特許第6673410号(P6673410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6673410
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】LEDモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20200316BHJP
【FI】
   H01L33/60
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-144768(P2018-144768)
(22)【出願日】2018年8月1日
(62)【分割の表示】特願2017-60500(P2017-60500)の分割
【原出願日】2017年3月27日
(65)【公開番号】特開2019-9449(P2019-9449A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2018年8月21日
(31)【優先権主張番号】特願2016-129499(P2016-129499)
(32)【優先日】2016年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】三次 智紀
【審査官】 吉野 三寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−114096(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/091914(WO,A1)
【文献】 特開2016−115729(JP,A)
【文献】 特開2011−249346(JP,A)
【文献】 特開2013−182857(JP,A)
【文献】 特開2015−022859(JP,A)
【文献】 特開2014−143246(JP,A)
【文献】 特許第6380590(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0003044(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に配置された複数のLED装置とを備えるLEDモジュールであって、
前記複数のLED装置は、それぞれ、発光ダイオード素子と、前記発光ダイオード素子の側方に配置された反射部材と、前記発光ダイオード素子の上方に配置された第1透光性部材とを備える第1のLED装置及び第2のLED装置を有し、
前記第1のLED装置は、前記LEDモジュールの最外周以外に配置され、前記第1透光性部材の全ての側面に反射部材を有し、且つ上面が光取り出し面であり、
前記第2のLED装置は、前記LEDモジュールの最外周に配置され、前記第1透光性部材の側面のうち、前記LEDモジュールの側面に位置する側面以外の側面に反射部材を有し、且つ前記LEDモジュールの側面に位置する側面及び上面が光取り出し面であることを特徴とするLEDモジュール。
【請求項2】
前記複数のLED装置は上面視において矩形である請求項1に記載のLEDモジュール。
【請求項3】
前記複数のLED装置は上面視においてマトリクス状に配列されている請求項2に記載のLEDモジュール。
【請求項4】
前記第1のLED装置は全ての側面が他のLED装置で囲まれている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のLEDモジュール。
【請求項5】
前記発光ダイオード素子の側方に配置された前記反射部材は、前記発光ダイオード素子の側の面が、前記基板から遠ざかるほど前記発光ダイオード素子との距離が広がる傾斜を有する請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のLEDモジュール。
【請求項6】
前記反射部材と前記発光ダイオード素子との間には第2透光性部材が配置されている請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のLEDモジュール。
【請求項7】
前記第2透光性部材は前記基板から遠ざかるほど前記発光ダイオード素子との距離が広がる請求項6に記載のLEDモジュール。
【請求項8】
前記発光ダイオード素子のうち、前記LEDモジュールの側面に位置する側面に前記第1透光性部材が配置されている請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のLEDモジュール。
【請求項9】
前記発光ダイオード素子の側方の全てが前記反射部材で被覆されている請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のLEDモジュール。
【請求項10】
前記第1透光性部材に蛍光体が含まれている請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のLEDモジュール。
【請求項11】
前記発光ダイオード素子は、透光性基板と半導体積層体とを含み、前記半導体積層体は、窒化物系の半導体層を含む請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のLEDモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はLEDモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に、複数の発光ダイオード(LED)装置が配置されるLEDモジュールが知ら
