(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6673590
(24)【登録日】2020年3月9日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】スパッタ成膜装置
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20200316BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20200316BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20200316BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20200316BHJP
H05B 33/26 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
C23C14/34 C
C23C14/34 V
C23C14/34 B
H05H1/46 A
H05B33/14 A
H05B33/10
H05B33/26 Z
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-251299(P2017-251299)
(22)【出願日】2017年12月27日
(65)【公開番号】特開2019-116662(P2019-116662A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2018年9月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131392
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 武司
(74)【代理人】
【識別番号】100125357
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100131532
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 浩一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155871
【弁理士】
【氏名又は名称】森廣 亮太
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(72)【発明者】
【氏名】竹見 崇
(72)【発明者】
【氏名】青沼 大介
(72)【発明者】
【氏名】阿部 大和
(72)【発明者】
【氏名】渡部 新
【審査官】
宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2016−507656(JP,A)
【文献】
特表2010−537041(JP,A)
【文献】
特表2013−534568(JP,A)
【文献】
特表2017−521560(JP,A)
【文献】
特開2012−092410(JP,A)
【文献】
特開昭63−183168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/34
H01L 51/50
H05B 33/10
H05B 33/26
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
該チャンバ内に、被処理基板と相対移動可能に配置される一対のターゲットユニットとを備え、
前記ターゲットユニットは、ターゲットと、電源から電力が供給される電極部材と、前記ターゲットの前記被処理基板と対向する側の表面に磁場を形成する磁石と、を備え、
前記ターゲットユニットと被処理基板とを相対移動させて成膜するスパッタ成膜装置であって、
前記一対のターゲットユニットは、各ターゲットからのターゲット粒子の飛散領域が重ならないように、前記被処理基板との相対移動方向に所定間隔を隔てて並列に配置され、
前記一対のターゲットユニットは一体となって同時に移動し、相対移動方向の先頭側に位置するターゲットユニットによって前記被処理基板上に形成された第1層の膜上に、後方に位置するターゲットユニットによって第2層の膜を積層する構成となっており、
前記磁石は、前記相対移動方向に対して直交する方向に延びる中心磁石と、該中心磁石を取り囲む周辺磁石と、ヨーク板と、を備え、前記周辺磁石は中心磁石と平行に延びる一対の直線部を有し、
少なくとも一方のターゲットユニットの磁石における周辺磁石の中心磁石に対して他方のターゲットユニット側の直線部の磁化方向が、前記被処理基板の成膜面に対して垂直よりも、他方のターゲットユニット側に対して反対側に傾いており、
前記直線部はヨーク板から直線的に立ち上がっており、前記一対のターゲットユニットにおける前記直線部の側面同士が前記被処理基板の成膜面に向かって、間隔が広がる方向に傾斜し、
前記電源はバイポーラ電源であり、一対のターゲットユニットのカソードに逆極性の波形を出力させ、かつデューティ比を制御して、第1層と第2層の膜厚が独立して制御可能となっていることを特徴とするスパッタ成膜装置。
【請求項2】
前記被処理基板への前記一対のターゲットユニットの相対移動による積層成膜は、1走査行程で行う請求項1に記載のスパッタ成膜装置。
