【文献】
社団法人日本化学会,第5版実験化学講座13 有機化合物の合成I ―炭化水素・ハロゲン化物―,丸善株式会社,2004年,第105頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
前記一般式(1)で表されるカルバゾール化合物において、Lは9,9−ジメチル−9,10−ジヒドロアクリジニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、又はフェノキサチイニル基(これらの置換基の環構成原子に結合した水素原子の1つ又は複数は、R
4で表わされる基で置換されていてもよい)を表す。なお、9,9−ジメチル−9,10−ジヒドロアクリジニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、及びフェノキサチイニル基上のカルバゾリル基との結合位置並びにR
4で表わされる置換基の数及び結合位置については、特に限定されない。
【0016】
前記一般式(1)で表されるカルバゾール化合物において、発光特性が優れることから、Lは、9,9−ジメチル−9,10−ジヒドロ−2−アクリジニル基、9,9−ジメチル−9,10−ジヒドロ−10−アクリジニル基、3−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、3−フェノチアジニル基、又は10−フェノチアジニル基(これらの置換基の環構成原子に結合した水素原子の1つ又は複数は、R
4で表わされる基で置換されていてもよい)であることが好ましい。
【0017】
前記一般式(1)で表されるカルバゾール化合物において、Xは、C−R
3で表わされる基又は窒素原子を表す。
【0018】
前記一般式(1)で表されるカルバゾール化合物において、R
1〜R
4は、各々独立して、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基(該基は、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜3のハロゲン化アルコキシ基、及びシアノ基からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい)、炭素数3〜20のヘテロ芳香族基(該基は、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜3のハロゲン化アルコキシ基、及びシアノ基からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい)、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、シアノ基、又は水素原子を表す。を表す。
【0019】
R
1〜R
4における炭素数6〜30の芳香族炭化水素基としては、例えば、連結及び/又は縮環していてもよい炭素数6〜30の芳香族炭化水素であることが好ましく、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フェニル−ナフチル基、ナフチル−フェニル基、フルオレニル基、9,9−ジフェニルフルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ベンゾフルオレニル基、ピレニル基、又はフルオランテニル基等が挙げられる。
【0020】
R
1〜R
4における炭素数3〜20のヘテロ芳香族基としては、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子のうち少なくとも一つのヘテロ原子を含有する連結及び/又は縮環していてもよい炭素数3〜20のヘテロ芳香族基と記載することもでき、特に限定するものではないが、例えば、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、フェニル−ピリジル基、ピリジル−フェニル基、ピリミジル基、ピラジル基、1,3,5−トリアジル基、ベンゾイミダゾリル基、インダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、2,1,3−ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、2,1,3−ベンゾオキサジアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、キナゾリル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基、インドリル基、又はベンゾチエニル基等を挙げることができる。
【0021】
R
1〜R
4における炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル基、シクロプロピル基、又はシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0022】
R
1〜R
4における炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基としては、特に限定するものではないが、例えば、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、又はステアリルオキシ基等が挙げられる。
【0023】
R
1〜R
4における炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜3のフルオロ化アルキル基が好ましく、特に限定するものではないが、例えば、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、又は2−フルオロエチル基等が挙げられる。
【0024】
R
1〜R