れている(例えば、特許文献1)。このLEDモジュールでは、LED装置の側面が蛍光
部材又は反射部材で構成され、LED装置の蛍光部材と、他のLED装置の反射部材とが
対向するように複数のLED装置が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−143246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係るLEDモジュールにおいて、LED装置の反射部材が
LEDモジュールの最外周に位置するように配置された場合、LED装置の内部からの光
がLEDモジュールの最外周に位置する反射部材で反射され、LEDモジュールの配光が
狭くなる。即ち、LED装置からの光がLEDモジュールの最外周から外側に広がりにく
く、配光が狭くなる。このようなLEDモジュールは、室内照明等の広い配光が求められ
る用途には不向きである。また、1つのLED装置の蛍光部材からなる側面が、隣接する
別のLED装置の反射部材からなる側面と面しているため、1つのLED装置の蛍光部材
から出射された光が、対向するLED装置の反射部材に反射された後、他のLED装置の
蛍光部材に入射して吸収されることがある。これにより、光の取り出し効率が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の発明を含む。
基板と、前記基板上に配置された複数のLED装置とを備えるLEDモジュールであっ
て、
前記複数のLED装置は、それぞれ、発光ダイオード素子と、前記発光ダイオード素子
の側方に配置された反射部材と、前記発光ダイオード素子の上方に配置された第1透光性
部材とを備える第1のLED装置及び第2のLED装置を有し、
前記第1のLED装置は、前記LEDモジュールの最外周以外に配置され、前記第1透
光性部材の全ての側面に反射部材を有し、且つ上面が光取り出し面であり、
前記第2のLED装置は、前記LEDモジュールの最外周に配置され、前記第1透光性
部材のうち、前記LEDモジュールの側面に位置する側面以外に反射部材を有し、且つ前
記LEDモジュールの側面に位置する側面及び上面が光取り出し面であることを特徴とす
るLEDモジュール。
【発明の効果】
【0006】
上記の構成を備えることにより、広配光化及び高効率化されたLEDモジュールを実現
することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態に係るLEDモジュールを示す模式平面図である。
図2図1中の第1のLED装置のA―A’線における模式断面図である。
図3図1中の第2のLED装置のB−B’線における模式断面図である。
図4】第2のLED装置の変形例を示す模式断面図である。
図5】第1のLED装置の製造方法を示す模式断面図である。
図6】第2のLED装置の製造方法を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す実
施形態は、本発明の技術思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明を
特定するものではない。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一も
しくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0009】
本実施形態に係るLEDモジュール100では、図1に示すように、基板20上に複数
のLED装置10が互いに隣接して配置されている。そして、複数のLED装置10は、
それぞれ発光ダイオード素子11を有し、発光ダイオード素子11の側方には反射部材1
2が配置されている。さらに、それぞれの発光ダイオード素子11の上方には、第1透光
性部材13が配置されている。ここでは、第1透光性部材13に蛍光体が含まれている。
そして、これら複数のLED装置10のうち、第1のLED装置10aは、図1及び図2
に示すように、全ての側面が他のLED装置と隣接し、第1透光性部材13の全ての側面
には反射部材12が配置されている。さらに、第1のLED装置10aの上面が光取り出
し面である。一方、第2のLED装置10bは、図1及び図3に示すように、他のLED
装置と隣接する側面と、他のLED装置と隣接しない側面とを有し、第1透光性部材13
の側面のうち、他のLED装置と隣接する全ての側面には反射部材12が配置され、他の
LED装置と隣接しない側面が光取り出し面である。第2のLED装置10bではさらに
、上面も光取り出し面である。これにより、図1に示すように、第2のLED装置10b
はLEDモジュール100の最外周に配置され、第1のLED装置10aは、LEDモジ
ュール100の最外周以外に配置されることとなる。そして第1のLED装置10aは、
全ての側面を他のLED装置に囲まれる。このようなLEDモジュール100では、LE
Dモジュール100の側面に光取り出し面があるため、LEDモジュール100の側面に
光取り出し面が無い場合と比較して、広配光とすることができる。即ち、第2のLED装
置10bの光取り出し面が、LEDモジュール100の側面に位置するため、光をLED
モジュール100の側方に出射することができ、広配光とすることができる。
【0010】
また、第1のLED装置10aの第1透光性部材13が、全ての側面に反射部材12を
