(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記研磨ヘッドの軸心から前記研磨具の研磨面の最も外側の縁部までの距離と、前記基板保持部の軸心から前記研磨ヘッドの軸心までの距離との合計は、前記基板の直径よりも短いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
前記研磨ヘッドの軸心から前記研磨具の研磨面の最も外側の縁部までの距離と、前記基板保持部の軸心から前記研磨ヘッドの軸心までの距離との合計は、前記基板保持部の軸心から前記複数のローラーのうちの1つのクランプ部までの距離よりも長いことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
前記研磨ヘッドの軸心から前記研磨具の研磨面の最も外側の縁部までの距離と、前記基板保持部の軸心から前記研磨ヘッドの軸心までの距離との合計は、前記基板保持部の軸心から前記複数のローラーのうちの1つのクランプ部までの距離の2倍よりも短いことを特徴とする請求項7に記載の装置。
前記研磨具は、前記研磨ヘッドに保持された複数の研磨具のうちの1つであり、前記複数の研磨具は、前記研磨ヘッドの軸心の周りに配列されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
前記研磨ヘッドの軸心から前記研磨具の研磨面の最も外側の縁部までの距離と、前記基板保持部の軸心から前記研磨ヘッドの軸心までの距離との合計は、前記基板の直径よりも短いことを特徴とする請求項11乃至15のいずれか一項に記載の方法。
前記研磨具は、前記研磨ヘッドに保持された複数の研磨具のうちの1つであり、前記複数の研磨具は、前記研磨ヘッドの軸心の周りに配列されていることを特徴とする請求項11乃至17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の装置は、基板回転機構によってウェーハを回転させながらウェーハ表面の研磨を行う(例えば、特許文献1参照)。基板回転機構は、ウェーハの周縁部を把持する複数のチャックと、これらチャックを介してウェーハを回転させる環状の中空モータとを備えている。ウェーハは、チャックによって水平に保持され、中空モータによってウェーハの軸心を中心にチャックと共に回転される。研磨具を備えた研磨ヘッドは、回転するチャックと接触しないようにするために、チャックによって把持されたウェーハの周縁部よりも内側に配置される。そのため、ウェーハの表面の最外部は研磨されず、ウェーハの表面の最外部は別途、エッジ研磨用の装置で研磨する必要があった。
【0007】
従来の装置は、予め設定された時間が経過した時点で基板の研磨を終了するように構成される。しかしながら、異物の量はウェーハごとに異なるため、一定の研磨時間での研磨は、ウェーハの過剰研磨および/または研磨不足を発生させることがある。すなわち、あるウェーハには異物が残ってしまい、他のウェーハでは必要以上にウェーハが削り取られてしまうことがある。
【0008】
そこで、本発明は、ウェーハなどの基板の表面の最外部を含む表面全体を研磨することができる装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、基板を保持し、該基板を回転させる基板保持部と、研磨具の研磨面を
前記基板の非研磨対象面である第二の面とは反対側の前記基板の第一の面に摺接させて該第一の面を研磨する研磨ヘッドとを備え、
前記基板保持部は、前記基板の周縁部に接触するように配置された複数のローラーを備え、前記基板保持部は、
前記複数のローラーを回転させることによって前記基板を前記基板保持部の軸心を中心に回転させるように構成され
、前記複数のローラーは、
前記基板の研磨中、前記複数のローラーの位置が固定された状態で各ローラーの軸心を中心に回転
するように構成されており、前記研磨ヘッドの軸心から前記研磨具の研磨面の最も外側の縁部までの距離と、前記基板保持部の軸心から前記研磨ヘッドの軸心までの距離との合計は、前記基板の半径よりも長いことを特徴とする装置である。
【0010】
本発明の好ましい態様は、前記複数のローラーを各ローラーの軸心を中心に回転させるローラー回転機構をさらに備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第一の面とは反対側の前
記第二の面
の研磨を行わずに前記第二の面を支持する基板支持ステージをさらに備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記基板の第一の面にリンス液を供給するリンス液供給ノズルと、前記基板の第一の面に供給された前記リンス液を収集し、該リンス液中に含まれる粒子の数を計測するパーティクルカウンタと、前記粒子の数に基づいて前記基板の第一の面の研磨終点を決定する動作制御部とをさらに備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨終点は、前記粒子の数がしきい値よりも低下した点であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨ヘッドの軸心から前記研磨具の研磨面の最も外側の縁部までの距離と、前記基板保持部の軸心から前記研磨ヘッドの軸心までの距離との合計は、前記基板の直径よりも短いことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨ヘッドの軸心から前記研磨具の研磨面の最も外側の縁部までの距離と、前記基板保持部の軸心から前記研磨ヘッドの軸心までの距離との合計は、前記基板保持部の軸心から前記複数のローラーのうちの1つのクランプ部までの距離よりも長いことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨ヘッドの軸心から前記研磨具の研磨面の最も外側の縁部までの距離と、前記基板保持部の軸心から前記研磨ヘッドの軸心までの距離との合計は、前記基板保持部の軸心から前記複数のローラーのうちの1つのクランプ部までの距離の2倍よりも短いことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨具の研磨面の最も外側の縁部は、前記研磨ヘッドの軸心を中心に回転可能に構成されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨具は、前記研磨ヘッドに保持された複数の研磨具のうちの1つであり、前記複数の研磨具は、前記研磨ヘッドの軸心の周りに配列されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様は、複数のローラーを基板の周縁部に接触させながら、前記複数のローラー
の位置が固定された状態で前記複数のローラーをそれぞれの軸心を中心に回転させることで、前記基板を基板保持部の軸心を中心に回転させ、前記基板保持部は、前記複数のローラーを有し、研磨具の研磨面を
前記基板の非研磨対象面である第二の面とは反対側の前記基板の第一の面に摺接させて該第一の面を研磨し、前記研磨具は研磨ヘッドに保持されており、前記研磨ヘッドの軸心から前記研磨具の研磨面の最も外側の縁部までの距離と、前記基板保持部の軸心から前記研磨ヘッドの軸心までの距離との合計は、前記基板の半径よりも長いことを特徴とする方法である。
【0012】
本発明の好ましい態様は、前記基板の第一の面を研磨しているとき、前記研磨具の研磨面の一部は前記基板の周縁部からはみ出ることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記基板の第一の面の研磨中に、前記第一の面とは反対側の前
記第二の面
に流体を接触させて前記第二の面を流体で支持することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記第一の面を研磨する工程は、前記基板の第一の面にリンス液を
リンス液供給ノズルから供給しながら、研磨具の研磨面を前記基板の第一の面に摺接させて該第一の面を研磨する工程であり、前記基板の第一の面に供給された前記リンス液を
パーティクルカウンタによって収集し、該リンス液中に含まれる粒子の数を
前記パーティクルカウンタによって計測し、前記粒子の数に基づいて前記基板の第一の面の研磨終点を
動作制御部によって決定する工程をさらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨終点は、前記粒子の数がしきい値よりも低下した点であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨ヘッドの軸心から前記研磨具の研磨面の最も外側の縁部までの距離と、前記基板保持部の軸心から前記研磨ヘッドの軸心までの距離との合計は、前記基板の直径よりも短いことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨具の研磨面の最も外側の縁部は、前記研磨ヘッドの軸心を中心に回転可能に構成されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨具は、前記研磨ヘッドに保持された複数の研磨具のうちの1つであり、前記複数の研磨具は、前記研磨ヘッドの軸心の周りに配列されていることを特徴とする。
【0013】
以下に説明する本発明の参考例は、基板の表面状態を監視しながら、該基板の表面を研磨することができる装置および方法を提供することを目的とする。
本発明の一参考例は、基板を保持し、該基板を回転させる基板保持部と、研磨具を前記基板の第一の面に摺接させて該第一の面を研磨する研磨ヘッドと、前記基板の第一の面にリンス液を供給するリンス液供給ノズルと、前記基板の第一の面に供給された前記リンス液を収集し、該リンス液中に含まれる粒子の数を計測するパーティクルカウンタと、前記粒子の数に基づいて前記基板の第一の面の研磨終点を決定する動作制御部とを備えたことを特徴とする装置である。
【0014】
上記参考例の好ましい態様は、前記研磨終点は、前記粒子の数がしきい値よりも低下した点であることを特徴とする。
上記参考例の好ましい態様は、前記第一の面とは反対側の前記基板の第二の面を支持する基板支持ステージをさらに備えたことを特徴とする。
上記参考例の好ましい態様は、前記基板保持部は、前記基板の周縁部に接触可能な複数のローラーを備え、前記複数のローラーは、各ローラーの軸心を中心に回転可能に構成されていることを特徴とする。
上記参考例の好ましい態様は、前記研磨ヘッドの軸心から前記研磨具の最も外側の縁部までの距離と、前記基板保持部の軸心から前記研磨ヘッドの軸心までの距離との合計は、前記基板の半径よりも長いことを特徴とする。
上記参考例の好ましい態様は、前記複数のローラーを各ローラーの軸心を中心に回転させるローラー回転機構をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の一参考例は、基板を回転させ、前記基板の第一の面にリンス液を供給しながら、研磨具を前記基板の第一の面に摺接させて該第一の面を研磨し、前記基板の第一の面に供給された前記リンス液を収集し、該リンス液中に含まれる粒子の数を計測し、前記粒子の数に基づいて前記基板の第一の面の研磨終点を決定することを特徴とする方法である。
【0016】
上記参考例の好ましい態様は、前記研磨終点は、前記粒子の数がしきい値よりも低下した点であることを特徴とする。
上記参考例の好ましい態様は、前記基板の第一の面の研磨中に、前記第一の面とは反対側の前記基板の第二の面を支持することを特徴とする。