4における炭素数1〜3のハロゲン化アルコキシ基としては、炭素数1〜3のフルオロ化アルコキシ基が好ましく、特に限定するものではないが、例えば、トリフルオロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、又は2−フルオロエトキシ基等が挙げられる。
【0025】
前記一般式(1)で表されるカルバゾール化合物において、発光特性が優れることから、R
1〜R
4は、各々独立して、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基(該基は、メチル基、エチル基、メトキシ基、及びエトキシ基からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい)、炭素数3〜12のヘテロ芳香族基(該基は、メチル基、エチル基、メトキシ基、及びエトキシ基からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい)、メチル基、エチル基、又は水素原子であることが好ましく、各々独立して、メチル基、メトキシ基、フェニル基、トリル基、ビフェニル基、又は水素原子であることがより好ましい。
【0026】
なお、R
1〜R
3については、発光特性が優れることから、各々独立して、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基(該基は、メチル基、エチル基、メトキシ基、及びエトキシ基からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい)、メチル基、エチル基、又は水素原子であることがより好ましく、各々独立して、フェニル基、トリル基、ビフェニル基、ナフチル基、ターフェニル基、メチル基、又は水素原子であることがより好ましく、各々独立して、メチル基、メトキシ基、フェニル基、トリル基、ビフェニル基、又は水素原子であることがより好ましい。
【0027】
R
4については、発光特性が優れることから、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基(該基は、メチル基、エチル基、メトキシ基、及びエトキシ基からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい)、メチル基、エチル基、又は水素原子であることがより好ましく、各々独立して、フェニル基、トリル基、ビフェニル基、ナフチル基、ターフェニル基、メチル基、又は水素原子であることがより好ましい。
【0028】
以上、R
1〜R
4で示した炭素数6〜18の芳香族炭化水素基については、特に限定するものではないが、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基で例示した基のうち、炭素数が6〜18のものを例示することができ、好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、又はターフェニリル基を例示することができる。
【0029】
一般式(1)で表されるカルバゾール化合物としては特に限定するものではないが、下記一般式(5)で表されるカルバゾール化合物が好ましい。
【0031】
(式中、
X、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、各々独立して、一般式(1)と同じ定義を表わす。
R
5及びR
6は、(R
5,R
6)=(C(CH
3)
2,NH)、(O,NH)、(S,NH)、(C(CH
3)
2,N)、(O,N)、(S,N)又は(O,S)のいずれかの組合せを表わす。
nは、0〜8の整数を表わす。)
一般式(5)における各置換基の好ましい範囲については、一般式(1)のものと同様である。
【0032】
なお、一般式(5)におけるR
4については、発光特性が優れることから、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、トリル基、又はビフェニル基であることが好ましく、各々独立して、水素原子、メチル基、メトキシ基、フェニル基、ビフェニル基、又はトリル基であることがより好ましい。
【0033】
nは、原料調達の面で、0〜6の整数であることが好ましく、0〜4であることがより好ましく、0〜3であることがさらに好ましい。
【0034】
また、(R
5,R
6)=(C(CH
3)
2,N)、(O,N)、又は(S,N)の組合せについては、R
6の窒素原子とカルバゾリル基が結合する場合を書き表したものである。
【0035】
また、下記一般式(6)で表されるカルバゾール化合物がより好ましい。
【0037】
(式中、
X、R
1、R
2、R
3、及びR
4は、各々独立して、一般式(1)と同じ定義を表わす。
R
5は、C(CH
3)
2、O、又はSを表わす。
nは、0〜8の整数を表わす。)
一般式(6)における各置換基の好ましい範囲については、一般式(1)のものと同様である。
【0038】
なお、一般式(6)におけるR
4については、発光特性が優れることから、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、トリル基、又はビフェニル基であることが好ましく、各々独立して、水素原子、メチル基、メトキシ基、フェニル基、又はトリル基であることがより好ましい。
【0039】
nは、原料調達の面で、0〜6の整数であることが好ましく、0〜4であることがより好ましく、0〜3であることがさらに好ましい。
【0040】
また、下記一般式(7)、(8)又は(12)で表されるカルバゾール化合物が更に好ましい。
【0042】
(式中、X、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びnは、それぞれ、一般式(6)と同じ定義を表わす。)
なお、一般式(7)、(8)及び(12)におけるR