【請求項3】
前記一対のターゲットユニット間には、スパッタ粒子を遮蔽する遮蔽部材が設けられて
いる請求項1又は2に記載のスパッタ成膜装置。
【請求項4】
前記被処理基板は、ELデバイスの電極を形成する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスパッタ成膜装置。
【請求項5】
前記ターゲットは回転駆動される円筒状部材である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスパッタ成膜装置。
【請求項6】
前記ターゲットは平板状部材である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスパッタ成膜装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタ成膜装置に関し、特に、ターゲットの裏側に磁石を配置し、ターゲット表面近傍にループ状の磁束を形成して電子を捕捉してプラズマを集中させるマグネトロンタイプのスパッタ成膜装
置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のスパッタ成膜装置としては、たとえば、特許文献1に記載のようなものが知られている。
すなわち、基材(被処理基板)と対向して配置される一対の回転カソード(ターゲットユ
ニット)と、各回転カソードに、それぞれスパッタ電力を供給するスパッタ用電源を備え
ている。回転カソードは、筒状のベース部材と、ベース部材の外周を被覆する筒状のターゲットと、ベース部材の内部に配置されターゲットの表面に磁場を形成する磁石ユニットと、を備えている。
一対の回転カソードは、処理空間内に、一定距離を隔てて対向配置されており、スパッタ用電源から電力を供給することにより、ターゲットの表面近傍にプラズマを生成し、2つの回転カソードのターゲットから、基材の搬送経路上の被成膜箇所に向けてスパッタ粒子を飛散させ、基材を搬送面に沿って搬送被成膜箇所を複数回通過するように基材を移動させて、基材表面に成膜するようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−066427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のスパッタ成膜装置は、二つの回転カソードを用いて、基材上に同じ材料を成膜するもので、異なる材料の積層膜を成膜する場合には、成膜材料ごとに別チャンバで、それぞれのターゲットを用いて成膜する必要があり、生産効率が悪いという問題があった。
本発明の目的は、2層構成の積層膜を別チャンバを分けることなく成膜することができ、生産効率を高めることができるスパッタ成膜装
置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、
チャンバと、
該チャンバ内に、被処理基板と相対移動可能に配置される一対のターゲットユニットとを備え、
前記ターゲットユニットは、ターゲットと、電源から電力が供給される電極部材と、前記ターゲットの前記被処理基板と対向する側の表面に磁場を形成する磁石と、を備え、
前記ターゲットユニットと被処理基板とを相対移動させて成膜するスパッタ成膜装置であって、
前記一対のターゲットユニットは、各ターゲットからのターゲット粒子の飛散領域が重ならないように、前記被処理基板との相対移動方向に所定間隔を隔てて並列に配置され、
前記一対のターゲットユニットは一体となって同時に移動し、相対移動方向の先頭側に位置するターゲットユニットによって前記被処理基板上に形成された第1層の膜上に、後方に位置するターゲットユニットによって第2層の膜を積層する構成となってお
り、
前記磁石は、前記相対移動方向に対して直交する方向に延びる中心磁石と、該中心磁石を取り囲む周辺磁石と、ヨーク板と、を備え、前記周辺磁石は中心磁石と平行に延びる一対の直線部を有し、
少なくとも一方のターゲットユニットの磁石における周辺磁石の中心磁石に対して他方のターゲットユニット側の直線部の磁化方向が、前記被処理基板の成膜面に対して垂直よりも、他方のターゲットユニット側に対して反対側に傾いており、
前記直線部はヨーク板から直線的に立ち上がっており、前記一対のターゲットユニットにおける前記直線部の側面同士が前記被処理基板の成膜面に向かって、間隔が広がる方向に傾斜し、
前記電源はバイポーラ電源であり、一対のターゲットユニットのカソードに逆極性の波形を出力させ、かつデューティ比を制御して、第1層と第2層の膜厚が独立して制御可能となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、2層構成の積層膜を別チャンバを分けることなく成膜することができ、生産効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(A)は本発明の実施形態に係るスパッタ成膜装置の模式図、(B)は電圧印加状態を示す図。
【
図2】(A)は磁石の斜視図、(B)は磁石の配置構成例を示す図。
【
図3】(A)乃至(C)は他の磁石の配置構成例を示す図。
【
図5】(A)は
図1(A)の全体構成例を示す斜視図、(B)は正面図。
【
図6】(A)は
