンまたは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから得られるノボラックである。また、エチレン性不飽和のフェノールを基礎とするホモポリマーおよびコポリマー、例えばビニル置換および1−プロペニル置換されたフェノール、例えばp−ビニルフェノールもしくはp−(1−プロペニル)フェノールのホモポリマー、またはこれらのフェノールと1種以上のエチレン性不飽和材料、例えばスチレンとのコポリマーも適している。バインダーの量は、一般的に、30質量%から95質量%まで、または好ましくは40質量%から80質量%までであるべきである。
【0144】
本発明による式Iの化合物を使用するネガ型組成物のために適したポリマー/コポリマーの適切な配合および製造は、例えば、特開2003−43688号公報(JP2003−43688A)、特開2003−114531号公報(JP2003−114531A)、特開2002−287359号公報(JP2002−287359A)、特開2001−255656号公報(JP2001−255656A)、特開2001−305727号公報(JP2001−305727A)、特開2003−233185号公報(JP2003−233185A)、特開2003−186195号公報(JP2003−186195A)、米国特許第6576394号明細書(US6576394)に公開されている。
【0145】
化学増幅型ネガ型溶剤現像性感光性樹脂組成物は、酸によって触媒されて、それ自身とおよび/または配合物中のその他の成分と架橋反応または重合を起こす特定の成分の使用を要する。適切な配合物は、例えば米国特許第4882245号明細書(US4882245)、米国特許第5026624号明細書(US5026624)、米国特許第6391523号明細書(US6391523)に公開されている。
【0146】
バインダー(a6)は、本発明による組成物に添加されていてもよく、その際、このバインダーは、光重合性化合物が液状または粘性の物質である場合に、特に好ましい。前記バインダーの量は、全固体に対して、5〜95質量%、好ましくは10〜90質量%、特に40〜90質量%であってよい。前記バインダーは、利用分野およびそのために必要な特性、水性および有機性の溶剤系中での現像可能性、基材への接着性および酸素に対する感受性に応じて選択されることとなる。
【0147】
様々な種類のポリマーを、化学増幅型ネガ型溶剤現像性感光性樹脂におけるバインダー樹脂(a6)として使用することができる。適切な例には、エピクロロヒドリンおよびビスフェノールAの間の縮合生成物であるフェノキシポリオール樹脂が含まれる。このタイプの樹脂は、例えばUnion Carbide Corporation社によって商品名PKHCとして売られている。好適なバインダーは、例えば、約2000から2000000までの、好ましくは5000から1000000までの分子量を有するポリマーである。それらの例は、アクリレートおよびメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、例えばメチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマー、ポリ(メタクリル酸アルキルエステル)、ポリ(アクリル酸アルキルエステル)、フェノール樹脂、セルロース誘導体、例えばセルロースエステルおよびエーテル、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリオレフィン類、環化ゴム、ポリエーテル類、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩素化ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/塩化ビニリデンのコポリマー、塩化ビニリデンとアクリロニトリル、メチルメタクリレートおよび酢酸ビニルとのコポリマー、ポリ酢酸ビニル、コポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリカプロラクタムおよびポリ(ヘキサメチレンアジパミド)のようなポリマー、ポリエステル、例えばポリ(エチレングリコールテレフタレート)およびポリ(ヘキサメチレングリコールスクシネート)ならびにポリアミド類である。
【0148】
ポジ型およびネガ型の組成物は、式(I)および(IA)の感光性酸供与体化合物に加えて、更なる感光性酸供与体化合物(b1)、さらなる添加剤(c)、その他の光開始剤(d)および/または増感剤(e)を含んでよい。したがってまた、本発明の主題は、前記の化学増幅型感光性樹脂組成物であって、成分(a)および(b)、または成分(a1)、(a2)、(a3)および(b)、または成分(a4)、(a5)および(b)に加えて、更なる添加剤(c)、更なる感光性酸供与体化合物(b1)、その他の光開始剤(d)ならびに/または増感剤(e)を含む組成物である。
【0149】
ポジ型およびネガ型の感光性樹脂組成物中の本発明のオキシムスルホネート誘導体は、その他の公知の光不安定性酸(b1)、例えばオニウム塩、6−ニトロベンジルスルホネート、ビススルホニルジアゾメタン化合物、シアノ基含有オキシムスルホネート化合物等と一緒に使用することもできる。化学増幅型感光性樹脂組成物のための公知の光不安定性酸の例は、米国特許第5731364号明細書(US5731364)、米国特許第5800964号明細書(US5800964)、欧州特許第704762号明細書(EP704762)、米国特許第5468589号明細書(US5468589)、米国特許第5558971号明細書(US5558971)、米国特許第5558976号明細書(US5558976)、米国特許第6004724号明細書(US6004724)、英国特許第2348644号明細書(GB2348644)、特に欧州特許第794457号明細書(EP794457)および欧州特許第795786号明細書(EP795786)に記載されている。光不安定性酸の混合物が本発明による組成物において使用される場合には、該混合物中の式(I)または(IA)のオキシムスルホネートの、その他の光不安定性酸(b1)に対する質量比は、好ましくは1:99から99:1までである。
【0150】
式(I)または(IA)の化合物と混合して使用するために適した光不安定性酸の例は、以下の(1)〜(5)である。
【0151】
(1)オニウム塩化合物、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩。ジフェニルヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、(ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、トリフェニルスルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリフェニルスルホニウム(オクタフルオロブタン−1,4−ジスルホニル)イミド、トリフェニルスルホニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、t−ブチルジフェニルスルホニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、トリフェニルスルホニウム 1,3−ジスルホニルヘキサフルオロプロピレンイミド、トリアリールスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、例えばトリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジアリールヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、例えばジフェニルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムトリフルオロトリス(ペンタフルオロエチル)ホスフェート等が好ましく、ヨードニウムカチオンは、4−メチルフェニル−4’−イソブチルフェニルヨードニウムまたは4−メチルフェニル−4’−イソプロピルフェニルヨードニウムであってもよい。トリフェニルスルホニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートが特に好ましい。その他の例は、特開2002−229192号公報(JP2002−229192A)、特開2003−140332号公報(JP2003−140332A)、特開2002−128755号公報(JP2002−128755A)、特開2003−35948号公報(JP2003−35948A)、特開2003−149800号公報(JP2003−149800A)、特開2002−6480号公報(JP2002−6480A)、特開2002−116546号公報(JP2002−116546A)、特開2002−156750号公報(JP2002−156750A)、米国特許第6458506号明細書(US6458506)、米国特許出願公開第2003/27061号明細書(US2003/27061)、米国特許第5554664号明細書(US5554664)、国際公開第2007−118794号パンフレット(WO2007−118794)に記載されている。
【0152】
(2)ハロゲン含有化合物のハロアルキル基含有複素環式化合物、ハロアルキル基含有炭化水素化合物等。(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体、例えばフェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メトキシフェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ナフチル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン等が好ましい。
【0153】
(3)スルホン化合物、例えば式
【化19】
[式中、R
aおよびR
bは、互いに独立して、アルキル、シクロアルキルまたはアリールであり、そのそれぞれは少なくとも1個の置換基を有してよい]のスルホン化合物、例えば
【化20】
。そのような化合物は、例えば米国特許出願公開第2002/0172886号明細書(US2002/0172886A)、特開2003−192665号公報(JP2003−192665A)、米国特許出願公開第2002/9663号明細書(US2002/9663A)に開示されている。さらなる例は、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンおよびそれらのα−ジアゾ誘導体等である。フェナシルフェニルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタンが好ましい。
【0154】
(4)スルホネート化合物、例えばアルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート、イミドスルホネート等。好ましいイミドスルホネート化合物は、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2,2,1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ−[2,2,1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2,2,1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−ビシクロ−[2,2,1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(カンファニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(カンファニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(カンファニルスルホニルオキシ)−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ−[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ−[2,2,1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファニルスルホニルオキシ)−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ−[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ−[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド等である。その他の適切なスルホネート化合物は、好ましくは、例えばベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフレート、ピロガロロメタンスルホン酸トリエステル、ニトロベンジル−9,10−ジエチルオキシアントラセン−2−スルホネート、α−(4−トルエン−スルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド、α−(4−トルエン−スルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(4−トルエン−スルホニルオキシイミノ)−2−チエニルメチルシアニド、α−(メタンスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、(4−メチルスルホニルオキシイミノ−シクロヘキサ−2,5−ジエニリデン)−フェニルアセトニトリル、(5−メチルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−フェニル−アセトニトリル、(5−メチルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)−アセトニトリル、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−(10−カンファースルホニルオキシイミノ)−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−メチルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)(2−クロロフェニル)アセトニトリル、2,2,2−トリフルオロ−1−{4−(3−[4−{2,2,2−トリフルオロ−1−(1−プロパンスルホニルオキシイミノ)エチル}フェノキシ]プロポキシ)フェニル}エタノンオキシム 1−プロパンスルホネート、2,2,2−トリフルオロ−1−{4−(3−[4−{2,2,2−トリフルオロ−1−(1−p−トルエンスルホニルオキシイミノ)エチル}フェノキシ]プロポキシ)フェニル}エタノンオキシム 1−p−トルエンスルホネート、2−[2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ヘプチル]フルオレン、2−[2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ブチル]フルオレン、2−[2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ペンチル]フルオレン、8−[2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ペンチル]フルオランテン等である。本発明の放射線感受性樹脂組成物において、特に好ましいスルホネート化合物には、ピロガロールメタンスルホン酸トリエステル、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−ビシクロ−[2,2,1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド等が含まれる。
【0155】
(5)キノンジアジド化合物、例えばポリヒドロキシ化合物の1,2−キノンジアジドスルホン酸エステル化合物。1,2−キノンジアジドスルホニル基、例えば1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−6−スルホニル基等を有する化合物が好ましい。1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基または1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基を有する化合物が特に好ましい。特に適しているのは、(ポリ)ヒドロキシフェニルアリールケトン、例えば2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,2,6’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,5’,6−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等の1,2−キノンジアジドスルホン酸エステル;ビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン等の1,2−キノンジアジドスルホン酸エステル;(ポリ)ヒドロキシフェニルアルカン、例えば4,4’−ジヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,4’’−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,5,5’−テトラメチル−2,2’,2’’−トリヒドロキシトリフェニルメタン、2,2,5,5’−テトラメチル−4,4’,4’’−トリヒドロキシトリフェニルメタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−[1−(ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル)エタン等の1,2−キノンジアジドスルホン酸エステル;(ポリ)ヒドロキシフェニルフラバン、例えば2,4,4−トリメチル−2’,4’,7−トリヒドロキシ−2−フェニルフラバン、2,4,4−トリメチル−2’,4’,5’,6,7−ペンタヒドロキシ−2−フェニルフラバン等の1,2−キノンジアジドスルホン酸エステルである。本発明による化合物と混合して使用するのに適している光不安定性酸のその他の例は、特開2003−43678号公報(JP2003−43678A)、特開2003−5372号公報(JP2003−5372A)、特開2003−43677号公報(JP2003−43677A)、特開2002−357904号公報(JP2002−357904A)、特開2002−229192号公報(JP2002−229192A)に記載されている。
【0156】
本発明のポジ型およびネガ型の感光性樹脂組成物は、任意に、組成物中で慣用に使用される1種以上の添加剤(c)、例えば染料、顔料、可塑剤、界面活性剤、流動改善剤、湿潤剤、付着促進剤、チキソトロピー剤、着色剤、充填剤、可溶性促進剤、酸増幅剤、光増感剤および有機塩基性化合物を、当業者に公知の慣用の量で含有してもよい。
【0157】
本発明の組成物中で使用することができる有機塩基性化合物のための更なる例は、フェノールより塩基性の強い化合物、特に窒素含有塩基性化合物である。これらの化合物は、例えばテトラアルキルアンモニウム塩のようにイオン性であっても、または非イオン性であってもよい。好ましい有機塩基性化合物は、異なる化学的環境を有する窒素原子を1分子当たり2個以上有する窒素含有化合物である。特に好ましいのは、少なくとも1種の置換または非置換のアミノ基および少なくとも1種の窒素含有環構造の両方を有する化合物、ならびに少なくとも1個のアルキルアミノ基を有する化合物である。そのような好ましい化合物の例には、グアニジン、アミノピリジン、アミノアルキルピリジン、アミノピロリジン、インダゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、プリン、イミダゾリン、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリンおよびアミノアルキルモルホリンが含まれる。非置換の化合物またはその置換された誘導体も両方とも適している。好ましい置換基には、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基およびシアノ基が含まれる。特に好ましい有機塩基性化合物の具体的な例には、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルホリンおよびN−(2−アミノエチル)モルホリンが含まれる。適切な有機塩基性化合物のその他の例は、独国特許第4408318号明細書(DE4408318)、米国特許第5609989号明細書(US5609989)、米国特許第5556734号明細書(US5556734)、欧州特許第762207号明細書(EP762207)、独国特許第4306069号明細書(DE4306069)、欧州特許第611998号明細書(EP611998)、欧州特許第813113号明細書(EP813113)、欧州特許第611998号明細書(EP611998)および米国特許第5498506号明細書(US5498506)、特開2003−43677号公報(JP2003−43677A)、特開2003−43678号公報(JP2003−43678A)、特開2002−226470号公報(JP2002−226470A)、特開2002−363146号公報(JP2002−363146A)、特開2002−363148号公報(JP2002−363148A)、特開2002−363152号公報(JP2002−363152A)、特開2003−98672号公報(JP2003−98672A)、特開2003−122013号公報(JP2003−122013A)、特開2002−341522号公報(JP2002−341522A)に記載されている。しかしながら、本発明において適した有機塩基性化合物は、これらの例に制限されるものではない。該窒素含有塩基性化合物は、単独で、またはそれらの2種以上の組み合わせで使用することができる。窒素含有塩基性化合物の添加される量は、感光性樹脂組成物(溶剤は除く)100質量部当たりに、通常0.001質量部から10質量部まで、好ましくは0.01質量部から5質量部までである。その量が0.001質量部を下回っている場合に、本発明の効果は得ることができない。他方では、その量が10質量部を超過する場合に、感光性の減少および未露光の部分での現像性の減退が、引き起こされやすい。該組成物は、化学線のもとに分解する塩基性有機化合物(「自消塩基(suicide base)」)、例えば欧州特許第710885号明細書(EP710885)、米国特許第5663035号明細書(US5663035)、米国特許第5595855号明細書(US5595855)、米国特許第5525453号明細書(US5525453)および欧州特許第611998号明細書(EP611998)に記載される化合物をさらに含有してよい。
【0158】
(分光)増感剤(e)をさらに添加することで、遠紫外線より長い波長の領域に吸収を示すように光不安定性酸を増感することができ、それにより、本発明の感光性組成物は、例えばi線またはg線放射線に対して感受性を与えることができる。適切な分光増感剤の例には、ベンゾフェノン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、p,p’−テトラエチルエチルアミノベンゾフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、アントロン、ピレン、ペリレン、フェノチアジン−ベンジル、アクリジンオレンジ、ベンゾフラビン、セトフラビン T、9,10−ジフェニルアントラセン、9−フルオレノン、アセトフェノン、フェナントレン、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、N−アセチル−p−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、N−アセチル−4−ニトロ−1−ナフチルアミン、ピクラミド、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンゾアントロン、ジベンザルアセトン、1,2−ナフトキノン、3−アシルクマリン誘導体、3,3’−カルボニル−ビス(5,7−ジメトキシカルボニルクマリン)、3−(アロイルメチレン)チアゾリン、エオシン、ローダミン、エリスロシンおよびコロネンが含まれる。しかしながら、適切な分光増感剤は、これらの例に制限されるものではない。これらの分光増感剤は、光源により放出される遠紫外線を吸収するための光吸収剤としても使用することができる。この場合に、光吸収剤は、基材からの光の反射を減らし、塗膜内の多重反射の影響を小さくするため、それにより定常波の効果が小さくなる。
【0159】
そのような化合物の具体的な例は、以下の1〜6である。
【0160】
1.チオキサントン類
チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシカルボニル]チオキサントン、1,3−ジメチル−2−ヒドロキシ−9H−チオキサンテン−9−オン 2−エチルヘキシルエーテル、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)チオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチルチオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、N−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)チオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、チオキサントン−2−カルボン酸 ポリエチレングリコールエステル、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド。
【0161】
2.ベンゾフェノン類
ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(メチルエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(p−イソプロピルフェノキシ)ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、3−メチル−4’−フェニル−ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチル−4’−フェニル−ベンゾフェノン、4−(4−メチルチオフェニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾエート、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾフェノン、4−(4−トリルチオ)ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイル−フェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(トルエン−4−スルホニル)プロパン−1−オン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタンアミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド一水和物、4−(13−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキサトリデシル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチル−ベンゼンメタンアミニウムクロリド。
【0162】
3.クマリン類
クマリン1、クマリン2、クマリン6、クマリン7、クマリン30、クマリン102、クマリン106、クマリン138、クマリン152、クマリン153、クマリン307、クマリン314、クマリン314T、クマリン334、クマリン337、クマリン500、3−ベンゾイルクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、3−ベンゾイル−6,8−ジクロロクマリン、3−ベンゾイル−6−クロロクマリン、3,3’−カルボニル−ビス[5,7−ジ(プロポキシ)クマリン]、3,3’−カルボニル−ビス(7−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノ−クマリン)、3−イソブチロイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジエトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジブトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(メトキシエトキシ)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(アリルオキシ)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−イソブチロイル−7−ジメチルアミノクマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、5,7−ジエトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、3−ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、7−ジエチルアミノ−3−チエノイルクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−ジメトキシクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ジメチルアミノ−3−フェニルクマリン、7−ジエチルアミノ−3−フェニルクマリン、特開平09−179299号公報(JP09−179299A)および特開平09−325209号公報(JP09−325209A)に開示されるクマリン誘導体、例えば7−[{4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−S−トリアジン−2−イル}アミノ]−3−フェニルクマリン。
【0163】
4. 3−(アロイルメチレン)チアゾリン類
3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−β−ナフトチアゾリン、3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−ベンゾチアゾリン、3−エチル−2−プロピオニルメチレン−β−ナフトチアゾリン。
【0164】
5. ロダニン類
4−ジメチルアミノベンザールロダニン、4−ジエチルアミノベンザールロダニン、3−エチル−5−(3−オクチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)ロダニン、特開平08−305019号公報(JP08−305019A)に開示される式[1]、[2]、[7]のロダニン誘導体。
【0165】
6. その他の化合物
アセトフェノン、3−メトキシアセトフェノン、4−フェニルアセトフェノン、ベンジル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンジル、2−アセチルナフタレン、2−ナフトアルデヒド、ダンシル酸誘導体、9,10−アントラキノン、アントラセン、ピレン、アミノピレン、ペリレン、フェナントレン、フェナントレンキノン、9−フルオレノン、ジベンゾスベロン、クルクミン、キサントン、チオミヒラーケトン、α−(4−ジメチルアミノベンジリデン)ケトン、例えば2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、2−(4−ジメチルアミノベンジリデン)インダン−1−オン、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−インダン−5−イル−プロペノン、3−フェニルチオフタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(エチルチオ)フタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(エチルチオ)フタルイミド、フェノチアジン、メチルフェノチアジン、アミン、例えばN−フェニルグリシン、エチル 4−ジメチルアミノベンゾエート、ブトキシエチル 4−ジメチルアミノベンゾエート、4−ジメチルアミノアセトフェノン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、ポリ(プロピレングリコール)−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、ピロメテン、例えば1,3,5,7,9−ペンタメチルピロメテンBF
2錯体、2,8−ジエチル−1,3,5,7,9−ペンタメチルピロメテンBF
2錯体、2,8−ジエチル−5−フェニル−1,3,7,9−テトラメチルピロメテンBF
2錯体、9,10−ビス(フェニルエチニル)−1,8−ジメトキシアントラセン、ベンゾ[1,2,3−kl:4,5,6−k’l’]ジキサンテン。
【0166】
更なる適切な添加剤(c)は、「酸増幅剤」、つまり酸形成を加速するか、または酸濃度を高める化合物である。そのような化合物は、ポジ型またはネガ型の組成物において本発明による式(I)もしくは(IA)のオキシムスルホネート誘導体と組み合わせて使用することも、またはイメージングシステムにおいてだけでなく、あらゆるコーティング用途において使用することもできる。そのような酸増幅剤は、例えばArimitsu,K.et al.J.Photopolym.Sci.Technol.1995,8,第43頁以降;Kudo,K.et al.J.Photopolym.Sci.Technol.1995,8,第45頁以降;Ichimura,K.et al.Chem:Letters 1995,第551頁以降に記載されている。
【0167】
所望であれば、本発明による組成物は、フリーラジカル重合可能な成分、例えばエチレン性不飽和モノマー、オリゴマーまたはポリマーを含有してもよい。これらのラジカル重合可能な成分は、成分(a)に添加することができる。しかしながら、前記ラジカル硬化性成分は、(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)または(a6)の部分であってもよい。適切な材料は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を含み、付加重合を起こすことができる。エチレン性二重結合を含む適切なモノマーの例には、アルキルアクリレートおよびヒドロキシアルキルアクリレートおよびメタクリレート、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシルおよび2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレートおよびイソボルニルアクリレートが含まれる。更なる適切な例には、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換された(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルエーテル、例えばイソブチルビニルエーテル、スチレン、アルキル置換およびハロゲン置換されたスチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンが含まれる。少なくとも2つの二重結合を含む適切なモノマーの例には、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、ペンタエリトリトールトリアクリレートもしくはテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ビス[1−(2−アクリルオキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタンおよびトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートトリメタクリレート;分子量200から500までを有するポリ(エチレングリコール)のビスアクリレートおよびビスメタクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルスクシネート、ジビニルアジペートおよびジビニルフタレート、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレートならびにトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレートが含まれる。
【0168】
より高分子量の(オリゴマーの)多価不飽和化合物の例には、アクリル化されたエポキシ樹脂、アクリル化またはビニルエーテル含有もしくはエポキシ基含有のポリエステル、ポリウレタンおよびポリエーテルが含まれる。不飽和オリゴマーの更なる例は、通常、マレイン酸、フタル酸および1種以上のジオールから製造される、約500から3000までの分子量を有する不飽和ポリエステル樹脂である。ビニルエーテルモノマーおよびオリゴマーならびにポリエステル主鎖、ポリウレタン主鎖、ポリエーテル主鎖、ポリビニルエーテル主鎖およびエポキシ主鎖を有するマレエート末端のオリゴマーを使用することもできる。また、国際公開第90/01512号パンフレット(WO90/01512)に記載される、ビニルエーテルおよびマレイン酸で官能化されたモノマーのコポリマーも非常に適している。しかしながらまた、ビニルエーテルで官能化されたモノマーおよびマレイン酸のコポリマーも適している。そのような不飽和オリゴマーは、プレポリマーとも呼ぶことができる。
【0169】
官能化されたアクリレートも適している。官能化されたアクリレートまたはメタクリレートポリマーの基礎ポリマー(主鎖)を形成するために通常使用される適切なモノマーの例は、アクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等である。さらに、官能性モノマーの適切な量が、官能性ポリマーを得るために重合の間に共重合される。酸官能化されたアクリレートまたはメタクリレートポリマーは、酸官能性モノマー、例えばアクリル酸およびメタクリル酸を使用して得られる。ヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレートポリマーは、ヒドロキシ官能性モノマー、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートおよび3,4−ジヒドロキシブチルメタクリレートから得られる。エポキシ官能化されたアクリレートまたはメタクリレートポリマーは、エポキシ官能性モノマー、例えばグリシジルメタクリレート、2,3−エポキシブチルメタクリレート、3,4−エポキシブチルメタクリレート、2,3−エポキシシクロヘキシルメタクリレート、10,11−エポキシウンデシルメタクリレート等を使用して得られる。また、イソシアネート官能性ポリマーを、イソシアネート官能化されたモノマー、例えばメタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートから得ることも可能である。
【0170】
特に適しているのは、例えば、エチレン性不飽和の単官能性もしくは多官能性のカルボン酸およびポリオールもしくはポリエポキシドのエステル、ならびに鎖中もしくは側鎖中にエチレン性不飽和基を有するポリマー、例えば不飽和ポリエステル、ポリアミドおよびポリウレタンならびにそれらのコポリマー、アルキド樹脂、ポリブタジエンおよびブタジエンコポリマー、ポリイソプレンおよびイソプレンコポリマー、側鎖中に(メタ)アクリル酸を有するポリマーおよびコポリマー、ならびにそのようなポリマーの1つ以上の混合物である。
【0171】
適切な単官能性もしくは多官能性の不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸およびフマル酸ならびに不飽和脂肪酸、例えばリノレン酸もしくはオレイン酸である。アクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。
【0172】
しかしながら、飽和のジカルボン酸またはポリカルボン酸と不飽和カルボン酸との混合物を使用することもできる。適切な飽和のジカルボン酸もしくはポリカルボン酸の例には、例えばテトラクロロフタル酸、テトラブロモフタル酸、フタル酸無水物、アジピン酸、テトラヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、ヘプタンジカルボン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸等が含まれる。
【0173】
適切なポリオールは、芳香族の、および特に脂肪族の、および脂環式のポリオールである。芳香族のポリオールの例は、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ならびにノボラックおよびレゾールである。ポリエポキシドの例は、上述のポリオール、特に芳香族ポリオールおよびエピクロロヒドリンを基礎とするものである。またポリマー鎖中にまたは側鎖中にヒドロキシル基を含むポリマーおよびコポリマー、例えばポリビニルアルコールおよびそれらのコポリマーまたはポリメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルまたはそれらのコポリマーもポリオールとして適している。更なる好適なポリオールは、ヒドロキシル末端基を有するオリゴエステルである。
【0174】
脂肪族の、および脂環式のポリオールの例は、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するアルキレンジオール、例えばエチレングリコール、1,2−もしくは1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−もしくは1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、好ましくは200から1500までの分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−もしくは1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールおよびソルビトールである。
【0175】
前記ポリオールは、1つのまたは種々の不飽和カルボン酸によって部分的にまたは完全にエステル化されていてよく、その際、部分エステルにおける遊離のヒドロキシル基は変性されていてよい、例えばエーテル化されていてよい、または他のカルボン酸によってエステル化されていてよい。
【0176】
エステルの例は、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールジアクリレート、ジペンタエリトリトールトリアクリレート、ジペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリトリトールオクタアクリレート、ペンタエリトリトールジメタクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ジペンタエリトリトールジメタクリレート、ジペンタエリトリトールテトラメタクリレート、トリペンタエリトリトールオクタメタクリレート、ペタエリトリトールジイタコネート、ジペンタエリトリトールトリスイタコネート、ジペンタエリトリトールペンタイタコネート、ジペンタエリトリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトール変性トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、オリゴエステルアクリレートおよびメタクリレート、グリセロールジアクリレートおよびトリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、200から1500までの分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリレートおよびビスメタクリレートまたはそれらの混合物である。
【0177】
また適切な不飽和のフリーラジカル重合可能な化合物は、同じまたは異なる不飽和カルボン酸および好ましくは2個から6個までの、特に2個から4個までのアミノ基を有する芳香族、環状脂肪族および脂肪族のポリアミンのアミドである。そのようなポリアミンの例は、エチレンジアミン、1,2−もしくは1,3−プロピレンジアミン、1,2−、1,3−もしくは1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ−β−アミノエチルエーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびジ(β−アミノエトキシ)エタンまたはジ(β−アミノプロポキシ)エタンである。更なる適切なポリアミンは、側鎖中に追加のアミノ基を有するポリマーおよびコポリマーならびにアミノ末端基を有するオリゴアミドである。そのような不飽和アミドの例は、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチルメタクリレートおよびN−[(β−ヒドロキシエトキシ)エチル]アクリルアミドである。
【0178】
適切な不飽和ポリエステルおよびポリアミドは、例えばマレイン酸およびジオールまたはジアミンから得られる。マレイン酸は、その他のジカルボン酸によって部分的に置き換えられたものであってよい。それらは、エチレン性不飽和コモノマー、例えばスチレンと一緒に使用することができる。またポリエステルおよびポリアミドは、ジカルボン酸およびエチレン性不飽和ジオールまたはジアミンから、特に例えば6個から20個までの炭素原子のより長い鎖を有するジオールまたはジアミンから得ることもできる。ポリウレタンの例は、飽和または不飽和のジイソシアネートおよび飽和または不飽和のジオールから構成されるポリウレタンである。
【0179】
ポリブタジエンおよびポリイソプレンならびにそれらのコポリマーは公知である。適切なコモノマーには、例えばオレフィン類、例えばエチレン、プロペン、ブテン、ヘキセン、(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレンおよび塩化ビニルが含まれる。側鎖中に(メタ)アクリレート基を有するポリマーも公知である。該ポリマーは、例えばノボラックベースのエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物、ビニルアルコールもしくはそのヒドロキシアルキル誘導体の(メタ)アクリル酸でエステル化されたホモポリマーもしくはコポリマー、または(メタ)アクリレートのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートでエステル化されたホモポリマーもしくはコポリマーであってよい。
【0180】
また等しくフリーラジカル的およびカチオン的の両方で架橋され得る化合物を使用することもできる。そのような化合物は、例えばビニル基および環状脂肪族エポキシ基の両方を含む。それらの例は、特開平2−289611号公報(JP2−289611A)および米国特許第6048953号明細書(US6048953)に記載されている。
【0181】
2種以上のそのようなフリーラジカル重合可能な材料の混合物を使用してもよい。
【0182】
前記配合物は、染料および/または白色もしくは着色顔料を更なる添加剤(c)として含んでもよい。意図された用途に応じて、無機顔料と有機顔料の両方を使用することが可能である。そのような添加剤は、当業者に公知である。それらの幾つかの例は、二酸化チタン顔料、例えばルチル型もしくはアナターゼ型の二酸化チタン顔料、カーボンブラック、酸化亜鉛、例えば亜鉛白、酸化鉄、例えば酸化鉄黄、酸化鉄赤、クロム黄、クロム緑、ニッケルチタン黄、ウルトラマリンブルー、コバルトブルー、バナジン酸ビスマス、カドミウム黄またはカドミウム赤である。有機顔料の例は、モノアゾ顔料もしくはビスアゾ顔料およびそれらの金属錯体、フタロシアニン顔料、多環式顔料、例えばペリレン、アントラキノン、チオインジゴ、キナクリドンおよびトリフェニルメタン顔料ならびにジケトピロロピロール、イソインドリノン、例えばテトラクロロイソインドリノン、イソインドリン、ジオキサジン、ベンゾイミダゾロンおよびキノフタロン顔料である。
【0183】
顔料は、配合物中で個別にまたは混合して使用することができる。意図される用途に応じて、顔料は、配合物へと、当該技術分野で慣用の量で、例えば全質量に対して1質量%から60質量%までの量で、または10質量%から30質量%までの量で添加される。
【0184】
前記配合物は、例えば非常に広範な様々なクラスの有機染料を含んでもよい。それらの例には、アゾ染料、メチン染料、アントラキノン染料および金属錯体染料が含まれる。慣用の濃度は、例えば全質量に対して0.1%から20%まで、特に1%から5%まである。
【0185】
添加される顔料、潜在顔料もしくは潜在染料またはそのような顔料および染料の様々な色の前駆体は、それらが照射の結果としてヨードニウム塩から形成される酸の存在下に変色を起こすように選択することができる。その際、そのような組成物は、変色によって、該組成物が照射されたことを示し、例えば紫外線、電子線、X線等のための照射線量インジケーターとして使用することができる。
【0186】
本発明の組成物に適した更なる添加剤(c)としての染料の例は、油溶性染料および塩基性染料、例えばOil Yellow #101、Oil Yellow #103、Oil Pink #312、Oil Green BG、Oil Blue BOS、Oil Blue #603、Oil Black BY、Oil Black BS、Oil Black T−505(全ては日本のオリエント化学工業株式会社によって製造される)、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI 42535)、ローダミン B(CI 45170B)、マラカイトグリーン(CI 42000)およびメチレンブルー(CI52015)である。
【0187】
本発明における添加剤(c)として使用するための接着助剤は、無機材料後処理から防護する被膜が、基材、例えばケイ素化合物、例えばシリコン、酸化ケイ素および窒化ケイ素、または金、銅およびアルミニウムのような金属へと接着することを増強するための化合物である。それらの具体的な例には、シランカップリング剤およびチオールベースの化合物である。本発明において使用するための接着助剤としてのシランカップリング剤は、表面の変性を目的とするものであって、特に制限はなく、公知のシランカップリング剤を使用することができる。シランカップリング剤の好ましい例は、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシランおよびビニルトリアルコキシシランである。これらのうち、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランおよびメタクリルオキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましい。これらの1つを単独で使用してもよく、またはそれらの2種以上の種類を組み合わせて使用してもよい。これらは、基材への接着を増強するために効果的なだけでなく、基材とのテーパ角度を調節するためにも効果的である。
【0188】
解像度、パターンプロフィール、プロセス許容度、ラインエッジラフネス、安定性のような性能を改善するためのその他の添加剤(c)は、例えば特開2002−122992号公報(JP2002−122992A)、特開2002−303986号公報(JP2002−303986A)、特開2002−278071号公報(JP2002−278071A)、特開2003−57827号公報(JP2003−57827A)、特開2003−140348号公報(JP2003−140348A)、特開2002−6495号公報(JP2002−6495A)、特開2002−23374号公報(JP2002−23374A)、特開2002−90987号公報(JP2002−90987A)、特開2002−91004号公報(JP2002−91004A)、特開2002−131913号公報(JP2002−131913A)、特開2002−131916号公報(JP2002−131916A)、特開2002−214768号公報(JP2002−214768A)、特開2001−318464号公報(JP2001−318464A)、特開2001−330947号公報(JP2001−330947A)、特開2003−57815号公報(JP2003−57815A)、特開2003−280200号公報(JP2003−280200A)、特開2002−287362号公報(JP2002−287362A)、特開2001−343750号公報(JP2001−343750A)に記載されている。そのような化合物は、ポジ型またはネガ型の感光性樹脂組成物において本発明による式(I)もしくは(IA)のオキシムスルホネート誘導体と組み合わせて使用することもできる。