上記参考例の好ましい態様は、前記基板を回転させる工程は、複数のローラーを基板の周縁部に接触させながら、前記複数のローラーをそれぞれの軸心を中心に回転させることで、前記基板を回転させる工程であることを特徴とする。
上記参考例の好ましい態様は、前記基板の第一の面を研磨しているとき、前記研磨具の一部は前記基板の周縁部からはみ出ることを特徴とする。
【0017】
本発明の一参考例は、基板を保持し、該基板を回転させる動作を基板保持部に実行させるステップと、前記基板の表面にリンス液を供給する動作をリンス液供給ノズルに実行させるステップと、研磨具を前記基板の表面に摺接させ、前記リンス液の存在下で該基板の表面を研磨する動作を研磨ヘッド組立体に実行させるステップと、前記基板の表面に供給された前記リンス液を収集し、該リンス液中に含まれる粒子の数を計測する動作をパーティクルカウンタに実行させるステップと、前記リンス液中に含まれる前記粒子の数を表すデータ信号を受信するステップと、前記粒子の数に基づいて前記基板の表面の研磨終点を決定するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、研磨ヘッドが基板の第一の面を研磨しているとき、基板の周縁部を把持するローラーは各ローラーの軸心を中心に回転するので、ローラーを基板とともに該基板の中心の周りで回転させる必要がない。したがって、ローラーが研磨ヘッドに接触することなく、研磨具は、基板の表面の最外部を含む第一の面全体を研磨することができる。結果として、基板の表面の最外部をエッジ研磨用の装置で研磨する必要がなくなり、研磨工程を減らすことができる。
【0019】
上記参考例によれば、異物の除去量を計測しながら基板の第一の面を研磨することができる。したがって、異物の除去量が少なくなった時点で基板の研磨を終了することができる。結果として、異物の初期量が異なる複数の基板を、一定の表面状態に仕上げることができる。さらに、過研磨に起因したスループットの低下、研磨具の過剰消費、基板の研磨痕の増加、研磨プロファイルの悪化が防止される。同様に、研磨不足に起因した歩留まり低下が防止される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、研磨装置の一実施形態を示す模式図である。研磨装置は、基板の一例であるウェーハWを保持し、その軸心を中心として回転させる基板保持部10と、この基板保持部10に保持されたウェーハWの第一の面1を研磨してウェーハWの第一の面1から異物や傷を除去する研磨ヘッド組立体49と、第一の面1とは反対側のウェーハWの第二の面2を支持する基板支持ステージとしての静圧支持ステージ90とを備えている。研磨ヘッド組立体49は、基板保持部10に保持されているウェーハWの上側に配置されており、静圧支持ステージ90は基板保持部10に保持されているウェーハWの下側に配置されている。
【0022】
一実施形態では、ウェーハWの第一の面1は、デバイスが形成されていないウェーハWの裏面、すなわち非デバイス面であり、反対側の面であるウェーハWの第二の面2は、デバイスが形成されている面、すなわちデバイス面である。一実施形態では、ウェーハWの第一の面1はデバイス面であり、ウェーハWの第二の面2は、デバイスが形成されていないウェーハWの裏面である。デバイスが形成されていない裏面の例としては、シリコン面が挙げられる。本実施形態では、ウェーハWは、その第一の面1が上向きの状態で、基板保持部10に水平に保持される。
【0023】
基板保持部10は、ウェーハWの周縁部に接触可能な複数のローラー11と、これらローラー11をそれぞれの軸心を中心に回転させるローラー回転機構12とを備えている。本実施形態では、4つのローラー11が設けられている。5つ以上のローラー11を設けてもよい。一実施形態では、ローラー回転機構12は、モータ、ベルト、プーリーなどを備える。ローラー回転機構12は、4つのローラー11を同じ方向に同じ速度で回転させるように構成されている。ウェーハWの第一の面1の研磨中、ウェーハWの周縁部は、ローラー11によって把持される。ウェーハWは水平に保持され、ローラー11の回転によってウェーハWはその軸心を中心に回転される。
【0024】
図2は、ローラー回転機構12の詳細を示す平面図である。ローラー回転機構12は、4つのローラー11のうちの2つを連結する第1ベルト14Aと、第1ベルト14Aで連結された2つのローラー11のうちの一方に連結された第1モータ15Aと、第1ベルト14Aで連結された2つのローラー11を回転可能に支持する第1ローラー台16Aと、4つのローラー11のうちの他の2つを連結する第2ベルト14Bと、第2ベルト14Bで連結された2つのローラー11のうちの一方に連結された第2モータ15Bと、第2ベルト14Bで連結された2つのローラー11を回転可能に支持する第2ローラー台16Bとを備える。
【0025】
第1モータ15Aおよび第1ベルト14Aは第1ローラー台16Aの下方に配置され、第2モータ15Bおよび第2ベルト14Bは第2ローラー台16Bの下方に配置されている。第1モータ15Aおよび第2モータ15Bは第1ローラー台16Aおよび第2ローラー台16Bの下面にそれぞれ固定されている。4つのローラー11の下部には図示しないプーリーがそれぞれ固定されている。第1ベルト14Aは、4つのローラー11のうちの2つに固定されたプーリーに掛けられ、第2ベルト14Bは他の2のローラー11に固定されたプーリーに掛けられている。第1モータ15Aおよび第2モータ15Bは同じ速度で同じ方向に回転するように構成されている。したがって、4つのローラー11は、同じ速度で同じ方向に回転することができる。
【0026】
