(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般的に言って、通信システムは、信号を送信する送信手段(例えば、送信装置)と、その信号が通過して送信される「媒体」と、送信された信号を受ける受信手段(例えば、受信装置)とから構成される。技術的に周知のように、媒体には、銅線(copper wire)、同軸ケーブル、又はワイヤレス伝送の場合では、空気など、多数の物理的形態の中から任意のものを選択できる。「媒体」と類義で使われる言葉に、「送信チャンネル」又は単に「チャンネル」がある。
図1は、一般化した通信システム1を表している。図示の如く、送信手段(「Tx」と省略)2は、情報を含むアナログ波形信号を有線チャンネル3を介して受信手段4(「Rx]と省略)へ送信する。周知のように、このアナログ波形信号は、チャンネル3を通して、数キロ・ビット毎秒から数ギガ・ビット毎秒(Gb/sと省略)までの範囲に広がる可変速度で伝送されることがある。
【0003】
いわゆる高速シリアル・データ・リンク・システムでは、6Gb/s以上の速度での信号伝送がある。こうした速度では、典型的には、受信手段又はチャンネルの受信端において、数例挙げれば、チャンネル損失、反射、クロストーク及びノイズと一般に呼ばれる物理現象を原因とする、チャンネル3を通過したときの信号劣化を補正するために、「等化処理」技術が必要とされる。一般に、等化処理には、信号劣化につながる信号の望ましくない成分並びに上述及びその他の現象で加えられた成分の除去、つまり、「フィルタ処理」がある。
【0004】
高速シリアル・データ・リンクの分野では、複数の規格が公表されており、これらは、利用する等化処理測定の形式を定めている。こうした規格の1つは、SAS−2、6G規格委員会が公表したものである。この規格は、いわゆる「トレーニング・シーケンス」を用いる等化処理方法を含む。トレーニング・シーケンスは、一般的に言えば、等化処理フィルタを調整するのに利用され、このために、受信したアナログ波形信号のデジタル化サンプルから、望ましくない信号成分を正確に除去できる。典型的には、トレーニング・シーケンスは、受信信号のデジタル化サンプル(例えば、複数のビット)から導かれる。
【0005】
しかし、所与のアナログ波形信号のデジタル化サンプルに関するトレーニング・シーケンスを定める処理は、些細な問題ではない。出願人による米国特許第8,374,231号(日本特許第5,344,342号に対応)は、リアルタイム又はサンプリング・オシロスコープを用いて、高速シリアル・データ・リンク・システムにおいて、信号のトレーニング・シーケンスを決定する様々な方法及びシステム(「等化シミュレータ」と呼ぶ)を説明している。しかし、そうやって決められたトレーニング・シーケンスを、信号から劣化を除去するのに利用できるようにする前に、それが、受信したアナログ波形信号の再サンプルされたデジタル化サンプルとアライメント(整合)していなければならない。米国特許第8,374,231号は、そうするための技術を開示している。
【0006】
実際、トレーニング・シーケンスの利用によって、信号劣化の影響に関して、オリジナルのアナログ波形信号の除去しなければならないか、さもなければ、補正のために調整しなければならない成分が特定される。残るは、こうした成分を適切な推定量だけ、実際に除去又は調整することである。そうするために、更なる等化処理又はフィルタ処理が必要となる。
【0007】
信号劣化、特に、チャンネル挿入損失及び反射又はクロストーク及び他の信号源からのノイズが原因の符号間干渉(Inter-Symbol interference:ISI)によって生じるものを除去する周知の技術が、非線形判定帰還型イコライザ(Decision Feedback Equalizer:DFE)である。周知のように、DFEは、信号劣化を効果的に除去するのに、いわゆる「複数のタップ係数」又は複数のフィードバック係数に関して適切な複数の値を利用する。これらタップ係数の値は、求めたトレーニング・シーケンスから一部求めることができる。DFE中の「タップ係数」について適切な値を見つける処理は、イコライザ(等化器)適正化処理(adaptation process)と呼ばれる。DFEのタップ係数値は、異なる信号劣化を生じる異なるチャンネル上の異なる値に適したものにしても良い。PCI Express、つまり、Peripheral Component Interconnect Express 3.0仕様で説明されているモデルDFEの振る舞いが、
図2に示されている。
図2に示されるモデルDFEに従って実現されているタップ係数を求めるためのDFEの1形態は、いわゆる「網羅的なサーチ(exhaustive search)」処理を用いる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に従って、DFEの典型的な実施形態が与えられるが、これは、網羅的サーチ方法に代わって、陽関数(explicit)適正化方法を利用し、ピーク・トゥ・ピークに基づく基準に基いて、DFEタップ又はフィードバック係数値を特定する。この陽関数適正化方法は、閉じた形式の解法(つまり、最適なタップ係数値は、反復なしに、直接算出される)を提供する。こうしたDFEは、PCIE3.0仕様で定義されるモデルDFEの振る舞いを満たす。
【0022】
図2を再度参照すると、モデル受信装置ベースのDFEは、アナログ出力信号x
kを連続線形イコライザ(continuous linear equalizer:CTLE)から得て、等化アナログ信号y