【0189】
通常は、本発明の感光性組成物の基材への適用のために、該組成物は適切な溶剤中に溶解される。これらの溶剤の好ましい例には、二塩化エチレン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−エトキシエタノール、ジエチルグリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、エチルアセテート、ブチルアセテート、メチルラクテート、エチルラクテート、メチルメトキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネート、メチルピルベート、エチルピルベート、プロピルピルベート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンおよびテトラヒドロフランが含まれる。これらの溶剤は、単独でまたは混合物として使用することもできる。該溶剤の好ましい例は、エステル類、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルメトキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネートおよびエチルラクテートである。そのような溶剤の使用は、本発明による式(I)または(IA)によって表されるオキシムスルホネート誘導体が該溶剤と良好な相容性および該溶剤中でのより良い可溶性を有するため有利である。
【0190】
界面活性剤を該溶剤に添加してよい。適切な界面活性剤の例には、非イオン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンアセチルエーテルおよびポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、例えばポリオキシエチレン、オクチルフェノールエーテルおよびポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン/脂肪酸エステル、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、フッ素化学系界面活性剤、例えばF−top EF301、EF303およびEF352(New Akita Chemical Company(日本)によって製造される)が含まれる。Megafac F171およびF17.3(大日本インキ化学工業(日本)によって製造される)、Fluorad FC 430およびFC431(住友スリーエム株式会社(日本)によって製造される)、Asahi Guard AG710およびSurflon S−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105およびSC106(旭硝子株式会社(日本)によって製造される)、オルガノシロキサンポリマーのKP341(信越化学株式会社(日本)によって製造される)ならびにアクリルまたはメタクリル(コ)ポリマーのPoly−flowの第75番および第95番(共栄社化学株式会社(日本)によって製造される)。その他の例は、特開2001−318459号公報(JP−A−2001−318459)、特開2002−6483号公報(JP−A−2002−6483)に記載されている。界面活性剤の添加される量は、本発明の組成物の固体成分100質量部に対して、通常は2質量部以下、望ましくは0.5質量部以下である。該界面活性剤は、単独で、またはそれらの2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0191】
式(I)または(IA)の化合物を含む重合性化合物の溶液は、公知のコーティング法、例えばスピンコート、浸漬、ナイフコート、カーテン流し込み技術、ブラシ塗布、吹き付けおよびローラーコート法によって基材に均一に適用される。また感光性層を、一時的なフレキシブルな支持体へと適用し、次いで塗膜転写(積層)によって最終基材をコーティングすることもできる。塗布量(コーティング厚)および基材(コーティング基材)の性質は、所望の利用分野に依存する。コーティング厚の範囲には、原則的に、約0.01μmから100μm超までの値が含まれる。
【0192】
コーティング作業の後に、一般的に溶剤は加熱によって除去され、こうして基材上に感光性樹脂組成物の層が得られる。乾燥温度は、もちろん該組成物の特定の成分が反応または分解するかもしれない温度よりも低くなければならない。一般的に、乾燥温度は、60℃から160℃までの範囲である。
【0193】
次いで該コーティングは、画像状に照射される。表現「画像状の照射」には、事前に決められたパターンでの化学線を使用した照射、すなわち事前に決められたパターンを含むマスク、例えば透明マスク、クロムマスクまたはレチクルマスクを通した照射ならびにコーティングされた表面上に、例えばコンピュータの制御下で直接書き込んで、画像を生成するレーザー光線または電子線を使用した照射が含まれる。パターンを生成するもう一つの方法は、例えばホログラフィー用途で使用される2つのビームまたは画像の干渉によるものである。また、ピクセル毎にアドレスしてデジタル画像を生成できる液晶製のマスクを使用することもでき、それらは、例えばA.Bertsch,J.Y.Jezequel,J.C.AndreによってJournal of Photochemistry and Photobiology A:Chemistry 1997,
107,第275頁〜第281頁に記載され、かつK.−P.Nicolayによって、Offset Printing 1997,
6,第34頁〜第37頁に記載されている。
【0194】
照射と、必要に応じて熱処理の後に、組成物の照射部位(ポジ型感光性樹脂組成物の場合)または非照射部位(ネガ型感光性樹脂組成物の場合)は、自体公知のようにして現像剤を使用して除去される。触媒反応を加速させるために、したがってレジストコーティングの照射区間と非照射区間との間の現像剤中での可溶性の十分な差異を促すために、該コーティングは、好ましくは現像される前に加熱される。また加熱は、照射の間に行っても、または照射の間に開始してもよい。60℃から160℃までの温度を使用することが好ましい。時間は、加熱方法に依存し、必要に応じて、最適な時間は、当業者によって幾つかの通常の実験によって簡単に決めることができる。その時間は、一般的に数秒から数分までである。例えば、10秒から300秒までの時間は、ホットプレートが使用される場合には非常に適しており、1分から30分までの時間は、対流炉が使用される場合には非常に適している。本発明による潜在酸供与体は、レジストの非照射部位において、これらのプロセス条件下で安定であることが重要である。
【0195】
次いで該コーティングは現像され、照射後に現像剤中でより可溶性であるコーティング部分が除去される。必要に応じて、工作物の僅かな振動、現像剤浴中でのコーティングを僅かに擦ること、または噴霧現像は、そのプロセスステップを加速させ得る。レジスト技術において慣用の水性アルカリ性現像剤を、例えば現像のために使用してよい。そのような現像剤は、例えば水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム、相応の炭酸塩、炭酸水素塩、ケイ酸塩またはメタケイ酸塩を含むが、好ましくは金属不含の塩基、例えばアンモニアもしくはアミン、例えばエチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、アルカノールアミン、例えばジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシドまたはテトラエチルアンモニウムヒドロキシドを含む。現像剤溶液は、一般的に0.5N以下であるが、通常は使用前に適切な様式で希釈される。例えば、約0.1〜0.3の規定度を有する溶液が非常に適している。現像剤の選択は、光硬化性表面コーティングの性質、特に使用されるバインダーの性質または得られる光分解生成物の性質に依存する。現像剤水溶液は、必要に応じて、比較的少量の湿潤剤および/または有機溶剤を含んでもよい。現像液に添加することができる典型的な有機溶剤は、例えばシクロヘキサノン、2−エトキシエタノール、トルエン、アセトン、イソプロパノール、そしてまたこれらの溶剤の2種以上の混合物である。典型的な水性/有機現像剤系は、ブチルセロソルブ(登録商標)/水を基礎とする。
【0196】
特に、絶縁層、層間誘電膜、不動態化層、平坦化層、保護層、オーバーコート層、バンク等のような用途のための官能基を有する成分を含む配合物の場合に、現像過程後に得られるパターンを、ホットプレートまたはオーブンを使用して、好ましくは130℃から270℃までの温度で、より好ましくは180℃から250℃までの温度で、3分から120分までの、より好ましくは5分から90分までの時間にわたって熱処理に供して、カルボキシル基および/またはフェノール基の生成をもたらす酸分解反応を完了させて、該基を官能基、例えばグリシジル基と架橋させることができる。結果として、優れた耐熱性、硬度を有する被膜またはパターンが得られて形成される。さらに、窒素雰囲気下での熱処理により、より良好な透明性を被膜に与えることができる。
【0197】
また本発明の主題は、フォトレジストの製造方法であって、
(1)基材に前記組成物を適用し、
(2)適用後に、該組成物を60℃から140℃の間の温度でベークし、
(3)200nmから450nmの間の波長の光で画像状に照射し、
(4)任意に、該組成物を60℃から140℃の間の温度で露光後ベークし、そして
(5)溶剤または水性アルカリ性現像剤で現像し、
(6)任意に、該コーティングを、200nmから450nmの間の波長の光でフラッド露光させ、
(7)90℃から250℃の間の温度でベークする、
ことによって行う製造方法である。
【0198】
前記方法であって、画像状の照射が、10nmから600nmまでの、特に10nmから700nmまでの範囲の波長範囲の単色または多色照射で行われる方法が好ましい。
【0199】
フォトレジスト組成物は、あらゆる基材上で、当業者に公知のあらゆる露光技術を用いて使用することができる。例えば、半導体基材、例えばシリコン、ガリウムヒ素、ゲルマニウム、アンチモン化インジウム、さらに酸化物層もしくは窒化物層、例えば二酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、シロキサンによって覆われた基材、ならびに金属基材およびアルミニウム、銅、タングステン等の金属で金属被覆された基材を使用することができる。また該基材は、ポリマー材料で、例えば高分子材料からなる有機反射防止コーティング、絶縁層および誘電体コーティングで、フォトレジストでのコーティング前にコーティングすることもできる。
【0200】
フォトレジスト層は、全ての通常の技術によって、例えば直接書き込み、すなわちレーザ光線による書き込みもしくは段階方式および反復方式もしくは走査方式での投影リソグラフィーによって、またはマスクを通じた密着プリントによって露光することができる。
【0201】
投影リソグラフィーの場合には、広い範囲の光学的条件、例えばコヒーレント照射、部分コヒーレント照射またはインコヒーレント照射を使用することができる。これには、軸外照明技術、例えば環状照明および四極照明が含まれ、その際、放射は、レンズ中心を除くレンズの特定の領域だけを通過することが可能である。
【0202】
パターンの複製に使用されるマスクは、ハードマスクまたはフレキシブルマスクであってよい。該マスクは、透明パターン、半透明パターンおよび不透明パターンを含んでよい。パターンサイズは、また投影光学素子の解像限界にあるかまたはそれ未満であるパターンも含み、該パターンは、該マスクを通過した後の照射の空中像、強度および位相変調を変更するような特定の様式でマスクに配置される。これには、位相偏移マスクおよびハーフトーン位相シフトマスクが含まれる。
【0203】
フォトレジスト組成物のパターン形成方法は、任意の所望の形態および形状の、例えば詰まった線および離れた線、コンタクトホール、トレンチ、ドット等の生成のために使用することができる。
【0204】
本発明による感光性樹脂組成物は、優れたリソグラフィー特性、特に高い感度およびイメージング照射のための高いレジスト透明性を有する。
【0205】
本発明による組成物の可能な使用分野は、以下の通りである:エレクトロニクスのための感光性樹脂組成物、例えばエッチング用レジスト、イオン注入レジスト、電気メッキレジストもしくはソルダーレジストとしての使用、集積回路もしくは薄膜トランジスタ用レジスト(TFT)の製造、印刷版、例えばオフセット印刷版もしくはスクリーン印刷ステンシルの製造、成形品のエッチングもしくは立体リソグラフィーもしくはホログラフィー技術における使用であり、それらは、様々な用途のために、例えばJ.Photochem.Photobio.A,158,163(2003),Chem.Mater.14,3656(2002)に記載される三次元光学的情報記録のために使用される
また本発明による組成物は、半導体デバイスの金属間誘電体層、緩衝層、不動態化コートの製造にも適しており、オプトエレクトロニクスのための導波体を製造するのにも適している。MEMS(微小電気機械システム)用途のためには、本発明による組成物は、エッチング用レジストとして、材料堆積用の成形型として、デバイス自体の三次元物体として使用することができる。コーティング基材および加工条件は、したがって様々である。そのような例は、米国特許第6391523号明細書(US6391523)に記載されている。
【0206】
本発明による式(I)および(IA)の化合物は、前記の増感剤化合物と一緒に、例えば国際公開第03/021358号パンフレット(WO03/021358)に記載されるように、ホログラフィックデータ記録(HDS)システムで使用することもできる。
【0207】
本発明による組成物は、例えば国際公開第99/66506号パンフレット(WO99/66506)、国際公開第99/63017号パンフレット(WO99/63017)、特開平11−241055号公報(JP11−241055A)、特開平11−181391号公報(JP11−181391A)、国際公開第98/31765号パンフレット(WO98/31765)に記載されるようなディジタル多目的ディスク(DVD)の製造における、例えば接着結合(DVD結合)のために使用される接着剤、そしてまたフレキシブルパッケージングのための放射線硬化型積層接着剤(例えば、米国特許第5328940号明細書(US5328940)を参照)として、光学的接着剤(例えば独国特許出願DD225985)および感圧性接着剤(例えば米国特許第4988741号明細書(US4988741)および欧州特許第115870号明細書(EP115870))として使用されるような接着剤を含む。
【0208】
本発明による組成物は、有利には、紙、ガラス、金属、シリコン、ポリカーボネート、アクリレートポリマーおよびその他のポリマー基材に良好な付着性を有するとともに、硬化の間に僅かな収縮しか示さないハードコーティング、接着結合または光重合された寸法安定な立体成形品(例えばラピッドプロタイピング)に必要とされる場合に使用される。
【0209】
また本発明による組成物は、あらゆる種類の基材、例えば木材、テキスタイル、紙、セラミクス、ガラス、プラスチック、例えばポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィンまたは酢酸セルロースの、特にフィルムの形でも極めて適しているが、特に金属、例えばNi、Fe、Zn、Mg、Coまたは特にCuおよびAl、そしてまたSi、酸化ケイ素もしくは窒化ケイ素をコーティングし、そこに画像状照射によって画像を適用するためにも適している。
【0210】
また本発明は、式(I)または(IA)の化合物の、酸の作用下に架橋され得る組成物中での潜在酸供与体としての、および/または酸の作用下に可溶性が増大する組成物中での溶解促進剤としての使用に関する。
【0211】
さらに本発明の主題は、酸の作用下に架橋され得る組成物の架橋方法であって、式(I)または(IA)の化合物を上述の組成物に添加するステップと、10nm〜1500nmの波長を有する光で画像状に、または全領域にわたって照射するステップとを含む方法である。
【0212】
また本発明は、式(I)または(IA)の化合物の、顔料着色されたおよび顔料着色されていない表面コーティング、接着剤、積層接着剤、構造接着剤、感圧性接着剤、印刷インキ、印刷版、レリーフ印刷版、平版印刷版、凹版印刷版、無処理印刷版、スクリーン印刷ステンシル、歯科組成物、カラーフィルター、スペーサー、絶縁層、層間誘電膜、不動態化層、平坦化層、保護層、オーバーコート層、バンク、電子発光ディスプレイおよび液晶ディスプレイ(LCD)、導波体、光学スイッチ、色校正システム、レジスト、エレクトロニクス用フォトレジスト、電気メッキレジスト、液状被膜と乾燥皮膜の両方のためのエッチング用レジスト、ソルダーレジスト、紫外線レーザーおよび可視光レーザー直描システム用のフォトレジスト材料、印刷回路基板のシーケンシャルビルドアップ層における誘電体層の形成のためのフォトレジスト材料、画像記録材料、ホログラフィー画像の記録、光学的情報記録もしくはホログラフィックデータ記録のための画像記録材料、脱色材料、画像記録材料のための脱色材料、マイクロカプセルを使用する画像記録材料、磁気記録材料、マイクロメカニカル部品、めっきマスク、エッチングマスク、ガラスファイバーケーブルコーティング、マイクロエレクトロニクス回路の製造における感光性酸供与体としての使用、
特に式(I)または(IA)の化合物の、表面コーティング、印刷インキ、印刷版、カラーフィルター、レジストもしくは画像記録材料、またはホログラフィー画像の記録のための画像記録材料の製造における感光性酸供与体としての使用、
殊に、式(I)または(IA)の化合物の、電子発光ディスプレイおよび液晶ディスプレイ(LCD)用のスペーサー、絶縁層、層間誘電膜、平坦化層、保護層、オーバーコート層、バンクの製造における感光性酸供与体としての使用、
式(I)または(IA)の化合物の、ディスプレイ用途、例えば絶縁層、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)のためのフォトレジスト配合物の製造における感光性酸供与体としての使用に関する。
【0213】
また、本発明の主題は、式(I)または(IA)の化合物の、カラーフィルターまたは化学増幅型感光性樹脂組成物の製造における感光性酸供与体としての使用、ならびにカラーフィルターまたは化学増幅型感光性樹脂組成物の製造方法である。
【0214】
さらに、本発明は、全てが感光性樹脂ならびに顔料および/または染料を含む、赤色、緑色および青色の画素と、任意に黒色マトリクスを透明基材上に準備し、そして基材またはカラーフィルター層の表面のいずれかに透明電極を準備することによって製造されたカラーフィルターであって、前記感光性樹脂が、式(I)または(IA)の化合物を感光性酸供与体として含むカラーフィルターに関する。当業者は、例えば特開平9−203806号公報(JP9−203806A)、特開平10−282650号公報(JP10−282650A)、特開平10−333334号公報(JP10−333334A)、特開平11−194494号公報(JP11−194494A)、特開平10−203037号公報(JP10−203037A)、特開2003−5371号公報(JP2003−5371A)に示される、カラーエレメントおよび黒色マトリクスを得るための適切な顔料または染料ならびに相応の適切な樹脂を認識している。
【0215】
既に上述のように、光架橋性組成物において、オキシムスルホネート誘導体は、潜在硬化触媒として作用し、光で照射された場合に、それらは酸を放出し、その酸は架橋反応を触媒する。さらに、放射によって放出された酸は、例えば適切な酸感受性保護基をポリマー構造から除去すること、またはポリマー主鎖中に酸感受性基を有するポリマーを開裂させることを触媒し得る。他の用途は、例えばpHの変化に基づく変色系または、例えば酸感受性保護基により保護された顔料の可溶性の変化に基づく変色系である。
【0216】
また本発明によるオキシムスルホネート誘導体は、例えば特開平4−328552号公報(JP4−328552A)または米国特許第5237059号明細書(US5237059)に記載されるようにpHが変化すると色が変わる着色剤と一緒に該化合物を使用すると、いわゆる「プリントアウト」画像を生成するために使用することもできる。そのような変色系は、欧州特許第199672号明細書(EP199672)によれば、熱または放射に感受性なものを監視するために使用することができる。
【0217】
変色に加えて、可溶性顔料分子の酸触媒による脱保護(例えば、欧州特許第648770号明細書(EP648770)、欧州特許第648817号明細書(EP648817)および欧州特許第742255号明細書(EP742255)に記載されている)の間に、顔料結晶を沈殿させることが可能であり、これは、欧州特許第654711号明細書(EP654711)に記載されるようにカラーフィルターの製造において使用することができるか、または潜在顔料前駆体の色が、沈殿した顔料結晶の色と異なる場合に、プリントアウト画像もしくはインジケーターの製造において使用することができる。
【0218】
pH感受性染料または潜在顔料をオキシムスルホネート誘導体と組み合わせて使用する組成物は、電磁線、例えばガンマ線、電子線、紫外光もしくは可視光のためのインジケーターまたは単純な使い捨ての線量計として使用することができる。特に紫外光または赤外光のようなヒトの目に見えない光に関しては、そのような線量計は関心が持たれる。
【0219】
最終的に、水性アルカリ性現像剤中に難溶性のオキシムスルホネート誘導体は、光に誘導される遊離酸への変換によって該現像剤中への可溶性を授けることができ、その結果、該誘導体は、適切な被膜形成性樹脂と組み合わせて可溶性増強剤として使用することができる。
【0220】
酸触媒反応によって、したがって本発明による式(I)または(IA)の光不安定性酸によって架橋され得る樹脂は、例えば前記のものである。
【0221】
コーティング用途においては、表面コーティングは、好ましくはアミノ樹脂を含む。それらの例は、エーテル化された、またはエーテル化されていない尿素樹脂、グアニジン樹脂またはビウレット樹脂である。酸触媒反応は、エーテル化されたアミノ樹脂、例えばメチル化もしくはブチル化されたメラミン樹脂(N−メトキシメチルメラミンまたはN−ブトキシメチルメラミン)またはメチル化/ブチル化されたグリコールウリルを含む表面コーティングの硬化において特に重要である。その他の樹脂組成物の例は、多官能価アルコールもしくはヒドロキシ基含有アクリル樹脂およびポリエステル樹脂、または部分加水分解ポリビニルアセテートまたはポリビニルアセテートもしくはポリビニルアルコールと、多官能価ジヒドロプロパニル誘導体、例えば3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸の誘導体との混合物である。ポリシロキサンは、酸触媒反応を使用して架橋することもできる。これらのシロキサン基含有樹脂は、例えば、酸触媒による加水分解によって自己縮合を起こすことができるか、または第二の樹脂成分、例えば多官能価アルコール、ヒドロキシ基含有アクリル樹脂もしくはポリエステル樹脂、部分加水分解ポリビニルアセタールまたはポリビニルアルコールと架橋することもできる。この種類のポリシロキサンの重縮合は、例えばJ.J.Lebrun,H.Pode,Comprehensive Polymer Science 第5巻,第593頁,Pergamon Press,Oxford,1989に記載されている。表面コーティングの製造のために適したその他のカチオン重合可能な材料は、カチオン的メカニズムによって重合可能なエチレン性不飽和化合物、例えばビニルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、環状ビニルエーテル、例えば3,4−ジヒドロ−2−ホルミル−2H−ピラン(二量体アクロレイン)または2−ヒドロキシメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピランの3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸エステル、ビニルエステル、例えば酢酸ビニルおよびステアリン酸ビニル、モノオレフィンおよびジオレフィン、例えばα−メチルスチレン、N−ビニルピロリドンまたはN−ビニルカルバゾールである。
【0222】
特定の目的のためには、重合可能な不飽和基を有するモノマー成分またはオリゴマー成分を有する樹脂混合物が使用される。そのような表面コーティングは、式(I)または(IA)の化合物を使用して硬化させることもできる。その方法においては、ラジカル重合開始剤または光開始剤を追加的に使用してもよい。ラジカル重合開始剤は、熱処理の間に不飽和基の重合を開始し、光開始剤は、紫外線照射の間に重合を開始する。
【0223】
さらに、本発明は、
(a)酸の作用時に硬化するか、または酸の作用時にその可溶性が高まる化合物と、
(b)感光性酸供与体としての、式(I)または(IA)の少なくとも1種の化合物と、
を含む組成物に関する。
【0224】
本発明によれば、式(I)または(IA)の化合物は、さらなる感光性酸供与体化合物(b1)、さらなる光開始剤(d)、増感剤(e)および/または添加剤(c)と一緒に使用することができる。適切な感光性酸供与体化合物(b1)、増感剤(e)および添加剤(c)は、前記のものである。
【0225】