4については、発光特性が優れることから、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、トリル基、又はビフェニル基であることが好ましく、各々独立して、水素原子、メチル基、メトキシ基、フェニル基、又はトリル基であることがより好ましい。
【0043】
nは、原料調達の面で、0〜6の整数であることが好ましく、0〜4であることがより好ましく、0〜3であることがさらに好ましい。
【0044】
短波長の発光から、長波長の発光まで、幅広い発光を得ることが可能であることから、下記一般式(13)で表される化合物が好ましい。
【0046】
(式中、
Lは9,9−ジメチル−9,10−ジヒドロアクリジニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、又はフェノキサチイニル基(これらの置換基の環構成原子に結合した水素原子の1つ又は複数は、R
4で表わされる基で置換されていてもよい)を表す。
Xは、C−R
3で表わされる基又は窒素原子を表す。
R
1〜R
4は、各々独立して、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基(該基は、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜3のハロゲン化アルコキシ基、及びシアノ基からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい)、炭素数3〜20のヘテロ芳香族基(該基は、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜3のハロゲン化アルコキシ基、及びシアノ基からなる群より選ばれる置換基を1種以上有していてもよい)、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、シアノ基、又は水素原子を表す。)
また、下記一般式(10)で表されるカルバゾール化合物がより好ましい。
【0048】
(式中、
R
1、R
2、及びR
4は、各々独立して、一般式(1)と同じ定義を表わす。
R
5及びR
6は、(R
5,R
6)=(C(CH
3)
2,NH)、(O,NH)、(S,NH)、(C(CH
3)
2,N)、(O,N)、(S,N)又は(O,S)のいずれかの組合せを表わす。
nは、0〜8の整数を表わす。)
なお、一般式(10)におけるR
4については、発光特性が優れることから、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、トリル基、又はビフェニル基であることが好ましく、各々独立して、水素原子、メチル基、メトキシ基、フェニル基、又はトリル基であることがより好ましい。
【0049】
nは、原料調達の面で、0〜6の整数であることが好ましく、0〜4であることがより好ましく、0〜3であることがさらに好ましい。
【0050】
また、下記一般式(11)で表されるカルバゾール化合物が特に好ましい。
【0052】
(式中、
R
1、R
2、R
4、R
5及びnは、それぞれ、一般式(10)と同じ定義を表わす。)
なお、一般式(11)におけるR
4については、発光特性が優れることから、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、トリル基、又はビフェニル基であることが好ましく、各々独立して、水素原子、メチル基、メトキシ基、フェニル基、又はトリル基であることがより好ましい。
【0053】
nは、原料調達の面で、0〜6の整数であることが好ましく、0〜4であることがより好ましく、0〜3であることがさらに好ましい。
【0054】
一般式(1)で表されるカルバゾール化合物としては特に限定するものではないが下記の構造を例示することができる。
【0061】
前記一般式(1)で表されるカルバゾール化合物は、例えば、ハロゲン化されたカルバゾール中間体から合成することができる。具体的には、下記のスキーム1に従って合成することができる。
【0062】
一般式(2)で表される4位がハロゲン化カルバゾール化合物と、一般式(3)で表されるハロゲン化合物とを、塩基の存在下、銅触媒又はパラジウム触媒を用いて反応させ、一般式(4)で表されるカルバゾール中間体を得る。得られた一般式(4)で表されるカルバゾール中間体と、Lのボロン酸化合物又はL−Hで表される2級アミン化合物を塩基の存在下、パラジウム触媒を用いて反応させることで、一般式(1)で表されるカルバゾール化合物を得ることができる。
【0064】
(式中、L、X、R
1〜R
2は、前記の一般式(1)と同じ定義である。Y及びZは、各々独立して、ハロゲン原子[ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、又はフッ素原子]を表す。)
一般式(1)で表されるカルバゾール化合物の合成方法は、スキーム1に限定されるものでなく、公知化合物を用いた他のルートによって合成することも可能である。
【0065】
本発明のカルバゾール化合物は、有機EL素子の発光層として使用することができる。
【0066】
本発明のカルバゾール化合物を有機EL素子の発光層として使用する場合には、当該カルバゾール化合物を単独で使用、公知の発光ホスト材料にドープして使用、又は公知の発光ドーパントをドープして使用することができる。また、複数の発光ホスト材料及び発光ドーパントと組み合わせて使用することもできる。
【0067】
本発明のカルバゾール化合物を含有する発光層を形成する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法等の公知の方法が挙げられる。
【0068】