図5(A)の装置の上面図、(B)は側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は本発明の好ましい構成を例示的に示すものにすぎず、本発明の範囲をそれらの構成に限定されない。また、以下の説明における、装置の製造条件、寸法、材質、形状などは、特に特定的な記載がないかぎりは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
まず、
図1(A)を参照して、本発明のスパッタ成膜装置の基本的な構成について説明する。
このスパッタ成膜装置1は、例えば、有機ELパネルの製造に用いられる。有機ELパネルの場合、
図7に示すとおり、基板に陽極、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層(有機膜)、電子輸送層、電子注入層、陰極の順番に成膜される構成が一般的である。本実施例では、有機膜上に、スパッタリングによって、電子注入層、電極に用いられる金属や酸化物等の積層被膜を成膜するものである。また、有機膜上への成膜に限定されず、金属材料や酸化物材料等のスパッタで成膜可能な材料の組み合わせであれば、多様な面に積層成膜が可能である。
スパッタ成膜装置1は、アルゴン等の不活性ガスが供給される真空チャンバ10と、真空チャンバ10内に供給される被処理基板5と対向して配置される一対の回転ターゲットユニット20A,20Bを備えている。
回転ターゲットユニット20A,20Bは、それぞれ、円筒形状の回転ターゲット21と、電源40から電力が供給される円筒状のカソード22と、回転ターゲット21の被処
理基板5と対向する側の表面に磁場を形成する磁石ユニット30とを備えている。
一対の回転ターゲットユニット20A,20Bは、被処理基板5に対して相対移動、この例では、被処理基板5を静止した状態で回転ターゲットユニット20A,20Bを移動させることで、被処理基板5上にターゲット粒子を成膜するようになっている。
一対の回転ターゲットユニット20A,20Bは、ターゲット粒子の飛散領域Ta,Tbが重ならないように、被処理基板5との相対移動方向に所定間隔を隔てて並列に配置され、一体となって同時に移動するようになっている。そして、回転ターゲットユニット20A,20Bの移動方向の先頭側に位置する回転ターゲットユニット20Aによって被処理基板5上に形成された第1層の膜5a上に、後方に位置する回転ターゲットユニット20Bによって第2層の膜5bを積層するように構成されている。被処理基板5へ回転ターゲットユニット20A,20Bの相対移動による積層成膜は、1走査行程で行われる。
【0010】
以下、各部の構成について、
図2(A),
図5及び
図6を参照して詳細に説明する。
図5(A)は内部構造を示す斜視図、(B)は正面断面図、
図6(A)は上面図、(B)は側面図である。
真空チャンバ10内の下面側には、回転ターゲットユニット20A,20Bを案内する一対の案内レール11が水平方向に平行に配置されており、回転ターゲットユニット20A,20Bは、その両端を支持するエンドブロック12を介して、案内レール11に移動自在に支持され、上流側から下流側に水平方向に駆動搬送されるようになっており、搬送面は案内レール11によって、水平面に維持される。
以下、図中、案内レール11と平行方向をY軸、垂直方向をZ軸、水平面で案内レール11と直交方向をX軸とすると、搬送面はXY平面である。
回転ターゲットユニット20A,20Bは、それぞれの回転ターゲット21の回転軸が、Y軸方向に所定間隔を隔てて平行に配置されている。
エンドブロック12の駆動機構としては、特に図示していないが、リニアモータでもよいし、回転モータの回転運動を直線運動に変換するボールねじ等を用いた機構等、種々の駆動機構を用いることができる。
一方、被処理基板5は、真空チャンバ10の天井側に、前記回転ターゲットの搬送面に対して平行、すなわち水平に配置され、搬送方向に沿った両側縁が基板ホルダ55によって保持されている。
被処理基板5は、たとえば、真空チャンバ10の側壁に設けられた不図示の入口ゲートから搬入され、成膜位置まで移動して成膜中は静止し、成膜後、不図示の出口ゲートから排出される。
【0011】
磁石ユニットの配置構成
磁石ユニット30は、回転ターゲットユニット20A,20Bの移動方向に対して直交する方向に延びる中心磁石31と、中心磁石31を取り囲む周辺磁石32と、ヨーク板33とを備えている。周辺磁石32は、
図2(A)に示すように、中心磁石31と平行に延びる一対の直線部32a,32bと、直線部32a,32bの両端を連結する転回部32c、32cとによって構成されている。
一対の回転ターゲットユニット20A,20Bは、ターゲット粒子が混ざらないように、被処理基板5の成膜面上で、ターゲット粒子の飛散領域が重ならないようにずらしておく必要がある。
そのために、本実施形態では、
図2(B)に拡大して示すように、回転ターゲットユニット20A,20Bのうちの一方の磁石ユニット30において、周辺磁石32の中心磁石31に対して他方の回転ターゲットユニットと対向する側の直線部を符号32aと、他方の直線部の符号を32bとすると、向い合う直線部32a、32aの磁化方向が、被処理基板5の成膜面に対して直交する垂直面Vに対して、他方のターゲットユニット側と反対側に傾けられている。
磁化方向は直線部32b内部を通る磁束の方向であり、図示例では、直線部32bはヨ