追加の光開始剤(d)の例は、ラジカル光開始剤、例えばカンファーキノン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、ケタール化合物、例えばベンジルジメチルケタール、アセトフェノン、アセトフェノン誘導体、例えばα−ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトンもしくはα−ヒドロキシアルキルフェニルケトン、例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−(4−ドデシルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチル−エタン、1−(4−イソプロピルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチル−エタン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)フェノキシ]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、ジアルコキシアセトフェノン、α−ヒドロキシ−もしくはα−アミノアセトフェノン、例えば(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−(4−メチルベンジル)−1−ジメチルアミノプロパン、(4−(2−ヒドロキシエチル)アミノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン)、(3,4−ジメトキシベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、4−アロイル−1,3−ジオキソラン、ベンゾインアルキルエーテルおよびベンジルケタール、例えばジメチルベンジルケタール、フェニルグリオキサル酸エステルおよびその誘導体、例えばオキソ−フェニル酢酸 2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)エチルエステル、二量体フェニルグリオキサル酸エステル、例えばオキソフェニル酢酸 1−メチル−2−[2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ)−プロポキシ]−エチルエステル、オキシムエステル、例えば1,2−オクタンジオン 1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン 1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、9H−チオキサンテン−2−カルボキシアルデヒド 9−オキソ−2−(O−アセチルオキシム)、ペルエステル、例えば欧州特許第126541号明細書(EP126541)に記載されるベンゾフェノンテトラカルボン酸ペルエステル、モノアシルホスフィンオキシド、例えば(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、エチル(2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニル)ホスフィン酸エステル、ビスアシルホスフィンオキシド、例えばビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペントキシフェニルホスフィンオキシド、トリスアシルホスフィンオキシド、ハロメチルトリアジン、例えば2−[2−(4−メトキシ−フェニル)−ビニル]−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−メチル−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、ヘキサアリールビスイミダゾール/共開始剤系、例えばオルト−クロロヘキサフェニルビスイミダゾールと2−メルカプトベンゾチアゾールとの組み合わせ、フェロセニウム化合物もしくはチタノセン、例えばビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピリル−フェニル)チタンである。さらに、ボレート化合物は、例えば米国特許第4772530号明細書(US4772530)、欧州特許第775706号明細書(EP775706)、英国特許第2307474号明細書(GB2307474)、英国特許第2307473号明細書(GB2307473)および英国特許第2304472号明細書(GB2304472)に記載されている。該ボレート化合物は、好ましくは、電子受容体化合物、例えば染料カチオン、またはチオキサントン誘導体と組み合わせて使用される。追加の光開始剤の更なる例は、ペルオキシド化合物、例えばベンゾイルペルオキシド(その他の適切なペルオキシドは、米国特許第4950581号明細書(US4950581)の第19欄第17行〜第25行に記載される)またはカチオン性光開始剤、例えば芳香族スルホニウムもしくはヨードニウム塩、例えば米国特許第4950581号明細書(US4950581)の第18欄第60行〜第19欄第10行に記載される塩、またはシクロペンタジエニル−アレーン−鉄(II)錯塩、例えば(η
6−イソプロピルベンゼン)(η
5−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートである。
【0226】
前記組成物は、追加の添加剤(c)として熱硬化性成分を含んでもよい。成分(c)の例には、α,β−不飽和酸およびそれらの誘導体から誘導されるオリゴマーおよび/またはポリマー、例えばポリアクリレートおよびポリメタクリレート、ブチルアクリレートで耐衝撃改質されたポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミドならびにポリアクリロニトリルが含まれる。成分(c)のさらなる例は、ウレタン、一方で遊離のヒドロキシル基を有するポリエーテル、ポリエステルおよびポリアクリレートから誘導されるポリウレタン、ならびに他方で脂肪族または芳香族のポリイソシアネートから誘導されるポリウレタン、ならびにそれらの遊離体である。したがってまた成分(c)には、例えば、置換されたアクリル酸エステル、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレートおよびポリエステルアクリレートから誘導された架橋可能なアクリル樹脂が含まれる。アルキド樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリレート樹脂ならびにメラミン樹脂、ウレア樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネート、ポリイソシアヌレートおよびエポキシ樹脂と架橋されたそれらの変性物は、成分(c)の一つの構成要素であってもよい。成分(c)は、例えば一般的に、熱可塑性または熱硬化性の樹脂、特に熱硬化性の樹脂を基礎とする被膜形成性バインダーである。その例は、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂およびポリウレタン樹脂ならびにそれらの混合物である。それらの例は、例えばウールマンの工業化学事典(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry),第5版,A18巻,第368頁〜第426頁,VCH,Weinheim 1991に記載されている。成分(c)は、冷間硬化性または熱間硬化性のバインダーであってもよく、それらの場合には、硬化触媒の添加が有利なことがある。前記バインダーの完全な硬化を促進する適切な触媒は、例えばウールマンの工業化学事典(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry),第5版,A18巻,第469頁,VCH出版社,Weinheim 1991に記載されている。
【0227】
成分(c)として適切なバインダーの具体的な例は、以下の1〜14である。
【0228】
1. 冷間もしくは熱間で架橋可能なアルキド樹脂、アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂もしくはメラミン樹脂またはそのような樹脂の混合物を基礎とし、場合により硬化触媒が添加された表面コーティング。
【0229】
2. ヒドロキシル基含有のアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂もしくはポリエーテル樹脂および脂肪族もしくは芳香族のイソシアネート、イソシアヌレートまたはポリイソシアネートを基礎とする2成分のポリウレタン表面コーティング。
【0230】
3. 加熱の間に脱ブロック化される、ブロック化されたイソシアネート、イソシアヌレートもしくはポリイソシアネートを基礎とする1成分ポリウレタン表面コーティング(適宜、メラミン樹脂を添加することも可能である)。
【0231】
4. 脂肪族もしくは芳香族のウレタンまたはポリウレタンとヒドロキシル基含有のアクリレート、ポリウレタンまたはポリエーテル樹脂を基礎とする1成分ポリウレタン表面コーティング。
【0232】
5. ウレタン構造中に遊離アミン基を有する脂肪族もしくは芳香族のウレタンアクリレートまたはポリウレタンアクリレートおよびメラミン樹脂もしくはポリエーテル樹脂を基礎とし、場合により硬化触媒が添加された1成分ポリウレタン表面コーティング。
【0233】
6. (ポリ)ケチミンと脂肪族もしくは芳香族のイソシアネート、イソシアヌレートまたはポリイソシアネートを基礎とする2成分の表面コーティング。
【0234】
7. (ポリ)ケチミンおよび不飽和アクリレート樹脂もしくはポリアセトアセテート樹脂もしくはメタクリルアミドグリコレートメチルエステルを基礎とする2成分の表面コーティング。
【0235】
8. カルボキシル基もしくはアミノ基含有のポリアクリレートおよびポリエポキシドを基礎とする2成分の表面コーティング。
【0236】
9. 無水物基含有のアクリレート樹脂およびポリヒドロキシまたはポリアミノ成分を基礎とする2成分の表面コーティング。
【0237】
10. アクリレート含有の無水物およびポリエポキシドを基礎とする2成分の表面コーティング。
【0238】
11. (ポリ)オキサゾリンおよび無水物基含有のアクリレート樹脂または不飽和アクリレート樹脂または脂肪族もしくは芳香族のイソシアネート、イソシアヌレートまたはポリイソシアネートを基礎とする2成分の表面コーティング。
【0239】
12. 不飽和ポリアクリレートおよびポリマロネートを基礎とする2成分表面コーティング。
【0240】
13. 熱可塑性アクリレート樹脂または外部架橋するアクリレート樹脂を基礎とし、エーテル化されたメラミン樹脂が組み合わされた熱可塑性のポリアクリレート表面コーティング。
【0241】
14. (メタ)アクリロイル基および遊離イソシアネート基を有するウレタン(メタ)アクリレート、ならびにイソシアネートと反応する1種以上の化合物、例えば遊離もしくはエステル化ポリオールを基礎とする表面コーティング系(そのような系は、例えば欧州特許第928800号明細書(EP928800)で公開されている)。
【0242】
成分(c)として使用することもできるブロック化されたイソシアネートは、例えば有機的金属保護:被覆剤の開発および使用(Organischer Metallschutz: Entwicklung und Anwendung von Beschichtungsstoffen),第159頁〜第160頁,Vincentz出版社,ハノーファー(1993)に記載されている。これらは、高反応性NCO基が、特定の基、例えば第一級アルコール、フェノール、酢酸エチルエステル、ε−カプロラクタム、フタルイミド、イミダゾール、オキシムまたはアミンとの反応によって「ブロック化」されている化合物である。ブロック化されたイソシアネートは、液状系において、またヒドロキシ基の存在下で安定である。加熱にあたり、ブロッキング基(保護基)は再び除去され、NCO基が遊離される。
【0243】
1成分系および2成分系は、成分(c)として使用することができる。そのような系の例は、ウールマンの工業化学事典(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry),A18巻,ペイントとコーティング(Paints and Coatings), 第404〜407頁,VCH Verlagsgesellschaft mbH,ヴァインハイム(1991)に記載されている。
【0244】
該組成物を、特定の適合によって、例えばバインダー/架橋剤の比を変化させることによって最適化させることが可能である。そのような措置は、当業者に公知であろうし、コーティング技術において慣用である。
【0245】
本発明による硬化過程においては、成分(c)は、好ましくはアクリレート/メラミン(およびメラミン誘導体)を基礎とする混合物、2成分ポリウレタン、1成分ポリウレタン、2成分エポキシ/カルボキシまたは1成分エポキシ/カルボキシである。またそのような系の混合物も可能であり、例えばメラミン(またはその誘導体)を1成分ポリウレタンに添加することも可能である。成分(c)は、好ましくは、ポリアクリレートとメラミンとを基礎とするバインダー、もしくはメラミン誘導体を基礎とするバインダー、またはポリアクリレートおよび/もしくはポリエステルポリオールとブロック化されていないポリイソシアネートもしくはポリイソシアヌレートとを基礎とする系である。また成分(c)は、エチレン性不飽和結合を有するモノマーおよび/またはオリゴマー化合物(プレポリマー)であって、追加的に成分(c)のバインダーおよび/または架橋剤成分と反応することができる少なくとも1個以上のOH、NH
2、COOH、エポキシまたはNCO基を含む化合物(=c1)を含んでもよい。適用および熱的硬化の後に、該エチレン性不飽和結合は、紫外光での照射によって、架橋された高分子量の形態に変換される。そのような成分(c)の例は、例えば上記刊行物、つまりウールマンの工業化学事典(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry),第5版,第A18巻,第451頁〜第453頁、またはS.Urano,K.Aoki,N.TsubonivaおよびR.Mizuguchiの有機コーティングの進歩(Progress in Organic Coatings),20(1992),471−486、またはH.TerashimaおよびO. IsozakiのJOCCA 1992(6),222によって記載されている。成分(c1)は、例えば、OH基含有の不飽和アクリレート、例えばヒドロキシエチルもしくはヒドロキシブチルアクリレートまたはグリシジルアクリレートであってもよい。成分(c1)は、任意の所望の構造(例えば、該成分は、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル等の単位を含んでよい)であってよいが、該成分は、エチレン性不飽和二重結合を含み、さらに遊離のOH基、COOH基、NH
2基、エポキシ基またはNCO基を含むものとする。成分(c1)は、例えばエポキシ官能性オリゴマーとアクリル酸またはメタクリル酸とを反応させることによって得ることもできる。ビニル系二重結合を有するOH官能性オリゴマーの典型的な一例は、
【化21】
であり、それは、CH
2=CHCOOHと
【化22】
との反応によって得られる。成分(c1)を得るもう一つの可能な方法は、例えば、1つだけのエポキシ基を有し、分子中の別の位置に遊離のOH基を有するオリゴマーの反応である。
【0246】
紫外線架橋性および熱架橋性の配合物における、フリーラジカル硬化性で放射線硬化性の重合性成分の、熱的に重合可能な成分(c)に対する量比は、重要ではない。「デュアルキュア」システムは、当業者に公知であり、したがって当業者は、意図される用途に従った、フリーラジカル架橋性成分と熱架橋性成分との最適な混合比に精通しているであろう。例えば、その比は、5:95から95:5までの範囲、20:80から80:20までの範囲、または30:70から70:30までの範囲、例えば40:60から60:40までの範囲であってよい。「デュアルキュア」系、つまり放射線硬化性成分と熱硬化性成分の両方を含む系の例は、とりわけ米国特許第5922473号明細書(US5922473)の第6欄〜第10欄に見出すことができる。
【0247】
表面コーティングは、表面コーティング樹脂の有機溶剤中または水中での溶液または分散液であってよいが、表面コーティングは溶剤不含であってもよい。特に関心が持たれるのは、低溶剤含量を有する表面コーティング、いわゆる「ハイソリッド型表面コーティング」および粉末コーティング組成物である。表面コーティングは、例えば自動車産業において多層コーティング用の仕上げラッカーとして使用されるクリアラッカーであってよい。該表面コーティングは、無機化合物もしくは有機化合物であってよい顔料および/または充填剤を含んでもよく、かつ金属効果仕上げのために金属粉末を含んでもよい。
【0248】
また表面コーティングは、表面コーティング技術において慣用の特定の添加剤、例えば流動性改善剤、チキソトロピー剤、レベリング剤、消泡剤、湿潤剤、付着促進剤、光安定剤、酸化防止剤または増感剤を比較的少量含んでもよい。
【0249】
紫外線吸収剤、例えばヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾフェノン、シュウ酸アミドまたはヒドロキシフェニル−s−トリアジン型の紫外線吸収剤は、本発明による組成物に光安定化剤として添加することができる。個々の化合物またはこれらの化合物の混合物は、立体障害アミン(HALS)を添加してまたは添加しないで使用することができる。
【0250】
そのような紫外線吸収剤および光安定化剤の例は、以下のものである。
【0251】
1. 2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾールの混合物、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イル−フェノール];2−[3’−t−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物;[R−CH
2CH
2−COO(CH
2)
3]
2−(式中、Rは、3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニルである)。
【0252】
2. 2−ヒドロキシベンゾフェノン、例えば4−ヒドロキシ−、4−メトキシ−、4−オクチルオキシ−、4−デシルオキシ−、4−ドデシルオキシ−、4−ベンジルオキシ−、4,2’,4’−トリヒドロキシ−または2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ誘導体。
【0253】
3. 置換または非置換の安息香酸のエステル、例えば4−t−ブチルフェニルサリチレート、フェニルサリチレート、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−t−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジ−t−ブチルフェニルエステル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸 ヘキサデシルエステル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸 オクタデシルエステル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸 2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニルエステル。
【0254】
4. アクリレート類、例えばα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸 エチルエステルまたはイソオクチルエステル、α−カルボメトキシケイ皮酸 メチルエステル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシケイ皮酸 メチルエステルもしくはブチルエステル、α−カルボメトキシ−p−メトキシケイ皮酸 メチルエステル、N−(b−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン。
【0255】
5. 立体障害アミン類、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)セバケート、n−ブチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロン酸 ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)エステル、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合生成物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−t−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−s−トリアジンとの縮合生成物、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラオエート、1,1’−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジル)マロネート、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシネート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合生成物、2−クロロ−4,6−ジ(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合生成物、2−クロロ−4,6−ジ(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合生成物、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン。
【0256】
6. シュウ酸ジアミンド類、例えば4,4’−ジオクチルオキシオキシアニリド、2,2’−ジエトキシオキサアニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルオキシアニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルオキシアニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキシアニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサルアミド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキシアニリドおよびそれと2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−t−ブチルオキシアニリドとの混合物、o−メトキシとp−メトキシで二置換されたオキシアニリドおよびo−エトキシとp−エトキシで二置換されたオキシアニリドの混合物。
【0257】
7. 2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン類、例えば2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−ドデシル/トリデシルオキシ−(2−ヒドロキシプロピル)オキシ−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0258】
8. ホスフィット類およびホスホニット類、例えばトリフェニルホスフィット、ジフェニルアルキルホスフィット、フェニルジアルキルホスフィット、トリス(ノニルフェニル)ホスフィット、トリラウリルホスフィット、トリオクタデシルホスフィット、ジステアリルペンタエリトリトールジホスフィット、トリス(3,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィット、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ビスイソデシルオキシペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスフィット、トリステアリルソルビトールトリホスフィット、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホニット、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−12H−ジベンゾ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−12−メチル−ジベンゾ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスフィット、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスフィット。
【0259】
また、そのような光安定化剤は、例えば保護されるべき焼き付けラッカーの層中にそこから該光安定化剤が拡散していく隣接した表面コーティング層に添加することもできる。隣接した表面コーティング層は、焼き付けラッカーの下ではプライマーであってよく、または焼き付けラッカーの上では仕上げ用ラッカーであってよい。
【0260】
また、該樹脂に、例えばスペクトル感度をずらすかまたは高める光増感剤を添加することも可能であり、そのため、照射時間を減らすこともでき、かつ/またはその他の光源を使用することもできる。光増感剤の例は、芳香族ケトンもしくは芳香族アルデヒド(例えば、米国特許第4017652号明細書(US4017652)に記載される)、3−アシルクマリン(例えば、米国特許第4366228号明細書(US4366228)、欧州特許第738928号明細書(EP738928)、欧州特許第22188号明細書(EP22188)に記載される)、ケトクマリン(例えば、米国特許第5534633号明細書(US5534633)、欧州特許第538997号明細書(EP538997)、特開平8272095号公報(JP8272095−A)に記載される)、スチリルクマリン(例えば、欧州特許第624580号明細書(EP624580)に記載される)、3−(アロイルメチレン)チアゾリン、チオキサントン、縮合芳香族化合物、例えばペリレン、芳香族アミン(例えば、米国特許第4069954号明細書(US4069954)または国際公開第96/41237号パンフレット(WO96/41237)に記載される)またはカチオン性および塩基性着色剤(例えば、米国特許第4026705号明細書(US4026705)に記載される)、例えばエオシン、ローダミンおよびエリスロシン着色剤ならびに、例えば特開平8320551号明細書(JP8320551A)、欧州特許第P747771号明細書(EP747771)、特開平7036179号明細書(JP7036179A)、欧州特許第619520号明細書(EP619520)、特開平6161109号明細書(JP6161109A)、特開平6043641号明細書(JP6043641A)、特開平6035198号明細書(JP6035198A)、国際公開第93/15440号パンフレット(WO93/15440)、欧州特許第568993号明細書(EP568993)、特開平5005005号明細書(JP5005005A)、特開平5027432号明細書(JP5027432A)、特開平5301910号明細書(JP5301910A)、特開平4014083号明細書(JP4014083A)、特開平4294148号明細書(JP4294148A)、欧州特許第359431号明細書(EP359431)、欧州特許第103294号明細書(EP103294)、米国特許第4282309号明細書(US4282309)、欧州特許第39025号明細書(EP39025)、欧州特許第5274号明細書(EP5274)、欧州特許第727713号明細書(EP727713)、欧州特許第726497号明細書(EP726497)または独国特許第2027467号明細書(DE2027467)に記載される染料および顔料である。その他の慣用の添加剤は、意図される用途に応じて、蛍光増白剤、充填剤、顔料、着色剤、湿潤剤または流動改善剤および接着促進剤である。顔料が加えられた厚いコーティングの硬化のために、ガラス微小球または粉末化されたガラス繊維を添加することは、米国特許第5013768号明細書(US5013768)に記載されるように適している。