本発明の効果が得られる有機EL素子の基本的な構造としては、基板、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び陰極を含むが、全ての構造を必須とするものではないし、そのほかの構造を有するものであってもよい。
【0069】
有機EL素子の陽極及び陰極は、電気的な導体を介して電源に接続されている。陽極と陰極との間に電位を加えることにより、有機EL素子は作動する。
【0070】
正孔は陽極から有機EL素子内に注入され、電子は陰極で有機EL素子内に注入される。
【0071】
有機EL素子は典型的には基板に被せられ、陽極又は陰極は基板と接触することができる。基板と接触する電極は便宜上、下側電極と呼ばれる。一般的には、下側電極は陽極であるが、本発明の有機EL素子においては、そのような形態に限定されるものではない。
【0072】
基板は、意図される発光方向に応じて、光透過性又は不透明であってもよい。光透過特性は、基板を通してエレクトロルミネッセンス発光により確認できる。一般的には、透明ガラス又はプラスチックがこのような場合に基板として採用される。基板は、多重の材料層を含む複合構造であってもよい。
【0073】
エレクトロルミネッセンス発光を、陽極を通して確認する場合、陽極は当該発光を通すか又は実質的に通すもので形成される。
【0074】
本発明において使用される一般的な透明アノード(陽極)材料は、特に限定するものではないが、インジウム−錫酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、又は酸化錫等が挙げられる。その他の金属酸化物、例えばアルミニウム又はインジウム・ドープ型酸化錫、マグネシウム−インジウム酸化物、又はニッケル−タングステン酸化物も使用可能である。これらの酸化物に加えて、金属窒化物である、例えば窒化ガリウム、金属セレン化物である、例えばセレン化亜鉛、又は金属硫化物である、例えば硫化亜鉛を陽極として使用することができる。
【0075】
陽極は、プラズマ蒸着されたフルオロカーボンで改質することができる。陰極を通してだけエレクトロルミネッセンス発光が確認される場合、陽極の透過特性は重要ではなく、透明、不透明又は反射性の任意の導電性材料を使用することができる。この用途のための導体の一例としては、金、イリジウム、モリブデン、パラジウム、白金等が挙げられる。
【0076】
陽極と発光層の間には、正孔注入層や正孔輸送層といった正孔輸送性の層を複数層設けることができる。正孔注入層や正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、これらの層を陽極と発光層の間に介在させることにより、より低い電界で多くの正孔を発光層に注入することができる。
【0077】
本発明の有機EL素子において、正孔輸送層及び/又は正孔注入層としては、公知の正孔注入材料、正孔輸送材料を用いることができる。例えばトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、又、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。正孔注入材料、正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0078】
上記芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(TPD)、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール、4,4’−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、4,4’,4’’−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)などがあげられる。
【0079】
又、p型−Si、p型−SiCなどの無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。正孔注入層、正孔輸送層は、上記材料の一種又は二種以上からなる一層構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0080】
本発明の有機EL素子において、発光層は、本発明のカルバゾール化合物を含むものである。発光層には、本発明のカルバソール化合物と共に、公知の発光材料(発光ホスト材料、蛍光ドーパント、燐光ドーパント)を選択して組み合わせて用いることができる。
【0081】
発光ホスト材料としては、例えば、ビフェニル基、フルオレニル基、トリフェニルシリル基、カルバゾール基、ピレニル基、又はアントラニル基を有する化合物が挙げられる。例えば、DPVBi(4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)−1,1’−ビフェニル)、BCzVBi(4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)1,1’−ビフェニル)、TBADN(2−ターシャルブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン)、ADN(9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン)、CBP(4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル)、CDBP(4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−2,2’−ジメチルビフェニル)、又は9,10−ビス(ビフェニル)アントラセン等が挙げられる。
【0082】