有することにより、第1のLED装置10aの内部で発光する光は反射部材12で反射さ
れ、第1のLED装置10aの上方に取り出される。これにより、第1のLED装置10
aの内部で発光する光が他のLED装置に入射して吸収される可能性を低くすることがで
きる。同様に、第2のLED装置10bの第1透光性部材13の側面のうち、他のLED
装置と隣接する全ての側面は反射部材12を有するため、光が他のLED装置に入射して
吸収される可能性を低くすることができる。それだけでなく、第1のLED装置10a及
び第2のLED装置10bからの光が、LEDモジュール100の基板20に入射して吸
収される可能性も低くすることができる。反射部材12は、反射部材12が配置される第
1透光性部材13の側面において、第1透光性部材13の側面を全て覆うように設けるこ
とが好ましい。なお、第2のLED装置10bは、側面に光取り出し面があるが、光取り
出し面となる側面は他のLED装置と隣接しないため、光が他のLED装置に入射して吸
収される可能性は低い。これらの結果、LEDモジュール100の光の取り出し効率の低
下を抑制することができる。
【0011】
さらに、第1のLED装置10a及び第2のLED装置10bの第1透光性部材13が
、他のLED装置と隣接する側面に反射部材12を有することにより、反射部材12がな
い場合と比較して、LEDモジュール100の上方から光を取り出すまでに光が進行する
経路を短くすることができる。これにより、光が基板20等に吸収されるのを抑制するこ
とができるため、光の取り出し効率の低下を抑制することができる。即ち、第1のLED
装置10a及び第2のLED装置10bの第1透光性部材13の側面に反射部材12があ
る場合、LED装置10の内部で発光する光はすぐに反射部材12にあたってLED装置
10の上方から取り出される。このため、光の取り出し効率が低下する前にLEDモジュ
ール100の上方から光を取り出すことができる。
【0012】
また、図2及び図3に示すように、発光ダイオード素子11の側方に反射部材12が配
置されているため、発光ダイオード素子11から発生した光が、隣接する発光ダイオード
素子に吸収される可能性を低減することができる。即ち、発光ダイオード素子11の発光
層で生じた光は、その光があたる材料の組成が発光層と似ているほど吸収されやすいが、
反射部材12を配置することで、光は隣接する発光ダイオード素子の発光層やその周辺に
吸収されにくくすることができる。反射部材12は、反射部材12が配置される発光ダイ
オード素子11の側方において、発光ダイオード素子11の側方を全て覆うように設ける
ことが好ましい。
【0013】
以下、LEDモジュール100における各部材について説明する。
【0014】
(LED装置)
複数のLED装置10は、発光ダイオード素子11を収納するハウジングを設ける代わ
りに、発光ダイオード素子11の側方に反射部材12が配置されるCSP(Chip Size Pa
ckage又はChip Scale Package)型とすることが好ましい。CSP型のLED装置10で
は、発光ダイオード素子11の下方にも反射部材12を配置してもよい。CSP型のLE
D装置10は更に、発光ダイオード素子11のn側電極15a及びp側電極15bに、金
属バンプ、ポスト電極などの外部接続用の金属端子を設けていることが好ましい。これに
より、基板20上にLED装置10を密接配置することができるため、基板20上に配置
できるLED装置10の数が増え、LEDモジュール100の発光強度を向上させること
ができる。それだけでなく、LED装置10を密接配置することで、LEDモジュール1
00を上面から見た場合、発光面をより均一に光らせることができる。また、LED装置
10の数が同一の場合、LED装置10を密接配置することで、基板20のサイズを小さ
くできるため、部材コストを下げることもできる。LED装置10として具体的には、上
面視において一辺を約1mm〜2mmの略矩形状とすることができる。基板20上にLE
D装置10を密接配置する際の実装精度を考慮すると、発光ダイオード素子11同士の距
離は、約0.4mm〜1.2mmが好ましく、LED装置10同士の距離は、約0.2m
m〜1mmが好ましい。
【0015】
複数のLED装置10は、図1に示すように、上面視において、マトリクス状に配列さ
れていることが好ましい。これにより、LED装置10を実装しやすくなるとともに、L
ED装置10を実装するための基板20の配線の設計もしやすくなる。それだけでなく、
複数のLED装置10は、上面視において矩形となるため、基板20の最外周までLED
装置10を密接配置することができる。また、複数のLED装置10は、直列接続されて
いることが好ましい。これにより、複数のLED装置10の電流値が略同一となるため、
複数のLED装置10からの発光も略同一とすることができる。さらに、複数のLED装
置10は、基板20の上面及び下面に配置されていることが好ましい。これにより、LE
Dモジュール100の下面からも発光するため、LEDモジュール100を更に広配光と
することができる。
【0016】
LEDモジュール100では、第1のLED装置10a及び第2のLED装置10bを
組み合わせて配置することで、所望のLEDモジュール100としている。第1のLED
装置10a及び第2のLED装置10bは、例えば以下の方法により作製することができ
る。以下では第2のLED装置10bを例に挙げて説明する。
【0017】
まず、図5(a)に示すように、支持基板30を用意し、発光ダイオード素子11の電