【0261】
オキシムスルホネート誘導体は、例えばハイブリッド系で使用することもできる。これらの系は、2種の異なる反応機構によって完全に硬化される配合物を基礎としている。それらの例は、酸触媒による架橋反応または重合反応を起こすことが可能である成分を含むが、二次的機構によって架橋する更なる成分も含む系である。二次的機構の例は、ラジカル完全硬化、酸化的架橋または湿分開始型架橋である。二次的な硬化機構は、純粋に熱的に、必要に応じて適切な触媒を用いて開始されるか、または二次的な光開始剤を使用して光によっても開始することができる。適切な追加の光開始剤は、上記の通りである。
【0262】
該組成物がラジカル架橋性成分を含む場合には、硬化過程は、特に顔料が加えられた(例えば二酸化チタンを有する)組成物の硬化過程は、熱的条件下でラジカルを形成する成分、例えばアゾ化合物、例えば2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、トリアゼン、ジアゾスルフィド、ペンタアザジエンもしくはペルオキシ化合物、例えばヒドロペルオキシドもしくはペルオキシカーボネート、例えばt−ブチルヒドロペルオキシド(例えば、欧州特許第245639号明細書(EP245639)に記載される)または熱潜在性ラジカル開始剤(例えば、米国特許出願公開第6929896号明細書(US6929896)、国際公開第2010057922号パンフレット(WO2010057922)、国際公開第2012113829号パンフレット(WO2012113829)、国際公開第2012101245号パンフレット(WO2012101245)、国際公開第2013156509号パンフレット(WO2013156509)または国際公開第2014064064号パンフレット(WO2014064064)に記載される)の添加によって補助することもできる。コバルト塩のようなレドックス開始剤の添加は、空気からの酸素を用いた酸化的架橋によって硬化を補助することを可能にする。
【0263】
表面コーティングは、当該技術分野で慣用の方法の1つによって、例えば吹き付け、塗装または浸漬によって適用することができる。適切な表面コーティングが使用される場合に、例えば陽極電気泳動堆積による電気的適用も可能である。乾燥後に、表面コーティング被膜が照射される。必要に応じて、該表面コーティング被膜は、次いで熱処理によって完全に硬化される。
【0264】
欧州特許第592139号明細書(EP592139)から、スルホネート誘導体は、ガラス、アルミニウムおよび鋼の表面の表面処理および清浄化のために適した組成物において光によって活性化することができる酸発生剤として使用することができることが知られている。オルガノシラン系におけるそのような化合物の使用は、遊離酸が使用される場合に得られるものより大いに良好な貯蔵安定性を有する組成物をもたらす。式(I)または(IA)の化合物は、この用途のためにも適している。
【0265】
本発明のオキシムスルホネート誘導体は、所望の特性を有する状態に酸誘導転移を起こすポリマーをフォトリソグラフィーを使用して成形するために使用することもできる。例えば、オキシムスルホネート誘導体は、例えばM.L.Renak;C.Bazan;D.Roitman;Advanced materials 1997,
9,392に記載される共役発光ポリマーをパターン形成するために使用することができる。そのようなパターン形成された発光ポリマーは、ディスプレイおよびデータ記録媒体の製造のために使用することができるマイクロスカラーパターンの発光ダイオード(LED)を製造するために使用することができる。同様に、ポリアミドの前駆体(例えば、現像剤中での可溶性を変更する酸不安定性保護基を有するポリイミド前駆体)に照射することで、パターン形成されたポリアミド層を形成することができ、その層は、マイクロチップおよび印刷回路板の製造における保護層、絶縁層および緩衝層として機能することができる。
【0266】
本発明の配合物は、絶縁保護コーティング、光像形成可能な絶縁層および誘電体として使用することもできる。
【0267】
例えばポリアニリンのような共役ポリマーは、半導体状態から導電性状態へとプロトンドーピングによって変換することができる。本発明のオキシムスルホネート誘導体は、絶縁材料(非露光領域)中に埋設された導電性構造(露光領域)を形成するために、そのような共役ポリマーを含む組成物を画像状に照射するために使用することもできる。これらの材料は、電気デバイスおよび電子デバイスの製造のためのワイヤおよび連結部として使用することができる。
【0268】
式(I)または(IA)の化合物を含む組成物のために適した放射源は、だいたい10ナノメートルから1500ナノメートルまでの波長、例えば10ナノメートルから1000ナノメートルまでの波長、または好ましくは10ナノメートルから700ナノメートルまでの波長の放射線ならびに電子ビーム放射線および高エネルギー電磁放射線、例えばX線を放出する放射源である。点光源も扁平プロジェクター(ランプカーペット)も両者とも適している。それらの例は、カーボンアークランプ、キセノンアークランプ、中圧、高圧および低圧の水銀ランプ、場合により金属ハロゲン化物でドープされたランプ(メタルハライドランプ)、マイクロ波励起金属蒸気ランプ、エキシマランプ、超化学線(superactinic)蛍光管、蛍光灯、アルゴンフィラメントランプ、電子フラッシュライト、写真用投光照明灯またはレーザープラズマである。放射源と本発明による照射されるべき基材との間の距離は、意図される用途および放射源の種類および/または強度に応じて、例えば2cmから150cmまでで変動してよい。適切な放射源は、特に水銀蒸気ランプ、特に中圧および高圧の水銀ランプであって、その放射線からその他の波長の輝線が所望であればフィルタリング除去されていてよいランプである。特に、比較的短波長の放射線の場合が該当する。しかしながら、適切な波長範囲で放出することが可能な低エネルギーランプ(例えば蛍光管)を使用することも可能である。その一例は、Philips社のTL03ランプである。使用することができる放射源の別の種類は、全スペクトルを通じて種々の波長で放出する、スモールバンド発光源またはブロードバンド(白色光)源のいずれかとしての発光ダイオード(LED)である。また、レーザー放射源、例えばエキシマレーザ、例えば248nmでの照射のためのKr−Fレーザー、193nmでの照射のためのAr−Fレーザー、または157nmでの照射のためのF
2レーザーも適している。可視領域および赤外領域のレーザーを使用することもできる。特に適しているのは、365ナノメートル、405ナノメートルおよび436ナノメートルの波長での水銀i線、h線およびg線の放射である。適切なレーザ光線源は、例えば454ナノメートル、458ナノメートル、466ナノメートル、472ナノメートル、478ナノメートル、488ナノメートルおよび514ナノメートルの波長で放射を発するアルゴンイオンレーザーである。1064nmで光を放出し、その第二高調波および第三高調波(それぞれ532nmおよび355nm)を発生するNd−YAGレーザーを使用することもできる。また、例えば442nmで発光を示すヘリウム/カドミウムレーザーまたは紫外領域で発光を示すレーザーも適している。その照射型では、ポジ型レジストまたはネガ型レジストを生成するために、フォトポリマーコーティングと接触したフォトマスクを使用することは必ずしも必須ではなく、制御されたレーザー光線は、コーティング上での直接的な書き込みが可能である。その目的のために、本発明による材料の高い感度が非常に有利であり、こうして比較的低い強度で高速の書き込みが可能となる。照射に際して、表面コーティングの照射区分における該組成物中のオキシムスルホネート誘導体は分解することで、酸を形成する。
【0269】
さらに本発明は、フォトレジスト組成物の、様々なディスプレイ用途のための、およびイメージセンサ、例えば電荷結合素子(CCD)および相補型金属酸化物半導体(CMOS)のためのカラーフィルター、LCD用のスペーサー、カラーフィルターおよびLCD用のオーバーコート層、LCD用のシーラント、様々なディスプレイ用途のための光学フィルム、LCD、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、タッチパネルおよびフレキシブルディスプレイ用の絶縁層、プラズマディスプレイパネル、電子発光ディスプレイ、OLED、タッチパネル、フレキシブルディスプレイおよびLCDの製造方法で構造または層を生成するためのレジストまたは感光性組成物、ソルダーレジストを製造するための、印刷回路基板のシーケンシャルビルドアップ層における誘電体層の形成のためのフォトレジスト材料としての使用に関する。
【0270】
本発明による組成物は、例えば欧州特許第320264号明細書(EP320264)に記載されるようなカラーフィルターまたはカラーモザイク系の製造のために特に適している。カラーフィルターは、例えばフラットパネルディスプレイ技術、例えばLCD、電子発光ディスプレイおよびプラズマディスプレイのために、イメージセンサ、例えばCCDおよびCMOS等のために使用することができる。
【0271】
カラーフィルターは、通常は、赤色、緑色および青色のピクセルと、任意に黒色マトリクスをガラス基板上に形成することによって製造される。これらの方法において、本発明による光硬化性組成物を使用することができる。特に好ましい使用方法は、赤色、緑色および青色の着色物、染料および/または顔料を、本発明の感光性樹脂組成物に添加し、前記組成物で基材をコーティングし、該コーティングを短時間の熱処理によって乾燥させ、該コーティングを粒子線にパターン状に露光(すなわち、適切なマスクを通じて)し、引き続き適切なアルカリ性現像水溶液中で前記パターンを現像し、そして熱処理することを含む。このように、赤色、緑色、青色および任意に黒色に顔料着色されたコーティングを、任意の所望の順序で前記プロセスで互いの最上部へ引き続き適用することによって、赤色、緑色および青色の画素および任意に黒色マトリクスを有するカラーフィルター層を製造できる。
【0272】
感光性樹脂組成物が基材上にコーティングされ、乾燥される方法に加えて、本発明の感光性樹脂組成物は、同様に層転写材料のために使用することができる。すなわち、該感光性樹脂組成物は、一時的な支持体上に、好ましくはポリエチレンテレフタレートフィルム上に、またはポリエチレンテレフタレートフィルムであってその上に酸素遮断層および剥離層または剥離層および酸素遮断層が設けられているフィルム上に直接的に設けられる。通常、合成樹脂でできた剥離可能なカバーシートは、取り扱い時の保護のためにその上に積層される。さらに同様に、一時的な支持体上にアルカリ可溶性熱可塑性樹脂層および中間層が設けられ、さらにその上に感光性樹脂組成物が設けられている層構造物を適用することもできる(特開平5−173320号公報(JP5−173320A))。
【0273】
前記カバーシートは、使用時に除去され、感光性樹脂組成物層は、永続的な支持体上に積層される。引き続き、剥離は、酸素遮断層および剥離層が設けられている場合にはこれらの層と一時的な支持体との間で行われ、剥離層および酸素遮断層が設けられている場合には剥離層と酸素遮断層との間で行われ、そして剥離層かまたは酸素遮断層のいずれかが設けられていない場合には一時的な支持体と感光性樹脂組成物層との間で行われ、そして一時的な支持体は除去される。
【0274】
現像液は、当業者に公知の全ての形で、例えば浴液、パドルまたは吹き付け液の形で使用することができる。感光性樹脂組成物層の未硬化部分を除去するために、回転ブラシで擦る方法と湿ったスポンジで擦る方法とを組み合わせることができる。通常は、現像液の温度は、好ましくはちょうど室温およびほぼ室温から40℃までである。現像時間は、感光性樹脂組成物の具体的な種類、現像液のアルカリ性および温度、ならびに添加される場合には有機溶剤の種類および濃度に従って変更可能である。通常、その時間は、10秒から2分である。現像処理の後にすすぎステップを設けることが可能である。最終的な熱処理は、好ましくは現像処理後に行われる。したがって、露光により光重合されている層(以下、光硬化層)を有する支持体は、電気炉および乾燥機中で加熱されるか、または該光硬化層は、赤外ランプで照射されるか、またはホットプレート上で加熱される。加熱温度および時間は、使用される組成物および形成される層の厚さに依存する。一般的に、加熱は、好ましくは、約120℃〜約250℃で、約2分間〜約60分間にわたって適用される。
【0275】
カラーフィルターレジスト、そのようなレジストの組成およびプロセス条件は、T.KudoらによるJpn.J.Appl.Phys.第37巻(1998)3594、T.KudoらによるJ.Photopolym.Sci.Technol.第9巻(1996)109、K.KobayashiによるSolid State Technol.Nov.1992,第15頁〜第18頁、米国特許第5368976号明細書(US5368976)、米国特許第5800952号明細書(US5800952)、米国特許第5882843号明細書(US5882843)、米国特許第5879855号明細書(US5879855)、米国特許第5866298号明細書(US5866298)、米国特許第5863678号明細書(US5863678)、特開平06−230212号公報(JP06−230212A)、欧州特許第320264号明細書(EP320264)、特開平09−269410号公報(JP09−269410A)、特開平10−221843号公報(JP10−221843A)、特開平01−090516号公報(JP01−090516A)、特開平10−171119号公報(JP10−171119A)、米国特許第5821016号明細書(US5821016)、米国特許第5847015号明細書(US5847015)、米国特許第5882843号明細書(US5882843)、米国特許第5719008号明細書(US5719008)、欧州特許第881541号明細書(EP881541)または欧州特許第902327号明細書(EP902327)に示されている。
【0276】
感光性組成物を使用して黒色マトリクスを形成させ、黒色の感光性組成物をパターン状の露光によるフォトリソグラフィーによりパターン形成し、赤色、緑色および青色に発色する領域を隔離する黒色パターンを透明基板上に形成するのではなく、その一方で、無機黒色マトリクスを使用することが可能である。そのような無機黒色マトリクスは、透明基板上の堆積(すなわちスパッタ)された金属(すなわちクロム)被膜から適切なイメージング法によって、例えばエッチング用レジストによるフォトリソグラフィー的パターン形成を使用することによって、エッチング用レジストによって保護されていない領域の無機層をエッチングし、次いで残りのエッチング用レジストを除去することによって形成することができる。
【0277】
また本発明の感光性または熱硬化性の組成物は、そのようなオーバーコート層を形成するために使用することもできる。それというのも、該組成物の硬化被膜は、優れた平坦性、硬さ、耐化学薬品性および耐熱性、透明性、特に可視領域における透明性、基材に対する付着性、ならびに透明な導電性膜、例えばITO皮膜をその上に形成するための適性において優れているからである。保護層の製造において、特開昭57−42009号公報(JP57−42009A)、特開平1−130103号公報(JP1−130103A)および特開平1−134306号公報(JP1−134306A)に記載されるように、保護層の不必要な部分、例えば基材の切断のためのけがき線および固体イメージセンサのボンディングパッド上の保護層を、該基材から取り除けるべきであるという要求が存在する。これに関して、上述の熱硬化性樹脂を使用して良好な精度で保護層を選択的に形成することは困難である。しかしながら、感光性組成物は、保護層の不必要な部分をフォトリソグラフィーによって容易に除去することを可能にする。
【0278】
本発明による感光性組成物は、さらに、液晶ディスプレイパネルにおける液晶部分のセルギャップを制御するスペーサーの製造のために使用され得る。液晶ディスプレイにおける液晶層を通じて透過または反射した光の特性は、セルギャップに依存するので、厚さの精度とピクセルアレイにわたる均一性は、液晶ディスプレイユニットの性能のための決定的なパラメータである。フォトリソグラフィー法を使用することによって、樹脂のカラムは、ピクセルアレイ領域と、規定のセルギャップを形成するための対向電極との間の領域にスペーサーとして形成することができる。フォトリソグラフィーで接着特性を有する感光性材料は、通常は、例えばカラーフィルターの製造方法において使用される。この方法は、スペーサーの位置、数および高さを自由に制御できる、スペーサービーズを使用する慣用の方法を用いた場合と比べて好ましい。カラー液晶ディスプレイパネルにおいて、そのようなスペーサーは、カラーフィルターエレメントの黒色マトリクスの下にある画像形成しない領域で形成される。したがって、感光性組成物を使用して形成されたスペーサーは、輝度および光学的開口を減らさない。
【0279】
カラーフィルター用のスペーサーを有する保護層を製造するための感光性組成物は、特開2000−81701号公報(JP2000−81701A)に開示され、スペーサー材料用の乾燥皮膜型フォトレジストは、特開平11−174459号公報(JP11−174459A)および特開平11−174464号公報(JP11−174464A)にも開示されている。前記文献に記載されるように、感光性組成物、液体型および乾燥皮膜型フォトレジストは、少なくとも1種のアルカリ可溶性もしくは酸可溶性バインダーポリマー、ラジカル重合性モノマーおよびラジカル開始剤を含んでいる。幾つかの場合に、熱架橋性成分、例えばエポキシドおよびカルボン酸は、追加的に含まれていてよい。感光性組成物を使用してスペーサーを形成するステップは以下の通りである。感光性組成物を基材、例えばカラーフィルターパネルに適用し、その基材をプレベークした後に、マスクを通じて露光する。次いで、前記基材を、現像液で現像し、パターン形成することで、所望のスペーサーを形成する。該組成物が、幾つかの熱硬化性成分を含有する場合に、通常はポストベークは、該組成物を熱硬化させるために実施される。本発明による感光性組成物は、液晶ディスプレイのためのスペーサーを製造するために適切である(前記の通り)。
【0280】
本発明による組成物は、また液晶ディスプレイにおける、より具体的には特定のLCD構造物、例えばアレイ型LCDおよび反射型LCD上のカラーフィルターにおける層間絶縁層または誘電体層を製造するのにも適している。本出願での説明は、特開2014−10382号公報(JP2014−10382A)、特開2014−10200号公報(JP2014−10200)、特開2013−242537号公報(JP2013−242537A)、特開2013−242511号公報(JP2013−242511A)および特開2013−231868号公報(JP2013−231868)に開示されている。本発明の式(I)および(IA)の感光性(放射感受性)酸発生化合物は、特に絶縁層の製造のための組成物において適切である。例えば、該配合物は、特開平5−165214号公報(JP5−165214−A)に記載され、それは、(A)アルカリ水溶液中に可溶であり、かつ(a)不飽和カルボン酸もしくは不飽和カルボン酸無水物、(b)エポキシ基を有するラジカル重合性化合物、および(c)別のラジカル重合性化合物のコポリマーである樹脂、ならびに(B)放射感受性酸発生化合物を含む感光性樹脂組成物を提案している。
【0281】
日本国特許第4207604号は、(A)アセタール構造および/またはケタール構造ならびにエポキシ構造を有し、かつゲル浸透クロマトグラフィーによって測定して2000以上(ポリスチレン変換)の質量平均分子量を有する高分子量ポリマー、ならびに(B)放射に露光されると4.0以下のpKaを有する酸を発生する化合物を含む感光性樹脂組成物を提案している。特開2009−098616号公報(JP2009−098616A)は、少なくとも(A)以下の式
【化23】
によって表される酸解離性基を有し、かつカルボキシル基と反応することによって共有結合を形成することができる官能基を有する構造単位を含む樹脂であって、アルカリに対して不溶性であるが、酸解離性基の解離に際してアルカリ可溶性となる樹脂、ならびに(B)化学線または放射に曝されると酸を生成する化合物を含む感光性樹脂組成物を提案している。前記式中、R
77は、H、CH
3、ハロゲンまたはCNであり、R
78およびR
79は、それぞれHまたはアルキルであり、ここでR
78およびR
79の少なくとも1つはアルキルであり、かつR
80は、アリールまたはアラルキルであり、かつR
78およびR
80またはR
79およびR
80は、互いに結合されて環状エーテルを形成してよい。
【0282】
絶縁層
本発明の式(I)および(IA)の化合物は、例えば米国特許出願公開第20120045616号明細書(US20120045616A)および米国特許出願公開第20130171415号明細書(US20130171415A)に開示される樹脂組成物において、例えば絶縁層を形成するために、感光性酸発生剤として特に適している。これらの刊行物によれば、該組成物は、放射感受性酸発生剤化合物および(A)酸解離性基を有する構造単位およびカルボキシル基もしくはフェノール性ヒドロキシル基と反応することによって共有結合を形成することが可能な官能基を有する構造単位を含む樹脂を含む。本発明の好ましい組成物においては、米国特許出願公開第20120045616号明細書(US20120045616A)および米国特許出願公開第20130171415号明細書(US20130171415A)に記載される放射感受性酸発生剤化合物は、本発明の式(I)または(IA)の放射感受性酸発生剤化合物によって置き換えられている。これらの上記刊行物だけでなく、本書で以下に記載される特定の樹脂(A)は、成分(a)もしくは(a1)、あるいは特許請求の範囲における主題として好ましい。例えば絶縁層の製造のための組成物で使用される特定の樹脂(A)は、酸により分解して、カルボキシル基もしくはフェノール性ヒドロキシル基を発生する酸分解性基を有する構造単位、ならびにカルボキシル基もしくはフェノール性ヒドロキシル基と反応することによって共有結合を形成することが可能な構造単位を少なくとも含む樹脂である。該特定の樹脂(A)は、前記構造単位のそれぞれを1種だけ含んでよく、あるいはそれらの複数の種類が組み合わせて含まれていてよい。さらに、以下に記載されるように、該特定の樹脂(A)は、上述の構造単位とは異なる構造を有する構造単位を含んでよい。
【0283】
例えば絶縁層の製造のための組成物で使用される特定の樹脂(A)は、酸により分解して、カルボキシル基もしくはフェノール性ヒドロキシル基を発生する酸分解性基を有する構造単位、ならびにカルボキシル基もしくはフェノール性ヒドロキシル基と反応することによって共有結合を形成することが可能な構造単位を少なくとも含む樹脂である。該特定の樹脂(A)は、前記構造単位のそれぞれを1種だけ含んでよく、あるいはそれらの複数の種類が組み合わせて含まれていてよい。さらに、以下に記載されるように、該特定の樹脂(A)は、上述の構造単位とは異なる構造を有する構造単位を含んでよい。
【0284】
酸解離性基(酸分解性基):
特定の樹脂(A)に含まれる酸解離性基とは、酸での分解によりカルボキシル基またはフェノール性ヒドロキシル基を生成する基を指す(以下で、単純に「酸分解性基」とも呼ばれる)。本発明における酸解離性基を有する構造単位の例には、酸による分解(解離)によってカルボキシル基を生成する基を有する構造単位、特に以下の式(Iaa)または(IIaa)によって表される構造を有する構造単位、ならびに酸による分解によってフェノール性ヒドロキシル基を生成する基を有する構造単位、特に以下の式(Ibb)または(IIbb)によって表される構造を有する構造単位が含まれる。該特定の樹脂(A)は、好ましくは、これらの構造単位:
【化24】
から選択される少なくとも1つを含む樹脂である。
【0285】
式(Iaa)および(Ibb)において、Ryは、独立して、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基またはシクロアルキル基を表し、前記基は非置換または置換されており、Rxは、それぞれ独立して、直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を表し、Arxは、二価の芳香族基を表し、かつ記号*は、別の構造との結合部位を表す。
【0286】
式(IIaa)において、Rzは、第三級アルキル基または2−テトラヒドロピラニル基を表す。式(IIbb)において、Rwは、第三級アルキル基、t−ブトキシカルボニル基または2−テトラヒドロピラニル基を表し、Arxは、二価の芳香族基を表し、かつ記号*は、別の構造との結合部位を表す。
【0287】
Ryによって表される直鎖状または分枝鎖状のアルキルは、好ましくは、1個〜20個の炭素原子を有し、より好ましくは、1個〜10個の炭素原子を有し、さらにより好ましくは1個〜7個の炭素原子を有する。
【0288】
直鎖状または分枝鎖状のアルキル基の例は、先に示されている。
【0289】
Ryがシクロアルキル基を表す場合に、シクロアルキル基は、好ましくは3個〜20個の炭素原子を有し、より好ましくは、3個〜10個の炭素原子を有し、さらにより好ましくは5個〜7個の炭素原子を有する。
【0290】
Ryによって表されるシクロアルキル基の例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基およびイソボルニル基が含まれる。
【0291】
Ryによって表される直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基またはシクロアルキル基は、置換基を有してよく、例えば該置換基には、3個〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6個〜10個の炭素原子を有するアリール基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基および1個〜10個の炭素原子を有するアルコキシ基が含まれる。さらに、シクロアルキル基の環構造は、置換基として、1個〜10個の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基)を有してよい。置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子が有用であり、フッ素原子を含むフルオロアルキル基、例えばCF