k及びデジタル信号y
*kを出力するが、このとき:
【0025】
そして、このとき、y
kをDFE合算作動出力電圧とし、y
*kを判定関数(decision function)出力電圧とし、x
kをDFE差動入力電圧とし、d
1をタップ又はフィードバック係数とし、kをUI単位でのサンプル・インデックスとしてモデル化しても良い。PCIE3.0仕様は、DFE適正化方法がフィードバック係数d
1に関する最適な値を特定し、それによって、例えば、オシロスコープ上に表示したときに、信号のアイ高さV
eye及びアイ幅が最大化することを求めている。
図3に示すように、V
eyeは、ユニット・インターバル(UI)の特定の水平位置、通常、UI中心付近で求めるビット0の最大値と、ビット1の最小値とから測定される。
【0026】
本発明の実施形態によれば、UIのある特定水平位置において測定される最大のアイ高さに関連する最適タップ係数値を特定するDFE適正化方法及びシステムが与えられる。本発明の更なる実施形態では、最大のアイ高さに関連する最適なタップ係数値が見つかり次第、方法及びシステムが、これらタップ係数値の近辺をサーチし、アイ領域を最大化するであろう最適値を特定するようにしても良い。
【0027】
周知のように、アイ高さの最大化には、ピーク・トゥ・ピークに基づく基準を利用する。PCIE3.0は、d
1が[−30mV,30mV]の範囲の間にあることを定めている。先に簡単に言及した既知の網羅的サーチ手法では、この範囲(「許容係数空間」と呼ばれる)全体を通してデータ・ポイントを分析する。ある程度の正確さを確保するためには、これらデータ・ポイントの全てを分析するのに利用するステップの大きさを小さくするが、これは、網羅的サーチ方法が多数のデータ・ポイントをチェックしなければならないことを意味する。これは、時間がかかる。結果として、網羅的サーチ方法は、正確さのために演算速度を犠牲にする。アプリケーションによっては、演算速度の犠牲は、許容できない。例えば、あるデバイスの試験では、高速な演算とスループットを必要とし、これは、高速で、演算効率が高いDFE適正化処理を意味する。上述の理由から、本願発明者には、網羅的サーチ手法が不十分だとわかった。
【0028】
話を戻すと、先に簡単に触れたように、DFEは、トレーニング・シーケンスを利用し、これは、しばしば、「判定ビット(decision bit)」シーケンスとも呼ばれる。このため、DFEは、係数フィードバック値を求めるために「先行ビットに基づく判定(decision on previous bits)」を用いるときに、その特性を明かにできる。周知のように、PCIE3.0に従って、最適なタップ値が特定された場合、これらタップ値は、チャンネル又は送信装置が変更されない限り、変化しないままである。このように、本発明の実施形態によれば、一度、最適なタップ値が特定されたら、それらは、信号劣化を解消するために調整が必要なアナログ波形入力信号(又は、そのデジタル化バージョンのビット)の全ての成分を特定するのに利用できる。例えば、
図2に示すモデルDFEでは、出力信号y
kは、入力信号x
kと、y
*k−1で示される先行ビットによる判定とによって定まる。先に言及した米国特許第8,374,231号は、サンプリング・オシロスコープ又はリアルタイム・オシロスコープのような高性能オシロスコープを用いて、入力信号x
kに関して、y
*kで示される判定ビット又はトレーニング・シーケンスを特定又は決定する方法及びシステムを説明する。この目的のため、判定ビット又はトレーニング・シーケンスy
*kは、既に特定又は決定されていると仮定する。本発明の実施形態によれば、入力信号は、特定されたシーケンスに従って、
図4でポイント6〜9で示される組み合わせのような4つの2ビットの組み合わせのいずれかと関連づけることができる。これら組み合わせは、続いて、高性能オシロスコープ上で、例えば、
図4に示すように、シフトされたアイ・ダイヤグラムを生成及び表示するのに利用されても良い。
【0029】
図5を参照すると、高速シリアル・データ・リンク中のDFEを最適化する要素を含む、オシロスコープのような本発明のある実施形態によるシステム400の簡略図が描かれている。本願で説明される方法及び処理の全てと、先に言及した米国特許第8,374,231号で説明される事柄は、
図5に示すオシロスコープと実質的に同様な要素を含むオシロスコープを用いて実現しても良いことが理解されよう。本発明の実施形態では、システム400は、リアルタイム・オシロスコープ又はサンプリング・オシロスコープのような高性能オシロスコープから構成しても良い。
【0030】
システム400は、例えば、テクトロニクス社で設計及び開発された1つ以上のオシロスコープの形態を取っても良い。オシロスコープ400は、テクトロニクス社で設計及び開発されたオシロスコープ400の差動プローブのような1つ以上のアクセサリ・デバイス440を接続するための複数のアクセサリ・インターフェース420を有しても良い。アクセサリ・インターフェース420は、オシロスコープ400からアクセサリ・デバイスへ電圧パワーを供給しても良く、これは、
図5に示す代表的な実施形態では、差動プローブ440から構成されている。アクセサリ・インターフェースは、また、オシロスコープ400及びプローブ440間で双方向通信を提供しても良い。プローブ440は、SMA同軸ケーブル480を介して、高速シリアル・データ・リンク・システム中でチャンネルとして振る舞う、SAS 6Gケーブル500に結合されたテスト・フィクスチャのような被試験デバイス(DUT)460に結合されても良い。