極15側を上にして支持基板30の上面に配置する。そして図5(c)に示すように、発
光ダイオード素子11及び発光ダイオード素子11の周囲を反射部材12で埋め、発光ダ
イオード素子11の電極15が反射部材12の上面から露出するようにする。反射部材1
2は、例えば白色樹脂からなる。なお、図5(b)に示すように、反射部材12を配置す
る前に、後述する第2透光性部材14を発光ダイオード素子11の側方に形成してもよい
。その後、図5(d)及び図5(e)に示すように、支持基板30を除去し、除去した領
域に第1透光性部材13を配置する。第1透光性部材13は、例えば蛍光体シートからな
る。これにより、発光ダイオード素子11の発光面側に第1透光性部材13が配置される
。次に、図5(f)及び図5(g)に示すように、発光ダイオード素子11の発光面側に
配置された第1透光性部材13を一部除去し、除去した領域に反射部材12を配置する。
その後、図5(h)に示すように、第1透光性部材13及び反射部材12を切断して発光
ダイオード素子11を個片化することで、第2のLED装置10bを得ることができる。
【0018】
このとき、上面視において、隣接する二つの発光ダイオード素子11を囲むようにして
、第1透光性部材13を一部除去して反射部材12を配置することで、一つの側面に光取
り出し面を有する第2のLED装置10bを同時に二つ得ることができる。同様に、上面
視において、隣接する四つの発光ダイオード素子11を囲むようにして、第1透光性部材
13を一部除去して反射部材12を配置することで、隣接する二つの側面に光取り出し面
を有する第2のLED装置10bを同時に四つ得ることができる。なお、図6(a)〜(
h)に示すように、同様の方法を用いて第1のLED装置10aを得ることができる。こ
の場合、上面視において、一つの発光ダイオード素子11を囲むようにして、第1透光性
部材13を一部除去して反射部材12を配置することで、第1のLED装置10aを一つ
得ることができる。
【0019】
図5(f)及び図6(f)に示すように、第1透光性部材13を一部除去する際、第1
透光性部材13と反射部材12が接する領域近傍の反射部材12も一部除去するのが好ま
しい。これにより、一部除去しようとした第1透光性部材13が除去されずに残る可能性
を低減することができる。この結果、第1のLED装置10a及び第2のLED装置10
bの第1透光性部材13の、他のLED装置と隣接する側面から光が出射される可能性を
低減することができる。また、反射部材12を除去する深さは反射部材12の厚みの半分
より小さいことが好ましい。これにより、反射部材12の大部分は除去されずに残るため
、LED装置10の強度を保つことができる。
【0020】
それだけでなく、第1透光性部材13を一部除去する際、第2透光性部材14は除去し
ないようにするのが好ましい。これにより、第2透光性部材14は、後述する傾斜を保つ
ことができるため、発光ダイオード素子11からの光を反射部材12でより反射させやす
くすることができる。
【0021】
(発光ダイオード素子)
発光ダイオード素子11としては、半導体発光素子を用いることができる。半導体発光
素子は、透光性基板と、その上に形成された半導体積層体とを含むことができる。透光性
基板には、例えば、サファイア(Al)のような透光性の絶縁性材料や、半導体積
層体からの発光を透過する半導体(例えば、窒化物系半導体)を用いることができる。半
導体積層体は、例えば、第1導電型半導体層(例えばn型半導体層)と、発光層と、第2
導電型半導体層(例えばp型半導体層)とを含む。半導体層には、例えば、III−V族
化合物半導体等の半導体材料から形成することができる。具体的には、InAlGa
1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等の窒化物系の半導体(例えばInN、A
lN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等)を用いることができる。
【0022】
(反射部材)
反射部材12は、例えば金属層や白色樹脂により形成することができる。発光ダイオー
ド素子11の側方に配置される反射部材12は、発光ダイオード素子11側の面は、基板
20から遠ざかるほど発光ダイオード素子11との距離が広がる傾斜を有することが好ま
しい。これにより、発光ダイオード素子11からの光は反射部材12の傾斜に当たり、主
に上方に進行する。この結果、反射部材12が傾斜を有しない場合と比較して、LED装
置10の光の取り出し効率を向上させることができる。また、反射部材12の傾斜面は曲
面とすることにより、発光ダイオード素子11からの光をLED装置10の上方に反射さ
せやすくすることができ、LED装置10の光の取り出し効率をより向上させることがで
きる。
【0023】
(第2透光性部材)
反射部材12と発光ダイオード素子11との間には、第2透光性部材14を配置するこ
とができる。これにより、発光ダイオード素子11からの光を反射部材12でより反射さ
せやすくすることができる。このような材料としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等
が挙げられる。第2透光性部材14は、反射部材12側の面が、基板20から遠ざかるほ
ど発光ダイオード素子11との距離が広がる傾斜を有することが好ましい。これにより、
第2透光性部材14の傾斜に沿って反射部材12を形成することが可能となる。
【0024】