ーク板33から直線的に立ち上がっており、その側面に沿って磁化方向を示す基準線Ua,Ubを記載している。この基準線Ua,Ubは、被処理基板5の成膜面に向かって、間隔が広がる方向に傾斜している。
なお、図示例では、一対の直線部32a,32bと中心磁石31は、ヨーク板33に対して直交する方向に互いに平行に立ち上がっており、中心磁石31の立ち上がり方向も、被処理基板5の成膜面に対して直交する垂直面Vに対して被処理基板5の成膜面に向かって、広がる方向に傾斜している。なお、中心磁石31は、回転中心線を通る面上に配置されている。
【0012】
回転ターゲット20の表面近傍の磁場は、中心磁石31の磁極から、周辺磁石32の直線部32a,32aへ向けてループ状に戻る磁力線を有し、この磁場によって、電子が捕捉され、回転ターゲット20の表面近傍にプラズマを集中させ、スパッタリングの効率が高められている。
図1(A)において、回転ターゲット20の表面近傍に記載の楕円のループは、プラズマLが集中する部分を模式的に示すもので、回転ターゲット20表面の法線方向の磁束密度成分が零の点からスパッタ粒子が集中的に飛散し、飛散領域は被処理基板5の成膜面上において搬送方向に範囲に拡がるが、磁石ユニット30を傾けることにより、回転ターゲットユニット20A,20Bの間隔が短くても、成膜面の位置では、飛散領域Ta,Tbが重ならないように離間させることができる。
また、ターゲット粒子の飛散範囲を制限するように、図中1(A)中、破線で示すように、遮蔽部材50を配置することもできる。図示例では、飛散領域Ta,Tbの間に、成膜面に対して直交方向に配置されている。この遮蔽部材50の下端の位置は、
図5(B)に示すように、回転ターゲットユニット20A,20Bの間まで延びていてもよい。
【0013】
この回転ターゲットユニット20A,20Bの配置構成としては、上記構成例では、一対の回転ターゲットユニット20A,20Bの両方の磁石ユニットについて傾斜させているが、一方のみ傾けて、他方は、垂直となっていてもよい。
また、直線部32bが、ヨーク板33から直角に立ち上がる構成ではなく、
図3(A)に示すように、ヨーク板33から高さ方向に傾斜して広がる方向に傾斜していてもよい。
また、直線部32bの傾斜角については、
図3(B),(C)に示すように、被処理基板5の成膜面に対して、直交方向と、被処理基板5の成膜面に対して平行方向の間の、90°から0°の間であればよく、要するに、被処理基板5の成膜面上で、回転ターゲットユニット20A,20Bからのターゲット粒子の飛散領域が重ならないようにずらしておけばよい。
また、回転ターゲットユニット20A,20Bからのターゲット粒子の飛散領域が重ならないように、充分に離間させることができれば、回転ターゲットユニット20A,20Bの磁極ユニット40を、
図3(B)のように、周辺磁極の直線部の磁化方向が、被処理基板5の成膜面に対して直交方向であってもよい。
【0014】
次に、
図4を参照して、上記スパッタ成膜装置の電源の制御について説明する。
電源40はバイポーラ電源であり、
図1(B)に示すように、一対の回転ターゲットユニット20A,20Bのカソード22,22に逆極性の波形を出力させ、かつデューティ
比を制御して、第1層と第2層の膜厚を独立して制御可能となっている。
すなわち、バイポーラ電源40は、出力Aと出力Bで、極性が逆の波形を出力する。
図4(A)には、出力Aへの印加電圧を記載しており、
図4(B)には、出力Bへの印加電圧を記載している。出力Aと出力Bは周期が同一で、出力Aが1周期においてt1の間がプラス、t2の間がマイナスであれば、出力Bはt1の間がマイナス、t2の間がプラスの関係となる。
図1(B)は、出力Aと出力Bを合わせた図である。
デューティ比は可変であり、本実施例では、5〜95%程度の範囲で制御できるようになっている。周波数は、数百Hz〜数十kHzの範囲、本実施例では500Hz−50k
Hzで可変可能なものが用いられている。
スパッタはマイナスの電圧がかけられた場合に生じるので、マイナス側のデューティ比を想定すると、出力Aのデューティ比は、t2/(t1+t2)=t1/Tであり、出力B
のデューティ比が、t1/(t1+t2)=t1/Tとなる。
したがって、デューティ比を制御することで、第1層と第2層の膜厚の相対的な比率を決定することができ、一方を厚く、他方を薄くすること、あるいは同等に設定することができる。
また、一方のカソードにマイナスが印加されている間、他方のカソードにプラスの電圧をかけられているので、ターゲット表面のプラスの電荷(陽イオン)を排除し、アークを抑制する効果がある。
また、電源をバイポーラ電源とした場合について説明したが、一対の回転ターゲットユニット20A,20Bのそれぞれに独立の直流電源を設けてもよい。
また、上記実施形態では、ターゲットユニットとして、ターゲットが回転駆動される回転ターゲットを例にして説明したが、回転ターゲットではなく、平板ターゲットについても同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0015】
1 スパッタ成膜装置
5 被処理基板、5a 膜(第1層)、5b 膜(第2層)
10 真空チャンバ、
20A 回転ターゲットユニット
20B 回転ターゲットユニット
21 回転ターゲット
30 磁石ユニット
31 中心磁石
32 周辺磁石
32a 直線部、32b 直線部、32c 転回部
40 電源