3は、特に有用な置換基である。
【0292】
さらに、Ryによって表される直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基またはシクロアルキル基は、好ましくは、1個〜10個の炭素原子を有するアルキル基、3個〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基または7個〜11個の炭素原子を有するアラルキル基、より好ましくは1個〜6個の炭素原子を有するアルキル基、3個〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル基またはベンジル基、さらにより好ましくはエチル基またはシクロヘキシル基、特に好ましくはエチル基である。
【0293】
式(Iaa)および(Ibb)においては、Rxは、それぞれ独立して、直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を表す。Rxによって表される直鎖状または分枝鎖状のアルキル基は、好ましくは、1個〜20個の炭素原子を有し、より好ましくは、1個〜10個の炭素原子を有し、さらにより好ましくは1個〜7個の炭素原子を有する。さらに、Rxによって表される直鎖状または分枝鎖状のアルキル基は、好ましくは、1個〜6個の炭素原子を有するアルキル基、特に好ましくはメチル基である。
【0294】
式(Ibb)においては、Arxは、二価の芳香族基を表し、芳香族環上にOCH(ORy)(Rx)を有する構造を有する。Arxによって表される二価の芳香族基は、特に制限されるものではなく、該二価の芳香族基の例には、フェニレン基、置換されたフェニレン基、ナフチレン基および置換されたナフチレン基が含まれる。二価の芳香族基は、好ましくはフェニレン基または置換されたフェニレン基、より好ましくは非置換のフェニレン基、さらにより好ましくは1,4−フェニレン基である。
【0295】
さらに、Arxによって表される二価の芳香族基は、芳香族環上に置換基を有してよい。芳香族環中に導入することができる置換基の例には、1個〜10個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基)、3個〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6個〜10個の炭素原子を有するアリール基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基および1個〜10個の炭素原子を有するアルコキシ基が含まれる。これらの置換基は、前記置換基のような置換基によってさらに置換されていてよい。
【0296】
酸分解性基を有する構造単位には、好ましくは式(Iaa)および(Ibb)によって表される構造から選択される少なくとも1つが含まれる。カルボキシル基を保護することによって式(Iaa)によって表される構造を有する構造単位を形成することができるカルボン酸モノマーは、カルボキシル基を保護することよって上述の構造を有する酸分解性基を有する構造単位を形成することができる限りは、特に制限されるものではない。カルボン酸モノマーの例には、モノカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−メチル−p−カルボキシスチレン、およびジカルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸およびイタコン酸が含まれる。さらに、酸分解性基を有する構造単位は、好ましくは、カルボン酸から誘導される、カルボキシル基が保護されているモノマー単位である。
【0297】
フェノール性ヒドロキシル基を保護することによって式(Ibb)によって表される構造を有する構造単位を形成することができるフェノール性ヒドロキシル基を有するモノマーは、フェノール性ヒドロキシル基を保護することよって上述の構造を有する酸分解性基を有する構造単位を形成することができる限りは、特に制限されるものではない。該モノマーの例には、ヒドロキシスチレン、例えばp−ヒドロキシスチレンおよびa−メチル−p−ヒドロキシスチレン、特開2008−40183号公報の段落[0011]〜[0016]に挙げられる化合物、日本国特許第2888454号の段落[0007]〜[0010]に挙げられる4−ヒドロキシ安息香酸誘導体、4−ヒドロキシ安息香酸およびグリシジルメタクリレートの付加反応生成物ならびに4−ヒドロキシ安息香酸およびグリシジルアクリレートの付加反応生成物が含まれる。
【0298】
なかでも、より好ましいのは、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン、特開2008−40183号公報の段落[0011]〜[0016]に挙げられる化合物、日本国特許第2888454号の段落[0007]〜[0010]に挙げられる4−ヒドロキシ安息香酸誘導体、4−ヒドロキシ安息香酸およびグリシジルメタクリレートの付加反応生成物ならびに4−ヒドロキシ安息香酸およびグリシジルアクリレートの付加反応生成物である。
【0299】
これらの構造のなかでも、酸分解性基を有する特に好ましい構造単位は、式(IIIaa)
【化25】
[式中、Rqは、直鎖状または分枝鎖状のアルキル基またはシクロアルキル基を表し、Rqの好ましい実施形態は、式(Ia)および(Ib)中のRyの好ましい実施形態と同じであり、Rpは、水素原子またはメチル基を表す]によって表される構造単位である。
【0300】
式(IIIaa)によって表される構造単位を形成するために使用されるラジカル重合可能なモノマーの好ましい具体的な例には、1−エトキシエチルメタクリレート、1−エトキシエチルアクリレート、1−メトキシエチルメタクリレート、1−メトキシエチルアクリレート、1−n−ブトキシエチルメタクリレート、1−n−ブトキシエチルアクリレート、1−n−イソブトキシエチルメタクリレート、1−n−イソブトキシエチルアクリレート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)エチルメタクリレート、1−(2−エチルヘキシルオキシ)エチルアクリレート、1−n−プロポキシエチルメタクリレート、1−n−プロポキシエチルアクリレート、1−シクロヘキシルオキシエチルメタクリレート、1−シクロヘキシルオキシエチルアクリレート、1−(2−シクロヘキシルエトキシ)エチルメタクリレート、1−(2−シクロヘキシルエトキシ)エチルアクリレート、1−ベンジルオキシエチルメタクリレートおよび1−ベンジルオキシエチルアクリレートが含まれる。特に好ましい例は、1−エトキシエチルメタクリレートおよび1−エトキシエチルアクリレートである。これらの構造単位は、単独で、またはそれらの2種以上の組み合わせにおいて含まれていてよい。
【0301】
酸分解性基を有する構造単位を形成するために使用されるラジカル重合可能なモノマーは、市販の製品であっても、または公知法によって合成される生成物であってもよい。例えば、以下に示されるように、ラジカル重合可能なモノマーは、(メタ)アクリル酸を、酸触媒の存在下でビニルエーテル化合物と反応させることによって合成することができる。
【0302】
【化26】
【0303】
前記スキームにおいて、RqおよびRpのそれぞれは、式(IIIaa)中のRqおよびRpに相当する。カルボキシル基またはフェノール性ヒドロキシル基を含むモノマーとモノマー(以下に記載)またはその前駆体とを重合させ、次いで該カルボキシル基またはフェノール性ヒドロキシル基をビニルエーテル化合物と反応させることによって酸分解性基を有する構造単位を形成することも可能である。この方法によって得ることができる好ましいモノマー単位の具体的な例は、前記のラジカル重合可能なモノマーの好ましい具体的な例と同じである。
【0304】
前記の式(IIaa)および(IIbb)において、Rzは、第三級アルキル基、2−テトラヒドロピラニル基または2−テトラヒドロフラニル基を表し、Rwは、第三級アルキル基、t−ブトキシカルボニル基、2−テトラヒドロピラニル基または2−テトラヒドロフラニル基を表し、Arxは、二価の芳香族基を表し、かつ記号*は、別の構造との結合部位を表す。RzおよびRwによって表される第三級アルキル基は、好ましくは4個〜20個の炭素原子、より好ましくは4個〜14個の炭素原子、さらにより好ましくは4個〜8個の炭素原子を有する。
【0305】
Rzによって表される第三級アルキル基もしくは2−テトラヒドロピラニル基、Rwによって表される第三級アルキル基、t−ブトキシカルボニル基、2−テトラヒドロピラニル基もしくは2−テトラヒドロフラニル基、ならびにArxによって表される二価の芳香族基は、置換基を有してよい。置換基の例には、1個〜10個の炭素原子を有するアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基)、3個〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6個〜10個の炭素原子を有するアリール基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基および1個〜10個の炭素原子を有するアルコキシ基が含まれる。これらの置換基は、前記置換基から選択される置換基によってさらに置換されていてよい。
【0306】
RzおよびRwによって表される第三級アルキル基は、好ましくは、以下の式(Vaa)−C[(Rs)(Rt)(Ru)]によって表される基からなる群から選択される少なくとも1つであり、式中、Rs、RtおよびRuは、それぞれ独立して、1個〜12個の炭素原子を有するアルキル基、3個〜12個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6個〜12個の炭素原子を有するアリール基または7個〜12個の炭素原子を有するアラルキル基を表し、かつRs、RtおよびRuのいずれか2つは、互いに結合されることで、Rs、RtおよびRuが結合される炭素原子と一緒になって環を形成してよい。
【0307】
式(Vaa)において、Rs、RtおよびRuのそれぞれによって表される1個〜12個の炭素原子を有するアルキル基は、直鎖状または分枝鎖状であってよい。1個〜12個の炭素原子を有するアルキル基の例には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基およびn−デシル基が含まれる。
【0308】
3個〜12個の炭素原子を有するシクロアルキル基の例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基およびイソボルニル基が含まれる。
【0309】
6個〜12個の炭素原子を有するアリール基の例には、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基および1−ナフチル基が含まれる。
【0310】
7個〜12個の炭素原子を有するアラルキル基の例には、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基およびナフチルメチル基が含まれる。
【0311】
RsおよびRt、RsおよびRuまたはRtおよびRuが互いに結合される環構造の例には、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、テトラヒドロフラニル基、アダマンチル基およびテトラヒドロピラニル基が含まれる。
【0312】
これらの構造のなかでも、酸分解性基を有する特に好ましい構造単位は、以下の式(IVaa)
【化27】
[式中、R
62は、第三級アルキル基、2−テトラヒドロピラニル基または2−テトラヒドロフラニル基を表し、かつR
61は、水素原子またはメチル基を表す]によって表される構造単位である。
【0313】
式(IVaa)においては、R
62の好ましい一実施形態は、式(IIaa)中のRxと同じである。
【0314】
式(IVaa)によって表される構造単位を形成するために使用されるラジカル重合可能なモノマーの好ましい具体的な例には、t−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルアクリレート、テトラヒドロ−2H−フラン−2−イルメタクリレート、テトラヒドロ−2H−フラン−2−イルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、1−メチルシクロヘキシルメタクリレートおよび1−メチルシクロヘキシルアクリレートが含まれる。特に好ましいモノマーは、t−ブチルメタクリレートおよびt−ブチルアクリレートである。これらの構造単位は、単独で、またはそれらの2種以上の組み合わせとして使用することができる。
【0315】
酸分解性基を含む構造単位の好ましい具体的な例には、以下のモノマー単位:
【化28】
が含まれる。
【0316】
酸分解性基を有する構造単位を形成するモノマーの含量は、特定の樹脂(A)を構成する全モノマー単位に対して、好ましくは5モル%〜60モル%であり、より好ましくは10モル%〜50モル%、特に好ましくは10モル%〜40モル%である。該含量が上記範囲である場合に、高い感度および広い露出寛容度を有する感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0317】
カルボキシル基またはフェノール性ヒドロキシル基と反応することによって共有結合を形成することが可能な官能基
カルボキシル基またはフェノール性ヒドロキシル基と反応することによって共有結合を形成することが可能な官能基の例には、エポキシ基、オキセタニル基、酸無水物基、酸ハロゲン化物基およびイソシアネート基が含まれる。これらの官能基のいずれかを含むラジカル重合可能なモノマーは、好ましくは特定の樹脂(A)の合成のために使用される。官能基のなかでも、エポキシ基および/またはオキセタニル基が好ましい。
【0318】
エポキシ基および/またはオキセタニル基を有する構造単位は、好ましくは、脂環式エポキシ基および/またはオキセタニル基を有する構造単位、より好ましくはオキセタニル基を有する構造単位である。
【0319】
脂環式エポキシ基は、縮合された環が脂肪族環およびエポキシ環から形成される基である。脂環式エポキシ基の好ましい具体的な例には、3,4−エポキシシクロヘキシル基、2,3−エポキシシクロヘキシル基および2,3−エポキシシクロペンチル基が含まれる。
【0320】
オキセタニル基を含む基は、それがオキセタニル環を含む限りは特に制限されるものではないが、その好ましい例は、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル基である。
【0321】
エポキシ基および/またはオキセタニル基を有する構造単位は、それが少なくとも1個のエポキシ基またはオキセタニル基を有する限りは、特に制限されるものではない。単独の構造単位は、1つ以上のエポキシ基および1つ以上のオキセタニル基、2つ以上のエポキシ基、または2つ以上のオキセタニル基を特に制限されることなく含んでよいが、該構造単位中に含まれるエポキシ基および/またはオキセタニル基の総数は、好ましくは1個〜3個、より好ましくは1個または2個であり、さらにより好ましくは1個のエポキシ基または1個のオキセタニル基である。
【0322】
特定の樹脂(A)の構造単位に関する化学式において、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基等によって許容され得る置換基は、それが、本発明による組成物または硬化被膜形成法に悪影響を及ぼさない不活性置換基である限りは、あらゆる置換基であってよい。そのような置換基の具体的な例には、1個〜4個の炭素原子を有する低級アルコキシ基、2個〜5個の炭素原子を有するアシル基および塩素原子が含まれる。
【0323】
エポキシ基を有する構造単位の形成のために使用されるラジカル重合可能なモノマーの具体的な例には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジル α−エチルアクリレート、グリシジル α−n−プロピルアクリレート、グリシジル α−n−ブチルアクリレート、3,4−エポキシブチルアクリレート、3,4−エポキシブチルメタクリレート、6,7−エポキシヘプチルアクリレート、6,7−エポキシヘプチルメタクリレート、6,7−エポキシヘプチル α−エチルアクリレート、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルおよび日本国特許第4168443号の段落[0031]〜[0035]に記載される脂環式エポキシ骨格を含む化合物が含まれる。
【0324】
オキセタニル基を有する構造単位を形成するために使用されるラジカル重合可能なモノマーの例には、特開2001−330953号公報の段落[0011]〜[0016]に記載されるオキセタニル基を含む(メタ)アクリル酸エステルが含まれる。
【0325】
ラジカル重合可能なモノマーの好ましい一例は、1−エチル−3−オキサシクロブチルメチル(メタ)アクリレートである。
【0326】
エポキシ基またはオキセタニル基の少なくとも1つを有する構造単位を形成するために使用されるラジカル重合可能なモノマーの好ましい例には、メタクリル酸エステル構造を有するモノマーおよびアクリル酸エステル構造を有するモノマーが含まれる。
【0327】
これらのモノマーのなかでも、さらにより好ましいモノマーは、日本国特許第416844号の段落[0034]〜[0035]に記載される脂環式エポキシ骨格を含む化合物ならびに特開2001−330953号公報の段落[0011]〜[0016]に記載されるオキセタニル基を含む(メタ)アクリレートであり、そこに記載されるオキセタニル基を含む(メタ)アクリレートが特に好ましい。なかでも、好ましい例は、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルアクリレートおよび(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレートであり、最も好ましいのは、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルアクリレートおよび(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレートである。これらの構造単位は、単独で、またはそれらの2種以上の組み合わせとして使用することができる。
【0328】
カルボキシル基またはフェノール性ヒドロキシル基と反応させることによって共有結合を形成することが可能な官能基を有する構造単位の好ましい具体的な例には、以下の構造単位:
【化29】
が含まれる。
【0329】
カルボキシル基またはフェノール性ヒドロキシル基との反応によって共有結合を形成することが可能な官能基を有する構造単位を構成するモノマー単位の含量は、特定の樹脂(A)を構成する全モノマー単位に対して、好ましくは10モル%〜80モル%であり、より好ましくは15モル%〜70モル%、特に好ましくは20モル%〜65モル%である。
【0330】
これらの構造単位のうち、オキセタニル基を含む構造単位は、感光性樹脂組成物の保存安定性を改善する点において特に好ましい。
【0331】
酸分解性基を有する構造単位およびカルボキシル基またはフェノール性ヒドロキシル基との反応によって共有結合を形成することが可能な官能基を有する構造単位の間の含量比は、上述のその好ましい含量を満たすのに加えて、好ましくは、モル比に関して1:1から2:1までである。その含量比が前記範囲内にある場合に、感度、露出寛容度および保存安定性は、同時に改善することができる。
【0332】
その他の構造単位:
具体的な樹脂(A)は、前記構造単位以外に更なる構造単位を含んでよい。更なる構造単位を形成する例示的なラジカル重合可能なモノマーには、特開2004−264623号公報の段落[0021]〜[0024]に記載される化合物が含まれる。
【0333】
なかでも、電気的特性の改善の観点からは、脂環式構造を含む(メタ)アクリレート、例えばジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシルアクリレートが好ましい。
【0334】
特定の樹脂(A)には、好ましくは、更なる構造単位として、スチレン誘導体、マレイミド誘導体、(メタ)アクリル酸およびヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物から誘導される構造単位が含まれる。
【0335】
好ましいスチレン誘導体には、スチレン、クロロメチルスチレンおよびアセトキシスチレンが含まれる。
【0336】
好ましいマレイミド誘導体には、N−ブチルマレイミドおよびN−シクロヘキシルマレイミドが含まれる。
【0337】
好ましいヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよび4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが含まれる。
【0338】
更なる構造単位を構成するモノマー単位の含量は、特定の樹脂(A)の全構造単位に対して、好ましくは0モル%〜50モル%、より好ましくは0モル%〜45モル%、特に好ましくは5モル%〜40モル%である。
【0339】
該特定の樹脂(A)の質量平均分子量は、好ましくは1000〜100000、より好ましくは2000〜50000である。絶縁層で使用される質量平均分子量は、好ましくはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレンに対する質量平均分子量である。
【0340】
以下は特定の樹脂(A)の好ましい例であり、それと一緒に構成モノマーおよびその共重合比が括弧内に示される。しかしながら、絶縁層を形成する組成物は、これらの例に制限されるものではない。
【0341】
特定の樹脂(A)の以下の例の質量平均分子量は、好ましくは2000から50000までである。
【0342】
1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/グリシジルメタクリレートコポリマー(55/25/20)、
1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/グリシジルメタクリレート/メタクリレートコポリマー(55/25/10/10)、
1−エトキシエチルメタクリレート/テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート/グリシジルメタクリレート/メタクリレートコポリマー(25/45/20/10)、
1−エトキシエチルメタクリレート/テトラヒドロ−2H−フラン−2−イルメタクリレート/グリシジルメタクリレート/メタクリレートコポリマー(35/35/15/15)、
1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートコポリマー(35/40/25)、
1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/メタクリレートコポリマー(40/15/25/20)、
1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー(45/35/10/10)、
1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー(40/30/10/10)、
1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー(30/20/20/15/15)、
1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエート/メチルメタクリレートコポリマー(40/15/15/15/15)、
1−エトキシエチルメタクリレート/テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー(20/30/20/30)、
1−エトキシエチルメタクリレート/テトラヒドロ−2H−フラン−2−イルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー(25/35/25/15)、
1−エトキシエチルメタクリレート/テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー(40/20/20/15/5)、
1−エトキシエチルメタクリレート/テトラヒドロ−2H−フラン−2−イルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー(35/20/20/15/10)、
1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー(25/25/25/25)、
1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー(20/35/20/15/10)、
1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレートコポリマー(45/25/30)、
1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/メタクリレートコポリマー(25/25/35/15)、
1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー(35/25/20/20)、
1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー(35/25/20/20)、
1−エトキシエチルメタクリレート/2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー(25/25/25/25)、
1−エトキシエチルメタクリレート/1−メチル−1−シクロヘキシルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー(15/50/15/20)、
1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(2−メタクリロイルオキシエチル)4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー(40/25/20/15)、
1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(6−メタクリロイルオキシヘキシル)4−ヒドロキシベンゾエートコポリマー(30/30/20/20)、