蛍光ドーパントの一例としては、アントラセン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、ルブレン、クマリン、ローダミン、キナクリドン、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウム又はチアピリリウム化合物、フルオレン誘導体、ペリフランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、ビス(アジニル)アミンホウ素化合物、ビス(アジニル)メタン化合物、カルボスチリル化合物等が挙げられる。
【0083】
燐光ドーパントの一例としては、イリジウム、白金、パラジウム、オスミウム等の遷移金属の有機金属錯体が挙げられる。
【0084】
ドーパントの一例として、Alq
3(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム))、DPAVBi(4,4’−ビス[4−(ジ−パラ−トリルアミノ)スチリル]ビフェニル)、ペリレン、Ir(PPy)
3(トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)、又はFlrPic(ビス(3,5−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)フェニル−(2−カルボキシピリジル)イリジウム(III)等が挙げられる。
【0085】
電子輸送性材料としては、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、土類金属錯体等が挙げられる。アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、又は土類金属錯体としては、例えば、8−ヒドロキシキノリナートリチウム(Liq)、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリナート)クロロガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)−1−ナフトラートアルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)−2−ナフトラートガリウム等が挙げられる。
【0086】
発光層と電子輸送層との間に、キャリアバランスを改善させる目的で、正孔阻止層を設けてもよい。正孔素子層として望ましい化合物は、BCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、Bphen(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、BAlq(ビス(2−メチル−8−キノリノラート)−4−(フェニルフェノラート)アルミニウム)、又はビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム)等が挙げられる。
【0087】
本発明の有機EL素子においては、電子注入性を向上させ、素子特性(例えば、発光効率、定電圧駆動、又は高耐久性)を向上させる目的で、電子注入層を設けてもよい。
【0088】
電子注入層として望ましい化合物としては、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、アントロン等が挙げられる。また、上記に記した金属錯体やアルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物、希土類酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類ハロゲン化物、希土類ハロゲン化物、SiO
2、AlO、SiN、SiON、AlON、GeO、LiO、LiON、TiO、TiON、TaO、TaON、TaN、Cなどの各種酸化物、窒化物、及び酸化窒化物のような無機化合物等も使用できる。
【0089】
発光が陽極を通してのみ確認される場合、本発明において使用される陰極は、任意の導電性材料から形成することができる。望ましい陰極材料としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al
2O
3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
【実施例】
【0090】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0091】
1H−NMR及び
13C−NMR測定は、バリアン社製のGemini200を用いて行った。
【0092】
FDMS測定は、日立製作所製のM−80Bを用いて行った。
【0093】
酸化還元特性(バイポーラー性)は、北斗電工製のHA−501及びHB−104を使用したサイクリックボルタンメトリーで評価した。
【0094】
発行寿命解析は、日本分光製の蛍光分光光度計FP−6500で測定した。
【0095】
合成例1 (4−クロロ−9−(4,6−ジフェニルトリアジン−2−イル)カルバゾールの合成)
窒素気流下、300mLの三口フラスコに、60%の水素化ナトリウム 1.43g(35.8mmol)とジメチルホルムアミド 30mLを仕込み、この溶液に4−クロロカルバゾール 6.00g(29.8mmol)のジメチルホルムアミド(30mL)溶液を室温で30分間滴下した。同温度で30分間撹拌した後、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン 7.95g(29.8mmol)のジメチルホルムアミド(30mL)溶液を室温で1時間滴下した。同温度で30分間撹拌した後、メタノール 20g添加し、溶液を純水500gに注いだ。析出した結晶をろ別し、純水(100g)とメタノール(500g)で洗浄し、4−クロロ−9−(4,6−ジフェニルトリアジン−2−イル)カルバゾールの白色結晶を9.44g(収率73%)単離した。
【0096】