ローラー回転機構12は、第1ローラー台16Aに連結された第1アクチュエータ18Aと、第2ローラー台16Bに連結された第2アクチュエータ18Bをさらに備えている。第1アクチュエータ18Aは、第1ローラー台16Aに支持されている2つのローラー11を矢印で示すように水平方向に移動させる。同様に、第2アクチュエータ18Bは、第2ローラー台16Bに支持されている他の2つのローラー11を矢印で示すように水平方向に移動させる。すなわち、第1アクチュエータ18Aおよび第2アクチュエータ18Bは、2組のローラー11(本実施形態では各組は2つのローラー11からなる)を互いに近づく方向および離間する方向に移動させるように構成されている。第1アクチュエータ18Aおよび第2アクチュエータ18Bは、エアシリンダまたはモータ駆動型アクチュエータなどから構成することができる。
図2に示す実施形態では、第1アクチュエータ18Aおよび第2アクチュエータ18Bはエアシリンダから構成されている。2組のローラー11が互いに近づく方向に移動すると、ウェーハWは4つのローラー11によって保持され、2組のローラー11が互いに離れる方向に移動すると、ウェーハWは4つのローラー11から解放される。本実施形態では、基板保持部10の軸心CPの周りに配列された4つのローラー11が設けられているが、ローラー11の数は4つに限定されない。例えば、3つのローラー11を120度の角度で等間隔で軸心CPの周りに配列し、それぞれのローラー11に対して、アクチュエータを1つずつ設けるようにしてもよい。
【0027】
図3は、ローラー11の上部の拡大図である。ローラー11は、円筒状の保持面を有するクランプ部11aと、クランプ部11aに接続され、かつクランプ部11aから下方に傾斜するテーパー面11bとを有している。テーパー面11bは円錐台形状を有しており、クランプ部11aよりも大きな直径を有している。ウェーハWは、まず、図示しない搬送装置によりテーパー面11b上に載置され、その後ローラー11がウェーハWに向かって移動することによりウェーハWの周縁部がクランプ部11aに保持される。ローラー11がウェーハWを解放するときは、ローラー11がウェーハWから離れる方向に移動することにより、ウェーハWの周縁部がクランプ部11aから離れ、テーパー面11bに支持される(
図3の点線参照)。図示しない搬送装置は、テーパー面11b上のウェーハWを取り出すことができる。
【0028】
図4は、第1アクチュエータ18Aおよび第2アクチュエータ18Bがモータ駆動型アクチュエータから構成された一実施形態を示す図である。第1アクチュエータ18Aは、第1サーボモータ19Aと、第1ローラー台16Aに連結された第1ボールねじ機構20Aとを備える。第2アクチュエータ18Bは、第2サーボモータ19Bと、第2ローラー台16Bに連結された第2ボールねじ機構20Bとを備える。サーボモータ19A,19Bは、ボールねじ機構20A,20Bにそれぞれ接続されている。サーボモータ19A,19Bがボールねじ機構20A,20Bを駆動すると、2組のローラー11が互いに近づく方向および離間する方向に移動する。
【0029】
サーボモータ19A,19Bは、アクチュエータコントローラ21に電気的に接続されている。アクチュエータコントローラ21は、サーボモータ19A,19Bの動作を制御することによって、ウェーハWの研磨時のローラー11の位置を精密に制御することができる。本実施形態では、基板保持部10の軸心CPの周りに配列された4つのローラー11が設けられているが、ローラー11の数は4つに限定されない。例えば、3つのローラー11を120度の角度で等間隔で軸心CPの周りに配列し、それぞれのローラー11に対して、アクチュエータを1つずつ設けるようにしてもよい。
【0030】
基板保持部10に保持されたウェーハWの上方には、ウェーハWの第一の面1にリンス液(例えば純水)を供給するリンス液供給ノズル27が配置されている。このリンス液供給ノズル27は、図示しないリンス液供給源に接続されている。リンス液供給ノズル27は、ウェーハWの中心を向いて配置されている。リンス液は、リンス液供給ノズル27からウェーハWの中心に供給され、回転するウェーハWの遠心力によりリンス液はウェーハWの第一の面1上を広がる。
【0031】
研磨ヘッド組立体49は、基板保持部10に保持されたウェーハWの第一の面1を研磨してウェーハWの第一の面1から異物や傷を除去する研磨ヘッド50を有している。研磨ヘッド50はヘッドシャフト51に連結されている。このヘッドシャフト51は、研磨ヘッド50をその軸心を中心として回転させるヘッド回転機構58に連結されている。さらに、ヘッドシャフト51には、研磨ヘッド50に下向きの荷重を付与する荷重付与装置としてのエアシリンダ57が連結されている。研磨ヘッド50は、ウェーハWの第一の面1を研磨するための複数の研磨具61を備えている。研磨ヘッド50の下面は、これら研磨具61から構成された研磨面である。研磨ヘッド組立体49は、研磨ヘッド50、ヘッドシャフト51、ヘッド回転機構58、エアシリンダ57を少なくとも含む。一実施形態では、ヘッド回転機構58は、モータ、ベルト、プーリーなどの公知の構成を備える。
【0032】
本実施形態では、研磨具61は、砥粒を含んだ研磨層が片面に形成された研磨テープから構成されている。研磨テープの両端は、研磨ヘッド50内に配置された図示しない2つのリールに保持されており、2つのリールの間を延びる研磨テープの下面がウェーハWの第一の面1に接触可能となっている。一実施形態では、研磨具61は、スポンジ、不織布、発泡ポリウレタン、または固定砥粒であってもよい。
【0033】
図5は、研磨ヘッド50の底面図である。
図5に示すように、研磨具61は、研磨ヘッド50の半径方向に延びており、研磨ヘッド50の軸心まわりに等間隔に配列されている。研磨ヘッド50は、その軸心を中心に回転しながら研磨具61をウェーハWの第一の面1に摺接させて、該第一の面1を研磨する。
【0034】
図6は、研磨ヘッド50の配置を示す平面図であり、