【0031】
プローブ440は、オシロスコープに接続された制御ボックスと、制御ボックスに信号ケーブルで結合されるプローブ・ヘッドを有していても良い。プローブ440は、プロービング・コンタクトを用いて、テスト・フィクスチャ460へ結合されても良い。
【0032】
オシロスコープ400は、表示デバイス520を含んでも良く、これは、オシロスコープ400で処理されるDUT460からの信号を表示するためのグラフィカル・ユーザ・インタフェースを含んでいても良い。一般に、オシロスコープ400は、オシロスコープの設定を制御するための回転ノブ、プッシュ・ボタンなどのようなフロント・パネル操作装置540を含んでいても良い。これに代えて、フロント・パネル操作装置を、表示部分520上にいわゆる「ソフト・キー」としてグラフィカルに生成及び表示し、オシロスコープ400のユーザがアクセスできるようにしても良い。
【0033】
図5に示されたチャンネル500は、ケーブル500によって表されているが、チャンネル500は、銅線、同軸ケーブルのような他の媒体の形態を取っても良いし、シミュレートされても良い。いずれにしても、チャンネル500には、DUT460に入力される信号を劣化させる障害(impairments)がある。これら障害は、本発明の実施形態に従って、オシロスコープ400によって除去されるか、又は、調整されなければならない。これの代わりに、DUT460を取り除いて、オシロスコープ400をチャンネル500(現実のチャンネルか又はシミュレートしたチャンネル)に直接接続しても良い。
【0034】
別の観点から見ると、本発明の1実施形態においては、オシロスコープ400を、
図1に示した受信手段又は受信装置
4の一例と理解すべきである。別の実施形態では、送信手段又は送信装置
2の性能を試験するために、例えば、
図1に示すチャンネル
3の前にオシロスコープ400を配置しても良い。どちらの場合でも、現実の又はシミュレートしたチャンネル500を用いて、オシロスコープ400をチャンネル
3又は送信手段
2に接続しても良い。
【0035】
ここで
図6を参照すると、本発明の実施形態によるオシロスコープの代表的なブロック図が示されている。より具体的には、示されているのは、
図5に示したオシロスコープ400のブロック図である。オシロスコープ400は、アクセサリ・インターフェース420に結合された別々の複数信号チャンネル600を有していても良く、これらの内の2つが
図6で示されている。各信号チャンネル600は、別々に信号取込み(acquisition:アクイジション)手段620を有しても良く、これは、例えば、少なくともDUT460又はチャンネル500からアナログ波形入力信号を受けて、受けた信号をデジタル化サンプルに変換するための既知の電子回路又はデバイスを含んでいても良い。信号チャンネル600に結合されるアナログ波形入力信号のそれぞれを、トリガ回路640にも結合して良い。信号取込み手段620及びトリガ回路640は、システム・バス680を介して、プログラマブル処理手段(例えば、CPU又はプロセッサ)660に結合されても良い。システム・バス680は、更に、例えば、RAM、ROM又はキャッシュ・メモリの形態を取るメモリ手段700に結合されても良い。RAMメモリは、信号取込み手段620が生成したアナログ波形入力信号のデジタル化サンプルのような、揮発性のデータを記録するよう動作する。システム・バス680は、更に、
図5に示す表示部分520を制御する表示回路720と、ハードディスク・ドライブ、SSD、CD−ROMドライブ、テープ・ドライブ、フレキシブル・ドライブ(FD)などのような適切な大容量記録メディアを読み書きする大容量記録ユニット(1つ又は複数)740と、フロント・パネル操作装置540とに結合されても良い。当然ながら、任意の個数の信号チャンネル600がオシロスコープ400に含まれ、各チャンネルが別々の信号取込み手段620を有していても良い。
【0036】
本発明の実施形態による等化処理方法を実現すると共に、状況によってはオシロスコープ400を制御するための実行可能な命令(executable instructions)は、メモリ手段700、より具体的には、例えば、ROMに記憶され、アクセスされても良い。これに代えて、実行可能な命令は、大容量記憶ユニット740の大容量記憶媒体に記憶され、アクセスされても良く、これは、ある実施形態では、メモリ手段700内に含まれていても良い。処理手段660は、例えば、インテル社によって設計及び開発されたもののような1つ以上のプログラマブル・マイクロプロセッサとして実現されても良い。処理手段660は、また、複数のプログラマブル・コントローラ又は1つ以上のプログラマブル・デジタル・シグナル・プロセッサを用いて実現されてもよい。更に別の実施形態では、処理手段660が複数のコントローラを用いて実現された場合、1つを信号取込みの制御及びアナログ波形入力信号の処理に使用する一方で、第2のものは、オシロスコープ400の他の動作を制御しても良い。オシロスコープ400は、マイクロソフト社が設計及び開発したWindows XP RTMのようなWindows(登録商標)RTMオペレーティング・ソフトを用いて制御しても良く、これは、1つ以上のプロセッサ又はコントローラ660及び関連するメモリ手段700内に記憶され、アクセスされる。
【0037】