このような傾斜を有する第2透光性部材14は、例えば以下の方法により形成すること
ができる。まず、支持基板30の上に、発光ダイオード素子11の電極15側を上にして
配置する。そして第2透光性部材14が透光性樹脂材料から形成される場合には、第2透
光性部材14の原材料となる液状樹脂材料を、ディスペンサ等を用いて、発光ダイオード
素子11と支持基板30との境界に沿って塗布する。これにより、液状樹脂材料は、支持
基板30の上に広がるとともに、表面張力によって発光ダイオード素子11の側面を這い
上がる。その後に、液状樹脂材料を加熱等によって硬化させて、第2透光性部材14を得
る。この結果、傾斜を有する第2透光性部材14を得ることができる。反射部材12は、
このような第2透光性部材14の傾斜面を覆うように形成すればよい。
【0025】
液状樹脂材料が発光ダイオード素子11を這い上がる距離は、液状樹脂材料の粘度およ
び塗布量を調節することにより、制御することができる。液状樹脂材料の粘度は、フィラ
ー等の添加によって調節することができる。
【0026】
(第1透光性部材)
LED装置10の光取り出し面は、第1透光性部材13で構成されている。第1透光性
部材13は、例えば、透光性材料のみで構成することもできるし、透光性材料と蛍光体と
を含むこともできる。第1透光性部材13に蛍光体が含まれている場合、発光ダイオード
素子11からの光を変換し、その変換光を取り出すことができる。第1透光性部材13は
、発光ダイオード素子11からLED装置10の光取り出し面までの経路のすべてを塞ぐ
位置に設けられていることが好ましい。さらには、LED装置10の光取り出し面は、全
て第1透光性部材13で構成されていることが好ましい。これにより、発光ダイオード素
子11からの光を外部に取り出しつつ、発光ダイオード素子11を外部から保護すること
ができる。また、第1透光性部材13に蛍光体や光散乱剤が含まれている場合には、LE
D装置10からの光の色ムラを低減することができる。図4に示すように、第2のLED
装置10bの側面のうち、他のLED装置10と隣接しない側面に位置する、発光ダイオ
ード素子11の側方には、第1透光性部材13が配置されることが好ましい。これにより
、発光ダイオード素子11の側方からも光が出射されるため、LEDモジュール100を
更に広配光とすることができる。透光性材料としては、透光性樹脂、ガラス等が使用でき
る。透光性樹脂としては、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノ
ール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メチルペンテン樹
脂、ポリノルボルネン樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。特に、耐光性、耐
熱性に優れるシリコーン樹脂が好ましい。
【0027】
蛍光体は、発光ダイオード素子11からの発光で励起可能なものが使用される。例えば
、青色光又は紫外線光で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム
・アルミニウム・ガーネット系蛍光体、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム
・ガーネット系蛍光体、ユウロピウムおよび/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ
珪酸カルシウム系蛍光体、ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体、βサイアロン
蛍光体、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体、
硫化物系蛍光体、量子ドット蛍光体などが挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光ダイ
オード素子11又は紫外線発光ダイオード素子11とを組み合わせることにより、様々な
色のLED装置10(例えば白色系のLED装置10)を製造することができる。第1透
光性部材13には、粘度を調整する等の目的で、各種のフィラー等を含有させてもよい。
第1透光性部材13の主材料としてシリコーン樹脂を用いる場合は、シリコーン樹脂より
もタック性の低いエポキシ樹脂などを主材料とするコート膜により第1透光性部材13を
被覆してもよい。
【0028】
(基板)
基板20には、複数のLED装置10が実装される。基板20の表面には、複数のLE
D装置10に電流を供給するための配線パターンを形成することが好ましい。これにより
、LED装置10を配線パターン上に配置して、LED装置10の電極15を金属バンプ
や導電性接着剤等により配線パターンに接続することで、LED装置10に電流を供給す
ることができる。基板20として具体的には、アルミ基板、銅基板、AlN基板、SiC
基板等を用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
100 LEDモジュール
10 LED装置
10a 第1のLED装置
10b 第2のLED装置
11 発光ダイオード素子
12 反射部材
13 第1透光性部材
14 第2透光性部材
15 電極
15a n側電極
15b p側電極
20 基板
30 支持基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6