化合物の同定は、FDMS、
1H−NMR測定、
13C−NMR測定により行った。
【0097】
FDMS:432
1H−NMR(CDCl
3);9.13(d,1H),9.07(d,1H),8.73−8.71(m,5H),7.66−7.59(m,7H),7.50−7.39(m,3H)
13C−NMR(CDCl
3);172.51,165.10,140.32,139.18,136.00,132.85,132.85,129.12,128.83,128.35,127.38,126.96,125.33,124.32,123.56,123.32,122.93
合成例2(4−クロロ−9−(ピリミジン−2−イル)カルバゾールの合成)
窒素気流下、200mLの三口フラスコに、60%の水素化ナトリウム 0.71g(17.9mmol)とジメチルホルムアミド 15mLを仕込み、この溶液に4−クロロカルバゾール 3.00g(14.9mmol)のジメチルホルムアミド(15mL)溶液を室温で30分間滴下した。同温度で30分間撹拌した後、2−クロロピリミジン 1.69g(14.9mmol)のジメチルホルムアミド(15mL)溶液を室温で1時間滴下した。同温度で30分間撹拌した後、メタノールを10g添加し、溶液を純水200gに注いだ。析出した結晶をろ別し、純水(60g)とメタノール(100g)で洗浄し、4−クロロ−9−(ピリミジン−2−イル)カルバゾールの白色結晶を2.86g(収率69%)単離した。
【0098】
化合物の同定は、FDMS、
1H−NMR測定、
13C−NMR測定により行った。
【0099】
FDMS:279
1H−NMR(CDCl
3);8.78(d,3H),8.70(t,2H),7.52(t,1H),7.30−7.41(m,3H),7.08(m,1H)
13C−NMR(CDCl
3);159.01,158.19,140.61,139.52,128.43,127.29,126.86,124.75,123.55,123.02,122.95,122.67,116.83,115.75,114.43 合成例3 (2−クロロ−9−(4,6−ジフェニルトリアジン−2−イル)カルバゾールの合成)
窒素気流下、300mLの三口フラスコに、60%の水素化ナトリウム 1.00g(25.0mmol)とジメチルホルムアミド 20mLを仕込み、この溶液に2−クロロカルバゾール 4.20g(20.8mmol)のジメチルホルムアミド(20mL)溶液を室温で30分間滴下した。同温度で30分間撹拌した後、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン 5.56g(20.8mmol)のジメチルホルムアミド(20mL)溶液を室温で1時間滴下した。同温度で30分間撹拌した後、メタノールを20g添加し、溶液を純水300gに注いだ。析出した結晶をろ別し、純水(80g)とメタノール(300g)で洗浄し、2−クロロ−9−(4,6−ジフェニルトリアジン−2−イル)カルバゾールの白色結晶を6.20g(収率69%)単離した。
【0100】
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0101】
FDMS:432
1H−NMR(CDCl
3);9.22(s,1H),9.11(d,1H),8.72(d,4H),8.00(d,1H),7.94(d,1H),7.56−7.69(m,7H),7.37−7.44(m,2H)
合成例4 (3−ブロモ−9−(4,6−ジフェニルトリアジン−2−イル)カルバゾールの合成)
窒素気流下、300mLの三口フラスコに、60%の水素化ナトリウム 1.29g(26.9mmol)とジメチルホルムアミド 30mLを仕込み、この溶液に3−ブロモカルバゾール 6.00g(24.5mmol)のジメチルホルムアミド(30mL)溶液を室温で30分間滴下した。同温度で30分間撹拌した後、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン 6.54g(24.5mmol)のジメチルホルムアミド(20mL)溶液を室温で1時間滴下した。同温度で30分間撹拌した後、メタノールを20g添加し、溶液を純水300gに注いだ。析出した結晶をろ別し、純水(100g)とメタノール(300g)で洗浄し、3−ブロモ−9−(4,6−ジフェニルトリアジン−2−イル)カルバゾールの白色結晶を8.30g(収率71%)単離した。
【0102】
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0103】
FDMS:476
1H−NMR(CDCl
3);9.11(d,1H),9.00(d,1H),8.71(d,4H),8.15(s,1H),8.00(d,1H),7.58−7.68(m,8H),7.72(t,1H)
実施例1 (化合物(A3)の合成)
【0104】
【化15】
【0105】
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例1で得られた4−クロロ−9−(4,6−ジフェニルトリアジン−2−イル)カルバゾール 1.0g(2.3mmol)、フェノキサジン 0.42g(2.3mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 0.31g(3.2mmol)、o−キシレン 5mL、酢酸パラジウム 10mg(0.04mmol)、及びトリ(tert−ブチル)ホスフィン 32mg(0.16mmol)を添加して140℃で5時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を10mL添加し攪拌した。次いで、水層と有機層を分液し、さらに有機層を純水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。次いで、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒)で精製し、化合物(A3)の黄色粉末を0.60g(1.0mmol)単離した(収率44%)。