1−エトキシエチルメタクリレート/t−ブチルメタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/(3−メタクリロイルオキシプロピル)4−ヒドロキシベンゾエート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー(20/20/25/25/10)、
1−エトキシエチルメタクリレート/メタクリレート/グリシジルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー(30/10/40/20)、
1−シクロヘキシルオキシエチルメタクリレート/メタクリレート/グリシジルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー(40/10/30/20)、
テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート/メタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー(30/10/40/20)、
テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート/メタクリレート/グリシジルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー(30/10/40/20)、
テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート/メタクリレート/グリシジルメタクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー(30/10/40/15/5)、
テトラヒドロフラン−2−イルメタクリレート/メタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー(40/10/30/20)、
テトラヒドロフラン−2−イルメタクリレート/メタクリレート/グリシジルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー(41/9/30/20)、
1−エトキシエチルメタクリレート/メタクリレート/グリシジルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレートコポリマー(30/15/30/20/5)、
1−エトキシエチルメタクリレート/メタクリレート/グリシジルメタクリレート/ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート(NOF Corp.社製の商品名BLEMMER 50PEP−300)/ジシクロペンタニルメタクリレートコポリマー(50/10/30/4/6)、
1−エトキシエチルメタクリレート/メタクリレート/グリシジルメタクリレート/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NOF Corp.社製の商品名BLEMMER PME−400)コポリマー(46/4.5/48/1.5)、
1−シクロヘキシルオキシエチルメタクリレート/アクリレート/グリシジルメタクリレート/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NOF Corp.社製の商品名BLEMMER PME−400)コポリマー(40/15/43/2)、
1−シクロヘキシルオキシエチルメタクリレート/メタクリレート/グリシジルメタクリレート/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(NOF Corp.社製の商品名BLEMMER PME−400)/ジシクロペンタニルメタクリレートコポリマー(40/15/33/2/10)、
テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート/メタクリレート/グリシジルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー(42/10/28/20)、
1−エトキシエチルメタクリレート/メタクリレート/(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートコポリマー(45/10/25/20)。
【0343】
前記特定の樹脂(A)は、単独で、またはそれらの2種以上の組み合わせとして使用することができる。本発明による感光性樹脂組成物中の特定の樹脂(A)の含量は、感光性樹脂組成物の全固体含量に対して、好ましくは20質量%〜99質量%、より好ましくは40質量%〜97質量%、さらにより好ましくは60質量%〜95質量%である。特定の樹脂(A)の含量が前記範囲内である場合に、現像にあたり好ましいパターンを形成することができる。本明細書において、感光性樹脂組成物の固体含量は、溶剤以外の成分の総量を指す。特定の樹脂(A)以外の樹脂の含量は、好ましくは該特定の樹脂(A)よりも小さい。
【0344】
感光性酸発生剤(B):
前記の式(I)および(IA)の化合物は、上述の配合物中で成分(B)として使用される。
【0345】
増感剤(C):
前記配合物中の任意の成分(C)、つまり増感剤としては、前記の増感剤化合物が適している。前記の絶縁層のためのポジ型感光性樹脂組成物においては、増感剤(C)の含量は、前記特定の樹脂(A)100質量部に対して、0.1質量部から10質量部までの範囲内、より好ましくは0.5質量部から10質量部までの範囲内である。
【0346】
溶剤(D):
本発明のポジ型感光性樹脂組成物には、好ましくは(D)溶剤が含まれる。適切なのは、前記の溶剤である。
【0347】
その他の添加剤:
一般的に、ポジ型感光性樹脂組成物において、必要であれば、以下の公知の添加剤:(E)酸化防止剤、(F)架橋剤、(G)接着向上剤、(H)塩基性化合物、(L)界面活性剤、(J)可塑剤、(K)熱的ラジカル発生剤、熱的酸発生剤、紫外線吸収剤、増粘剤、有機または無機懸濁剤等を任意の成分として使用することができる。
【0348】
(E)酸化防止剤:
酸化防止剤(E)は、公知の酸化防止剤であってよく、酸化防止剤の添加により、硬化被膜の着色をより好ましく抑制することが可能となる。さらに、出発材料の分解等による膜厚の減少量は低下し、得られた硬化被膜の耐熱性透明性はさらに改善され得る。本発明において使用することができる酸化防止剤の例には、リン系酸化防止剤、ヒドラジド、ヒンダードアミン酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸、硫酸亜鉛、糖類、ニトリル類、スルフィット類、チオスルフェート類およびヒドロキシルアミン誘導体が含まれる。なかでも、フェノール系酸化防止剤は、硬化被膜の着色を効果的に抑え、膜厚の低下を抑えるという点で特に好ましい。フェノール系酸化防止剤は、市販製品としても入手することができ、それらの例には、ADEKASTUB AO−60、ADEKASTUB AO−80(株式会社アデカによって製造される)およびIRGANOX 1098(BASF Japan Ltd.によって製造される)が含まれる。酸化防止剤(E)は、単独で、またはそれらの2種以上の混合物として使用することができる。酸化防止剤(E)の含量は、感光性樹脂組成物の全固体含量に対して、0.1質量%から6質量%までの範囲内、より好ましくは0.2質量%から5質量%までの範囲内、特に好ましくは0.5質量%から4質量%までの範囲内である。さらに、酸化防止剤(E)以外の添加剤として、日刊工業新聞株式会社によって発行された「高分子添加剤の新展開(New Horizon of High Polymer Additives)」に記載される様々な紫外線吸収剤ならびに前記の紫外線吸収剤、金属不活性化剤等は、本発明の感光性樹脂組成物に添加してよい。
【0349】
(F)架橋剤
架橋剤(F)の例には、分子中に2つ以上のエポキシ基またはオキセタニル基を含む化合物、アルコキシメチルを含む架橋剤および少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が含まれる。
【0350】
分子中に2つ以上のエポキシ基またはオキセタニル基を含む化合物:
分子中に2つ以上のエポキシ基またはオキセタニル基を含む化合物の具体的な例には、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂および脂肪族エポキシ樹脂が含まれる。これらの化合物は市販されている。ビスフェノールAエポキシ樹脂の例には、JER 827、JER 828、JER 834、JER 1001、JER 1002、JER 1003、JER 1055、JER 1007、JER 1009およびJER 1010(全て日本エポキシ樹脂株式会社によって製造される)、EPICLON 860、EPICLON 1050、EPICLON 1051およびEPICLON 1055(全てDIC Co. Ltd.によって製造される)が含まれ、ビスフェノールFエポキシ樹脂の例には、JER 806、JER 807、JER 4004、JER 4005、JER 4007およびJER 4010(全て日本エポキシ樹脂株式会社によって製造される)、EPICLON N−740、EPICLON N−770およびEPICLON N−775(全てDIC Co. Ltd.によって製造される)が含まれ、クレゾールノボラックエポキシ樹脂の例には、EPICLON N−660、EPICLON N−665、EPICLON N−670、EPICLON N−673、EPICLON N−680、EPICLON N−690およびEPICLON N−695(全てDIC Co. Ltd.によって製造される)およびEOCN−1020(日本化薬株式会社によって製造される)が含まれ、かつ脂肪族エポキシ樹脂の例には、ADEKA RESIN EP−4080S、ADEKA RESIN EP−4085SおよびADEKA RESIN EP−4088S(株式会社アデカによって製造される)、CELLOXIDE 2021P、CELLOXIDE 2081、CELLOXIDE 2083、CELLOXIDE 2085、EHPE 3150、EPOLEAD PB 3600およびEPOLEAD PB 4700(ダイセル化学工業株式会社によって製造される)が含まれる。これらの例の他に、ADEKA RESIN EP−4000S、ADEKA RESIN EP−4003S、ADEKA RESIN EP−4010S、ADEKA RESIN EP−4011S、NC−2000、NC−3000、NC−7300、XD−1000、EPPN−501、EPPN−502(株式会社アデカによって製造される)を使用することもできる。これらの製品は、単独で、またはそれらの2種以上の組み合わせとして使用することができる。なかでも、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂およびフェノールノボラックエポキシ樹脂が好ましい。ビスフェノールAエポキシ樹脂が特に好ましい。分子中に2つ以上のオキセタニル基を含む化合物の具体的な例には、ARON OXETANE OXT−121、OXT−221、OX−SQおよびPNOX(東亞合成株式会社によって製造される)が含まれる。オキセタニル基を含む化合物は、単独で、またはエポキシ基を含む化合物との混合物として使用することもできる。感光性樹脂組成物における、分子中に2つ以上のエポキシ基またはオキセタニル基を含む化合物の量は、前記特定の樹脂(A)の総量100質量部に対して、好ましくは1質量部から50質量部までの範囲内、より好ましくは3質量部から30質量部までの範囲内である。
【0351】
アルコキシメチル基を含む架橋剤:
アルコキシメチル基を含む架橋剤の好ましい例には、アルコキシメチル化されたメラミン、アルコキシメチル化されたベンゾグアナミン、アルコキシメチル化されたグリコールウリルおよびアルコキシメチル化された尿素が含まれる。これらの化合物は、アルコキシメチル化されるメラミン、アルコキシメチル化されるベンゾグアナミン、アルコキシメチル化されるグリコールウリルまたはアルコキシメチル化される尿素のメチロール基を、アルコキシメチル基で置換することによって得ることができる。アルコキシメチル基の種類は特に制限されるものではなく、それらの例には、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基およびブトキシメチル基が含まれる。ガス発生量の観点から、ブトキシメチル基が特に好ましい。これらの架橋性化合物のなかでも、アルコキシメチル化されたメラミン、アルコキシメチル化されたベンゾグアナミンおよびアルコキシメチル化されたグリコールウリルが好ましい。透明性の観点から、アルコキシメチル化されたグリコールウリルが特に好ましい。これらのアルコキシメチル基を含む架橋剤は市販されており、それらの好ましい例には、CYMEL 300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174、UFR 65、300(全て三井シアナミド株式会社によって製造される)、NIKALAC MX−750、−032、−706、−708、−40、−31、−270、−280、−290、NIKALAC MS−11、NIKALAC MW−30 HM、−100 LMおよび−390(全て三和化学株式会社によって製造される)が含まれる。感光性樹脂組成物においては、アルコキシメチル基を含む架橋剤の含量は、前記特定の樹脂(A)100質量部に対して、0.05質量部から50質量部までの範囲内、より好ましくは0.5質量部から10質量部までの範囲内である。
【0352】
(G)接着向上剤:
接着向上剤(G)の例は、基材のような無機物質、例えばケイ素化合物、例えばシリコン、酸化ケイ素および窒化ケイ素、ならびに誘電膜および金、銅もしくはアルミニウムのような金属の間の付着を向上させる化合物である。接着向上剤の具体的な例には、シランカップリング剤およびチオールベースの化合物が含まれる。本発明において接着向上剤として使用されるシランカップリング剤は、界面の変性をもたらし、特に制限されずに公知の化合物から選択することができる。
【0353】
シランカップリング剤の好ましい例には、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシランおよびビニルトリアルコキシシランが含まれる。これらのうち、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランおよびγ−メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましく、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが、さらにより好ましい。これらの化合物は、単独で、またはそれらの2種以上の組み合わせとして使用することができる。これらの化合物は、基材への付着の向上の点で効果的であり、基材に対するテーパ角度を調節する点でも効果的である。本発明の感光性樹脂組成物においては、成分(G)の含量は、前記特定の樹脂(A)100質量部に対して、0.1質量部から20質量部までの範囲内、より好ましくは0.5質量部から10質量部までの範囲内である。
【0354】
(H)塩基性化合物:
塩基性化合物は、化学増幅型レジスト材料中で使用される化合物から選択することができる。塩基性化合物の例には、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシドおよびカルボン酸の第四級アンモニウム塩が含まれる。塩基性化合物の具体的な例には、特開2009−98616号公報の段落[0052]〜[0056]に記載される化合物が含まれる。本発明において使用することができる塩基性化合物は、単独で、または2種以上の組合せ物として使用することができるが、2種の組合せ物が好ましく、2種の複素環式アミンの組合せがより好ましい。感光性樹脂組成物中の塩基性化合物(H)の含量は、前記特定の樹脂(A)100質量部に対して、0.001質量部から1.0質量部までの範囲内、より好ましくは0.005質量部から0.2質量部までの範囲内である。
【0355】
(L)界面活性剤:
該界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性または両性であってよいが、非イオン性界面活性剤が好ましい。界面活性剤の例には、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール高級脂肪酸ジエステル、シリコーンおよびフッ素系界面活性剤が含まれる。市販の製品の例には、KP(信越化学株式会社によって製造される商品名)、POLYFLOW(共栄社化学株式会社の商品名)、FTOP(JEMCO Inc.によって製造される商品名)、MEGAFAC(DIC Co., Ltd.によって製造される商品名)、FLUORAD(住友3M株式会社によって製造される商品名)、ASAHIGUARDおよびSURFLON(旭硝子株式会社によって製造される商品名)ならびにPOLYFOX(OMNOVA Co., Ltd.によって製造される商品名)が含まれる。界面活性剤として使用されるコポリマーの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは1500から5000までの範囲である。界面活性剤は、単独で、またはそれらの2種以上の混合物として使用することができる。感光性樹脂組成物中の界面活性剤(L)の量は、前記特定の樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは0.01質量部〜10質量部、さらにより好ましくは0.01質量部〜1質量部である。
【0356】
(J)可塑剤:
可塑剤の例には、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジメチルグリセリンフタレート、ジブチルタータレート、ジオクチルアジペートおよびトリアセチルグリセリンが含まれる。感光性樹脂組成物中の可塑剤(J)の量は、前記特定の樹脂(A)100質量部に対して、0.1質量部から30質量部までの範囲内、より好ましくは1質量部から10質量部までの範囲内である。
【0357】
(K)熱的ラジカル発生剤:
前記感光性樹脂組成物は、熱的ラジカル発生剤(K)を含んでよい。その感光性樹脂組成物がエチレン性不飽和化合物、例えば少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を含む化合物を含む場合には、該組成物は、好ましくは熱的ラジカル発生剤(K)を含有する。熱的ラジカル発生剤は、熱エネルギーによってラジカルを発生し、重合可能な化合物の重合反応を開始または促進する化合物である。熱的ラジカル発生剤の添加は、硬化被膜の強度を高めることがあり、それにより、耐熱性および耐溶剤性が向上される。熱的ラジカル発生剤の好ましい例には、芳香族ケトン、オニウム塩化合物、有機ペルオキシド、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素−ハロゲン結合を有する化合物、アゾベースの化合物およびジベンジル化合物が含まれる。熱的ラジカル開始剤の更なる例は、米国特許第6929896号明細書(US6929896)、国際公開第2010057922号パンフレット(WO2010057922)、国際公開第2012113829号パンフレット(WO2012113829)、国際公開第2012101245号パンフレット(WO2012101245)、国際公開第2013156509号パンフレット(WO2013156509)または国際公開第2014064064号パンフレット(WO2014064064)に開示されている。熱的ラジカル発生剤は、単独で、またはそれらの2種以上の組み合わせとして使用することができる。本発明の感光性発生剤中の熱的ラジカル発生剤(K)の量は、被膜特性の改善の観点からは、前記特定の樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部から50質量部までの範囲内、より好ましくは0.1質量部から20質量部までの範囲内、最も好ましくは0.5質量部から10質量部までの範囲内である。
【0358】
感光性樹脂組成物の製造方法:
感光性樹脂組成物は、例えば特定の樹脂(A)、式(I)または(IA)の特定の酸発生剤(B)、増感剤(C)および任意の成分を所定の比率で混合し、そしてこれらの成分を撹拌によって溶解させることによって製造することができる。より具体的には、例えば該樹脂組成物は、成分(A)〜(C)がそれぞれ溶剤(D)中に溶解されて含む溶液を調製し、次いでこれらの溶液を所定の比率で混合することによって製造することができる。こうして製造された組成物溶液は、任意に使用前に濾過することができる。
【0359】
硬化被膜の形成方法:
本発明による硬化被膜の形成方法には、以下のステップ(1)〜(5)が含まれる。
【0360】
ステップ(1) 本発明のポジ型感光性樹脂を基材に適用するステップ、
ステップ(2) 適用されたポジ型感光性樹脂組成物から溶剤を除去するステップ、
ステップ(3) ポジ型感光性樹脂組成物を化学線露光するステップ、
ステップ(4) 露光されたポジ型感光性樹脂組成物を水性現像剤で現像するステップ、および
ステップ(5) ポストベークを実施して、ポジ型感光性樹脂組成物を熱により硬化させるステップ。
【0361】
ステップ(1)において、本発明のポジ型感光性樹脂を基材に適用して、溶剤を含む湿式被膜を形成する。
【0362】
ステップ(2)においては、溶剤を適用した被膜から減圧(真空印加)および/または加熱によって除去し、そして乾燥された感光性樹脂組成物層(被膜)が基材上に形成される。
【0363】
ステップ(3)において、300nm〜450nmの波長を有する化学線を、得られた塗膜に適用する。このステップにおいて、式(I)または(IA)の特定の酸発生剤(B)は分解し、酸を発生する。発生した酸の触媒作用によって、特定の樹脂(A)中に含まれる酸分解性基の加水分解が生じ、カルボキシル基および/またはフェノール性ヒドロキシル基が生ずる。
【0364】
必要に応じて、酸触媒が発生される領域には、露光後ベーク(以下、PEBとも呼ばれる)が行われ、加水分解が加速され得る。PEBの実施によって、酸分解性基からのカルボキシル基の発生が加速され得る。
【0365】
本発明において、特定の樹脂(A)中の酸分解性基は、酸による分解の低い活性化エネルギーを有するので、その酸分解性基は、酸発生剤から導かれる酸により容易に分解して、カルボキシル基を生ずる。したがって、本発明においては、ポジ型像は、PEBの実施をせずに現像によって形成することができる。さらに、比較的低温でのPEBの実施によって、酸分解性基の加水分解を、架橋反応を引き起こさずに加速させることができる。PEBの実施のための温度は、30℃から130℃まで、より好ましくは40℃から100℃まで、特に好ましくは60℃から90℃までである。
【0366】
ステップ(4)においては、遊離カルボキシル基を含むポリマーが、アルカリ性現像剤で現像される。アルカリ性現像剤中で容易に溶解するカルボキシル基を有する樹脂組成物を含有する露光された領域を除去することによって、ポジ型の像を形成することができる。
【0367】
ステップ(5)においては、得られたポジ型の像を加熱することによって、硬化被膜は、ポジ型の像を加熱して、特定の樹脂(A)中の酸分解性基を熱分解させることで、カルボキシル基を生じさせ、そして該カルボキシル基をエポキシ基および/またはオキセタニル基と架橋させることによって形成される。加熱温度は、好ましくは150℃以上、より好ましくは180℃から250℃まで、特に好ましくは200℃から250℃までである。加熱のための時間は、適宜、加熱温度等に応じて決定することができるが、好ましくは10分から90分までの範囲内である。
【0368】
現像されたパターンの全領域を、ポストベークの前に化学線、好ましくは紫外線に曝露するステップを追加することによって、架橋反応は、化学線照射の間に発生する酸によって促進することができる。
【0369】
感光性樹脂組成物の製造方法:
硬化被膜の形成のために使用される感光性樹脂組成物の製造方法は前記の通りである。溶剤(D)の量は、形成されるべき感光性樹脂組成物層の厚さを考慮して調整することができる。さらに、界面活性剤等は、塗膜の表面特性を改善する目的のために使用することができる。
【0370】
適用ステップおよび溶剤除去ステップ:
乾燥被膜は、樹脂組成物を基材に適用し、溶剤を減圧および/または加熱(プリベーク)によって除去することによって得られる。基材の例には、液晶ディスプレイデバイスの製造の場合には、偏光板、任意に黒色マトリックス層およびカラーフィルター層、ならびに透明導電性回路層が設けられたガラス板が含まれる。樹脂組成物の適用方法は、特に制限されるものではないが、それらの例には、スリットコーティング、吹き付け塗布、ロールコーティングおよびスピンコーティングが含まれる。なかでも、スリットコーティングは、大型基板への適性の観点で好ましい。本明細書においては、大型基板とは、各側部で1m以上のサイズを有する基板を指す。
【0371】
溶剤が除去されるステップ(2)での加熱条件は、未露光部分における特定の樹脂(A)中の酸分解性基が分解せずに該特定の樹脂(A)をアルカリ性現像剤中で可溶にするように決定され、それは成分の種類または組成比に応じて変動し得る。加熱条件は、好ましくは約70℃〜120℃および約30秒〜120秒である。
【0372】
露光ステップ:
露光ステップでは、塗膜は予め決められたパターンを有するマスクを介して化学線に曝される。300nm〜450nmの波長を有する化学線を使用することが好ましい。露光後に、加熱(PEB)が必要に応じて行われる。露光は、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、化学ランプ、レーザー光線発生装置等を使用することによって実施することができる。水銀ランプが使用される場合に、g線(436nm)、i線(365nm)、h線(405nm)等の波長を有する化学線を使用することが好ましい。水銀ランプは、それが大面積の露光に適しているため、レーザーと比較して好ましい。レーザーを使用する場合には、343nmまたは355nmの固体状態(YAG)レーザー、351nmのエキシマレーザー(XeF)および375nmまたは405nmの半導体レーザーを使用することができる。なかでも、355nmおよび405nmが、安定性、費用等の点で好ましい。レーザーによる照射は、塗膜に対して1回または複数回行うことができる。
【0373】
レーザーパルス当たりのエネルギー密度は、好ましくは0.1mJ/cm
2から10000mJ/cm
2までである。塗膜を十分に硬化させるために、0.3mJ/cm
2以上がより好ましく、0.5mJ/cm
2以上が最も好ましい。塗膜のアブレーションによる分解を防ぐためには、1000mJ/cm
2以下がより好ましく、100mJ/cm