図7は、研磨ヘッド50の配置を示す側面図である。複数のローラー11は、基板保持部10の軸心CPの周りに配置されており、基板保持部10の軸心CPから同じ距離に位置している。複数のローラー11によってウェーハWが保持されたとき、ウェーハWの中心点は基板保持部10の軸心CP上にある。
【0035】
研磨ヘッド50は、ウェーハWの半径Rよりも大きい直径を有している。研磨ヘッド50の軸心(符号HPで示す)は、基板保持部10の軸心CPからずれている。したがって、研磨ヘッド50は、基板保持部10に保持されたウェーハWに対して偏心している。研磨ヘッド50の軸心HPから研磨具61の最も外側の縁部までの距離をL1とし、基板保持部10の軸心CPから研磨ヘッド50の軸心HPまでの距離をL2とすると、距離L1と距離L2との合計は、ウェーハWの半径Rよりも長い。結果として、
図6および
図7に示すように、研磨ヘッド50がウェーハWの第一の面1を研磨しているとき、研磨具61の一部は、ローラー11で保持されているウェーハWの周縁部からはみ出る。
【0036】
図6および
図7から分かるように、研磨ヘッド50が回転しているとき、研磨具61は、ウェーハWの第一の面1の中心から最外部まで接触することができる。したがって、研磨具61は、ウェーハWの第一の面1の全体を研磨することが可能である。結果として、ウェーハWの表面の最外部をエッジ研磨用の装置で研磨する必要がなくなり、研磨工程を減らすことができる。ウェーハWの第一の面1研磨中、全てのローラー11は各軸心を中心に回転するが、これらローラー11の位置は固定されている。したがって、研磨具61の一部がウェーハWの周縁部からはみ出ていても、ローラー11は研磨ヘッド50に接触しない。
【0037】
図8は、上述した研磨装置を備えた基板処理システムの一実施形態を模式的に示す平面図である。本実施形態では、基板処理システムは、多数のウェーハをストックするウェーハカセットが載置されるフロントロード部122を備えたロードアンロード部121を有している。フロントロード部122には、オープンカセット、SMIF(Standard Manufacturing Interface)ポッド、またはFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができるようになっている。SMIF、FOUPは、内部にウェーハカセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。
【0038】
ロードアンロード部121には、フロントロード部122の配列方向に沿って移動可能な第1の搬送ロボット(ローダー)123が設置されている。第1の搬送ロボット123はフロントロード部122に搭載されたウェーハカセットにアクセスして、ウェーハをウェーハカセットから取り出すことができるようになっている。
【0039】
基板処理システムは、水平方向に移動可能な第2の搬送ロボット126と、研磨装置127と、基板処理システム全体の動作を制御するシステムコントローラ133と、研磨されたウェーハを洗浄する洗浄ユニット172と、洗浄されたウェーハを乾燥させる乾燥ユニット173とをさらに備えている。洗浄ユニット172および乾燥ユニット173は上下方向に重なるように配置されてもよい。研磨装置127は、
図1に示す上述した研磨装置である。
【0040】
ウェーハカセット内のウェーハは、第1の搬送ロボット123によって研磨装置127に搬送され、ここでウェーハの表面が研磨される。ウェーハの研磨終了後、研磨ヘッド50は退避位置に移動される。ウェーハは第2の搬送ロボット126により研磨装置127から取り出され、洗浄ユニット172に搬送される。一実施形態では、洗浄ユニット172は、ウェーハを挟むように配置された上側ロールスポンジおよび下側ロールスポンジを備えており、洗浄液をウェーハの両面に供給しながらこれらロールスポンジでウェーハの両面を洗浄する。
【0041】
洗浄されたウェーハは、第2の搬送ロボット126によって乾燥ユニット173に搬送される。一実施形態では、乾燥ユニット173は、ウェーハをその軸心まわりに高速で回転させることによってウェーハをスピン乾燥する。乾燥されたウェーハは、第1の搬送ロボット123によりフロントロード部122のウェーハカセットに戻される。このようにして、基板処理システムは、ウェーハの研磨、洗浄、および乾燥の一連の工程を行うことができる。
【0042】
図1に戻り、静圧支持ステージ90は、ローラー11に保持されたウェーハWの第二の面2(第一の面1とは反対側の面)を支持する基板支持ステージの一実施形態である。本実施形態では、静圧支持ステージ90は、ローラー11に保持されたウェーハWの第二の面2に流体を接触させてウェーハWを流体で支持するように構成されている。静圧支持ステージ90は、ローラー11に保持されたウェーハWの第二の面2に近接した基板支持面91を有している。さらに、静圧支持ステージ90は、基板支持面91に形成された複数の流体噴射口94と、流体排出口94に接続された流体供給路92を備えている。静圧支持ステージ90は、基板保持部10に保持されているウェーハWの下方に配置され、基板支持面91はウェーハWの第二の面2から僅かに離れている。流体供給路92は、図示しない流体供給源に接続されている。本実施形態の基板支持面91は円形であるが、四角形または他の形状を有していてもよい。
【0043】
静圧支持ステージ90は、流体(例えば、純水などの液体)を流体供給路92を通じて複数の流体噴射口94に供給し、基板支持面91とウェーハWの第二の面2との間の空間を流体で満たす。ウェーハWは、基板支持面91とウェーハWの第二の面2との間に存在する流体によって支持される。ウェーハWと静圧支持ステージ90とは非接触に保たれ、ウェーハWと静圧支持ステージ90との間のクリアランスは50μm〜500μmとされる。
【0044】