表示回路720は、処理手段660から表示部分520を制御する命令を受ける表示コントローラ(図示せず)を含んで良く、また、例えば、処理手段660の一部であるデジタル・シグナル・プロセッサから表示部分520で表示するためのデータも受けることができる。バス・コントローラ(図示せず)は、処理手段660内にあっても良いし、又は、オシロスコープ内に別途あっても良く、インターフェース420及びプローブ440を監視する。バス・コントローラは、通信バス760を介して、プローブ440及び処理手段660間の通信も制御できる。バス760としては、双方向通信を提供するI
2Cバス、IEEE1494バス、USBバスなどが含まれていても良い。
【0038】
電源780は、電圧ライン800及びアクセサリ・インターフェース420を介したプローブ440への電力を制御するための制御信号を処理手段660から受けるようにしても良い。
【0039】
続けて、再度
図4を参照すると、先に言及したように、本発明の実施形態は、DFE最適化方法及びシステムを目指したもので、
図4に示すポイント5のようなUIの特定の水平位置において測定されるアイ高さを最大化する。特に、本発明の1実施形態では、処理手段660が、プログラマブル・デジタル・シグナル・プロセッサ(単に「プロセッサ」)を含んでいても良く、これは、例えば、UIの特定の水平位置において測定されるアイ高さを最大化することによって、高速シリアル・データ・リンクでのDFEを最適化するための、メモリ手段700内に記憶された命令及び関連データにアクセスし、実行するように動作しても良い。こうした記憶された実行命令及びデータは、プロセッサ660が、UIの特定水平位置を選択するのに利用する。更に詳細には、プロセッサ660は、メモリ手段700内に記憶された実行命令及びデータにアクセスし、特定水平UI値に関連する1つ以上の電圧を特定するように動作し、その後、これら特定された電圧から最小及び最大電圧配列(Array)入力値(x値)を生成する。
【0040】
本発明の実施形態によれば、アイ高さ最適化問題は、次のように導くことができる:
【0042】
ここで、{y
bitxx}は、「xx」で特定されるビット・パターン中の最後のビットに関して、UI中心で測定された電圧配列を示す。例えば、y
bit01は、先行のビットが0である1のビット全てに関して測定された電圧を表す。注意すべきことは、数式1及び数式2から、数式3中の項は、次のように書けることである:
【0046】
数式
4中の値x
minbit11、x
minbit01、x
maxbit10、x
maxbit00は、入力信号xを用いて測定されることに注意すべきである。従って、本発明の実施形態では、プロセッサ660は、メモリ手段700
に記憶された命令及びメモリ手段700のデータにアクセスして実行し、サンプルされた入力信号(上記値x
k)から導出される最小及び最大電圧配列入力値(上記x値)を生成する。
【0047】
サンプルされた入力信号は、CTLEから出力されるかもしれないし、又は、されないかもしれないことに注意すべきである。もしCTLEが関わらないなら、入力信号は、チャンネル又は信号源から出力されたものとしても良い。
【0048】
数式4で定義される変数は、d
1の線形な関数である。本発明の実施形態によれば、これらは、
図7において、細い直線で表される。
【0049】
数式3で定義される1のビットの全ての最小値及び0のビットの全ての最大値は、次のように区分線形関数(
図7中の太い線)として書くことができる:
【0051】
従って、本発明の実施形態では、プロセッサ660が、メモリ手段700の記憶した命令及びデータにアクセスして実行し、生成された電圧配列入力値(上記x)に基いて、ユニット・インターバルの特定水平位置及びフィードバック係数値(d
1)に関連する複数のアイ高さを表す最小及び最大電圧配列出力値(上記y)を生成する。
【0052】
図8に示すように、数式3が記述するアイ高さV
eyeは、続いて、
図7及び数式6に基いて、d
1の関数として導くことができる。本発明のある実施形態では、これは、プロセッサ660が、メモリ手段700内に記憶された命令及びデータにアクセスして実行し、生成された電圧配列出力値に基いて、最大アイ高さを表す最大電圧値を特定することで実現しても良い。
【0053】
本発明のある実施形態によれば、
図8のアイ高さ関数は、V
eyeは、陽区間線形関数として表すことができる:
【0057】
d
1の範囲を考慮したd
1の最適値は、区間線形数式7に基いて、陽関数表示で(explicitly)演算できる。本発明のある実施形態によれば、これは、メモリ手段700からの命令及びデータにアクセスして実行し、特定された最大電圧値に基づいて、1つ以上の最適なフィードバック係数値を特定するよう動作するプロセッサ660を利用して実現しても良い。
【0058】
最適なフィードバック係数値が特定され次第、本発明のある実施形態によれば、プロセッサ660が、メモリ手段700からの記憶された命令及びデータにアクセスして実行し、特定された最適フィードバック係数値に基いて、非線形等化出力信号(y
k)を生成するよう更に動作しても良い。つまり、プロセッサ660が、特定された最大電圧値に基いて1つ以上の最適フィードバック係数値を特定することによって、実際上、DFE適正化処理を実現すると言えるが、このとき、特定された最大電圧値は、UIと最大電圧値を特定する処理に含まれる複数のステップ(工程)と相互関係のために、UIの特定水平位置に関連する。
【0059】
図9は、本発明の実施形態に従ってDFEを最適化する上述の方法を要約したフローチャートを描いている。
図9に示すように、代表的な方法は、次の1つ以上を含んでいても良い:
もしまだ特定されていなかったら、ステップ901,902において、入力信号のデジタル化サンプルからビット・シーケンスを特定する処理と、
もしCTLEが必要なら、ステップ903、904において、入力信号から連続的な線形等化信号を生成する処理。
【0060】
その後、ステップ905において、サンプルされた入力信号から導出される最小及び最大電圧配列入力値を生成する処理と、
ステップ906において、生成された電圧配列入力値に基いて、ユニット・インターバルの特定水平位置とフィードバック係数値とに関連する複数のアイ高さを表す最小及び最大電圧配列出力値を生成する処理と、
ステップ907において、特定水平ユニット・インターバル値に関連する1つ以上の電圧を特定し、特定された電圧から最小及び最大電圧配列入力値を生成する処理と、
ステップ908において、生成された電圧配列出力値に基いて、最大アイ高さを表す最大電圧値を特定する処理と、
ステップ909において、特定された最大電圧値に基いて、1つ以上の最適フィードバック係数値を特定する処理と、
ステップ910において、特定された1つ以上の最適フィードバック係数値に基いて、非線形等化出力信号を生成する処理。
【0061】
本発明のコンセプトを更に説明するために、以下の例を提示する。システム400のようなリアルタイム・オシロスコープは、信号取込み手段620を用いて、8Gb/s PCIE3.0 アナログ入力波形信号xを取り込んでデジタル信号サンプルに変換する。続いて、これらデジタル化信号サンプルを、メモリ手段700に記憶しても良い。デジタル信号サンプルを記憶したら、プロセッサ660が、メモリ手段700中の実行命令及び記憶されたデジタル化サンプルにアクセスし、これらサンプルに対するポスト処理(後処理)を完了させるように動作しても良い。例えば、プロセッサ660は、メモリ手段700中の入力信号の記憶されたデジタル化信号サンプル及び実行命令にアクセスし、例えば、米国特許第8,374,231号で説明された処理によって、トレーニング又はビット・シーケンスを特定するよう動作しても良い。ポスト処理は、その後、プロセッサ660の一部分であるDFE適正化モジュールを用いて、DFE適正化を完了させる処理を更に含んでいても良い。
【0062】
当然ながら、こうした処理を実現するための命令及びデータは、メモリ手段700に記憶されていても良い。プロセッサ660は、オプションで、メモリ手段700の実行命令及びデータ(例えば、波形xのデジタル化信号サンプル)にアクセスし、DFE適正化処理の前に、プロセッサ660内のオプションのCTLEモジュールを用いて、連続的な線形等化信号を生成しても良い。
【0063】
本発明の実施形態によれば、プロセッサ660は、特定されたトレーニング又はビット・シーケンスを処理して、等化処理タップを生成し、チャンネル500からのアナログ入力波形信号をフィルタ処理又は等化処理してチャンネルの損失、反射、クロストーク、ノイズ及びISIが原因を劣化を除去するのに、これら等化処理タップを利用しても良い。
【0064】
より詳細には、例えば、プロセッサ660は、メモリ手段700の実行命令及びデータにアクセスして、数式5で定義されるビットについて最小及び最大電圧を特定するように更に動作しても良く、例えば:
【0065】
x
minbit11=96.4mV
x
minbit01=34.3mV
x
maxbit10=−41.5mV
x
maxbit00=−99.7mV
【0066】
続いて、プロセッサ660は、メモリ手段700中の実行命令及びデータにアクセスし、これら測定で導出される数式7及び8で定義された陽区分線形関数(explicit piecewise linear function)を実行しても良い。例えば、もしd
1の範囲が[−30mV,30mV]なら、プロセッサ660(例えば、DFE適正化モジュール)が、メモリ手段700中の実行命令及びデータにアクセスし、最適なアイ高さ電圧であるV
eye=134.0mVを生成するよう動作しても良い。
【0067】
その後、このアイ高さ電圧に基いて、プロセッサ660(再度、例えば、プロセッサ660の一部分であるDFE適正化モジュール)が、メモリ手段700中の実行命令及びデータにアクセスし、例えば、範囲[29.1mV,30mV]中の値を取るように、d
1を算出しても良い。
【0068】
比較のため、DFE等化処理が終わっていない場合では、アイ高さは、V
eye=75.7mVであることに注意されたい。
【0069】
図10A及びBは、システム400のようなオシロスコープ上で表示されるUI中心におけるDFE前と後の垂直ヒストグラムをそれぞれ描いている。これら図に示されるように、DFE適正化は、アイの開口を大きくする。
【0070】
図11に進むと、本発明の実施形態による最適なDFE処理をアクティブにするためのユーザ・インタフェース900が描かれており、これは、高性能オシロスコープの一部分としても良い。例えば、ユーザ・インタフェース900は、表示部分520の一部分であっても良い。本発明の実施形態によると、アクティブ化アイコン920をインタフェース900上に表示しても良く、これは、マウスでクリックされるか、指でタッチされるか、又は、その他でアクティブにされると、上述の6ギガビット毎秒の高速シリアル・データ信号に関するDFE適正化処理を実行する処理を開始する。保存アイコン1102が選択される(例えば、クリックされたり、タッチされる)と、DFE適正化処理の結果を、例えば、メモリ手段700中に、保存する。ユーザ・インタフェース900には、また、上述のDFE適正化処理(例えば、要約すれば、UIの特定水平位置に関連する特定された最大電圧値に基いて、1つ以上の最適なフィードバック係数値を特定すること)がいつ完了したかを示すために表示されるアイコン1103があっても良い。当然ながら、アイコン920、1102及び1103の位置は、説明の都合に過ぎず、これらの位置は、それらの機能や本発明の範囲を変えることなく、変更しても良い。更に、3つ別々のアイコンとして示しているが、アイコン920、1102又は1103の1つ又は複数を、もっと少ないアイコンに組み合わせて(例えば、アイコンが、その機能に応じて、ある速度で点滅したり、その機能に応じて異なる色を用いる)も良いし、又は、更に多数のアイコンへと分離しても良い。