【0106】
化合物の同定は、FDMS、
1H−NMR測定、
13C−NMR測定により行った。
【0107】
FDMS:579
1H−NMR(CDCl
3);9.27(d,1H),9.11(d,1H),8.76−8.76(m,4H),8.35(d,1H),7.78(t,1H),7.68−7.55(m,7H),7.43(d,1H),7.33(t,1H),6.80(d,2H),6.66(t,2H),6.52(t,2H),5.94(d,2H)
13C−NMR(CDCl
3);172.63,165.08,144.14,141.13,139.20,136.03,133.25,133.21,132.91,132.43,129.15,128.89,128.64,127.52,125.66,124.09,123.59,122.88,121.54,117.64,116.95,115.62,113.38
実施例2 (化合物(A5)の合成)
【0108】
【化16】
【0109】
実施例1のフェノキサジン 0.42gをフェノチアジン 0.46gに変更した以外は実施例1と同じ条件で反応及び精製を行い、化合物(A5)の黄色粉末を0.78g(1.3mmol)単離した(収率56%)。
【0110】
化合物の同定は、FDMS、
1H−NMR測定、
13C−NMR測定により行った。
【0111】
FDMS:595
1H−NMR(CDCl
3);9.29(d,1H),9.10(d,1H),8.79−8.76(m,4H),8.44(d,1H),7.80(t,1H),7.68−7.62(m,6H),7.56(t,1H),7.49(d,1H),7.30(t,1H),7.08(d,2H),6.80(t,2H),6.74(t,2H),6.24(d,2H)
13C−NMR(CDCl
3);172.63,165.11,142.96,141.27,139.20,136.04,134.34,132.91,129.15,128.89,128.12,127.50,127.16,126.75,124.43,124.02,123.32,122.62,119.77,117.55,116.84,115.56 実施例3 (化合物(A1)の合成)
【0112】
【化17】
【0113】
実施例1のフェノキサジン 0.42gを9,9−ジメチル−9,10−ジヒドロアクリジン 0.48gに変更した以外は実施例1と同じ条件で反応及び精製を行い、化合物(A1)の黄色粉末を0.95g(1.5mmol)単離した(収率67%)。
【0114】
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0115】
FDMS:605
実施例4 (化合物(A21)の合成)
【0116】
【化18】
【0117】
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例2で得られた4−クロロ−9−(ピリミジン−2−イル)カルバゾール 1.0g(3.5mmol)、フェノキサジン 0.65g(3.5mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 0.48g(4.9mmol)、o−キシレン 5mL、酢酸パラジウム 8mg(0.03mmol)、及びトリ(tert−ブチル)ホスフィン 24mg(0.12mmol)を添加して140℃で8時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を10mL添加し攪拌した。析出沈殿をろ取し、水及びメタノール洗浄した。o−キシレンで再結晶し、化合物(A21)の淡黄色粉末を0.71g(1.6mmol)単離した(収率46%)。
【0118】
化合物の同定は、FDMS、
1H−NMR測定により行った。
【0119】
FDMS:426
1H−NMR(CDCl
3);8.94(d,1H),8.86(d,2H),8.79(d,1H)8.30(d,1H),7.66(t,1H),7.45(t,1H),7.34(d,1H),7.24(t,1H),7.16(t,1H),6.77(d,2H),6.62(t,2H),6.48(t,2H),5.90(d,2H)
実施例5 (化合物(A25)の合成)
【0120】
【化19】
【0121】
実施例4のフェノキサジン 0.65gをフェノチアジン 0.71gに変更した以外は実施例4と同じ条件で反応及び精製を行い、化合物(A25)の黄色粉末を0.91g(2.0mmol)単離した(収率57%)。
【0122】
化合物の同定は、FDMS、
1H−NMR測定により行った。
【0123】
FDMS:442
1H−NMR(CDCl
3);8.95(d,1H),8.85(d,2H),8.78(d,1H)8.37(d,1H),7.67(t,1H),7.39−7.47(m,2H),7.13−7.24(m,2H),7.05(d,2H),6.69−6.80(m,4H),6.20(d,2H)
実施例6 (化合物(A17)の合成)
【0124】
【化20】
【0125】
実施例4のフェノキサジン 0.65gを9,9−ジメチル−9,10−ジヒドロアクリジン 0.73gに変更した以外は実施例4と同じ条件で反応及び精製を行い、化合物(A17)の黄色粉末を0.99g(2.1mmol)単離した(収率60%)。
【0126】
化合物の同定は、FDMSにより行った。
【0127】
FDMS:452
実施例7 (化合物(A37)の合成)
【0128】
【化21】
【0129】