静圧支持ステージ90は、流体を介してウェーハWの第二の面2を非接触に支持することができる。したがって、ウェーハWの第二の面2にデバイスが形成されている場合には、静圧支持ステージ90は、デバイスを破壊することなくウェーハWを支持することができる。静圧支持ステージ90に使用される流体としては、非圧縮性流体である純水などの液体、または空気や窒素などの圧縮性流体である気体を用いてもよい。純水が使用される場合、流体供給路92に接続される流体供給源として、研磨装置が設置されている工場に設置された純水供給ラインを使用することができる。
【0045】
研磨ヘッド50の下面(研磨面)と静圧支持ステージ90の基板支持面91は、同心状に配置される。さらに、研磨ヘッド50の下面と静圧支持ステージ90の基板支持面91は、ウェーハWに関して対称的に配置される。すなわち、研磨ヘッド50の下面と静圧支持ステージ90の基板支持面91はウェーハWを挟むように配置されており、研磨ヘッド50からウェーハWに加えられる荷重は、研磨ヘッド50の真下から静圧支持ステージ90によって支持される。したがって、研磨ヘッド50は、流体圧により支持されているウェーハWを撓ませることを抑えつつ、大きな荷重をウェーハWの第一の面1に加えることができる。
【0046】
研磨ヘッド50は、その下面の端部がウェーハWの中心上に位置するように配置されることが好ましい。研磨ヘッド50の下面の直径は、ウェーハWの半径と同じか、ウェーハWの半径よりも大きいことが好ましい。本実施形態では、基板支持面91の直径は研磨ヘッド50の下面の直径よりも大きいが、基板支持面91の直径は研磨ヘッド50の下面の直径と同じでもよく、あるいは研磨ヘッド50の下面の直径よりも小さくてもよい。
【0047】
次に、研磨装置の動作について説明する。研磨されるウェーハWは、第一の面1が上向きの状態で、基板保持部10のローラー11により保持され、さらにウェーハWの軸心を中心に回転される。流体(例えば、純水などの液体)は、流体供給路92を通じて複数の流体噴射口94に供給され、静圧支持ステージ90の基板支持面91とウェーハWの第二の面2との間の空間は流体で満たされる。ウェーハWは、基板支持面91とウェーハWの第二の面2との間を流れる流体によって支持される。
【0048】
リンス液供給ノズル27は、リンス液をウェーハWの中心に供給し、リンス液は回転するウェーハWの遠心力によりウェーハWの第一の面1上を広がる。ヘッド回転機構58は、研磨ヘッド50をその軸心HPを中心にウェーハWと同じ方向に回転させる。そして、エアシリンダ57は、回転する研磨ヘッド50をウェーハWの第一の面1に対して押し付ける。研磨ヘッド50は、リンス液がウェーハWの第一の面1上に存在する状態で、研磨具61をウェーハWの第一の面1に摺接させ、第一の面1を研磨する。
【0049】
図1および
図6に示すように、パーティクルカウンタ70が研磨ヘッド50に隣接して配置されている。このパーティクルカウンタ70は、ウェーハWの第一の面1に供給されたリンス液を吸引(収集)し、該リンス液中に含まれる粒子(パーティクル)の数を計測することが可能に構成されている。パーティクルカウンタ70は、吸引ノズル71を備えており、吸引ノズル71を通じてリンス液をウェーハWの第一の面1から吸引するように構成されている。
【0050】
吸引ノズル71の先端は、基板保持部10に保持されているウェーハWの第一の面1の直ぐ上方に位置している。吸引ノズル71の先端は、リンス液供給ノズル27の先端よりも外側に配置されている。より具体的には、基板保持部10の軸心CPから吸引ノズル71の先端までの距離は、基板保持部10の軸心CPからリンス液供給ノズル27の先端までの距離よりも長い。したがって、リンス液供給ノズル27から供給されたリンス液は、ウェーハW上を半径方向外側に流れ、研磨具61に接触し、そして、リンス液の一部は吸引ノズル71に吸引される。本実施形態では、吸引ノズル71の先端は、基板保持部10に保持されているウェーハWの周縁部に近接している。
【0051】
図9は、パーティクルカウンタ70の模式図である。パーティクルカウンタ70は、吸引ノズル71(
図1参照)に接続されたフローセル73と、フローセル73に接続された吸引ポンプ74と、フローセル73にレーザー光線を照射するレーザー76と、フローセル73からの散乱光を検出する光検出器77(例えば、フォトダイオード)と、散乱光の検出回数から粒子の数を決定し、さらに散乱光の強さから粒子の大きさを決定する計数処理部79とを備えている。フローセル73は、レーザー光線を透過させる透明な壁を有している。
【0052】
吸引ポンプ74が駆動されると、ウェーハWの第一の面1上のリンス液は、吸引ノズル71(
図1参照)を通じてフローセル73に導入され、フローセル73内を流れる。レーザー76はフローセル73内を流れるリンス液にレーザー光線を照射する。リンス液中に粒子が存在すると、レーザー光線は粒子で散乱し、散乱光を形成する。この散乱光は光検出器77によって検出される。光検出器77は、散乱光の強さに依存した大きさを持つ電気信号を出力し、この電気信号を計数処理部79に送る。散乱光の強さは粒子の大きさに依存するので、電気信号の大きさは粒子の大きさに依存する。計数処理部79は、電気信号の大きさから粒子の大きさを決定し、さらに電気信号が設定値を超えた回数から粒子の数を決定する。電気信号が設定値を超えた回数は、散乱光の検出回数に相当する。このようなパーティクルカウンタ70は、市場で入手可能である。
【0053】
図1に示すように、パーティクルカウンタ70は、動作制御部81に接続されている。パーティクルカウンタ70は、リンス液に含まれる粒子の数を表すデータ信号を動作制御部81に送り、動作制御部81は粒子の数に基づいて、ウェーハWの第一の面1の研磨の研磨終点を決定する。本実施形態では、第一の面1の研磨の研磨終点は、粒子の数がしきい値よりも低下した点である。したがって、動作制御部81は、粒子の数がしきい値よりも低下したときに、第一の面1の研磨を終了させる。第一の面1の研磨の終了は、エアシリンダ57によって研磨ヘッド50をウェーハWの第一の面1から離間させることによって達成される。