【0071】
上述した本発明の実施形態の詳細については、その基本的な原理から離れることなく、変更を加えても良いことに注意されたい。例えば、上述のDFE適正化処理は、単一及び複数タップ両方のDFEに適用できる。ユニット・インターバルの水平位置を選択すると共に入力信号からCTLE信号を生成するための上述の方法及び構成要素は、マルチ・フィードバック係数DFEを用いる後述の方法に対しても同様に適用する。
【0072】
PCI Express、つまり、Peripheral Component Interconnect Express 4.0仕様(しばしば、単に「PCIE4.0」と呼ばれる)で説明されているようなモデルDFEの振る舞いは、フィードバック係数又はタップ値の個数を1から2へと増加させる。しかし、後述の実施形態は、任意の個数のフィードバック係数で利用されても良い。
図12は、n個のフィードバック係数を用いるDFEモデルを描いている。
【0073】
2つのフィードバック係数値を用いるという増加に伴って、上述の数式1及び2は、次のように書き直される:
【0076】
フィードバック係数値の個数がnのように、もし2つより多いフィードバック係数値を利用するなら、上述の数式9は、次のように書くことができる:
【0078】
数式9及び10に示される2個のフィードバック係数のDFEを用いると、DFE出力信号y
kは、入力信号x
kと、先行するビットy
*k−1及びy
*k−2に関する判定とに基づいて、決定される。1個のフィードバック係数DFEに関して上述したように、米国特許第8,374,231号は、サンプリング・オシロスコープや高性能リアルタイム・オシロスコープのような高性能オシロスコープにおいて、入力信号x
*kについて判定ビット・シーケンスy
*kを見つける処理を教えている。目下の目的に関して、判定ビット又は判定ビット・シーケンスy
*kは、既に特定又は決定されていると考えることにする。入力信号x
kは、{x
bit111},{x
bit011},{x
bit101},{x
bit001},{x
bit110},{x
bit010},{x
bit100},{x
bit000}のビット・シーケンスに従った8個の3ビットの組み合わせの中の1つとして示すことができる。
【0079】
PCIE4.0仕様は、DFE適正化方法が、フィードバック係数d
1及びd
2についての最適値を特定し、それによって、アイ領域とも呼ばれるアイ高さV
eyeをアイ幅と乗算したものが、例えば、オシロスコープ上で表示されたときに、最大化されることを要求している。V
eyeは、上述し、
図3で示したように、ユニット・インターバル(UI)の特定水平位置、通常、UI中心付近で求められるビット0の最大値とビット1の最小値から測定される。
【0080】
本発明の実施形態によれば、2個のフィードバック係数DFEに関するアイ高さの最適化問題は、次のように導くことができる:
【0082】
ここで{y
bitxxx}は、「xxx」で特定されるビット・パターン中の最後のビットに関するUI中心で測定される電圧配列を示す。例えば、y
bit001は、先行ビット00を有する1のビットの全てに関して測定された電圧を表す。以下の変数を定義できる。
【0084】
数式13中のx
minbit111,x
minbit011,x
minbit101,x
minbit001,x
maxbit110,x
maxbit010,x
maxbit100,x
maxbit000は、入力信号x
kに基いて測定される。数式14は、数式13で定義される変数と共に、数式12の項を用いて書くことができる。
【0085】
【数14】
数式12は、最適化処理を実行するための線形計画問題(linear programming problem)又は等式に変換できる。数式15は、線形問題の標準形を示す:
【0087】
ここで、f,z,b,lb,及びubは、ベクトルであり、Aは行列である。
【0088】
続いて、数式12は、以下のように、
数式15の線形形式に変換できる。最初に、
【0090】
と置く。4つのビット・パターン、ビット111,ビット011,ビット101,ビット001の全ては、最後のビットが1である一方、4つのビット・パターン、ビット110,ビット010,ビット100,ビット000の全ては、最後のビットが0である。4つのビット・パターン、ビット110,ビット010,ビット100,ビット000の全ての最大値は、4つのビット・パターン、ビット111,ビット011,ビット101,ビット001の全ての最小値から引き算される。これら引き算の結果は、数式12のV
eyeよりも大きいか又は等しくなるはずである。例えば、ビット111とビット110を検討すると、数式5から、不等式は:
【0092】
上述の数式14、15及び16を用いて、数式17は、次のように書き直すことができる:
【0094】
続いて、数式18は、数式19に示すように書くことができる:
【0096】
同様に、ビット111とビット000の組み合わせは、次のように式で表すことができる:
【0098】
これは、ビット1パターンの最小値とビット0パターンの最大値の4×4=16の組み合わせ全てについて行われる。そして、A及びbは、次のように定義できる:
【0100】
V
eyeの垂直アイ開口を最大化するというゴールは、−V
eyeを最小化することと等しい。そのため、
数式15における目標のベクトルfは:
【0102】
フィードバック係数値の範囲を数式15に入れると:
【0104】
ここでkは、大きな数字、例えば、1.0E6である。PCIE4.0に関して、そのフィードバック係数の範囲は次の通りである:
【0106】
数式21、22及び23は、数式12に関して、DFE最適化問題を、標準的な線形計画問題形式へと完全に構成する。Matlab(登録商標)のような効率的な線形計画法(linear programming)のソルバー(Solver:問題を解くもの)が、最適なDFEフィードバック係数値d
1及びd
2を見つけるのに利用される。
【0107】
上述の2フィードバック係数のDFE最適化問題については、数式21中の項は、16個の不等式を表す。しかし、この16個の不等式の多くは、些細な条件として検出されるので、実際の演算の複雑さは低い。
【0108】
上述のように、数式12、21、22及び23は、2フィードバック係数DFEのシナリオに基づいて導かれる。しかし、同じアイデアは、3フィードバック係数DFEの場合や4フィードバック係数DFEの場合についてのような、任意のマルチ・フィードバック係数DFEの場合についても利用できる。n個のフィードバック係数DFEに関し、ビット1で終わるn+1ビット・パターンの最小値と、ビット0で終わるn+1ビット・パターンの最小値との組み合わせは、合計で4
nとなろう。先に述べたように、不等式の多くは、些細な条件として検出されるので、実際の演算の複雑さは低い。
【0109】
図13は、本発明の実施形態によるDFEを最適化する上述の方法を要約したフローチャートを描いている。最初に、1300において、波形が取り込まれ、続いて、1302にて必要となれば、1340にてCTLEが実行される。1306にて、クロック・リカバリが実行され、入力信号のデジタル化サンプルからビット・シーケンスが特定される。
【0110】
1308にて、そのビット・レートに従って波形がリサンプルされ、1310にて、UIの中心が探し出される。リアルタイム・オシロスコープは、通常、波形を固定のサンプル・レートでサンプルし、これは、信号のビット・レートとは、通常同期していない。そこで、1312では、数式13で提示しているように、n+1ビット・パターンの最小値及び最大値が測定される。続いて、1314では、数式12、21、22及び23を用いて、線形計画問題が組み立てられる。1316では、線形計画問題を解いて、最適DFEフィードバック係数と最大垂直アイ開口V
eyeを見つける。1316において、DFE適正化処理を行った後、1318では、固定フィードバック係数を用いて、DFEをエミュレートし、等化波形y
kを得ることができる。
【0111】
従来行われたような網羅的サーチではなくて、線形関数を用いると、DFEの大幅に効率的で正確な最適化処理が可能になる。線形問題のソルバー(Solver)は、スケールの大きな線形プログラム問題を解くことができる。従って、複数フィードバック係数値を伴うDFEに関しては、網羅的サーチは、フィードバック係数の個数増加に伴って指数関数的に増大するので、線形計画法(linear programming)は、一層有益なものとなる。
【0112】
本発明のコンセツプトを更に説明するため、以下の例を提示する。システム400のようなリアルタイム・オシロスコープは、信号取込み手段620を用いて、11.6Gb/sの高速アナログ入力波形を取込み、変換する。続いて、そのデジタル化信号サンプルは、メモリ手段700に記憶しても良い。デジタル信号サンプルが記憶され次第、プロセッサ660は、実行命令とメモリ手段700に記憶されたデジタル化サンプルにアクセスし、サンプルに対するポスト処理(後処理)を完了させるよう動作しても良い。例えば、プロセッサ660は、メモリ手段700中の入力信号の記憶されたデジタル化サンプルと実行命令にアクセスし、例えば、上述の米国特許第8,374,231号に説明された処理を用いることによって、トレーニング又はビット・シーケンスを特定するよう動作しても良い。その後、ポスト処理としては、プロセッサ660の一部分であるDFE適正化モジュールを用いて、DFE適正化処理を完了する処理を更に含んでいても良い。
【0113】
1個のフィードバック係数のDFE適正化処理に関して上述したように、プロセッサ660は、特定されたトレーニング又はビット・シーケンスを処理し、等化処理フィードバック係数を生成するよう動作しても良く、これらを、チャンネル500からのアナログ入力波形信号をフィルタ処理又は等化処理し、チャンネルの損失、反射、クロストーク及びノイズが原因で生じた劣化を除去するのに利用しても良い。
【0114】
CTLEエミュレーションの後、11.6Gb/s高速波形xは、プロセッサ660のDFE適正化モジュールに供給される。DFE無しでは、波形のアイ高さは、V
eye=7.8mVである。
【0115】
DFE適正化モジュールは、クロック・リカバリの後にビット・シーケンスを見つけ出す。最初に、1フィードバック係数のDFEを検討する。数式5に定義されたビットの最小及び最大電圧の測定値は、次のようになる:
【0116】
x