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例3で得られた2−クロロ−9−(4,6−ジフェニルトリアジン−2−イル)カルバゾール 1.5g(3.4mmol)、フェノキサジン 0.63g(3.4mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 0.46g(4.8mmol)、o−キシレン 8mL、酢酸パラジウム 15mg(0.06mmol)、及びトリ(tert−ブチル)ホスフィン 48mg(0.24mmol)を添加して140℃で5時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を15mL添加し攪拌した。次いで、水層と有機層を分液し、さらに有機層を純水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。次いで、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒)で精製し、化合物(A37)の黄色粉末を1.22g(2.1mmol)単離した(収率62%)。
【0130】
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0131】
FDMS:579
実施例8 (化合物(A39)の合成)
【0132】
【化22】
【0133】
実施例7のフェノキサジン 0.63gをフェノチアジン 0.69gに変更した以外は実施例7と同じ条件で反応及び精製を行い、化合物(A39)の黄色粉末を1.37g(2.3mmol)単離した(収率68%)。
【0134】
化合物の同定は、FDMS、
1H−NMR測定、
13C−NMR測定により行った。
【0135】
FDMS:595
実施例9 (化合物(A64)の合成)
【0136】
【化23】
【0137】
窒素気流下、50mLの三口フラスコに、合成例4で得られた3−ブロモ−9−(4,6−ジフェニルトリアジン−2−イル)カルバゾール 2.0g(4.2mmol)、フェノキサジン 0.77g(4.1mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 0.56g(5.9mmol)、o−キシレン 10mL、酢酸パラジウム 18mg(0.07mmol)、及びトリ(tert−ブチル)ホスフィン 59mg(0.29mmol)を添加して140℃で5時間攪拌した。室温まで冷却後、純水を15mL添加し攪拌した。次いで、水層と有機層を分液し、さらに有機層を純水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。次いで、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエンとヘキサンの混合溶媒)で精製し、化合物(A64)の黄色粉末を1.38g(2.4mmol)単離した(収率59%)。
【0138】
化合物の同定は、FDMS測定により行った。
【0139】
FDMS:579
実施例10 (化合物(A66)の合成)
【0140】
【化24】
【0141】
実施例9のフェノキサジン 0.77gをフェノチアジン 0.84gに変更した以外は実施例9と同じ条件で反応及び精製を行い、化合物(A66)の黄色粉末を1.84g(3.1mmol)単離した(収率74%)。
【0142】
化合物の同定は、FDMS、
1H−NMR測定、
13C−NMR測定により行った。
【0143】
FDMS:595
実施例11 (化合物(A1)の酸化還元特性の評価)
サイクリックボルタンメトリーで酸化還元特性を評価した。測定は、過塩素酸テトラブチルアンモニウムの濃度が0.1mol/Lである無水ジクロロメタン溶液に化合物(A1)を0.001mol/Lの濃度で溶解させ、作用電極にグラッシーカーボン、対極に白金線、参照電極にAgNO
3のアセトニトリル溶液に浸した銀線を用いて行った。また、標準物質としてフェロセンを用いた。フェロセンの酸化還元電位を基準とした際の化合物(A1)の酸化電位及び還元電位を表1に示す。
【0144】
実施例12〜20 (化合物(A3)、(A5)、(A17)、(A21)、(A25)、(A37)、(A39)、(A64)、及び(A66)の酸化還元特性の評価)
実施例11と同様の方法で化合物(A3)、(A5)、(A17)、(A21)、(A25)、(A37)、(A39)、(A64)、及び(A66)の酸化電位及び還元電位を測定した。結果を表1に示す。
【0145】
比較例1 (比較化合物(a)の酸化還元特性の評価)
【0146】
【化25】
【0147】
実施例11と同様の方法で比較化合物(a)の酸化電位及び還元電位を測定した。結果を表1に示す。比較化合物(a)は、酸化波が観測されたが、還元に由来する還元波は観測されなかった。
【0148】
本発明のカルバゾール化合物は、酸化波及び還元波が観測され、電子と正孔の両方を受け取ることができるバイポーラー性を有していた。
【0149】
【表1】
【0150】
実施例21 (化合物(A3)の発光寿命解析)
化合物(A3)の蒸着膜(50nm)について、室温で発光寿命を解析した。化合物(A3)からは、ナノ秒スケールの発光(25ナノ秒)に加えて、マイクロ秒スケールの発光寿命の長い遅延蛍光成分(5マイクロ秒)が観測された。
【0151】
実施例22〜30 (化合物(A1)、(A5)、(A17)、(A21)、(A25)、(A37)、(A39)、(A64)、及び(A66)の発光寿命解析)
実施例21と同様の方法で、化合物(A1)、(A5)、(A17)、(A21)、(A25)、(A37)、(A39)、(A64)、及び(A66)の発光寿命を解析したところ、いずれの化合物においてもナノ秒スケールの発光に加えて、マイクロ秒スケールの発光寿命の長い遅延蛍光成分が観測された。
【0152】
比較例2 (比較化合物(a)の発光減衰曲線測定)
実施例21と同様の方法で、比較化合物(a)の発光寿命を解析したが、化合物(A3)が示したような遅延蛍光成分は観測されなかった。