2以下が最も好ましい。パルス幅は、好ましくは0.1ナノ秒から30000ナノ秒までである。着色被膜のアブレーションによる分解を防ぐためには、0.5ナノ秒以上が好ましく、1ナノ秒以上が最も好ましい。走査露光のアラインメント精度を向上させるためには、1000ナノ秒以下がより好ましく、50ナノ秒以下が最も好ましい。さらに、レーザーの周波数は、好ましくは1Hzから50000Hzまでであり、より好ましくは10Hzから1000Hzまでである。レーザー周波数が1Hzより低い場合に、露光時間は延長されるが、レーザー周波数が50000Hzより高い場合に、走査露光にあたってのアラインメント精度は低下され得る。露光時間を短縮するために、10Hz以上がより好ましく、100Hz以上が最も好ましい。走査露光にあたってのアラインメント精度を向上させるためには、10000Hz以下がより好ましく、1000Hz以下が最も好ましい。レーザーが、水銀ランプよりも有利なのは、レーザーの光線の焦点合わせがより簡単であり、それにより露光の間のパターン形成のためのマスクが省かれる結果としてコスト削減がもたらされる点である。さらに、必要に応じて、曝露光は、ショートパスフィルタ、ロングパスフィルタまたは帯域フィルタのような分光フィルタを通じて調整することができる。
【0374】
現像ステップ:
現像ステップにおいては、イメージパターンが、露光された領域を塩基性現像剤で除去することによって形成される。塩基性化合物の例には、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム、アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム、アルカリ金属重炭酸塩、例えば重炭酸ナトリウムおよび重炭酸カリウム、アンモニウム水酸化物、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムおよび水酸化コリン、ならびにケイ酸ナトリウムおよびメタケイ酸ナトリウムのような水溶液が含まれる。また、適切な量の水性有機溶剤、例えばメタノールもしくはエタノールまたは界面活性剤を、上述のアルカリ金属化合物の水溶液に添加することによって調製された水溶液を使用することも可能である。現像剤のpHは、好ましくは10.0から14.0までである。現像時間は、好ましくは30秒から180秒までであり、現像法は、パドル法、浸漬法等のいずれであってもよい。現像後に、パターンを流水で30秒〜90秒にわたってすすぎ、それによって所望のパターンが得られる。
【0375】
ポストベークステップ(架橋ステップ)
未露光領域から形成される現像によって得られたパターンは、加熱器、例えばホットプレートまたは炉を用いて、例えば180℃から250℃までの温度で加熱される。その時間は、ホットプレート上で、例えば5分から60分までであり、または炉中で30分から90分までである。該パターンを加熱することによって、前記特定の樹脂(A)中の酸分解性基が分解されて、カルボキシル基および/またはフェノール性ヒドロキシル基を生じ、そして該カルボキシル基および/またはフェノール性ヒドロキシル基は、特定の樹脂(A)中の上述の官能基と反応して、架橋反応を生じ、それにより、優れた耐熱性、硬度等を有する保護被膜または層間絶縁膜の形成が可能となる。さらに、透明性は、窒素雰囲気下で加熱を実施することによって改善することもできる。加熱の前に、パターンが形成された基材の化学線による再露光を実施し、引き続きポストベークを行い、未露光領域中に存在する成分(B)から酸を発生させ、その酸を架橋反応の促進のための触媒として利用することが好ましい。つまり、本発明による硬化被膜の形成方法は、好ましくは、現像およびポストベークの間に化学線による再露光を実施するステップを含む。
【0376】
再露光ステップにおける露光は、上述の露光ステップと同様にして実施することができる。再露光は、好ましくは、本発明の感光性樹脂組成物から被膜が形成されている基材の片側の全表面に対して行われる。再露光ステップでの露光量は、好ましくは50mJ/cm
2から1000mJ/cm
2までである。
【0377】
本発明の感光性樹脂組成物では、高温でベークされても、優れた絶縁特性および高い透明性を有する層間誘電膜を得ることができる。本発明による感光性樹脂
組成物でできた層間誘電膜は、硬化被膜の高い透明性および優れた物理的特性を示す。したがって、該誘電膜は、有機ELディスプレイデバイスおよび液晶ディスプレイデバイスのために有用である。本発明による有機電子(EL)ディスプレイデバイスおよび液晶ディスプレイデバイスの構造は、これらのディスプレイデバイスが、本発明による感光性樹脂組成物から形成された偏光フィルムまたは層間誘電膜を含む限りは特に制限されるものではなく、様々な構造を有するあらゆる公知のデバイスが本発明の範囲内である。
【0378】
以下は、本発明の例示的な実施形態である。しかしながら、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
【0379】
酸解離性基を有する構造単位およびカルボキシル基もしくはフェノール性ヒドロキシル基と反応することによって共有結合を形成することが可能な官能基を有する構造単位を含む樹脂(A)と、
前記の式(I)または(IA)によって表される酸発生剤(B)と、
を含む、ポジ型感光性樹脂組成物。
【0380】
興味深いのは、前記のポジ型感光性樹脂組成物であって、その酸発生剤が式(IA)によって表されるものである。
【0381】
例えば、アントラセン誘導体、アクリドン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、塩基性スチリル誘導体およびジスチリルベンゼン誘導体からなる群から選択される増感剤をさらに含む、前記のポジ型感光性樹脂組成物。
【0382】
また興味深いのは、樹脂(A)が、スチレン誘導体、マレイミド誘導体、(メタ)アクリル酸およびヒドロキシル基を含む(メタ)アクリレートからなる群から選択される化合物から誘導される少なくとも1つの構造単位をさらに含む、前記のポジ型感光性樹脂組成物、ならびにカルボキシル基またはフェノール性ヒドロキシル基と反応することによって共有結合を形成することが可能な官能基が、エポキシ基およびオキセタニル基から選択される少なくとも1つである、ポジ型感光性樹脂組成物、特にカルボキシル基またはフェノール性ヒドロキシル基と反応することによって共有結合を形成することが可能な官能基がオキセタニル基である、ポジ型感光性樹脂組成物である。
【0383】
さらに興味深いのは、硬化被膜の形成方法であって、
(1)前記のポジ型感光性樹脂組成物を基材上に適用することで、感光性樹脂組成物層を形成するステップと、
(2)該感光性樹脂組成物層から溶剤を除去するステップと、
(3)溶剤が除去されたポジ型感光性樹脂組成物をパターン状に化学線露光するステップと、
(4)露光されたポジ型感光性樹脂組成物を水性現像剤で現像するステップと、
(5)現像後の現像された感光性樹脂組成物層を加熱により硬化させるステップと、
を含む方法である。
【0384】
さらに興味深いのは、前記方法によって形成された硬化被膜ならびに該硬化被膜から形成される層間誘電膜、該硬化被膜を含む有機ELディスプレイデバイスおよび該硬化被膜を含む液晶ディスプレイデバイスである。
【0385】
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するものであって、その範囲をその実施例のみに限定するものではない。部およびパーセンテージは、発明の詳細な説明の残りの部分と特許請求の範囲において、特に記載がない限り質量に対するものである。3つより多くの炭素原子を有するアルキル基が、実施例において特定の異性体を何ら挙げずに示される場合に、それぞれの場合においてn−異性体を表す。
【0386】
OS1の製造(特許請求の範囲を代表するものではない)
【化30】
【0387】
1.1: 3.00gのサリチルアルデヒドおよび4.52gの4,4,4−エチルトリフルオロアセトアセテートをアセトニトリル(50ml)中に入れたものに、115mgのピペリジンを添加し、還流下に21時間にわたって撹拌する。その反応混合物を室温に冷やし、水を添加する。沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥させることで、4.68gのIM1−1が白色固体として得られる。
【0388】
1.2: 4.60gのIM1−1をクロロベンゼン(32ml)中に入れたものに、342mgのp−トルエンスルホン酸一水和物を添加し、還流下に17時間にわたって撹拌する。溶剤を蒸発によって除去し、トルエン(30ml)および水をその混合物に添加する。有機層を水層から分離する。その溶液を3時間にわたって還流させ、生じた水をディーン・スタークトラップによって除去する。室温に冷却した後に、その反応混合物を濃縮する。生じた固体をジクロロメタンおよびヘキサンの混合物から再結晶化させることで、2.3gのIM1−2が白色固体として得られる。
【0389】
1.3: 508mgのIM1−2をエタノール(5ml)中に入れたものに、176mgの塩化ヒドロキシルアンモニウムを添加し、そして22時間にわたって還流させる。室温に冷却した後に、その反応混合物に水を添加する。沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥させることで、383mgのIM1−3が白色固体として得られる。
【0390】
1.4: 303mgのIM1−3をテトラヒドロフラン(THF)(5ml)中に入れたものに、203mgの塩化n−プロパンスルホニルおよび168mgのトリエチルアミンを0℃で添加する。2.5時間にわたって撹拌した後に、その混合物に水を添加する。沈殿物を濾過により回収し、乾燥させることで、350mgのOS1が白色固体として得られる。物理データを、以下の第1表にまとめる。
【0391】
OS2の製造(特許請求の範囲を代表するものではない)
【化31】
【0392】
2.1: 4.40gの4−メトキシサリチルアルデヒドおよび6.45gの4,4,4−エチルトリフルオロアセトアセテートをアセトニトリル(60ml)中に入れたものに、275mgのピペリジンを添加し、還流下に31時間にわたって撹拌する。その反応混合物を室温に冷やし、水およびジクロロメタンを添加する。有機溶剤を回収し、そして真空下で乾燥させることで、IM2−1が黄色樹脂状物として得られる。IM2−1は、後続ステップで精製せずに使用される。
【0393】
2.2: IM2−1をクロロベンゼン(60ml)中に入れたものに、600mgのp−トルエンスルホン酸無水物を添加し、還流下に22時間にわたって撹拌する。溶剤を蒸発によって除去し、トルエン(30ml)および水をその混合物に添加する。有機層を水層から分離する。その溶液を3時間にわたって還流させ、生じた水をディーン・スタークトラップによって除去する。室温に冷却した後に、その反応混合物を濃縮する。生じた固体をジクロロメタンおよびヘキサンの混合物から再結晶化させることで、4.32gのIM2−2が白色固体として得られる。
【0394】
2.3: 2.00gのIM2−2をエタノール(15ml)中に入れたものに、660mgの塩化ヒドロキシルアンモニウムを添加し、そして19時間にわたって還流させる。室温に冷却した後に、その反応混合物に水を添加する。沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥させることで、1.17gのIM2−3が白色固体として得られる。
【0395】
2.4: 1.01gのIM2−3をTHF(20ml)中に入れたものに、1.10gの塩化n−プロパンスルホニルおよび600mgのトリエチルアミンを0℃で添加する。15時間にわたって撹拌した後に、その混合物に水を添加する。反応混合物に20mLの酢酸エチルを添加し、水で洗浄する。有機層を濃縮し、溶出剤としてヘキサンおよびジクロロメタンを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。1.15gのOS2が、白色固体として得られる。物理データを、以下の第1表にまとめる。
【0396】
OS3の製造(特許請求の範囲を代表するものではない)
【化32】
【0397】
3.1: 920mgの2,5−ジフェニルフラン、627mgの4,4’−ジメチルアミノピリジン(DMAP)および1.77gの三塩化アルミニウムをジクロロメタン(20ml)中に入れたものに、1.12gのトリフルオロ酢酸無水物を0℃で添加し、4日間にわたって室温で撹拌する。反応混合物に30mLのジクロロメタンを添加し、水で洗浄する。有機層を濃縮し、溶出剤としてヘキサンおよびジクロロメタンを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。385mgのIM3−1が、黄色固体として得られる。
【0398】
3.2: 385mgのIM3−1をエタノール(5ml)中に入れたものに、252mgの塩化ヒドロキシルアンモニウムを添加し、そして2時間にわたって還流させる。室温に冷却した後に、その反応混合物に水を添加し、そして酢酸エチルで抽出する。有機層をMgSO
4を用いて乾燥させ、そして濾過する。溶剤を蒸発させた後に、387mgのIM3−2が、黄色固体として得られる。
【0399】
3.3: 387mgのIM3−2をTHF(10ml)中に入れたものに、171mgの塩化n−プロパンスルホニルおよび217mgのトリエチルアミンを0℃で添加し、そして4時間にわたって撹拌する。反応混合物に10mLの酢酸エチルを添加し、水で洗浄する。有機層を濃縮し、溶出剤としてヘキサンおよびジクロロメタンを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。150mgのOS3が、白色固体として得られる。物理データを、以下の第1表にまとめる。
【0400】
OS4の製造(特許請求の範囲を代表するものではない)
【化33】
【0401】
化合物OS4を、化合物OS2と同様に適切な中間体を使用して製造する。物理データを、以下の第1表にまとめる。
【0402】
OS11の製造(特許請求の範囲を代表するものではない)
【化34】
【0403】
11.1: 5.18gの2,4,6−トリメトキシベンゾアルデヒドをジクロロメタン(60ml)中に入れたものに、4.04gの塩化アルミニウムを添加し、還流下に21時間にわたって撹拌する。その反応混合物を室温に冷やし、水およびジクロロメタンを添加する。有機溶剤を回収し、そして生じた固体をジクロロメタンおよびヘキサンの混合物から再結晶化させることで、3.66gのIM11−1が白色固体として得られる。
【0404】
11.2: 3.66gのIM11−1および4.74gの4,4,4−エチルトリフルオロアセトアセテートをアセトニトリル(60ml)中に入れたものに、275mgのピペリジンを添加し、還流下に31時間にわたって撹拌する。その反応混合物を室温に冷やし、水およびジクロロメタンを添加する。有機溶剤を回収し、そして真空下で乾燥させることで、6.46gのIM11−2が黄色固体として得られる。IM11−2は、後続ステップで精製せずに使用される。
【0405】
11.3: 6.46gのIM11−2をクロロベンゼン(60ml)中に入れたものに、1000mgのp−トルエンスルホン酸を添加し、還流下に22時間にわたって撹拌する。溶剤を蒸発によって除去し、トルエン(30ml)および水をその混合物に添加する。有機層を水層から分離する。その溶液を3時間にわたって還流させ、生じた水をディーン・スタークトラップによって除去する。室温に冷却した後に、その反応混合物を濃縮する。生じた固体をジクロロメタンおよびヘキサンの混合物から再結晶化させることで、4.772gのIM11−3が黄色固体として得られる。
【0406】
11.4: 4.77gのIM11−3をエタノール(15ml)中に入れたものに、1.50gの塩化ヒドロキシルアンモニウムを添加し、そして19時間にわたって還流させる。室温に冷却した後に、その反応混合物に水を添加する。沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥させることで、4.46gのIM11−4が黄色固体として得られる。
【0407】
11.5: 1.51gのIM11−4をTHF(20ml)中に入れたものに、0.82gの塩化n−プロパンスルホニルおよび0.61gのトリエチルアミンを0℃で添加する。15時間にわたって撹拌した後に、その混合物に水を添加する。反応混合物に20mLの酢酸エチルを添加し、水で洗浄する。有機層を濃縮し、溶出剤としてヘキサンおよびジクロロメタンを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。1.42gのOS11が、黄色固体として得られる。
【0408】
OS16の製造(特許請求の範囲を代表するものではない)
【化35】
【0409】
OS16は、塩化n−プロパンスルホニルの代わりに塩化n−ブタンスルホニルを使用することを除き、OS2と同じ手順に従って製造する。
【0410】
OS17の製造
【化36】
【0411】
17.1: 4.40gの4−メトキシサリチルアルデヒドおよび6.45gの4,4,4−エチルトリフルオロアセトアセテートをエタノール(60ml)中に入れたものに、275mgのピペリジンを添加し、還流下に31時間にわたって撹拌する。その反応混合物を室温に冷やし、水およびジクロロメタンを添加する。有機溶剤を回収し、そして真空下で乾燥させることで、IM17−1が黄色樹脂として得られる。IM17−1は、後続ステップで精製せずに使用される。
【0412】
17.2: IM17−1をクロロベンゼン(60ml)中に入れたものに、600mgのp−トルエンスルホン酸無水物を添加し、還流下に22時間にわたって撹拌する。溶剤を蒸発によって除去し、トルエン(30ml)および水をその混合物に添加する。有機層を水層から分離する。その溶液を3時間にわたって還流させ、生じた水をディーン・スタークトラップによって除去する。室温に冷却した後に、その反応混合物を濃縮する。生じた固体をジクロロメタンおよびヘキサンの混合物から再結晶化させることで、4.32gのIM17−2が白色固体として得られる。
【0413】
17.3: 2.00gのIM17−2をエタノール(15ml)中に入れたものに、660mgの塩化ヒドロキシルアンモニウムを添加し、そして19時間にわたって還流させる。室温に冷却した後に、その反応混合物に水を添加する。沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥させることで、1.17gのIM17−3が白色固体として得られる。
【0414】
17.4: 1.01gのIM17−3をジクロロメタン(20ml)中に入れたものに、1.10gのトリフルオロメタンスルホン酸無水物および554mgの2,6−ルチジンを0℃で添加する。15時間にわたって撹拌した後に、その混合物に水を添加する。反応混合物に20mLの酢酸エチルを添加し、水で洗浄する。有機層を濃縮し、溶出剤としてヘキサンおよびジクロロメタンを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。1.15gのOS17が、白色固体として得られる。
【0415】
OS24の製造(特許請求の範囲を代表するものではない)
【化37】
【0416】
24.1: 5.18gの2,4,6−トリメトキシベンゾアルデヒドをジクロロメタン(60ml)中に入れたものに、4.04gの塩化アルミニウムを添加し、還流下に21時間にわたって撹拌する。その反応混合物を室温に冷やし、水およびジクロロメタンを添加する。有機溶剤を回収し、そして生じた固体をジクロロメタンおよびヘキサンの混合物から再結晶化させることで、3.66gのIM24−1が白色固体として得られる。
【0417】
24.2: 3.66gのIM24−1および4.74gの4,4,4−エチルトリフルオロアセトアセテートをアセトニトリル(60ml)中に入れたものに、275mgのピペリジンを添加し、還流下に31時間にわたって撹拌する。その反応混合物を室温に冷やし、水およびジクロロメタンを添加する。有機溶剤を回収し、そして真空下で乾燥させることで、6.46gのIM24−2が黄色固体として得られる。IM24−2は、後続ステップで精製せずに使用される。
【0418】
24.3: 6.46gのIM11−2をクロロベンゼン(60ml)中に入れたものに、1000mgのp−トルエンスルホン酸を添加し、還流下に22時間にわたって撹拌する。溶剤を蒸発によって除去し、トルエン(30ml)および水をその混合物に添加する。有機層を水層から分離する。その溶液を3時間にわたって還流させ、生じた水をディーン・スタークトラップによって除去する。室温に冷却した後に、その反応混合物を濃縮する。生じた固体をジクロロメタンおよびヘキサンの混合物から再結晶化させることで、4.772gのIM24−3が黄色固体として得られる。
【0419】
24.4: 4.77gのIM24−3をエタノール(15ml)中に入れたものに、1.50gの塩化ヒドロキシルアンモニウムを添加し、そして19時間にわたって還流させる。室温に冷却した後に、その反応混合物に水を添加する。沈殿物を濾過により回収し、真空下で乾燥させることで、4.46gのIM24−4が黄色固体として得られる。
【0420】
24.5: 0.53gのIM24−4をジクロロメタン(20ml)中に入れたものに、1.35gのトリフルオロメタンスルホン酸無水物および554mgの2,6−ルチジンを0℃で添加する。15時間にわたって撹拌した後に、その混合物に水を添加する。反応混合物に20mLの酢酸エチルを添加し、水で洗浄する。有機層を濃縮し、溶出剤としてヘキサンおよびジクロロメタンを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製する。1.12gのOS24が、黄色固体として得られる。
【0421】
OS25の製造
【化38】
【0422】
OS25は、塩化n−プロパンスルホニルの代わりに塩化メタンスルホニルを使用することを除き、OS2と同じ手順に従って製造する。
【0423】
OS26の製造(特許請求の範囲を代表するものではない)
【化39】
【0424】
OS26は、塩化n−プロパンスルホニルの代わりに塩化n−オクタンスルホニルを使用することを除き、OS2と同じ手順に従って製造する。
【0425】
前記方法と同様にして製造されるオキシムエステル化合物(特許請求の範囲を代表するものではない)の更なる例は、
【化40】
である。
【0426】
第1表: 化合物リストおよびそれらの物理データ
【表1】
【0427】
【表2】
【0428】
適用例
バインダーポリマーの製造
175.06gのポリ(p−ヒドロキシスチレン)(日本曹達株式会社(日本)によって製造されるVP−8000)および43.9gのビニルエチルエーテルをテトラヒドロフラン(850ml)中に入れたものに、THF(50ml)中の78mgのp−トルエンスルホン酸一水和物を添加する。水浴で14時間撹拌した後に、その反応混合物を、三菱化学株式会社によって製造されたDIAION CR20に通し、そのDIAION CR20をテトラヒドロフラン(1L)によって洗浄する。合した有機溶液を水(15L)中に注ぎ入れることで、粘性固体が生ずる。溶剤をデカンテーションによって除去した後に、3Lの水を添加する。撹拌後に、白色粉末が濾過によって得られる。65℃で3時間に続いて90℃で23時間にわたって乾燥させた後に、174.8gのオフホワイト色の固体が得られる。
【0429】
1−エトキシエチルメタクリレート(MAEVE)の製造
72.70gのエチルビニルエーテルに、0.28gのフェノチアジンおよび2.80gのピリジニウム p−トルエンスルホネートおよび43.70gのメタクリル酸を添加する。5.5時間撹拌した後に、その反応混合物に2.50gの硫酸ナトリウムおよび2.83gの重炭酸ナトリウムを添加する。不溶性の沈殿物を濾過し、その混合物を蒸発器によって濃縮する。粗製物を、真空下での蒸留により精製して、64.42gのMAEVEが、無色の油状物として得られる。
【0430】
コポリマー1の製造
7.93gのMAEVEおよび7.11gのグリシジルメタクリレートを12.50gのPGMEA中に入れたものに、10.01gのPGMEA中の1.05gのV−65(和光純薬工業株式会社によって製造される)を窒素流下で70℃で滴加する。該混合物を8.5時間にわたって撹拌して、コポリマー1の溶液が得られる(固体含量:40%)。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって、コポリマー1の質量平均分子量(Mw)が56000であることが分かった。
【0431】
実施例A1:
感光性は、モデル感光性樹脂組成物において、i線露光下で帯域フィルタ(Schott、ドイツ)を介して、露光用具としてマスクアライナーPLA−501F(キャノン、日本)を用いて測定される。ポジ型レジストは、先のように製造したコポリマーを用いる。溶剤としては、東京化成工業株式会社製のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)を使用する。該配合物の正確な組成および光酸発生剤(PAG)の量を、第2表に記載する。ヘキサメチルジシラザン処理が前もって行われ、100℃で1分間にわたってプリベークされたシリコンウェハ上に、レジスト配合物を1μm厚でスピンコートする。様々な露光線量での露光後に、露光後ベークは行わずに5分間の露光後遅延を適用し、次いでレジストを、2.38%の水性テトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶液である東京応化工業株式会社製のNMD−3現像剤中で1分間にわたって現像する。
【0432】
第2表
【表3】
【0433】
感光性の尺度として、1分間の現像でレジスト膜を完全に除去するのにちょうど足りる線量である「ドーズ・ツー・クリアー」(E
0)を測定する。必要とされる線量が小さいほど、レジスト配合物の感度はより高い。結果は、以下の第4表にまとめられており、本発明による組成物がポジ型レジストの製造のために適していることを裏付けている。
【0434】
実施例A2:
透明性の評価のための配合物を、上述のコポリマー1の溶液(固体含量:40%)、PAGおよび溶剤、PGMEAを用いて調製する。該配合物の正確な組成を、第3表に記載する。
【0435】
第3表
【表4】
【0436】
該配合物を、ガラス板上に700rpmでスピンコートし、80℃で10分間にわたってプリベークする。露光プロセスを行わずに、最終ベーク過程を、210℃で30分間にわたって適用する。最終硬化被膜の厚さは、3μmである。硬化被膜の透明性は、400nmから800nmまでの波長領域で紫外可視光分光光度計UV−2550(島津製作所)で測定する。測定された最も低い透過性を、第4表に列挙する。
【0437】
第4表
【表5】
【0438】
それらの結果は、本発明の化合物が、感光性と透明性の間で完璧なバランスをもたらし、絶縁層の形成のために特に好ましいことを示している。