minbit11=39.0mV
x
minbit01=5.7mV
x
maxbit10=−2.1mV
x
maxbit00=−34.5mV
【0117】
1フィードバック係数に関する上述の複数の数式を用いて、1フィードバック係数の範囲は、次のようになる:
【0118】
1タップDFE範囲=[16.7mV 16.2mV]
【0119】
1フィードバック係数での最適なアイ高さは、V
eye=40.2mVである。
【0120】
2つのフィードバック係数について、数式13で定義される最小及び最大電圧の測定値は、次のようになる:
【0121】
x
minbit111=43.2mV
x
minbit011=39.0mV
x
minbit101=9.5mV
x
minbit001=5.7mV
x
maxbit110=−2.1mV
x
maxbit010=−6.7mV
x
maxbit100=−34.5mV
x
maxbit000=−39.4mV
【0122】
なお、x
minbit11=min(x
minbit111,x
minbit011)に注意されたい。
【0123】
上述の数式を用いて、線形計画問題を数式化した後に、Matlab(登録商標)の最適化ツール関数「linprog」を実行して線形計画問題を解くと、最適な2個のフィードバック係数値は、d
1=16.9mV,d
2=2.5mVである。
【0124】
2フィードバック係数DFEでの最適なアイ高さは、V
eye=43.92mVである。これは、1フィードバック係数DFEに比較して、垂直アイ開口が約10%増加するという結果になる。
【0125】
図14Aは、DFE適正化処理の前のアイ開口を描いている一方、
図14Bは、DFE適正化処理の後のアイ開口を描いている。
【0126】
図解の実施形態を参照しながら、本発明の原理を説明及び図示してきたが、本発明は、様々な概念から説明できる。例えば、本発明の概念1は、高速データ・リンクの等化処理を最適化するシステムであって、
入力波形を受けるよう構成される入力部と、
上記入力波形に対して判定帰還型イコライザ(DFE)の適正化を、n(nは1より大きい)個のフィードバック係数を伴うマルチ・フィードバック係数DFEに関して実行するよう構成されるプロセッサを具え、上記プロセッサが、
上記入力波形に関するn+1ビット・パターンについてのユニット・インターバルの特定水平位置に関連する最小及び最大電圧出力信号を測定する処理と、
測定された上記最小及び最大電圧出力信号を用いて、最適なn個のフィードバック係数を決定する処理と、
決定された上記最適なn個のフィードバック係数に基いて、非線形等化出力信号を生成する処理と
を含む記憶された命令を実行するよう構成されている。
【0127】
本発明の概念2は、上記概念1の如きシステムであって、上記システムが高性能オシロスコープから構成されている。
【0128】
本発明の概念3は、上記概念1の如きシステムであって、上記プロセッサは、上記ユニット・インターバルの上記特定水平位置を選択するための記憶された名利を実行するよう更に構成されている。
【0129】
本発明の概念4は、上記概念1の如きシステムであって、上記入力波形が、高速シリアル・データ信号から構成されている。
【0130】
本発明の概念5は、上記概念1の如きシステムであって、上記プロセッサは、上記入力波形から連続的な線形等化信号を生成する記憶された命令を実行するよう更に構成されている。
【0131】
本発明の概念6は、上記概念1の如きシステムであって、特定水平ユニット・インターバル値に関連する1つ以上の電圧を特定し、特定された上記電圧から最小及び最大電圧入力値を生成する記憶された命令を実行するよう更に構成されている。
【0132】
本発明の概念7は、上記概念1の如きシステムであって、
判定帰還等化処理(DFE)をアクティブにし、いつ上記DFEが完了したか示すためのユーザ・インタフェースと、
上記ユーザ・インタフェースを表示するための表示装置と
を更に具えている。
【0133】
本発明の概念8は、高速データ・リンクの等化処理を最適化する方法であって、
n(nは1より大きい)個のフィードバック係数を伴うマルチ・フィードバック係数DFEを用いて処理される入力波形を受ける処理と、
上記入力波形に関するn+1ビット・パターンについてのユニット・インターバルの特定水平位置に関連する最小及び最大電圧出力信号を測定する処理と、
測定された上記最小及び最大電圧出力信号を用いて、最適なn個のフィードバック係数を決定する処理と、
決定された上記最適なn個のフィードバック係数に基いて、非線形等化出力信号を生成する処理と
を具えている。
【0134】
本発明の概念9は、上記概念8の如き方法であって、上記方法は、高性能オシロスコープを用いて実現される。
【0135】
本発明の概念10は、上記概念8の如き方法であって、上記ユニット・インターバルの上記特定水平位置を選択する処理を更に具えている。
【0136】
本発明の概念11は、上記概念8の如き方法であって、上記入力波形は、高速シリアル・データ信号から構成される。
【0137】
本発明の概念12は、上記概念9の如き方法であって、上記入力波形から連続的な線形等化信号を生成する処理を更に具えている。
【0138】
本発明の概念13は、上記概念9の如き方法であって、
特定水平ユニット・インターバル値に関連する1つ以上の電圧を特定する処理と、
特定された上記電圧から最小及び最大電圧入力値を生成する処理と
を更に具えている。
【0139】
上述の本発明の実施形態の細部に、その基本原理から離れることなく、変更を加えても良いことに注意すべきである。