【0054】
次に、
図10のフローチャートを参照しながら、ウェーハWの第一の面1の研磨の一実施形態について説明する。ステップ1では、ウェーハWの周縁部を基板保持部10のローラー11で保持し、さらにローラー11を回転させることでウェーハWをその軸心を中心に回転させる。ステップ2では、リンス液供給ノズル27からリンス液がウェーハWの第一の面1に供給される。ステップ3では、研磨ヘッド50は、ヘッド回転機構58によってウェーハWと同じ方向に回転させられながら、エアシリンダ57によってウェーハWの第一の面1に押し付けられる。研磨具61は、リンス液の存在下でウェーハWの第一の面1に摺接され、これによりウェーハWの第一の面1を研磨する。研磨具61は、ウェーハWの第一の面1を僅かに削り取ることにより、ウェーハWの第一の面1から異物を除去する。
【0055】
ステップ4では、ウェーハWの第一の面1の研磨中に、パーティクルカウンタ70はリンス液をウェーハWの第一の面1から吸引(収集)し、リンス液に含まれる粒子の数を計測する。リンス液に含まれる粒子のほとんどは、ウェーハWの第一の面1から除去された異物から構成される。したがって、リンス液に含まれる粒子の数は、ウェーハWの第一の面1から除去された異物の量に実質的に比例する。ステップ5では、動作制御部81は、粒子の数をしきい値と比較し、粒子の数がしきい値よりも小さいか否かを決定する。粒子の数がしきい値よりも小さい場合は、動作制御部81は、ステップ6において、ウェーハWの第一の面1の研磨終点に達したことを決定し、第一の面1の研磨を終了させる。粒子の数がしきい値以上である場合は、ステップ4およびステップ5が繰り返される。
【0056】
動作制御部81は、基板保持部10、リンス液供給ノズル27、研磨ヘッド組立体49、パーティクルカウンタ70、静圧支持ステージ90に電気的に接続されている。基板保持部10、リンス液供給ノズル27、研磨ヘッド組立体49、パーティクルカウンタ70、静圧支持ステージ90の動作は動作制御部81によって制御される。動作制御部81は、専用のコンピュータまたは汎用のコンピュータから構成される。
【0057】
図11は、動作制御部81の構成を示す模式図である。動作制御部81は、プログラムやデータなどが格納される記憶装置110と、記憶装置110に格納されているプログラムに従って演算を行うCPU(中央処理装置)などの処理装置120と、データ、プログラム、および各種情報を記憶装置110に入力するための入力装置130と、処理結果や処理されたデータを出力するための出力装置140と、インターネットなどのネットワークに接続するための通信装置150を備えている。
【0058】
記憶装置110は、処理装置120がアクセス可能な主記憶装置111と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置112を備えている。主記憶装置111は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)であり、補助記憶装置112は、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)などのストレージ装置である。
【0059】
入力装置130は、キーボード、マウスを備えており、さらに、記録媒体からデータを読み込むための記録媒体読み込み装置132と、記録媒体が接続される記録媒体ポート134を備えている。記録媒体は、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、光ディスク(例えば、CD−ROM、DVD−ROM)や、半導体メモリー(例えば、USBフラッシュドライブ、メモリーカード)である。記録媒体読み込み装置132の例としては、CDドライブ、DVDドライブなどの光学ドライブや、カードリーダーが挙げられる。記録媒体ポート134の例としては、USB端子が挙げられる。記録媒体に記録されているプログラムおよび/またはデータは、入力装置130を介して動作制御部81に導入され、記憶装置110の補助記憶装置112に格納される。出力装置140は、ディスプレイ装置141、印刷装置142を備えている。
【0060】
動作制御部81は、記憶装置110に電気的に格納されたプログラムに従って動作する。すなわち、動作制御部81は、ウェーハWを保持し、該ウェーハWを回転させる動作を基板保持部10に実行させるステップ(
図10のステップ1参照)と、ウェーハWの第一の面1にリンス液を供給する動作をリンス液供給ノズル27に実行させるステップ(
図10のステップ2参照)と、研磨具61をウェーハWの第一の面1に摺接させ、リンス液の存在下でウェーハWの第一の面1を研磨する動作を研磨ヘッド組立体49に実行させるステップ(
図10のステップ3参照)と、ウェーハWの第一の面1に供給されたリンス液を吸引(収集)し、該リンス液中に含まれる粒子の数を計測する動作をパーティクルカウンタ70に実行させるステップ(
図10のステップ4参照)と、リンス液中に含まれる粒子の数を表すデータ信号を受信し、粒子の数をしきい値と比較するステップ(
図10のステップ5参照)と、粒子の数に基づいてウェーハWの第一の面1の研磨終点を決定するステップ(
図10のステップ6参照)を実行する。
【0061】
これらステップを動作制御部81に実行させるためのプログラムは、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、記録媒体を介して動作制御部81に提供される。または、プログラムは、インターネットなどの通信ネットワークを介して動作制御部81に提供されてもよい。
【0062】
本実施形態に係る研磨装置は、異物の除去量を計測しながらウェーハWの第一の面1を研磨することができる。したがって、異物の除去量が少なくなった時点でウェーハWの研磨を終了することができる。結果として、異物の初期量が異なる複数のウェーハを、一定の表面状態に仕上げることができる。さらに、過研磨に起因したスループットの低下、研磨具の過剰消費、ウェーハの研磨痕の増加、研磨プロファイルの悪化が防止される。同様に、研磨不足に起因した歩留まり低下が防止される。
【0063】
図12に示すように、パーティクルカウンタ70を研磨ヘッド50の下方に配置してもよい。より具体的には、吸引ノズル71の先端がウェーハWの周縁部の直ぐ下方に位置するように、パーティクルカウンタ70を配置してもよい。
【0064】
図13は、研磨装置の他の実施形態を示す図である。この実施形態では、ローラー11に変えて、ウェーハWの周縁部を把持する複数のチャック101が設けられている。すなわち、基板保持部10は、ウェーハWの周縁部を把持する複数のチャック101と、これらチャック101を介してウェーハWを回転させる環状の中空モータ102とを備えている。ウェーハWは、チャック101によって水平に保持され、中空モータ102によってウェーハWの軸心を中心に回転される。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、先に説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0065】
図14は、研磨ヘッド50の配置を示す平面図である。ウェーハWを保持した全てのチャック101は、中空モータ102(
図13参照)によって基板保持部10の軸心CPを中心に一体に回転される。チャック101が研磨ヘッド50に接触しないようにするために、研磨ヘッド50は、チャック101に保持されたウェーハWの周縁部よりも内側に配置されている。研磨具61がウェーハWの第一の面1に接触できる面積をできるだけ大きくするために、回転するチャック101が研磨ヘッド50に接触しない限りにおいて、研磨ヘッド50とチャック101との距離は、できるだけ小さいことが好ましい。
【0066】
上述した実施形態では、ウェーハWの第二の面2(第一の面1とは反対側の面)を支持する基板支持ステージとして、ウェーハWの第二の面2に流体を接触させてウェーハWを流体で支持する静圧支持ステージ90が使用されているが、第二の面2が、デバイスが形成されていない非デバイス面である場合には、基板支持ステージは真空チャックなどの接触タイプの構造を有してもよい。
【0067】
また、上述した各実施形態では、処理対象となる基板としては、デバイスウェーハやガラス基板が挙げられる。さらに、様々なサイズの基板を処理対象とすることができる。例えば、直径100mm、150mm、200mm、300mm、450mmのウェーハを処理することも可能である。また、サイズの大きなガラス基板を処理することも可能である。
【0068】
図15は、研磨装置の他の実施形態を模式的に示す平面図である。本実施形態における研磨装置は、隔壁87を有し、隔壁87に囲まれた処理室180内に、研磨ヘッド50、基板保持部10、洗浄ノズル85が配置されている。研磨ヘッド50は、揺動アーム53の一端に連結されており、揺動アーム53の他端は、揺動軸54に固定されている。図示しない軸回転機構により揺動軸54が駆動されると、研磨ヘッド50が揺動アーム53を介して、点線で示す処理位置と、ウェーハWの半径方向外側にある、実線で示す退避位置との間を移動するようになっている。揺動軸54には、図示しない研磨ヘッド50を上下方向に移動させる研磨ヘッド昇降機構がさらに連結されている。この研磨ヘッド昇降機構は、揺動軸54および揺動アーム53を介して研磨ヘッド50を昇降させる。研磨中、研磨ヘッド50は、研磨ヘッド昇降機構によりウェーハWの表面に接触するまで下降される。研磨ヘッド昇降機構としては、エアシリンダ、またはサーボモータとボールねじ機構との組み合わせなどが使用される。
【0069】
洗浄ノズル85は、ノズルアーム83の一端に連結されており、ノズルアーム83の他端は、ノズルアーム軸84に固定されている。図示しない軸回転機構によりノズルアーム軸84が駆動されると、洗浄ノズル85がノズルアーム83を介して、点線で示す処理位置とウェーハWの半径方向外側にある、実線で示す退避位置との間を移動するようになっている。洗浄ノズル85が処理位置にあるとき、ウェーハWの表面には洗浄液が洗浄ノズル85から供給され、ウェーハWの表面が洗浄される。そして、本実施形態においても、パーティクルカウンタ70を研磨ヘッド50の上方や下方といった近傍に設けることができる。さらに、
図15に示す基板保持部10は、複数のローラー11でウェーハWを保持するように構成されている。このように構成すれば、研磨ヘッド50に取り付けられた図示しない研磨具がウェーハWの表面の最外部を含む第一の面全体を研磨することができるので、これに続けて、ウェーハWの表面の最外部を別途エッジ研磨用の装置で研磨する工程を省くことができる。ただし、本実施形態はこれに限定されるものでなく、
図13および
図14に示す複数のチャック101でウェーハWを保持するように構成してもよい。
【0070】
一実施形態では、パーティクルカウンタ70を研磨ヘッド50の上方や下方といった近傍に設ける代わりに、基板支持ステージ上にある基板に供給されたリンス液が研磨装置の下にあるドレインから排出され、不図示の排液タンクに収集されるので、その排液タンクの中に収容された排液中に含まれる粒子数をモニタリングし、これにより研磨終点を検知するようにしてもよい。
【0071】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。